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運輸省總務
局長(三木正君)
食糧増産につきましては、先程も
お話がありました
通り、戰争末期から非常に
食糧事情が悪くなりまして、
國民全般がそうであ
つたのではありますけれども、列車運轉に非常な
食糧不足のために支障を來たすようなことを痛感いたしてお
つたのであります。ところが終戰後もそういう
事情は解消いたしませんし、それへ持
つて來て入営しておりました者、應召されておりました者が多数除隊にな
つて帰
つてしま
つたのであります。そうして業務運営に必要な、より以上の
人間を擁するように、抱えるようにな
つて來たわけであります。そこで整理とか、そういうことも当然
考えられるのでありますが、そうして又一部分は成績の上らない者、或いは女子、そういうような人で、特に終戰後働いて貰う必要もなく、又辞めて貰
つてもいいような者は
相当辞めて貰
つたのでありますけれども、入隊、應召の者が非常に沢山帰
つて來ましたために、過員を
相当持
つたのであります。それでそういう
食糧が非常に不足しておるということと、それから過員を擁してこれを急速に全部戰後の混乱時代に直ぐ、業務上に必要以外の
人間は整理するということは
考えられない。この
二つの状態の下にありまして、非常に人口が殖えて來た内地において、その余
つた人手を
食糧増産に向けたらどうか、こういうことにいたしまして、そうして
食糧増産ということを始めたわけであります。そうして原則として
土地は借地をする、買わない、而もそれは全部不毛地である。
開墾地を借りたりするのは、國にと
つては何のプラスにもならないのであるからそういうことはしない。不毛地を借りて、そうして余
つた人間で、過員を持
つておる。その過員で働いて開墾をして、植付をして収穫をする、こういう建前で出発したのであります。それで
黒石原のようなものは、省の方針では買わないつもりであ
つたのでありますが、いろいろな
事情で間違
つて買つた、間違
つて買つたと申しますと何ですが、
購入をしたのであります。そういうことは
会計檢査院に
批難された
通りであるし、省の方針とは違
つて、そういうことが例外的に行われたことの
一つなんであります。それから
予算は僅か一千万円ばかりで、支出が一億円、
予算としてはそういう
予算で出発したのでございましたが、
予算面では種子代であるとか、開墾の用具であるとか、開墾のために特に必要な小さい掘立小屋を作る。そういうものを大部分やるんだ、この外は全部余
つた人手でやる、こういう建前でありましたために
予算としては当初は少なか
つたのでありますが、
決算する場合には、その余
つた人間の、所属費目の
人間、費目でなしにそういう主なものが人件費でないか、こういうふうに
考えるのであります。そういう
事情で始めたのでございますけれども、開墾の
仕事として農耕の
仕事というものはそう簡單に行くものでもございませんし、選択上、不毛の
土地を十分に研究もせず作物に適しないような土であ
つたりしましたし、それから、そういうことで一向生産も十分に上りませず、元々過剰労働力を
利用するという建前から出発したのでありますけれども、非常に成績も上りません。
食糧事情の方も外國の援助なりそういうことで段々と改善されて行くのを見まして、今年度限り
食糧増産は全部止めよう、こういうことに
決意いたしまして、本年度の
予算には
食糧の費用を要求しないことにいたしたのであります。そうしてただ折角そういうふうに手を掛けた
土地でありしますから、適当な讓受人があり、適当な後継者が現われて讓り渡すことができるまでは管理をする。保存管理をする意味で幾分の
人間をそれに当らせておりますが、それ以外の者は成るべく速かにそういう農地なり施設なりそういうものを適当な方に讓
つて、そうして早く始末をつけたい、ただ加工品のようなもので十分採算の取れるようなものにつきましては、共済組合で
職員の福利事業として十分に、國費を使わないでもや
つて行けるようなものについては幾分そこに残して行く、こういうふうにして行く次第であります。