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1948-06-25 第2回国会 参議院 厚生委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月二十五日(金曜日)    午前十時四十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○健康保險法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○恩給法の一部を改正する法律案(内  閣送付) ○國家公務員共済組合法案(内閣送  付) ○理容師法特例案内閣提出、衆議院  送付) ○麻藥取締法案内閣提出、衆議院送  付) ○大麻取締法案内閣提出、衆議院送  付) ○性病予防法案内閣提出、衆議院送  付) ○医療制度調査に関する小委員長の報  告 ○医業類似行爲者のあん摩、はり、き  ゆう施術禁止に関する請願(第五百  十五号)(第七百三十五号) ○國民健康保險事業費國庫補助に関す  る請願(第七百十七号) ○國立長野療養所上田分院移轉に関  する請願(第八百十六号) ○らい療養所患者生活改善に関する  陳情(第三百六十二号)(第四百四  十号) ○國民健康保險制度改革に関する陳情  (第三百七十六号) ○藥務局設置に関する陳情(第四百四  号) ○健康保險事業費國庫補助に関する陳  情(第四百三十六号) ○らい患者保護法制定に関する陳情  (第四百四十一号)   —————————————
  2. 谷口弥三郎

    理事谷口弥三郎君) 只今から委員会を開会いたします。本日は先ず健康保險法の一部を改正する法律案提案理由説明を聽くことにいたします。
  3. 宮崎太一

    政府委員宮崎太一君) 只今議題となりました健康保險法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申上げます。 健康保險法におきましては、從來被保險者権利義務等に関する規定等であつて法律事項と認められる重要なる事項に関して政令に委任した事項が極めて多かつたのでありますが、最近の立法趨勢に鑑みまして、これらの規定法律規定いたしますると共に、概ね次の点に関しましても実体的な改正図つた次第であります。先ず被保險者標準報酬に関しましては、現在は最高五千百円の第十七級まで定めておつたのでありますが、最近における賃金の上昇に鑑みまして、更に十級を追加して八千百円を最高と改めるようにいたした次第であります。次に被保險者資格に関しましては、今般國都道縣及び市町村等に使用される公務員についても、健康保險の被保險者とするようにいたしたのであります。併しこれらの公務員のうち、國家公務員に対しては法律を以て組織された共済組合がありますから、この共済組合に対しては、健康保險事業実質的代行認むることにいたしたのであります。次に健康保險保險医及び保險藥剤師は、從來行政廳強制指定制を採つていたのでありますが、今般これを改正いたしまして、保險医又保險藥剤師となる者の同意を得て都道縣知事がこれを指定することとし、指定を受けた場合には、一定期間保險診療上の講習を経て診療を開始することとし、又一旦保險医又保險藥剤師となつた者も、本人の自由意思によつて辞任し得る途を開いているのであります。次に保險料に関しましては、政府の管掌する健康保險については千分の四十とし、特別の場合に、主務大臣健康保險委員会意見を聽いて、その一割の範囲内で変更し得ることとし、健康保險組合の場合には、千分の三十乃至千分の八十の範囲内で決定して、主務大臣の認可を受けることといたしているのであります。以上の外、標準報酬の額の引上げに伴いまして、現金給付最低保障の額の引上を図り、又被扶養者に対する現金給付の額を引上げる等の改正図つた次等であります。  以上提案理由を御説明申上げましたが、何とぞ御審議上速かに決定せられるよう希望いたします。
  4. 谷口弥三郎

    理事谷口弥三郎君) それでは次に恩給法の一部を改正する法律案について提案理由説明をお願いいたします。
  5. 三橋則雄

    政府委員三橋則雄君) 只今議題となりました恩給法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申上げます。  今回の改正は、主として新民法施行その他諸法令改廃等に伴うものでありまして、その主な点は、凡そ次の諸点にこれを要約することができます。  第一点は、民法改正に伴う遺族に関する規定整備であります。現行法によりますと、扶助料又は一時扶助料を給される遺族は、公務員祖父母父母配偶者、子、又は兄弟姉妹であつて公務員死亡当時、これと同一戸籍内に、言換えれば、同一家にあることとを必要としているのでありますが、民法の画期的な改正に伴い、從來のような家は廃止されました結果、このような條件によつて遺族範囲を定め、扶助料給否を決定することは適当でないと考えられるに至りましたので、右のような親族であつて公務員死亡当時、これにより生計を維持し又はこれと生計を共にしていた者を以て遺族とすることにいたそうとするのであります。  又現行恩給法の本文におきましては、未成年の子が数人ある場合には、これらの子は、死亡した公務員を被相続人としたときに、家督相続人になる順位で、扶助料権者になり、又祖父母又は父母の間にありましては、祖父又は父は、祖母又は母に先立つて扶助料権者になることになつており、又昨年日本國憲法施行に伴う民法應急的措置に関する法律施行せられました際には、未成年の子が数人ある場合において、扶助料権者となる順位につきましては、これに應じて、取敢ずの措置として、嫡出子を先にし、嫡出子でない子を後にいたしますると共に、長幼の順によらしめることといたして参つたのでありますが、新民法により相続制度改正せられましたから、その改正趣旨に鑑みまして、かような單なる男女の別、又は長幼別等によつて差別的取扱すをることは適当でないと考えられますので、この差別的取扱いを廃し、祖父母父母又は子の間にありましては、男女又は長幼の区別なく、等分の権利を以て、扶助料又は一時扶助料を受けることができるようにいたします等、民法改正に伴い遺族に関する規定整備いたしたのであります。第七十二條から第八十二條までの改正規定並びに改正法附則第三條及び第七條規定がこれであります。  第二点は、刑法改正に伴うものであります。現行法によりますと、年金恩給受給者が、二年を超える懲役又は禁錮の刑に処せられた場合には、その権利を失い、二年以下の懲役又は禁錮の刑に処せられた場合には、その刑の執行中、恩給支給停止されることになつております。これは從來執行猶予が二年以下の刑に対し言渡されていましたので、その二年の刑期標準として定められたものであります。ところで、先般刑法改正によりまして、執行猶予言渡をなし得る懲役又は禁錮刑期二年以下は、三年以下に改められましたから、右のような恩給の失権又は停止の区分となる刑期につきましても、これと歩調を併せて、三年を超える場合には失権することとし、三年以下の場合には停止することといたそうとするのであります。第九條第一項第二号、第五十八條第一項第二号及び第七十七條第一項の改正規定並びに改正法附則二條規定がこれであります。  第三点は、警察法及び消防組織法制定に伴う警察監獄職員に関する規定整備であります。警察法及び消防組織法制定によりまして、警部補巡査消防士補消防機関士補及び消防手たる地方事務官又は地方技官経済監視官補たる地方事務官とは、すべて廃官になりましたから、恩給法上の公務員たる警察監獄職員の中から、これらの諸官を除きますと共に、國家地方警察に属する警察官として、新たに設けられました警部補巡査部長、又は巡査たる警察官は、從來警部補及び巡査たる地方事務官と、恩給法上同じように取扱うべきものと考えまして、これを恩給法上の公務員たる警察監獄職員として指定することにいたそうとするのであります。第二十三條第一号及び第五号の改正規定並びに改正法附則第六條の改正規定がこれであります。  第四点は、いわゆる若年者及び多額所得者普通恩給の一部支給停止に関するものであります。現行法におきましては、普通恩給を受ける者が四十歳以下の者であるときは、その年齢に應じて、その恩給年額の四分の一乃至八分の一を停止し、又年額一千円以上の普通恩給を受ける者が、恩給外所得年額一万円を超える者であるときは、その恩給年額の一割五分乃至三割に相当する金額支給停止することになつておるのでありますが、現行法における普通恩給額は甚だしく少額であり、從つてこの制度による停止額も亦甚だ僅少な額でありますことと、この制度運営のための事務負担とを考え合せまして、恩給金額が現状のごとき少額である間は、暫定的にこの制度運営を中止することが適当であると思われますので、当分の中この停止に関する規定適用しないことといたそうとするのであります。改正法附則第九條がこれであります。  第九点は、保健所制度改正に伴うものであります。保健所從來都道縣及び大阪、京都、横濱、神戸、名古屋の各都市がこれを設置することになつてつたのでありますが、去る四月から、これらの都市以外の都市においても、特に保健所法施行令一條に定められて都市は、保健所を設置することになりましたから、從來これらの都市にあつた保健所は、都道府縣立から市立に移管されることになり、その機関に勤務する職員は、道府縣の吏員から市の吏員となることになりましたので、これらの職員の中、その移管の際まで、恩給法上の公務員としての取扱いを受けていた者につきましては、その退職給與制度の確立を見まするまでの暫定的な取扱いといたしまして、当分の間市吏員としての在職年を、恩給法上の公務員として引続いて在職するものとして、取扱うことといたそうとするのであります。改正法附則第十條の改正規定が、これであります。  第六点は、立法趨勢に伴う法令整備であります。現行法におきましては、相当多くの実体的規定政令に委任し、これを、恩施行令規定しているのでありますが、最近の立法形式趨勢に鑑みまして檢討を加えました結果、同施行令中手続的の事項規定した僅少の條項を除きまして、殆んど大部分の條項は、これを恩給法自体において規定することが適決であると考えられますので、これらの第項を恩給法に移すことにいたそうとするのであります。第十條第二項、第十條ノ二、第七二條規定、その他相当数規定がこれでありますが、実質的改正となるものはありません。  以上の外、國家公務員に基く法令或いは人事委員会規則等が逐次整備され、恩給法規定の中で或いはこれらの法令規則と矛盾、抵触するものを生じたような場合には、それらの規定に矛盾する恩給法規定効力がなくなるように予め措置いたしますと共に、又簡單な字句の修正及び不要となつ條項整理等をいたそうとするのであります。第八十二條ノ二の規定等改正規定等がこれであります。  以下が本案を提出するに至りました理由であります。尚詳細なことにつきましては御質問に應じまして御説明いたしたいと存じます。
  6. 谷口弥三郎

    理事谷口弥三郎君) 次に國家公務員共済組合法案について提案理由説明を願います。政務次官。
  7. 森下政一

    政府委員森下政一君) 國家公務員共済組合法案に関する提案理由を御説明申上げます。  先ず初めに申上げなければなりませんのは、現行政府職員共済組合令昭和二十二年法律第七十二号によりまして、暫定的に法律たる効力を認められておりまするが、近くその期限が満了いたしますので、新たに共済組合組織とか、その活動とかを律しまする統一的な法律制定する必要が生じまして、ここに從來根拠法規を統一して、國家公務員共済組合法制定することといたした次第あります。  先ず國家公務員共済組合法内容についてでありますが、大別いたしますと、大体四点ぐらいになるかと考えられます。  その第一は、組合の人格及び運営に関する点であります。即ちこの法律におきましては、共済組合を法人といたしまして、権利義務の帰属を明確ならしめ、各省各廳の長がその組合を代表し、その事業を執行することにいたしました。これらの各省各廳の長は、この法律に基いて運営の準則とも申すべき運営規則によりまして、共済組合運営を行うことになつております。  第二は、組合運営機構において、その民主的運営を図るために運営審議会制度を設けまして、組合員をしてその運営に参加させる方法を講じますと共に、又給付の決定とか、掛金の徴收とかについて、異議がある組合員苦情を処理するために、大藏省及び各現業廳共済組合審査会を設けました点でございます。運営審議会はその委員組合員代表者から選びまして、運営規則制定改廃とか、重大な財産上の処分とか、その他重要事項審議し、種々各省各廳の長の諮問に應じ、又建議できるのであります。又共済組合審査会は、組合を代表する委員政府を代表する委員公益を代表する委員、各同数から成る審査委員により構成せられまして、苦情の公正な処理を図ることになつております。  第三は、組合の行います給付についてでありますが、その從來のものと比較し、改正された点の大略を申上げますと、第一に健康保險給付に相当する給付につきましては、健康保險法改正案実質的権衡を図るため給付を増額いたしました。第二に、退職給付廃疾給付遺族給付につきましては、現在までは終戰前俸給程度のものを基準俸給といたしておりますのを、退職当時現に受ける俸給に改めました、第三に、弔慰金家族弔慰金給付でありますが、これは現在鉄道共済組合のみに行われておるのでありますが、これを他の組合にも一律に行わめることにいたしますると共に、災害見舞金を以前より若干増額いたしました。第四は、休業給付を設けまして、法定の止むを得ない欠勤の場合に、俸給に代る手当を支給することにいたしました。組合給付につきましては、現在はその種類や額が組合によつて異つておるのでありますが、この法律によりまして、公務員組合から統一した給付を受けられることになつたのであります。  次に申上げますのは、國庫負担金でありますが、これは民間の社会保險権衡を取りまして、短期給付については五割、長期給付については五割五分をそれぞれ國庫が負担すると共に、組合事務に要する費用は國庫が負担することになつておりまして、これに要します財源は、すでに本年度予算に計上せられ、御審議を願つております。  以上述べました点の外、特に附加えて申上げなければなりませんのは、地方職員取扱でございます。即ちこの法律におきまして、共済組合組合員となりますのは、國に使用せられ、國庫から報酬を受けます常時勤務の職員でありますが、地方職員でも、從來共済組合に加入しておりました系統の職員は、地方公共團体におきまして、これに代る施設ができますまでは、この法律によります共済組合組合員となることにいたしました。  又恩給法との関係でありますが、この法律規定いたします給付は、國に使用せられ、國庫から報酬を受ける全職員に対し行うことを原則といたしますが、現在恩給法適用を受ける公務員及び準公務員並びに非現業雇傭人につきましては、当分の間、退職給付廃疾給付及び遺族給付等長期給付は、これを行わないことといたしておりますが、この中恩給法適用を受けます公務員及び準公務員につきましては、恩給法改正の際考慮することとなつておりまして、更に非現業雇傭人につきましては、本年度中に成案を得て実施に移したいと考えております。  速かに御審議をお願い申上げます。尚皆様の御審議に私も出席すべき筈でありますが、他の会議に出席を要請されておりますので、担当の今井給與局長が御質疑にお答えいたしますから、どうぞ中座いたしますことを御了承願いたいと思います。
  8. 谷口弥三郎

    理事谷口弥三郎君) 次に理容師法特例案につきまして先ず提案理由説明をして頂きます。
  9. 赤松常子

    政府委員赤松常子君) 只今議題となりました理容師法特例案提出理由を申上げます。  理容師法制定せられました結果、同法第二條及び第三條の規定により、学校教育法第四十七條資格を有しない者、即ち國民学校高等科卒業以上の者は、都道縣知事の行う理髪試驗及び美容師試驗受驗資格がないことになつたのでありますが、從來から理容師になる目的徒弟見習中の者には、特例を設けて、二年間を限り、受驗資格を認める必要があり、且つ都道縣知事指定した理容師養成施設に現に在学しているものに対しては、卒業後の免許資格を附與する必要がございます。これがこの法律案を提出する次第でございます。どうぞ御審議上速かに可決されんことを希望いたします。
  10. 谷口弥三郎

    理事谷口弥三郎君) 理容師法特例案につきまして、その内容説明をして頂きます。
  11. 三木行治

    政府委員三木行治君) 内容を極く簡單に御説明申上げます。理容師法特例の第一條におきましては、昭和二十三年一月一日現在、即ち理容師法施行の時におきまして、都道縣知事が從前の命令の規定によりまして、認可し又は指定いたしました理容師養成施設であつて、この養成施設には当然卒業後免状が貰えるというものと、貰えないというものとの二種類学校があるのでありますが、その卒業により理容師免許資格を與えられているものにおいて修業中であつた者に対しては、この理容師法学校教育に関する規定に拘わらず、その養成施設の定める教育課程を修了しました時には、都道縣知事免許を受けて理容師になることができる。即ち六・三制の学校を出ておりまして、そしてこの指定した学校を出ている者につきましては、理容師法の定むるところによりまして、当然無試驗免状があるのでありますが、六・三制の学校を出ないで、そして一月一日現在養成施設修業中であつた者を救おうと、こういう趣旨でございます。  第二條は、本年一月一日、現の理容師になる目的理容所におきまして理髪業又は美容業補助的業務に從事していた者、又は理容師養成施設修業中であつた者に、理容師法二條第二号又は第三條第二号の規定に拘わらず、昭和二十五年六月三十日までに、理髪師試驗又美容師試驗に合格した時は、都道縣知事免許を受けて理容師になることができる、というわけでございまして、昭和二十五年六月三十日まで、現行法によりますと試驗資格はないけれども、特に救済をしようということでございます。この特例によりまして、救済せられます人員は、理髪師におきまして約万二、理容師におきまして約五千という見込でございます。
  12. 谷口弥三郎

    理事谷口弥三郎君) これから理容師法特例案につきましての質疑應答を始めたいと思います。
  13. 中平常太郎

    中平常太郎君 ちよつと政府にお尋ねしたいのでありますが、近頃理容師法の一部を改正する法律案に対する、巷間いろいろな反対意見が文書で議員の手許に送られているのでありますが、この特別案は別でありますが、特例案以外に、理容師法の一部を改正する法律案厚生省は作つておられるのでありますが。私寡聞にしてまだ聞かないのでありますが、これがすでに世間に洩れて、こういうふうなことがいろいろ論議されているのでありましようか。全く架空なことでありましうか、お伺いしたいのであります。
  14. 三木行治

    政府委員三木行治君) 厚生省といたしましては、この特例以外に理容師法改正只今考慮いたしておりません。
  15. 中平常太郎

    中平常太郎君 分りました。
  16. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 やはりそれに類似したことでございますが、今電報で随分沢山理容師理髪師の立場から今度の改正反対言つて來るのですが、私はこれを拜見して反対する必要は認めないのですが、何らか実際法案の動かし方につきまして、反対するような、こういう問題が、或いは落ちておるのではないかということがございましようか。
  17. 三木行治

    政府委員三木行治君) この理容師法特例につきましては御覽の通りでありまして、反対する理由はないと思うのでございますが、聞くところによりますと、國会提出で以て、理容師法改正をお考えになつておる。そこでその理容師法改正内容は、学校制度一本槍でやつて行きたいというような点、及び卒業いたしまして一年間は実地修練をやらしめて、然る後に免許を與えるという点にあるように存ずるのでございます。ただ政府といたしましては、これらの案が上程された際に、非常に短期間に学校制度一本槍でやれ、学校施設を拡充しろとおつしやいましても、その点につきまして責任を負うことができませんので、これらの点につきましては、原案の方ともお話をしておる次第であります。尚教育制度一本槍でやつて行くということは、これは独学でやりたいという者、或いは営業自由の原則というようなものに照らして、どうであるかというようなこと、更に修練という問題に、理髪師技術の問題でございますので、そこまで法律で以て監督して行くものであるかどうか、本法立案の当初の目的は、公衆衞生上の危害を除くことを主眼としたものでありまして、本來理髪師技術の問題につきましても、大衆が批判して、以て自由競争を営ませることが適当ではないかと、私共立案いたしました当時には考えておつたのであります。それらの点につきましては、國会提案の御趣旨と多少相異があるのであります。國会の御意思によりまして決まりますれば、政府といたしましては、それに從うのが当然であると、さように考えておる次第でございます。
  18. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 第一條関係で利益を受ける者はどのくらいですか、先つきお話では第二條によつて理髪師が二万、理容師五千とおつしやいましたが。
  19. 三木行治

    政府委員三木行治君) 両方合せてです。
  20. 谷口弥三郎

    理事谷口弥三郎君) 他に御質疑ありませんか。定数が足りませんから、後で人数が集つたところで討論採決をいたすことにいたしまして、それでは次に麻藥取締法案大麻取締法案一括質疑に移りたいと思いまいます。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 谷口弥三郎

    理事谷口弥三郎君) それでは麻藥取締法案大麻取締法案について質疑應答を始めます。質疑のあります方はどうぞ……
  22. 中平常太郎

    中平常太郎君 大麻取締法案の第五條でありますが、第五條の第二項に、一、二、三とありまして、「一、麻藥又大麻中毒者、二、禁錮以上の刑に処せられた者、三、禁治産者、準禁治産者又は未成年者」とございますが、この三つを以て大麻取扱うにふさわしくないと見ておるようでありますが、それ以外に重要な問題が落ちてはいないか。つまり身体上の欠陷者がここに附いていないように思うのでありますが、例えば精神病者、或いは白痴に近い者、その外、認めて以て一般人に劣るような状態におる者などは、外の法律ではいろいろな問題を取扱うことができないように、そんな者はなつておるが、この大麻だけは、その人がそういうものを取扱うてよろしいのかどうか。これが各号の一に該当する者には、大麻取扱者免許を與えないとありますが、身体上の欠陷が起きて來る者は、大麻取扱免許が與えられるのでありますか、この点をはつきりしたいと思います。御説明願います。
  23. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 私から只今の御質問に対してお答え申上げます。第五條の第二項に掲げましたのは、絶対的に大麻取扱者免許を與えない者を掲げたのでございまして、御引例になりました精神病者等につきましては、許可の場合に考慮をいたしたいと思つておるのであります。御参考に申上げますけれども、医師会歯科医師会法等におきましても、從來精神病者に絶対に免許を與えない取扱にいたしておりましたが、今回の新らしい法律案におきましては、これを相対的な欠格條項として取扱うことにいたしております。免許を與えることもあり、與えないこともあるというような工合にいたしておりますので、それは本條の二項には該当しないものでありますが、この法律の考え方では、第五條許可をいたします場合に十分考慮をいたしたいと考えております。
  24. 中平常太郎

    中平常太郎君 それでは、法律にないところの重要問題を何でお決めになるのですか。法律は人権の擁護に欠くるところがあつてはならないのでありますが、法律條文に禁止してないものが政令、省令で勝手に禁止されるのでありますか。何故に、その身体上の欠陷甚しい者に対しては、やはり大麻のごとき極めて重要なものを取扱わせない、免許を與えないということが法案になぜお示しすることができないのか。その許可を申請したときに勝手に主務省の方で與えたり、或いは與えなかつたり、勝手にするとは私は受取れないのでありますが、やはり何か準拠すべきものがあつて、そういうことがなさるべきものと思うのでありますが、それはどういう標準を、何によつてお作りになるのでありますか。
  25. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) お話の通りに、私が先程申上げましたような事柄は、或いは法律に書く方が正しいと思うのでありまするけれども、実際問題といたしまして、大麻取扱をいたします者というのは、殆んど大部分が農民でございまして、そういう事例は比較的少いと思われますことと、精神病者でありますれば、必ずそれに代るべき者が、実際農業に携わつておるものと考えらまするので、特別に法規の上にこれを相対的な欠格條項として掲げなかつたのでございます。ただ從來の扱いも、免許をやるかやらんかというようなときに十分考慮をいたしたいと思います。若しさような者が免許を申請して参りましたならば、こちらの方でよくお話をいたしまして、そして更に別の同一戸籍内にある適当な者から申請をするというような方法で、人権を蹂躙することなしに措置ができるものと考えて、かようにいたした次第でございます。
  26. 中平常太郎

    中平常太郎君 まだ不満足でございますけれども、その次に移りましよう。  第九條に届出の手数料が書いてありますが、これはいつ頃案を作られたか知らんけれども、大麻栽培者は六十円、大麻研究者は五十円と書いてあります。それから第十一條の2に、免許証を紛失した場合の再交付申請の者は、手数料として十円國庫に納めなければならないとありますが、こういう問題はやはり時勢に應じたように、もう少し増額してはどうかと私思うのです。大体免許証を捨てて再交付を受ける者は、受益者がそれだけの責任があるわけでありまして、これはそんなに遠慮せいでも、十円なんかという銭は実際丼一つ買えない。それを主務省へ申請するには、各種の段階を通じて漸く厚生大臣の所に行くのです。そうして行つてそれが免許証を貰うという場合に、たつた十円の印紙を貼るだけで貰うというのは、そんなみずから捨てたところの責任はどこにあるか。十円というものはいつ考えられた数字か知らんが、これは何年前かに考えたままで置いてあるのではなかろうかと思うのでありますが、こういうことに対して、大麻栽培者が六十円ということを言いますが、藥剤師が年々免許を更新する際も五百円出さなければならない。これは大麻の栽培者が六十円、大麻の研究者五十円とありますが、これはもとより百円にしていいのでありますが、なぜこういうややこしいことをなさるのか。大体政府はいつでも、運賃を算定した場合にも何十何銭、一キロ何銭何厘何毛何糸、そういうことをやるんだが、それは理論の上から出て來る数に相違ないのです。それは腕と力で大体分るようになすべきです。そういう場合には、賃金ベースの場合でも、或いは又農産品のスライド決定の場合でも、何厘何毛まで出さないでも、四捨五入で明らかに、何人にも分るように……政府はいつもこういうことをやるから、ここで僕は質問するのです。    〔理事谷口弥三郎退席委員長著席〕
  27. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 私からお答え申上げます。実は大麻栽培者及び研究者の手数料の額でございますが、主としてこれは大麻栽培者に関係することでございますが、從来は三十円でありましたけれども、今度の法律案ではその倍額にいたしておるのであります。実は大麻というものは、一方におきまして國内の繊維資源として非常に重要ものでございまして、その意味におきまして、農林省当局におきましても非常に関心を持つておることでございます。現在大麻栽培の許可をし得る範囲が、連合軍当局の指令によりまして、五千町歩が許されておるのでありますが、実際に栽培の許可をいたしました所はまだ三千八百町歩に足りないという実情で、これをできるだけ多く栽培して貰うというようなことから、農林当局におきましても、これを是非できるだけ安くして欲しいという、きつい御註文がございました。相手は零細な栽培地を持つ農家も含まれておりますので、この程度にいたしたのでございます。  それから大麻取扱者の再交付の手数料でございますが、実は大麻取扱者の再交付の免許証というものは、実に簡單な、実はザラ紙程度で、小さなもので簡單にやつておるのであります。從いまして今申しました農家の人を相手にすることでありますので、余りこういうものに沢山の手数料を取るのは如何かという考慮から、先程免許の手数料について申上げましたと同樣な考え方で、極力に安いことにしたいというので、今日の情勢に合わんようなことでございましようが……。
  28. 中平常太郎

    中平常太郎君 それは安くして政府の財政が持てれば結構であつて、あらゆる方面から財源を捻つてお出しにならんければならん場合だから、少しでもという考えでお話をするのでありますが、要らねば結構なことで、國民が喜ぶだけのものであります。  次に第二十條の第二項、「厚生大臣は、法令規定により沒收された大麻について前項の処分をなすには、大藏大臣及び農林大臣と協議しなければならない。」とありますが、この大麻を沈收した犯罪行爲、その他によつて沒收した大麻について、その量のことを言わずにおいて、その者を大藏大臣と農林大臣とに、いつでも厚生大臣が協議しなければならないというのはどういうわけか、こういう問題は省の内部において、法律でこういうものを決めんでもよい筈であるし、又厚生大臣が独断でこれを処理していい筈のものであるが、どういうわけで農林大臣や大藏大臣をそこへ引つ張り出して協議しなければならないのか、これを質問します。
  29. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 先ず大藏大臣と協議をすることにいたしました理由は、実は沒收をされました大麻は、國庫の所有に帰属いたすことになつておりまして、法律的に申しますと、大藏大臣の権限に属してしまいますので、その意味におきまして大藏大臣と協議をすることにいたしてあるのでございます。又先程から申しておりますように、大麻の繊維というものが國内の繊維資源として非常に重要なものでありますので、この点について、所管をしておりまする農林大臣とも相談するのが適当であると、こういう考え方で規定をいたしたものであります。
  30. 小杉イ子

    ○小杉イ子君 第二十五條の「麻藥製造業者は、各業務所につき翌月十日までに左に掲げる事項を厚生大臣に報告しなければならない。」、この項に対しましては、私は非常な不安を感ずるものでございます。その一、二、三、四、五項の品名及び数量並びに容器の讓渡の時期、これを本当に正直に報告するか、せんかということに、もう少し何か力をお入れなさつては如何かと、こう思います。夜中によく出て行く婦人がございまして、何処に行くのかと尾いて行きましたところが、毎晩阿片吸入に行く、こういうことがございましたり、又麻藥を密賣しておる者も現にございます。こういうことがありますというと、賣つたものと又残つたものとの報告が、本当は正確でないということが分ると思います。この点を私は厚生大臣におかれては、これでよいと思われるのか知らんと、こう思つて非常に不安に思うのでございますから、一言申上げて置きます。
  31. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 御引例になりました條文は、麻藥製造業者に関することでございまして、少しこの御質問は如何かと思いますが、麻藥法の第二十五條の御質問と思いますが、二十五條は製造業者に対する届出義務に関する規定でございます。御質問の御趣旨は麻藥が闇に流れ、只今御引例になつたような麻藥中毒患者が、これを吸引に使用するという御引例を御指摘になりましたが、実は本法の麻藥取締法の全体の構想が、さような事柄が世の中に発生いたしますことを嚴重に防止する意味で、この法律を設けておるのでございます。私共もその意味におきまして、できだけ正確な報告を徳するようにいたしておるのであります。ただ月毎に報告を求めておりまするのは、余りこれを嚴密に短い期間毎にやりますことは、徒らに煩瑣でもありまするので、かような方法によつて、常に厚生大臣が麻藥の所在について一般的な認識を持ち得るようにいたしたのでございます。尚これと関連をいたしまして、各府縣には麻藥統制官がおりまするし、又司法警察権をそれらの者が持つておりますので、常にそれらのものは必要な管理をすることになつておりまするから、それらによりまして、御質疑のありましたような問題はできるだけ排除するように、徹底的な排除するように努めておる次第であります。
  32. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 大麻の第四條の第二号の「医藥品を施用」するのは、大麻を配合した処方箋を交付することを含むかということをお尋ねします。
  33. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 御趣旨の通りでございます。
  34. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 そうしますと、大麻の取締法の中で、全体について私はどうしても不可解な点が一つあります。それは大麻取扱者という者は栽培と研究者である。この十二條には取扱者でない者は他に讓つてはいけない。そうすると、これからできた品物はどこがどう取扱い得るか、この條文には一つも出ていない。以前の條文、旧法には出ておる。
  35. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 御指摘の通りに、実は大麻から麻藥を取りますこと、そのことが禁止せられておるのでございます。そういう意味におきまして、大麻かに麻藥を取ることは全然行われてないのでございます。ただ大麻の繊維だけが一條で除去されて、これはできることになつております。
  36. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 そうすると、先程申上げました第四條の第二号の「施用」というのは、大麻の配合した処方箋の交付を含むと、こうおつしやつたように私伺いました。で大麻から作つたものは一切禁止をするということが、この法の精神であるなら、「施用」という中には、大麻から製造した麻藥というものは今後作らないという方針でありますので、大麻を配合した処方箋の交付を含まないというものが、大麻から製造された麻藥品を施用すというのが、何にもならないという、この條文を、どうしてここに出したのでありますか。
  37. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) お答えいたします。私共はこの点は、実は從來大麻から作りました麻藥がまだ國内に残存をいたしておるように思います。さような意味におきまして、この規定を置きましたのであります。
  38. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 現在大体麻藥中毒患者が三千百四十八名という御報告であります。その他にも潜在患者が相当多数ある見込だ。これらの患者をどういうふうに、この両方の法案では相当嚴格に取扱つてありますが、社会問題として、どういうふうになされるという予想の下に、この法案をお作りになりましたか。
  39. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 麻藥中毒患者の取扱の問題は、本法を施行します上に最も重要な問題であると思うのであります。その意味におきまして、今回の法律案におきましては、麻藥取締法第四十九條に、麻藥中毒患者を一定の場所に收容をいたす規定を設けたのでございます。大体具体的には精神病院等に入院せしめまして、いわゆる麻藥の禁断療法を施す、これ以外何ら麻藥中毒患者を治療を治療する方法が現在ないように思いますので、さような方法によりまして、結局麻藥中毒患者をなくすという以外に方法がないと思いまして、特に今回の法案にかような規定を入れた次第でございます。
  40. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 そうしますと、その施設というものは、大体今の構想はどうなつておりますか。
  41. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 大体私共といたしましては、國立の精神病院がまだ相当ベツトの空いておる所もありますし、更に又國立病院におきましても、かような患者者を收容するに適当な所もあるように思いますので、先ずさような施設を充当いたしますと共に、一般の精神病院等もこれに活用したいと思つております。
  42. 塚本重藏

    委員長(塚本重藏君) 他に御質疑ありませんですか。
  43. 三木治朗

    ○三木治朗君 大麻が繊維にまでなつてしまへば、これはもう何も麻藥の方に関係がなくなるんじやないかと、こう考えるのですが、ところが繊維も、数量までも一々届出ろというようになつておるように思われるのですが、今麻が日本で大体生産が足りないので、沢山麻を要求しておるのですが、この法律のために、麻を作ることを何んだか非常に面倒なような感じを一般が受けるんじやないか、栽培者が受けるのではないか、それでなくても麻はなかなか肥料が沢山要つて、栽培技術が相当むずかしいものである、このように聽いておるのでありますが、こういう法律のために、栽培することを避けるような結果になりはしないかということを憂えるのですが、その点如何なものでしようか。
  44. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 私共も御指摘の点は心配をしないでもないのでございます。実は從前は、我が國においても大麻は殆んど自由に栽培されておつたのでありますが、併しながら終戰後関係方面の意向もありまして、実は時大麻はその栽培を禁止すべきであるというところまで來たのでありますが、いろいろ事情をお話をいたしまして、大麻の栽培が漸く認められた。こういうようなことに相成つております。併しながらそのためには大麻から麻藥が取られ、そうして一般に使用されるというようなことを絶対に防ぐような措置を講ずべきであるというようなこともありますので、さような意味からこの法律案もできております。その意味におきましては絶対に不自由がないとは申せませんと思いますが、行政を運営する上におきましては、さような点をできるだけ排除して、できるだけ農民の生産意欲を向上するように努めております。
  45. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 一應これで質疑を打切りの動議を提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  46. 塚本重藏

    委員長(塚本重藏君) ちよつと速記を止めて……。    〔速記中止〕
  47. 塚本重藏

    委員長(塚本重藏君) 速記を始めて……。外に御質疑ありませんか。
  48. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 質疑を打切つて、直ちに討論採決に入りたいという動議を掲出いたします。
  49. 塚本重藏

    委員長(塚本重藏君) 草葉君の動議に賛成の方は……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 塚本重藏

    委員長(塚本重藏君) それではさようにいたします。理容師法特例案麻藥取締法案大麻取締法案、以上三案を一括いたしまして討論に移ります。どうぞ賛否を明かにして……。
  51. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 討論を省略して、直ちに採決に入らたいという動議を掲出いたします。
  52. 塚本重藏

    委員長(塚本重藏君) 草葉委員の動議に御異議ございませんか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  53. 塚本重藏

    委員長(塚本重藏君) 御異議ないものと認めます。それではこれより三案を一括して採決に移ります。原案を可とせられます方の御起立をお願いいたします。    〔総員起立〕 委員長(塚本重藏君) 全会一致を以て、原案を可決すべきものと決定いたしました。尚本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて、予め多数意見者の承諾を得なければならんことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして、御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 塚本重藏

    委員長(塚本重藏君) 御異議ないものと認めます。尚本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に掲出する報告書について、多数意見者の署名を附することになつておりまするから、本案を議決せられました方は順次御署名をお願いいたします。    〔多数意見者署名〕
  55. 塚本重藏

    委員長(塚本重藏君) 御署名洩れないものと認めます。ちよつと速記を止めて……。    〔速記中止〕
  56. 塚本重藏

    委員長(塚本重藏君) 速記を始めて。それでは性病予防法案を議題に供します。性病予防法案につきましては、すでに前回を以て質疑を終了いたしましたので、これより直ちに討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 塚本重藏

    委員長(塚本重藏君) では性病予防法案についての討論をいたします。賛否を明かにして頂きます。
  58. 中平常太郎

    中平常太郎君 本案を通じて、審議いたしました大局から申上げますならば、極めて文化的であり、高度の衞生を狙つたその目的は、確かに諒とすべきであると思います。併しながら日本の國情が果して、それに適應するように進んでいるか否やという問題は、又疑いなきを得ないのでありますが、次第に、この性病撲滅のためには、結婚、妊娠、そういうような大切な場合におけるチヤンスを、できるだけこの性病予防のために処理するというような方法は、止むを得ないものであり、又なすべきものであると思うのでございます。然るに第九條におきまして、妊娠した者は、性病に罹かつておるかどうかについて、医師の健康診断を受けるよう努めなければならないとありますが、妊娠をした者は、これは兒童福祉法から申しましても、医師にも掛りますし、保健婦、助産婦にも、毎月診て貰うチヤンスがございますが、併しながらどうしてもこの点は流産、死産、早産というような問題が性病に基因することが大部分でございますので、非常に大切なものであると存じます。今日までの流産の状態から申しましたなれば、やはり性病に基因をなすものが大部分であります。私は誠に自分のことを申上げて済まんけれどもが、これはもう十年程前から、この問題を我々の経営しておる愛育園で取上げて、健康診断を受けるように取扱いをいたしておつたのでありますが、極めてそういうことが効果的であつたように思われますので、私はこれは「受けるようにつとめなければならない。」という微弱なことでなくして、「受けなければならない。」、こういうふうにして、十分妊婦に対して覚悟を持たしめる。それが又通俗的で殆んど社会通念として普通常識になるようにする意味からして、多少強制的な気味がありましたけれどもが、この場合「受けなければならない。」と法案を修正した方が、その効果を狙らう上において極めて適当であると思うのでございます。それで第九條は「受けなければならない。」というふうに修正の動議を提出いたします。  それから施行期日でありますが、第三十二條、原案におきましては、「昭和二十三年七月一日から、これを施行する。」とありますが、すでに最早七月は一旬の後に迫つております。とてもこれが全國の医師会、保健婦などに十分なる徹底をなす時間がありません。それで政府におきましても、この七月一日から施行せよと言うたなれば、むしろ却つてこれは困難であると思いますので、施行期日を「九月一日から施行する。」ということにいたしまして、二ケ月延期し、その間に十分に政府におきましては、全國の保健所、医師会、その他あらゆる方面の関係当局に向つて、十分なる準備をすることがよいと存じますので、九月一日に改正することの動議を提出いたします。
  59. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 只今の中平委員の動議に賛成をいたします。
  60. 塚本重藏

    委員長(塚本重藏君) 他に御意見ありませんですか。
  61. 三木治朗

    ○三木治朗君 中平委員の正修意見に賛成いたします。
  62. 塚本重藏

    委員長(塚本重藏君) 反対の御意見ありますか。他に御発言もなければ、これにて討論は終結したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 塚本重藏

    委員長(塚本重藏君) 御異議ないものと認めます。それでは性病予防法案について採決いたします。先ず討論中にありました中平君の修正案を議題に供します。中平君の提出の修正案に御賛成の方の起立を請います。    〔起立者多数〕
  64. 塚本重藏

    委員長(塚本重藏君) 多数であります。多数を以て中平君の修正案は可決もられをした。  次に修正の部分を除いた原案を議題に供します。修正の部分を除いた原案に賛成の方の御起立を願います。    〔総員起立〕
  65. 塚本重藏

    委員長(塚本重藏君) 全会一致であります。よつて法案は修正議決することに決定いたしました。尚本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて、予め多数意見者の承認を経なければならんことになつておりますが、これは委員長において、本法案内容、本委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして、承認を求むることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 塚本重藏

    委員長(塚本重藏君) 御異議ないものと認めます。尚本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき、多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を修正議決された方は順次御署名をお願いいたします。    〔多数意見者署名〕
  67. 塚本重藏

    委員長(塚本重藏君) 次に医療制度調査に関する小委員会におきまする審議の結果について、小委員長の報告をお願いいたします。
  68. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 医療制度調査に関する小委員に付託になりました請願及び陳情の中、六月十四日の審議し決定を見ました請願四件、陳情六件、計十件について審議の経過並びに結果を御報告申上げます。陳情文書表第三百六十二号、らい療養所患者生活改善に関する陳情、同じく陳情文書表第四百四十号、これは鹿兒島縣國立療養所星塚敬愛園と群馬縣栗生樂生園からの陳情で、略々同樣の趣旨でありまして、これを一括して申上げますと、らい患者は再起の希望を失い、温かい肉親との絆を絶つて終生この療養所において終らなければならない運命にあり、尚その上に結核を併発する者が多く、二重の病苦に悩む実情にありまして、その死亡原因の六〇%が結核の併発によるものであることは統計を見ても明らかであります。然るに数多の同胞をこの病より救うべく、この耐え難き苦悩を堪えて療養所に一生を送る患者にとつて、唯一の希望は所内の改善にあるので、一、食費の増額及び國立療養所における結核と「らい」との差別待遇撤廃、一、療養所の医師、看護婦の増員、一、入所患者の教育、一、所内の慰安施設の確立、これらを実施さはたいとの趣旨であります。右の陳情の中、星塚敬愛園は去る三月上旬、厚生委員数名が九州地方の厚生情況を視察の際にも当園の実状を視察しており、先に委員会においての視察報告の中にも、本陳情趣旨は十分報告されて、政府よりも善処する旨の答弁がありましれが、更に今回この陳情が出ておりますので、改めて厚生省当局より実情を聽取しましたところ、國立療養所の中、特にらい療養所につきましては、その改善に鋭意努力しておるのでありますが、予算関係が意のごとくならず、漸く本年度に至りまして多少なりとも改善され、食費につきましては、從來は結核患者は、一日十八円五十銭、らい患者については十五円五十銭でありましたが、本年度は、結核患者もらい患者も同樣に一日二十六円四十銭に引上げました。次に医師、職員、看護婦の増員、慰安施設等の諸点については、予算面に困難な事情があるため、現在遺憾の状態であるのが実情であります。又教育の点は、現在所内に教室を設け、患者の中から資格のある者を教師としておりますが、設備の点で甚だ不完全であるという答弁がありました。本小委員会としては、本陳情の趣送旨は極めて妥当なものとして、議院の会議に付して内閣へ送付すべきものと決定いたしました。陳情文書表第四百四十一号、らい患者保護法制定に関する陳情、これは鹿兒島縣國立療養所星塚敬愛園よりの陳情であり、数多の同胞をらいの感染から防衞するために、らい予防法が制定せられておるが、同時に不幸にしてこの悲むべき病に悩み、終生療養所に隔離されるらい患者を安全に保護するために。らい患者保護法の制定の必要があるとの趣旨であります。これに対しまして厚生省当局より意見を聽取いたしましたところ、近々らい予防法が改正されるので、そのときに是非考慮いたしたいとのことで、本陳情の願意の大体は妥当なものとしまして、議院の会議に付して内閣へ送付すべきものと決定いたしました。  請願第八百十六号國立長野療養所上田分院移轉に関する請願、紹介議員は内村清次君であります。右の請願は、國立療養所上田分院は、旧日本医療團の施設でありまして、本分院は一般任宅を轉用したものなので、設備が極めて不完全である上に、一般民家と隣接しているので、感染拡大の危險性があり、又結核予防の本旨に添わないので、地元民側と病院側と協議の上、療養所として絶好の條件を具備する上田市営の報恩寮の建物を中心として、速かに移轉を実現せられ、地元民の生活安定、患者の完全なる療養生活を営ましめられたいというのが趣旨であります。これに対しまして政府当局より意見を聽取いたしましたところ、この上田分院は旧日本医療團が、戰時中に十万床の拡充計画に基いて、民家を買收して軽症患者を收容するために設置したものであるが、昨年四月より國営に移管して運営しているもので、設備、環境等について療養施設としては適当でないことは了承するが、移轉先の報恩寮は收容人員も極めて少く、且つこれを母体として新設拡充することは、現在の國情としては実現困難であるので、よく実情を調査して計画いたしたいととの答弁でありました。本小委員会としても、本請願の願意の大体は妥当なもの、あるのででできるだけ早い機会にこれが実現に努められるよう政府に要求しまして、議院の会議に付して内閣へ送付すべきものと決定いたしました。  請願文書表第五百十五号、医業類似行爲者のあん摩、はり、きゆう施術禁止に関する請願、同じく請願文書表第七百三十五号、これはいずれも紹介議員は小林勝馬君であります。この請願趣旨は、医業類似行爲者があん摩、はり、きゆう、柔道整腹営業法に定められた療法の類似の行為を行つておるから、同法の趣旨に反しないように、これを禁止されたいというのが趣旨であります。これに対しまして当局に実情を質しましたところ、今までは都道府縣廳において取扱つて來たのでありますが、この方面の專門家がおらず、徹底しなかつたので、今後は各保健所單位に監督することとなつたので、区域的に徹底すると思うとの答弁がありやした。本委員会としては、本請願の願意の大体は妥当なものとして、議院の会議に付して内閣へ送付すべきものと決定いたしました。  請願文書表第七百十七号、國民健康保險事業費國庫補助に関する請願、紹介議員は島津忠彦君であります。陳情文書表第四百三十六号、陳情文書表第三百七十六号、國民健康保險制度改革に関する陳情。右の請願陳情は、いずれも國民健康保險に関するものであり、六月八日委員会において御報告申上げれ請願陳情と全く同樣の意味のものでありますので、本小委員会としましては、前回同樣、議院の会議に付して内閣へ送付すべきものと決定いたしました。  陳情文書表第四百四号、藥務局設置に関する陳情、右の陳情も、前回御報告申上げましたものと同樣でありまするので、本小委員会としては、議院の会議に付して「内閣へ送付すべきものと決定いたしました。」  以上簡單でありますが、医療制度調査に関する小委員会における請願陳情審議の結果を御報告申上げました次第であります。
  69. 塚本重藏

    委員長(塚本重藏君) 只今御報告になりました藤森小委員長の報告を、報告通り決定することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 塚本重藏

    委員長(塚本重藏君) 御異議ないものと認めます。さように決定いたします。本日はこれを以て散会いたします。明日は午前十時より開会いたします。    午後零時十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     塚本 重藏君    理事            谷口弥三郎君    委員            河崎 ナツ君            中平常太郎君            三木 治朗君            草葉 隆圓君            中山 壽彦君            藤森 眞治君            井上なつゑ君            小杉 イ子君            姫井 伊介君            山下 義信君            米倉 龍也君   國務大臣    厚 生 大 臣 竹田 儀一君   政府委員    厚生政務次官  赤松 常子君    大藏政務次官  森下 政一君    総理廳事務官    (恩給局長)  三橋 則雄君    厚生事務官    (保險局長)  宮崎 太一君    厚 生 技 官    (公衆保健局    長)      三木 行治君    厚 生 技 官    (予防局長)  濱野規短雄君    厚生事務官    (医務局次長) 久下 勝次君