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1948-05-25 第2回国会 参議院 厚生委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月二十五日(火曜日)    午前十時三十一分開會   —————————————   本日の會議に付した事件 ○厚生諸法規地方における實施状況  等に關する視察報告に關する件 ○墓地、埋葬等に關する法律案内閣  送付) ○食肉輸移入取締規則を廢止する法律  案(内閣送付)   —————————————
  2. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) これより委員會開會いたします。前囘視察報告がありましたことに關連して、兒童問題關係して兒童局長から答辯があります。
  3. 小島徳雄

    政府委員小島徳雄君) 皆樣がいろいろ各府縣を御視察なさいまして、兒童關係施設を御覽頂いたのでありますが、この際におきまして、いろいろ各府縣實際状況につきましての御視察報告がこの前の懇談會の席にあつたそうでございまするが、あいにく私その會に一部出席をいたしませんで、御質問趣旨に對しまして、十分お答えができるかどうか、若し足りないところがありまするならば、又御質問して頂く、こういうことで一應御答辯申上げたい考えるのであります。  兒童福祉法ができたのにどうも各府縣に行つて見ると、兒童福祉法趣旨徹底していないじやないかというふうなお話がございました。御承知通り兒童福祉法は本年の一月一日から一都施行になりまして、四月一日から全部施行になつたのでありますが、一月一日から一部施行になつておりますにも拘わらず、政令關係におきまして、關係方面の折衝で非常に遅れまして、政令ができたのは三月の終りというような實情でございまして、その間にいろいろな事情がありましたのでありまするが、非常に政令關係が遅れましたことにつきまして、兒童福祉法趣旨徹底におきまして非常に遺憾の點があつたことにつきまして、誠に申譯ないと考えておるのであります。この外に丁度昨年兒童局ができ上つたのでございまするが、兒童福祉法が四月一日から全面的に施行される場合におきまして、本省機構ばかりでなく、府縣兒童に關する體制を整備するということも極めて重要なる問題であるというふうに考えまして、各府縣民生部の中にできる限り兒童課を設置するようにお願いたしたのであります。丁度一月から三月の頃におきましては各府縣兒童課を設置するというような問題で、いろいろ考えておつた最中でありまして、その關係がございまして、丁度皆樣が御視察を頂いた當時におきましては、府縣整備體制におきましても十分でございませんで、兒童福祉法周知徹底につきましても、政令のまだ出ないという關係がございまして、誠に不徹底の嫌いがあつたのであります。その點は重々皆樣にお詫びを申上げる次第であります。併しながら、最近におきましては政令も出ましたし、府縣におきましても大部分兒童課というものが設置されまして、最近における四月一日からの全面的な兒童福祉法施行機會にいたしまして、更に五月から始まりましたところの全國の兒童福祉週間運動機會におきまして、兒童福祉法周知徹底宣傳ということにつきましては我々としてもできる限りの力を致したのであります。各府縣におきましても、この問題につきましては、非常に熱心でありまして、日本政府ばかりでなく、各軍政部におきましても非常に熱心でありまして、或いは兒童福祉週間におきましては、飛行機からビラを撒くとか、各方面からいろいろな援助を得たのであります。丁度兒童福祉法ができ上りました機會におきまして、外部におきまする兒童福祉週間運動ということは極めて熱烈に行われたのでありまして、我々としましては尚足らないところにつきましては十分考慮いたしたいと思うのであります。最近におきましてはいろいろ兒童課長會議を開催いたしますとか、或いは兒童相談所職員講習會を開催いたしますとか、或いは近くは民生委員及び兒童委員講習會を開催するとか、こういうようなことをいたしまして、できるだけ兒童福祉法周知徹底を圖ると同時に、兒童福祉法圓滿なる遂行ができるよう、我々といたしても十分努力いたしたいと考えておるのであります。この點十分皆樣の御協力をお願いいたす次第であります。  もう一つは、静岡縣葵寮という養護施設視察頂きましたときに、その葵寮におきまして、子供に對しまして監禁の方途を講じておつた、こういうような事實が發見されまして、これにつきまして我々といたしましても直ちに静岡縣當局關係者を呼びまして、いろいろと事情を聽取いたしたのでありますが、その結果兒童福祉法の本当の精神を十分に理解せずして、多少誤つた考え方においてその措置をしておつたということにつきましては十分遺憾の意を表しまして、我々としても直ちにその措置を解除するように申渡したのであります。たまたま軍政部の方からも、そういうような問題につきまして十分なる關心がございまして、そこの施設につきましては丁度閉鎖を命ぜられたというような事實があつたのであります。この点につきまして我々としても非常に遺憾に考えておるのであります。將來かようなことのないように、十分注意いたしたいと考えておるのであります。つきましては最近最低基準令というものが御承知通り兒童福祉法に基きまして制定されますが、この最低基準令におきましてこの問題について取上げようかというようなことを今研究いたしておるのであります。例えば懲罰のために或いは監禁をしたり、或いは食物を減らしたりすることは相ならんというようなことを、最低基準令に書こうということで今やつておるのであります。將來かようなことのないように十分注意いたしたいと考えるのであります。  尚私の説明の足らなかつたところにつきましては、御質問がありますれば又お答え申上げたいと思います。一應御視察の結果に基きます皆さんの御質問に對しまして、甚だ遺憾の意を表すると共に、一應御説明申上げた次第であります。
  4. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 只今小島政府委員答辯に對しまして、御質問がございますか。
  5. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 只今私この前の委員會で御質問申上げましたことに對する御答辯を拜承しましたが、私の誠に遺憾に存じました點は、今の葵寮の問題にいたしましても、我々が視察しまして強く感じましたのは、只今の御答辯にありましたように、監禁、軟禁という事實があるということだけではなく、そういうことをすることを最善なりとする主張を持つておる、こういう問題であります。その主張の結果そういう方法が現れた。そうすると兒童福祉法趣旨から申しますと、勿論只今お話のように政令は三月の下旬で、具體的法的細則は遅れたでありましようが、少くとも兒童に對する福祉法の大體眼目として持つておりまする點は、當然兒童福祉法趣旨によつて徹底する筈であると存じまするが、それが全然徹底をしておらないということ、且つ又少年教護院施設いたしまして、從來少年教護院法と、新らしい兒童福祉法による少年教護關係法規とがどういうふうに違つており、今後どういうふうな取扱方兒童福祉法による少年教護でおやりになるかということを質問いたしましても、殆んどの責任者がその趣旨を知つておらないように伺つて参つた所があるのであります。こういう點から考えますると、勿論只今のように政令等が遅れまして甚だ遺憾でありまするが、兒童福祉法の本當に狙つております大局の狙いというのが全然沒却されておる。この點。且つ又政府は平素こういう施設に對して、どれだけの關心調査と、或いは指導とをなしておられるか、ただぽかんと葵寮という問題が現われて來たのではなく、それは相當以前からそういう現象をいたしておりまするが、全國にあるこういう兒童施設に對して相當の關心注意指導とを持つてお出でになる筈でありまするが、恐らく我々が視察して初めて御存じになつたような事態ではないか。そうすると平素この兒童施設といわず、その他の社會施設に對して、政府はどういう調査指導とをしていらつしやるかということを承わりたいのであります。  もう一つは、先程具體的に御説明がありましたから、私もこの前の御質問に極く抽象的に申上げておつたのでありまするが、兒童福祉實施について、或いは府縣には兒童課ができ、或いは衞生行政の面においてのそれぞれの指示があつた從つて大都市を有しておりまする府縣等におきましては、民生關係兒童課と、衞生關係兒童福祉法を取扱う機構において随分困難な、限界の不明瞭な點がありまするために、今日まで尚十分はつきりしていない點があるのであります。殊に産院、乳兒院の監督、指導、許可、認可の問題にいたしましても、そのために民生兒童課で取扱うか、衞生部の方で取扱うかという點において尚一種の論爭を續けておるようでありまするが、そのよつて起るところは、いろいろ問題もありましようけれども、はつきりした御指示が、兩方から同樣のような御指示が出ておるために、かような状態を來しておるのではないかと考えます。  もう一つは先程もちよつと觸れましたが、少年教護院關係におきましては、府縣に大體一ヶ所はありまして、その少年教護院關係の教官、教職員という方面におきましては、平素研究或いは外の府縣状態等を連絡する機關というのは極く少いようでありまするから、從つて府縣青年少年教護關係教職員は、どちらかと申しますると獨善的な考え立場とに陷り易い状態になつておるのではないか。これをもう少し科學的な、もちつと連絡を保つて十分學問的な立場に返して來ないと、幾ら施設を拵えても、進歩する餘地が閉されておるような氣が強く視察をしながらいたしたのであります。そういう點に對しても政府のお持ちになつておるお考え等がありましたら伺いたいと存じます。  以上三點をもう一つ更にお答えを願いたい。
  6. 小島徳雄

    政府委員小島徳雄君) 只今重ねてお話があつたのでありまするが、各兒童福祉施設というものが全國に相當澤山ある。この問題につきまして本省如何ようにそういうものを、調査をいたしているか、こういうような質問が第一點だつたように思うのでありますが、私共といたしましては、御承知通り最近にでき上りますであろうことろの最低基準、これは各兒童福祉施設に對して徹底的なる科學的なる調査をし、指導をしよう、こういう考えでおるのであります。これに基きまして各施設が本當にそれぞれの施設の持つ性能に應じた適當なる保護がなされておるかどうか。こういう問題について適當指導を與えて行きたい。かように考えておるのであります。各施設につきまして、我々といたしましても、できる限り各府縣に参りましてその實情調査いたしたいというふうに考えて、そういう方面についても十分な注意をいたしておるのでありますが、たまたま静岡縣葵寮の問題につきましては、學者間にいろいろな説がなされておる。一つはいわゆる精神病學者中心とする一派でございまして、こういう問題につきましては、葵寮のごとき收容施設におきまして取扱つておる子供というものが、相當長期間に亙つて浮浪性滯びて、或いは一年乃至二年を浮浪しておつたという子供ばかりが集つておる、而もその浮浪性をいろいろの科學的の調査をして見ますと、或いは精神薄弱兒童が極めて多いというような點が非常に多い。或いは各施設に何囘も入つたのだけれども、それを逃亡したというような、そういう子供ばかりがたまたまああいう施設の要求をいたしたのでありまして、静岡縣におきましては、それぞれ各養護施設があるのでありまして、實は養護施設におきましてそれぞれ浮浪兒というものを扱つてつたのでありますが、その扱い方が普通の養護施設において扱いますると、他の子供に與える影響が極めて甚大だというので、こういうような浮浪兒專門施設というものを持つて來ることが非常に各方面から要望されておつたのであります。從いまして、そういう要望に應えて、ああいう特別な施設というものができ上つたのでありまするが、たまたまそのやり方につきまして、いま少しくこの兒童福祉法精神を體して、その鑑別方法なり科學的の處理方法について、最善注意を與えてやつて頂くということを我々は庶幾したのでありまして、この我々の希望というものがたまたまあの施設において現實において充されておらなかつたというところに非常に兒童福祉法といたしましては遺憾の點があつたのであります。從いまして我々といたしましては、再びああいうことのないように注意いたして行きたいと思ふのであります。ああいう施設といたしましては、前囘はたまたま葵寮を御視察頂いたのでありますが、全國にはあの施設以外には殆んどないと思います。非常にその點におきましては、あすこにおつたところの寮長であるとか或いは精神病學者達が、あすこ施設中心として一つ兒童福祉法に對する行き方考えて行うという、モデル的の考えでたまたまやつてつたのでありますが、その考え方兒童福祉法精神に必ずしも副わなかつたというところに遺憾の點があつたと思います。この問題につきましては我々といたしまして、十分將來いろいろ精神病學者心理學者社會方面學者というものが更に研究を加えまして、この問題についての本當の正しい行き方について十分研究調査を遂げましてやつて行きたいということを考えております。この浮浪兒の問題につきましては、御承知通り大きな社會問題でございまして、この前の社會事業大會におきましても、この問題を特に取上げまして、それぞれの專門の方が集まりまして、如何にしてこれらの浮浪兒というものの保護をすべきであるか、或いは又こういう浮浪兒を出さないように如何ように處理するかということを、それぞれ全國の施設專門の方に集まつて貰つて協議をしたわけでありますが、その問題につきましても考え方二つあるのであります。一つは、非常にこれらの子供さんらを愛の力を以て徹底的に指導をやつて行きたいという考え方一つは今のように、これらの子供につきましては科學的な方法によつて、科學的ないわゆる鑑別をいたしまして、適當なる科學的な處理方法をなすべきだというような考え方、こういう二つ考え方考えられておるのであります。從つてこの子供の問題につきましては、その子供の性格に應じて、性能に應じて、知能の程度に應じまして、それぞれ科學的の處置をするということが兒童福祉法精神でありまして、この意味におきまして今度の葵寮につきましても、養護施設でなくて、精神薄弱者に對する施設ということで、新らしくやつて行こうというような大きな轉換を試みておるのであります。いずれにいたしましても、我々といたしましては兒童福祉法精神を體して、すべての施設というものが愛の力を以て、而も科學的に子供扱い方をするような方法というもので指導をして參りたいというふうに考えておるのであります。  次に所管の問題でございましたが、兒童局或いは府縣にできます兒童課というものは、非常に事柄というものは多方面關連を持つておると存じます。普通の行政でありますと、その仕事の性質によつて分類いたしてあるのでありますが、兒童局とか兒童課というものは、分類が子供ということを中心として局課ができておる關係上、その所管事務というものは極めて他の方面と密接なる關係があるのであります。或いは衞生の問題にいたしましても、或いは社會教育關連いたしましても、或いは經濟等の關係にいたしましても、非常に關連が深いのでありまして、それを兒童保護の全體的總元締立場におきまして、或いは兒童局自身實施し、或いは兒童課自身でそれを實施する、或いは又他の部局に對しましても兒童保護の面からそういうことをお願いするというような、二つの面から兒童局とか兒童課仕事というものはあらなければならんと考えておるのであります。たまたま母子衞生の問題に關しましては、いろいろ衞生との關連が深いのでありまして、從いましてこの所管の問題につきましては、從來府縣におきまして、それぞれ府縣實情に應じてやつておられたのであります。今度の自治法精神というものも、できる限り府縣自治精神において各課の所管というものを定めることに相成つておるのであります。我々といたしましては、全國的に大體兒童課のなすべきことにつきまして、できる限り大體の方針を示したいと考えておるのであります。併しながら、これを是非ともこうしなければならんというような、一律的にすることは兒童課精神にも必ずしも合致するものでないし、又府縣事情によりまして多少異ることがございますものですから、その點につきましては、地方長官が今度の自治法精神を體して、その適當なる分課規程を定めるというふうにお願いいたしておるのであります。若し將來この問題によりましていろいろの爭が起つてうまく行かぬというような問題がありますれば、尚我々としてはできるだけの指導をいたしたいと思います。たまたま各府縣兒童課ができる場合、或いは又大きな府縣では母子衞生課を作るというような場合で、新らしい課ができ、部ができるというような關係につきまして、多少その間において所管の問題について、或いは意見の相違があつたかと思いますが、併しこれは今日この兒童福祉法というものが、本當にどの方面から見ても重要で、それを俺の課でやろう、私の部でやろうというように、熱心に主張されるくらい、兒童福祉精神というものが各府縣に普及したことは、或る意味におきましては、この仕事如何に重要であるかということを各府縣が認識したということの例證にもなると我々は考えておるのであります。その問題は現在の課のできるときにたまたま起つた問題でありますが、今のような精神におきまして、できる限り府縣知事というものが、その責任を帶びて處理するようにお願いしたいと思いますが、只今申上げましたように、それによりまして、餘りに全國的に不統一なことになりますれば、これ亦事務關係上或いはそれの調整をした方がいいという考えがありますから、若しそうなりますれば、各府縣にお願いして、成るべくそういうようなことも將來考えたいと思いますが、現在のところは、今申上げましたような精神でやつて參りたい、かように考えております。  次に少年教護院の問題でありますが、少年教護法兒童福祉法とが違つておる點につきまして、少年教護院方面におきまして、趣旨徹底していないだろうというお話でございましたが、この點も多少そういう憾みがないともいえません。それで私共としましては、少年教護院長會議を開催いたしましたり、或いは少年教護院關係職員講習會を開催いたしまして、できる限りそういう方面につきましては、折角皆樣が愼重審議を重ねて作つて頂いた兒童福祉法精神に悖ることがありますれば大變であります。又その精神を十分理解しないということがありますれば、これも又大變なことでありますので、そういう機會を通じて、できる限り私共といたしましては趣旨徹底を圖り、正しい兒童福祉法の運用につきまして將來遺憾なきを期するよう努力いたしたいと考えておる次第であります。
  7. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 最後にただもう一つお願いをして置きたいと存じますのは、只今お話になりました最低基準の問題にいたしましても、結局二つ考え方があると思います。一つは全然社會事業というものを中心考えて、日本國情現状考えるのに、かくあるべき最低標準というのを決めるというのと、それから本當に敗戰後の物資のない、經濟の困つた日本で、これだけは是非ともやらんならんという方法で行くのとあろうと存じます。そうなると、國内の社會施設を全部政府御存じなかつたら、現在の情勢御存じなかつたら、最低基準というものはできないと思う。ただ机の上で最低基準作つて、これをやれとおつしやつても、それは大變な問題が起つて來ることと存じます。そこで今度お作りになろうとする最低基準は、一體今申上げました意味から、どういうことでおやりになろうとするか。それならばやはり現在の國内の社會事業施設を十分呑み込んで、現在はかような状態であるから、これを一歩進めるためには最小限度この程度に行かなければならんということをお決めを願うという方法を採りますると、國内の情勢を十分視察した上でないといけないし、又前者にしても後者にしましても、これは多くは經費が伴う問題でありますから、ただ單に最低基準作つて兒童福祉關係において標準をお示しになるということでは、從來行政の弊害を更に大きくするようなものでありまするので、そういう點について今度の最低基準が一體どういう行き方をお採りになるか。この點を御發表前に今承ることができますると大變結構だと存じまするし、又我々の希望するところは、この點を十分一つ考え願つて最低基準の御發表を願わないと、折角の兒童福祉法がその效果を大いに減殺する虞れもあるし、又國内の情勢に十分合わないようになりますから、こういうことを虞れまするので、この機會一つつて置きます。
  8. 小島徳雄

    政府委員小島徳雄君) 只今最低基準の問題につきまして御意見がございました。誠に我々としても同感でございます。この最低基準の問題につきましては、昨年からそれぞれの專門家にいろいろの研究を委託いたしたのであります。例えて申しますれば、兒童福祉法につきましては九つ種類があるのであります。九つ種類に對しまして、それぞれ擔當の專門家というものを集めまして、中央社會事業協會におきまして何囘となく審議をし、これを總會に掛けまして審議をいたしまして、それに基きまして總則というものを拵えましてやつたのであります。それが今年の一、二月頃であります。その後更に各方面意見を聽取いたしまして、實際この最低基準の問題という問題は與える影響が極めて大きいのであります。殊に只今おつしやいますように、最低基準というものが机上のペーパープランでありますならば、これは或る場合におきましては、施設というものが、最低基準が餘り強行されますれば、これによつて廢止しなければならんというような運命に立ち至るのであります。それで我々といたしましても、でき得る限り現状に即しなければならん、從つて最低基準という問題は普通の法律とかああいうのと違いまして、一年毎に改正して行かなくてはならん。今年の最低基準はこうである、來年の最低基準はこうであるというふうに、年に一囘ぐらい最低基準實情に應じて改める方法でもいいじやないかというように考えておるのであります。從いまして、理想は高くありまするが、同時に現實というか、社會上施設實態というものを把握いたしまして、餘りに現状を離れるような最低基準というものを我々は考えない。こういうふうにいたしたのであります。ただ最低基準におきましては、只今皆樣に御資料を配付いたしましてよく御覽頂きますれば分りまするが、施設の問題と運營の問題との二つに分れておるのでありまするが、運営の問題につきましては、我々といたしましてはできる限早い機會にこの精神則つてつて頂きたいことである。設備の問題になりますれば、今日のこういうような日本状況でございます、すべての社會がこういう状況でございますから、施設が悪いといつて直ぐ改善するといいましても、いろいろな資材の關係或いは財政的の關係がありまして、直ちに改善が困難という場合もあろうかと存じます。從いまして、施設の問題につきましては相當の、或いは五年というような期限を切りますとか、或いはその他の問題につきましては二年間の期限を切りますとかというような方法をとりまして、できるだけ各施設というものが最低基準というものに副うように、短期間において努力する、こういう方針で進んだらどうか、こういうような方向考えておるのであります。ただその運營精神とかというような問題になりますれば、この精神というものは當然最低基準令施行になりますれば、直ちに實施されるように我々は努力いたしたいと考えております。從いまして我々といたしましては、只今申上げますように、最低基準というものは、できる限り現實の實情に即應し、且つ一應の理想を持つて、その理想を何年間の間に實現する、而も現在の社會情勢經濟情勢に即應して、それを短期間に管理實施する、こういう方向に進めよう、こういう意味で進めております。只今、中央兒童福祉委員會にも掛けておるのでありますが、非常に何囘となく地方兒童福祉委員會の各施設を御覧頂きまして、實際にこの最低基準實情に副うかどうかということにつきましても十二分に研究を重ねておるようであります。更にこの問題は連合軍關係の方との連絡もあります。これが如何ようにでき上るかはまだ分りませんけれども、大體我々の案として考えておりますのは、只今皆樣のお手許に配付いたしましたような案でいいのではないか、かように考えておるのであります。    〔小杉イ子君發言の許可を求める〕
  9. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 今の兒童の問題ですか。
  10. 小杉イ子

    ○小杉イ子君 母子寮についての感想です。
  11. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 簡單に要領だけを……。
  12. 小杉イ子

    ○小杉イ子君 私は主に母子寮の視察感想を申上げたいと思います。母子寮では世間の信用がないので仕事もさせて貰えんと申して、ミシンを二十一臺……。
  13. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) ちよつと發言中ですが、児童局長に答辯を求める要點だけにして頂きたい。
  14. 小杉イ子

    ○小杉イ子君 これは議員として、政府としてしなければならんことを申上げたいのですけれども……。
  15. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) それは又適當機會があろうかと思いますが、今直ちに……。
  16. 小杉イ子

    ○小杉イ子君 如何でございますか。
  17. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 兒童局長から答辯を要求せられることがあれば、その中で一つ……。
  18. 小杉イ子

    ○小杉イ子君 私は一言言わして頂きたいのですが、まだ後に機會がございますか。三分間以上は決して言いませんから、二分間ぐらいで……。
  19. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) それではやつで下さい。
  20. 小杉イ子

    ○小杉イ子君 二十一臺遊ばせておると申しました。今日それを貸したなら多額の貸賃が取れるものと思いました。そうして經營困難をかこつておりました。某縣では社會事業懇談會がありましたとき、私は婦人のする仕事はないということはない、幾らでもある、もう少し氣轉をきかさねばならんということを申しましたところが、一人の若い人が憤慨しまして、政府は補助をせんというのか、明日は談判に行くからそのつもりで待つていて呉れということで、私は少からず喜んで待つてつたのであります。果して一人の婦人が參りまして不平をだらだらと申しましたので、私はこういう仕事もある、ああいう仕事もあると申しましたところが、その方は大變喜んで歸られました。私の見た大多数の母子寮の授産施設には大いに望みを持つて來ました。そうして嬉しかつたことは、この頃疊の緑もない部屋が多いのに、ここには疊の緑もある三疊なり四疊半なりが與えられておる。子供達は保姆に守られ、又は母親は仕事の傍におる者もあります。私はこれらを見たときに、自分の娘や孫が守られておるような大きな感謝を持つたのであります。又さように感謝なさいと申しても來ました。私は又一方には子供を欲しがつておる壯年達もあります。この人達は誰しもが一家を持ちたい人ばかりでありますから、是非再婚させるような運動をせねばならんと痛感したしました。又中には貯金をしておる母子寮もございました、これらに對しては大いに儲けて貰い、大いに發展して貰いたいと思いました。又嬉しかつた點は、私が申しておりました婦人向の仕事を盛んにしてあつたことです。そうして授産によりまして一家も持つように、そうして自立自營心を起させるよう指導することだと思いました。政府の豫算面においても補助金交付が遅れる、そんな政府はぶつ潰してしまえとたびたび叱られましたけれども、こんなことのないように、政府も議員もこの上にも考案しなければならないということを感想に私は申上げて置きたいと思います。    〔「進行」と呼ぶ者あり〕
  21. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) それでは兒童の方はいいですね。
  22. 姫井伊介

    ○姫井伊介君 ちよつと關連してお尋ねすることがありますが、それは中央兒童福祉委員會のことですが、すでに運營されておるが、國會議員から選出される委員はまだ決まつていない。それは國會議員からの委員は受入れらるべきものが、或いは何かの都合でそれを受入れられないものか、若し受入れられる豫定のものとすればこれが促進されなければならん。一方ではこういうふうに最低基準などどんどんやられて、實行に當りました國會の方に對しては餘り深い連絡交渉がないということはどうかということなんです。それが一つ。これは少し脱線いたしますが、かねて要望しております兒童福祉施設に對する豫算の増額といいますか、その經過はその後どうなりましたか、併せてお尋ねしたいと思います。
  23. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  24. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 速記をとつて下さい。それでは次に鹿兒島の癩療養所の問題に關しまして、醫務局の久下次長からお話があります。久下政府委員
  25. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 私から概略の御説明を申上げたいと思います。先ず第一は癩療養所における夫婦舎のことでございますが、私共といたしましてもかねてから必要を痛感いたしまして、新設の豫算の要求などもいたしておつたのでありまするが、財政難の折から新設は認められない状態になつておるのであります。併しながら現在の癩療養所の改造の方法によりまして、例えば大部屋になつておりますところを間仕切りをいたすというようなことによりまして、相當數の夫婦舎ができると思つておりますので、又その方面の豫算は若干のものがございますので、そういう方法によりまして逐次に夫婦舎を作つて行きたいというふうに考えておる次第であります。  次は癩患者の作業賃の問題でございますが、從來この作業賃につきましては二つの面から問題があつたのでございます。患者の側からはこの作業賃が非常に低いという要求があり、私共としてもそう考えておつた問題で、作業賃が低いということ。第二の點は作業賃というものにつきまして特別な豫算がなかつたということでございまして、醫療費でありますとか、或いは各種修繕費とかいうような、そういうような豫算の遣り繰りで賄つてつた實情であつたのであります。本年度におきましてはこの實情を財政當局から認められまして、甲乙丙の三種類に作業の種類を分けまして、最も技術を要しまする甲種類の作業につきましては一日八圓、乙種類の作業につきましては六圓五十錢、丙につきましては四圓五才錢というような豫算が認められたのでございます。これを作業種別に應じて各療養所に漏れなく配付をいたし得ることに相成つたのでございます。從來はこれが甲種類のものにつきましては三圓六十錢、最低一圓程度という作業費になつておりました。今日の時節柄甚だ低額でございましたのを、今申上げたようなふうに豫算が認められているのであります。  それから患者慰安金の問題でございます。これも簡單に從來事情を申上げますると、御承知のように生活保護法による生活扶助金という形式で、從來地元の縣が御承知保護法による二割の負擔をいたしまして、國庫から八割の補助金を出して七十五圓から百五十圓くらいの生活扶助をいたしておつたのであります。この點は、たまたま癩療養所が存在いたしますために、當該都府縣が非常な財政上の負擔をするというような不合理がございますので、本年度の豫算の要求に際しまして、この點の是正を申したのでございますが、結局從來支給されておりまする最高の百五十圓を、全部に亙つて平均に支給できるように承認されましたので、この問題も概ね私共としては解決いたしたものと考えておる次第でございます。尚一部の療養所の患者によりましては、百五十圓を二百圓まで上げて貰いたいというような要求も現に出てはおりますけれども、只今の段階におきましては、百五十圓という從來支給の最高額が全額國庫から出まして、而も直接患者へ現金が渡されるというような建前になりましたことは、昨年までの實情に比較いたしますると、非常な進歩であると考えておる次第でございます。  次に、癩療養所の職員の問題についても、これはいろいろ遺憾な點がございますが、勿論元來癩療養所の職員の定員というものは非常に少いのでございます。この點は私共も遺憾に思いまして、全般的に療養所の定員の増加ということを、豫算の要求の都度出してあるのでございますが、從來のいきさつもあり、財政上の事情もありますのか、財政當局から認められない事情にあるのであります。  敬愛園につきましては、醫官、醫者でありまする厚生技官の定員が、二級官が七名、三級官一名、合計八名の定員があるのでありますが、現在の實員は二級官五名だけになつております。これは今申したような豫算面の餘裕が現在としてはあるのでありますので、是非充足いたしたいと思つておりますが、御承知通り、なかなか外の施設でも醫者が得られないで困つております。主として、給與の問題から醫者が得られないで困つております實情、特に癩療養所のような特殊な治療をやらなければならない所におきましては、なかなか志望者がなくて困つておる實情であまりす。併しながら、この職員の充足につきましては、最近の給與新ペースの規定に伴いまして、若干の職階制の思想が盛られるようになつておりますので、只今私共といたしましては、全般的に醫師その他の癩療機關の技術員の給與の改善につきましては、民間給與とも睨み合せまして、できるだけの増額ができますように折衝いたしておるところでございます。さようなことが實現をいたしますれば、醫者を得ますにも、餘程條件がよくなるんじやないかと考えております。  最後に患者の食費の問題でございますが、これも實は昨年度までは、癩療養所というものは、一般の結核療養所等に比較いたしまして、扱いを區別にされておりました。具體的には、結核療養所は、一日一人當りの患者食費が十八圓という豫算でございましたが、癩療養所につきましては十五圓しか認められないというようなことになつて、ずつと今日まで引續いておつたのであります。本年度の豫算によりますれば、いずれも一日當り二十六圓四十錢ということで、結核と癩との從來の區別もなくされて參りました。この意味におきまして癩療養所は待遇がよくなつたと思うのであります。併しながら、この二十六圓四十錢という數字も、勿論私共としては十分とは思つておりません。來年度の豫算折衝に當つても、随分最後までいろいろ折衝してみたのでありますが、財政當局におきましては、又今度物價改訂の際に考えるからというような條件附で、一應二十六圓四十錢という數字の承認をさせられた恰好に相成つております。多少遺憾でございますが、次の物價改訂の際の食費の改訂を期待をいたしまして、不十分ながら賄つておる次第であります。  大體伺つておる問題はさようなことと存じますが、若しお尋ぬによりまして……。
  26. 中平常太郎

    ○中平常太郎君 尚政府委員にお尋ねいたしたいんですが、只今の給與の方面におきまして、多少改善されたように報告がありましたが、物價の値上りから考えましたならば、これは何ら状態が改善されたとはいえないと思うのであります。前の十五圓の食費が二十六圓になりましたところで、とても二十六圓やそこらのもので、以前の十五圓のときよりもよくなつたとは絶對に私は認められないと思うのであります。物の値上というものがあるわけでありますから、改善というところへはまだ行かんと思つておりますが、それからもう一つ職員の待遇の問題が十分でないということは、十分お氣付きの點でございましたが、これはこの職階制の方で十分考慮するというお話も御尤もなことでありまして、それ以外には手がないと思うのであります。現在のような、千に近いところの患者が殖えておるところの病院で、たつた五人やそこらの者で、二級官でやつて行こうということは、いわゆる病院の運營においても、絶えず缺くるところができることは、間違いのないことでありまして、一方からいうと、死んで行けと言うのと同じ結果を私は招來するものだと思います。新憲法によりまして、如何なる病人といえども同じ生存の權利を持つておるのでありまして、これを擁護し、これを病院なり、假に國立病院へ入れるということは、それはその病人をできるだけ治療をし、十分な待遇を與えなければならんところの國家に義務があるのであります。然るに今のように住む所にもない、いわゆる無居の民と言われるこの患者が千名以上に、五人やそこらで、醫者が五人、看護婦が八人しかいないということは、一方からは、患者が死んでしまつてもよろしいというようなところの、國家が放任されているところの、消極的な極めて面白くない思想の下に無關心でおられるのではないかと、痛切に感じたのでございます。彼らは、大體その患者は、馬鹿ではない、みんな頭があります。だから本が讀みたい、社會情勢も知りたいけれども、本を買う金が一つもない、作業の金を少しでも取つて、何を買おう、買いたいと思つても、買うだけの作業賃がない。誠に憐れむべき人々であるということは、もう想像に絶するものがあるのであります。一たびそういうような状態に置かれる患者で、實際の身になつて御覽になつたら分ると思います。許されないことでありまして、我々は絶對ああいうことで以て國家が放つて置かれるべきものでないと思うのであります。少くとも娯樂費でも増して、やはり本の一册も讀めるようにしてやる。又作業したら、作業の金で何か少しでも、自分は給與以外の物を買えるようにする必要がある。又夫婦舍につきましても、今室を分けて夫婦舍を拵えるというお話でありましたが、結構なことでありますが、ただこれは考えているだけではいけない、直ちに實行して頂きたいと思います。二百何ぼの男女が一室に、皆それぞれ二組、三組、六疊、八疊の所へ三組、四組も入つて夫婦生活をしていることは、これは人道上許されべきことでないのであります。こういう現在あつてならないことがあるという政府の冷淡な處置を私は痛撃せざるを得ないのであります。だから、これは、そうするという考えよりも、直ちに實行に移して貰つて、夫婦舍は、三疊數でもよろしい、四疊數でもよろしい、別に夫婦舍としての設備をして頂くことは、國家が直ちになすべき問題であるということを私は指摘いたしまして、直ぐ直ちに實行に移つて頂きたいと思うのであります。その豫算がないということならば、ないと言つた大臣に私はお目に掛かりましよう。ないとは言わせません。どうか一つ、十分に大臣に強要して頂きまして、この問題は直ちに實行して貰いますように、私は痛切なる悲憤の念に驅られて、この點は十分に申上げて置きます。  それから職階制につきまして、職員の待遇の問題で、癩患者の醫師につきましては誠に困難でありますことは承知いたしておりますが、どうかこの職階制の問題で十分なる報酬を出す方へ入れて貰いまして、その待遇が私の情からいうならば、殆んど俸給は倍に上げてもよろ作いというぐらいに思うのであります。何となれば、その娘の嫁入りの疵になる、或いはそこにおつたがために、將來その醫者の家庭の内部事情にまでも何かと様々悪影響を及ぼしておる状態でございますから、なかなかこれは子弟の多い醫者は行こうとしません。だからどうか一つ……。それならばそんなものはなくてもいいかといえば、決してそんなことはない、憲法に許されておるところの人間は、生きておる限りは人權が與えられておるからして、どうぞこの點は飽くまでも醫者が充實し得るような職階制の重要な階級の中に入れて頂いて、そうして醫者が喜んで行けるようにして頂きたい。又醫者がそこに行つたがために、子供の嫁入りの疵になるということになれば、無論國民の輿論も喚起して貰わなければならん。それから又防毒の處置なども、十分その病院で明らかに何人も承認できるような防毒處置と、そうして十分な隔離をお願いしなければならんと思うのであります。子弟ができたら一刻も醫者がおらん、逃げてしまうというようなことではいけないと思うのであります。どうぞその點は十分一つ厚生省において考えて頂くということを希望いたします。  それで今の豫算を多少殖やしたというようなお話がありましたが、この豫算の殖え方は何ら殖えたようになつていない。インフレの今日むしろ改善でなくして、金額においては改善であるけれどもが、物の面からいうならば、何ら改善になつていないということを私は指摘しておきまして、もう一層費用を増して、彼の惠まれざる、何人にも訴えることのできないところの千人近い患者に、どうか春の氣持を少しでも與えて貰えますように私は要望いたします。
  27. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 一々御尤もなお話でございまして、御趣旨は了承いたしました。全般的には十分なる努力をいたしたいと思つております。ただ一二私の言葉の足りません點がございますから附加えさせて頂きます。  先ず第一に食費の問題でございます。私の申上げたのは、實は決してこれで足りるという意味で申上げたのでございませんで、私共としては少くとも三十五六圓から四十圓くらいは實費を上げたいと思つて、要求をいたしておつたのでありますが、ただ少しよくなつたと申しますのは、結核療養所と差別的に扱われておつたのが同じになつたという點だけが進歩であつたと申したのであります。  それから職員の待遇の問題につきましても、御同情あるお話で、感謝をいたしておるのでございますが、實は申落しましたが、私の方といたしましては、癩療養所に勤務をいたす職員につきましては、單に今度の職階制という小さい幅による待遇改善のみでなしに、別に特殊勤務手當というようなものを考えておりまして、只今中勞委あたりとも話合いをいたしておるのでありますが、何らかの方法是非この癩療養所の職員につきましては、相當額の、できれば一〇〇%近い特殊勤務手當を出したいというようなことを、少くとも厚生省としては考えております。  夫婦者の點につきましては御指摘のように、豫算の許す限り……。
  28. 中平常太郎

    ○中平常太郎君 直ちにお願いいたします。
  29. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 職員の問題でございますけれども、只今職員の中でも看護婦が療養中で少いというお話でありますが、私の視察いたしました三重の病院でも、やはり看護婦の問題を言つておられましたが、非常に看護婦の待遇が……、一昨々日も官立病院の看護婦が參りまして申しますのに、夜勤といたしまして、その夜勤の手當も入れて頂いて千五百餘圓だそうでございますが、その夜勤料が入りますと非常に勤勞所得税が多くなりまして、千五百何十圓の収入の中から勤勞所得税を、八百七十圓でございましたか、引かれてしまう。それで食費も出ないというようなことで、家から米を持つて來て、月にお小遣千圓以上持つて來ないと、病院の看護婦ができないのだということを訴えて參りました。國立病院の方ではそんなことはございませんでしようか。ちよつとお尋ねいたします。
  30. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 看護婦につきましても、先程申上げておりますように、同様に考えております。私の申上げた醫療技術者という中には看護婦も含めております。例えば職階制の問題につきましても、現在まだ決まりません數字でございますが、私共の方で主張いたしております數字は看護婦につきましては最低月二千圓、五級から七級までの格付けをいたしまして、最低を二千圓ぐらいにして貰いたいというような要求を盛んに今折衝しておるところであります。全般的にさような面につきまして、例えば今申しました特殊勤務手當につきましても、一律にそうした療養所の勤務者に適用があるように、看護婦についても特別な考慮をいたしたいと思います。
  31. 谷口弥三郎

    ○谷口弥三郎君 先日お伺いして置きました藥品のことは……。
  32. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 申落しまして失禮を申上げましたが、醫藥品、特に衞生材料に不足を來しているというお話でございました。この點につきましては實は多少全般的な問題でございまして、私共としても甚だ遺憾に思つておるのでございますが、正確ではございませんが、すでに半年ぐらい前から、醫療用の衞生材料につきましては必要量を確保できますような筋道が一應立つたのでございます。今頃はとうに十分に行き届いております筈なのでありますが、ちよつとした商工省方面の手違いがございまして、少しその段取が遅れましたので、現場の醫療機關まで出廻りまするのは、まだ十分に行つてないように思つております。
  33. 谷口弥三郎

    ○谷口弥三郎君 それは違います。先日星塚敬愛園へ行きましたときに、會社が頻りに藥品、特に大風子の配給をお願いしたい、今までに比べるというと、最近は大風子の配給が非常に少い、無論原料は得にくいのでしようけれども、何とか大風子を昔通りに頂きたいというようなことを話しておられましたから、先日お伺いいたしましたのは、その大風子が差當り完全に配給ができないのなら、却つて大風子よりももつと效きそうな、特に紅波などを用いれば、結節癩などには可なり效力があるからして、ああいうのをお用いになつた如何でしようか。それでもやつて頂いたら患者は如何に喜ぶだろうか、それに對するお考え如何であろうかということをお伺いしておるのであります。
  34. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) どうも專門的なお話で、私甚だ不慣れでございますが、大風子については、お話通りに不足を來しているのでございます。これは御承知通り原料が輸入でございまして、關係方面に輸入方の懇願をいたしておりまして、最近に許可になりまして近く入つてくるものと考えております。それから紅波につきましては、只今まだ研究中でございまして、全面的に使いますかどうか、もう少し時期を待ちたいと思つております。更にお聞き及びでいらつしやるかと思いますが、アメリカでプロミンという新らしい名藥が出ておるということでありますが、これは是非輸入をしたいと思いまして、只今關係方面に輸入の懇請をしております。できるだけこれは早く實現いたしたいと考えております。
  35. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 外に御質問はありませんか。それでは次に上下水道の問題に關しまして濱野豫防局長の御答辯をお願いします。
  36. 濱野規矩雄

    政府委員(濱野規矩雄君) 上下水道の一元化についてお答え申上げ平いと思うのですが、上下水道は私達國民の保健衞正上根本的な施設でございまして、すでに明治二十二年ですか、水道條例がてきますときにおいても、すでにこれを基本として水道ができら參りました。そして同時に私達一番脅かされます急性傳染病に對しましては、この水道があつて初めて相當の防禦が常時できるものでありまして、そういう意味におきまして、ずつと内務省の衞生局におきまして水道を管理して參りましたが、内務省の機構上、建設の部面は土木局の方でいたして參りました。昭和十三年厚生省ができますときにお互いに申合せをいたしまして、そうして全部厚生省に來べきものでありまするが、役所のいろいろな人員の配置上、建設の部面は内務省の土木局に置きまして、申合せをいたしまして厚生省が分れたのであります。その申合せの事項の中のすべての權利は厚生省にございまして、ただ土木局におきまして現在やつております水道の中で、基本的變革のないものだけでは土木局が案を作りまして、そうして厚生省の方に会議してやれば差支ない、その他は皆厚生省の方が起案をいたしまして、向うへ廻して会議をやる、こういう形でずつと進んで參つてのであります。で、戰後こういう状態になりまして、水道の、問題が特に重要視され、又こういうときにおきまして水道を整備しなければならない。それから戰時中水道は割合にあとに置かれまして、仕事が遅れておりました關係上、各地が非常に水道に對しての整備擴充を急いで參りまして、それに今度建設省ができるにつきまして非常にこの問題がやかましくなつて來たように存ぜられたのであります。併し私達水道の責任を預つておる者といたしましては、人の生活の一番の安全さは、この豐富なる清らかなる水があつてこそ初めて生活の安定が一番價値付けられるものであります。從つて水道なり又それを流します下水に關しましては特に重要視されまして、世界各國のどこの國におきましても水道はこれらの見地から作られておるものでございまして、そういう意味におきまして水道が厚生省にあるべきものだという話を終始一貫いたして來ております。又地方の一般の輿論といたしましても、厚生省の顔を出したり、又建設院に顔を出したり、これはなかなか大變なことでありまして、一元化というものが叫ばれておるのでありますが、今一番問題になつておりますことは、建設の部面を全部建設省の方へ廻すべきだという、こういう意見を建設院當局はしておられるのでありますが、私達これを考えてみますというと、水道の建設と申しますのは在來は極めて簡單であつたかも知れませんが、非常に實際からいいますというと、衞生工學という部面におきまして水道は作られるのであります。日本でいう衞生工學は土木の方々が學校にお出になりまして、ただ好きで習つておられる方が多うございますが、今度こういう状態になりまして、アメリカより非常なる指導を受けますには…向うにおきましては、土木を卒業して一ケ年間は細菌學を勉強し、一ケ年科學その他衞生に關する勉強をして、結局二ケ年大學を出て勉強された方が衞生工學家として巣立ちいたしまして、こういう人達が工事その他を指揮しておるのであります。速かに日本におきましてもそういう制度の確立されることを特に要望しております。そんな關係で、水道が一元化されまして、そういう人々が希望を以て若き人々が集まられ、又古き人々が指導されますことが水道行政の一番早く私は纏まつて行く點だと思うのであります。同時に現在やつておる建設院がただ監督行政でやつているのでありまして、直轄工事ではないのであります。監督工事でありますから、監督工事はどこでやつても然るべきものであります。ただ問題は都市計畫でありますとか、河川法とか、道路法とか、いろいろな問題がありますが、これは部内的に解決のできる問題だと私は確信しておるのであります。そういう意味におきまして、水道の部面というものは厚生行政に缺くべからざる重大な部門であります。例えばこの間東京に斷水がありましたが、ああいうときは斷水が早く我々の方に分りますから、この衞生關係者は速かに水の不足を補い、それに對して直ぐ手當をいたします。又この間の水害のようなことがありますと、各地が危いということが早くから分りますから、水道に對しまする準備をいたします。又その他の豫防の事柄に向つては防疫關係者を動員いたします。この直結ということは衞生を確保する重大なものであります。そういう不便におきまして、衞生課に關係する水道、下水が厚生省に一元化さるべきものだということを、我々は終始要望し、今日に至つた次第であります。そういう意味におきまして水道が速かに一元化され、これが厚生省所管に入るべきことが國民のために極めて幸福であるということを私は言い切れると思います。
  37. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 他に御發言ありませんか。
  38. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 私この間の御質問のときに水道の實例を申上げた、それに對する豫防局長の御答辯であつたと存じますが、問題は建設院と厚生省との兩方の所管になつておるので、水道を持つておるところは随分困つておる、それで厚生省なら厚生省で結構だから、どちらか一本にして欲しい、こういう意味でございます。同じような行き方、同じようなやり方でやられるので、具體的に今一々申上げるのは止めますが、從つて今のお話のように基本的に考えると、厚生豫防の立場から豫防局でお取扱い願うのは結構だろうと思います。そうでありますと、政府で現在やつておる建設院へ全部持つて來て、そうして地方の便宜のように一つ御取扱い願いたい。これを何か政府の方が内部的に打合せを願つてお進み願えるかどうかという點をお願いしたわけであります。
  39. 濱野規矩雄

    政府委員(濱野規矩雄君) 私豫防局長になりまして、水道に關係します局が初めてできまして、極力今日まで努力いたしまして、現在衞生施設課などを作りまして、水道をどんどん纏めて參りますと同時に、上水も纏めら參りました。それで私共のいわゆる部面というもののそこにいろいろのことはありましようが、水道、下水というものを完備して初めて衞生的の生活ができる。水道、下水を完備することを今やらなければ日本は文明々々といつても非常に遅れるのだ。これによりまして、非常に強力にいたしまして、ぶつかりましたのは、今お話通りの問題にぶつかつたのであります。厚生省が水道に對して非常に弱力であつたことは含めない事實であります。それは何故かというと、殆んど技術者がおらなかつたから、それから土木局の方、今度は建設院の方でありますが、それには水道の技術者がおりますが、先程申しました衞生學者などは一人もおりませんです。今本當に衞生學者と呼ばれる方は、厚生省におられます廣瀬教授だけがそういう關係の人であります。併しながら學校卒業以來下水學をやり、水道學を本當に勉強して來た人はお互いにおるのであります。私共の方に局ができまして、そういう技術者のよい方に來て貰いまして、逐次整備をいたして參りました。それと同時に建設院問題が起りまして、あらゆるものをこちらに固めなければならないというので、實は今日初めてここでお答えしますが、國土計畫局に數囘呼ばれまして、こちらによこすべきであるという御意見をときどき伺つたのでありますが、要するに建設院に持つて行くのでありますれば、厚生省の豫防局も一緒に持つてつて頂きたい。それで厚生省に衞生の部面を扱わせまして、水道と下水と防疫の問題は切離すことのできない問題である。こういう話を我々はしておりますが、ただそこに都市計畫、いろいろの問題がございましたが、それは先程申上げましたように一元化できると思います。それで今縄張り爭いみたいな醜いような恰好もなきにしもあらずですが、逐次厚生省におきましても技術その他を整備いたしまして、又今水道技術者の講習もいたしております。段々と技術的にも科學的にも伸ばし、遜色のないものができると思います。極力その線に沿うべく數次に亙り部内におきましても講習會をいたしております。現状はそういう實情でございます。
  40. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 建設院の方は見えておりませんか。
  41. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 見えておりません。
  42. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 何か地方實際に困つておる點を建設院に一つお話を願つてお話する機會作つて頂いて、そうして厚生省の豫防局で結構ですから、統轄して一本でやつて貰うということを採らないと、兩方で同じことをやつておると……。
  43. 濱野規矩雄

    政府委員(濱野規矩雄君) 大體の計畫は、全部厚生省に來ておるのです。ちよつと速記を止めて下さい。
  44. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  45. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 速記を取つて。時間の關係もありますので、尚いろいろ質疑應答を重ねたい事項がございますが、視察關連します質疑應答をこの程度で打切ります。但し我々の三班に分れての各視察というものが、いろいろの意味において非常に有意義であつたということを痛感するものであります。我々今後ともこういう視察を重ねまして、一層我々自身の見聞を廣めると共に、我が國厚生行政の向上發展に資して行きたいと考えますが、今まで各委員から熱心に御報告せられました、又それに關連いたしまして質疑をせられました趣旨を、十分當局においても尊重せられまして、善慮せられんことを切望に堪えないものであります。  次に墓地、埋葬等に關する法律案審議に入りたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 先ず最初に政府からの提案理由をお伺いいたします。
  47. 赤松常子

    政府委員(赤松常子君) 只今議題となりました墓地埋葬等に關する法律案につきまして提案理由の説明を申上げます。  從來墓地、納骨堂又は火葬場の管理及び埋葬、火葬等に關しましては、墓地及び埋葬取締規則が明治十七年太政官布達第二十五號、墓地及び埋葬取締規則に違反する者の處分方、これは明治十七年太政官達第八十二號でございますが、又埋火葬の認許等に關する件、これは昭和二十二年厚生省令第九號でございますが、などによつて規整されて來たのでございますが、これらの規則は、昭和二十二年法律第七十二號、日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に關する法律第一條の四の規定によりまして法律に改められたものとされたのでございます。併しながら同時にその効力は暫定的のものとして必要な改廢の措置をとらなければならないことになつておりますので、その措置として前提三つの規則を總合した本法律案を提出した次第でございます。どうぞ御審議の上速かに可決されんことをお願いする次第でございます。
  48. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 次に食肉輸移入取締規則を廢止する法律案を上程するに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) これを上程いたします。政府當局の提案理由の説明を伺います。
  50. 赤松常子

    政府委員(赤松常子君) 只今議題となりました食肉輸移入取締規則廢止に關する法律案につきまして提案の理由を御説明申上げます。  食肉輸入取締規則は、輸移入食肉の衞生上の取締を徹底するため、昭和二年内務省令第四號を以て制定したものでありますが、日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の努力等に關する法律第一條の四の規定によりまして、必要な改廢の措置をとらなければならないことになつております。併しながら、未だ食肉の輸移入が行われるに至つておりませんので、一應これが廢止の措置としてこの法律案を提出した次第であります。どうぞ御審議の上速かに可決せられんことをお願いする次第でございます。
  51. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) それでは本日はこれを以て散會いたします。    午前十一時五十七分散會  出席者は左の通り    委員長     塚本 重藏君    理事            今泉 政喜君            谷口弥三郎君    委員            河崎 ナツ君            中平常太郎君            三木 治朗君           池田宇右衞門君            草葉 隆圓君            木内キヤウ君            藤森 眞治君            井上なつゑ君            小杉 イ子君            姫井 伊介君            山下 義信君            米倉 龍也君            千田  正君   政府委員    厚生政務次官  赤松 常子君    厚生事務官    (兒童局長)  小島 徳雄君    厚 生 技 官    (豫防局長)  濱野規矩雄君    厚 生 技 官    (醫務局次長) 久下 勝次君