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1948-06-30 第2回国会 参議院 財政及び金融・商業・鉱工業連合委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月三十日(水曜日)    午後一時四十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○取引高税法案内閣送付)   —————————————
  2. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) これより財政及び金融、商業、鉱工業委員会連合委員会を開会いたします。取引高税法案を議題としまして、前回に引続き御質疑をお願いいたしたいと思います。先ず政府委員から、衆護院で問題になつておりまする点を話して貰つた方がどうかと思いますが……    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議なければそれを一つ聽きたいと思います。
  4. 原純夫

    政府委員原純夫君) 衆議院で御審議願つております要点につきまして御報告申上げます。非常に衆議院財政金融委員会も御多忙でありますので、余り長時間を割いて御審議を願うというわけにはまだ参つておらない実情にありますが、大体提起されております質問要点を申上げますと、先ず第一が取引高税をすべての取引段階に掛けるのがよろしいか、或いは特に一段階といたしましては、製造段階で掛けるのがどうであろうかというような点が話題に上つております。それから第二の点といたしましては、いろいろと異常、関係方面の話におきまして、課税物品範囲というものをどうするかという点が問題になつております。例えば生活必需品である配給物資非課税にしたらどうかというような点が、これは必ずしも委員会の席上に限るということの話ではございませんが、大きな問題といたしまして、そういう点が話題に上つております。爾余の点は細かい点になりますが、第三点といたしましては、再保険料の、これも課税範囲の問題にはなりますが、非課税にしたらどうかというような点、それから取引高税というものが中小商工業者と、大事業者との間に不均衡を生ずることはないかというような点、大体主として問題になつております点を簡單に申上げますと、そんなところでございます。
  5. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 取引高税につきまして、御質疑のある方はお願いしたいと思います。
  6. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 今與党三派の予算に対する態度が妥協できたという報告を、今役員会で聞いて参つたのでありますが、それによりますと、鉄道料金が二・五五倍になりました関係上、最初のあれよりも相当新財源を見附けなければいけませんので、代り財源として取引高税幾らか見積るそうでありますが、どのくらい見積るかということを、政府自体がまだはつきり決まつていないので、そういうことは別として取引高税全般に対して、研究会のようなものもなさるのでございましようか。何か少し……決まつてなさることがないのではないのだけれども、その点がちよつと漠然としておりますので……
  7. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 実は委員長としましては、取引高税衆議院の方で、或いは衆議院と申しますか、政府が撤回するのじやないかということがあつたものですから、多少躊躇しておりましたが、併し衆議院の方で審議を進められるというようなことを聞きましたものですから、こちらとしても、とにかく会期はもう余すところ少く、仮に延長されましても、その日がないと思いますから、とにかくいろいろ御質疑のあります点は御質問願いまして、最後の決定はむろん衆議院がどういうように修正するかによつて又決まると思います。衆議院を通過した後でなければいけないと思いますが、とにかく御議論のある点は十分御研究を願つておいて、衆議院の結果を待つ方がよいのではないかと思つて、実はこの合同委員会を開いて頂くことにしたのでありますから、どうぞ御修正の御意見があれば、この修正をしたらどのくらい歳入に響くかというようなことも政府で用意されて置かれた方がよいと思いますし、又條文上いろいろ不備の点があれば、その点も御指摘になつて、御質問願つたらどうかと思います。
  8. 天田勝正

    天田勝正君 第七條の一項六号の「輸出取引」こういう項目がありますが、この解釈は勿論家出をするその直接の取引は当然課現されない、こういうことは分るのですが、その前段について、生産又は下請等から物品を買受けてこれを組み立てるというようなことがあつた場合に、そういう点には課税するのであるかどうか……
  9. 原純夫

    政府委員原純夫君) 輸出取引と申しますのは、只今お触れになりましたように輸出をする取引そのものを指すというふうに考えて提案申上げている次第でありまして、從つてその前段階たる國内における集荷或いは集荷の先に立つ製造という段階はこれは非課税にならない、課税するというふうに考えておるのであります。
  10. 天田勝正

    天田勝正君 少しずつですつから座つたままで許して頂きますが、第二條の二十号の「請負業」という場合はどういうものを課税対象にされますか。
  11. 原純夫

    政府委員原純夫君) 請負業と申しますのは、土木、建築の請負業はもとよりでありますが、委託を受けまして、一定の、ちよつと正確に法律規定を覚えておりませんが、法律にあります請負行爲とかこれに当るというものは、請負業として課説いたしたい。從いまして、この加工に類する行爲であつても、例えば布を出しまして、起毛させるというのは一面加工とも見られませんが、取扱としましては、これは請負業つまり物は全然委託者から貰いまして、そうして一定の起毛という仕事をするというだけのものは請負業にしたらどうかというふうに考えております。いろいろこの具体的な場合、特に加工請負というものの限界がむつかしいことになると思いますが、これらは実際の扱いにおいて成るべく統一した扱いをいたしたいというふうな考えでおります。
  12. 天田勝正

    天田勝正君 それも一つでありますが、その外に請負金額全額課税しようと考えておられますか。
  13. 原純夫

    政府委員原純夫君) 全額課税いたそうというふうに御提案申上げておるわけでございます。
  14. 天田勝正

    天田勝正君 いろいろ取引がございますが、恐らく部品を集めて製造するような品物においては、最終段階最終取引までには十数段階出て來るのじやなかろうかと思うのでありますが、その一番高い段階はどのくらいになるか、それを計算した結果が最高最終の償格に対して、どの程度課税になるかということはお分りになつておると思うので、御説明を願いたいと思います。
  15. 原純夫

    政府委員原純夫君) ものによりまして取引段階は非常にまちまちでありますし、製造業者原料を仕入れて参る、その原料が何段階か掛かる。又製造業者原料以外に又製品を仕入れて参るというような場合には、その製品の更に全段階があるというようなわけで、非常に多く段階のある場合も考えられると思います。最高段階であるというところまでは実は調査いたしておりません。まあ十数段階になるものもあるというふうに見込んでおります。それで何段階にもなりますと、一段階一%ということで非常に最終價格においては負担が重くなつて來るというような感じはいたすわけでありますが、この場合におきましても、例えば十段階あれば一%の十倍で一〇%になるというわけのものではありませんので、最後の小賣の段階は小賣價格の一%掛かるところがその前の卸しの段階におきましては、卸價格は小賣の價格よりも二割なり二割五分なり安いわけでありますから、それに一%掛かる、製造段階におきましては更にそれよりも少い。從いまして小賣の段階最終價格において何%という場合には、この段階の数を一%に掛けたというものよりも遥かに少くなる、非常に大きい段格においてはそれが特に少くなるわけであります。それから尚途中製造段階におきましては、製造業者が賃金、労賃とし佛います部分取引高現課税はございません。従いまして只今お話のありましたような部分品を集めていろいろ手を加えるといような手の込んだ製品というものは御承知通り素材價値に対しまして労賃部分が非常に多いわけであります。從いまして相当段階が重なりましても、案外最終價格に対する響きが少いというようなことに相成るのではないかと思います。只今申上げましたのは一般的な、何といいますか原則論といいますか、そういうところでございますが、実際にそれでは取引高税に上りまして價格にどれくらいの影響があろうかということでございますが、個々の品物につき調べましたところの事例を申上げますと、例えば蓄音器でございますと四%、織物も四%、ラジオあたりになりますと五%ぐらい掛かる、大体四、五%というところが多いように思われます。一方これを総体の取引高税税額と、それから國民所得として生産所得に上つて参ります金額との比率を見ますと、必ずしもそこまで参らないのでありますが、つまり取引高税額國民所得の中の生産所得、その中非課税の分を除きました分で割りますと、三%ちよつとというような数字が出て参ります。大体まあ三%、四%、五%というような甚だマージンの廣い答弁で恐縮でございますが、そのくらいのところに大体の結果は來るんじやないかというように考えておる次第であります。
  16. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 只今の立場上私はこれを申しますことは穏当でないかと存じますけれども、私は取引高税全般に対しまして二つの理由で実は最初から反対いたしておるのであります。その一つは大体インフレの現下におきまし、て、低物價政策に反して人工的な價格引上げであるということが一つと、もう一つはこれを税金で取立てますときは、國民各人経済力に應じた額で取立てますから、公平に行きますけれども、それをしないで取引高税にいたしますと、國民一様に誰も彼も、持てる者も持たない者も負担が掛かりますので、従つて下層階級生活が苦しくなる、そういう二つの点で実は私はこれに反対しておるのでありますけれども、新財源関係上どうしてもこれを採用しなければならないといたしますならば、せめて奢侈品に対しては相当率が高くてもいいから全体に掛けたものに近い程の税額を取る程の税を掛けてもいい、こういうふうに思つております。大体今の日本の政策全体の行き方が、これは間違つてつたら御訂正願いたいと存じますけれども、私多少方向が違つているのではないかと思いますことは、近頃國民資本蓄積ということが盛に唱えられております。勿論零細な資金蓄積いたしまして生産を起さなくてはならないときではございましようけれども、それをするために持てる人達に現金方法なり、その他の方法で寛大にいたしまして若干の蓄積をさす、そのために下層階級負担を多くするということになりますことは、今の日本としてはまだ許されないことであつて、それには多少無理があると思つております。持たない者が眞面目に働いておつたならば暮して行けるだけに、その生活内容を大体に整えて、それからでなければいけないのであつて從つてこの生産資金とかいう問題は、やはり外資導入を目当てにしなければならんのではないかしらと思つております。勿論貯金、節約はしなければなりませんけれども、今のところ節約の余地はないように考えております。それではどこに新財源を求めるかといいますと、やはり高額所得税税率引上げるとか、それから先達てから私が申しておりますように、法人の高額のものの税率がひどく安いので、先日の御答弁の中には、それは法人税として一度掛けたものに更に配当になつたら更に個人の税金として掛けるということになるから、二重になるというようなことを承わりましたれとも、それを拂う方の人は一回で済むのであつて、二重にならないように思いますので、ここらを狙わなければなりませんし、それから財産増加税でありますけれども、形に現れておるものだけを捉えるのであつて、形に現われておるものを捉えても決して後難を残さないと思います。形に現れるものを捕捉するということは、結局インフレを防ぐということになりますので、ここらを狙つてもいいだろうと思います。数え上げればまだ切りがございません。空想のようでありますけれども、ジヤバに余つております砂糖を輸入してお酒を作つて税金なんというものを取るということもあれでありますが、とにかく新財源を工夫して、こういう大衆課税を初めといたしまして、その他この頃非常にいろいろな点で國民大衆を苦しめておる。これにも私は余り賛成をいたしておりませんからちよつと恐入りますが……
  17. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 取引高税につきまして、これを奢侈品に限つたらどうかというような御意見であるように拜聽いたしましたが、実は御承知のごとく奢侈品につきましては今物品税課税いたしております。それが最高十割であります。それからその次が八割、五割、三割、二割、というように実は課税をいたしておるのでありますが、これによりまして本年度大体百七十五億であつたと記憶いたしますが、その程度の収入を実は予定いたしておるのであります。それから入場税もこれは地方に委譲いたしましたけれども、やはり十五割の税率になつております。又法人税についての御意見もありましたが、この点につきましてはこの間実は申上げた通りでありまして、今度の改正についても一般税率を三割或いは二割五分にするのが外資導入、企業の振興によいのではないかという御意見もあつたのであります。それから又所得税につきましても、今度提案いたしておりますのは確か從來八五%という税率を七五%まで下げております。下げておりますが、こういう点につきましては実は所得税から申上げますと、所得税の八五%の現在におきましても、最高八割を超えることができないという規定が実はあるのであります。それは御承知のごとく地方税が當当掛かるのでありまして、大体営業所得であると思いますが、五百万、千万であれば営業所得しかありませんです。それになりますと地方税が少くとも一五%掛かります。それから東京でありますと、都市計画税が三%掛かります。そうしますというと一番高いところは現在の税法によりますと、一應形式的には一〇〇%を超えてしまう、そういうわけでありますので、最高八〇%に止めておるのでありますが、そういうわけであります。それで実際は八〇%でありますので、今度は十五%ぐらいにしたらどうか、もつと下げろというような御意見もありましたが、今御指摘のように、私は現在の財政事情或いは勤労階級所得税負担を見ますというと、例えば物品税の十割というのも高いと思います。又入場税の十五割というのもこれも高いと思うのであります。先ず所得税を少し軽減して、それから法人税であるとか、或いは入場税、或いは奢侈品といつたようなものの税率を下げるように行くべきであると思います。現在としては御指摘通り私は下げろという意見も分りますけれども、現在は下げる時期でない、ただ二、三の物品につきまして取引高税が掛かる関係上、下げたものもございますが、一般的に言つてまだ所得税殊勤労所得者少額所得者税率を軽減することが先決問題であると、かように考えて、大体奢侈品とか或いは法人税といつたものは、超過所得税といつた問題は特にこういうふうなことは別といたしまして、余り手を附けておらんのであります。將來余裕ができましあたら、私はもう少し物品税を引下げる、少くとも非常に贅沢品でも物品税が掛かつた外に、五割の税を掛けるというようなことは私は普通の経済情勢ならば望ましいということを率直に認めるのでありますが、現在ではなかなかそう行かんと考えておる。それから入場税の問題でも、これを高いということも重々聞いておるのであります。現在の情勢としてはやはり遅れても仕方がない、かように考えております。尚今度地方税におきましては地租、家屋税を相当増徴いたしました。資産課税の方に重点を置いて貰うというようになつておるのであります。
  18. 天田勝正

    天田勝正君 第七條非課税の中に四号でありますが、「小学校又は中学校」云々とありまして、これは勿論義務教育であるというところから、さように規定されたと思うのでありますが、それはいいといたしまして、「教科用図書の発行、販賣又は取次」、こうなつております。この教科用図書というのはどこまでを言うのか、こうした活版刷りの文書になつておるものを一体見るのか、或いは絵が少しくらい書いてあつて教科に必要な雑記帳に似たようなものも出ておりますが、ああいうものまで見るのか、或いは綴方用であるとか、或いは算術用であるとかいうような形式の下に、雑記帳などを作つておる所もあるわけでありますが、こういうものも、すべて見れば教料用図書と見られるのでありますが、一体ここに小学校中学校、この中に義務教育を施すに、そのような親心を以て書かれておる以上は、そうしたものまでも全部非課税にしてもよいんじやないか、この法文の解釈でありますが、そういう意味からすべて雑記帳等に至るまでも教科用と見てよいと私は思うのでありますが、どういうふうにお考えになつておるか。  それからもう一つは、これは大変特殊な状態でありまして、恐らくここにおられる委員の方も御存じないと思うのでありますが、埼玉縣の川口の鋳物工場地帯におきましては買湯という制度があるわけであります。この買湯というのは、一定工場におきまして鉄を熔して、その熔けて來た鉄だけを買うわけであります。現に熔けておる鉄を買うわけであります。その工場の一角の土地、場所を使いまして、そこで全然仕事をする。その工場を持つておる人とは別個にやつておる。勿論その人から下請でやる場合もあります。勿論そういう意味加工所とも見えるわけでありますが、現にできたものを買うんでなく、固体の鉄を買うんでもない。鉄の熔けて流れておる状態を買う、こう言つた方がよいわけでありますが、そういうものに対してどういうふうに考えて課現されるか、これはどうも加工とも違うし、そこからばかり仕事を貰つてるのではないから、請負とも違うというわけで、こういう例の場合は一体どのようなふうに考えられるか、又課税をしたらば……。流れておるものでありますから、いわば液体とも見られるようなもので、これを大体量るより外方法はないんじやないか、先ずこういうことになれば、金額で勿論行くんだ、こういうお答えが出ると思いますが、併し金額で抑えるにしましても、幾らでもこれはやればごま化しのできないこともない、こういうところにまあ一つの抜け道が出て來るんではないか、こういうふうにも考えられるわけであります。それから業種の中に十六に「さん橋業」十七に「船舶ていけい場業」とか「貨物睦揚場業」とか、こういうようなものがずつと並んでおりますが、こうしたものなどもこれ又幾らでも抜けて行ける性質のものじやなかろうか、こういうものの捕促はどうされるおつもりか、以上お伺いいたします。
  19. 原純夫

    政府委員原純夫君) 大変むつかしい御質問で、実は只今はつきり御答弁申上げるというのに困まる次第であります。税をやつておりますと、御質問びような、つまり限界点の問題というので非常に苦しむのであります。御指摘のありました初めの二点は、いずれもそういう種類の問題で、なかなかそういう意味でむつかしい。丁度動物と植物の限界がはつきりいたしますのに非常に人類困難を重ねたというように、現におきましても御指摘のような場合はどこに線を引くかということに非常に苦労をいたすわけであります。そういう意味只今伺いましての感じを一應申上げますが、こういう問題は尚よく十分御事情も承わり調べました上で最終的の詰論を出すべきものと思いますので、そういう含みで一應の御答として今聽いて頂きたいと思います。  教科書用図書範囲に絵を書いて余白を置いた雑記帳類似のものを入れるかどうかというのが第一の点でございますが、これは七僚第四号趣旨考えまして、入れるかどうかということを決めなければならんわけでありますが、第四号の趣旨は、お話通り義務教育に属する課程における教科用図書取引課税しようというわけでありまして、従いまして帳面にいたしましてもいろいろこれは全然普通の雑記帳で普通の生活においても使うものと同じもの乃至近いものから、小学校中学校でなければちよつと用をなさない種類のものに近いものというように、非常な様々のニユアンスを持つて端から端に続くものであろうと思います。従いましてこれは小学校又は中学校課程という、義務教育課程教科用図書非課税にするという趣旨考えまして、義務教育に必要なものであるという種類のものは非課税にするということで、具体的にものを調べました上で線を引くという以外になかろうかと考えます。  第二の鋳物の熔けた湯を買うという点でございますが、これはそこに湯を買うという取引がありますれば、やはり一段階として課税いたすのが至当ではないか。お話のように、そういうものは特定の建物の中で行われてしまつて、なかなか補足がむずかしいということはあろうと思いますが、やはりそこで取引があれば、それは取引として課現しなくてはならないというふうなことになるのではないかと思う次第であります。尚このいろいろな業種船舶ていけい場業その他のお話がありましたが、この種類のものは割合に捕捉がむレろ楽なのではないかと思うのでありますが、実際問題としては余り特にさん橋業自動車道事業、こういうようなものは全國的に言つても、数も少い特殊なものであります。非常に把屋が困難だというように、大きく心配しておる種類のものではないのでございますが、これは併し実際に当つて見ましたならば十分いろいろこの方法で方途を講ずるというようなことにしたいと考えております。
  20. 天田勝正

    天田勝正君 私共は無暗にこうした現金に反対するというのでなくして、一体どうしてこういうふうになつて行くかということを常に心配しておるので、しよつちゆうこの委員会においてもその点で発言しておるわけでありますが、同じような物に一方に対してはとにかく十円掛かり、一方において五円掛かる。こういうことができて來るので、どうも政府は怪しからんど、こういうふうに政府にすべてを一般國民は持つて來ておるわけなんであります。そこでこの程度のものは捕捉し易いという今のお話であるけれども、一体この法案が発表されまして、新聞に出まするや、私共がいろいろ選挙民等に聞いて見ますれば、こんなものを出した日には、それは脱税だらけだという、そういう言葉の中には勿論いい意味もありますし、又悪い意味ではいくらでも脱税できるのだから、構うことないという意味も勿論含まれておると私共も考えておるわけです。そこで大丈夫だと言つても、どういうもうに捕捉するかということを先ず知らして貰いたい。もう一つは、同じ品物にでも非常に違つた現金が掛かつて來るのだということは、今丁度鋳物の例を採りましたが、機械作つて鋳物工場に廻る時に捕捉しておるというのでは、勿論機械が全部できてしまつてからこれを賣る場合に課現される、こういうことになろうと存じますが、鋳物工場というものは全然一つの別個の仕事で、この項目の中にもございますが、結局これは製造業、こういう所に入ると思うのです。そうすれば鋳物作つて、それが今度は機械工場行つて、その段階にはそれぞれ税金が掛かつて、それから機械になつて賣られる時にも又税金が掛かる。更に今申しましたように、銑鉄を買つて、又コークスを買つて、それには税金が掛かる。熔かした場にも又そこに税金が掛かる。もうこれだけを比較しても、機械を賣る段階に二段階ばかり違いができるわけです。賣湯をやつて鋳物作つてつて、それを今度は買湯の時も税金が掛る。鋳物として賣る時も税金が掛かる。それから更に機械として機械工場で組立てる。それにも税金が掛かる。片つ方は機械工場でありますから、鋳物工場を持つておる。その場合には一回しか掛からない。こういうようなことになつて、同じようなものに差が沢山できて來るというものに対して、どういうお考えを持つておられるか、こういうことなんです。これは厄介なことでありますが、そういう非常にいわゆる同じものに同じ税金ということでありませんと、一般の者はなかなか納得ができない。そういうことで特に申上げたい点は、零細な資本で、そういう買湯等をやる者がますます苦境に追い込まれるということになつて來るという点もお考え願いたいと思います。
  21. 原純夫

    政府委員原純夫君) 先程私天田委員の御発言を誤り伺つて、大変失礼な答弁をしたことになつたようであります。先程捕捉の問題は、二條に掲げてありますもののうち、さん橋業船舶ていけい場業というものについてのことだろうと思つたのでありますが、先程のお話取引高税の捕捉が大変むずかしいということになつたということを承知いたしまして、その意味でならば、これは全体といたしまして非常に困難があるということはおつしやる通り考えております。すべての税において現在社会経済状況の混乱を反映いたしまして、國民の諸般の方面の倫理が下つておるという所から、できるだけ税の上におきましても、非常に捕捉がむずかしいということに苦しんでおるわけであります。そこでこの取引高税法案を立案いたすに当りましても、その点は非常に大きな問題の一つとして、研究いたしたわけであります。そうして結論といたしまして、一つには印紙納付の制度を採用するということを考え出しまして、これによつて、これも國民一般の納税思想、納税倫理というものが向上するということに期待することになりますが、納税義務者でない人達が、社会一般の大衆が、納税義務者としてでなしに、日本一般大衆として、取引高視の徴収の実が挙がるということに意を配るならば、この税金が非常になだらかに入つて参る。例えば誰でも買物をする際にその金額の百分分の一の印紙を下さいということで、必ず貰うようにして頂けば、それでこの税は税常に円滑に入つて参るわけでございます。そういう意味でのやり方を考えましたことが一つと、それからその印紙を出しまして、各業者に、印紙を買う場合に印紙購入通帳というものを持つて貰いまして、それに印紙の購入高を記載をして証明を受ける。それで税務署が調べに参りましたときに、それを見、更にその他の帳簿を見て取締の便にするというようなこの徴税の確保、捕捉という面におきましては、若干目新らしい方法考え、そうして國民一般のこの税に対する理解と協力とに大きな期待を掛けて参りたいということで、実は相当、勿論一般の納税義務者においても手数でありますか、政府としても相当の手数を要するわけでありますが、敢えてこういう方法一つこの税の円満な徴収を期したいというふうに考えている次第であると御了察頂きたいというふうに思う次第であります。  それから第二の段階の問題でございますが、ことれは先程ちよつと衆議院の方面において問題になつている点の一つとして申上げました。中小商工業と大企業、何と申しますか一貫作業を行う大企業の利害というような点に発展する問題かと思われますが、この点は理論的に確かにこの各段階を一括して、自分の経営の中でやるという経営体が有利でおるということは、理論的には正にその通りでありますが、一つにはこの現は大体償格に織込んで轉嫁するという建前をとつておりまして、通常の取引賃借によつて生産し流通するという限りの場合においては、それが轉嫁できるという方向に持つて参る考えでおります。從いまして通常の取引段階を以て製造し、販賣するという向きにおいては、別段そういう意味で困るということがないようにできるのではないかというふうに考えるのであります。特殊の場合に普通の取引段階よりも非常に段階が多いというようなことをやる事業者でありますと、そういう意味で若干轉嫁の点にむずかしいものができるかもしれませんが、又それを別の面から見ますると、恐らくそういう場合はその業者の特殊な技能なり地位なりの関係で、そういう特殊な段階の多い取引経路を持つということについて、やはり何か合理性があるというような場合であろうし、何かそういうような意味で切抜けられるような望みもあるのではないか、総じて申しまして、中小商工業の問題は理屈上確かにもう製造者から小賣まで一本にやる方が有利なのでありますが、これは諸國の例に見ましても、常に取引高税法の創始時期におきまして問題になつた点でありますが、実際問題としてそれが中小商工業に非常に響いて、企業の一貫的な経営に自然に移るというような結果にはなつておりませんし、又理論的に考えましても、この経済というものは、ばかにお説教めくようでありますが、摩擦というものがある。從つて中小の商工業には中小商工業の立場というようなものがやはり何かあるのではないかというようなふうにも考えられます。そういうような点と、先程申上げました轉嫁の関係というようなことを考えまして、通常の取引段階において生産し流通するという種類の経営であつたらば、何とかやつて行つて貰えるのではないかというふうに考えるわけでありますが、これは非常に御指摘通りむずかしい点の一つだと思つて、尚これからやることになりますれば、相当そういう面での研究なり配慮なりしなければならんというふうに思つております。
  22. 天田勝正

    天田勝正君 もう一つ具体例で一つ質問しますが、今丁度鋳物のことを質問しておりましたので、鋳物の例をとつて見ますと、一体ここに湯で買うというようなことは非常にむずかしいことで、むしろ答弁を求める方が無理かと思います。鋳物ができて、その鋳物がいくら通常段階のこれは製品であつても、一つ二つ余計できようができまいが、それは到底税務署の役人等に分ろう筈が私はないと思う。分らないのが本当なんです。そういうのが例えばもう四百貫、五百貫という鋳物を作れば、これは三十貫や五十貫なんていうものはどういうふうに抜けることもできるし、機械が組立つて、それが大きな機械であれば闇に流すことは困難であろうが、小さな歯科の機械の部品のごときになると、これ亦どこへでも行くことになる。通常段階というけれども、一体切手は切手で別に置くと、普通物品販賣業で、例えばこうした商品を賣るには切手が貼つてある、こういう性質のものなら誰でも分る、これは大衆課税になるから、私は賛成するのではないが、併し消費物品に対してそういう印紙証紙の帳簿によつて課税する。こういうことだつたら明らかになるのであります。材料品で賣るという場合にはどこにもそれを貼りようがない。とういうところでも通常段階で捕捉ができるとおつしやるけれども、これは機械の専門家でなければ幾らの材料で幾らとすぼつと出るようなことはとても出て來つこはない。出て來ないのが本当であります。例えばくどいことを申上げるようでありますが、鋳物でいえば「ならし」という言葉がありますが、これは材料の鍋釜を壊したもの、これの酸化侵蝕度によつて同じ材料を使つて通常にできた品物の量が違つて来る。それじやコークスの使い高でそれを見て捕捉しようと、こう思いましても、実はいい銑鉄であれば百貫の材料を使つて十二、三貫のコークスを使えば、それで大体九十六貫か七貫の鋳物製品ができる。ところが極端の「ならし」ということになると、鍋釜を壊した、而も錆びているものを使つた場合には、百貫の鍋釜を熔かすために、今度は十二、三貫でない五十貫くらいコークスを使う、こういうことになつて、而もできた品物と來たら、百貫について五十貫くらいしかできない。從つて材料の方を幾らで買つたから、幾ら製品を造るどいうと、これ亦掴みようがない。こういうことになる。これも実は専門的で、税を専門としておられるあなた方に質問するのは少々酷でありますが、実際こういう問題もあるから、この課税対象、その他業種というもののとり方、それから段階をどこでとるかというところに非常に將來の課題があるわけであります。だけれども直ぐ様これをやらなければ国家財政が危いということになりますれば、これは止むを得ないが、すでにそういう危險が伴うのだということを十分御承知になつて、成るべく早い機会にこれはどの面かで改善して行くということをやらない限りは、世間一般の評判のごとく惡い結果になるのではないか。私はかように案ずるわけであります。從つてそういう事実々々についてそうした面が出て來た場合には直、直ちにす用意があるかどうかということだけ聽いて置きます。政府委(原純夫君) 大変有難い御示唆を頂きまして有難うございます。捕捉の問題は非常にむずかしいことと我々も覚悟いたしております。先程も申上げました通り日本の國の経済、社会というものが段々安定に向いますことを期待しつつ、その間我々といたしましても、この苦しいときでも極力完全な捕捉ができるように努力いたしたいと思う。特に取引高税におきましては印紙制度を通じて國民一般が同時に自己の問題としてこの税が円満に納まるように協力されるというようになることを大きく期待しておるわけであります。尚本税の施行に伴いまして、施行いたします場合には、いろいろと問題が出て参ることと思います。これらについて十分の欠を補い、長を採つて伸ばし参るということは当然のことと思つております。併しこれから施行いたします場合には、そういう点を御指摘御教示を頂いてより良きものに段々いたして参りたいというふうに考えております。
  23. 天田勝正

    天田勝正君 この非課税の條項の十号でありますが、「自己の収穫した農産物」ということになつてつて「繭を含む」というわけですが、一体「自己の収穫した農産物」と字ではそれでよろしいけれども、これは自己の生産したものということをどこで決めるか、殊に林産物のごときはそうであります。そこへもう一つ問題なのは、それじや山持ぢなんかがえらい助かつてしまう、こういうことにもなるので、貧乏人で山も持たないで直ぐそばの薪を買つて來ても、これには直ぐ税金が掛かつて来る、それはそれも直ぐ山持ちから買えばいいのだが、終いの方に「営業所を有する者の行う販賣を除く」とこうなつておるから、そうすると営業所を持つておる薪屋から買つて來たというのは掛かるということにもなると思います。もう一つは営業所を持たないでそだのごときは今統制になつておりません。おらないから随分営業所も何も持つておらない個人が勝手にやつておるのでありますが、そういうのが営業所を持つておらないから課税されない、こういうことになつて來るのじやないかと思います。こういうふうに考えられるわけですが、そういうようなこの十号の限界をどういうふうに解釈したらいいかということを伺います。
  24. 原純夫

    政府委員原純夫君) 十号の限界の問題ですが、いろいろの場合が出て來ることも多々予想される規定であります。実際問題に当りまして、只今指摘なつたような場合その他いろいろ問題の多いことと考えております。只今お話は山持ちであればいいが、買えば掛かるというふうに伺いましたが、買います場合でも賣る人が営業所を有しないもので、そうして自己の収穫した薪を賣るんだという場合には掛からないわけであります。山持ち等の場合には先ず営業所を持つておるのが多いのではないかと思いますが、営業所を持たないで、極く後の山から伐出して來て賣るという種類取引には掛けないというようなことに相成るわけであります。
  25. 天田勝正

    天田勝正君 今日は僕ばかり時間を取りまして恐縮しておりますが、併し営業所を有する者の販賣と、こういう但書でありますから、勿論薪屋等へは掛かるに決つておると思つておりました。そうすると薪屋が現に扱つておる中で一番もとが自己の收穫した林産物であるか、そうでない者から買つて來たのか、その一番もとが山持が賣つておるから、それはそれを買つた者も決して課税されないのだ、こういうふうに今お開きしたのですけれども、ずつと元を質して行けばだれかの自己の收穫した農産物には決つておるのであります。そうすると、そういうふうに解釈すれば、林産物なんかは悉くいつの場合にも掛からない。こういうふうになると思う。営業所を有するということは、仮に私なら私というものが收穫した林産物であつても、それを一体営業所の手に渡したということになれば営業所がこの場合には課税される。こういうふうに私は解釈しておるわけです。そう考えれば、結局営業所へ入つたものの中で、一体どれが自己の収穫したものか、収穫しないものか、どこで判別するか、こういうことなんです。
  26. 原純夫

    政府委員原純夫君) 私の申上げ方が悪かつたかも知れません。十号の規定にこういうふうに考えております。原始生産物を自ら収穫した人が原始生産物を賣る場合、これらを原料として製造し、加工したものを自ら賣る場合には、これは非課税にする、こういうふうに考えております。
  27. 天田勝正

    天田勝正君 それでよいのです。
  28. 田村文吉

    ○田村文吉君 簡単な問題を一、二お尋ねして見たいのでありますが、或いは不勉強でございまして、内容に書いてあるのかも存じませんが、この税金を拝見いたしますと、大体にいわゆる消費者に轉嫁することを目的として立てられたように考えるのであります。そこでただこれの実際になりますると、昔の営業税と同じことになるように我々は扱わなければならないように考える。この税金は若し事業者が支拂いました場合には所得税課税標準にする場合に損失と計上することにお考えになつておりますか、損金には見ないのでありまするか、その点のお考えはどうなつておりますか。
  29. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 当然損金になります。それは結局こういうことになると思います。税金だけ高く賣つておるわけでありますから、それが收入に上つて來ます。納めた税金は損金になります。
  30. 田村文吉

    ○田村文吉君 そういう解釈ですか。それからもう一つ、今の御質問の中にありました裏山の山を立木のままで賣つた場合にはどういうふうになりますか。
  31. 原純夫

    政府委員原純夫君) 不動産の賣買は課税しないことにしておりますから、不動産は掛からないと思います。
  32. 田村文吉

    ○田村文吉君 営業所というものは営業を営むという意味の営業所でありましようか、そういうものを賣るために一つの事務所を置いたが、継続して営業する意味でなければ営業所とお認めにならないわけでありますか。
  33. 原純夫

    政府委員原純夫君) これも具体的な場合に恐らく限界の問題でありましようから、具体的なケースによつて判断が違うと思いますが、営業所は営業をする場所ということで、従つて一回限り取引を行うというようなものは先ず営業にはならないというふうに考えられると存じます。大体継続して取引を行うという場合、その設備を営業所ということに考えるということになると存じます。
  34. 田村文吉

    ○田村文吉君 そういう点はできればもつとはつきりとされる方がいいのじやないかと考えたのでありまするが、これは審議の上で問題になると考えます。先程お尋ねしました所得金額上損金と見るというようなことは、解釈だけでは当然成立つとして置いてよろしいものでしまうか。どこかそれについて何か明らかな或いは根拠がありましよか。
  35. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 当然必要経費でありますから、そういう損金になると思います。所得税解釈上そうなります。
  36. 田村文吉

    ○田村文吉君 只今政府委員の御回答によりますと、当然の経費ということにおつしやつてお出でになるようでありますが、そういうふうに了解してよろしうございますか。
  37. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 結構でございます。
  38. 田村文吉

    ○田村文吉君 それからもう一つお尋ねいたしたいのでありまするが、その第七條取引高税を課さないというのが大分ございますのでありまするが、これを若し反対に課するとなりましたら、どのくらいの金額が取れるお見込になるのでございましようか、御針算になりましたものでもございませんか。
  39. 原純夫

    政府委員原純夫君) 取引金額の算定というものは非常にむずかしいわけでありまして、今までもそういうしつかりした調査をした例もございませんので、基本においてこの仮定を設けた点がございますけれども、一應できる限りの資料で調べましたところでは、非課税取引金額がこの新らしい物價レベルにおきまして、平年度一兆一千億ちよつとになるのではないかというふうに見ております。從いまして税額にいたしますれば、平年度百十億、本年度月割にいたしますと、六十五億程度になるというような見当であると思います。
  40. 田村文吉

    ○田村文吉君 今お尋ねいたしましたのは、この第七條非課税金額でありまする仰ぐ右の御回答でありますか。
  41. 原純夫

    政府委員原純夫君) さようでございます。これを掛けるといたしますればそれだけになる。それを掛けるといたしますれば只今申上げました金額が殖えるというわけでございます。
  42. 田村文吉

    ○田村文吉君 この條項を拝見いたしますると、ややともするといわゆる中小企業者にだけ負担を掛けるような税金考えられるのであります。今お尋ねしました通り、これは一つの当然消費者に轉嫁する目的ではあるけれども、営業者の経費というものに実質的にはなるということを言わざるを得ないような状態であります。而も一方には非課税の中小企業者関係以外の者が課程を免れて行くというようなことがありまするので、何だか常に中小企業者が残酷な扱いを受けるような氣がしてならんのであります。その意味におきまして、この非課税金額を実は伺つたのでありますが、私共に言わせますと、重点産業であり、或いは傾斜生産であるからと云つて、僅か百分の一くらいの金高のものを物資調整金を貰う産業には適用しないというようなあべこべの考え方じやないか、どうせ百分の一くらいの金額ならば、すべての人が佛う、徴税上にも面倒がなくなる、解釈上にもいろいろの疑義が出て来ない、こういうふうになさるのが当然じやなかろうか。こういうふうに考えるのでありまするが、特に中小企業者だけが負担するような形になる税をお考えなつたお心持が、或いは十分に私共は了得していない点があるかも知れませんけれども、若しその辺について何かお考があるのでありましたならば、御説明を頂きたいと思います。
  43. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) ちよつと先程の必要の経費の問題ではつきりいたして置きます。それは所得税法で申しますと、第十條第三項にございます所得税はこれを損金に算入しないとなつております。所得税以外の例えば営業税でありますとか、今度の取引高税でありますとか、印紙税といつたようなものが当然この解釈と申しますか、法文ではつきりしております。法人税で申しますと、法人税法第九條第三項に、法人が各事業年度において納付した、又は納付すべき法人税又は負担若しくは科料はこれを損金に入れないと書いてありますから、それ以外のものは当然損金になればこの分に入るべきものであると思います。
  44. 原純夫

    政府委員原純夫君) 只今この法案が中小業者に不利なようになつておる。特にこの七條の一項の八号、重点産業である價格調整補給金を交付する物品製造販賣というものを優遇しておるというような意味でお尋ねがございましたが、原則論としての中小商工業者と大企業者との優劣比較の問題は、先程申上げたところで御諒察頂きたい。それから七條の一項八号におきまする規定は私共といたしましては、これは決して重点産業で大きい産業であるから、非課税にするというつもりではないのでありまして、一面においては價格調整補給金を交付して、價格の調整をしなければならん、それに取引高税を掛けて引上げるのはおかしいではないかということが一つと、それから実質的にも取引高税を掛けて、それを轉嫁させるといたしますと、その追加した分だけといいますか、理論数字として出ましたレべルを上廻れば、それだけ調整補給金を更に交付してやらなければならない。つまり両建にもなるというようなことからも考えまして、この八号の規定を置きました次第で、決して大企業を保護しようという思想で入れたという意味は全然ございませんから、一つ御諒察頂きたいと思います。
  45. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 本日はこの程度にいたしたいと思います。散会いたします。    午後三時散会  出席者は左の通り。   財政及び金融委員    委員長     黒田 英雄君    理事            波多野 鼎君            伊藤 保平君    委員            木村禧八郎君            天田 勝正君            西川甚五郎君            松嶋 喜作君            山田 佐一君            田口政五郎君            深川タマヱ君            星   一君            小林米三郎君            小宮山常吉君            高橋龍太郎君            中西  功君   商業委員    委員長     一松 政二君    理事            林屋亀次郎君            鎌田 逸郎君    委員           大野木秀次郎君            黒川 武雄君            中川 幸平君            油井賢太郎君            佐伯卯四郎君            島津 忠彦君            高瀬荘太郎君   鉱工業委員    委員長     稻垣平太郎君    理事            小林 英三君            川上 嘉市君            中川 以良君    委員            大畠農夫雄君            原  虎一君            寺尾  豊君            入交 太藏君            楠見 義男君            宿谷 榮一君            玉置吉之丞君            田村 文吉君            帆足  計君            細川 嘉六君            佐々木良作君   政府委員    大藏事務官    (主税局國税第    一課長)    脇阪  實君    大藏事務官    (主税局國税第    二課長)    原  純夫君