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1948-01-21 第2回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年一月二十一日(水曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件 ○派遣議員報告   —————————————    午後一時三十分開会   —————————————
  2. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それではこれから正式に会議を開きます。  一言御挨拶申上げます。私不肖にいたしましてこの在外胞引揚促進特別委員会委員長をやるようにという推薦を受けまして、甚だその任でないと思つておるのでございますが、實は矢野委員長は御承知の通り誠に立派な御人格でございまして、そうしてこの問題につきましては實に熱烈なるお考えを持つておられるお方でありまして、一年を通じまして本問題が國家がこれを取上げ、政府があらゆる方法を以て我々に弁明し、尚足らざるところは、各委員が盛んにその足らざるところを突いてそうして政府の政策に反映せしめるべく一ケ年の努力をつづけられた間に、矢野委員長の取られましたその態度並びにその熱意などは何人も認めて以て満足するところでございます。そういう御立派な方の後を受けまして、私のごとき引揚者でもなし、不敏な者が委員長に相成りましたことは、諸君の御満足の行くようなお手伝いはできなかろうと思うて私は極めて危惧の念を抱いておるのでございます。併しながら私の今日までやり來つたところの社会事業、或いは又引揚者に対する種々の施設などをみずからやつております関係上、引揚促進並びに引揚者に対する生業援護という問題につきましては、その腕は足りないかも知れませんけれどもが、その精神において私も一人前以上の考えを持つておるつもりでございます。でありまする故に、不敏ではございまするが、各位が本当に今日以上にこの問題をお取上げ下さいまして、我々の行動がただに歎願機関でなくして、實際我々は國民歎願を洩れなくこれを聞き、これを咀嚼し我がものといたしまして、これを政府に反映せしめ、そうして政府施策にこれを實現せしめるという、いわゆる政府をして我々の考えておるところのこの委員会考えを直ちに政府に反映せしめて、政府をしてこれを行わしめるという強い考えで我々が今後活動いたしまするなれば、それに対しましては相当な反響と效果があり得るものと確信して疑わないのであります。  殊に引揚問題につきましましては進駐軍との関係が極めて密接でございまして、外交関係が未だ樹立せざる今日におきましては、政府といたしましても公式にどの程度この活動の範囲を拡げてよいかということに対しては、政府もいつもいつも遠慮勝ちの様子でございます。併しながら我々の立法府たる國会議員といたしましてその中に組織しておるところの在外胞引揚促進特別委員会というものは、政府考えのごとき遠慮することに拘束されることは一つもないのであります。我々は國民の声を背景といたしまして政府に向つて要望することは、何ら遠慮するところはないのでありますから、この点につきましては、責任のある政府に取らしめる方法を遠慮なく我々は十分に発揮してその效果を現わすようにしなければならんと思うのでございます。  歎願ということのような状態でなくして、我々は大臣が見ようが、総理大臣が見ようが、とにかく我々は我々の要求に向つては強くその施策に織込ましむべく、もう一つ上の立場に立つた氣持で諸君と共に働いて見たいと思うのであります。  矢野委員長に対しまして、ここに御出席になつておられませんようでございますが、御挨拶の形を以ちまして、そうして第二國会における委員長といたしましての御挨拶に代える次第であります。(拍手)  それでは去る十二月十一日に決定いたしまして、東北班北海道班としてお出でを願いました在外胞引揚の人人の受入態勢についての調査御苦労をされました北海道班は木下君、山田君、淺岡君、北條君であります。それから東北班木内君、穗積君、千田君であります。殊に寒さ厳しき中に北の方に向つてお出でを願つたことでありまして、誠に御苦労の程もお察しするのでありまして、御機嫌よくお帰り下さいましたことを先ず我々はお目出たく存じます。本日はこの委員会におきまして御調査に相成りましたその状況を御報告を願います。議案にお廻しいたしました通り北海道受入態勢につきまして尚御意見もいろいろあると存じますが、どちらから先にお伺いいたしましよう。
  3. 岡元義人

    岡元義人君 ちよつと議事進行につきまして申上げます。我々丁度先月のこの委員会の新らしい発足につきまして、委員長選任に至る経緯をば知らない者が澤山あるのであります。これにつきまして一應伺つて置きたいと思います。
  4. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 行つたときの状態ですか、委員長選任の……。
  5. 岡元義人

    岡元義人君 丁度矢野委員長もおりませんし、皆見えていないのですが、一應その経緯をば伺つて置きたい。
  6. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 私から申上げましようか。
  7. 岡元義人

    岡元義人君 どなたからでも結構であります。
  8. 北條秀一

    北條秀一君 只今岡元委員からお話があつたのでありまするが、北海道東北視察報告は、さきの十一日の本会議におきまして当時その理由説明しましたように、非常に國際的な関係にもありますし、尚且つGHQに対して御報告申上げなくちやならんという関係もありますので、この報告をここに提出されて、一應皆さんの御承認を願うということが急ぐと考えますので、只今岡元委員から議事進行についてお話がありました件につきましては、お許しを願つて後に廻して、先に報告を取上げて頂くことを希望したいのであります。それは即ちGHQに対して報告するという義務がありますことと、もう一つは、本会議にもこれを正式に報告しなくちやならんという義務がありますので、そういう点からいつて先にやつて頂きたいということを希望したいのであります。
  9. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 今北條委員から動議といいましようか、とにかく大きな問題でありまするから、この大きな問題に対しましては而も急を要する問題でありまするから、今岡元委員から議事進行につきましてのお話がございましたが、これは一つ北條委員の御提唱のように一つ後にして頂くということにいたしまして、委員長の御趣旨通り議事を進めて頂きたいと思いますが……。
  10. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 岡元さんどうでしようか。
  11. 岡元義人

    岡元義人君 異議ありません。
  12. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それでは岡元さんの意見に対することは後にいたしまして、御視察になりました御報告をお願い申上げます。東北班北海道班がありましたが、どういうようにいたしましようか。
  13. 北條秀一

    北條秀一君 山田委員に纏めて報告して頂いて、そうして更に足りないところは東北班穗積委員木内委員から報告して頂くというふうに話をして頂きたいのであります。
  14. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 御視察になりました方を山田委員が代表して大体お述べになるということでよろしうございますか。速記を止めて……。    〔速記中止
  15. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 速記を始めて……。
  16. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 只今委員長から御提示になりましたが、昨年末本院を代表して北海道並び東北に、受入態勢はどうであるか、先ず引揚促進の問題に対する一番の大きな問題は、日本國内の受入態勢の問題であります。関係方面といたしましては、すでに昨年も言われましたように、第四十四囘の対日理事会で言われましたように、十六万或いはそれ以上の船をどんどん廻すということも言われておりますし、それから帰つて來人たちの話を聞きますと、日本受入態勢がないのだというようなことも言われておりますし、それから帰つて來人たちの話を聞きますと、日本受入態勢がないのだというようなことも言われております。こうした問題につきましては第一囘國会におきまして、参議院におきましても、衆議院におきましても、緊急質問としてこの問題に質問をいたし、又政府としては、これに答えて、十分受入はある、而も東北六縣において、更に北海道において十分あるというようなことをはつきりと國会を通じて知らされたのであります。そこで参議院といたしましては、先ず政府言つたそれは果して實際に受入態勢というものが整つておるかどうかというようなことにつきまして、参議院から派遣をされたのでありますが、先ずこれに対しましては東北六縣の受入態勢がどういうふうな状態にあるか、將來に対してどうであるかというような問題、それから北海道に対しまして果して政府言つたような施策ができておるか、將來に対してどんどん引揚げて來た人たちをそこに十分受入れる余地があるや否やというような問題に対しまして、おのおのその使命に向つて見て來たのでありまするから、先ずこの問題に対しましては、東北班といたしましては穗積委員から、北海道班からといたしましては北條委員から一つ説明を願うということにいたして頂きたいと思うのであります。それから更に國会に対しましてのこの報告という問題に対しましては、山田委員から総括的に御報告を願うというようなことで、皆さんの御賛同を得たいと思います。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  17. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それでは淺岡委員から、概括的に山田委員にその報告を求められております。山田委員に御報告をお願いしてそういたしてよろしうございますか……。本会議だけですか。
  18. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 私は今この特別委員会におきましては、東北班穗積委員北海道班北條委員に御説明を願いたいと、こう思います。
  19. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) よく分りました。それでは今のは本会議の問題でしたね。山田委員のことは……。只今淺岡委員からの報告につきましては、東北班穗積委員北海道班北條委員報告を願う。尚本会議におきましては山田委員にこの状況報告して頂くということに対しまして御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それではそういうふうにいたしまして、北條委員から北海道に対する御報告をお願いいたします。
  21. 北條秀一

    北條秀一君 只今委員長の指名によりまして、北海道視察報告の大要を申述べたいと考えます。  十二月十九日に東北班が東京を出発しまして、十二月二十日に北海道班が出発いたしました。東北班は十二月二十六日に帰京いたしまして、三十日に北海道班帰つて來たのであります。年末であり降雪の時分であり、鉄道事情が非常に悪化いたしておりましたために、止むを得ず当初与えられました日程を延引する結果になつたのでありますが、改めて御承認を得たいのであります。  この出張の目的は、第一囘國会において政府責任を持つて十一月末までに施設を完了すると言明しました受入施設進捗状況は、寒さと雪のために若干遅延しておるという有様でありましたので、その進捗状況を檢討し、その急速なる完成を促すというために、議員派遣されたのであります。引揚同胞受入施設の整備は言うまでもなく我が國の義務でありまして、且つは引揚促進について最善を盡くされております連合軍の御好意に酬いる所以であります。從つて今囘の我々の視察ということは非常に大きな國内的又國際的な重要な意義を持つてつたのであります。從つて我々東北班の三人の議員北海道班の四人の議員も、慎重に且つ精励、以てその使命を達成するという決心の下に、出掛けて参つたのであります。  ここに先ず三段に分けて私は御報告申上げたいのであります。その第一は視察の結果、結論的なものを総括して御報告申上げたいと考えます。この総括には東北班北海道班の兩方を兼ねたものを、総括して申上げたいと考えます。  第一は、計画された施設北海道には百六つの市町村、二百二十四ケ所でありまして、收容予定数は一万六千九百九十八人であります。
  22. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 ちよつとお尋ねしたいのですが、今日は政府委員はなんでございますか、厚生省がどなたかお見えで……。
  23. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 今見えておられますのは、森田事務官が見えておられます。
  24. 淺岡信夫

  25. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 大野さんはまだ……。援護院長は今GHQに行つておられるそうです。ここへ見える筈でありましたけれども、まだ見えておりません。その代りに指導課長が見える筈になつておりますが、今呼びに行つております。
  26. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 外務省大野管理局長だけでございますか。
  27. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 外務省はまだ見えておりません。
  28. 北條秀一

    北條秀一君 東北六縣は全体で七十六ケ所でありまして、一万三千人の收容予定であります。これらの施設は、十二月二十三日の現在におきましては、北海道が七五%完成し、東北六縣は概ね八〇%程度完了していたのであります。青森縣のみは降雪等理由がありまして、漸く着手した程度でありまして、その程度でありますが、その受入計画は僅少であるために、全体としては大体今述べましたような工事進行状況を見ておるのであります。而してこれらの大部分は十二月末に完了するように各縣におきましては努力しておるのでありまするが、何分にも降雪の時季でありますので、或いは本年に工事が延びるかも知れないという懸念を持つて帰つたのであります。  第二に、これらの施設は全部既存建物を利用したものでありましたために、附属施設、即ち浴場でありますとか、その他の井戸でありますとかという点に若干の不十分さがあります。併し生活を困難ならしめるというふうな程度ではないということを考えて参りました。  第三は、採暖器具及び燃料は一般家庭配給基準量は確保されておるのでありますが、引揚者という特殊な事情應ずる措置必らずしも十分でないと考えます。從つて緊急の防寒措置というものを更に一段と適切に行わなければならないというふうに判断したのであります。  第四は、寝具或いは衣料の問題でありますが、これらも基準量は配給されておるのでありますが、この基準量寒冷地に適当であるかどうかということに再檢討する必要があると考えます。  第五は、疊が全体として非常に欠乏しておりますために、この疊の手当を至急にやらなければならんのであります。  第六は、三万人の受入施設は完備したのでありますが、不幸にして十二月六日の到着の引揚者を最後としまして、冬期間引揚が打切られたのであります。そのために三万人の施設が全部空くという結果を見るに至つたのでありますが、この施設を、各縣におきましては、縁故先に定着しておる引揚者にして住居の狹隘或いは不便を告げる人たちを、逐次これらの空いておる施設に收容することになりまして、その結果北海道におきましては一万七千人のうち四千人を余すのみ、即ち一万三千人をこれらの新らしく施設した收容所に引取るということになりまして結局現在では四千人の收容余力を余して越年したということになるのであります。  第七には、以上施設について申上げたのでありますが、受入態勢一つとして、道及び県の一般國民の輿論についてはどうかということにつきましては、東北六県は特に今次の受入態勢につきましては非常な熱意を示しておられるということを見たのでありますが、北海道においても又同様であります。殊に北海道は、後で申上げますが將來北海道開拓という問題と兼ね合いまして、どうしても外地から引揚げて來るところのこれらの引揚人口の処理は北海道でやらなければならんという考え現地で澎湃として起つておりまして、從つて昭和二十三年度においては、一段とこの引揚受入態勢の強化について強い要望を持つておられるように我々は拜見したのであります。  以上が大体総論的なことを申上げたのでありまするが、次に私共が視察いたしました各地状態について要点だけを申上げたいと考えます。  第一は、青森連絡所であります。これは青森駅の構内にあります函館援護局青森連絡所でありますが、所員は全体で十四名でありまして、いずれも引揚について深い体驗者でありまして、おのずから誠意が溢れるものがあることを感じたのであります。ここでは函館よりの引揚者輸送の任に当つておるのでありまするが、列車輸送が円滑を欠きますというような非常事態に備えるために、ここで臨時收容所を設けておるのであります。それは蓮華寺というお寺が指定されております。ところがこのお寺が駅から距離が相当離れておりますために殆んどこの活用が十分でないのであります。從つてどうしても、青森に上陸しましてそれぞれ郷里に急ぎますところの引揚同胞に対しましては、駅の近くに或いは駅の構内に緊急の收容所を、或いは待機所を設ける必要があるということを、現地においては強く主張しておるのであります。昨年におきましては、昨年の十月、最も多く青森に到着いたしましたのは、一日に千三百人の人を引受けたのであります。これらの人が駅の構内列車を待つために非常に混雜をし不備を生じでおるのが現状でありまして、本年の解氷期以後多数の引揚者青森に殺到いたしますことを予想いたしまして、どうしても早く一時收容所青森構内に作らなくちやならんということを痛感して参つたような次第であります。  第二は函館であります。函館援護局は、埠頭上陸所というものと四つの寮を持つております。上陸所は、引揚者に対しまするところの檢診とか檢疫消毒援護給與から遺骨、荷物の托送というような極めて複雜業務を処理しておるのであります。殊に函館港の上陸所業務は、引揚者復員者及び北海道に留まる人と本州に移る人、又その人に從つて荷物の区別をしなくちやならんというので、ここの上陸所業務は誠に複雜業務をやつておるのであります。今日までのところ一日一千人を捌く能力が標準であつたのでありまするが、今後におきましては、この能力を二倍又は三倍にしなくちやならんというふうに現地では考えておるのであります。昨年來逐次上陸所施設が完備いたしまして、その一例といたしまして特に御報告申上げたいのは、ここでは結核患者レントゲン檢診を行なつておるのであります。現在すでに二台の機械が坐つておりまして、一日に二千人の檢診能力を持つておるのであります。他の施設はいうまでもなく、それぞれ一應もまた二應も完備しておるということを皆さんに申上げたいのであります。特にここで申上げたいのは、傳染病患者が発生するということは、特に引揚の問題について重要でありますので、これらの患者に対しましては、この埠頭上陸所におきまして檢診の結果傳染病患者がありますと、立ちどころに近傍にあります台町の檢疫所に收容いたしまして、一般引揚者と分離するという処置を現在とつておるのであります。ところが、傳染病患者でなしに、一般病人がいるのでありますが、この一般病人を收容すべき國立病院函館では現在のところ不備でありまして、狭隘なんであります。從つて早急に函館におきましては國立病院收容力を拡張するという必要が痛感されるのでありまして四つの寮はこれはいずれも一時收容寮であります。全体として六千二百人入れる力を持つておるのであります。ところがこの寮が上陸所に近いものは四キロ、遠いものは八キロの距離があるのでありまして、從つて上陸所と寮との間の輸送という問題が函館援護局におきましては大きな隘路になつておるわけであります。從つてこの点において我々としては、今後万全の処置を講じなければ、これから先引揚者に対する受入施設の最初においてまごまごするという結果になると考えるのであります。函館におきまして今後特に問題として重要であります点は、函館青森間の連絡輸送力の増強ということであります。昨年の十月のシベリアからの引揚者の八〇%は本州向つたのでありますが、さつき申しましたように、一日最高千三百人の輸送を實行したのでありますが、現在では先ず平均一千人というのが皆さんの御意見であります。ところが最近関係筋から、船中の檢疫消毒という関係からいたしまして、乗船人員を減らせということがありました。從いまして、一般乗艦人員を減らすということになりますと、当然に連絡船の増配ということが要求されて來るのは言うまでもないところであります。  第三は小樽市の模様を御報告申上げます。小樽では現在千三百九十人の引揚無縁故者を受入れておるのでありますが、これがために十一の寮を七百七十六万円を以て完成しております。この経費の中の二百六十八万円は北海道廳費用即ち國費で以て賄つておるのでありますが、残額の五百十万円という金額は小樽市民寄附によつてつておるのであります。この一事が万事を物語つておりますように、小樽市の引揚者受入についての態度は極めて親切であり且つ積極的であるということを委員諸氏は感謝しておるのであります。同時に十一の寮の入居者は、小樽市民熱意に対して大きな感謝を持つておるということを我々は見て來たのであります。更に二十三年度におきましては引揚者をできる限り引受けたい、引受けなければならんという考えからして、改めて又五百万円の寄附小樽市民から募集して、受入施設小樽市自身の力で増強して行こうという計画を著々として進めておる次第であります。  第四は札幌市についてであります。ここでは全員委員が市外の月寒收容所視察したのであります。この收容所は古い兵舎を改造したものでありまして、現在二千人が入つておりますが、今後改造すれば更に三千人を收容し得る。旧兵舎でありますために、各世帶に割当てられまじた面積は大体六坪程度でありまして、廊下は廣く、そうして部屋の面積も廣く、採光も十分でありますために、集團アパートとしては適切でありますが、天井が高いということが欠陷でありまして、そのために採暖上非常に費用が嵩むという不利があるのであります。從つてこの点については、更に今後の改造によりまして、中二階を造るというふうな方法によつて、より有効にこの兵舎を活用し得るのではないかというふうに考えます。ところが、先程申しましたように兵舎でありますために、兵舎と各家庭の住所というものとの差が、例えば水道の施設でありますとか、或いは風呂場施設でありますとか炊事場施設というものが方々にありまして、從つてこれらの施設を住宅に適應するように今後直して行かなければならないということを感じたのであります。月寒收容所で特に遺憾な点は、ここに疊が全然ないということであります。寒冷地だけに、これは非常に困つたことでありますが、せめて子供の寝るところだけでも、三疊ないし四疊の疊を緊急に整備する必要があると考えます。尚月寒收容所は、現在二千人おるわけでありますが、從つてこの二千人の引揚者のために授産所或いは託児所を作る必要を痛感して参りました。豊平町は人口は二万六千人でありますが、ここに有縁故者が千二百世帶受入れられております。その外に二千人の無縁故者を引受けておるわけであります。ところがこの無縁故者收容所維持費全額國庫負担を希望するのでありますけれども、実際はその希望が達せられずに、町の負担に大部分がなつておるということであります。これは僅かに二万六千の人口豊平町としては、非常な負担でありまして、どうしてもこの收容所費用は國において賄わなければならないということは、当然のことであります。こうした問題が各地にあるのであります。單に北海道のみならず、東北六縣におきましても同じ問題がありますので、特に我々はこの点を善処しなければならんと考えます。  その次は旭川市でありますが、旭川市で我々が視察したのは市内の臨時收容所、これは現在百十一人を收容しておりますが、それと旧旭川師團兵舎春光寮視察したのであります。臨時收容所生活不能者のみを收容越冬せしめる計画でありまして、春光寮には大体自活し得る人たちがこの中に收容されております。我々が行きましたときには、ちようど五百人の人間が春光寮に入つておりました。尚春光寮の外に五つの寮がありまして、十五棟の兵舎を活用いたしまして、これらに現在六十九世帶、三百五十一人の人が入つております。尚これらの施設には現在のところ約四百人の收容餘力を持つておるのであります。  その次は室蘭でありますが、現在千四百世帶、四千四百人を受入れておるのでありますが、更に三千坪の遊休建物を買收して、集團アパート計画を進めております。この点につきましても分りますように、室蘭市は官民共に引揚者の受入に積極的でありまして、特に室蘭市に遊休施設の建物があるということ、産業的に恵まれておるということと、温暖であるということ、この三点からして、どうしても本年引揚者をできるだけ多く室蘭市に引受けなければならないであろうというのが市民各位の考えであります。  以上が、我々が現実に視察しましたところでありまして、視察個所は合計十一所、收容人員は六千人であります。從つて先に政府計画しましたその計画の三分の一を我々は視察したという結果になつておるのであります。  第三としまして、結論的に現地の要望につきまして御報告申上げて御了承を得たいのであります。第一、引揚者受入態勢は一應できましたけれども、引揚停止の結果、これを先の引揚者に轉用しましたということは先程申しました通りであります。從つて本春引揚げが再開されましたときには、改めて受入施設を緊急に完成する必要があるのであります。第二は、現在の受入態勢はいずれも緊急の受入態勢でありまして根本的な問題を何ら解決していないのであります。從いまして引揚者の今後の更生の問題をどうしても積極的に進めて行かなければならないのであります。而してこれらの引揚者の更生対策としましては、人口が非常に厖大でありますために、その人口の消化をどこでやるかという点につきましては、東北班報告にも出て來ると思いますが、東北六縣ではこれらの受入人口をどうしても消化できないというのが現実でありまして、從つて今後の引揚者の内特に無縁故者の更生のためには、どうしても我々は北海道というものを考えて行かなければならないと考えるのであります。そうしてこれらの受入れにつきまして、現在は受入れのための費用の大部分が地方に負担せしめられておるのでありますが、これは極めて不合理でありまして、從つて今後におきましては、この受入れに要する経費はすべて國庫において支弁するという本筋に政策を持つて行かなくてはならないと考えるのであります。  その次に北海道が今後無縁故者を受入れるためには、まだまだ澤山の解決しなくてはならん問題があるのでありまするが、これらの点につきまして、現地の要望を要約して見ますと、大体次の五項目になると考えます。  第一は住居の問題であります。先程申しましたように、本年の緊急措置によりまして、四千人を受入れる餘力を持つて越年したのでありますが、更に春と共に入つて来ます引揚者のために緊急に建物を造らなくてはなりません。その計画を、北海道廳としましては一万七千五百戸の新設を計画しております。更に本年度内、即ち本年の三月末までに一千五百戸の集團收容所の設置を考えておるのであります。このために緊急の國庫支出二千万円を北海道廳は要求しておるのであります。この住宅につきまして、二つの点を緊急に我々は善処する必要があるのであります。併しながら昭和二十三年度の一万七千五百戸は、これは引揚者を、大体引揚者の内北海道に來る人がこれくらいおるだろうと想定しました。その想定数は約六万二千人になるようでありますが、我々の見解からしますと、六万二千人が倍の十二万人になるのじやないかというふうに考えるのであります。從つて若し十二万人になりますと、一万七千五百戸の倍、三万五千戸の家を北海道が準備するという計画を希望として、今後の受入態勢を進めて行くべきじやないかというふうに我々は考えるのであります。  第二の点は、現在收容所として充当しておりますものは、悉く元軍用兵舎であります。ところが最近國庫財政の関係からして、これらの軍用建物をすべて有償でその市町村に拂下げるという政策、方針を政府は取つておるのでありますが自分のところに引揚者の無縁故者を引受けて、更にそれを入れる施設を自分のところで一切有償拂下げを受けてやるということになりますとどうしても受入れる市町村が消極的にならざるを得ないのであります。こうした政策は不合理でありますので、元軍用建物等は、すべてこれを無償拂下げをするというのが本筋であると我々は考えるのであります。  第三の点は越冬用の寝具とか医療品の給與でありますが、これを無償にするということと、配給を適切に時期を失しないでやれということが各所におきますところの痛切なる要望であります。  第四の点は北海道の入植問題は、食糧増産と、引揚者の援護、更生という二つの面からして実地に即應したところの計画をしなければならない。そのためにどうしても営農資金とか、或いは住宅の資金、入植後の生活資金即ち折角入植しましても飯が食えないということでは困りますので、入植してから收穫のあるまでの生活資金という、こういう面に積極的の施設が必要であるということを、北海道では強く要望しておるような次第であります。  第五の点は入植以外に、即ち百姓になる以外に、北海道生活を更生するという人につきましては、現在政府の行なつております政策の生業資金の貸付の点でありますが、この点について特段の処置を必要とする。即ち貸付の限度の引上げと、資金の増額を積極的にやつて頂きたいというのが北海道廳の強い希望であります。現在の貸付金の限度では個々の引揚者の更生に資するには極めて不適当である。同時に又現在の貸付総額を以てしては、北海道に多数移つて参りました引揚者の更生には、その極一部分の人にしか資金が廻らない。大部分の人には資金が廻らないという現状にある次第でありまして、特に北海道廳は勿論、引揚者の側におきましても、生業資金の貸付の限度の引上げと、貸付資金の総額の増額ということに強い要望を持つておつた次第であります。  極めて話が下手でありまして、お聽取りにくかつたと思いますが、以上が我々四人の議員北海道に参りまして視察した結果であります。  最後に一言付け加えたいと考えますのは、年末忽々な際であり、降雪のために交通事情が非常に惡かつたのでありますが、その際に参議院が特に議員派遣して、これら受入態勢について視察するということに、北海道の官民挙げて非常な感謝をされておつたことを各位にお傳え申上げたいと考えるのであります。私の報告は以上を以て終ります。
  29. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 御苦労であります。次に東北班穗積さんにお願いいたします。
  30. 穗積眞六郎

    穗積眞六郎君 東北班の御報告をいたします。大体の状況は先程北條委員から東北班も含めてお話がありましたが、第一に概況につきまして又東北班として特殊なことを申述べます。次に各縣の状況を簡單に述べまして、最後にやはり要望事項を述べたいと存じます。  東北六縣におきましては、樺太の無縁故者三万人の中一万一千五百名を引受ける計画になつておりまして、先程北條君は一万三千名と言われましたが、御承知のように、東北はこの秋未曾有の大水害を各縣とも被りましたので、そのために受入れの準備ということも遅れたという傾向が一般的であります。殊に秋田縣のように、一万千五百名としますと、一縣当り二千名になりますがとてもそうは引受けられない、八百名に止めるというなところもあるので、こういう結果になつたのかと存じます。  收容所は各縣とも、先程も話がありました通り兵舎の跡、造船所の宿舎又は土木建築の飯場等を修繕して、世帶当り二室、六疊、三疊というくらいの部屋又は一室に間仕切りをして、各縣共少くも二百名内外を集團として收容するというのを原則としております。岩手縣のごときは戰車隊の旧兵舎に二千五百名全部を收容いたしております上に、同兵営の中の別棟には、すでに以前からの引揚者千五百名を收容しているという状況でございます。結局、或る多くの数を集團收容するというのが原則になつておりまするが、今度私共は視察いたしませんでしたけれども、話に聞きますと、福島縣におきましては比較的少数のものを多数の町村に、その町村の責任を以て割当て当初からその町村の人として更生に発足せしめるという特殊な方法を採つているという由でございます。收容所の修築は、各縣共まだ完了しておりませんけれども、現在收容いたしておりまする人員、私共見ました四縣を引括めまして千八百人くらいでございまするが、それに比較いたしましては、すでに完成しておる部分收容力は非常に多くなつております。そうして少くとも昭和二十三年の一月中には全部完了するということになつております。この遅れました理由は、先程申上げましたように、数囘に亙つて水害を被りましたために準備が手違いを生じたということがありますのと、それから各收容所の破損が甚しかつたがために、材木、ガラス等の入手に手間どつたため遅れたというような原因があるようでございまするが、今できておりまする設備は、先ず概して一般的に完全でございまして、寒くて困りそうだというような、状況を余り見受けませんでした。その施設の中に一番欠けておるのは、先程お話のありましたように浴場でございます。これの設備の完全にできているところはまだございませんでした。それからもう一つの特色は炊事場でございますが、これにつきましては、共同炊事場の設備があるところがあるのでございますけれども、併しどこに行つて見ましても、殆んどこれを利用しない、各世帶毎に自分の部屋の前の廊下で炊事をするという状況でございますので非常に煙が甚しく、そういう状況では火災等の憂いがないでもないという氣持がするのでございます。併しこの問題は、今度の視察のみならずどこに行つて見ましても、日本人在來の習慣として、自分のところで各別に炊事をするという習癖が深くついておりまする。これは又研究の必要があることではないかと思つております。各縣共、縣廳、市役所等の官公署から、一縣の更生会、同胞援護会、学生同盟が、非常によく一致して眞劍に受入れに努力して下さつておりまするが、こういうところに東北の人の非常に重厚な氣質がよく現われておりまして、援護を受ける方々にとりましても精神的に非常によい影響を與えつつあるということが目に見えるような氣がするのでございます。  それから樺太の引揚者は、北朝鮮や満洲とは異りまして、終戰後異民族の間にあつて非常な苦労をしたということが先ず少い、殊に農民、漁民等は樺太における生産の関係から、戰前そのままの業務に從事することを許されておりましたので比較的平穏な氣持ちを維持することができました。且つ帰還に当りまして相当多くの荷物の持参を許されておりまして、多い者は二十数個も持つてつておりまする。ミシン等に至るまで持つて來ておる人もあるというような状況でございますが、そういう状況なので、收容所でまだ配給品の到着してない所でさえも、少数の例外の外は、何とか間に合うという程度でございます。心も平靜に保つておるのでこの結果援護に対しまして非常に皆感謝の念が強く、そうしてそういうふうないい環境にありまするためかもう到着しました翌日から更生に対して邁進しようとする氣力が非常に旺盛でございまして、昨日到着した者も、直ちに職を求めつつあるというような状況を見受けたところが多いのでございます。  それから函館の援護局から東北の各縣に收容者を運搬するに当りまして各縣との連絡が今まで予め十分でなくそのために、通知がなくして人を送つて來たり又通知がなくして人を送つて來たり、又通知と人員の到着との時間が非常に短か過ぎたりするために非常に受入地でまごつきまして、その結果、引揚者の最初の印象を悪くするというような場合が大部あつたようでございましたが、これは單に援護局の責任というよりも、東北地方の鉄道、通信の状況が非常に混乱しておるということがこの大きな原因であつたように見受けられたのでございます。  次に各縣の状況を極く簡單にお話いたしますが、宮城縣では、收容の予定人員が二千名になつております。そうして收容箇所は三ケ所の予定になつておりまするが、その中二ケ所ができ上つて、一ケ所はまだできておりません。現在の收容人員は四百四十名でございます。そしてその寮の中に一つの愛子寮と申しまするのは、仙台の郊外の廣瀬村という村にございまして、元の農兵隊の宿舎を修繕してこれに充てておるのでございまするが、とにかく一つの余り豊かでない村が、ここの收容人員は二百九十六名になつておりますが、これだけの人を引受けてそうしてこれが宮城縣の廣瀬村の人になつて生きて行こうというためには、村といたしましても、非常な考慮を要し困難を感じておる模様が見えるのでございます。殊に少しどうかと思いまするのは今度見ました帰還者の非常に多くが農民でございまするので特に農村を選んで收容しました。この廣瀬村に割当てられました人の中の可なりの大部分が、王子製紙の関係者であるのでございます。こういうような所も人の振当てということなどにつきましても余程考えてやる必要があるのじやないかというような氣がいたしたのでございます。ここに入りますると、大抵多くのところ、二日から五日ぐらいの間まで炊出しをして給與しまして、その後は自分の働きで生活して行くのでございまするが、この廣瀬村におきましては、見ました中で、一番に、どうもこの收容されておる人たちが、自分でぐんぐんと働いて更生していこうという意氣が薄かつたように見えるのでございます。薪を採りに行くというのでも、こういう山でございまするから、それは随分いろんな問題があるにしても、自分で進んで行けば何でもないところを、とかく配給を待つといような傾向があるのでございます。すべてについて何んとなく依頼心が多いいように見受けられたのでございますがこういうことを入りました当初の方針なり、それに対する指導の仕方というものが、余程必要ではないかという氣がいたします。それからもう一ケ所の白菊寮という寮を見ましたが、これは收容人員が百四十四人ばかりでございますが、これは仙台の駅から四キロばかりの非常によい所ではありまするがこれは土建の飯場を改造したもので、施設としては一番劣つていたようでございます。殊に周囲の状況から見ましても、余り良い所とは申せません。併しそれにしても、この東京あたりの收容状況から見ますと、余程しつかりしておるように見受けたのでございます。それからもう一ケ所の騎兵隊跡の兵舎は、これはいろいろな関係で許可が下りません。やつと私共が参る少し前に、これが開放せられたような状況でございます。非常に兵舎の跡でございますからしつかりしておりまして、八百名ばかり收容できるのでございますが、やつと着手せんとするというくらいなところにあつたのでございます。  ここでちよつと申上げておきますが先程北條さんから、でき上つた施設が他の引揚者の方に轉用せられざるを得なくなつておる場合が多いというお話でございましたが、東北は先程お話しましたように、準備が水害のために非常に遅れましたので、でき上りが遅いため完成した設備を他の方に廻すようことは殆んどないようでございます。唯先程お話した廣瀬村の一部に六十何名という人が入つでいただけで私共の見ました四縣の中では外にそういう無縁故者以外の人が入つているという状況ではございません。  次に岩手縣でございますが、二千名の割当人員に対しまして二千五百名を引受けております。そうして市内の観武原と申しますか、そこの元の戰車隊の兵舎の跡に一括して收容する計画でございます。既にその第一期第二期の改造が終つて千三百名以上の設備を備えておりますが、目下收容人員は百四十八世帶、七百十四名になつております。第三期工事もずんずん進むことになつております。收容所はここの知事の命名になつて、岩鷲寮と命名されておりますが、この改造が非常に工事が親切でございます。これは木内先生が見て非常に感心しておられるのでありますが、便所の末に至るまで非常に注意が行届いて結局小さな子供でも落ちないような設備までしてあるというふうでございます。随分破損の甚だしかつた兵舎も見違えるばかりによくなつております。この一事からもこの縣の官民の一致の努力の一端を窺い得るような状況でございます。受入の状況は縣の報告通りであるが、ここで特色とでも申しますのは、ここに收容されております引揚者は勿論市内の工場等に就職している者も多いのでございますが、この岩鷲寮と隣合つたやはり同じ兵営の中に元から引揚者の收容施設として青山寮というのができておりまして、ここに三百五十世帶、千五百人くらいの人を收容しているのでございますが、その構内に岩手縣の引揚者更生聯盟の経営しておりまする藁工品の産業組合がございまして、これに青山寮の人も岩鷲寮の人も通いまして、藁製品を作つているのでございますが、なかなか働きまするといい收入になるのでございます。丁度我々が見ましたのは日曜日でございましたが、それにも拘わらず最近に樺太から帰つて参りました女の人、殊に女の子供の人たちが午後の遅くでありましたが一生懸命に作業をしているというような状況でございます。その外に青山寮の方では同胞援護会で山羊を飼わせるというようなこともやつておられるようでございます。一体岩手縣は引揚者の中に非常によい指導者がおられますために縣内に十六の産業組合が引揚者のためにできております。市場とか工場を経営して更生に努めているようでございますが、この縣が一番に官民の一致した努力の跡が見えます。更生に対して希望が非常に持ち得るような氣がしたのでございます。  青森縣は先程北條委員お話のように、まだ一ケ所も完成した收容所がございませんので、從つて一名の收容者もございません。ここは十ケ所ばかりの收容所を予定しておりまして、大湊が一番沢山收容することになつておりますが、これは水害その他のために施設が非常に遅れているのでございまするが、殊に青森縣は先程からお話のように内地における一般引揚者の最初の引受け所でありまするので、縣としてもその方の用もしなければならない。こういうところで遅れた点もあると思いますが、これも一月一ぱいにはすべてが完成するということになつております。青森の市内の造船所の建物の改築を見て参りましたが、まず六、七分通りできてきるようでございます。それから先程北條君からもお話がございましたが、青森におきましては、北海道から渡りまする人々を先ず一括して引揚げなければなりませんので、この頃のような運輸の状況でありますと、青森で非常な寒風に曝されて一晩も過さなければいけないような場合が非常にありますので、無料宿泊所ということについては非常に必要が多いのでございます。これは先程北條君からもお話がございましたが、この点につきましては、そういうことのために青森には特に経費を多く割当てたんだという厚生省のお話もございましたが、青森縣においては却つてこれに対してもつと多くの國庫補助を望むというような要望があつたような次第でございます。  それから秋田縣は先程お話しましたように百四世帶八百名を收容することになつておりますが、これはやはり市内の海岸寄りの造船工場を改築しまして、これが十一月末に完成してすでに百四十四世帶六百九十五人を收容しております。この設備も先ず良くできておりまして、そうして帰還者は最近到着しても昨日入つたというような人が大分多くありましたにも拘わらず、極めて皆元氣で、ここで何とか早く働く途はありませんかということを口を揃えて要望しておるような状況でございます。  要望の事項といたしましては、施設費の國庫補助の増額につきまして、今囘の國庫補助は建物の整備、主として改造に対してばかり與えられているけれども、引受けの世帶が予定より増加したるために改造費が不足であるから増額して欲しいというようなことを大分各縣から要望しておりました。尚改造費以外にも輸送、炊出し、運搬等の経費が非常に沢山要るので、國庫補助の増額を希望するという件がありました。それから收容の建物につきましては、先程北條委員からもお話がありましたように、これは兵舎などが多いために、主として大藏省の管理建物であるのでございますが、この管理建物に対しまして、これを引受ける場合は勿論、先程北條委員お話通りでございますすが、今の状態においても、大藏省としましては、貸付料の納入ということに対して、非常に嚴格であつて、そうしてこれが眞面目にやつて参りまして、そうして、一世帶から二円ずつ取つたといたしましても、結局火災保険料にも当らないくらいの收入しか得られない。こういうような目的のために使う場合にはせめてこれを無料にするか賃借料の國庫補助を要望するとかそれかも尚改造した建物の維持管理費というものは、全部國庫補助にして貰いたいたいような要望がございました。それから地方分與税につきましてこの分與税に関する指令は、内務省から既に各縣に届いておるにも拘わらず縣の民生部とか社会課ではこれを知らないというような状況が多かつたのでございますが、この分與税も今年だけでなく、後年度においても継続するようにして欲しい要望の縣が多かつたのでございます。それから、中にはこういうふうに世話をするのには、どうしても縣並びに町村に專任に担当する職員が必要であるから、その場合の國庫の補助を増やして貰いたいというような要望もございました。  こういうふうで、大体におきまして東北六縣におきましては、施設が遅れておりまするができました施設は概して先ずよくできております。勿論先程のお話のように疊等の欠点はありまするが、とにかくよくできております上に、やります氣持が非常に親切であるという点には非常に感心したのでございます。ただ問題はこういうふうにしますと、多くの集團を受取りまして、これをその縣の人として更生さして行くということになつておりまするので、一應の受入についてはこういうふうによくやつておりまするが、さてこれからの將來のことを考えて見ます場合に、只今引揚者に対しまする政府の方針そのままで、この人たちを本当にその土地の人として全き更生をやらしで行くということはその人たちとしても非常に困難なるのみならず、受取りました縣、町村においても、非常にやりにくい点が多いと思うのでございます。こういう僅かの施設を見ましたときにも、我々の胸につくづく感じまするのは、引揚者に対しまする政府の方針、結局戰争の犠牲に対する負担の公平ということを初めに何とか解決して参りませんと一般引揚者は勿論、こういう人々を更生する上につきましても、非常な欠陷が多いということが一つ、それから先程北條君が言われましたように、こういう纒つた人たちを引受けながら、殊に農民が多いのでございますから、これをどういうふうにしてやつて行くか。土地その他の問題につきましても非常に困難が多いような氣がするのでございます。勿論北海道で以て、もつと引受けて貰うということも考えられますが日本がこういうふうに小さくなりましたからには、こういう点につきましても、もつと深い研究が必要ではないかということをつくづく感ずる次第であります。これを以て終わります。
  31. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 只今北海道につきましては北條委員東北六縣につきましては穗積委員から、おのおの詳細な御報告を承つたんであります。私は北海道の点、或いは穗積委員から承りました点につきまして、若干感ずいたままを簡單に二、三述べさせて頂きたいと思います。  それは私は今までに北海道に二度参つたのでございまするが、こうした問題に対して行きまして、実は北海道の広さというものに非常に驚いたのであります。私共の観念からいたしますならば、九州と四國を合した位のものだろうと思つておりますると、実際には更にこれにプラスした台湾、これだけの広さがあるということを知つたのであります。そこで、今から十六、七年前において、台湾は四百万の人口があつた。ところが、現在ではその四國、九州、台湾を合したぐらいの広い地域でありながらも北海道は僅かに三百六七十万、これに対しまして、北海道の田中知事或いは西野総務部長、更に道議会の副議長である鈴木副議長とも会いまして、いろいろ話を聞きますと、大体理想としては八百万位にし、或いはそれ以上、若干殖えてもいいからということを言われました。とにかく五百万ぐらい受入れられる、入れても可能だというようなことをはつきり言われたのであります。そこで、私は今日本が敗戰の今日においてとにかく小さな、制約された中に、八千万の人口を受入れるという点から考えまするならば、どうしても國内事情考えなければならん。そうした点から考えて行きますと、ここに残された北海道は、そこに悠々五百万人の人を受入れられる。而も未開墾地は沢山入つて來る人たちを待ち侘びておるというような状態であります。そこで今度は樺太関係から帰つて來人たち意見を聽いたのでありまするが、その前に、私はちよつと、一つ申し上げて置きたいと思いますのは、昨年の夏参議院から舞鶴港に視察を命ぜられまして行つたのであります。で今度函館に参りまして、先ず車の両輪を見たということをしみじみ感じたのでありますと申しまするのは、舞鶴におきましては、海外から引揚げて來る方々のうちの九四、五%は復員者の方方で、復員者の方が多いであります。ところが函館におきましては、その逆の現象である。要するに引揚者が九〇%以上であつて復員者は割合に少い。而もこの引揚者というものは樺太或いは千島に、或いはシベリアに行つておられたというふうで、非常に日本に帰りましても復員者の多くの人々のごとく、直ぐ直ちに家がないというような状態で、一方は復員者、一方は引揚者ということで、この函館と舞鶴のこの引揚港の違つた点をはつきり認識したのであります。  そこでこの舞鶴港に林次長が居た。それから函館港の次長に加藤という人が居た。実にこの林次長に勝るとも劣らないこの加藤次長の心遣いというものに対しまして、私は非常に何とも言えない感激を持つたのであります。それから北海道本州とのこの間を掌つております青森の泉澤という人、こういうふうな人は先ずここに入れるということに対しまして、外地から帰つた人たち日本に直ぐ一歩を足したときに、こういう人たちが一分の隙もないくらいに身を粉にしてやつているということを見ましたときに非常に心強さを感じたのであります。  話は元に戻りますが、そういうふうで、この加藤とか、或いは泉澤とかいう人たちの氣持が反映したかどうか知りませんが、とにかく先程も北條委員からお話がありましたように、北海道の人達の、内地のこせこせした氣持でない、何とも言えない大陸的な氣持で人を抱擁するというようなところが溢れておるのでありまして、そこへ土地は広い未開墾地は広い、ここに政府が本当に内地移住と申しましようか、國内移住というようなことを眞剣に計画を立てるならば、優に北海道は五百万人の人を受入れられるということをはつきりと結論ずけられたのであります。  そこで今海外に居る七十万や八十万の人を受入れるということに対しましては、先刻北條委員並びに穗積委員からいろいろお話がございましたが、実に簡單に解決される問題だということを、私は多くこの委員会を通じて参議院なり或いは更に國会から、一般國民或いは海外にも國外にもこれを知らしめたい、私はこう思うのであります。そこでこのいろいろの問題につきましての要望事項なんかも沢山ございまするが、先ずこういう問題に対しまして特別委員会としては、農林省の開拓局なり、或いは大藏省なり、或いは商工省なり、そうした面につきまして、今後特別委員会として要望すべき、或いは政府を叱咤すべきことに対して、一つ一つ檢討して行きたいと思うのでございますが、ただ一言結論を申上げますならば、先程北條委員穗積委員からの御説明がありましたように都市近傍は大体入れられる筈だ。今度は更に農地の面においてはどうだというというふうな実に前途洋々たるものがあるということを一つ皆さんに知つて頂きたい。私共のこの目で見、この耳で聞いた点を力強くこの委員会を通じて申上げる次第であります。  もう一つそこで樺太方面から帰つて來人たちの声を聽きますと、大体戰争最中において、或いは戰争末期においてとにかく我々はここに二十五年、三十年、或いは四十年になんなんとするくらい居つたけれども、皆お互いが土地を耕さなければいけないというようなことで、皆手に鍬を持ち鋤を持つたそうであります。ところが敗戰後とにかく内地にいつ引揚げさせられるか帰れるか分らないけれども、内地に帰る場合に、この鋤と種を持つて帰ろうそうして自分たちは樺太に渡つたときと同じような心持を以て、内地を一つ耕していこう、或いは切り開いて行こうというふうな熱意に燃えてる方々の実際の声を聽きましたし、又実際そういうようにやつておられるようなことも見ましたから、更にこういう点も一言申上げて置きます。
  32. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) ちよつと申上げますが、大野援護院次長がお見えになる筈でありましたが、GHQの方に何か引揚の問題についていろいろお打合せがあるそうでありまして、その方に行かれましてまだ帰られません。只今お見えになつておるのは木田援護院の指導課長であります。それからもう一人の方は森田事務官であります。  詳細に亘りまして御三方から御報告がございました。誠に嚴寒の候、詳細なる調査をして頂きまして委員会といたしまして感謝いたしたいと存じます。つきましては北海道の方面は時日が交通関係で延びまして十一日間に相成りましたので右御了承頂きたいと存じます。御異議ありませんか。
  33. 穗積眞六郎

    穗積眞六郎君 東北の方は汽車の関係で八日になります。
  34. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 北海道の方は十一日間になりまして、それから東北の方面は八日に相成りました。この寒さの時で、受入態勢のその当事 者の方々の働き振りと、それから又帰られた方々がこの寒空をどう暮しておられるかということを、陽春三月五月の頃の観察では到底味わうことのできないところのよいチヤンスにお出で下さいましたのでありまして、委員の方々の御苦労は察するに余りあるものがございますが、但しその効果たるや又一〇〇%であつたと思います。それで交通運輸の関係で時間が延びましたが、このまま御了承して頂きたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それでは御了承願つたものと存じます。それから本会議におきまして、山田氏からやつて頂くことになりましたことは前に御決議になつておりますが、その報告の内容でありまするが、これはお出でなつ委員の方々にお委せいたしまして重要な点を十分説明して頂くということにしてはどうですか。ここで案をどの分どの分という案を作つて、箇条書きを作つて報告をして頂きますか。その点はどういたしましよう。
  36. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 それは御一任してはどうです。
  37. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 山田氏が実地にお出でなつた方々とお打合をされると思いますから、お委せをいたまして御報告をして頂くということでいかがでございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) そういうふうにいたします。  それから政府に対しましてこの視察から現われて参りました要望する点が相当あると存じます。それは今日は外務大臣も見えておりませんし、援護院の方からまだ次長が見えておりませんし、その外厚生大臣なども來て頂きまし十分この報告の重要な点を政府に反映せしめ、施策に反映せしめるための会合をもう一囘持ちたいと存じますから、そのときに十分審議未決の題材になるべき箇条を視察お出でなつた方々に作つて頂きたいと思いますがそれまでにいかがでしようか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  39. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 御賛成でございますれば次の機会までに草案を作つて貰いまして、それによつて政府に当る、こういうことにいたしたいと存じますよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それではそういうことにいたします。
  41. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 問題は急を要するのですが、次の機会といつて自然休会になつてしまうということのないように、成るべくその前に願います。
  42. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) その機会というのは成るべく自然休会などがあるかも知れませんが、自然休会などにならない前にいたしたいという御希望でございますが、成るべく早くそう取運ぶことにいたします。  それから第一國会におきまして小委員ができておりました。小委員会引揚促進とそうして引揚げられた帰還者の更生問題を扱つておる委員会と、それから在外資産を早く処理されるような意味の方の委員会ができておりました。つまり小委員会が二つになつておりましたように存じますが、この小委員会を第二國会におきましても必要があると存じますが、御意見いかがですか。ここでやはりそういう委員会を作つてよろしうございましようか。
  43. 岡元義人

    岡元義人君 小委員会お話が出ましたので、大体第二國会におきましてこの委員の行き方というものにつきまして、少し述べさして頂きたいと思います。
  44. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 今、岡元委員の御発言中でありますが、視察関係の問題が一應終つたようでありますから、そこでちよつと一言御提案したいことがあるのですがどうですか、岡元委員、簡單ですから……それは特別委員会の決議を以ちまして一つ北海道の道会ですね、道議会に感謝と今後に対するいろいろな問題を要請するようなことを一つつて頂きたいと思うのですが、(「異議なし」と呼ぶ者あり)文面とか何とかいうことは委員を作つて採決しまして……。
  45. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 北海道道議会だけでよろしいのでありますか。
  46. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 それからもう一つは今援護会の加藤次長以下この職員たちの何に対して、特別委員会の名を以て感謝状を贈りたい。こう思うのですが。その点を一つお諮り願いたい。
  47. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 只今淺岡さんの御提案御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 北條秀一

    北條秀一君 只今北海道関係だけで、東北六縣とてもそのように考えられております。
  49. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 東北の方面も感謝状を出すという所があるそうでありますが、同様に取計らつてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それではそういうふうに取計らいます。岡元さんどうぞ。
  51. 岡元義人

    岡元義人君 続けて申上げますが、第一國会におきましてこの際引揚者問題については多少の解決は見ましたのでありますが、相当な問題がそのまま懸案となつて残されております。それで今後の行き方をば再びこの特別委員会が次の國会に持つて行かれるということは到底考えられないのでありますから、是非ともこの第二國会におきまして未解決の懸案をば何とかして解決つけないと、國民のいわゆる一般戰争犠牲者が相当の関心を持つて期待しておりますから、我々としてもそういうふうな方向に持つて行かなければならんと思うのでありますが、只今委員長から小委員会の話もありましたけれども、先ず國会の当初におきましては十分議員の方々もそう多忙ではないので、この委員会の構成も容易にできると思いますが、だんだん急がしくなつて参りますと。なかなか委員会が成立しなかつたりして解決ができないというようなことがあると思います。それで是非ともこれは基本的にいわゆる細かなものを逐次解決つける委員会と或いは第一國会と同じような方向でも構いませんけれども、もう少し突つ込んで何とかして今度の第二國会で必ず解決つける、而も当初においてできるだけ解決をつけて行くという方法で以て、小委員会というものをば檢討して設けて頂きたいということをば、切にお願いいたします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 誠に適切な御要求であります。小委員会は一ケ年やりましでそれぞれ專門に亘りまして御相談を願つたのでありますが、尚この第二國会におきましても、この小委員会におきましてやはり專門的に十分に突つ込んで頂く必要がございますので、本当の委員会以外に、小委員会が少数でありましても問題を推進さす必要があるのでやはり小委員会を作つた方がよくはないだろうかと思いますが、御意見いかがですか。小委員会を作るということに対しましての御意見は……。
  53. 北條秀一

    北條秀一君 只今岡元委員の御発言通り私は賛成でありますが、第一囘國会の実績から見まして、小委員会を開くことは非常に困難でありまして、そこで小委員会を作ることは私絶対賛成でありますが、その構成をどうするかということについてもう少し研究する研究するというとおかしいですが、相談する必要があると思うのであります。と申しますのは、他の常任委員会との関連をよく睨み合せて、そうして本当にその小委員会に挺身できるという見通しをつけて、そうして小委員会を構成しないと、ただ機械的に二十五名の特別委員を二つに割つたというだけでは運営がまずいと思いますから、若干考究する時間を與えて頂けば結構かと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 北條委員の深く立入つたお考によれるお話でありますが、小委員会はただ二つに分けるというような意味でなくして、もつともつと開会しても有効になるように、又頻繁に委員会がありました上に本会議が相当又一週間に何囘か持たねばならんのに又その上に小委員会の会合を持たねばならん、こうなりますと委員各位におきましても、時間において差し繰りのできないような状態が起きて來るだろうと思いますので、もつと有効に使う意味におきまして、今少しく慎重にこれを考慮するというお考であろうと思いますが、もう少し慎重に考慮して委員会を作るということについて成案を得るようにいたしたいと存じますが、この問題はこのくらいにして置きましたらいかがでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 岡元義人

    岡元義人君 今委員会の構成につきまして、北條委員からの提案につきましては十分私もよく了解するのでありますが、取敢えず、これから先の行き方につきまして大きく根本的に解決を付けねばならん問題と、それから小さく……例えば郵便貯金だとか、或いはいろいろ小さな、この免税だとか或いは復員者の持帰り金だとか、いろいろ沢山解決を付けねばならん細かい 問題がある。そういう性質のものと、又かねがね北條委員が提案いたしておりますところの戰争犠牲の負担衡平、こういうような大きな問題、こういうもの等をばよくこれから先は打合せいたしまして、各委員が專門的に担当して行くというふうな方法にでも持つて行きませんと、又々前の第一國会の轍を踏むというふうなことになりはせんかということを懸念するのであります。又もう一つは実際の実績を挙げるということにこの委員会を持つて行きたいと思えば、第一國会の例に徴しまして少くともこの委員会GHQとの直接交渉にも持つて行かなければいけないのじやないかというようなことも考えられますので、そういうふうなことをば具体的に委員長の方で一つ檢討してたいと考えるのであります。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  56. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 御尤もです。理事の方々に御相談いたしまして一つの案を作つて、この委員会で御相談するような案を作つて見ることにいたしましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それではそういうふうに一つどうぞ。
  58. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 ちよつとお話の途中ですが、次の問題に移ります前に……。今の続きでございますか。
  59. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) そうです。
  60. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 それではちよつと前の報告の一番しまいのピリオドのようなものでありますが、これは今の委員会の前に申上げるべきだつたのでありますが只今報告を伺つておりましてそして私曾つて北海道に若い日におりまして東北へも大分参りまして、つい親しいままいろいろ伺つておりまして、非常に感に堪えないものがございまして、それでそういうことをここでちよつと申上げて、お諮りすべきか、すべきでないか、よく分らなかつたのでありますが、一應申上げて見たいと思つたのは、御報告を伺いましたことにつきまして感に堪えません。殊に小樽を中心にして、一層深い感銘をいたしましたので、そういう報告を聽いた、感想を書かし貰いたい。北海道小樽新聞も、北海道タイムスも知つておる人もおりますから、書かして頂いて、尚一層その土地の方々に、私の立場も知つておる方々があるんですから、そういう人を一生懸命面倒を見て上げなさいというように、殊に淺岡さんの後からお附けになりました北海道八百万の人を收容するというあの問題は、東北の人も考えなければならない問題でありますので、伺つておる中の感想から、そんなようなことをちよつとこの委員会としてでないのでありますが、個人として書かして貰いたいと思つておりますが、そんなことは皆さんの許可を得るというとおかしいですけれども、どんなもので、ございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それは異議のあります者もございません。結構なことであります。それからこういう催しはどうでしよう。本会議山田さんから御報告を願うのでありますが、各通信機関の方々にお寄りを願い、議会記者なんかもおりますから、そういう方々にお寄り願つて東北及び北海道の受入問題に関してお取調べになつた方からお話をなさる機会を作つたらどうですか。(「賛成」と呼ぶ者あり)  やはりこういうことは國民に知つて頂く必要がありますので、議会で叫ぶことは國民に聞えるのでありますが、もつともつと手つ取り早く通信機関の人とこういう問題は座談会でもやり、又いろいろ意見のある記者もあれば、その意見を聽くということもよいと思いすが……。
  62. 穗積眞六郎

    穗積眞六郎君 誠に結構ですが、千田君がもう一、二日すると出て來ますので、その後にして頂きたいと思います。
  63. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 無論その後になりましよう。
  64. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 一つそうした具体的な問題に対しまして、先刻委員長から申されましたように、委員長並びに特別委員会の理事、或いは理事でなくても委員の人でも、一應この第二國会に対しまして、この特別委員会としてどう行くべきであるか、どういうふうに縦の関係を処理すべきかというような問題に対しまして、一つ企画といいましようか、そういうようなものを非公式にでも、或いは公式にでもお設けになつて頂くということが緊急に必要じやないかと思いますが……。
  65. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) 御尤もです。先程御同意を得ました今の理事の方々と御相談いたしまして、第二國会におけるいわゆる想構とでも申すべき取扱いに関し、効果的な方法、今後の第一國会における試みから出発する一つ具体的な、能率的な方法を取るということに対して、理事の方が一つ懇談をして案を拵えて、次の機会にお諮りするということにするんでしよう。
  66. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 そうです。
  67. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) そういうようなことにつきまして今新聞記者と会うというような問題に入るわけですね。
  68. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 そうです。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それで次に開催に関すること、これも理事会でお話願つたらどうかと思いますが、開催の時間などは流会にならないように、成るべくこの会の効果を発揮せしめるというように、無駄にならないようにするためには、時間というものは大変大事なことでありますが、この問題なんかも一緒に諮つて頂きたいと思います。それからこの事務局の方から先程お話になりましたのですが、こういう問題もそのときに御相談願いたいと思うのですが、放送は時間を十分後にしてかけるとか、これは御相談ですが、それから尚その後五分も経つて來なければ流会にするとかいうようなことにしちやどうかという話もありますが、こんな問題も皆理事会にお任せしまして、理事会で十分一つ規則的なものを拵え、成るべく時間を浪費しないようにいたしたいということについて御相談願いたい。
  70. 岡元義人

    岡元義人君 その理事会に対しまして一つだけお願いいたして置きたいというのは、できましたならば第一國会におきまして國民、私の國民と申しますのは一般復員者引揚者、戰争犠牲者の意味でありますが、いろいろ期待しておつたことがまだ解決を見ずに非常に落胆したということは事実であります。少くとも第二國会の始まりますということに対しましては、今度又新らしい力を得たような氣分で以て地方末端から非常にこの第二國会に期待を掛けでおるのでありますが、できましたならば、理事会におきましては先ず第一番に特別委員会といたしまして國会の当初において一つの更生対策或いは在外資産その他について再度政府の所信を明らかにさせるということに、質問その他の方法を以ちまして國会当初においてこれをば國民に知らしめるという方法をば一番最初に考えて頂きたいということをば一つお願いして置きたいのであります。  それからこれは別問題でありますが私第一國会で解決ついた事項の中でいろいろ実際の現地において実行の状態をばいろいろ調査したのでありますが非常に完全に行つてない。例えば更生資金、生業資金にいたしましても十二月中に必ず出して貰いたいがという金も越年には間に合つておりません。それから又この間援護院とそれから大藏当局として一應地方に出した書類は割当しましたならば地方から中央に申請する必要はないようにしたというようなこともありましたのでありますが、実際にはこういうことを解決できないのであります。例の住民税でありますが、特にこれは住民税は一般引揚者それから戰争犠牲者、そういうものに今度の増額は負担させないということをば條文として出すということでありましたけれども、ただ四項に簡単に書いてあるだけで徹底を欠いたのでありまして、そういうようなこともありますし、いろいろこういうような急ぐ問題につきましては各議員が何かメモ書きでも参考にして出したらいいのではないかとこういうことに考えます。
  71. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) どうぞ角ばつたことでなしに、理事の方以外は出席できないようにというようなことでなく、一つ御熱心に御希望その他に対して御注意になることはそういう場合に十分お話下さいまして結構と存じますから……。
  72. 岡元義人

    岡元義人君 もう一つお願い……これは別でありますが、例の復金から第一國会において出すといわれました一億円の金につきまして、これを中央推進会が斡旋しておるという形がすでに取られておるということなんでありますが、これにつきまして委員会としてどなたかその後のそういうような経緯なつたことをぱ説明願えれば結構だと思います。
  73. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) ちよつとこの際御報告申上げますが、今の岡元さんのお話に関連しておると思いますが昨年第一國会の終りにおきまして、生業資金の第四囘の放出につきまして、嚴重な要望をいたしておつたのでありますが、政府におきましても、その要望に應えられまして、大体第四囘の生業資金、一億六千何百万円が十二月十七日付で現金が皆各府縣へ参りました。送金されております。それからその現金がどの縣におきましても、金融難の関係で、これを他へ流用する慮れがある。そのために引揚援護院の援護局長から長文の電報を以て各縣に要望されて注意をなさつております。その電文をここで読み上げます。「生業資金貸付資金として貸付けられ、國庫補助金を都道府縣経費として一時流用してはならんことは勿論であるが、近く配付する分は年末差迫つて特に交付したものであるから、十分御留意の上資金到著せる場合は、一時庶民金庫に交付せられたい。引揚援護院次長」、そういうふうに各都道府縣に電報を打つておられます。そうして実際におきましては、十二月の十七日に現金が出ておりますが、各府縣の能率的な働きの面におきまして、十分ならざるところがあつて、今岡元さんのような、年内に生業資金が届かなかつたというようなことがあるじやないかと思いますが、それは各府縣の責任において遅れたのではないかと思います。援護院におきましては相当な手続を以て現金が十二月十七日に出ておりますことを御報告申上げて置きます。
  74. 北條秀一

    北條秀一君 只今岡元委員の御質問のありました復金の特別融資の件につきましては、第一囘國会におきまして本特別委員会としての結論が出ずにそのまま第二囘國会に移り休会に入つたわけであります。然るに特別融資が非常に急ぐ関係上、大藏省におきましては更生対策協議会の方にこの特別融資の件を持つて出まして、復興金融金庫当局及び更生対策中央協議会というものが相談しました結果、この特別融資の方法を更生事業推進中央会がこの融資の斡旋に当る。そうして各地方は縣ブロツクにそれぞれ経済安定局を中心とした更生対策協議会を作つて、そこにおいて地方の緩急度に應じて、資金の貸出をしよう、但し更生対策協議会の各縣ブロツクは経済安定局を中心とし、商工局その他の関係機関と、実際の受益者の代表を若干名入れてやるというような方式を採つた。従つて特別委員会にはいずれ政府から発表があると思いますが、以上私が知つただけを申上げます。私には若干の意見があつたのでありまするが、この休会中にそういう措置を採られましたから、私の知つておる限りを御報告申上げます。
  75. 岡元義人

    岡元義人君 今の問題につきましてすでに中央推進委員会がこれを斡旋し全國的に各縣連からの代表者を集めてそうして中央推進委員会が今後斡旋するのだというようなことをはつきり言つておるようですが、この点について何かそういうふうなもうはつきりしたことが決つておるのか、今の北條委員お話を聞きますと、まだそこまでは行つていないというように解釈されますし、非常に分らなくなつて來ましたが……。
  76. 北條秀一

    北條秀一君 それではお答え申します。更生事業推進委員会が一億円の特別融資を斡旋するということであります。それが本筋になつておりますが併し各縣のブロツクにそれぞれ更生対策協議会というものを作りまして、そこで実際に資金を必要とする面と協議をして、そうして融資をしよう、但し建前が東京でやるということになつておりますから、すべてを東京に持つて來るということに建前上はなるわけでありますけれども、それは第一囘のことであるので、そういう建前を採つただけの話であつて、実際は各地方地方で濁自の権限に基いて、緊急融資が可能なように措置して貰いたいということです。又形式論の問題を東京でやる。だから結果として地方々々で融資したものを、中央に報告して貰うということに止める程度であります。
  77. 岡元義人

    岡元義人君 今の北條委員説明でよく分りましたが、今後もこういうことが特別委員会としていろいろ起ると思うのでありますがこういう場合はできるだけ特別委員会でいろいろな方法をばよく決めて、そうしてその方法に向つてつて頂くということにしないと、いろいろ問題が起きますから一つお願いいたします。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  78. 北條秀一

    北條秀一君 先程本会議の冒頭に岡元委員から議事進行についてお話があつたのでありますが、本日の会議も大分時間が長くなつて参りましたから、この本会議にお諮りになりまして、その点を明らかにされて、今日の会議を打切られたらいかがかと存じます。
  79. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それでは会議の冒頭におきまして、岡元委員からこの第二國会における委員長並びに理事の選挙の最初の会合の模様を聞きたいというお話でありました。
  80. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 もう大体速記もその問題に対しては要らないのじやないかと思いますが、一應……
  81. 中平常太郎

    委員長中平常太郎君) それでは速記はこれで止めて貰つてよろしいですか……それでは一應これを以て散会いたします。    午後三時三十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     中平常太郎君    理事            山田 節男君            淺岡 信夫君            竹中 七郎君            北條 秀一君            星野 芳樹君    委員            太田 敏兄君            河崎 ナツ君            草葉 隆圓君            安達 良助君            木内キヤウ君            紅露 みつ君            井上なつゑ君            岡元 義人君            楠見 義男君            田村 文吉君            穗積眞六郎君   政務委員    (官房長)    復員事務官   森田 俊介君   説明員    引揚援護院業務    課長      木田 徹郎君