運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1948-06-04 第2回国会 参議院 決算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月四日(金曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件 ○中小企業廳設置法案内閣提出、衆  議院送付) ○昭和二十一年度歳入歳内総決算(内  閣提出) ○昭和二十一年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○特殊財産資金歳入歳出決算内閣提  出)  (大藏省所管)   —————————————    午前十時四十七分
  2. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 只今から決算委員会を開きます。速記を止めて頂きます。    〔速記中止
  3. 下條康麿

    委員長下條康麿君) それでは速記を始めて……。  只今から中小企業廳設置法案を議題にいたします。すでに質疑が終つておりますから直ちに討論に入ります。御意見のある方はお述べを願います。
  4. 山下義信

    山下義信君 本員は本法案に対しまして次の修正の動議を提出いたします。修正の点は五点でございまして、以下修正案並びに理由簡單に申上げます。  第一点は第三條第一項第二号を次のように改める。「中小企業者の申請に基いてその経営状況を審査し、必要な指示をし、その発展協力すること。」理由原案の「調査及び診断」は、官吏が権力を以て業者を強制する印象を與える字句につき、これを「審査」と改め「必要な指示をすると。」は業者の「発展協力すること。」を目的とすることを明らかにする。「協力」の語句には「拘束しない」意味を持つておる。修正案原案内容を少しも失わしめることなくして、これをよりよき表現に改めるものである。  修正の第二点は、第三條第二項を次のように改めようとするものであります。「中小企業廳中小企業関係ある問題又は國会提出される政府議案につき予め意見を徴せられ、また意見提出することができる。」理由簡單に申上げます。中小企業関係ある経済問題の調査研究は、第三條全般亘つて当然行い得ることであり、特に明文を要しませ又経済問題と限定せずして、「中小企業関係ある問題」、例えば労働問題、社会問題等につきましても、意見発言機会を與えようとするものであります。「國会提出される議案」を「國会提出される政府議案」としましたのは、國会提出される議案には、議員提出議案もありまするから、これを省くためであります。「予め意見を徴せられ」と加えましたのは、政府行政措置及び議案國会提出の事前に発言機会を與えようとするものであります。  修正の第三点は、第四條中「指導局」とありまするのを「協力局」と改めるというのであります。理由は、戰時中に行われました官僚の命令的指導を嫌忌いたします國民の感情を考慮したものであります。  修正の第四点は、第五條第一項を次のように改めようとするものであります。「中小企業廳事務を行うため、中小企業廳に百人以内の職員を置く。」理由は、定員を法律で定め、機構の厖大化と冗員の設置を防止しようとするためであります。  修正の第五点は、第五條第二項を次のように改めようとするものであります。「前項職員の中、少くとも三分の一は、中小企業に関し学識経驗ある者の中から、これを命ずる。」理由は、原案の「一部」では不明でありまして、少なくとも三分の一は民間の経驗者を採用すべき輿論の希望を容れたものでございます。何卒御賛成を賜わりとう存じます。
  5. 太田敏兄

    太田敏兄君 社会党としましては只今修正案賛成いたします。尚この際一言申上げて置きたいことは、最近國家行政組織法案が提案されておりまするが、これは單に基本的なものでありまして、その全貌は明らかに示されていないのであります。そうした際に、この中小企業廳設置法案を初めといたしまして、各種新官廳組織法案が次々と踵を接して現われておるのであります。それ等の各法案について、何らの統一も順序もなく審議しなければならんということは、甚だ遺憾であると思うのであります。私は、他日それらの各種官廳職法案は、一括して審議することが然るべきであると思うのであります。又中小企業廳設置法案につきましても、先頃小委員会相当議論のあつたということは皆様も御承知通りでありまするが、この際我が社会党といたしましては、現下中小企業振興重要性に鑑みまして、特に本案成立のために賛成するものであるということを附加えて申上げておきたいと思うのであります。
  6. 西山龜七

    西山龜七君 中小工業振興は、過去の実例よりいたしまして、日本再建の中枢をなすものでありまして、これが育成発展には、商工省におきまして、積極的且つ強力な施策を講じて、業界不振の根源を是正すべきが、商工省本來の使命でないかと思うのであります。従つて私は現下業界の窮状の打開と、その強い要望を充すべく、企業振興を図り得る内容を備えた組織を切望するものであります。然るに本法案内容を檢討いたしますると、業界の強い要望を充し得るものでなく、この程度のものであれば、外局の廳とするだけの價値なく、省内の行政整理によりまして、十分なし得るものと信ずるものであります。特に現在はあらゆる方面行政整理を断行して、窮迫せる國情を打開せんとする時に、政府においては行政整理に関連いたしまして、眞に中小企業発展を期し、経営健全化に必要なる諸条件を実行し得る制度組織を以て、法案の再提出要望するのでありまして、私はこの法案に対しましては、反対するものであります。
  7. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 外に御発言ございませんでしようか。
  8. 小川友三

    小川友三君 只今山下委員修正案と、この修正せられたところの原案に対しまして、中小企業者を擁護する点において賛成いたします。
  9. 竹中七郎

    竹中七郎君 民主党といたしまして一言いたします。中小企業廳設置に対しましては、いろいろ批判はありますけれども、現在の中小企業者立場考えまして、この修正案は私は妥当なるものと思いまして、賛成いたします。
  10. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 外に御発言がなければ、討論は終結したものと認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 下條康麿

    委員長下條康麿君) それでは討論は終つたものとして、採決に移ります。それでは採決いたします。先ず山下委員提出修正案について、御賛成の方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  12. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 多数と認めます。今の修正案は成立いたしました。  次に、今決まりました修正案を除いた、衆議院においての修正を加えた原案に御賛成の方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  13. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 多数と認めます。よつて修正を加えてこの原案は可決せられたものと認めます。それではどうぞ多数意見者の御署名を願います。    〔多数意見者署名
  14. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 尚、本会議における委員長の報告は、委員長にお任せを願いたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 御異議ないと認めます。それでは昨日に引続きまして、昭和二十一年度歳入歳出決算大藏省残り、昨日主税局長に対する御質疑の答弁が残つております。それから特殊物件説明もまだできておりません。それから特別会計の分はまだ残つております。これらにつきまして引続き御質疑をお願いいたします。私は本会議の方へ参りますから、委員長の席を山下理事に譲ります。    〔委員長退席理事山下義信委員長腰に着く〕
  16. 山下義信

    理事山下義信君) 委員長の代理をいたします。
  17. 忠佐市

    説明員忠佐市君) 主税局監理第一課長です。主税局長只今非常にお忙がしい御用務で、外の方へお出でになつておられますので、一應昨日深川委員から御質問がありました点につきまして、概要お答えを申上げることを、お許し願いたいと思います。尚補足いたすべき点につきましては、主税局長のお見えの際、更に御質疑をお願いできましたら好都合と存じます。質問の要旨をよそから承りましたので、多少十分でない点がございますかも知れませんが、第一の問題は、税務職員待遇問題につきまして、お話がありましたことと承りました。この点につきましは、非常に御理解ある態度を以ちまして、税務官吏待遇をお考え下さいますことは、私共非常に敬服いたし、且つ感謝いたします次第でございます。現在の税務職員待遇は、御承知通り十分でございませんで、從来の議会、それから最近國会が開設いたされましてから、常々御理解ある態度を以て臨んで下すつておりますことでございますが、特に昨年以來、この待遇問題が非常に問題になつておりまして、いろいろの対策を講じましたが、その一つといたしましては、税務職員に対してだけ、特別に税務調査、或いは檢査、滞納の整理等に從事いたしました場合には、特別の手当を支給するというような、前例のない措置を講じて頂きましたのでございます。その他今回行われようといたしております官吏給與につきましての職階制度につきましては、税務官吏について特別の職階制を設けまして、一般官吏と特段な待遇を與えるというようなことを着々進行中でございます。この点につきましては、警察関係官吏税務関係官吏と、その特別職階の点につきまして、少くとも差異のない待遇を與えられるものであることを私共只今確信いたしておる次第でございます。職階につきまして、特別職階を施行いたしまして、從來不十分であつた待遇改善する点以外に、執務の面におきまする税務官職廳舎施設等、万般につきましても、相当改善をいたしまして、税務職員の私生活のみならず、執務の際におけるいろいろな関係につきましても、予算の許す限り、できるだけ改善いたして参りたい。かような考えを持つて進んでおります。尚、御質問の際には、待遇改善その他に関連いたしまして、争議につきましての御見解が披瀝されたことと承つておりますが、御承知のように、税務職員は、非現業の官吏でございますので、争議は一應禁止されておるということになつております。但し争議行爲であるのか、争議行爲でないのかというような際どい問題が起ります場合におきましては、争議類似行爲が或いは行われる可能性はあると考えられます。そういう場合におきましては、納税者側が非常に迷惑でありますし、それから少くとも現在或いは近い将來における財政收支の面における租税重要性考えますと、國庫に至大の支障を及ぼすということは、これは言うまでもないことでございまして、この方面につきましては、十分対策を必要とすると考えておる次第でございますが、まだ具体的にこれを外部に表すような方策といたしましては、これから早急に実現するように努力するというような段階にございます。それで、この待遇の点と並行いたしますのは、納税者財産上の利害に、非常に重要な関係のある税務官吏といたしまして、十分の素養を持ち、経驗を持つという、その質的な面の向上の点にあると思います。それで、その質的の面の向上と、待遇改善その他の面がマツチいたしまして、実現いたさせました場合には、執務体制相当改善いたされまして、只今のような御懸念の問題が自然的に解消するものというような考えを持つております。  それからその次の問題といたしましては、納税成績を挙げるために、集金の制度を設けてはどうかという意味の御質疑であつたと存じますが、昨年納税組合に対する補助金を廃止することと、それから納税組合の預金に対する免税を廃止することにつきまして、納税施設法改正が行われたのでございますが、自然発生的に納税組合が依然存続しておりまして、この納税組合に、自発的納税のために、貯蓄或いは取纏め納税というようなことをいたして頂きますので、大いに税務官廳といたしましては、期待いたしておる次第でございまして、特に本年一月乃至三、四月頃の納税状況に顧みまして、本年は、各納税者の人々が、常々納税資金を蓄積して頂くということにつきまして、この納税組合制度を活用して頂くようにお願いしたいというようなつもりでございます。税務職員をして税金を集金させるという制度につきましては、現金の保管、管理の点その他につきまして相当研究を要する問題がございますので。これを早急に実現するということにつきましては多少難点があるように考えております。  次に申告納税成績はどうかという点につきまして御質疑があつたと承つておりますが、昨年は御承知のように六月に行われました第一回の申告成績は非常に不成績であつたということを申上げざるを得ない状況でございまして、その後確定申告相当期待を掛けまして、宣傳その他税法説明等十分努力をいたすつもりでございましたが確定申告の数字にはさして期待する程度成績は挙つておりません。從いまして大多数の納税者につきまして、更正決定というような政府決定の形を取らざるを得ない状況に立ち至りましたのでございますがこの昨年度の苦い経驗に鑑みまして、昭和二十三年分につきましては、相当申告の面に重点を置いて、納税者と共に健全財政を打立てることにつきまして、一段の努力をいたしたい、まあかような構想の下に只今準備をいたしております。成るべく納税者の良心的な申告によりまして大部分申告納税が行われる、それによりまして相当税額が、成べく早めに國庫に收納いたされまして、健全財政趣旨が、年間を通じてばかりでなく、時期的にも適合するようにいたしたいと、まあかような考えでございまして、尚、参議院並び衆議院を中核とする租税完納運動本部におきましても御協力を願いまして、本年七月に行われます第一回の予定申告につきましては、納税者の十分なる御理解の下に、申告納税趣旨を十分に挙げ得るような施策を講ずるようにいたしたいと、まあ考えておる次第でございます。  尚、次に現在の租税負担は、相当重いようであるが、これが軽減についての御質疑がございましたと承つておりますが、間もなく國会税制改正に関する法律案が提案される段階に立至つておりまするのですが、その要点につきましては、所得税におきまして基礎控除、それから扶養控除相当大幅に引上げますと共に、税率を引下げまして、相当負担軽減を図る。特に俸給等によつて生活をいたしております給與所得者につきましては、給與所得特別控除という控除相当大幅に引上げまして、更に負担軽減を図る、まあ、かような考え準備を進めております。内容につきましては、その一、二の点を申上げますと、先般開かれました税制調査懇談会に提案いたしました案によりますると、所得金額年額十万円の俸給生活者につきましては、現在の税額年額三万二千円を超えておりますが、改正案によりますと、昭和二十三年分で一万四千円ということにいたしております。それから営業その他の事業所得について申上げますと、年所得が十万円の場合は、現在税法によりますと税額が四万円でございますが、昭和二十三年分の改正税法にまする税額は二万一千円程度、かように相当大幅の減税を盛込んでおるような次第でございます。この詳細につきましては、いずれ税制改正案が本院に上程されることに相成ると思いますので、その際に讓らして頂きたいと考えます。  更に納税融資の問題につきましても御質疑がございましたそうでございますが、現在の租税機能といたしましては、これはインフレーシヨンを抑制するというような観点からいたしまして操作をいたしておりますので、納税融資によつて置き換えることになりますると、只今考えておりまする租税機能の一面が全然損われてしまうというような観点からいたしまして、納税のためにする融資ということは只今余り取上げないという方針でございます。ただ事業資金融資が必要である場合において、事業資金として融資が行われるという面があるかと思いますのですが、この点につきましては先程申上げましたように、納税のために融資を特に図つて行くということにつきましては、現在の経済情勢からいたしまして、非常に困難であるということに相成つております。このことにつきましても御了承をお願いしたいと考えます。
  18. 山下義信

    理事山下義信君) 建設院総裁官房会計課長から特殊物件の件についての説明があります。
  19. 澁江操一

    政府委員澁江操一君) 特殊物件に関しましての檢査報告内容に出ております批難事項に関連しまして、一應御説明をいたしたいと思います。実は特殊物件に関する事務は旧内務省におきまして総括的に取扱つてつたのでございますが、その解体後即ち本年一月から建設院でその事務取扱つておりますので、その事務を所管いたしております建設院といたしまして、御説明を申上げたいと思います。  この特殊物件取扱に関しまして、檢査報告に現われております批難事項は、相当多数に上つておりますので、これについては誠に遺憾に存じておりますが、一應総括的に出ております、その第一章第一節歳入歳出決算の第三の特殊事項中の特殊物件の項に挙がつております檢査報告の御意見に対しまして、私共の立場を御説明申上げて御了解を得たいと思います。尚詳細の点につきましては、それぞれ御質疑等によりまして、補足さして頂きたいとかように考えております。  先ずその第一点といたしまして挙げられております問題は、特殊物件府縣その他の公共團体無償で讓渡交付したという点でございます。これにつきましては実は特殊物件の実務を取扱つております府縣の手違い、或いは地方財政困窮等に原因いたしておるものが大部分でございまして、従いまして建設院といたしましては、今後の問題としては、これを十分に是正して行くように努めております。尚、会計檢査院で御指摘なつております中には、終戰直後、旧陸海軍から放出されましたいわゆる放出物件の問題も含まれておるのでございまして、この放出物件につきましては、正式返還のいわゆる特殊物件に準ずる取扱行政的措置といたしまして行なつておるのでございます。これが取扱については、多少事情が異つておるものがあるということを御了承願いたいと思うのであります。  その次の第二点は鉄鋼類等の賣拂い價格終戰時公定價格といたしまして、これによりまして受けました代金の一部を、價格安定資金を設定いたしました点についてでございますが、実は御承知通り昭和二十一年の三月に物價統制令に基きまして價格差益処理規則、これは大藏省令でございますが、これが制定せられまして、公定價格の改定の結果、統制團体が得る差益の二分の一を國庫に納付せしめまして、残り二分の一を價格平衡資金として、公定價格を低位に維持するために運用して行くという措置を採つたのでございますが、特殊物件でございましたこの鉄鋼非鉄金属、或いは皮革等につきましても、同様の趣旨に基きまして、こういつたような方法を講じたのでございます。その結果こういう措置を採りましたことによりまして、生み出しました差益が、事実上價格安定のために使用されたことは事実でございますが、そのために國庫に納入さるべき金額が減少し、或いはその納入が延引いたしましたことは語に遺憾に存じておる次第でございます。  その次の第三点は、廃兵器類を一括いたしまして、兵器処理委員会拂下げをいたした点でございます。実は全國各地に散在しております廃兵器類解体、処理いたしますには、これは全國的な組織を持つており、且つ技術的経驗を有する有力業者にその協力を得ることが必要だと考えておりましたので、この関係につきましては、司令部勧奨等もございましたので、かかる措置を採つた次第でございます。兵器処理委員会は本年の二月までに約百三十万トンの廃兵器類を処理いたしまして、手持として二月末に約四十四万トンの鉄スラップを保有しておりまして、これが年年度鉄鋼生産の原料として、相当大きい纏つた給源を成しておるような状況にございます。  次は第四点といたしまして、この放出物件代金取扱についてでございますが、放出物件は先程申上げました通り、旧陸海軍から都道府縣等に無償、或いは有償で引渡しをした物件でござまして、國内法上は一應所有権地方公共團体に移つておると考えておるのでございますが、その後、昭和二十一年一月以降におきましては、地方廳の手許に残つておりますものは、正式返還特殊物件に準じまして処分をいたしました。代金は全部地方廳に收納せしめた上に、会計檢査院の御指摘の直接費、或いは間接費を差引いたものを特殊物件収入として國庫に納入せしめておるような事情でございます。その点御了承を願いたいと思います。以上が大体御指摘になりました事項に対しましての御説明であります。尚詳しい内容につきましては御質疑等によりまして御説明をさして頂きたいと思います。  尚この際建設院関係批難事項に関連いたしまして、やはり第一章第一節歳入歳出事項の中の特殊事項の四、補助費の問題に関連いたしまして、これも併せて説明さして頂きたいと思います。この中に出てございます地方公共團体に対します補助金精算未了で遅延しておるといつたような問題、或いは補助超過を來しておつて、未だ返納に至つていない点があるという点を御指摘なつておりますが、その一つは実はこの戰時中建物疎開人員疎開、或いは防空壕の空掘り、等の防空土木事業補助費精算未了の問題でございます。これにつきましては、御指摘の点は御尤もでございまして、鋭意その精算を促進させるように努力いたして行くつもりでございます。実はこれが事情と申しますのは、いろいろ事情もございますけれども、やはり終戰時いろいろの混乱、或いは関係書類の燒失等がその原因をなしておりますのと、尚これに関係いたしております職員、或いは経費等が十分でなかつたという点もございますので、その間の事情は惡しからず御了承を願いたいと存するのであります。それから尚もう一点は補助超過を來たして、未だ返納に至つていないものがあるという中に、実は区画整理区域外疎開跡賃借費補助が超過いたしておりまして、これは東京関係でございますが、その返納ができていないという点でございます。これは御指摘になりました通りに、手続をとりまして、すでに本年の三月十九日に東京都から御指摘通り現金國庫返納する措置を完了いたしましたので、この点も御了承願いたいと存じます。
  20. 山下義信

    理事山下義信君) ちよつと私から今の御説明の中から聽き洩らしましたから伺うのですが、代金地方廳に納めさせて、それらいろいろ経費を差引いて國庫に納入させるようになさつたのは、何年の何月からになりますか。
  21. 澁江操一

    政府委員澁江操一君) 二十二年の五月からでございます。
  22. 山下義信

    理事山下義信君) 尚いわゆる狭義の特殊物件地方公共公團体がいろいろ讓り渡しと言いますか、拂下げと言いますか、になつて持つておりますものは、有償原則でございます。何かそれにつきましての規定は、どういう規定が根拠でございますか。
  23. 澁江操一

    政府委員澁江操一君) その点はちよつと補足さして頂きたいと思います。特殊物件拂下げ原則として拂下げ当時の公定價格を基準とする有償拂下げということになつておりますが、例外といたしまして無償処分を認められておる場合がございます。それは昭和二十一年の勅令第六百二十三号と、これに基きます内務省告示第二百六十三号に指示されておるのであります。その第一点は貧困者救済用被服、寝具その他の生活必需品及び食糧、医藥品類公用文公益事業に供するために特に必要と認めて配付する場合というのが大体でございます。それから第二点は連合軍最高司令部日本政府に対する覚書に基き貧民救済用に備蓄することを命ぜられた救済用の乾パン、罐詰被服及び医藥品、第三といたしまして一般関係官廳に保管轉換する場合でございます。第四点といたしまして、進駐軍設営資材に充当する場合、これが無償処分されるという條件なつております。
  24. 山下義信

    理事山下義信君) この規定はあとで調べてみたいと思いますが、この機会にここで伺いますが、例えば貧民救済の病院に拂下げた備蓄用建物というようなものは該当事項がありますか。
  25. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 私は内務省時代から引継ぎまして、特殊物件をやつておりまして、只今建設院総務局総務課長特殊物件課長をやつております。建物につきましては、引受けますのは内務省でありまして、拂下げについては府縣知事でございますが、府縣知事が処理しましたあと、これは國有財産法の國有財産でありますので、すべて大藏省に移管いたしております。只今質問の点につきましては大藏省の方の主管でございます。
  26. 小川友三

    小川友三君 只今の御説明につきましてお尋ねしたいと思います。地方で放出した物資で、公定價格に見積つてどのくらいのものが無償で放出されているかということを御報告願いたいと思います。それから今の勅令第六百三十三号と内務省告示第二百六十三号ですが、貧困者を救済しようと申されたことでありますが、ここにトラツクが三十三台、沢山のトラツクが拂下げられておりますが、これは無償で、金を取つていない。併し政府の方では三十三台で僅かに金額は八万八千七百六十円というと、タイヤ四本で八万円もしますが、そのくらいの價格で自動車三十三台拂下げ國庫に納入すべきと認められて、或いは拂うという意味でありますが、これは誠に不穏当でありますが、自動車を一体一台どのくらいに政府は見積られたのであるかということを御発表願いたい。それから薪炭を供出する、増産用に政府はこの勅令内務省令につて國民の公僕である政府國民無償で品物を送るだけの命令をどこで受け取るのか、その点に対して明確なる御答弁を願いたいと思つております。各府縣で放出しました物は、農民は勿論只で貰つていない筈です。勿論適正に近いところの料金を取られているのでありまして、その金は先程説明員がおつしやつた通り地方廳が財政難で困窮しているからその金を融通してもよいというような工合の含みを持つて、おやりになつたようにも聞えたのでありますが、その点について説明員説明の第一点は特殊物件財産無償は、地方財政が困窮しておつたからという含みを持つておつたようでありますが、それは含みを持つたものか、どうかということを特に御答弁願いたいのであります。  それから話は違いますが、この放出物資は各府縣に或る程度まで出せるという條項が勅令六百三十三号、内務省告示二百六十三号にある。これは卑近な例を申上げるよりで何でありますが、特に委員長のお許しを得まして申上げますと、埼玉縣でも放出物資が非常に多いのでありまして、西村放出物資、隠退藏物資といつて問題になつておりますが、國民は非常な迷惑をしておりますが、その点につきまして、どのくらいのものを勅令以外に、或いは内務省の告示以外に出しておるかということを御報告願いたいと思います。
  27. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 只今の御質問の第一点の無償の数量がどれだけあつたかという問題でございますが、無償として一般國民に放出といいますか、引渡してよいものは、只今説明いたしました勅令第六百三十三号の運用以外には全然ないのでございます。で、この数量でございますが、只今整理いたしたものがございます。これは連合軍に提出いたしますために、実は昨年の九月三十日現在で連合軍からどれだけの数量が出ておつたか、又終戰直後に連合軍から直接放出されたもので、日本政府が確認したものがどれだけの数量があるかという資料を各府縣から徴しまして、只今その資料を作つておるのでございます。只今大体できておりますので、持つて参りますれば、乾パンは幾ら無償で渡したというようなことも説明できるのでございますが、只今までまだ纏まつたものができておりませんから、持つて参りませんでしたが、これは後刻説明する機会がございましたら御説明申上げたいと存じます。
  28. 山下義信

    理事山下義信君) その資料はいつ頃できますか。
  29. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) もう直ぐできると思います。今纏めております。
  30. 山下義信

    理事山下義信君) 何日ぐらい……
  31. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 明日にでもできます。
  32. 山下義信

    理事山下義信君) その資料ができました時には提出を願います。尚その際にその勅令並びに内務省の規則が簡單なものでしたら抜萃して提出頂きたいと思います。
  33. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 承知しました。無償府縣廳に自動車等を渡しておる、こういう問題でございますが、これは無償で渡したというのは、無償貸付でこれをしておりますならば、勅令の六百三十三号の関係で問題でないのでございますが、府縣廳の手違いで無償拂下げという手続をしてしまつておるものでございます。この点は多少中央の方でも手違いがあつたのでございまして、特殊物件放出の方針を決めました特殊物件処分大綱におきまして、初めは特殊物件は公共用は無償で使用してもよいというような字句が現われておつたのでございます。その頭で府縣廳の者が処理しております中に、勅令の六百三十三号が二十一年の十一月に決まりまして、これでは公共用で使うものは無償と認めないけれども、無償貸付を認める、こういうふうに切替つたのでございます。この点が府縣廳にも徹底いたしませんために、無償拂下げの手続をやつた府縣が若干御指摘なつ通りあるのでございます。狭義の正式返還特殊物件の返還につきましては、絶対に公共用と雖も無償拂下げすべきものではございませんので、これにつきましては、できるだけ早い機会國庫に納入せしめたいと、かように、考えております。第三点の薪炭増産用等に無償或いは有償で配分せられた問題でございますがこれは主といたしまして、被服、繊維品に多いと考えるのでありますが、被服、繊維の配分はこれは特殊物件の中では一番重要な問題でありまして、終戰直後、戰災地等が多うございまして、越冬用の被服等が足りないというので、これはできるだけ早く、又できるだけ全國に公平に分けねばならんというので、各府縣で受取りますと殆んど時を同じくしまして、中央政府から各府縣に通知を出しまして、各府縣間の交流を行わせたのであります。これがこの特殊物件事務が始まりまして直ぐやつたのでございますが、その後二十年の三月になりまして、引揚用の被服を各引揚地に備蓄しなければならん、こういう問題が起りまして、この交流計画がうまく参らないということになりましたので、二十一年三月以降はこれを引揚用の方に切換えました。そうして中央政府から指定しました物資の残つたものは、地方廳限りで処理してもよろしいという方針を立てたのでございます。こういうふうに地方廳限りで処理してよろしいという物資につきましては、これは無論無償で配給してはいけないのでありまして、ただ配分の決定を地方長官に委したわけでございます。地方長官といたしましては、これは各縣にありますところの特殊物件処理委員会というものに付議いたしまして、配給方針を決めたのでございます。只今お話になりましたような薪炭供出用の被服類のごときものは、地方長官限りの配分と考えられるのでございます。  尚関連しまして申上げますが、埼玉縣の放出物件が多いという問題でございますが、この只今まで説明いたしましたところの、いわゆる出放物件も、埼玉縣には割合に多かつたというふうに私共解釈いたしております。これはそういつた品物の中心地でありました東京に近かつた関係、又疎開しておつたものが多い関係で、埼玉縣に多かつたろうということは推察できるのでありますが、その中全部が必ずしも回收されたわけではございません。又只今世間でたまたま新聞にも出ます放出という言葉は、恐らく正規に特殊物件なつたものを一般拂下げした、或いは分配した、この方の問題であろうと思うのでございます。この点は先程申しました二十一年度の三月までは地方の府縣間の交流をいたしまして、二十一年の三月以降は各府縣知事の自由裁量の配分を認めたのでございますが、この期間内におきまして、各府縣毎に残高に多少の差がございました。その結果から申しますと、埼玉縣の自由裁量による配分を認められた数量が、埼玉縣では他の府縣に比べて多かつたということが申せるのでございます。この分が或いは最近新聞等で出ておる問題じやないかと考えております。  尚この被服の配分の問題につきましては、只今申しました以外に、又二十一年の十二月になりまして別の措置をとり又それが三月になりましてその方針を変更する、これは関係筋の要望もございまして、多少変更されたのでございますが、何分にも品目、種類、数量の非常に違いました各府縣間の交流というものを完全にやり切れなかつたのでございます。埼玉縣では自由裁量に充てられた分が若干多かつたということは言えるのじやないかと考えております。  尚自動車の價格についてお話がございましたが、実はこの自動車の價格は、やはり國が賣るわけでございますので、公定價格によらなければならんわけであります。当時の公定價格は御承知通りでありまして、新品でございましても八千円程度と記憶いたしております。ところが連合軍から返されました自動車は、まともに運行のできますものは殆んどないのでございまして、又一旦連合軍に引継がれ又連合軍から日本政府に引継がれる途中におきましても、その保管の不十分から重要な部分品等が盗まれることが非常に多いのでございまして、これを賣るという段階になりますと非常に故障がありますとか、殆んど使い途にならないとか、そういう形で値段を引かねばならんものが非常に多いのでございます。自動車につきましては、特に専門家等を依嘱しまして價格査定委員会を各府縣に設けまして、この査定委員会で決定しました價格で以て自動車の拂下げをしたのでございます。御指摘になりました自動車の價格も非常に安いようでございますが、当時の中古自動車乃至大修繕を要する自動車の標準價格によつたというふうに御了承願いたいと存じます。  次に放出物件代金地方廳で運用しまして、財政の都合で入らないんじやないかという点でございますが、先程政府委員から説明申上げましたのは、放出物件なり特殊物件なりを無償府縣拂下げたような恰好になつておるものがあるという問題について申上げたのでございます。この放出物件につきましては、地方廳で一旦代金を集めまして、その中、会計檢査院の方で御指摘になりました直接、間接費を差引いた残額は國庫に納めるということになつておるのでございます。この点は、この放出物件代金につきましては、全國殆んど終了いたしております。その他にまだ放出物件代金でも若干出て参るのでございましてこれは又別口に整理せしめまして、これは会計檢査院で御指摘になりました直接費、間接費という観念を離れましてただその放出物件を発見し処理する費用の本当の実費だけを府縣廳に取りまして、他は國庫に納入せしめております。
  34. 千田正

    ○千田正君 只今の御報告の外に一つちよつとお伺いしたいのは、終戰処理費の二十一年度支出額の中に工事費及び物件調達費に関して、現在この報告によりますと、概算拂が多くて精算が十分なつておらない。中には証拠書類を紛失して非常に檢査に支障を來たしておるというようなことに書いてありますが、この点はすでに精算ができておられるのかどうか。同時に喪失されたような証拠書類その他に対しては十分捜査もし、又その衝に当つた責任者が責任の帰趨を明らかにしておるかどうか。事苟も國の財政を賄う点から行きまして、その点官紀粛正の上からいつても所轄官廳の責任を十分に明らかにして頂きたいと思います。この点について御答弁願います。
  35. 大槻義公

    説明員(大槻義公君) 御質問にお答えいたします。第一点の終戰処理費の工事費の支拂が概算拂の形で工事が行われたために、精算が遅れて、支拂が從つて延びておるという問題でございますが、この点は昨日もちよつと触れましたが、御指摘通りでありまして、檢査院においても幾多の事例につき御指摘があつたのであります。御承知のようにこの二十一年度の工事費といたしましては、終戰直後でもございまして我々としてもその衝に新たに当つて、なかなか見通しも付きかねた、又種々な連合軍側からする要請も時間的に急を要して完成をする或いは着手をするという事情もございまして、入札の方法によつて工事を進めることができなかつたために、概算契約の形で工事に着手し、工事が完成したあとにおいて精算を了すということも止むを得ない事情にありましたことは御了承頂きたいと存じます。御指摘通りに、そうした結果、精算がまだ結了しないという問題でありますが、この点につきましては本年に入りまして、特に精算促進班というようなものを設けて、可及的短期間に精算を完了したい、こういう努力をいたしました結果、最近におきましては、次の数縣を除きましては大体案件を解決したという状況なつております。即ちまだ残つております地方としましては北海道、宮城縣、大阪、廣島、福岡の五府縣と、東京、神奈川、この両地方でございます。これらの地方につきましても速かにその精算を完了したい、折角努力しております。御了承頂きたいと思います。  次に、会計経理が著しく不良であつて、殊に書類の亡失等甚だ遺憾な点があるという点でございますが、この点も檢査院御指摘通りでございまして、私共苟も経理の衝に当るものといたしましては誠に恐縮いたしておる次第でございます。特に問題となりましたのは、終戰連絡中央事務局において問題がございまして、これは昭和二十年九月から二十一年十一月に至る間に、日銀立替金で支弁した八億八千五百万円余、及び同年十一月から二十二年四月に至る間に支出した十二億三千四百万円余に関しては、その支拂いの計算、証明、証拠書類の整備その他会計経理は著しく不良である、こういう檢査院の御指摘でございます。この点につきましては私共も当時の事情として特に御了承頂きたいのは、先程も申しましたような、特殊な業務を新らしく担当して、而も少数な人員を以て、量的にも多くの仕事をいたしたというような関係もございまして、思うに任せなかつた点もあつたのでございます。併し結果において檢査院御指摘のような不備を露呈したということは誠に申訳ない次第でございまして、その後、鋭意その後の処理に努力いたし、最近においては計算、証明或いは証拠書類の整備等におきましてその後の整備が相当進捗いたしまして、檢査院御指摘のこの当時よりはずつと改善されてはおりますが、併しまだ多少未整理の分も残つておる状況なつておるのであります。当時のものに対する処置という点につきましても誠に私共恐縮いたしておりますので、十分戒飭の処置は講じた次第ではございますが、この点当時の特殊な事情につきましても何とぞ御了承頂きたいと思います。未整理の点につきましても折角奇麗に速かに整備発表したいと努力しておる次第でございます。
  36. 山下義信

    理事山下義信君) 責任者を明らかにしたいという千田委員の質疑に対する御答弁がありませんから、これは後廻しにしまして、只今特殊事項に関連しての審議をいたしておるのでありますが、この際会計檢査院当局からの特殊物件に対する説明がございます。
  37. 東谷傳次郎

    会計檢査院事務総長(東谷傳次郎君) 特殊物件の会計檢査報告につきまして概略を御説明いたしたいと思います。特殊物件は國が連合軍から正式に返還を受けました旧陸海軍の軍需品これを狭義の特殊物件といたしておるのでありますが、終戰直後に旧陸海軍が保有資材を緊急に出しましたものを御承知のごとく放出物件と称しておるのであります。この狭義の特殊物件、先程から政府から御説明がいろいろあつたので御了承と存じますが狭義の特殊物件処分、これが無償でできるかどうかという問題でございますが、凡そ物件、國の財産というものは無償処分ができないことになつておるのでありまして、これは物件でありますから物品会計規則から見まして無償ではできないことになつておるのであります。ただこの特殊物件につきましては、先程御説明のありましたごとくに、二十年の勅令六百三十三号によりまして特例が定めてあるのであります。こういう場合には無償に讓與してもよろしい。即ち生活必需品等を、生活困難、或いは貧困者にやる場合には、無償で讓與してもよろしいということになつておるのでありますが、その他の場合においては無償讓與は認められておらないのであります。尚この廃兵器でございますが、廃兵器は先程ちよつと御説明がありましたが、一民間團体であるところの兵器処理委員会に一括して賣却して貰うのでありますが、檢査院として本措置は当を得ないものと考えておるのであります。後程御説明いたしたいと存じます。この放出物件につきましては、これは実は放出物件といい、或いは特殊物件と申しまして終戰直後の非常に混乱いたしておりました情勢下の処分でありまして、いろいろと事情の諒とすべきものが多々あると存じておりまするが、併しこの特殊物件放出物件と申しましても御承知のごとく軍需品である。その軍需品は如何にしてできておるかと考えますると、申すまでもなく國民の血税の一滴一滴が集つて結晶したのがこの軍需品である。特殊物件或いは放出物件であるのであります。只今申しましたように終戰直後非常に、ごたごたしており、而も多量の仕事を短期間に成し遂げなければならないというようなことで、昨日も申上げましたが、どうも仕事が先で、経理の方といいますか、整理の方は後廻しのようになり勝ちなのでありまして、即ち各府縣その他につきまして、特殊物件なり放出物件を檢査いたしましても、物品そのものが整理が思わしくないものがありますし、物品を処分いたしまして、現金で收入いたしましても、その取扱が面白くない場合によれば物品を無償で出しておる、或いは收入金でありますと、それを自由にいろいろの面に使用しておられる、それから物件を賣りましても、その調定が非常に遅れておる、調定をいたしましても、收入行爲は非常に遅れておる、それから收入をいたしましても、今度は会計檢査院への書類の提出、証明というものが甚だしく遅れておるというようなものが、相当に沢山あるのでありまして、特殊物件の歳入におきましても、さような意味合いを以ちまして、九千八百万円、約一億円というものが未確認、檢査がまだ終ることができないということになつて未確認の整理をいたした次第であります。特殊物件に関しまする檢査も各都道府縣亘つておりまするので、全部実は行き渡つていない嫌いも檢査上あるのでありますが、昨年度檢査をいたした結果、この檢査報告に掲げましたものが、総計二十三件に上つておるのでありまして、その二十三件の中、八件が、檢査報告で申しますと、三十一頁以下にございますが、各府縣におきまして無償で整理しておる、これは有償にしなければならないというように考えておるのでありまして、かような事件が福岡縣以下八件ございますが、大体におれまして、会計檢査院意見通りに是正をしておられるのであります。即ち歳入に取るという段階に至つておるのであります。ただ先程も御質問がございましたが、價格でありますが、價格は如何にも現在から見れば非常に安いのでありますが、これは拂下げ当時のマル公によつて拂下げるということでございますので、自然現在から見まして、或いは当時の普通一般の取引相場から見ると、非常に安いのでありますが、これは只今申しましたように、賣拂い当時の公定價格によつたというようなわけであります。尚各府縣で賣拂つて收入金を手許に持つておるのでありまするが、それを國に納めないで、或いはそれに從事しました者に手当として支給しましたり、或いは慰労金にこれを使用しましたり、若しくは地方費に流用しましたり、又は他に融通するとか、若しくは寄附をするとかというようなことをいたしまして、会計檢査院でよろしくないと指摘したものだけでも、四十六頁以下に掲げてございますように、それが十件ございます。先程ちよつと触れておきましたが、賣拂いましても、その徴收事務が進んでいないということでございまするが、檢査報告の四十二頁に掲げてございまするが、大体当初は内務省関係特殊物件では、收入の見込を大体四十億と掲げて推定されておつたのでありまするが、二十年度、二十一年度におきまして徴收を決定されましたのは、大体十五億でありまして、この十五億に対しまして、実際に金を取立てられたというものは十一億でありまして、残りの三億六千四百万円というものは收入未済になつておるのであります。この点調定に対して收入が少ない、沢山の收入未済があるという点につきましては、適当な措置が講ぜられなかつたものと、会計檢査院考えておるような次第でありますし、尚四十一億と予定されましたものの大体は、処分が完了せられておるのに拘わらず調定は十五億に止まつておるという点も、調定行爲そのものが遅かつた、全部ではありませんが、遅かつたというふうに見ておるのであります。尚、先程政府委員から御説明がありましたが、鉄鋼類とか、繊維類、こういつたようなものは特別に扱われまして、鉄鋼類とか非鉄金属類或いは皮革類、繊維類は、鉄鋼販賣株式会社とか或いは日本金属、皮革統制組合というようなものに賣拂つておらるるのでありまするが、この賣拂いが、すべてこれ終戰当時のマル公によつて、特に非時常に安い價格で賣拂われたということになつておりまして、他の物とは非常に取扱いが違うのであります。即ち拂下げといいますか賣拂い当時のマル公の價格にはよらないで、終戰当時のマル公によつたということで、例えば電気銅について申しますると、終戰当時の公定價格はトン千八百円であつたものが、二十年の十月になりますると一躍七千円になり、二十一年の三月になりますと一万三千円、二十一年五月には二万八千円というふうに跳ね上つておるのでありますが、すべて終戰当時のマル公で拂下げされまして、その拂下げたものを第一次納金として納めさせて、あとのものはその價格の操作安定資金に一部分を充当いたしましてその額は、この檢査報告を作ります当時におきましては、約八億円と想定されておつたのでありますが、それを價格安定資金として各会社に留置せしめ、尚、各会社でいろいろと諸雜費が掛かつておりますものを差引きまして、各統制会社賣拂いました價格から、政府に納めます第一次納金、價格安定資金及び諸雜費を差引いて残りますと、更に第二次納金として國庫に納入させるということになつておるのでありまするが、会計檢査院といたしましては、わざわざ終戰当時のマル公によるということは面白くない、よろしくない、すべて拂下げ当時の賣拂い價格によるべきものであつて、若し價格の安定の操作が必要であるならば、それは別途に國会の承認を経て安定資金の支出をして、その安定資金というものを作るべきである、かように考えておるのでありまして、一般の場合の價格平衡資金というものと全然違う、全然違うといいますか、目的は一つでありますが、全然違うのであります。一般價格平衡資金というものは、民間が持つておるものにつきまして、あとの價格操作で上つたり下つたりした時分の操作として、その時も價格差益の一部分を民間の人に持たせるというのでありまして、このものは國家の物を賣るときの値段の問題でありまして、賣るときの値段をわざわざ安い終戰当時の値段で賣るという手はないのでありまして、賣るときは必ずその当時の値段で行くということはこれは当然の行き方でありまして、政府の弁明で見ますと、各省が協議をしてやつたからというような、責任を以て各省が協議の上でかような安定資金を作つたというふうに説明しておいでになるようでありまするが、各省が協議をされましても、さようなものは各省の協議でやるべきものではないのでありまして、非常な大きな金額に上るものでありまするから、國会の協賛を経てやるのが至当であるというふうに考えております。次は廃兵器の問題でありまするが、廃兵器及び支出の事項建設院関係で二項ございまするが、これらのものを除きまして、一應午前中の私の説明を終りたいと存じます。
  38. 山下義信

    理事山下義信君) それでは午後続行することにいたしまして休憩いたします。    午後零時十三分休憩    —————・—————    午後一時五十七分開会
  39. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 決算委員会を開きます。休憩前に続きまして大藏省所管関係の審議を進めます。
  40. 東谷傳次郎

    会計檢査院事務総長(東谷傳次郎君) 午前中につきまして御説明をいたしたのでありまするが、廃兵器その他につきまして説明が終つておらなかつたのでありまするので、先ず廃兵器から……、兵器の処分ということにつきまして御説明をいたしたいと思います。兵器の処理につきましては、内務省におきまして、昭和二十一年五月に契約いたされて、一民間團体であるところの兵器処理委員会、その組合員は日鉄、日本鋼管、古河電氣、扶桑金属工業、神戸製鋼所の五社でありまするが、この兵器処理委員会と兵器拂下げ契約を締結されまして、連合軍から返還されました廃兵器類を同委員会に一括して賣拂いをなさつたのでありまするが、無論当時の事情によることではありまするが、賣拂いにつきましては、数量も決まらないし、價格も決定はできないというので、そのままでその数量の決定はすべて拂受人であるところの兵器処理委員会に一任しましたし、價格も又委員会の收支の計算を見た上で決定をするというふうになつておるのでございまして、終戰後の兵器処理の特殊性はあつたといたしましても、かような包括的な賣拂いというものは妥当でないと思わるるのであります。拂下げを受けました兵器処理委員会に対しましては、会計檢査院は直接に檢査の権限がございませんので、その委員会がどのような兵器をどのように処分をして、その收支が如何ようになつておるかということの、詳しいことを知ることはできないのでありまするが、内務省と共に、或いは内務省を通じまして、調査いたしましたところによりますると、委員会の経理の上においても、或いは組合の会社が自分のプロパーの会社に非常に良い物を安く処分するというようなこと、乃至はいろいろな経理上妥当を欠いておるというようなものが、少くないように見受けられたのであります。かような終戰後の最も大切な物の一つである兵器の処分というものは、最も公正を期すべきものでありまするので、分つた物から賣るとか、或いは処分に要する経費は別途に予算で積算し、出て來たところの鋼材、資材は賣拂つて國の歳入に充てるという一つの行き方で正式に行かせるべきものであつたというふうに考えられるのであります。そういたしまして、只今申しましたように、兵器処理委員会内容につきまして直接ではありませんが、瞥見したところによつても、いろいろ批難すべき点があるように思わるるのであります。拂下げ契約は只今申しましたように数量は分らない、金額は分らない、とにかくそこここと、地方にある兵器を、この委員会拂下げろという漠たる契約でありまして、而もこの兵器処理委員会の定款などを見ますると、本組合の收支決算において損失を生じたときには政府において適当なる措置を講ずるというようなことも揚げておるような次第でありまして、止むを得なかつた事情は万々了承できるのでありまするが、やはり措置当を得なかつた拂下げではなかろうかというふうに考えておるのでございます。  尚放出物件の処理でございまするが、放出物件も無論有價拂下げということが原則なつておるのでありまするが、各都道府縣でこれを取扱つて管理し、或いは拂下げその他の処分を國に代つてするという上におきましては、直接若しくは間接の経費相当府縣で要るのでありまして、それらのものをどういうふうに見て行くかということが一つの問題であるのであります。あるのでありまするが、終戰後のああした事情でありまするので、一應確たる標準ではないのでありまするが、大体最高五百万円から最低三十万円という間接費を見る。その他直接に要つた経費は見てやるというので、大体只今まで両方合せますと一億円ぐらいがこれに要しておるのでありまするが、それらの経費放出物件の賣拂いの代價から差引いてもよろしいというふうに取扱われておるのでありまするが、これも正式に申しまするならば、直接費とか間接費相当するものは、國の予算に立てまして支拂をし、而して賣拂いによつて得ましたところの收入は、國庫の收入に全額充てるというのが建前であつたのであります。  尚この際申上げて置きまするが、昨日簡單に申しておいたのでありまするが、艦艇の解撤というのが、特殊物件の……まあ大きな意味でいえば特殊物件一つと申していいのでありまするが、海軍の軍艦が廃艦になりまして、これを解体するという作業でございまするが、艦艇の解撤作業は、二十一年の四月以降、地方別に或い播磨造船とか飯野海運とか、いろいろなのを指名、指定いたしまして、各鎭守府或は要港部にありまする軍艦の解撤作業の契約をいたしてのでございまするが、これ等も数量とか價格というものは一向に確定はいたしてない、ただ軍艦の数だけは決まつておるのでありまするが、さような拂下げ契約をしまして、そうしてこれら軍艦の解撤或は解体によりまして出て來るところの資材はその拂受けたる造船所なりがその外の商船を修理いたしておるのでありまするが、その面にも場合によれば使いそれを処分しておるというような状況もあるのでありまして、兵器の処理と同じ意味におきまして、最も公明を期すべきものでありまするが故に、艦艇の解撤につきましては、やはり同じように解撤に要する経費は、國会の同意を得ましたる予算で経理をし、それによつて出ましたところの資材は、賣拂いによりまして、國の歳入にするというふうな、公明正確なる取扱をなすべきが至当であつたように考える次第であります。一應説明を終ります。
  41. 竹中七郎

    竹中七郎君 この兵器処理委員会というものは現在存在しておるんですか。会計檢査院はその兵器処理委員会を檢査する権能がないのでありまするが、國会はこれに対してどういう権限がありますかということをお伺いしたいのであります。  次に特殊物件の問題を通じまして、私が考えまするところにおきましては、非常に安いマル公以下のもので拂下げられる、この兵器問題その外の繊維被服の問題においても同様であります。これを通観いたしますと、私現在のいわゆる新興成金というものは、こういうところから出て來るんじやないか、かように考えた者でありまして、國民もひとしくさように考えておられる人が沢山あるのであります。又その外、御料林の拂下げに対しましても問題がある、こういうことでありますると、大藏省といたしまして、現在非常に予算が少い、併しそういうものを対象にして所得或は財産税で取つたというようなことも聞いておりますけれども、こういう面を本当に突込んでお調べになつて、そうして税金をお取りになつておるかどうかということを大藏当局の方へお伺いしたいのであります。この問題に対しましては、なかなかむずかしい問題でございますので、保留されて、後ででもよろしいのでございます。
  42. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 兵器処理委員会の問題でございますが、只今会計檢査院事務総長から御指摘になりましたようないろいろ欠陥はあろうかと考えるのでございます。その点は、私共この事務をやつておる者といたしましては、或いは当初そういう点をもつと研究いたさねばならんじやないかということも考えるのでございますが、当時としましては、そうやることが一番良い方法であろうかというふうに考えまして処置いたしました問題であります。只今質問になりました兵器処理委員会は今どうやつておるかという問題でございます。これは私が昨年の秋以來ずつと関係しておる問題でございますので、少し長くなろうかと存じますが御説明さして頂きたいと思います。  兵器処理委員会の仕事をいつ終るかという問題でございまして、これは兵器処理委員会は、当初國会としましても、政府としましても、委員会といたしましても、これで赤字を出しやしないか、政府補償という問題が出やしないかということを常に恐れておつたのでありますが、幸いにいたしまして二十一年の八月、二十二年三月の決算におきましては帳簿上黒字を示しまして、二十一年の三月では二億一千万円の黒字を示しました。これで國家に納金も相当できるじやないかということを期待しておつたのでございますが、その後スクラップ價格が御承知通り熔鉱炉のありますところに持込みで、トン当り鉄鋼で一千百円になりましてこれはその後に運賃等の値上りから見ますと、どうしても算盤の合わない價格でございまして、このために逐次損失の傾向に変つて参りました。一方兵器処理の対象であります廃兵器類も段段と数量も減つて参りました。若しも兵器処理委員会の態勢のままで参りますれば、人件費も余計掛りますし、國家に対しての補償という問題も出て参りまして困る問題になると思いますので、昨年の夏頃から関係者の者が寄り寄り集まりまして、兵器処理委員会を解散しまして、この業務を産業復興公團に計上して貰うという問題について打合せをして参つたのであります。第一回の引継の時期といたしてましては九月三十日ということを予定しまして、兵器処理委員会としては九月三十日に兵器処理委員会段階に入るということを決めまして、雇つておりました職員を全部一應罷めさせまして、そうして必要な人員だけを改めて採用するという形によりまして、事務組織を簡易にし、費用の掛らんようにいたしたことであります。政府考えといたしましては、直ぐにでも産業復興公團に引継いで貰うつもりでおつたのでございますが、何分先程申しましたスクラップの公定價格では、なかなか算盤も合いかねるというので、産業復興公團の方も直ぐには應じて貰えない。又産業復興公團の関係につきましては、関係筋の了解を得なければならん問題もございますので、いろいろ、手筈を決めまして、本年の五月三十日を以て兵器処理委員会は解散してもよろしいという指示を得たのでございます。それで兵器処理委員会は五月三十日現在を以て解散をいたしまして、その後の兵器処理業務は産業復興公團でやつて参るということにいたして参りました。一方兵器処理委員会が現在保有しておりますスクラップは兵器処理委員会が現在……、現在は二月末日現在で持つておりますスクラップの量は、四十四万トンということに相成つております。この四十四万トンは産業復興公團の方でお調べになりましたのは、若干それより多いようであります。これは兵器処理委員会ではできるだけ過大見積りをしないようにということで、四十四万トンという数字になつておつたのでありますが、この四十四万トンも直接兵器処理委員会から産業復興公團に引継いだものであつて、途中で何か間違いがあつてはいけないという御注意があつたものでございますから、これは一度政府に返還せしめまして、政府がこれを産業復興公團に拂下げるというふうな手続を進めたいと思つております。只今その手続を進めておるところでございます。
  43. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 特殊物件の問題はいろいろ問題が包藏されておりまするし、又事項も多岐に亘つておりますから、一應この程度にして、最後にこれをやり直した方がいい、これだけ別箇の問題として取出して、十分審議した方がいいと思いますので、一應この程度に止めて置きまして、大藏省関係特別会計説明を願いたいと思います。大藏省関係特別会計はいろいろありまするが、造幣局、印刷局、專賣局だけにこの際いたしまして、取敢えず三局の特別会計を審議いたします。先ず造幣局からお願いいたします……。ちよつと速記を止めて……。    〔速記中止
  44. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 速記を始めて。專賣局の関係特別会計につきまして御説明を願います。
  45. 松尾俊次

    政府委員(松尾俊次君) 専賣局特別会計におきまして、一般的のことはこの際省略さして頂きまして、特に檢査院から御指摘されました問題につきまして、政府側としましての一應の弁解を御説明いたしたいと思います。先ず予算の目的外に経費を使用したものでございまするが、この点につきまして檢査院の御批難を受けたのでありますが、職員の宿舎用として土地及び建物の購入費二百八十六万八千円を一般会計で支弁しないで、専賣局作業会計で支弁いたしましたのを、予算の目的予算の目的外に経費を使用したものとのことでありますが、旧作業会計法は固定資本の新設又は増設は一般会計の支弁とし、その維持補修は特別会計の歳入で支弁する建前となつておりますし、且つそれ自体は設備能力の増大を來すものではなく單に附属設備に過ぎませんので、維持補修の範囲に属するものと認めまして、作業支弁といたしたのであります。こういつたようなことからいたしまして、專賣局といたしましてはそういう見解を持つている次第であります。次に不当と御批難を受けました事項の点につきまして、全部これは自給製塩の補助金交付に関する問題でございますが、これに対しまして檢査院からいろいろ御指摘を受けたのでありますが、これについても政府の方の考えを申上げまして一つ十分なる御了解なり御同情も仰ぎたいと、こういうふうに考えておるわけであります。特にこの各項目について御説明を申上げまする前に、自給製塩設備に対しまする全体の問題として一つ御了解をお願いしたいと、こういうふうに考えておるのであります。檢査院におきまして実地檢査の結果、補助金補助條件に適合しないものに関する補助金を交付したとか、或いは設備費の査定の当を得ないものであるとかいう御批難を蒙りまして、ここに掲げてあるのでありまするが、実は会計檢査院のお立場から嚴正に檢査をおやりになりますれば、或いは專賣当局の査定が若干裁量の程度が少し廣かつた、こういつたような結論も或いは無理もないことであろうかとも、その当時を推測いたしますと認められるのであります。併しながら專賣時当局の立場からいたしますと、自給製塩制度を創設いたしまして、その後國民一般補助金交付の公約をいたしまして、どしどし作れ、これに対しましては十分なる補助金をやる、そういうふうに宣傳をいたしまして、極力これを援助して設備を完成させた経緯でございますし、塩田と製塩設備の特質、特に塩田はなかなか熟成いたしませんので、そういつたような特質等を考慮に入れますと、どうしても実際行政的の考慮を拂う必要が出て参りまして、嚴正一点張りといつたような査定もいたしかねた点も多少あつたかと思われましたが、一應完成いたしまして、稼働ができるものと思われるものは、補助金を交付いたしたような状態でありまして、その際といたしましては事情止むを得ないものである、こういうふうに考えられるのであります。自給製塩制度は実は今次の戰争の末期に外國塩の輸入が杜絶いたしまして、塩饑饉の最惡事態に備えまして塩の自給自足を図る目的を以て創設いたしたのでありまして、政府がいろいろの委員会を作りまして、大声疾呼して國民に呼び掛けましてその協力を要請しまして、設備の施工者に対してはすべて補助金を、而も高額の補助金を交付するといつたようなことを公約いたしまして、その急速な実現を推進したものであります。然るにその後司令部の好意によりまして外國塩の輸入の途が開かれまして、塩の需給事情に変化を來しましたので、新事態に対應いたしまして昭和二十一年九月補助金の交付につき、設備の完成時期、或いは生産能力等に関しまして一定の條件を設け、その適格者に対してのみ補助金を交付するということに方針を変更するの止むなき状態に立至つたようなわけであります。そうして右の方針変更によりまして施工途上のものにつきましては、設計の変更を必要とするもの、或いは工事の繰上げ短縮を必要とするもの等、随所に続出いたしまして、多大の混乱をその結果生じたのでありますが、それに加えまして、当時建設資材の不足と物價、労銀が非常に上りまして、当業者の苦難は実際同情するに値するものが非常にあつたのであります。それにも拘わらず各業者の方々は、塩が非常に重要であるということを認識されまして、補助金に関しまする政府の公約、委員会補助金を交付するといつたようなことに対しまする公約を確信いたしまして、あらゆる障碍と困難とを克服して突貫工事をいたしまして、指定の期日までに遂行した、こういつたような事情があつたのであります。ところが物價、労銀が予想外に急騰いたしましたために、実際の設備費が著しく嵩みまして、当初は設備費に対しまして八割程度補助金を交付するといつたことを公約しておつたのでありますが、実際は予算の関係上、五分七厘でございましたか、五割五分余に過ぎないような補助金しか出せなかつた。從つてこの公約を履行し得なかつたというような状態になりまして、政府が公約いたしましたことに対して信頼を裏切つたというような結果になりまして、この点につきましては政府当局としましては國民の方々に対しまして非常に遺憾に存じておるようなわけでございます。而して設備が完成いたしまして本格的操業に入るといつたようなときになりまして、製塩事業の本当の生死……命を握るといつても差支ないと思いますが、塩を作ります石炭と電力の供給が非常に圧縮されまして、殆んど言うに足りない量しか配当を受けなかつた、こういつた状態に立至りましたために、新規製塩者特に補助金を受けまして新たに製塩者になつた者に対しましては、特に配炭が殆んど絶無であつて、予期の生産を挙げ得なかつた。從つて事業は本当に死ぬか生きるかといつた状態になりまして、この塩田その他の設備と申しまするのは、本來から申しますると稼働しながら而も熟成を図つて行くといつたようなことが、実はこの製塩事業の本体であるのでありますが、從つて塩田の熟成化の実現に、こういつたような石炭なり、電力の配当が殆んど皆無でありましたので、その稼働ができない。從つてその熟成ができないといつたことに相成りまして、檢査院の御批難を頂いたといつたようなことになつたわけであります、こういつた状況でありましたので、我々の方といたしましても冒頭に申上げました通り厳正一点張りといつたようなこともいたしかねたような事情もございまして、以下簡單に御説明を申上げようと思いますが、各項の点につきまして、こういつた御批難を受けるような状況が生じたわけであります。それでその事項につきまして、先ず第一に指定期日までに完成しないものに補助金を交付したもの、このような御批難を受けたものがありますが、その中で第一番目に掲げてございます飛島塩業株式会社の分であります、飛島塩業株式会社の塩田が檢査院の実地檢査をおやり下さいました当時の状況からいたしまして、指定期日までに完成したものとは認められないというような御批難でありますが、当局といたしましては実態調査の当時の判断では、完成時期のときの判断では、塩田としてでき上つた上ものでありまするが、その後、製塩用炭の配給がないために塩田作業を行うことができなかつたために、雜草が繁茂するといつた状態に塩田が荒れまして、漏水が非常にひどくなつたものでありまして、塩田築造の特殊性と申しますか、塩田はなかなか熟成を実はいたさないのでありまして、先程申しましたように稼働しながらそれを固めて行く、どうしてもそういうふうにやらなければならんというような特殊性に鑑みまして、事情止むを得なかつたのじやないだろうか、かように我々は考えるようなわけであります。それからその次にございます日塩興業株式会社の徳島製塩所の塩田につきましても、今御説明いたしました飛島塩業株式会社と同様の御批難を頂いたのでありますが、やはりこれも同じように塩田が築造をいたしまする途上におきましては、実は相当の漏水が免れないものでありまして、その後、完成いたしまして、その後、配炭がなく、予期のごとき塩田の製塩作業ができないというために、実地檢査の御施行のときに特に又漏水がひどかつた、こういうような状態に相成つておつたわけであります。次にございまする小規模のものに補助金を交付したものというものでございまするが、これは檢査院の実地檢査を御施行になりました当時は、ちよつと電力事情が惡いのでございまして、工場稼働率が五十%程度でありましたので、年産能力六十トンというような計算に相成つたことであろうと存じまするが、その点誠に御尤もと存ずるのでありますが、当局の完成をすべき時期に調査いたしました判定では百トンの生産能力があるものと認定いたしたものでありまして、これがちよつと計算上食い違いができておるのでありますが、その当時の状況と御檢査の当時の状況とが実は大分電力事情が違つておりますので、或いはこういうような食い違いができたのではないだろうか、こうなつておるようなわけであります。それから最後の項目といたしまして設備費の査定当を得ないもの、こういつたものでありますが、その中にいろいろありまして、その中におきましては、檢査院の御指摘になりましたことは誠に御尤もの点も多々ございまして、それにつきましては、檢査院の御指摘通りその補助金相当いたしまする金額を減額いたしまして返還させる、そういつたような処置を講じておるわけであります。ただ、やはりその当時の状況といたしましては、そういつたような状況もございますので、その点について少しばかり触れさして頂きたいと存じます。第一の日本塩業株式会社の分でございまするが、高周波の点でございます。この点につきましては、檢査院の御指摘通りでございまして、補助金は返還をさせるというようにいたしたいと思つております。その次のやはり同じ高周波の分でございますが、Bの分につきましては、実は檢査院の方で御指摘になることは誠に御尤もでありますが、我々といたしましても、どうせやはりこの種の排水工事がやはり必要だから、結局どの途同じであろうというので補助金を減額した、こういつたような実情でございます。C及びD、E、につきましては、檢査院の御指摘通り減額削減いたしまして補助金を減額させるというようにしております。最後に妙高でございますが、四でございます。妙高企業株式会社と書いてございますが、この点につきましても、大体檢査院の御指摘通り金額を減額いたしまして返還させる、こういうような処置をいたしたいと存じておるわけでございますが、ただ一、二少し違いまする点を御説明いたしたい、こう思つております。その中の一の問題でございまするが、これは政府の方の説明書の方におきましては、國有財産の方の拂下げは確実である、こういつたような見通しからいたしまして、補助の対象としておつたのでありますが、実はその後又我々の方で現地当局の方といろいろ折衝いたしますし、又確認をいたしたのでありますが、現地当局の方といたしましては、拂下げの意思がない、こういつたような何か確定したといつたように聞いておりますので、若し現地当局の方におきまして、拂下げをしないというふうになりますと、これは明かに補助の対象とすべきものではないと思いまするので、檢査院の御指摘通り、それに相当します金額に対する補助金は、私は、やはり減額して返還せしめるといつたような取扱をいたしたいと存じております。この点政府当局の方から提出いたしました説明書と、ちよつと違つておりまするので、さよう御了承願いたいと思います。それから西戸崎工場の点につきまして、この点につきましても、大体檢査院の御指摘通り、それぞれ減額いたしたと思いまするが、西戸崎工場及び指宿工場でありますが、ただ最後の指宿工場におきまする蒸発池でありますが、実はこれは海水を入れまして、これを蒸発させる。いわゆる蒸発池でありますが、この点につきましては、指宿方面の氣象から地勢、そういつたようなことを考えますと、やはり製塩上塩田の補助設備といたしまして、蒸発池を設けるということは極めて有効である。こういうように我々特に技術員がそういうふうに認定いたしまするし、そういつたような考えに基きまして、やはりそれによりまして、塩田の塩の生産コストが非常に下るし、これはやはり補助金の対象とすべきである。こういうふうに考えまして、補助金の対象といたしたような次第でございます。檢査院の御指摘になりましたことにつきましては、誠に御尤もでありますが、冒頭に御説明いたしましたように、その当時といたしましては、事情非常に止むを得なかつたと、こういうようなこともございますので、どうかその点十分御同情頂きまして、御判定をお願いするように、特にお願いして置く次第であります。
  46. 東谷傳次郎

    会計檢査院事務総長(東谷傳次郎君) 只今政府委員から、御説明があつたのでありますが、その前に、專賣局外三現業の造幣局及び印刷局につきまして、簡單に檢査の結果に触れて見たいと思います。  造幣局の関係におきましては、歳入で一件、歳出で一件の批難事項があるのでありますが、歳入におきましては、造幣局で、日本金属株式会社に、錫の地金を四百四十トンを、三分の一の値段で、非常に安く賣つておられるというので、これを指摘したのでありますが、これは、檢査院のいう通り、よくないというので、是正されておりますので、説明はその通りいたしておきたいと思います。尚この八十四頁にございますが、年度区分を乱したり或いは予算の目的外に使用したというものが、官舎の設備について批難いたしておるのでありますが、この官舎は、年度内にできてないのに、できているように整理されたので、その意味において、年度区分を紊り、而もその予算は、造幣局の予算にないのでありますので、その意味におきましては、予算の目的外でありまして、大変工合の惡いことだと思うのであります。これは当局におかれましても、惡かつたというので、責任者の処分もいたしておられるようなわけであります。  次に、印刷局の特別会計でございますが、これは、歳出において一件、批難事項があるのでありますが、印刷局の西大寺工場で、二重拂をしたということの指摘でありますが、これは、その後是正されておるような次第であります。  次に、專賣局の関係に移りたいと思います。補助金の問題が主として取上げられておるのでありますが、その前に、八十六頁に掲げてありまする、予算の目的外に経費を使用して、專賣局で職員の宿舎を、東京都であるとか、或いは千葉市に買つておられるという次第であります。経費は、二百八十六千円を投じておらるるのでありますが、專賣局の御意見では、只今仰せのように、專賣局の能力が拡張したのではなくて、單純なる附属設備であるから、いいんだというような御説明に相成るのでありますが、作業会計法は、さように法律規定されていないのでありまして、固定資本の維持及び補修だけが、この特別会計において負担することが許されておるのでありまして、而して本件は、すべてこれ固定資本の維持でもなければ、補修でもないのでありまして、新たに加わるものでありまして、これは、正々堂々と、一般会計において、予算を要求し、國会の議決を経て、その議決に基いて実行されるべきものであると存ずるのであります。官舎の問題は、只今申しました、造幣局にもあるのでありますが、非常に宿舎が必要ということで、切実な問題ではありましようけれども、切実なれば切実なる程、予算にこれを明確にいたしまして、実行するということが、最も好ましいことであると存ずるのであります。官舎、宿舎につきましては、各官廳において、いろいろと設備しておられるのでありますが、すベて予算外のものにつきましては、会計檢査院が本年は特に取上げて問題にしておるのであります。それは、設備をすること自体が惡いとか善いとかいうことの批判の前に、さようなものは予算に計上して國会の協賛を経て然る後にしなければならない。こういう意見であるのであります。  次に補助の点でございまするが、大分補助費というものは少なくなつたのでありまするが、それでも金額的には非常に多くなつておりまして、二十一年度では一般、特別両会計を通じまして二百四十億という補助金が出ておるのでありますが、仔細に檢査をいたして参りますると、この檢査報告の所々に点見されるのでありまするが、或るものは補助條件に適合しないものがあるとか、或いは非常に沢山補助をやり過ぎておるというようないろいろな事情が、事案が伏在いたしておるのであります。專賣局におかれましての補助で一番大きなものは、自給製塩というものがあるのでありますが、只今自給製塩のことにつきましては政府当局から御説明があつたのでございまするが、この自給製塩は塩の事情が惡化いたしましたために、昭和二十年度から、自給製塩の設備をした者に対しては、補助金の交付をやるということに相成りましたのでありまするが、小規模であるとか、或いは能率の低いものが、激増するというのに鑑みられまして、二十一年の四月からは一定の規模で能率のものだけを承認するということになりまして、その後更に二十一年の九月でありましたかに方針を定められまして、一應補助金の交付というものは打切る、その際に二十一年の九月に大体工事を完成しておるか、若しくは工事中であるものだけで、而も超えて二十二年の二月六日でありまするか、二月六日までに全部完成いたしまして、而も塩の製造を開始しておる設備、こういう條件が付いたのであります。完成して製造する二月六日までに、もう一つ條件は、塩の年産能力が百トン以下では補助をしない、こういうふうに決定をされまして、その補助率は只今も御説明のありましたように、当初は八割を補助するということであつたのでありまするが、その後予算の関係を以ちまして五割五分余りということに減額されたような次第であります。この補助の自給製塩に対する補助金は、昭和二十年度以降十二億五千二百万円というものが出ておるのでございまして、二十年度において四億千三百余万円、二十一年度において五億四百余万円、二十二年度において四億三千九百余万円というのが只今まで出ておるのであります。これは先程お話りなりましたように、非常に政府の方から慫慂し、而も突貫工事として工事を施行させたものであるのでありまするが、その後石炭の事情或いは電氣の事情などに禍いされまして、初めの年産の設備能力というものは大体三十八万トン余りを計画され、二十二年度においては十三万二千トンを製造するというのであつたのでありまするが、その実績は余り上つていないのでありまして、いろいろな事情は抜きにしまして見ますると、この自給製塩は非常な大きな掛声で始まつて、大きな設備をさせたのでありまするが、補助の目的は十分には達成されていないということが言えるような状態であるのであります。理由といたしましては、初めは殆んど全額やる、全額やるとはおつしやらんのでありますが、八割をやる、次に予算の事情で止むを得ず五割五分に切下げるということになりましたので、如何にも政府の公約を無視するようなことでありまして、実行当局としては非常にお心苦しい点はあつたろうと思わるるのであります。併しながら、こういつた全國に跨がるところの補助でありまするから、補助率が変更されましたら、その最高方針によつて公明に、而も公平に査定をして、補助をして行き、この間不公平な点とか、或いは不公正な点があつてはならんのでありまして、その意味から申しますると、まだこの自給製塩に対する検査院の檢査は全部は終わつてつてはいないのでありまして、今檢査の中途でありまして、相当部分は檢査未済として未確認に置いてあるのでありまして、目下実地檢査、書面によつて檢査をいたしておるのでありまするが、只今まで分りました補助の行き過ぎということだけにつきまして御説明いたしたいと存ずるのであります。只今幾らか手心を加える点があるのも止むを得ないという御説明、これも事情はよく分らんことはないのでありまするが、只今申しましたように、非常に沢山な事案を処理して行くのでありまするから、その処理の方針は飽くまでも公平であり、公明であるということでなくてはならんと思うのであります。手心で以て、或る者は補助が貰えない、或る者は貰えるということであつてはならないと思うのであります。この自給製塩に対しまする批難といたしまして、第一に指定期日までに完成していないものに補助をやつたのは、先程も申しましたように第一の條件に適つていないという意味で批難しておるのであります。第二は小規模、即ち百トン以下のものに対しておやりになつたのは第二の條件に適つていないということであります。次には設備の査定が当を得ない。一つ一つつて見ますと、このものは補助の対象にするには無理であろうというような点が取上げてありまするが、そういつたような、大体分け方を二、三に分けまして批判を加えておるのであります。  第一の指定期日までに完成してないものに補助金をやつたというのは、飛島塩業と日塩興業でありますが、いずれも只今説明があつたのでありまするが、この飛島塩業の点でありまするが、実地檢査に行つて見ますると、これは飛島塩業というのは第一期、第二期、第三期に塩田が分れておるのでありまするが、大体において第一期、第二期、第三期とも、第一期は一部モルタルでありますが、あとは三和土で仕上げるということでありまして、総計十四万六千平米の塩田になるのでありまするが、実地檢査に行つて見ますると、尺余の雜草が繁茂しておるというのでありますが、これは只今仰せになりましたように、石炭事情の惡化のために数ケ月使わなかつたというので、或る程度の雜草は繁茂するであろうと思うのでありまするが、この塩田の状態を実地檢査に行つた者の調べますところによりますると、第二期、第三期はまあ形はできておるのでありまするが、塩田ではない、仕上げは全然していない、でありまするから、雜草が生えるのはこれは当り前の話でありまして、これは仕上げるのにどのくらいの何が要るかというと、ここにも書いて置きましたが、セメントは五万袋要るというのであります。五万袋のセメントというものは、初めは三和土で仕上げるのでありまするが、モルタルの仕上げにしまして、三センチの厚みにしまして全部ができてもまだ余るくらいでありまして、要するにそのこと自体もできていないということは、セメントが五万袋要るということだけでお分りだろうと思います。のみならずこれは甚だあれでありますが、專賣局の実態調査によりましても、やはりできていないということにこれはなつておるのであります。さようなわけで、本件は完成しているというふうに見られるのは、どうも無理だというふうに思われるのであります。  第二の日塩興業の点でありますが、これは砂層貫流という式なんでありまして、少し斜面になつておるのでありまして、まあ御承知かと思いますが、上からちよちよろと海水を流して、下へ流れるまでに海水が濃度が上るという仕組なんであります。これが斜面になつたのが第一塩田、第二塩田、第三塩田とありまして、第一塩田で流したものを第二塩田に持つて來て流し、第二塩田のを第三塩田に流して濃度を幾らか高めて行くということにもなつておるのでありますが、本件の場合は第一塩田ではこれを、普通海水が御承知のようにボーメ三度ぐらいでありますが、これを八度に高めまして、第二の塩田で更にこれを、十二度に高め、第三、塩田で、十八度に高めて鹹水にして、それから焚くということにまあなつておるのでありますが、漏水が非常に激しい。六十パーセント、七十パーセントという漏水でありまして、而も漏水が多いから、実態調査をして実績を調べたところによりますと、第一塩田に流すのにゆつくり流して八度のボーメを作るとすれば、恐らく下まで水が出ないという程度なんでありまして、三十パーセントぐらいが下へ流れて來る、そのものを調べても四度しかない。ボーメが四度上つたということは、まるで砂貫式として考えられないのでありまして、ただ一度ぐらい上げるのにそういう装置をするというのはどうかと思うのであります。で、ありまするから、実地檢査に行きまして、第二塩田、第三塩田は全然使用すらしていない。又使用ができないのであります。これらの点から見ましても、これは形はできておつても、やはり二月六日においては製造を開始し得るものでは全然なかつたということが言えるのであります。のみならず鹹水槽というのが、普通鹹水溜というのがありますが、それらは下の方がコンクリートであつて、上の方は鉄筋がそのまま覗いておるというふうであつて、これらも飛島塩業と同じようにできておるということは、行過ぎではないかというふうに考えられるのであります。  次に「小規模のもの」これは南山製塩、これは別府市亀川町にあるのでありまするが、只今の御説明には、実地檢査に行つたときは電氣が足らなかつたのだろうというのでありますが、そうではないのでありまして、電氣ではない、これは温泉の熱度が低い、ここに使つておる温泉の熱度が八十度くらいの温泉でありまして、この設備で百度であれば百トンは出るでありましようが、八十度くらいでは、とても出ない、丁度六十トンくらいしか出ないということになつておるのであります。詳しく説明すれば幾らもございますが、こういうわけで、これは結局ポンプを増設しなくちやならんというのでありますから、その、時の状態から見ますれば、百トン以下であるということは最も明かに立証ができるのであります。  それからもう一つ、南山製塩においては、これは專賣局ではないのでありまするが、会計檢査院政府の会計法に対して批判できるようでありますから申上げるのでありますが、八十九頁の所に南山製塩のことを書いておりまするが、この南山製塩の項目の中に、陸軍時代にこの南山製塩というのはできておるのであります。そうして元陸軍製絨本廠の利用工場として助成金を三百十万円貰つて、今ここで局で頂きましたのは余り沢山ではない、五十四万円でありまするが、陸軍時代に三百十万円を貰つておる。その外に陸軍時代には資材の拂下げ代として十万円貰つておるというので、陸軍時代は三百二十一万円がここへ行つておるのであります。その陸軍から專賣局に移ります時分に、いろいろと交渉はありまして、專賣局で補助金を出すような場合には、陸軍の三百二十万円の補助金の返済に充てたいというので、連絡はあつたのであります。二十二年二月二十日に連絡がありましたのに、越えて三月二十六日に專賣局の初めての補助金は十七万円出ておるのでありますが、これは返していない。南山製塩は返していないのであります。その後の三十七万七千円だけが返つておるというわけでありまして、南山製塩を全般的に見ますと、只今政府に返さなければならない補助金は二百八十三万一千円というのがあるのでありまして、專賣局の方の補助金は小規模であるが、やはりこれはおやりになつてはいけない。陸軍の関係は返還未済であるから、全額返還せねばならんという事案なのであります。  その次において「設備費の査定当を得ないも」というので、日本塩業について申しておるのでありまするが、これは只今説明がありまして、Aとか、C、Eというものは会計檢査院と所見を同じくしておられるのでありますが、Bについては、まあ見解が違うというのであります。簡單に申しますと、BもAと同じような取扱をせられるのが至当なのでありまして、これは大体構築物として扱つておられるようでありますが、若し構築物であるとするならば、Aと同じように大藏大臣の承認を得なければならんということになりまして、これは得られるわけのものではないのでありますから、これは若し使用料だというのであれば、会社の経営費そのものでありまするから、これを補助の対象にするということはよろしくないというふうに考えておるのであります。
  47. 下條康麿

    委員長下條康麿君) それじや本日はこの程度に止めて置きまして、散会いたします。    午後三時八分散会  出席者は左の通り。    委員長     下條 康麿君    理事            太田 敏兄君            西山 龜七君            山下 義信君    委員            今泉 政喜君            吉川末次郎君            北村 一男君            竹中 七郎君            深川タマヱ君            小野  哲君            駒井 藤平君            伊達源一郎君            千田  正君            小川 友三君            西田 天香君   政府委員    総理廳事務官    (建設院官房長    兼会計課長)  澁江 操一君    大藏事務官    (專賣局塩脳部    長)      松尾 俊次君   —————————————    会計檢査院事務    総長      東谷傳次郎君   説明員    総理廳事務官    (建設院総務局    総務課長兼特殊    物件課長)   植田 俊雄君    大藏事務官    (大藏省主税局    監理第一課長) 忠  佐市君    大藏事務官    (大藏省官房会    計課長)    大槻 義公君