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1948-06-10 第2回国会 参議院 厚生委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月十日(木曜日)    午前十時三十九分開會   —————————————   本日の會議に付した事件兒童福祉事業に關する請願(第七百  三十號) ○兒童福祉事業豫算増額に關する請願  (第七百三十六號) ○教員の恩給増額に關する請願(第二  十四號)(第三十九號)(第五百十  八號)(第七百八十六號) ○恩給竝びに扶助料増額に關する請  願(第三百二十三號)(第六百四十  四號)(第六百四十七號)(第六百  八十一號)(第七百五十三號)(第  七百七十七號)(第七百八十五號) ○恩給増額に關する請願(第五百十九  號)(第七百七十六號)(第七百九  十八號)(第八百三十號)(第八百  七十九號) ○教職員の恩給増額に關する陳情(第  四十九號) ○恩給及び扶助料増額に關する陳情  (第八十一號)(第二百二十六號) ○請願及び陳情を小委員に付託の件   —————————————
  2. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) これより委員會開會いたします。藤森委員から發言の要求が出ております。それは前囘の委員會におきまして、醫療制度に關する小委員會報告を、小委員長藤森氏からなされつつあつた時に、途中で發言を中斷したことについて、議事進行發言が求められております。
  3. 藤森眞治

    藤森眞治君 一昨日のこの委員會におきまして、私が醫療章度に關する小委員會に付託されました請願陳情審議經過とその結果を報告しておりました途中、たまたま委員長から厚生大臣藥事法案提案理由説明のために、本委員會出席されたという理由で、私の發言が中斷されました。そのことにつきまして、その際一應委員長に御質問申上げて、そうして御答辯も得たのでありますが、その御答辯の要旨なり、その時の會議の模様を速記によつて調べて見ましたが、遺憾ながら私には若干納得しにくい點がありますので、一應先達ての質問で打切るつもりでおりましたが、再度ここに御質問申上げたいと存じます。殊にこの委員會の時間も少く、この際各委員に御迷惑を掛けることは、甚だ申譯ないのでありますが、委員會における委員發言重要性ということを考えまするがために、敢えて本日再び質問を申上げる次第であります。  私の質問は、先ず三點につきましてお尋ねいたしたいと思います。私は請願六百三十一號について、その請願趣旨を述べておりました際、私の席の前で草間專門調査員が來て、簡單にして下さいという発言がございました。これは速記には載つておりません。これは委員長が命せられてこういうふうに專門調査員が來られたのか、或いは專門調査員獨自の考えで、私の發言中にこういう發言をされたのでありますか、この點を一應明確にお答え願いたい。  それから第二といたしましては、私は今申しました六百三十一號の請願趣旨を述べて、やつと請願趣旨終つて請願趣旨の結末に「速かに衞生組合法制定をせられたいというのが趣旨であります。」とここまで述べました時、まだその後に小委員會報告の結果は申しておりません。そのときに、委員長から私の發言を中止して、そうして大臣發言を許すということを委員会に諮られたのでありまするが、御参考にその時の速記を讀み上げて見ます。請願六百三十一號で、私が衞生組合法制定請願趣旨を述べまして、先程申しましたように、「速かに衞生組合法制定をせられたいというのが趣旨であります。」と。そこで委員長は「皆さんにお諮りいたします。大臣がお見えになりましたが、閣議關係であるので、説明を先にさして呉れとのことであります。委員長報告を後刻に述ばすことに御異議ありませんか。」それで「異議なし」、私は「それじやこの請願だけ終つて置きます。」ところが委員長は、この私の言葉にも拘わらず「この際藥事法案審査に……」というので、藥法珍の審査の方へ進めておられます。それで私が「委員長、これが中途でありますから、これだけ終る間待つて下さい。」それで委員長は、「それではもう少し……。」それから私は「續けます。」と、これで私の六百三十一號は終つて、それから大臣説明があつたのであります。その速記は、大臣提案理由が終りますと、直ぐに委員長は「只今大臣から提案説明がありましたが、相少し詳しく久下次長から説明を願いたいと思います。御異議ありませんか。」こういうことで、直ぐに大臣發言に引續いて、久下政府委員説明を求められております。それでこういう次第になつておりまするので、私は大臣發言についても、先ずこの委員會開會宣言の時、委員長から、或いは大臣出席した場合には私の發言を止めるようにというような、何かの宣言があつたかと存じまして、これは速記で、調べて見ましたところが、委員長は「これより委員會開會いたします。日程に上して置きました薬事法案につきましては、間もなく大臣出席して、提案理由をお述べになるようでありますから、暫くあとに廻しまして、この機會醫療制度に關する小委員長報告を求めます。」と、こういうふうに宣言されております。それで私は請願陳情審議報告をいたしました次第でございます。假にも請願陳情報告をしております際、これが一段落もまだつかない、一件が片が付かないその途中において、如何ような事情がありますか知りませんが、この發言を中止されるという委員長のお計らいは、果してこれが當を得ておるかどうかということに、非常な疑義がありまするので、殊に議員の發言の權利ということを考えます際に、今後我々が委員會の運営又議事進行上について、餘程委員長の御決心を承つて置かないことには、我々は議事進行の上に、甚だしい不安を持つようになるのであります。殊に久下政府委員閣議に參列する筈でないと存じまして、この發言が、大臣發言に引續いて行われたという点もよくお考えを願いたい。  私は平素委員長が非常に公平に議事を進めておられるということに對しては、敬意を表しておりますが、この敬意を表しておる委員長として、この只今私の申しましたことにつきまして、十分御熱意の上、賢明な公平な御答辯なり、御解釋を願いたいと、こういうふうに存じます。  この久下政府委員發言を許されたことにつきましては、これは私の質問の第三點になるのであります。今後においても、いろいろな場合、緊急の發言が、閣僚或いはその他から求められることがあることは、我々もよく承知しております。併し最初發言を許して、而も委員長から、報告を求められたのであります。この發言が終らない内に許された。大臣のみならず、政府委員までこれに對して發言を許されたということには、私は若干これも納得いたしかねる。こういう大體三点であります。  私は只今申しましたように、委員長にはいつも非常な敬意を表しておりまするが、敢えてこういう發言をいたしまするのは、今後我々の審議の上に重大關心を置かなければならん立場から申上げるので、別に他意あつて申上げるのではない。できますならば、ここで御答辯を承われば結構ですが、若し速記を十分お調ベの上で、そうしてその上の御囘答ということでありましても、結構でございますから、その節には、速記を十分御覧下さるようにお願いしまして、私の質問を終ります。
  4. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) ちよつと私からお答えして置きたいと思います。藤森委員只今の私に對しまする質問に對しまして、お答えいたします。  先ず第一に、速記にも含まれておらない議事進行についての事情を一應お述ベしまして、御了承を得たいと思うのであります。開會の劈頭にも、一言速記に殘つておりまするように、實は公報に載つておりまする順序で進めたいと考えておつたのでありますが、成るベくこの法案説明大臣出席が望ましいと、こういうことで、大臣出席を要求しておつたのであります。大臣出席方を人をして交渉させたところ、閣議の関係で、今暫く遅れるから、もう暫くしたら出席するから、こういうことであつたので、議事進行をどうしようかと、實は考えておりました時に、事務の方から、丁度この機會報告を受けられては、小委員會報告を受けられてはどうでありますかという相談がありまして、そこで而もそれは時間がどのくらい要するだろうかということを豫め尋ねたところ、大體五分か六分あれば濟むと思います。こういうことであつたので、私の心の中では、五分や六分くらいでは、大臣は或いはお見えにならないか知らん。それで藤森委員長報告が濟んだ後にも、尚空白な時間ができるのではないかというようなことを、實は心の中では心配して、その間をどういうふうに埋めて行こうかというようなことを考えたりなどをしておつたのでありますが、とにかくそういうふうに、短時間でできるならば、この機會報告を承つて置くことはよかろうと、こう考えましてあんなに早く大臣出席になるとは思わず、大臣出席になるまでに、十分報告は終了せられるものという拜断を下しまして、委員長報告を、小委員長報告を求めた次第であります。ところが想像よりも早く大臣出席がありまして、聞くところによると、閣議半ばであるということで尚更に厚生大臣として、閣議發言すべき重要な案件を殘しておいて、ちよつと待つて呉れということで、中座をして來た。できるだけ早く提案理由説明をさして貰えないかという、こういう大臣お話でありましたけれども、藤森委員の抑せのごとく委員發言中、これを中絶するということは、容易なことでないということでそのまま、最初に五分か六分で濟むということも聞いておりましたので、そのうちに濟むだろうとまあまあと言うて大臣を引留めておつたのでありますが、大臣は、何かいたたまらないような樣子が見えるところがありまして、そこで藤森委員の言われる、速記には載つていないが、專門調査員が來て、何か交渉になつておるということでありますが、私はその時にはなかなか相當長くかかるのじやないかと考えましたし、いや、もう直ぐ濟みますよということを言われたのでありますけれども、併し今まだ請願についての報告中であり、あれが終つて、尚陳情の方の相當報告が長くある筈であると私は考えましたので、これこれのまだ報告があるから、相當長くかかるのではないか、こういうことを話したのであります。そこで專門調査員藤森委員の所へおいでになりまして、なにかをお確かめになつたようであります。それから私の所へは、相當長くかかるから、中絶してもいいとおつしやつておられますと、こういう報告を受けましたので、始めてそういうことである御意思であるならということで、途中でありましたが皆さんにお諮りいたしたようなことで、その後の經過は、大體速記録でもお讀みになつた通りであります。私も、委員發言というものの尊重しなければならん點は、國會法にも定められておるところでありまして、よく了承いたしておりますが、そういう各般の事情の下に、委員會にお諮りまして、委員會同意を得て、途中で大臣説明を求めたような次第でありますから、決して委員發言を輕視するといつたよう氣持は毛頭ありません。そういうような事情で、あすこでああいう取計らいをしたのだということを御了承が願いたいのであります。  それから最後に、大臣説明後に、更に久下政府委員説明を求めたということは、今仰せの通り取扱いとしては、私としては、今考えて見れば、甚だ遺憾なことであつた考えますが、これも併し皆さんにお諮りいたしまして、説明を求めたのでありましたが、今考えますと、それは更に委員長報告が濟んだ後においても行われることであつた考えます。その點は、取計らいといたしまして、私に至らん點があつたことを陳謝する次第であります。尚皆さんにお願いいたしますが、できるだけ失態のないように、よく考えてはおりますが、時にかようなことが、今後ないようには努めて參りますが、時に私の氣付かない、又至らん點で失策があるかも知れませんが、その點は是非委員各位において委員長の過ちなきように御協力下さることをお願いいたします。あの場合にも一々お諮りいたしたのでありますけれども、異議なく皆さんの御同意を得たので、ああいう取計らいをいたした次第であります。今後は努めてそういうことのないように、私も努めて行きたいと思います。皆さんにも一段のお力添えを切にお願いいたします。
  5. 小杉イ子

    小杉イ子君 毎度見ることでございますが、その時も政府の係員が時も待たず押掛け、突掛け發言中に、委員長に申されまして、委員長としては止むを得ずされたことであつたと私は思います。併し提案者に取つて説明中にこういうことになるということは、實に残念この上ないことでございます。併し藤森先生はその時に三囘自分の説明あとでよろしいと仰つしやつた、それで私は何の不滿もなくお讓りなさつたものと、こう思つておりました。それがあとからこうして沸騰するということは意外に考えまするから、成るべくよろしく御了承願いたいと私はこう思つております。
  6. 小林勝馬

    小林勝馬君 この問題は私がくどくど申上げるまでもなく、皆さん承知のことと思いますが、一つ私としまして申上げて置きたいことは、私共列席いたしておりました委員一同にも落度がありますし、委員長一人を責めるわけではありません。併し小委員會審議竝びに結果報告を今後とも一つ重要に取計つて頂きたい。各委員が賛成をされて、大臣發言を許された問題でありますために、委員長をどうこう、というのではなくて、今後そういうような問題も又あり得るかと思いまするが、政府當局に一々先鞭を付けて、委員發言は後廻しにするというような先例を殘さないように、今後委員長におかれても善處せられんことを要望いたします。
  7. 中平常太郎

    中平常太郎君 私も小林委員と同感でありますが、この點につきましては、藤森委員に對して、我々列席の委員といたしまして、誠にお氣の毒に思い、又將來考えなければいかん問題だと痛切にあとから感じたのであります。久下委員最初の問題は、まあ私も認におつたのでよく分りましたが、あとからやつてもいいというお言葉がありましたので、それを議場に諮られたという手續的の問題につきましては、相當委員長として愼重になつておられるようでありますが、大臣あと久下政府委員説明などは、そんなことを言つては悪いのでありますが政府委員はそこにおられるのでありますから、これはあとでやつて貰つて、直ちに、斷絶しておるところの大切な報告を受けるベく委員長といたしましては、藤森委員發言を繼續せしめるベきだつたと思うのでありまして、それを又委員會にお諮りになりましたのでありまして、立憲的のごとく表面なつておりますが、委員長としては、その點は只今遺憾な点を表されましたので、私はその點は何も追求はするわけではありませんが、我々參列の委員といたしまして、異議なしとやつたのは、これは誠に反省の點が足りないと痛切に感じまして、藤森委員に對してお氣の毒に堪えないのであります。これはもう一つ今後はどうぞ我々もよく考えるのでありますが、藤森委員もお氣に入らんことがありましたのでありましようが、どうかこの點は御了承下さいまして、早速次の問題に移させるように藤森委員の御寛恕をお願いいたしたいと思います。
  8. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 只今私共がお聽きいたしますれば、藤森委員の申されたことは、議事進行上遺憾ないように今後處置を取れということであると私は思います。決して委員長の不信任の意味でなく、眞に委員會の運用を圓滑ならしめ、議事を處理する上においての發言であろうと私は思います。而ういたしまして、委員長の御答辯の上において、長々しくいろいろ進行できなかつたと申される言葉がございました。委員報告におきましても、質問においても要點をおのおの言うのではありますけれども、長々しく進行を多少遲らす、阻害するようでありましては、よろしい委員長はやはり懇談的に注意をして、議事進行を圖るのが、當然であるとかように思うのでありますが、この點各委員のよく御了解をお求め下さいまして、今後議事の御進行を圖ることをお願いし、本問題は兩者共に御了解の上この程度で打切りを願いたいと思います。
  9. 藤森眞治

    藤森眞治君 私の發言に對して只今委員長から十分な御説明を頂きまして、私はよく諒といたします。尚中平小林委員から御發言を承りまして、今後氣をつけて頂くということは我々共に氣をつけることでありますので、甚だ長い時間をこれに費しましたことについて誠に御迷惑であつたと存ずるのであります。尚小杉委員から、私が、私の方から止めてもいいということを言うたというお話でございますが、その通りでありまして、これは速記録にも載つております。これはあの時の事情で、私は續けて發言をしたいのでありましたが、私の方から發言を中止するということにしなければ、あれが收まらないために、私の方から一應止めたいということを申上げた次第であります。それから尚只今池田委員からの御發言御尤もでございまして、但し私は委員會報告におきましては、前に專門調査員に十分に調べて貰い、私自身も了解を得まして、そうしてできるだけ簡潔にいたしたつもりでございます。これは速記録をお讀み下さればよく分ることと存じます。悪しからず御了承を願いたいと思います。
  10. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 皆さんからいろいろ御發議がありまして、大體諸般の事情がお分りになり、御了承願つたことは感謝に堪えません。ただ一言にこで私の氣持も申上げて置きたいと思いますが、最後藤森委員ができるだけ簡潔にしたつもりであるというお話もあつたのでありますが、私としましては、今もこの委員會が始まる前に專門調査員お話をしておつたことでありますが、小委員會には速記録がないことでありますから、小委員長報告はできるだけ十分して頂かなければならんということを話し合つてつたようであります。そういうのが私の氣持でありまするから、十分小委員長報告は尊重して、十分な報告をして頂くという私の氣持であるのでありますから、小委員長におかれましても、そのつもりで報告原稿をお作り下さることをお願いいたします。相濟みませんでした。  それでは法務廳からも見えておりますので、前囘に問題になつておりました請願第七百三十號、請願文書表第七百三十六號、この兩請願に關しまして、兒童福祉問題に關しまする審議に入りたいと存じます。この際法務廳關係に對しまする質問のある方の御發言をお願いいたします。
  11. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 兒童福祉に關する請願の第五として、兒童福祉行政兒童福祉法により統一せられたい、こういう一項を請願されておるのであります。兒童福祉法は滿十八歳未滿の兒童にすべて適用されるものでありますが、犯罪少年裁判所法により裁判に俟つことは當然でありますけれども、それ以外の兒童處置に關しては、すべて兒童福祉法により統一的取扱いをなされるように願いたい。從つて兒童福祉法制定に當りましては、その附則において、この問題が相當論議されまして、犯罪少年は別でありまするが、その他の者に對しては、兒童福祉法施行によつて兒童福祉行政を大體これによつて統一する方針の下に政府も進んでおり、又當時の司法省におきましても、且つ又厚生省におきましても、大體その意見が一致しておつたと存ずるのであります。然るに最近巷間に傳えられるところによりますと、更に法務廳は、この虞犯少年或いはその他廣範犯罪的と申しますか、そういう點に關連した少年までを全部含めた立法の御計畫があるように承わつておりまするが、そうなりますると、兒童福祉行政が更に二分されまして、折角、從來司法省厚生省とが兒童に對する立場上の觀點から、ややもすると二重行政になつておりますのを、兒童福祉法施行當つて漸く一本になつたのが、又々盛返すというような状態になるのではないか、こういう點につきまして、法務廳のその御計畫なり、或いはそれに對するお考え等をお洩らしを願つて、この請願の第五に對する審議の重要な私共の資料といたしたいと存じますから、この點をお尋ねいたします。
  12. 松永義雄

    政府委員松永義雄君) 只今の御質問に對しまして、法務廳の見解をお答えいたします。兒童福祉に關しまする行政ができるだけ統一的協力に進むことが望ましいことは勿論でありますが、現在の建前からいたしますと、學校の場における兒童福祉は、福部行政に、工場の場における兒童福祉勞働行政が分擔しなければならないということも規定しなければいけないわけでございます。又最近の少年犯罪の悪質なものが非常に激増しておる状態から見まして、刑事政策的な見地からいたしまして、犯罪を犯した少年、又はそのまま放つて置けば犯罪を犯す危險の著しい、即ち程度の高い虞犯少年を、いわゆる司法保護によつて處理することも必要であると思つておるのであります。又兒童福祉法におきましては、御案内のように、本人又は親權者の意志に反して福祉措置を強制することは認められないところでありますから、かかる少年事件につきまして、專門の裁判所を設けまして、これをして判斷決定をなさしめて、裁判強制力を利用して、兒童福祉機關が強力な措置を行うことも現在の實情から見まして極めて必要だと思つておる次第でございます。以上のような見地からいたしまして、現在の建前からは、各機關が相協力してその窮極の目的を達成するのが最も必要であると思つておる次第でございます。
  13. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 私の御質問がまだ徹底しなかつたかも知れませんが、勿論兒童福祉法施行されましても、教育行政に對する文部省の少年に對する態度、或いは勞働行政に對する勞働省の少年に對する態度というものは、勿論殘されておる問題でありまするが、言うところの兒童福祉法の問題からいたしますると、いわゆる犯罪少年は、これは當然從來司法關係、いわゆる法務廳關係において處理することは當然でありますが、今囘法務廳において案を練つておいでになるという噂がありまする少年法というものを檢討して參りますると、むしろ兒童福祉法の分野の殆んど八割までは入つておるような状態ではないか。第一家庭裁判所の審判に付する中に、刑罰法令に觸れる行爲をした少年、これは當然でありましよう。併し、それ以下第二から第六までの保護者の正當な監督に服しない性癖のある少年なり、或いは家庭に寄り付かず、又登校、出勤の常でない少年、又は他人の徳性を害する行爲をする性癖のある少年なり、又は交友關係、趣味、娯樂等の著しく悪い少年なり、或いは保護者に遺棄され、又は保護者から虐待等著しい冷遇を受けておる少年なり、それから保護者少年の衣食、衞生、教養に關して適當な配慮をしない無關心少年とか、保護者の不道徳な性行のために、家庭が著しく亂れておるような少年というものは、現在すでに兒童福祉法によつて、それぞれの處置をなし得ることになり、又なすべきことが兒童福祉法の眼目であると存じますのに、只今お話のように、法務廳において更にそういうものでも擴げておやりになるということになると、兒童福祉法を新らしく設けた趣旨に、むしろ或る意味において反しもし、或る意味においては、却つて曾ての司法行政と、それから厚生行政との混亂を再び來すような情勢になつて實際少年の見方というものは、兩方からおのおのその立場において、兒童福祉法なり少年法によつてやられるということになり、この弊害を除去するために、我々は長くこれをいろいろ研究をし、漸く兒童福祉法によつてどうやら一本になりかかつたところを、更にこれを法律廳において新らしくお取上げになるということは、矛盾をいたしておるのではないか、かように考えるのであります。この點を、私は法務廳の政務次官にお尋ねをいたします。
  14. 松永義雄

    政府委員松永義雄君) 只今承知通り法務廳におきまして、少年に關する裁判所法律の立案に當つているのでありますが、その法律の中に、實は今までは十八歳以下の者を取扱つてつたのでありますが、ところが今度の法律は、十八歳以上二十歳までの少年を含めましまして取扱うことになりました。從つて兒童福祉法の豊らざるところを補うという結果になつて行く次第であります。
  15. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 只今お話では十八歳以上の、むしろ兒童福祉法ではやれない子供、兒童少年というものをこの法の對象としてお考えになつておるようでありますが、この一つ駄目を押してお尋ねをいたしたいと思いますのは、兒童福祉法の今までの建前というものはそのままにして、その中でいわゆる犯罪少年だけは少年法でやる。それ以上のものは兒童福祉法の年齢までは手をつけずに、それ以上のものを少年法でおやりになるということでございましようか。私の案を見たところによりますと、むしろそれ以下の子供まで、それ以下の年齢までを延ばそうとしておいでになるというように案では見えておりますが、それで間違いございませんか。
  16. 松永義雄

    政府委員松永義雄君) その點でございますが、先程申上げましたように、程度の高い虞犯少年司法保護の點から新らしい法律取扱つて參りたいと考えておる次第でございまして、これは私個人の見解と申した方がよいと思いますが、少年の取扱に對して科學的と申しましようか、極めて細分化して、それぞれの少年の性格を見て、そうしてこれは原生事業に移すべきものなら移す、或いは保護事業の方に移すべきなら移すということを細かく少年を見て參りたいと思います。そうしてこれはどうしても犯罪を犯す虞れ危險があると、こう思われるようなものは、それに相應する教育をする、さして行つた方が然るべきではないか、こう考えておる次第であります。
  17. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 どうも一人で時間を取りまして恐縮でございますが、これはよくお考えを願いたいと思いますが、兒童福祉法によつては御案内のような兒童相談所というものを相當國費を掛けて今度やつておりまして、只今お話のようなことを全部取扱うことになつておるのであります。ただ犯罪少年當然これはあなたの方のいわゆる法務廳關係において處理をするのは當然でありますが、そうじやないどうも性行の少しおかしいような者を全部家庭裁判所なり、その他のいろいろ裁判所系統においてやるということは、この前の國會において相當論議を盡した結果、それじやどうも面白くないから、社會政策的の社會事業的の兒童福祉法の根本の建前からやろうというので出發したのであります。だから一方司法少年的な立場でなしに、一方社會政策的な社會事業的な立場でこれを直して行く。勿論その間に兩方の連絡なり、或いは協力なりというものは十分なしながら進んで行かねばならんことは勿論でありますが、併し國家の建前としては、兒童福祉法を昨年作つたときにおいてはそういう建前を採つて來た。それで私は今先のお話で十八歳以上だけをやるという場合においては、それはいわゆる兒童福祉法の足らざるところ、法において缺陷があるところを今度やるということについては、これは結構だと思いますが、兒童福祉法の分野まで入つて、更にいろいろな少年、或いは虐待少年、虐待少年等のごときは以前は兒童虐待防止法があり、現在におきましては兒童福祉法の中にそれを全部包含して十分な方法を点てるという建前になつておるのを、更に今囘法務廳において重複した國家の行政を行うかごときことを再び繰返することは、これは最も國家の現状において戒しむべきことである。折角改正して行つたの法律廳がかような觀點からお取扱いになるということは、國家のために不利益になるのではないかと私は考えるのであります。それでこの點は犯罪少年につきましては、これは勿論當然であります。ただ虞犯少年と申しましても、兒童福祉法によつてなし得るものを、更に司法少年的な系統においてこれをなすということは、むしろ逆行する状態になりまして、それでさような點は今度お考えになつておりまする分野からはつきり除いて行くことが、假に文部省、勞働省、厚生省、司法省、とありましても、國家という立場から考えたらダブツておる點は一つ改めて、そういうものを取り除いて案をお作りになる、又御提出になるということが必要ではないか、かように考えるのでありまするから、誠に重復した點もありまするけれども、重ねてこの點を申上げ、又御意見を拜承したいと思います。
  18. 松永義雄

    政府委員松永義雄君) 只今の御質問に對しては我々も考慮いたしておるところでございますが、最近、まあ御承知通り、くどくどお耳に達する程のこともないと思いますが、とにかく青少年犯罪が非常に多いのでございますし、尚又青年少が犯罪を犯す虞があるのでありまして、これらの少年をよく見分けまして、そうしてできるだけ親切丁寧に處置する必要があるということを痛感いたしておるのでありまして、飽くまでも虞犯少年取扱つて參りたいという考を實は持つておる次第でございます。ただ裁判所にしましたところが、少し言い過ぎた言葉かも知れませんが、神樣でもありませんし、その取扱について當を得ないということも考えなければならんのでございますので、とにかくそうした青少年に對してはできるだけ區分的に、分化的に取扱うために、實際の面におきましては從來の厚生省兒童相談所と打合せしまして、そうして家庭裁判所が誤りを犯さないように十分な、愼重な態度を取つて參りたい。こういうふうに考えておる次第であります。
  19. 中平常太郎

    中平常太郎君 只今の松永次官の御説明でありますが、この兒童福祉法ができましたその分野に立入られて、そうしてその中で選擇をして差支ないものだけを兒童福祉法に廻わそうというお話であつたのでありますが、我々は全くその反對で、兒童福祉法に十八歳以下の者は兒童福祉法に廻し、その他いろいろ觀察をやつて、尚且つそれで御し得ない悪い者は裁判の方へ廻すという方が至當である。だから裁判所の方から廻して貰つて、それを我々の方がお受けするというのでなくて、兒童福祉法の方で十分愛の手を以てやつてまだいけない者、乃至その手の届かない部分は少年裁判所の方に廻すという建前であるべき筈であると思うのであります。御承知でありましようが、フラナガン神父の問題にしましても、虞犯少年をあれだけ何百何千の者を入れて少年の町ができておりますが、悉く改過遷善の途を辿つているのであります。フラナガン神父の話では、一人も少年に悪い者はない筈だ、還境が悪いんだとちやんと言うておられます。我我もそれについては絶對に共鳴をするのであります。とにかく兒童福祉法の豫算は削つて、あちらこちらの浮浪兒を收容し、或いは精神薄弱兒を收容する設備を完備する方に廻し得ずして、それに對する必要な經費を國家が惜しんで、その状態の下において悪い少年裁判所へ廻そうというならば、これは實にどうも何ら兒童を愛と熱を以て訓化しようという氣持一つもないと言うてもよいと思うのであります。元來國家が少年の悪化することを直そうとするならば、やはり兒童福祉法一本に縋らなければならん、縋つてその豫算を何億か取つて十分に施設を作つてそれに收容しなければならんにも拘わらず、その方に何もせずして置いて、少年の悪化するのを裁判でとつちめるというのは、極めて下手な不經濟な、一生を通じて悪人を製造するというような結果を見るのでありまして、いわゆる抜本塞源ではない、むしろ兒童福祉法一本に縋つて、愛の手を以て兒童を教養して、尚且つ止むを得ないものが漸く止むを得ず裁判にかかるというのが、これが國家本來の取るべき兒童に對する愛の手であると思うのでございます。だからして將に少年法を作つておられる今日といたしましては、極めて大切な時期でありますが、先程草葉委員の言われた通り、これはどうしても兒童福祉法が根本となつて尚且つ足らないところだけを少年法に移すという建前であるから、十八歳までの者は一應全部兒童福祉法で取扱う、その中で極めて悪い者だけを少年法に持つて行こうというような方針の下に、法務廳では法案の御編成あらんことを希望するのであります。
  20. 松永義雄

    政府委員松永義雄君) 只今少年につきまして非常な御心配を頂きまして、その豫算が少な過ぎるじやないかという點につきまして、私も極めて同感に存じている次第であります。これは私が最近まで辯護士をやつておりまして、幾多の青少年犯罪を取扱うにつきましても、如何にもそうした罪の原因ということについていろいろ考えさせられたことがあるのでありまして、これは法の建前は別にしまして、十分に豫算を取つて、そうして施設をして頂かなければならんと存じている次第であります。ただ同じような答えをいたしまして、甚だ恐縮でございますが、ともかく犯罪を犯す危險のある青少年に對しては、それに相應する對策を講じなければならんと存じておるのでありまして、裁判所という名前を使うから普通の裁判所と同じように引つ張り上げて監督するというようなことに考えるのも、自分自身としては行き過ぎではないかと考えているようなわけで、御承知通り現在少年審判所という名前を附けておるのでございますが、これが少年裁判所に變る、こういうことにつきましてはその事情は御承知通りと存ずるので説明に及びませんが、ともかく青少年に對する取扱は愛と光の氣持を以てしなければならん、同じく虞犯少年に對しましてもただ引つ張り上げる、社會から隔離する、或いは應報的にこれに刑を課するとかいう意味でなくして、教育の精神を尊重してこれを導いて行く、併しとにかく虞犯、犯響の虞れがある、こういう程度の者は、甚だくどいようでございますが、これを細分的に、分化的にその人おのおのの性格を見て取扱つて行くという考え方を以て新らしい法律を決めて參りたいと存ずるのでございます。  それで青少年に對して現在兒童福祉法の規定に、少年審判所の保護處分に付すべき兒童についてはこの限りでないというふうな規定があるそうでございまして、例えば厚学關係へ廻つた場合において、これは審判所へ持つて行きたい、持つて行くのが然るべきだというものはお廻しになる、こういうことになつておるそうでございます。將來とも窓口は二つ、兒童相談所と裁判所というものができておつて、おれの方が先だとか、お前の方が後だとかいうことでなくして、どちらでも行ける、そうしてそこで見分けしてこれはあそこで扱つたらいい、これはこつちで扱つたらいいというような處置にして參りたいと思つているような次第でございます。專ら立法につきましては、それぞれ相談してやつたおるような次第でございまして、十分御注意の點は協議いたしたいと存ずる次第でございます。
  21. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 ちよつと政府委員にお伺いいたしますけれども、この少年法實際の取扱をいたしますのは、家庭裁判所の中でございますね。
  22. 松永義雄

    政府委員松永義雄君) さようでございます。
  23. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  24. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 速記を始めて。
  25. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 まだ私共家庭裁判所法を手にいたしませんので、はつきりいたさないのでございますけれども、これを家庭裁判所取扱いまして保護少年、つまり保護少年の保護事件をし、それから保護處分の決定をそこでいたしますと、この家庭裁判所の審判に付せられます第一項は刑罰法に觸れる行爲をした少年、これはまあ勿論でございますが、このあとの第二、三、四、五というところをよく吟味して見ますと審判に付すべき少年の二のところは保護者の正當な監督に服しない性癖のある少年、それからその次は家庭に寄りつかない、學校にも碌に出ない、勤めの方も怠つておるというような、つまり言つて見れば浮浪癖のある少年、それから六のところなんか殊に保護者に遺棄され、又は保護者から虐待若しくは冷遇を受けておる少年、それから七、保護者少年の衣食、衞生、教養に關し適當な配慮をせず、又は無關心少年、それから最後保護者の不道徳性行のため家庭が著しく亂れておる少年、これは私は子供がそこで裁かれるというのでなくて、子供を通して家庭裁判所は親や家庭を裁くという意味じやないのでございましようか、若しもそうでないとしますならば、私共が昨年秋四ケ月も掛かりまして本當に汗膏を流しまして、繩張りということでなくて司法省、厚生省、文部省、そんなことでなしに、本當に子供のためにはどうしなければならないかということを以て、それこそ親心で、まあ不足ながらあんなものをここで編み出したように考えております。その者にとつて若しも家庭を裁き、親を裁き、そうしてその家庭や親を矯正するというものでなかつたら、私はこれは實に納得できないのでございます。むしろ私はこれを家庭を裁くというか、家庭を裁き親がそこで叱られるのじやないのでございましようか。
  26. 松永義雄

    政府委員松永義雄君) 第一の御質問に對しましてお答えします。只今いろいろ號についてお述べ下さいましたのでございますが、その中で保護處分に付すべき少年裁判所で取扱う。こういうふうに書いておる次第でございます。それから第二の點の親權者に對してむしろ十分な訓戒をすべきでないかと、こういうお配慮でございますが、これはまあ少し言い過ぎかも知れませんが、そこが又最もこの法律の狙い所であるという考えでございますので、御趣旨通りでございます。
  27. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 重ねてお伺いいたします。それでは今まで少年法で承認されておりました少年保護處分の所だけを家庭裁判所でいたすのでございますか。今までやつておりました刑事處分はどうなるのでございましようか、少年法でやつておりましたところの……
  28. 松永義雄

    政府委員松永義雄君) ここの、例えば強盗だとかどうだとか、えらい犯罪を犯した者は普通の裁判所へ參ります。十八歳未滿でも參ります。まあ極めて悪いと申しますから、いわゆる保護處分に付すべき程度のものを裁判所で扱つて、そうしてその裁判所で引つ張り上げる。こういう精神をそこに幾らか緩和して、そうしてまあその程度の極めて犯罪としては輕い者を善導して參りたい。そう考える次第でございます。
  29. 山下義信

    ○山下義信君 遲くなりましたので、只今までにどういう質疑應答がありましたかよく存じませんので、或いは重ねて觸れますことがありましたらばお許しを願いたいのでありますが、多くは申上げませんので、これは司法當局もようこの間の事情は御承知、私共も承知、問題は一つには兒童のため如何にしたらよろしいかという大所高所からいろいろ心配をいたして行かなければなりませんこと。第二は苟くも國會の意思というものは、尊重しなければならんということであります。即ち本案の審議に當りまして、國會において政府と國會との間に質疑應答が交されまして、それらが記録の上に載つておる。その政府の言明せられたことが、果してその通りに行われておるか、間違つておるかということが重大であります。いろいろすでに印刷して頂いてある速記録に、當院におきまする關係委員會速記録に、それが極めて明白に現われておるのでありますが、政務次官におかれましても、これらの點は衆議院においてもお觸れになつておるのではないかとは存じますが、當院におきましては、特に著しくそれが具體的に出ておりまするのは、昭和二十二年十二月二日に開催をいたしました第一囘國會における決算司法連合委員會におきまして、法務廰總裁、佐藤司法次官、佐藤法制長官が列席をいたしまして、關係委員が質疑應答をいたしておるのであります。将來それは法務廰の設置法に關連をいたしまして、少年矯正局で取扱いますその範圍内、或いは将來少年裁判所法ができた時には云々と、いろいろ計畫、規定などに關連をいたしまして、将來司法系統において取扱う少年の限界をどこに定めるかという點が審議せられまして、本院はいわゆる厚生省の社會政策的に取扱う少年までも司法省がそれをずつと取扱うのではないかと、そういうふうに取れるように、いろいろ條文に不明瞭な所があると申しましたら、法務總裁は、それはあなたの讀み違いである。そう速記に載つておるのであります。讀み違いである。大變なそれは誤解をしておる。法文はそうではない。全くあなたの仰しやつたように、虞犯少年は取扱わないということになつておる。こうおつしやつた。これは讀み違いとは大變な失禮をいたしました。それならば結構でありますと本員が謝まりまして、虞犯少年というのは、罪は犯す虞れのある一歩手前の少年をいうのではない。司法省のいう虞犯少年というのは、實際は罪を犯しておる。やつておる。犯罪を犯しておるのだ。もうそのままいわゆる犯罪少年として扱うていいのであるけれども、これを一應虞犯少年として、或る程度保護政策でやつてみようかという程度なので、いわゆる犯罪少年のことだと、虞犯少年だと言つても内實は罪を犯しておつて、それを刑罰に虞するかという、ただ取扱いで一應虞犯少年と見るのだ、まだ實際に罪を犯さないところの、罪を犯す一歩手前の本當の虞のあるのは全部厚生省でやるということが、全部ここで速記に明白になつております。いろいろの、諸般の關係でありまして、政府におかれましても少年法の御立案その他におきましては、そういう點について萬般の御考慮御苦心をしておることと十分諒察いたしておることでございますが、すでに國會の意思といたしまして、當院の本會議に法務廰設置法案報告に當りまして、決算委員長がその旨を報告に述べておるのであります。尚本員自身も念のために、關係方面に參りましたときには、そういう趣旨は明かに修正して置くのもよいけれども、趣旨はよく分つたから、その通りを決算委員長報告の時に附加えて、國會において言明して置くようにということでございましたので、その通り當院は取運びました次第でございます。これら第一國會におきまして、政府がその點を明らかにしておいでになりますことが、今後現われます法案の上に、固より、その趣旨の下に御實行下されるとは存ずるのでございますが、當院におきまする速記その他を十分一つ御調査置きを願いたいと存ずるのであります。尚且つ私は尊敬する政務次官にお願いをして置くのでございまして、政務次官には誠に御苦勞樣でございますが、あなたは固より國會議員でおいでになるのでありまして、國會の意思を蹂躙し、國會に對する政府の聲明を裏切るというような事柄が果して國會としてこれを看過し得られるや否やという重大なる問題であると私は存じまするので、その點どうか十二分に國會側の意思のありまするところが具現化するよう、一段の御努力をお願いしたいと存じまして、尚御所見が拜聽出來ますれば有難いと思うのでございます。
  30. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) ちよつとその點について、私からも同樣なことを一應補足して置きたいと思います。今山下委員から、決算委員會において、法務廰設置法案審議する場合における關連事項として、今の少年の、或いは虞犯少年取扱い方につき、いろいろ審議に與つて頂きました經過について、お述べになつたのですが、この厚生委員會におきましても、兒童福祉法審議當つてこれが問題になりまして、山下委員からいろいろ熱烈なる質疑がなされたのでありますが、それに對して鈴木司法大臣が一々お答えになつております。これは非常に長い速記でありますが、その中簡單に一言だけ申しますと、この行章の一元化に關連しまして、「行政經済の點は十分一つそのために無駄な費用を使わないように努力いたすつもりである。又相互に援助をして密接な協同作業でなければならん。役所が違うから、お前方のことは知つたことでないというような態度を取らずに、どこまでも緊密な連絡と協調の下にその仕事を進めて行く、こういう方針である。」更に又山下委員質問に對する答えの中の一部に、「私どもは決して餘計、何か不良少年なんかとりたいというのではなくて、事實はできるだけ少いことを希望する。こちららの方は大部分は厚生の方に行くと信じますが、やはり、最少限度においても、そういう刑罰權を行使しなければならん場合がありますから、それらを留保するために、司法省なり、将來できる法務廰なりが、管轄權を持つておる必要があると、こう考えるわけであります。御趣旨においては御説の通り、できるだけ國家行政としてやつて行きたい。大部分は厚生省に委せる、こういうつもりであります。」云々とお答えになつたのであります。  それから兒童福祉法の質疑を終つて採決に入る前に、その點更に厚生大臣に念を押しましたところ、厚生大臣はこう答えております。「本委員會竝びに小委員會におきまして、司法省の所管である兒童保護に關する仕事は、厚生省に移管すべきものではないかという熱心な御希望がおありになつたのであります。その際私からも大體の方針は申述べて置きましたが、今日は一つその態度を最も明らかにして置きたいと思うのであります。それを皆樣の御討論に先立つて申上げて置くことが便宜だと思うのでありますが、このことに關しましては、厚生省と司法省の方と緊密な連絡を取りまして、適當の時期、なるたけ近き将來において、皆樣の御希望に副うように取計らう、かような考えでありまして、殆んどこれが實現は十分達成しようと思いますから、そのことを御討論の前に御報告申上げて置きます。」こういうふうに司法大臣厚生大臣とが話合いを付けられた結果についても答辯があつたのであります。そうして更に決算委員會で法務廰設置法の審議をめぐつて、いろいろこのことが重ねて論議になつております。そのことが今山下委員からお述べになつたよう事情で、決算委員長から本會議報告になつておるのであります。こういう事情でありますので、その點山下委員質問に對してお答えがある前に一應こういう經過であることを申上げて置きたいと思います。
  31. 山下義信

    ○山下義信君 政務次官の御答辯を頂載いたします前に私の質疑の要點は、國會の意思を御尊重下さるかどうか、且つ又政府と國會との間に質疑いたしまして明瞭になりました點を御尊重下さるかどうか、これだけお答えを頂きたいと思います。
  32. 松永義雄

    政府委員松永義雄君) 只今山下委員から、抜き差しならんお言葉に接しまして、誠にその趣旨を痛感いたしておる次第でございますが、この點につきましては、十分總裁その他立法に直接携わつておる者にお傳えいたしたいと思いますから、御了承願いたいと思います。
  33. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  34. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 速記を始めて。
  35. 松永義雄

    政府委員松永義雄君) 只今山下委員のおおせられました、いろいろ司法委員會及び厚生委員会の連合委員會において御出張なさいました點は、十分研究をいたしたいと存じます。國會の意思を尊重いたしまして、それぞれ内外の各方面に亙りまして研究いたしまして、できるだけ御趣旨に副うように努力いたしたいと思います。
  36. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 あまりしつこいようでありますけれども、もう一遍これは小さいことのようでございますが、審判に付すベき少年というのに、保護者の補導不適正のため家庭が著しく亂れておるという少年や、それからこの保護者が子供の着物や、衞生、教養に關して適當な配慮をせずに、つまり無關心にほつたらかして置かれておる子供というものが、審判に付すベき少年といつた中に入れられておるのは、どういうわけなんでございましようか。先程の質問の連關するのでございますけれども、何かここに特別な、つまり家庭や親を審判し、喬正する意味以外に何かあるのですか。
  37. 小島徳雄

    政府委員(小島徳雄君) 宮城委員の精細なる質問に對しまして、いろいろ考えさせられるのでございますが、只今御指摘のような規定の含む意味趣旨というものは、その家庭を是正するということが一つの重大な目標になつておるのでございます。
  38. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) ちよつと私から確めて置きたいのですが、厚生省兒童局長にお伺いするのですが、今法務廳の松永政務次官は、今問題になつておる法案を立案するに當つて厚生省の方と連絡の上に作られたようなお話があつたわけでありますが、そういう連絡があつたや否や、且つ法務廳の方から出されようとする法案に對して、如何ような見解を持たれるか、この機會ちよつと御説明を願いたいと思います。
  39. 小島徳雄

    政府委員(小島徳雄君) 一昨日のこの委員會において……ちよつと速記を止めて頂きます。
  40. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  41. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 速記を始めて。
  42. 小島徳雄

    政府委員(小島徳雄君) 法務廳といたされまして、愼重に案を練つておいでになるようであります。兒童福祉法との關係が特に深いという關係で、厚生省におきましても、この問題につきましては非常に關心を持つておるのでありまして、從いまして法務廳といたしましても、厚生省といたしましても、本當に兒童のためになるというふうな立法がなされることをお互いに望んでおるということにつきましては、兩者とも意見の相違はないと思うのであります。ただ多少その考え方におきまして、我々の考え方と法務廳でお考えになつておることと多少考え方において相違する點があるのでありまして、この點はまだ兩者の意見の一致を見ていないのであります。從いましてこの問題が、我々といたしましても兒童福祉法制定當時の國會の意思というものをできる限り尊重いたしまして、兒童福祉法と新らしく制定されるところの少年法というものがお互いに重複を避けて、兒童のために本當に一元的な正しい立派な行政が行われることは、我々といたしましても兒童のために望んでおるような次第でありまして、この點につきま島ては、法務廳におかれましても、そういうような考えでできる限り厚生省と一緒になつて案が纒るように今いろいろと御研究になつておるようでありまして、我々といたしましても、兩者が完全に一致した意見において少年法が國會に提出されることを非常に念頭しておる次第であります。
  43. 小杉イ子

    小杉イ子君 これは兒童福祉法を守らんと申しましようか、十八歳を過ぎ、成長してもその寮に留つておる者がございます。或る寮は世間から大變評判がよい、成績がよいと申しまして寄附などは十分集つておりますが、就職の話に連れて參りますと、歸りには、外套を取つたり靴を盗んだりしておりますが、世間から幾ら評判がよいと申しましても、そのような現象は臭いものに蓋をしておるような現象であります。決して兒童福祉法に惠まれたものでもない。又子供達の幸福滿點とも申されません。滿十八歳未滿の者であつても、中平委員の申されたように、世間の評判を保つためでなく、押えかくして置いてはいけない、特に司法では、少年審判所のように強い意見であるならば、法による愛を以て他の善良の者と交じえん方法で、特別の方法があつても私はよろしいと思います。いいことならば幾度改正してもいいと思います。これを押えて置くならば、これも日本のインフレーシヨンの原因となつて、そこには豫算は組めないかも知れないけれども、外の方法で豫算を組まなければならん現象となることを恐れるのでございます。
  44. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 私先程來縷々申上げて、次官から國會の意思を大いに尊重する、そして國會においては、司法竝びに厚生の速記録等を取上げられましたが、丁度ここにも豫算委員會の、昨年の十一月十四日の予算委員會において、奥むめお議員が質問いたしたのが、同じような内容によつて記録されておりまするから、これも一つ十分御檢討を願つて置きたい。只今兒童局長のお話では、まだ十分内容が一致した意見になつていない、從つて先刻來縷縷私も質問申上げました通り、現在兒童福祉法がありまするから、折角一元化した兒童福祉法を、その内容を今囘の少年法によつて更にそれを逆戻りするような、如何にもセクシヨナリズムの再現のような少年法が實現されないとは思いまするが、その内容について、巷間傳えられておるような内容であるますると、恐らくいろいろの意味において、兒童福祉法の二重の行き方になつて來ると思いますから、これが案の檢討に當りましては、厚生省法務廳とも十分御檢討の方、納得の行く方法において初めて提案することが必要であるならば提案するというお運びに特にお願いを申上げます。兒童福祉法關係についての法案は、法律は、現在の兒童福祉法で私どもは大體十分だと存じておりまするが、犯罪方面或いは勞働方面或いは教育方面は、先程お話にありましたように、或いは勞働省或いは文部省或いは法務廳と、それぞれ分れるのは當然でありまするが、兒童福祉關係においての兒童福祉法を十分活かして行く方に法務廳もお盡しを願いまするようにお願い申し上げまして、この問題はこれで打切つて頂きます。
  45. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  46. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 速記を始めて。
  47. 姫井伊介

    ○姫井伊介君 今の問題にちよつと蛇足を加えさせて頂きます。この少年法は恐らく司法委員會にかけられると思います。或いは連合委員會も行われるでしようが、今草葉委員が言われましたよあに、誠に重大な關係を持つておりますので、深く研究考慮して兩省間の連絡をお願いしたいのであります。今案を成らんとしておりますものを考えますと、先程草葉委がも申されましたように、少年保護の事項並びに保護處分の方法共に非常に大きな部分が兒童福祉法の處理と重複しておりますることは、明らかなのであります。又感化、矯正、教育等にいたしましても、これは無論厚生行政を主としなければならない。その一例といたしましても、最近の警視廳の統計を見ましても、浮浪兒の取扱上その收容されたる子供が逃亡した事實から申しましても、司法關係の處理に近い者程逃亡率が多い。無論年齢の關係もありましようけれども、そういう傾向が多い。眞に愛を以て扱いまするところには、逃亡率は少いのであります。そういうことから考えましても、私はこの教育的行政につきましては厚生行政が最も多くの部面を持たなければならんということは無論であります。  更に少し横道に入りますが、少年法における少年とは二十歳に滿たない者、成人とは二十三歳以上の者をいうというふうになつておりますが、一方犯罪者豫防更生法草案を見ますると、その方では少年は二十三歳に滿たない者、成人とは、二十三歳以上の者となつてつてここにも取扱上非常な食違いがあるので、これは國民の少年とか、青年とか成人とかいつたようなものの觀念を非常に攪亂するものだ。この邊につきましてもやはり一致點を見なければならないと思うのであります。要するに關係方面ともいろいろありましようが、先程皆さんの言われたような點を關係方面にももう少し了解して貰つたならば、うまく行くのではなかろうか。要するに各省の立場よりも、兒童そのもののための立場に立つて考えて頂きますならば、私は或る點につきましては、年齢に基準を置いても、はつきりと處理ができるのでないか。例えば兒童福祉法によりますると、十八歳までを少年とする……まあ特別な例は別といたしまして、そういうふうになつておりますから、例えばこの邊に線を引きましても、それ以下の者は特別な者でない限りは、悉くこの兒童福祉法の處理に委せる。そこには兒童相談所もありまして、立派な官設施設もできておるのであります。この方において相當な處理はできるわけでありますから、ともかくもこの兒童福祉法少年法につきましては、はつきりとそこに限界が行われて、混亂が行われないように十分に御注意の上、御成案を煩わしたいと思うのであります。以上。
  48. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 速記を止めて。    午後零時十六分速記中止    —————・—————    午後零時四十分速記開始
  49. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) それでは請願第七百三十號及び第七百三十六號は一括して議題に供することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 御異議ないと認めます。これらの處理は如何いたしましようか、これらの議院の會議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものと決定して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 御異議ないと認めます。よつて二つの請願は左樣に決定いたしました。  次に、恩給關係請願陳情は、請願第三百七十五號厚生恩給制定等に關する請願は保留することとして、それ以外の請願陳情は一括して議題に供することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 御異議ないと認めます。つきましてはその取扱いは如何いたしませうか、これらは議院の會議に付し、内閣に送付することを要するものと決定して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。それでは請願第二十四號、第三十九號、第五百十八號、第七百八十六號、これらは教員の恩給増額に關する請願であります。  次に、恩給竝びに扶助料増額に關する請願即ち第三百二十三號、第六百四十四號、第六百四十七號、第六百八十一號、第七百五十三號、第七百七十七號、第七百八十五號、次に恩給増額に關する請願即ち請願文書表第五百十九號、第七百七十六號、第七百九十八號、第八百三十號、第八百七十九號、次に教職員の恩給増額に關する陳情、即ち陳情文書表第七十九號、恩給及び扶助料増額に關する陳情、即ち陳情文書表第八十一號、及び第二百二十六號はいずれも議院の會議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものと決定いたしました。  次に、請願文書表第七百十七號、第七百三十五號及び第八百十六號、陳情第三百六十二號、第三百七十六號、第四百四號、第四百十四號、第四百十五號、第四百三十六號、第四百四十號及び第四百四十一號は、いずれも醫療制度に關する小委員會に、陳情文書表第三百五十八號及び第四百三十八號は社會事業振興に關する小委員會に付託することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 御異議ないものと認め、さように決定いたします。本日はこれにて散會いたします。    午後零時四十分散會  出席者は左の通り。    委員長     塚本 重藏君    理事      宮城タマヨ君    委員            中平常太郎君           池田宇右衞門君            草葉 隆圓君            中山 壽彦君            木内キヤウ君            小林 勝馬君            藤森 眞治君            井上なつゑ君            小杉 イ子君            姫井 伊介君            山下 義信君            米倉 龍也君   政府委員    法務政務次官  松永 義雄君    厚生事務官    (兒童局長)  小島 徳雄君    總理廳事務官    (恩給局長)  三橋 則雄君