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1948-10-06 第2回国会 参議院 厚生委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年十月六日(水曜日)    午後一時四十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○アイオン台風災害状況報告並びに  これに対する処置等に関する件 ○派選議員視察報告   —————————————
  2. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) それではこれより委員会を開催いたします。  先ず最初アイオン台風災害状況報告並びにそれに対して採りましたる政府処置等について聽取することにいたします。尚今出席しておられます方は社会局から物資課長畠中順一さん、それから保護課熊崎正夫さん、宮田千秋さん、小川辰雄さん、兒童局から企劃課長の松崎さん、保健局からは國民健康保險課長松浦万年氏、医務課長高田造運氏であります。
  3. 畠中順一

    厚生省社會局物資課長畠中順一君) アイオン台風災害状況と、これに対する應急対策状況を御説明申上げます。十六日の晩から起りましたアイオン台風によりましては、十一縣に亘りまして相当被害をみましたが、その状況はお手許にお配りしてある資料ちよつと御覽を願いたいと思います。  大体を御説明いたしますが、十月六日の一番新しい情報によりますと、罹災府縣茨城縣群馬縣神奈川縣福島縣千葉縣靜岡縣埼玉縣三重縣兵庫縣岩手縣宮城縣の十一縣でございまして、その中岩手縣宮城縣が一番被害が大きいのでございます。その大体の御説明をいたしますと、一番最後の合計の欄がございますが、罹災者の総数は二十六万八千五百五十五名、それから死者が三百六十五名、負傷者が四百五十四名、行方不明が六百十三名、それから家屋被害といたしましては、流失しましたものが七千七百三戸、全壊が二千八百六十二戸、半壊が四千五百八十七戸、それから床上まで浸水いたしましたものが三万八千八百五十八戸、人的被害家屋被害は以上でございまして、その外に田畑の害は相当ございます。道路決壊橋梁流失、それから堤防の決壊鉄道不通船舶流失相当被害があつたわけでございますが、その詳細は表によつて承知願いたいと思います。  それに対しまして厚生省におきまして採りましたる措置の概要を申上げます。十六日災害発生をいたしましたが、翌九月十七日に午後四時から六時までに急拠中央災害救助対策協議会を開催いたしました。御承知のように災害対策はこの中央災害対策協議会において対策を樹てることになつておりますが、災害の翌日十七日第一回を開きまして、その後九月の二十日に第二回の協議会を開きまして、それから第三回は九月の二十二日に開いたのでございます。そうして第一回は竹田厚生大臣苫米地官房長官有田官房次長葛西厚生次官伊藤日赤副社長、その他関係各省の局長、課長、総員四十三名出席いたしまして、いろいろこの災害対策を協議いたしましたのでございますが、その模様を一回、二回、三回と順序を追いまして御説明申上げます。  第一回の協議会におきましては、その時までに分つております國家警察本部の第十一項の被害状況について対策を協議いたしまして、この場合の被害が檢討いたしました結果、一関中心といたしまして、岩手縣宮城縣の両縣が最も被害の甚しいことが判明いたしましたので、地方災害救助対策協議会の会長となるべき宮城縣知事に対しまして、東北ブロツク内の各縣の救助活動を調整して迅速に救助を行うように苫米地官房長官から打電して、それから各省はより詳細な状況判明次第直ちに次々と措置をするように待機をするようにいたしました。尚中央から派遣官といたしまして、現地厚生省からは熊崎事務官、それから柴山技官外一名を十七日の二十一時発にて現地派遣をいたしました。それから救援物資等につきましては、現地状況品目数量判明次第輸送するということで、警察の無電で岩手宮城の両縣と連絡をとつたわけでございます。  それから次の九月二十日に第二回目の災害救助対策協議会を開きまして、そのときに決定いたしましたことは、食糧につきまして申上げますと、主食非常特配現地で実施中でありますが、中央でも取敢えず次ぎ申述べますようような措置を採ることにいたしました。先づ第一に早場米の三千石を秋田縣から岩手縣輸送方を指令いたしました。次に輸入小麦粉の四百五十トンを二十日と二十一日、横浜から大船渡と宮古に発送する。第三番目に被災者一人当り味噌五十匆、醤油二合、罐詰一ポンド、煉粉乳若干を被災人員に應じて急送する。以上食糧でございますが、次に被服につきましては、毛布二千枚を取敢えず仙台の國立病院がら一関へ輸送しました。その外現地保有物資で應急の処置を講ぜられまして、現地で足りないものは具体的な要請に應じて中央から直ちに手配をすることにいたしたのでございます。第三番に救護及び医藥品の問題につきましては、救護に関しては現地処置する外に、医藥品はガーゼは五千メーター、それから繃帶を五千人分、脱脂綿を五百キロ、破傷風血清を二百人分を発送することにいたしました。次はマツチとかローソクとか、日用品につきましても大体現地調達をすることにいたしまして、現地調達不能なものについては中央処置をしよう、こういうことに決定をいたしました。次にガソリンにつきましては、取敢えず宮城縣に対して一万六千リツター岩手縣には二万リツターを特配いたしまして、その外自動車のタイヤにつきましても必要な措置を講ずることにいたしました。  次に資金の問題でございますが、災害救助に要する資金といたしまして、岩手宮城の両縣に約一億円の災害救助費國庫補償概算拂をする。こういう必要を認めまして、その手続を採ることといたした。尚厚生省からの派遣官、それから岩手宮城両縣の労働部長が上京するということになりましたので、それを待ちまして、次の協議会を開いて具体的な対策を採ることにいたした次第であります。そうして九月二十二日に第三回の対策協議会を開きましたが、その場合に先づ衣料品日用品につきましては、岩手縣宮城縣に対しまして一億円の配給計画を立てまして、取敢ず至急を要しまする毛布二万枚を二十二、三日に直ぐ発送できるような手配をいたしました。それから石鹸マツチ蝋燭塵紙、こういうものが現地では手に入らないということが分りましたので、日用品の中にいま申しました石鹸マツチ蝋燭塵紙中央から発送することにいたしました。  それから次にララ物資でございますが、御承知のアメリカから救剤用に当てられてララ物資につきましても、二十二日に緊急中央委員会を開きまして、ララ物資被害の各府縣に送ることにいたしまして、衣料四百四十梱、約八万六千点に上ります。食糧としましては主食は大体間に合うから、乳兒用に重点を置きまして、乳兒用ミルク砂糖、それを二万三千二百ポンドを岩手宮城、佐賀、長崎、千葉靜岡の各被害縣に発送することにララ物資決定いたしました。  それからガソリンにつきましては岩手縣に四万リツター宮城縣に二万四千リツターを増配して、千葉縣には一万リツターを特配するということにいたしました。それから災害救助費補助金につきましては、今第二回目で大体二億円の必要を認めて決定をいたしましたが、これは岩手縣に六千九百万円、それから宮城縣に三千百万円を交付することに第三回の対策委員会決定して、二十二日の持廻り閣議決定して更にその処置を採りました。尚北対藏相團長としましての水害地共同調査團は二十二日の夜上野発の列車で宮城縣岩手縣向つたような次第であります。  かようにして第一回、第二回、第三回の対策委員会においてその方針決定いたしまして、これに基きまして各省においてその対策処置を採つたのでございます。その中で私の関係しておりまする被服日用品についてもう少し詳細に御説明をいたしますと、お手元に配付してあります資料を御覽願いたいと思いますが、「アイオン台風災害に対する衣料品生活必需品救援措置についてと」いう印刷物がございますから、御覽願いたいと思います。先づ第一に衣料品でございますが、これは対策委員会決定に基きまして、商工省連絡をいたしまして、そこに記載してある物資中央から罹災地に発送いたしたのでございます。岩手縣に対しまして手布二万枚、宮城縣には四千枚、大人用メリヤスシヤツ、それから兒童、幼兒用メリヤスシヤツ、靴下、手拭、それから学童用ローカラー、それからチヨツキ、腹巻、ズボン下、「みやこ」腰巻、こういうものを九月の二十日から二十八日までに大体復興公團を通じて発送いたしました。それから次に日用品、ここに生活必需品と書いてございますが、日用品につきましてはここに書いてございます四品目以外に相当のものを必要といたしますが、それは現地において調達ができますので、中央からは石鹸燐寸塵紙蝋燭、それを岩手縣宮城縣に対しまして、九月の二十九日に発送いたしたのでございます。それからララ物資の詳細につきましても別紙に印刷してございますから御覽を願いたいと思います。  以上申上げましたものは厚生省の採りました全般的な措置でございます。この対策協議会方針に基きまして、各省、各局においてそれぞれの措置を採りましたが、それにつきましては後程御説明があるかと思います。全般的な御説明はこれで終りたいと思います。
  4. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 以上の報告に対しまして御質問ありませんか。
  5. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 ちよつと遲れて参りまして甚だ恐縮ですが、アイオン台風被害状況、二十三年十月六日の発表の人的被害小計に二百七十二となつておりますがこれはどういう……人的被害が死亡が三百六十五で、その小計が二百七十二となつておりますが……
  6. 畠中順一

    厚生省社會局物資課長畠中順一君) 小計は一二七二で、一つの棒が拔けております。
  7. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 分りました。
  8. 中平常太郎

    中平常太郎君 ちよつとお伺いするのですが、岩手にいたしましてもやはり三万七千という家屋被害があるのでありまして、この蝋燭などは、もう少し余分に配給できないものでしようか。これはああいう電燈などが、すでにもう殆んど機能を失なつている場合に、外の物はとにかくですが、蝋燭なんというものは極めて必要でであると思いますが、それが、六千本というふうにありますが、あの一本というのは小さい一本ですか。
  9. 畠中順一

    厚生省社會局物資課長畠中順一君) 何といいますか五寸ぐらいのものです。
  10. 中平常太郎

    中平常太郎君 岩手が六千四百本とあり、宮城縣が四千百百本とありますが、岩手縣家屋被害戸数でも三万七千戸もあるのですが、これはやはり万という数は送れないのですか。或いはちよつと地元では間に合うまいと思いますが、六千ということよりもやはり私は二万ぐらいのものは行つてよいと思いますが、なかつたのですか、どうですか。
  11. 畠中順一

    厚生省社會局物資課長畠中順一君) 蝋燭だけでも日用品といたしましても数が少ないような氣がいたしますが、これは大体災害救助法によりまして、一定の限界が、どういうものはどれだけ、それから半壞家屋にはどういうものをどれだけというような一定の規準がございまして、これに基きまして、國庫補助が出るわけでございます。それで急送をいたしましたものは、一應その國庫補助の出る金額内で罹災戸数について決まりました基準で一應割当てましたのでございますが、尚地方の方にも相当数あると思いますが、取敢えず中央からはこれだけのものを送りました次第でございます。
  12. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 ちよつとお伺いいたしますが、ここには書いてございませんが、子供おしめでございますとか、それから履物なんかお送りでございましようか。
  13. 畠中順一

    厚生省社會局物資課長畠中順一君) おしめにつきましては、対策協議会でも話が出ましたが、「商工省の方にさらし」といたしまして要求をいたしましたけれども、それがうまく参りませんでしたが、ララ物資の中にも多少おしめに代用できるものもあるのでありますが、尚必要に應じましては「さらし」でなくしおしめになつているものを商工省から配給して頂くように交渉はいたしたいと思つております。
  14. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 交渉はなさいまして、実際はお送り下さいましたか。
  15. 畠中順一

    厚生省社會局物資課長畠中順一君) それはさらしで代用することに交渉しましたが、「さらし」がなかなか出なかつたものですから。
  16. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 そうですか。そうするとまだ届かないですか、おしめは……
  17. 畠中順一

    厚生省社會局物資課長畠中順一君) そうでございます。
  18. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 子供はどうもミルクやお砂糖が大事だと同じように、おしめは非常にお困りになるだろうと思います。が、一つこの上ともお考えを願いたいと思います。  それから今一つ手布は多分薄團になるのでございましよう。夜具に使われるのでございましようね。この毛布というのは……。するとこの結果から申しますと、寒くないように寢まれましたでしようか、これだけの量で……。如何でございましよう。お調べになつた結果は……
  19. 畠中順一

    厚生省社會局物資課長畠中順一君) 寢具につきましては薄團と毛布をやることになつておりますが、薄團の方は商工省の方で手配をしておりますけれども、なかなか薄團は現在実際流失、燒失のような家屋につきましては、大体薄團を一組、それから毛布を四枚というような基準で、それから半壞とか床上浸水のものにつきましては、三世帶に毛布を一枚というような割合で救助法によりますと救助をすることになつておるのでございます。それで薄團と毛布寢具として配給すべきでございますが、薄團の方が現在なかなか急にそう間に合いませんので、毛布で代用いたしましたが、罹災者救助法に基いて計算いたしました数から行きますと、これで間に合つているように思います。
  20. 小林勝馬

    小林勝馬君 ちよつとお伺いしますけれど、この審議会その他が二十二日に済んでおりまして、毛布なんかは二十日に発送してありますし、小麦粉その他食糧は二十日、二十一日に発送してありますが、外のものはどうしてこんなに十日間も遲れるんでしようか。先程もお話にあつた蝋燭のことも、その数よりも蝋燭が早く着かなければその役をしないんじやないかと思いますが、これが十月四日にしか発送できないとどういうわけでしようか。
  21. 畠中順一

    厚生省社會局物資課長畠中順一君) 御意見のように災害につきましては早いことが何よりでございますが、大体の数量を確定いたしまして、直ぐに商工省とも連絡をいたしましたけれども、現物を確保することに時間が取れまして、ここに書いてありますように、発達が遲れましたのは申訳ないと思つておりますが、そういう状況に相成つております。
  22. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 この表の中でございますが、住宅の中の「住家」と「非住家」というものがありますが、この住家に非ずというもので、どういうものが主に災害を蒙つたのでございますか、住宅でございますか、何でございましようか、お分りになつておりましたらお知らせ頂きたいのでございますが……
  23. 畠中順一

    厚生省社會局物資課長畠中順一君) 「非住家」と書いてございますのは、倉庫とか物置、農家の納屋、学校、そういつた人の住んでいないものでございます。
  24. 中平常太郎

    中平常太郎君 もう一度お伺いいたしますが、我々が災害救助法を制定いたします場合におきまして、ストツク物に対しましては相当注意を拂つてその当時協議したのでありますが、一々他人の所有にあるものをこれを回收してこれを送るということに対する時間的な問題が起きやせんか、或る程度の品物は直ちに発送できるようにいうも確保して置かねばならんのじやないか、その確保して置くに対しては相当数量のものはいつでも出せるようにして置かなければ、災害救助目的を達することにおいて十分じやないかということを災害救助法の制定の場合に強く申したのでありますが、この度の出された物資は皆貯藏されて確保されたものをお出しになつたのか。今課長お話では物資を集めるのに暇が要つたということをおつしやつて時間が遅れたようでありますが、この程度のものさえも確保しておられんものでありましようか、やはり商店がどこかへ行つて、それを引張り出すための一つ交渉をしなければならない問題だつたのであります。その辺をお伺いいたします。
  25. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) ちよつとそれに附加えて、中央並びに被害各縣におけるいわゆる救助対策としての、法による備蓄というものがどの程度にできておつたかということをお答え願いたい。
  26. 畠中順一

    厚生省社會局物資課長畠中順一君) 備蓄の問題でございますが、確かに災害に急に間に合うためには、相当物資備蓄しておくのが何よりも肝腎だと存じますが、結論的に申しますと、今回配給いたしました物資はすべてストツクではありません。これは商工省に頼みまして、それぞれ卸賣商その他から集め持つて來たものであります。備蓄につきましては先程の御説のように、災害の急に間に合うためには是非必要でございますが、それだけの物資を、一年間に起きます災害物資を一所に備蓄いたしますということにつきましては、我々の方もいろいろ研究はいたしましたけれども、例えば繊維製品にいたしますと、何十億という金がかかるのでございまして、それで全体の災害備蓄資金の面から申しましても、又現在の日本経済情勢からいつて、普通の一般民需用のものが非常に不足しておる場合に、一年なら一年というものを沢山の物資備蓄することはどうかと思われますので、大体今のところでは五万人ぐらいの備蓄物資を持ちたい。かように計画中でございますが、まだその結果を得るに至つておりません。地方におきましても中央と大体同じであろうと思います。
  27. 中平常太郎

    中平常太郎君 只今の問題でありますが、中央におきまして大体五万人くらいの用意をしたいという考えであるが、まだ実行されていないということであるのでありますが、各縣におきましても、その当時の備蓄晶が皆あつた筈でありますが、そういう方面に指令を出されれば、その発送にそう暇がかかることはないと思うのであります。ここに出ました表を見ましても、万と名のつく数字というものは毛布と手拭いだけでございます。その他のものは何千円という程度でございまして、而も雑品でありまして、そう何十億というような金を用意しなくても調う性質のものでありますが、この間福井の地震があつて、それに出してしまつた後、今後の東北のこういう問題が起きたのであります。矢継早で揃えていなかつたということがあるかもしれませんが、いつの場合もこういうものは災害救助法目的からいたしましても、こういうように救援物資に暇が要るということは堪えられないもの、目的に反するものであると思うのであります。又本省におきまして、各縣の方に命じられれば、相当備蓄はやはりある筈でありますから、もう少し行く筈だと思う。蝋燭のごときは先程申上げましたが、石鹸マツチのように使わなければ使わないでもよしというものでなくて、是非とも一晩に一つは要る。それに万の数がかかつておるところの被害家屋があるのに、六千本というのは一日分さえも足りない。例えて言えば一日分でも一軒の家で十本ぐらい配給されなければならないのに、二万何千という中に六千本ということは、これは実に焼石に水のような関係になるのでございまして、一晩に一軒の家に一本も行かない。翌日はどうするか、救援物資はすでに送つたというけれども、翌日の救援物資はまだ行かないではないかということになりますが、外のものはとにかく、蝋燭のごときものは何万という程度のものが確保されたところで、格別大きな金も要るまいと思うのでありますが、こういう点はまだ不備な点があつて災害救助法目的を十分に達していないと思われるのであります。その点はどう思われますか。
  28. 畠中順一

    厚生省社會局物資課長畠中順一君) 最初備蓄問題は、我々もその必要を痛感いたしておりますが、先程御説がありましたように、福井災害相当出した後に直ぐこの災害がありましたので、その点相当遅れましてが、できるだけ備蓄をしたいと考えております。  それから蝋燭の問題でございますが、先程私が御説明いたしましたけれども、多少間違つておる点もございましたので、訂正しながらお答えいたしたいと思いますが、大体被害戸数で計算いたしますと、蝋燭岩手縣が四万八千本になります。宮城縣が三万本必要になります。それで中央から手配したものがこれに比較いたしまして非常に少いのでございますが、これは一部は地方で購入して頂く。それからその足りない分を中央で補うという結果になるのでございます。
  29. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 序でにこの機会に併せて念を押して置きたいと思いますが、不幸にして今度被害したこれらの当該縣では備蓄品はなかつたようでありますが、全國を通じてどうでしようか、多少の備蓄ができている府縣があるのですか。その点は非常に大なることですが今、全國的な状況はどうなつているのですか。
  30. 畠中順一

    厚生省社會局物資課長畠中順一君) 災害用として備蓄いたしておりますのは、繊維製品につきましては、元の軍用物資で、縣によりましては多少のものを持つていると思いますが、併し全体的に見まして、災害日用品備蓄は、計画が殆ど各府縣とも行われていないと思います。これは地方の方からも非常に要求がありまして、地方で全体のものは不可能でありましようが、できるだけのものは備蓄をしたいと思つておりますが、この点関係方面とも折衝していますが、大体五ブロツクぐらいに日本を分けまして、そこに備蓄をしようという計画で進んでおります。現在のところ各縣に足りないものはありましようけれども、民間用備蓄というものはないと思います。
  31. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) これは災害補償法ができてからすでに相当の日月を経ておつて、準備が相当完了していなければならない時期になつておると思うのであります。今のような報告を受けたことは非常に不満足であります。政府の方ではそれはどういうふうに考えてお考えておられるのですか。我々は法案を審議した時には各都道府縣にそれは備蓄させる。都道府縣單位にそういう基金を積立てて行くということに決めたのであつて、五ブロツクにそれを備蓄するというようなことは決めてないですがどういう方針になつているのですか。
  32. 畠中順一

    厚生省社會局物資課長畠中順一君) 各府縣備蓄をするということがいいと思いますが、これはいろいろ関係方面とも折衝しておりますけれども、最初備蓄ということは厚生省としては倉層関係とかいろいろの関係備蓄はせずに、これはそれぞれ商工省その他縣廳において常に手持業者手持報告させておいて、その時に必要に應じてすぐ出せるような態勢がいいのではないかというような意見もございましたが、結局まあ全府縣にそういうこともできないだろうから五ブロックぐらいにしておいて、そうしてそのブロック内に起きたものについてはそれを出すようにしたらよかろうということで進んでおる次第でございます。
  33. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) これは法律を拵えた時のやり方とは大分事情変つて來ておるようであります。政府がそういうように勝手に法律の運用を変更せられるということは、甚だどうもよくないと思います。備蓄は、勿論各都道府縣自分自身で持てるものは持とうし、そうでないものは公團であるとかその他のものに現在品の報告をさせて、それがいつでも動員ができるような建前であつたのに、そのことが一向に実除に当つて使われない。そのことのために今のような災害が発生した後に、いろいろ救援物資の供給が非常に遅れておるというような事態になつておることは、甚だ遺憾だと思います。
  34. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 それに関連して、政府の方で直接にやられたのは只今の御報告のようですが、政府が監督して赤十字中心とする私團体活動はどういうふうになつておるでしようか。又それと関連して、物品なり或いは給與というものがどういういう関連性一体性を持つておるか、これは実は福井の時に随分問題になつて、そうして赤十字を呼んでいろいろ話もしましたが、自分の方ではなかなか現在ではできにくいというようなところまで実情を訴えておられたのでありますが、併し災害救助関係の立法の時には、我々はむしろ不可能ではないかと言つたのを、政府相当自身を持つてやらせるということでお進めになつてつた。今の備蓄の問題も、同樣です。この備蓄の問題も、実際は現在の我々の考え方からすると、府縣に委じて置いては無理ではないか、殆んど府縣は困つておるのです。それを放任して、地方にあるまする蝋燭も入れて、とにかくこの被害に対して六千本、四千本くらいの蝋燭をやつて、而も十数日してから政府が持つて行くというような状況では、むしろ物笑いになりはしないかとすら考えられる。こういう点に対して一つお答え願いたいと思います。
  35. 畠中順一

    厚生省社會局物資課長畠中順一君) 備蓄の問題につきましては、先程から申述べましたが、できるだけ各府縣備蓄するようにしたいと考えます。各府縣の基金が五百万円くらいありまして、その運用方法については、物を事前に購入する途もございまするので、中央でできない場合には中央で枠を取りまして、各縣で備蓄するようにいたしたいと思います。それからもう一件はどういうことでございましたでしようか。
  36. 草葉隆圓

  37. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) さつき御報告なつ熊崎事務官現地行つて來られたので、熊崎事務官からお答えして頂きます。
  38. 熊崎正夫

    ○厚生事務官(熊崎正夫君) 日赤のことで私現地行つて参りました厚生省社会局におりまする熊崎事務官でございますが、日赤の活動をどういうふうにやつておるかという御質問でございますが、今度の災害につきましては、この前の福井の震災の場合と聊か違いまして、一ノ関市の被害というものは相当ひどいものがあつたということは事実でありますが、その他主として私が見て参りましたのは宮城から一ノ関の周辺でありますが、水の引けが非常に早かつたために、負傷者といつた者は比較的早く收容されまして、直接日赤救護班が福井のように相当長い間沢山に分れて出て行くという事情にはなかつたという点で、お手許にありますように、日赤救護班の應援状況を書いてありますが、救護班は全部これを地元の縣の日赤支部で一切をやつたという状況でありまして、外の團体は動いておりません。それだけをちよつと申上げて置きます。
  39. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 只今地方備蓄に対してはそれぞれ枠を取つてやるというお話でございましたが、すでに枠を取つて何と何とおやりになつたか、恐らく地方府縣では因つておると思う。実際枠を取つておやりになつておるかどうか、これを伺いたい。  それから救護班というお話でございましたが、日赤は、現在の法の中にありまするのは、救護班だけではないので、全部の私設團体を一本にして、日赤が連絡機関となつて、そうして政府とタイアップしてやる。これが法の精神なのであります。だから救護班をやるくらいのことは、これは第二、第三の目標であつて、或いは寄附金の募集とか、或いはいろいろな下部團体がばらばらにやるのを統制して、強力に政府とタイアップしてやる、それが殆どできていないのではないか。そうすると、法律にだけは書いておるけれども、殆ど今の法というものは先の委員長お話のように、或いは備蓄の問題、或いはこの新らしい形で日赤を中心にやらせるという問題、殆ど死文になつておりはしないかと我々に憂えておるわけなんです。福井のときも、現実において、あらゆる團体を一本にして日赤でやるというあの法の行き方は採られておらないと思う。こういう点を伺つたわけであります。
  40. 熊崎正夫

    ○厚生事務官(熊崎正夫君) 草葉委員の御質問でございますが、日赤の活動につきましては、法律の趣旨は御意見の通りであります。  例を挙げて申上げますが、現金品の募集につきましては、福井の震災の場合には、日赤が中心となりまして委員会を作りまして、この募集につきましては、或る程度の成功を收めております。というよりも非常な成功であつたのではないかと、こういうふうに私たちは考えておるわけでございます。現在の日赤の機構その他の点からいたしまして、その他の團体連絡調整をやる。そこまでやつて行くので法の理想ではありましても、現在の日赤の機構を以てしては、なかなかそれが実際は困難でありまして、現在の所は法の運用につきましても、医療と助産を日赤に委託するというような恰好で、日赤の強化ということはこれから逐次育成して参りたい。こういうふうに我々としては考えておるわけでございます。
  41. 畠中順一

    厚生省社會局物資課長畠中順一君) 備蓄の問題でございますが、これは商工省との関係は、厚生省災害救助用としても年間の枠を貰つておりまして、それの約三分の一はすでに地方の方に衣料切符で廻すことになつております。そうしてあとの四分の一を地方に廻すことにして、あと四分の一を中央で点数で廻すことにし、あと二分の一というものを厚生省がいつでも出せるような形で業者と関係をつけて置く。こういうような三段構えになつておりまして、從つて地方の方には点数が参つておりまして、それによつて地方の各府縣に現在業者の持つておりますものを廻すという仕組になつておりまして、お尋ねの各地方における災害用として特別の備蓄というものはまだできておらないような次第でございます。
  42. 山下義信

    ○山下義信君 本日の政府報告、最前から承わつておりましたのですが、中央災害協議会の大体の御活動なさつた模樣は承わつたのでありますが、最前から各委員の質疑されておられますのは、地方災害救助協議会活動状況はどうであるかということなんでありまして、その点本省の方へ報告が來ておるのではないかと思う。そういうつまり災害救助法の協用の全般についての状況の御報告がない。中央の一部分のあなた方のなさつた分はよく分る。大變御盡力下つた地元の各縣の災害救助法によるところの活動状況が判然といたさない。それで草葉君の質疑も赤十字社が中心でやるんだから、その赤十字社の活動状況はどうかという質問があつた。それに対する政府の御説明も十分でないように存じますので、若し本省に各種の報告が参つておりまして、それを纒めて我々に御報告になる機会がありましたらば、その点を詳細に承りたい。それで只今これは熊崎君でしたか御答弁がありましたが、少し思い違いではないかと思う。赤十字社の災害救助に対する任務、それがどういうふうに動いたか、こういう草葉君の質問に対して、現在の赤十字社の組織機構では遺憾ながら十分でないように思う。こういうまあ卒直な答弁でもあつた。これは大変なお考え違いでありまして、あの災害救助法の審議の際は本院におきまして附帶決議がしてある。政府の方は記憶しておいでになるかどうか存じませんが、殊に私はその附帶決議の発案者でありました関係上覚えておる。この災害救助法は民間の赤十字社に相当な行政権を附與して、そうして中心になつてやらそうというので、これは或る意味においては由々しき問題であるけれども、一應我々は認めよう。速から赤十字社の機構を刷新して、そうして十分活動のできるように改革を加えて貰なくちやならんということが本院の附帶決議になつておるのである。どういうふうに厚生省……殊に社会局はこの赤十字社の民主的組織刷新について、どういうふうにやつておるか、それを承つて見なければならんことになります。何か今のままの赤十字社ではいかんということの御説明、御答弁ではこれは少し筋が違う。本院は我が参議院は特にその点を憂慮されまして、附帶決議をしてある。厚生省は速かに赤十字社の組織機構について民主的にこれを刷新して、この災害救助法活動に万遺憾なきように整備をしなければならんということがしてある。どれだけのことをその後に赤十字社に対してしてあるか、監督官廳である厚生省のしたことを聽かなければならん。こういうことになりますが、本日の新報告は非常に御盡力下つてありますが、災害救助法活動振りを私共承りたいと最前から注意しておりましたが、そういう点に非常に御報告では不満足のように思う。追及はいたしませんがよくお考えになりまして、適当の他の機会がありましたら、御報告を改めてして頂きたいと思う。
  43. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) この問題は全く草葉委員或いは山下委員が言われる通りであります。どうも災害がある度ごとにそれに対処する中央並びに地方活動或いは日赤の活動というものが不十分である。その間における連絡統制というものも不十分であるように我々は見受けられて、甚だ遺憾に思うのであります。で今現在の状況はどうでしようか。食糧の問題、或いは衣料の問題、住宅の問題、或いはその後における傳染病等の発生状況等について憂えられる点はないでありましようか。現在のところの見透しと状況とを伺いたいのであります。以上盡されたことによつて大体目的は達せられておるかどうか。
  44. 畠中順一

    厚生省社會局物資課長畠中順一君) 現在の各府縣状況は、地方中央と今まで連絡を密にしてやつておりまして、中央でもそれぞれ必要なる措置をいたしたのでございまして、日用品、或いは被服につきましても一應急場を凌いでおるような状況であります。又各地方廳にもそれぞれの文縣に被害地以外に物資もございますので、それを急遽やりくりしながら全体としては大した遺憾もなくやつておると思います。又傳染病の発生も現在のところ皆無でございます。以上御報告申上げます。
  45. 中平常太郎

    中平常太郎君 ほかの用件がありますから、簡單に御注文しておきたいと思うのであります。あの救助物資中央からお出しになつておるのでございますので、やはり先程から問題の概念が掴めないというのは、秋田縣なら秋田縣、山形縣なら山形縣、とにかく他の方面からの総合的な救済の状態が分らないので、蝋燭六千本というようなことで、どうせそうかということでこちらが默つておれないというようなことになつておるのであります。だからして秋田縣から二万本あつた、或いは新潟縣から三万本あつたというようなことがあつたならば結構ですけれども、ただ六千本の蝋燭では一晩にも足らないが併し電氣はなかなか一晩や、二晩では點かない。だから中央からの物資のことはよく分りましたが、他縣からどういうふうに援助したかどうかというような総合的なものが分つていないこと、それから一つ福井縣の場合、滋賀縣の方から物を廻した場合に、あとから何百万円の請求書が來たとか、行かないとか、或いは助けて貰つたところが金を取りに來たとかというようなこと、あとから際どいような新聞報道でありますけれども、双方興味の冷めたような氣まずい新聞の記事を散見したのでありますが、隣りの縣などというものは直ちに自分の方から出していいものかどうか、無論本省からの命令があつて出すのであるからして、出したものに対してはそれだけの經費を本省の方から償うではありましよう。償うではありましようと思いますからいいようなものではありますけれどもが、命令のないものでも出したらこれは貰えない。或いは請求書をあとから持つて行けばあれは貰つたものと思つていたものじやが、金が要るのかと、あとから開き直られるようなことがあつてはいかんというようなことから、命ぜられないものは品があつても出さない。最小限度中央から言うて來たものだけ送ろうということになつて、折角ありながらも出さないというようなことがないかどうか。滋賀縣のような問題があつて大変氣まずかつたのでありますが、そういうふうなこともありますから、この救援の状態を我々が知るためにはやはり各縣からの救援物資状況が明らかになつて來ないと、我々もちよつと満足し難いのでありますが、適当な機会に……相当やはり各縣がやつたろうと思いますが、そういう方面をお調べ願いまして、総合的な救援の状況が分るようにして頂きたいと思いますね、お願いします。
  46. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) ほかに……
  47. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 これはちよつと話題が少し変りますけれども、丁度アイオン台風被害の発生前後は第二回國会が終りまして、國会はいわゆる現在と同じ状態になつてつたわけですが、國会としてこれに対する処置はどういうふうにお取扱いになつたか。それが分りましたら一つここで承わりた。
  48. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 國会としましては、これは議院運営委員会でも過日問題になつたのでありますが、衆議院とも参議院議長は御相談になりまして、両院議長からお見舞の電報が発せられておるそうであります。國会としましてはただそのことに止まつております。序でにお話申上げて置きますが、議院運営委員会でその報告を聽きましたので、議院運営委員会としては、國会としてそれは甚だ不十分である。國会は休会中であつても、議長の職権によつて適当な調査團を派遣し、見舞のお言葉を傳達するというような処置を当然に取るべきではなかつたか、もう少し議長は議長の権限を有効に行使すべきであつたというような意見も議院運営委員会で交わされて、今後大いに議長においても注意して行こうというような言葉があつたのであります。これを我々としましても考えなければならんことであると思います。
  49. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 どうぞ今後もこういうことがないとも限らんのでありますから、どうぞ厚生委員会としても議長の方に、かような場合においては十分國会としてのそれぞれの使命を達成するような処置が速かに取れるように今後申出て置いて頂くことが妥当ではないかと存じます。
  50. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 外に御意見ありませんか。  それでは本日は、アイオン台風に対しまする報告に関しまして、はこの程度に止めまして、十一日からは國会が開かれるわけでございますから、重ねて今各委員からお話なつたような諸点を明らかにせられて、御報告下さるような御準備を一つお願いいたしたいと思ひます。それでは速記を止めて。    午後二時五十三分速記中止    —————・—————    午後三時十三分速記開始
  51. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 速記を取つて……  次に休会中に継続審査を要求しまして、それに関連して各地を御視察を願つたのであります。これらの御報告を承ることにいたします。これは豫め御承知を願いたいのでありますが、公報には小委員会を開いてそれを報告する。こういうようになつてつたのでありますが、実は院議の決定をされましたのは、小委員会としてではなく、本委員会として調査継続を要求をいたしまして、視察して頂いたのでありまするから、小委員会を省略いたしまして、直ちに本委員会報告を求め、それぞれの処理を決定したいと思います。さように御了承います。  それでは先ず第一に北海道方面を視察せられました状況報告を草葉委員からお願いいたします。
  52. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 大体の概況を御報告申上げまして、不足の分はそれぞれ他の委員によつて御補充を願いたいと思います。三木、宮城、井上各委員、その他專門員並びに参議院事務当局及び厚生省方面からの御同道を願いまして、北海道へ視察に参りましたその概況でございます。  第一に兒童福祉法の実施の状況を見ますると、どうも北海道ではまだ十分にこれが徹底していない嫌いが多々ありまして、施設九種類の中でも助産、兒童厚生、精神薄弱、或いは養育施設等は全然見当らんのでありまして、今後こういうものの施設の早急なる設置を必要とするように考えたのであります。又生活保護法の実施状態を見て廻りますと、こちらの方は樺太或いはシベリヤ方面の、殊に樺太方面の引揚者の定着援護におきまして、相当恒久的に施設せねばならない多くの問題があり、從つて生活保護法の徹底的な運営ということが相当要望される状態でありますが、この点につきましても尚不十分な点がありはしないか、又その他一般困窮者なり、遺族なり、留守家族に対しましても、もつと生活保護法の援護対策を十分にせねばならないと考えられたのであります。生活保護法による生活扶助なり、或いは医療なり、或いは助産なり、生業扶助、埋葬という一々の問題につきましても、昨今はその基準額が相当増加いたしましたが、実際の実施につきましては、市町村の考によりまして、相当窮屈な実施の方法を取つておられる。むしろ一口に申しますと、少しでも資産があるような家は生活保護法の対象にならないというような行き方が相当取られておるのではないか。こういう点におきましては引揚者におきましても、無縁故者を中心にやられておつて、少しでも縁故があるというと、なかなか実施をされないというような状態になつておるような點を見受けたのでありまするが、この生活保護法の実際の実施につきましては、もう少し徹底した方法を取られることを必要とするのではないかと考えるのであります。又アイヌ民族の現状につきましては、二三の実際の状態を見、或いはその実際の施設等も伺つたのでありまするが、実際の施設におきましても、もう一歩という所で中途半端なような状態になつておる点がありまするので、これは今後政府等におきまして、もうほんの少し力を注いで頂くと、北海道アイヌ民族の保護ということに相当な成果を收めうるのではないかと考えたのであります。民生委員の制度につきましても、民生委員の……これは北海道ばかりでなく、外の方面にも関係して参りまするが、或いは東北、青森方面にも関係して参りまするが、民生委員の待遇の問題、或いは民生委員の訓練の問題というような點につきまして、もつと民生委員法のできまして前後といたしましては、相当もう少し徹底する方針を取られねばならないのではないか。社会事業共同募金につきましては、これは相当の成績を收めておりまして、誠に私共喜んでおる次第でございます。戰爭犧牲者の遺族、引揚、戰災者の援護対策につきましては、引揚者の援護対策について主力が注がれておりまするが、その他の戰爭犧牲者であります遺族なり、未亡人なりという問題につきまして、又元傷痍軍人たる傷痍者の問題につきましては、余り觸れられておらないような状態でありまして、相当困窮しておるような人たちも見受けられておつたのであります。そうして実際の第一線業務になりますと、むしろそういう方面を世話することが、何か知らん叱られるような氣兼ねをしい、從つてつて消極的な態度を取つておられるように取られ勝ちに見受けられたのでありまして、こういう方面につきましては、これはあながち北海道だけではなく、全國的傾向があるようでありますので、政府におきましては、こういう点につきまして、もつと平等的な、万遍ないような取扱のできるような方法を、第一線の業務に当つておる者の上に指導されんことを希望する次第でございます。  住宅問題については、只今申上げました、殊に引揚げの人たちに対する住宅の問題は、もつと早急に政府が眞劍になつてつて行かねばならない状態に迫られておる。これは是非ともこの多季を迎へます際に引揚者の住宅ということについて早くそれ等の処置を購ぜられるように、具体的には書類等でも申上げますが、感じたのであります。青森縣の状態も大体は同樣でございます。  ただこの前後の通じまして一、二の點について結論的に御報告申上げるのは、生活保護法の全般的な実施を見ますと、幾分増額になりましたが、併し八月一日に遡つての増額が、必ずしも実際上の増額になつておらないのではないか、殆んど從來と同じような状態ではないか、それから生活保護法の実施の状態が至つて事務的に流れておる嫌いはないか、これは北海道、青森を中心にした……その他の府縣を見ましても、至つて事務的であつて、このような生活保護法の実施であるならば、將來相当な欠陷を來たす虞れはないか、むしろ收入があると、直ぐに扶助額から減額いたしますような所をまま見受けて参りました。結局仕事をしない方がいい。しないでそれだけ貰つた方がいいというような結果に陷つて來る状態でありまして、もう少しこの金銭の、いわゆる金による扶助をする以外に、或いは生業扶助等、外の方面においてもつと考えて行かねばならないのではないか、從つて結論から申しますと、生活保護法の全般的の改正ということがこの機会に相当必要ではないかということが現地を見ながら考えさせられた點であります。  第二の問題は、民生委員の問題につきまして、これはまあ意見等も聞きましたので、他日、他の委員で又協議もあろうと存じますが、この北海道方面、青森等を視察して、民生委員は議員の兼務を、兼職を除かれておる。併し追放該当者がそのまま殘つておるということは、從來の政令である民生委員制度が法律として改まつた今日、これは相当考うべき種々の複雜なる將來情勢を含んでる來のではないか、從つて民生委員法という法の実施の前後に当りまして、この民生委員のもつと優れた、そうして純眞なる組織ということ、指導ということが必要である。こういうふうに感じて参つたのであります。極く概括でございますが、以上を御報告といたします。
  53. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 引続いて東北方面視察報告を河崎ナツ委員からお願いします。
  54. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 八月の一日から十日までの豫定で山形縣、宮城縣岩手縣の三縣の厚生保健厚生施設の視察をいたしたのでございますが、概括御報告申上げます。  保健衞生施設の點で、東北地方は大体そういう施設が関東、関西に比べまして、どちらかと申しますと、普及が遅れておりました関係上そういうことの必要を感じまして、個々の開業医というようなものによらないで、公営或いは官営というような形で進みつつある勢いを見ますことは、非常に將來のそういう保健施設の行く方向への一つのポイントに立つておりますことを痛感させられたものでございまして、殊に岩手縣の農業会によつて経営せられた総合病院が縣下各地方、先程報告にありました宮古市などにもございましたわけであります。実に縣下の山奥にも及んで、そういう公営の立場から人人がそういう面におきまして、今日私立の病院におきまして困つておる問題を解決づけられておりましたことは、東北におきましての一つの特色であつたと思います。  山形縣におきましても、そういう傾向がございましたので、一層この際着々と歩を進めまして、酒田市或いは鶴岡市においても、総合病院により元鶴岡平野、或いは何と申しましようか、庄内平野、あの平野の村々の人たちがそれに潤つておりますことは、注目に値いするものかと思います。そういう病院の問題におきまして痛感して困つておりますことは、設備はいろいろとあつたのでございますれども、お医者さんと看護婦さんとかなかなか少い。それでベッド数はありますけれども、そういう技術者が少いことによりまして、どの病院も困つてつたわけでございまして、それは殊に國立の結核療養所におきましては、國庫関係から関係いたしておるのでありますが、手当が少いために、なかなか医者が來ない、看護婦が來ない。これはどこの病院も直面しておる問題でありまして、このことにつきましては、厚生省に一層考えて貰わなければならんことだと思います。  それから岩手縣のそういう総合病院は今までは農業会が営んでおりました病院が十七ケ所ぐらい縣下の各山々、対々に行渡つておるのでありますが、なかなかいい総合病院でありますが、今度それが農業会の解散に伴いまして、この際縣としてそれを引受けて、そうして縣営としてやはりみんなに潤したいという立場に立つておりますが、その問題におきまして、引受けますときに一應縣の資金を要しますので、そういう問題について、單なる一箇の病院でなく、県全体の保健衞生の問題を解決いたしますために、縣立に移します問題といたしましての一億円の支出の問題においての國庫においての支出ということに当面いたしまして、陳情いたしておりましたことは、單なる一病院ということの問題でなくして、將來のそういう医療施設においての縣営或いは國営の問題への最初のぶつかつた問題といたしまして、單なる岩手県の問題であるばかりでなく、厚生省として考えて頂かなければならん問題だつたと思います。それから尚医療施設で、岩手縣の國立の結核療養所におきまして、非常に急造の建築をいたしました結果、及び土建屋に委した結果、半分ぐらい建つて、そしてお金が渡るとか渡らないとか言つて、土建屋はもう後建てないで放りつ放しで、その療養所の人たちが……荒れ果てたと言いましようか、その中に手が掛けられませんから、もう半分か三分の一近く荒れ果てて、その儘建ち腐れになつておる。そうして秋草の繁つた所であの結核の娘さん、若い人たちが寂しく夕暮の寂しい寮宿におりましたことは、そしてそういう建築から來る……それは省きましよう。  そういうようなことにつきまして、國立療養所があの儘であることにつきましては、厚生省として考えて頂かなくちやならんのじやないかと思いました。  もう一つ一関の國立療養所でありますが、そこはよく行届いておりますんでございますけれども、今度も恐らく水害がありましようけれども、高い丘の上にありましたので、水害は免れたと思うのでありますが、丘の上にありますために……初めの豫定と違つて、水の……水道の問題が……一関自身も水の不足のために、水が及びませんので、尚五百人程おりますその療養所は高い所へ持つてつたので水が及びませんために、そういう結核の療養所で以て、水がなくて消毒もできず、顔も洗えず、その儘で実に毎日々々を不潔な樣子で暮らしておる。それはその水道は一関として根本的にしますれば、なかなか費用もかかり、又、その病院だけで井戸を掘りましても、何でも三百万円程かかるんだか、それがなかなか解決つかないて、もう厚生省へもどこへも頼んでも仕方がないから諦めて、ない水を雨水で集めて、五百人の患者が暮しておるという報告がございましたが、ああいうふうなこの保健衞生施設におきましての水の問題、殊に療養所のああいう問題につきましては、一個の療養所でありまするけれども、そういう生活のそういう問題におきましては、一般的に他の病院のそういう問題につきましても、併せて一考を煩わさなければならんものだと感じて参りましたのです。  もう一つ東北地方で牛乳の処理場、殊に山形縣におきましては、この保健衞生施設の牛乳の処理場が行届いておると同時に、周囲の農村と酪農の進絡が功く行きまして、鶴岡を中心に高畠町を中心に、酪農の処理が功く行きましたために、牛乳の配給が非常に確実に参りま島て、乳幼兒の希望を満たすばかりでなくして、それ以上ものもは各自に自由販賣にもしないで、先ず病院へ、そこでまた余つたのはバターに加工いたしまして、先ず病院へというわけで、鶴岡市の病院、酒田市の病院のために配給をしておるやり方は、非常にそういう問題につきまして随分方々を見ました縣の中で、山形縣がそういう方に骨を折つておりましたことにつきましては、乳幼兒の問題とも関係し、病人の保健食とも関係いたしまして、且つは酪農の村の解決をつけて行く。この連絡におきましても、なかなかよく行つてつたことは、参考に値いすることであると思います。殊に保健衞生の面から、保健婦に養成の面に長年力を入れておつて、山形縣は、東北三縣に刺戟を與えております。島根縣のそういう面に力を入れているのと相対して、二つの縣だと思いますが、保健婦の問題は、庄内平野を中心として酒田とか、鶴岡に連絡をとつて、非常によく行き届いております。そういうような面から、又兒童福祉法の虚弱兒童施設への面に連絡をとつて、殊に保健婦の養成に力を入れて参りました山形縣は、更に虚弱兒童の療養を、縣下に多い温泉を利用して、そういう療養に二十年來努めて参りましたのが、この十年來縣が取上げまして、初めは新聞社が拵えておりましたことでありますが、縣が取上げて、毎年五百人程、五十人づつ二十日間、二十日を限つて次々に行つて、その療養虚弱兒が縣下から代る代る選出せられまして、そうしてあの高山温泉という……、二千尺ぐらいの高い所にありますそこで実に徹底的な健康に惠まれながら、保健婦が世話している樣子は、保健衞生の面における縣の努力と、兒童福祉施設の方の虚弱兒の施設を生かして行く上におきまして、特色あるものと存じました。  それから第二は、兒童福祉法の施設の面におきましての各縣のそういう面へは、丁度北海道の御報告がございましたが、私も北海道へその前の月に外の用事で参りまして、そういう方面に氣をつけておりましたが、今、前の委員の報告がありましたように、北海道は未だ氣をつけてないという、御報告でありますが、それに対して東北三縣は、なかなか氣をつけておりまして、殊に宮城縣は、一層そういう問題に氣をつけて、着々と施設を、新しい施設、又曾ての施設を生かすことに力を注いでいるようでありまして、恐らくカトリックのアメリカから渡つていらつしやつた、この宗教関係の方々と、そうして縣のそういう施設とか協力いたしまして、宮城縣の仙台の北の方の丘の上に、少年の町という、今大きな集團施設が教会のお堂を中心にして建設せられておりますが、もう開かれて來ただろうと思いますけれども、丁度それと、曾ての岡山縣の少年の丘でありましたか、それと丁度日本で相対する二つの少年に対する新しい、將來そういう施設を通しまして行われるであろう二つの施設の一つと見られてもいい。そういう意味におきまして、その少年の町を中心にいたしまして、育兒園にいたしましても、教護院にいたしましても、宮城縣中心に力を入れられておりましたことは、好もしいことであつたと思います。そうして非常に徹底的に、專門的に兒童の心理、生理的方面から研究して、兒童の問題を解決づけようとするこの宮城縣における兒童相談所、中央兒童相談所は、非常によい研究資料だと思います。それから町のそういう方の人々との連絡によりまして、まだ日は浅いですけれども、新しいそういう方面に立つて歩き出しましたことは、東北地方においての大きな將來への光りで、各縣がやはりそこから刺戟せられておるようでございます。それと一緒に母子寮の施設に対しまして非常に目覚めて参りまして、山形縣、それから岩手縣一関、それから今度難は逃がれましたが花巻という所を中心にいたしまして、福祉法による母子寮を確かもう最近始めたと思いますが、新らしい福祉法によりまするところの母子寮の創設を先ず岩手縣のこの二つの市にということで、土地の婦人会を中心にいたしまして、非常に熱心に活動いたしまして、確立して始めかけておるところに水が來たのではないかと私は思つておりますが、山形縣におきましても、その問題を山形市の中心にいたしまして、米沢、鶴岡、それから酒田、新庄各地に今起りつつあるのでございますが、そういう方面におきましても今一生縣命にやりかけておりまして、その母子寮を中心に保育所、それから授産所、殊に授産所と申しますか、女の人の生活を結局立ち上らせることが大事だというところに目覚めまして、副業の問題に力を入れておりますことは、著しいものでございまして、山形縣もそれから岩手縣もでございます。殊に山形縣は縣全体が協力して連絡を取りまして、婦人の下駄の表でございます、藁から拵えますが、もう藁が足りなくなつて、鹿兒島縣の方から竹の皮を取寄せて、それを晒してする、その下駄の表を拵えたり鼻緒を拵えますのを見せて頂きましたが、各個の母子寮がするのではなく、個々の授産所がするのではなく、縣全体が協力して、一つの動きにおいて、そうしてそこにできたものを総合して、結局縣の一つの生産物として行くというふうな方向に行きかけておりますことは、日本全体の授産所が資材の面から個々に集めて、個々にてんでんなものをするというのでなく、横に連絡を取つて、そうして各所でしたものができ上りますれば、総合した一つの品物となつて日本一つの特異なる産業という方面に行こうとしております面を、ここでも一歩踏み出しつつありますことは、母子寮を中心としての授産所の一つの特色だと存じます。そうしてそこに保育所問題もそういうふうに解決付けつつございますが、福祉法の保育所の問題はそういうふうにすることになつておりますが、どこでするかということにおきまして問題がありますのですか、こんな意味で母子寮、先ず女の人のために仕事をしなければならん、女の人の集まつておる所、そういう所へ先ず保育所の幾つかを各縣に割当てられました保育所を生かして行く。模範的な保育所ということもございますけれども、原範的な保育所よりも、そういう実際の生活の面から保育所の意議と、それから婦人の生活とを結び付けて行くという方向への兒童福祉法の施設と生かし方というものを私たち日頃から考えている者といたしまして、山形縣、宮城縣岩手縣がそういう方に実際問題として動きつつあるということを知りました次第でございます。  殊に引揚者の問題は丁度北海道が引揚者の七割、そうして東北が三割という形で各縣が引受けて定著しておるわけでございますが、この住宅の問題は先程の北海道の御報告にもございましたが、東北では岩手縣にいたしましても、山形縣にいたしましても、兵舎を充当いたしまして役立てておりますが、あとまだ五十万近い引揚者をその三割を東北六縣が引受けます場合におきまして、次の問題として住宅問題がやはり考えられなければならないので、その問題につきましては、一層厚生省考えて頂かなくちやならんと存じますがここで起つております問題といたしまして、兵舎に集團いたしておりますから、二千、三千の盛岡の近所、山形市の元の兵舎の跡におりますのですが、そういうふうにおりますと、引揚者は非常に子供が多いのですが、殊に学齡児童が多いのであります。学齡児童の学校の問題は直接文部省の問題でありますが、これが文部省の問題だから文部省の許可を得なければならんというようなことで、そうして引揚者の問題は厚生省の方でありますから、その間に学校の問題が解決つかないで、非常にあり雪の中を一里も三十町もあるような所を通つておる。隣に兵舎があつて、それを学校にしますれば使えるのでありますが、解決つかずにおるのでありまして、これは文部省と厚生省との話合で、こういう人達の学校の問題は是非解決をつけて行かなければならん。それはもう岩手縣が殊にその問題に逢着いたしておりまして、いずれ又書類も出ることと存じますが、山形市の郊外にあります引揚者の処にも問題がぶつかつておりましたが、丁度北海道でその問題にぶつつかつておるところに、許可があろうがあるまいが、自分達の力で造りましたということで建てて、二学級だけ解決つけておりましたが、次に建てなくちやならんというので今願いましたところが、厚生省と文部省との間に狭まれまして困つておりますというわけでありましたので、少し引揚者の集團いたしております所では、この問題にぶつつかりますので、これは厚生省と文部省とで繩張り爭いでなく、共通に話合つて、とにかくこの人達の生活の面からの子供の問題を是非解決づけて貰わなければならんと感じました次第であります。  それと供に集團をいたしておりますので、風呂の問題が解決ついておりません。二千、三千一つの町程ありますが、何も風呂がありませんで、どの処にも厚生施設としての、保健衞生施設としての風呂の問題が解決ついておりません。これは厚生省の方の引揚援護局の費用からの問題として出るのではないかと思いますが、これはどの生活集團にも欠けておりますことで、不十分であることはお氣の毒であつたと存じます。  ここにも亦小学校に行くまでの子供を預ります保育所と、それからおかみさん達の子供を預つて仕事をさせればもつて生活が安定して、生活保護法の問題も解決つきという意味で、殊に事情を同じくしておりますおかみさん達でありますから、授産所と保育所、この二つは是非引揚者の集團の生活の施設に対しまして取敢えず先ずそのところというわけでありましたが、今は学校と風呂及び保育所と授産所、この問題に逢著して、差詰め学校と風呂に直接困つておりますが、次の問題として保育所、授産所、東北の六縣のぶつかつておりました母子寮の保育所と授産所、相共に兒童福祉法の施設としての保育所と授産所とが形式的に各縣に目立つような所へ模範的なものを作るのではなく、こういう方のものから生活へ結び著いた方向に生かして行つて貰いたいというようなことを痛感いたしました次第でございます。尚ございますが、大体以上二つの面からの御報告を申上げまして、一應お話を終らせて頂きます。
  55. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 以上を以て北海道及び東北地方の視寮報告を終りました。これに対しまして、何か皆さん御質問なり、並びにその質問と関連して当局からお答えを願いたいと思います。
  56. 千田正

    ○千田正君 只今東北の事情については御報告がありましたが、その中で岩手縣日本医療團並ひに農業会が経営しておつた病院を、農業会の解体によりました縣に委託する。縣はその買收費がない。そのためになんとかして起債を起したい。こういうような問題で再三厚生省に向つてその陳情が來ておる筈であります。経済力は貧弱な且又担税力のないところのああした荒れはてた農村漁村における唯一の医療設備である。こうした問題を等閑に附して置くということは非常に遺憾に存しますので、この点につきましては十分に縣で買取る、或いは起債を起すというような面におけるところの厚生省なり、大藏省の特別な枠の決定に対しての考え方をやつて頂きたい。この点を特にお願いしたいと思います。
  57. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 外に……
  58. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 只今北海道、東北地方視察の御報告を承つたのでございますが、第一回國会において審議いたしました医療法がどのように利用されておるかということが問題でございます。その問題と関連いたしまして、私共の関係いたしております助産婦、保健婦、看護婦の法律のことであります。やはり各病院なり療養所なりに看護婦なりお医者さんが少いので、非常に支障を來すのぢやないかと思います。北海道で弟子屈の療養所拜見いたしましてつくづく感じたのでありますが、五十のベツトにお医者さんが一人、看護婦が二人見習が二人、それでやつております。そのお医者さんは非常に奇特なお医者さんで、本当に普通の人の勤まらない所でやつております。これは何とか医療法を早く適用して頂きたい。これは何人にはこれだけのベツト、何人の看護婦を置くというものでありまして、これは向う五年間ございますから、なかなかでありますけれども、そういう点も早く何とかして頂きたいと思います。北海道で特に問題となつておりましたのは、医療業者の都市集中ということが大きな問題になつております。日本においては特にお医者さんが少いというほとでございませんけれども、都市ばかりに行つてしまいまして、寒村僻地においでになりませんので、何とかそういう点、寒村僻地にもお医者さんが行けるように待遇を考えて頂きたいということを特にこの際お願いいたします。  その次に助産婦、保健婦、看護婦法の實施でございます。これは法律に出して頂いておりますが、地方に參りますとなかなかこの實施がむずかしいと存じます。北海道の道廳での会議の時に、この法律のことが出るかと思つて居りましたが出ませんので、私淋しく感じたのであります。一人々々の助産婦なり看護婦に当つて見ますと、北海道では助産婦、保健婦は非常に都合よく行つておりますが、どこに参りましてもむずかしいのは看護婦の問題でございます。大学病院あたりでは法に則り、甲種の看護婦を養成したいと申しておりますが、法律に言われております実地の指導者を看護婦によつてということでなく、やはりお医者さんによつて指導したいというような傾向がおありになるそうでございますが、なかなかその点むずかしい。特に札幌の天使病院、これはカトリツクの病院ですが、特に新しい法に則つて新しい助産婦、保健婦、看護婦学校を造つておられましたが、これは本当に特殊なものでございまして、日本のどこを見ましても本当に惱みますのは、只今の看護婦の問題でございます。でありますからこの二つの法律が本当に早く実施されますように御当局に特に希望いたします。
  59. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) この機会に私ちよつと皆さんに御報告申上げて置きます。実は第三回の全國民生委員、兒童委員の大会が十月の一、二、三の三日間に亙つて北海道の札幌で開かれまして、この大会に全民連の方から両院の厚生委員長に是非出席してくれという要請がありましたので、議長とも相談いたしまして、更に議院運営委員会にもこれを諮りまして、甚だ急でありましたけれども、議長発議により派遣せられまして、私これに出席することになり、参加して参りました。衆議院の方でも厚生委員長竝に專門委員一人参加しまして、松岡衆議院議長の祝辞を代読せられ、且つ委員長としての言葉がありました。私も参議院の議長の祝辞を代読いたしまして、厚生委員長として一言挨拶を述べて置いた次第でございます。今度の民生委員大会は、民生委員制度の振興方策に関する件というのが第一部会で、更にこれが五つの委員会に別れて小委員会を設けて審議をいたしておりました。それから生活保護の徹底と適正に関する問題を第二部会で六つの小委員会を設けてそれぞれ重要な問題を分割審議いたしておりました。それから第三部会として兒童福祉の徹底に関する事項としてこれ又五つの小委員会を設けまして、これに関する幾多の重要な問題を討議檢討して、最後にこれを部会ごとに纒めて、それぞれ適当に結論を得て総会に報告し、これを処理いたしておつたのであります。細かしいことは申上げませんが、一つ大きな問題になりましたのは、先程草葉委員から北海道の視察に関する報告の中にありました、民生委員の議員兼職禁止の問題が兒童福祉委員その他の各部門でもいろいろな形においてこれが熱烈な議論の焦点になつておりました。皆さん御承知かも知れませんが、衆議院で民生委員法を議決いたします時に、委員会で熱心な討議がありまして、大体委員会側としては委員は兼職を禁止すべしというのが多数の意見であつたのであります。これを附帶決議とするというのを、附帶決議はいかんということで委員長報告の中にこれを報告せられたのであります。そうすると厚生大臣が御趣旨のように取計いますということを約束してしまつたのであります。そこで厚生省は通達を発しまして、民生委員の兼職禁止の通知をして、それで只今ではすでに改選を行つたのでありますが、多数の地方ではこの問題が紛糾を重ねておるわけというような状況でありまして、会議の結果から見ますと、こういう所で申上げてどうかと思いますが、厚生省には多少の含みを持つた処置をとりたいとお考えになつておられたのではないかと私想像いたします。併し乍らこれを民生委員の方から大会の問題に取上げられましたことから、結局はこれはそういう問題を全國的問題に出したために、一層兼職禁止の止むを得ざる事情を濃厚に加味されて結果になつた。これが最後の取扱方といたしましては、全民連に会長にその問題を委嘱するということで結末をつけましたけれども、大体そういうふうな経過であるということをお傳え申上げておきます。  序でに私も札幌その他の所を、時間を盗みまして、施設を見て参りましたが、今の報告に附加えて河崎さんの報告、草葉さんの報告にありましたが、引揚者の、殊に無縁故者の受入地におきます問題で、いろいろな大問題が起つておる。今河崎さんのお話のように、多数無縁故者を吸收し、無縁故者を引受けたため、どうしても学校をもう一つ建てなければならん。こういうような事態が起つております。札幌の月寒長ですが、ここでは無縁故者住宅に入つております者が、從來の町民の数を超す程度の引揚を受入れておるのであります。我々はこれは札幌市の負担かと思つたらそうでなく、月寒町という町に受入させたために、從來の町民に倍する引揚者がそこに都市を建設しておる。そのことのために、從來の教育は三部教育にしても入れないというようなことで、どうしても学校を建てなければいけないという問題があるし、引揚者からは徴税の負担をさすことは殆んど困難な事情にある。併しそれだけの人が入れば、徴税の方には非常に大きな負担になる。町の吏員を倍置かなければならない状態になるというようなことでいろいろな問題がそこに釀し出されておると見て來たのであります。  これは厚生省が主になつて、やはり関係方面にこれらの問題を解決するような方途を今講じてやらなければ、受入が將來支障を來すようなことになりはせんか、又そこに定住しようとしておる者の日々の生活にもいろいろな関係がありますので、私事情を聽きまして、余りに氣の毒だと思いまして、町役場に参りまして、町長にお会いしてお願いし、或いは感謝の意を述べたいと考えて参りましたが、あいにく町長、助役は不在でございまして、名刺を置いて傳言をお願いして帰つたような次第であります。このような事情であります。その他附加えたいこともございますけれどもこの辺にしておきます。  他に御質問等ありませんでしたならば、只今の両報告を了承することにしまして、この報告を元にしまして、本会議で承諾を得ました三つの部門にこれを整理しまして、委員長報告にしたいと思います。つきましては、本会議におきます委員長報告の形式、その内容等関係します事項一切を委員長にお任せ下さいますでせうか。    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  60. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 御異議ないものと認めて、さように決定いたします。尚この決定に御賛成の方の御署名を一つ御面倒ながらお願いいたします。    〔多数意見者署名〕
  61. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) それぢや委員会はこれをもつて終了いたします。    午後四時五分散会  出席者は左の通り。    委員長     塚本 重藏君    理事      宮城タマヨ君    委員            内村 清次君            河崎 ナツ君            中平常太郎君            三木 治朗君            草葉 隆圓君            中山 壽彦君            木内キヤウ君            小林 勝馬君            井上なつゑ君            山下 義信君            米倉 龍也君            千田  正君   説明員    厚生省事務官    (社會局物資課    長)      畠中 順一君    厚生事務官    (社會局保護    課)      熊崎 正夫君