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1948-08-27 第2回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会請願及び陳情に関する小委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年八月二十七日(金曜日)   ―――――――――――――  本日の会議に付した事件 ○引揚者厚生対策に関する件   ―――――――――――――    午前十一時二十九分開会
  2. 山田節男

    委員長代理山田節男君) それではこれより在外同胞引揚に関する特別委員会を開会いたしますが、定員に達しませんので、正式の委員会とすることができませんので請願陳情に関する小委員会として開会いたしたいと思います。御承知のようにこの七月十日以來舞鶴、それから函館或いは佐世保におのおの委員の方が引揚等に関する援護実情を御調査になりましたのですが、その結果緊急に施策を要する点も多々あると存じまして、それが検討をすることと、それから過般第二國会におきまして通過しました審議会の点について、その他定着援護などに関しまして緊急に対策を要するという点について御審議願いたいために、本日御参集願つたわけでございます。今まで懇談会の形式ですでに派遣議員から政府に対しましての註文、御意見等もございましたけれども、ここに正式の小委員会を開きまして、先ず最初に今回舞鶴函館に参りました第一班、第二班の議員実情調査の結果、我々が感じたり、或いは必要と思いまする点について一つ御検討願いたいと存じます。
  3. 岡元義人

    岡元義人君 先程懇談会でいろいろお話してありますが、まとめまして簡單大藏当局に要求したいことだけもう一回箇條的に述べて見たいと思います。  第一番は、援護局で、揚つて來引揚者に対しまして、有價証券等処置する指導が非常にまだ徹底していない、又援護廳との間によく連絡がとれてないために、十分に時間的にも、場所的にも指導する余裕があるにも拘らず、両者の連絡不備のために、まだこれが行われてないから、速かにこれをやつて頂きたい。  それからルーブル紙幣取扱が、一般の他の紙幣交換違つて、最近は禁止されておるというような話を聞いて來たのでありますが、大藏当局の方に伺つて見ますと、これはまだ禁じたということはないというお話なんです。この点も一つ十分に調査して頂いて、尚帰る者は皆前と違いまして、労働賃金を拂つておるようでありますから、この点できるだけ交換のできるような措置をとつて頂くように大藏当局に熱望したいのです。  それからこの間山澄丸で帰つて來た者が、すでに十日間という期限付交換証票を出しておるわけですが、これは天然痘によつて非常に帰郷が遅れたんです。おのおの帰つて参りましてから銀行交換に行きましてもすでに期限が切れておつて交換ができないというようなことになつてしまつたのですが、速かにこれに対して大藏当局は手配して、各銀行指令を出す、又援護廳の方にも指令を出して頂く、この前後措置を講じて頂きたいと思います。  それからその他ラジオ或いは新聞その他の方法でも構いませんが、本人にもよくその向を伝達できるようにして頂きたい。  それからもう一点は、今まで引揚者税関で保管されましたところの有價証券類が、全然そのまま舞鶴安田銀行の倉庫に放置されておるという状況でありますが、これは恐らく佐世保もそうじやないかと思いますけれども、その中にはすでに許可になつたものも相当つておるわけでありまして、これに対して速かに措置をすること、こういうような方法を講じて頂きたい、以上が大藏当局に要望します事項なんであります。  この際もう一点たげお伺いして置きたいのですが、それは必ずしも舞鶴関係のあるわけではありませんが、最近におきまして有價証券類許可になつたもの、それからいよいよ許可にならなかつたもの、例えば朝鮮送金ですね、そういうものはすでに駄目になつたという話を承つておるのですが、そういうことを非常に委員会が間を置いておりますから、この際今日出席しておる委員だけにでもその経過を前野課長から御説明願つたら結構だと思います。
  4. 前野直定

    大藏事務官前野直定君) 今お申出ありました現地における取扱いの諸点につきましては、要するに中央からの指示が現地へ十分徹底していなかつたということと、それから現地における官吏がいわゆる適宜の処置が取りなかつたという点にあることと思いますので、その点につきましては十分現地へ趣旨の徹底方を至急取討う積りでおります。  それから委員会が途切れておりました間におきますいろいろ縣案事項につきまして、若干変つた点につきましてちよつと御報告申して置きます。朝鮮からの送金によつてできております内地預金につきまして、まだ預金変つてない送金手形段階にありますものにつきましては、九月二十三日までに元金の到着しておるものについては千円まで拂い得るということにつきましては同じでありますし、それから内地預金変つておりますものにつきましては、もう内地預金と同じ取扱で支拂がされておつた筈でありますが、ただ朝鮮からの送金によつて内地預金に変りました預金につきましては、從來支拂制限一千円という限度で切られておつたわけであります。これにつきましてはたびたびこの委員会でもお話いたしましたのですが、その最高限度一千円の限度を撤廃て貰いたいという申出関係方面交渉いたしておりましたのですが、この点につきましては、やはり朝鮮側相当強い意向もあるようでありまして、見透しとしましてはちよつと駄目だというように考えられます。  それからもう一点は、例の内地会社有價証券類で現物が内地いある、ところが持つておりました株主は、支那とか或いは朝鮮、台湾、満州などにいた、從つて会社株主名簿でもその株主住所外地になつておる。ところが終戦後になりまして、その人が内地引揚げて來て、もう純然たる内地居住者になつておるにも拘らず、株主名簿の面上におきまして住所外地になつておるために、その証券の売買移動等ができなかつたというケースがあるのですが、これにつきましては関係方面とも話をいたしまして、その株主名簿上の住所内地に変更していいということに話合がつきまして、それについては近日そういうような処置をいたしたいと思つております。從つてこれにつきましては、内地に前から居住しておつた者内地株券を持つてつたものと同様な取扱いになる、こういうように期待してよいのじやないかと思うのです。それからもう一点は、外地内地にあります会社の株式なんかを、例えば焼かれたり、没収されたり、盗難に会つたりしてなくなつて帰つて來ておる方が大分あるわけであります。これにつきましては、会社株主名簿で見ますと、何の誰それという者は何会社株主であるということははつきり載つておりますから、これは証明がつくわけでありまして、從來よくそういう方が裁判所除権判決申入れをなしまして、裁判所の方では除権判決の確定をして、それに基いて会社の方へ株券の再発行を申入れるという傾向が大分あつたのですが、これにつきまして再発行できるかどうかという点で、いろいろ疑義がありまして、裁判所の方では、これはできるのだというような話でありましたのですが、それを再発行した場合には有價証券の輸入と同じ結果になるので、取り扱いとしてどうかしらという疑念がありまして、その点交渉を続けておつたのですが、それにつきましてはやはりそういう除権判決自体はできないのだ。從つて外地において喪失或いは盗難、火災により焼却とかいうようなことでなくなつた有價証券については、現在の段階としてはこちらで再発行できないというようなことに話が大体つきました。大体今のところ話の具体的に決まつておりますものは以上のような問題であります。  尚税関にあります今有價証券類につきして、一括私の方の方針としまして有價証券なら有價証券につきましていろいろ問題があるわけでありまして、それについては一括取り纒めて話を進めて行く、そうして有價証券についてはもうこれで問題が全部おしまい、こういうようなやり方で問題を整理して行つておりますが、今お話しましたのは、大体有價証券についての問題で、もう一点は有價証券につきましては、例の税関に預つておりますものの中に大分有價証券があるわけであります。それで最近は有價証券の値上りその他等で、引揚げて來られた方が、あの有價証券があれば再興の資金になるのだというようなことで、解除の申入れが非常に多い。從つて税関にあります有價証券内地にある会社の有價証券等につきましては、当人がこちらへ帰つて來ておるから、これは解除してやつてもよいのではないか、在外資産には関係ない問題だからというとで、この問題も今交渉をいたしておりますが、これにつきましてはまだ今のところはつきりしたお返事はできかねるのであります。大体簡單ですが以上です。
  5. 岡元義人

    岡元義人君 折角ですからもう一点だけ……。これは大事なことなんですが、例の公債ですね。公債のその後の研究はどの程度進みましたか。いわゆる軍事公債四億いくらあります引揚者関係の問題、四億二千万ですが。内地に持つておるのが二千万、それから向うになにしておる分が四億円くらいあります。あれの解釈と処置ですね、いわゆる利拂関係、それから大体どういうふうにして再発行できるかできないか……。
  6. 前野直定

    大藏事務官前野直定君) 公債につきましては、こちらに持つて帰つて來まして、千円以上のものは税関に全部預つて置くということで預つておるわけであります。この問題につきましては、今お話しました内地会社株券と同じ取り扱いとして税関の保管を解除され、当人に返すということをやつて貰いたいということで今話を進めているわけです。それから現地から持つてつていない現地へ置いて來たもの、或いは盗られてなくなつたもの、こういうものにつきましては、ちよつと今のところ利拂等につきましても支拂方法がない。それから再発行するにつきましても焼失等の確認とか、そういう点でちよつと困難ではないかと思つております。
  7. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 総合的な観察の結果を見ますと、引揚に対するところの政府としての処置、それからその政府出先関係官憲、それからその線に副うて或いは青森縣であるとか北海道という一地帯の受入体制は、非常に私は行き届いておると見て、田村議員と共に、非常にむしろ議会の立場から感謝をして、殊に單なる事務的処置でなくてやつて行くというような、その根本的態度には敬意を表した次第でございます。  ところが総合的に見るというと、これは特別委員会として議に諮つて以來首相或いはそれぞれの関係各大臣に対して強いこれはサゼッションをしなければならんと思つておりますが、例えば月寒なら月寒に定着せしめる場合に、その札幌郊外のその月寒の町ではそれを受入れるために、結局一つ宿舎を用意する。それは政府宿舎もある。或るいは今度はいよいよ受入れたところの月寒収容所には、受入れた後の問題が、援護廳援護廳、それからこれに関連するところの大藏省なら大藏省、その他関係各省というものはばらばらにその与えられたるところの権限を行使しているために、結局総合的な計画というものが非常に欠けておる。受入れた月寒なら月寒では、その引揚者受入けるために沢山の学童生徒を引受けなければならん。そのために尨大教育予算がここに結局編成されなければならん。ところがそういう方面についての國家施策というものは、これを救済するために、これを助成するためにどれ程総合的計画ができておるかということ。住宅住宅で、厚生省なら厚生省で一応考える、それだけで、学童たち教育については文部省として協力ができていないために、これが結局ちんばになつて行く、それぞれの受入れた市町村というものは尨大予算のために、さなきだに地方財政が困つておるのに、その財政的負担がいよいよ重積されて行つて、そうして受入に対して、むしろこれでは大変な迷惑をするというような声が非常に痛切に起つておるのでありますから、これらの問題は國家全体として、政府全体として一つ総合的受入体制というものを企画しなければならんと思います。これは是非我がこの特別委員会において十分具体的内容を持つた一つ方策を立てて、そうして政府を督励して行くというならば、その弊害や欠点というものを補い、除去することができると思います。それで委員長においてはこの私の一つ進言を、報告を採上げて頂いて、機会を作つて是非関係官廳を集めて頂いて、そうして特別委員会政府との懇談会等を開くこともその一つ解決策ではないかと思います。  それから最前岡元議員からの質問に対して、大藏当局からの中央精神が、中央方針というものが、末端に行き届かなかつたために、いろいろな個々の差支えが生じて、遺憾に堪えないという御答弁があつたようでありますが、庶民金庫や、復金引揚者に対して、決して特別可愛がるというのではなくて、既存業者のレベルに達するまで、平等の原則に応じて、例えば水産資材なら水産資材割当てを嚴に考慮せしめるように、我が特別委員会はやつておるのであります。ところが折角その線に沿うて水産廳当局が農林省の資材調整所長に対して指令を発しておつても、例えば長崎縣では三万五千玉のそういう意味を含めた水産資材割当てられておるに拘わらず、これがそのままに実地においては活かされないで、その三万五千玉から流れて、一般の今までの既存業者にこれが割当てられて、そうして当然享受すべき平等の原則から生れたことが、中央部ではそうした根本方針が決定しておるのに、現地においては、或いは根本精神を蹂躪するような現実がある。或いは庶民金庫のそれぞれの金額が決定して各府縣割当てられて、弘前調査して見るというと、弘前市に分割されておるところの二十五万円が、而も四十一件の要求があるのにも拘わらず、僅かに十一件の七万七千円だけが貸出されて、それ以外の金はそのままに代理店金庫に寝てしまつておる。で市長の部屋で直ちに電話をかけて、庶民金庫責任者を呼んで調べて見るというと、結局はいわゆる中央精神末端に行き届いていない、これは是非一つ國会庶民金庫現地成績復金金融現地成績、或いは今申上げた物資の割当の問題、或いは衣料登録店の問題、或いは煙草小売店等の問題が、國会根本的施策にそのままに応じて、現地に活かされて行くということは、これは國会が、殊に特別委員会がこの実情をよく調査する以外には私は途はないと思うのであります。是非これは例えば浅岡議員なら浅岡議員として、その特別に関係の深い地方に対しては、國会の代表として私は現地を視察して頂きたい。そうでなければ引揚者を擁護するところの途は、結局は大体観念的に流れて、非常に末端においては折角享受すべきところの当然の利益や権利というものを受けることができないという実情であります。そういう意味九州方面は早速でも岡元、矢野議員罷り出て現地調査いたしたいと思つております。いずれ委員長からお諮りを頂きたいと思います。私の縣の福岡縣のごときも七百六十万円という生業資金援護廳から引上げられるという醜態を実は暴露して、その縣に生を受けた私として、殆んど四十五万人の福岡縣引揚者になんの顔容があつて見えるかという実は責任を感じておる次第であります。まあその後の処置として今回一千四百万円の生業資金割当てられるというようなことであるけれども、そこに救済の策も手が打たれておるのでありましよう。これらは結局特別委員会が中心となつて、そうして休暇中でありますけれども、成るべく休暇中に各議員方々がその実情を御賢察下さいまして、実地一つ十分の御調査願つて、これを本委員会に報告して、そうして全國的の実情から政府を督励し、政府の施設が末端において非常に矛盾しておる場合には、徹底的にこれを矯正するというような方策を私は取らなければならんのじやなかいかと思います。  それから第三に、先程懇談会にも申延べましたが、大藏省権限内において早急に改善せらるることができるものであるならば、各現地におけるいわゆる税関官吏引揚者に対する檢閣の方法を嚴正忠実にしなければならん。公明にして嚴正でなければならんということの、その官吏根本精神をあくまで堅持して頂いて結構でありますが、三年以上も苦難を嘗めて來た祖國兄弟達でありますから、それを迎えるのに、嚴正公明なるその標準を決してごまかすという意味ではありませんが、多少とも友愛の精神を以て親切に検査をしてくれるような態度を馴致して頂くように、大藏当局が直ちに適切な処置をして頂くように重ねて私は懇請する次第であります。
  8. 田村文吉

    田村文吉君 矢野委員と大体一緒に各地方を廻りましたのでありますので、問題が重複しない点を成るべく申上げたいと存じます。  一番先に申上げたいのは、函館にかける引揚者座談会異口同音に言つておられましたことは、我々はここで仕合せと帰つて参りましたが、在來樺太相当日本人がおりました間は、この苦難の中も互いに助け合つて励み合つて來たのでありますが、だんだん引揚者が多くなつて來てあとへ残る人が少くなつた。その場合に若しこれが今年の冬を越さなければならないようなことが起ると、恐らく残つた三分の二は亡くなるものと考えて頂きたいということを申しておられたのであります。それは重ねて申上げると、いろいろ長くなりますが、大体に相当に困難な生活状態を通じて來ておられるので、互いに食糧品の助け合い、或いは病気災難というような場合の保護をし合つておりました同士が亡くなるわけでありますから、そこで恐らくは残つた人の三分の二はこの冬を越すことになれば、亡くなるのじやないかということを心配しておつたのであります。この点はさようなことは万々なかろうと思いますけれども、尚我々が引揚について注意しなければならん点だと考えております。  それから援護事業全般については矢野委員からお話がありましたように、大藏省税関の問題がありまして、これは決して調べを丁寧にすることを誰も異議を言つておるわけではありませんが、余りに乱暴である、金品がなくなるということについての異口同音注意があつたのであります。この点は今御注意がありましたように、大藏当局として即時に御解決を図らなければならん問題だと考えております。それ以外には援護事業は極めて満足すべき状態に、温い気持を以て末端までやつておられるように考えて参りました。  それから同じようなことを申上げるようでありますが、各省総合的施策が是非必要であるという今矢野委員お話があつたのでありまするが、特に定着援護の問題から考えまして、厚生省厚生省として取敢えず引揚げて來た人の住宅問題を心配する、こういうことに相成つておりまするが、引揚げて來た人の全部の顔色には、今後如何にして自分達が生きて行けるかということを心配しておりまするので、できれば早く職業を得たい、職業を得られるところに定着したい、こういう考え方を持つておりますので、特に北海道ではまだ未開墾地が非常に多く、拓殖については非常に力を入れてやつておられるのでありまするが、單に食糧増産という問題でなしに、今の引揚者を救護するという場面から考えても、この開拓関係仕事は、いわゆる拓殖家拓殖だけの仕事でなしに、もつと総合的に考えてやつて頂いたらどうか。又工業方面にいたしましても、まだ方々で人を要求しておられたのでありまするが、これは秋田市の例でありまするが、非常に遠いところに援護寮があるというようなわけで、ほしいけれども、冬なんと通う場合に一里半の道を到底通うことはできないというようなことで非常に困つておるというようなことで、こういうような例が実は多かつたのでありますが、これらも商工省方面連絡をとられまして、住宅仕事場、働く場所ということに相成りまするような方法が考えられるということが必要じやないかというようなことを考えたわけでありまするが、農業方面にいたしましても商工業方面にいたしまして、もう少しそういう点が総合的に運営されましたならば非常に工合よく参るのではないかと考えて参つたのであります。  一人ならず、二人も三人も実は引揚者から聞いたのでありまするが、そのお話ではね私は福島縣割当になりまして参ました、併し福島縣には無縁故でありまするが、何らの愛着も親しみも持つておらんので、あの内地の狭苦しいところへ詰め切れませんから而も気候からいうと在來の、樺太からいうと全然違うところへやられたのでは困るので、何とかして北海道へ残して貰う方法がないのでございましようかということを伺つた次第でありますが、これは各地を廻りまして同じようなことを沢山いわれたのであります。  これは北海道に或る程度以上の収容はできないということからそういうことになつて各縣が協力されておるのでありますが、殆ど引揚者の全部が北海道に残ることを希望しておるというような状況でありまするので、これはもう少し重点を少し考え直して、北海道拓殖関係、その他の関係から一つ定着のできるような方法に考えられたらどうだろうか、こう考えたのであります。  大体の感想はそうでありますが、尚細かい点について、実はこの席で申上げるのはどうかと考えおる次第でありまするが、釧路、網走市長から特に依頼を受けたのでありまするが、網走の刑務所で持つておられます敷地に、今後援護建物を建ててたいとつて交渉しておるのだか、なかなか話がつかないというので困つておるから、お前中央へ行つたら早速その方面に話をして解決のつくようにして欲しい、こういう御希望がございました。これは比較的簡單解決のつく問題じやないかと思つて努力するお約束をして参つたのであります。それから旭川では御承知のような援護寮が兵営の跡をやつておられるのでありますが、これの帰属は今日大藏省になつておるのでありましようが、一部分外から希望があればそこにもやらなければならんというようなお話ちよちよいあるので、非常に不安に考えているのだか、こういう建物を、國有のものを一つ引揚者のために厚生省に引継いで頂く、それを貸して貰うというようなことに、大藏省の了解を得られないものかということのお話があつたのであります。それからこれはやはり矢野委員が詳しくお聞きになつたろうと思いますが、室蘭の現在市が持つておりまする三百幾坪かの建物を買収されておるのでありますが、これは市で予め手入れした関係もあつて、この上少し手を入れれば十分に世帯を入れることはできるんだが、何とか國でやつて頂きたいというような御註文があつたのであります。かように細かい問題でありまするが、御関係方面で至急に御研究頂いてできることならば結構だと考えたのでありまするが、大体において各省間の御連絡援護事業について統制がないということが、誠に遺憾に考えておるのでありまするが、この問題は單り中央だけでありませんで、道廳に参りましても、若干そういう点についての連絡が不十分で拓殖拓殖援護援護というふうに別れ別れになつておるような嫌いがあるのであります。すべてがもう少し総合的にやれるような方法を我々も今後研究いたしまして考えて見なければならんのじやないかということを考えつたのであります。  尚もう一つこれは大きな問題でありまするが、私ども研究せんならんと思つたのですが、今樺太におりますアイヌの問題であります。これが内地に帰還することを多く希望しておるらしいのであります。  これは終戦当時においてパスを得る場合に日本人として登録した者は簡單らしいんですが、そうでないアイヌとか何とか書いたような者がそのまま向うに残るような形になるかと、まあ大部分なるというようなことで心配しておるのであるが、是非一つ北海道に帰して頂きたいという希望が非常に多いということを申されておつたのでありまするが、これは民族の問題から考えて見ても我々日本人としても深く考えなければならん問題であるということを考えて見たいのであります。以上大体のことを御報告申上げます。
  9. 山田節男

    委員長代理山田節男君) ちよつと議事進行についてお諮り申上げますが、実は今日は午前、午後の予定になつておりますが、只今大藏省管理課長前野事務官、それから引揚援護廳安福事務官文部省深見事務官、厚生省の医務局の厚生技官、厚生省の管理局の小島邦人課長がお見えになつておりますので、大体今大藏省に関する限りにおいての御質問或いは御註文等を打切りまして、成るべくこの午前中のプログラムを終了したいと存じますが、すでに十二時を廻つておるような次第でございまして、この政府委員が出席しておられまするので、今大藏省の外、引揚援護廳文部省厚生省、外務省とございますので、順次この政府委員に対しまして今回の調査の結果政府に対して緊急に対策を要望する件、或いは質疑等がございますならば時間の節約上、極めて簡單各省別の政府に対しての御質疑を行なつて頂いたらどうかと思いますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 山田節男

    委員長代理山田節男君) それでは大藏省の方で大体今の田村議員のおつしやつた國有財産の問題、これは私も過日北海道へ参り、又舞鶴へ参りまして非常にこの点痛感しております。やはりこれは厚生省援護局関係がありますので、一つ早急にそういう点を研究して結果を知らせて頂きたい。  次に文部省の社会局の深見事務官が見えておりますが、何か御質問がありましたら……
  11. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 先程座談会のときに申上げたことでありまして重複するかも知れませんが、当時速記がなかつたものでありますから、これは是非速記にとめて置きたいと思います。その点につきましては矢野委員からもそれから田村委員からもお話がございましたが、とにかくこの度の議員派遣におきまして舞鶴、それから別途の立場から函館を見て総合した結果、舞鶴にしても函館にいたしましても非常に援護廳の人達が献身的に涙ぐましいほどやつておられる。たまたま函館においての状況が本当に親心に徹してないという点が甚だ遺憾に堪えないのであります。それでたまたま函館の軍政官のお話に徴しましても、各係官のやつておられます献身的な努力に対しましても、先程申上げましたようにこの引揚の問題に対しては、今日は日曜だという日でも、船が入るということになると毅然としてやつておられる。例えば一つの荷物が海中に落ちて沈んでしまつたという場合、たといその荷物がどんなつまらないものであろうが、とにかくここまで持つて來たのがからというので、早速潜水夫を入れて幾ら費用がかかつてもあの荷物は揚げろというようにして、GHQといたしましては非常に涙ぐましいばかりの、実際話を聞きますと感激に堪えないような力をさいておりながら、お互いの同胞がこれに接する態度税関の人達の誠に遺憾なる処置によつて実際のものが空になつてしまうというようなことは何としても直さなければならん。これは本委員が正式に開かれたとき或いは又先刻矢野委員からお話がありましたが、この問題につきましては急々に前野課長から上司に話をされまして、直ぐ処理できる問題でありますからこの点御処置できるかどうかということをはつきり承つて前野事務官に対する質問を打切りたいと思います。
  12. 前野直定

    大藏事務官前野直定君) この問題は恐らく現地税関官吏といたしましては荷物の検査に頭を奪われて、本当に引揚者に対する親心というか、親身が足らなかつたのじやなかいと思います。この点につきましては早速帰りまして税関関係方面連絡して、この趣旨の点は十分徹底いたしますように連絡はいたすつもりでおります。
  13. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 その問題、前野課長田村議員から発言がありましたように、そのことが根本です。その次には非常に遺憾千万な不都合な行爲があるということを検査を受けた諸君が身を以て体験して、而もその日の座談会でその現実を止むにやまれずして、これから引揚げる者のためにといつて、涙を呑んで事実を報道されたところ、そうだそうだといつて皆それを肯定した。だからこの点は援護廳の職員諸君が余り耳に今まで入つてなかつたのです。これもそちらの方はそちらの方で事実を御調査つて然るべきだと思います。これが暗々裡に黙認されて事実がずつと続けられて行きますと、あの諸君は官吏の堕落に対しても深刻な印象を受けておりますから、その点も含めて御処置願いたい。
  14. 山田節男

    委員長代理山田節男君) 今の大藏省税関に関する注文でありますが、私も過日舞鶴へ参りましたが、今各委員諸君のおつしやつた点は全く同感であります。その上にあすここには援護局の復員部がありますが、そこの部長にいろいろ話を聞いたところ、税関事務は私共の関係でありません、こういうわけで、何といいますかさつぱり税関で何をやるか本旨が掴んでないように見たのであります。こういうように税関税関だというけれども、やはり税関事務に関する限りはやはり復員部とか各方面と横の連絡を取つて、やつて頂きたい。又復員部というものは常識として税関の事務は知つておいて貰わないと困る、あなたの方から注意をして頂きたい。
  15. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 今委員長からお話がありましたが、私は二十二日に起りました事件に対しまして、あすこの加藤次長も総務部長もできるだけ調査して見ましよう、こういうことを言われておりましたが、本省から一つその事実のあつたかどうかということを明確にして貰いたい。そうしてそれを特別委員会一つ説明して頂きたい。  それから要望事項ですが、今委員長が言われましたように実は舞鶴におきましても函館におきましても引揚げて來た人達を囲んで座談会をやり、そこでこの点は改正して欲しい、この点は感謝に堪えないということをぶちまけて申しますが、その場合税関の人もお出になつて頂きたい。私加藤次長なり総務部長なり業務部長に何故税関の人が出ないかというと、どんなにお願いしてもお出ましにならないという、これでは引揚者の実際の苦しい心を心として触れることはできないと思います。私は非常に憤慨して、何故それができないかというけれども、どうもこれは違う省ですからそれを強要することができないといつておる。こういう点が甚だ遺憾だと思います。この点に対しましては少なくとも舞鶴においても函館においても座談会をやるという場合には、税関の人も共々に日本人の一員の立場においてその問題を考えるという立場において出て頂きたい。  そうするとこの人達の声が分る。これは命令でできるかどうか知りませんが、できるだけそういうようにしてやつて頂きたい。よく実態を把握するように御指示頂きたいと思います。  もう一つ税関の人が荷物を一つ一つ開いて見るというその手数はなかなか困難だと思います。その点は十分引揚者の諸君も、又我々も他の援護事業に携つておる人も十分了承して、なかなか簡單仕事ではございません。非常に困難な仕事でありますから、多とすべき点は大いに多として、國会におきましてもこの委員会の名をもちまして感謝の言葉或いはそういう意思を徹底せしめたいと存じます。困難な点は困難な点として、やるべき点はやるべき点ということをはつきりして頂きたいと思います。
  16. 山田節男

    委員長代理山田節男君) 大藏省に対する他に御意見ございませんか。それでは前野課長どうぞ今の各位の方の要望の意向を出先機関に一つ伝達して是正するように一つして頂きたいと思います。  続いて文部省の社会教育局の深見事務官が見えておりますが、文部省に対するなにか御要望、御意見は、
  17. 岡元義人

    岡元義人君 実はこの点は舞鶴だけですが、他にもまだ同様な問題があるのじやないかと考えますけれども、今回舞鶴を視察いたしまして、一番遺憾に思つたの文部省関係でございます。というのはこの際この委員会で伺つて置きたいと思うのですが、ソ連地区の引揚者は最近非常に向うにおきまするところの教育も嚴格になつてつておりますし、それで乗船して参りましてからいろいろな問題が船中においても惹起されております。これは当然文部省では御存じだと思うんですが、例うば遠州丸の船中のお話を聞きますと、船に乗り込みますと、元満州國の参事をしておつた人六名が船長のところに押掛けて参りまして、帯劍を貸してくれ今まで非常にいじめられて、このまま無事に帰つて我々は別れ別れになるということは堪えられない、どうしても解決はこの船の中で付けるというので、船長に再三要望したのでありますが、船長は船内におけるリンチは許さないというようなことをばよく説いて聞かせました。ところが翌日又この六名がやつて来て、それでは我々はこのままではどうしても腹は納まらないからというので、言いたいだけ言わしてくれ、それだけなら許して貰えるじやないかということを船長に申出た。ところがそのことを拒む理由がないので許してやつた。ところが上甲板に集まりまして、かわるがわるこもごも立つて今までの迫害されたことをば言うことだけ言つてそうしてどこに持つておりましたか、日の丸の國旗を立てて万歳を三唱して解散したという、こういうような状況さえあるのです。この船の中に乗つて來たときに、全く今までと違つたいわゆる内地の事情につきましても船もよこさないのだ、或いは収容施設が足りないのだ、或いは日本が還るのを喜ばないのだ、こういうような宣伝はすでに十分にされて來ておることは御存じだと思いまする。こういうような人達が船に乗つて初め異様な感じを受ける。どうも今まで聞いたことが違うのじやないか、そこで始めて船に乗つてからぐらぐらしてくる。そこが一番大事であるが、船中におけるいろいろそういうような指導この点についてはどうお考えになつておるのか。文部省から三名も現地に派遣されておる。而も援護廳からそういう方面は我々の方からやるんだというようなことをお聞きになるというような話さえ聞いておると、國会の我々参議院議員が参りましても、この座談会にも、或いは二日間に互る調査に対しても、文部省の出先の三人はどこにおるのか、舞鶴を立つときまでに会うことができなかつた。こういうような状態で果して文部省が実際にさような問題を重要視してやつておるか、そういうことに疑点を抱かざるを得ないのであります。  尚最近各大臣が全國を遊説して参りまして、始めてこれではいけない、とにかく引揚者がいろいろな思想的にとんでもない方向に進みつつあるということをば、最近になつてやつと確認しておるというような状況も聞き、閣議でも騒いでおるようですが、これはもともと船に乗つて來たときに処置を執るべきことが一番肝要であると思うのです。又援護局内におきまして、文部省から配られてくるフィルムは、去年一本配つたきりで、それを今までやらしておる。こういうようないい加減な処置を、果して文部省は眞面目にやつておるのであるか。フィルムはスレスレ見えない、而も去年一本やつたきり、今尚それをやらしておる。又レポートやそういうものに対しても、文部省は一体どういうことを考えておるのか。これは疑わざるを得ないのでありますが、どういう工合に本省ではお考えになつておるか。私は丁度帰りがけ森戸文部大臣とも車中で一緒になつて、大臣にもこの点を強く要望して、大臣もそういうことは全然知らなかつたということを言つておられるが、甚だ怪しからん、あなたの所から三人も出ておる、大臣が速かに自分としても調べるということで、途中でありましたが、岡山の大会に出られるとき私と長い間この問題について話したのであります。併しながら余りにひど過ぎないかと思う。今申上げたことについてお気づきの点、又お考えになつておる計画その他を一つお話願いたい。
  18. 深見吉之助

    ○文部事務官(深見吉之助君) 大変いろいろ御注意を頂きまして有難うございますが、文部省舞鶴でやつておりますのは、内地に帰つて参りました引揚者、復員者に対しまして、現在の内地事情を的確に知らすということを無論第一の目的にいたしております。でき得る限り色のつかない内地においてのその後の政治上の動き、或いは社会上、経済上、又個人々々の家庭における状況等につきましての実情を知らすということに重点を置いて、昨年來仕事を始めて來たのであります。このために三人の人を現地に嘱託いたしまして働いて貰つておるのでありますが、御承知の通りに、援護局内の仕事は非常に援護事務の方に時間的に制限され、忙殺されておりますので、あとから加りました文部省仕事がその中の時間を縫つて皆に呼び掛けて行くということに非常に困難を感じておるような状況のように承知したしております。実は去る十七八日いろいろ現地の活動状況がにぶいということを聞きましたので、私あちらへ参りましていろいろ督励をして來たのでありますが、全く今のところではお説のように、三人が若干老年のためもありましようか、十分働いておらないということを残念ながら私も確認をしたわけなんでございます。大いにこの点は督励をしたしておるわけであります。若干ながらも今後はよくなるだろうと実は思つておるわけなんであります。  船中におきましての教育ということは一番大事だと最初から思つておるのでありますけれども、これはいろいろの都合で、船中においては何ら処置をしてはいけないと言われておりますので今日まで船中に対しては手が延びておりませんし、又將來も私は延びないと思います。大変残念なことであり、我々の方で引揚げた方と座談会をいたしましても、船中において何かして貰いたいという要望はあるのでありますけれども、いろいろな点でこれができないであります。それでせめて船中に新聞なり雑誌なりを送り込んで内地事情を紹介いたしたいと思つて、各新聞社等に連絡をいたしまして、新聞、雑誌等の寄贈を受けて積込んでおりますけれども、これらもいろいろな事情で、船中に参りますと、紙の不足というようなことから、その新聞を読むよりも、その新聞が直ちに使われてしまうというような実情で十分効果を挙げないのだということを我々聞いております。最初それをやつてつたのだけれども、今日では上陸して後において新聞等は配布するようにいたしておるといういろいろその間の困難を聞きました。これは止むを得ないことだろうと実は我々も了承いたしておるようなわけであります。  上陸後の処置については、文部省の方から只今ここに持つてつておりますが、戦後の日本という深部、情報提供新聞を今まで二度編集いたしまして、これを配布いたしております。それからその外、点字画、或いはフイルムよつて幻燈を写す、紙芝居をやる、活動写眞を写すというようなことをやつておるのでありますが、映画につきましては、昨年一本を配給したのみというきとでありますが、実はそれは手綱を入れまして、四ケ所が交替して、昨年度内において四つの映画が廻るというようにいたす計画を立てておつたのであります。これもいろいろの都合で円滑に廻つておらないので、再三注意はいたしておるようなわけだつたのであります。本年度におきまして、最近でございますけれども、映画を二本、最近出ました「子供議会」と「駒鳥夫人」両方を手配をいたしまして、もうすでに「子供議会」は到着いたしております、「駒鳥夫人」も現物が入手でき次第送るというようなことになつております。その他レコード竝に展示画、幻燈というようなもの、幻燈も「公民の権利義務」「我らの町村」の二つを最近送りました。展示画も五十枚一組になりました展示写眞を最近発表いたしました。いろいろ壁新聞等もやらしております。あちらでも文部省仕事というものはある程度の制限があるのでありますけれども、要するに全般援護というよりも、帰つて來た人が、いろいろ間違つた知識を持つておるかも分りませんので、内地の正しい事情を知らすという極めて限定された部分において活動をしておるという実情であるのでありまして、この点御了承願いたいと思います。
  19. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 私は舞鶴のことの問題に関してましては、岡元委員に譲りますが、函館の方のこの問題に対しまして、岡元委員から御注意があつたものですから、特に見て廻つたのでありますが、あすこに文部省特派員長谷川という人がおりまして、たまたま文部省の社会教育局から事務官の方が来て、行を一緒にして、あらゆる角度から見たのでありますが、この函館における他の文部省の特派の人たちの点までは及ばなかつたのですが、長谷川君のやるつおられることに対しまして、あすこの次長といたしましては、或いは私の立場から見ましたら、なかなかよくやつておられるという点に結論つけたのであります。ただ私が遺憾に思う点は、この舞鶴におきましての引揚の大半というものは、これは殆ど復員が多いのでありますが、ところが、函館引揚の大半というものは、逆に引揚者が多いのです。ことにその引揚者の中には子供が多いのです。少なくとも一家族に対して平均五人ぐらいの子供があるのです。それで、各寮を廻つて見ましても、子供は非常に詰らなそうな恰好をしておるのです。で、丁度この文部省におきましてそういうふうな点があることだから、この子供に一つ重点を置いて頂きたいということを、一つ強調して置きたいと思うのです。
  20. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 大体その方の予算は幾ら取つておりますか。
  21. 深見吉之助

    ○文部事務官(深見吉之助君) 予算はあまりないんですけれども……。
  22. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 あまりないといつて幾らですか。
  23. 深見吉之助

    ○文部事務官(深見吉之助君) ちよつと今私……
  24. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 分らんくらいの予算じや困るね、僕達も特別議会でもつと計画的にやりましようし、全体の問題も行政事務でできなければ、こちらで又岡元議員の主張は正しいことですから、いいことだから、國際的の何か特別の重大な難点がないときには、できると思う。  それから安福事務官に、今田村議員からお述べになりましたが、新しく建設するということはなかなか困難ですけれども、既存の建物を大いに活かして頂きたい。ことに室蘭の、東室蘭の駅前に現在ある引揚者の寮以外に、室蘭市が買収しておるのだから、それに三百三四十万の國家予算を与えれば、立派な、四百人以上収容する施設ができますから、これは是非一つ大藏省と折衝して頂くように、関係官に連絡して下さい。そうして室蘭市長の言を信ずるならば、北海道には今一千五百万石の材木が山と積まれておる、そうして下の方はもうすでに三年も経過しますと、その中の三分の二は、これは使用できないようになる、これらも建設省で一、二の人が大いに力んでござるけれども、運輸省とばらばらになつておるために、みすみす大事な建設資材が腐れて行くのは莫大なもので、引揚者の食糧問題においても、農林当局と厚生当局との有機的連関のないために、例えば昨年中、北海道で腐れた馬鈴薯は莫大なものです。こういうような大きいギャップがありますから、十分にこの点を関係官と話合われまして、そうして他の官廳と決して垣をあまり高く持たないようにして頂きたいと思うのです。
  25. 岡元義人

    岡元義人君 只今お話によりますと、援護廳に中での時間がないということがございましたが、これは先程管理局と大藏省との話合でもそういうことが出ましたし、援護廳との間で十分私は相談すれば時間があるんじやないかと考えられるのです。この点を一つよく御相談して頂きまして、援護廳の方から文部省の出先に連絡つて、我々が会いたいといつてもなかなか出てくれないというそういうふうの状態にありますから、この点一つよく注意して頂きたいと思います。  尚こういう教育は生きた教育でありまして、私は教育者じやありませんけれども、死んだ教育をしたんじや何もならないと思うんです。例えばあの廊下等に展示されております写眞でありますが、私見まして、ああいい写眞を出してくれているなと思つたんです。それは古橋があの記録を出した写眞なんです。早い、もう出したのかな、これは非常にいいことをしておると思つて見たら、昨年の明治神宮の記録に過ぎない。これじやいかに文部省の出先がいい加減な気持でおるのか。それを見ても分つたんですが、今新しい記録を出したんですから、直ぐそういうような写眞をあすこへ持つて行つてつてやる、こういう工合にしたらどんなに皆が元気がつくかということが考えられる、一年前の記録じやしようがないんです。  尚あすこに無縁故者の寮があるんですが、國立病院にも強制労働中に斃れた者が数百名入つて養生しておるわけです。そういう方面文部省としては考慮を入れて、手を延ばすべきじやないか、厚生省だけに委して置くということはできないですが……。最近帰つて來る者は女が多いのです。というのは、内地に帰りましても、縁故先がない、だから何とかしてくれというので、いろいろの事情の下に残つてつた女が、いわゆるソ連当局の指令によりまして帰つて來ておるので、殆ど帰つて参りましてからも羅病者が多いのです。とくに胸をやられておる者が相当多く見受けられます。そういう連中が、行く先がないのです。又若い人たちですから、これらにつきましては、非常に私は社会的にもいろいろ指導する必要があるんじやないか、その舞鶴から放り出しましたならば、結局闇の女というような方面に行くより外、方面がないんじやないかと思う。そういう方面文部省でも一つ関心を持つて頂きたいと考えておりますので、以上要望いたしまして、文部省の御意見を承りたいと思います。
  26. 深見吉之助

    ○文部事務官(深見吉之助君) 時間がないということは、先般私参りまして、やり方によればいろいろ時間があるんじやないかと、いろいろ指摘しておきました。交通の不便のために四時半の連絡で出るということはいけない。交替で宿直等をするようにということを嚴重に申し渡して参りました。この点は相当改正して貰えるものと思います。これから写眞は、これはどうかと思いますが、相当にでき上るまでの検閲等がありますので……
  27. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 いや一年半も前の……
  28. 深見吉之助

    ○文部事務官(深見吉之助君) あれは昨年の分でありまして、出すのは、今展示しておるんだろうと思います。復員者、引揚者としての教育は制限されておりますので、社会教育全般といたしまして、青年教員というものから取上げるように、指導には十分注意しております。
  29. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 先程矢野委員からもお話があつたんですが、大体その面に対しまして、三浦事務官が、予算がありませんからまあいたし方ないという御意見が出ておりますが、それは三浦事務官に要するに熱がないからだ、いろいろ実態を把握されればはつきり分る。分つて來ればその予算を取るということに対しては熱を持たなければならんということを申上げたのですが、どうか今のお話によりまして、今度は非常に熱を持てば当然予算も若干殖えるのではないかと思います。実際私共は見まして、援護局厚生省のやつておる仕事には頭が下るのです。ところが他の省になつて來ますと、何か附け足り見たいなんです。その点はもう去年舞鶴から函館行つて見ても、結論はそこに來るのです。だから私は今の厚生省のおやりになつておる仕事に対しては私は本当に頭が下るけれども、他省のなんかちつとも頭が下らん。もつと熱意を持つて頂きたい。こう思うのです。
  30. 山田節男

    委員長代理山田節男君) 時間も大分進んで参りましたので、尚厚生省、外務省、それから引揚援護廳の事務官等見えておりますが、午後一時半から再開することにいたしまして、暫時休憩いたしたいと思います。尚その前に先程矢野委員或いは田村委員からもお説が出ましたが、要するに引揚者定着援護、それに附随しての受入体制、それから金融関係、その他闇に横流しされるようなことも、当然引揚者に行くべきものが闇の横流しになるというようなことから來ておるので、あわゆる社会事業で申しますケース・ウアークを実際行なつて援護の徹底を期するために、実は議員を派遣したいと存じまして、休会中を利用しまして、先ず第一に九州の一帯を一つそういう目的で、このために議員を派遣したいという要求書を参議院議長に提出いたしたいと思います。要求書を読みますから一つ御了承願います。    議員派遣要求書 一、派遣の目的 引揚者受入れ体制庶民金庫復金の金融処置、更生処置の現実を調査し、本委員会今後における審議に資する。 一、派遣議員 矢野酉雄岡元義人 一、派遣期間 九月三日より九月三十日までの内二十日間。 一、派遣地 熊本縣、福岡縣、大分縣、宮崎縣、鹿児島縣、佐賀縣、長崎縣 一、費  用 概算、九千六百円、         内訳        議員派遣旅費(一名一日四百円、二名十二日分) 右本院規則第百八十條により要求する  昭和二十三年八月二十七日     在外同胞引揚問題に関する特別委員会       理事 山 田 節 男 参議院議長松平恒雄殿  中平委員長は御不在でありましたので私の名前としまして参議院議長まで、第一回として九州一帯の定着援護、或いはそれに対する政府処置調査するために右矢野、岡元議員を派遣する要求書を出したいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 岡元義人

    岡元義人君 それは九州地区となつておりますが、本当を申しますと、できるだけ皆さんに……
  32. 山田節男

    委員長代理山田節男君) これは第一回としまして、それからいずれ田村委員から或いはその他の方からお話があつた北海道、四國に逐次それを行うことにいたします。それではこの要求書を私の名前にいたしまして参議院議長に提出します。もとより議院運営委員会が休会中は或いは開かれないかも存じませんので、その際は議院運営委員会において事後承認を求める形式になつておるのであります。これを議長に差上げまして、右の期間において両議員を派遣するということにいたしたいと思います。  それでは一時半から再開します。    午後零時四十五分休憩    ―――――・―――――    午後二時五分開会
  33. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) それでは午前に引続きまして小委員会を開きます。
  34. 岡元義人

    岡元義人君 これは國立病院の方で説明がありましたが、今の例えば材木等の伐採に從事しながら怪我をする、そういうものは乙種の取扱ということになるんですか。
  35. 田島俊康

    ○厚生事務官(田島俊康君) これは私どもの方では公傷というようなことは何も承知いたさないのでございますけれども、別にそういう区別は患者としてはいたしておらないわけであります。先程乙種とおつしやいましたのは家族の人を特に乙種とおつしやつたように承つたのでございますが。
  36. 小西宏

    ○厚生技官(小西宏君) 今乙種患者と申しましたのは、附添です。これは患者でない健康人を乙種患者という名称で呼んで、それに対して患者と同じ給与をやつておる、そういう意味でございます。
  37. 岡元義人

    岡元義人君 私達が調べて來ましたのは、もう非常にレントゲンなんかで見ると骨が腐つておる、だから殆んど骨の患者の関係が多いわけです。どうしても切断しなければならん、殆んど骨の関係の患者が非常に多いわけです。そういう人は長くかかるわけです。どんどん帰郷先の近い病院に送り込むということができれば非常に経費も安くて済むんですが、そういう種類の患者はあすこに一ケ月も、長い者は一年から二年です。そういう人達の家族が看護をしておるんですが、私なんかが調べた範囲では、そういう者は給与を受けていないという陳情なんです。何も受けていない、自分達で全部やつておる。それじや余り可哀そうじやないかと思います。昨日援護廳の方にも参りまして、旅費をどうしておるかと申しますと、旅費は自分の金を拂つて遠いところから來とおるというです。それで旅費の支拂をやつたらどうかということまで打合せをしておるんですが、病院として何か手を打てるか、数は非常に多いんです。ですからこのまま放つておくわけに行かんと思いますが、病院の方で手が打てたらそういう附添いに乙種でも結構ですから、そういう工合に取扱つて頂ければ非常に結構です。併し調べました範囲ではそういうふうになつておりません。  それから第二点の、特配の物資ということはいろいろこれは船舶関係の方へもお願いしようと思つておりまが、あなた方の方でできなければできないで又國会としても考えなければならんと思うんですが、あのどんどん引揚げて來る最中に収容する、而も夜おそくまで手術しなければならんという者も沢山あるようです。最近の患者は、特に大半が殆んど患者といつていいくらいな状況です。何故かと申しますと、今まで残つておる者は病気で残つてつたり、それからいろいろな特殊な事情で残つておりますので、罹病者が多いんです。病院に行つて見ますと、山澄丸でも七つも堕胎者を出しておる。その外二百二十一名診断して七十二名が罹病者で、その中五十何名が梅毒を持つておるというような状況なんです。而も胸をやられておるのが相当あります。そういう人達は行く先もなく身寄りもない人が多い、殆んど身寄りがない人です。今帰つて來る者は……。ですから病院で受入れる処置を余程うまくやらないと、折角帰つて來た者ががつかりしておるわけです。だから附添その他について万全の処置を講じて貰いたい。だから乙種で取扱ができますかどうか、そういう性質の者に対して……。
  38. 小西宏

    ○厚生技官(小西宏君) 只今乙種患者の取扱をする家族と申しましたのは、これは引揚げた当初の短期間における患者の取扱方法でございまして、今のように、いわゆる切断患者のように、非常に長期間に亙つて入院しておる者に対する処置では從來はなかつたのであります。それで今の切断患者が非常に多いというお話でありますが、実際切断患者は相当つておりまして、その切断患者は從來私どもの方の取扱といたしましては、大体患者は原則としましてその定着地で、最寄りの病院へできるだけ早期に送つてやるということを建前といたしておりますが、この切断患者を処置できる病院というのはそう沢山ございません。それは義肢の製作所を持つた病院に限られるわけであります。主として東京第二とか或いは相模原、そういう國立病院に主としてこういう患者を送る、全國には今の病院の外に九つの義肢製作所を持つた病院がございますけれども、その義肢製作能力から行きまして、この東京第二とそれから相模原が一番有力な能力を持つでおりますのでここに送るようにしておりますが、舞鶴に切断をして義肢を附けなければならん患者が長期間に亙つて沢山おるということは今初めて伺つたのでありますが、若しそういう事実があるとしましたならば、連絡いたしましてそういう患者は只今申しました病院に、又北海道とか九州とかいつたような場合には、北海道は札幌に、九州は別府の亀川病院に義肢製作所を持つた病院がございますので、そちらに送るように手配いたします。そういう長期に亙つた場合の患者の附添家族の面倒はこれはちよつと乙種患者ということで予算関係取扱いにくいものでありますから、從來は普通の附添家族として、患者として取扱つておりません。
  39. 岡元義人

    岡元義人君 今のは私共現に見て來て、そういうのは乙種として取扱われておらないので、これを取扱つて欲しいのであります。それができるかできないかということです。例えばあなたの方でできなければ援護廳の方で引揚げて來る時の状況によりまして、附添を附けるということでそれだけの予算を組ませるという方法もあると思います。それをあなたの方でやつて貰えば一番便利ですが、あなたの方でできなければやはり援護廳としても考慮して貰わなければならん、旅費ぐらいは後拂証を発行して頂くということは援護廳との間に今話ができております。ただあなたの方の病院の間の問題はどういう工合に処理できるかということを伺つておるのであります。又ズックとかその他のものは配給が全然見込みがないというわけですか。それとも何とか考慮できるか、特別に考慮してやる方法があるかないかということを伺いたい。若しできなければできないで、國会としても外の方に交渉して引揚関係援護措置と併行して、例えば炭鉱労務者というものが重点労働に服しておるというので特配を受けるという性質と同じように取扱つて行くように考えて行きたい。こういう考えでお伺いしておるわけであります。
  40. 小西宏

    ○厚生技官(小西宏君) 只今の配給の件でありますが、実は実際にこういつた配給物品を取扱つておりますのは、同じ医務局の整備課という課で扱つておりますので、実際の物資の入手に状況、配給状況がどういうことになつておりますが、詳細なことはちよつと私共だけでは分らないのであります。併しながら元來國立病院、國立療養所の職員に対する物品の配給は非常に量が少ないのでございまして、その少い中から特に舞鶴病院或いはその他の引揚者収容病院に特にこういう配給を余計やるという場合には、どうしても脇を差つ引いて廻すということになりますので、私共の関係だけではちよつと十分のことはでき兼ねるじやないかというように感じます。
  41. 岡元義人

    岡元義人君 乙種と同じような取扱いができるかできないか。
  42. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) 今の附添の問題ですが、それに対するお答えは……。
  43. 小西宏

    ○厚生技官(小西宏君) 附添の問題ですがそういう場合には乙種患者の取扱いの適用をするということは現状としてむずかしいじやないかと思います。
  44. 岡元義人

    岡元義人君 これは各議員も後から來られるから相談したいと思います。非常に経費が沢山掛るので、折角帰つて來て自分の家族に知らせてやり、而も家族が知つた時には入院して切開をしなければならん場合、家庭が裕福ならばいいが、裕福でない者が病院に而も何ケ月もの間鍋釜を持込んで生活しておる、旅費から一切自分で賄つておる、こういうことはこの特別委員会でもつと早く検討すべきじやないかと思います。後程よく委員会として検討して政府を鞭撻して予算を組ませるという方法も取れるじやないかと思います。
  45. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) ちよつと小西技官にお尋ねいたしたいのです。舞鶴に行きまして國立病院で看護婦諸君と患者と共々に、派遣されました派遣議員一行と座談会をやりましたが、その時にも今岡元議員から要望された問題が強く要望されました。そうして派遣された私共議員は皆それを諒としたのであります。当時看護婦が百三十七名ということを言われましたが、実際からいうと百八十名ぐらいなければやつて行けないじやないか、随分過労のように言われておりました。それで他ら応援を求めるといつても、非常に給与が悪いのでなかなか來ない、更に新しく養成しようといつても來ない、來手がないというわけで、結局給与を上げる以外にこれを補充することができないということを強く要望されました。  それから 岡元議員が言われましたようにズックとか石鹸とかいうものに対しても何とかしてもう少し入れて頂きたいということを言われましたが、一応皆諒としたわけであります。これは岡元議員の言われましたように委員会でも考えますが、そうした方面厚生省の整備課の方ともお話合になつて研究して頂きたい。
  46. 小西宏

    ○厚生技官(小西宏君) 承知いたしました。
  47. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 先般函館引揚施設を実際に見に行つたのでありますが、前の方は割合整備した國立病院であつて、患者も余り苦労してないようでありますが、函館の方はこれに比べて非常に國立病院の施設が悪いのであります。これが使えない、そのために引揚者収容所に附設したような病院にして頂きたい。それからこう一つ函館の特殊條件は、舞鶴は兵隊が多いが、函館の方は子供を沢山連れて來る、殊に「はしか」の患者が非常に多い、現在病室が足りないので、普通の収容所の一部を病室に充てておる状態であります。こういうことろを考えると函館の國立病院を拡充するか、或いは引揚収容施設に特別の病室をもつと急造するか、これは非常に急務のように考えられます。それだけちよつと御報告して置きます。
  48. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) 小西技官何かありますか。
  49. 小西宏

    ○厚生技官(小西宏君) 只今仰しやいました通りの現状を私共も見ております。但し函館の病院は非常に今舞鶴あたりと比べまして、規模が小さくて貧弱な病院でありますけれども、あれから汽車で三十分くらいの所に北海道第一療養所というのがございまして、ここに相当収容余力がありましたので、初めからここも第一収容所病院の中に入れまして、こちらで経過しておつたようなわけでございます。で只今のように麻疹が沢山出たような場合に、なかなか汽車で送るということが困難になつて來たので、こういう非常にまずい現状を暴露したわけでございますが、現在のところ函館の病院を拡充するということはなかなか困難でございますので、なんらかその第一療養所の方へ患者を送り込むという方法か、或いは収容所の方にそういつた施設を作つて頂くという方法か、どちらか一つを選ばなければならんのじやないだろうか、こういうような工合に考えます。
  50. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) 星野委員よろしうございましようか。
  51. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 厚生省関係は國立病院の方でございますか。
  52. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) そうです。
  53. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 援護施設に対しては…
  54. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) 援護課の河原事務官が見えております。
  55. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 函館の観察の結果を少し述べて見たいと思います。函館に十八日から二十五日までの間に参りまして観察いたして参りました。穂積、池田委員と共に参りまして、今日その観察の報告書というのをまだ三人で纒めてはおりませんが、この機会ですから要点をちよつと述べさして頂きます。それは函館の問題は現在還つて來る者が殆んど無縁故者に近いという状態であります。ところがこの無縁故者にはわくがあるので、やはり成るべく有縁故者にする、成るべくしぼつて無縁故者を減らして行く。無縁故者に対しては、ともかく一応待遇できるが、有縁故者となるとなんらの援護がない。而も実際上はもう無縁故と紙一重の者が多いのであります。この意味で今後函館から還つて來る者は殆んど無縁故と考えてすべて予算を立てるべきじやないとかと思います。併しその数はそう多くないようです、残つておる数が……。ですから、ともかく今年一杯に多いに力を入れる。急速に力を入れるという必要があると思います。そうしてそういうふうに殆んど無縁故だとすると、今までの計画より多少住宅など余計に用意しなければならんものも出て來やしないか。それについても、北海道等の特殊事情によつて、十月ぐらいまでに資材など配給しなと間に合わないわけです。而もすでに決定されて出すとなつておるものも、まだ資材や資金が間に合つていない、これは十月までに間に合うかどうか、こういう現実を非常に気遣つておる。これが一つであります。  それからもう一つ注意する点は還つて來る人の中に炭坑の技術家というのが非常にある。この人たちが還つて來て炭坑に振向けられれば非常によいんだけれども、いろいろの事情によつて炭坑に行けないで、一般の人と共に漁村に行つたり、農村に行つたりしておる人がある。現に私どもが行つて、還つて來た人たちと懇談会をしました。そのとき席上出て來た人達の中に、自分は炭坑で二十年の技術者だが、還つて來て何とか炭坑に行けるものと思つて、三菱の炭坑の人が出迎えに來ておるので聞いて見たところが家族持ちだから使うことはできんとはねられた。仕方がないので自分は与えられたところへ行つて、自活でも農夫でもしてともかく更生して行く、併しこの二十年間の技術を活かすところに行きたいものだと、こういう希望者がいた。それから引揚げて來て青森一時収容所の中にも炭坑の技術者がいた。そうすると折角石炭増産が叫ばれて、その技術者が大分還るのが、それが妙なところへ行つておる。原因をだんだん追及して見ると、炭鉱に家がないというので、それで収容できないというのが原因である。でありますから同じ援護施設で家を建てるにしても、そういう炭鉱に至急に、それから開拓地とか結び付けてやつて頂いたらそつとよくはないか。技術そのものに関しまして感じられたものがその時、二三ありました。大体函館の経過として簡單にこれだけ申上げて置きます。
  56. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) 星野委員に申上げますが、只今ここにお見えになつておる政府職員は中小企業廳の小笠振興局長、大藏省銀行局の復興金融課長杉山知五郎君、又経済安定本部の雇用安定課長海老塚政治君、同課小林利男君、それから運輸省海運総局海運局長長岡田修一君、それから引揚援護廳援護課の河原輔之君、それから放送協会の企画部長で南江治郎君、それから遞信省電波局管理課長長荘宏君、それから復員局の田島技術官であります。以上であります。
  57. 岡元義人

    岡元義人君 今星野委員のいろいろ御質問も亦、便宜上審議会の件で沢山お見えになると思いますが、その時又いろいろ御答弁して頂きたいと思います。差当り運輸省の方はもうこれで後は大藏省関係に移りますが、運輸省の方に今一つ質問したいと思います。今も船舶関係で第一國会で問題になりました船員のいろいろな問題でありますが、この問題について非常に調査いたしました次第であります。第一國会におきましては、そういうことはないというようなお話であつたんですけれども、まだ一部の者が引揚者に本当の好意であるという解釈の下に物品の授受が行われておるかということなんです。これはいろいろな座談会もいたしまして、各いろいろ事務長も集つて頂いて私詳しくお話いたしたのです。というのは引揚げて來る。先ず汽車に乗る。中共地区でもそうでもありますが、私なんかも体験を通して知つておるんですが、汽車に乗りますと、中國なんかでよく機関手が機関車を止める。先ず汽車を止められないようにまあ一個大隊について五十万円という金をば納める。その次は今度は船に乗込む時に税関に時計とか、ライターとか、万年筆をそういうものを片つ端から取られますので、又それを取られないように又五十万円、それから船に乗りましてから非常に虐待される。これはそういうニュースが入つておりました。私たちの還る時には。それで先ず船員に対して船の中の待遇をよくして頂くというような積りで、船に乗つたならば船員の人に人形をやつたらいいだろう、それから煙草を上げたらいいだろうということを、ちやんと前から計画してあるんです。それで、船に乗り込みますと、幹部がそれを集めまして、船の方に届けるということになつておりのです。それで、お互いに膝突き合してお話しますと、そういう内容が分つていなかつた。今のお話を聞いて、我々は本当の好意を受けなければいけないと思つて受けたんだ、しかし又聞くと好意じやなさそうだというので、今後は十分慎まなければいけないといわれたんですが、それは淺岡君もいわれたんですが、私も被害者の一人です。それで、第一國会では、船長初め事務長はそういうことはないと國会でいわれましたが、我々調査して見ますと、まだそういうことが行われておるんですから、事務長もよく分つたということで、今後はこういうことはないと思うんですが、尚念のためにお含み願いたいと思うんです。  それからもう一つは、これは最近帰つて來る人は、先程から説明いたしております通り女が非常に多いのです、若い女性がまあ速記の関係もありまして、十分述べられませんが、非常に特殊な事情下に置かれておる。内地に帰りましても、自分には姉さんがいたんだけれども、今は行先が分らない。女は一人だから、残つてつても生活には事欠かないと、こういうような見栄で残つた人が多いのですけれども、最近ソ連当局から強制的に帰すというので、帰つて來るのですが、船内でまあいろんな問題があるわけなんどすね。船員の部屋に入つちやいけないということを船長は指示している。併したといえ合意の上で問題があつたにしましても、あすこに上つて來るときにはお風呂に入れて貰つて上衣を着せて貰つて、有難涙で一杯なんです。ただあすこを出ましてから、こういうところを教えてくれればよかつたのにあすこで教えてくれなかつたじやないか、こういう非難となつて出て來るんですが、それはもうあすこを出発しましてから一週間なり十日経つて、定着してからの問題なんです。船の中でこういうことを船員にされたということを、その時は合意の上でやつても、合意じやなかつたように、船員に無理矢理にそういうことを強要されたというようなふうに声明されておるんじやないか、現に煙草五本で強姦したと、こういうふうな問題をすでに巷で喧伝しておるのです。だから船長がびつくりして、船員の部屋に女が入つて行くのを船長が注意した、さらに十分注意をいたしますというお話つたのですが、すでにそういうときには合意であつても、帰つて來ますと、そういう工合に喧伝しておるのです。我々の耳には直ぐそれが入るんですね。一つその点を御注意申上げたい。  それから援護廳側に対しまして、十分に連絡を取つておきましたが、これは援護廳自体の反省すべき点も多々あると思うんですけれども、援護廳と船舶運営会の方といわゆる政府の業務が円滑に行つてない、それが感情的にまで発展しているところが見えるんです。これは少なくとも援護廳自体もお互に御厄介になるんだかという気持で、もつと緊密に連絡して頂くというもとは、強く援護廳にも私要望しておきましたのですが、運営会の方でもよく連絡を取つて……これは一例を申上げますと、援護廳側にいわすれば、薬を貰いに來る。その時に、アルコールを貰いに来たんだが、本当に必要な分だけをやればいいと思つて、それだけやる、もつと余計にくれということを船員側は要望する、これは本当は飲むんだというような解釈の下に、これをやらない、そうすると、船員の方では暴れる。というようなことがあるようなんですが、併しこういう問題は、お互がもつと緊密に連絡を取れば、難なく解決つく問題じやないかということを痛切に感じたのですが、ただ今度観察いたしまして、総体的には実によくやつていらつしやる。ということを、私たちは痛切に見て参りましたので、船員の方の一番御要望なさつておることは何かということを聞きますと、我々は終戦以來これだけの沢山の同胞をば、暑い所、寒い所から内地に運んでおるのだ、この大きな事業を遂行しつつある我々に対して、國家は勿論のこと、政府自体も非常に無関心過ぎはしないかという声を聞いた。それはどういうことかと申しますと、舞鶴だけで、今年だけの特配の衣料がたつた五十着しかない、それは何も引揚に從事しておる從事員の問題じやなくして、全般として五十着しかない、我々は縁の下の力持だが、併しながらこれを認めてくれということが、我々としては最大の願なんだ。併し國民からは、引揚げて來る人は認識されているが、我々は暑い所、寒い所をば克服して、そうして暴風雨と闘いながら同胞の輸送に当つておるということをば、皆が余りにも無関心過ぎはしないかという声を聞いたのです。これに対しまして、國会といたしましても、同僚委員とも相談いたしまして、今日放送局にも來て頂いておるんですが、國会としても激励の放送か或いはそういう方法を執るべきではないかということを痛切に感じたのです。で、あなたの方でこういうような被服その他について特配ができないということでございましたならば、又我々としても何等か考慮しなければならんのじやないかと考えられますが、特に引揚に從事しておる方々が、今の日本の船舶状況から申しましても、一番遠い所まで出かけて、相当苦労なさつておるということは、十分分るのでございまして、何か方法がありましたならば何等かこれに報いる、特配とかそういうようなものをば考えて頂けないか、これが私の一番申上げたい点なんです。  それから船員の、事務長以上の方々には、できるだけ國内事情をば、船に乗つたときに早く分らせるというような方法をば、何とかして執つて頂きたい。勿論船に乗りまして、船の模様から、食物だとかそういうようなことから、どうも我々が聞いている状況と少しこれは違うぞというような感じをば、船に乗つて皆が体験しておるのです。その際に大体國内事情をば、船中においても予め一つの知識を与えておく。それから援護廳にも連絡を取つてございますが、船内におきましてできる限り、先程山澄丸の乗船者の統計の一部をいいましたが、非常に罹病者が多い。これらの者に対しましては、あらゆる方法で以て深切に補導してやる、治療とかそういうことは、特別に受けられるんだということを、もつて徹底して教えてやつておく必要があるんじやないか。例えば山澄丸は一、一五二名邦人が帰つておりますが、その中相談受けた者は僅に二二一名、その二二一名の中の全部が罹病しており、送院された者が六二名おるのです。だからその他の者も当然相談を受けたならば罹病者であるというような者が相当数あるということが考えられる。で、こういうような指導は、援護局に、上陸してからは勿論指導もしなければなりませんが、船に乗つておる間に、堕胎とかそういうことについては、徹底した指導をする必要があるんじやないか。最近の状況をば船長さんに聞いて見ますと、自殺を図るというような、そういうような人たちは、最近はなくなつたという話でありました。これに対してはまあ船長は十分に気を配つておるというお話で安心をしたのでありますが、昨年博多に上陸した場合は一船で一番多いのは十何名程自殺者を出しておるという実例がありますし、最近は当然妊娠者が多く、而も内地へ帰る際に問題になるような妊娠をしておるような場合が多いと思います。そういうような点に対してもう少し徹底した指導を船中において、船の関係においても心掛けて頂きたいと思います。その外に収容所につきましてはいろいろ我々同僚議員にも問題になつておりまして、収容能力だとか、輸送能力だとか、そういうものにつきましてはより以上の輸送能力があるということは、各議員とも今回認識して帰つて來ておるつもりでありますから、この点御了承願いたいと思うのであります。大体以上であります。
  58. 岡田修一

    ○運輸事務官(岡田修一君) 只今のお話に対しまして簡單に私からお答申上げます。引揚船の船員の行動につきましては、從來からいろいろの批評がございまするので、私共といたしましても現地の海運局並びに運営会の支部に対しまして嚴重に船員の行動について監視するようにということを申しておるのであります。ただ今までのところこれという声が私共の方に参つておりませんので、幸い無事に行つておるのではないか、かように考えておつたのでありますが、只今御注意のありました点十分留意いたしまして、関係の当局に注意をいたしたい。かように考えます。尚援護局船舶運営会の連絡についてもお説御尤もと考えまするので、この点につきましても注意を喚起したいと思います。それから船員に対する激励でございまするが、船員の衣料を例に引いてのお話がございましたが、船員に対する一般の衣料その他の配給が非常に窮屈でありまして、引揚船のみならず一般繊維院に対して誠に気の毒な感を抱いておるのでありますが、現在の國内の経済事情から止むを得ないものと考えるのであります。併し引揚船の船員の労苦というものに対しましては、十分我々といたしましても感謝をいたしておるのであります。これに対する何らかの激励の措置は考えて見たい、かように考えております。尚お話になりました國会などにおきましても適当な意思表示をして頂けますれば私共としてはその上なき幸せと存じます。尚船内におきまするいろいろな周知の方法でございまるが、これにつきましても引揚援護局とも連絡をいたしまして万全の処置を執りまして、お設の趣旨に副いたいと考えております。
  59. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) 尚岡田局長に委員長からも申上げて置きたいのですが、この臨時國会が開かれまして、そうして特別委員会が当然できると思いますが、できた曉におきましては、これは先般舞鶴に行きました我々の班にいたしましても、或いは更に函館へ参りまして、勿論私も参りましたが……、この船員に対しまして感謝を表そうではないかということは各委員からも出て、どなたも依存がないのです。ですから今度正式に委員会が開かれましたら、この委員会といたしましてはその表示をするつもりであります。それにつきまして予め國会から派遣された各委員は非常に船員の労苦に対して感謝しておるということを表示して置いて頂きたいと思うのであります。  それからこれは比較なんですが、実は七月十三日に舞鶴に参りまして、そうしてあそこで船を見たわけであります。これは多く舞鶴におきますところの引揚船というものは大多数が復員者ですから非常に船内が綺麗なんです。ところがそれに引きかえまして函館に参りまして、もう数日前でございますが、引揚船に乗船して見たのですが、これは引揚者でもあり、荷物も多数だし、そこへまして子供が多いのですから、そういう関係でどうしてもその船が汚れ勝ちになる。当時この点につきましては船長にも事務長その他船員の方々にも簡單お話はして置きましたが、又船長その他船員諸君はよくやつておられるのです。それをより以上よくしろということはなかなか行かないということです。又どうしても一方の方は引揚者であり、一方の方は復員者であるというので、やはり子供の多い方が汚れ勝ちでありますから、そういう点に対して一つ留意して頂きたいということを一言申上げて置きたいと思います。
  60. 岡元義人

    岡元義人君 申し落としましたが、今配船計画が、入る月毎にこれは早くできないのですか。
  61. 岡田修一

    ○運輸事務官(岡田修一君) これはソ連の方から日本商船監督局の方へ申出がありまして、スカジャップの方で配船を指定するわけです。大体月二回くらいです。九月の配船の指令が漸く今日参つております。九月前半の配船であります。
  62. 岡元義人

    岡元義人君 大体非常に八月は遅れましたですね。これに対してあとの配船の調節はできておりますか。そういうところまでまだ検討ついておりませんか。
  63. 岡田修一

    ○運輸事務官(岡田修一君) 只今のお話につきましては配船の調査をいたしております。まだ十分とは行つておりませんが、殆んど完全に近いところまで行つております。
  64. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) それは一つここで言つて貰いますか。
  65. 岡元義人

    岡元義人君 もし分つたら……。
  66. 岡田修一

    ○運輸事務官(岡田修一君) それでは九月前半のソ連関係引揚船の配船の状況を御報告申上げます。ナホトカ、舞鶴の配船でございますが、九月七日明優丸、それから九日に高砂丸、十一日に朝嵐丸、十三日に第一大拓丸、十五日に大拓丸、それから待機船として信濃丸でございますが、今決まつておりますものはこの五隻でございます。ですから、一船二千人といたしまして一万人、これは非常に少いです。それから眞岡でございまするが、九月七日に千歳丸、十三日に雲仙丸、十五日に高倉山丸、こういうふうになつております。これは一船千五百人でありますから四千五百人、非常に残念でありまするが少いのです。
  67. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) 外に岡田局長に質問ありませんか、それでは岡田局長御苦労さまでございました。併し尚委員会状況をお聽きになつて頂いても結構です。
  68. 岡元義人

    岡元義人君 大藏当局、安本、中小企業廳が見えてかりますので、この際復金の特融についていろいろ問題が起きておるようでしたから、この点のその後の経過を一つこの際お聞きして置きたいと思います。
  69. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) ちよつと岡元委員、その前に放送協会の企画部長の南江さんがお見えになつておりますが……
  70. 岡元義人

    岡元義人君 放送関係は今申上げました船員に対して激励の言葉と、それから各駅に出迎えております婦人団体ですね。それから学生同盟、この大体三者を対象として特別委員会として感謝と激励の放送をするということをば今日委員会で決めようという計画であつたんです。放送協会の方でそういう試みができるかできないか一応伺つて置けば足りるでしよう。委員会として、今日外の委員も皆いるでしようが、みな賛成だと思うんです。若し委員会としてそれをやるということでありましたら放送関係の方の何をば聞いて置きたいと思います。
  71. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) ちよつと放送協会の南江企画部長さんにお尋ねいたしますが、只今岡元委員からのいろいろな要請がございましたが、これは今議員といたしましては一人でございますけれども、そうした要望は各委員皆非常に熱望しておる。それでこれは何か委員が特にしなければならん問題じやなくして、とにかく実際船員諸君に対しまして学生同盟の諸君にいたしましても、或いは各地の婦人団体にいたしましても、殊にこの引揚港の舞鶴函館におきまして実際当局は非常に御苦労です。これに対しまして何か放送局として、企画部としてお考えになつて頂けるかどうかという問題が一点でございますが、それからもう一点実はこれはよくないことかも知れないんですが、樺太に今残つておられる人たちは、これはもう全部ラジオを外國に接収されてしまつておるのですが、ところが一部は若干はそれを入手して聞けるというような点もあるのですが、船に乗る、そうするともう新聞とかいろいろなものをこれは文部省からもいろいろ來て、内地の事情のおぼろげな話をされるのですが、船に乗ると直ぐにラジオに飛び付く、ところが引揚の問題とか、そういう問題に対しては少しも言つて頂けない。それから実は樺太におつてももう一人が聞くとそれを皆知らせ合う。ちよつと速記を止めて頂きたい。
  72. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  73. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) 速記を始めて下さい。
  74. 南江治郎

    ○放送協会企画部長(南江治郎君) 只今委員長ならびに岡元委員の大変結構な指示を受けましたので、先ずその初めの引揚のためにいろいろ犠牲的な奉仕をなすつております船員の方、それから婦人の方、或いは学生同胞援護会とかの活動、そういう下積的な、献身的なそういう労苦に対して是非これを周知宣伝して、全國民の関心にしたいという、そういう御指示に対して大変私の方としても結構なことと存じております。実は毎日曜日の九時四十五分から九時五十五分まで引揚者の時間というものを作つておりますが、從來ともこういう問題につきまして放送局の方でも時には取上げております。  例えば六月二十日に本年度第一回の引揚船の再開されましたときに、その第一回の船が着いたときに出迎えに行つた学生が熱海駅で過労のために倒れたという事件が出たのであります。これを中心にいたしまして、学生同胞活動の座談会を開いて、これまでの学生諸君の献身的な努力並びに現実の努力、それから將來に対する同胞学生諸兄への呼びかけというようなことを題材にいたしまして座談会を開いたこともあります。それから又毎日曜日の引揚者の時間に引揚げて來た方々、並びにそれに援護なすつておる方々座談会を開きまして、その都度それに関与されておる学生諸君、船員諸君、婦人会等の方香だにも御出席を願つてお話を徹底して頂くというふうには行なつておりますが、先程から私委員方々お話を聞いておりまして、最近の実情調査による報告によりまして、私たちも大いに示唆せられた点が多かつたと思うのであります。その点今後のそういう機会に改めてそういうものを大きくクローズ・アップして頂くということは非常に結構だと思うのであります。これは係りの者を委員のどなたかに連絡を取りまして細かい指導を受けるよう便宜を運びたいと思います。  それから第二番目の樺太に残つておる方々に対する放送の件でございますが、ちよつと速記を止めて頂きたいと思います。
  75. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  76. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) 速記を始めて。
  77. 岡元義人

    岡元義人君 この機会にちよつと、いい機会ですから申上げておきたいと思いますが、いろいろ今の引揚状況についての放送関係は、今まで引揚者の時間で行われておるんですが、その外に生業資金の貸付だとか、或いは商工省からのいろいろ引揚者の物品の配給というようなものが、地方末端で以てよそへ行つてしまつておる。今度調査いたしますと、丁度日用品課長も來て頂きましたので、第一回の引揚者用の洋傘だとか、第二回の引揚者用の傘が今出ておりますが、それらが各縣において引揚者に渡らずに外に流れておるというような事情もございますので、今日は委員派遣ということを午前中に取上げられましたが、引揚者用の更生用資材というものは配つたんですが、僅かにそれを貰つたのは数件に過ぎないというような問題もありますし、本当の定着後の更生というようなことについていろいろ考えて頂いたら結構じやないかと思います。一応参考に述べまして……。  次に委員長、ついでですからこれは放送局にも関係がありますから時間が過ぎておりますが済ましてしまいたいと思います。速記を止めて頂きたいと思います。
  78. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  79. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) 速記を始めて。
  80. 岡元義人

    岡元義人君 最近の状況ですが、滋賀縣の神崎郡永源寺村大字和角坪倉登美子という人からの当初によりまして判明しておるのでありますが、場所は兵庫縣の加東郡來住村國際短波無線研究所報知部、この人から先程の坪倉登美子さんの主人の消息をば教えるから二百円金を送れということをいつて來ておるのであります。と同時に又茨城縣結城町大町スズキラジオ店、ここからも同じようなことをばこの坪倉さんに要求して参つておるのであります。この偶然一致しておるところを見ますと確かにソ連からも放送になつたものと解釈されるのでありますが、但し正式に兵庫縣の國際短波無線研究所というものは相当これは私、書類も見ましたがスタンプもちやんとついておりますし、計画的にやつておるものだと見るのですが、こういうものに対してどういう工合に取締つておられるのかこの際伺つておきたいと思います。
  81. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) 今の葉書とか書面てか写しか何かお持ちですか。
  82. 莊宏

    ○逓信事務官(莊宏君) 政府委員であります局長が参る筈でございますが、今日GHQの方へ行つておりますので、代りましてお答えいたします。ちよつと速記を止めて下さい。
  83. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  84. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) 速記を始めて。
  85. 莊宏

    ○逓信事務官(莊宏君) それで外國の放送を聞くことが自由です。從いまして逓信省といたしましては、これを取締る今法的な根拠はございません。一旦とりましたものをあとどういうふうに利用するかということは、これは純然たる私的の経済行爲と見る外現在の法規ではないのでありまして、これに対しましても逓信省といたしましては手が出せないという状態でございます。若しもその流布しております情報がそれが虚報のものでありましたり或いはその他刑法の規定に引掛かるというようなものでありますれば、そちらの方からの取締があるわけでございますが、それに引掛からない限り現在では如何ともなしがたい、かような現況でございます。
  86. 岡元義人

    岡元義人君 逓信省としてはそうでしようが、これは相当委員会としては研究して、留守家族は非常に弱点を持つておるわけです。何とかして知りたい、これが正式にこういうものが許されるということになりますと非常に混雑を來すというだけでなくて、弱点を掴まれておるだけにいろいろな問題が起る可能性があるわけです。これは何とか援護廳も今日見えましたが、若し逓信省のおつしやるようなことであるとしましたならば、政府自体において何らかそういう実情をば政府でもニュースをとろうと思つたらとれるわけです。ですからできるだけ無料で知らしてやるという方法をとつたらいいんじやないですか。そういう方法は講じられませんか。
  87. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) ちよつと今岡元委員の御質問に更に私は加えまして、丁度同じことですからお聞きしたいんですが、幸い放送協会の企画部長もお見えになつておりますから共々に聞いて頂きたいと思います。これは第二國会におきましてこの特別委員会でもう三、四度議題として出されたのですが、それに対しまして今まで委員長がそれを取上げなくて、今日に参つたわけですが、といいますのは、これは共産党の細川議員から再々いわれたんですが、ソ連でも引揚者に対してのことを報道しておる、その報道は非常に親切な放送である。だから日本側の放送局としても、それをよい面は内地にどんどん知らしてやつたらいいだろうという質問が、もうこれは数回出ておりますけれども、いつもそれは中平委員長の取上げるところとはならず今日に及んでおるのでありますが、幸い岡元議員の質問にいたしましてもほぼそれに関連したようなことですが、そういうようなことが現在の日本の國情でできるかどうかという問題ですが、一つこの点に対しまして御所見を述べて頂きたいと思いま。ちよつと速記を止めて頂きたい。
  88. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  89. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) 速記を始めて……
  90. 岡元義人

    岡元義人君 私が今質問いたしましたように、何かこれは援護局長が見えておりますけれども、引揚者援護、留守家族の援護という立場からも非常に弱いですな。何にも要らないから主人を帰して貰いたいのです。それが一番切なる願いなんですから、だから金を送れというとどんどん金を送つている者も相当あると思うのです。そういうことを國家が黙つてつて置くということは宜しくないではないか。実際そういうものに対する問合わせはここにして頂ければ、或いはこちらから消息があつたということを無料で知らしてやるというような私は心遺いがとれないか、こういうように思うのです。これは外務所も関係がありますね。
  91. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) ちよつと速記を止めて……。    午後三時零分速記中止    カザリセン    午後四時三分速記開始
  92. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) 速記を始めて下さい。
  93. 岡元義人

    岡元義人君 各議員も來ておるのでありますけれども、あつちこつち受持つておるようでありますから、私が一人で申上げますが、日用品課長に非常に御厄介になつておりまして、引揚者団体は非常に感謝いたしておるのでありますけれども、この間第一回の洋傘を配給して頂きました。洋傘の実態を調査いたしますと、実際は引揚者に渡さずに、引揚者で取らないものは、引取ることのできないものは自由に外の方へ廻してよろしいというような通牒を勝手に地方自治体が出しておるのでありますが、あなたの方の考えはどういうお考えですか。それから今度第二回の児童用という解釈に非常に困つておるんですが、児童用の解釈をはつきり、今沢山あちら、こちら全國から問合せが参つておりまして、非常に困つておりますので、一つつておきたいと思います。
  94. 兼坂隆一

    ○商工事務官(兼坂隆一君) 今御質問頂きました洋傘の件でございますが、第一回の引揚者の洋傘の数量につきまして、実はどういうお話承知いたしておりませんので実は書類を持つて來ておりませんが、前に岡元議員がお見えになりましたとき数量につきましてはお見せいたしたので、おわかりだと思います。これにつきましては厚生省の方の打合せいたしました結果、各府縣引揚者用として、洋傘のように一般配給のなかなか困難なものにつきましては、引揚者の方に優先的に配給することがいいのではないかということで、引揚者用ということではつきり配給いたしております。從てまして地方廳がそれを一般に流していいということがございましたならば、これは地方が余りに何と申しますか、間違つた融通をきかせ過ぎたのじやないか、かように考えておりますので、そういう件がございましたら一応私共の方へ御連絡頂きますならば調べたいと思います。  例えば、これは関連のない話でございますが、私どもの方の執務はこういうふうにしておるという点をご参考にお聽取り願いたいと思いますが、東京都におきまして或るメーカーに洋傘を引揚者用のためにストックさしておりたものを、ちよつと私の方の出荷指図が遅れました関係もございますが、東京の或る店で自由販売してしまつた、これは東京都の許可も受けずに自由販売してしまつた、これは東京都の許可も受けずに自由販売したということがございます。売りました本数は幾らでもございませんが、このメーカーに対しては現在生地の割当を二回に亙つて停止をしておる、これくらいのことをしておるということを御承知頂きたいと思います。  それから最後に御質問の、学童用の傘でございます。実は学童用の傘につきましては、絹生地の放出が去年の九月にございました。これだけの絹生地の放出は全部戦災、引揚者用、学童用という名目で出されたものでありますので、この点につきましては全部一応戦災引揚者用、学童用を対象として渡して貰いました。尤も作りました傘は学童用の傘ではございません。大人の傘と同じようなものでございます。これは何故かと申しますと、現在骨の生産状況、生地の幅の関係からいたしまして大きい傘を作つた方が生地の無駄が出ないという関係で大きい傘でございました。成るべく子供向にするようにと指図して作らせたのでございますが大きさは普通の雨傘と余り違わない、生地の節約の関係から違わない傘を作りましてこはれを学童用として配給いたしました。第二回の分につきましては今相当水量出たが、今度はできるだけ一般の学童も困つておりますようでありますので、今度の分につきましては引揚者、戦災者用としての枠というはつきり紐付をいたしておりません。併しながら地方廳におきまして実情がそういう実情である、引揚者、戦災者等その他地方長官、学校長が必要と認める場合、困つておる人から先にやつて呉れという程度の趣旨しか通牒には記載しなかつたと記憶しております。從いましてこの分につきましては戦災者、引揚者用という限定をいたしておりません。さよう御承知頂きたいと思います。
  95. 岡元義人

    岡元義人君 前に配給して頂きました分が実際は抽籖で引張りだこで、私なんかも抽籖に行つた口なんですが、なかなか貰えないんです。それで特に既存の業者は雨傘でも何でもある。戦災者と引揚者というものは傘を持つと引揚げて來るのは一人もないんです。学校へ行くのは傘がなくて行けないというのは引揚者の子供が一番多い。だから今度の指令地方で非常に迷つておるので、各府縣を廻りましたが、児童用という分は配給せずに押さえておるんです。早く政府連絡をとつて呉れ、どういう工合に解釈すべきかということで非常に困つておるようですが、できましたなら今申上げましたように、前の分が十分に行亙つておるというようなことでは決してないのでありまして、相当つておりますから、それぞれの点を明らかにして、半分なら半分を一般にやり、半分はこういうふうにしろということで指令しないと、各縣とも困つておる。引揚者に出ておる分、児童用の分は困つておる状況であります。  もう一つのお願いは、第二回の配給は、援護廳は知つておりましたが、そういう援護廳からの通知が厚生省あたりに行つていないので、第一回の分は局長から話して頂きました。第二回の分はそういう横の連絡がほしいのですが、どうしても課長からの親心をちよつと電話で援護局にこういうものを出したとということを一言いつて頂きますと、援護廳は各縣の厚生課長をして、こういうものの配給があるということを教えて呉れると思います。そういうところも一つ特にお願いしておきたいと思います。又今後いろいろな計画がございます場合に、できるだけ私達にも、委員会の者にも教えて頂きますと、それを各方面にも指導するということができると思いますので、是非一つこの際お願いしておきたいと思います。
  96. 兼坂隆一

    ○商工事務官(兼坂隆一君) 尚特に九州に引揚者の方が非常に多いということは私どもよく承知いたしておりまが、九州は和傘が相当できますのでございまして、若し和傘の方も実は配給統制という程のことをしておりませんが、紐に油をつけて出すことにしておりますが、和傘の方も尚必要でございますれば私の方で適当な処置をとつてもよろしい、かように考えております。尚今の件につきましては、一応電報で何縣から紹介もございましたので、学童用、戦災者、引揚者用等に限定せずと一応回答はしてございますが、これは今の御趣旨にもございますので、御趣旨に副うようにいたしたい。かように考えております。
  97. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) 委員長からもよろしくお願いいたします。それでは中小企業廳の振興局長に……、お急ぎのようですから……。
  98. 岡元義人

    岡元義人君 先程から続けて申上げますが、今ただ速記を止めてということでそのままになつておりますが、今後の見透し、それから企業廳との関係、企業廳の中小企業の枠との関係その他について委員会に少し明らかにして頂きたいと思います。今後これが継続できるかできないか、それから継続するのにはどういう工合にするか、又こういう方法ではいけないからこういう工合にしたらということを復金課長並びに安定課長に、特に中小企業廳との関係がどういう工合になつて行くかということをば御説明願いたいと思います。
  99. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  100. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) 速記を始めて。
  101. 岡元義人

    岡元義人君 大体想像しておつた通りなんですが、併し審議会で検討されるのも結構だと思うのです。ただこのもともとの問題は、この参議院の特別委員会から出ておりますので、特別委員会といたしましても、これはこのままに報知するというようなことはできないと思います。あなた方の方でもそういう点に関心を持つて頂きたい。先ずその前にいろいろ意見もありますが、中小企業廳の御意見は今後の問題についてどういう工合にお考えになつておるか。これについて一つ……。
  102. 小笠公韶

    ○商工事務官(小笠公韶君) 尚特融の問題につきましては、先程海老塚課長からもお話がございましたが、尚今後の中小企業金融との関係はどうか、こういう問題でありますが、実は今海老塚課長からお話がございましたことは、私初めてでございまして、特に考えて見たこともございません。從いまして今後若しも海老塚課長が言われたような成行に、向うとの関係においてなるとすれば、そこに新しい何かの形を考えなければならんということは当然言えると考えております。只今私共が今度の中小企業金融の関係で、取敢えず一期五億五千万円の財源をやるということに相成つておりまするが、この面につきましては、実は只今まで私共の考え方といたしましては、いわゆる純経済的な金融として考えて行きたい。こういうような考え方で進めておるわけであります。從いまして企業の基盤の相違から來ておる問題が、この問題の中心でありますが、そういうところに対しまする態度は、特別いたしておらないというようなのが今度の五億五千万円のことについての問題であり、考え方でございます。ただ経済的な考え方、いわゆる事業金融の特殊な一つの形体として、中小企業に対する問題として考えておりますのは、できるだけ中小企業の振興に寄与するような、いわゆる資金の公平を確保するというような考え方が中心的に相成つております。從いまして与えせけた問題につきまして、どういうふうにやつて行くかという問題は、この特融の見透しの問題と、特融それ自体の性格というような問題と考えまして、新らしく考え直さなければならんのではないか。こういうように考えておりますが、そういう事態につきまして、尚從來の経緯その他の関係もございまして、大藏省その他と話を進めて行く、こういうことにいたしたい。こう考えております。
  103. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) ちよつと小笠局長に申上げますが、実はこの特融の問題は昨年の十二月三日の参議院の在外同胞特別委員会におきまして、大藏大臣が再三この引揚者の事業資金の問題に対しまして、融資をするということを特別委員会で始終突つ込まれたのであります。その結果とにかくなんとかして考えましよう。なんとか処置いたしましようというようなことがいろいろ重なり合いまして、遂に十二月の三日か、四日かどつちの日ですか記憶しませんが……そこで中小企業の事業資金三億か四億、その中を一億廻すようにしようじやないかということを言われて、そうしてこの特融の措置に発足したわけなんです。今小笠局長のいろいろなお話を聞いてみますと、大藏大臣もその当時やはり同じようなことを言われておりました。  そういうようなことが言われて來たわけですから、これは今後の問題でございますけれども、とにかく第三四半期以後におきましては、引揚者の更生資金、特融の問題ということはやつてなくなるということは非常に困るので、由々しき問題であります。これは一つ安本や更に大藏当局ともいろいろと一つお話合い頂きまして、なんとかこの第三四半期以降において御考慮願い、或いは善処されるというようなことを、眞剣にお考え頂きたいと思います。大体特融の大まかな國会におきましての経過というものは以上のような工合でございます。御参考までに申し上げて置きます。
  104. 岡元義人

    岡元義人君 今お話を承つたのでが、非常に私がつかりしたのですが、今委員長が申しましたように、栗栖大藏大臣当時に、おれはこれで途を開いたのだということを非常に大臣も言われたわけなんです。とにかく片だけ付ける、それから先へ拡げて行こうという方針で、特融というものは生れたものなんです。ところがだんだんまだ三回しか出ないというようなときに、これを又却つて縮めて行くというような結果になつたのでは、そのときの状況と非常に相反して來るのですが、勿論企業廳のお考えが必ずしも正当でないというようなふうには考えたくないのであります。当然引揚者と雖も一般の企業の中に入つて、そうしてどしどし金融をやつて行くということが一番理想的じやないかと考えるのであります。併し実際問題にぶつかつて見ますと、あなたの方の親心が地方末端に行きますと、既存業者とはどうしても較べものにならん。新らしいものに対するいわゆる、つつかい棒の政府補助という問題も出ておりましたけれども、新規事業がそれだけ実際取上げられるかということは、私相当研究もしておりますが、結論としてはやはりなんらか特別な含みがない限り、引揚者一般の中に食入つて行くということは困難じやないかと考えます。企業廳が発足いたしまして、長官もお決めになるというからして、実は先日來企業廳と特別委員会との会合をして頂きたいと考えておつたのであありますが、その機会を得ずにおるけれども、速やかに特別委員会は再三会合をいたしまして、この第三次の問題を解決すべくやらなければ、先程海老塚課長が言つておられたように、非常に頼みの綱としておるのです。これで助かつたと思い、この特融に対してどれ程皆が感謝感激をしたか分らない。  それでそれがたまたま僅か三回にしてこれが打切られたということになりますと、勿論國会としてもこれはいろいろ非難を受けなければならないということが考えられますが、もつと伸長に速やかに善後対策をば審議会にかけるまでもなく、特別委員会としてもこれは報知できないことで考慮して頂きたいと思います。今日はそれを直ぐ申上げてもなかなか無理でしようから、その点はその程度に止めて、研究して頂いて、この次の委員会に企業廳としてももう少し突込んだ具体的な問題を持つて來て頂いて一つ御回答を願いたいと考えるのです。  尚この際時間も経過いたしますので申あげておきますが、特に復金課長に申上げておく。この三次からやらないとなれば、問題は別でありますが、從來我々が一番懸念いたしておりましたいろいろな不正問題というものがやはり相当起きております。先日私福岡の東京銀行へ参りまして、これは私北支以來のいろいろ取引銀行でありますので、ざつくばらんに重役連中も話してくれるのでありますが、いろいろわれわれの言うことを聞いてくれる。この委員会委員をしておつてこういう問題を知らないということはない、どうしたことかと聞きますと、特融の金を受けるために、福岡の復金、名前を分つておりますが、招待して宴会をやつた。ところがその宴会の最中に、このくらいの金を使つて金が足りると思つておるかということを某課長が、その名前も分つておりますが、はつきり申した。非常に本人は憤慨しまして、東京銀行に走り込んで來て、私はあの金は死んでも借りない。実に生まれて初めてああいう残念な思いをした。こういう実情であるから聞いてくれというので、縷々と本人が憤慨して東京銀行でこの話をした。東京銀行が私を捉えて、こういう実情があるのを君は黙つておるのかということまで注意を受けておる。福岡の東京銀行をお調べになつたら直ぐに分ります。かかる状態であります。  又先程ちよつと口を滑らしたが、安定局の出先がこの復金調査という名前を借りまして、各縣を廻りまして、各縣で一体どういうことをやつておるか。皆温泉やそこらに行つて皆女抱かされておる、その現場も私は知つております。そういうような状態引揚者の折角特典として与えられた金につて地方末端にはそういうような事故が頻々として起きておる。こういうようなわけで、折角の親心も親心になりませんので、私は栗栖さんに話をし切れません。生まれてくるときには栗栖さんに非常に骨折つて頂いた。私はこういうような話はしたくともできない。どうぞ一つ銀行当局にも是非やつて頂きたいと思うのです。  先日復金に参りまして、甚だしいのは鹿児島縣、私の郷土でありますが、鹿児島縣の復金の所長が井上というのですが、先日「さんご」の借入金で本人が約二ケ月間出ておりました貿易廳、それから復金の指示に從つていろいろな書類を揃えたのです。そうしてこの金は当然出してやれというので、農林省でもすつかり資料を貰いまして鹿児島へ帰つた。これを二ケ月間も放任しておく。採上げてない。それで本人が早くしてくれ、中央で二ケ月間も掛かつておる。又あなたの所で二ケ月間も放つておくのはやり切れない。随分金を使つておるということを本人が言つた場合に、岡元議員に何ぼ金を使つたということを言つております。これは由々しき問題でありまして、苟くも私は國会議員としてあれだけの復金の世話は、何処へ持つて行つても、農林省に行きましても、大藏省当局も御存知だと思いますが、足をすり減らしてやつております。これは当然國会議員としてやるべきだと思います。併しながら一銭たりともそういうような需要者に迷惑をかけるというようなことは今まで曾てしたことはありません。そういうことをば公然と言い放つ、鹿児島の引揚者団体がどんなにか涙を流して、私は申訳ないからこの金は借りませんというので、実は所長の前に叩きつけて帰つておる。鹿児島の引揚者団体は私は全國で一番世話をしておるわけでありますが、この問題を取上げまして遺憾に堪えないというので、勧銀初め井上所長の部下の人はまずいことを言つた岡元に関する限りよく知つておるのだ、そういうことで問題にしております。こういうような不都合なことを平気でやつてのけるというに至つては折角中央で皆さん骨を折つて頂きまして、本人に金の渡るのはいつのことか分らない、若し何ならば私は証人を喚問して調べて頂きたいと思います。その事実を調査して頂くと同時にこれに対して処置して頂くということをお願いして今日の復金関係の問題は終りたいと思います。
  105. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) 岡元委員にお尋ねします。そうすると今の井上所長ですが、そういう人立つの言動に対して調査を御当局にして頂き、その結果は委員会に報告して頂かないでもいいですか。
  106. 岡元義人

    岡元義人君 是非報告して頂きたい。そういうことがあつたということになりますと僕は同僚議員に対して申訳ありませんので、これは明かにして頂きたいと思います。
  107. 杉山知五郎

    大藏事務官(杉山知五郎君) 只今岡元議員より御発言のありました点、私共前から実は注意いたしておるのであります。中にはそういう不心得の者がおりますといたしますれば今後共ますます注意を嚴にいたしまして、そういうことのないようにいたしたいと考えておるのであります。又書類審査の遅延につきましてはこれも皆様御承知と思いますが、受付申請数と比べまして処理件数が如何にも少ない。その人数を殖やそうといたしましても、なかなか市中銀行ですから、援助を求めてもこれが実現できないという実情にありまして、できるだけのことはいたしておる積もりでありますが、なかなか思うように審査が進行しないというようなことが一般的の趨勢だと思います。併しながらやればやれるのに徒らに遅延せしめるというような不当な者がありますれば、一つ私の方にも御注意願いまして、私の方で調べたいと考えております。  それから今御指摘になりました不当なことを申しましたような点につきましては、一つ誠に恐縮でございますが、詳細な点を書面にして頂きまして、私の方で一つ詳細調べましてこの委員会に御報告いたしたいと思います。
  108. 岡元義人

    岡元義人君 書類で出すまでもなく簡單です。相手、言われた方は坂下、それから所長は井上ですから「さんご」の件の借入ですから。
  109. 杉山知五郎

    大藏事務官(杉山知五郎君) 金額は幾らですか。
  110. 岡元義人

    岡元義人君 二百万です。
  111. 杉山知五郎

    大藏事務官(杉山知五郎君) いつ頃ですか。
  112. 岡元義人

    岡元義人君 極て最近二週間くらい前の出来事です。次に小島課長にお伺いいたします。今度舞鶴を視察いたしましていろいろ気がついたのでありますが、先程大藏省関係には十分注意を喚起いたしましたが、持帰り証券というものの取扱いがどこでどういう工合に指導されるか、援護局に上つて來た時の指導その他が全然行われておらない。これは外務省ではどういう工合にお考えになつておりますか、この点伺つて置きたいのであります。  それから先程大藏省の方にも申して置きましたが、有價証券類舞鶴安田銀行に保管され放しで整理されてない、引揚げて來た時のままになつておる、こういうものが中には眞に金に換るという有價証券さえあるという実情なんです。この点については御説明願いたいのと、最後に例の九億二千万の問題がどの程度進捗したか、それだけ伺えば結構です。
  113. 小島太作

    ○外務事務官(小島太作君) 引揚者の持帰り有價証券については從前には外務省において、引揚者に引渡し得るものをお手許に届けるという事業をいたしておりましたが、その後この証券類が多数到着しましたので、その事業を迅速にやる必要上当時の引揚援護院にある仕事を引受けて頂くことにいたしました。極く最近援護院の中の引揚者証券整理事務所で其の整理をやつてつたのであります。この証券整理事務所で引揚者の当然持つて帰らるべき証券類の引揚者への転送ということをやつて來たわけであります。その事務が極く最近に一応一段落いたしまて、いわゆる輸入不許可分というものをこれの保管官廳である大藏省へ引渡し一応引揚者への証券類転送事務というものを閉じたということになつております。如何なる有價証券類が持帰り許可物件になり、如何なるものが不許可であるかということは主務官廳は実は大藏省でございまして、私の方ではこれはを一括取寄せるという一面の仕事をお引受けいたしておりますけれども、來た場合に恐らく関係方面からの指令によりまして、從來不許可品であつたものが後から解消されるということを大藏省においと取扱つております。つて御指摘の舞鶴銀行に保管れておるというようなものは、恐らく想像いたしまするに、これは不許可品に属するもので、税関政府保管の役を引受けておることになつております。それが現実の保管をそちらに依頼しておるのじやないかと想像いたします。当然持帰り許可品でありますれば引揚者が自ら持つて帰れるわけでありまして、敢えて政府の手を煩わさないでもよろして。政府が保管を命ぜられておる分は当然政府が保管するわけでありまして、その中に当然持帰り得るものが混つておるというものはちよつと考えられないのでございます。  次に第二点の例の九億二千万円、いわゆる在外公館の借上難民救済資金の現状を申上げますと、御承知のように、本件は随分長い間政府関係官顧問及び司令部の関係方面との懸案になつておりまして、事の重要性に鑑みまして、その後しばしば同じ問題を繞りまして、異なつた角度からこの件の重要性を認識して貰うために折衝が続いたのでありますが、政府関係官顧問の本件に対する態度は御承知のようにすでに一決しておるわけでございます。そこで極く最近におきましては、六月の末に総理大臣が総司令部の関係方面にこの問題を提起されまして、特にその問題の解決措置を取ることを許可されるようにと懇請されたのでありますが、その後に至りまして、私どもの受けておる印象ではこの難民救済資金在外公館借上金というものが政府の行政費と目されるべきものであつて、当然政府は何とかこれを精算しなければならんということの性質に関しましては、從前よりも数段増して理解が深まつて來たと確信しております。  ただ本件に関する当初よりの條件と申しますか、若干伴なう……別の角度から考慮される中で最も重要だと考えられますのは、優先待遇の問題といいますか、本件が先例となるという点における問題を共に重要視しなければならんという段階でございます。只今事務当局では本件資金の問題を解決しなければならんということに関する了解をつけたということは、或いは意味では問題は半分は解決したというような確信に立ちまして、そのような條件を附けられた。その條件を何とか乗切ろうという点を目下考究しておる段階にございます。御報告を申上げる点は以上であります。
  114. 岡元義人

    岡元義人君 九億二千万円の御努力は非常に有難いんですが、こう大分日がたつておりますが、尚一層御努力を切にお願いいたします。  第一点の問題は舞鶴のことを言つておるのです。厚生省の指示によつて拂出す。今課長が仰しやつたが、そいうものはある筈はないというのは私少し間違いじやないかと思います。というのは当初に還つて來た者でもその後においていろいろ許可になつておる範囲が殖えておるわけです。最初のものがその儘放り込まれておるわけです。その点なんです。
  115. 小島太作

    ○外務事務官(小島太作君) 実は本件を御回答申上げるのは責任回避の如き言辞なんで甚だ恐縮でございまするが、このような証券類が内地へ入つて來ることに関しましては、外務省といたしましては直接全然関知していないのでございます。ただ事が引揚者から持込まれるものでございますから、その面において自然に我々の方では相当程度まで主務管廳の大藏省取扱い振りを承知しておりまして、場合によつてはこれを助けたり、殊に場合によつてはみずから大藏省令を研究しまして、処理しておつたわけでございます。從いましてこれが最初の分は舞鶴にあるということに関しましては、勿論我々の方からも注意を喚起いたしまするが、只今のところちよつと分りません。
  116. 岡元義人

    岡元義人君 委員長もう一つだけ。これも亦大藏省関係があるのですが、外務省にも関係があると思います。先程私一つ大藏省に聞くのを忘れたのですが、北鮮券の持帰りは許可していない。外の紙幣は全部交換しておる。北鮮券というのは認めていないのでございますか。外務省どうなんですか。
  117. 小島太作

    ○外務事務官(小島太作君) では只今の点はこれも大藏省の問題でございますからそちらに紹介をしまして……
  118. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) 分りました。
  119. 岡元義人

    岡元義人君 もう一つだけ。尚お調べになるとき、最近ソ連地区のものは労働賃金を拂つておるようですが、そういう点もお調べになつて置いた方がよいと思います。それからソ連政府において取上げられるというような情報をここでお聞きしたのですが、そういうことも実際行われておるか、外務省の立場から調査をお願いいたして置きたいと思います。
  120. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) それから委員長からもちよつと申上げて置きますが、今のに関連した問題ですが、さつき大藏省から聞きましたのは、いやそういうことはないのであるというふうに私聞いたのですが、このソ連の新紙幣、そうした問題に対して皆取上げられておるというようなことを言つておるましたが、そういう点も一つ併せて外務省で御調査願いたいと思います。
  121. 小島太作

    ○外務事務官(小島太作君) ソヴイエット側で労働賃金を拂つておられるという話でありますが、ソ連地区は部分的に労働賃金を拂つておるようであります。それらを実際においては大部分ソヴイエット在留中に消費しておりまして、殆ど蓄積しておる者はないと思われますが、若し仮にナホトカとか、眞岡からルーブル紙幣を持つて参りました場合はソ連官憲が取上げるということにソ連側はしとおります。御参考までにそれだけ申上げて置きます。
  122. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) それは取上げられるのは当然でありますが、実際持つて來ておる人もあります。旧紙幣も新紙幣も。この間函館で見たのでございます。
  123. 岡元義人

    岡元義人君 外務省はいいでしよう。
  124. 淺岡信夫

    委員長代理(淺岡信夫君) それじや一つそれを調査して次の委員会一つお願いいたします。御苦労様でした。それではこれにて散会いたします。    午後四時四十九分散会  出席者は左の通り    委員            矢野 酉雄君            淺岡 信夫君            山田 節男君            岡元 義人君            星野 芳樹君   委員委員            楠見 義男君            田村 文吉君   政府側    総理廳事務官    (経済安定本部    労働局雇傭安定    課長)     海老塚政治君    外務事務官    (管理局在外邦    人課長)    小島 太作君    外務事務官    (管理局引揚渡    航課勤務)   種谷 清三君    大藏事務官    (管理局管理課    長)      前野 直定君    大藏事務官    (復興金融課    長)      杉山知五郎君    文部事務官    (社会教育局勤    務)      深見吉之助君    厚生事務官    (引揚援護廳援    護局長)    田邊 繁雄君    厚生技官    (医務局國立病    院課勤務)   小西  宏君    厚生事務官    (復員局勤務) 田島 俊康君    厚生事務官    (引揚援護廳指    導課勤務)   安福 信雄君    商工事務官    (生活物資局日    用品第一課長) 兼坂 隆一君    商工事務官    (中小企業廳振    興局長)    小笠 公韶君    運輸事務官    (海運総局海運    局長)     岡田 修一君    逓信事務官    (電波局監理課    長)      莊   宏君    放送協会企画部    長       南江 治郎君