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1948-06-23 第2回国会 参議院 財政及び金融・商業・鉱工業連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月二十三日(水曜日)   —————————————  委員氏名   財政及び金融委員    委員長     黒田 英雄君    理事            波多野 鼎君            岩木 哲夫君            伊藤 保平君            伊藤  修君            木村禧八郎君            鈴木 清一君            天田 勝正君            玉屋 喜章君            西川甚五郎君            松嶋 喜作君            山田 佐一君            石川 準吉君           尾形六郎兵衞君            木内 四郎君            栗栖 赳夫君            田口政五郎君            深川タマヱ君            星   一君            赤澤 與仁君            九鬼紋十郎君            小林米三郎君            小宮山常吉君            西郷吉之助君            高瀬荘太郎君            高橋龍太郎君            山内 卓郎君            渡邊 甚吉君            中西  功君            川上  嘉君            栗山 良夫君   商業委員    委員長     一松 政二君    理事            林屋亀次郎君            鎌田 逸郎君            椎井 康雄君            中平常太郎君            松下松治郎君            平野 成子君           大野木秀次郎君            黒川 武雄君            中川 幸平君           深川榮左エ門君            油井賢太郎君            九鬼紋十郎君            小林米三郎君            佐伯卯四郎君            島津 忠彦君            高瀬荘太郎君            波田野林一君            結城 安次君            廣瀬與兵衞君   鉱工業委員    委員長     稻垣平太郎君    理事            小林 英三君            川上 嘉市君            中川 以良君            大畠農夫雄君            田中 利勝君            原  虎一君            村尾 重雄君            荒井 八郎君            大屋 晋三君            寺尾  豊君            平岡 市三君            堀  末治君           池田七郎兵衞君            入交 太藏君            橋上  保君            林屋亀次郎君           深川榮左エ門君            鎌田 逸郎君            楠見 義男君            小宮山常吉君            佐伯卯四郎君            宿谷 榮一君            玉置吉之丞君            田村 文吉君            藤井 丙午君            帆足  計君            細川 嘉六君            佐々木良作君            濱田 寅藏君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○取引高税法案内閣送付)   —————————————    午前十一時九分開会    〔黒田英雄委員長席に着く〕
  2. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) これより財政及び金融商業鉱工業委員会連合委員会を開会いたします。先例によりまして、法案予備審査のために付託されておりまする財政及び金融委員会委員長たる私が委員長を勤めることにいたして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それでは取引高税法案を議題といたしまして御審議を願いたいと思います。  この法案につきましては、すでに政府より提案理由説明財政金融委員会にあつたのでありますが、本日は連合委員会でありますから、應政府当局から取引高税についての提案理由並びに内容について御説明を願いたいと思います。
  4. 原純夫

    政府委員原純夫君) 取引高税を設けようという考えを持つことになりましたのは、所得税法人税、特に所得税におきまして、勤労所得を中心といたします面に、租税負担の非常な重圧が事実上掛かつてつておるということに鑑みまして、これを大幅に軽減いたしたいという要請が出て参りまして、これで相当軽減所得税関係でいたす。法人税におきましても外資の導入その他の見地から相当軽減をいたすということに考えました次第でありますが、これに伴いまして、財政の必要上何らか新らしい財源を探さねばならないということでいろいろ研究いたしました結果、現在の経済状態社会状態というようなものを考えまして、本税が先ず最も妥当なものであろうという観点に立ちまして、取引高税を創設しようという計画を立てたわけであります。つまり取引高税はいろいろと世上論議が出ておりますように、必ずしも完全な理想的な税であるということは申せないかも知れませんが、現在のようないわば混乱した経済状態にありまして相当税收を、而もこの物價が変動しまするに連さて時期を遅れずに確保して参るという見地からいたしますと、本税が相当長所を持つ、つまり物價の変動に連れましてこれに從價百分の一ということで本税を取つて参りますので、物價に即應して税收が上る、同時に所得税等におけるように、率におきましても毎月上つて参るというような点において現在の経済状態ということを考えますと、実際問題として相当大きな長所を持つという考え方をいたしたわけであります。  本税の大要をこれから御説明申上げることにいたします。取引高税営業者営業として行う取引へ掛けて参りまして、そうしてその取引を、製造して販賣する段階、それから卸の段階、小言の段階、すべての段階に百分の一という税率を以ちまして掛けようということに相成つております。対象営業といたしましては、法案の第二條に、物品販賣業以下四十に亘りまして業種を掲げてあります。これらの営業をする者乃至サービスを提供いたしまして、それの対價を受取るわけでありますが、対價を受取る際に、百分の一の税率現金を納めるということに相成るわけあります。特定取引につきまして非課税規定を設けておりまするが、これに関しましては後に御説明することにいたしまして、どういう形でこれを取るかということをその先に申上げたいと思います。原則といたしまして、この取引高税取引高税印紙というものを作りまして、これを営業者が買う。そうして買いました印紙取引の際に取引金額の百分の一に当る印紙を消印いたしまして相手方に交付するという形で納税をして頂こうということになつておるわけであります。ただ少額取引につきまして、一々印紙交付をして頂くということは実際上の煩瑣が多いということを考えまして、五十円未満取引におきましては、これを一括いたしまして毎三ケ月分の取引をその次の月の十日までに申告して納めるということにいたしたいというわけであります。これは十二月、一月、二月その三ケ月を纏めまして三月の十日までに納める。三、四、五の三月を纏めまして六月十日までに納めるというやうにいたしまして、三ケ月ずつ五十円未満取引は一括して現金政府に納めるということにいたしたいと思つておるわけであります。縫いまして一般営業をしております人は、五十円以上の取引につきましては、取引の都度、印紙に消印をいたしまして、お金を貰うと相手交付する。それから五十円未満取引につきましては三ケ月分を一括して、その次の月の十日までに申告納付をするということに相成るわけであります。尚その際十円未満端数があります場合は、これは切捨てて納付する。これは五十円以上の取引につきまして端数がある場合で、五十円未満の分は一括いたじますから、その一括したものに端数がありましたら、それは切捨てますが、十円未満の七円、八円というような取引が全部免税になるのではございません。今まで申上げましたのは印紙による納付、これが原則納付形態でありますが、特定業種に対しましては、印紙による納付をすることが一面非常に煩雑であり、同時に印紙納付いたしませんでも、実際上の差支はないと思われるものがありますので、そういう業種につきましては、これを一括して全部現金申告納付するということにいたしたいと思つております。そういう業種といたしましては、法案の第十六條に掲げてありますが、銀行業、無盡業、信託業保險業、それから電氣、ガス、ラジオ、それから鉄道業海運業、それから日刊新聞紙発行事業公團事業というようなものにつきましては、只今申上げましたことを考えまして、一括してこれは毎月でございますが、毎月の分を一括して翌月十日までに申告納付をするという建前にいたしておる次第であります。そこで非課税取引としてどういうものを上げておるかということは、法案の第七條に掲げてございますが、先ず取引高税は百分の一という税率で廣く廣汎取引全部に掛けろという税でありまして、非課税範囲は実際上の問題といたしまして、成るべく少くいたす方が、徴税技術上、又税の性格上妥当と思うのでありますが、國民生活にどうしても必要な最小限度といいますか、最も関係の深い主食のごときものはこれを非課税にした方がよろしいという考え主食、それから小学校、中学校の教科書、それから水道の水というようなものを先ず非課税取引にいたしております。それからこの農村、漁村の自己の收穫した量産物水産物等、これも原始的な生産者であり、これを原始的な生産者が更る段階において取るということは、諸般の関係から如何かと考えられますので、これも非課税にいたす。尚國が價格調整補給金交付いたしまして、物價調整を図つておる品物がいろいろございますが、これにつきましても、それとの牽連を考えまして非課税にいたす。それから政府の発行しております官報であるとか、或いは政府の專賣品であるとかいうようなものは、販賣價格を適当に調節いたしますことによつて、本税を特に別に掛けなくても実際上目的を達するわけでありますし、販賣價格と二重に取引高税を掛けるということが、実際上負担に煩瑣を來すだけであるという考え方から、こういうものも非課税にいたす。それから有價証券移轉税通行税馬券税というよな、いわゆる流通税対象なつております取引につきましては、一回限りの段階課税し、そのところでそういう税を加減すれば、取引高税を別に掛けなくても実際上の目的を達するという見地から、これも非課税にいたそうという考えでおる次第であります。  それで本税の徴税技術上、手続上の特色といたしまして、先程から申上げております印紙による納付という形式を取つておるのでありますが、これは一面営業者にそれだけ手数を掛けるということに相成るわけでありますが、これの狙いといたしましたのは、印紙納税義務者、即ち営業者取引をして金を受取つた際に印紙相手に渡して呉れれば本税の徴收ということはそれで自然に納まつて参るということになりますので、買物をする方が必ず印紙を受取るということをして呉れれば、本税の徴收は非常に自然になだらかに入つて参るわけであります。なかなか現在の経済情勢において、各税とも脱税の現象が多いというのに我々は非常に苦慮しているわけでありますが、本税におきましてはそういう見地から印紙納付制度を使いまして、國民一般が本税に関心を持ち、必ず印紙を受取るということにして呉れるならば、本税の徴收はそれで先ず完璧を期し得るという線を狙いまして印紙納付制度考えたわけであります。  そこでこの印紙納付制度を更に……何と言いますか、これに魅力を附けるという見地におきまして、買物をして印紙貰つて來たものを、各家庭を通しまして学校或いは社会事業慈善事業関係國体が集めて、これを政府に提出いたしました際には、その印紙額面全額の何%かを交付金として與えるということにいたそうというのが法案第三十七條にあります交付金関係規定でございます。これは印紙額面によりまして、額面金額が一円以下のものにつきましては百分の五に相当する全額交付する。それから一円を超え二十円以下の額面印紙の分につきましては百分の三、それから二十円を超えるものにつきましては百分の二というふうに段階を設けてお生ますが、要するに印紙をこれらの國体が集めて参りますと、政府只今申上げました率によつて算定した金額交付するということにいたしておるわけであります。取引高税の收入見込は、本年度二百七十億、平年度で四百五十億近くに相成ると見込んでおるのでありますが、本年度におきましてはこの二百七十億に対しまして、この交付金関係で大略六億前後の金が出るのではないかというふうに見積つておる次第であります。尚この徴税の確立を期しますために印紙納付制度を取締る方法といたしまして、各営業者印紙購入通帳というものを持つて貰う。そういたしまして印紙を購入した際に、それを購入した金額等を記入して販賣した郵便局なり賣捌人の証明を附けて、それによりましてその店の印紙使用額が分る、これを取締りの一つの手掛かりにいたしたい。大体印紙納付によつて完全に参りますれば、後は手を加うべき余地は五十円未満一括申告の分をきちんとやつて頂けばいいわわけでありますが、政府調査いたしました当該営業者取引高税額というものと、実際上の納付税額が非常に違います場合には、所得税の場合と同様に、更正決定をいたすという建前で参ろうということに相成つておるわけであります。  取引高税は大体概要を申上げますと只今申上げました通りでありますが、御存じ通り外國におきましても、相当廣汎にこの税が実施せられております。    〔委員長退席一松政二委員長席に著く〕  アメリカにおきましては、連邦の税としては只今ございませんか、州におきましては、大半の州がこの現を採用しておる。又ヨーロツパにおきましても、大陸の諸國が採用しない方が少いという程各國で採用いたしております。いろいろと課税負担関係等について、いろいろな面からの観測、疑問、意見の起き得る税ではありまするが、現在のような経済がいわば混沌としておる時代において、所得税の面におきましては、御存じ通り、なかなか闇の所得が十分に捕捉できないというような面も併せ考え、先程申上げましたような財政物價と即應した健全化というものを図るために、この税を立案いたしました次第であります。大要説明申上げました次第であります。
  5. 一松政二

    委員長代理一松政二君) 黒田委員長今本会議場委員長報告をやつておりますので、その間暫く私が代つてやれということでありまするから、この席に着いたわけであります。只今政府説明があつたのでありまするが、これについては種々の議論があり、國民の多くに非常な反対が捲き起つておるし、今日尚反対陳情、請願が非常に熾烈なものであることは、皆さん承知通りでありまするが、只今説明に対しまして、これから皆さんの御質疑をやつて頂きたいと思うのであります。
  6. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 先ず資料の提供をお願いしたいのですが、第二條に書かれました四十項目に亘るところの、この收入予定額はどういろふうになつていますか。資料をお持ちでしたら御配付願いたいと思います。
  7. 原純夫

    政府委員原純夫君) 整えまして、印刷いたしましたものを至急にお差出しいたしたいと思います。
  8. 一松政二

    委員長代理一松政二君) 私はちよつとお伺いしたいのですが、所得税免税点を引上げて、及び税率を少くして、その穴を埋めるためにこの悪税と称せられる取引高税を設けられるということでありますが、いわゆる所得收入があつて、そうして所得税の掛からない団民所得の概略の総計が分つておりますか。    〔委員長代理退席委員長着席
  9. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 安本調査によりますと、この昭和二十三年度においては一兆九千億程度の所得があると言われております。尤も勤労所得であるとか、或いは配当利子であるとかいうような源泉課税をいたしますような所得安本と合つておりますが、それ以外の所得は暦年中の所得でありますが、所得税において捕捉できろ所得というものは、大体一兆八百億であると考えております。その差額相当あるわけでありますが、尤も國民所得というものの算定が相当困難な面もありまして、それだけの所得が直ぐ所得税捕捉し得べきものであるかどうかということについての相当意見はありますけれども、とにかく所得税課税捕捉し得ると我々が予算で見ておりますものは一兆八百億でありますから、安本調査との差額相当あると考えます。
  10. 一松政二

    一松政二君 私がそれを疑問いたしまするゆえんのものは、所得税をも免じておるところの低額の收入者、このインフレーシヨンの生活に喘ぎ苦しんでおるところのそういう階級に対して、この税金が特殊の主食その他を除いた部分の消費に対しては一律に掛かつて行くのであります。所得税をも免じておる階級に、而も一般嗜好品と違いまして、これはもうのべつ幕なしに何人も負担せざるを得ないのでありまして、その金額が分つておれば私は大変仕合せ思つたのでありまするが、ちよつと統計も取りにくいし、はつきり分らんようでありまするけれども、大体その差額を九千億と見てよろしいのでございますか。
  11. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 安本のその計算というものについては、國民所得というものは一應の推計でありまして、我々が仮に所得として推計し得る一兆八百億というのは、今回提案しております予算の基本になつておりまして、必ずこれは捕捉できる、又捕捉しなければならんというものでありますが、その差額が果して九千億かどうかということは別といたしまして、相当差があるということだけは認めざるを得ないと思います。尤もその差額というものか、すべて例えば所得税の掛からん人間の所得であるということは一概に言えないと思います。と申しますのは、その所得も、或いは少額なものもありますし、或いは闇所得その他で相当捕捉の困難なものも含まれておるとも思いますし、その所得全部が、所得税基礎控除或いは勤労控除或いは扶養控除をいたしました。そのいわゆる免税点と一概に言いますならば、免税点以下の所得であると推定することはできないと思います。
  12. 一松政二

    一松政二君 それはよく分ります。その通りであります。でありまするから、私はできるならば、今はむずかしいと思いますから、この次に、つまり所得税対象とならす、且つ闇取引或いはその他大口所得の分らないというものでなくして、大体所得税免税点以下の國民所得が幾らあるかということを知りたいのであります。この次の機会でよろしうでございますから、無論詳細なことは分らんと思いまするが、およそ大蔵省で持つておる推計を出して頂きたいと思います。
  13. 小林英三

    小林英三君 ちよつと伺いますが、大体今マル公設定されておる品物が多いのですが、そのマル公設定品物に対しては、全部百分の一ずつ掛けて行くということは、結局取引業者のマージンというものが一部減ることになりますが、その点どうですか。
  14. 原純夫

    政府委員原純夫君) この税は大体において営業者負担にようというよりも、轉嫁をされるということが建前になろうかと考えております。従いまして只今指摘マル公設定のある物資に関する取引につきましても、この見地マル公を調節して参りたい。これを今回の物價改訂におきまして、直ちに調節いたすということは、時期的な関係、つまり本税でやるといたしましても、九月一日というように考えておりますので、その関係で今回の物價改訂には織込み得ないわけでありますが、九月実施の際におきましては、その関係を篤と調査いたしまして調整を図りたい。その際どういう形にいたしますか、新たに税込みのマル公を全部の品について作りますか、或いはその際は過渡的な措置として瘤を認めるかというような問題があろうと考えますが、これは十分研究して参りたい。荷経済の基本的な條件が若干ずつでも好轉するというようなことから、その際におきましても、必ずしも各段階に一%を加算したものを定めないでも、例えば操業度が増加する、取引数量が増加するというような見地から、それで吸收し得るという場合も出て参ることもあろうと思いますし、我々といたしましては、そういうふうに相成れば非常に結構だと思つておりますが、それらを勘案いたしまして、いずれにいたしましても、営業者がこれによつて不当に苦しむことのないような措置をしたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  15. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 只今の御説明によると、消費者に皆轉嫁して行くというようになりますれば、製造のときに製造課税をする方が一番合理的でもあり、徴税にも支障を來さないというように考えられますが、その点はどうでありますか。
  16. 原純夫

    政府委員原純夫君) これは御承知通り製造者段階だけで取る、或いは小賣の段階だけで取るというような形もあるかと思うのでありますが、いろいろな点を考えまして、各段階で百分の一という低い率で取る方がよろしいというふうに考えましたのは、第一には製造乃至小賣という段階の区分が実際問題としてむずかしい限界的なものが相当あるわけであります。そういう徴税技術上の便宜を考えましたことが一つと、それから何分先程來申上げておりますように、経済がいわば非常に混乱した情勢にあるわけであります。そうして税の捕捉ということが必ずしも容易でない、これが安定いたしました経済で、取引関係もすべて精密に帳簿に記載されておるというような場合でありますれば、割合に徴税の実を上げること、が簡単なんでありますが、只今のような情勢の下におきましては、それを一つ段階狙つて全部課税するということにいたしますと、そういう意味の漏れが出ました場合に、それだけで漏れてしまう、全部の段階にやつて置くことにいたしますと、ある意味では甚だ安易な考え方かも知れませんが、一つ段階で漏れましても、他の段階では把握し得るというような利点もあるのではないかというようなことを考えまして、すべての段階でこれを課税するという方法の方が、只今経済的その他の情勢から考えてよろしいというふうに考えた次第でございます。
  17. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 もう一つ聽きたいのは、第二條の中で銀行無毒業等利子の支拂の際に、やはり百分の一を取るということは、源泉課税式にされておるところの所得税のときに、徴收する税率を変えたらいいのじやないですか、こういうことをどうしてお決めになつたのですか、その理由を聽きたいのです。
  18. 原純夫

    政府委員原純夫君) この取引高税といいま。すものは、すべての取引に先ず例外を非常に少くして掛けるというのか、税の性格から申しましても、徴税技術の面から申しましても、適当であろということは、先程申上げました通りで、そういう見地から言いまして、いわば特定の種類の取引について特別な扱いをするということを成るべく避けたいというのが、大前提でございます。それで只今指摘貸付金の利息に掛ける分でありますが、そういう源泉徴收所得税の方で調節するという手も勿論なくはないと思いますが、只今申上げましたような理由からして、これを普通の方で取つて参りたいということにいたしたわけでありますが、要するに技術方法論大前提といたしましては、成るべく画一的な方法で、画一的に廣い範囲に取つて参りたいという前提で考えておる次第であります。
  19. 大屋晋三

    ○大屋晋三君 最初政府委員の御説明にあつた法文の第一十七條の眼目、狙いはどういうことですか、もう一遍これをお聽きいたしたい。
  20. 原純夫

    政府委員原純夫君) 取引高税を適正に、且つなだらかに徴收して参るという方法についていろいろ考えたのでありますが、その方法として印紙納付制度を採用いたしたことは、先程申上げた通りであります。つまり営業者取引の際に金を受取る、それに対しまして、金を拂つた人に印紙を消印して交付して貰う、これを必ずやつて頂けば、この取引高税の收入というもの仁、その面に関する限り百パーセント入つて來るわけであります。そこでこの税の徴收の完きを期するためには、必ず印紙交付されるということにいたしたい。これは他の税と違いまして、納税義務者だけが、例えば所得税におけるような申告納付をするということでなしに、納税義務者でない、つまり物を買いまして金を拂う相手方の人が、十分その点を氣を付けて下さつて、そうして私は百円拂つたのだから一円の取引高税印紙を下さいということを必ずやつて頂けば、本税は自然に人づて参るわけであります。そこでその面におきましては、今までの税と違いまして、納税義務者でない一般國民取引高秘の納税ということに非常な関心を持ち、これを常に買い物をした場合に印紙を貰うということにすれば、非常にうまいことに参るわけであります。そこで第十七條におきまして交付金制度を設けましたのは、この一般印紙に関する関心を特に高め、併せて学校その他満会事業團体というようなものの資金の一部の足しにもなるということを考えまして、この交付を受けますと、つまり買物をして各家庭なり、或いは会社でもでありますが、物品の購入その他をいたしまして、金を拂いますと、その百分の一の額面印紙を手に入れるわけでありますが、これは消印してあつてもう二度と使い途のないものなのでありますが、これを学校、社会事業、慈善というようなものの関係の團体が集めまして、そうして政府に提出いたしますと、その額面金額の二%、三%、或いは五%というような率によりまして、この交付金を與えようということにいたすわけであります。従いまして例えて申しますと、学校の諸般の設備等のために金が要るが、資金が非常に少いというのが現状であろうと思いますが、学校の生徒が、各家庭で買物をした際に、印紙貰つて來たらば、それを集めて学校に持つて行く。そうする乏学校の関係の團体がそれを集めて政府に出して交付金を貰うということであります。従いまして学校の生徒が家へ帰りましたらば、必ずお父さん、お母さんに買物をしたらば印紙を貰つて頂戴ということを言つて実れるというようなところから、この税について必ず印紙を貰うということが一般に更にやり易くなつというような点を考えましてこの制度考えた次第でございます。
  21. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私先ず最初にこの取引高税というのは非常に複雑な税でありますので、これに要するところの物件費、人件費というものは、恐らく政府の側においても、或いは納税者の側においても相当負担に私はなると思いますが、そういつたようなものをどういうような工合にお考えなつているか、いわゆる冗費締約か現在非常に叫ばれておりまするときに、こういうような税に、らて相当負担が側面から來るということが考えられると思いますが、その点について御見解を伺いたいと思います。
  22. 原純夫

    政府委員原純夫君) 取引高税の新設、これの施行に伴いまして必要となります経費は、大体只今予算に組込んで御審議をお願いいたしましておるところは約二十一億、これは大藏省所管及び逓信省所管におきましてこれに要する人件費、事務費、それから一番大きいのは印紙の印刷、それから運搬、賣捌きの手数料というようなものが大半を占めるわけでありますが、その程度の全額予算に見込みまして御審議を願つておる次第であります。相当徴税費の率といたしましては御指摘通り多くなつております。一般徴税費と比べまして多くなつておりますが、先程申上げました通り、現在所得税法人税軽減し、何らか代り財源を求めなければならんということを先程申上げました諸点から考えまして、この徴税費が相当嵩むという点も相当考慮に入れましたわけでありますが、それらの諸般の勘案した結果、やはりこれだけの経費が掛かつてもやつて参るというのがよろしいのではないかというふうに考えたわけであります。政府の手数、所要経費の外、一般営業者相当印紙交付ということが面倒であるという点の御指摘、これは誠にその通りのことであると考えます。必ず物を賣つた場合に印紙交付して頂くということが若干の面倒であつても、現在非常に秘の徴收がむずかしく、脱税が行われ易いというようなところを、この制度によつて納税義務者だけでなしに、國民一般がこの税り徴收印紙納付という形式を通じまして協力して頂くという意味からいつて、この程度の手数のことは何とか我慢してやつて頂けるのではないかというふうに考えたわけであります。ただ非常に少額取引まで一々やつて頂くのは如何かと思われましたので、五十円未満のものは一括して現金申告納付をする。それから銀行業とか電氣、ガス事業とか、ラジオであるとかいうような業種につきましては、これは全然印紙納付方法によらずに、一括して毎月申告納付をして頂くというように、できる限りそういう印紙なしで済ませられる業種現金納付にいたしたというわけであります。
  23. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今政府側の方の物件費、人件費は大体二十一億程度だと、こういうことをおつしやる。そうして納税者側の方の経費については、若干印紙を取扱う手間か掛かろ程度だ、こういうようにおつしやつたのでありますが、恐らく銀行業電氣供給業、ガス供給業等のごとき事業は、まあ第一に優先することにいたしますが、その他においても相当に大きな國民的なこういつた面の負担があると思いますが、そういうもみを政府負担二十一億に対して納税者側の負担をどれくらいにお考えなつておるか、そういう二とを伺つたわけなんです。
  24. 原純夫

    政府委員原純夫君) 納税者側の負担といたしましては、只今申上げました印紙交付の手続ということが一つ、それから印紙交付いたしますために印紙を先に買つて置かなければならん。従いまして納税の時期の若干前に資金が要るという点が第二であろうと思います。現在資金が相当窮迫しております際に、そういう点も相当納税者に迷惑なことと思うわけでありますが、何分自分の一の税率でありますから、例えば日に一万円の取引をする者でも、百円の印紙を用意して置けばよろしい、二、三日用意するにしても数百円の程度で済むということで、これが総体でどのくらいの負相になるかという限度は計算はいたしておりませんが、まあ取引金額の百分の一でございますから、而もそれを臨時買つて來て用意して頂げばよろしいということに相成りまするので、この程度の何でございましたらば、何とかやつて頂けるのではないかというふうに考えましたわけであります。あと國民の側の負担といたしましては、要するに税率、罠額の大きさが物價の諸要素と勘案してどうかということになりますが、税の徴收に伴います手数的なものとしては、大きく申してその二点であろうとい、うふうに考えております。
  25. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 まだこの問題私少し伺いたいことありますが、後に保留して置きます。  それからその次に、勤労所得税を政府軽減したと、こういう工合に言われておりますが、私共はあれは当然政府がしなければならないことをやられたに過ぎない。こういうように考えて、そこに見解の相違があるわけでありますが、それは別として、折角勤労所得税を軽減され、修正されて來たわけでありますが、それに対してこういうような間接税的なもので、その撥ね返りで薄められつつある、その幅が縮められつつあるということを考えるのでありますが、この取引高税によつて勤労所得税の今度の調整された額にどれ程撥ね返りが來ているか、こういうことをお伺いしたいのであります。
  26. 原純夫

    政府委員原純夫君) お答えいたします。取引高税が家計にどれだけの影響を及ぼすかということは、なかなか算定がむずかしいのでありますが、御指摘通り大事なポイントでありますので、いろいろな方法で研究をいたしまして、結論は大体この全國の世帶を平均いたしますと、先ず月に百七十円程度になるのではないかというふうな見当を付けました次第であります。これは一つにはこの取引高税の收入見込、平年度四百四、五十億と勘定しておるわけでありますが、これの中、生計費の負担となるものがどの程度であろかということを考えまして、これが大体この國民所得の中で消費資金の占める割合が約三分の二でありますから、それで三百六億の数字が家計の負担として加味される。これを全國の世帶を千五百八十万という数で割つて、月額に直しますと百六、七十円という数字が出て参ります。問具体的な家計調査につきまして、個々の費目について値上りの率を考えて算出いたしましたところによりましても、百六十円前後の数字が大体出て参るというような状況であります。従いまして年額約二千円ということに相成りますが、今回の所得税法の改正によりまして、例えば年額八万円の所得の人は、現在の税制では扶養親族が三人の場合に二万一千円余りの負担をいたしておるわけでありますが、これは改正になりますと五千円程度になるというようなことで、その間のなにはこの取引高税が吸收いたします分は、実に五分の一に足らんということに相成るわけであります。
  27. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 どうもそういう説明をされると、もう一遍申上げなければなりませんが、勤労所得税が非常に軽減されたということを言われますけれども、現在の勤労所得税の税率は、去年の春の千二百円ベースの時の税率であります。今度二千七百円になれば、すべてのものが常識的に考えて三倍になれば基礎控除額も三倍になるべきで、決して軽減でないと、こういうことを一つ大蔵当局ははつきり確認をして頂かないと工合が悪いと思います。それからその次にもう一つ申上げることは、この取引高税説明をずつと静かに拝聴いたしておりますと、結局インフレ並びに闇利得者からの徴税が思うに委せないので、止むを得ずこういう大衆課税をやらざるを得ない、こういうような御説明に大体一貫して來ておる。結局今まで掻き廻して行つた同じ量を、又掻き廻して何かしようとこういうような態度に過ぎないと思うのでありますが、これをもう少し裏返して申しますると、政府は表からはインフレ闇利得者から徴税をして取ろということをいつも繰返して言つておられる、そうして具体的な問題になりますると、具体策がないからできない。そうしてその結果は勢い大衆課税、こういうことになりますが、そういたしますとインフレ闇利得者の所得というものはそういう工合にして、止むを得ない、止むを得ないと言つておる間にどんどんもう現在は財産化されて來ておる。そうして財産に対しては秘の対象にならないというので問題になつて來ない。こういうことになれば結局インフレ闇利得者というものは、これは政府の要望する秘というようなことに裏から言えばなつてしまう、こう思うわけであります。それで國民が納得するためには、政府のいわゆろ政策としては、闇利得を徹底的に捕捉するということが公約されておる。これを大蔵当局として、どの程度に本当に眞劔にお考えなつておるかどうかということ、そうして本当に具体策がないのか、或いはあつてもできないような状態にあるのか、その辺を一つはつきりと伺いたいと思います。それから今度こういうような間接税がどんどん課せられまして、そうして正直な営業者に対して、二重、三重、の課税、手間と費用とを掛け、そうして大衆轉嫁になつて來るわけでありますが、この場合にもやはり闇取引というものに対しては、やはり税の対象にならないと、こういうようになれば、政府の方はどんどん闇取引の助長政策を採つておいでになる。こういう工合に私は考えざるを得ないのであります。どうしてもこの國家財政を救う意味においては、不可能だということでなくて、闇所得を如何に捕捉するかということを、もう少し眞劔にお考えにならなければならないと思います。今までどうもそういう点がはつきり分らないのですが、この点を改めてお伺いしたい。
  28. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 只今所得税軽減についてお話がございましたが、所得税は実質的に軽減をしておるということをはつきり申上げていいと私は思うのであります。で、現在の現行法は、大体昨年の一月からのを申しますと、例えば官吏で申しますと、千六百円であつた、思います。それから七月から以降は千八百円、現在今論議されておるのは三千七百円と、こういうことにかるのであります。そこで現行法を仮に千八百円ベースのときに三千円貰つておる人が、どれだけ税金を負担しておるかと申しますと、三千円と申しますと、大体十八百円ベースで扶養家族三・二人のものであります。これが大体一應の標準に立つておるものでありますが、それがたまたま今度の二千九百二十円ベースと同じになつておるのでありますが、千八百円ベースのときの三・二人の人が大体二千九百二十円となつておるのであります。その人が仮に現行法によりますと、月三百三十九円納めております。この三十円の人が、千八百円ベースが、仮に三十七百円になりまして、六千円になつたといたします。六千円になつたといたしますと、この負担額は現行法では千四百七十一円であります。今度の改正案によりますと、それが二百七十九円ということになるのであります。即ち現行法で千四百七十一円負担する人が、二百七十九円であります。從いまして、現在例えば二千円の人は、最前申しましたように三百三十九円でありますから、一一%であります。それに対して六千円になりましても、尚その負担は四・六%しかならない。仮に三千円の俸給の人が八千円になつたといたします。月八千円であります。月八千円になつたといたしましても七百二十五円、即ち九%ということでありまして、実質的に軽減されておると我々は信じておるのであります。  それからもう一つ最前の闇取引の問題がございましたが、この点につきましては、決して掛声だけで言つておるとか、或いはただ政策だけで言つておるということはないのであります。昨年主税局の機構及び財務局の機構を相当変えまして、いわゆる闇取引その他の脱税者の摘発については、相当の効果を挙げておるものと信じておるのであります。新聞にも時々出ておるのでありまして、これは例えば一昨年であるとか、去年の前半には殆んどなかつたことでありまして、その点は御了承願えるかと思うのでありますが、今度更に主税局、つまり大藏省でありますが、大藏省、それから財務局に國税査察官という特別な、いわゆる一口で申しますれば闇利得者、インフレによつて相当儲けておる者を個別的に調査いたしまして、そうしてこういう大口の脱税というようなもののないようにいたしたいと思つて、現在実は大藏省の中で徴税機構に関する各方面の権威者、或いはこの國会の方の方も入つて頂きまして、鋭意研究いたしておるのでありまして、少くともその國税査察官の問題は日ならすして実現されると思います。それによりまして大藏省財務局を通じまして、それに全力を振つてやりたいと、かように考えておるのでありまして、相当それによつて効果を挙げたい。我々の考え方といたしましては、大体一千人というふうな程度を実は希望するのでありますが、差当つては五百人程度になるかも知れませんが、是非この制度を早急に立てまして、そうしていわゆるインフレ利得者等の脱税がないというように努力いたしたいと考えておる次第でございます。  それから最後のお尋ねの闇犯罪であるとか、或いは闇行爲に対して課税をするかどうか。こういうことでございますが、それについても、無論今まで申しましたように、非加税に該当しない限りは、それを業としてやつておる限りは課税すべきものであります。従いましてこの取引高税も入れて、今申しました國税査察官の制度を活用いたしまして、高くも闇利得者が税金を免かれるというようなことのないように努力いたしたいと考えておる次第であります。
  29. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 國税査察官のお話が出ましたが、まあこういう人達が出て完全に捕捉して頂ければ、國民は非常に喜ぶと思います。今の税務署の機構で、税務機構の抵充強化を叫びながらもなかなか効果が挙つて來ない。こういうときに査察官一千名という頭数だけで私は効果を挙げるということは、これはなかなか説明を受けましても私共も了解しかねるのでありますが、こういう一千名の方々の質とか、そういうものは、どういうような構想でおやりになるのか序でにお伺いいたします。
  30. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) その点につきましては、昨日実はここでお話を申上げましたのでありますが、昨日も御指摘がありましたように、税務職員が最近経験の少い者が多い。非常に若い者が多いというような御意見御尤もでありまして、実は昨日も資料を御説明いたしましたのでありますが、三十歳未満の者が昨年の十月でありましたか、その調査によりますと非常に大きい部分を占めておる。これはいわゆる税務行政というものが、國民の財産というものに対して重大なる関係がありますので、成るべく質のよい経驗も経、又円活な常識を持つた人を、職員を充実するということが非常に大事だと考えておるのでありますが、その点で本年は特に短期講習であるとか、通信教育制度をやるとかというようにして訓練について一段と努力しなければならんし、さういうような方法で実は着々やつておる。又やろうとしておるということを申上げたのでございますが、今御指摘の國税査察官ということになりますと、殊に今御指摘のような点が問題になると思うのでありまして、昨日も御説明申しましたように、國税合察官にするものは、税務の行政に携わつております現任の職員の中で特に経験があつ者、又事務に慣れた者をできるだけこれに充てる考えであります。それともう一つは現在御承知のごとく大藏省に高等財務講習所というものを昨年以來設置されております。それに約二百人のこれは主として相当の税務署、財務局或いは大藏省におきまして経験のある者であります。いわゆる中堅の者が大略二百人現在修業中であります。この者が大体二年間の期限になつておるのでありますが、でぎ得れば今年の九月或いは十月には卒業をさせまして、これを第一線に、今申しました國税査察官の主たる構成員にしてはどうか、かように考えておる次第であります。簡單ですが……。
  31. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ちよつと……。
  32. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 簡單ですか。
  33. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 簡單です。先程費用も賃金も相当殖えるというようなお話がありましたが、現在の政府において我々が要望するものは行政整理である。成るべく官吏というものの数を少くするというのが我々の希望なのであります。それに対しまして今回できます取引高税のごときものは、相当に人も費用も掛かるということになりますと、大体の國会の方針と相反するということが一つと、又先般大藏大臣が取引高税のごときは実に悪税であるから、成るべく早い機会に撤廃したいということをはつきりと言明されておるのであります。こういう点からいたしましても大勢の官吏が新たに任官されて、而も成るべく早く撤廃したいというような意向がおありになるとすれば、將來撤廃される場合にその大勢の官吏の諸君を又どこかへ移さなくてはならないというような問題も出るのであります。従いまして私が先程申しましたように、第二條の四十項目に亘るところのこの各種の項、目に対しまして、成るべくこれを少くするということが一番適切な措置じやないかと思われるのであります。これに対して次官のお考え一つお聴きしたいと思います。
  34. 森下政一

    政府委員(森下政一君) 前内閣以來、現内閣に至りますまでの間に國会において只今栗山さんなり油井さんからお話がありましたように、いわゆる闇利得を捕捉して最も担税力が今日豊富にあると思われるものに税の負担をなさしめるということが妥当である。それに対しまして政府が進まなければならんということを賎しく論議されたことは御承知通りであります。かかる機会に私見を申上げることは如何かと思いまするが、この点につきましては私自身も同感でありまして、曾ては栗栖大藏大臣であつたと思いまするが、國会の会議においてそのことを大臣に私は迫つたことがあるのであります。ところで端的に申しますると、これを迫りながら私個人顧みて見ましても、然らばこれを捕捉するのにどういう新らしい秘を設けることによつて、完全に闇利得者を捕捉することができるかということになつて参りますると、実は残念ながら今日まで私自身がこれに対して適切なりと考えられる新税を考案し得るに至つておりません。又これに回答を與えるだけの名案を得ていないのであります。前内閣におきましても、或いは現内閣におきましても同様であろうと私は思うのでありまするが、若し適切なるこの階層を捕捉することのできる新税を創設し得るならば、何も苦しんで他のものによる必要はないので、当然これに走ると思うのでありまするが、結局適切なる新税というものが思い付かんということに悩みがあるので、結局闇利得者を捕捉する唯一の道は、税の種類の問題でなくして税務機構の問題である。ここに解答を求めて來ているというのが前内閣以來の一貫しておる大当局の考え方と思うのであります。そこにおいて税務機構を拡充強化する、拡充強化することによつて、今日まで捕捉されていない闇利得者を捕捉しよう、こういう努力を傾倒しよう、これによつて経済力に恵まれていると思われるところの、而も今日租税の負担を逃れているところの階層を捉えよう、こういう考えに走つていると思うのであります。この考え方が妥当であるか否かということにつきましては、これは随分議論の余地がある問題でありまして、私自身又個人的に考えて見ましても、これが必ずしもこの闇利得者を捕捉するというのに極めて適切なる最高の手段、方法なりとは考えないのでありまするが、よんどころなくかような方向に走つておるのが実体である、こう私は考えるのであります。若し端的に申しますならば、國会においてこの闇利得を捕捉するために、かくのごとき新税を創設することがいいというふうな名案があつて、國会においてこれを示されるならば、大藏省は進んでさような新税を採用すべきじやないかとさえ私は思うのであります。御説のように取引高秘というものは、大藏大臣も何かの機会に言つたと思うのでありまするが、良税なりや悪税なりやの租税理論に照らしまして、その判断を求めるということになれば、決してこれは私は良税なりと言うことはできんと思うのであります。むしろそのいずれのカテゴリーに入るかといわれるならば、これも端的に言えばむしろ悪税に入るということの方が適切じやないかとさえ私は思うのであります。併しながら一方において租税負担に限度が來ておると思われますところの國民負担を、殊に大衆勤労階層の負担軽減するということが不可欠な今日の要請であみとするならば、所得税軽減ということはどうしても断行しなければならない、これによつて生じますところの國家財政上の税收の減少というものを何かによつて補填するにあらざれば、今日の國家財政を切り盛りすることができないと同時に、殊に赤字のない收支のバランスの取れた財政というものを具現して行くためには、何らかの方法によつて收入の途を講じなければならんというので思い付かれたのがこの取引高税であります。而もこの取引高税の及ぼす影響を成るべく少くすることのためには、税率を極度に低いものにしなければならん、極度に低くすると同時に、成るべく廣い範囲に亘つて取引課税をするということによつて國民がこれを平等に甘受することができる。又負担を廣い範囲に行き渡らせることができるというふうな考え方から、只今提案しておりますようなことに相成りましたので、従いまして油井さんの只今のお説のように、四十項目に亘るところの課税対象である営業の種類を更に少くしたらどうかというふうなお話が出したが、一面からの観測としては妥当なお考えと思いますけれども、只今申しますような趣旨から申しますと、これをこのままに置いておく方がいいじやないかと考えられるわけであります。誠に力説の通りで、今日の國民的な要請としては行政整理を断行して、不必要な官吏の多くあらざらんことを希う、むしろ現任のものを更に減らすというのが國民的な要請である際に、國税査察官のごときものを創設することは、その点から申しますと甚だしく逆行する誇りを免れないと思うのでありますが、何分にも先刻申しますように、今日の大藏当局としての闇利得者追及というのが、現の種類の問題に解決を求めずして、税務機構の拡充強化によつてこれを捕捉しようというところに解決を見出そうとしておるということが今日提案しておるような、又今日構想を持つておるような結論になりておる次第であります。さようにどうぞ御了承をお願いしたいと思います。
  35. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十七分散会