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1948-06-03 第2回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月三日(木曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件 ○引揚者厚生対策に関する件   —————————————    午後一時四十一分開会
  2. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それではこれより開会いたします。最初に引揚援護院援護廳への機構改革につきまして当局説明を求めます。
  3. 荒尾興功

    政府委員荒尾興功君) 御指名によりまして、五月三十一日に、ポツダム宣言受諾に伴う政令を以て発足いたしました引揚援護廳機構の概要を申上げます。  本機構は、ここに掲示をしてございますが、從來昨年の十月四日に復員機構整理統合に関する指令を受けまして、先ず復員廳が解体になりまして、第一復員局厚生大臣の所管に入りました。次で本年の一月一日に第二復員局を解体いたしまして、そのうち復員局機構を受持つておる部分をやはり厚生省の中に入れまして、復員局として発足されたのであります。それを更四月二十日に詳細なるご指示がありましたので、引揚援護院の中の從來援護局と檢疫局を合併いたしまして、一援護局に小さくいたしました。それから復員局とそれから旧海軍残務整理をやつております第二復員局残務整理部と、千葉にあります留守業務局と、これを合併した復員局になりました。つまり中央は一般の庶務を扱つておリ増す官房総務課、それから援護局復員局と、これだけであります。長官は前の引揚援護院長官でありました齋藤長官が今度の長官になつております。從つて復員局においては復員関係仕事援護局においては上陸地における應急援護、それから引揚先における厚生指導医療検疫という仕事をやつております。出先機関は、地方機関では御承知通り佐世保、舞鶴、函館、今まで通りであります。この中におのおの旧陸軍及び海軍上陸地における処理機関があつたのでありますが、これを全部統合いたしまして、この援護局の中に纏まつて復員部となつております。それから各地方における復員出先機関といたしまして、旧陸軍復員出先機関である復員連絡部、同支部、これは前の通りであります。海軍の方は地方復員残務処理部というのが四つあります。極めて簡素な組織に改められました。御連絡の先にはこういう所がありますから、十分御鞭撻御指導を願いたいと思います。尚本件は五月三十一日までに発足を命ぜられましたので、近く國家行政組織法案が通過いたしますと、厚生省設置法というのが出ます。その際にはこの引揚援護廳の新機構を全部中に入れまして御審議を願うことになりますので、十分御援助を賜わりたいと思います。機構につきましてはそれだけであります。  尚五月の引揚予定につきましては、この前予定として四万五千九百というふうに申上げましたが、実数はほぼこれに近い数で、四万四千八百四十三名、こういう数字引揚げて参りました。六月の予定につきましては、六月一日と三月に入りました永徳丸信濃丸は五月分の追加でありまして、これに五月の方に入れてあります。六月分は、六月の十五日までの分が示されました。即ちシベリヤのナホトカと樺太等から來た者を合併いたしまして一万八千、これだけの予定を示されまして、これに應ずる準備を十分整えております。でき得べくんば更に多くの人員をお迎えいたしたいと思いますが、現状はその通りであります。
  4. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 機構についての御質問がありますか……。それでは問題はこの程度に聞いて置きまして、将來参考にすることといたします。  次に大藏省專賣局楠元煙草課長が見えておりますが、一番先に見えておりますから、煙草取扱店引揚者に與えることという問題につきまして……。
  5. 岡元義人

    岡元義人君 御承知通り衆議院参議院におきまして、引揚者更生対策に対する決議案を通過いたしております。併しながら実質的には、引揚者更生というものに対しては何ら具体策が示されておらん。この際あらゆる方面に亘りまして、一般引揚者生業に就かしめるというようなことをば政府当局においても勿論お考えであろうと思うのでありますが、只今全國の引揚者が切望いたしております問題で、煙草の小賣店をば引揚者等に特別に許して頂きたいと心うような声が起きておるのであります。当然六百万の引揚者帰つて來ておりますし、從來の小賣店よりも更に需要者が殖えておりますから、そういう点においては考慮の余地があるのではないかと思います。この点について煙草課長の、そういうことができるかできないか、お答えが願いたいと思います。
  6. 楠元丈夫

    説明員楠元丈夫君) 只今煙草小賣の許可の問題についてお尋ねがございましたが、煙草小賣人は御承知通り、戰災地においては從前に比して減つております。それにつきましては御承知通り煙草專賣益金を上げることといたしましても、非常に増加いたしておりますので、政府といたしましてはこれが益金の確保にあらゆる策を講じて努力いたしておりますることは皆さん承知通りでございまして、それにつきましては、根本の問題といたしまして、小賣人を殖やすことも一つ方法であるのであります。さような理由からいたしまして、政府といたしましては、煙草小賣人を殖やすという方針を採つておりまするが、只今問題になつておりまする引揚者に対して優先的に、と私は解釈したが、指定するというような考えは持つていないのでありまして、一様に考えまして、小賣人としての資格その他の点を調査いたしまして指定いたしたいと思います。
  7. 岡元義人

    岡元義人君 終戰後どの程度まで引揚者等がそういう方面で許されたという過去における、終戰から現在における実績があるかどうかを承わりたいと思います。
  8. 楠元丈夫

    説明員楠元丈夫君) 只今の御質問にに対しましてはまだ調査いたしておりません。
  9. 岡元義人

    岡元義人君 一様に取扱うというようなお話は、政府当局からのお答えとしては非常に不満足であります。これは決議案にもあります通りに、海外におつた者帰つて來たならば、何か生業に就かなければなりません。生業に就かなければならないものは別に考慮しない、それじやどういう傑作をここに……、今お話によりますと、條件を附帯せられておるようでありますが、引揚者については條件の附けようがないということを突き進めて考え行つたならば、引揚者にはそういうものは與えられないという結論に達するだろうと思います。体一貫帰つて來た、それに対して政府が本当にあの決議案の内容を御検討なさつておられるならば、それは別段何らかの特別な措置を講じない限り、頂けないのです。その点どういう工合考えられるか、もう一回……。
  10. 楠元丈夫

    説明員楠元丈夫君) 御承知通り先程も申上げましたが、利益金確保ということが非常に負担が大きくなつておりますので、小賣人といたしましても從來の小賣人に比しまして非常に負担が大きくなつております。従いまして、小賣人といたしましても営業を遂行いたしますためにはやはり資産とか信用とかいうことが非常に重要になつて來るのでありまして従いまして、そういう点を從來通りやはり考慮いたして許可しておるのであります。それで只今お話通り、こういう点を考慮いたしますというと、或いは引揚者の皆様にはきつい標準になるかとも思うのでありますが、御承知通り只今申上げましたような方針を採つておりますので、その点一つお含み願いたいと思うのであります。政府といたしましては引揚者皆さん許可しないというような、積極的にそういう方法は全然採つていないであります。
  11. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) ちよつと私からもお尋ねしたいのですが、信用の問題で、煙草小賣業者の指定のことに対しては、信用を基礎とするなれば、引揚者には恐らく廻りがないと思うのでありますが、これは引揚者は或いは五人とか三人寄つで合資組織でやつて、或い生業資金も相当借り得る途も開けておりますから、連合で何かの事業をやつておる。その事業に附帶して煙草の小賣もやらせるというようなことができ得んことはないと私は思うのでありますが、その点を伺いたい。
  12. 楠元丈夫

    説明員楠元丈夫君) 只今お話の点ございますが、そういうような組織になさいまして、そうして能力ができるということになれば無論考慮されると思いますが、それにつきましては、やはり私の方といたしましては、法人格を持つ組織体にして頂きたいというふうに思つております。
  13. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) もう一つ私お伺いしますが、それならば、そういう方面にどんどん出願をしたなれば、地域の分布ということは余り重要視なされんのですか。やはり地域が重要視されて、請願してもその附近にあるからいかんということになるのですか。その点どうですか。
  14. 楠元丈夫

    説明員楠元丈夫君) その点でございます。やはりお互いに小賣人として或る程度利益確保できませんというと、営業の遂行ができませんので、やはり附近の状況、言い換えますれば、よその小賣人との距離、その附近の戸口の度合というものを考慮に入れまして、その点をやはり考えませんとお互い利益のためになりませんので、考慮いたしております。
  15. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 私からも要望して置きますが、そういうふうに引揚者は実際に職がなくて困つておりますので、引揚後の援護にについては政府おいで責任があるわけでありますから、そういうところには積極的に請願をし、申請をするというような工合になつて來た場合、大藏省一つ考えつて優先的に許可して貰うようにお願いいたします。
  16. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 私は煙草、酒並びに塩の問題に対しましては、これはいつかの懇談会のときに、大藏省ではこれに対しては善処をして考慮を拂うということを聞いたように記憶しておるのでありますが、今の煙草課長お話から見ますと、何らそういうことはお聞きになつておちんようでありますこれは過日の二十五日、二十六日の決議案のときにおいても、こうした点をなささければいけないのじやないかと思うのでありまして、それに対しまして今全國にこの煙草小賣店というものはどのくらいの数があるんでしようか。一つ簡單に伺いたいと思います。
  17. 楠元丈夫

    説明員楠元丈夫君) 只今約十二万でございます。
  18. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 そうしますと、この十二万のうち、引揚者が六百万といたしまして、少くてとも一割くらいのことは將來において御考慮願えるものでしようか、どうですか。その点を一つ、例えば一万とか一万二千とかいう数を、いろいろな法人格とか或いは諸般の準備が完備した場合において、そういうものが一割くらい御考慮願えるものでしようが、どうですか。それを一つ……。
  19. 楠元丈夫

    説明員楠元丈夫君) 先程申上げました通り、やはり或る程度條件考慮しなくちやいけませんので、ここで私がこれだけお引受けいたしますという確かたるご返事はできはできません。
  20. 安達良助

    安達良助君 只今煙草の小賣店のことにつきまして、引揚者に対するどの程度許可をやつておるかという質問がございましたが、これに対しまして具体的な調査はないというような答弁でございますので、それでは我々がこれに対しまして意見を述ぶるにつきまて非常に困るかとがございますので、早急に終戰後におきましてどのくらい許可をしたか、その許可をした数字のうち、引揚或いは戰災者に対しましての許可数の明細なるところの数を現わして頂きたいと、かようにお願いいたします。
  21. 楠元丈夫

    説明員楠元丈夫君) 承知いたしました。
  22. 岡元義人

    岡元義人君 最後に一つだけ課長に伺つて置きたい。先程の話でいういろいろな條件が必要だということでございますが、ただここに引揚者等が相当な條件を具備しておる状態にありましたならば、今までの既存の人達には與えられなくとも、優先的に今後は引揚者にそういうナニがあるならば與えてもよろしいという工合に我々解釈してもよろしいのですか。
  23. 楠元丈夫

    説明員楠元丈夫君) 優先的という事はちよつと私先程來いろいろお話を承つておるのでありますが、実は今日長官、部長は外に事情がありまして出ておりませんので、又帰りましてその点につましては相談いたしたい思います。
  24. 岡元義人

    岡元義人君 これは外の、單に煙草に止まらず、外の問題でもこれに類した問題が起きて來ておるのでありますが、農林省におきましても漁網資材とかそういうものは引揚者に対して今度は特別の枠を作つて呉れたのです。あなたの方のお考えが、引揚者はとにく実績がないのですから、ここに帰つて來た以上は、やはり内地の方で優遇し合つて生業に就かしめなければならない。これには優先的に何とかして貰うより外に方法がない、これははつきりしておるりです、その点をお考えになつて條件があるとおつしやいましたが、條件は先程委員長が申しましたように、引揚者には復金融資もございますし、又生業資金融資もございますし、そういうものによつて條件に具備して行くと思います。要はあなたの方でこれだげの人間が帰つて來るのですから、これには商賣できるようにしてやらなければいけないというようなな観念からこれを考えて頂かないならば、私は解決の着く問題じやないと思いますのでこの次の委員会でも結構ですから、……。
  25. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 今の岡元委員の御質問に関連いたしまして、この点を一つはつきりと含んで頂きたいと思います。これはこの間厚生大臣ですらその先月の二十五日、二十六日の衆議院参議院における決議のことを知らなかつたというようなことを言われて、非常に私共は追及いたしたのでありますが、どうかこの國会におきましては衆参共決議がなされ、そうして決議の中に六項目ありまして、今岡元委員からいろいろ言われました点は、この三項に盡きると思います。それをちよつと読んで見ますから……。「勤労希望者には職業を、事業経営希望者には資金資材企業権を、就農希望者には土地資金と農具を」ということでありますこの三つの項に全部盡きることでありますから、どうか……。今煙草が問題になつておりますが、この件に対しましては善処ということでなくして、積極的にお考えになつて頂くことを要いたします。と同時にでき得れば次の委員会のときに、その御解答を頂きたいと思うのであります。
  26. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それではこの問題は安達委員の申されました的確なる調査を要望するということ、それから尚岡元委員淺岡委員からお話になりましたことに対する、積極的に当局が就職の優先的な援助政策をやつておるか否かという問題に対して的確な返答を次にお願いする。こういうことにいたして、この問題は打切たいと思います。    〔「異議なしなし」と呼ぶ者あり〕
  27. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それでは課長、そのことをよく御了解下すつて衆参両院で行われた決議一つ読んで頂いて、どんな問題がここで討議されているかということを知つて置いて頂かなければなりませんね。それでは本日はこれに散会いたします。    午後二時二分散会  出席者は左の通り。    委員長     中平常太郎君    理事            山田 節男君            淺岡 信夫君            北條 秀一君            千田  正君    委員            草葉 隆圓君            安達 良助君            紅露 みつ君            木内キヤウ君            岡元 義人君            楠見 義男君            田村 文吉君            井上なつゑ君            藤野 繁雄君            細川 嘉六君            星野 芳樹君   政府委員    経済安定政務次    官       藤井 丙午君    復員事務官    (復員局総務部    長)      荒尾 興功君   説明員    大藏省専賣局煙    草課長     楠元 丈夫