運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1948-05-06 第2回国会 参議院 厚生委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月六日(木曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件 ○厚生諸法規の地方における実施状況  並びに各種厚生施設実情調査のた  めの派遣議員からの視察報告に関す  る件   —————————————    午前十時三十三分開会
  2. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) それではこれより委員会を開会いたします。本日は過ぐる國会の休会中におきまして、各委員会がそれぞれ各地厚生行政視察に出向かれましたその結果を御報告を求めたいと存ずるのであります。  それから事前に皆さんにお諮りいたします。報告の都合上、或いは報告あとにそれぞれ政府当局から発言があり、又或いは皆さんから政府当局に対して意見を聽取なさるというようなことがあり得るかと思うのですが、本日出席せられておりますのは、兒童局の企画課長松崎芳氏、それから予防局事務官藤田孝行氏、それから医務局上島三郎氏、医務局製藥課の一丁田健一さん、以上の方が御出席になつておりますが、いずれも政府委員ではないので、説明のためにお出でになつておりますから、発言を許すことに御異議ありませんですね。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 尚赤松政務次官が御出席です。それでは先ず最初に九州班視察綜合報告谷口さんからお願いいたします。
  4. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 私共一行は三月の一日から十三日間に亘りまして九州各地厚生並びに衞生行政調査視察をいたした次第でございます。一行には今泉、内村小林中平三木委員の方と、私の六名でありまして、それに草間專門調査員佐藤参議院参事政安参議院主事の三名と、厚生省から小澤、寺尾両事務官案内役として同行せられましたので、一行十一名となりまして、先ず福岡を振出しに、佐賀、長崎、熊本、鹿兒島という順序に視察をして参つたのでございます。  視察に当りましては、各縣共に当局方々がすでにこちらから送つておりましたところの調査事項につきまして印刷をして、而も詳細にいろいろ説明して頂きましたので、その十三日間は殆んど時間も足らんような忙しい旅行であつたのでございます。可なり過労の結果でありましようか、中平内村小林の三君は少々お体を痛められたりしまして、殊に政安主事は感冒を冒しまして視察に加わりましたために、ついには最後の鹿兒島入院治療の止むなきに至つた程度であつたのです。併し幸いに治癒されましたので、大いに安心いたしておるような次第であります。  視察に先立ちまして、各縣に送つておりました調査事項は、これは各班とも同樣でございますから、その点は省略させて頂きたいと思います。とにかく十七項目に亘る調査事項を書いて各地に送つて置きました。その点について特に調査をいたしたのでございますが、各縣における調査状況は、各縣担当の委員からそれを詳細に御報告がありますので、私は綜合的に二、三の点のみを申上げて見たいと思います。  先ず第一に、各地の衞生施設費でございますが、これが本年度は各縣とも施設費がずつと上昇いたしておるのでりあまして、殊に福岡縣におきましては、総額予算の六・八%に上る程の好成績を示しておつたのは、これは杉野衞部長を初め、関係者殊に知事がその点に非常に理解を持つて頂いた結果であると思うのでありまして、厚生行政の將來を大いに心強く感じた次第でございます。尤も総司令部福祉厚生部長サムス大佐さんは、厚生行政予算は一〇%に達すべきものであるということをおつしやつておられるので、それに比べますと、まだ先遠い氣持がいたしたような次第でございます。  第二の点は浮浪兒の点でございますが、各地とも関係者が熱心に実務に当つておりますので、余程成績は上つておるようですが、中央からの根本的指示が欠けておりはせんかと思うような点を残念ながら見出しておるのでございます。例えば福岡百道松風園とか、或いは佐賀浮浪兒收容所などを視察いたして見ますというと、その浮浪兒に対して精神鑑定などもいたしておるのでございます。以前は浮浪兒精神薄弱兒は先ず六〇%程度であると言われておりましたのに拘わらず、今回行つて見ますというと、八〇%からの精神薄弱兒がおるような次第でございます。從つて私共は、できるならばその家庭の者の精神鑑定をして貰いたい。そうすれば今後遺傳関係を見たり、いろいろとその対策を、優生方面対策をするのに非常にためになるからということを特にお願いして帰つた次第でございます。  第三には、佐賀縣國立病院精神病院視察をいたした場合に、私共の特に感じましたことは、我が國は敗戰によりまして、國土は著しく狭ばめられておつて、而も人口は一ケ年百万以上の自然増加をいたしておる今日におきましては、どうしても不良な精神患者の遺傳的精神病などは、断種手術をできるだけ勧めてさせるべきものであると考えておりますので、同院に行きまして、院長断種手術をやつておられるかということを聞いて見ますというと、まだ開設以來一名もやつたことがないというようなことを言つておられるのであります。從つてこれには是非強制断種でもやらせて、そうしてかかる不良な分子の出生を大いに防止する必要があると特に感じたような次第であります。  次に、各地に参つて見ますと社会保險、特に國民健康保險に対する陳情が、どこも非常に激烈であるのでございます。組合側におきましてはこの現在のままでは到底存続することができぬということを申しております。医師会側におきましては、殊に佐賀縣のごときは、このままで診療を持続することは到底困難であるというふうに言つておるのであります。從つてこの方面に特別の力を向けて、何とかしてやつて頂かなければならぬと思つておるのですが、その各地での陳情を聞いて見ますというと、ともに一町村單位であるために、余りその資力が薄弱なために、殆んど開店休業状態になつている所が多いのでございます。從つてこれには数ケ町村、或いは郡、できれば縣というくらいの大きい單位にして危險分散をさせるように早くやつて頂きたいと思います。尚又医師側の申出によりますというと、診療所の支拂が普通でも三ケ月、長いのは六ケ月、中には一年以上も経たんと診療費を貰えぬ。殊に或る場合には組合が廃止になりますために減額してくれ、或いは拂うことができぬというよう状態部分が沢山あります。而も医者は現金で藥を買ひ、治療資材を集め、又看護婦などに給料を拂つております。而も所得税においては、將來貰えるか貰えぬか分らんようなものまでも、予算申告をして税金を拂つておるのでありますから、到底この状況では立ち行かぬということを申しております。從つてこれには私共も是非診療報酬は今後源泉課税にして頂いたらどうか。組合において金を拂う時分に源泉課税にして、医者に金を渡す。医者はその税を取られた残りだけを貰つて、それを或いは所得に申告するとかという程度にすれば、少くとも貰つたあとに申告しますから、將來貰わぬような金までも予算申告して税金などを拂う必要がないということになりはせんかと思うて、この点は特に当局に、厚生省並び大藏省方々に是非お願いせんければならんと思うております。その他詳細なことは、各縣に視察をされた方々からの御報告がありますから、私は簡單にこれだけを申上げて置きます。
  5. 中平常太郎

    中平常太郎君 それでは福岡縣から御報告を申上げたいと存じます。
  6. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) お願いいたします。
  7. 中平常太郎

    中平常太郎君 去る三月二日、三日は福岡縣でありましたが、沢山御報告もありますことでありますから、重複の嫌いが私はあると思いますから、極めて簡單に御報告を申上げたいと存じます。  衞生方面につきまして先き申上げたいと存じます。福岡縣保險病院が三個で、花柳病診療所が十四個、病院が八個で、いずれも花柳病診療に当つております。内、保險病院專ら街娼、即ちパンパン・ガールのごとき者の檢診治療に当つております。  現在の隘路といたしましては、保健衞生行政が非常に複雜廣汎に亘つておるにも拘わらず、末梢の方が人的に数年前から一人も殖えていないがために、固より縣の財政関係もあるのでありますけれどもが、どうも中央の方からいろいろな指示があつても、それを末端に効果的にこれを行うことができないことが多い。それは事務が複雜するに從つて人的資源の割合が殖えていない原因である。そういう方面に向つてどうしても考慮を拂わなければならんというふうに考えておられるようであります。それから保健婦、助産婦、看護婦令などの改正に伴いまして、現在の規則が養成所のみでありますから、まだ影響が少いようでありますけれども、現在におきましては各種病院養成施設におきましては、病院などであつても、卒業後義務年限看護婦に課しておるので、その間むしろ徒弟樣式ような恰好になつておりまして、否でも應でもそこで奉職するというよう状態に相成つて、質の良し悪しを論ぜず使つておるようでありますが、これは將來労働基準法関係もありますので、從來のやり方が全面的に否定されてしまつて、質の良い看護婦に成り代つてしまうということは、今後理想ではあるが、成り代つてしまうまでの間の過渡時代の三年程の間が非常に困難な情勢が各病院で認められるのでございます。  それから次に、青少年学童及び結核蔓延の趨勢でございますが、日本結核死亡率終戰後非常に上昇しておりますが、而も福岡縣日本一でございます。日本一結核縣でございまして、その原因といたしましてはいろいろありますが、大体引揚者結核死亡が大分昨年は計上されておりまして、特異な統計的性格を持つてつたのでございます。それから又他の縣では漸次混乱が調整されるに從つて結核患者は多少減つておる統計が現れておるに拘わらず、福岡縣におきましては未だにその低下の状態が見えない。それはどういう原因かということに対して檢討いたしたのでありますが、本福岡縣産業縣であると同時に又健康に対しては非常に深く注意しておられますが、立派な工場鉱山組織労働者以外の多数の放任された勤労者が多い。それらが本当にBCG注射その他に対してどうしても一つの科学的に全部にやつて行くということが困難である。そういう関係でどうしても勝手に蔓延するというふうになつている。それから又福岡縣は、工業商業の縣であると同時に又農業縣でありまして、その労働供給源となつているところの農家から來る者は陰性の者が大部分であります。結核における処女地帶青少年大分参つております。そういうのが参つておりますために感染しては帰つてしまつて、郷里へ病毒を傳播するというようなふうの状態が、外の縣よりも特に多いよう状態でございます。現在におきましてはBCGの普及は十歳から二十四歳までの男女青少年六十四万人に対して実施中でございまして、私が参つた頃の一月までにはすでに四十八万人を終了いたしておりました。主に学徒に向つてつておる樣子でありまして、いわゆる労働者の方の側に組織がないために、非常にBCG注射を勧める上において困難を感じているふうであります。これはどうしたらいいかということは今後の活動に待つより外ありませんが、結核世話委員会とか、或いは各市町村の衞生委員会などを仲介として一定の期間を定めて、全部の労働者に向つてそういうふうなBCG注射をするというふうなことを考えているというのでございまして、これは極めて適切なことであるからして飽くまでそういうよう状態にやつて貰いたいというて、こちらからも奬励して置いたわけであります。それから工場の方につきまして申上げますが、三菱化成黒崎工場に参りました。これは九州における極めて大きい化学工場で、藥品製作工場でありますが、各種化学藥品の製造をやつておりまして、全國的に医藥品の給源といたしましては、相当全國的には重い役割を持つている工場であります。特にペニシリンの方におきましては、タンク培養を始めております。外にはまだ余りタンク培養をやつたところはありませんが、ここは大量生産のためにタンク培養をやつております。それに著手いたしまして、その効果につきましてはまだ判然としたところまでは行つていない状態でございました。ペニシリンは今日非常に増産の計画各地に行われておりまして、大変結構なことであると存じますが、まあこんなにできたならばペニシリン生産採算点を割つてしまうであろうというようなことから、いろいろ疑惑を起した人があるようでありますが、決してまだそんなよう状態ではございません。米國あたりでは今二十万單位ペニシリンが一弗二十五セントでありまして、現在の暫定の爲替レートから考えまして二百五十円から三百円度でございます。それが二十万單位でありますが、日本でできている十万單位マル公が六百八十五円でありますから、これを二十万單位に換えますと、千三百七十円でございまして、アメリカは二百五十円ですが、日本ペニシリンは千三百七十円ということになりまして、まだまだ日本生産を高めて、價格におきましては如何なる勤労階級の方でもペニシリンがかるがると入手できて、病勢を弱めるに強いところのペニシリンの藥の普及するようにいたさなければならん建前からいたしまして、まだまだ大いに奬励せんければならんと思う次第であります。これが三菱化成におきましては、ペニシリンタンクを以て大量生産をしている次第でございまして、誠に意義のあることだと思う次第であります。  生活保護法におきまして市の財政からいたしまして、福岡療養費に大部分使つております。これはやはり機能を発揮しておられるからそうなつて参つたと思います。他の縣はそういう形跡は見えなんでありました。生活保護法の金は昨年度八百五十五万五千九百五十七円使つており、この中医療費に六百七十一万円も使つておられまして、生活保護法のため大分活躍されております。他のところに行きましてこんなに生活保護法の金の七五%に近いものを医療費として使つておるところは九州には一つもありません。福岡縣は一番医療に向つて力を盡しておる。先程谷口委員もおつしやつたよう福岡は衞生方面に非常な努力を拂つておることがこれで分ると思うのであります。  それから施設といたしまして、生活保護法の対象とするところの貧困者に対するいろいろな施設は、戰前におきまして百四十六、戰後におきまして百八十七、合計三百三十三ケ所でございまして、相当充実した施設ができつつあります。併し一般生活保護法の金が少いためにどうも苦しいから、生活保護法の金の保護率を上げて貰いたいという希望が痛切にございまして、我我はこれは一つ大いに委員会におきまして考慮拂つて厚生省と相談して、できるだけこれは要望に副うようにしなければならんと思つた次第でございます。  それから市町村の一割負担、縣の一割負担の方はまだよろしいのでありますが、市町村の一割負担ということは非常に各村で難儀の状態でございます。ために千円補給しなければならんのに九百円補給して置いて千円の受取を取つておる。そして百円だけは寄附の形式で市役所、村役場に戻しておる。これは生活保護法制定の趣旨に全然反しておる。これは飽くまでもなすべきところになさねばならんに拘わらず、市町村自分財政が苦しいために、自分負担する一割を還元してしまつておる。千円やるべきところに九百円やつて、そして千円の受取を取つておる、いわゆるペテンでありまして、これが各地で行われておるようでありますから、厚生省といたしましても、今後飽くまで正常な状態に復せしめて、飽くまでも生活保護のために出すべき金は出すようにしなければならんと私共はこの方面に向つて注意を與えて置いた次第でございます。  それから長くなりますから飛ばして申上げますが、災害救助に関する状況でございますが、災害救助に関する用意といたしまして、主食につきましては毎月百六十石ぐらいの米麥用意しておりまして、これは人員にして六万四千人の一日分であります。その中五十石を食糧課において直接保管しておりまして、後の百十石を各都市別に分散保留しておりまして、必要に應じて一般配給用より立替える用意をしておりました。衣料は毛布二千枚、衣類七万八千八百二十二点、靴三千足ぐらいを持つております。それから災害救助に対しまして極めて必要なのは輸送機関であります。これは貨物自動車四千五十七台、自動車八百九十七台、乘用車二百八十九台、これらは必要に應じて直ちに動員し得るような態勢を整えておるということでございました。組織はまだ十分にできていないようであります。縣ではできておるようでありますが、市や地方事務所には支隊を作り、町村には分隊作つて災害救助應急処置が直ちに機能が発揮できるように、現在支隊分隊の編成中であるようであります。  それから日本医療團の解散後の処置でありますが、これは國立移管以外はまだ医療團において経営いたしております。まだ問題になつておるところの病院などは、そのままになつて医療團でやつております。  それから保健所は設備を拡大して、結核と性病に重点を置いておるようでありますが、政令の公布によりまして適宜に十五万以上の都市に対しては市に移管するという方針で、著々準備を進めておるよりでありますが、十五万以上は市に移管する。こういうふうに保健所が権能一切を移管する。  戰災者の処置といたしましては、遺族会遺族が今八万三千人あり、八十万円で今度授産施設をやりつつあるようでありますが、家屋などもそれに應じてできますけれども、今度特に二千戸程建築にかかつておるようであります。  それから住宅対策といたしましては、集團的に建つておる所が七十三ケ所ありまして、個人的に建つておる所は二百五十五ケ所あります。  生業資金貸付状況といたしましては、現在貸付済は六千三百万円でございまして、四千七百六十八件ございます。相当日が経つておりますが、今後貸付予定額が四千九百九十二万円あつて、これは又復金なり庶民金庫なりに交渉を進めておるのであります。今後の貸付予定額はその通りでございます。  それから今後施設に参りまして、福岡縣立福岡学園に参りまして、これは感化院でございます。罹災後二百五十万円ですでに復旧いたしておりまして、誠に早い復旧で感心したのでありますが、二百人の定員で、これは感化院でございますが、勤労精神の涵養に、情操教育重点を置いてやつております。力を入れておるようでありまして、これは詳しいことは申上げませんが、これは普通の感化院でございます。これはとにかく早く二百五十万円でやつておる上に、今度又増築に共同募金の金を二百万円程そこへ貰つて仕事を大きくするということを言つておりますから、可なり立派な模範的なものができると思つております。  それから和日青松園状態は、これは引揚孤兒收容所でありますが、定員百五十名程でありまして、現在七十五名程入つております。これは廣大松林の中に点々として十余棟が建つておりまして、極めて環境がよろしい。不良化しようにも不良化しにくい程自然に惠まれたいい所で、引揚孤兒を保護しております。これは経営者同胞援護会福岡支部がやつておりますが、経費は大体一ケ年百十五万円程使つております。職員が十二名ございます。大変いい所でございまして、ああいうふうに松林の中にできたということは、大都市では到底眞似のできない、極めてどうも望ましい状態で子供を養つております。  それから兒童福祉法に対しましてすでに実施期に入つておりますので、その状態はまだ具体的にはできておりません。実施期に現在入つて努力中でございます。それでは名前だけ申上げますが、教護院これは感化院でありますが、養護施設、今の百道松風園であります。それから今の浮浪兒の所、それから若草寮、それから福岡社会館、これは乳兒院兒童福祉などのところもざいます。兒童相談所福岡学園八幡乳兒院聖母園などもございます。ぽつぽつ整理されております。市町村には産院、保育所母子寮等設置方を督励中でございます。  住宅につきましては本縣では戰災戸数が五万戸でありまして、疎開が四万戸、合計九万戸の必要があつて、現在不足しておりますのは、引揚者の分が加つたために十五万戸不足でございまして、その中建築済が五千五百二十八戸であります。二十三年度から五ケ年計画でやつておりますが、これは誠に思うようには進行しておりません。それから國民健康保險組合状況でありますが、國民健康保險は到る処不評判でありますが、この福岡縣におきましても、優良なものは二十一個しかなく、普通が六十八、不振なものが二十三個、それから廃めてしまつておる、冬眠も春眠もない、廃めてしまつておるものが百七十二個ございます。誠に國民健康保險組合は到る所不振の状態でありますが、どうしてもこれは政府におきまして、近くこれに息吹きを入れて本物にするか、本当の社会保險に延長せしめるかということは、余程考うべき問題であると存ずるのであります。  右ようの次第でありまして、詳しいことを申上げたいのでありますけれども、他の方々の御報告の時間も要りますから、これで私は止めますが、福岡縣九州における雄縣でございまして、誠に衞生方面には他縣に比してよくできておるように存じますが、右簡單でございますが、私の報告を終ります。
  8. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) ちよつと皆さんにお諮りいたしますが、相当沢山各地廻つて來たので、詳細の報告を承りたのでありますけれども、時間的にもできるだけ能率的に報告して頂きたいと考えますので、その点あとの方も……。
  9. 小林勝馬

    小林勝馬君 この地方視察の御報告は、約束の時間があるのでありまして、だらだらとそう無條件でやられたのでは、外の人が迷惑至極でございます。これは詳細に報告したければ、誰でも五分や十分で終るものでないけれども、これを制限するために、初めから約束をちやんとしてあるのでありますから、その時間内に報告して貰うようにして頂きたい。今後の方々にお願いいたします。
  10. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 九州班を済ませて、他の班へと思いましたが、中部の方へ行かれました千田委員が、他の委員会との関係で、先にやらして貰いたいという要求が出ておりますが、如何でございますか。それでは千田委員からは静岡縣視察状況並びにその他特別の報告があるようですから……。
  11. 千田正

    千田正君 お許しを得まして、中部の中の静岡で、総括して姫井委員からお話を願うことにしてありまするが、ただ一点だけ特にこの委員会において報告さして頂きたいという面がありますので、特にその一点だけ報告さして頂きます。  それは静岡縣における三方原におきまするところの兒童福祉法によるところの保護施設であります。葵寮と申しまして、これには全國の浮浪兒收容されておりまするが、どうも兒童福祉法根本の趣意を十分に院長が納得していないと同時に、静岡縣当局もその指導方針において誠に緩慢な点があるのであります。それはどういう点かというと、丁度葵寮の行き方は、少年刑務所という感じを深くさせられた。というのは、曾ての海軍航空隊施設をそのまま葵寮にしておるのでありますが、その中を間仕切りいたしまして、第一番に浮浪兒狩をやりまして、連れて來た浮浪兒を一室に監禁する、而もその監禁の方法は、丁度刑務所におけるがごとく、鉄格子を嵌め、錠を掛けて、そうして一應はそこに監禁して置く、嚴重なる監視をして逃亡を防いでおる、こういう状況なんであります。それでこれはどう言つて兒童福祉法案のこの度の実施方法においては、誠に反対の方法という意味で院長を呼んで我々と十分なる懇談をしたのでありますが、ところが院長の説を聞くというと、私は長年の間浮浪兒取扱つて経驗があるのである、今兒童福祉法案ができたからと言つて私の信念を曲げるわけに行かん、それはあらゆる浮浪兒收容のし方を研究した結果、どうしても手に負えない者はこうして監禁してこの性格をなくすより外にない、それには逃亡を防ぐためには錠を掛け、或いは鉄格子を嵌めて、そうして当人の性格を十分に矯めてから軟禁の方向に行く、軟禁を何ケ月か続けて更に自由な方向に取つて行きたい。この三段階に分けて私はやつておるのであつて、先般も進駐軍が來て怪しからんじやないかという注意を受けたけれども、私は長年の信念によつてこれ以外に浮浪兒を矯正する方法がないと断固たる決意を以て、参議院議員が來ようが、衆議院議員が來ようが私はこの方法によつて浮浪兒を直して行くのだ、誠に頑強なるところの説を唱えたわけであります。参りました我々一行としましても、最初何らの鑑別することなくして、直ちに監禁室に監禁して、長いものになるというと七十幾日かその窓といつてもほんの明りしか採れないところの薄暗い部屋に閉じ込めて、丁度刑務所の生活と同じよう方法を採つておる、一日も早く解放するようにと申し傳えたのですが、どうしても頑強にして聞かなかつたのであります。これは一應兒童福祉法根本的な法の意味を十分に了解でき得ないやり方である、こういうので静岡縣に帰りまして、縣廳において十分に知事並びに担当する担当官に対しまして我々一行から抗議と注意とを申込んだわけであります。ところが静岡縣としましても、我々も長い間いろいろ研究しても、どうしても当人の言う通りやる外はない、こういうのでありますので、これは帰りまして厚生省と十分に打合せの上に、この兒童福祉法案の眞の意味を徹底さしたい、こういうので帰つて参りましてから、厚生省の方にも十分その面についての善処方を我々としては申込んだわけであります。後程聞きますというと、我々がすでにその方法を取る前に、名古屋駐在の進駐軍から嚴命を以て直ちに撤去しろという命令を静岡縣並びに葵寮の寮長に向つて指令が発せられて、三方原の葵寮の監禁室は鍵や鉄枠が取外されたということを新聞で承知しております。併しながら未だにかくのごときこの保護施設に関する点においては十分なる兒童保護の目的が達成されない、又その係の者が十分にこの法を活かして行くという点は、末端にまで行届かないということにつきまして、我々厚生委員としましても誠に遺憾に存じた次第であります。冀くば厚生省といたしましてもこの法は單なる法律でなく、実際にこの浮浪兒を一日も早く善良な兒童に還す方法としては、愛の力以外にないじやないか、こう思つたときに不法監禁というような從來のやり方を以て行つては永久にこの法が活きて來ない、こう思いますので、特に厚生省に対しましては、この法の徹底した行き方に対して善処方を要望する次第であります。特に私の見ました中で、静岡縣のこの三方原の葵寮のこの方向に対しましては、十分なる御注意を今後もお願いしたいのであります。一應静岡縣における特殊な報告としまして、私の報告を終らして頂きたいと思います。
  12. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) この事柄につきましては、その後どういうふうに事態が進展しておるか、本省と地方廳との間にどういう交渉が行われたか、どういうよう状態に変つて來たかというようなことも承りたいのでありますが、報告をずつと済ました中で、後にこういう問題が外にもあろうかと考えますので、そういう折衝の時間を持ちたいと思います。  それから尚この機会に皆さんに御紹介申上げます。いつか懇談会の時には御紹介申上げなかつたと思うのでありますが、先般長野縣の補欠選挙において参議院議員に当選に相成りました池田宇右衞門君を御紹介したいのであります。同君は民主自由党に所属しておられまして、このたび厚生常任委員となられました。御紹介申上げます。
  13. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 只今委員長殿から御紹介を委きました池田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  14. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 尚この機会に皆さんにちよつとお諮りいたしますが、高良議員が見えまして、兒童福祉委員の選定の件につきまして、一言発言の機会を與えて呉れ、こういう申出がありますが、如何いたしましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) それでは今こういうようにお互いの報告にも時間制限を附しておるよう状態でありますから、この点をお含みの上で一つお願いいたします。高良委員
  16. 高良とみ

    委員外議員(高良とみ君) 兒童福祉法案の設定に対する皆樣の御努力に対しましては、私共婦人議員及び外部の婦人團体も母親を代表いたしまして、皆樣に深甚な感謝を捧げておるのでございます。これが実施期に入りまして、全國の母、婦人は甚大なる関心を以て一日も早く十分なる功績を挙げますことを待ち望んでおるのでございますが、本日は特に中央兒童福祉委員の御選定に当りまして、私共婦人議員團が過日集合いたしました際に、是非この兒童福祉の法案の実施及び福祉委員の選定には婦人議員の中から厚生委員は勿論のこと、その厚生委員でございません者の中にも甚大なる関心を持つておる者がございまするので、この点特に御考慮願いまして、厚生委員外からも婦人議員を御選定頂けますようにというのが率直な希望なのでございます。勿論厚生省中央兒童福祉委員に議員から御参加がありますかどうかは当院の院議によることでございますし、その当否につきましてはいろいろな御議論もあると存じまするが、洩れ承りまするところによりますると、行政当局の方におきましても、この福祉委員には議員から入つて貰いたいという希望もあられるようであります。併しながらこれは厚生委員に限つたことはおありにならないのではないかと私共考えるのでございまして、皆樣の廣い御理解を以ちまして、婦人の議員にしてこの厚生委員に加わつて皆樣と御一緒にしたいのでありますが、人員の制限上入れない議員が沢山ございますので、その点からいたしましても、是非一つ婦人議員の中からできるだけこの方面に関心を持ち、又特殊な技能を持つております者がございましたならば、御採用願いたいというのが婦人議員の要望でございます。これは衆参兩院の婦人議員團の要望でございまして、皆樣が御了解頂きましたならば非常に仕合わせと思います。尚そういう意思表明も亦社会の母親からも沢山ございまするので、一應この際委員会に申上げて置きたいと思います。  附加えて大変恐縮でございまするが、兒童福祉法案実施予算につきまして大変な削減がございまするのは、現下の臨時費として母子寮、或いは乳兒院、兒童保護施設の増築の困難のおありになりますることは了解いたしまするけれども、折角法案ができましても、そういう施設がなくて兒童保護をやつて頂きますことは本当に空に向つて夢を画くごときものでございまして、このままでは私共兒童を代表し、母親の願いを代表いたします者として誠に心もとなく、又この一年これで我慢をして行くのかと思いますると、浮浪兒、孤兒又は乳幼兒の実情からいたしまして寒心に堪えないものがございまするので、特に皆樣のこの兒童福祉法実施予算につきましても増額の御運動を、この際大藏省に向つて強力にお進め願いたいということを、更に附加えてお願いする次第であります。
  17. 赤松常子

    政府委員(赤松常子君) ちよつと今のことにつきまして申上げたいのですが、只今高良委員の御発言に対しましてちよつとお答え申上げ、又私の考えておりますこともちよつと申上げたいと思います。  今度兒童福祉法実施いたされまして、日本といたしましては画期的に母と子供の問題が一應取上げられましたことはお互い喜びに堪えないことでございまするが、この法を本当に活かして参りますところに重点を置いて、これを運用いたします委員の選定をいたさなければならないと、私は固く信じている者でございます。申すまでもございませんが、婦人とか男子とかという考えを捨てまして、この法律を本当に活かして血を通わせて行く、そのことに重点を置きますならば、何と申しましても子供を生み、育てる責任を持つております母、そういう母性を持つております者が最も中心にやらなければならないことは申すまでもないことでございます。まだ最後の決定に至つておりませんので、中央及び各府縣のこの委員会に是非そういう母性の参加を私は切に希望もし、努力もして、その実現に努力いたしたいと考えておる次第でございます。申すまでもございませんけれども、中央におきましてちよつと選考事情をいろいろ伺つて見ますと、名実備わるというような考え方を今尚持つて御選考があつたようでございまして、私はもう名……そういう名前というようなことを考える時代でなくて、本当に動ける人、本当に考えている人、本当に熱情を持つている人、そういう働ける人を中心に重点に置いて、こういう委員の選び方をしなければならないと特に考えておる者でございます。  それから予算につきまして、も仰せの通り國家財政の危局に際しまして、十分なるものが取れないことはお互に遺憾でございますが、これから本当に文化國家の建設のため、厚生行政、文教行政が基礎にならなければならないという考え方に段々変えて行く上におきましても、この増額を私は極力努力いたしまして、せめて各府縣に新らしいものが一ケ所ずつは創設されますくらいのものを努力して護得いたしたいと存じております。そのためには今の削られましたものの倍額、せめて五千万円くらいは何とかして努力して取りたいと考えております。ちよつと申上げて置きます。
  18. 高良とみ

    委員外議員(高良とみ君) その只今の母性を参加させますことは、実際に母親から我々婦人議員が相談を受けることが非常に多いのでございまして、子供を産むのにも母子寮がない。或いは子供を預けて働かなければ食えないという引揚者戰災者その他の婦人の相談を始終受けておるのでありますから、それには、その施設に対して道案内といたし、又兒童局の働きを紹介いたしますためにも、どうしても中央のみでなく、地方の婦人がこの兒童福祉委員にも、できるだけ母親又は婦人の方を動員いたして頂きまして、勿論婦人達はいろいろ引込思案でもあり、又家庭の仕事でございまして忙がしいのでございますけれども、この際婦人にこの福祉法案を通して、政治への責任と義務を果させて頂きませんことには、又兒童に対する施設行政が遅れるのではないかということが、私達の動機でございます。又更に予算につきましては、皆さんも御案内と存じますが、今回五千万円のみ施設費としては兒童局に許されたのでありまして、全体の六億の施設の中から五千万円の許可ということに対して、福祉委員が、この厚生委員が、そのまま見過しにできないことと勿論思うのでございまして、厚生省の説明を聽きますと、それは只今経営費としての基準の研究中だから、基準が決つたならばもう少し追加として要求すると仰せられますが、追加予算をちよぴつと追加されますくらいの額では、とても福祉法を満足に実施はできないのでありますから、皆樣御承知と思いますが、どうぞ十分御檢討を願いたいと思います。
  19. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 高良委員から申出の婦人議員としての熱心な御要請に対しましては、十分了承いたしまして善処いたしたいと思います。ただ兒童福祉委員選定につきまして、今日までの経過につきましては、高良さんその他婦人議員の各位に私から申上げておるような事情で今日に立ち至つておることを御了承を願いたいのであります。尚申出の点につきまして、後刻厚生委員といたしましてもよく懇談をいたしまして善処いたしたいと思います。
  20. 高良とみ

    委員外議員(高良とみ君) 有難うございます。
  21. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) では次に三木委員の御報告を求めます。
  22. 三木治朗

    ○三木治朗君 佐賀縣視察状況を御報告申上げます。三月四日縣廳に到着いたしまして、厚生事務全般の状況を聽取いたしまして、その後社会保險病院、みどり園、肥前精神療養所等を視察いたしまして縣廳に帰り、民間状況聽取のため、民間の各種代表者と懇談会を開いたのであります。翌日五日は佐賀市における上水道施設、養老院、協樂園、進徳学校及び唐津の保健所等を視察いたしました後に、虹の松原、鏡山硝子の町等の各地を参観いたしまして、佐賀縣下の視察を終つたのであります。視察並びに陳情等の状況を一一御報告申上げても大変時間を要しますので、特に重要と感じました点のみを御報告申上げます。  先ず第一に申上げたいのは、佐賀縣は先般行われました共同募金では全國のトップを切つて完了いたしまして、その分配も終つて、頗る好成績を挙げておつたのであります。尚兒童福祉法を施行するに当りましては、兒童課を新設いたしまして兒童大会というようなものを開催いたし、大いに輿論を喚起するなど、厚生、衞生に関し相当な熱意を持つて努力しておるものと感ぜられたのであります。但し鉄道始め交通機関が非常に麻痺状態と言いますか、不便なために保健所は言うに及ばず、すべての面において非能率的な点が特に注目された次第であります。教護院の進徳学校は情操教育において大変見るべきものがあつたと思うのであります。学生に対する村内の評判も頗るよく、教護院を世間が見直したというような好成績を挙げておるのであります。取り分け教諭を中心に劇團を作りまして、兒童大会にも出演して好評を得たとのことであります。視察團の一行も見せて貰つたのでありますが、学生の日常生活と將來への希望とを巧みに採り入れた筋のものでありまして、学校の実際生活を窺い知ることができた感じがいたしたのであります。この学校の校長の人柄と言い、父子二代に亘つて当校の教化事業に携る教諭などもありまして、この問題は結局は人にあるのではないかということを痛感いたしたのであります。  健康保險組合に関しましては、各地とも何れも非常に困難な状態にありまして、佐賀縣保健組合連合会より陳情書も出ております。それは何れ当局の方へ差上げますからよろしく御覽を願いたいのでありますが、結局強制設立、強制加入というよう方法を取るのでなければいけないのではないかと考えられるのであります。  引揚者住宅に関しましては、引揚者、管理者、縣当局、これらの三つのものの連絡を密にるすることで非常に大切だと感ぜられました。並びにその授産所等を是非設置する必要があると考えます。  肥前精神療養所からは歎願書も提出されておるのでありますが、いろいろ改善すべき点のあることは言うまでもありません。現に私共の行つて見ました時には、精神病者が病院の廊下にベットを並べて寝ているというよう状態であるのであります。而もその患者の中に結核患者がありましても、これを隔離することができないで、皆な一緒にいるという甚だ寒心すべき状態であるのであります。これらの点に関しましては、是非厚生省において然るべく処置すべきものであると考えるのであります。  尚唐津地方は虹の松原、鏡山、松浦潟等一滯の景勝の地でありまするし、名護屋城址等がありまして、これが國立公園に指定されることを地元の人々が非常に熱望しておつたことを附加えて申上げて、簡單でありますがこの報告を終ることにいたします。
  23. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 次に内村委員から長崎縣の報告を伺います。
  24. 内村清次

    内村清次君 三月六日、七日長崎縣における視察状況報告いたします。  私は長崎縣の厚生並びに衞生行政状況を次の三つの角度から視察したのでありまするが、その一つ関係法規の普及徹底の状況、特に第一回國会にて審議可決しました法規の浸透状況、縣行政の機構の合理性、その二つは行政の効果及び現在困難している問題及び將來への希望の点、その三つは縣の特異性と各社会施設実施状況等でありました。  第一の点は、関係官の熱意ある指導、連絡、普及によりまして、他縣同樣概して効果あるところの実績を示しておりました。  第二点でありまする行政の効果は、原子爆彈の被害地でありまして、戰災都市でも相当被害の盡大でありました本縣が、著しく復興されております現状でありますことは、特に意を強くしたわけであります。縣財政の窮迫しているにも拘わらず、厚生関係に対するところの予算が歳出予算の十%強、衞生関係が四%弱で計上していることにつきましても、本縣の熱意の程度に対しまして非常に意を強くしたわけであります。特に本縣が衞生行政に困難をしているという点を綜合して述べますと、先ず結核患者の増加であります。これはやはり日本の同病患者の増加率に対しまして本縣も非常に激増しておりまするが、この予防といたしましてのBCGの接種、これが学生に対しては辛うじて実施せられておりますが、工場事業場及び鉱山等に対しては実施されておらないという点でありまして、これは政府は速かに液の増配をなすべきであると認めました。  それから上水道衞生でありますが、上水道は長崎、佐世保、諫早市共に水の不足に悩んでおりまして、僅少の時間給水によつて市民は困憊しているという状況であります。この消毒に要するところの晒粉の四半期分、即ち七トン五というものがまだ到著しておらない状態でありますから、この点も厚生省の方で早く一つ面倒を見て貰いたい。  第四に医藥品衞生材料であります。医藥品の配給状態は概して順調であります。併しながらガーゼ、脱脂綿の配給が細年八月に配給されたのみで、現在まで入荷しておらないというよう状況であります。  次に、國民健康事業状況は、これはやはり全國的傾向でありまして、本縣は僅かに十四%の組合が動いているという状態でありますが、これもやはり國民健康保險法の根本的な改正をする必要があると認めました。  それから生活保護法実施状況でありまして、これはやはり給付、寄附金が足りないことは等しく認めるところでありますが、特に行路病人、行路死亡人の取扱法、現在純縣費で賄つていることを、これを生活保護法により統合してやつて行くべきが至当でないかと、こういうふうに考えたわけであります。  それから住宅問題につきましても本縣がいわゆる原子爆彈の戰災都市であるという点からして、住宅問題に関しては特に関心をさいておつたわけでありまするが、第一次建設五ケ年計画を樹立しておつて、著々進行はいたしておりますが、とにかく隘路は平面面積が少い、立体建築をしなければならない。こういうようなところに隘路があるように見受けたわけであります。  翌日の七日に各施設視察をいたしたのでありますが、向陽寮、これは戰災孤兒收容所であります。又開成学園、これは救護院であります。又マリア園、これはカトリック系のいわゆる戰災孤兒を收容しているところであります。それから諫早の飛行場跡の引揚者住宅施設視察であります。それから小濱の保健所、この施設を見たわけでありますが、この中特に感じましたことは、小濱の保健所、これは國立保健所として又温泉療養所として完備した設備を持つている。これを同地方においても医療機関が十分でない。これをどうしても高度に、いわゆる利用したならば地方住民の恩惠というものは非常に大ではないかというように、こういうふうに認めたわけでありますが、特に高の陳情書は、これは國会に対しましても出してありますからして、又別の審議をお願いしますが、特にこの小濱の療養所を独立にして貰いたいという要望が非常に強かつたわけです。それからこの所の拡充といたしまして、外科專門及び婦人科、小兒科の増設をして貰いたいという要望が強かつたわけでありますが、特にここの收容患者の中の四十六名中に、生活保護法に適用する者が十六名おつたのでありまするが、この声としては、やはり先程申しましたような費用の増額を非常に要望しておるし、又傷痍軍人は無料治療を実施して貰いたいということを、これは非常な強い切々たる希望を持つておるわけであります。この点につきましては、我々も同感しておりまするからして、政府一つこの点について希望の達成されるよう努力をお願いする次第であります。  それから以上によりまして、まあ大体他縣の報告と重複しないために簡略にしたわけでありますが、この長崎縣は厚生及び衞生行政の全般に対しては、非常に熱意があるという点を十分認めて來たわけであります。以上簡單ですが、報告に代えます。
  25. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 次に、小林委員から熊本縣の状況をお願いいたします。
  26. 小林勝馬

    小林勝馬君 熊本縣の御報告を申上げます。  本縣におきまして昭和二十三年度の予算は民生部関係七千四百九十八万余円でございまして、総予算の九・六%衞生部関係におきましては一千七百三十八万余円でございまして、総予算の二・二%でありまして、これを以て万全とは申されませんが、他府縣に比べまして非常に良好のように拜見して参りました。  尚縣当局においても、厚生事業関係に対しまして相当重視せられておることを知りまして、私共といたしましては慶賀に堪えないところでございます。縣下におきまする状況を各別に視察いたしまするのに、縣におきましては、兒童課の設置を他府縣に率先して設置せられまして、兒童問題及び姙産婦等の福祉に関する業務を開始せられまして、幾多の問題の解決に当られておる状態でございました。國民医療に関しては、本縣下におきましては無医村は一つもない状態でございまして、國民千名につき一人当りの割合の医師を配して、医療に從事しておるようでございます。民生事業に関しましては、大体良好のようでございますが、医療扶助の医療券の発行高におきまして、他府縣に比べまして非常に僅少でございまして、政府に返却するものが五十%以上という状態でございまして、これは注意を要するものと私共は存ずる次第であります。  尚生業資金に対しましては、現在五千円限度を、五千円では何ら生業が立たない。現在のインフレ下におきましては最低一万円くらいに引上げて貰いたいという要望が非常に強かつたようであります。  住宅問題に関しましては、相当努力せられまして、遊休邸宅の解放等に手を着けておる状態でございましたが、尚不足戸数は十三万戸に及ぶようでございました。現在の臨時建築等制限規則の改正によりまして、煩雜な手続を簡易化して、一戸でも多く造るようにやつて貰いたいと、尚一方農地法に対する住宅敷地法のごときものを是非とも國会において設けられて、住宅用の敷地の取得に対する問題を解決して貰いたいという要望がございました。  尚、官民懇談会におきましてはいろいろ御意見も出たのでございますが、特に民間側の要望を申上げますれば、住宅問題に対しましては、復興院の地方出先官廳の許可が数十日を要しまして、非常に困却しておる状態で、許可の迅速を希望せられたのが多いようでございます。それから民生関係におきましては、現在の民生委員の手当は交通費の殆んど何パーセントぐらいにしか当らないと、現在のこのインフレ下におきまする車馬賃その他の問題につきまして、これを政府当局において交通費全額ぐらいは是非共負担して貰いたいと、こういう要望でございました。医療関係者に対しまする配給品は、医藥衞生材料は勿論でございますが、白衣、履物、長靴、自轉車等を特に考慮して頂きたい、こういう御希望でございました。保健婦の方の御希望は、現在の俸給ではどうしてもやつて行けないから、保健婦の増額を願つて、一切國庫負担にして頂きたいという御希望でございました。鍼灸、あんま師会におきましては現在一定の教科書というものがない。この教科書の制定と再教育の制度と、それから盲人に対する特に点字用紙の配給を要望せられたのでございます。それから助産婦その他の会から特にお願いがありましたが、一般銭湯に対しましても赤ん坊のベツトを全國的に設置するように、法的にこれを定めて貰いたいという特別なお願いがございました。尚本縣におきましては、この外に学童その他に対しまして結核の予防檢査を施行しておりましたが、この際陽性の人の全部の写眞を撮つておる、これは全國的にもまれであるというくらいに自分達は思つておるのだということで、非常に興味を持つてこの問題をやつて行くというようなお言葉でございました。  大体以上のよう状態でございますが、内容によりまして是非共当局の御義処方をお願いする次第でございます。以上でございます。
  27. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 次に、今泉委員から鹿兒島縣の報告を承わります。
  28. 今泉政喜

    ○今泉政喜君 私は鹿兒島の担任でございました。簡單に御報告いたします。我々一行は十一日午前鹿兒島の縣廳に参りまして建議を聽取いたしまして、次に僅か半日の間を、日本における最も有名であるところの癩病患者の收容所である星塚敬愛園を視察いたしました。それが我々の鹿兒島における最大の目的であつたわけであります。その敬愛園において、收容されておる患者の希望陳情がありました。この癩收容所において特に感じたのは既婚者が二百六十四夫婦ありまして、その中に單房が、つまり四疊半にいる夫婦が二十四名あるだけで、十二疊敷に四夫婦ずつ同居しており、外は全部犬猫同樣な生活に対して是非單房のお世話を願いたいということを代表者から希望が出られました。我々はその状態を見て非常に同感を覚えたのてあります。甚だ簡單でありますけれども、更に機会を得て詳しく御報告することにいたしまして、時間の制限を受けましたので甚だ簡單でございますが。
  29. 中平常太郎

    中平常太郎君 ちよつと敬愛園につきまして、今今泉委員のおつしやつたことについて少し補足して置きたいと思います点もございますので申上げたいと思いますが、もう時間はありませんか。
  30. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) もう少しで速記がなくなりますから。速記は十二時で打切りたいと思います。いずれ又後の機会で。それでは中部視察報告姫井委員からお願いしたいと思います。
  31. 姫井伊介

    ○姫井伊介君 院議に基きまして中部地方厚生状況視察班は草葉、千田、小杉、井上及び姫井の五人の委員でありまして、それに本院の木村專門調査員及び岡主事と一緒に去る三月十三日から三重縣、愛知縣、静岡縣各地方を視察し私共同十九日帰院いたしました。その視察計画いたしたその個所に懇談会等二十七に亘つての事柄は別紙に讓りまして省略いたします。この視察に際しましては予ねて計画調査要目によりましたが、尚できるだけ廣く民間の実情並びに要望を知るため各地における座談会、懇談会に出席いたしまして短時日ではありましたが、各種の問題についての官民のそれぞれの意見要望を聞き、事件によりましてはできるだけ現場において即座に解決の方法を取りました。幸い政府からは厚生省事務官二名、又地元地方廳及び市町村関係吏員が同行又は同席されましたので、各班の処置がまことに円滑に行われ、好都合でありました。尚私共施察班は便宜上三名の主査を定めまして、各縣を分担主査の任に当ることといたしました。即ち三重縣姫井委員、愛知縣草葉委員静岡縣千田委員、それぞれ各縣の主査より報告を願つておりましたが、今日は草葉、千田委員が支障欠席のため、私より全部纒めて御報告申上げます。尚その報告の要領といたしましては、調査要目の項目に從がいまして、縣別、或いは視察別によらず調査要目を追いまして、視察の概況を御報告申上げます。  第一は、厚生及び衞生行政に関する地方機構でありますが、これは文書によりまして報告いたすことといたして省略をいたします。ただその機構上の関係から附加えて申上げたいことは、行政の不統制による欠陥であります。その一つ兒童福祉法関係におきまして、民生部と衞生部との間に事務の混乱が生じ、縣廳内において一つの爭いを生じておつた実例が即ち愛知縣であります。  二は、水道の復旧工事を進行する上において、建設院と厚生省衞生局との二元行政のために、地元廳、市行政又混乱に陥り、非常に困つておつたことがあります。  更に労働行政につきまして、縣吏員の職員組合が、縣事務機構及び人事権に介入する権利を主張いたしまして混乱をいたしておりました実例があります。即ちそれは三重縣であります。  第二は、新らしい法律の実施状況についてであります。その一つは、兒童福祉法で、本法施行後三ケ月後の今日、まだ施行令並びに施設の最低基準が出ておりませんのみならず、本法施行の精神がよく透徹しておりませんので、施設は旧態そのままの精神内容が現われておる。甚しいのは、本法の立法当時、本院において特に強調された事柄が全く正反対の現実を示しておる例があつたのであります。尚本法関係施設視察に対して、たまたま静岡縣における問題は、先程千田委員から御報告ありましたから省略します。その二は、災害扶助法、特に本法による資材の備蓄について、行政並びに施策上の不完全なることが指摘されます。赤十字社の災害時非常裝備に関する用意が不完全であることも地元から声が挙つてるります。その三、日本医療團解散後の処置状況、これは地元優先還元の問題が尚未解決の状態にあるのであります。原因の多くは、評價價額の点にあると思います。その四、保健所法、本法成立当時の企画はまだ殆んど実施されていなかつたのみならず、戰災にとり失つた保健所の復旧は殆んどできておりません。予算の計上は全く名目だけに終つておる状態であつて、無医村問題は尚更に解決の曙光すら見えていないところがあります。その五、保健婦看護婦は拂底しておる、又現在勤めておる者も漸次退職する傾向にあります。この原因は、申すまでもありません。予算計画と同時に処遇問題が主なものだろうと思います。  三は、結核予防の問題、BCGの接種運動が漸く緒についた模樣であります。療養所は國立か、地方府縣立か、どれの制度にすべきや、各地方とも相当強く論議されております。けだし財政企画と相俟つて厚生施設上檢討を要する点であります。現在收容患者の多くは旧軍人患者であるが、一般患者も漸くその利用をしておる状況であります。死亡率は非常に高い率を示しておりますが、これは入院者が、相当病勢の亢進した患者が治療本位で長期入院をするための現象と認められます。療養所、サナトリュームは経度の患者が闘病生活の訓練を体得する場所であるというところまで進まねばならんと思います。入院患者共通の悩みは、生活保護法による医療費補給が、患者の住居地町村における負担金制度のために、町村がなかなか補給の取計いをしてくれないので困つておるのであります。これは患者、病院双方に多大の影響を與えております。又國費支弁の交付金が非常に遅れていることが、地方に甚だ弊害の伴つておる例も多いことは申すまでもありません。  第四は、性病予防の問題であります。社会生活の混乱と道議の問題は、種々な事象を伴つておりますが、性病問題はここに多大の関係を示しております。性病届出の問題はなかなか実行がむづかしい模様で、いわゆる素人療法の横行の結果、傳染治療共に現在公衆衛生上の重大問題であります。接客業者の更正に関しては、小規模の施設実例を見ましたが、全般に観察しては殆んど見るべき施策はありません。  第五、都市衛生問題、大多数の都市が戰禍を受け、この問題は殆んど未着手と言つていい状態であります。上下水道、清掃事業において殊に甚だしい状態にあります。これは都市計画に関する企画及び行政系統がまちまちであり、資材が不十分且つ配給不円滑であることが大なる原因である。例えばさつき申しました建設院と厚生省の二元行政がその例でありまして、更に都市計画中、厚生工学の問題が特に綜合企画に重要な地位を占めることが望ましいのであります。  第六、病院診療所等の問題、病院診療所施設は甚だしい不足を告げております。これは必ずしも病人が多くなつたためというのでなく、施設が不足なのである。設備、資材、藥品、患者の処遇が眞に困難な状態にあります。医師もその事業を行うに非常に困つておる状態にあることは、十分檢討を要する重大な問題であります。國立病院における例といたしまして、職員の待遇の問題がありますが、詳細は略します。  第七、衛生組合社会保險組合の問題、衛生組合は殆んど不振の状態にありますが、衛生組合は本質的に單一の組織として從來の活動に委して置くか、或いは社会保險組合等の、即ち國民協同組合との有機的組織院に整理して、その機能を発揮させるか、即ち公衆衛生確保の協同組織として発達せしめるかどうかは、十分檢討を要する問題だと思うのであります。健康保險組合は例外なく維持困難に陥つていることは、先程御報告のあつた通りであります。殊に國庫交付金の支拂遅延が組合経理上の難関の一つとなつておることは申すまでもありません。この制度の改革は痛烈に要望されております。  第八、優生問題、愛知縣における座談会にに際し本問題が話題に上りました。その節の要望は、優生保護制度を確立されたいということでありました。  第九、藥品衛生資材の問題、藥品の拂底、粗悪品の横行氾濫、高價等が主要点でありましたペニシリンの増産と廉価配給、サントニンの配給、看護衣、繃帶、衛生綿等の配給が要望されております。  第十、生活保護法、これについてはいろいろな問題があります。その一は地方財政窮乏の折柄、地方負担の制度を止めて全額國庫負担として貰いたいとの希望が多かつたのであります。医療費の点において長期疾患者の困難を招いているから、せめて医療費だけでも全額國庫負担にして貰いたい。その二、保護費の交付が非常に遅れて困つておる。又市町村では國庫補助金の交付が半年くらい遅れるので、本法が運用できない状態であるとの実例があります。その三、民生委員の生活指導は不十分であると思われます。その四、保護費扶助額の標準限度を引上げて貰いたいとの要望。その五、現在の生活保護の中の扶助種目がありますが、その外に教育扶助を認めて貰いたい。その六、住宅扶助を認めて貰いたい。これはいろいろの理由がありますが、略します。  第十一、民生委員制につきまして、民生委員の活動が不十分であり、ケースワークとしての働きが十分でないことは申すまでもありません。丁度民生委員は改選中であつたのであります。御生委員法制定に際しては公設性に反対するとの意見が民生委員代表者から強く出ております。その三、御生指導專任職員制を設けて貰いたいということであります。即ち民生委員制度を徹底せしむるために、例えば兒童福祉司のよう性格を持つた民生保護司といつたようなものが必要ではなかろうかという要望であります。  第十二、私設社会事業につきましてであります。その一は、公私共に社会事業の分布は全く自然発生的に放置散在されたままでありまして、その地方性、民度、保護対象等に関して、社会福祉事業が何の組織も企画性もなく、科学性が欠けでおる。かように任意的に自然発生のまま、ただ散在孤立する社会事業施設は、御衆の利用には極めて不便な存在であつて施設経営者の苦心経営に反比例した事績があるのであります。從つて社会事業の機能は旧來より一歩も前進していないのみならず、戰災による施設の復旧すらできていないのに、対象の数も種類も甚だしい増加を示しておる。これは社会福祉施策樹立上の重要問題の一つでありと思います。施設における保護指導は、少数の例を除いては、概ね良好とは言えません。殊に母子寮、授産施設、兒童保護施設等の改善を要すべき実例が多かつたのであります。甚だしいのは建物及び装備が相当の施設であつて、その活用及び事業活動が殆んど停頓しておる実例もあります。又從事者その人がその実例もあります。又從事者そ全く無視されて、單に先人が差し繰つて補充されておるに過ぎないというふうな例もあるのであります。社会事業は例外なくその事業に從事する人材が適所に活動するか否かで決する事業であることを、施策上十分考慮されなくてはならないと思います。その三、経営状況は例外なく赤字であつて、その補填の途は寄附金にあるのでありますが、それで現在においては共同募金の適正配分に俟つ外ないと思うのであります。その四、從業者の処遇問題は、あらゆる事業に比較して、その最低級にある。收容施設において被收容者用、事業專用の物資が從事者に横流しされておるという流言の起るのも、この辺に何かの消息が窺われるのであります。その五、授産事業用の原料物資の問題も又なかなか重要問題でありまして、作業品の選定が殆んど旧態そのままの選定方法であつて、殆んど今日の我が國の生産経済上の考慮が拂われていないというような例も少くありません。作業労働状態は、労働基準法運用上においても、再檢討を要する例が多くありました。その六、施設相互間を連絡し、これをその地方性及び民度並びに対象と勘案して、適正な社会福祉企画を定めて、その機能を発揮せしむる活動を期するということは、最も重要な問題でありますが、この部面は殆んど全く欠如しております。これはこの前その一において指摘した通りに綜合企画性がないのと、社会福祉に関する組織的活動が欠けておるためであります。その七、社会事業関係の全國的團体が旧態そのままにて存在しており、放置されておるので、これらのものは任意的に旧態そのままの機能を以て、社会事業界に主座を占めんとするため、甚だしきは巨額の資産を擁し、その施設は又多額の予算を計上し、大規模な事業計画をなし、これを生活保護法による施設として、共同募金の大部分の配分を優先確保に努めるという弊害も見逃すことはできません。よつて社会事業に対しては國の認可制度を確立し、不適正の團体を整理すると共に、適正のものを助長振興する方途が必要である。又我が國社会福祉組織を定めい、それに伴つて社会事業中央各團体の適正なる整理を断行することが強く要望されております。  第十三、共同募金について、募金は各地方いずれも好成績であるが、目下配分が問題であります。その一、適正配分が期待される通りに行われるか否か。その二、次年度の募金が果して今年度同樣の成績が期待できるかどうか。その三、共同募金に法的根拠を附與することがよいかどうか。右がいずれも十分なる檢討を要する重要條件でありまして、この際特に強調したい点は、共同募金遂行に当つての連合軍の多大の援助に対して滿腔の感謝を捧げたいということ、又社会事業遂行に当つての救援物資特配に関し、ララ救援中央委員会を通じ、同委員会に対し深甚なる感謝を捧げたい。誠にこの共同募金とララ救援物資とは現在我が國社会事業遂行上の唯一の力であつて、又それが基礎であることが各地方の現実が最も雄弁に証明しております。その他の問題は、社会事業從事者、即ち適材適所の活動に期待しなければなりません。  第十五、未亡人援護問題、母子寮の増設、これはその一であります。その二、保育所の増設、その三、適性授産による生業補導、現在特に右の諸点に関して各地とも熱烈に要望しておりますが、産業の振興と伴つて、漸次その線に沿つて授護事業を進めんとする機運にあることは喜ばしいことであります。その例の一つ静岡縣の弁天島の施設であります。  第十六、住宅問題、その一、資材の統制緩和方を要望している。その二、住宅解放問題は却て問題を生じつつあります。詳細は略します。その三、木材と共に、硝子、セメント、釘等の建築資材の配給の要望が熱烈であります。要するに住宅対策は、民生安定の基本要件の一つであり、現下最も緊急の事件であることは申すまでもありません。  第十七、民生の安定について、國土の荒廃と民生の混乱は、各地方とも尚痛歎に堪えない現状にあります。併し各地方共に新日本建設のために、民主的な起ち上りを示しつつあることは確認されます。要するに、諸般の國政がまだ混屯たる状態にあることが、即ち如実にこの民生の状況において実証されるものであつて、速かに政治の十分なる檢討を盡し、施策の徹底を図ることが緊切であると痛感されます。就中憲法第二十五條の民生安定の基本要目であるところの、社会福祉の徹底、社会保障制度の確立及び公衆衞生の普及徹底は、各地方の実情に照らし、強力に速かに断行せらるべき喫緊の國策でなければならんと認めたのであります。以上報告を終ります。
  32. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  33. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 速記を始めて。それでは本日はこの程度で散会いたします。次回は公報を以てお知らせいたします。    午後零時十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     塚本 重藏君    理事            今泉 政喜君            谷口弥三郎君    委員            内村 清次君            中平常太郎君            三木 治朗君            木内キヤウ君            小林 勝馬君            藤森 眞治君            小杉 イ子君            姫井 伊介君            穗積眞六郎君            山下 義信君            米倉 龍也君            千田  正君            小川 友三君           池田宇右衞門君   委員外議員            高良 とみ君   政府委員    厚生政務次官  赤松 常子君    厚生事務官    (兒童局長)  小島 徳雄君