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1948-02-05 第2回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年二月五日(木曜日)    午後一時四十四分開會   ―――――――――――――   本日の會議に付した事件 ○引揚者更生資金に關する件   ―――――――――――――
  2. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それではこれより開會いたします。
  3. 星野芳樹

    星野芳樹君 私はこの在外同胞引揚に關する特別委員會が差迫つておる引揚者生業資金の問題、それから在外同胞を早く歸すという問題、これに重點的に推進して頂くことを熱望する者でありますが、この前以來引揚者に對して全部國旗を配給するという要望が持出されておるので、これに對して大目的の遂行のために一言時間を取らして頂きます。   私は何といつても、この委員會の大目的はまだ歸つて來ない人を引揚げさせることと、引揚者の生活を厚生する。そうして大目的のためには、引揚促進のためには、先ず結局ソヴイエツトを動かさなければならない。諸外國の同情を得なければならん。又ソヴイエツトに歎願するには、國内の、むしろいわゆる進歩的勢力が歎願して初めて非常に効果がある。こういう二點から考えて、諸外國が、まだ日本が軍國主義の再起をしやしないかという猜疑の念を持つておる、これを挑發する行動、それから又進歩的な勢力の人々が、何か引揚運動に割切れないものを感じて、それに参加し得ないような空氣を作る。これは引揚促進に非常に障害があると考えられます。それから引揚者更生のためにも、これは國内のみならず、關係當局君との折衝という點が非常に難關の原因であり、この點から考えても、先程言つたような軍國主義について未だ諸外國猜疑の念を持つておるということを深く考えて、そうしてこれを挑發する行動は非常に障害がある。この意味から言つても、國旗引揚者に全部配るということは、何と言つても、一種の強制的に配るという結果になつて、これは甚だ適當でない、こう考える者であります。でこれ程のことは、引揚問題を通じて愚民の歡心を得るという方でない限り、はつきりお分りになると思うのであります。そうしてこういう問題を除外してもつと根本的な生業資金の問題とか、引揚促進の問題とか、そういう問題を深刻に討論されんことを望むのであります。そうして今後はこういう問題は――私は言いたくはないのでありますが、引揚問題に、今言つたような見地から、熱心はあつても害になるのでありますから……そういうことがあると、又時間をつぶさなければならんので注意願いたいと思うのです。要旨は、この國旗を配給してくれという、一旦特別委員會では取上げられた問題ですが、これを取消すことを要望します。
  4. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 今國旗の資料に對して、商工省あたり引揚者に對する要望を傳えてあることに對しては、有害だという意味におきまして、そういうことは止めたいという意思を現わされたのでありますが、これに對して御意見ございますか。
  5. 岡元義人

    岡元義人君 私はもう國旗の問題でどうこうという意味から、この委員會でやるということについては皆に委員長におかれましては一つつて頂きまして、どうしてもそれをばやるかやらんかということを一應やはり委員贊成するか、贊成しないか、その點に對して決めて頂きたい。というのは現に先程星野君も言つておる通りに、これは大きな問題が澤山あるのですから、これをやり始めますと、相當の時間が掛かるのであります。今日は一つ委員の贊否を問うて頂くということに願います。
  6. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 岡元君に申しますが、前囘の打合會で、これを次の委員會に問題とすることに決定しておるのです。だから今お話になつたのが問題になつておるのです。
  7. 岡元義人

    岡元義人君 議事進行においての動議を新たに出したのです。
  8. 千田正

    千田正君 先般來國旗問題についてはいろいろお話がありましたが、岡元君が先般の會議において要求したのは、前議會において、この特別委員會において、商工省繊維局長國旗に對するところの材料を配給できるかどうかということに對しての答え要求しておることで、(「異議なし」と呼ぶ者あり)一つはこれは岡元君の追及した論據であります。それから星野委員動議として出したことは、國旗引揚者に配給するかどうかという本質的な問題、この二つの問題であります。私としましては、岡元委員要求するところの、商工省當局の配給ができるかどうかという返答を聞けばいい問題である。それから星野委員の述べるところの、本質的な問題につきましては、星野委員の述べた本論に對して贊成するかしないかという第二の問題でありまして、こういうことで長く時間を取る必要はないと思います。岡元君の要求するところは、商工省の誠意ある答えを聽くという、こういう問題でありますから、餘り時間を取らないでこの問題を解決して頂きたいと思います。
  9. 北條秀一

    北條秀一君 星野君が今日國旗の問題について、一つ要望を出したわけでありますが、この委員會として、星野君の要望を一應聽いて置くだけで議事を進めて行く方がいいと思います。
  10. 中西功

    中西功君 私この問題については、いわば正式には始めて聽くわけでありますが、岡元さんから出された問題は、前の決議に基いて商工省の處置を聞くということでありましたが、それに對して、星野委員の方から新らしい問題が出たわけであります。若し星野委員の出した問題がどちらかに片附いた後で、結局岡元委員の出されたような問題が出て來るわけでありますが、時間を要することなく、この問題は簡單だと思うのであります。それ程時間を要する筈はないと思うのであります。ですから、星野委員の出された問題はノーイエスか極めて簡単な問題でありますから、ここで極めて簡単に討議し且つ採決して頂きたい。そうすれば、若し國旗政府の責任において配給する必要がないということになれば、岡元委員の出された問題は解消してしまうわけでありますから、その先決問題は星野委員の問題にあると思います。簡単でいいからここで討議をして採決して貰つた方が、後にこの問題を残さないで済む、こう思うのであります。
  11. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 只今委員お話がありましたが、前回ここで問題にすることには決定しておつたのでありますから、一應問題になつたわけでありますが、この問題を岡元君から問題にするかせんかをもう一遍聽けということでありますが、問題にすることをすでに決定しておつた問題でありますから、ここで星野君から、今の動議要旨お話になりましたので、今中西君からはイエスノーかに對して決を採れというお話でございます。その他の方々につきまして、この問題は餘り深く立入らずとも、國旗問題には觸れないことにするか、或いは今申込んであるところの商工省に對する申込を取消してしまうか、ただ取消さずとも、この國旗の問題は商工省に對して問合せてあるという形のまま、その上追及しないか、併し追及しないというと、そのことに對しては要領を得ないのでありますが、星野君の止めたがよいという考えに御贊成があるということになれば、中西君の言われた通り、今の商工省に申出るということも無意味になつてしまいますから、おのずから解決する問題でありますから、どういうふうに取扱つたらよろしうございましようか。
  12. 千田正

    千田正君 この解釋の問題について、私が一言申上げたいと思うのは、岡元議員要求した答えが、商工省からイエスノーかによつて十分できるというのであれば、そのままにしておいて、できないというならば、そのままでいいと私は思うのです。これ以上これは論議する必要はないと思つております。
  13. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それでは、問題はおのずから二つになりますね。
  14. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 一つ議事進行について、星野君の新らしき提案動議に對して、前囘の特別委員會で、これをとにかく採り上げるということになつてつたのでありまして、この問題に對しては、星野君の考え方で、採決されるかどうかという問題に對しては、もう論議の餘地はないと思うのですから、決を採つて頂きたいと思うのです。
  15. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 今、採決すべしという中西君の御意見に對して、淺岡零から贊成の御意見が述べられました。それでは……。
  16. 中西功

    中西功君 私は採決要求したのでありますが、その前にやはり、どういう理由で贊成するか或いは反對するかということが、大なり小なり要ると思うのです。その點をはつきり述べて、各委員意見はつきり述べて頂くことが必要だと思います。
  17. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 先程から、時間を取ることに對して、決を採れというお話に對しまして……。
  18. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 この問題を今ここで論議しておつたならば、この會を何時間やつたつて結論には到達しないと思うのです。すでにこの問題は前國會において、特別委員會採決によつて決定した問題です。ですから、ここで新らしく派生した問題じやないのです。ただ星野君の動議に對して、星野君はそういうふうに一應述べられたのですから、要はその決を、イエスノーかのいずれかを決定すればいい問題であると思います。
  19. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それではイエスノーかに對しまして、星野君の、國旗問題は打切れという御説の方が、いわゆる原案に遠いものでありますから、この方から決を採ります。
  20. 北條秀一

    北條秀一君 その決を採られることはいいのですが、これは打合會でありますから、從つて特別委員會でもう一遍やらなければならんという、非常なうるさい問題になつて參ります。そこで私は先程申しましたように、星野君の要望を一應承わろうということで措いて置いた方がいいということを私は申したのであります。星野君の先程申しました點は、極めて簡單であります。而も論旨詳細を極めておるのであります。それでありますので、我々がイエスノーかを簡單に言うということは、輕卒かと思うのです。從つて論議するならば、もつと根本的に、數時間をかけて論議した方が、本當に納得か行くと思いますから、そういう意味からして私は、星野君は要望しますということを言われましたから、その要望を本打合會は承わつておくということにした方がいいという判定の下に、私は先程提案したのであります。
  21. 星野芳樹

    星野芳樹君 ただ聞きおく程度では、この上引揚問題論議するのに、私は非常な支障を來すと思います。だからその解決方法としては、私はこの問題の論議を中止して頂きます。(「贊成」と呼ぶ者あり)中止して頂いて、更に政府要望するというようなことを一時中止して頂く。(「そんなことができるか。冗談言ちやいかん」と呼ぶ者あり)そうして論議なさるならば……そうでなければ、私は飽くまで反對意見を述べるということになります。
  22. 岡元義人

    岡元義人君 これは私から出た問題で、實に申譯ないと思つておりますけれども、併し非常にこれは誤解があるのです。私は何も觸れたくなかつたのですが、要するに特別委員會權威にかけて、政府囘答するものは囘答しろというのが骨子なんです。それをそういう工合に曲がつて言つて貰つたのでは、僕の立場がなくなるのです。これは更め星野さんには星野さんの信條があることで、又イデオロギーも持つておられまするから、この點については他日に一つ十分に檢討して頂く。要するに先程提案がありました通りに、とにかく一應政府當局要望するかせんか、囘答を求めるか求めないかということをば決めて頂けば、それで私はいいのであります。それでこの委員會囘答を求める必要なしということを、委員の方がおつしやればそれで結構なのであります。私は特別委員會のいわゆる權威を傷つけるものである。大きな問題を取扱つて行かなければならん特別委員會だから、政府當局が何んとかしましようと、今まで自分の方から言つておるものですから、それを今ずるずるにして置くということは、委員會の威信にかかわるというところから、ああいうことを追及しておるのであります。誤解のないようにして頂きたい。
  23. 北條秀一

    北條秀一君 重ねて申上げますが、私は先程自分判斷に基いた要求をしたわけでございますが、それに基いて星野君は要望を聞くだけでは困る。要望を聞くだけでは無責任になるというような先程話をいたしましたが、私は斷じて星野君の要望を聞いて、ただそれを右の耳から聞いて左の耳に流すというような不誠實な人間ではありません。それは星野自身は不誠實かも知れませんが、私は不誠實でありません。必ず星野君の要望に對して聞く以上は、反省して行くつもりであります。從つて星野君が如何にも要望を聞くだけでは、特別委員會が不誠實になるという見解を取られることは私は反對であります。そこで必ず特別委員會皆さんは、本當に熱心な引揚促進引揚者更生のために死力を盡しておられるのであります。  國旗の問題につきましても、勿論誠實に考えられた結果ああした要求が出たのでありまして、それに對して、星野君の本日の要望に對して、決して皆さんは無責任なただ聞き置く程度に濟まされんと思いますから、その點は十分お互に信頼し合つて今後とも行くべきだと思いますので、從つて言葉を繰返しますと、先程申しましたように星野君の要望を我々はこの打合會において聞き置くと申しますと、ちよつと語弊がありましようが、了承いたしました、承りました、ということで議事を進行されることを私は重ねて要望いたします。
  24. 星野芳樹

    星野芳樹君 聞き置くというわけでなく、了承しましたというならば、併しですね……。
  25. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 私も今初めて伺いましたのですが、岡元さんのおつしやるのと千田さんのおつしやるのとは違うと思います。千田さんのおつしやるのは、とにかく商工省が出せる程度のものかどうかを聞くというのでございましよう。聞いて後に、出す出せんに拘わらず議論するというのでございますか、それはもう出せればそれで出すというのですか、それともそれが出せなかつたときには止めようというのじやないのですか、そこのところがどうですか。その決まり方ですね。そこのところを私たちに呑込まして頂きたいのです。
  26. 千田正

    千田正君 最初の問題は、岡元君の要求しておるのは特別委員會で、委員會から商工省當局國旗材料を配給できるかどうか。その確答要求しておるにも拘わらず、商工省は未だ確答を寄越していない。特別委員會を無視した行動であるから、はつきりできないならできない。できるならできると明示して欲しいということを要求しておる。そこで星野君の要求しておるのは、國旗というものの本質論だと私は思つております。國旗を掲げる掲げんとかいう、國民に對する本質論とは違うか……。
  27. 星野芳樹

    星野芳樹君 そうじやない。特別委員會引揚者全體に配給するということ自體が、この問題がどうかというのです。
  28. 千田正

    千田正君 それで商工省としてはできないとしますね。できないとするものを要求しても、これは當分の間見込がないのです。それでできるということであれば、できるところにおいて配給したつて構わないじやないか、私はそう思います。私自身意見ですよ。
  29. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 第一回國會特別委員會におきまして、日は私は判然と記憶いたしておりませんが、十月の中旬頃と思います。木内キヤウ委員から、引揚げて來る人たちに、せめて何か差上げる物がないか。たといハンカチほどの、或いはもつと小さくてもいい、そういうふうな國旗一つ一つ歸つて來人たちにお渡ししたらどうか。これは自分が舞鶴に行つて、そうして引揚げて來た人たちの聲を聞いて見て、そうした結論に到達したということによつて國旗を渡すか渡さんか。この御提案特別委員會にされたのであります。その結果特別委員會におきまして、それを渡したらいいか悪いかということを諮られた結果、それは渡すべきであるということになつて、それならば一つ商工省にそうした布ありや否やということになつて、今日まで持越されて來ておる問題であります。それをたまたま岡元委員が、今日までそれに對する商工省の的確なる御回答がない。だからこれに對する的確な、できるのかできないのか、はつきりとした御囘答を願いたいという要望を第二國會にされつつあるのが、今日の現状であります。ところがそれとは別個に、星野委員が前囘の特別委員會におきまして、つまり國旗を渡すことがいいか惡いかという問題に對して、自分は惡いと思う。だからその問題に對して一つ動議を提出する。それを次の特別委員會で諮ろうということになつて、今日持越されて來た問題であります。大體そうした經緯から考えまするならば、この問題に對しては、もう論議をすれば際限のないことであります。もうすでに前國會において論議し盡された問題であります。その結果採決されたのであります。でありまするから、改まつ星野委員動議を提出されたことに對して、ただ是か非かという決だけ採ればいいのじやないかと私は思うのであります。
  30. 星野芳樹

    星野芳樹君 前國會で議論が盡されてはいなかつたのであります。併し一應……。(「議事進行」と呼ぶ者あり)今この問題を幾度でも持出すので、問題が對外的な問題に關係すると信ずるから發言したのであります。僕はこのことはもう言いたくないのですが、このために時間は取りたくないのですが、飽くまで持出されるというならば、こちらも又持出さなければならん。これを御善處願います。    〔「採決」と呼ぶ者あり〕
  31. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 論旨が盡きたとは言えませんが、併し岡元君から言われたのは、第一國會における決議に基いて第二國會において商工省國會の問題を問われたわけです。それから後に、星野君からそれは反對だ、國會なんかはそういうようなことをして配るべきでないという御意見がありまして、その審議は本日の委員會で問題にすることになつてつたのでございます。併しながら先程から御發言があるように、この問題は本質論のところまで行くというと相當時間を取るものと私は思われます。それでお尋ねいたしますが、いろいろ重要事項もありますし、大臣もお見えになつておることでありますので、星野君におきましても、趣旨はすでによく闡明されたのでございますし、この問題は、國旗につきましても商工省の方へもこちらから要望してあることでありますから、これ以上双方とも、問題を進めず、つまり國旗の問題はこれで打切ることにしてはどうかと思いますが如何でございましようか。つまり國旗の問題はこれ以上進行させないという意見で……。
  32. 中西功

    中西功君 この國旗の問題はやるかやらないかということは、實に簡単なようでありますが、星野君が申されましたように引揚者特別委員會が今後いろいろ仕事をやつて行く上での基本線に觸れておると思うのであります。根本問題でありまして、だからこれを打切つて、そのままに放つて置くということは、どうも贊成しかねると思うのであります。(「議事進行」と呼ぶ者あり)それで淺岡氏から言われておる問題は、この前に決定したことだ、だから今更問題にするのはおかしいじやないかと言われますが、これはそうじやなくして、新らしく問題を提起しておるのであります。それは又同時に引揚者特別委員會運用の根本問題に觸れておる問題でありますから、今囘はこれで動議打切つてそうしてこの次に、本質的問題でありますから、専門にそのための時間を取つて貰いたい。そういうことを提案したいのであります。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  33. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 只今中西君から、この問題は本質的な問題であり、星野君がお話になることにつきましても相當根據を持つておられるのでありますし、その國旗の問題が、引揚者に一々渡すというような問題が及ぼす他の影響からも考えて見たいという希望を持つておられますことでありますから、この問題はもう少し探究する必要があると存じますので、中西君からの提案のように、改めて討議することにいたしまして、本日はこれを以て一應この問題は打切るということに對して御同意のお方は舉手して下さい。    〔總員舉手
  34. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それでは全員の舉手でありますから、この問題は本日はこれを以て打切つて置きまして、改めて問題とすることにいたします。  次に、大臣がお見えでありまして、それから援護院指導課長の岡田君も見えております。どうか直ちに問題に移つて行きたいと思います。
  35. 岡元義人

    岡元義人君 問題は生業資金なんで、これは本會議におきましても私の質問の中にありましたのですが、とうとう一月ももう過ぎてしまいまして、二月にもかかつておるのでありますが、かねがね第一國會におきまして一月、二月、三月のブランクになつておる生業資金はどうされるつもりかということをば、特別委員會で他の同僚議員からも再三政府當局へお尋ねいたしておる筈であります。この生業資金が今までの金が皆ややもすれば死に金になつておるということも、すでに大臣は十分御納得行つておられる筈であります。又地方におきましてはすでに一月、二月、三月の事業計畫というものは立つております。それがまだ二月になつて生業資金が解決されていないということは、その及ぼすところの影響が非常に大きいのであります。少なくとももう二月に入りまして、どこからその金を出して頂くか、その金額と期日をば一つ明らかにして頂きたいと思うのであります。  尚厚生大臣の例の五千圓を七千圓に引上げると言われましたこの七千圓も、一體いつから引上げるのか。もうすでに幾度も第一國會の本會議、或いは淺岡議員受入態勢質問の際、或いは今度の首相の施政方針に對する佐々木議員質問にも、亦私の質問答えても、厚生大臣は本會議において都合四囘、この更生資金の問題を口にされているのであります。つきましては、この際はつきりしたところを伺いたいというのが私の質問趣旨であります。
  36. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 今岡元委員質問でありまするが、それに對して私も大臣お答えを強く要望するのであります。その大臣の御囘答の前に、私は一つのことをお尋ねいたしたいのでありまするが、現在生業資金は五千圓ということになつておりまして、それを七千圓にということは本會議におきましても大臣は言われたのでありまするが、その五千圓に決つておりまする生業資金が東京都におきましては四千圓しか渡されてない現状であります。そうした現状から顧みまするならば、先ずこの五千圓ということに對してこの四千圓、それを思いまするときに、どうしてもこの五千圓ということをはつきりとして頂く、(「賛成」と呼ぶ者あり)その上に立ちまして、先ず七千圓ということに……私は大臣の御意向が如何になつておりまするかを、明確にお考え頂きたいと思うのでございます。
  37. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 更生資金貸付状況につきましては、今お話のごとく第一國會において、参議院並びに衆議院の各委員會において、數囘質問を受けまして、その都度私はお答えを申上げておるのでありまして、その點は只今岡元委員の仰せになつた通り……。
  38. 中西功

    中西功君 答えただけだ。
  39. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 何ですか。
  40. 中西功

    中西功君 答えただけなんだ。
  41. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 今答えているんです。
  42. 中西功

    中西功君 ずつと何囘か同じことを答えているんだ。
  43. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) でありまするから、詳しくは申上げませんが、結局のところ、第一囘が十億圓、第二囘が六億六千六百六十六萬七千圓ということで、合計十六億六千六百六十六萬餘圓と、こういうことになつておりまして、第一囘の分、第二囘の分は放出濟みであつて、ただ第二囘の六億六千餘萬圓の中の三囘放出した中の一億六千六百餘萬圓が、これが第一囘にお答えいたしましたように、この十二月に放出することになつておりますということだけを申上げておきました。然らばその一億六千六百餘萬圓は、どういうように放出しておるかというと、これはすでに全國に、各地方廳に、それぞれ放出済みであります。でありますから、地方廳からその申込の順序に應じまして、適當にこれを勘案して、それぞれ配給しておることと思います。それは十二月までじやないか、然らば本年の一月、二月、三月はどうなるのか、この點が、第一國會の時に私が申上げましたように、關係方面と今折衝しておるんだということを、この前申上げて置きました。大藏省の方ではほぼそれが了解ができました。關係方面からのまだ許可を得ません。これも成るべく遠からざる内に得る確信を持つております。然らばその金額如何ということに對しましては、今ここでその金額を申上げることだけは一つお許しを願いたい。それは、それが明らかにこうだということになりますると、やはりこの許可に支障を生じますから、許可に支障を生ずるということは、御質問の御趣旨に反しますから……、併し相當の金額を今交渉中であります。いずれ近い中にそれが許可せられましよう。その許可せられます金額は、本年の三月までのこれは金であります。但し許可されましても、その許可された金額で、今申込の、渡らない全部を賄うという程には達せんと私は考えております。だからそれはどうするかというと、それはこの二十三年度の本豫算、これを今組みつつありまして、その本豫算には相當の金額を組むことに今いたしております。それで、現に下交渉が大藏省と始まつております。でございまするから、今關係方面の許しを受けまして、その金額ができますれば、これは本年の三月までに放出し盡し、尚足りないものは二十三年度の今私共が大藏省と樽俎折衝を重ねておりますることが、本豫算に計上されて、皆さまの御協賛を經た上で、それを四月から放出すると、こういう考を持つております。そこで問題は、七千圓にお前上げると言うたじやないかと、この問題です。私は今關係方面が許されましたならば、これは將來は七千圓に引上げをいたしたいと考えております。尚附け加えて申上げまするのは、この間本會議でも申上げましたように、復金から一億圓という金を融通するというこの金でありますが、これは、政府がこれだけの金を放出しても尚且つ足りませんから、足りない金を補助的に復金の方に大藏省の方からお話をして、復金も了解して、そうしてそれらの金額の足りないような人は、府縣を通じて安本方面がその金額を纒めておりまして、そういう方面へもこれを貸出をすることになつておりますが、これは併しながら今私が申上げましたような生業資金政府の貸付ではありませんで、政府が盡力して復金に交渉をしてそういう生業資金の渡らない人、若しくは渡つた人でも尚足りないというような人に特別にそういう融資をするという話をいたしたいという、こういうように御了承願いたいのであります。
  44. 岡元義人

    岡元義人君 大臣の御説明は私たちは、議員といたしましてはよく分るのです。併しながら事がすでに非常に日にちが經過いたしております。その金額をお知らせ願えないといたしましたならば、この根據に基くところの世帶數、いわゆる先日厚生大臣は大體九十萬世帶、又百萬世帶と見ている、こういうお話が一遍あつたのでありますが、このブランクになりました一月、二月、三月をどのくらいの世帶数を以て行こうという計畫をお持ちか、それから新らしい豫算に對しては何十萬世帶を根據としてやるか。こういうような少し具體的なお話を願えるならば、相當我々としましても、いろいろ關係方面に差支ないところで、我々の判斷によつて大體金額はここに算定できるわけです。尚もう一つはすでに二月でありますが、若し關係方面の了解が近日得られますとしたら、この一月、二月、三月は同時に一緒に拂い出すお気持があるかどうか、それから先程の七千圓の問題がどうもはつきりいたしませんが、近き將來というのではなくて、すでにこの一月……今度の分から大臣のお氣持は七千圓にするおつもりであるか、その點を伺いたい。この三點に對して御囘答を願いたいと思います。
  45. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 今の七千圓が若し實現するということになると、一月に遡つてやるかというような問題ですが、それはちよつと今ここで言明ができない。若し一月に遡るということになると、昨年の八月に遡つてやれ、七月に遡つてやれということになりますと、關係方面の許可を受けた金額だけでは、遡るだけの金額でも尚且つ足らないことになりますから、私共の今の考えは許可になつて、その瞬間から現に今まだお渡ししていない人の順を追うて七千圓なら七千圓ずつを渡してやる。これから許可になつた時以後、申出た人に七千圓ずつを貸すという考えを持つております。即ち今現に貸渡しの順番の來ている人が首を出している。その人に今の殘りの生業資金が今後許可になつて金を渡そうという時に、七千圓ずつ渡して行つたらどうだろうかというように考えております。それをずつと以前まで、五千圓渡している人に又後の二千圓の不足を遡つて貸すということでは、金が幾らあつても足りないからそこまでは考えておりません。許可になつた時に、これから貸すという時に、この人に七千圓だけを渡すということにしたらよいだろうと考えております。具體的にどのくらいまだ後貸出しのできない人が、申込んだ者の中にあるかというような、そういう數字の點は事務當局からお答えいたします。
  46. 岡元義人

    岡元義人君 ちよつと……今非常に大事な問題でありますから、私が第一國會で縷々と厚生大臣に述べたことを大臣は御了解していないということになるのです。というのは今の七千圓という問題は大臣簡單に五千圓を七千圓に上げるのはいつかというだけのお話ですが、そんなものじやないのです。これはこの生業資金の貸付は一人一世帶七千圓なら七千圓、五千圓なら五千圓といたしましても、二十人なら二十人が組んでそうして十萬圓という事業計畫を立てるのです。その申込みはすでにもう前からずつと重なつて來ている。それでこれが決まらなければ引揚者は事業計畫もできない。それ程七千圓、五千圓というものは實際の實行機關、いわゆる事業機關には切實な問題である。それが決まらなければ事業計畫も何もできない。だから大臣に私が地方末端の實情を詳しく第一囘國會に述べたのですが、それ程大事な問題を今からこれをやると言つたのでは、今年の六月以降でなければ事業計畫も成立たないということになる。
  47. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) それは今まで三千圓を五千圓に引上げ、今度五千圓を七千圓に引上げる、今そういう階段になつておるときに、引上げることのできるように努力するというときに直ぐに引上げたものとして事業計畫をやられちや困ります。それは困りますよ。いよいよこうなるんだと確信した時に、その確定を基礎にして事業計畫をなさることは、それはいいのですけれども、私が七千圓に引上げることを努力いたしますという時に、直ぐもう七千圓になるんだと言つて、七千圓を基礎にして事業計畫を立てられますと、その立てた方に相濟まんわけですから、それはやはり現在は政府としては五千圓貸出すことに原則が決まつておるのですから、事業計畫をお立てになるときは五千圓を基準にしてお立て下さらんと、今あなたのおつしやるように計畫は立てられんということになりましよう。私の方は七千圓に引上げたいというのです。七千圓に引上げた時から事業計畫をなさるならば、それはそうして頂いて結構。併し今私がそういうふうに努力しておる時に、努力はもう直ちに既定事實ということで事業計畫を立てられては困るですから、今立てられる事業計畫はやはり五千圓を基準にして、そうして百人なり二百人が一緒になつて集めた金を基礎にして事業計畫をお立てになるということにならんと御迷惑をかけようと思いますから、一つさように御了承願いたいのであります。
  48. 北條秀一

    北條秀一君 短かい時間を最も有效に使わなくちやなりませんから、先程星野君が言いましたように引揚者更生の問題は實際、時が問題でありまして、どういう施策をいたしましても時期が決まらないと事業は決まらない。時期が非常に問題なんです。同時にこの特別委員會も非常に時が問題であります。從つて議事進行についてもつと時を大事にして頂きたいと思います。つきましては先程淺岡君からもう一つ厚生大臣質問があつたと思いますから、その點について御答辯して頂きたいと思います。
  49. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 東京で四千圓だけ貸しておるというようなことでありますが、それは今初めて聞きまして、事務當局に聞いて見ましたら、取調べましようということであります。但し事務當局が私に申しますのには、最高度五千圓ということになつておるのですから、或いは東京都の方で割當てられた金を二人に割當てるところを三人に割當てるような意味において五千圓を四千圓にしたのかも知れません。それは取調べまして申上げますということで現在は惡しからず御了承願います。
  50. 穗積眞六郎

    ○穗積眞六郎君 今のお話は結局配付されます金が少いので、お志は七千圓にしたいという非常に親心でありますが、現在五千圃まで貸してもいいということになつておるのですが、現實の問題になりますと、結局はどうしても少い金を餘り澤山の人には貸せないということで、四千圓の問題も起るのであります。從つて今度はどういうふうになつて行くか知れませんが、併し一、二、三月に對しまする金が餘りに少い場合には、先程大臣が七千圓にすることに非常にお骨折下すつておりますが、たとえそれができましても現實がやはりそこまで行かないというような結果になる憂いが非常にあるのであります。又來年度から非常に強くそのことをお考え下さつておるということで非常に有難いと思うのであります。これも又若しも豫算關係とかいろいろな關係でしますと、これが四月からというわけに行かないのじやないかというような憂いもなきにしもあらずというような氣がするのであります。從つてこの一、二、三月の全額というものにつきましては今御交渉中というので、どうにもならないのかも知れませんけれども、餘りにもこの總額が少いと、ここでいろいろ皆で議論しても實際に實現されるときには同じことになつてしまう。どうぞその額につきまして相當の額であるということを我々非常に期待しておる。それでその點もう一遍よろしく御考慮を願いたいと存じます。
  51. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 實はあなた方と私同じ氣持でありますが、事は金の問題でありますために、どうも思うように参りません。非常に實は苦心しております。引揚者の援護ということだけに使う金なら、これはもうなんですけれども、御承知の通り、私が説明するまでもなく、いや六・三制とか、待遇改善とか、實際に豫算の關係でもたれているし、関係方面も、豫算というものを睨み合せて、こちらにこうせい、こちらにこうせいということをしているがために、急速に運ばないことを非常に遺憾に思いますけれども、できるだけ努力いたします。  それから今一つ、先刻申しました復金の一億圓というものは、政府もこれだけの更生資金では、非常に足りないということを考えますので、大藏省に交渉して、大藏大臣お話して、一億圓というものは、特別にそれらの方に貸出すということになつて、今現に申込を受けております。尚足らんというときには、何らか特別の手を打つて引揚者の生業についての、一日も早く生活の安定の基礎を固めるようにということは、私もあなたと同じ考えを持つておりますから、暫らく私の努力にお委せを願いたい。
  52. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) ちよつと厚生大臣に伺つて見たいが、聞く所によれば、援護院の金を一億圓を引拔いて、他へ流用するという噂があるが、あの點はどうなつておりますか、二億圓ですか、二億圓餘りとか何とか……。
  53. 北條秀一

    北條秀一君 厚生大臣二つ一つは希望と、一つは今委員長が言われました點であります。
  54. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 まださつきの結論が出ておりません。
  55. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 今の、つまりそれは今度の十三號補正豫算の財源に、引揚援護院の方の金を二億圓だけ繰入れるということを今考えております。その二億というのは、それは、今度例の人員整理で、それだけ出るだろうというようなことで、それを一應引揚援護院の方の豫算をこちらの方へ融通しようというような計畫であります。それは政府の豫算の方にこれを流して使われるということでありますから、それだけのことであります。
  56. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 先程大臣の非常な御誠意のあるお言葉で、私は感激する者でありますが、今まで生業資金が三千圓、それが五千圓に引上げられるというような時に、五千圓以内とか、或いは遡つて三千圓以内とかいうお話は、今日初めて私承わる言葉でありますが、生業資金というものは、とにかく三千圓ということが當初に決められ、それが更に五千圓に引上つたというようなことは聞いておつたが、又そう信じておつたが、ところが今大臣のお言葉によりましてはつきりしたのでありますが、併し昨年の暮以來、とにかく東京都で、五千圓というやつが、四千圓しか渡つていないということで、今お取調べになるということであります。これは大臣のそうした御趣旨が徹底するように、一つ末端まで行き渡るようにお計らいを願いたいと思います。
  57. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 今私の答辯の仕方が惡かつたのですが、それは生業資金は、初めは三千圓にしてあつた、併しそれでは物價高の今日いかんからというので、これが五千圓に引上げられて、今五千圓に實施しておる。それでも足りないから、今七千圓に引上げるように努力中だと言つた。今あなたのお話の、東京都は、四千圓ということを初めて聞いたから、考えまして、五千圓の範囲内において、東京都は、然るべく按配したんだろう。併しそれについては、取調べの上、更にお答えしますということであります。
  58. 岡元義人

    岡元義人君 さつきのお返事を政府委員の方から一つお願いいたします。
  59. 岡田弘治

    ○説明員(岡田弘治君) 私から細かい説明をいたしたいと思います。先程大臣から御答辯がありましたように、只今關係方面と折衝いたしております金額は、その何世帶に對して幾らという積算でありませんで、さつき大臣からお話がありましたように、來年度の豫算も合せました第三次計畫というのを私共の方で立てまして、その第三次計畫の中で、取敢えず繋ぎ資金として、これだけ出して貰いたい。こういうことで計畫を立てておるのであります。從つて第三次計畫は、先程大臣からもお話がありましたように、來年度の殘りを當初豫算で、只今大藏省と折衝いたしております。大體私共の立てました豫算を今要求いたしております。計算の基礎でございますが、それは大體既引揚者と、今後引揚げて参ります者、これを一應引揚者全體を對象といたしまして、それから今の開拓の資金とか、いろいろな關係、或いは自榮業者その他大體の率を分けまして、そうして豫算の基礎人員といたしましたのが、大體十六萬三千ということになつております。それへ對しまして、私の方でも、本豫算の方におきましては、限度は經済事情の關係で引上げんければならんのじやないかということで、いろいろ大臣からお話になりましたような限度で、一應の枠を拵えまして、そうして、その中のこれだけということで、只今要求いたしておるわけであります。從いまして、大體私共の方の考えておりますことは、その筋へは、昨年一囘、二囘、三囘、四囘、こう分けておりますけれども、少くとも四囘分の程度のものは出して貰わなければ困るということで、今折衝を重ねております。
  60. 岡元義人

    岡元義人君 今のお話を承わりますと、これは結局一、二、三の三ケ月に對する財源といいますか、これは新らしい豫算で何とかするというふうなことになるのでございますか。
  61. 岡田弘治

    ○説明員(岡田弘治君) いや、そうじやございません。つまり一應の一、二、三の繋ぎは、これは改めて申上げましたように、生業資金に毎月これだけのものというのじやないのでございますから、要するに十二月までは一萬六千圓という、一應の枠を拵えたから、後の問題は豫算の折衝上新らしい枠を拵えて、財政當局に話をして行こうというわけで、一月から新らしい枠を、私共で設定したのでございます。その設定基準は、今申上げましたような基準で設定をいたしまして、その中取敢えず一、二、三は本年度これだけのものを出して貰いたい。と申しますのは、十二月に一億五千萬圓を出しておりますけれども、御承知のように、時間的なずれがある。今大臣お話のように、縣廳から庶民金庫へ言つて出しておるわけでありますから、十二月十三日には、私の方から通牒が出ております。從つてあの庶民金庫にも、今いろいろ報告を取つておりますが、二、三の府縣がまだ庶民金庫へ入つてないところがあるのでございます。これは少しこちらの方へ入れるようにということは、私共の方で指示しております。それが多少時間的にずれがあります。時間的なずれがありますから、今要求とておる程度を以て行けば、大體三月までの一應の繋ぎだけは、それで出るのじやないかというわけでございます。計算は一、二、三、四、五、六と、來年度までずつと枠を計算いたしまして、その中これだけ今年にくれ、こういうふうな折衝にいたしておるわけであります。お分りになりますか。
  62. 岡元義人

    岡元義人君 今のその一、二、三、の、とにかく現金の面におきまして、これをば、その方の了解を得たならば、早速出すというだけの、どつからか出すだけのあれの準備があるのでございますか。
  63. 岡田弘治

    ○説明員(岡田弘治君) 只今豫算的な折衝をいたしておりますことは、民生安定施設費の方で多少の豫算の殘額が出るんじやないか。あの方の組替で出して貰いたいということで折衝いたしております。
  64. 岡元義人

    岡元義人君 大臣一つお伺いいたしますが、今の説明で大體我々は分つたのでありますが、結局財源の見通しといたされまして、實際にこの二月、三月までに心配なく出せるというような見通しがはつきり大臣は付いておられるでしようか、非常に今日私は突込んだ質問をいたしまして非常に細かいのでございますけれども、切實なものがあるのでございまして、この點一つ惡しからず私たちの立場を酌んで頂きまして御了解願います。
  65. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 今關係方面と折衝しておりますことは、今月内には結末を付けることの確信を持つております。
  66. 岡元義人

    岡元義人君  有難うございます。
  67. 北條秀一

    北條秀一君 先程岡田説明員のお話で昭和二十三年度の生業資金の基礎數字が示されたのでありますが、私はこれについて我々の立場から希望を申述べて、厚生大臣及び政府の善處を願いたいと特にお願いするわけであります。それは第一の更生資金は十六億圓でありますが、それは當初一世帯三千圓、後に五千圓になりまして、我々には的確な資料を持つておりませんから推定出来たわけでありますが、それを一世帶四千圓と假定いたしまして二十五萬世帶であります。その中引揚者は大體九割近くが借りておりますので、約二十二萬五千世帶の引揚者がこれによつて更生しつつあるのであります。第二次の六億五千六百萬圓の中、引揚者に引當てられたものが五億圓であります。これは一世帶五千圓としますと十萬世帶であります。從つて第一次、第二次合計いたしまして三十二萬五千世帶ということになるわけであります。ところが全引揚者の中から先程岡田説明員から話がありましたように、入植する農業關係の人たち及び自己資金によつて企業をする人、或いはその他職場を得て自立更生をする人というものを引いて參りまして、我々の算定によりますと生業資金によらなければ更生し得ないという世帶が八十萬世帶あるわけであります。そうしますと三十二萬五千世帯と八十萬世帶の差、即ち四十七萬五千世帶というものが殘つて來るわけであります。從いまして四十七萬五千世帶に對して、私共は今日まで一世帶五千圓といたしまして二十一億七千五百萬圓といふ基礎から今日まで二十五億圓というものを昭和二十三年度以降において考えなければならんということを要求して來たのであります。又それだけのことをやらなければ到底引揚者更生というものは覺束ないと思います。なぜならば先程厚生大臣お話になりましたように、五千圓を今度七千圓に引上げる、誠に結構でありますが、淺岡議員質問しましたように、五千圓と決つておりましても、それが實際は四千圓となり、七千圓と決めてもそれが又四千圓になるか、五千圓となるか分らないということになりますと、實際に事業を計畫して行きます引揚者の立場から行きますと、蛇の生殺しのようなことになりまして、なかなか更生しにくいのでありまして、そこでどうしても全體の枠を大きくする必要があるわけであります。今岡田説明員が言われましたように世帶數においても十六萬三千というような極めて内輪の數字で行くということになりますと誠に折角の生業資金という善政が、フイになつてしまうということも私は恐れるのであります。そこで十六萬三千世帶でなしに、先程申しましたように四十七萬五千世帯ということを私たちは考えて、今日まで來ておるわけでありますが、その點を更に一層研究されまして、二十三年度の豫算には一層の努力をして頂きたいということを切望するわけであります。(「同感」と呼ぶ者あり)
  68. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 現在尚どの位の人々が海外に殘つておるか、それらの人が引揚げて、いつ頃までに全部引揚げを終るか、終つた人で全部更正資金が要るのであるか、その内の或る一部は要らんのであるというような點につきましては、政府で詳細の調査資料を持つておりませんので、でき得べき限り廣く更生資金を貸し與えようという方針の下に、今事務當局の申上げましたように、一應の豫算を決め、世帶を決めて、それを基礎にしてやつたのでありますが、今あなたのお話のようにその引揚世帶が非常に多くなり、而も更正資金の必要の數がより多くなるということでありますれば、政府の考えておる金額だけでは到底足りませんのでありまするから、そういうことに即應いたしまして、そうして金額も殖やし、豫算も計上するという態度を取らなければならんと思いますから、それはもうあなた方と全く意見は同じであります。同じでありますが、ただ今政府の考えておる點は、こういうところであると、今考えておるところを御答辯申上げたということを御了承願いたいのであります。
  69. 北條秀一

    北條秀一君 尚厚生大臣からお答がありましたそれで結構でありますが、先程岡田説明員が十六萬三千世帶と申しましたから、それは私の考えでは恐らく今日まで庶民金庫の窓口に申込まれた人の數に基いておると思います。この申込みは極めて内輪なのであります。と申しますのは庶民金庫は受付けないのでありますから、その事情はよく考えで頂いて、善處される資料として頂きたいということを申上げたのであります。
  70. 矢野酉雄

    ○矢野酉雄君 厚生大臣は第一囘の國會から非常にこの問題について苦心をして御盡力願つておりますが、私はこの第三囘の國會に當つて我が特別委員會がまだこれは委員會決議を得ておりませんので、矢野委員が全力を傾倒したいと思つておることを申添えて大臣の溢れるような友情を以てこれに善處して頂きたい。それは今までは私たち特別委員會においてもそうでしたが、引揚者なるが故にという、その名を出すことを、いろいろな關係當局關係當局というような差障りのあるかのごときいろいろな條件に置かれたために、實はそれを差控えるような態度で、政府に對しても或いはGHQの當局に對しても接して參つたのであります。併し私は眞に民主日本を建設するためには、國内に引揚者、復員者と、殘留者との間に絶對に相剋があつてはならない、又戰爭犠牲の負擔が餘りにも大きい現状の差のままであつてはならないという立場から、私は是非引揚者なるが故に、政府國民も亦冀くば關係當局も、十分にこれを救濟し、更生せしめるような施策を採つて行くということを、根本的態度にして私は進んで行きたいと思うのであります。この點は政府も是非ここで……長たらしい言葉は全部割愛いたしますので、何故矢野委員がこれを主張するかということを御賢察下さいまして、この根本的態度によつて是非好意ある一つ態度を取つて頂きたい。  第二には、この第二囘國會において是非解決すべき問題は、これは、大臣その他關係各位の御盡力によりまして段々いわゆる軍人軍屬についてもそれ相當の國家としての處置は拂われつつありまするけれども、軍人軍屬にあらざる普通の一般庶民が強制勞働に今尚黙々として服しておる。而もその大部分というものは恐らく實情を調べたならば、終戰直前私滿洲にいて知つておりますが、あの終戰の御詔勅を戴いた十五日の午後、十六日、十七日、十八日まで召集令状を受けて滿洲においては應召した。この嚴然たる事實を私は知つておるのであります。それからそういうようにして、事實應召されておる者が相當あると思う。でなくても技術その他經驗等を買われてそれぞれの處に強制徴用を今されておるのでありますから、實質的には私はこれは軍人軍屬と同じような内容の下に、今何十萬の諸君が殘されておると思いますから、軍人軍屬にあらざるところの、この我らの兄弟について政府は強力なる、その遺族に對しての擁護の施策を拂つて頂きたい。  それから一月、二月、三月のブランクについてのことはすでに全委員から御質問を申上げたと思いますので、これは取上げませんが、ただ冀わくば僅少なるいわゆる生業資金を以て救濟するというような消極的な今までの態度でなく、昨日、今日と讀賣新聞に發表せられてありますところの、あの復金融資の嚴然たるこの事實を見ました時、六百萬、その家族、関係者五人といたしましても三千萬の、この引揚、復員の關係者の救済、或いは自立援助のために政府はただ一月に五千萬圓、二月に五千萬圓、三月に五千萬というような、そんな僅少なる金額を以てこれを救濟、援助するというような、その態度を根本的に一擲せられまして、もつともつと積極的にこれを大いに救濟するというような、構想を私は厚生大臣つて頂きたい。(「そうそう」と呼ぶ者あり)殊に昭和二十三年度におけるところの庶民金庫に對する金融と、更には事業資金として大いに復金の活用をして少くとも二十億、二十五億ぐらいのこの事業資金を以て、この引揚者諸君が堂々と一つの事業として民主建設のために奮鬪する。そうして、いわゆる殘留者と共に何らそこに溝を持たずして一體となつて活動するというような、國民的一大雰圍氣を厚生大臣が中心となつてつて頂きたいということを要望して止みません。(拍手)  それから第三には、厚生大臣は御存じないかも知れませんが、農林大臣と、いずれ農林大臣の出席を私は求めますが、昨年の八月六日佐世保に上陸いたしました引揚者約一千五百人の諸君、その中に石井寛一君、これは大使館の一等書記官であり、齊藤征雄君は瀋陽における日僑俘連絡所の副主任をしておつた人でありますが、この二人の者が責任を以て努力して、いわゆる強制勞働に服している。徴用を受けている日本人の遺族が一錢も日本政府からは何らの補助援護を受けていない。だから中國政府と十二分の連絡を取つて現金の送金ができないために大豆を六十トンだけ、その引揚者の諸君の食糧と並びにその徴用を受けている遺族の見舞のために、これを六十トン正規の手續を以て佐世保港に荷揚をしておるのであります。そうして、それは十月の中旬に農林省の倉庫に入つておる。その中、多分五トンぐらいは佐世保において消費したかも知れないが、まだ五十五トンというものが現在農林省の倉庫に入つておる筈であります。この国家の意思によつて決定しました休戰のために俄然動亂の中に捲き込まれて、而も三年に垂んとするこの際、今尚懐しい祖國に歸ることができない、その骨肉の兄弟、妻子とも會えないところの、この諸君が營々孜々として働いておる、それに國家はその遺族にはびた一錢でも、米一つでも積極的にそういう軍人軍屬にあらざる者に對しては何らの施策をやつていない。而も却つてそれらの人に對して中國の諸君が友情を以て大豆を輸送することを許可されておる。その大豆さえもこれを尚農林省の倉庫に入れておるというがごときことをやつておる。この更生の大事な事業を所管していらつしやる厚生大臣としても、又この問題について農林當局においても私は何か手を打つて頂く必要があろうと思うのであります。私はこの問題については、過般の緊急質問の時、岡元義人議員に是非質問をして頂く豫定でございましたけれども、いろいろな國際情勢というような立場も考慮いたしまして、その本會議における緊急質問の内容としては差控えて貰うことにした次第であります。この點は農林當局に私は確實なる質問をしますけれども、厚生大臣としてもそういうような事實があることを御賢察頂いて、そうしてやはり大臣から善處方を一つ御援助願うならばいい結果が生じるだろうと思うのであります。以上私の所見と質問を終る次第であります。
  71. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 御質問が大分多岐に亘つておるようでありまするが、私の記憶に存するだけのことを申上げまして、尚足りない所は更にお尋ね下さりますれば、できるだけ詳しくお答え申上げたいのであります。  先ず引揚者に對して、できるだけの救濟の手を伸ばせというような有難い御意見に對しましては、私はこれは全幅の贊意を表し、私も全くあなたと同じ考えを持つております。そうして努力いたしておりますが、微力の結果十分御期待に副うべきことができないことを遺憾に思いますが、併しできるだけのことはいたしております。又將來もいたす考えでありまするが、その點は一つお含みを願いたいのであります。  それから復員者に對して引揚者と同じような更生資金を出すようにというようなことは、これは御尤もでありますが、ただ復員者でも、復員した人が、いわゆる生活の中心になつておる人が復員して歸つて來たその人が或る生業を營もうというような時には、やはり引揚者と同じように私は待遇していいと考えておるのであります。  それから軍人軍屬に對して、今軍人の殘つておる人に對する給與の法律は、昨年第一國會で皆様の御協贊を得まして、そうして一人に對して百五十圓というようなものを差出すことにしておるのでありますが、軍人軍屬ではないけれども、終戰直後軍人軍屬と同じように、彼の地に殘されて強制勞働に從事しておる者に對してはどうかということに對しましては、まだその點については、軍人軍屬と同様の待遇をいたしておりません。然らばそれらの人の家族に對してはどうだというと、それも家族に對して特別の給與の手續は執つておりません。然らばどうするかというと、それは御承知の通りの生活保護法において、これを保護して行くという手以外には今取つていないのでありまして、その生活保護法の點に對しましての十分の手が伸びないという點に對しまして、私は非常に心配しておりまして、これらの方面に對する費用の足りない點は、これはでき得べき限りの費用を出して、生活保護法によつてこれらの人を救つてやりたい。現在生活保護法で基準を定めておりまするものは御承知のごとく、取敢えず五人世帶で千五百圓ということになつておりますが、これは基準でありまして、法律で決めておるのではありませんから、物がますます高くなり、生活がますます困るということになれば、その基準を引上げるということは容易でありますから、これを引上げまして、そうしてそれらの方の生活を少しでも豐かになるようにして差上げたいと、かような考えを持つてつて、そういう方面には少しも注意を怠らないのでありますから、それは一つ御了承を願いたいのであります。  それから遺族に對して何らの施策を持つていないじやないかという御質問趣旨は、私もちよつと理解に苦しむのでありますが、遺族でありましても、殘つておる人でありましても、生活に因つておる人は今言う通り生活保護法でやるのでありますが、生活に困らない人に對しては、成る程國家は特別に、この人に對してお前は遺族だからどうだとか、お前さんの主人は向うに殘つておるんだからどうだとかいうような、軍人の日本に殘つておる人の家族に對する給與法というような法律ができていないのでありますから、これは先刻申したような生活保護法の範圍内において救助の手を伸ばすということ以外にはないのであります。  このような點につきましても皆様の御配慮を得まして、生活保護法の金はもつと基準を殖やさなければならんじやないかというような御希望がなくても、生活に困るという點があれば、これらの基準は伸ばす、擴充するという、こういう考えを私は持つております。それから引揚者に對する大豆何十萬トンというような點に對しましては、そういうことを實は初めて今承わりましたのですから、農林大臣によく交渉いたしまして、そういう中華民國の好意ある點に對しましては、政府としては、ただこれを農林省の農業倉庫の中に保管して置いて、送つた人の意思を無にするということのよろしからんことを私も承知しておりますから、これは一つ話して見ましよう。合法的に法律の許す範圍内において適當に處理するように、交渉いたしましよう。それだけのことを申上げて置きます。
  72. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 大臣のなにはよく分りましたが、ここで岡田説明員から先刻話がありまして、同時に北條委員からも、それに對する質問があつたんですが、この際大臣に、私はやはり自分の所見の一端として述べますと同時に、大臣自身眞劍にお考えになつて頂きたいと思う一點は、先刻岡田説明員の十六萬三千世帶を對象とした、これは北條委員の説明によりますと、今日まで受付けたのがそういう數だ。窓口に來たのはそういう數じやなかろう。これに對しての岡田説明員のお話はないのでありますが、私はそれを岡田説明員に求めようとするのではないのでありますけれども、でき得るならば、四十三萬近い世帶のとにかく引揚者の實態というものを對象といたしまして、そうしてこの十六萬何がし世帶ではなくして、それを少くとも三倍ぐらいに、その給與をするという世帶を引上げて頂いて、その基礎の上に立つて、それは基準は五千圓になりますか、或いは六千圓になりますか、七千圓になりますか、それはいずれであつてもいいと思う。とにかくその基準を十六萬とか、或いは十五萬ということではなくして、これを少くとも四十萬なり、四十三萬なり或いは更にこれを四十五萬ぐらいに上げて頂いて、そうしてはつきりとしたその趣旨に向つて御助力頂きたい。こういうふうに思うのでありますが、これは特に岡田説明員にお願いいたしますと同時に、大臣もその司として、それを十分お汲取り下さいまして、今まで御披瀝頂きました御好意を今後により以上お願いいたしたいと思うのであります。
  73. 岡田弘治

    ○説明員(岡田弘治君) 私第三次の計畫の豫算の基礎人員を申上げたのでありますけれども、大體この十六萬を出しました……序に申上げて置きますが、これはもうお説の通り、私共努力はいたしますけれども、一應出しました何といたしましては、大體新規の第三次の引揚者に對するものを一體どう見るかということを、基本を出したのでありますけれども、先程申したような引揚者の總數、既引揚者今後引揚げて參ります者の總世帶の中から、生業とかいろいろいたしまして、六十四萬二千三百八十三世帶というものを一應出したのであります。それから從來貸付けております世帶數を、これは現實の世帶數がはつきり掴めませんから、今までの總豫算を大體平均、從來は三千圓になり、それが五千圓になり、こういうふうに上つておりますので、大體平均假に四千五百圓くらい一世帶に行つておるとすれば、このくらいになろうかという計算で出しましたのが、大體三十七萬世帶くらいになる。今までの分が……。そこで六十四萬二千何がしかの中から、そういつた一つの算出計算に基きました世帶の三十七萬を引きまして、殘り二十七萬何がしが今後やらなければならん對象になる。その二十七萬何がしへ持つて來まして、今申上げましたような我々の希望する單價をかけまして、總額が出たわけであります。總額は出たわけでありますけれども、その總額は一應所要總額であつて、その中には或いは生業資金を必要としないような環境に立至る人もあるだろうというので、これもやはり豫算の技術上六%をかけて、一應總金額をかけて要る數を出した。今の十六萬何がしというのは最後の操作の六%かけた數字を申上げたわけであります。
  74. 星野芳樹

    星野芳樹君 厚生大臣二つお伺いいたしますが、今般未復員軍人に對する給與と扶養家族に對する給與が出たのは、非常に家族が喜んでおる次第でありますが、これについて子供が行つてつてお母さんが殘つてつて、これが六十歳以下であるという場合に、給與が出ていないのが多くいるんじやないか。非常に困難をしておるのであります。ところが民法の男女同權という立場からすると、これを法律的にどうも救う法がないようなんですが、これに對して何か物資を特配するとか、そういう手を打つて救濟するというお考はないか。  それからもう一つは復員者の更生という點について、これは復員者の更生引揚者ほど切實に迫つておるとは言えないのであります。というのは、復員者の方は多く家のある人が多いのであります。併し一面生業資金などを借りただけではみずから經營をやつて行くという經營能力がなくて、反對にこの人たちは非常に勤勞意欲に富んでおるという點、これを國家的に組織的にこの技術と熱意を生かして行くという大きな計畫は、立てられていないのでしようか。この二つを伺います。
  75. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 復員者の家族に對する特別の給與とかいうようなことは、先刻來申しましたように、生活保護法の規定以外に今ではないのであります。この點は元軍人であつた人に對しまする月々の月給百圓、扶養すべき人に對しては百五十圓というようなことに、皆様の御協力で決められたことは、非常に喜ばしいのでありますけれども、扶養家族でない人にまでも何とか手を打つ方法があるのでないかということについては、それらの人の立場から見れば勿論そういうことをしなければなりませんが、御承知のこの問題につきましては、あの法案が通過することについても、實に非常にあれは難色があつたのでありまして、特別に元軍人であつたということのためにそういうような特別の待遇をするというようなことはというので、憲法の新の法文等から實は非常に難色があつたのが、いろいろな事情を述べてあれが許されたことは御承知の通りであります。ところがまだ扶養年齡の範圍外におる者にもというようなことは、ちよつと今のところでは少しく難色があるように私は思うのですが、それよりもむしろ私は戰死者、戰歿者等の遺家族に對することの方がもつと急務じやないかと實は心配している。復員した方は自分の主人とか夫とか、兄弟というものが歸つて來たというようなことで大分心を慰めることができますが、國家の權力によつて徴發されて行つて戰死、戰歿したというような遺族に對して特別なことはなくて、ただ生活保護法の給與を受けているということだけでは、それについても隨分いろいろな陳情者がありまして、そういうことについていろいろ頭を痛めておりますが、但しこれに對しても私は何とか手を打つてあげなければ甚だ氣の毒だ、自分から進んで戰さに行つたのではなし、國家權力のために徴發されて行つた。それがために戰死とか病歿したとか、そのために非常に遺族が生活に困つているというようなことは、生活保護法だけではどうかと思つている。その點につきましても何らかの手を打つ必要があるのではないかと思いまして、私今事務當局に命じましていろいろ考えを廻らしております。尚そういう成案でも得ましたならば、關係方面のお許しを得たいというふうにまで考えております。併しまだそこまで手が伸びておりません。むしろ復員者の給與ということも必要であるが、それよりももつと、戰死戰歿者等の遺族の保護に對することの方が急務ではないかと實は思つておりますが、併しできますならば兩方とも厚生大臣として、生活安定という方面からすれば考慮しなければならんものだと考えております。一つ大いに尚少しくそういう點についての考慮をするということについて一つ一層考えて見ましよう。
  76. 星野芳樹

    星野芳樹君 今の厚生大臣お話は、扶養家族でないものにまで給與というように取られたようですが、私の言つたのは五十七、八のお母さんで實際上は扶養家族だつたんです。子供に養つてつておる。そういう人たちが六十歳という規定があるために、抜けているわけです。日本では女の人が五十七、八歳というのは實際上に生活能力がないものが多い。この事實と、それから形式的に、民法として六十歳以上を男女同權にした。ここに喰違いができている。この救濟策として何かないかという意味です。
  77. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 今そういうことについては成る程あなたのおつしやる通り缺陷もございましようが、そういう點が非常に著しき幾多の弊害を招來するということになれば、私共の方からも改正案も出しましようし、あなたの方からも進んで改正案を出すというようなことにして頂きたいと思います。
  78. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 先刻厚生大臣から遺家族問題に對しまして、非常な眞劍なる御考慮を拂つて頂きましたという話を廳きまして、ただただ私は感謝申上げるのであります。どうぞこの點につきましては十分にお力添えを頂きたいと思うのであります。一つ私重ねてお願いいたしたい點は、深く御考慮を拂つて頂きたい點は、戰犯であつて、そうして銃殺に處せられた人、或いは死刑になつた人、こうした遺家族の人たちがあるのであります。でこれはすでに厚生省では御存じかと思いますが、今村中將の夫人が會長になつてつておる、眞面目になされつつある團體という程ではありませんが、更生會でそういうようなことをされておるのでありますが、これは何もその更生會とかいうような問題でなくいたしまして、實際その銃殺或いは死刑になつたこうした人たちは、これはすでに死んでしまつたのでありますから過去のことを申上げる必要はないと思います。でその遺家族に對しては實際お氣の毒だと思うのであります。この人たちも遺家族と同様に扱い得るように一つ今後ともお力添えを頂きたいと思うのであります。
  79. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) ちよつと誤解があつては困りますが、私がこの遺家族に對して何らかの適當な救護の方法を講じようということにまで斷定的のようなことになると、これは又関係方面のこともあり、この點は一つ御了承を願いたい。ただそういうことについて非常に同情しておるから、何らかの方法においてこれを救護したいという希望に滿ちておるということで一つ御了承を願いたいと思う。そういたしませんと、御承知の通りのような状況で、ちよつとそういうことが、直ぐに聞かれるといけませんから、その點を一つ御了承を賜わりたい。それから今の銃殺されたような人の遺家族というような點に對しましても、今申上げたと同じような意味で御了承を願わんと、却つて贔屓の引倒しのようなことになる。
  80. 星野芳樹

    星野芳樹君 先程のもう一つ質問に對して厚生大臣はまだお答えになつてない。復員者の更生に對して單に生業資金を貸したというだけでは、復員者は引揚者と違つて經營能力がない。
  81. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) それは勿論更生資金が必要である場合には更生資金を御用立申すばかりでなく、それらの人の職業補導だとか、就職のお世話というようなことは皆私の方でやつております。ですからしてただ金を貸して、あとはどうでもいいということでなくて、更生資金を借りたならば、厚生資金を生かして自分更生のできるような職業に就いて頂く、働いて頂く。働く能力のない人は職業補導をする。私の方で民生委員によつて十分に手を伸ばしております。さよう御承知を願います。
  82. 星野芳樹

    星野芳樹君 今の返答ではちよつと焦點が違つたようですが、引揚者と復員者が性格が聊か違うということを厚生大臣は呑込んで頂きたい。引揚者の方は外地で以ていろいろな經營をして來て、家族と共に引揚げて、この人たち歸つて來て直ぐ生活に困る。併しながら經營能力はある。それから復員者の方は、大部分は内地に家はある。で直ちに生活に差迫るという點では引揚者の方が差迫つておる。復員者の方は但し經營能力というようなものがない。その代わり旺盛な勤勞意欲を持つておる。そういう點で對策が違うと思う。この點をはつきり呑込んで頂きたい。
  83. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) これは私と見方が違う。復員者でも現に兵に出るまでに或る會社に勤めておつた、或る事業を經營しておつたというような經歴を持つており、腕を持つておるような人が歸つて來た時分に、元勤めてつた會社に就職する、或いは腕に覺えのある仕事を再びやるというようなことができるのですから、それは人々による。復員した人でもそういうことのできる人もあればできない人もある。そういうことのできる人は、その人の自力更生に待たなければならん。できないような人については、先刻申上げましたような職業補導とか失業者の救濟とかいうような手を政府が伸ばして、それらの人の生活を困らないように意を盡しております。
  84. 岡元義人

    岡元義人君 今日は時間も經ちましたが、實は打合せで以て生業資金だけのお話ということで大臣の御足勞を願つたのです。先程來大臣の懇切な御説明で非常によく分つておりますが、併しながら二月の末と決定いたしますと、どうしてもこれは三月になつてしまいまして、結局ブランクで通つてしまつたということになるのでございます。それで先程から説明をずつと聽いておりまして、分つたような、最後になると又どうしてもたまらないような氣持になつてしまいまして、事實……。
  85. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) もつと具體的に話をしたいのだけれども話せないのですから、そこは一つよく御承知置き下さい。
  86. 岡元義人

    岡元義人君 どうぞ一つ何を措いても今日の特別委員會は、生業資金をどうしてもお願いするというのが各同僚議員の皆の氣持だつたので、この點を一つ大臣におかれましてもお含みを願いまして、我々はこれから先程來澤山出ました問題について今後尚厚生大臣に御出席を煩わしまして、御協議して頂かなければならん點が澤山あるのでございます。この點お忙がしいでしようけれども、この特別委員會はもう二度と恐らくないだろうと思つております。是非ともこの國會中に我々解決をつけたい、こういう念願を持つておりますので、私たちの申しますことが非常な無理なことを申しておるということを十分分つておりますけれども、大臣におかれましても、もう外務大臣は本會議でも申された通り引揚げて來るまででありますから、歸つて來てからは厚生大臣にどうしてもお願いするより外に方法はないのでありましてこの點をよく酌んで頂きまして、或いは不躾けなことを申上げることもあるかも知れませんが、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
  87. 木下源吾

    ○木下源吾君 大臣が今日お見えになつておるので、今お話を聞くと、生業資金だけに限定しておるというお話ですが、この機會にちよつと大臣にお尋ねして置きたいと思うのです。一體政府はこの引揚者というものが自然に流れて來て、そうして今言う通り、自力更生で行ける者は自分で仕事を見付けろ、それから何もやれん者は救濟してやろうというくらいの方針よりないのかどうか。私は引揚者というものは、日本のやはり再建に役立てるために、一つの方針を持つて、上陸したならば、引揚者更生でもあり、日本再建のスタートでもあるというような一つの目標がなければならんのじやないかと、こう考えておつたのでございますが、例えば樺太に行つてつた人々の中には漁業に非常に堪能な人もあり、又滿州の開拓に行つてつたところの方は農業に堪能な人があるというように、大雜把でも一つの線があるわけなんでございますが、これに對して政府は、漁業であるならば、北海道の未開發魚田一つ開いて、そうしてこれを何とかしようとか、或いは農業であるならば、大陸の農業と北海道の農業と類似しておるから、そういう方面で目標を定めて、これを一方においては開拓に寄與し、一方においては本人の更生從つてこれが國のためになるというような一つの目標が私はなければならんのじやないかと、こう考えておるのでありますが、(「贊成」と呼ぶ者あり)現在までのありきたりを見ておりますというと、行き當りばつたりで何にも目標はございません。それで今の御答辯を承わつて尚更その感を深くするのであります。これについては、今ここで論議をしましても、なかなかそれは盡きないだろうと思いまするので、一つ政府の方でも、いわゆる大きな日本の民族の配置轉換の上において、引揚者を一體どういうところに日本再建のために能力のあらん限りを發揮させるというようなことに考えておられるかということを御研究を願いたい。實はたつた今私はボツクスで手紙を受取つたのですが、これは北海道の道廳の民生部の援護課の主事でありますが、こういうことを書いております。南樺太の七割、八割、即ち二十萬という厖大な人が無縁故、有縁故の形を以て北海道に轉入して來る事情もある。これは世界にも類例のない民族の移動であると私は考えておるのでありまして、これに對して政府は、よろしく受入態勢を整うべきであろうかと考えられるのであります。  次に、上陸地の函館において無縁故者が一六%あつたことであります。昨年の四月から六、七、八と三萬人ずつ月に上陸をいたしましたときには、毎月五千人の無縁故者が發生して、我々が全道の市町村に懇願してすでに約二萬四千人の者を收容し、この嚴寒の夜など、寝もやられませんで心痛をなしつつあるものであります。我々は爆彈を抱えておるような気持であります。この點には政府並びに中央要路の方々のよろしく一つお考え、御庇護を願うのであります。無縁故者の収容などは、誰にも頼まれたわけではなく、我我の使命であるとして、當然のこととして引受けて參つたのであります。併しながら今後は有縁故、無縁故を問わずこのままでは受入不能というところまで參つたことをお考え頂きたい。今般参議院議員諸公のお出でを願いまして、その情熱の程を伺い、我々は全く初めて力強きを感ずるようになりました。この受入態勢については、整備を一つお願いをして、知事を先頭として我々は飽くまでもこれをやろうという決意を持つておるという手紙を只今私はボツクスの中でこれを受取つて參りました。こういうようにすでに當局の係の者が末端においてはこのように心配いたしておるのでございます。國は須らく一つの大きな方針を立てて、その線に沿うて、例えば引揚者が開拓をするにはどういう方法ならばよいか。或いは魚田の開發ならばどうすればよいか。御承知でもありましようが、昨年國後島から北海道の奥尻というあのちつぽけな島に四十何戸が集團で入つたときには、テントで漁を始めたのであります。これは新魚田でありますが、然るにその人たちの營々として不屈の奮鬪の結果、日ならずして今日ではささやかでも木造の家屋を建てて四十何戸が更生しておるのであります。かくのごとき新魚田というものが北海道の沿岸に幾多あることは、政府はよくお分りでありましよう。然るに今囘の豫算を見ましても、これらに對する豫算は全く乏しいものである。これは別の食糧の觀點から見ましても、これは是非ともこういう國後或いは樺太等の漁業に經驗のあり、そうして北方漁業に經驗のある人をこれに携わらしたならば、生産の増強は期して待つべきものがあろうと思うのであります。政府は一言目、二言目には金の問題ばかり言うておるのでありますが、只今の例を見ましても分る通り、テントを掲げて入つてまだ一ケ年にもならずしてこういうような状態にまで更生をしておる。この熱意に對して政府はよろしく計畫を立てて應えるところがなければならんと思うのであります。ただ引揚者を徒らに救濟する、援護するというような、そういう慈善的な考え方ではなく、進んでこれらの人々を國の實情に即したように轉換さしてそうして明日から生産増強、日本建直しのために働き得るような、そういう方向を與えることを私は望みます。どうかこの次の機會までに政府諸公の御協議の上にこの方針を一つお示しを願いたいと考える次第であります。
  88. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 今あなたのお話を承わつて見ると、厚生省は引揚者引揚げて來たのにただ金をやつて、お前ら勝手に行動すればよいのだというような、ほつたらかしておるような方針であるかのごとく、私そういうふうに誤解して聞いたのかも知れませんが、そういうふうに聞えたのでありますが、決して、そういう意味ではありません。厚生省には引揚援護院という特別の官制を設けまして、そうしてそういうような連中を置いて、引揚者諸君の更生に向つて政府ができるだけ手を伸ばして上げよう。それについて更生資金というものが要るからして、僅かなものであるけれども、一時凌ぎの更生資金というものを取敢えずお貸し申上げて、そうしてそういうようなふうに進んで頂こう。それらの人々が、自分はどういう仕事に當嵌まるのであるか、どういう仕事を希望するのであるかというようなことは、それぞれ地方に設けられておる民生委員やそれから關係委員とのお話合の上で、こういう事業を經營したい、ああいうことをやりたい、これについてはこの更生資金だけではいけない、例えば遠洋漁業をしたい、或いはどこそこの開拓をしたいというような希望があれば、そういうような方面に御協力を申上げまして、特にそういう國家の施策に協力して頂くというような人には、各省においてそれぞれの事業資金というようなものを特別に融資するというような方法もあるのでありますから、そういう點につきましては、引揚者の諸君が大いに御相談の上で、俺はこういうことを今まで海外においてやつてつたのだ、それを一つ日本の沿海においてやりたいというようなことがありますれば、これは農林省、その中の水産局、或いは開拓という方面ならば開拓方面とか、その他の貿易というようなことについてそれぞれ適材を適所に活用して、更生の道にいそしんで貰いたい。こういう考えを持つておるのでありますから、そういう意味において政府を御鞭撻して頂く、御利用して頂けば決して放任しておるということではありません。ただ大勢の人が俄かに引揚げて參りましたし、政府の引揚援護院にいたしましても俄かに拵えた官廳でありますから、御期待に十分副わない點もありましようが、そういう點は御遠慮なくお申出頂いて御指導、御鞭撻願えますれば、私共でき得べき限り、そういう御期待に副うて、そうして共に手を携えて更生のために努力いたしたい、かように考えておるのであります。
  89. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) もう時間も……。
  90. 木下源吾

    ○木下源吾君 時間もだんだん過ぎておることはよく承知しておりますが只今大臣お答えは或る一面においては納得できますけれども、一面には私の希望とは副わんようでございます。成る程金を與えて職業を指導する、これは結構でございます。併しながら全體の状態をよくお考えになればお分りと思うのであります。例えば綿屋をやるということになれば、舊來の統制の……力の強い者が、七馬力半以上やつてつた者でなければ、後は許可をせん、オミツトする。何をやつて引揚者というものは僅かな資本で、そうして實績がなければ殆んどできないことになつておる。それはもう一々我々が言えば、政府はどうでもするというお話でありますように今承わりますけれども、そうではなく政府の方で頭からこれらが仕事ができるような一つの何を拵えて貰わなければならん。もう御案内の通り統制組合、或いはすべての統制團體が解散させられて、次の態勢にすでにこれらは整えるときには、上の者だけで、力のある者だけに仕事ができるようにすべてがなつておる。これは私が一々例を申上げるまでもありません。私の言うのは本人たちがやろうと思えば、金がありさえすればできるのだ、こういうようなお考えでは困る。そういう引揚者のような弱い者、又經驗のない者でもやり得るような、政府では一つの態勢を引揚者に對して整えて貰いたい、こういうのが私の希望なのであります。決して私今大臣をここで論難するわけでも何でもありませんが、現實において引揚者の諸君がどういうような實態にあるかということを、これは御覽になれば分る、議論ではない、實際においてこの現實の面から見て我々は非常なここに決心を以て、引揚者をしてその所を得せしめ、そうしてこれらが直ちに從來の經驗、或いは自分の持つておる能力によつて國の再建のために盡し得る場所とその位置は必ず私はあるのだから、これで一つ政府が努力して貰いたい、こういう御要望でございます。
  91. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 最も適切な御主張でありまして、私全然あなたと同じであります。同じであるが、ここで一つ希望を申上げて置きますが、政府はやりますけれども、政府も何も一から十まで悉く眼を通して、一から十まで神のごとき技を以てはできません。そういう點につきましては、あなた方がこの點はこうせよ、あの點はああせよ、ここはこう直せ、こういうような職業こうせよというというふうに御指導御鞭撻を願うと同時に、今日の國會は明治憲法の時代の國會ではないのですから、あなた方は以前よりも以上の權力を持つておいでになるのだから、そのお力でこうせよ、こういう法律を出せ、或いはこう改めよ、或いは俺の方からこういう法律を出すのだ、或いは俺の方からこういう財源を持ち出すのだと、こういうようなことで、今あなたの御熱意をそういう方面にもお注ぎ頂いて、そうして政府を御鞭撻して頂いて、そうしてあなたの理想とする目的を達成することの容易であるように御協力を願いたい。私共はやります。やるけれども眼の届かないところがあり、至らないところがある。それについてあなた方のような幾多の尊い御經驗を持つておられるところを我々にお示しを願えれば、我々もやりますから、あなた方も偉大なる權力を御發揮なされて、その目的に手を携えて進むということをお願いして置きます。
  92. 木下源吾

    ○木下源吾君 よく分りました。只今大臣の御要請により我々も大いにやろうと思いますが、ただこの問題は今の北海道で無縁故者をこれ以上入れる能力はないのだから、こういうような實情に對してはどうぞ御考慮を一つつて頂きたいと思います。
  93. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 今の木下委員提案竝びにそれに對して厚生大臣の應答、これは非常な重大な問題であるのであります。そこで今日の特別委員會はこれを以て打切つて頂きまして、木下委員厚生大臣に言われたこの四點を要約いたしますると、とにかく日本に對してこれからの建設に大いに引揚者の能力を發揮させよう。而もそこには木下委員が、言われました言を借りますると、北海道という實に水産にも、農業にも、或いは地下資源にも非常に有望な所があるというようなことでありますから、先般參議院から東北、北海道に派遣されましたが、その報告に基いて先ず如何にすべきかということを、この特別委員會一つ大きな原案を作るというような方向に持つて行きたいと思うのです。これに對してはただ單に厚生省の問題のみでなくして、農林省も關係しましようし、或いは大藏省も關係しましよう。そうした各關係者の方々もお集い願つて、そうして眞劍にこの問題を取上げて行きたいと私はこう申上げまして、この委員會を閉じて頂きたいと思います。
  94. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 最後にちよつと申上げて置きたいのですが、昨日東北、北海道の受入態勢の調査報告を私が本會議でいたしたのでありますが、木下委員只今お話になりましたことは、極めて重要な問題でありまして、昨日私が總括的に申上げ、尚結論的に報告したのと殆んど變りないのでございまして、三百萬程度しか入つていないが、將來は八百萬ぐらいまで入り得る素質を持つておる。こんないい所があるということと、それから戰争以前は滿洲というものがありまして、捌け口があつた。それが今日においては四つの島しか日本にはない。そういう場合に六百萬という歸還者を迎えた。そういう客觀的情勢とそれから北海道の地勢的の情勢とから考え合せまして、どうしても引揚者の處理につきましては、大部分縁故者、無縁故者などに對しまして、集團的に適材適所に入れるような方法を取ることが最も必要である。のみならず北海道へは樺太、千島、滿洲、北鮮、悉く寒いところの土地におる人々であつて、すでに寒さには十分な經驗を持つておるのみならず、その生産方面におきましても、適地に適種のものを植えるところの技倆を持つておる。(「委員長簡單に願います」と呼ぶ者あり)そういう意味からいたしまして、この問題は淺岡委員お話になりました通り、重要な問題でありますから、問題を新たにいたしまして、この委員會で討議いたしたいと思うのでございます。時間が大分經ちましたので、本日は……。
  95. 北條秀一

    北條秀一君 議事進行について、今委員長が本日の會はこれで終つてということになりますと、先程淺岡議員の言われましたように、木下議員の發言の問題について、次の委員會は研究を進めるということになりますが、私は來週の月曜日の委員會において木下議員の發議されました問題を討議するのは、まだ我々の方に十分な準備ができていないというように考えるのでありますからして、更に若干の私は餘裕を頂きたい。つきましては來週の月曜日には我々が最も緊急になさなくちやならん問題がここにあるわけであります。それは何より四月一日から引揚が再開されるという建前の下に我々はすべての準備をしなければなりません。從つて四月一日以降の引揚者受入態勢に關する準備を促進する必要があるわけであります。それを次囘の委員會においてやつて頂きたい。その受入態勢の中に先般私は皆さんのお手許に出しました末復員者及び未引揚者に對するところの租税の減免に關する法律案、或いは未復員者給與法の一部を改正する法律案、この二つを前に提出したのでありますが、次囘にはこれを早急に審議して頂いて、三月末までにはこの法律を實施し得るように我々としては處置して頂きたいと思います。
  96. 木下源吾

    ○木下源吾君 議事進行について、只今北條君のお話もありますが、實は北海道の今年度の開拓の實情は、政府の安本方面でもどうも今日までの開拓の成績は良くない。それででき得るだけ既往の田畑、そういう所に力を入れて改良して行こう。こういうような方針になつておるようでございます。それで我々は緊急開拓というものがまあ或る程度縮小されるというような感をするのであります。これは若し私の發議に諸君が御贊成下さるならば、でき得るだけ早い機會においてそういう方針ではなく、やはり引揚者を目標にして開拓を進めるという方向に行つて貰わなければならん。こう考えますので、でき得るならばこれは一つ早くこの委員會を通じてやつて頂きたい。こう考えております。
  97. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) お諮りいたします。北條委員の立法に關する問題と、木下委員の集團開拓その他に對する問題と、次にはどちらをいたしましようか。
  98. 千田正

    千田正君 どちらも重要なものでありますから、次には二つともやつたらどうですか。
  99. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それでは今千田委員お話のようにこの二つの問題を次の委員會で討議することにいたしましてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 御異議ないと認めます。それではそういうふうに計らいます。大變長時間になりましたが、これを以て散會いたします。    午後三時四十三分散會  出席者は左の通り。    委員長     中平常太郎君    理事            淺岡 信夫君            竹中 七郎君            北條 秀一君            星野 芳樹君    委員            河崎 ナツ君            木下 源吾君            井上なつゑ君            岡元 義人君            楠見 義男君            藤野 繁雄君            穗積眞六郎君            矢野 酉雄君            中西  功君            千田  正君   國務大臣    厚 生 大 臣 一松 定吉君   説明員    引揚援護院指導    課長      岡田 弘治君