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政府委員(
岡咲恕一君)
只今小林委員から御
説明のありました御
趣旨は、私も全然同感なんでございまして、決して旧來の
傳統とか、仕來たりをそのまま守
つて行こうという
趣旨で申上げておるのではございません。又御
説明にもございましたように、
弁理士が
訴訟代理をなし得る
行爲が、
特定の極く限定された
訴訟に限るという御
修正案であることも、十分承知いたしておる次第であります。私が申上げたいと思いましたのは、そういう限定された
訴訟におきまして非常に
技術面の
知識というものが重要であり、尚且つ
審決とか、
決定の手続を経た上の
訴訟であるために、
從前の
関係に関與してお
つてたところの
弁理士が、そのまま、訴えになりましても
訴訟代理人として
法廷に出て、その
権利者のために大いに
擁護の勞を取るということは、これは非常に結構であるとし、成るべく負担を軽くするという
意味においても、誠に御尤もな御
意見と拜聽いたしたのであります。ただ問題は、
從前から
訴訟代理は
弁護士に一應限定されておるという
建前と、
弁護士外の
訴訟行爲を
取締るという
建前があると、これをそのまま直ちに現在も維持されなければならないと申すのではございませんで、そういう
建前から考えまして、
法律上或る一定の
知識経驗を持
つておる者が
訴訟行爲をするということは、これはどうも止むを得ざる必要であろうと存ずるのであります。
苟くも訴訟になります以上は、それが事実審でありましようと、或いは
上告審でありましようと、とにかく
法律上の
知識を備えておるということは、これは私は欠くべからざる
要件のように考えますので、
弁理士の
資格につきまして多少その点を御檢討頂きましたならば、或いはこういう
修正案は非常に結構な
修正案ではないか、かように考えるのでございます。
法務廳内内におきましても、
意見といたしましては、或いは無
條件に当然
訴訟代理ができるということにしないで、
裁判所が
許可を與えた場合、言換えれば、その人の
経驗とかいろいろな点から考えて、十分だと認めた場合、言換えれば、
許可を與えた場合には、
訴訟代理人になり得るというように、
許可を
條件としたらどうかという
意見もある次第でございまして、決して
修正案そのものに
眞向から
反対するというわけではございませんので、その点は
一つ御了解頂きたいと思います。ただ問題は、
法律知識の必ずしも十分でない人が、そのまま
弁理士という
資格を持
つておるために、
訴訟代理をいたしますと、
訴訟の指揮その外の
関係におきまして、
法律上の
知識の足りないために、
却つて審理が澁滯いたしまして、神聖な
権利者の
擁護において却
つて迷惑を及ぼすということも、私共曾て裁判官といたしまして
法廷に臨席いたしまして、しばしば
経驗いたしたことでございまして、どうしても
訴訟行爲をいたしますには、或る程度以上の
法律知識を持
つておるということは、これはどうも止むを得ざる必要ではないか、かように考えるのでございます。従いまして
訴訟代理を
弁理士が爲し得るということは、將來の行き方としては或いは結構と存じますが、
只今弁理士の
資格要件について、もう一度檢討する餘地はないものか、その点を兼ね合せて考えて、この
修正案は場合によ
つて非常に結構な
修正案になり得るであろう、かように考えておる次第でございます。