○
政府委員(荒船清一君) それでは唯今から運輸省
所管各會計の
昭和二十一
年度に於ける
決算の
概要に就きまして御
説明申上げたいと存じます。
先ず一
般會計より順次申上げます。
昭和二十一
年度運輸省
所管一
般會計歳出の
豫算額は
經常部、
臨時部を
合計致しまして二十八億二千百三十一
萬餘圓でありますが、これに前
年度からの繰越額と
豫備金及び
經濟安定費からの
支出額を加えました
豫算現額は三十億四千百三十五
萬餘圓となるのであります。之に對しまして
支出濟額は、二十九億五千九百四十二
萬餘圓でありまして、之を
豫算現額に比較致しますと、八千百九十三
萬餘圓の
減少と
なつて居ります。此の内一千五十六
萬餘圓は
財政法第四十二條によ
つて翌
年度に繰越したものでありまして、殘餘の七千百三十六
萬餘圓が不用と
なつた
金額であります。これは主として實行上
豫定の
費額までを要しなかつたためであります。
次に帝國鉄道鐵道會計の
昭和二十一
年度決算に就いて御
説明申上げます。先ず資本勘定に就いて申上げますと、資本勘定の
歳入豫定額は五十一億四千二百五十八
萬餘圓でありまして、これに對しまして、
收入濟額は五十億八千九百三十五
萬餘圓でありますから、
差引五千三百二十三
萬餘圓の減收と
なつて居ります。これは主として公債金
特別會計よりの受入及び地方鐵道及軌道會社よりの納付金が
豫定よりも少か
つたのに因るのであります。又
歳出の
豫算額は五十一億三千七百二十五
萬餘圓でありまして、これに前
年度から繰越した
金額を加えました
豫算現額は五十二億九百十八
萬餘圓となるのであります。これに對しまして
支出濟額は四十五億八千五百三十三
萬餘圓でありますから、
差引六億二千三百八十五
萬餘圓の
減少と
なつて居ります。此の内五億六千八百四十八
萬餘圓は國有鐵道事業
特別會計法附則第五條及び
財政法第四十二條によ
つて、翌
年度に繰越したものでありまして、殘餘の五千五百三十六
萬餘圓が不用と
なつた
金額であります。これは主として實行上
豫定の
費額迄を要しなか
つたのに因るのであります。尚資本勘定の收支計算の結果を申上げますと、資本勘定の
收入濟額は五十億八千九百三十五
萬餘圓、又
支出濟額は四十五億八千五百三十三
萬餘圓でありまして、
差引五億四百二
萬餘圓の
收入超過を生じましたので、これに前
年度からの繰越資金六千九百六十五
萬餘圓を加えました五億七千三百六十七
萬餘圓が本
年度の殘餘資金でありま
す。右殘餘資金のうち八
萬餘圓は地方鐵道及軌道における納付金等に關する法律第二條により地方鐵道及軌道特別資金として積立てた
金額でありまして、殘餘の五億七千三百五十九
萬餘圓は、前記
積立金とともに、國有鐵道事業
特別會計法第三條によりこれを翌
年度の資産に組入れまして、本
年度資本勘定の
決算を了したのでしります。
次に、用品勘定について申上げます。用品勘定の
歳入豫算額は七十五億七千五百三十四
萬餘圓でありまして、これに對しまして
收入濟額は五十三億六千七百八十二
萬餘圓でありますから、
差引二十二億七百五十二
萬餘圓の減收と
なつて居ります。これは主として用品賣拂代等の
收入が
豫定よりも少か
つたのに因るのであります。又
歳出豫算額は七十五億七千五百三十四
萬餘圓でありまして、これは
豫算現額も同額でありますが、これに對しまして、
支出濟額は五十九億六千四百七十三
萬餘圓でありますから
差引十六億千六十一
萬餘圓の
減少と
なつて居ります。之は全額不用と
なつた
金額でありまして、主として實行上
豫定の
費額迄を要しなか
つたのに因るのであります。尚用品勘定の收支計算の結果を申上げますと、用品勘定の
收入濟額は五十三億六千七百八十二
萬餘圓でありまして、これに本
年度の
收入未
濟額一億十三
萬餘圓、前
年度より繰越した
支出未
濟額七千三
萬餘圓、本
年度の前拂金未精算額七千八百七十三
萬餘圓、翌
年度に繰越した物品の債務十七億四千三百二十一
萬餘圓を加えました
收入の
合計は七十三億五千九百九十三
萬餘圓となります。これに對しまして、
支出濟額は五十九億六千四百七十三
萬餘圓でありまして、これに本
年度の
支出未
濟額七億六千五百五十八
萬餘圓、前
年度より繰越した
收入未済額二千百七十二
萬餘圓、前
年度より繰越した前拂金未精算額二千七百二十六
萬餘圓、前
年度より繰越した物品の價格三億二千二百六十三
萬餘圓を加えました
支出の
合計は七十一億百九十四
萬餘圓となりますから、
差引二億五千七百九十八
萬餘圓の利益を生じましたので、この利益金は特有資本に加算致しまして、本
年度用品勘定の
決算を了したのであります。尚本
年度末における鐵道資本総額の内用品資金に屬する額は十二億七百
萬圓であります。
最後に、收益勘定について申上げます。收益勘定の
歳入豫算額は一百十一億二千五百三十九
萬餘圓でありまして、これに對しまして
收入濟額は一百九億三千六百八十七
萬餘圓でありますから、
差引一億八千八百五十二
萬餘圓の減收と
なつて居ります。旅客
收入が
豫定より多か
つたのに、尚このような減收を見ましたのは主として
連絡運輸
收入及び借入金の
收入が
豫定より少か
つたのに因るのであります。又
歳出豫算額は一百十一億二千五百三十九
萬餘圓でありまして、これは
豫算現額も同額でありますが、これに對しまして
支出濟額は一百四億千二百四十七
萬餘圓でありますから、
差引七億千二百九十二
萬餘圓の
減少と
なつて居ります。この内四億三千九百三十三
萬餘圓は國有鐵道事業
特別會計法附則第五條によ
つて翌
年度に繰越したものでありまして、殘餘の二億七千三百五十九
萬餘圓が不用と
なつた
金額であります。これは主として實行上
豫定の
費額迄を要しなか
つたのに因るのであります。尚收益勘定の收支計算の結果を申上げますと、
收入濟額は一百九億三千六百八十七
萬餘圓、
支出濟額は一百四億千二百四十七
萬餘圓でありまして、
差引五億二千四百三十七
萬餘圓の
收入超過を生じました。而して右の
收入濟額の内四十二億四百六十
萬圓は、
昭和二十一年法律第五十五號により借入れた
金額で、又四億五十四
萬餘圓は、
昭和二十一年
勅令第百十一號及び同年
勅令第百八十號により
昭和二十
年度において借入れたものの内、同
年度の
歳入剰餘金として
昭和二十一
年度の
歳入金に繰入れられた
金額であります。尚
収入超過金は國有鐵道事業
特別會計法第三條により、これを翌
年度の資産に組入れまして、本
年度収益勘定の
決算を了したのであります。
以上は揮輸省
所管昭和二十一
年度一
般會計歳出及び帝國鐵道會計
歳入歳出の
決算の
概要でありますが、その詳細につきましては、御手許に差上げてあります書類に依りまして御了承を願いたいと存じます。
次に、今まで申し上げました各會計の
決算に關しまして
會計檢査院の
檢査報告に擧げられました
批難事項について申し上げたいと存じます。
昭和二十一
年度決算に對しまする
會計檢査院の
批難事項は、運輸省において
取扱つた一
般會計歳入において
歳入金を受託工事の運轉資金に流用するなど
措置當を得ないもの一件、一
般會計歳出において經理上の
措置特に當を失しているもの一件、帝國鐵道
特別會計歳入において用品勘定の過剰金を資本勘定の
歳入に繰り入れなかつたもの一件、
收入未濟
多額に上るもの一件、
歳入金の徴収
措置よろしきを得ないもの一件、調定未濟
多額に上るもの一件、物品費拂
代金を物資
購入資金として流用しているもの一件、帝國鐵道
特別會計歳出において
豫算の
目的外に
經費を使用したもの一件、不急で而も
割當のない統制品を大量
購入したるもの一件、物件の
購入に當り
措置よろしきを得ないもの一件、食糧増産のため
豫算に認られた以上に
多額の
經費を使用したもの一件、一
般會計及帝國鐵道會計を通じて計十一件であります。
以下順次にこれらの
批難事項に對する當省の
説明の要旨を申し上げます。先ず一
般會計から申し上げます。運輸省において
取扱つた一
般會計歳入に關しまする運輸建設本部の
臨時部第二款臨時雜
收入の
歳入金を受託工事の運轉資金に流用するなど
措置當を得ないということであります。
會計檢査院の批難の要旨は、運輸建設本部は
昭和二十一年
勅令第五十一號の規定により、一般の委託を受け工事を
施行するもので、
事務費を除き工事費を
歳入歳出外で經理する建前であるが、その經理
實情は
昭和二十二年十一月會計實地檢査
當時、
昭和二十一
年度の
歳入歳出外現金出納計算書もまだできていないものもあるし、一
般會計歳入に納付すべき委者からの納付金及び
特殊物件の賣拂代等約二千四百
萬圓はこれを
歳入に納付せず、そのまま保有して受託工事の運轉資金に流用するなど會計法規に違反する
事項又は不當と認められる
事項があつたというのであります。これに對まして當省と致しましては、運輸建設本部戰時中地下施設の建設のため、鐵道技術陣を以て構成組織された運輸省地下建設本部と舊海軍施設部が合體して、
終戰後における民間業界の工事體制、能力の混亂、弱體に對處して急速な戰災の復舊、戰後の復興を圖る目的を以て
昭和二十一年一月
勅令第五十一號によ
つて匆々として創設せられたものでありまして、組織そのものにも諸般の關係において不備の點なしとしなか
つたのであります。特にその創設が
昭和二十一
年度開始直前であつたため、
豫算を編成する準備の暇なく、
事務費の一部のみを
歳出豫算として掲上し、工事費其の他大部分の
經費は
歳入歳出外として經理する建前をとつたため、その運用竝びに整備に遺憾の點が多か
つたのであります。
昭和二十一
年度は
只今申上げましたように運輸建設本部は設立匆々のため、
事務態勢が完備しないままで緊急受託工事の實施を要請せられ、その施工工事費は豫納金に頼る外なく出納官吏の
支拂に際しては
調査確認に手間取るものが多く、自然
事務が常に錯綜し、これの
整理に相當苦心する
状況でありまして出納計算書の作成も可なり遲延したもので誠に遺憾であります。併しその後
昭和二十二年十二月までには未提出の分も提出し、一切の
事務處理を終了したのであります。運輸建設本部の會計
事務は、
勅令第五十一號第三條及第四條に基いて運輸建設本部會計
事務取扱細則を制定してこれが
處理に努力して來たのでありますが、前に申述べました
通り受託工事の多くがその急速なる實施を要するために、收支の
事實が
事務處理に先行する結果となりまして、その
整理乃至
決算が遲れ、延いては工事全體の
決算も完全を期し得なかつたもので、目下著々複式簿記法を採用して、企業的採算の
實情を明確にするよう努力中であります。尚又
勅令第五十一號第三條は委託者より
事務施行の費用に充つべき資金を
國庫に納付せしめることと
なつているのでありますが、すべての工事費は當
年度受託工事の工事費を綜合
決算した後でなければ
事務費として
支出した
經費相當額を決定することが困難で、而もこの
事務費中には一
般會計豫算より
支出する
經費と歳外會計で
支出した
經費とがありまして、
國庫に納付すべきものは前者相當額であります。
從つて國庫への納付金は
年度末を俟たねば決定しかねるため、これを他の工事費と共に歳外會計として受領したものでありまして、その後
決算の確定と共に納付金も決定致しまして、
昭和二十二年九月までに全額一千三百五十八萬一千九百六十六圓五十四錢を
納付濟であります。又運輸建設本部の
特殊物件處理につきましては、數量的には
整理しているのでありますが、その價格について關係地方廳よりの指示が遲れたため、帳簿を完全に整備し得なかつたもので其の後逐次關係地方廳より價格決定を受けつつあるので順次明快な
整理をいたして居るのであります。併し
昭和二十二
年度歳入豫算に一千
萬圓を計上せられた關係もあ
つて、
昭和二十二年九月までに取敢えず内金の意味において
特殊物件收入四百
萬圓を調定收納し、殘額六百
萬圓も
昭和二十二
年度末までに完納したのであります。
次に、一
般會計歳出に關しまする中央氣象臺の
臨時部第一款一般費より
支出の
經費支拂方法等が經理上の
措置特に當を失しているということであります。
會計檢査院批難の第一の要旨は中央氣象臺で
昭和二十一年六月杉素材千石の
購入において納入の能否について十分
調査することなく、現品は直ちに完納したものとして書類を整え契約直後代價の全額を
支拂つているが、實際は二十二年二月及同年七月にその一部を納入したのみで、殘餘は結局履行不能に陷り、
會計檢査院の注意により
昭和二十二年十月契約を解除し、未納品の代價相當額を
返納させ又
昭和二十一年三月板硝子二百箱代價七
萬圓の
購入についても、同様に完納したものとして
昭和二十一年四月全額を
支拂つているが、その後全く納入なく
會計檢査院の注意により二十二年十月契約を解除し、代價相當額を
返納させたもので
經費の
支拂方法について不法であるというのであります。これに對しまして、當省と致しましては杉素材
購入の件は
終戰後急速に復興用木材の必要な際であり、永年出入の加藤某よりの申出で且つ現品の檢分も了したので、確實にに納入あるものと信じ、且つ
代金は前金渡でなければ
購入困難な状態でもあ
つたので、前渡ししたものであるが、現品の盗難等の事故のため
會計檢査院より注意される結果となり、誠に遺憾であります。その後未納部分については契約を解除し、この部分に對する
支拂濟額の代價は二十二年十一月四日
歳入として徴収濟であります。又板硝子
購入の件は價格も低廉であり
當時契約者木村組とは別途工事請負契約中でもあ
つたので、
現物は直ちに納入するものと信じ且つ
當時は前金渡でなければ
購入困難の状態でもあ
つたので、前渡したのであるが、その後契約者が刑事
事件で拘禁せられる等の事故のため、
會計檢査院より注意される結果となり誠に遺憾であります。その後木村組とは契約を解除し、
支拂濟の代價は二十二年十月二十九日
歳入として徴収濟であります。
次に第二の要旨は、中央氣象臺で
昭和二十年四月株式会社實組に請負わせた鐵筋コンクリート造暗號書庫新築工事が空襲等によ
つて意のごとく進捗しない内に
終戰となり、僅かに基礎工事を
施行したのみで一時中絶していたところ、その後同年八月右契約の設計變更をなし、既濟の基礎工事を利用することなく別箇所に木造平家建を新築することとし、その請負代價は當初契約價格をそのまま踏襲し、結局前の基礎工事費を
差引いた殘高の範囲で木造倉庫の新築を圖つたが、殆んど著工の有無を疑わしめるような
状況であ
つたののに、二十
年度完成したもののように書類を整え代價全額を
支出しその小切手をそのまま保管していた。二十一
年度に至りたまたま從業員用炊事場等を設備する必要があ
つたので、その模様替工事に便乘し、併せて二十
年度工事遲延の未完成木造倉庫の工事費
不足を補いこの工事を施工したものと認められるというのであります。これに對しまして當省と致しましては、暗號書庫新營工事に關する
本件は基礎工事
施行後
終戰となり、その必要もなくな
つたので、一時工事を中止したが、一般書庫及倉庫は絶対に必要であ
つたのと、その後經濟
事情激變により物價騰貴のため、鐵筋コンクリート造りから木造平家建に變更の餘儀なきに至り、次いで食堂炊事室及從業員の控室と醫務室員の宿直室の必要を生じ、本倉庫の一部を模様替をなす等、種々工事が錯綜したのであるが、時節柄業者においても資材難その他のため工事遲延のものを生じ、
會計檢査院より注意を受けるように
なつたもので、世情の激變に伴う各種の
事情にも因るとはいいながら、誠に遺憾であります。
次に第三の要旨は、中央氣象臺で
昭和二十一
年度内完成又は納入濟のものを
豫算額を顧慮することなく、無計畫な經理をした結果
豫算に
不足を來し、二十二
年度の
豫算で
支拂つたものが夕汐丸修理外十件及び各種用紙類等五十萬三千五百五十三圓あり、又同臺復興部總務係長運輸
事務官阿部濤司が、同部保管の板硝子二箱を勝手に市中に運び出し、その賣却
代金三千圓を著服したり不法不當の
措置が多いというのであります。これに對しまして、當省と致しましては
本件工事の
施行又は物品の
購入は元來
昭和二十一
年度の要請に基く
支出ではなく、
昭和二十二
年度早々必要なものにつき、その準備を手配せしめたものであるが、誤
つて昭和二十一
年度内にその
手續きが進められ
會計檢査院より注意される結果となり誠に遺憾であります。尚又運輸
事務官阿部濤司の不正
事件については、物品保管出納に對する監視不行届に因るもので誠に遺憾でありますが、同人よりは持出硝子の賣却代價三千圓を辨償金として
昭和二十二年十月二十八日
歳入に納付せしめた外、その行爲につき懲戒
委員會の議決に付し、
昭和二十二年九月四日懲戒免官にしたのであります。以上のことは中央氣象臺に於て戰時中より事業第一主義に重點をおいた結果、會計諸法規輕視の惰性が未だに殘り、加えてその業務が時に豫め準備するの暇なく、急速實施を要請せられるものがありましたために、經理上その
措置特に當を失するもとが生じましたもので誠に遺憾であります。併し
檢査報告に掲載の
通り、
昭和二十
年度決算檢査報告に
指摘せられながら尚重ねて
昭和二十一
年度においてもこのような
事態を惹起するに至りましたことについては、
事實は
昭和二十
年度決算に對する
會計檢査院の實施檢査の行われた時すでにこれらの
事項は主として實施濟のものであ
つたのであります。併しながらかかる事故は偏えに責務者竝びに
監督者の不行届に因るもので、
將來を戒めるため、關係者をそれぞれの參畫の程度に應じ處罰したる外、
會計檢査院からの注意もありましたので、人事を全般的に異動いたしまして、今後この
種事故の再發防止に
萬全を期しつつあるのであります。
次に、帝國鐵道
特別會計について申し上げます。帝國鐵道
特別會計歳入に關しまする第一の問題は、用品勘定の過剰金を資本勘定の
歳入に繰り入れなかつたものがあるというのであります。
會計檢査院の批難の要旨は、運輸省で
昭和二十一
年度用品勘定の
決算上生じた過剰金二億五千七百九十八萬九千六十六圓を、帝國鐵道會計法第六條第二項によ
つて同
年度の資本勘定の
歳入に繰入れなければならないのに、これをしていないというのであります。これに對しまして當省と致しましては、
本件は帝國鐵道會計規則第十二條第三號による繰入期日の二十二年五月三十一日に至
つても會計制度の
改正その他の理由により、
決算上の資料が整備されなかつたため、止むを得ず繰入れしなか
つたのであります。その後七月に至り過剰金が確定しましたので、帝國鐵道會計規則第十七條第三項の規定によ
つて、同過剰金を特有資本に加えて、
決算を完了したものでありますが、誠に遺憾であります。尚
責任者に對しては注意致して置きました。
次に第二の問題は、用品勘定の
歳入において
收入未濟
多額に上るものがあるというのであります。
會計檢査院の批難の要旨は、運輸省で
昭和二十一
年度の用品勘定の
收入未
濟額が一億十三萬一千百四十二圓あり、概ね委託調辨物品代、修繕料等であるが、その
代金の
徴收には相當期間があり、又委託調辨の
取扱は
代金の完納後受託調辨品の引渡をなすべきものに、そうしなかつたというのであります。これに對しまして當省と致しましては、
本件は
會計檢査院の
檢査報告の
通り遺憾でありますので、
昭和二十二
年度からに官公署以外の分に對しては、豫納金を
徴收することに改めて、このようなことがないように注意いたします。尚
責任者に對しては、相當處分に付しました。
次に第三の問題は、收益勘定において運輸
收入の
歳入金の
徴收措置よろしきを得ないものがあるというのであります。
會計檢査院の批難の要旨は、運輸省で
昭和二十一
年度に日本通運株式會社から收納すべき後納運賃は、會社經理應急
措置法による棚上額を除いて、二十一年八月十一日から二十二年二月末日までの分として総額三億五千三百二十九萬五千五百九十七圓あるが、この内
年度内に收納濟とな
つたのは一億五千八百二十五萬九千九百七十八圓で殘額一億九千五百三萬五千六百十八圓は
年度内に
收入未濟とな
つたのは不當の
措置である。尚この殘額は二十二年七月までに收納したが、二十二年三月から九月までの運賃の総額十七億七千四百八十一萬一千九百七十三圓に對し、二十二年十月末現在で十億三千八百三十三萬四千三百九十圓、十一月二十日現在で五億四千九百三萬二千七百十二圓の
收入未濟がある。その外、地方鐵道及び軌道における二十一
年度の
連絡運輸の收支で、省の受取勘定は二十二年一月までの分八千九百九十三萬三千三百六十九圓に對し
年度末において三千九百九十四萬三百九十九圓收納未濟があるというのであります。これに對しまして當省と致しましては、日本通運株式會社の後納運賃の納付遲延の防止については、省は日通本社と協議の上
昭和二十二年十月分から從來各支社が
所管各支店の分を取り纒め、各鐵道局に納付していたものを、各地支店から直接各鐵道局、管理部又は驛に納付させることに改めましたので、納付は促進され、
昭和二十二年九月までの運賃未納額五億四千九百三萬二千七百十二圓は、翌年二月十一日までに全額
納付濟であります。尚今後このような遲延を生じないように注意いたします。又地方鐵道及び軌道の
連絡運輸收支で、省の受取勘定と
なつている
昭和二十二年一月までの分で、同
年度内に收納未濟のもの三千九百九十四萬三百九十九圓中には、特別經理會社に屬するもの四百十九萬七千九百六十二圓を含んでおり、これを除いた三千五百七十四萬二千四百二十七圓は、その後運賃の値上や督促の結果、大部分は納入されまして、二十三年三月十五日現在で二百五十一萬百五十圓の殘額を生じていますが、
昭和二十三年二月一日
連絡運輸契約書を改訂し、所定の期日までに債務不履行の場合は、延滯償金を
徴收することとし、極力督促中であります。尚
責任者に對しては注意して置きました。
次に第四の問題は、用品勘定の
歳入の調定未濟
多額に上るものがあるというのであります。
會計檢査院の批難の要旨は、運輸省で
昭和二十一
年度に用品勘定から資本、收益兩勘定に拂出した貯藏物品の賣拂代、用品修繕料及び電力料の内、五千九百一萬二千八百三十六圓は
年度内に用品勘定への振替
整理ができなかつたため、右
金額の調定未濟を生じ、同
金額を用品勘定の
缺損としているというのであります。これに對しまして當省といたしましては、
昭和二十一
年度における用品勘定の
決算整理については、新會計制度への移り變りと輸送中の事故等によりまして、貯臓物品費拂代、用品修繕料及び電力料の
決算資料の
報告書類が著しく提出遲延し、所定の期日まで調定に立てることができなか
つたのであります。而も
本件振替未濟
金額は新會計制度においては振替
整理の方法が取れなかつたため、
昭和二十一
年度の用品勘定
缺損として
整理したものであります。その後
調査の結果
本件振替未
濟額は七千百九十四萬四千五百三十七圓が正當であり該當額は
昭和二十二
年度に用品勘定の用品
收入として計上したのであります。尚
責任者に對しては注意して置きました。
次に第五の問題は、用品勘定
歳入において物品賣拂
代金を物資
購入資金として流用しているものがあるというのであります。
會計檢査院の批難の要旨は、運輸省で
昭和二十一年七月戰災
職員に賣却するため、蚊帳及び
布團を價額九十七萬七千八十九圓で東京鐵道局總務部勞働課
職員生活相談所に引渡したが、
本件物品は業務用物品として
購入したものであるから、
職員救濟用に賣拂
つたのは不當である。尚同相談所では前記物品賣拂
代金を二十一年十二月までに
徴收濟であるのに
歳入に納付せず、同所で物資
購入資金に流用している。殊に同相談所においては、二十一年十一月から二十二年二月までの間に疊表、砂糖、軍服などの
購入契約をなし、その手附金として四十五萬五千圓を業者に交付し、現品納入がないため手附金の
返納方を交渉したが、十四
萬餘圓の外は未だ
返納されていないのは不當の
措置であり、その外同相談所では二十一年十二月同所勤務運輸
事務官黒岩某が、
職員に
配給用の麻布二十反を業者に十二萬五千圓で闇賣し、その内一萬百四十二圓を
歳入に納付し、その差額を著服費消し、又二十二年二月引揚軍屬に無償で
配給するため引渡を受けた航空服五百着を單價二百五十圓で戰災者に賣却して、同所の物資
購入資金に流用している。尚二十一年七月現場
職員へ貸與の地下足袋二千足を隅田川用品庫から引渡を受け、貸與資格のない一般
職員に單價四十圓で賣却して同所の物資
購入資金に流用しているというのであります。これに對しまして、當省と致しましては、
職員生活相談所は、戰災
職員中困窮特に著しい者及びその家族を應急救濟し、業務能率増進に専念させる目的を以て、二十一年六月に發足したものでありますが、本事業の目的達成上止むを得ず業務用物品の一部を同相談所を通じて、該當
職員に拂下げたのであります。而して各人から集金した
代金は、
歳入に收納未濟でありましたので、二十二
年度未までには
囘收する
豫定でありましたが種々の都合によりまして二十三年五月十七日に
國庫に收納しました。又疊表、砂糖、軍服等の
購入契約による手附金の殘額三十一萬五千圓は、そのうち二萬二千圓を
囘收し、同
金額は二十三年三月二十七日
國庫に收納し、殘餘の分は二十二
年度未までには
囘收する
豫定でありましたが、種々の都合により二十三年五月十七日に
國庫に收納しました。その外同相談所に於ける
配給用麻布に關しての運輸
事務官黒岩某は、
本件發覚以前の
昭和二十二年八月十日一身上の都合により退職しました。尚本人は、東京検察廳で取調中でありますから、右裁定を待
つて差額を
處理いたします。又航空服五百着に對する
代金は、
事務處理上種々遲延し、
昭和二十三年一月二十日
國庫に納付しました。尚、又地下足袋二千足に對する
代金も
事務處理上遲延し、
昭和二十三年一月二十日
國庫に
納付濟であります。
本件責任者に對しては相當處分に付しました。
次に、帝國鐵道
特別會計歳出に關しまする第一の問題は、収益勘定
歳出において
豫算の
目的外に
經費を使用したものがあるというのであります。
會計檢査院の批難の要旨は、東京鐵道局で管内
職員講買會が、
昭和二十年十二月から二十二年三月に至る間に運用資金として鐵道共濟組合から
總額二百六十七萬五千二百二十五圓の借入をしたのに對する利息金を、事業費で二十一
年度に二萬五千八百二十圓、二十二
年度に二萬六千二百三十三圓
支拂つているが、本利息金は會員が自ら負擔すべきで國費を以て
豫算を
目的外に使用したのは違法であるというのであります。これに對しまして當省と致しましては、
本件は
當時の情勢上忍び難い
實情があつたため省費負擔としたのでありますが、
檢査報告の
通り會員の負擔とすべきものでありますから、すでに國費支辨とした利息金五萬二千五十三圓については、
國庫に納付させました。尚
責任者に對しては相當處分に付しました。
次に第二の問題は、用品勘定
歳出で不急で而も
割當のない統制品を大量
購入したものがあるというのであります。
會計檢査院の批難の要旨は、東京鐵道局で
昭和二十一
年度中、不急で
割當のない統制品を大量
購入し、又は製作請負に付し、その大部分を長期間退藏し、又は他に賣却し、
豫算の使用不當のものが八百七十二萬四千六百九十一圓あるが、そのうち第一の繃帶地外三點の代價三百九十二萬五千二百圓は、急速に調達の必要があるとして、二十一年四月三囘に亙り、栃木縣西那須野町中島某から正規の
手續によらず數口又は二十數口に分割し、主務課長決裁で即金拂により闇價格で
購入し、二十一年九月から十二月の間に漸く受入
手續を終え、同期間内に拂出したように
整理しているが、
事實は二十二年二月頃まで隅田川用品庫流山派出所に在庫していたものであ
つて、この内綿帆布の外は現品保轉受した大宮工機部では、二十二年十月現在で半數以上を貯藏しているのによ
つても、急速大量に調達の必要があつたとは認められない。又その内第二の
布團二萬七千四百十九枚の
購入又は製作請負
金額四百七十九萬九千四百九十一圓は、東鐵管内戰災驛區等の宿直用寝具として前號同様急速調達の必要があるとして、
京都市小栗某外八名から、本來一契約のものを数日に分割し、主務課長決裁で即金拂により
購入したものであるが、二十
年度すでに大量
購入しているので、別途調達の毛布三萬三千五十二枚を加えれば東鐵管内全
職員數約十萬人分よりも多いので、著しく過大の調達である。尚前項調達の
布團中一萬四千四枚は、二十一
年度中東鐵
職員生活相談所を通じて
職員に賣却し、二十二
年度には前
年度繰越しの内七千五百枚を鐵道弘濟會に賣却しているのに徴して、二十一
年度中は
布團の
購入又は製作は全然必要がなかつたものと認められる。即金拂の制度は、戰時中即決即金でなければ容易に必需の事業用品が入手できなかつたため臨時分擔繰替拂出納官吏に資金を交付して
購入させたもので、
終戰に伴い當然廢止すべきに拘わらず繼續し、東京鐵道局では二十
年度五千七百九萬八千三百九十七圓、二十一
年度二千十八萬一千六百二十圓の即金拂をしている。
終戰後一時即金拂を繼續する必要があるとしても、二十
年度の
檢査報告でも
指摘した
通り、
本件のように
一定の計畫もなく、急需に名を借りて不急の物品を
割當のないのに大量調達するのは、即金拂制度の濫用で
豫算の使用當を得たものでなく、又その外同鐵道局において二十
年度に即金拂で二十年十二月三協工業社から航空機用時計二百二十個を十三萬二千圓で
購入し、その大部分は一年餘を經過後
會計檢査院の注意により拂出しの
整理をし、又二十一年二月小佐野某から眞綿チヨツキ三千二百枚を十九萬二千圓で
購入し、その大部分は二十二年十二月まで退藏しているというのであります。これに對しまして當省と致しましては、第一の物品は醫療用應急品であ
つて、驛區等の現場各個所にも常備して置かなければ、その目的が達せられないものであるが、戰時中から
割當が少く、手持は皆無の状態であ
つたので、急速に常備する必要に迫られ、止むを得ず即金拂の方法によ
つて購入したものであります。
購入に際しましては、從來の實績を参考とし需給計畫を建つべきでありましたが、これらの資料は殆んど燒失していたため、現場からの請求
通り拂出したことが
本件のような結果とな
つたのでありまして、誠に遺憾であります。その後
實情に即應するよう
配給することとしました。
本件についての
責任者に對しては相當處分濟であります。
第二の、東京鐵遭局において二十一
年度に
布團二萬七千四百十九枚の調達をしたことは、
當時の情勢では
將來の入手見込が立たなか
つたので、第一と同様即金拂扱いで
購入しましたが、
購入當時における需給計畫及びその後の
措置が適切でなかつたことは遺憾であります。即金拂の
取扱については、
昭和二十
年度檢査報告において批難されましたので、東京鐵道局においては、二十二
年度は即金拂扱で物品を
購入しないこととしました。又その外、同鐵道局において二十
年度に
購入した航空機用時計は、
檢査報告通り二十二年三月までに拂出
整理し、又眞綿チヨツキ三千二百枚は、二十二年十二月以降各管理部に拂出
整理しました。第二についても
當時の
責任者に對してはそれぞれ處分濟であります。
次に第三の問題は、用品勘定の
歳出において物件の
購入に當り
措置よろしきを得ないものがあるというのであります。
會計檢査院の批難の要旨は、廣島鐵道局で大阪市大阪航運株式會社から、亜鉛メツキ鋼板九千六百枚を
購入し、代價四十七萬四百圓を
昭和二十一年五月封鎖拂をしたものとして證明しているが、
事實は同年七月から十二月までの間に、アキラ産業社外三者から同種品を五千五百九十五枚
購入した代價三十五萬一百圓と封鎖拂として證明した四十七萬四百圓の小切手の割引手數料である十二萬三百圓とに充當したものである。これは雨期までに二萬枚の鋼板が必要のため、同局施設部員は、大阪航運会社から前記物品九千六百枚の
購入契約をなし、
代金引換條件のため、取敢えず現品は四月三十日受領濟のものとして、
支拂要求の
手續をなし、これに對して繰替拂出納官吏は五月三日四十七萬四百圓の封鎖小切手を發行したものである。然るに同社には現品が無かつたことが判明し、係員が現品調達に奔走中、六月二十日の
金融緊急措置令の
改正に伴い、五月振出の右小切手は、業者が事業資金としては受取らなく
なつたため、日銀廣島支店の了解を得て同小切手の振出目附を七月六日に書き換え、割引手數料十二萬三百圓で三十五萬一百圓を現金化して大阪市アキラ産業社外三者から當初
購入豫定九千六百枚に對し、五千五百九十五枚を入手し得たものであ
つて不當の
措置であるというのであります。これに對しまして、當省と致しましては、廣島鐵道局管内において、戰災及び未曾有の大暴風雨による被害諸施設の急速な復舊整備の完遂に邁進しつつあつた際、雨期までに最小限度二萬枚の鋼板を急速調達する必要に迫られたので、關係係員が何よりも先ず迅速に現品を獲得することをあせつたため、
本件のような結果と
なつたことは遺憾であります。併し
當時市場において封鎖拂で
購入するとすれば、鋼板一枚當りの單價は百圓から百二十圓位の相場でありまして、これに比べまして
本件において
最後にアキラ産業外三者から
購入した五千五百九十五枚は割引手數料十二萬三百圓を含めて、一枚當りの單價は八十四圓であります。而してこれらは屋根材として直ちに
建物復舊に活用されています。市場の物資需給關係が順次平常に復しつつある今日では、このようなことは起らないと思われますが、今後は十分注意いたします。尚この
責任者に對しては、相當處分に付しました。
次に第四の問題は、食糧増産のため
豫算に認められた以上に
多額の
經費を使用したものがあるというのであります。
會計檢査院の批難の要旨は、運輸省で
昭和二十一
年度に食糧増産のため事業費で一億一千百十七萬九千百九十三圓
支出しているが、その内食糧増産のための
豫算は事業費中厚生費で一千七十六萬七百九十七圓で、厚生費
豫算の
超過決算額九千九百五十七萬五千五百七十八圓は他からの流用により、又事業費中補充費で八十四萬二千八百五十八圓
支拂つたのは全く
豫算に積算されていなかつたものであ
つて、結局
豫算額の十倍餘の
經費を使用しているのは、その
措置甚だしく當を缺いている。殊に食糧増産用として三十一萬五千八百十圓で用地買收をしているが、用地買收は本項
豫算に全く積算がないものである。尚二十一
年度食糧増産の實績は良好でなく、生産物の賣拂
代金一千八十五萬八千四十九圓は共濟組合物資部に積み立て、随時これを使用しているのは、法律に根據なく特別の資金を保有しているもので違法である。その外門司鐵道局で二十
年度及び二十一
年度において、下關地方建設部に委託した熊本縣菊池郡黒石原外四ヶ所の増産用地の開墾費、百五萬八千六百六十二圓を資本勘定鐵道改良費で支辨しているのは、本項
豫算に積算のないもので、
豫算を
目的外に使用したものである。尚この開墾面積五十一町七段餘の中、十五町六段餘は未使用のまま放置してある。又運輸省で二十一
年度に用品勘定用品及び工作費で一千一百八十五萬八千八百六十六圓を以て寝具、蚊帳及び被服等を
購入し、概ね
購入價格の三分の一程度の値引をして、戰災
職員に賣却したものがあるが、これは國の負擔で
現物給與をしたもので、本項
豫算に積算がなく、
豫算を
目的外に使用したものであるというのであります。これに對しまして、當省といたしましては、收益勘定の事業費中厚生費で食糧増産のため認められた
豫算一千七十六萬七百五十七圓は、單に農耕
器具及び種苗代のみを計上したもので、その他の物件費や人件費は一般
經費の節約によ
つて充當することとしたため、食糧増産關係
經費の
決算額を
超過したものであります。併しながら、
本件用地を事業費支辨で買收したのは遺憾であります。又生産物の賣拂代については創業早々のため實績が挙がらなか
つたのでありますが、二十二
年度は同年十二月末すでに三千
萬圓を突破し、好轉しつつあります。尚この賣拂
代金の
處理方については善處いたします。又増産用農地の開墾費を改良費で支辨したことにつきましては、食糧増産事業の
經費は、
昭和二十
年度においては各項
豫算の節以下を節約使用することとし、二十一
年度においては收益
豫定の事業費中厚生費で至辨すべきでありましたが、
本件工事が二十
年度からの繰越工事である
關係上、鐵道改良費で差支ないと誤認したのと、本工事の本屬科目である前記厚生費の
豫算の配布が
年度途中であつたため、會計制度
改正による
事務輻湊等により遂に
年度末までに科目更正の
手續ができずそのままに
なつたことは甚だ遺憾であります。今後は
豫算上の正當科目で支辨することといたします。尚現在末使用の内黒石原第二農場の十町餘は、地味が悪く、酸性も強く直ちに耕作するには適當でないので、暫く風化させるため使用していないのであります。又その他の未使用地は、それぞれ有効適切に使用すべく努力しております。又二十一
年度用品勘定
歳出の用品及び工作費で
購入した寝具その他については
會計檢査院の
檢査報告の
通りで遺憾でありますので、
昭和二十二年十二月一日から國有鐵道共濟組合規則を
改正し、同組合から災害見舞金を
職員に支給することとしました。なお
當時の
責任者に對しては相當處分に付し、又は注意いたしておりました。
以上を以ちまして
昭和二十一
年度決算に關しまする
會計檢査院の
批難事項について、その
概要説明を終ることといたします。
次に、
昭和二十二度といたしまして、
會計檢査院より
概要説明のあつた
事項について申上げます。
昭和二十二
年度國有鐵道事業
特別會計歳出において通行税の納付を遲延したものがあるというのであります。
會計檢査院の是正要求の要旨は、運輸省において
昭和二十二年四月から九月までに旅客から
徴收の通行税一億五千七百四十九萬三千八百十二圓を一
般會計の
歳入に納付していなか
つたので、同年十月の會計實地檢査の際注意し、十一月までに完納させたのであるが、又その外二十一年三月から二十二年三月までに
徴收した通行税についても二ヶ月乃至六ヶ月遲延しているというのであります。これに對しまして當省といたしましては、
本件は會計
檢査報告の
通りでありましたが、その後これが適時納付について、關係者に對し注意を喚起し順調に納付されるに至
つたのであります。
次に、
會計檢査院の
檢査報告に擧げられました法令、制度又は行政に關する改善意見の
事項について申上げます。
會計檢査院から運輸大臣あて意見を表示し、處置を要求されましたものは、運輸建設本部の經理に關する件についてであります。
會計檢査院の改善意見の要旨は運輸建設本部は運輸省の一部局でありながら獨立して
特殊物件を保有し、委託により工事を
施行するという異例な制度の下に、
一定の資金もなく、その受託工事に關する計算を
歳入歳出外で經理しているため、經理上種種不當な
事項があり、又この種工事の請負業者の工事引受態勢もすでに整備されている現在では局部の解體につき、具體的檢討を加え、保有する資材等を適宜の
措置を取るように、二十二年十一月要求したが、まだ具體的
措置が取られていないというのであります。これに對しまして當省といたしましては、運輸建設本部の制度の内容乃至これが存廢について檢査中のところ、漸く本年五月十四日閣議で運輸建設本部を建設院に移管するについて、次のようなことが了解
事項として決定されたのであります。
第一としまして、建設院に移管する人員については、
昭和二十一年
勅令第五十一號によるもの及び一
般會計支辨の雇傭人とし、その外に現存同部内に勤務し、鐵道事業
特別會計で支辨されている運輸省
職員を建設省兼務の形式でそのまま引繼ぐこととなるのであります。
第二に現在の運輸建設本部は、一應建設省設置法案の規定によ
つて、本
年度中に限
つて、各官職及び公共團體等の
所管に屬する、土木建設工事を受託し
施行する建前でありますが、これについてはその機能を十分活用させるため、國鐵を始めその他の諸官廳も從來
通り極力工事の委託について、協力することとなるのであります。
第三に運輸建設本部の經營については、二十四
年度以降から根本的に改變せざるを得ない
状況でありますから、これが
豫算的
措置につきましては、別途善處するよう
大藏省その他の各省で協議することとなるのであります。以上によりまして、運輸建設本部は運輸省から離れ建設院に合流して建設省となるのであります。尚兩部が現在持
つております技術資材等も、現状のまま建設院に引繼がれて、これが活用を圖ることとなるのであります。以上が運輸建設本部の移管することにつきましての
説明であります。
次に、
昭和二十一
年度決算に關しまして
會計檢査院の
決算未確認となりましたものについて申し添えたいと存じます。
昭和二十一
年度決算に關し
會計檢査院が檢査未確認といたしましたものは帝国鐵道會計におきまして、資本勘定
歳入鐵道建設費の外四項であります。又この
外昭和二十
年度以前の
決算で今尚
會計檢査院で未確認と
なつておりますものが、帝國鐵道會計の用品勘定
歳出、用品及び工作費において、一項あります。これらはいずれも當省におきましての
調査に相
當時日を要しておりまする結果であります。
以上を以ちまして
昭和二十一
年度決算概要の
説明を終りたいと思います。何とぞよろしく御決議の程御願い申上げます。