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1948-06-10 第2回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月十日(木曜日)    午後一時五十一分開會   —————————————   本日の會議に付した事件滿洲引揚開拓民の入植に關する請願  (第四百五號)(右請願に關し證言  あり)   —————————————
  2. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それではこれより開會いたします。
  3. 岡元義人

    岡元義人君 先程御説明のありました災害補償適用に關するものは、これは一般復員者でありますが、これに對する復員局當局の御見解を一應簡單に承わつて置きたいと思います。
  4. 岡林諄吉

    説明員岡林諄吉君) 私復員局業務課長であります。岡元委員からの御質問は、この説明資料に大體骨子が載せられておるようでございますが、一應私共の考え方を申述べます。  復員者に對しましては、御承知通りに未復員者給與法によります給與の外には、傷病者に射して極めて少額の傷病恩給が渡つておるのみでありまして、誠に氣の毒な状態にあると考えておるのであります、今囘公務災害補償というものが、政府職員適用せられますようになりましてから後におきましては、即ち昨年の九月一日以降において、病気なつたり、怪我したり或いはそれがために亡くなつたという人であります。こういう人達に對しては、せめてもこの公務災害補償適用させて行きたいということが一つの念願とするところでございます。その理由といたしましては、舊軍人軍属に對しまする恩給賞與その他のいわゆる利得が、昭和二十年の十一月二十四日附の指令によりまして停止になりました。その停止になりました理由は、軍隊勤務理由によるものと、こう明瞭に示されております。ところが終戰後のこれら元軍人軍属状態考えて見ますと、昨年五月三日の憲法施行のときまでは、依然として軍人という身分を保持しておりました。けれども終戰後はこれを軍隊勤務と見るべきでないと信ずるのであります。連合軍側收容せられましてから後の勤務というものは、これは連合軍側の命令によりました收容施設において、向う側の命ぜられるところの勤務に従事しておるのでありまして、これは絶對軍隊勤務ではない、こう存じます。従つて終戰後人達に對しては、先程も申しました昭和二十年十一月二十四日の指令範圍外の者である、こういう工合に存ずる次第であります。併しながらこの收容の間において、勤務中に怪我したり、或いは病気なつたり、或いはそれがために死んだという人に對しましては、全く何らの、先程申しました傷病恩給の極めて低額のもの以外は何らの補償がないわけでありまして、これらの人々が全く白發的の自由の意思によらずに、不可抗力的と見られる原因によつて傷病となり、或いは亡くなられたという人に對して、何らかの方法で國家として補償して上げるということが、國家としても又國民感情としても必要ではないかというように確信する者であります。そこでこの公務災害補償を何とかして適用して頂きたい。又適用する形式上、といいますかの問題におきましては、公務災害補償は、職員に對して補償をすると、こうなつております。その職員というのは、大體大蔵省當局の私の承つておる解釋では、国家から、即ち國庫から俸給を受けておる者、平たく言えばそういう工合解釋でも、いいようであります。そうなれば未復員者は御承知通り國庫からの給與を受けておる次第でありますから、形式から言つても、この法律を適用しても一向差支えないではないかと、こう存ずるのであります。極めて簡單な理由でありますけれども、その理由の骨子を申上げまして、どうぞ國會の御支援御指導によりまして、これらの氣の毒な未復員者に對しまして、せめてこの補償適用ができますようにお願いを切にいたす次第であります。
  5. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 ちよつとあなたに御質問申上げますが、私は希望であり、理想であるが、行政責任府としては、一體どういうような處置を現在までお取りになりましたか、はつきり囘答を願います。
  6. 岡林諄吉

    説明員岡林諄吉君) この政府職員公務災害補償適用になるということは、昨年の暮から起つたのでありますが、復員局といたしましては、大藏省事務當局である給與局の方とこれの交渉をいたしまして、その結果本年の三月であつたか、或いは四月になつたかも知れませんが、その頃に給與局の方から、この職員の中には未復員者を含むという御了解返事がありました。尚それを當時業務部長である私の名前において、給與局の第三課の方、即ち主務課であります。課長文書照會をいたしまして、その照會に對しまして、はつきりした了解返事があつたのであります。その後詳しくは存じませんけれども、豫算折衝の問題になりまして、即ち主計局の手に移つてから、この問題が少しこじれて來たように承わつております。現在の状況は概要こういうところであります。
  7. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) ちよつと今の出席は誰ですか。
  8. 岡元義人

  9. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 議事進行につきまして……。只今岡元議員からの提案に對しましての補償問題に關しましての政府委員説明がございましたが、一應その議事進行上、一つ遠路遙々證人も見えておることでありまするから、その方から議事進行して頂くようお願いいたします。
  10. 岡元義人

    岡元義人君 今の淺岡委員提案、私非常に了解するのでありますが、今勞働次官がいらつしやいましたので、勞働次官の方の時間の都合がつきますれば、あと一時間ぐらい經つてから勞働次官の御出席をば煩わしまして、そうしてこの問題をお伺いする。若し都合が悪ければ次回の特別委員會において御説明を願う。そうして佐賀縣事件をば審議して頂くように取計らつて頂きたいと思います。
  11. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) ちよつと相談して見ましよう……。それではこれより一時間程後に來て頂きます。
  12. 岡元義人

    岡元義人君 では佐賀縣事件につきまして、私から議事進行について一言申上げて置きたいと思います。先ずこの問題はもう十分委員の方はお分りになつておりますので、この際各證人説明をば委員長から求めて頂きまして、その後各委員から質問をして頂くと、かように取計らつて頂きたいと思います。
  13. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それではこれより佐賀縣生業資金貸付認證なつた問題につきまして、證人として三名を御足勞煩わしたのでありますが、丁度おいでになつておりますので、只今よりこの問題を取り扱うことといたします。先ず最初證人三名の方の御宣誓お願い申上げます。お一人ずつ、どなたからでもよろしうございますから、御宣誓を願います。    〔總員起立證人は次のように宜誓を行なつた〕    宣誓書  良心從つて眞實を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         證人 中島 光一    宣誓書  良心從つて眞實を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         證人 畑  道好    宣誓書  良心從つて眞實を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         證人 石井 龍猪
  14. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 佐賀縣における生業資金の、この度の貸付金三百五十三萬圓の不認證の問題につきまして、御足勞を煩わしたのでありますが、これにつきまして、各どの機関なり、人の責任において、それが貸付できなかつたのか、これにつきましては、生業資金というものは、引揚者におきましては殆んど生命といたしておる緊切なる資金であるにも拘わらず、この生業資金が七百七十餘萬圓貸付未了があり、そのために後の三百五十三萬圓が不語證なつたというようなことは、引揚者立場から見るとすれば、どうしても、これはどういうところに缺陥があつたのか、延いては政府引揚者に對する援助の政策にも深い大きな衝動を與えて、ために他縣にまでもこの問題が及んで來る問題であると思うのであります。非常に重要な問題でありまして、輕々しく佐賀縣のみの問題として考えることはできないのであります。それにつきまして、どうかこの三名の方々におきまして、それぞれの立場におきまして、これを取り扱つた實情並びにその不認證なつ理由不調證にならしめた縣の態度、又引揚更生會方面のいわゆる資金需要關係、その他どういうところに缺陷があつたかにつきまして、十分證人から説明を伺いたいのであります。どなたからでも結構でございますから……。
  15. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 一つ證人に對しましては、委員長から簡単に一人々々御説明を願うようなふうに願います。
  16. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それでは中島主計課長からこの問題に関して不認證なつ理由説明願います。
  17. 中島光一

    證人中島光一君) 本生業資金認證しなかつたという理由につきましては、前の特別委員會の際にお答えいたしておきましたのですが、又改めて申上げます。  本件は昨年の十二月と思いますが、この認證書類が縣から提出されたのであります。當時金額は七百五十萬圓でありました。當時この金額が非常に多額な金額であり、認證制度が昨年の十一月から施行されました関係上、補助内容等についても十分調査する要を認めました關係上、係員に對しまして補助實體を御質問したのであります。更に現在の貸付状況等もお聽きしたのでありますが、當時係官の方におきましては、詳細な資料がなかつたのでありまして、即答ができなかつたのであります。併しその後調査によりまして御囘答があつた點によりますると、當時一千萬圓からの貸付未了があるけれども、これは年度内に十分消化し得る見込だ、こういうふうなお答えでありましたので、爾來本生業資金が、在外同胞引揚者竝びに戰災者生活困窮者に對する生活安定の再建經費であるという建前からいたしましても、當然こうしたことは即刻に至急決定させることが必要である、こう考えまして、縣の申出をそのまま容認いたしまして認證したのであります。その後貸付状況について再三調査を依頼したのでありますが、調査は直接縣の方でやつておらない、結局庶民金庫を通じて貸付業務をやつておるというような關係からいたしまして、その詳細を即刻に知ることができなかつたのであります。その後本年の四月の二十日に至りまして、本省から補助指令があつたという理由において、三百五十三萬圓補助認證申請があつたのであります。そこで翻つて前囘調査を依頼しておりましたことと併せまして、現在どのくらいの貸付量があるかという點につきましてお尋ねしたのでありまするが、當時も二月末現在においての貸付状況は分るけれども、本年度末におけるところの貸付状況は皆目分らないという状態であつたのであります。更に補助指令條件を見ますと、こういうふうなことが書いてあるのであります。  厚生省援總第八〇號               佐賀縣  昭和二十三年三号三十日厚第二三五號申請昭和二十三年度生活困窮者に對する生業資金貸付に要する國庫補助の件をきき届け昭和二十二年度において金三、五三〇、〇〇〇圓を交付する  但し左のとおり心得られたい。   昭和二十三年三月三十一日             厚生大臣     記  一、精算の結果補助金に剩餘を生じたときはこれを返還すること。  二、年度終了後速かに事業成績調書竝びに決算報告書を提出すること。こういうふうな補助條件なつておつたのであります。そこで私といたしましては、三月一ぱい、否四月までにどれだけ貸付け得る見込があるか、今残つておりまするところの金額をどういうふうに運用するか。更に三百五十三萬圓を交付したならば、これをどういうふうに運用するかの點について係官に尋ねたのであります。併し當時といたしましては、大體こういうふうな計畫があつたのであります。縣において厚生省から交付を受けました金額は三千三百二十六萬八千圓、丙庶民金庫を通じまして、貸付を終つたものが二千二百三十萬九百圓、三月中にです。借入申込をしたもので處理可能なものが三百三十五萬九千圓、差引七百六十萬八千百圓というものは、全く貸付未了でありまして、その外に殘つておるところの今の七百六十萬圓に對する貸付に對しては未だ計畫がないということであります。結局この金額は後年度に繰越すというようなことになるのでありまして、豫算の目的にも反すると考えまして、七百六十萬八千百圓を早く消化するようにというように係官申出た次第であります。にも拘わらず、本年四月二十日に至りまして、先程申上げまするような金額補助申請が出たのでありまするから、これは縣としても今直ちに貸す金額でない。従つてこの金額は全國におきまして、眞にこの金額を必要とする在外胞竝びに引揚者等に對してこの金を廻して使つたならば、よりよく効果が發揮されるのではなかろうかというような見地もありまして、この點もお話したのでありますが、結局そういうふうな經緯からいたしまして、年度はぐんぐん進行いたします。本年に限つて會計法取扱いが五月十日まで二十二年度經費取扱いができたのでありまするが、さような次第で年度を経過したような次第であります。以上であります。
  18. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 今の中島證人の供述について質問したいと思います。只今證言の中で、係員という言葉がありましたが、その方の官職名を御發表願いたいと思います。
  19. 中島光一

    證人中島光一君) 今私が記憶しているのは、ここに列席しておられる塚本主事西原事務官で……。
  20. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 佐賀縣の。
  21. 中島光一

    證人中島光一君) 厚生課の。
  22. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 厚生課の。
  23. 岡元義人

    岡元義人君 皆の説明を聽いてから、後から綜合的にお伺いいたしたいと思いますが、今の御説明の中で、ちよつとだけ確かめて置きたいことが一つあります。認證をばいよいよやらないと決心になられる前に、今の御説明で見ますと、縣廳の關係との連絡があつたようでありますが、引揚者等團體に對して一應御調査なさつたり、或いは連絡をとられたことがあつたか、なかつたか……。
  24. 中島光一

    證人中島光一君) それを直接私の方では調査乃至連絡はいたしておりません。
  25. 中平常太郎

  26. 畑道好

    證人畑道好君) では私から経緯につきまして説明を加えたいと思います。今回佐賀縣においてなされました第三次の生業資金認證問題につきまして、國務御多端の折にも拘わらず、いろいろ御心配を煩わしましたことに関しましては、我々事務當局者といたしまして誠に申譯ないと存じております。又他面から皆様方の御盡力に對しまして誠に感謝いたしておるところであります。  縣といたしましては、生業資金貸付費ということにつきましては、十分の關心を持ちまして指導督勵して参つたつもりであります。たまたま政府におかれての第一次、第二次の生業資金貸付、この貸付が一應打切られるのではないかというようなことも我々仄聞しておつたこともあります。又假に第三次の生業資金貸付が設定になりましたといたしましても、この時期がいつのことになるのか、全然見透しが立たないという状況であつたのであります。從つて我々といたしましては、地方事務所厚生課、或いは市町村を督勵いたしまして、内々で大體どのくらいのこれから先申込み、希望者があるかどうか。このいつたことにつきまして、推定ではありますが、二三の事務所に當りまして調査をいたして見たのであります。その結果昨年の、二十二年度當時におきましては低調、申込希望者が非常に少かつたにも拘わらず、最近になりましては、非常な希望者があるという様子が窺われたのであります。概數にいたしまして、我々ざつと計算いたしましたところ、九百件にも上るのではないか。その金額が、計算いたしまして約一千萬圓を超えるのではないかという見積りを立てて見たのです。で、昨年の五月から昨年の十月までに掛けまして、貸付資金の不足がありまして、事實借りたいという希望者がありましたにも拘わらず、貸出し得なかつた時期が相當あり、一般引揚者方々からは、縣の方に生業資金の途がある。どんどん借りろと督勵があるが、事實代理店なり、庶民金庫に行つて見たところが金がないではないかということで、非常に迷惑を掛けた事實があつたのであります。こうした事實がありましたために、我々といたしましては、第三次の見透しが立たない。今日徒らにこの金を出してしまう、拂つてしまうということであれば、又二十三年度繋ぎにおいて、引揚者方々にも非常に迷惑を掛けるのではないかという懸念を一應持つてつたのであります。事實今年の一月以降は非常に申込希望者も殖えて参りました。殊に二月三月と次第に増嵩の傾向にあつたのであります。我々といたしましては、この事態の推移というものと、引揚者方々動き方、動向といつたようなものを十分勘案いたしまして、將來需要に備えるために、一方においては緊急且つ必要止むを得ない希望者に對しまして、早急な貸出しをいたしますと共に、一方は二十三年度繋ぎ資金といつた意味において、或る程度調整整備を行いながら、三月末を迎えたような状況であります。三月末に至りまして、第三次分として三百五十三萬圓という金額配付通知に接しまして、我々といたしましては一應の愁眉を開いた感があつたのであります。と共に從來取つて参つておりました必要緊急止むを得ない者に對しての貸出しをする一方、將來需要に備えるために、いわゆる繋ぎ資金として、或る程度調整整備して参つたその方針を一擲いたしまして、三百五十三萬圓資金と共に、大いにその借入れに對しましての督勵を行なつたのでございます。ところがもうすでに期日が相當切迫いたしておりましたことと、計畫が二、三ヶ月の單價によつて計算されておりましたような状況もあつて事實三月末の受付では、事業計畫に或る程度の變更を加えなければ、そのまま受理できないという書類も見受けられたのであります。そういつた關係がありまして、方針を一擲し、大いに貸出しをやろうという時期になりましたのでありますが、貸出し只今申上げましたような理由の下に、早急に運ばなかつたという事實があつたのであります。ここに尚、若干の我々に日にちがあつたならば、第二次分の止め置き分と、第三次の配布になりました三百五十三萬圓、合せて一千萬圓程度のものは我々としては十分に消化し切れる考えでおりましたし、何とか或いは又場合によつては、これを超過するのではないかという見通しも實は持つてつたのであります。認證の點につきましては、厚生大藏兩御當局におかれまして、いろいろ協議をされた上に、各府縣に出されました、いわゆる政治的な含みのあるこの繋ぎ資金という面もありましたので、これは我々の不明と言えば不明でありますが、當然これは縣において問題なく受入れられるものであるという實は気持を持つてつたのであります。勿論財務當局との折衝に當りましても、生業資金特殊性、或いは厚生省當局の取つておられた御意圖のある點を係の者から縷々申上げておるのでありまして、當局としては、現實に未貸付がある、而もそれは無計畫なものである、こういう理由を以て事務的にこれを處理されまして、認證の得られなかつたという結果を招いたのでございます。私共の立場といたしましては、誠に不徳のいたすところと實は申譯なく存じております。もう少し確實の數字を以て、財務當局との折衝がなされたならばよかつたということを、後で痛感いたしておりますが、折衝の経過につきましては、只今説明申上げましたような状況であるのでございます。
  27. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 その問題の一切の事情は、佐賀縣知事に對しては御報告があつたのですか、その當時において、畑さん。その問題が進行中において、いわゆる民生部厚生課という一つの課の問題ではなくして、これは重大な佐賀縣全體の問題であり、更に延いては全國の問題である。行政的處置ができなければ、常識的に知事等政治的折衝等の手を打たなければならんということは、これは常識がある限りは當然推斷を下すべきものであると思いますが、長官に對してその當時御連絡がありましたか。
  28. 畑道好

    證人畑道好君) 殘念でございますが、長官には連絡いたしておりません。で私共の民生部關係部長において何とかこれを處理したいという考えを持つて折衝を続けておりました。
  29. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 更に質問を続けますが、この問題を民生部乃至厚生課長から……率直に申上げますと、援護院當局は實に我々の意圖を汲んで、親心を以て、この問題の處置に盡しておつたのでありますが、その實體を私達はよく知つておりますが、自分達の力及ばなければ厚生省本省、即ち援護院當局の指示を仰ぐ、そうして中央部においても大藏當局折衝して貰うというような措置はお取りになりましたか。
  30. 畑道好

    證人畑道好君) これも私共の方では取つておりません。これは大變に私殘念に思つております。厚生省當局に早急にこの點を連絡するということも、實は考えないではなかつたのでございますが、何とか厚生省當局に御相談する前に、我々自體の手において、縣の金でありまするので、解決したいという氣持で、その時期を失したのでございます。
  31. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 第三、この問題は、自治體地方自治の問題として、その力でこれを解決するということが主體であるべきでありますが、原則であるべきでありますが、この問題は、佐賀縣會の問題となりましたか、どうか。
  32. 畑道好

    證人畑道好君) 今日まで問題には至つておりません。これは縣會が、隔月開催される關係でございまして、丁度縣會開會の時期に入つておりませんので、また縣會報告には至つておりません。
  33. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 それから縣當局としては、大體割當てられたる生業資金、即ち庶民金庫の、その全體の金額の、大凡どれくらいは引揚者乃至は未復員者の家族を中心として、貸付けてよろしいかということについての御了解が行つておりますか。
  34. 畑道好

    證人畑道好君) 大體八割程度總額の八割程度引揚者或いは未復員者に……引揚者復員軍人等にこれを優先的にやる、後の二割程度一般生活困窮者、遺家族、そういつた面に廻す、併しこれは二割といつてはつきりした限界のあるものでなく、多少の融通は差支ないと心得ております。
  35. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 次に、その生業資金たる庶民金庫貸付けに當つて、どうせ眞つ裸で歸つて來引揚者がその主體となるわけでありまするから、完全囘收ということは、これは恐らく神でない限りにおいては不可能でありますから、大體国家は親心を以て、どれくらいの程度危險補償を負擔するということについての國家の大體の方針は、課長として御了承でありましたか、どうか。
  36. 畑道好

    證人畑道好君) これは當時、私二月三月當時はまだはつきり掴んでおりませんでございましたが、三割程度というようなことを考えております。
  37. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 以上。
  38. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それでは、次に石井更生會長
  39. 石井龍猪

    證人石井龍猪君) 引揚者を主として復員者生活困窮者生業資金貸付けの行われたことは、我々援護團體の者といたしましては非常に喜んでおりまして、各方面の御關係當局応感謝しておるところであります。貸付状況も、いろいろ最初は周知不徹底のためにごたごたしましたけれども、非常に皆喜びを以て借受けが進行しておりましたが、昨年の夏以後、一時資金がないというようなことで非常に貸付けが鈍つたことがございます。一般引揚者、その他のものについても非常に貸し方が遅い、又は容易に借りられんというような怨嗟の聲が非常にございましたが、こういう仕事をする場合に、得てして起こることでございますから、私共引揚者團體としては、極力慰撫しまして、さような不平を言わずに、ねばり強く當局お願いもし、文計畫についての周到ならざる點はありやせんかということを反省して、立派な計畫を立てるようにということを、聲を嗄らして宣傳いたしておつたのでございます。併しながら貸付事務そのものに私共はタツチしておりませんので、計數的にどれ程の資金が餘つておるのか、足らんのか、或いは申込件数がどれくらいあるか知らんのでありますが、一般のものの、會員の苦情としては、當然こういうものに多少の苦情はあり勝ちでありますから、その多少の苦情を除いては、大體圓滑に進行しておるものと、私は當局を信頼しまして確信しておりました。然るところ、今年の二月頃になりまして、澤山の金が餘つておる、貸付未濟になつて餘つていることを聽きまして、非常に事の意外に驚いたような次第でございました。早速地方の支部長を集めて、餘つているから、生業資金がむずかしいとか、遅れるという苦情を言わずに、どしどしこの際計畫を立派に立てて、當局お願いして掛かるように皆に宣傳して呉れというようなことを申しまするし、又三月頃か、四月頃に私の方の機關紙にも、まだ生業資金というものが容易に出んということではなくて、非常に餘裕があるということであるからして、この際至急に計畫を立てるようにということを宣傳いたしましたような次第でございます。その後も具體的な計數等も、私共には分りませんけれども、順調に進んでおるものと思つておりましたし、又振返つて今日になつて見ますると、そういう未使用額が切り捨てられるというようなことを、若し當時つておりましたならば、私共引揚團體の幹部としましては、尚一層馬力を掛けて宣傳いたしたのでありましようが、私共さような切り捨てになるというようなことは當時存じませんでした。ただ相當の餘裕があるということは、私共としては從來金に少し困つているという苦情を聽いておりました關係上、むしろ喜ばしいことである、この際大いに一つ、それでは資金については安心して借り出しの手續きをするようにしたらしいというような氣持でございました。それが切り捨てになるということを心配しておりませんで、むしろ私共としては、それではどしどし從来の苦情も聽いて、今後は圓滑に進行できるから、どしどし借り受けをしようではないかという氣持でおつたのでございまして、今日の状態を見ますると、もう少しそういう、切り捨てになるということであれば、私の方で一層力瘤を入れたならば、未使用額のことは立派にできたのではないかと思つております。ただ一般に計畫を立てても貸付が圓滑に行かんという苦情は聽いておりましたけれども、これは先程申しましたように、こういう苦情は得てして起り勝ちの苦情でありますから、私の方としては極力それを慰撫して、周到な計畫を立てるように宣傳して参つたのであります。大體以上のような次第であります。
  40. 岡元義人

    岡元義人君 大體三人の御説明を聽きましたので、関連して御質問いたしたいと思いますが、その前に石井厚生會長に對しまして、次の三點についてお伺いいたしたいのであります。  現在の佐賀縣の申込金額が幾らになつているか、それから申込の希望者等について概略をお話して頂きたい。  それから石井厚生會長は、引揚者團體から縣内に設けられておるところの審査委員會の委員をしておられるかどうか、この三點について御囘答を願いたいと思います。
  41. 石井龍猪

    證人石井龍猪君) お答えいたします。私の方は先程申しましたように、一般的な生業資金の圓滑なる貸付け、或いは別途の計畫といたしまして貸付金の囘收の精神的促進、或る場合におきましては取立てまで將來やらうと思つておりますが、そういう概括的なことはしておりますが、貸付金そのものの申込みなり、或いは審査というものにタッチしておりませんので、具體的にどれだけの件数があるのか、殖えておるのか、減つておるのか、そういうことについては私は存じておりません。併しながら以上の點につきましては、先程私が申しましたように、苦情が從來ありました點を考えて見ましても、金の不足を心配することはあつても、餘るということは私の方ではない筈であると、かように考えております。今後と雖もさようであろうと思つております。  尚私は只今お話の件の生業資金運用委員會の委員でございますが、これが本年の二三月頃制度が變りまして、そういう委員ができまして、私が委員に指名されたのでありますが、これはその後運用委員會は全般的な會議は開かれませんので、私はまだ出席したことがございませんが、これはその都度確か適當なる委員で、迅速的確なる貸付けをするために開いておられまして、全部の委員の集合はしておられないということを聞いております。それにしても、要するに迅速なる貸付けを縣としてお圖りになつていることと思つておりました。私としては出席したことはございません。
  42. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) ちよつと申上げて置きますが、御發言のときには、やはり委員長言つて下さい。
  43. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 石井さんにお尋ねしますが、そうすると佐賀縣では生業資金を借受けようとすれば、結局引揚げたみすぼらしい諸君が、自分銘々勝手に金を借りるというために随分苦心すると思いますが、金を借りたい、貸す機關がある、その機関から金を借りてしまうまでは、これを如何にして簡素化するかということは、我々の最大のこれは念願であるけれども、なかなかそれは簡素化されない、そういうような場合に、引揚者という日本の戰爭犠牲者としては、引揚者と引揚げない者と、その家族というものが戰爭犠牲の最大の負擔をしておる諸君でありますが、それらをお世話なさる一つの更生會とか、或いは佐賀縣引揚者團體連合會というような、そういうものは親切にお世話をやらないのですか、その間の實情を御説明願いたいと思ひます。
  44. 石井龍猪

    證人石井龍猪君) 私の先程申しましたように、生業資金の趣旨を極力會員に周知徹底させ、そうして立派な計畫を立てたりすることに宣傳普及をいたしておりまするが、引揚事務そのものは、佐賀縣におきましては、私らの方の團體に似たような團體の、在外同胞援護會がこの事務に携わつております。貸付事務までは私共の方でタツチせずにおります。これらのような會員の周知徹底を圖る、その更生を助けろという點につきましては、私共の方で宣傳も事務もいたしております。
  45. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 中島主計課長にお尋ねしますが、これは主管大臣は大體二人おりまして、この支拂要求をするところの主管大臣は厚生大臣であります。その要求に應じてその庶民金庫資金というものを現實に日本銀行に對して支拂をやれ、佐賀縣に體して、七百萬圓なら七百萬圓を送金せよ、佐賀縣庶民金庫に對して送金せよというのは、その最終の權限は大藏大臣である。そうすると、佐賀縣に對して三百五十三萬圓という一つ厚生大臣によつて要望されたる金額が明らかに承認されて、一方の主管大臣である大藏大臣がそれぞれの法の上の適當なる機關を通じて結局命令を發したわけであります。それで三百五十三萬圓というものは、佐賀縣に在住する引揚者、その他有資格者達が當然その利益を享受する權利があるのであります。而もそれは厚生大臣という權限を有する者が要望して、權限を有する大藏大臣がその割當額に應じて、すでに佐賀縣に分配したわけであります。その分配されたるその三百五十三萬圓を、地方の大藏省財務局の出張官吏が、大藏大臣の權限を、いわゆるもつと強大なる力を以て、そして認證せないことによつて、三百五十三萬圓が實質的に、佐賀縣のその利益を享受すべき者の資格を全然失墜せしめるような法的根據は、どういうところにあるという心證をお持ちでありますか。
  46. 中島光一

    證人中島光一君) 只今の御質問の要旨は、厚生大臣が必要と認め、而も大藏大臣が必要なりとして、縣に與えた三百五十三萬圓を、出先機關たる地方部がこれを認證し得なかつたという理由はどこにあるかというようなお尋ねと思います。これは昨年十一月に認證制度というものができまして、小切手の支拂に對しては、科目別に申しますと、終戰處理費、公共事業費、新營及び補修費、補助金、この四科目につきましては、その經費が契約等の計畫に從つているか、或いは所屬年度が違いはしないか、歳入科目に誤りがないか、その他豫算執行上適正であるかということを審査しまして、これを認證するというような建前になつておるのであります。從つて一方振返つて見ますと、先般申上げました通り厚生大臣といたしましても、縣がこの金額年度内に消化し得るものなりとして申請した金額三百五十三萬圓を、年度内において消化し切らなかつたならば返還せよという補助條件付きの補助金であるのであります。彼此考え合せまして、計畫なき金額であるのみならず、豫算の執行上適正でないという見地からいたしまして、小切手認證官である地方部長認證しなかつたというような状態であります。
  47. 岡元義人

    岡元義人君 各證人の方は關連して次から次とお答え願いますが、先ず第一番に、今の認證官の御説明に對して、大體生業資金の性質というものを、實際に當面の責任者であるところの中島課長が知つておられたかという問題であります。おつしやる通り、法的根據ではなくて、その通りの指示があるのでありますから、それに従つて行動したと言えば、それまでの話であります。併しながら、先に説明があつた通りに、この生業資金については、多少の地方において思惑的な、いわゆる惡氣はなくて、思惑的にそういうような懸念を考えて、勘案したやり方をばやつて來たという説明はあつただろうと思います。よその縣においても、まだこういう實例があります。併しながら中島課長が取つた態度は、直ちにこれを認證しなかつたということになるのでありますが、その生業資金の性質というものがどういうものであるかということを、十分分つておいでであつたかという。この點をば一つ聽かして頂きたいと思います。  次に畑課長に、私はこの問題は實に遺憾に堪えないと申上げたいのであります。というのは、先程説朗がございましたけれども、私は國會議員といたしまして、より強くこの問題に對して責任を感ずると共に、我々が無視された。國會議員の私と矢野委員が佐賀に参りまして、未交付金があるという話を聞いておるが、速かに交付しろ、でなければ次の生業資金の割當は貰えないぞということを、矢野委員初めおられる所で私は言つた筈であります。にも拘わらず、私達が言つた言葉を取上げて頂かないで、こういう結果になつたということは、私は遺憾に思うのであります。又生業資金が第三次が貰えるか貰えないか分らないから、自分の臆測でこういうことをやつたというようなことは、これは私は理由にならないと思うのです。苟くもそれだけの決心を以てやるのであつたならば、萬が一違つたならば、自分の職を賭けても責任を以て行動するというだけの決意がなくて、自分の思惑でこういうような大きな、いわゆる先程矢野委員の言われた通り、利益の享受を均等に得られるべきものが受けられない。あなた一人の問題でございません。これは戰争の犠牲によつて引揚げて來た佐賀縣民の何千何萬という人間が、あなたのいわゆる思惑的な一つのやり方によつて、均等に利益を享受できないという結果になつたのです。この責任はあなたにあると思うのです。この責任を私は飽くまで追及したいと思う。  それからもう一つ課長質問したいことは、この運營委員會というものに對して、先程來石井會長の説明を聽いておりますと、前々から援護院當局からも、この運營委員會に對しては、引揚者團體等の者を入れるということは言つてある筈であります。それを十分に採擇しておられない。むしろ厚生課長が、圓滿にあなたの仕事を運營して行く上においても、引揚者等團體の代表者をして運營委員會の委員に入れるということは、絶対必要なことだと思うのであります。それが石井會長の説明を聽きますと、その間に手落ちがあるということが我々には感ぜられるのであります。かようないわゆる運營委員會に引揚者團體の代表者が入つていない、二、三月頃になつてから入つたというようなお話は、非常に了解に苦しむところでありまして、よその縣におきましては、生業資金の運營はずつと前から引揚者團體の代表者が運營委員の中に入つて、最も民主的に審議が進行されたのであります。然るに佐賀縣だけがこういうことが採擇されていなかつたということは、あなたの責任じやないかと思うのです。  とにかくこの事件は非常に不幸な事件でありまして、本日ここに出席されました證人の方に對して、私は一言附言して置きたいと思うのでありますが、我々この特別委員會は、この生業資金を獲得するために、昨年第一國會以來、あらゆる運動を展開して來ておつたのであります。然るにこういうような結果になりまして、我々特別委員會といたしましても、今後政府當局に對して、尚続けて生業資金の枠擴大等の懇請が、果してできるかどうかという問題にぶつかつておるのであります。それだけにこの問題は非常に重要性を持つておりますので、この點十分あなたの決意を聽かして頂きたいと考えるのであります。
  48. 中島光一

    證人中島光一君) 只今のお話は、法規は別として生業資金の性質についてどういうふうに考えておるかというような御質問のようでありますが、これに對してお答えいたしたいと思います。私も朝鮮から終戰直後引揚げて参りまして、誠にこうした事業を皆さんの力によつてして頂くことに對しては、感謝と敬意を表しておる一人であります。從つてこの經費の圓滿なる運營については、全力を盡してでも、できるだけ便宜を圖りたいという考えを持つておるのであります。從つて昨年の十二月においての第二次の補助金の際に、多額の經費貸付未了に屬しておるから、これは一刻も早く貸し付けをして貰いたいというようなことを塚本氏に伺つたような次第であります。更に本年の三月におきまして、只今申上げましたような多額の金額が残つておる。これはひとり佐賀縣だけではなく、或いは他の縣においてもそういうふうなことがあり得るかも知れませんが、苟くも佐賀縣においでこれだけの金額を殘すことは、全國の引揚者同胞竝びに戰災者、困窮者に對しましても、資金の運用の操作上の面から行きましても、一刻も早くその剩餘金を外の方に振向けて貰いたいという観念が私にあつたのであります、そういうふうなことが、從つてこうした結果になりましたのでありまして、全然この生業資金の性質が全部法的に動かなければならんという點は、御了承を願いたいと思います。
  49. 畑道好

    證人畑道好君) 私から矢野議員に對しましてお答え申したいと思つております。生業資金が未貸付のまま相當残つて來ておる、而も一厚生課長の思惑を以てのみ……。
  50. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 矢野委員に對する御答辯ですか。
  51. 畑道好

    證人畑道好君) 失禮いたしました、岡元委員です。  私の思惑を以てそれを二十三年度の、要するに準備金として處理して行こうという考え方はいけないじやないかというようなお言葉でございました。これは私といたしましては、昨年の例があつたものでございますから、あのときの引揚者のあの迷惑の状況をよく知つておりますれば、おりますだけに、私は次の第三次の見透しが立たないままに、これを何とか間を切らないで、二十三年度に持つて行きたいという氣持は十分持つておりました。この點につきましては勿論私の獨斷と言えば獨斷でございましようが、私はその間にあつては、引揚者状況をよく掴んだ上での決心であつたわけでございます。この點が結果において誤つてつたかどうか、これにつきましては別の問題でございますが、私の意のありますところは、その點であつたのであります。尚更生會長の石井さんが、この運營委員會に入つておられなかつたということは、これ又私の責任であるという御言葉でございますが、縣におきましては、最初同胞援護會がこの事務を管掌いたしておつたのでございますが、引揚者代表といたしまして、石井會長は前からも入つておられたのでございます。尚最近御出席がない、縣で何か便宜な方法でやつておられたように聞いておると申されましたことは、その引揚事務を、生業資金貸付の事務を少しでも簡易迅速にやりたいということから、書面審議の方法をしばしば採つた例がございます。これは規定の中にもはつきりつてあるのでありまして、數多く集まりましたときには審査委員會を開きますし、二、三の場合は、溜まるまで待つておると引揚者方々に御迷惑を掛けるという氣持から、書面審査で迅速に處理いたすという氣持でございます。尚引揚者のこの生業資金の周知徹底を引揚者に行いますに當りまして、又引揚者の援護につきましては、私は本當に常日頃から、この援護方法につきましては、十分關心を持つておる者であります。生業資金の宣傳普及につきましても、少くとも九州各縣に負けない程度の私策を講じたつもりでおります。結果が、申込數が少かつたということは、いろいろな事情もあつて、昨年、當初低調であつたことは私認めますが、少くとも私が昨年九月厚生課長を拝命いたしましてからは、この問題につきましては、十分の關心を寄せて参つた者でございます。尚幸い、三月に、本縣におきまして、西日本の生業資金貸付委員會も開かれるというようなことで、私達も非常に喜んだのであります。我々の行届かない蒙を啓いて貰おうという氣持を以て、喜んでお迎えもし勉強もさして頂いたのでございます。私といたしましては、先般全國の引揚者團體の決議によりまして、圖らずも努力をして頂いておるという感謝のお氣持を披瀝して頂きましたことを常日頃から考えまして、引揚者の方方と、この生活の苦難の途を拓いて行こうという氣持は、十分持ち合せておるのでございます。この點は十分御了解を願いたいと思います。
  52. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 大體事件の全貌は分りましたが、私はこの機會に軍人、軍屬の野戰郵便が約二十九億、差當り二十億になると思いますが、これは現に八月十五日以前貯金した者は全額支拂いをされつつあります。これは棚から牡丹餅が落ちたのではなくて、この問題一つを解決するためにも、第一囘國會から本當に血の滲むような我々は苦勞をしたのであります。なかんずく厚生課を擔當しておる同僚議員である岡元君のごときは、殆んどこれに身命を賭するような活動を続け、遂に片山内閣においては、これは斷然駄目であつたのであります。然るに我が特別委員會が、本當に友愛の眞心を結集して、打成一片となつてその所期の目的を達成するために努力しましたお蔭で、幸いに岡元君の同縣出身である富吉君が遞信大臣となつた。それらの天佑も、限りなき神の恩寵も與かつて、現に今それが實現されつつあるのであります。斷じてこれは偶然のことではないのであります。それと同様に、庶民金庫のこの生業資金の制度たるや、又これにも優る我々は本當に苦心を重ねて來たのであります。日本がまだ獨立國家でなく、敗戰の苦杯を今嘗めつつあるその最中、一番苦しみつつある者は結局引揚者そのものである、未歸還者の家族そのものである。それらの諸君を、國家親心を以て救済するの途の大いなるものがこの庶民金庫の制度であつて、そのために今囘の庶民金庫生業資金を各府縣に分割し、一日も早く、一分早く、これらの現金がそれを要する人々に手交されるようにと思いまして、北海道に對しては参議院は木下委員を、大阪に對しては岡元議員、矢野、更に九州に對しては、佐賀において御承知のごとく岡元、矢野議員が罷り出て、援護院からは齋藤長官、大阪には大野次長が行つて、我々は本當に誠心誠意を披瀝して、この法の趣旨の、豫算の趣旨が本當に徹底するようにと、實はお願いに行つたのであります。然るにも拘わらず、その中國竝びに九州における會議の本場であつた佐賀縣において、かかる問題が發生したということは實に私は遺憾至極であります。今更中島、畑、石井各御三人の御證人の御説明を聽いて、事件の全貌は分り、特にその責任のあるところも、常識のある者は判斷することができると思うのであります。併しこの特別委員會は、單なるその責任者、怪我人をここに出して、そして得々とするものでないのであつて一つのそこに過誤があるならば、それを冀くばその次の者を活かすための、本當に止むを得なかつた捨石であるというようにしてこそ、初めて過失を償なう私は途であると思う。そういう觀點から私の所信を今述べつつあるわけであります。冀くば、いわゆる中島主計課長は、出先の官憲として、若しそういうような問題が起つたときには、それぞれの形式的、よしんば權限が付與されておろうとも、實にこれは重大問題である。殊に御本人自身が朝鮮からの引揚者であるとするならば、國家が乏しき財政の中からこの庶民金庫の制度を設け、而もこの生業資金を豫算面に組込ませるための、私達の並大抵でない苦心、これは言葉に現わすことはできないのであります。又何月何日にこれを各縣に配付するという豫測さえもできなかつたところに、畑厚生課長としての苦衷があることを、私は事實を知つておるからお察しすることができるのであります。その庶民金庫なるものの制度そのものの、いわゆる立法そのものの根本精神というものを、中島課長が十分に御理解と御同情を以て把握していらつしやいましたならば、私はこれから、こういう問題が起つたときには、必ず大藏大臣に對し、乃至は厚生大臣に對してかかる事態を發生しておるが、このままで處置するならば非認證の不幸なる結果を出來するが、それでよろしきやというような、そこまでの連絡つて然るべく、或いは更に百尺竿頭一歩を進めて、長官と會うなり、知事と會うなり、或いは庶民金庫責任者と會うなり、そしてそこに行政官廳の單なる冷たい權限上の對立の境を超えて、そこに三位一體となつて最もよきものを生み出すというような、この友愛の精神からのみ私は日本は立ち上ると思うのであります。文部省に行こうとどこに行こうと、鬪爭本部、鬪爭本部、鬪え鬪え、新らしき憲法の中には戰爭を永遠に放棄しておる。戰車という言葉や、鬪爭という言葉が國民の意識の中に強くなればなる程、戰爭誘發というものが必然的に起るものである。我々が今日本を建設するところの最大なる原動力というものは何であるかというと、愛の心である、友愛の精神である、殊に行政官吏たるものは、そのゆたけき宗教的愛というものに立脚して、そうして形式的の法を萬全に活かすごとき態度を取つてこそ、私はこの敗戰日本を盛り上げて行き、引揚者そのものの本當の味方として、彼らが感激の中に立ち上るというような土臺を作らせることができると思うのであります。敢て私は、あなたのいわゆる法規上の責任を云々するというのでなく、雨降つて地固るその一つの出來事を通して、それより以上、それらの國家の制度を活かして頂くような、友愛の精神をいや増しにここに持つて頂くように私は希望して止まないのであります。畑厚生課長としては、最前私の質問に對して一つ一つお答えのごとく、痛烈に課長としての責任をお感じのようであります。冀くば三百五十三萬圓という、これは實は引揚者にとつては厖大なる金額であります。これがいよいよ一錢も、權利を享受すべき當然のこの資格者が、何らの恩典に浴することができない、これらの諸君を如何にして救うて行くか、彼らにして不平、不滿を起し、延いては政府を痛罵し、國家を痛罵するごとき態度をさえも持たせるようなことがあるならば、失敗は更に重大なる過失を生むというようなことに相成りますので、これは潔く長官にも一切のことを打明けられまして、そうして善後處置については萬全を期せられたいと思うのであります。而してこの一つ佐賀縣の問題が、これから後の生業資金、乃至は復金融資の問題にまでも、非常にこれが有利な結果をもたらすような一つの何かの具體的の事實として、この問題を契機として、佐賀縣下におきまして、厚生課長たる責任において一つつて頂きたい。石井厚生會長は官吏であられません以上は、尚更言論の自由を持たれ、何らの法的責務を持つておられない、そうした立場の方でありますから、誓つてかかることが再び行われないように、更には何とかして引揚者未歸還者の家族の溢れるこの情熱を結集して、三百五十三萬圓取り返すような、政府の措置がなされるような、民意を何らかの形において取つて頂くように、或いは縣會を動員をするか、知事を大いに鞭撻されるかして、この取り返しの一つ具體的の方策を立てて頂くように、私は希望して止まないのであります。  この機會に私は厚生當局にも警告を發して置きます。かかることが、全く親の心子知らずというような豫期せざる結論の出たことは、恐らく同胞救済援護の理事長をしておる竹田儀一君が、大臣をしておる厚生省の幹部として實に遺憾千萬の感を持つておられると思うのであります。須らくこれを契機として各府縣に對し通牒を發し、そうして生業者資金が果して運營委員會によつて、著々それぞれの本人に現金化せられるということが開始されたかどうかということを調査の上、そうして本委員會に最も早急に報告せられんことを要望して止みません。又特別委員長としても、この問題はただ委員會の問題としてでなく、議長を通じても、それぞれの關係當局に對してそれぞれの警告を發し、そうして善處せられるように、適當の處置を取られるように私は要望する次第であります。終り。
  53. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 ちよつと小さいことを三人の方にお聽きしたいのです。中島君に、あなたさつき貸付について調査庶民金庫の方に頼んだが、これができなかつたということですが、もつと詳しくそれを分るように御説明願いたいと思います。もう一つ序でに言つて置きましよう。どんな調査をあなたの方から庶民金庫に求めなさつたか、その内容、それから庶民金庫以外に如何なる所で調査をなさつたか、なさらなかつたか、あなたのお話から察すると、資金貸付については、その調査に大分よつておられるようでありますから、それでお聽きするのであります。
  54. 中島光一

    證人中島光一君) 只今のお尋ねは、速記録にも明らかであるかと思いますが、庶民金庫と私申しませんだつたと思いますが、それは縣の係官の塚本さんに、貸付状況等を調べて貰いたいということを要求したのであります。從つてその貸付が縣直接で貸付けてないものですから、庶民金庫を通じて貸付けておるから、調査が非常にスムースにできなくて、勢い私が要求した書類が遅くなつたということを申述べたような次第であります、
  55. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 遅くなつてこの貸付がだんだんと後れた一つの原因になつておる、そういうようにも取れますが。
  56. 中島光一

    證人中島光一君) いや、それは昨年の十二月に貸付の際の出來事でありまして、本年三月までの間に、それが調書ができない矢先に、更に四月に至つてこういうふうな要求が出た。從つて我々といたしまして、早く内容を知りたいということを縣の方に要求したわけであります。尚そういうふうなことでありましたが、二月末までの庶民金庫からの經過報告はありましたが三月末の庶民金庫報告はなかつたのであります。それで非常に時期を逸しまして、餘り逸すると自分達といたしまして、當初第二次の七百六十五萬圓補助についてどうかという考えもありましたから、調査を督促しておつたような次第であります。それで後のその三百五十萬圓は、その後今第二次の一月以降を含めましたものと關連して調書ができましたので、その當時七百六十萬圓ですか、それだけの貸付の未了がありましたから、認證をしたというような次第であります。
  57. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 それではそれは打切りまして、あなたの先程來述べておられるところによると、佐賀縣で必要でなければ他の縣へ廻す、金は日本全體のものだから、そういうようなところから、あなたはあなたの一つ方針があつて佐賀縣の事情をよく見てやるというところに、何か手落があつたような感も私に抱かせるのですが、その點はどうでしようか。佐賀縣に割當てられたものは、佐賀縣に必要があつて中央から割當ててあるのですから、それは地方の出先機關として、それを地方の本當の事情に合して、早くそれは出させればいいという建前だろうと思うのです。それをあなたは、ここで要らなければ他へ廻してもいいという一つ方針で、この金の支出を動かしておられなかつたかということを、私は考えなくちやならんことになつて來ます。
  58. 中島光一

    證人中島光一君) 話の経緯からそういうふうなことも推定されるのでありますが、當時三百五十三萬圓というのは、縣下において年度内に貸付け得ることとして、厚生省に豫算の要求を縣からされたのであります。にも拘わらず、三月末に七百六十萬圓からの貸付未了がある。だから結局縣の申請書は年度内に當然貸付けられない。だからその全額は我々の認證をし得なかつたならば、まあ厚生省方面に御連絡つて、そつちの方に廻して貰えばよかつたのじやないかというような私の考えであります。
  59. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 何かそのあなたの説明では、どうもこの貸出しがこういうふうになつたのに、あなたの方な責任があるような感がしておるのですがね。調べを頼んだけれども調べは遲れた、それにまあ引つ掛かつて來る。それから縣内で使わなければ他へ移すというような考え方、何かそういうことに、あなたにはつきりしない、私には理解し得ないものがあるのです。今度の資金を迅速に貸出すことはできなかつたことについて何かあるような気がするのだが、これはここで切つておきましよう。  それから畑君にですね。あなたの話を聽いて、今まで金が出せても、次年度はどうなるだろうかという疑いがあつて、そうして翌年度のことも考えなければならんのだからというので、この貸出に手心を加えておられる。それはまあそういう心配もあつたでしようが、それにも拘わらず金が後になつて來たというようなことで手心をやつておられた間に齟齬をして来たというように私には受け取れるのです。    〔委員長退席、理事千田正君委員長席に着く〕 その點はどうなんですか。それから運營委員會を今年からですか、あなたの仕事にはついているのでしよう。
  60. 畑道好

    證人畑道好君) ええ。
  61. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 運營委員會というものは去年なかつたのですね。
  62. 畑道好

    證人畑道好君) 同胞援護會でやつているのです。
  63. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 今年から運營委員會というものはあるのですか。
  64. 畑道好

    證人畑道好君) 縣に移つたのです。
  65. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 そこへあなたが入つておられる。そこで運營委員會というものへ、引揚者團體から、私よく知らないのだが、澤山の引揚者の出でただ一人しか入つていないような様子ですが、それで引揚者の方の意見というものは、希望というものは反映していないのじやないか。そういうものの中へあなたは厚生課長として入つておられる、そうしてその他の、そこへ入つておる他の委員の意向に從つて大體動かされて行つて、あなたも動かされて行つて引揚者方面希望なり、意見というものは、あなたの方に採用されておらんように見えるのですが、その點はどうですか。そういうことは、さつきのあなたにお問いしている手控え、手加減、そういうところに關係しているように思うのですが、この運營委員會とあなたとの關係、それから生業資金を出すについては、決定的なものは府縣責任、或いは財務當局責任者から見て、やはり生業資金としての目的物になる事業はどんなものかということが、相當あなたの判断の基礎になるじやないかと思う。生業資金を上げるについてのいろいろな計畫について、それについてどういう意見を持つて、どうして處理なすつておられたか、それもお聽きしたいと思うのです。三つの點を……。
  66. 畑道好

    證人畑道好君) 私から只今の御質問にお答えいたします。  最初の御質問でございますが、私が先々を心配をして若干の手心を加えた、こういうことは事實私の氣持の中にあつてつた。少くも昨年の例からいたしますれば、假に第三次の生業資金が來るのも見透しは付かないが、六、七月頃に何とかなるのじやないか。四、五、六、七、少くもこの間を何とかやれば、去年とつたあの引揚者方々に迷惑を掛けた事實を、もう一遍繰返さないで済むのじやないかという氣持を以て、最も緊急必要缺くべからざる申込に對しましては、先程申しましたように、できるだけ早急に庶民金融を以て貸出すという方法を講じて参つたのであります。書面の杜撰、その外不整理等につきましては、又事業内容等につきましては、もう暫く御研究を願わなければならないと思われるものにつきましては、御相談の上御考慮願つたような實情もあつたわけであります。この點につきましては只今申上げましたが、要するにそこの調節をどの程度に持つてつたらいいかということにつきましては、もとより何かを以て圖ることはできないのでございますが、私の氣持、經験、過去の嘗めた苦い経験、これから先きの心配、この三つを考えたわけであります。  もう一つは、運營委員會でございますが、佐賀縣の場合は同胞援護會が主になつて動いておつたのでございます。同胞援護會の活動は極めて低調でございました。いつまでも同胞援護會に任ずことは不適當であるということを考えまして、本年になりましてから、縣にそれを設置いたしまして移したのであります。これに對して引揚者團體が幾つもあるが、なぜ一人しか入れておらないかという御質問であります。石井會長さんは……引揚者團體は澤山ありますが、佐貫縣引揚者更生會は、至縣下のあらゆる團體を統合した一つの單一團體でございます。その代表者の御意見によつて行けば、大體の行き方というものが掴めると私は考えますのでございます。もう一つは私の課に、これは懸獨自の制度と存じますが、尋問委員會制度というものを、おいて、これは特に専門委員として、縣下の引揚者或いはそのほか生活困窮者の聲をよく、民意をよく聽いて、それを行政面に活かすといつた制度を採られて、ここに立派な専門委員の方がおられる、もとよりこの方も引揚者の方でありまして、更生會にも關係しておられる方であります。この方も運營委員會の委員としていろいろの畫策頂いておりますので、引揚者の意見というものは私達も十分掴み得ているものと考えているのでございます。
  67. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 運營委員會に、いろいろの資金を欲しいというための計畫を願い出るわけでございましよう、そこで決まるのですか、運營委員會で……。
  68. 畑道好

    證人畑道好君) はい。
  69. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 そうすると、運營委員會には、引揚者團體以外の代表者が、どういう方面から出ておるのでございますか。
  70. 畑道好

    證人畑道好君) 只今の御質問でございますが、そのほかのメムバーといたしましては、例えば引揚者希望によりましては建築、マーケツトの建築とかいうようなこともあるだらうと思いますし、或いは又畜産關係の問題もあらうと思います。そういつた關係で、縣の主管課長がそれぞれ運營委員會の委員をやつております。このほかに又企業體の代表者、事實生業資金を借りて事業をやつておる代表者、こういつた方も入つておるわけであります。こういつた程度によつて運營委員會は組織され、そこで審議をされたものが庶民金庫の方に廻るという状況であります。又庶民金庫の支所長も運營委員會の委員に入つておられます。でありますから事實上、運營委員會で決定されましたものは都合よく運ばれる筈になつておるのであります。一面庶民金庫側としての言い分は、審査委員會は審査委員會だけだ、實際に貸付けるのが我々だ、こういう氣持を持つておられることは、我々痛感される事實じやないかと思います。
  71. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 我々だというのはどつちですか。
  72. 畑道好

    證人畑道好君) 私達……。
  73. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 厚生課……。
  74. 畑道好

    證人畑道好君) はい。
  75. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 それであなたは引揚者の方の資金要求の企業計畫として、それを決定するのは運營委員會でしよう。そうしてそれの決定に従つて厚生課の方がやつておるのでしよう、責任者として課長が……その場合に引揚者なり、戰災者なりというものは金がなくて困つているのです。その下情というものは、今の組織では本當に運營委員會に通じますか、私そこに無理があると思うのであります。他の引揚者團體の方から入つておる者以外の者は、それぞれの立場にありますけれども、必ずしも現にこの資金がなくちや困るという人達の意向と違つた立場をとつていられやせんかと思う。そうすると、現に今問題になつておる金があるのに、現に又必要があるのに、使わんで流してしまうというようなことは、多々できているのじやないと思う、そういつたところの機構上の缺點がないか、あなたどう思われますか。
  76. 畑道好

    證人畑道好君) 運營委員會といたしましては、別に今まで、これは計畫がまずいからといつても殆んど大口でございますが、大口のもので却下した例は殆んどございません。却下されておるのは要するに小口であつて、これが代理店の方から却下されたという例はございますが、運營委員會はむしろ慫慂するのであつて、それを不當なりとして却下するというような態度では臨んでおりません。
  77. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 餘り長過ぎますか。
  78. 中平常太郎

    中平常太郎君 大分時間が經ちます。三時半近いですから……四時過ぎては餘りやつちやいけないのです。
  79. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 石井さんに一つだけ、あなたこの問題について苦情を、いろいろの貸付、貸出しについて苦情があつたという言葉を使つておられますが、その苦情は、やはりさつき畑さんの話したように苦情が相當にあるのじやないですか、それで貸しては貰いたいが、どつか故障があつて苦情という形になつ佐賀縣下に流れているのじやないのですか、あなた御存じないわけはないと思う。苦情についてはつきり、貸出して貰いたいと言つても、貸出して貰えんという苦情の内容……。
  80. 石井龍猪

    證人石井龍猪君) その苦情は、先程申ましたように、書類は出したが何の音沙汰もないという苦情です。或いはなかなか暇取る。それは最近のことでなくて、或いは去年頃がらの一般の観念かも知れませんが、生業資金は非常に結構だけれども、三ケ月も六ケ月も經つ、それではもう計算が狂つて來るというようなこと、或いは先程の小口のものについても、代理店がなかなか相手にして呉れない、金がないとか、何とか言うという苦情なんです。それに對して、私は先程申しましたように、それは借りられないということは一時はあつたけれども、そこは計畫が惡いのかも知れませんしするから、十分代理店なりに、その筋の分るような計畫を立てろということを、極力會員に言つて來たわけであります。
  81. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 長くなつて濟みません。御三人の方について小さいことを聽きましたのですが、これでやはり先程來矢野委員言つておられるように、この生業資金についての意味というものが、佐賀縣當局において理解されなかつた。組織の上において、運營する組織の上において非常に缺陷があるように考えますので、この生業資金の問題について、よく理解されて、これが設定された意義を、もう一遍組織を變えて、今までに考えなかつたところを組織を變えてやらないと、又同じ結果が起りやせんかと心配する者であります。
  82. 中平常太郎

    中平常太郎君 先程から三證人によりまして、相當な事情が明らかになつて参りまして、矢野委員の言われる通り、大體三名の方々立場々々の御説明は先ず相分つたものと思います。そうしてその結論といたしまして、要するに各事務的におきましても、熱におきましても、矢野委員の言われたように、實際に本當の熱が入つていなかつたということに結論が到達するものと思います。それは詳しいことは最早申上げませんが、中島課長に關しましては、ただ厚生課塚本主事を掴まえて、一囘か二囘、三囘か知らんけれども、注意を與え、或いはものを聽いたというだけで、この大切なる三百五十三萬圓を不眠症に陷入れてしまつたということは、大變な冷酷な處置であると思う。たとえ認證官が一つ責任を持つて、その責任の範圍内におきまして、仕事を始めるにいたしましても、それは事務はその通りでよろしい、併し事務の上に、人間として何をなさつたかということをお尋ねしたいが、それは先程矢野委員からもおつしやいましたので、結局あなたのこれに對する本當の認識と熱が缺如しておつたということを申上げてよろしいと思う。  次に畑課長は深慮遠謀のごとくお考えなつて、操作資金のごとくお考えなつたようなふうのことを主としてお話しになりましたが、併しこれは今日困つてるところのものがあるのに、一縣下に七百六十萬八千圓という大金を、第二次の貸付金の殘力を抱えておつて、それを廃置をせずしておいて、後の三百五十三萬圓を迎えられるというようなことは、どうしても如何に辯明になりましても、あなたの熱が足りなかつたこと、運營委員會、その他に對して、これだけの金が餘つてるが、これを早くしないといかんということ、又引揚者がどんなに困つてつておるか分らないという實状をお考えになるだけでも、そういうものが殘つておるということは朝に夕に分つておる問題でありまして、決して等閑に附される問題ではないのでありまして、それを便々と後から來るまでお待ちになつて、あわててどつかで誰か要らんかと言つて、大急ぎで縣下に通牒を發したということは、驚くべきこれは怠慢と私は思うのです。これから又それを民生部長と御相談になつたにしても、知事が全然知らない。ところが縣民が、引揚者が、あれだけの引揚者が待つておるところの、その庶民金庫貸付金が三百五十三萬圓で、又その前は七百六十萬圓という餘りの金があるのに、知事はそれに對してどういう考えを持つてつたか、知事と御相談にもならなかつたということは、大變な問題だと思います。これを私は厚生課長といたしましては、確かに引揚問題に對して普通の事務的のお考えはお話しになつ通りでありましようけれども、實際において、そういう境遇に對して早く金を渡さねばならんという、切なる熱情が何ら籠つていなかつたものと、私は推定せざるを得んのであります。  それからもう一つは、矢野委員とあれになつてしまうが……石井會長でありますが、石井會長の辯明を聽きますというと、冬頃なかなか貸付ができなかつたということを言われたのでありますが、そういう場合もあるでありましよう。併しながらその後十二月に六百何十萬か残つておる、殆んど一千萬が殘つてつた。そうして豫定が三百何萬であるというので、差引き七百六十萬八千圓でありますが、そういうのが殘つておるということをお知りになつておつたならば、何故に十二月からその後におきまして、縣不全體の引揚者に對して警告を發し、注意を發し、そうしてその貸付金申請書を早く出させるように御運動をなさらんのか。六百八十萬が残つておるということをお知りにならなかつたのかどうか。知つておられたら直ちにそれを解決すべく努力なさらんのか。かるが故に後から來た三百五十三萬圓が首切られてしまつたではないですか。首切つた方も悪いが、併しそういうことになるまでには、確かに會長と課長の間に十分な連絡がなかつたのだと思うのでありまして、意見といたしましては、私は三名共實に引揚者に對して本當の熱が入つていないということに結論を持つて行くのが至當であると思うのであります。私もここで功罪を論ずる意味ではないのでありますが、将來全國にこの問題が波及するところが極めて大きい。殊に我々は血の出るような叫びを以て大藏省に當り、厚生省當つて復興資金、或いは生業資金貸付に向つて努力するところのその氣持に、ああいうことがあつたじやないか、餘るところがあつたじやないかということになると、全國に非常に影響することを考慮しておるのでありまして、だからこの問題は一佐賀縣の問題とせずして、我々は大きく取上げて、證人喚問ということに相成つたのでありまして、私はこの點につきましては、非常に三者の方々の取扱われた状態が、私は不満足であつたことを表明いたしまして、私の意見といたします。
  83. 紅露みつ

    ○紅露みつ君 各委員から熱烈な御意見の發表がありまして、もう申上げる必要がないかとも思いますが、證人方々はそれぞれの立場において、十分御言い分があると思います。そうして引揚者につきましては、この生業資金ばかりでなく、いろいろお世話のかかつたことと思いますので、お忙しかつたということもよく分りますけれども、全く今の中平先生のおつしやられたように、これは何と申しても、この生業資金というものの精神が、證人方々に十分呑み込まれておらなかつたということは、これは否定できないと思います。    〔理事千田正君退席、委員長著席〕  この分擔しておられます各立場において、若しもどなたかが本當に熱烈なお氣持があつたならば、こういう事態は發生しなかつたと思います。御三人が揃つてそういうお氣持であれば、これは申分のないことでありますが、どの部面におきましても、例えば石井更生會長の場合でありますが、書類が出したなり手間が取れて返つて來なかつた。それが許可にならなかつたというようなことは、それは非常に投げやりになさつたということを表明しておると思います。厚生課長の畑さんにいたしましても、先々のことが氣になるから、それでそれが心配になるからして、うまく割當が行くように先のことを思つて手控えていらつしやつた、こういうようなことを伺うのでございますけれども、若しそれ程の御親切が本當にありまするならば、こうした事態になる前に何らかの手が打てた筈と私は存じます。中島主計課長の場合は、法的の根據もあり、當然責任の上から採られた處置であつて、事務的には非難されるべきものではないと存じますが、これは各委員から縷々おつしやられたところでございますけれども、それは餘りにも冷たい。もう少し温かい氣持で扱つて頂きたかつたと痛切にそれを思います。非常に遺憾に存じます。生業資金は、足りないと申されることこそありましようが、餘つたというようなことは、これはない筈だと存じます。(「ないない」と呼ぶ者あり)私共は皆様の驥尾に附しておりますが、古くからの活動ではございませんけれども、本當にこの資金の問題については、全く私ということを考えずに、できるだけ運動をいたしておるのでございまして、皆さんのためにそういうふうに冷たく扱われるというようなことについては、本當に残念に存じます。  それで問題は、この割當資金が無駄にならないように、先刻矢野委員からも御發言がありましたように、これを生き還らせて、そうして生業資金をそれぞれの引揚者に利用させるということについて善處して頂きたいと存じますが、これは果してそういうふうにお考えになりますか、そうして又おできになりましようか、是非して頂かなければならないと存じますが、中島主計課長にその點を伺いたいと思います。
  84. 中島光一

    證人中島光一君) 今の三百五十三萬圓の問題の善處というような御質問でございましたね。これは年度關係上、法的には私の考えといたしましては、できないかと存じます。外の點につきましては、自分としてお答えができません。
  85. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) ちよつとお諮りいたしますが……。
  86. 木下源吾

    ○木下源吾君 私も一、二でありますが、佐賀縣では、何ですか、引揚者はそんなに困つておらないのですか。これはそれぞれ事情を一つお伺いしますが、何か或る意味で我々が、欲しくもない、困つておらん者に無理に金を貸すのだというように考えられては、甚だ迷惑至極なんで、そのことを事情の分つておる方々にお聽きしたいと思うのです。それで若しも實情は困つておるんだという事實があるならば、それぞれの縣の民生部とか、或いは厚生に携わつておる方々が、すでに一體どうすればこの人々を更生させることができるか、これを救済することができるかというようなことを考えておらなければならんと思うのであるが、そういう點を一つ聽きしたい。そうして恐らく全國の引揚者と同様に、佐賀縣においても引揚者は非常に困つておるだろうと私は考える。にも拘わらず、この手續はどうであろうとも、この生業資金が手に入らなかつたということの結果において、もう役人というものを、先に立つ者が當てにならんというような考えになるのではないか、こういうように私考える。そこで最後ですから、あなた方の御心境を伺つて置くんだが、このような結果になつたことに對して、そのおのおのの職責において、何らこれは缺陷がなかつた責任も又負うべき筋合のものでないというお考えなつておるのか、その又反對にお考えなつておるのか、現在の御心境を一つお伺いしたいと思います。
  87. 畑道好

    證人畑道好君) 私の言い分を申上げさして頂きます。佐賀縣引揚者が現に困つておらないとは、私は到底言えないと思います。私の知つている限りにおきましては、佐賀縣引揚者、戰災者の方々も、他縣と同様に困つておることは、十分承知いたしております。別の面から考えて見て、或いは生産縣であるから、福岡、長崎等に比べて食生活に若干のゆとりがあるということは考えられる點かとも思われますが、併しその生活再建という面に立つて苦慮しておられることは、どの引揚者方々も心情において變りはないと思います。従つて、私共もでき得るならば、廣い範囲において生業資金を與えたい、住宅に困難しておられる方方には住宅を提供したい。就職に奔走しておられる方には就職の斡旋もしたいというように、いろいろの點を考えて参つております。この點が、結果において三百五十三萬圓の、この不認證額が出たということにつきましては、これはもとより私の身の不徳の致すところでありまして、私この衝に當つている事務官局者としては十分の責任を感じております。もとより私のとりました處置としまして、先程岡元議員から御指摘になりましたごとく、その結果から見ましては、私は善處する決意を持つて臨んだのでありますが、結果がこういうふうに陷りましたことについては十分の責任も感じておりますし、殊に部長、私或いは運營委員會のみにおいてこれを處置し、少くとも知事と本省との連絡考えなかつた點、又いよいよどん詰りになるまでに、なぜ私が厚生省にもつと早く連絡を取らなかつたかということついては、率直に私の身の不徳を責めております。併し私は、戰災者、引揚者の援護ということに對しましては、全國のこの衝に當つておる人達に後れを取らない決意を持つておるつもりであります。ただこうした事務に不慣れのために、一部こうした問題を起した點、只今私の申述べました點について遺憾の點のありましたことを、私身の不徳といたしまして、十分責任を感じておる次第であります
  88. 石井龍猪

    證人石井龍猪君) 敢えて辯明申上げるわけではございませんが、資金の餘裕があるということを私が知りましたのは、この二月でありまして、それ以來、先程も申上げましたように、極力各縣下支部長を通じて努力したわけでございます。又苦情ということは、こういう苦情があつたということを坦々と申上げましたために、如何にも冷淡のようにお感じになつたようでありますが、苦情の内容を聞かれましたから、こういう苦情があつたということを説明したわけでございます。勿論私としても苦情を聞きました都度、厚生課とも連絡し、塚本事務官にも名刺を持たしてやり、各縣下支部長にも通じて、極力交渉するように取計らつて來たのでありまして、決して苦情を見述したわけではなく、先程苦情の内容を言えと仰せられたから、苦情の内容を説明しただけでございます。決してそのまま聞き流したわけではございませんから、その點はご了解願いたいと思います。併しながらこういうことになりましたことにつきましては、その認證問題は私の關係しないところでございますが、要するに生業資金の消化が惡かつた、何と言つてもはかばかしく行かなかつたという點は、引揚者團體の理事者として誠に責任を感じ相済まんことを考えます。極力かかることのないように今後も圖るつもりでございまするが、併しながら先程申します通り、非常に足らんというので私は心配しておつたので、餘つたと聽いてむしろほつとしただけでありまして、それ程それが餘つて始末に困つて取上げられるというような結果までは豫想せずに、私としては二月以來、むしろ喜んでおつた次第でありまして、その點が甚だ迂闊と言えば迂闊でありますが、私としてはやつとこれで喜んで呉れる、今まではどうも足らん足らんで苦しんでおつたが、餘る程あるならば結構だ、さあこの時期だから皆取ろうじやないかということを申しまして、自分としては非常に喜んでおつたような次第でありまして、結果から見ますと、誠に呑氣というふうなお感じがございますかも知れませんが、私としましては、皆の苦しみも知つておりましたために、資金の來たことを喜んでおりたのでございます。且つ又それを宣傳はいたしておりましたが、かように澤山の使い殘りが出るという、結果から見ますと甚だ迂闊であつたかも知れませんが、そういう心境でございます。併しながら只今の皆さんのお話を承わりまして、今後はどしどし生業資金の合理的な、周到な消化ということに努めることは、私引揚者に對して當然のことであります。又佐賀縣のごとき全國一、二の小さな縣に、全國十番目の引揚者の多数を控えて、生産縣とは申しながら、日常生活には最も苦しんでおる縣でございます。その上に、いろいろの産業があればともかく、佐賀は農業以外にございません。そこに歸りまして、親類知己を頼つて、餓死一歩手前の生活をしております。併しその人々は別に乞食はしておりませんが、最も危險な状態でありまするから、私としましては、とにかく事業をやれ、何かの生業に就けということを、聲を嗄らして申しておるつもりでありまするが、結果から見まして不十分な點のありましたことは、誠に遺憾であります。私の心境を申上げましてお答えといたします。
  89. 中島光一

    證人中島光一君) 私の心境を申上げます。皆さんのお力によつて、折角佐賀縣に割當てられた多額の金額を、餘り事務的に考えまして、一係員折衝いたしまして、縣の責任者、厚生課長、知事、或いは民生部長等とよく協議をいたしまして處理をすればよかつたのに、それをしなかつたという點は、私といたしましても非常に遺憾に存ずる次第であります。今後はこうした事柄に對しては十分注意をして、そういうことのないように善處したいと思います。
  90. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 木下委員結論的な、そして又非常な御親切な御質問に對して、お三人の方々の御回答を承わりまして、畑さん、石井さんのお話は、私は實は涙が出たのでありますが、中島さんの御回答に對しては涙は出ませんでしたが、是非中島さんは、大藏省の官吏として、全國的にこういう事態を發生せしめた、その法制的な正邪善惡というような問題は全く別問題として、かかる不認證行政處置をするのは、自分以外には一人でももう作らないというような一つ覺悟を以て、率直にそういう事件でも起つて行くことを事前に感知せられた場合には、御同僚に對して最非御經験談を率直にお漏しを願つて頂きたいと思います。これは私は言葉は易しいようですけれども、非常なる決意の下に、私あなたにお願いをする次第であります。  それから畑、石井両氏に對して、今も佐賀驛には、唐津驛には、それぞれシベリアから、各地から歸つております。今日も著いております。その諸君は、結局は頼みの綱とするものは生業資金と復金の融資でありますから、早速縣の厚生課では、歸還したならば云云というパンフレットでも貼られて、直ぐ今宿で計畫なさつて庶民金庫はどうして借りるか、復金の融資はどうして受けるかというような、もう即座にそれが實行に役立つような、一つのパンフレツトをこの機會にお作り頂いて、そうして直ちに所を得るような途を、みずから見出すことのできるような、一つ温かい環境を直ちに作つて頂きたいと思う。これは私は最前から御警告申上げました雨降つて地固まる、一つの具體的方法だと思うのであります。それから更にそうした金融の便を求めて來たならば、本當にこれはどうするならば簡素化されるということを、これを機縁に具體的に研究して頂きたい。そうして日本で一番簡素な形で金融の方法を、佐賀縣が第一番に實行して頂きたい。大分縣の庶民金庫の所長の久木田氏の如何に引揚者に對して親切であるか、自費を投じて、歌まで作つてそれを激勵し、そうして金融の便があることを知らしていらつしやる。これらの事實もありますので、佐賀縣はこの過失が一大幸福に轉換されるように、今日今ここで各人が何らかの處置をして頂くようにお願いをいたしまして、この問題は岡元委員その他いろいろ御意見もあると思いますが、議事進行立場からお打切りを願つたら如何かと思います。如何でしようか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  91. 岡元義人

    岡元義人君 この問題は大體證人の方の何によつてよく分りましたので、當委員會といたしまして、如何ように今後して行くかというようなことが問題なのであります。問題は三百五十三萬圓を活かすということ、これが後へ殘つた問題であります。尚今の證人説明によりまして、援護院當局の岡田指導課長が見えておりますから、一言ここで、十分に今後の委員會においてこれは檢討しなければならないと思いますけれども、その邊は問題が二、三ありますから、ここでちよつとお伺いしたいと思います。  質問いたしますが、かような問題が起きたことは、これは援護院當局のやはり責任である。而も貸付金が、單に縣の厚生課長の肚で以て、かように遺り繰りをしていいものであるかどうかという點であります。運營委員會というものは、どういう意味で援護院は指示されておるのか、縣の厚生課長が運營委員會に諮つて、運營委員會のいわゆる結論として、この金はまだ見透しが付かないから保留して置こうと、こういうふうに取られたものであるか、運營委員と會いうものに對して、どういう援護院は指示を與えておられるか、この點を伺つて置きたいと思うのです。  尚もう一つ、この金をば物價指數の點で、いわゆる物價高の折柄、この金額をば留め置くという性質のものであるかないか。いわゆる後から歸つて來る者のために取つて置かなければならんという理由しかない筈であります。從いましてそれはそれとして、今まで交付されたところの生業資金は、これは今まで歸つて來て、現に定著した者を對象としたもので、これらのものについては、私は政府當局考え方なんじやないかと思うのであります。若しそうであつたとすれば、證人のいわゆるこの委員會で述べられたことは、非常にここに大きな過誤がある、責任があるということになるのでありまして、援護院の説明を伺いたいものと思います。
  92. 岡田好治

    説明員(岡田好治君) 御質問の運營委員會の點につきましては、本日證人からもいろいろお話がありまして、痛切に考えたのでありますが、私共の考えております運營委員會の活用が、十分府縣で徹底していないのではないのかということを痛切に感じまして、尚一層これは指導しなければならんということを感じたのでありますが、運營委員會は、いわば知事の諮問機關として、あらゆる生業資金の運營の面について正常な意見を具申し、又運營の適正を期するために、私共が積極的にこの委員會を設けるように指示いたしておるわけであります。從いまして、資金の運營、或いは又貸付内容の實體につきましても、少くとも運營委員會が相當の意見を知事に具申し、尚代理業務をいたしておりまする庶民金庫側に對しましても、或る程度の意見發表はでき得るように内容をいたしておるわけであります。  それから生業資金の問題でありますが、御承知生業資金は、定著後の唯一の施策であります。從つて生業資金は、定著者の實數に應じまして、私共は今後生業資金の増額を圖る必要がありますれば、そういつた取計いをして頂かなければならんと思つております。従いまして、現在まで生業資金を實際に活用いたしておりますのは、私共の推算では、只今まで引揚げて参つております者、今囘の再開前であります、前の引揚者方々の僅か二八%程度しか事業をなさつておられない。從いまして定著後なるが故に、これらの貸付けの方法に對しましても、今後相當の資金も、やはり場合によれば準備いたさなければなりませんし、尚今後引揚げて來られる方々に對しても、一應の資金の準備も必要であるように私共は考えております。
  93. 岡元義人

    岡元義人君 質問はこの次の委員會にいろいろ留保さして頂きます。委員會といたしまして、私お諮りしたいのでありますが、今の證人説明によつて、相當生業資金の運營方法をば、今後變えなければならんというようなことに感ぜられますので、この次の委員會におきまして多少検討して、そうして當局委員會として、これをば意見を述べるということによつて、今日の證人の、佐賀の問題をば終らして頂きたいと思います。
  94. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) ちよつと私から申上げるのでありますが、三名の方々が最後にそれぞれ意思表示をなさつて、尚今後善處するという誠實なる感想をお述べになりましたので、それによりまして今後は何かと改善されるものと存じます。つきましては、こういうことになつたにつきましては、機構の不整備であるというようなことが根底をなしておる部分があるように思いますし、今岡元委員が御提案になりました厚生省部面におきましても、援護院の指導振りにつきましても、今後協議をしたいことも改善したいことも確かにあるように思いますので、この問題は御三名の方々證言につきまして、それぞれ不備な點があつたということを委員會で認めて、そうして三名の方々それぞれ反省をされたという結論でよろしうございますか。
  95. 岡元義人

    岡元義人君 三人の證人の問題はそれで結構であります。後はこの委員會で、この證人から得たところの資料によつて政府當局に對して、今後の問題として持つて行かなければならないと思います。
  96. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それでは三人の方々證人の問題は、これで終りを告げましてよろしうございますか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それでは三名の證人方々御苦勞でございました。どうぞ今後善處して頂くことを希望いたして置きます。それから政府當局に對しましての問題につきましては、この後日に殘されておりますことを、岡田指導課長どうか十分に御監督願います。
  98. 岡元義人

    岡元義人君 次官を大勢お待たせいたしまして全く申譯ありませんが、問題は、災害補償適用をば、未復員者適用して頂くかどうかという問題であります。この問題は、現在災害補償を受けておられるものに、當然復員者はこの中に含めらるべき性質のものであるというのが骨子であるのでありますが、その理由は、昭和二十年十一月二十四日附、恩給年金及び利益に關する覺書の中にも一のイとの項に「肉體的不具癈疾に對する補償金は軍部以外の勤務により生じたる同程度の肉體的不具癈疾に對する最低補償を超えざる率にて支給することを得」とありますし、勿論未復員者軍隊勤務に現在從事しておるものではないのであります。從つて充一九四五年十一月二十四日附の覺書の對象にはならないと考えられます。未復員者勤務は、自分の意思によつて勤務しておるのではなく、いわゆる連合軍の命令によつて現在働いておるのであります。これは軍隊勤務じやないのであります。現在強制勞働に服しておりますところの勤務に基因するところの災害は、當然本人としては不可抗力的のものである、こういうような見解を持つのであります。これらの災害に對しましては、當然現在の災害補償適用を受けるべきである、こういう見解を我々は持つておるのであります。勿論未復員者は、先程政府復員局からも御説明がありましたが、未復員者のいわゆる解釋は、國庫から報酬を受けておるということが、一九四七年法律第百六十七號による給與支給準則を適用されるものであるという、こういう工合考えるのであります。今までこれが全然勞働省においても何されておらないということは、我々に取つては非常に遺憾に思えるのでありますが、この點につきまして勞働省はどういう見解を持つておられるか、一つつて置きたいと思います。
  99. 水橋藤作

    政府委員(水橋藤作君) 甚だ申譯ありませんが、内容につきましては詳しいことは事務當局から囘答して頂くことといたしまして、こうした場合の法規は最大に、有効適切に、而も未復員の皆様の利益になるように、あらゆるものを善意に解釋すべきだと考えております。つきましては、事務當局でどの程度の見解を持つておりますか分りませんが、今後におきましても、事務當局の持つておるあれが妥當であるかどうかということは、我々の責任において十分調査し、又御期待に副うようにすべきだと、かように考えております。
  100. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 私からちよつと申上げて置きますが、とにかく未復員者ではないのでありますが、不可抗力によつておるのでありますから、未復員者の支給準則を適用して貰いたいという、それが相當數あります。これが全く適用を受けていないために、その人に對する給與はみじめなものになつておるということをよく御承知なつて、よく調べて頂きたい。
  101. 森田春雄

    説明員(森田春雄君) 恩給法の中にも災害補償については規定しておりますけれども、今勞災保險で適用しておりますのは、基準法の八條で規定されておる事業に該當するならば、大體勞災保險の適用を受けるのでありまして、ただ國の直營事業及び官公署、それから同居の親族のみを使用する事業、それから船員法の適用を受ける船員については、基準法の八條の各事業に該當しましても適用せられないのであります。實際今保險法の適用がされておりますのは、大體において官吏、公務員については適用がないということは、國の直營事業、官公署というところで除外しておりますので、大體入つておりません。從つてその面の災害補償については、基準法で災害を補償されるべきでありますが、恩給法はそれらの人々に對しまして規定しておりますので、その足らない差額については、この勞働基準法施行に伴う政府職員給與に關する暫定措置の法律が出ておりまして、差額だけやることになつております。從つて復員者に勞災保險あたりを適用するかどうかということにつきましては、現在のところではまだ適用することは考えておりません。今度近く若し出ますならば、國家公務員補償法案の方で考えるべき性質のものでないかと考えております。
  102. 岡元義人

    岡元義人君 今の政府當局説明に對しては非常に私は不満滿あります。先程申述べましたように、勞働基準法のその性質が、この覺書の内容から拾つてつても、當然この復員者は昔の從前の軍隊ではない、いわゆる國家が、どうしても敗戰國として、これは現にその人じやなくて、日本國民の誰かが行つて代償を拂わなければならん、それを果しておるのであります。その解釋から「法律第一六七號(勞働基準法等の施行に伴う政府職員に係る給與の應急措置に關する法律)による給與支給準則(一九四七年十二月二十七日制定)」の第十三條に公務災害補償職員が公務の爲に負傷し疾病にかかり又は死亡した場合においてその者又はその者の遺族若しくはその者の死亡當時その収入によつて生計を維持していた者に對し勞働基準法第七十五條乃至第八十一條及第八十三條、同法施行規則第三十五條乃至第四十五條、第四十七條(第三項を除く)及第四十八條に定める金額、その他の條件により、これを行う)、こうなつておるのであります。當然勞働省においては、この問題は考えて一番元に返して、いわゆる今歸つて来ておる者は、國家がこれに對して給與を拂つておる、未復員者給與法というものが嚴然としてあるのであるから、國家給與を拂つておる以上は、而もこれは軍隊ではない、いわゆる一つの公務員として働いておる、そうして災害を受けておる、こういう工合に我々は解釋するのであります。この點今日でなくても結構でありますから、十分一つ御檢討願いまして、少くともこういう問題は大きな一つ親心から、形式に囚われるとなかなかむずかしくなります、併しながら、この問題は助けてやらなければならんという氣持を以て當つて頂きましたならば、我々の方でも十分に今まで檢討をいたしております。檢討いたしまして、これは行ける、この中でやれるのだというような自信を持つてここに出しておるのでありますから、この點お含みの上、次官の方でも適切な御處置を願いたいと思います。尚丁度これに類する、先に未復員者給與法ができましたときに、これは復員廳が起案しましたために、現在までの軍人軍属という者だけを對象として法案を出してしまいまして、そうして實際の外地において強制徴用をされたり、或いはお前殘れと、一般の者が強制留用された、そうしてそういう者の留守家族が國内に澤山待つておる。ところが未復員者給與法は、ただ復員廳が軍人軍屬の面だけから作りましたから、その軍人軍屬の留守家族はいわゆる給與法によつて給與を受けておる。併しながら強制徴用をされた者の留守宅というものは、一錢の金も未だに貰つておらん、これはやはり一つのそういうような穴が落ちたのだから、これは政府の怠慢だと思います。我々議員にも責任かあります。この法案に對して、それと同じように、災害補償法の適用という一つ大きな氣持で、親心を持つて檢討して頂きたいと思うのであります。非常に時間も經つておりまから、今日はこのくらいでお願いだけに止めて置きたいと思います。
  103. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 これは災害補償の問題ですが、例の失業法案、それから失業手當法律案が参議院の本會議において通過いたしましたときに、丁度私第一囘國會の特別委員長をしておりましたから、このままで本會議に出すならば、我々は通過させることはできない、何となれば、失業者の中で一番の失業者は、いわゆる國家に代つて強制勞働に服して引揚げて來て、そうして上陸して、その第一歩を踏み出し引揚者が失業者中の失業者、實質的失業者だ、その失業者を除外してのこの立法は、いわゆる戰争犠牲の公平なる負擔、憲法の平等の精神から言つても、これは絶對に立法の精神が妥當でないということを、私は特別委員會を代表して米窪勞働大臣に強くこれは要請しましたところが、事ここに至つておるから、失業者としては實質的には成る程そうであるけれども、今直ぐに修正をして、これを加えるということは豫算との睨み合せがあるから、だから本會議通過後、必ず政府はこの引揚者に對して適當なる立法、豫算の處置を早急にとる。具體的設計をするので御承認を願いたいという、特別委員長としての矢野と勞働大臣との間にその公の取交しがあつて、實はあの法律に我々は協贊した次第でありますから、その精神で、これはやはり同じ親心を持つて處置を願いたいと思います。國家緊急のときであればある程、國家建設に心から、反逆的な氣持を持つた引揚者なつたら由々しき大問題ですから、お互い私も引揚ですけれども、この點そういう大きい觀點からお考えなつて是非恩典に浴するような處置を御計畫願いたいと思います。お願い申し上げます。
  104. 水橋藤作

    政府委員(水橋藤作君) 先程私が申しました通り、この問題は大藏省とも關係があるように考えまするので、先程來から言われておるように、何かここに落度があるのじやないか、穴があるのじやないかというふうに考えますが、遺憾ながら事務的のことはよく分らんので、關係係員がおりますので、十分檢討して頂いて、善處するよう御約束したいと考えております。
  105. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) では只今矢野君のお話もありました通り、それでは十分お調べをお願いいたします。それからちよつと星野委員が、歸還者の食糧問題で質問されたいとのことであります。
  106. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 問題は小さい問題ですが、十二、三日前に本委員會の特別委員長中平氏、理事山田氏と共に、私上野驛にシベリヤから歸つて來る人を迎えに行つたのです。ところがその食糧が、御飯の量がどうも見掛けが少ない。餘りにひどい。併し勿論配給量を超えることはできない事情もよく分つておる。併し配給量より少かつたなら重大問題だと思いまして、その次にはこちらで一人分のお米を煮て行きまして、焚いて参つて、それを實際目方を計つたら五十匁ある、ところが食堂などは一食分が六十四匁だと言う、そうすると十四匁程少ないわけです。併しああいうところの食堂なそにはいろいろの事情があつて、そういうところに鞘がないとやつて行けないかも知れません。それというのも制度が悪いので、或いは食堂の方で、食堂の權利を得るために官廳に對して運動費が要るという、運動費をカバーするために、そういうところに鞘を取らなければならんかも知れませんし、いろいろな複雑な事情があると思うのでありますが、とにかくこのままにして放置できない問題だと思うのであります。特にシベリヤからやつと歸つて来て、その途中の辨當に、普通の汽車の辨當と違つて、その量が少ない、これは重大な問題だと思うのであります。これについて、この前物資課長をお呼びして、調査を依頼してあつた筈ですから、その結果どうなつたかということを伺いたいのですが。
  107. 戸澤政方

    説明員(戸澤政方君) 物資課長は佐世保に出張しておりますので、代理に説明いたします。引揚者に對する食糧支給は向うの港を出ましてから船内で以て支給する船内食糧、それから舞鶴、函館等の上陸地においていろいろ收容されておる間に支給される食糧、それから歸途、汽車中の食糧として支給されるものと三つに分れるわけですが、船内食糧につきましては、司令部の覺書によりますと、航海日数、シベリヤ、或いは樺太等は四日になつておりますが、航海日数の一日の豫備食糧を積込むように指令がされておるのでありますけれども、諸般の事情から、例えば豫定の人數よりも餘計に歸されるというようなこともありましたので、去年までは二日以上の豫備食糧の積込を實資して來たのであります。本年五月からの引揚増加に伴つては、更に不時の準備に備えまして、船内食糧は豫定人員に限定しないで、その船の最大乘船可能人員分を載せまして、而もそれを航海日數の二倍の日数分を積込んでありますから、まあどんなに豫定外の人員が積込まれましても、船内の食糧が不足いたすということは、先ずあるまいという確信が付いておるわけでございます。  それから上陸地に来ましてからの食糧の基準なんですが、それは給與基準ができておりまして、例えば米について申すならば、一人一日五百グラムの米を支給することになつております。その外味噌、醤油、生魚肉、野菜、漬物、食鹽、油、酢、砂糖、茶、それから乳幼児については、乳製品、患者については、バター、そういつたものについてそれぞれ基準が決まつておりまして、今回の引揚再開においては、從來の基準よりも更に全般的にいろいろなものを増加して支給することになつておりまして、これが實際の支給に當つて、その基準通りつておらないというような聲も聞きましたので、私共舞鶴と函館に行きまして實情を調べて来たのでありますけれども、大體この基準通りに支給されておるような状況を見て歸つてつたのでございまして、そういう基準以下に支給されるというようなことは、船においても、それから上陸港においてもないものと了承しておつたのでございます。それから歸りの汽車の中の辨當は、これは業務課の方で手配をしておるわけでありますが、これは私その後ちよつと細かいことは分りませんので、係の者に代つて答辯して貰います。
  108. 森田武司

    説明員(森田武司君) 實は只今の御質問の御趣旨は、引揚者が船から港に上りまして、それから港で四日乃至五日、いろいろ行事がありますので滯留をいたしまして、汽車に乗つてからのお話だというふうに……。
  109. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 汽車でなくて上野驛のことです。常盤亭とか、東洋軒とか、毎日違うようだけれども、辨當屋が入つておる、そこの話です。
  110. 森田武司

    説明員(森田武司君) 汽車に乘つてから家にお歸りになられるまでのことですね。それでこれは私共今日二人参りましたのですが、私共の方の準備の手落でございますが、實は歸郷食糧と申しておりますが、これにつきましては、引揚援護廳の援護局業務課で擔當しておりますので、詳しいことを御説明できないことを殘念に思つております。ただ私が聞いておる範圍におきましては、引揚船の船内における食糧、それからそこから陸に上つて四日乃至五日おられる、この食糧につきましては、船の中は、出發するときに船の中に積込んで、只今事務官から御説明があつた通りでありますが、それから上つて來ますと、援護局の職員が直接これをやつております。從つて外部の者が手を出すことはできません。從つてこれは今までいろいろ監査した結果、遺憾な點はないと考えております。それから汽車に乗つてお歸りになるとき、その道中の食糧につきましては、生パンとか、握り飯は途中變敗する虞れがありますので、外食券を出すとか、或いは乾パンを差上げるとか、外食券については、途中で先に手配をして置きまして、その食糧を外食券と引換えるというような方法でやつておりますが、どこにその食糧を作らしておるかというようなことについては、私遺憾ながら存じておりませんので、十分に御説明ができません。
  111. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 船内及び引揚げ後の手配に對して、政府の手配はそれでよく了解しましたが、而も下部のいろいろな不正事件によつて、十分に渡らないことがあるということを聞くわけです。現に第一大拓丸の事務長をしていた者から聞いた話ですが、相當船員の間に横流しがあり、而も水上警察及び援護局の役人がこれと結託しておるような傾向もあるというような情報も聞いておりますが、これが眞かどうか。更にこれに對して、とにかく一層の査察をされんことを望みます。現在私が提出した問題は、お膝元の上野驛のことです。それが事實六十四匁ある筈のあれが、五十匁より呉れないという事實がある。これをこの前物資課長を呼びまして、徹底的な調査を依頼した。ところがそれをまだ御存じないというようなことでは困るのであります。これはどこに原因があるのか、徹底的に調査されたい。これは少くともお膝元ですから、速急に改善されんことを希望する者であります。
  112. 森田武司

    説明員(森田武司君) 私共の連絡の不十分のために、御満足のお答えができなかつたことを誠に申譯なく存じますが、只今の上野駅の問題は、業務課長連絡して、この次の委員會において十分責任あるお答えをするようにいたしたいと思います。  それから船内の食糧について、從來若干遺憾の點がありましたことも、私共も承知いたしておるのでありまして、これは船内の船員の問題というのは、ちよつと特殊な社會を形成しておりますので、なかなか監督も十分に行届かない點もございまして、そういう遺憾な點が見られたことがありましたが、併しそういうことがあつては困りますので、私共におきましても、海運總局とか、船舶運營會にも十分連絡をいたしまして、各引揚船の船長と緊密に連絡して、こういうことのないような方針で十分に努力して参りたいと思います。尚援護局といたしましては、船に食糧を積込むときに、船長に對して積込票を渡します。それから船内においては、各引揚者一人々々から受領證を取ります。それから又引揚げて來たときに、港で以て殘額を精査します。ですから初め積込んだ量と残つた量と途中で食べた量と、そういつたものがはつきり分るようになつておりますので、大きな不正というものはできないようになつておるのでありますが、それでもなかなかときにはそういう問題もあるようでありますから、今後は十分注意して行きたいと思います。
  113. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 それで上野驛の問題は、形式的の解決でなくて、食堂の飯量を殖やさないと……私達毎日見ておりますから……。
  114. 戸澤政方

    説明員(戸澤政方君) 若し事實がありましたら、十分是正するように努力したいと思います
  115. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それではこれを以て本日は閉會いたします。    午後四時二十九分散會  出席者は左の通り。    委員長     中平常太郎君    理事            山田 節男君            淺岡 信夫君            千田  正君    委員            木下 源吾君            木内キヤウ君            紅露 みつ君            井上なつゑ君            岡元 義人君            田村 文吉君            矢野 酉雄君            細川 嘉六君            星野 芳樹君   政府委員    勞働政務次官  水橋 藤作君   説明員    復員局業務課長 岡林 諄吉君    引揚援護廳指導    課長      岡田 好治君    引揚援護廳物資    課       戸澤 政方君    引揚援護廳物資    課       森田 武司君    勞働省基準局勞    災課      森田 春雄君   證人    大藏事務官    (熊本財務局佐    賀地方部主計課    長)      中島 光一君    佐賀縣民生部厚    生課長     畑  道好君    佐賀縣更生會長 石井 龍猪