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1948-01-29 第2回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年一月二十九日(木曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員会設置に関する件 ○引揚者更生対策に関する件   —————————————    午後一時五十五分開会
  2. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それではこれより委員会を開会いたします。本日の協議につきまして、政府の方から政府委員として見えておりますのは、商工省繊維局製品課長藤井君、それから引揚援護院次長大野君、それから厚生省物資課の松江君、復員局事務官の森田君の四名の方が見えております。それからこの前の委員会におきまして、委員長に御委託になつておりました委員の氏名を御発表申上げたいと存じます。この委員の方は四つに分けてございますが、必ずしも四つに分けてあるが故に、その範囲を出でないものであるという意味ではありません。それで各部を通じてともどもに事業の促進を図るという意味になるのでありますけれども、責任の帰属するところを明らかにするために、一應それぞれ委員方々に担任して頂くという方針を採つたのであります。只今私がお委せ頂きました人選を読上げますから御了承願います。  引揚促進に関する委員淺岡君星野君、楠見君、中西君、加藤君、河崎君、田村君、藤野君、この方々引揚促進の方を主として担任して頂く。それから厚生対策につきましては、岡元君、矢野君、木内君、井上君、宇都宮君、木下君、千田君、紅露君、この方方に厚生対策についで御審議をお願いいたします。渉外進駐軍に関する方面は山田君、北條君、安達君、この三名に。企画運営等につきましては、北條君、竹中君、太田君、草場君、小林君、こういう方々企画の方を御担任を願います。こういうふうに分けて参りましたが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それでは御異議ないものと認めまして、そういうふうにお願い申上げます。  次には陳情、請願に関する小委員会を設置することに相成つております。その小委員会人選もお委せ願つておりますので、この際御発表申上げます。七名でございます。穗積君、矢野君、北條君、淺岡君山田君、岡元君、星野君、この七名の方にお願い申上げます。そうして委員長互選をお願いいたしたいのでありますが、御出席になつておらん方もあるようでありますが、とにかくこれは後で互選をして頂くことにいたしたいと存じます。この小委員会委員は御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それでは御異議ないものと認めまして決定をいたします。それから二十六日の委員会の時に木下委員から北海道の拓植問題につきまして特に拓植集團帰農の問題などに対して、特に北海道という廣漠たる廣い土地を持つておる関係上、今後の引揚者に対する誠に好適な開拓地であるが、今日までその十分な機能を発揮していないのでありますので、この特別委員会において、この拓植問題に関する小委員会作つて貰いたいという御希望がございまして、そのままになつてあとから御相談することに相成つてつたのでありますが、この問題はどう扱つてよろしうございますか、御意見は……。
  5. 北條秀一

    北條秀一君 木下委員発言になりました北海道拓植の件は、農林委員会が公的には扱うべき問題だと考えますので、木下委員提案によりまして、中平委員長農林委員長とよく事前に協議して頂いて、如何に処理するかということを研究を進めて行つた上で決めた方がいいと、そういうふうにやつたらどうかと私は考えます。
  6. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 御意見は如何ですか、只今北條委員から、農林委員長相談の上で、元来拓植問題などは農林委員の間の問題で相当纏まつ具体案がある筈でございますので、それと互いに話合つた上で、そういう特別な引揚民に対する対策としての開拓の小委員会を作ることの可否について相談してはどうかというお話がありましたが、この引揚民というものを対象とする開拓委員会であるから、私は農林委員会に御相談しなくとも、こちらで作つて行つて作つた委員会がいつも農林委員会の方の常任委員と手を握つて仕事を進めて行くというのがよくはなかろうかと思うのですが……。
  7. 岡元義人

    岡元義人君 この問題は先日穗積先生からもお話がありまして、全國的な問題もあるのだというお話がありましたのですが、第一回國会特別委員会におきまして大藏当局から本年の五月三日までに農林省当局へ移管を完了しなきやならない分の中から、まだ大藏当局で押えているいろいろなそういう開拓地に利用するものもあるのだというお話もありましたのだし、こういうことをばもう少し明らかにいたしまして、そして各地で以て開放して頂く、そういうような資料を握つた上で、それから本格的に北海道なら北海道の問題もその後に委員会を作るなら委員会を作るというふうに運ばれたら如何かと思いますが、一言申上げます。
  8. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 先刻北條委員からの提案でありますが、私はそれに対してもう一つ、これは農林委員長特別委員長とでなくして、一應この内地移住と申しましようか、北海道開拓という問題に対しましては、農林行政の面から見る面と、それから引揚者をあすこに受入れるという面から見まして、どちらのウエートが重いとか軽いとかいう問題ではなくいたしまして、一遍この問題に対しまして農林委員会とこの特別委員会と、委員長のみでなく、合同協議会とか委員会とかいうようなものを一遍開いて頂いて、眞劍に討議した上でその小委員会を開くとか、設けるとかいうようなことを考えて見る必要があるのじやないか、こういうように思うのでありますが、一つお諮り願います。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  9. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 今の淺岡さんのお話は……。
  10. 山田節男

    山田節男君 今の淺岡委員、それから北條委員岡元委員お話に関連しているのでありますが、固よりこれは北海道が主たる開拓の宝庫であることはこれは万人の認めるところであります。それで木下委員がそういう提案をされたということは恐らく多分にこういう点から、殊に樺太千島からの無縁故の帰還者引揚者が多いためにそういう案が出たのであろうと思いますが、勿論農林常任委員会にこちらが諮るということは順としては当然であると思いますが、併し満洲の開拓引揚者で、すでに開拓者の自興会というものを作つて或る程度の経済的な政府の援助を得て、而も成功しておる状態でありますが、そういうようなことから主として在外同胞引揚者並びに復員者更生せしむる対策としての開拓でありますならば、これは農林問題で農林常任委員会で論ずる以上に、特別委員会として関心を持ち、又そういう案に対しまして、その実現方について十分又案も立て、それから又その実現について是非激励してやらなければならん立場にあるのであります。そういう立場からして、私は農林委員会に持ち込む、最後的には相談はいたしますけれども、その過程におきましては、やはり既存厚生省援護院或いは安本、それから復員局等もあるのでございますから、或いは民間團体としては全國の引揚者に関する全國連合團体というものがありますから、そういうようなものと実際的な話、北海道東北というような最も有望な地域を選んで、具体的な案を特別委員会で作るように、それを援助して行く。これは私は引揚者復員者に対しても非常に私はぴつたりした案ができるのではないか。そういう意味からして、むしろ既存引揚者に対する援護施設機関、そういうようなものと協議しまして、そうして何処に引揚者復員者希望があるか、そうして従來の成績はどうであるか。又そういう引揚者復員者の特殊の状況から見てどういうふうにして行つたならばいいかということを、やはりその関係政府機関、或いは民間團体等意見をよく聽いて、そうして進めて行くのが最も実際的ではないかと、こういうふうに私は考えております。
  11. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) いろいろ御意見がありましたが、帰するところは一つのようになりますけれどもが、それぞれ多少の違つた意見を持つておられるようでありますが、とにかく委員会を作るということは一應御賛成かどうかということについて御意見を伺います。
  12. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 各位からいろいろの話がありますように、今ここで委員会を作るということよりも、先程淺岡委員お話のありましたように、一應この委員会全員と、農林委員会とが、開拓問題を中心にして一つ十分協議をして、その上でなさつた方がいいではないか。北海道ばかりじやなしに、各縣におきましても、現在も引揚者がすでに開墾に從事して土地等を提供されておりますが、その問題だけではなく、その後における資材肥料、飼料というようないろいろな問題で、相当つておる場合もあります。そういうことも同時に研究の問題に入つて來ましようから、先ずこの次ぐらいに、開拓問題を中心にして、農林委員会との合同協議会を開いて、その上であらゆる問題を含めての委員会を作るという方針に向いますと、そういうふうにして取上げて進んだらどうか、そのように存じます。
  13. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 只今淺岡君の御説に対して草葉君の御賛成がございましたが、北條君の御意見もこれに帰一するだろうと思いますが、北條さんどうですか。別に御意見がございますか。
  14. 北條秀一

    北條秀一君 先程山田委員から話がありましたのは、この特別委員会において、更に一歩具体的に関係各省の專門家から意見を聴いて、特別委員会として研究を進めて、その上で農林委員会と合同してやつたらどうかという今の山田さんの御意見であつたのであります。私はその方が問題を進めて行くのに誠に進め易いのじやないかと思いますから、私は山田委員の御考の方がいいと思います。その上で農林委員との協議会をやれば、より効果が上ろうかと考えます。
  15. 岡元義人

    岡元義人君 私先程申上げました内容がまだよく徹底しなかつたと思うのですが、先ず特別委員会でもう少し檢討の余地がある。やること自体においての問題じやなくて、もう少し大藏当局から資料を出して頂いた結果において、特別委員会としていろいろ考え、又計画を立てるものが出て来るということを考慮いたしまして、それがすつかりでき上つてから、そういうような方向に進んで行つて貰いたいという意味なのです。
  16. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 岡元さんのお話でよく分りましたが、特別委員会でもできましたら、委員会がそういう働きをしていいのじやないですか、書類を纏めるのはなんでもない、命じたらできることですから、とにかく書類などの問題は特別委員会ができた後にその委員会が申合せてずんずん進めてもよいわけですね。
  17. 岡元義人

    岡元義人君 そうです。
  18. 山田節男

    山田節男君 先程私申上げましたように、在外引揚問題に関する特別委員会としての開拓問題ということでありますから、これを直ちに農林委員会と合同して審議して、一種の一般的な開拓ということをやるのは妙なことであります。飽くまでこの特別委員会としては、引揚者のいわゆる更生対策としての開拓を考える。從いましてこれは國家的な立地というものがありますし、先程草葉委員の言われたように、北海道東北のみではない、全國的の問題も勿論あるのでありますが、そういうことを探究するに当りましても、これは飽くまで特別委員会立場というものを自覚して行かなければならん。而もそれが一般開拓じやなくて、引揚者復員者という特別な生活環境生活條件経済條件というようなものを考えた上で細かいことを考えなければならん。更に國家的に見て、國土計画的に見てマッチするように決めて行くのが、特別委員会としての開拓問題である。先程申上げましたように、引揚者開拓興会のごときは、これは内地一般開拓と違う。これは具体的に言えば地方府縣が投げておつたものを、引揚者の手によつてこれを生産的に実現して来た。而もそういう狙いは現在の農家と競爭するのでなく、引揚者生産力を発揮して、今までの開かれない或いは絶望された土地一つの生産的な土地に変える。こういう狭い土地でありますから、それより方法はない。そういう、一般開拓とは違つて開拓方法なり案というものを作るのが特別委員会として最も正当の意味じやないか、そういう意味に私は思うのです。而もその案は飽くまで実際的でなくちやいかん。而もその復員者引揚者條件によく合うものでなくちやならん。こういうことで私は先程提案を申上げた次第であります。その点一つ御考慮を願います。
  19. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 淺岡君ちようど相談いたしますが、淺岡君お話によつて草葉氏の御賛成があつたのでありますが、農林委員会との合同協議或いは合同委員会というものは、これは結構なことであつて、將來これはなすべきであるのは言うまでもないのですが、それは即ち或る意味においては目的でなくして、目的を完遂するための一つ手段になるのですが、その目的を完遂するための手段方法は幾らもある中に、そういう手段もあるというふうに無論考えねばならんのでありますが、とにかく目的を達成するためには引揚者集團入植をし、或いは帰農せしめる。そしてそれに対する資材面生活面を斡旋して喜んで開拓團になり得る、それだけの処置を取るために、政府にどういうことをやらすか、その施策部面にどういうことをやるようにするか、政府を鞭撻するということをやるために特別委員会というものを……。
  20. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 委員長自分意見を述べるなら委員長の席を讓らなければならん。
  21. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) そういうことをするために特別委員会を作る。ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  22. 北條秀一

    北條秀一君 大分協議がされたのでありますが、結局皆さんのお話を纏めますと、この特別委員会引揚者更生という面からしまして、北海道及び内地各地入植のことを我々はこれから研究して行きたいというわけでありますから、特に特別委員会の中に小委員会作つて北海道拓殖、その他内地拓殖計画というものを立てるという考え方でなしに、引揚者更生という立場に立ちまして、特別委員会全体でこの問題を今後研究を進めて行つて、同時に農林委員会の協力を求めるというふうに持つて行くべきであると、私はそういうふうに考えます。
  23. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 只今北條委員説明されました件につきまして、或いは提案と申しましようか、その新らしき提案賛成するものであります。
  24. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 この問題は主として諸君原野並びに山林地帯開墾ということに主力を置いて引揚者更生問題について論議しておられるようでありますが、それをもつと廣義に解釈して、私の見るところによれば勿論相当開拓原野が残されておるけれども、殆んど現在の日本は大正末期の朝鮮のように実に寒心せざるを得ない状態である。中平君の出身の四國のごときはその最たるものである。そこで私はもつと限界を拡げて、これから後、國家百年の大計からするとむしろ開墾よりも干拓でなければならん。殊に佐賀の有明海干拓、小倉の曾根地崎干拓、刈田の干拓事業のごときは、これは引揚者をそこに入植せしめるのに最も好適の地であります。殊に曾根地崎のごときは恐らく数年間肥料なしで、ただ堤防を築けば直ちに良田ができるというような好條件に恵まれております。私共のこの会は百年の先まで見通しをして、而も喫緊の問題を目的に應じて解決して行かなければならんという根本態度を取るものであります故に、諸君提案しておられるのは、淺岡君の説にしても、或いは山田君の説にしても、結局引揚者を自力を以て更生させるという点に帰しておるのでありますから、これは引揚者更生という一つの概念に包括される問題で、とにかくその問題が、大体今回の特別委員会が非常に熱意を持つて、ここに何とかしてこの打開したいという機運が向いたことは、非常に私喜びに堪えないのであります。そこで農林干拓事業も、これは農林委員会の権限に、管轄に属するものでありますから、勿論開墾と同時に、密接なる連絡を取つて行かなければならんが、やはり特別委員会特別委員会として、この目的を具現するために、何らかの機関を作るというような肚で、先ず北條君が、更に三度目に改めて提案した特別委員会全体で、この問題の解決に当るというふうに差当り肚を決めて、それから後に、或いはこれが、小委員会に発展するという場合も起るでしよう。それで全員が、これは挙つて賛成して、満場一致で、とにかくその問題を解決するというように結論を出したらよかろうかというのであります。
  25. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 只今矢野君の御提案に対しましてのことは、すでにこの第二國会の当初の特別委員会に話があり、それが段々と狭められまして、この前の特別委員会に、木下委員から御提案なつた問題でありますが、その御提案が、今北條委員提案となり、或いは私の提案となり、岡元委員山田委員提案となつたのでありますが、更に今矢野君の説明を伺いますと、又元に返つて行くような状態になつて行きますから、一應委員長としては、議事進行の上からも、御提案なつた点を如何にするかという点に狭めて、一つ議事を進行して頂きたいと思います。
  26. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 御尤もです。矢野君のお話は、この開拓問題及び更生問題の一般的な施設といたしましては、閑却できない問題ばかりおつしやつたのでありまして、誠に御尤もだと存じますが、この問題は全体としてこれを扱うことにいたして更生部ができておるわけでありますが、それから後に、北海道に三百万の同胞がいるのに、八百万の包容力を持つておる。而もシベリヤ、満洲或いは樺太千島からの帰還者は、生理的耐寒のできる同胞でありますから、北海道入植することが最もふさわしい、望ましいというようなことで、北海道受入態勢が、道應におきましても極めてこれを歓迎する。又歓迎する方策について、政府積極的施策を求めるというふうな態勢になつておる関係上、特にこの入植問題は、北海道に対して、特に重点を置こうというようなことの話から、実はできたわけなんでございまして、先ず全般的なことは固より当然でございまするが、そういう意味におきまして、議を進めているわけであります。
  27. 北條秀一

    北條秀一君 発言中ですが、先程矢野委員が言われましたのも、結局は私が言いましたのと一に帰しておるわけであります。從つてこの問題は、第二國会における特別委員会は、特に重視して、どうしてもこれを促進して行かなくちやならん。從つてつておるところは、國家百年の計を狙いながら、現実に引揚者更生という問題になつておるわけでありますが、ここではこの問題を議論していなくても、もう結論は出ておるわけでありますから、特別委員会全体でこの問題を更に具体的に、早急に進めて行つて、その結果に基いて、先の方では考えるということで、議事を打切つて頂きたいと思います。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  28. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 矢野委員のお説も、全く御同感のお説でございましたので、この問題は第二國会におきまして、新らしくタイアップしたとして、殊にこの問題に向つて、深く突入するという決意を表明いたしまして、全体といたしまして、これにこれから邁進するということにいたしまして、全会御一致で御賛成をお願いしたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) そういうふうにして、農林委員の方と打合せをいたしまして、適当な機会に善処することにいたします。  次に、立法に対するいろいろ打合せ、本年は各種の立法も出したいという希望も持つておるのでありますが……。
  30. 岡元義人

    岡元義人君 非常に時間もあと無いんですが、政府委員の方も見えていらつしやいますから、それはあと廻しにして、次の審議に移りまして、政府側への質問の方を取上げて頂きたいと思います。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  31. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それじや政府側の方に対して、今政府側からおいでになつている方々に対する質問についてお願いいたします。
  32. 北條秀一

    北條秀一君 議事進行について。商工省繊維局藤井製品課長が見えておりますので、藤井製品課長に対する質問を先にした方がいいと思います。そういうふうに取運び願いたいと思います。
  33. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それでは繊維局製品課長藤井氏が見えておりますから、この方に対する御質問を先にお願いいたします。
  34. 岡元義人

    岡元義人君 先の特別委員会におきまして、衣料課長出席を求めまして、衣料課長の代りの方が見えたのでありますが、本日も第一國会特別委員会の問題をば……衣料課長は見えておりますか……。又本日は、製品課長が代つてお見えになつておりますが、製品課長で、責任を以て御回答ができるかできないかということを最初に先ずお伺いしたいと思います。  内容は、今度の、先の特別委員会で、例の日の丸の國旗の生地の問題について回答して頂くということをお願いしてあつたわけであります。それにつきまして……。
  35. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) お聞きになつているそうであります。
  36. 岡元義人

    岡元義人君 じやあ責任のある回答ができるのでありましようか。第一國会からずつと持ち越しなんです。先の特別委員会においても、今日の委員会では、衣料課長にはつきりお答え願うということをお願いしてあつたわけでありますが、この点をお尋ねをいたします。
  37. 藤井淳

    説明員藤井淳君) 只今國旗の問題でございますが、こちらの方で取上げられた問題につきましては、御趣旨は尤もと考えるのであります。併し私共の方で、今年一年間の衣料品配給計画を別に立てております。これは閣議に申しまして、決定いたしましたし、又総司令部等の承認も得まして、只今遂行しておりますのが、國民一人当り一・八ポンドの配給計画であります。この配給計画の中には、只今申上げられたような品物は、一應入つていないのであります。現状の配給状況がどうかということを一應御説明申上げまして、御了解を得たいと思うのでありますが、本年度の、いわゆる二十二年度の衣料品配給と申しますのは二十二年の四月から、本年の三月までが、一年間の計画でありましたのでありますが、衣料品配給規則指定繊維資材配給規則、そういう規則が出ますのが非常に遅れまして、九月十日となりましたので、今年の衣料切符は、十月一日から本年の九月の末までという一年間に、この一・八ポンドの衣料品配給するように、只今いろいろ施策を講じでいる次第であります。そういうような観点から申しまして、昨年末及び本年初めにおきまして、果してこの國民一人当り一・八ポンドの供給が可能であるかどうかということになりましたのでありますが、只今私共で需給計画を調べた結果によりますと、普通衣料切符に対します補修布、それから足袋靴下、手拭、タオル縫糸、この補修布縫糸につきましては、ほぼ見通しがついております。それから、足袋靴下につきましては、若干の不足を今予想されておるのであります。それからタオル相当不足を予想されております。それから尚作業用品として作業衣、それから学童、学生服が若干不足しております。それで目下この不足しておる資材を完全に供給して今年も國民に対してその信用を裏切らんように、只今背水の陣を布いてやつておる次第であります。そういう時におきまして引揚者に対しまする國旗配給という問題が出て來たのでありますが、先ず私共の方の考えといたしましては、今年國民に約束いたしましたこの品物だけを完全に果して、然る後に考えたい、こういうように考えておる次第であります。ところでそれでは全然手を著けていないのかと申しますと、只今府縣、各府縣と申しましても福島石川富山ともう一つ長野かどこかでありますが、絹織物が凍結のときに若干そういう國旗類があつて、その凍結品が解除になりまして、尚在庫があるということを聞いておりますので、只今その数字がどのくらいあるかということを照会しております。その照会が参りまして相当程度の数がありました場合において優先配給したいと考えております。
  38. 岡元義人

    岡元義人君 それはどことどこですか、在る所は……。
  39. 藤井淳

    説明員藤井淳君) これは私若干間違いがあるかも知れませんが、今知つておりますのは福島長野石川富山、この四縣と考えております。
  40. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 この問題は岡元委員と木内委員から第一回國会委員会で問題にして頂いて、そうして当時出席政府委員は、今課長の御説明のように繊維は非常にむずかしい、併し今のように絹製品の特殊の物件があるから、これならば御期待に副うことができるであろうと思いますから、何分の処置に出たいと思います。貴意に副いたいと思いますということが、記録を見ないと分らないが、十月の特別委員会であつたと私は思いますが、そうするとその時からすると、ちよつと足掛二年経つておるので、日数においても二ケ月半、三ケ月掛かつておりますから、急速に実現するように、もつと進めて頂きたいと思います。
  41. 藤井淳

    説明員藤井淳君) その問題につきましてちよつと私申上げたいと思いますが、絹織物は確かに相当程度の在庫がありましたのでありますが、その中の大半は染色加工品が多いのでございます。中には羽二重或いは塩瀬級、白地のものもございます。それを私共の方としましては今申上げましたように足袋が非常に不足しておるのであります。今年に綿の計画が非常に少いために、その補いとしましてその絹を充填せざるを得ないということになりまして、足袋の表にこの絹織物を相当流用することになりまして、只今申上げました絹織物の羽二重塩瀬級で十五匁、二十匁級のものは大部分これをこちらの方面に注ぎ込んでおるのであります。ところが國旗となりますと、やはり二十匁程度の白地を以てこれに当てなければならないということになりますと、そういうものが競合されるということになりまして、勢い國民の方に約束しました足袋の方の配給を我々は確保しなければならないというので、重点的にそれをやつております。只今仰せられました通り尚輸出品の中今後解除されるようなものがありまして、それがこちらの方に向くという問題がありましたならば、局長によく意見を具申しまして御趣旨に副うように努力したいと考えます。
  42. 岡元義人

    岡元義人君 今製品課長説明を聽いて、この本当の骨子はお分りでないと思うのです。というのは日の丸の旗は一般配給とかいう、そういう問題でこの特別委員会が要望したのではないのです、この日の丸の國旗は外地から帰つて來た者が日本の温い祖國に抱かれた、いわゆるそういう方面から将來に生きる力を與える。そこにおいて特別にこの日の丸の國旗をこの特別委員会において取上げたのであります。繊維局長は今のこういうような事情があるから、綿は到底手に入らないが、羽二重ならある。その筋の許可を得るように早速連絡を取るということを約束されたのであります。その後私と当時の矢野委員長と繊維局をお尋ねいたしまして、そうしてこれは是非やつて頂きたいということをば二回に亘つて連絡に行つております。その際にも必ず期待に副うようにすると言われまして、そうして早速交渉を開始して置くからという回答を頂いておるのであります。その後衣料課長出席をして頂きまして、衣料課長に対しましても、又特別委員会でお願いしたわけであります。その時衣料課長はこの特別委員会におきまして、とにかく大きさはそういう大きなものは期待できないが、我々の望みは小さくてもいいかというお話でありましたから、小さくてもよろしい。とにかく狙うところは要するに日の丸を與える、國旗を與えるということが問題なんだ。小さくとも結構なんだということをば又お願いした。にも拘わらず第一國会の最後まで頼みつ放し、言いつ放しで、何らの解決を見なかつたのであります。そこで我々特別委員会が第一國会でいろいろな問題を取上げまして、誠に特別委員会をば馬鹿にしたものである。そういうようなことをば先の委員会で述べまして、必ず責任ある処置を取つて貰いたいということを繊維局の衣料課長に要望した。本日又衣料課長は姿を見せずに、そうして製品課長が代りに来ておる。而も製品課長のなには、私は冒頭に責任ある回答ができるかということをはつきり駄目を押した。こういうようなことでは、知つてつていなかつたのだ、委員会にただ出し放しでおつて、いい加減に聽き流しておつたのだということがはつきり私は言えると思う。(「そうだ」と呼ぶ者あり)もう少し我々が特別委員会で、ここで申上げることは外の常任委員会と違いまして、最も深刻な、最も切実なものがあるのだということをば政府当局はこの際はつきりされて置きたいと思います。
  43. 千田正

    ○千田正君 日の丸の問題とは別でありまするが、同じ繊維の問題でありますから、はつきりお伺いしたい、こう思うのであります。この繊維の問題に対しましては、引揚援護院の方の方もお見えになつておりますし、復員局もお見えになつておりますし……それから厚生省からもお見えになつておりますか。
  44. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 事務官が出ております。
  45. 千田正

    ○千田正君 第一回國会の本会議におきまして、一松厚生大臣がシベリヤにおけるところの抑留邦人が帰つて來るに対して、國内におけるところの受入態勢ができておるかどうかという質問に対しまして、十分できておる。而も繊維品、寝具、その他に対しては万遺漏なく準備ができておる。こういうことを確言されたのでありまするが、私共は先般來東北及び北海道に向つて調査に行きました結果において、大体寝具の渡り工合やその他について必ずしも完全じやないということを我々は認識して來たのであります。今尚七十余万の同胞がシベリヤに残つておる。四月から再び帰還されるとしましても、最低五万人とみなして、十月まで約四十万の人間が帰つて來る。それに対して十分なる繊維品その他に対する供給ができるかどうか、この点を伺つて見たいと思います。只今製品課長がお見えになつておりますが、先程の御説明によると、一・八ポンドぐらいしか衣料の切符が渡らない。これは現在國内における七千八百万の人口を標準とした基準だろうと思います。これから約四十万、仮に五万人帰つて來るとしても四十万人、若しも七十余万が全部帰つて來るとしましたら、それらの衣料に対する製品の計画ができておりますか、同時に又復員局としまして、商工省その他に対して当つておるかどうか、その点を一應お伺いしたいと思います。
  46. 藤井淳

    説明員藤井淳君) 製品課長立場からその点について只今までの経過を申上げます。只今三十三年度の衣料品配給計画につきましては、安定本部と相談しております。スキャップに対しましては、まだはつきりした相談をしておりません。大体こちらの意向だけは傳えております。大体どういうふうな内容になりますかと申しますと、先ずその供給源の原料対策はどうかという問題でありますが、この問題は只今安定本部の生産局の方でやつておりますが、この見通しはまだはつきりついておりません。併しながら大体の様子を申しますと、二十二年度程度、或いは若干それを上廻る程度じやないかと考えております。そうなりますと、大体どういうような方面に配給をせなければならないのかと申しますと、御承知のように一人当り一・八ポンド乃至二ポンドと申しますと、戰前の消費量に比べると一割乃至二割程度の非常に少い量でありますので、重点配給をせなければならない。そうなりますと結局本年配給いたしましたように一般國民に対しましては、補修布とか、縫糸足袋、或いは手拭、靴下、そういうものをやはり重点的に配給せざるを得ないのじやないかと思います。更にその他になりますと、労務者用品になると思います。それからあと引揚者、困窮者、或いは学童、学生、それから乳幼兒品を相当出さなければいけない。やはり今年と同じような考で進まざるを得ないのじやないかと、こういうふうに考えます。そうなりますと、私の方で今年の計画といたしましては、大体引揚げて来る人間が六十万程度じやないか。それからこれはまだ厚生省ともう少し詳しく打合せしなければ分りませんが、今まで引揚げて來ました中で尚衣料の困窮しておる方、これは一般的に衣料に困窮しておりますが、生活保護法などによりまして、どうしても出さなければならないという者が六十万から八十万。そういうものに対しては、特別何か配給せなければいけないのじやないかということにつきまして、一應本年程度のものは出したいと、こういうように今考えております。これはまだ本当の粗案でありまして、又配給方法等につきましても、一今年の配給方法は果していいかどうかということについても、研究しなければならないという余地もありますので、確定したことは申上げられませんが、大体そういう氣持でやつております。
  47. 北條秀一

    北條秀一君 藤井課長に私は御注意しますが、委員会においては各委員諸君御覧の通り、皆話をするのに立上つて話しておりますので、あなたも從つて立上つてお話つたらいいと思います。
  48. 藤井淳

    説明員藤井淳君) どうも失礼いたしました。
  49. 北條秀一

    北條秀一君 この問題は藤井課長では解決しないかと思います。今まで数回やりましたが、藤井課長が出て來ても責任ある回答は得られませんので、改めて商工大臣に話を持つて行つて、商工大臣から責任ある処置を取る。要するに我々と相談の上でどうしたらいいかという、とことんまでの相談をするということにしなければならんと思いますから、この話はここで打切つて頂きたいと思います。
  50. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 今の千田君の問題は、これは製品課長だけの問題でなくて、すでにこれは大野次長がお出でになつておりますから、厚生大臣が毛布は幾ら、タオルは幾らという点を確実に数を挙げて御説明になつて、それぞれ舞鶴は舞鶴、函館は函館にこれだけの数量を用意しておるから、それで引揚げたと同時にその引揚港においてこれを手渡しするのであるということのお話があつておりますから、若しも今度視察に行かれて、そうして現実において、それが非常な不十分であるとするならば、過般の第一回國会において厚生大臣が責任を持つてその数量まで明らかにせられたことが誤謬であるか、或いは欺瞞であるか、或いはその復員関係に携つておるところの者が厚生省援護院において予定している物資をそのまま引揚者に手渡しすることを忘れたか、或いは中間に横に流れたかのいずれかでなければならない。今の製品課長お話は、製品課長としての現場からの事実に即した来年度の計画についての詳細の説明であつて、それは眞劍な御説明で、御尤もであります。それは何ら私たち非議すべきことではないのであります。この点は大野次長から一應又御説明つて、更に製品課長にお願いして置きますことは、最前岡元議員が申されましたごとく、又木内委員が曾て申されたごとく、いわゆる正式の日の丸を羽二重を以てその廣さでおやりなさいというようなのでなくて、日本の親心が、終戰すでに二年、三年と、この我々に代つて戰争の犠牲を負担していてくれるその人に、日本の温かい親心を示すために、よしんばそれが四寸に三寸の國旗であろうとも、それを本当にお迎えする氣持で捧げるという、その徹底的な、これは人類或いは宗教的一つの深い人間性に立脚してのこれは要望でありますから、若しも優先的に配給するかどうかという問題ならば、これは超優先的に配給すべきものであるというような気持でしたので、是非一つそのことを更に早く進めて頂くように、製品課長はお帰りの上御交渉願いたいと思います。どうぞお願いして置きます。(「ヒヤヒヤ)と呼ぶ者あり)
  51. 藤井淳

    説明員藤井淳君) 只今いろいろお話を承わりまして、私が出て参りまして甚だ申訳ないことでございますが、只今の模様を全部私よく帰りまして繊維局長に報告いたします。そうしてできるだけ善処いたいと考えます。
  52. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 藤井さんにちよつと申上げますが、そういうふうに、見えた人が今まで絶えず帰つて十分善処する、手筈すると言つてお帰りになるのです。ところが、到頭一遍も適当な回答に接しない。今あなたがおつしやつた通り、一般的な配給問題にしか終始しないということでは、我々のポイントが全然離れてしまつておりますので、これは矢野委員からもおつしやつた通り、やはり來た人に言われなければ、今度商工省へ突つかけて行きはしますけれども、やはり大きくならん内によく考えられて、本腰入れてよく商工大臣に話して下さい。
  53. 岡元義人

    岡元義人君 この問題は、我々は礼を盡すだけ盡した。衣料課長のところにも行つておりますから、さつき北條委員から要望がありました通りに、商工大臣の出席を求め、同時に私は繊維局長も衣料課長製品課長も、とにかくこの問題に触れられた方は一遍にこの次の委員会出席して頂くということを、委員長に特に要望して置きます。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  54. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 責任を持つた人が又來て貰わなければならん。
  55. 星野芳樹

    星野芳樹君 時間が大変とるのを避けるために、私議論をいたしませんが、一言断つて置きますが、私の考えといたしましては、引揚げて來られました方に國旗を重点的に配給するということには反対であります。その理由を説明して、この会議に貴重な時間をとる必要はないと思いますから、説明いたしませんが、そういう意見もあるということだけ発表いたして置きます。
  56. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 分りました。それではこの國旗に関する問題はこれを以て打切つて置きまして、次に医療の問題につきまして医務局次長の久下さんも見えておりますから……。
  57. 千田正

    ○千田正君 私ちよつと衣料のことについて……先程申上げました通り厚生大臣のおつしやつた言葉と現実の点に多少喰い違いがある。この点を十分お考え願いたいという点は、我々が調査に参りましたところが、舞鶴の復員局から廻つて來ないからまだ十分配給できない。厚生大臣の説明では來年度におけるところは十分用意してある。こう本会議でおつしやつた只今製品課長お話になるというと、來年度も去年と同じような準備をしようと、こういうお話であります。用意してあるという言葉と用意しようというのとは、そこに喰い違いがあると思います。
  58. 大野連治

    政府委員(大野連治君) 引揚者に支給すべき諸物品の中、殊に被服その他の衣料品並びに寢具という問題は極めて大事な問題でありまして、去年の第一回の國会におきますこの特別委員会におかれましても、たびたび議論が重ねられた次第であります。御承知の通り厚生省といたしましては、その当時も確か数字をお示しいたしたかと記憶しておりますが、終戰当時軍から引継いだ多数の被服その他の物品がございます。これは特殊物件として一括して厚生省が引継いだのでありまして、今日尚手持として持つておりまするものも極めて厖大なものでございます。GHQの発表によりますれば、今尚海外に在留しておりまする方々が七十数万という厖大な数でありまして、この方々を一刻も早く我々は内地にお迎えしなければならんという温かい心持を持つておるのでございますが、この方方が幸いにして四月に引揚が開始せられました場合に、我々の要望いたしましたように、一時にどつと戻つた場合を予想いたしましても、只今援護局で持つておりまする軍の特殊物件というものは相当量ありますので、これは十分間違いなく支給し得るという確信を持つておるのであります。引揚者に対する物品の支給につきましては、本参議院の特別委員会の皆様方も非常な関心を持たれまして、昨年來もたびたび各引揚港に参られまして、一体どんな物品が支給されるのか詳細にお調べになつたのであります。尚帰つて参りました方々の持つて來られます品物等をも勘案いたしまして、その当時の御要望として、段々後期の引揚者程氣の毒な状況で、先に帰つた者程相当いろいろな物を持ち帰ることができたのであるけれども、段々後期になるに從つて非常に乏しくなる。身の廻り等を観察して非常にお氣の毒であるから、今までのような状況ではいかん。もう少し援護局の手持ち物品と睨み合せて、品物を増加支給するようにという御要望であります。当時その点につきまして極めて詳細にお尋ねがございまして、私共の手持ちの物品をもお目に掛けまして、その結果今後帰つて参ります者七十数万というふうな予想の下に計算いたしまして、多少の余裕が生ずるであろうと思われるものにつきましては、増加支給するというお約束をいたしまして、確か昨年の秋ぐらいから從來の支給数量に加えて余計支給することに相成つた筈でございます。その後の引揚者は確かにそういうように從前よりは増加支給を受けておる筈であります。この増加支給はずつと今後も続けられる見込でありまして、今後帰つて來られまする者にも一様にこの増加された数量で支給せられるという筈に相成つておるのであります。一方この手持の製品以外に年々新規に生産せられる衣料もあるのでありまして、これにつきましては、商工省当局と御相談いたしまして、でき得る限り引揚者の方に廻して頂けるようにということを交渉して参つておるのであります。特にその中で私共の手持の分として最も氣にかかりまするものは毛布類であります。それから寢具はございません。寢具はすべて支給済でありまして、現在持つておりますのは、毛布だけであります。毛布、寢具というようなものはどうしても新らしい新規製品に供給を仰がなければならん実情にありまするので、この点につきましては、商工省と逐次折衝を重ねまして、でき得る限り引揚者の方に廻して頂ける量を多く貰えるようにお願いしておるわけでございます。幸いにいたしまして、毛布につきましても、大分新規製品も廻して頂くことができたのでありまして、從來に比べまして、最近これも確か十月か十一月頃でありましたか、本特別委員会がこの問題をやかましくお取上げになりました結果、私共も熱心に折衝いたしまして、相当量を廻して頂ける見通しがつきましたので、その後毛布は二人一枚支給というように引揚港において差しげられる運びになつたのであります。尚引揚港において支給する以外に、御承知のごとく昨年末に越冬用の寢具その他の衣料も配給できる運びに相成つたのでありまして、これは多少時期がおくれまして、誠に申訳ないのでありますが、できるだけ急がせまして、目下末端にまで逐次行渡りつつあるのではないかと思うのであります。
  59. 千田正

    ○千田正君 お説拜聽して分りましたが、それは緊急措置として厚生省として用意してある。それから定着後におけるところの一般人と同様な配給に対しては、昨年同様の程度にまで商工省でも出そうというようなお考えでありますね。
  60. 大野連治

    政府委員(大野連治君) そうです。
  61. 千田正

    ○千田正君 その点分りました。そこで厚生省として特にお願いしたいのは、折角末端においての引揚者に対して配給しようとする毛布の値段が一千円以上になつておる。それから寢具類は三千円以上だ。こういうので買いたくても買えない。こういう実情に、現在において山間漁村においては買いたくても買い得ないという実情にあるのであります。この点につきましては引揚者はすべてのものを犠牲にして、ただの千円しか引揚港においては貰つて來なかつた。今の生活保護法におけるところの生活扶助金を貰つておる人たちに対しては、全面的に無償配給ということができるかも知れんが、そうでない人でも苦しい立場にある人たちはとても三千円の金は出し得ない。結局出し得ないのだが、出せというから隣りから金を借りて來て、それを買つて来て闇に流す。暗黒面へのそうした補助をやつておるようなものであつて厚生省の親心が徹底しておらん。この点民生委員も今度改選になると思いますが、末端機関にまで上の意思が通るような方法をもう少し徹底してやつて頂きたいと要望いたします。
  62. 大野連治

    政府委員(大野連治君) 毛布と寢具の配給でございますが、これは一昨年の暮に始めたのでありまして、昨年の暮に行なつておりますものはその続きであります。つまり一昨年の暮から始めました越冬用寢具の配給を貰つた人たち以外の、その後から帰つて來た方方にも同じようなやり方で差上げるということで始めたのであります。ところが誠にお説のように値段が高くなつておりまして、最初の時にも生活扶助法の該当者には無償でやつて、後は有償ということでやつたのであります。同じように昨年も生活扶助を受けておるものは無償でやつて後は有償ということにしたのでありまするが、只今お述べになりましたごとく一昨年と、昨年では値段が相当違つてしまつたのであります。たしか一昨年は毛布は三百円程度であつたと思いますが、昨年はそれが三倍になつて九百円、寢具も恐らく同じように値上りしたのではないかと思うのであります。この点誠に困つたことであるということを考えるのでありますが、やり方といたしましては、生活扶助を受けておるものは無償、併し、生活扶助を受けておらない方々と言いますると、それは又非常に段階があるのであります。まあ一番いい方はいいでありましようけれども、生活扶助は受けていないけれども、千円、三千円というような金はなかなか出し難いという方々が沢山あるということはお話の通りだろうと思うのでありまして、そういう点を考慮いたしまして、生活扶助を受けておらないけれども、まあこれに近いものに対しては二分の一の補助をやる、或いは三分の一の補助をやるという仕組も採つておるのであります。併しこれも限りがありまするので、なかなか十分とは行かんのでありまするが、府縣によりましては、府縣自体で更にもう少し足し前をやる、或いは府縣同胞援護会支部で多少足し前をやるといつたようなものもあるようであります。誠にお話のように値上りについては、私共も本当に苦にいたしたのでありまして、この埋合せといたしまして、実は昨年の暮には援護院で持つておりまする物品中多少のものを、これは全部無償で差上げるというやり方でやつて、幾分の補いをも付けたのであります。幸いに只今助け合い運動が行われておりまするので、府縣或いは府縣同胞援護会支部で多少の足し前を殖やしてやつて頂けるということになりますれば非常にスムースに行くのではないかと考えております。
  63. 中平常太郎

    委員中平常太郎君) 段々時間も参り、懇談会の時間に相成りましたので、本日療養所の待遇問題について御質疑をしたいのでありますが、続いてこれをやりましようか……岡元君。
  64. 岡元義人

    岡元義人君 東局長にお尋ねいたしますが、先に十二月五日に施行されました満洲におきまする特定地域と期限を限つた医師、歯科医師の免許証以外の者、朝鮮特別免許の免許証外の者、それから台湾における三年切替の免許証外の者、これの國家試驗が非常に逼迫した日時で通告されましたために、全國の引揚者の中に相当数おるのでありますが、全部この受驗ができなかつたのであります。これにつきまして、その当時この点につきまして試驗延期のことを申上げましたところが、本年度に入つてから再試驗を施行する予定だということを承わつたのでありますが、一体これはいつ頃施行されますか。それからもう一つ樺太の歯科医免許につきまして、少くとも一月下旬か、二月上旬にはこの國家試驗を施行してやるというようになるだろうというようなお話を承わつたのでありますが、この点について一つ明らかにして頂きたいのであります。これが第一点であります。  その次に、これは援護院の大野次長の方にも関係があるのでありますが、一般療養所におきますところの引揚者復員者が或る処では一般配給物を頂いており、或る所では全然地方の配給物資をば頂いていないというような病院があるのでありますが、これらに対してどういう工合に、その区別をば今までしてやつたか。いわゆる厚生省医務局としては、こういう病院に対しては、すでにそういう配給物資は縣から貰えるのだ、或いはそういうことは前以て通知してあつたかどうかということを伺いたいのであります。  それから第三点は、特にこの場でなくても結構でありますが、私共の方に陳情その他が参つておりますので、一應お伺いして置きたいと思います。実は鹿兒島の霧島病院でありますが、この國立霧島病院には今まで相当引揚者を入院さしております。これは東局長行かれて御存じだと思いますが、ここには鹿兒島縣でない、宮崎縣地域に近い所の者も皆收容しておるという状況にありますところ、最近この病院が移轉されるというような問題がありますが、これにつきまして厚生省といたしまして、はつきり許可が與えられて移轉するようになつておるかどうか。非常に陳情も参つておりますので、この点一つ明らかにして頂きたい、以上三点について御回答願いたい。
  65. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 東局長ちよつと司令部に参つておりますので、私医務局次長でありますが、代つて説明申上げます。最初お話の引揚医師の試驗の問題でございます。御注意を頂きましたが、十分趣旨の徹底が欠けておりまして申訳ないのでありますが、実は御注意を受けまして、早速各府縣に電報で通知いたしておきましたので、相当な受驗者もござました。尚徹底洩れをいたしました場合には、前回申上げましたように、努めて試驗を又行う予定でございます。実は十二月に行いました試驗の結果が極く最近に試驗委員の採点が終りまして発表いたしたばかりでございますので、それの関係もございまして、やはり少し間を置いた方が受驗者のためにも便利だろうと思いまして、まだ確定いたしておりませんが、近い内にやりたいと思つております。  それから樺太その他からの引揚医師の問題でございます。これは第一回國会の終り頃に私伺いまして御説明申上げたのでございますが、その当時申上げましたように、実はこの問題は非常にむずかしい問題が絡んでおりまして、又同時に関係方面との折衝などにつきましても、余程上手にやりませんと元も子もなくなつてしまう虞れもあると思いまして、その後時期を狙つておりましたので、昨年の暮からこの正月に掛けまして、関係方面の意向も叩いて全般的ではございませんけれども、若干脈がありそうに感じております。余り無理をしないようにと思いまして、実は日が経つて申訳ないのでありますが、何とか趣旨の通りますように努力いたしておるところでございます。そういうように御了承願いたいと思います。  最後にお尋ねのございました霧島國立病院の問題でございますが、医務局長が昨年の暮現場に参りましていろいろ事情を見て参つております。実は本日もいろいろ地元の方々が陳情に見えられまして、要するにあの問題は、鹿兒島縣に縣立医專がございますが、今度医科大学に昇格いたします関係上、附属病院の施設がないので移管をして呉れ、こういう強い希望が前々からあつたのであります。これに対しまして地元の方々一般方々より是非これは病院として残して欲しい、こういう強い又御意見が出ておりましたのであります。元々厚生省といたしましては、あの霧島國立病院というのは、立地の関係その他から結核療養所に轉換していいじやなかろうかというような方針を立てておつたのでありますが、医務局長が現場に行つて見て帰りまして、どうもあの土地柄その他から見まして結核療養所にしてしまうということは適当でないように思うので、是非一般病院として存続するようにできれば現在建物の一部で使用してないものもあるようでありますので、それらの小部分におきまして縣の方の医科大学としての希望も一部でも適えられれば、そういうところの話で落付きはしないだろうか、自分は最もそれが適当と考えるというような意見で帰つて來ておるのであります。今日地元の方方がお見えになりましたので、大体の趣旨はお傳えして置きました。厚生省といたしましては、まだ正式な外部に申上げるまでに固まつておりませんけれども、医務局といたしましては、さような考え方で処理して行きたいと考えております。
  66. 大野連治

    政府委員(大野連治君) 只今お話、実は病院の入院患者によつて差別待遇がなされておるというようなことをお伺いしたのでありますが、実はその問題はよく呑込めないので、私はつきり分りかねておるのでございますが、私の想像するところによりますれば、或いは國立病院の入院患者は恰も厚生省が國立であるから、厚生省或いは援護院が直接に物をやる、地元はやらんというような扱いをされるのではないかというような氣がするのでございます。厚生省援護院といたしましては、さういう扱いはせんのでありまして、國立病院の入院患者であろうが、患者の方々には同じような標準に基いて府縣からやるというような建前を採つておるのであります。そういう事情で、國立病院だから、これは地元でないから國から直接にやるのだというようなふうな考えで、與えられるべき医療品を支給されないということがありますれば、これは地元の間違いでありますから、又私早速そういうことは私の方としてはないのだということをはつきり言つてやりたいと思うのであります。
  67. 岡元義人

    岡元義人君 今の大野次長の御説明でよく分りましたが、実際貰つていないという証拠書類を持つてつております。こういう工合になりますと、それは当然やらなければならんということは分りますが、もう町村にも縣にもそういう品物はないのだから非常に困る問題であります。こちらの病院は貰つておる、この病院だけは一つも貰つていない。これは後程相談して御処理願いたいと思います。
  68. 北條秀一

    北條秀一君 今久下次長からお話があつたのでありますが、お尋ねしたいのは、樺太の歯科医師で内地で開業できない人たちの経歴、住所等につきまして、厚生省は調べておられるかという点と、先般我々議員團が北海道に視察旅行に参りました時に、札幌で樺太医師が内地開業についての陳情があつたのでございます。この点について厚生省において事情を知つておられるかどうか。この二つの点をお尋ねいたしたい。
  69. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 厚生省といたしまして樺太の医師、歯科医師につきまして、全部とは申しませんけれども、相当多数の方々からその経歴或いはその他につきまして実情等を聽いております。それから樺太そのものの制度等を調査しておりまして、大体の模様は分つておるつもりでございます。
  70. 岡元義人

    岡元義人君 最後の霧島病院の点につきまして、あの病院が一番引揚者を收容したのであります。殆んど縣内だけでありませんので、宮崎縣の方からも收容した。そういう実情からあれだけの施設を毀わして向うに持つて行くということになりますと、大変なことになります。十分一つ考慮して頂きたいと思います。
  71. 北條秀一

    北條秀一君 今日の会議は終られるようでありますが、私は次回の会議のために特に一分間ばかり時間を頂きまして発言を許して頂きたいと思います。それは参考までにお手許に差上げた書類があるのでありますが、三つございますが、これは未復員、未引揚者に対する租税減免に関する法律をどうするかという問題と、未復員者の給與一部改正に関する法律案、第三は未復員、未引揚者に対する失業保險及び船員保険法を適用する、この三つの問題につきましてプリントを差上げてありますので、次回には是非これについて御討議願いたいということを希望したいのであります。それで御手許に差上げていない方は委員部の方に全部がありますから、是非お取り願つて研究願いたいということを希望いたします。
  72. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 只今北條君から立法に関する研究になるべきものがプリントになつて出ております。それを御覧頂きますように。次の委員会にはそういう問題を取上げて御協議申上げることにいたしまして、今日はこれを以て閉会いたしましてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それではこれを以て散会いたします。    午後三時十六分散会  出席者は左の通り。    委員長     中平常太郎君    理事            山田 節男君            淺岡 信夫君            竹中 七郎君            北條 秀一君            星野 芳樹君    委員            太田 敏兄君            河崎 ナツ君            木下 源吾君            草葉 隆圓君            木内キヤウ君            井上なつゑ君            宇都宮 登君            岡元 義人君            田村 文吉君            藤野 繁雄君            穗積眞六郎君            矢野 酉雄君            千田  正君   政府委員    引揚援護院次長 大野 連治君    厚生事務官    (医務局長)  久下 勝次君   説明員    商工繊維局製品    課長      藤井  淳君