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1948-05-04 第2回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月四日(火曜日)    午後一時三分開會   —————————————   本日の會議に付した事件 ○引揚再開に伴う厚生對策に關する件   —————————————
  2. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それでは、これから開會いたします。只今までの各委員の御質疑に對しまして、政府答辯を願いざす。
  3. 北條秀一

    北條秀一君 先程私が議事進行について申上げましたように、十分分り切つていることであると考えますので、まあ本日荒木政務次官がこの席に出られましても、十分に事務的な引継ぎが決定していないと思いますので、若干懸念があるのでありますが、先程來各委員から質問がありましたので、それに對して荒木政務次官から、この際新内閣の責任ある方針を御開陳願いたいと存じております。    〔「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり〕
  4. 荒木萬壽夫

    政府委員荒木萬壽夫君) 一番最初矢野委員からいろいろ御激勵頂いたのでありますが、私も一代議士としまして、又民主黨の一黨員といたしまして、皆様方と御一緒に外地引揚げの問題につきましては及ばずながら微力を捧げ來つたつもりであります。政府といたしましても、勿論先刻からの御發言悉く同感であることは申すまでもないところであります。問題は豫算に關します限り何としても貧乏世帯だから、絶対額を皆様方の御希望通りに右から左に應じ切れんというのが僞らざる眞情であろうと存ずるのであります。私も大藏當局の一員となつたわけでありますが、もとより微力ではありますが、先程來お話がありましたがごとき御意見の點を今後も努力し続けて行きたいという考えであることを皆様方の前に申上げて、先ず御了承を頂きたいと存ずる次第であります。豫算折衝は御承知のように、それぞれ所管省大藏省折衝いたしまして、大體の見當をつけて豫算が一々決まることは、御列席の引揚者方々が後の方にお控えであると拝察するのでありますが、豫算一つ一つGHQの方に参りまして、一々相談ずく決定付けられるということで、大藏省が一體どういう考え方でやつているかと申しますと、事務當局が例えば家族手當歸御旅費、或いは死歿者埋葬費、或いは遺骨の受取りの旅費、乃至は生業資金等につきまして一應どういう査定をしておるかということの事務的な理由は私は詳かにいたしませんが、要は金がないから一つ我慢して呉れないかということが一つ理由だろうと思います。この點は先程御指摘になりました通りで、その程度金額目的が達せられないということについても同感であります。今後私の努力がどの程度反映するかは甚だ心細い次第でございますけれども、極力増額しまするように私も努力いたします。  尚御参考までに私の知り得ましたことを申上げますと、例えば生業資金にいたしましても、現行生活保護法に基きまする一般生業資金というものが最高七千圓だそうであります。例えばそういうふうなことも事務的には横の睨みを考え合せざるを得ないのでありまして、家族手當歸郷旅費その他にいたしましても、とかくそういうことが一應形式的な目安になつておるようでございます。繰返して申上げますが、その金額が十分でないことは分るのでありますが、何分貧乏世帶であり、而もその筋との折衝があり、思うに任せない實情であることを御了承を頂きたい。更に政府側といたしましても、今後の折衝に俟ちまして、努力に俟ちまして、御期待に幾分でも近付くように努力したいということを申上げます。  それから尚今後一般的にどういうふうにする考えであるかということにつきましては、ちよつと私も一々について具體的に申上げ兼ねるのでございまして、若し厚生省主管省がお出でになつておればそういう方面からお答え申すのが一應至當かと存じます。尚申落しましたが、引揚者持歸資金限度の問題についてお尋ねがあつたのでありますが、現在はたしか一人千圓だと承知いたします。これをできるならば世帶主にはせめて五千圓見當まで、更に家族一人について千圓というぐらいまで引上げたいということで目下折衝中でございます。尚外地において非常に難澁をされた方々救濟或い引揚に要します経費、或いは在外公館経費を現地で以て取立てている、或いは借上げている。そういうふうないわば引揚げに關連しまする行政費、それを一體どうするかという問題があるようでありますが、これにつきましては、極力返すべきだという建前で、これも折衝中でございます。尚更に在外私有財産の問題、これは一般的に申上げれば、内地におきましても、戰爭によつて國民が大なり小なり、程度の差こそあれ被害を受けたという意味において、或る程度の何と申しますか、被害負擔の衡平という見地から申せば、何がしかは我慢して頂かざるを得ないということは、これは言い得るかと思うのでありますが、その在外町有財産をどんなふうに具體的處理するかということは、結局は講和條約と申しますか、外地におきまする公私財産講和會議において如何に取扱うべきかということに關達するわけでありまするので、最後的な決定は、その線がはつきりしない限りは申上げられない問題じやなかろうか、そういうふうに考えておる次第であります。  それから又支拂停止になつております送金爲替、或いは預金の残高證明書に関しまする問題といたしまして、一體これをどうするか、これは一千圓での支拂昭和二十年の九月二十三日以前に歸られました方に體して、圓表示送金につきましては千圓の支拂をいたしておるという様子でありますけれども、その支拂銀行閉鎖機関に指定されております場合は支拂い得たい。或いは閉鎖機関でありませんでも金融機関再建整備法に基きまして整理ができていなければ、實際上その求めに應じ切れないというような實情でありまするが、こういうものにつきましても、前申上げました一般私有財産をどうするか、在外資産をどうするかということと同じ問題で、内地教金が、引當資金内地にあります者、或いは送金されました者に関しまする限りは支拂い得るのでありますけれども、そうではなく引渡資金たるものが外地にあります者につきましては、やはり私有財産として申上げました一般問題と同様、講和會議において如何にそれを具體的に取扱うかということに係つて來ますので、急に國内だけでどうということはできないであろう、こういう見當を付けております。又瞬時公債利拂い或いは公社債等各種の證券につきましても、在外資産私有財産處理、これと又關連いたしますが、極力これも支拂いをするようにという見當を以て努力するつもりであります。持歸り金につきましては先程申上げました。  大體差向き私が承知しております項目を、具體的結論が出ませんままに申上げて見ますれば以上の通りであります。更に御質問に應じまして、私の知れる限りを申上げて見たいと思います。
  5. 岡元義人

    岡元義人君 今の政務次官の御回答は、勿論事務引繼ぎその他において尚日が淺いことでございますから或いは無理かも分りません。併しながら政務次官として、恐らく第一船の入るのは明後日ですが、これらに對する何らかの對策を持つていないということは非常に遺憾に堪えないと思うのであります。持歸り金でございますが、私がお尋ねしましたのは、明後日歸る者は大半復員關係が多いのであります。その復員關係者の持つて歸るところの旅費は、軍属が千圓、将校は五百圓、下士官兵は三百圓、こういうような差別が付いておる。未復員増給與法において差別を撤廢したのだから、當然持歸り金も差別を撤廢して同一にして頂きたいということは、委員會から大藏當局にも或いは又所管方面にも十分に今まで申述べてあるのであります。その點についての回答、それから今のお話を承わりますと、明後日から歸つて來る、こういうような數十萬に及ぶ、こういう人たちの何らかの特典對策が全然吟味されておらないということになるのじやないかと思うのです、勿論免税その他の特典、こういうことにつきましては大藏當局所管當局だと思うのであります。この點について尚一應御回答が願いたいことと、それから先程の葬祭料或いは歸郷旅費、これは非常に合點の行かない問題でありまして、我々は苦しい財源であるということは、議員である以上十分承知いたしております。併しながらこの算定されましたこの根據が、片方では二千九百二十圓ベースに上り、いろいろな他の方面釣合つてつているのに、この問題がどこに根據を置いてこういう馬鹿げた計算が出たのか、我々了解に苦しんでおるのであります。この點について御回答が願いたい。
  6. 荒木萬壽夫

    政府委員荒木萬壽夫君) 就任早々でありましてということで悲鳴を上げるわけにも勿論行かんわけでありまするが、すべての問題は、初めに申上げましたように、その筋との折衝を要しまするので、なかなか具體的はつきり申上げ兼ねることを遺憾といたします。大藏當局の事務的な査定、それが一體如何なる標準でやつたかということにつきましては、さつき申上げました通り所要資金を、財政資金をそれぞれ全般的に大凡の見當を付けまして、幾らだという輕費、及びそれに對する歳入ということがおのずから限度があるわけでありまするので、その収支の見當ということが先ず第一に念頭に浮ばざるを得ないでありまするので、さような見當から事務當局としては一應の査定をしたということだろうと私は想像する次第であります。いまして事務當局査定、すでに私が就任しました常時にGHQに持つて行かれましたときの事務的の査定内容ということにつきましては、私からちよつと今直ぐお答え申上げ兼ねる次第でありますが、大體の推察を加えまして恐縮でありますけれど、以上のように述べた次第であります。
  7. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) ちよつとこの際申上げますが、農林省の水産局資材課長ちよつと差支があつて外出しておられるので、金子事務官が代つて見えておられますから御報告申上げます。  それからちよつとこの際、大分時間もまだかかるのでありますから議事の終りまでお待たせすることもどうかと思いますが、山梨縣復員促進同盟會から多数の方がお見えになつております。代表者岸本文次氏であります。そうして歸還促進の連名簿が多数の方方の御調印によつてここに参議院に提出されております。つきましては議事中でありますけれども、餘り今日見えた方々にお待たせをするのも如何かと思いますので、五分程の間お許しを得まして、山梨縣同盟會代表者の御希望、御衷情を聞きたいと思いますが、如何でございますか。
  8. 北條秀一

    北條秀一君 只今委員長の御發言誠に結構だと思いますが、要は荒木政務次官及び政府擔當者の各位が見えておりますので、そちらの方が五分間話していられる間に、時間がなくなつてつてしまわれたのではこの目的を達しませんから、その點を確かめて置いて、今のお話を伺つたらどうかと思います。
  9. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 今大藏次官お尋ねの點が一應済んだかに見えたのでありますが、まだ御質問があるようでありますから、それでは政府當局の方は暫くお待ち願います。速記を止めて。    〔速記中止
  10. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 速記を始めて。それでは大藏政務次官に對して御質問ございますれば、成るべく簡明に御質問願います。
  11. 北條秀一

    北條秀一君 荒木政務次官は、すでに一年間衆議院の國土劃委員長として、敗戰田本を復興するために何をしなくちやならんかということについては、十分檢討されておつたことと私は思うのであります。引揚者の問題は、すでに七百五十萬人が日本に歸つておるのでありますが、これは敗戰日本の人口問題として最も大きな問題であることは、これ又荒木政務次官は十分に承知されておることと思うのであります。つて引揚者の問題は、復員者の問題を含めてそうでありますが、乏しきを憂えておるのではなく、等しからざるを憂えておることについては、これ又荒木政務次官は十分知つておると私は考えるめでありますが、今日まで大藏省はともすればこうした根本の考え方を、ないで、悉く事務的に問題を處理するところにあらゆる懸案が解決しない最大の缺陥があるのであります。從て私は冒頭に申しましたように、特に國土畫常任委員長としての一ヶ年の経験と、研究をされた荒木政務次官に、特にこの點を明確にして、今後の處理當つて頂きたいと考えますのは、政務次官として就任されて日尚淺いという、このこと以外に、既往一ケ年間の経験に基いて、そうしたところに重きを置いて處理いたされておりましたところの引揚者の問題、復員者の問題は戰爭の犠牲を公平に負擔するというところにあるわけでありますが、この點にしつかりと認識を置かれまして、政務次官として今後各種懸案について最善を盡して頂きたい。この點について私は荒木次官の見解をこの際聞いて置きたいと考えるのであります。(「同感」と呼ぶ者あり)
  12. 荒木萬壽夫

    政府委員荒木萬壽夫君) 只今仰せになりましたお説の通りに、私も同感の意を表するものであります。餘りいろいろと存じませんので誠に恐れ入りますけれども、少くとも物の考え方といたしましては、今お示しのような御意見にい、その意思を體して私も善處したい決意でございます。
  13. 岡元義人

    岡元義人君 私の質問に對しまして誠に漠としたお答でございまして、明後日を控えまして、何らの道が開かれておらんということは誠に残念に思うのであります。つきましては、政務次官は速かにこの新らしく歸つて来る者七十萬程なのでありますが、これらに對して何らか特典を與えなければならんことはこれは絶對でありまして、最初歸つて來た者が或る程度特典が與えられまして、そうしてそれから三年も苦勞していろいろな困難状態に突入しておる者に對して黙つてつて置くということはこれは絶對ならない。政府として何らかお考えになるべきだと思います。この點についての至急對策を講じて頂きたい。  それからいろいろ御質問申上げました點につきまして、尚事務當局によくお傳え下さいまして、この點を次曾特別委員會で明らかに回答して頂くように、この際お願いして質問を終りたいと思います。
  14. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 一言その葬祭料、それから歸郷旅費埋葬料これに對しましての今の決定額一つはつきりとお聞かせ頂きたいと思います。
  15. 荒木萬壽夫

    政府委員荒木萬壽夫君) 先程速記が始まります前にお話になりましたような数字が、事務的折衝として一應論議せられておるように承知いたしております。ただ併しこれは本豫算といたしましては、まだ政府側として確定していないことは御承知通りでありまして、その筋等のそれぞれ意向を酌みながら、内交渉中である、こういう状況でございますので確定ではございませんから御了承願いたいと思います。
  16. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) ちよつと荒木次官に私からもお聞きしたいのですけれども、すでにその筋からこういうふうに指示されておるということについては、御増額というようなことはむずかしいのではないか、又増額するようなことを言つても、又その筋の承認を受けなければならんのでしよう。そういう建前のものですか……。速記を止めて。    〔速記中止
  17. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 速記を始めて下さい。
  18. 北條秀一

    北條秀一君 引揚對策處理するために引揚援護院應急援護防疫及び定著援護に關する中心機関とて設置されておるので、これでその目的を達するつもりであるという内閣總理大臣からの回答があつたのでありますが、私は現在の官制引揚援護院應急對策並び防疫をやるのが引揚援護院の任務であるというように理解しておるのでありますが、内閣總理大臣回答書によりますと、引揚援護院は更に定著援護までもやるべき中心機關であるということを明快に回答されて來たのでありますが、この點について引揚援護院長官の御所見を承わりたいのであります。
  19. 齋藤惣一

    政府委員齋藤惣一君) 只今の御質問通り官制におきましては引揚援護院應急援護ということが建前のようであります。但し當局との了解を得まして、或る種の定著援護につきましてはこれを行うことができるように進めて参ります。例えば後程質問があるであろうと思いまする生業資金のごときはそれでありまして、全部に關するあらゆる問題を取扱うということはまだできておりません。それからすでにお聞き及びの通りに、行政機構いろいろ改革に從いまして、委員會というような名前も付けることができなくなりましたので、或る種の審議機関というものができることは必要だと思うのであります。ただどういう形においてそれをするかということはそれは研究を要することでありまして、只今私よりお答えを申し兼ねる次第であります。ただ最近更に當局との問に折衝をいたして、恐らく數日の中に決定されるであろうと思いますることは、第一に復員局との關係でありまして、これは引揚援護院の中に、引揚援護院がそのときは引揚援護廳となると思いますが、そういう形におきまして新らしい機關ができるわけであります。直ちに只今質問通り一つ機關になるかどうかということは、まだ今後に俟たなければならんことであります。この引揚援護院もどういう形で終るかということも、その指令の一部に現われて來ると思いますが、それはちよつとここで只今申上げ兼ねる次第でありますので、御了承願いたいと思うのであります。
  20. 岡元義人

    岡元義人君 又生業資金でありますが、四、五、六のこの三月に對して豫算暫定豫算になつております關係上、どういうような方法で以て生業資金をえられるか、それから前の委員會において、いわゆる五億圓は我々委員會としてはどうしても承服し難い、できるならば十億圓ということを要望してあるのですが、その後の輕過をばこの際承つて置きたいと思うのであります。
  21. 北條秀一

    北條秀一君 岡元委員の前に説明さして頂きたいのでありますが、よろしうございますか。
  22. 岡元義人

    岡元義人君 どうぞ。
  23. 北條秀一

    北條秀一君 先程援護院長官からお話がありましたが、これらの機構の改正が或る程度了解を得たということは誠に結構なことでありますが、結論引揚援護院が擴大されるのか或いは縮小されるのか、その點がはつきり私には分りませんので、その點についての長官のお考えをもう一度聽いて置きたいと思います。
  24. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 さつきの北條委員質問に差し加えまして、援護院援護廳になり、今日の援護院というのは厚生省所管内にありますが、これは擴大か擴縮か知りませんが、援護廳なつた場合には、内閣に属して行くものか、或いは従來のようなふうに厚生省所管内にあるのか、それも合せて一つお伺いしたいと思います。
  25. 齋藤惣一

    政府委員齋藤惣一君) 両方合せて事答えしてよろしろございますか。順序は違うかも知れませんがお許しを願いたいのであります。先に機構の問題のお尋ねがありましたが、これは明五日その筋に提出いたしまして、後に許可があり、指令があるわけでありますので、ただお含みを願いたいというわけで申上げたのでありますが、大きくなるか、小さくなるかというお話ですが、一時は大きくなるでありましようが、やがては全部これは解消してしもうものであります。それも指令の中にはつきりしておると思います。一言で申しますれば、引揚復員業務の終りました後には、これは残務整理のようなのになりまして、小さくなつて終るべきものと思います。それから廳というのは、ただこれは大きくなるのではありませんで、むしろ院となる方が國務大臣の司るものであり、廳となる方はその下にあるものでありますから、それは最近の行政機構改革に基くただ名前の變るだけでありまして、内容においては變りありません。  次に岡元委員の御質問にお答えいたしたいと思うのでありますが、これは三月特にこちらの特別委員方々が遠方までお出ましを頂きまして、いろいろ實際當つて深い關心をお示し頂きまして、私共關係者といたしましても感謝に堪えない次第でありまして、只今申上げます範囲のことは、大部分御承知のことと思いますのでお聞き苦しいかと思いますが、第二次は六億六千六百幾らということで第三次の問題についてのお尋ねでありますが、これは三月の一億五千、この五月の暫定豫算に一億ということに決定をいたしました。六月から先は交渉中でありまして、これはまだ申上げる域に達しておりません。ただ五億ではいけない、十億というお言葉でございますが、これは五億という數で満足しておる意味ではございませんが、今年はいろいろの方面返還金奬勵をいたしたいと思つておりますので、それは約一億八、九千萬と七、八千萬あるかと思いますので、そういうものと睨合せまして三月一億五千の外に五億見當で、第二次を下らざる範圍ということに只今のところ進んでおりまするので、いろいろ關係の者が骨を折つておることも事實で、ありますが、それまで参つておりませんことを明らさまに申上げる次第でございます。そのような状態であることを御了承頂きまして、おニ人の御質問にお答えいたしました。
  26. 岡元義人

    岡元義人君 非常にお骨折り頂きまして誠に感謝に堪えないのでありますが、今の一億はもうすでに通知を出されれたのでございましようか。それとも今からお出しになるのですか。その點一つ現金の交付期日等をこの際明らかにして頂きたいと思います。
  27. 齋藤惣一

    政府委員齋藤惣一君) 只今の一億の通知でございますが、これは計數やいろいろ細かいものがありまして、各地に振當てておるので今現にやつておりまするので、まだ通知済みではございません。
  28. 岡元義人

    岡元義人君 大體いつ頃。
  29. 齋藤惣一

    政府委員齋藤惣一君) 今やつておりますから、成るべく早くいたしたいと思います。
  30. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 齋藤長官に一お尋ねの方は済みみましたか。それではどうも御苦勞様でございました。次に厚生省の方の側に……。復員廳だけ見えております。
  31. 木下源吾

    木下源吾君 私ちよつと發言を許して貰いたい。皆が済めば一人々々歸つて行かれるので、この際歸つて行かれる前に一言申上げて置きたいと思うのです。それは先程矢野委員からどうも引揚者に金が入るのが遅くて困る。それで五十萬の金を借りるのに十萬圓も掛かるのだ、こういう矢野君實に熱心で事情に明るい人が言われますから、それはその通りだと私は思うのであります。そこで考えられることは、これは諸君には關係がないと思いますが、今役人國民にものを頼まれたりすることを特権のように考えて賄賂を取るとか、或いは袖の下を貰う、それなければ殆んど仕事をしないという、そういう聲は巷に充ち満ちている。これは必ずあなた方もお聞きになつておると考えるのであらます。鐡道の伊能次官、これはまあ眞僞の程はまだ分りませんけれども、そういうような事情にあるいうことは一概に世論を抹殺することはできない。そこでそのような煩雑もないことが長い期間掛かるということは、衝に當る役人諸君が熱意がないか、無能か、然らずんば甚だ私は申げにくいけれども、一先程申上げたようなことがあるんではないかというようなことを考えざるを得ないのであります。この點について引揚者に關する限りにおいては、私は絶對にそういうことのないように責任あるあなた方が一つ十分に御注意を願いたいと考えるのであります。この引揚者の面から私は只今申上げることが實行でき、本當に緊張せられておやり下さるならば、全政府竝びに役人に對する一つのこれは摸範になるであろうし、この際相手が引揚者という點で、そういう地位を獲得するに、名譽を獲得するに最もふさりしいお仕事をおやりになつておると考えまするので、どうか私が今申上げたことが杞憂であるならば幸いでありますけれども、先程矢野委員から發言がありましたことを思い合せて私は只今申上げたのでありますが、この委員會においても是非一つ引揚者に封するろくな給與、或いは金を渡すということに對しては迅速に當局がこれを運ぶべしということを決議をいたして頂きたいと考えまして、動議提出すす次第であります。    (「賛成」と呼ぶ者あり〕
  32. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 木下委員から大變有益な而も極めて切實動議が出て参りました。どなたも御賛成を得る前にちよつと齋藤長官からこれに對する御決意をお伺いいたしまして、それから後決議をいたしたいと思います。
  33. 齋藤惣一

    政府委員齋藤惣一君) 只今木下委員から大變に適切なる御注意を頂きまして感謝いたしましす。五十萬圓に對して十萬圓の手数料を取つたというような事實はまだ私聞いておりません。ただこの問題につきましてうまく處理されることを願います一つといたしまして、去る三月に全國を四つのブロツクに分けまして、北海道と東京、大阪、佐賀、この四ケ所に實際の責務に當ります者を集めまして、只今注意のような、速かに處理するについての手配を實はいたしたのであります。今回の手配をいたしました一つの新らしい事柄は、民生委員を通じてこの金を借りるということが一つ、もう一つは市町村長の手を輕てもできる兩建にいたしたのであります。これらのごときも成るべく早くお金の必要な方々に渡るよにという考えからいたしたのでありまして、私共が中央で考えておりますることが末端に屈かないということをかねがね心配いたしておりましたために、三月にそういうことをいたしました。尚來月は、生業資金によつて相當のものを作つておられるのでありますが、これを奬勵するような意味合での展示會を先ず東京でいたし、更に各地でもそれを催すということを只今計畫中であります、これらの事柄は成るべく末端にそれが届かなくてはならんということを十分心得ておりますので、只今注意の點につきましては係の者すべてによく注意をいたすことにいたしたいと存じます。矢野さんここにおいでになりませんが、若しその賓例を伺うことができましたならば確かにこれを質したいと存じますので、その點も一つ皆様の間にそういうことをお気付きの點がございましたときには即刻一つお知らせを頂載いたしたいと思うのであります。只今の御注意は誠に有難うございました。よく注意をいたすごとにいたします。
  34. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 齋藤長官のそれに對する御決意を伺いましたが、もとより當然でございますが、この會といたしまして木下委員動議を書面にして當局に渡して、そうして指針にさしたいということに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それではそういう成文は委員長の方へお委せ願えますか、どうします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 千田正

    ○千田正君 ちよつと齋藤長官のお歸りになる前に……。
  37. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 今の問題はよろしいですか。
  38. 千田正

    ○千田正君 今の問題はよろしいです。無縁故者の問題、樺太から引揚けて來た無縁故者を東北及び北海道で引受けておるのですが、引続いて引受けるということになりますか。前に引揚げて來た人の定著の問題についてまだ十分な政府の施策がなく、各縣におけるところの更生の指導方法が十分ではないのでありまして、是非これは後から引続いて引受ける等の關係上、前に引揚げて來た人たちの指導方針について各都道府縣に對して援護院なりその他の関係方面から具體的に御指導を願いたいと思います。この點御要請申上げて置きたいと思います。
  39. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それでは今御決議願つたことは、草案を作ることせどなたか二三の理事の方にお委せ願んますか……。理事の方で成案を作つて當局に出すということにいたしまして決定いたします。  次に勞働大臣の代りといたしまして勞働政務次官水橋君が見えております。引揚再開に伴う失業対策につきまして御質疑その他御要望の點をお願いたします。
  40. 岡元義人

    岡元義人君 どうぞ厚生省の方も一緒にお聽きして頂きたいと思います。實は今日の委員會は、もうすでにお聽たなつております通りに、明後日の再開に伴いまして、急遽いろいろ對策として考えなければならん問題を採しておるのでありますが、これらの引揚者が歸つて参りますと、途端にこれは失業者になるのであります。どうしても殆んど全部を失業者とみなさなければならんのでありますが、これに對して勞働省が明後日からの再開に對し、どういう準備をしておられるか。先すこの點をお伺いしたいのであります。  第二點はこれは厚生省、復員關係當局にも前以てから連絡を取つてあるのですけれども、例の失業保險を上陸地本人渡しの給料の中から保險金を掛けて行つたならば、當然公務員として待遇されべきものじやないかという點なんです。そうすればこれから歸つてる者は失業保險法によつて救助される途か開かれるわけです。これをば例の失業手當法と失業保險法と法的根據においても、いわゆる海外において今まで強制勞働に服して來るという人たちは、當然公務員と同じような見方をしても差支えないのじやないかという我々は見解を持つておるのでありますが、特に私はそういう工合にあの法を解釋しておるのであります。この點について勞働省の責任ある御回答を願いたいのであります。
  41. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) ちよつとこの際申上げますが、厚生省の方の引揚その他の常局の方にも先程お願い申しておつたのでありまするが、一緒に厚生省、勞働省に對してお願いしたいと思います。
  42. 岡元義人

    岡元義人君 復員廳だけですから、一般厚生關係は駄目なんです。
  43. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 厚生大臣は、時間の都合があつて出られないそうです。それで復員廳の方の側につき、ましての御質疑その他についてお願いいたします。
  44. 千田正

    ○千田正君 勞働省の回答を先にやつて下さい。
  45. 水橋藤作

    政府委員(水橋藤作君) 引揚者の失業問題でありまするが、只今勞働省といたしましては、各引揚げの土地には四百五十の安定所がありまして、その安定所か引揚者に弱しまして、優先的に職業補導、或いは共同作業所設置によりまして職場へ直に優先的にお世話する、それから又職業補導といたしましては、御存知の通りの或る一定の手當によりまして、半年なら半年の補導をいたしまして職業を斡旋する、こういう建前を採つておるのであります。これで十分とは我々は考えておりませんが、只今のところではそれだけの方法を以て失業対策に當つておるのであります。  それからもう一つ保險のことでありまするが、内地にあるところの會社と同一會社で外地で勞働しておられる方は、内地の方と同じに繼続したことにして失業保險を存置しておるのであります。ただ一般の勞働しておられる方、保險に入つておられない方には、そのままになつておるのであります。
  46. 岡元義人

    岡元義人君 第一點の質問に對しましては、勿論一般的な失業對策に對しては今御説明の通りに實施されておるのであります。私の申しますところのものは、明後日から、特に三年間もあの寒いシベリヤで働いて歸つて來る、非常に辛酸を嘗めて歸つて見えます人たちが、明後日からいよいよはつきりしておるわけでございますが、それに對してもつと積極的に勞働省が何らか考える、それが又政治だと思うのです。そういうようなことができないような政府であつては、又将来が思いやられると思います。明後日再開だといこれは國を擧げての大きな問題です。(「そうだ」と呼ぶ者あり)それについて勞働省が艦から上る所に待ち構えておつて、お前はあそこに行け、お前はあそこで働けというような、そこまで出て來て欲しいのです。それを私は要求したのであります。  それから第二點の問題につきましては、これは保險金を掛けようと思えば掛けられるわけです。というのは、未復員者救護法によるところの本人渡しの百圓という金は、本人が歸つて來るときに纏めて上陸港で渡すことになつております。勿論その中今度は五百圓だけでございますが、残つたものは歸郷してから貰えるものでありますが、當然これは國家公務員だと、いわば當然敗戰國民として務めなければならんところの義務として我々日本國民の代りに働いて來るわけでありますから、公務員なんであります。その公務員が歸つて來るまでの金は、本人に渡すわけにいかんから上陸港で渡すのでああます。それを所管しておられるのは復員廳方々なんですが、復員廳の方が毎月その本人渡しの金の中から保險金を掛けて行けばいいのです。そうすれば當然失業保險の適用者になるわけです。それを勞働省はどういう工合に考えになつておるのでありますか。勞働省でうんと言われれば、必ず復員廳の方もうんと言われると思うんです。その復員廳の方の御回答もこの際同時に伺いたいのです。
  47. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 丁度四時過ぎましたので速記はお歸ししなければいかんことになつております。
  48. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 これは是非速記を付けて下さい。
  49. 水橋藤作

    政府委員(水橋藤作君) この引揚者の失業問題につきましては、先程申した通り、これで満足とは考えておりませんが、取敢えず各引揚げの場所に、こういう手續によりお世話しますからというポスターを貼り、こういうビラを作りまして、早速皆配付いたしまして、萬全の處置を講じたいと、かように考えております。御指摘の通り、後五日間で來られるそれに對しての特に取扱いというものは、何も考えていないようであります。私も入つたばかりでよく分りませんが、併しながら、今の御指摘のように、何らかの方法があるかどうか、事務當局或いは大臣と相談いたしまして、萬全を期したいと思います。  それから復員の問題につきましては、こちらから何か回答があるそうであります。
  50. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 それは至急に一つ處理頂くようなふうにお願いいたします。
  51. 千田正

    ○千田正君 水橋政務次官に特にお願いしたい點は、前片山内閣のときの米窪勞働大臣は、各安定所設置の問題につきましては、引揚者というような人たち考えておらない、むしろ現在辞職しておる者が失業した場合のみを專念しておられるような恰好であつたのであります。それに對して、私が第一囘國會において質問したのでありますが、全國において、あの失業者の大半というものは引揚者である、更に又七十萬という同胞を迎えて失業の國に入れなければならんその時に、新らしいあなた方の内閣は、本當に新日本民國家を建設しようとするならば、勞働行政において新機軸を出して頂きたい。これが、本営に今後民主國家として立ち上るところの勞働省の一歩前進の具對的な考えであると思いますから、特に政務次官から、この點につきましては、大臣各位に對しましても御要請願いたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  52. 水橋藤作

    政府委員(水橋藤作君) 加藤勞働大臣と十分手を握りまして善處をいたしたいと思います。
  53. 岡元義人

    岡元義人君 さつきの回答を求めます。
  54. 遠藤武勝

    政府委員(遠藤武勝君) 復員者の失業保險の適用の問題についてお答えいたします。これは非常に三段論法になるような嫌いがございますが、政府職員が退職しまして失業の状態にある場合には、失業保險法の規定した額まで退職手當を支給するという法律があるのであります。ところが復員者に對しては退職手當を支給していないのであります。從いまして、退職手當として支給することができませんので、從つて退職手當の額を失業保險法の基本額までやつてよいという適用ができないわけでございます。現在私共が研究しておりまする状態は、そういう状態でございます。一應お答え申上げて置きます。
  55. 岡元義人

    岡元義人君 只今回答によりますと、勿論これは形式論だと思うのであります。もう少しそういうことを外して裏から考えて行けば、當然これはもう軍人ではないのです。だからただその公務員と同じような性質のものであるということを言つたわけでありまして、私は、肚一つで入る入らんという問題は決まると思うのです。勿論私は、勞働大臣の肚で決まるのではないかと思うのであります。明後日から歸つて來るのですが、是非一つこの際この問題を取上げて頂いて、そうして今までお預りしてある本人渡しの給料の中から保險金を掛けて行けば、もう幾らおうたところで、あとは七十萬しか残つていない、この七十萬だけの問題です。あの法案を出されたときには四百五十萬人の勞働者を対象とした。だからそれにプラス七十萬ということは私は肚でできると思うのであります。これは私一人の信念であります。私は確信を持つて言えると思うのであります。どうぞ一つこの點この際取上げて頂きたいと思うのです。
  56. 北條秀一

    北條秀一君 時間が來ましたので質問を打切ろうと思いましたが、水橋勞働次官に最後に申上げて置きたいのは、それは水橋勞働次官の先程の御説明によりますと、ここに一枚の紙びらがありまして、公共職業安定所が全國四百幾つか、それが地圖に載つておりますが、これは蟲眼鏡を以て見なければ見えないものであります。これに對して七十萬の復員者に對して勞働省ができる限りのことをしたということは餘りにも誠意がないと思う。こういうような考えでなしに、もつと積極的にやつて頂きたい。從つてこんなものでなしに、これは海外から引揚げ諸君は恐らくこんなものはどこかに行つて捨てしもうと思うのです。だからこれは早急にこれぐらいのことは水橋勞働次官の言でできますから、これは早急にその公共職業安定所の具體的な説明書を發行するように考えて頂きたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)お願いします。
  57. 水橋藤作

    政府委員(水橋藤作君) 聞くところによりますと、これは個人に配るべきものであつて、各安定所には相當説明の附いたポスターを出している筈だと言つておりますが、さよう御了承願いたいと思います。
  58. 北條秀一

    北條秀一君 浦島太郎が歸つて來るようなわけです、自分の村のどこに職業安定所があるかどうかということは分らない。歸つて函館とか舞鶴とかに歸つて來るときに、こんなお粗末なよのでなく、こういうものはここにあるからここに來て呉れというように、大した金は要りませんから勞働省で是非やつて頂きたい。こんな蟲眼鏡で見たければ分らないようなこんなものは出さぬ方がむしろましです。こういうごまかしをやらずに至急一つつて頂きたい。勞働大臣と水橋さんのお考え一つでできると思います。これを一つ約束願いたい。
  59. 水橋藤作

    政府委員(水橋藤作君) お引受けするわけには参りませんが、自信がありませんが、早速に手續をいたしまして努力いたします。紙も補導所には相當大きなものが行つておりまして、これは個人に一枚ずつ上げるものですから御了承願います。
  60. 岡元義人

    岡元義人君 紙片の問題になりましたが、私のお願いするところはそういう問題でなくして、もう少し計畫的に七十萬人の人間が歸つて来る、これをぱ當局はどことどこにこれを失業對策として振向けるというような計畫性を持つたものをば要求するのでありますから、こういう紙片だけで以て私のなにを誤解されないように願います。
  61. 木下源吾

    木下源吾君 よく皆がお願いお願いと申すのですが、水橋君も他の政務次官も皆同僚なのですから、お願いするというよりも早速肚を割つて本當にああしよう、こうしようと相談して纏めてしまつた方がいいと思います。四角張つてお願いすると言うものですから、向うはいろいろなことを言つて勿體振るのでありますから、そうでないようにやつて貰いたいと思います。
  62. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 時間が参りましたので速記はこれで止めて貰います。これで散會します。    午後四時十五分散會  出席者は左の通り。    委員長     中平常太郎君    理事            淺岡 信夫君            北條 秀一君            星野 芳樹君    委員            木下 源吾君            草葉 隆圓君            字都宮 登君            岡元 義人君            藤野 繁雄君            穗積眞六郎君            矢野 酉雄君            細川 嘉六君            千田  正君   政府委員    大蔵政務次官  荒木萬壽夫君    勞働政務次官  水橋 藤作君    引揚援護院長官 齋藤 惣一君    復員事務官    (復員局經理部    長)      遠藤 武勝君