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政府委員(
永井幸太郎君)
只今お手許に差上げましたこの昭和二十三年一月より三月に至る品目別輸入實績、それから二枚目の
輸出實績、これによりまして、大體今年に入りましてからの
貿易状態がお分りになるかと思います。三月でありますから、少し遅いのでありますが、これで御辛抱願いまして、大體こういう大勢で四月、五月、六月共進んでおるのであります。三月までに圓に直しまして輸入が百十億、
輸出が五十二億ということにな
つております。この構成も、輸入の方は大體食糧が五四%石油、肥料等加えまして約七〇%にな
つております。食糧と肥料とで七〇%はかり費しておる次第でございます。
輸出の方も別にこれに註釋を加える必要もないのでりあますが、依然として
輸出の中でまあ五七%ばかりが纖維の
貿易であります。併しこの頃の
状況を見てみますと、纖維以外の
輸出の商賣が非常に商賣の餘地があるように思うのであります。最近ノルウエー、デンマークから船舶の建造の註文もありますし、インド邊りかち紡織の機械、機とい
つたような鐵鋼品等の註文が随分ありますので、生産設備さえ整いますれば、纖維以外の
貿易も、
輸出も
相當進展し得る餘地があるように思うのであります。本年に入りまして、特に目立ちますのは、そうい
つたような紡績機械、機、船舶、スチール、ハイプ、鐵板というような
貿易が大部分進むように見受けます。それからこの表に昨年中の
輸出入の表も加えて置きましたので、これによりまして、どういうものが幾ら入
つて、而もどこの國どの
貿易がどういう地位を占めておるかというようなことが明瞭になるかと思いますので、後程御覧を願
つたら結構と思います。それで大體
貿易の有樣はこの表を御覧願うことにいたしまして、ここでちよつと附加えて置きたいのは、最近ポンド地域との、新聞でも御覧の通り総括的の清算協定ができましたので、
從來のごとくポンド地域の各國と個々別々に清算協定をや
つておりましたのと違
つて、ポンド匠域を一つの區域と認めまして、ポンド區域の中の或る地方から
輸出超過にな
つており、他の地方が輸入超過にな
つておるという場合に、その二つの地方との
輸出入バランスお一つの地域と見て清算するというような
便宜が行われましたので、多少ポンド區域に對する
貿易の
決濟も樂になると思います。これだけでは十分でありませんですが、米國が支出しております陸軍豫算による
日本救済費の支出を米國以外の生産物にも使
つていいということになりつつありますので、このポンド地域に對する総合的清算協定と竝び
運用せられましたならば、
日本のポンド地域に對する
輸出が非常に樂になると思います。況んやここ一、二年後に南方の米でも入るということになりとて、それをアメリカの陸軍豫算の中で拂
つて貰える、或いは
日本から物を出しまして南方の食糧品と物々交換いたしましたならば、その
輸出品に對する
支拂の金高だけを
ドルでアメリカで渡して
貰つて他の工業品の輸入に充てるというような、陸軍豫算の支出を米國以外の生産物にも及ぼす、流用し得るということに大體なるらしいのでありまして、それとこのポンド匠域の綜合協定とが大體活用せられますならば、
從來の
輸出貿易に對する障碍は省けるものと思います。その他今申しました價額比率の設定が決りますれば、
輸出者に對して
輸出者も非常に
支拂も早くなりますし、
便宜になるかと思います。尚これ以上
輸出貿易を促進しますためには、多少
輸出から得ました
代金の、賣上金の一部を
輸出商の自由處分に任してはどうかというような議論も
關係先と
相談をいたしておるのでありますが、
輸出しましたものに對する、例えば纖維品のごとき纏
つた品物でしたら極く少しの部分、二分とか三分とかいうようなものを自由處分を許しまして、それで海外の旅行費に充てるとか、或いは
先方から見本を買
つて送る費用に充てるとかいうようなことで、多少
輸出に對する意欲を昂揚したいというようなことも
考えております。或いは又もつと金額の少い雑貨の
輸出というようなものでしたら、その中の一割とか二割とかを、どうしても
外國から原料を輸入せねば
日本にないというような物の輸入のために、その一割か二割を使わせるとい
つたようなリングの方法、例えば時計を
輸出した場合にその一割か一割五分を
輸出者の自由處分に任しまして、時計の製造に必要な特殊鋼とか石とかいうものを自由に輸入させるとい
つたようなことによりまして、
輸出奬勵ということに進んではどうかというようなことも折角
關係先と
折衝いたしております、大體そういう
状況でございます。