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1948-06-16 第2回国会 参議院 厚生委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月十六日(水曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件 ○性病予防法案内閣提出、衆議院送  付)   —————————————    午前十時三十二分開会
  2. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) これより委員会を開会いたします。相当質疑が盡くされたようでありまするが、尚且つ相当質疑が残つておるようであります。一應総括質問をこの程度にしまして、逐條審議に入り、逐條審議終つた後に又総括質問をしたいと思います。その審議の方針は御異議ありませんね。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) それではこれより性病予防法案逐條審議に入ります。第一條について御質問ありませんですか。
  4. 山下義信

    山下義信君 各章別にしたらどうですか。
  5. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) それでは逐條でなく、各章ごと審議を進めます。第一章総則、第一條から第五條までの間。
  6. 中平常太郎

    中平常太郎君 私昨日はいなかつたので、どういうところまで進行しておるか分らないのでありますが、第三條の「何人も、性病にかからないようにつとめるとともに、性病にかかつたときは、速やかに医師治療を受けなければならない。」とありますが、もとよりそこに罰則規定がないのでありますが、道徳的にこれは考えなければならない程度になつておるんでありまするが、この性病に罹かるような人々の道徳性というものは、これは誠に独断的になつて失礼かも存じませんけれども、どちらかというと、性病をあつちや、こつちや蔓延せしめる性病に罹かるという者は、道徳性も聊か高いとも思われないと思うのでありますが、道徳性を主張するこの法案が、そういう階級に、道徳性の高くない階級に、果してこの罰則の一切伴わないところの道徳的だけの制裁で、この法律性病治療を受けるということを励行することはどうかと思うのでありますが、当局の意見はどうでありますか。
  7. 濱野規矩雄

    政府委員濱野規矩雄君) 総則におきましては、只今意見通り何人も、第三國人も入つておるんでありますが、この間大臣もお答えになりました通り、全体問題としましては、あらゆる問題等につきましては、当事者としましては性の予防に関する性教育を十分いたしまして、段々こういう点を高めて行きたい。それから今の本当に罹かりました者は、第六條以下におきまして、逐次そういう問題を取上げておるんでありますが、総則で、そういう意味で書いておるのであります。
  8. 中平常太郎

    中平常太郎君 今の問題で、「受けなければならない。」とあるのは、どういう制裁がそこにあるかと思われるのですが、その点「受けなければならない。」というのは、即ち相当絶対性を持つたものだと思うのですが、道徳的だけに、ああいう言葉が使われて、その保障がつくかどうか。
  9. 濱野規矩雄

    政府委員濱野規矩雄君) これはもう性病なるが故に、普通から行きましても必ず治療を受くべきものでありますけれども、受けなければならないと、こういう式にそれを示したのであります。さよう御了承願います。
  10. 山下義信

    山下義信君 昨日大臣答弁を得たのでありますが、私は大臣の御答弁は一應承わつて置くことにして置いたのですが、個人の竹田氏に多くを求むることはできませんので、その程度にして置きます。併し大臣答弁は即ち政府答弁でありますので、私は重大に玩味して聽いておつたのでありますが、特に大臣の出席を求めました理由は、これはもうすでに本審査に掛かつておるのでありまして、成るべく政府責任者が出まして、この審議の席に列するのが至当であると考えまして要求しました。本日又要求しておるわけなんですが、つきましては今日までの政府答弁の中に、妥当でないように思われるのがありますし、又答弁が明瞭でなかつたような点がありまするので、それらの点につきまして、更に時間を費しますことは、成るべく本員は控えますから、政府の方におかれまして、どこは適当の機会に明瞭にして置こう。あすこは適当の機会に明瞭にして置こう。言い直して置こうということがありましたら、次の機会でいいと思いますから、明瞭にして頂きたいと思います。それが不明瞭のままで審議を進めるということになりますれば、本員は又本員の考がありますことを予め申上げて置きます。つきましては、この第一章でありますが、第一章の所で、私一、二伺いたいと思う。第一点は第一條に「徹底的な治療」ということが謳われてあります。この第一章総則は、言うまでもなく原則でございますから、これが本法案を全部貫くんでありますが、從いまして後に治療々々ということが出て参りますが、これは徹底的な治療ということを指しますことは言うまでもないことである。私は病氣のことはよく存じません。素人でございますから存じません。例えば梅毒などの徹底的な治療と申しますと、相当手間が掛かるのではないかと考えますが、本案の示します治療と申しますことは、徹底的な治療、即ち梅毒で申しますれば、何期というようなことがあるのだろうと思いますが、そういうような徹底的な治療ということを、この本法案の以後の條に出ております治療は指すのでございますか。どうでありますか、その点を伺います。
  11. 濱野規矩雄

    政府委員濱野規矩雄君) 仰せ通り、全くこの治療は不徹底では性病の蔓延上、又その人の生命に及ぼす関係上、これはいけないことなんであります。この予防法に載つておりますことは、全部徹底的な治療と申すこの意味でございます。この総則でございますが、梅毒であれば、これこれということを先般申上げました通り根治という言葉で申上げました。從つて治療半ばの者も亦お医者さんが知つてつて、こちらに來て貰つて治療を続けて行くというような、こういうような、ただ最後に、梅毒のところであればワツセルマンが陰性になるとき、何とかあります。そのときに一々陰性なつたか、又調べて見まして、一遍だけではいけませんので、二遍三遍やる、同時に再び性病に罹からないように注意する。こういうのが入るように思います。さよう御了承を願います。
  12. 山下義信

    山下義信君 よく分りました。それだけの徹底的な治療ということになりますると、診療所に收容いたしまするそれらに対するところのいろいろなやり方、或いは予防というようなものも相当それらが考慮してあるものと考えられるので、その点尚本員は研究して見たいと思いますが、次は徹底的な予防、これ又徹底的な予防ということがある。つきましては第三條に「性病にかかつたときは、速やかに医師治療を受けなければならない。」こういうことがある。これはどういう趣旨でございますか。「性病にかかつたときは、」というのは、どういうわけですか、初めて罹かつたときというものを指すのですか、どういうことですか。
  13. 濱野規矩雄

    政府委員濱野規矩雄君) これは初めて罹かつたときも、現在持つておられる者も、私共両方全部法律施行と同時にお願いしたい。こういう意味におきまして性の教育、その他について努力いたしておるのであります。
  14. 山下義信

    山下義信君 多分そうだろうと思う。所管のものだけを、この法案取扱うということであれば、徹底的な予防ということはできない筈であります。現在この法律が出るまでに、すでに持つてつた者も一應調査をする、この法案にかかることにしなければ予防というものができよう筈がない。併し「性病にかかつたときは」ということになると、すでに罹かつている者を包含することには少し言葉が適当でないと思われますが、どうでしようか。
  15. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 説明員説明さしてよろしうございますか。
  16. 山下義信

    山下義信君 よろしうございます。はつきりしさえすれば、よろしいのですから……。
  17. 石橋卯吉

    説明員石橋卯吉君) 山下委員の申されました議論が、やはり法制局でも行われたのでありますが、この法律施行のときに、すでに性病を持つている者は勿論含む、これはそのときを入れたので、診斷して医師がそう確定した、そのときというようなことで、こういう表現をいたしたのであります。
  18. 山下義信

    山下義信君 これは法文所見相違でございますが、私は「性病にかかつたとき」というのでは、既往症を持つているものを含めるということには、この法文は字句が適当でないと考えますが、それは所見相違でございますから……。尚第四條の、医師のいろいろの義務、権限が與えられてあります点につきましての、医師の法的の性格の問題は、前回の質疑にいたしたのでありまして、これに対しまする質疑は、尚後日に保留さして頂いて置きます。
  19. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 外の御質問ありませんか。第一章でなければ、次に第二章に移ります。第二章についての質疑をお願いいたします。
  20. 小林勝馬

    小林勝馬君 先般御質問申し上げましたときに、二十四時間以内に、文書を以てポストに抛り込んでもいいという御答弁でありましたが、これ程この現在の郵便その他の事情は遅れておりますのに、これを郵便ポストに抛り込んでもいいようなことでは、随分遅れるということは、結局病氣はそれだけ進行して行くということに相成ることかと思いますが、この点につきましての御答弁を願います。
  21. 濱野規矩雄

    政府委員濱野規矩雄君) 医師患者を見まして、これからこれに書いてありますのを一應患者によく話して、お前は治療しろ、こういうふうにして、予防措置を講じなさいということを話して、いつ発病したかということを書く、これは縣知事知つていなければなりませんので、縣知事の方へ、医師が知らせるのであります。患者に対してはその場より治療が行われる。そうしてそれでそこの保健所長なり、医師のところにおいて治療がすでに開始されます。その届出の二十四時間以内というのは、これは要するに二十四時間以内に発信して貰えばいいのであります。こういう意味では余り強いことをいつておるわけではないのであります。さよう御承知を願います。
  22. 小林勝馬

    小林勝馬君 この第六條は、患者はすでに治療しておるというお言葉でございますけれども、「その患者氏名及び居住場所並びにその患者病毒をうつしたと認められる者」云々とありますが、病毒をうつした人はまだ知らないかも知れない、私共はかように存ずるのでありまして、こういうものはまだ放任される形と相成るのじやなかろうかと思います。それから第七條におきまして「その旨を道都府縣知事に届け出なければならない。患者が治ゆし、若しくは死亡し、又はその居住場所を変更したときも同樣である。」、第七條におきますところの患者病氣治つた、乃至は死んでしまつたというような場合であつたならば、これでも結構かと思いますが、前條におきましては、そういうのと大分意味が違うじやないかと思います。この点どうお考になりますか。
  23. 濱野規矩雄

    政府委員濱野規矩雄君) お示し通り非常に傳染の心配の点が多々あります場合には、速かにこれは知らして頂きたいと思います。小林委員のお仰せ通りそういうようなコンタクト・トレーシング、接触者調査、で、患者にこれこれの病氣がありますれば早く知らして頂きたい。私が申上げましたのは、治療その他におきまして、普通の場合であれば二十四時間以内に出して貰らえばいい、若し何かありますれば、それ以上早く出して頂きたい、さよう御承知願いたい。
  24. 小林勝馬

    小林勝馬君 さすれば、先般御答弁にありました、文書ポストに抛み込んでいいという意味で訂正されまして、患者居住場所を、管轄保健所長に直ちに報告するようなふうに解釈してよろしゆうございますか。
  25. 濱野規矩雄

    政府委員濱野規矩雄君) 今の医者患者を診ますときに、非常に急ぐものであればこれは早くして頂きたい。そうでなければ二十四時間以内に送つて貰らえば結構であります。その意味を、私は限界の時間を二十四時間以内ということを申上げたのであります。これにはそうして罰則が附いております。そういう関係でありますから、要するに遅れても二十四時間以内に、早く頂けば早い程結構であります。
  26. 中平常太郎

    中平常太郎君 第六條であります。私の質問することはすでに済んだかも知れませんが、第六條の三行に、「患者氏名及び居住場所並びにその患者病毒をうつしたと認められる者及びその患者病毒をうつす虞がある行爲をして者その他省令で定める事項質問し、」とあります。患者自分の罹かつたことは分つておりますけれども、相手を申さなかつた場合、それから又「患者病毒をうつす虞がある行爲をした者」というのは、患者が接する相手名前を言わなければならんことになります。妻以外の者に対しましては……。併し一々言つて來るとは思われない、この「患者病毒をうつす虞のある行爲をした者と」というのはどう解釈してよろしいのか、そういうことを一々患者医者質問に対して具体的に正直に答えるかどうか、又答えなかつた場合には、その必要項目医者は書かずに、不明と言うてよろしいのか、どうか、この点お伺いします。まだ二、三ありますが、その点だけ差し向き……。
  27. 石橋卯吉

    説明員石橋卯吉君) お答えいたします。患者医者に掛かりましたときに、お医者さんがその点をお尋ねになるのでありますが、この患者がこの医者の尋ねることを言わなかつた場合には、それはもうそのままになるのであります。言わなかつた場合には、ただ虚僞を申立てると、例えば実際と違つた、人を陷れるために、虚僞を申立てた場合には、罰則が末の方に出ております。それから默つて、默殺されたら仕方がない。そういうふうに考えております。
  28. 中平常太郎

    中平常太郎君 それでは質問項目が、悉く医者が書かなくとも構わないわけですね。それはよく分りましたが、次に煩雜なために、この第七條でありますが、医者大変負担を掛けておりますが、これはもつと簡單方法でやれないかと思うのでありますが、「医師は、性病にかかつていると診断した患者又はその診療している患者が、前條の規定による指示に從わないとき、又は他の医師治療を受けている旨の証明書を提出しないでその治療を受けないときは、文書をもつて患者居住場所を管轄する保健所長を経て、その旨を都道縣知事に届け出なければならない。患者が、治ゆし、若しくは死亡し、又はその居住場所を変更したときも同樣である。〕 とありますが、治癒したか、せんかまで、悉く医者が訪問して、調べねばならないのか。病氣に罹かつたときには、割合医者を求めますが、治癒したかしないかまで、一々医者が、どこからどこまで医者が後から追つかけ廻して、治癒したか、せんかということを聽きに廻るということは、多数の患者の中で、これができるかできないか。又死んだか死なないかということまで、医者は、その患者治療を受けるために希望を持つて來た場合はよく分るが、希望を達せられなかつた場合には、死ぬるか、治癒するかの場合には、医者は殆んど関係はない。だからして居所も不明になつてしまうことが多いのでありますが、この治癒し若しくは死んだ者までも調べて届出なければならないかどうか、非常な煩雜なことを医者に求めておりますが、果して、これが実行できるのか、どうかということについて質問します。
  29. 石橋卯吉

    説明員石橋卯吉君) 御尤もな質問でありますが、この性病傳染病に準じて取扱つている関係上、こういう條文が出て來たんでありますが、医者はわざわざその患者を訪ねて、そしてその癒つたか癒らないかを確かめるまで要求したおるのでありませんで、自分診療所を來まして、通つて來ます者について、このことを報告すればいいように考えておるのであります。從いましてぱつたり來なくなつたり、まだ病氣が癒つておらない筈だというような患者に対しては、これを治療して、癒らないうちに中絶したものとして保健所へ届けて頂く。
  30. 中平常太郎

    中平常太郎君 それだけですか。それでは中途で來なかつたら、もう來なかつたと、これは中絶したというだけの通知でいいというので、癒つたという方の場合も、死んだという場合も、場所を変更したときも皆届出よということになつておりますが、これはそういうふうに、その法律を以て届出よと書いてあるのに届出なくてもよい。治癒したものを言わなかつたということであれば、治癒した、死亡したことまで書く必要はないじやないか。そこまで責任を持たす以上は、それだけの煩雜なことを医者に要求してあればこそ、これを法律に明記してあるので、何もその必要がないものを、治癒し又は死亡したことまで届出るということは、法文に現わす必要はないじやないか。ここの書き方が、嚴なるものは嚴に、寛なるものは寛にしたら、それでもいいじやないですか。
  31. 濱野規矩雄

    政府委員濱野規矩雄君) 先程山下委員から話がありましたように、徹底的な治療ということが、法律の全部に亘つておるということは、先程申上げた通りであります。ここで申しておりますのは、全部徹底的な治療治療した医者が、常時患者を見ておつて、初めて治療ということになる、治療も療養ということも、そこで常にできることであります。そういう関係で、医者の手から離れた患者に対しては、そこに來て治療を受けている以上、この必要もないが、場所を変えれば、保健所連絡をとつて、その保健所患者治療するより仕樣がない。自分の所から離れて、外の医者に行つておれば、その医者証明書を出すというとで、徹底的な治療ということで、從つて治療した場合には、そこで判定が附く。先程申しましたように、梅毒であれば、血液檢査で判断する。淋病であれば、尿道を圧搾して、そこから出る分泌物を調べて、それを数回やつて、菌が出なければ治癒という判定をする。そこまで医者がするように、その意味で書いてあります。
  32. 小杉イ子

    小杉イ子君 性病根治ができるまでは、それに対する費用もなかなか大した費用であろうと思います。この案は、性病に罹かつてから、第三條のお終いの方に、「性病にかかつたときは、速やかに医師治療を受けなければならない。」と書いてありますが、性病に罹かつてからの防除法だけに全力が挙げられていると思います。今まで産見制限法まで提案されたこともありましようが、私は良いものの性は勿論奨励する者でありますが、梅毒などは、第一期、第二期などに最も傳染それますので、すでに罹かつた者に対しては、産兒制限と申しましても、器具などを使用して制限することは、最も不可能なことと私は思つております。それでその性病の種類によりまして、去勢する手術をすることが予防防止法であると思いますので、何かこういうふうな文字、文句も法律に入れて頂いたならば、余程これは徹底的な予防法ではないかと思つております。
  33. 姫井伊介

    姫井伊介君 第六條の法文書き方ですが、「医師が」とある。この「が」が非常におかしいと思います。これで行きますと、医師が何々を都道縣知事に届け出なければならないという意味が、若し正しく書くならば、医師が診断にかかつているときには、「その医師は」と入れるべきだが、若しそれを簡約になるときは、「医師は」としなければならんと思います。法文文体上、法文構成上おかしい。
  34. 濱野規矩雄

    政府委員濱野規矩雄君) 医師が届け出るので、「が」の方が妥当だと思います。
  35. 姫井伊介

    姫井伊介君 このときはいいが、診断したときは、「医師が」であればいいが、それから先は、医師方法指示し、事項質問し、届け出ると、こうならなければ、外の文体は皆そうです、「医師は」「都道縣知事に」と、皆あとは「都道縣知事は」、「医師は」とある。ここの文体構成がおかしい。
  36. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) これは一つ我我の方で、あとで考えます。
  37. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 第六條、第七條については、すでに御質問がありました。併し更にその御質問に対する御答弁が徹底しなかつたと思いますが、第六條では、医者が診断して、その性病に罹かつている場合に、保護者に対して、性病治療に関して必要なる指示をする。それからその患者氏名住所、或いはうつした者、或いはうつす虞れのあつた行爲をしたという者を、二十四時間以内に文書を以て都道縣知事届出る。若しくは届を出さなんだら、医者を三千円の罰金に処し、若しくは虚僞答えをした者は六ヶ月以下乃至二千円以下の罰金に処する。これは相当重い処罰を受けることになつている。併し先の御答弁では極くそれは簡單に済ますようなお話でありまするが、これは性病根治のために、うつした者を調べるということが一つ必要でありましようが、余程これは困難なことであるのではないか、併しそれを成るべく調べるというおつもりでこれはお書きになつておるのだろうと思います。それを具体的にやつて行く場合に、ただこれだけで徹底的治療予防というものに役立つかどうかということと、第七條では、性病に罹かつていると診断し、又は現に治療している者が、その今のような指示に從わないときには、文書を以て保健所長を経て届出す、又医者が出さない場合には三千円の罰金を科する、こういうことで、この場合には時間的制限も何もない。前の場合は二十四時間という特に時間的な制限を設けておりますが、後の場合には別に時間的な制限は設けておらないが、それは時間的制限を設ける必要がないのか、ないならば前の場合でも別に、特別に時間的制限を加えんでも、普通の取扱方で、常識的な取扱方でやつて行けるのではないか、時間的制限を設けるなら、後の方にもやはり何がしかの時間的制限が必要ではないか、こういうことを考えられるのでありますが、これに対する政府の御答弁を承わりたいのであります。
  38. 濱野規矩雄

    政府委員濱野規矩雄君) 御尤もな御意見でございまして、接触者を掴えるということが極めて重大なことであります。これは先程課長から御説明申上げましたように、虚僞の者だけは困るのでして、それでなければいいのでございますが、第七條の問題の時間的のもの、これははつきりとここに書いた患者が來て、これこれと診断した時は第七條に若干開きがありますが、大体第六條に準じて貰いますように、医師その他には連絡をいたすのであります。ただ一つのモメントをはつきり掴み切れませんので、大体速かに二十四時間以内に分つたら直ぐ出して貰いたい。これを希望して医師会の方にはよく傳えたいと存じております。又そういう式に指導して行きたいと思つております。
  39. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 今のところで、ちよつと関連して明らかにして置きたいことは、昨日藤森委員質問に対して、この第六條の患者住所氏名届出、或いはその他「病毒をうつしたと認められる者及びその患者病毒をうつす虞がある行爲をした者その他省令で定める事項」について質問があつた場合において、局長は、その届出虚僞届出であつてもいいのだという答弁がありました。今日又中平委員質問に対して黙殺の場合は差支ないのだ、こういう答弁があつて、極めてこれは曖昧に取扱われております。それにも拘わらず、今草葉委員の御指摘になつたように、罰則の方では第二十九條に、虚僞答えをした者に対しては六ヶ月の懲役又は二千円以下の罰金に処す、それ程ルーズに取扱つていいようなものに対して罰則が非常に重いが、その間はどういうふうに、どういう者に対して罰金を附けるのですか。
  40. 濱野規矩雄

    政府委員濱野規矩雄君) 誠にお示し通りちよつと不明瞭でありますが、順を追つてこれを一括して申上げると一番分りいいのであります。たとえて申上げますというと、ここに夫婦なら夫婦間で参りましたときに、非常に家庭的の問題でありますれば、その家庭の人達の名前を強いて言わんでも、默殺してもよし、又差支がなければ虚僞名前を申してもいいけれども、ただその虚僞悪意があつて、第三者の名前言つて人に迷惑を掛けたときには、今言つた通り罰則を掛ける、悪意でなく、どうしてもこういう祕密のことでありますので、若干違う人の名前を言い、又そういうような家庭的の問題がありますれば、そういうことは一向差支ない、こういう意味で申上げました。それから今度本当に今の商賣人その他の場合でありますれば、これはどんどんと一つ言つて頂きたい、こういうところに差があるのであります。この間質問のときに、それに対しまして実は答えましたが、そういうことになるわけであります。さよう御了承を願いたいと思います。
  41. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 只今の御答弁によると、虚僞の内容を二通りにして、そうして一方においては無罪になり、一方においては有罪になるという、如何にも極めて法文的な解釈としては、我々の常職から考えられん御答弁でありますが、併しやはり虚僞答えをした者は、事の如何を問わず虚僞だ、それを法的に罰するなら、やはり六ヶ月乃至二千円の罰金ということになるのは法文上明瞭なことであつて、ただそれを取扱うのに、どういう手心を加えるかということは別でございましようけれども、法の取扱いとしては同一である。從つて特に私は性病の徹底的予防という立場から、甲の男が乙の或る女から病氣をうつされた。或いは乙の女が病氣になり、それがいろいろな方面に関係しておつたというのを專門的に研究されて調べて來る。そうすると、その住所氏名というのは、恐らく普通の場合は虚僞を申立てることが多いんじやないか、ただ莫然と、いや、何処そこの「らく町」でこういう男でございましたとか、何の某であつたとかいう、でたらめを言うような場合が多いので、そういうのをはつきりとするために、今後そういう方面の取扱等についても、はつきりと住所氏名相手方が相手に聽いて、それから折衝に掛からんならんということになると思います。そうしないと、若しや仮に間違つておつた場合には、六ヶ月乃至二千円の罰金なり、体刑なりに処せられますので、これは政府が御答弁されるような、模糊曖昧としたようなことではいかないと思いまするし、又純良な家庭においても、仮にそれが虚僞であるという断定を下された場合には、やはり体刑なり、或いは罰金なりというのが残されておりまするから、場合によつてはそういう処置を受けるということになりはしないかと思います。それからこの場合に二十四時間の制限を設けたのは、第二十二條によつて、いわゆる当該吏員をして調べしめるためであるというために、二十四時間という時間の制限を設けて、第七條にはそういうことがないから、時間的制限は必要ないというようなことと引つ絡んで、この二十四時間ということが起つて参るかどうかということなんであります。
  42. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) ちよつとこの際皆さんに御了解願いますが、予算委員会の方の速記がなくて審議が進められないということでございますから、速記を外すことを御了承願います。速記を止めて。    午前十一時十一分速記中止    —————・—————    午後零時十五分速記開始
  43. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 速記を始めて、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十六分散会  出席者は左の通り。    委員長     塚本 重藏君    理事            今泉 政喜君            谷口弥三郎君            宮城タマヨ君    委員            河崎 ナツ君            中平常太郎君            三木 治朗君           池田宇右衞門君            草葉 隆圓君            中山 壽彦君            木内キヤウ君            小林 勝馬君            小杉 イ子君            姫井 伊介君            山下 義信君            米倉 龍也君            千田  正君   政府委員    厚生政務次官  喜多楢治郎君    厚生事務官    (予防局長)  濱野規矩雄君   説明員    厚生事務官    (予防局防疫課    長)      石橋 卯吉君