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1948-06-30 第2回国会 参議院 決算委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月三十日(水曜日)    午後一時五十九分開会   —————————————   委員の異動 六月三十日(水曜日)委員帆足計君辞 任につき、その補欠として玉置吉之丞 君を議長において選定した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○建設省設置法案内閣送付) ○國家行政組織法案内閣提出、衆議  院送付) ○水産廳設置法案内閣提出衆議院  送付)   —————————————
  2. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 決算委員会を開きます。  最初に御報告を申上げますが、決算國土連合委員会におきまして、建設省設置法案審議いたしました結果、修正の個所について一應の話合いもできたようであります。これがお手許に廻してありまする建設省設置法案修正案というものであります。これはいろいろ手続がありますので、まだ手続が終了しておりませんから、済み次第改めて御審議を煩わしたいと思います。  それでは昨日問題に上りました國家行政組織法案について御審議を願いたいと思います。それで、これは直ぐに討論に入りましようか、或いは一應懇談会を開いて御協議願いましようか。    〔「討論賛成」と呼ぶ者あり〕
  3. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 直ぐに討論に入るのですか、質問は終了して、今討論に入ることになつておるのですが、如何いたしましよう……。
  4. 山下義信

    山下義信君 前回懇談会で、いろいろ話合いなつた結果、一應削除の所はあの程度で止めて置きまして、今朝更にそれを継続いたしまして、でき得れば纏まるものならば大体纏めたいということに相成つておりましたので、一應懇談会の形にして頂きまして、纏まるか纏まらんかお話合いを願いました上で、その上で討論に入つて頂きましたらどうかと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 下條康麿

    委員長下條康麿君) それでは一應懇談会において十分御審議を願いまして、その上で改めて討論に移りたいと思います。それでは速記を止めて、懇談会に入ります。    午後二時一分懇談会に移る    ——————————    午後二時二十九分懇談会を終る
  6. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 懇談会を閉じまして、速記を煩わして審議に入ります。中川委員質問を……。
  7. 中川幸平

    中川幸平君 十七條次官問題、十八條総務長官問題について、私共は先般來いろいろ意見を申しておりまするが、この條項以外に、國会法を改正して、別個に政務次官を置いても、この法案に牴触しないというのなら私共又考えがあるんですが、政府において如何ように解釈されるか。お答えを願いたいと思います。
  8. 前田克己

    政府委員前田克己君) 從來政務次官の主要な役目は、政府國会との連絡に当る。これが主要な役目であつたのであります。然るに只今國家行政組織法案原案として出しておりまする次官には、この國会との連絡という職務規定しておりません。從つて國会政府との連絡に当るという意味の政務次官をこの外に考えることは、可否の議論は別として可能である。かように考えます。
  9. 山下義信

    山下義信君 本法案は、随分日子を費やしまして、今日まで審議して参りましたのでありますが、この程度で質疑を打切りまして、討論に移られんことの動議を提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶものあり〕
  10. 下條康麿

    委員長下條康麿君) それでは討論に移ります。
  11. 山下義信

    山下義信君 討論順序といたしまして、第十七條、第十八條、この二ヶ條に関しまする討論を先にして頂きまして、然る後において、二ヶ條を除きました後の全部についての討論順序でお進みを願いたいと存じます。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  12. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 山下委員の御発言通りにいたしまして、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  13. 下條康麿

    委員長下條康麿君) それでは先ず第十七條、第十八條討論をお願いいたします。
  14. 太田敏兄

    太田敏兄君 社会党といたしましては、第十八條は削る。第十七條原案のまま。次に政務次官設置につきましては、國会法又は別個の法律によつて定めるということにいたしたいと思うのであります。
  15. 千田正

    千田正君 只今太田委員の申します意向と同樣に、無所属懇談会は賛意を表します。第十八條は削つて、第十七條原案のまま。
  16. 小川友三

    小川友三君 第十八條衆議院修正通り認めます。第十七條は特に委員長さんの手許まで提出してございます通り、第三項、次官國会議員とするということを主張いたします。それで政府委員説明は、先程の説明は、非常に腑に落ちないところがございます。答弁をされたその際に、政務次官國会政府との連絡はしないということでありますが、「大臣不在の場合とその職務を代行する」とあるのだから当然この次官がするのでありまして、その連絡をしないという御答弁に対して、本員は不滿に堪えない次第であります。
  17. 竹中七郎

    竹中七郎君 私は民主党を代表いたしまして、只今政府委員の御説明のように、國会法におきまして、政務次官を置けるということでございますから、我々は原案通り賛成いたします。
  18. 中川幸平

    中川幸平君 只今政府委員から國会法の改正によつて置く置かんは別問題として、置くことができ得るという御答弁であつたのであります。それから考えて見ますると、十七條次官と十八條総務長官を置くことは、官僚陣を強化する現象に相成ると考えるのでありまして、先程の太田委員の申されたことく、政務次官は別個に考えることにいたしまして、十八條を削除して、十七條の先般申上げましたような文句を入れまして、修正することが適当であると考えるのであります。
  19. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 私は緑風会意見といたしまして、十七條、十八條はそのまま原案通りにして頂きたいと思います。
  20. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 外に御発言は……。
  21. 山下義信

    山下義信君 討論を終結いたしまして、採決せられんことの動議を提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  22. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 討論は……。
  23. 山下義信

    山下義信君 動議の訂正をいたします。討論は終結しないで只今問題になりました第十七條、第十八條の二ヶ條について、いろいろ修正案が出ております。それにつきまして、採決せられんことの動議を提出いたしたいと思います。
  24. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 先ず第十七條、第十八條議題になつておりますので、これについて採決することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 下條康麿

    委員長下條康麿君) それでは採決の方法についてお尋ね申上げますが、今伺つたところによりますと、社会党無所属懇談会、自由党は第十八條総務長官を削るということで、その他十七條はそのまま原案通りですから、修正をいたしますのは、この十七條の外に政務次官考えられるということは、これは解釈の問題ですから、修正案としては、第十八條総務長官を削るのが修正案たと思います。  それから小川委員から次官國会議員とするという修正案が、第十七條に関して出ております。これも採決いたしたいと思います。後はそれが消滅すれば原案通りになるわけでありますから、さような採決でよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 下條康麿

    委員長下條康麿君) それでは十八條総務長官を削るという案に御賛成の方の挙手を願います。    〔挙手者少数
  27. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 九名であります。今度は反対の方の挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  28. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 十名であります。では今の総務長官を削る案は否決せられました。  次は、次官國会議員とするという小川委員修正案に御賛成の方の挙手を願います。    〔挙手者少数
  29. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 一名であります。否決であります。從いまして、第十七條、第十八條原案通り決定いたしました。さよう御了承願います。  十七條、十八條を除きまして、その他の部分についての討論をいたします。
  30. 山下義信

    山下義信君 私は本案につきまして、十七條、十八條を除外して、後の部分修正案動議を提出いたします。  第一は、第三條第三項及び第四項を削り、第五項を第三項に、第六項を第四項に改め、第四項中「及び第三項」を削る。  次は第六條中「本部の長は、総裁とし、」を削る。  次は第七條第三項中「いずれの場合においても、」を「課を置く場合においては、」に改め、第四項中「前三項」を「前二項」に改める。  次は第八條第一項中「政令」を「法律」に改め、「医療施設」の下に「その他の機関」を加え、但書を削る。  次は第八條第二項を削り、第三項を第二項とし、同項中「前二項」を「前項」に改める。  次は、第九條中「(前條第一項の規定に該当する機関を除く。)」を削る。  次は第十四條第二項中「命令又は示逹により、その活動を規整するため、」を「命令又は示逹するため、」に改め「指令」を削る。  次は第十六條第一項中「内閣総理大臣は、」の下に「三十日以内に調査を行い、」を加える。  第二十條中「定め、且つ、予算上の措置がこれに伴つていなければならない。」を「定める。」に改める。  第二十一條と第二十二條との間に次の一ヶ條を加える。   (現業行政機関に関する特例)第……條現業行政機関については、特に法律の定めるところにより、第七條及び第二十一條規定にかかわらず、別段の定をすることができる。  第二十三條と第二十四條との間に、次の一條を加える。「第三條第二項の行政機関の外、特に必要がある場合においては、別に法律の定めるところにより、臨時に、内閣総理大臣をもつて長に充てる本部を置くことができる。」第二項「本部については、法律に別段の定がある場合を除く外、この法律中、府及び省に関する規定を準用する。」  次は、第二十四條第一項に「その定員に関しては、昭和二十四年一月一日から、これを適用する。」を加える。  次は、第二十六條中「第六項」を「第四項」に改める。  以上の修正案を提出いたします。関連いたしまして、この修正についての條文整理等は、委員長に一任いたしたいと存じます。
  31. 中川幸平

    中川幸平君 只今山下委員から修正動議が出ましたが、全面的に賛成いたします。
  32. 小川友三

    小川友三君 山下委員の案に賛成する者であります。
  33. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 今の山下委員から出されたのは、この前、我々今朝決めましたのと同一内容ですか。
  34. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 同一内容です。
  35. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 十七條、十八條を除く……。
  36. 下條康麿

    委員長下條康麿君) そうです。それでは山下委員修正案に御賛成の方の、挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  37. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 多数と認めます。では山下委員修正通り決定いたしました。  十七條、十八條並び只今山下委員の御提案なつ修正案を除きました他の部分について、採決いたします。他の部分原案通りでよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 下條康麿

    委員長下條康麿君) それでは、この案は修正を以て決定いたしました。
  39. 千田正

    千田正君 緊急動議としまして、水産廳設置法案をこの際、会期も迫つておりますが、政府意向としても速急にやりたいという意向もあるようでありますが、我々漁民の代表といたしましては、今日農民の面においては農地の開放その他において救われておるに拘わらす、漁民は未だに原始時代の拘束そのままに置いておるような現状でありまして、一日も早く水産廳設置して、漁民及び水産方面の福祉に当てたいという希望を持ちますので、この際速急に水産廳設置法案を当委員会に掛けられんことを希望いたす者であります。    〔「緊急動議賛成」と呼ぶ者あり〕
  40. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 今の國家行政組織法案につきまして、多数意見者署名が要りますから、御署名を願いたいと思います。    〔多数意見者署名
  41. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 尚委員長報告は成るべく詳細に傳えますが、これを……。    〔(委員長一任」と呼ぶ者あり〕
  42. 下條康麿

    委員長下條康麿君) それから只今千田委員から御提案なつ水産廳設置法案をこの場合議題にいたしたいと思いますが、如何でありましようか。(「議題とすることに賛成」と呼ぶ者あり)
  43. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ちよつとその前に……今最後に山下委員からの修正は、衆議院と違う点がありますね。
  44. 下條康麿

    委員長下條康麿君) あります。
  45. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 一致しておりませんね。
  46. 下條康麿

    委員長下條康麿君) おりません。
  47. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それで、あなたの折衝された結果は、お見通しはどうでございましようか。その点は先程十七條、十八條のときに問題にされましたね。
  48. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 十七條、十八條は、衆議院と一致したわけです。
  49. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それ以外の所は……。
  50. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 現業関係と総局の関係、それから審議会政令法律にする、それが主な点で、それは大体決算委員長としての見込はあるように聞いておるのです。それ以上は向うでもはつきりしたことは言えないらしいのであります。  それでは水産廳設置法案議題といたしまして、政府説明をお願いいたします。
  51. 平野善治郎

    政府委員平野善治郎君) 水産廳設置法案提案理由を御説明申上げます。  申すまでもなく、戰後日本経済において水産業の占める比重は、著しく増大しており、又將來日本國際國家の一員として、國際社会に加入する暁には、漁業特殊性から鑑みて更にその重要性が加わつて來ると存じます。このために、我が國水産業の基礎を固め、將來発展を期するため、濫獲を防ぎ資源の維持を図りながら、漁場を最高度に利用することが、我が國水産業の進むべき方向であります。このためには、その根抵となるべき資料の整備、即ち科学的調査研究が何よりも必要であります。そしてこれら調査を基としまして水産行政根本方針を決定し、これにより各種漁業科学的技術指導を徹底させる必要があります。  更に日本経済民主化の一環として、農業における農地改革と相俟つて日本漁業民主化の基本をなす漁業権制度改革、及び水産業協同組合制度につきましては目下早急立案中でありますが、とれに伴う企画立案事務複雜多岐でありまして、これら事務所管する部局を整備し、以て漁業民主化を逹成いたしたいと思います。  又終戰後における日本経済中、水産業の占める比重は著しく増大しているに拘わらず、水産に関する事務所管する水産局機構は、誠に貧弱であつて農林省所管事務の中、水産の占める特異性とその重要性の見地から、水産行政を國際的にも國内的にも強力、に推進実施するためには、水産行政所管する部局の長の地位は極めて重要であります。  以上の理由から水産行政機構を強化するため、農林省の外局として水産廳設置することといたしたのであります。  而して水産廳内部部局としましては、漁政生産調査研究の三部を設け、科学技術組織的な取入れと、これに基く生産指導の徹底と、水産業総合的発達改善を図ることといたしたいのであります。  これが本法案提出理由であります。何とぞ愼重御審議の上、速かに御賛同あらんことを切望する次第であります。
  52. 下條康麿

    委員長下條康麿君) どうぞ御質問を願います。
  53. 小川友三

    小川友三君 水産廳設置は全面的に本員は賛同する者でありますが、この法案から見まして、資材、特に網類並びにガソリン類というものが、非常に漁業者不足しておるのであります。それをどのくらい多く配給をする現在の力があるか。又本年中にどのくらいの網類ガソリン類石油類配給する用意がありますか。その予算総額についても、政府委員の御答弁を賜りたいのであります。  特に、この漁業では主に海の漁業を中心とするものであると信じますが、その水産廳組織の中に船舶部もありません。又造船計画部もありません。或いは網を揃える、いわゆる資材を揃える資材部という大きな組織を持たないのに、生産部漁政部調査研究部という三つの部でありまするが、特に船舶はどの部に属しておるのか、造船はどの部に属しておるか、莫大な、或いは何百億の資材を要するところの資材部というのはどこに属しておりますのか、明確な御答弁を賜わり、そうして水産廳発展させたいと思いますが、数字を示し、そうした状態につきましてできる範囲内において納得の行くように御答弁を賜わりたいのであります。  もう一つ、魚は御承知通り鮮度が重大問題でありまして、全國の水産業者は氷を手に入れるのに非常に困難をいたしております。これは魚を闇で流さなければならない状態であるのでありまして、先般東京の魚市場におきましては、一億五千万円前後の闇の調査最高檢察廳で今調査中であると漏れ承つております。その原因が主に氷を闇で買うために、闇でなくては絶対に賣らない、そうした状態でありまするが、この水産廳製氷部にどういう関心を持ち、どういう具体的なるところの政策を実行せんとするか、その実行に当つてどういう具体的設備連絡とをお取りになりつつあるかということにつきまして明確なる御判断を賜わりたいと思います。魚は御承知通り鮮度問題であります。特に夏季におきましては腐敗する魚が非常に多く、収獲したるところの魚の何十%という大きな量が腐敗いたしております。腐敗いたしましてそれが肥料として配給されておるみじめな状態でありますので、氷というものが極めて重大でありますから、この点につきましても全國の漁業者に対する氷の概要を具体的に明確に御答弁を賜わりたいと思います。
  54. 千田正

    千田正君 私は只今小川委員の御質問に対しては誠に意のあるところは分りますけれども、この際條文を主体として御質問、御答弁願いたいと思います。
  55. 平野善治郎

    政府委員平野善治郎君) 只今小川委員からお尋ねがございましたが、第一点は、水産廳設置と同時に、今後網、或いは油その他の資材について、或いは船舶について如何なる考えを持つておるかということでございましたが、これは仰せ通り非常に大切なのでありまして、現在いろいろ不足をいたして困難を告げておることは十分承知しておりますので、これを一日も早く打開しまして、漁業目的逹成に資するようにしたいと存じております。  第二番目は鮮度の問題でございますが、只今相当鮮度の落ちたものが肥料になつておるということは卒直に認める者でありまして、非常にこれは遺憾に存じております。從つて仰せのごとく製氷設備充実のためにいろいろ苦心をして行かなければならない、こういうふうに考えておりますが、細かい数字につきましては水産局長から申上げることにいたします。
  56. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 簡單に補足をいたしまして御説明いたします。資材見通しでございますが、大体漁業に必要なものは燃油とそれから魚網綱関係資材であります。油につきましては、大体現在では需要量の約七割見当は満しておると考えております。尚これにつきましては今後とも増配の懇請を続けておりまして、相当期待し得るものもあると考えております。  それから綿糸につきましては平年需要量が大体八万梱ぐらいありますのに対しまして、約六万梱の配給をいたしております。綿糸も相当ゆつくりして参りまして、最近では綿糸の闇値というものが從來よりも半分に下つた、つまり正規のルートによる網の配給というものが相当殖えておるということであります。ただ問題はマニラ・ロープであります。マニラだけはこれはなかなか急速に回復することはできませんが、これも相当数量近い將來において入り得る見込が付いております。漸次改善するというふうに考えております。  資材の部は私共といたしましては生産部において資材課を設けまして、これによつて担当すると考えております。それから船舶関係でございますが、船舶につきましては、これは造船関係は運輸省の所管でございます。併し漁船関係仕事につきましては、これは漁政部においてこれをやつておるということに考えております。  尚製氷関係は、資金につきまして製氷設備の拡充に優先的に考慮をいたし、復金その他でも特別に製氷設備の枠を取つております。で、相当回復しておりますが、まだ夏場には氷の不足考えられますので、これは先日でございましたか氷の需給規則を出しまして氷を最も必要とするところの、例えば病院用でありますとか、或いは連合軍用でありますとか、漁業用方面について必要に應じて優先的に振り向け得るところの規則を設け、これによつてこういう必要な方面への氷の需給が事欠かないようにいたして参りたいと考えております。その部は大体生産部においてこれを所管いたして参りたいという考えでございます。
  57. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 只今提案理由説明を承わりますと、漁船資材増配とか、それから水産行政根本的科学的改良とか、或いは漁業民主化とか挙げられたようでありますが、勿論これは大変必要なことではございます。併しながら從來も漁村に対しましては漁網や漁油配給がありますし、魚の統制は非常に嚴重に行われて、リンク制も採用しております樣子を見て見ますと、全然國家が放任していたわけではないのであつて、私逹の聞くところによると、こういう仕事農林省の中の一局としてやられていたように思うのでありますが、今行政整理が問題になつておりますこの方向に逆行をいたしまして、大衆課税をしたり、それから價格を引上げたりして、非常に下層階級生活を苦しめております。その大切な財源を使いまして、新らしくこういう水産廳という一廳を設けなければならないのにつきましては、どうしても從來農林省の一局ではなすことができないという、明瞭な、國民に納得して頂ける理由かそこになければならないと思うのでありますが、これにつきまして少し詳しく御説明願うことが一つと、水産廳設置なさいますにつきましては、從來農林省の一局がなさつていた以上に、どれだけ財政支出が膨脹なさいますか、これをお伺いいたします。
  58. 平野善治郎

    政府委員平野善治郎君) 只今深川委員の御質問にお答えいたします。水産廳設置する理由につきましては、只今提案理由で申述べました通りでございますが、全体の國家行政機構をいろいろ縮小改善して大衆負担を軽減する場合において、なぜこういうものを作つたかという御質問でありますが、一面考えますと、そういうふうにも見えるところがありますが、私共といたしましては水産廳を作りまして水産行政を立派にやることによつて大衆消費生活が非常に樂になり、又水産業そのもの発展に資するという考え方から、この法案を提出して御審議を願つておる次第であります。  又第二点の水産廳を実施するために財政的膨脹がどのくらいあるかということにつきましては、これは非常にいろいろなことをやりたいのでございまして、財政的な増加も願わしいのでありますが、現在の我が國経済財政状態を勘案いたしまして、農林省内のいろいろな枠内のやりくりをいたしまして、このために特に財政的な負担は掛らないように配慮をいたしております。
  59. 竹中七郎

    竹中七郎君 この問題は食糧問題と関連しまして非常なる重大法案であり、期限も非常に切羽詰まつておるように承わるのであります。かような点におきまして、どうか逐條審議をやりまして、本日上げて頂くように御配慮を願いたいと、かように思います。
  60. 下條康麿

    委員長下條康麿君) それでは竹中委員の御発言もありましたから、最初に第一條について御質問ございますか。    〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
  61. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 第二條(水産廳所掌事務及び権限)について御質問ございますか。
  62. 山下義信

    山下義信君 第六号に「漁港及び船だまり築造及び修理指導助成に関する事務を処理すること。」という、この第六号のお仕事ですね。これは建設省の方で非常に問題にして、欲しがつておる仕事なのですが、こういう漁港や船だまり等の築造修理などということは、どうも建設省の方の仕事がふさわしいのではないかという御議論もあるようですが、この点の御見解を私は参考のために伺つて置きたいと思います。
  63. 平野善治郎

    政府委員平野善治郎君) 只今山下委員から漁港及び船だまり築造及び修理につきまして、建設省所管にした方がよいのではないかというような御意見でございましたが、只今のところ私共といたしましては、水産業に最も理解があり、又長年これを取扱つておるところの水産廳に扱わせて、この漁港或いは船だまり築造修理をした方が、よりよいのではないかという見解の下から、こうしておる次第であります。
  64. 山下義信

    山下義信君 御説御尤ものようでありますが、水産廳の方でこの築造修理を御管轄なさる方がよいのではないかという、その理由一つ説明願いたいと思います。
  65. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 実情を申上げて御理解頂きたいと考えますが、現在大きな港湾につきましては、これは運輸省が所管をいたしております。大きな港湾でない本当の漁業のみに用います港でありますとか、或いは港以下の小さな船だまり、こういうふうなものは、從來水産局においてやつておるのであります。これはやはり漁業の基地でございます。そこにございますところの漁船の数でありますとか、或いは漁業状態でありますとか、或いは又そこの陸上の水産物の施設でありますとか、そういうような各種のものと睨み合せまして、その漁港築造ということが水産生産を上げるに適するように施設をして参らなければならん。そういうふうな意味合から申しますと、漁港というものは他のいろいろの水産業関係の行政事務と切離すことのできない面が多々あるわけであります。これを一体となつて一つの所で所管する。大きな港でございますれば、これは別に港湾といたしましてすることも差支ないと思います。むしろそういうふうにやりますことが、実情に即し、又水産業発展のためにも必要であると、こういう観点からであります。
  66. 山下義信

    山下義信君 大分わかつて参りましたが、それではもう一つお尋ねをいたします。この法文だけでは、この漁港というものがそんな小さなものか大きなものかということは分つていないのであります。只今の御説明で、小さいということでありますが、築造及び修理指導助成ということを今少し簡單に御明確に願いたい。築造及び修理をする上について、この水産行政の面からその築造修理をする者に適当な助言をする意味で、指導助成というのか。漁港及び船だまり築造及び修理に関する限りは、即ち指導助成というこの名称の下にこの水産廳が所轄するのかということを、明確にして頂こうと思います。ここで明確にして置かないと、この水産廳の所掌事項の中で、漁港及び船だまり築造及び修理に関する限りは水産廳の所掌事項であるということを、本員共がここで賛成をして決議した以上は、將來建設省ができましたときに、漁港及び船だまり築造及び修理に関する限りは、建設省所管であるということを提議された場合に、私共は先に賛成したことを、少くとも私自身といたしましては一貫して行かなければなりませんから、不明瞭なままでは賛成しかねる。お急ぎのこととは思いますが、明確にだけはして置きたいと思いますので、その点をお伺いして置きたいと思います。
  67. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 現在港湾、漁港と申しましても、実際問題として、区別の付きかねる場所も相当沢山あるのであります。そういうふうな問題につきましては、運輸省と連絡をいたしまして、この場所はこれを漁港として農林省でやるか、或いは運輸省でやるかということを相談をいたして参ります。そうして又手分けをして地元の意向も聞きまして処理しております。從來ともこの問題については、何らの問題も起つておりません。むしろ全体といたしまして、非常にこり港湾及び漁港の修築をしなければならん個所が多いのであります。從つて、運輸省の方でもどんどんやる、更に又水産局の方でもどんどんやるということで、両々相俟つて全体的に少しでも漁業関係の基地が完備されるような方向で進んでおるわけであります。摩擦も何も起つておるわけではございません。そうしてこの築造及び修理指導助成に関する事務と申しますのは、現在農林省では、これは縣が漁港及び船だまりの実施計画を立てまして、それに基きまして、水産局の方からそれの指導をし、或いは又それに対する補助金を出す、こういう仕事をやつておるのでありまして、その事柄をここに書きましたわけであります。
  68. 山下義信

    山下義信君 分りました。
  69. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 外に質問がなければ、第三條の内部部局について御質問ございますか……第四條の漁政部、如何ですか……それでは第五條の生産部……。
  70. 千田正

    千田正君 第五條についてちよつと伺いたいと思います。生産部門において漁業資材の割当配給という点を事務としておるようでありますが、この生産に関する指導その他については、水産廳においては、何らその指導或いは生産に対する管理、こういう問題は、取扱わないのであるかということと、從來商工省が殆んどこの漁網綱の資材生産という面に当つてつたのであるが、我々としましては、むしろ水産廳ができた以上は、漁網綱という面だけにおいては、少くとも水産廳所管においてこれを十分に監督或いは配給生産すべきものである、こういうふうに我々は考えるのであります。この点について水産廳設置するに当りまして、生産部としての所管としましては、そういう面においては、どういうふうにお考えになつておるか、この点を一つお伺いいたします。
  71. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 只今千田委員からお話のございましたように、水産廳設置に伴いまして、從來商工省の所管でございましたところの漁網綱等の生産に関する行政事務も、これを移したいということを、私共といたしましては、非常に希望をしたのでございますけれども、これは又多少所管の行政事務を移す問題に相成るわけであります。なかなか面倒な点が多々ございますので、私共といたしましては、これは將來の問題として残しまして、取敢えず現在水産局でやつております事務をやつて行く。そうして出発をして行く。その問題は將來又更に我々の希望を実現するように折衝して参りたいと、さように考えております。
  72. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 第六條調査研究部
  73. 竹中七郎

    竹中七郎君 ちよつと第四條と第六條とに亘りますが、この水産試驗場というのと、水産講習所というのと二つありますが、これは縣営のものや國営のものがあります。縣営のものには水産試驗場には講習所が入るというような形になつておるところもありますが、現在水産講習所というのは相当沢山あるのでありますか。それから水産試驗場というのは相当拡大されるつもりであるのか、講習所、水産試驗場というのは今後どういうふうな方針で行かれるのか、現在の状態はどうであるのか、ちよつとその点をお伺いいたします。
  74. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) この法律水産講習所とございますのは、水産講習所官制に基く第一及び第二の水産講習所を指しておるわけであります。それから水産試驗場、これは將來の問題でございますが、我々といたしましては、水産行政の基礎でありますところの科学的な調査研究、これを非常に重要視しておりますので、この水産試驗場も、その大きな調査研究機関の一翼を担当せしめ、そうして將來、この方面につきましては、水産試驗場の持つておりますところの調査研究施設を大いに動員いたしまして、そうしてこの資料の取纏め、或いは研究の問題、或いは又それに対する研究の成果の普及の問題、こういう方面を担当して参りたいというふうに思つております。
  75. 下條康麿

    委員長下條康麿君) それではあとの七條八條以下十二條まで一括してお尋ねいたしたいと思います。組織の細目、水産駐在所、職員、附則、削除と……。
  76. 山下義信

    山下義信君 第七條水産廳組織の細目というのは、この細目ということはどういう程度を指しておいでになりますか。原案によりますと、農林大臣が定めるということでございますが、外局は課とか係とかいうような俗にいう細目は長官が定めてもよいというのが通則ではないかと思います。もとより大臣が定めて惡いことはありませんが、どうして長官の権限にしないで大臣になさいましたか。この細目という点で長官の権限にしないで、大臣の権限にして置いたという、他の外局の長官の権限と相違する理由を伺つて置きたいと思います。
  77. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) お話のような組織の細目と申しますと、單にこれは私共ではいわゆる課の規定でございまして、分課規程と申しますか、課に関する規定でございますので、水産廳長官がこれを定めることもこれは可能でありますが、ただ、やはり農林省部内の他の部局において行なつておりますところの仕事関係があることもありますので、從つてそういうふうな他の水産廳以外の農林省の内部の他の部局との事務分担の問題もございますので、農林大臣がこれを決めてよいというようにした方が、摩擦がなく適当でないかということで決めましたわけでございます。
  78. 山下義信

    山下義信君 成る程それも一理由であると思いますが、私共外局というものになさるのには、外局の長官に相当な権限を持たせるということが外局のために利益なのであつて、外局になつてもその長官が大した権限がないということでありますれば、内局であつた場合と大同小異である。こういう細目等のことにつきましては、成る程御説のようでありますが、それは長官でもできる筈なんです。農林省の内部の局の所掌事項との関連性を考えて、課の分掌事項を決めるということであるが、長官でそれができないような長官では仕方がない話なんで、長官ではそれは適当でないとかようにお考えになりましたか。これはこういう外局を作りましたときの組織法に関連がありますので、この水産廳におきまして、こういう異例的な措置を認めるということに関連するので、もう一度伺いたいと思います。
  79. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) これは御説御尤もだと考えております。一應その議論審議の際に出たのでございます。併しながら結論といたしましては、やはり農林省内の他の局、例えば総務局或いはその外の局の所管事務とそれから水産廳関係所管事務との間に非常に関連のある事項がございますので、そういうような部分についてはこれはやはり水産廳長官が決めずに、農林大臣が全体の事務の調整を考えながらやつて行くという仕組の方がよかろうということで、最後的にはさようになりました。
  80. 山下義信

    山下義信君 まあ御答弁はそれでもよいのかも分りませんが、私は農林省に限つてこの細目までも大臣でなければならんことに改めた一つの何か御理由があれば承わりたいと、こう申したので……。
  81. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 特別な理由というものはありません。
  82. 山下義信

    山下義信君 それでは長官の権限になさつてもいいというお考えはございますか。
  83. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) これは水産局から申しますれば、むしろ農林大臣が定めることより、水産廳長官が定めますことができますれば、非常に簡便になるというふうに思いますので、これは何も水産局自体としては格別支障はございませんが、やはり農林省全体としての又意見があるかと思いますのと、もう一つは、この基礎になりますところの國家行政組織法というものが、まだはつきり出ておらないわけであります。各法律は不揃いな点がそれぞれあることと思います。從いまして私共といたしましては、將來國家行政組織法ではつきりいたしまして、そうして各省の法制というものが、ちやんと整備せられます場合には、これは特別の理由はないのでございますからして、そのときに整理をするというふうにさせて頂きますれば甚だ結構かと考えます。
  84. 山下義信

    山下義信君 それでよろしうございます。一應念のために申して置きますが、國家行政組織法の方におきましてはどうなるか分りませんが、一應本院で決定いたしましたものとしましては、課以下の細目につきましては、外局の長官がなし得るようになつておるのでありますから……。それから只今の御答弁について、私が揚げ足をとるのではありませんが、農林省の省内の内部部局と睨合せなければ、この水産廳の細目が決め難いということになりますと、外に出す、外局に出すという根本趣意とは非常に違うのでありまして、そういうふうに常に睨み合せをしなければならんということになると、内局に置かなければならん。もう、そう睨み合せなくても、独自の立場でぐんぐんやらせるというのが、言い換えますと外局の趣旨であります。殆んど外局というのは一省に近い力を持たせるということが趣旨であります。私共そう考えるのでありまして、この点政府は適当な機会に御考慮を願いたい。この程度で私は質疑を止めて置きます。
  85. 平野善治郎

    政府委員平野善治郎君) 只今山下委員の再度に亘る有益なる御意見でございまして、実はこうしてございますが、將來できるだけ早い機会にお説のようなふうにするように、十分な考慮を拂いたいと思います。
  86. 山下義信

    山下義信君 大体私は質疑を終了しいのでございますが、水産講習所とか、水産試驗場とかいうようなものに関する官制上のことに関連しての修正というものはどうなつて行きますか、念のために政府にお尋ねして置きたいと思います。
  87. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) これは國家行政組織法が効力を発生するまでの間は、從來通りの、官制で決めましたものは一應その効力があるわけであります。從つて私共といたしましては、試驗場、それから講習所の問題、それにつきましては、本年一杯は一應現行のままといたしまして、その後におきましては、これをそれぞれ新らしい國家行政組織法に基きましての制定をいたして参るつもりでおります。
  88. 山下義信

    山下義信君 私のお尋ねいたしておりますのは、この水産講習所とか或いは、水産試驗場とかというようなものを、この水産廳がこれから初めて所管事項としてやろうというのでは恐らくないのであつて、すでに特定の水産講習所もあり、又特別な水産試驗場等もあつて、それらの官制というものが、他の法令にあるだろうと思う。それで水産廳所管事項としてここへ出て來ることと関連して、その方の修正ということも自然に出て來るのではないかということを尋ねるので、ただ農林省の官制の中で水産局を削るということだけでは、この水産講習所とか、水産試驗場とかを持つて來るというときに、何かその考慮が必要であるかないかというお尋ねをしておるのであります。
  89. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 試驗場なり或いは講習所の方面には、水産局というふうな字はございません。從いまして私共としては、現在のところこれはそのままで差支ないというふうに考えます。
  90. 山下義信

    山下義信君 水産講習所とか、或いは水産試驗場に関する官制は、手許に資料がございませんが、政府只今おつしやつたのでは、つまり農林大臣の所管に属するものという程度になつているものと思います。そうすると初めてここで水産廳設置法の中で、はつきりと所管事項が限定せられるものと、かように承知してよろしいのでありますか。
  91. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) さようでございます。
  92. 山下義信

    山下義信君 尚くどいようで恐縮に存ずるのでありますが、そうすると水産試驗場、水産講習所に関しまする指揮命令は、水産廳長官が今後はする、かように承知してよろしうございますか。尚そうしますと、現在の水産講習所官制、水産試驗場官制の規定がどうなつて來るか、重ねて申しますが、手許に資料がないのでありますが、水産廳長官がこれを管轄する権限を持つことになる、かよう了承してよろしいのでありますか。
  93. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) お話の通りでございまして、農林大臣の管理に属して、その下において水産廳長官がこれを指揮命令して行く、こういう関係になります。
  94. 山下義信

    山下義信君 分りました。
  95. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 先程山下委員から詳細なる発言がございまして、私共もその点は尋ねようと思つておりましたが、もう一度その問題をはつきりさせて置きたいのであります。それは二條と四條とに関係しておる漁港と船だまりの問題、二條の漁港と船だまり築造修理の問題でございますが、私共戰後の水産の復興という観点から、乏しい資材で一元的の計画を立て、一元的に執行するという関係から、こういつた建設事業は建設省に一元すべきであるという主張を持つており、現にこの決算委員会並びに國土計画両委員会で、目下建設省の問題を愼重審議しているのでありますが、その問題であります。港湾局の方をどうするかというような問題、その他の電力開発等の問題は、今の段階ではまだ終局的に解決していない。恐らくこれは行政組織法が出て、そうしてそれが來年の一月一日から実施される、その前に各省全面的に中央機関が問題にされる。その時に我々は根本的にこの問題を扱うつもりでありますが、この漁港及び船だまり築造修理の問題、水産廳としては自分自身で建設力をお持ちになつていないということ、もう一つは、一体漁港、船だまり築造の主体が地方公共團体であるという点から考えて、結局築造及び修理について第一の責任を持つ縣の土木部で実際の仕事をやるのでありますが、將來建設省の方で、港湾一般との関連でこれが問題になつて來る場合、飽くまでこの水産廳で船だまり築造及び修理に関する点は確保しなければ、水産行政はやつて行けないというふうに考えておられるのか。もう一つのやり方があるのじやないか。つまり建設は一元化して、資材と技術、労力を一元化して一元的に計画をやつて行く、但し水産廳としては、やはり漁港なり船だまりに対する築造修理発言権をお持ちになつている。つまりこういうふうに作つてほしい、こういう修理が必要なんだという要求があるという、そういう立場は今後とも確保される必要があるが、果して然らば築造にセメントをどれだけ使つて、どれだけ掘つて、どういうふうな機械を使つてやるということにまで発言権を持つていなければ、水産行政の運営ができんというように考えておられるかどうか。その点一つ拜聽して見たいと思います。
  96. 平野善治郎

    政府委員平野善治郎君) 只今兼岩委員のお尋ねでございましたが、漁港及び船だまり築造及び修理を一元的に建設省の技能に委せて、そうして水産廳はその築造なり修理に対して発言権を持つておつた方がいいのではないか、又將來ともそうする意思があるかというようなお尋ねでございましたが、將來のことはこれは國全体としていろいろな方針が立てられ、変る場合もあろうと思います。要はお説の一端にもございます通り、立派な漁港或いは船だまり築造修理が円滑に行つて、そうして漁業生産に寄與すればいいのでございますから、そういう角度から参りますというと、或いはそういう建設の技能を十分持つているところの省にそれらを委せた方がいいという御議論も非常に傾聽する点が多いと思います。但しここに掲げておりまする漁港及び船だまりの問題は、先程水産局長からお答え申上げました通りに非常に小さいものでありまして、又そのことが漁業をよく理解した者が指導助成の任に当つた方が現在のところではいいのではないかと、こういうふうに考えておるので、只今のところ水産廳がこういうものの所管をいたした方が適当と考えて、御審議を願つておるような次第であります。
  97. 太田敏兄

    太田敏兄君 水産廳の職員の員数についてでありますが、この施行令案の中に事務官、技官の定員が出ておりますが、これは現在の水産局の職員数と比較しまして増しておるのであるか、或いは減つておるのであるか、その点を具体的に伺いたいと思います。又第二は將來はこれに掲げておる員数でいいのであるか、或いに又將來はこれが殖えて來るのであるか。こういつたような新らしい官廳ができます場合は、最初新設当時はできるだけ圧縮した員数を出されまして、そうして漸次こういう必要がある、ああいう必要があるということで以てぽつりぽつりと殖やされて、終いには尨大な員数を掲げるといつたようなことも往々あり勝ちなことでありますので、その点を予めはつきりとお聽きして置きたいと思います。
  98. 平野善治郎

    政府委員平野善治郎君) 只今のお尋ねでありますが、現在の水産局の人員と今度のこの案にあります人員との増減はどうかというお尋ねでございますが、これは現在三百名おりますので、人数においては今度減つておる次第でございます。尚將來どういうふうにして行くかということでございますが、將來とも國家行政の復興につきましては、できるだけ冗員を省きまして、そうして能率を挙げて行きたいという氣持でございますので、できるだけ人員の増加はやりたくない、こういう考えでおりまするが、仕事内容及び水産業の発逹の状況に應じては更に特に考慮が要することがあるかも知れない、こういうふうに考えております。
  99. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 直接條文関係ないと思いますが、いま一つ次官にお尋ねして置きたいのでありますが。終戰後余程改革されては参りましたけれども、官廳、殊に中央官廳では特権官僚の力が非常にまだ多く残つており、又國会においてもそういう面を本当に民主化そうとする力が十分でない点があるのでありますが、今度出来ます水産廳において、その点をどういうふうに実際運用して行こうとされているか。私も官廳技術者として二十二年間、中央並びに地方の第一線及び本部で働いた経驗を持つているのでありますが、官僚化して行く。官僚化して行くという場合は、一つの官廳が折角できましても、それが官僚化して行くという病弊に私は二三の原因があると思います。第一は非常に形式主義であるということ、つまり形式主義であるというと、上の命令がなければ下も動かぬというような動脈硬化的の形になつているということ、それから又官僚化していると、專門家、技術者というものが大いに発展的の意欲を持つてやろうとするにも拘わらず、成功があり失敗がある、失敗があるというと罰せられるけれども、成功しても余り褒められないという官廳の組織、それからそういう組織があつて動脈硬化の形に陷つている。もう一つ法律万能、これは特権官僚の組織從來の日本の長い間の特権官僚の構造に由來するのでありますが、つまり法律を重んずる、魚は余りとつ捕まらなくても、魚は取れるか取れないかという問題よりは、法律條文を守るか守らぬかというような、やはり形式的な形が重んぜられる。これが水産廳の今後の運用の根本問題だろうと思います。つまり形式化しないこと、それから法律條文だけに囚われないということ、そのためには、私は敢て技術者と申しません。政治、経済及び法律等々の本当の專門家を尊重しなければならんと思うのです。この水産廳において專門家を、そうして勿論その專門家の中には水産技術を中心にした水産行政水産を活かすための行政ということがこの官廳の中心であり、そうして官僚的、形式的なことを打破して行くことが必要だと考えるのでありますが、その点について政府委員はどのような決意を持つてこの水産廳設置法案を提出しておられますか。國民はお役所ができるということを喜んでいないのであります。お役所が徒らに大きくなるということ、これは將來インフレの問題と関連して根本的に吟味されていい問題だと考えますが、併しながら私は水産廳設置に大賛成でありますが、併し出來るからには中央官廳の官吏が喜ぶのでなくて國民が喜ぶような官廳でなければいけない。そのためには十分科学技術を尊重して科学技術者を從來の官僚組織の中から解放して、そうして十分能率を挙げて、國民が喜ぶ水産廳が生まれなければいかんと思いますが、ただ徒らに條文を拜見しても、実際にそういう点において十分読み取れんのでありますので、その点何を以て國民が本当に喜ぶのか、どのようにして水産行政を発逹させて行かれるのか。又水産行政を発逹させるにどのような具体的な措置、なかんずく人事行政においてどのような措置を講ぜられるのか、一つその点を明快に御答弁あらんことを願います。
  100. 平野善治郎

    政府委員平野善治郎君) 只今兼岩委員から非常に有益な御発言を得まして、御趣旨は全然政府といたしましても同感でございます。水産廳設置いたしました趣旨は、先程申上げました通り、一面におきましては水産科学技術の滲透、もう一面におきましては日本の水産業民主化という二つの方向を強く進めたい意図で、水産廳設置を希望して御提案申上げたのでございまして、政府の趣旨も全く同樣でございます。併しながら只今お説の通り從來ややもすれば行政機構が官僚化したために、一般の國民大衆なり生産業者が非常に不便や或いは迷惑を被むつたというような事例も今までは往々あるのでありまするが、今回設置を希望しておりまする水産廳におきましては、かかる弊害に陷らないように、どういたしましても根本の問題はこの衝に当る人の問題に帰しますので、お説のようにできるだけ民衆とよく一致できて官僚臭を起すようなものでない者、或いは又多数の科学技術に堪能した人も十分に入れて、お説のような点につきましてもよく考慮を拂いまして、今度の水産廳は昔、間々あつたような御不便を掛けるような水産廳には絶対にしたくないという固い決意を持つておるわけであります。
  101. 下條康麿

    委員長下條康麿君) ちよつとお伺いします。水産廳を設けますにつきまして、費用の増加はどのくらいになりますか。平年並びに昭和二十三年度におきまして今後の経費は……。平年は幾らになりますか。
  102. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 水産廳設置案につきましては、特別の経費の増加はございません。これに伴う直接の予算というのは出しておりませんので、一應既定の経費、予算の範囲内において賄つて行くというふうに考えております。
  103. 下條康麿

    委員長下條康麿君) ちよつと伺いますが、水産廳が拡大するので事務系統の方が相当要るじやないかと思いますが、それで賄えますか。
  104. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 直接要りますのは、長官、次長、三部長ができますので、一級事務官又は技官の定員が要るわけでありますが、これは現在ございます三級の事務官、技官を多少減らしまして、それで経費を振替えまして、したわけでございます。從つて今度の水産廳設置に伴いましての予算の増加は全然ないというわけであります。
  105. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 ちよつとお尋ねして置きますが、この國家行政組織法案通りますと、水産廳設置法案をそれに合せて、食い違いがあつた所は修正をするお考えですか。
  106. 平野善治郎

    政府委員平野善治郎君) 伊達委員のお尋ねでございますが、將來行政組織法が決まりまして食い違いがあつた場合には、その組織法に則りましてこちらも訂正して行きたい。こう考えております。
  107. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 間もなく農林大臣が見えるそうでありますから、ちよつとお待ち願います。
  108. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ちよつと念のためにお伺いしますが、一級事務官はどんなふうな配当になつているのですか。いわゆる事務と技術というような関係はどのような配当になつておりますか。定員に対して……。
  109. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 部長につきましては、施行令の中に部長は一級又は二級の農林事務官又は技官の中から農林大臣がこれを定める。つまりその便宜々々によつてやることになつております。
  110. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 定員はどういうことですか。
  111. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 定員につきましては、長官の定員は、特に施行令の第一條に書いてございます。それから次長の定員につきましては、これは一應第四條の一級官の一人、これがそうであります。それ以外の三人の分につきましては備考を置きまして、農林事務官又は農林技官の二級の定員の中から三人を一級とすることができる。こうう書き方になつております。
  112. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 全く平等なことになつておりますね。技術官と事務官の差別的の待遇は全然ございませんね。
  113. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) ございません。
  114. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 どちらからも採れるようになつておりますが、そうして三名……。
  115. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 部長は三名……。
  116. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 長官と次長は……。
  117. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 長官、次長につきましても、事務官及び技術官というものは全然平等に考えております。
  118. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 了解いたしました。
  119. 千田正

    千田正君 質疑が若し終つたとするならば、討論に入つて、大臣が來てから採決することにいたしますか。
  120. 中川幸平

    中川幸平君 討論の前にちよつと意見一つ申上げたいと思います。総理廳は別といたしまして、各省が外局を拡充強化して外局を設置するということは非常に考えなければならん問題でありまして、私共も常にその問題について愼重に考えているのでありまして、本法案水産行政の面から審議することといたしますならば、これは水産委員会審議すべきであるにも拘わらず各行政機構法案同樣に本委員会に掛けられるゆえんのものは、水産行政の面のみならず、あらゆる面から愼重に審議すべきが本委員会の責務であると考えるのであります。事我が國の水産行政に関する問題でありますから、あながち反対ではありませんが、さような意味合いから党内にもいろいろと話があるのでありますが、今日までこの問題をまだ一回も報告をいたしておらんのでありまして、これを党内に一度諮つて討論に入りたいという考えを持つておるのであります。さようなことにできるかどうか委員長にお尋ねいたす次第であります。
  121. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  122. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 速記を始めて。
  123. 山下義信

    山下義信君 大臣に御出席を求めて質疑いたしたいと思いましたのは、この水産廳設置案に対しまして、申すまでもなく決算委員会といたしましては、できるだけ愼重な態度を持ちたいと考えておるのであります。短時間ではございましたが、愼重審議いたしました。端的に申しましたら、相当難色がありますのが事実でございます。併しながら諸般の情勢下、少くとも私におきましては、できるだけ本日成立を望みたいと思う。この際伺つて置きたいと思いますことは、小さいことでございますが、これから政令でお定めになろうとする施行令の案によりますと、次長をお置きになりますということでございます。尤も御案によりますと、特に必要がある場合においては、置くことができると、こうあるのであつて、絶対に置こうという考えではないようであります。成るべくならば重々段々にならないようにするということが必要で、これは言うまでもないことでありまして、私共この程度の、部長が三名程度の上に次長ということは必要がないのではないかと考えるのであります。成るべくならば、万止むを得ない限りには成るべくお置きにならないような御方針であろうとは存じまするが、この際大臣の御所見を伺つて置きたいと思います。ややもいたしますと、新設の官廳のできまするときに、いわゆる人のために官を設くるということは、万難を排してこれは抑制して頂かなければならんことでございまして、小さいことでございますが、全般の職構にも関係がございますので、その点愼重にやつて頂きますか、御考慮を願えますか、伺いたいと思います。  第二は、漁業権に関する問題でございます。これが、私思うのに、水産廳のお仕事の中の相当重大な面を持つておるのではないかと思う。ややもいたしますと、こういう問題に関連をいたしまして好ましからざる事案が起きますることは言うまでもないことでございます。この点に対しまして、当局とされましては嚴格に、嚴粛に、忌わしいことのないように、これらの行政運営をなされるお考えとは存じまするが、この際大臣の所信を伺つて置きまして、本案可否の資料に供したいと存じます。
  124. 永江一夫

    ○國務大臣(永江一夫君) 非常に時間的に早々の間に水産廳設置につきまする法案につきまして御審議を煩わしまして有難うございました。今お尋ねになりまする二つの点の第一点につきましては、実はお尋ねの御趣旨は十分私も了承できるのでありまするが、一つの構想といたしましては、將來我が國の食糧政策から申しましても、その他の角度から申しましても、水産廳に、將來日本が独立國として新らしいスタートを切りました際においては、一つの独立した省としてその全機能を発揮せしめることがよいのではないか。こういう一つの構想に基いておるのであります。この点は只今御了承になつておりまするように、漁区につきましても可なり制限を受けておるのでありますが、漸く許されまして漁区を越えまして南氷洋漁業の捕鯨の点は二船團の許可を受けておるのでありますが、その他の点は殆んど制約を受けてやつておるのであります。從つてこれらの漁区に関することも將來講和会議以後、日本が可なり自由な立場でやり得るということになりますと、狹隘なる領土を持ちまする我が國が、平和國家として出発いたしまするについては、やはり水産行政というものを担当いたしまする機関は独立した一つの省に発展せしめるということは必ずしも悪い考えではない、こう思つております。その考え方から出発しておりまするので、今回この案を当委員会において御審議を願いまする以前におきまして、いろいろ國会の両院におきまする水産委員会などにおいても、御審議を願いました際において、新たに設置せられまする水産廳の長官は民間の有能な者を以て充てるべしという御意見が附いておりまするように、私といたしましても、この國会の御意見を尊重いたしまして、新たに発足いたしまする水産廳の長官は民間人を以て充てて行きたい、こういうような今心組でおるのであります。從いまして本案が國会を通過いたしまするならば、長官は民間人を以て充てる、從いまして次長はやはり事務的な面におきまして、これを補佐して行くというような意味が非常に付いて参りまするし、前段に申上げましたように、將來これが独立省として許されるような國内的及び國際的な情勢になりました場合も勘案いたしておりまするので、私といたしましては、この構想の下でやりまする範囲におきましては、次長はやはり置いて置くということが妥当ではないか、かように考えておるわけであります。併しながら御心配になつておりますような、何か役人が役所を作りますると無暗に拡張されまして、役所のために役所ができたというような弊害は、御指摘の通りでございまするので、今回のこの水産廳設置につきましても、從來予算を超えざる範囲におきまして操作して、從來予算から増加するようなことは絶対に避けるという閣議の申合せに準じまして、操作を行いまするから、次長ができましても、その結果人件費が増大するというような処置をとらないつもりでおりますから、この点も併せて御了承を願つて置きたいと思うのでございます。  それから第二のお尋ねでありまする点は、成る程漁業権というものがいろいろ問題を随伴しておることでございまして、これを処置いたしまするためには、実は漁業権に関しまする新らしい法律を用意しでおるのであります。それから、それと表裏一体の関係を成しまする漁業協同組合法という二つの法案を私の方で用意をしておりますが、この二つの法案は農村の民主化と同じように、漁村の民主化のためにも必要なことでありまして、関係方面といろいろ折衝をしたのでありますが、漸く昨今に至りまして、事務的な許可を得ることができたのでありまするが、何分にも漁業権を中心としまする新らしい法案にしましても、漁村の民主化につきましての漁業協同組合法案にしましても、相当大規模の法律案でありまして、これを短時聞に御審議を願うということは非常に時間的に無理がございますので、これらのものは次期の國会提案をいたすこととしまして、関係方面の了承を得まして、この漁業権に関しまする新らしい法律と、並びに漁業協同組合に対する二つの法律については、適当な公開の席上で、その内容を明らかにするという了承を得まして、近く発表をいたしたい、かように考えておるのでありまして、從いまして御心配のありまするような新らしい水産廳ができまして、これに附随して起きて参りまする漁業権の処理等につきましては、今申しましたような、新たなる構想によりまする漁業権法の活用によつて、十分過失のないように運営して参りたい、かように考えております。
  125. 小野哲

    ○小野哲君 ちよつと簡單に伺つて置きたいのですが、私遅れて参りましたので、或いは重複した質問をいたして失礼するかも知れませんが、今回水産廳をお作りになります一つ考え方として、漁業権に関する労働問題が相当今後深刻に考えられるのではないか、かように思うのであります。例えば農民組合に対應した漁民組合が各所で発逹しつつあるようにも思われるのでありますが、これらの水産に関する、特に漁民についての労働問題につきまして、この水産廳はどういうふうな所でお取扱いになるか、又政府としては今後これが組合運動としての育成については、どういうふうなお考えを持つておられるか、尚又労働問題であるがために、政府としては労働省に重点を置いて、今後の労働行政を担当させることにお考えになつておられるか、これらの点を伺つて置きたいと思います。
  126. 永江一夫

    ○國務大臣(永江一夫君) 御尤ものお尋ねでありまして、実は漁民のいろいろな労働に関しまする事柄は、船員或いは陸上におきまする一般の労働者の立場と非常に違つておるのでありまして、こらの取扱いについては、可なり行政的に遅れておることはお示しの通りであります。從いまして、今回水産廳が発足をいたします際におきましては、これは特殊的な立場にありまする漁民の諸君の実際の労働問題を取扱う、これら勤労漁民諸君の立場を十分に活かし得るための措置といたしまして、御承知のような水産廳に三部を設けておりますが、漁政部の中でこれを扱つて行きたい、かように考えます。
  127. 小川友三

    小川友三君 時間もありませんので、簡單に大臣にお伺いをいたします。この水産廳設置法案の原則とも言うべき(設置)という第一條でありますが、水産業を振興して、水産物の増産を図るという点であります。予算は要らない、余り要らないで、そうして増産が果して図れるかという問題であります。ペーパープランに終るじやないかと思いまして、ちよつとお伺いいたします。水産廳ができまして、何十パーセントくらいの増産が果して可能見込があるかどうかということを大臣にお伺い申上げるのと、魚は生魚が多いのでございまして、鮮度が極めて大切なものでございます。水産廳ができましたならば、水産行政をどういうふうに具体的にとられるか、それから増産を図る水産物の中には鮮度の問題があり、乾物あり、罐詰等がございますが、これに対して、各種目に対しまして、何%ずつの増産をする具体的計画を大臣はお持ちであるかどうかということを承つて置きたいと思います。
  128. 永江一夫

    ○國務大臣(永江一夫君) 今お尋ねのように、水産廳ができれば何%水産物が増大するかということを数字的に申上げることは困難ではないかと思うのであります。ただ今まで農林省の内局でありました水産局を、各方面の御要望もございまして、これを外局として独立させまして、先程申上げましたような日本の四面海に囲まれておる國柄として、新らしい発足の上においては將來これが水産省として独立省になる目安の上でこういうことをいたしたのでありまして、その目標は大きなところを狙つておるのでありますが、今直ちに局が一つの独立した外局としての水産廳になりましたから、これだけのものが増産になるということは、俄にこの席上でお答えをいたしかねるのでございます。併しながらこの、水産廳設置せられまして、この運営が適切に行われることによりまして、水産行政の面から生産者の各位の協力を得まするならば、可なり増産ができると私は考えております。これは或いは一般の御意見としては、お前の言うことは抽象論ではないかというお叱りを受けるかも分りませんが、一應私共としては本法案の成立によりまして、より多くの増産ができるような可能性を考えて案を提しているのであります。今、魚の鮮度その他についてのお話がございましたが、これらについては從來の統制の仕方にいろいろな欠陷があつたことであろうとも思つております。政府としては御承知のように最近は鯛、その他高級魚につきましては、マル公の枠を撤廃いたしました。尚漸次、水産加工物についてもでき得る限度は撤廃をいたしまして、業者の諸君の最も良心的な最も積極的な協力によりまして、水産業におきまする水産物の増産を図るように指導をして行く、こういう心構えであります。
  129. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 私は質問をここで打切つて直ちに討論に入りたいという動議を提出します。
  130. 太田敏兄

    太田敏兄君 ちよつと一言だけ。戰前日本が世界における有数の、或いは第一等の水産國であつたということは、遠洋漁業の著しい発逹にあつたと思うのでありますが、併し漁民という立場から申しますると、いわゆるこの大資本の漁業者よりも、中小漁業者が圧倒的に多いのであります。ところでこの水産業の発逹という面から申上げましても、政府としても自然さようなことから規模の大きな、大資本の業者に対する施策が重点的になつておりまして、中小業者に対する対策は極めて乏しいような感じもいたすのでありますが、最近商工省におきましても、いわゆる中小企業廳というのが外局になつて発足したというような事情もありまするし、水産局におきましても、特に中小企業に対する何らかの特別なる対策をお立てになつているかということを一言お伺いしたい。
  131. 永江一夫

    ○國務大臣(永江一夫君) 勿論大企業のみの立場を考え從來やつたわけ点ではありませんが、ややともすると、そういう印象を與えておつたかも分りません。先程お答えの中で申上げて置きましたが、いろいろ水産の面におきましては、直接漁業に当ります勤労漁民諸君の立場を非常に強くするということが、生産の上に非常に重要であるという考え方から、漁業協同組合と同じアイディアにおきまして、漁業組合の法規を先程申上げますような大体原案ができ上つたのであります。この考え方と同じようにしまして、ただ大きな業者を擁護するという考えはありませんが、遠洋漁業等についてはどうしても大きな資本を必要といたします。そういうために今お尋ねのような疑点が出ておるのではないか。併しながら沿岸漁業につきましても、政府におきましてはそういうような片手落ちの措置はしないつもりであります。
  132. 下條康麿

    委員長下條康麿君) それでは質疑は終つたものとして討論に移つてよろしうございますか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  133. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 御異議ないと認めます。
  134. 千田正

    千田正君 只今提案になつておる水産廳設置法案内容を檢討したのでありますが、我々といたしましては誠に画龍点睛を欠く点も一、二ありますけれども、先程大臣のおつしやつたように、これは將來の日本の水産業発展のために、又日本の生産の一面を担当するところの廳としての発足という点から考えまして、不滿な点は、例えば漁網綱の製造管理その他の配給について商工省に讓つておる、又漁船の建造のことについては運輸省に讓つておる者等は、誠に水産廳設置としては不滿な点が多々ありますけれども、併し一歩前進して日本の水産業界のために新らしく発足する意味において私は賛成したいと思います。
  135. 中川幸平

    中川幸平君 各省が少し重要な局を競つて拡充強化して外局を拵えるということについては、余程愼重に審議をせんければならんというのが、本委員会の一致した意見でありましたのであります。時によりますと政府が責任逃れに、水産行政を強力にやるという表看板で水産廳を拵えるというようなことになりましては、誠にその業界の人逹の期待外れになるのであります。從つてこれらの点について関心を持ち審議をせんければならんのでありますが、我が國の最も重要なる水産行政に関する問題でありますので、この法案に対しまして民主自由党を代表いたしまして賛成いたす次第であります。
  136. 小川友三

    小川友三君 水産廳設置法案に対しましてはむしろ遅きに失するものがある、水産日本に対してもう少し早く出すべきだつたと思います。とにかく遅蒔きながらここに提案された、然るにこの設置法案は大臣御承知通り曖昧の点が沢山ありますので、増産という点に拍車を掛けて頂くという点を注文いたしまして、原案に滿腔の敬意を表し、賛成いたします。
  137. 小野哲

    ○小野哲君 緑風会を代表いたしまして本案に対して賛意を表します。
  138. 竹中七郎

    竹中七郎君 民主党を代表いたしまして賛成いたします。
  139. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 討論は終結したと認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 異議ないと認めまして、討論は終結いたしました。それでは水産廳設置法案について採決いたします。御賛成の方の挙手を願います。    〔総員挙手
  141. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 全員一致と認めます。よつて水産廳設置法案原案通り可決されました。順次報告書に御署名を願います。委員長報告は適当にいたしますからお委せ願います。    〔多数意見者署名
  142. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 本日はこれにて散会いたします。    午後三時十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     下條 康麿君    理事            太田 敏兄君            中川 幸平君            伊達源一郎君    委員            岩崎正三郎君            北村 一男君            西山 龜七君            竹中 七郎君            谷口弥三郎君            平野善治郎君            深川タマヱ君            小野  哲君            駒井 藤平君            鈴木 憲一君            山下 義信君            玉置吉之丞君            兼岩 傳一君            千田  正君            小川 友三君   國務大臣    農 林 大 臣 永江 一夫君   政府委員    総理廳事務官    (行政調査部次    長)      前田 克己君    総理廳事務官    (行政調査部勤    務)      佐藤  功君    農林政務次官  平野善治郎君    農林事務官    (水産局長)  藤田  巖君