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1948-05-19 第2回国会 参議院 決算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月十九日(水曜日) ————————————————   委員の異動 五月六日(木曜日)委員田中利勝君辞 任につき、その補欠として堀眞琴君を 議長において選定した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○國家行政組織法案内閣送付)   —————————————    午後一時三十分開会
  2. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 只今から決算委員会を開きます。予備審査のために付託せられました國家行政組織法案を議題といたします。政府提案説明を伺います。
  3. 船田享二

    國務大臣船田享二君) 國家行政組織法案につきまして、その大要を御説明申上げます。  現行行政官廰法は新憲法附属法律として昨年五月三日から施行されたのでありますが、同法は新憲法施行に伴い差当り必要な立法措置として制定されたものでありまして、我が國の行政組織につきましては、尚根本的な調査研究の後、恒久的な新行政官廰法を制定することが適当と認められ、從つて同法は施行後一年を限りその効力を有するところの暫定法案であつたのであります。  政府は、爾來行政調査部を中心といたしまして、調査研究を進め、恒久的な新行政官廰法の立案を進めて参つたのでありまして、最近に至り漸く國家行政組織法という新らしい法律案成案を得たのであります。併しながらいろいろな事情のために五月三日からこれを施行することが時間的に困難となりましたので、御承知のように先日國家行政組織に関する法律制定施行までの暫定措置に関する法律案提出いたしまして、現行行政官廰法効力を五月一ぱい延長することとし、國家行政組織法は六月一日から施行することとするという臨時措置をお願いいたしたのであります。かように國家行政組織法案は我が國の行政組織を律する恒久的な法律として立案されたものでありまして、その目的とするところは第一條に定めておりまするように各種行政機関組織基準定め、以て國の行政事務能率的に遂行するために必要な國家行政組織を整えることであります。そうしてこの目的達成のために個々制度につきましては、從來制度改革を加えた点が少くないのでありまして、以下その大要についで説明申上げます。  先ず第一点は、國の中央行政機関種類を府、省、院、廰及び委員会の五種と定め、國の行政機関原則としてそのいずれかに属せしめることといたしたことであります。この中府とは、総理府及び法務府の両者でありまして次に申上げます廰と区別いたしまして從來総理廰及び法務廰名称を改めたものであります。但し特に必要があります場合には、現在の経済安定本部に見られまするような内閣総理大臣を長といたしますところの本部を置くことができることといたしました。本部は次に述べますところの外局とは違いまして、府及び省と同様の取扱を受けるところの行政機関でありますが、この本部に属するものといたしましては只今のところ経済安定本部以外にこれを設けることは考えてはおりません。総理府法務府及び各省外局に当りますものには従來の院とか廰とか局とか雑多な名称を有するものが多かつたのでありますが、院及び廰の二種類に限定いたしまして、実行上は原則として院はその所掌事務に鑑み國務大臣を長とするものといたし、廰とはそれ以外の外局とする方針であります。尚最近特に総理廰の所管内に、人事委員会公正取引委員会地方財政委員会等いわゆる行政委員会が多数に設置されておりますが、これをも外局として取扱いまして、その結果、委員会という名称はこの種類行政機関に限つて用いることといたしまして、これ以外の各種の諮問的又は調査的な委員会には審議会協議会その他適当な名称を用いることといたしました。  以上のように、行政機関名称を統一いたしましたのは、この長の名称及びこれらの各機関内部部局及びそのそれぞれの長の名称をも統一いたしましたことと共に、從來の我が國におきまする行政機関及び職員に用いられておるいわば無秩序な名称整理いたしまして、行政組織を一目瞭然たらしめようとするものであります。こういうふうに、種類名称整理いたしました上で、この法律には別表を附しまして、中央行政機関種類及び名称を図示することといたしました。併しながらこの別表を作成いたしますためには現行機関をそれぞれ前に述べました五種に整理する必要がありますし、又その場合には、実体的な機構改革を併せて決定すべき部局もあるのでありまして、從つて別表は、この法律に基いて各行政機関設置法がすべて制定された後に、整理の上、附加することといたしましたのであります。  次に、これら各行政機関内部部局及び附属機関に関しましては、官房、局、部、課、係の外、必要のある場合は総局、班、及び総務室などを設けることといたしまして、現行制度と変る点はありませんが、部以上の設置及び所掌事務等政令でこれを定めることといたしました。最近における省又は廰の設置法におきましては、局の名称所掌事務等法律定めることが原則となつておるのでありますが、この法案におきましては、行政機関内部組織をどのように定めるかという問題は、行政部自身が決するということが、実際行政の便宜に適い、行政事務機動性を確保する上に適当であるという見地から政令事項といたしたのであります。但しこれによつて部局が濫立されることはもとより避けなければならないのでありまして、部局の増設に当りましては予算上の措置がこれに伴つていなければならぬ旨の規定設けまして、予算上から制約を認め、且つ予算議決を通じて部局設置については國会関與を確保いたしておるのであります。  次に、行政機関の長の権限につきましては、大体において現行制度を踏襲しておりますが、地方公共團体の長に対する各大臣権限その他について若干の相異が存しております。各行政機関に置かれる職員に関しても、大体において從來制度と変化はありませんが、新たに総務長官の職を設けたことが著しい相異点であります。これは國家公務員法におきまして、從來いわゆる事務次官特別職定められまして、大臣官分の欲する人物を自由に次官に任用し、且つその省の政務に参画せしめることによつてやや政務官的な地位の職となりましたので、これに應じまして、從來のいわゆる事務次官に当るものとして総務長官を置くことといたしたのであります。  最後に、公團現行制度におきましても、特定の事務に関しまして実質的に國の行政組織の一部を成す行政機関同一取扱を與えられておるのでありますから、この法律案はその実質に即しましてこれを國家行政組織の一部を成すものといたしまして、公團として設けられるものは別表にも掲げることといたした次第であります。  以上申し上げました諸点國家行政組織法案の主な特徴でありまして、要するにこの法案現行行政組織の体系を一定の規格に基いて整序することを第一の目的といたすものであります。このような形式的に整序されました行政組織実体に関しましては、この法案に基いて個々設置法定められることとなるのでありますが、それらの内容につきましては、もとより尚今後におきまして改革が行われることが予想され、現に政府臨時行政機構改革審議会設けまして、早急に機構改革成案を得るように努力いたしておるのでありますが、その成るに從いまして、逐次この法律定め行政機関種類の中にこれを採入れまして、我が國の全行政組織が整然たる秩序を以て構成されて行くことを期待いたしておるものであります。詳細の点につきましては逐次御質疑に應じて御説明申上げますが、何とぞ慎重御審議上速かに可決せられんことを希望いたします。
  4. 下條康麿

    委員長下條康麿君) どうぞ、御質問ありませんか。
  5. 山下義信

    山下義信君 私は総体的な質疑をいたしまして総理の御答弁を得たいと思います。  この行政官廰組織法の重大でありますることは今更呶説を要しません。只今國務相から提案の御説明がございましたが、極めて簡單な御説明、單にこの法案の表向の、いわゆる通り一遍の御説明でございましたので、総理にそれ以上の御説明を得たいとこう思うのであります。  この國家行政組織法に関連いたしまして、即ちその実体でありまする各省設置法案が揃うて出ませんというと、私共果してこの本法案が生きているかどうかということが、掴み得ないのでございまするが、まだ各省設置法案が出ておりませんから、この法案の上で伺わざるを得ないのでありまして、その意味で以下数点お尋ね申上げるのでありますが、行政機構改革につきましては歴代の内閣政策として掲げ來りまして國会に対しましてもその意味のことがしばしば公約せられてあるのであります。併しながら未だその実行を見ないのでありまして、今囘芦田内閣におきましては、國会に対しまする総理一般施政の御演説の中にはございませんでしたけれども、この行政機構改革につきましては総理として相当の御決意があるかのごとく新聞紙三その他におきましても伺つておるのであります。果してこの内閣におきまして如何なる行政改革をなさろうとお考えになつてありまするのか、その御方針を承わりたい。いや御方針ではないのでありまして、すでに具体的に実行の段階に入つておりまする今日、どういう改革をなさるのであるか、それを明らかにして頂きたいと思うのであります。即ち今日御提出になりましたこの國家行政組織法が、これが芦田内閣のなさろうとする行政改革のこれが根本でありまするか。即ちこの内閣行政機構改革の御方針が具体的に現われたものがこの法案でありまするか、言うまでもなく先程申上げましたその実体である各省設置法の御提出を予見して含めてお尋ねしておるのでありまするが、これが根本でありまして、この原則に基いて各省設置法が出るのでございますから、先ずこの根本原則をお定めになりましたこの法案、これが芦田内閣のなさろうとする行政改革の大体のこれが骨子となり、御方針となつておるものであるかどうかという点であります。尚この組織法並びに今後御提出なさる各省設置法案、これを引つくるめまして、これがこの内閣行政機構改革の全体でございまするか、或いはまだそれ以外に何か行政機構改革についての重大なる御構想でもあるのでございますか、これが全部でございまするかどうか。その点を伺いたいと思うのであります。若しこの國家行政組織法案が、これがいわゆる行政機構改革原則を示す法案であつて、これでやるのだ、こういう御所見でございまするならば、言うまでもなく議院内閣制に基きまするこの行政改革がなさなければなりませんが、この趣旨がこの法案のどこに出でおるのでございまするか、伺いたいのであります。換言いたしますれば、内閣総理大臣権限が強化せられましたるそのことが今後の行政組織の上に力強く出で來なければならんと考えまするが、それがこの組織法案のどこにその骨子が取入れられてありまするのか、お示しが願いたい。且つ又総理自分内閣でやる行政機構改革片山内閣言つてつたときとは少し違うのであつて自分内閣では能率化ということに重点を置きたいのだ。これは我が参議院の本会議でも御答弁に相成つておられまするが、その能率化ということに重点を置かれるというその原則がこの組織法案のどこに現われておるのでありまするか、お示しが願いたいと思うのであります。これが第一点でございます。  第二点といたしましては、この行政機構改革ということと行政整理ということとは表裏一体をしておるのでありまして行政整理を外しての行政機構改革というものは成立たない。行政整理ということにつきまして、総理人員整理の点につきまして大分具体的の考えを持つておいでになるようでありまするが、いわゆる二割五分の天引なんかはしないけれどもが、併しながら相当人員整理をしなくてはならん。これは政府の義務であるということをお述べになつたということが新聞紙上に現われておりまするが、果してどの程度まで行政整理をなさろうとするお考えがありますかどうか、お示しを願いたいと思うのであります。今日行政整理の要望せられてありまする点は、財政膨脹の抑止の点、インフレ阻止の根源は実に行政整理にあると言われておりまするくらいでありまして、重大なる問題でございまするが、これが從來いわゆるやるやると称しまして、ただ口頭彈に終つておりますることは、今更申すまでもございません。これをあなたの内閣におきましてはどの程度実現なさるお考えでありますか、お示しを願いたいと思うのであります。先般長期経済の御計画が御発表に相成りまして、相当國民はセンセーシヨンを起しておりますが、併しながらその外資導入受入れ態勢に当りましても行政整理断行ということはすでに識者の一致いたしておりまするところでございまして、その行政整理断行行機構改革断行のできる内閣こそ國民が支持したいと要望しておる点でございまするので、(「そうだ」と呼ぶ者あり)相当の御決意がおありと存じます。御明快な御答弁を願いたいと思うのであります。  第三点といたしましては、只今船田國務相の御説明の中に重大なる点がございまして部局設置に関しまする法律政令関係をお述べになりましたが、これは他の同僚議員からも質疑いたすことであろうと存じまするから私は省略いたしますが、この際総理の御見解を承わつて置きたいと思いまますることは、部局設置でなくしまして、私はこの行政部の全官吏の総定員というものは、凡そ幾十幾万人の官吏を使うという総体の定員、これは少くとも法律規定するのが憲法に即するものではありますまいか。いわゆる公務員を罷免する、公務員を採用することは、國民固有の権利であると憲法が述べておりまするその趣旨から申しますると、一方におきましては成る程予算でこれを制約する、予算でこれを決議するという権能があるかのごとくに見えておりますが、併しながら官吏の総定員を幾十幾万人その枠内において行政部がこれを適宜配置して使用すべきであるという総定員の点は法律で制定するのが至当ではないかと私は考えるのでこざりまするが、その点総理はどうお考えになりまするか、御所見を承わりたいと思うのであります。  次は、第四に次官の問題であります。この組織法の中にこれは重大問題の一つであると考えまするが、從來次官総務長官にいたしまして、新たに特別職次官を置くということに相成つております。これに関連いたしまして伺いますることは、現在の第二國会限り置かれてあります政務次官、これはにの國会限り廃止なさるお考えでありまするか、即ち言い換えまずればごの行政組織法案によりまするところの特別職次官、これを國会議員を以て充てるというお考でもお持ちでありまするかどうか伺いたいと思います。但しこれは選挙法改正案がまだ出ておりませんから、その辺は分りませんから伺うのでありますが、いやそうじやない、これは國会議員を用いる意思がない。政務次官はこの國会限りで廃止するというお考えでありまするかどうか、その辺を伺いたいと思うのであります。尚この次官政策並びに企画に参與するとありまするが、即ち大臣不在のときにはその大臣職務を代行するということが規定されております。内閣法規定によりますると、言うまでもなく大臣不在の場合は地の大臣がこれに代つて行うことが既定されてあるのでありまするが、大臣にあらざる者が大臣職務を代行し得られますかどうか、その点総理はどういう解釈をお持ちになつておりまするか伺いたいと思うのであります。  以上の諸点を御答弁を得まして、尚十分でございませんければ重ねて伺いたいと思います。
  6. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 山下君の御質問にお答えいたします。この國家行政組織法案と言います法案は、在來勅令政令を以て規定しておつた行政組織を新たに法律を以て規定したのでありまして古い各省官制通則という名前勅令によつてほぼ國家行政組織法同一の形態のものが行われておつたのであります。でこの新らしい法律が主として目標としておるのは、終戦後の新らしい行政組織の改廃をどういうふうに改めて行くべきかという点にあつたのでありまして、それは憲法並びに國家公務員法規定によつて官吏國家に奉仕すべき任務についても新らしき考え方が行われることになつておるのでありますから、その意味において旧來の各省官制通則とはその内容の、形においてよりも、むしろ精神において飛躍的な改革が行われたと言い昇るのでありますが、行政組織の具体的の形体については專らこれを各省設置法案譲つたのでありますから、この行政組織法の中には、それらの具体的の問題は一つも現われておりません。従つて若し機構改革行政機構改革という山下君の御注意であるならば、必ずしもその個々機構改革が、只今國家行政組織法の中には現われていないのであります。この法律の中に現政府が探らんとする行政機構改革が、如何なる形で現われておるかという御質問に対しては、この中にはそういう意味各省形体に関する具体的の考え方は現われていないとお答えする外に途はないのであります。併しながら行政機構改革及び行政全般機構の変改につきましては、行政調査部において一應の原案ができ上つております。閣議においても、その方針をすでに決定いたしましてその中の一部分機関については、それぞれ具体的にこれを廃止するもの、或いは地方自治体に委譲するもの、若しくは更に改めて今後一つの省を設くべきもの、或いは廰として新たに設くべきもの、或いは廃止すべき局等についても、具体的に目下政府内部において決定中であります。その中の一部分のものは関係筋と打合せを遂げておる最中でありまして遠からずその具体案國会審議に付することになると考えております。  尚行政整理につきましてはそれぞれの省において能率の発揮のために、或いは事務簡捷のために、今後縮小し得べき定員を具体的に調査させまして、行政調査部の方へ報告を求めており、すでに大多数の省からは、それぞれの具体案が出ておりますから、これを余り長き時間を経過することなくして、國会に御報告することができると考えております。行政整理及び行政機構改革については、内閣としては固き決意を以てこれを断行する所存であります。  次に、大臣不在の場合には次官がこれを代理し得るという規定についての質問でありましたが、從來といえども、場合によつて大臣がその事務を執り得ないときに、次官がこれを代理した場合もしばしばあつたわけでありまして、その規定は或る意味において從來の実際の姿を法文の上に書き示して疑いを残さないようにしておこうという趣意であります。政務次官法律に明記してあるごとく、第二國会を以て現在の政務次官制度は廃止されることになつております。將來これをどうするかということは、只今研究中でありまして未だ最終的の決定にはなつておりませんが、國家行政組織法中に次官を特殊の政務に参與せしめる機関といたしましたことは、必ずしも現行政務次官に代る制度という意味ではないのであります。國会議員只今の「國家行政組織法」中に掲げておる各省次官に就任することが許されるかどうかという点につきましては、今少し國会内の御意見を非公式によく伺つた上で、その点をはつきりと定めまして、……ここに掲げられておる次官國会議員たる人を用いないのであるか或いは又國会議決を経て國会議員次官に任用し得るがごとき制度にするかという点については今暫く諸般の情勢を研究いたしました上で決定いたしたいと考えておる次第であります。議院及び衆議院の各委員会との連絡の任に当る特殊の機関設けてはどうかという議論も行われておりまするので只今はその方法についても研究をいたしております。本会期中には具体的の案を決定いたしまして、國会審議を求めたいと考えておりまます次第であります。
  7. 山下義信

    山下義信君 総理の御答弁の第一の行政機構改革は、この國家行政組織法案の上には出ていない、こういう御答弁で、各省設置法案が出たときに見て呉れろ、そこではつきり分る。こういう御答弁で、芦田内閣としての行政機構構想只今おつしやりません、深くは……おつしやることがないのでございますれば、重ねては伺いません。併し各省設置法案というのは、この國家行政組織法というものを基準にしてお作りになるのとは違いますが、國家行政組織法とは関係なしに各省設置法案というものが出ますのですか、この國家行政組織法というのは何の法律でございますか、これは我が國の行政組織の根幹をお決めになる法案でございましよう。それはすでにこの法律目的の最初にそれを掲げておいでになりまするこれが若しあなたが行政機構改革を行われんとなさるるのならばその御意図がこの國家行政組織法の上に現われていなければならん。ここにお決めになつていないことを各省設置法案お作りになろうことはできない筈と私は思う。それでこの國家行政組織法根本基準をお定めになつたのですから、特に芦田内閣行政機構の御意図がこの法案の上に出ておるかということを私は伺うのであります。何も出ておらん、これは前の内閣から続いて行政調査部がやつた、それが作り上げたものを自分総理大臣なつたときにこれを提案したのであつて、何も芦田内閣が特に力瘤を入れたものではないとおつしやるなら、それでよろしいのであります。何かあなたの独特の御見解、この内閣の独特の何か抱負がこの法案に出ておるかということを承わりたい。例えば一例を挙げて申上げましよう。行政組織行政官廰種類をお定めになりました。府というのをお設けになりました。何のために府をお設けになりましたのですか。行政調査部の練達堪能なお方考え出して、こういうことを原案に持つて來たから御決裁になつたのですか。何のために省という以外に府というものをお設けになつたのですか。内閣総理大臣権限を強化することが、今日新憲法の独特の行政府の在り方でござり、行政権在り方である、これは言うまでもありませんが、それを十二分に御発揮なさるということが、今後の國家行政組織根本方針でなくちやならんと私は考えるが、それが即ちこの行政組織法のどこにお示しに相成りましたかということを伺つておるのであります。もう一度その辺を明らかにお示しを願いたい。それから行政整理につきましての具体的なお考えのお示しが願われませんでした。即ち官吏人員相当整理なさるお考えがあるかどうかということを、もう一度お伺い申上げます。それから尚官吏全体の総定員定めることは法律によることが適当であると思われるが、総理はどうお考えになります。あなたは憲法につきましては御権威あるお方であるから、たまたま総理大臣の重責にもおいでになるので、その点の御見解を私は承わつておりますが、御答弁がございませんでした。併せて重ねて御答弁をお願いいたします。
  8. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 只今國家行政組織法の中に特に芦田内閣政策が盛り込んであるかというお尋ねでありましたが、これは如何なる内閣でありましても、この程度組織法を作るということが、これは当然でありまして、特に芦田内閣なるが故にこの点についての特色とすべきものを挙げろという御意見でありますれば、私の方の内閣として特色とすべき点は、この中には織込んでありません。府というものを設けたのも新らしい制度ではありません。今まで総理廰言つてつたのを今度は総理府という名にする。司法省が法務廰なつたそれが法務府になる。これは名前を変えましたのは制度の必要上変えたので、内容実質上において、特に從來総理廰総理府となることによつて大きな変更を受けるということではないのであります。尚只今すべての國家行政組織が具体的にこの法律の中に一本で出るような行き方をするか。或いは國家行政組織の中で抽象的な大臣次官、局長の権限、或いはその権限の中の命令事項等定めたものが國家行政組織法案であり、單に各省に互る具体的な組織定めたものが各省設置法案であるということは、山下さんの御承知通りでありまして、政府といたしましては、それを必ずしも一本の法律にしなくとも、便宜のためにこれを國家行政組織法という一つの通則を設けて、そうして各省に互る具体的な組織等については、それぞれの各省設置法案に譲る。こういう考え方で立案をいたした次第であります。  尚行政組織改革及び行政整理の具体的の案につきましては、先程お答えした通りであります。今日の政府在り方としては、最後の発表をいたします前に、それぞれ関係方面との了解を必要といたすのであります。それができ上ります以前に、具体的の案を國会において政府より説明いたすことは困難な事情があることは御了解下さることと思います。  それから役人の人数を法律を以て定めることがよかろうという御意見であります。これは言うまでもなく各省定員は、それぞれの法律規則によつて定められるものでありますが、國会はそれらの点について予算その他の点から十分に監督される権限をお持ちになつておる。併しながら各省定員を一々法律規定によつて定めるということは、時によつては必要な場合に時機を失するごとき虞れもあるという考えの上から、各省定員法律決定する方針は今の政府においては採つていないのであります。その点は必ずしもこれを固執する必要もないと思いますから、國会の方において多数の御意見法律を以て定員定めることがよいという御意見であれば、政府としてはその点を十分勘考することに吝かのものではありません。
  9. 山下義信

    山下義信君 この法案は別にこの内閣が独特の何も考えを持つたものでないということでございまして、それならばそれでよろしうございます。そうするとこの本部というものを設けますということも何もこの内閣の特別のお考えではないと承知してよろしいのでございますな。そうすると本部長は総理大臣を以てこれに当てるというあのことは、この内閣のお考えではないので、何も特別のお考えではないのであります。そうすると先般何かこのことを閣議で御協議になりましたのと違いますか、これは現在の安定本部在り方につきまして、ここにこういうものを基準法の中にお定めになりましたのは、この内閣のお考え方ではないかと思つたのでありますが、それもそうではないというふうに承知してよろしうございますか。それから私が伺いますのは、例えば公團というものをこの國家行政組織の一部にお加えになつた、これも何もこの内閣のお考えではないと承知してよろしうございまするか、又例えば非常にこの行政改革の上においては、能率化ということに重点を置くという総理の本会議におきまする御答弁でありまするが、これはこの能率化ということにつきまして、何もこの上にはあなたのお考えも現われておらん、こう考えてよろしうございまするか。その点を尚重ねて私は念を入れて伺つて置きたいと思います。
  10. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 本部というのは主として安定本部を指すのでありまして、これは御承知通り從來安定本部の命は一年ずつに切つて出しております。極めて臨時制度でありますから、特に安定本部というものは各省とは別な取扱い方をする。こういうふうな育て方にしておるわけであります。それから能率化の問題は、正直に申しますと、法律規則による部門は、例えば重複したる機関を統合するとか、或いはその地事務の妨げとなるがごとき徒らに煩瑣なる組織を簡素にするという部門においては、法律の力によつてこれを改めることができるのでありますが、現在の行政組織全般についての進め方は、むしろ臨機的改正の部門に重きを置くべきである、かように考えております。國家行政組織法の中には特に行政能率化というふうな意味における規定は多く含んでいないものと御了承願います。
  11. 山下義信

    山下義信君 もうこれで私は伺いません。数囘伺いましたところ、結局は何もこの法案に関しては、あなたの御理想も御抱負も関係がないということに帰著いたしました。が併しながらこの法案によりまして、内閣でお考えにならなければならんことが多々出るだろうと思うのですが、それも何もお考えがなさそうでありますが、これも念のために最後に伺つて置きましよう。すべての委員会でありますとか、院とか廰とかいうものの外局になりますということが、明らかにこの法案規定せられます。そのいろいろなもののいわゆる総裁などを國務大臣がいたしております。外局になりますと、國務大臣がそれに当ることができんと思います。例えば行政調査部の総裁であるとか、建設院の総裁でありますとか、これは省になればともかくでありますが例えば地方財政委員会というものの担当の國務大臣がある。事務の担当の國務大臣がある。それらの外局も担当するというのは、この基準法で申しまするというと適当でないように考えられまして、いろいろ國務大臣をあなたがお使いになります上において、担当事務の区処の上に何らか基準ができまするとお考えにならなくちやならんと私は考えますが、内閣の運用の上におきましても何ら一向関係がございませんか。何らか考えをお持ちになつておりますか。その点を念のためにもう一度伺つて置きたいと思います。
  12. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 今日の國務大臣の大部分はそれぞれの事務の管掌によりまして、或いは賠償事務でありますとか、或いは行政調査部の仕事であるとか、地方財政委員会の仕事であるとか、事務の管掌上分担をしているわけであります。併しながら今日までの経験によりますと、少しもこれがために不便を感じたことはないのであります。今後或いは外局の長であつても、場合によつて國務大臣を以てこれに当たらしめることがあるかも知れないと思いますが、これも少しも差支えない。かように考えている次第であります。
  13. 山下義信

    山下義信君 只今総理は重大な御答弁をなさいました。外局の長でも國務大臣をこれに充てるということは、この組織法のどこに書いてあります。この組織法を見ますと、大臣外局の長に当たることはできない。殆んど各省大臣しか置くことができないように基準法では見えるのであります。今までの無任所大臣内閣法規定でございますが、この組織法によりますと、外局の長には大臣を以て当てることができないように了解しております。どこに大臣外局の長に当たることができることがございますか。
  14. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 外局の長に当つて差支えないということは書いてございませんが、外局の長とすることができぬとも書いてありません。外局の長になつても差支えないと思います。
  15. 山下義信

    山下義信君 妙なことを総理はおつしやられます。外局は言うまでもなく主任の大臣がありまして、外局の長が大臣になると、大臣は主任の大臣の指揮を受けるのでございますか。
  16. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 例えば安定本部のことにつきましては、私が総裁であり、安本の総務長官國務大臣でありますが、私の指揮命令を受けます。又行政調査部の仕事をしておられる船田國務大臣は、その所管の事務に関する限り総理大臣の管轄を受けるのであります。その点は少しも差支えはないのであります。
  17. 小川友三

    ○小川友三君 簡単に本案につきましてお伺い申上げます。第十七條のことにつきましてお伺い申上げます。曾てこの間の決算委員会に船田國務大臣がお見えになりまして、今度できる次官國会議員でないところの次官を出すのだということを言われたように記憶いたしております。只今総理大臣の御意見では國会議員から出すか一般から出すか、まだ分らないようなことを申されたのでございますが、この点につきまして國務大臣船田さんと総理大臣意見が喰い違つておりますが、どちらが本当であるか、大体國会議員にあらざるところの次官を出すということは、これは政治の退歩であると私は信じているのであります。民主主義政治の退歩であると思います。素人を勝手に次官に当てて、大臣の代りを不在の場合にはやらせることは、民主主義政治の非常な退歩であると信じます。次官は是非とも國会議員から出して貰いたいのであります。そうでないように思いますので、その点を決まつている範囲を是非明確に御答弁を御願いいたしたいのであります。それが今の総理大臣の御意見の中で、新らしい考え方國民にいろいろあるように思われるというような節の御答弁があつた中に國会議員でない人で次官になりたいという人が沢山あつて、その人々は動いておるというように、まあこれは勝手に思いますが、この点につきまして総理大臣のお気持をざつくばらんにここで打明けて頂きたいのであります。それから能率を上げる本案と言いながら第五條の方を読んで頂きますと分りますが、法務総裁はその地位に最もふさわしい者の中から総理大臣が指名をするが、外の大臣はそれが書いてありません。外の大臣は誰でもいい。農林大臣に素人がなつても、農林行政に暗い者がなつてもいい。水害があろうがどのくらい米が穫れるか、見当が付かない。肥料問題にしても硫酸アムモニアをやるべきものを硝酸アムモニアを配給しておるというように非能率的な仕事をやつておる。即ち農林大臣の地位に最もふさわしい農林大臣を選べということは明記してない。又地位にふさわしい総理大臣を置くということも明記してない。それに対して総理大臣の責任ある御答弁をお願いいたす次第であります。それから第三條に府は法務府と総理府と二つであるということを國務大臣の船田さんはおつしやいましたが、総理大臣に伺いますが、宮内府は吸収したのですか、抹消したのですか、それにつきまして責任ある御答弁をお願いいたしたいと思います。
  18. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 小川君の質問にお答えいたします。法務総裁のことを特にここに書きましたのは、別に各省大臣よりも法に通じた特殊の理由があるというのではありません。從來各省の中で扱つてつた仕事以外に新らしく法務府なるものを設けましたのは時代の進化に伴つた新らしい制度であります。從來国民の間で十分法務の方の仕事が理解せられていないことを懸念いたしまして、特に法務総裁のことを書いたわけであります。各省大臣と誰も、無論内閣総理大臣が最も適任者を選ぶことにおいては、少しも法務総裁の場合と異つておりません。新らしく法務総裁なる地位が設けられたがために、念のためにかような箇條を入れたに過ぎないのであります。  それから宮内府は將來宮内廰となります。名称は府と廰と変りますから、府は二つに限ると、こういうことに新らしく内閣総理府設置法と申しますか、そういう法案の中にそのことは出て來る筈であります。  それからもう一つお尋ねになりました点は、恐らく船田國務大臣意見決定的な内閣決定をお話になつたのではなかつたと思うのですが、内閣ではその点をまだ多少研究する必要がありまして、最終的の決定に至つておりません。なんといたしましても國会議員次官に任用するということは、國会の同意を得なければならんのであります。かような決定に到達する前に、参衆両院の御意見を非公式に伺つて、然る後に最後の決定をしたい、さように心得て、その点は違つていないのであります。尚、議員以外の者から次官を採る場合弊害がありはしないかという御意見でございます。從來の経験によりますと、次官の地位に議員以外の者がなつたがために特に弊害というものはなかつたのでありまして、そのために事務次官の短を補う機関として政務官の制度等も活用いたして來た次第であります。この点は必ずしも國会議員でなければならないというまだ十分の確信を持つに至つていないのであります。成るべく近い機会にはつきり内閣の議を決定したいと思います。
  19. 船田享二

    國務大臣船田享二君) 只今小川委員からのお尋ねの中で、次官の問題に関して、私が國会議員から採らない方針だと申上げたというふうに小川さんはお考えのようですが、私そういうことを申上げた覚えもございませんので何かのお聞き違いではないかと思います。(「その通り」と呼ぶ者あり)國会議員から採るか採らないかということは、國会法の方の問題でもありますので、まだ決まつておらないということを申上げたに過ぎません。國会議員から採らないというようなことを申上げたことはございませんので、從つて只今総理答弁と全然矛盾するところはありませんので、念のために申上げます。
  20. 小川友三

    ○小川友三君 総理大臣にお伺い申上げます。國会議員以外から次官を出しても今までに弊害はなかつた、こう申されておりますが、私は改めて民主党の総裁であられる総理大臣にお伺い申上げます。國会議員の中から大臣に代るべき次官を出すのは当然だと思いますので、閣議においても國会議員の中から次官を出すように願いたい。國民の代表でない者、即ち議員でない者が次官になつては非常な弊害が伴うということはこれは想像ができるのであります。それは政治が腐敗をし、或いは闇屋が或る力を以て次官に入つて來る隙があるし、いろいろな非難、悪材料が出る場合が想像できるのでありまして、この闘い取つた民主政治のために……むろん國会議員の中からお出しになるということになると國会の同意を経なければならんという、國務大臣総理大臣政府等の苦しい立場もありますが、國会議員の同意を得たるところの次官を出すということが民主政治にふさわしいものと考えます。どうぞそういう点について御答弁を願いたい。
  21. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 只今小川君の御意見はよく承わりまして、政府においても十分考慮をいたしたいと思います。
  22. 西山龜七

    ○西山龜七君 私は全体的のことについて総理大臣に御質問申上げます。これまでにあるあらゆる國家機関、又最近新らしくできております國家組織に職を奉じておられる人々に対する政府の給與の支給方針と、これに関連する問題について総理大臣の御所見を伺います。  第一は先般問題となりました裁判官に対する待遇と一般官公吏に対する待遇を如何に差別をつけて支給せられる御方針であるか、同じ年齢で、同じ学校を出て、甲は裁判官に、乙は各省官吏に、丙は或る技術方面に等々、おのおのその自己の性格や、志望等によりまして、國家のあらゆる機関に奉職しておるのが実情であります。然るに裁判官は特殊な地位に置かれているという関係で、特別な待遇をすべきが当然であるかどうか。当時或る新聞のごときは、大きな見出しを以ちまして、この待遇問題を取上げまして、裁判官は最低一万円というがごとき報道をしておられることは御承知通りであります。政府といたしましては裁判官と一般官公吏との給與に対する支給方針を如何に考えておられるか。同じ学窓を出て、同じ國家機関に職を奉じ、同じ年月を奉職いたしまして、同じような家族を持つている者で、一方は裁判官であり、一方は他の官廰の官吏であるといたしまして、その給與を何程の差額をつけて支給せられる御方針であるか、その根拠と、差別の程度を明確に御説明を願いたい。  それから第二は、裁判官は特別な位置を保つていかなければならない関係で、特に優遇せなければならぬという理由の下に、特に他の官吏と差別をつけて待遇するとなれば、他の國家の諸機関に奉職しておりまする者は、その職責に最も忠実でなくともいいという印象を與えるのではあるまいか。同期に卒業した友人が裁判官になつたために、國家より特別なる給與を受けるなら、我々は自己の職務を利用して役得をしても差支えないのじやなかろうかという考え方も起つて來るのではあるまいか。御承知のように生活困難なる現状におきまして、おのおのその立場を異にいたしまする者といたしましていろいろの考えを持つものと見なければならぬと思います。私は過般の新聞記事を見まして、これは思想上非常に悪い影響を及ぼすのではあるまいかと心配した次第であります。特に官僚道のやかましい今日、この思想上に及ぼす影響に対しまして、政府は如何なるお考えを持つておられるか、この点をお尋ねいたしたい。  最後にお尋ね申上げたいのは、名誉ある位置に就く者は、その位置の関係上、物質上の待遇を問題とせないことは古來一般の常識となつておるのであります。その意味におきましては裁判官のごとき地位にある者に、その地位名誉のために逆に一般官吏より薄給でも可なりとも言い得るのであります。裁判官の地位を持つために特別なる待遇をせなければならんとせば、私は一般官吏は融合の罪悪と闘い、これに打勝つて行くために、先ず第一に生活に不安を與えない程度の給與を與うべきであると確信する者であります。要は生活の安定が根本でなければならんと思うのであります。私は過般の新聞を見て、現在は如何なる地位にある者でも、闇の生活をせずして、配給物資による厳格な意味における生活をせんといたしますなれば、特別に金銭を以て優遇をして貰つても、それは意味を成さないではあるまいかと思うのであります。裁判官のごとき、特殊の地位にあるという意味で、金銭を以て優遇をしても何らその支給の精神に副わないであるまいか。現在の社会の現状はさように私は考えるのであります。永い慣例によりまする裁判官と一般官吏公吏との給與の均衡等を考慮なされましてそこにいろいろの思想に悪影響を及ぼさないように善処すべきであるまいか。その点につきまして一から三点まで、総理の御所見を承わりたいと思います。
  23. 芦田均

    國務大臣芦田均君) お答えいたします近代の民主主義を採用しておる國家におきましては、申す迄もなく法治國の精神が國内に徹底するごとき施策を行わなければならないのであります。法の尊厳を維持することが國内の民心を安堵せしめる最も根本の條件であることは御承知通りであります。それがためには國内の優秀なる人材を裁判官に配置し、廣く國民の信頼を博するごとき立派な司法の権威を示さなければならんと考えるのであります。そういう意味におきましてイギリス、アメリカ等においても、特に裁判官に優遇の途を開いておることも御承知通りであります。我が國においては不幸にして今日までその点においてやや司法の尊厳を維持する方法を考慮しなかつた点があると考えられるわけであります。そういう意味において今回裁判官に対する特別の給與を定めましてすでに衆参両院に審議を願つております。司法委員会において法務総裁よりもすでに詳細に説明をいだした筈であります。極く大まかな数字で申しますと、普通の行政官に比べて裁判官の受ける俸給は、特に手厚い者と、又等しい者とあります。例えば最高裁判所の長官は、内閣総理大臣同一の俸給を受けます。俸給というよりも報酬と言つております。最高裁判所の判事は國務大臣と同額の報酬を受けております。それ以下の裁判官においては、いろいろ段階が分れておりまして、詳細の数字を今ここで申上げることは困難でありますが、概して一級官、二級官の裁判官の報酬は、行政官廰の同階級の者に比して、多くなつておるのであります。その程度は場合によつては四割ぐらい高給になつておるかと思います。只今のお話のように、同じ学校を出まして同じ年限政府に勤めて、裁判官なるが故に特に多くの報酬を受けるということは、他の行政官に対する精神上の影響が悪くはないかというお話でありまして、或いはさような考えを抱く者があるかと思いますが、大体裁制官というがごとき責任の重い、殊に新憲法による裁判の地位から考えた場合に、他の行政官よりも裁判官に高い報酬を國家が支拂うということは、司法の尊厳を維持するために、又裁判所に人材を吸収する上においても適当である、かような考えで、或る場合には行政官よりも比較的高い報酬を受けることに決定したわけであります。併しこれは必ずしも國家公務員のみに限らず、実際社会の生活を見ましても同じ学校を出て同じ期間働きながら、或る職業においては多額の手当を受け他の職業においては、比較的僅かな報酬を受けておるというのが、実社会の実例であります。これらのことはその時と場合に應じて國家が適当にこれを決定することが実状に即した行き方であるとかように考ておる次第であります。
  24. 中川幸平

    ○中川幸平君 本法案に関連いたしまして、一言お尋ねいたして置きます。芦田内閣は四月、五月、六月と暫定予算提出されて、近く本予算國会提案されることになつておるそうであります。五ヶ月の通常常会の期間に間に合わなくて、四十日の会期延長に相成つたのであります。申す迄もなく、これは新物價体系及び行政機構並びに行政整理のいろいろの事柄が決まらなんだためであろうと存ずるのであります。然るところ、先般の当委員会におきまして船田國務相が、行政調査部審議会が毎週一囘開催いたしておつて、六月の月末に答申案が結了するように話されたのでありまして私はこの点について誠に不可解に考えておるのであります。予算の大部分を占めるものが官公吏の人件費その他であろうと思うのであります。この本予算を組むに当りましては、行政機構改革の工合、或いは行政整理の大体が決まらんければ、その予算は組めない筈であると思うのであります。今日國民は大々的の行政整理を要望いたしておるのであります。即ち地方公共團体は大々的に出先機関整理を要望いたしております。その他いろいろ行政機構改革を叫んでおるのでありまして、果してさようなぬるいやり方でよいのであるか。毎週一囘で六月月末まで掛かるものならば毎週三囘やれば五月中に済むのでないでありましようか。その点を非常に不可解に思うのであります。果して芦田内閣がこれを断行しようという御意志があるのでありますか。あるならば、五月中に今囘の予算にその点が現われなければならんと考えるのであります。それらの点につきまして、総理並びに船田國務相の御答弁をお願いする次第であります。
  25. 芦田均

    國務大臣芦田均君) お答えいたします。行政整理及び行政機構改革につきましては、行政調査部において絶えず臨時の会合を開いて、又閣僚と懇談する機会を作り、極めて熱心に調査研究をいたしておるのでありまして、すでにその一部の提案内閣の閣議において決定をいたしたのであります。尚残つている部分について今日審議続行中でありますが、恐らく一應の案は來月の終りを待たずして決定すると存じております。  尚この行政整理に伴う予算の問題は整理を行なつた初年度は一時国家の経費は増加いたします。整理すべき人員に支給する手当等が相当の多額に上りますために、行政整理を行なつた初年度は原則として経費が一時膨張いたします。併しこの膨脹は第二年度以下の年次旭整理によつて容易に償うことのできるものでありますから、政府としては一時の膨脹を恐れて整理を怠るごときことは断じていたさないつもりでおります。さような関係上、仮に六月以後直ちに行政整理に着手したとしましても、二十三年度の予算がそれがために著しき減額を見るということは期待できない、かように見通しをつけておるわけでございます。御了承を願います。
  26. 小野哲

    ○小野哲君 本日は大体において総括質問だと存じますので、法律の各條につきましての質問は差控えたいと存じますが、この御提案になりました法律案を通観いたしまして感じましたことは、從來官制によつて國家行政組織が作られおつたものが、法律によつて規定されるという方針が、すでに第一囘の國会において打ち立てられていることは御承知通りであります。特に第一囘國会におきまして、先ず最初に本委員会の手掛けました行政組織に関する法律案は、労働省設置法案でありまして、その際に新憲法趣旨に則つて部局設置法律によるべきである、こういうことに院議が決定いたしまして、修正をいたした例があるのであります。その後或いは建設院の設置法案において、又は海上保安廰設置法案において、更に又最近政府から提案されております経済査察廰の法案或いは中小企業廰の法案等におきましても、いずれもが國会議決に感じて行政機関である政府はその法律案提案されておるのであります。言い換えれば、すでに国家行政組織法案の御提案以前において、國会においても亦政府においても、言い換えれば立法機関行政機関両者を通じまして一つの既成事実としての行政組織設置に関する形態が生れておるのであります。ところが今囘御提案になりました國家行政組織法案を拜見いたしますというと、外局はこれを別といたしまして、内部部局につきましては、これが設置及び所掌事項に関しては挙げて政令に委ねる、こういうことに相成つておるのであります。これらの事情を勘案いたしまして、政府は今囘の國家行政組織法案を御提案なさる際に、又立案をせられるに当りまして、從來國会の意思を無視して、かような法律案を立案されることになりましたということについて、私は総理大臣の御所見を先ず以て伺つて置きたいと思うのでございます。
  27. 船田享二

    國務大臣船田享二君) 小野委員の御質問に対しまして、行政調査部の方で考えましたところの方針を大体申上げて、御参考に供したいと思います。申上げる迄もなく憲法第六十六條では「内閣は、法律定めるところによりその首長たる内閣総理大臣及びその他の國務大臣でこれを組織する。」と規定しておりますので、内閣組織法律事項であるということは確定いたしておりまして、從つてこの内閣組織と不可分の関係にある限りにおきましては、行政機関組織法律によつて定められるということになるのであります。併しそれ以外に、憲法では内閣の統轄の下における行政機関組織につきましては、何ら規定設けておらないのでありますので、府及び省の内部組織をどういうふうに定めるかということにつきまして、憲法上から特別の要求はございませんので、法律事項とするか、政令事項とするかは憲法によつてはつきり定められてあるというわけではないと考られるのであります。従いまして行政機関内部組織をどういう形式で定めるかという問題は結局憲法によつて内閣に属せしめられております行政権を、内閣を頂点とする行政部が遂行して行く上において、適当であると思われる原則によつて決定しでも差支えないと、こう考えられるのであります。但し言うまでもなくその場合に、國権の最高機関たる國会によつて行政権の行使が統制されるということは、認めなければならないことは勿論でありますが、それと調和する限りにおいて、行政部の便宜を考慮して、制度を立てるということがむしろ適当であると考えられるのでありまして、そういうような考え方から本法案は各行政機関に配分された行政事務を所掌する上に、如何なる部局設置し、如何なる範囲の所掌事務をこれに配分するかということを行政部の自律に委せまして、その実際の便宜によつて政令で以て定めることといたしましてこれによつて行政機動性と便宜を擴張して行こう。そうしてその能率を高めて行こうという建前を採つた次第であります。これに対しまして、こういうような行政権の行使に対する國会の統制が、どういうふうにして確保されるかということを考えなければならないことは勿論でありますが、この点は第一に憲法によりまして、議院内閣制原則が明らかとされ、國会行政各部の統轄に当る内閣という最高の行政機関の運命を決し得るということになつておりますので、その上、強いて府政部内部の組織までに關與しなくても、行政権に対する國会の統制は確保されておるのではないかというふうに考えられるのであります。  又第二に、この國家行政組織法案におきましては、國の行政機関組織はこの法律定められるべきだということを規定しておりますし、又行政機関所掌事務の範囲及び権限は、別にそれぞれ法律によつて定めらるべきことを定めておるのでありまして、即ちこの法案によりますれば、行政機関組織と、所掌事務の範囲と、権限とがはつきりと法律によつて定められねばならないという原則を確立いたしておるのでありまして、從つてこういうように法律によつて定められた組織を持つ行政機関が、法律によつて定められた範囲の事務を所掌するについて、内部の部局をどういうふうにするかということまでも、法律によつて定むるというようにしなくて心、國会行政部に対する統制は、十分に行われ得ることと考えられるのであります。  更に第三に、先程もちよつと申上げましたように、部局設置政令事項といたしておりますが、それには予算上の措置が伴つていなければならないということをはつきりと決めておるのでありまして、國会はこの予算審議を通じて、適切な統制を行い得る。こういうように考えたのであります。こういうような理由から、改めてこの國家行政組織法を作るにつきまして、新たな立場から行政部の便宜、惑いは行政機動性というようなことを考え部局の問題に関しては、これを政令事項とする方が適当ではないかというように考えた次第であります。
  28. 小野哲

    ○小野哲君 只今船田さんの御答弁はすでに第一囘の國会において労働省設置法案審議いたします場合に、質疑應答が繰返されたものでございます。從つて本日は法理論をこの際お互いに論議いたしますことは、後の機会に待つことといたしまして、とにかく政府行政権の作用の機動性の確保、或いは便宜の点から、かくすることが妥当であるという御見解から、部局の新設等につきましては制令に委ねることが適当である。こういう結論を得られてこの法案を御立案になつたということを、本日は伺つて置く程度にいたして置きたいと存じますが、参議院において過去の行政組織設置に関する法案において取りました態度が、先程申しましたようなものである、又現にさような考え方を恐らく決算委員会委員各位はお持ちになつておるのではなかろうか、かように存じますので、本日は一應この程度に止めて置きたいと思います。……今船田さんの御答弁がございましたが、総理大臣の御所見として、法律論ではなくして、從來行政組織設置に関して取りました國会の意思と申しまするか、そういうふうに決まつておるに拘わらず、特にこれと全然正反対な内容を持つた條項をお定めなつたということは、政府として、内閣として、何らかの御意図があつたのではなかろうか、この点についての御所見を伺いたい、こういう点でございます。
  29. 芦田均

    國務大臣芦田均君) その後いろいろ考えました結果、やはり行政機能の上から考えまして、特に一々部局の部門を……或る程度行政の首腦たる政府に任意変更する権限を持たしめることが適当である、かような考えに更に一度立て変えたわけであります。この問題は、当初からそういう考えで、衆議院その他においても一應の決定を見たのでありまするが、参議院の御意見を尊重して、部局設置変更についても法律によるという例を暫く採つて來たのでありますが、更に今囘この案を作ります際に元の考え方に帰つて、もう一應参議院において御審議を願いたい、こういう考え提出したようなわけであります。
  30. 小野哲

    ○小野哲君 総理大臣の御答弁によりますと、政府としてはさような見解をお取りになつた、かように了承いたしますので、國家行政組織法案審議に当りましては、本委員会におかれては更に今囘の政府の御意見について十分な御檢討を加えられんことを、私から希望申上げて置きます(「賛成」と呼ぶ者あり)
  31. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 外に総理大臣に対して御質問ございませんか……ありませんければ、本日はこの程度に止めて置きたいと思います。  外の問題についてお諮りいたしたいと思います。今朝経済査察廰設置法案予備審査のために決算委員会に付託されたのであります。併しその内容は治安及び地方制度委員会に密接な関連がありまするから、その委員会との連合委員会を開くことにいたしたらどうかと思いますが、御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 下條康麿

    委員長下條康麿君) それではさような取計らいをいたします。本日はこれで散会いたします。    午後三時三分散会  出席者は左の通り。    委員長     下條 康麿君    理事            西山 龜七君            山下 義信君    委員            岩崎正三郎君            吉川末次郎君            中川 幸平君            竹中 七郎君            谷口弥三郎君            平野善治郎君            小野  哲君            鈴木 憲一君            伊達源一郎君            兼岩 傳一君            小川 友三君            西田 天香君   國務大臣    内閣総理大臣、    外務大臣    芦田  均君   國 務 大 臣  船田 享二君府に任意変更する権限を持たしめることが適当である、かような考えに更に一度立て変えたわけであります。この問題は、当初からそういう考えで、衆議院その他においても一應の決定を見たのでありまするが、参議院の御意見を尊重して、部局設置変更についても法律によるという例を暫く採つて來たのでありますが、更に今回この案を作ります際に元の考え方に帰つて、もう一應参議院において御審議を願いたい、こういう考え提出したようなわけであります。
  33. 小野哲

    ○小野哲君 総理大臣の御答弁によりますと、政府としてはさような見解をお取りになつた、かように了承いたしますので、国家行政組織法案審議に当りましては、本委員会におかれては更に今回の政府の御意見について十分な御検討を加えられんことを、私から希望申上げて置きます(「賛成」と呼ぶ者あり)
  34. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 外に総理大臣に対して御質問ございませんか……ありませんければ、本日はこの程度に止めて置きたいと思います。  外の問題についてお諮りいたしたいと思います。今朝経済査察聽設置法案予備審査のために決算委員会に付託されたのであります。併しその内容は治安及び地方制度委員会に密接な関連がありまするから、その委員会との連合委員会を開くことにいたしたらどうかと思いますが、御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 下條康麿

    委員長下條康麿君) それではさような取計らいをいたします。本日はこれで散会いたします。    午後三時三分散会  出席者は左の通り。    委員長     下條 康麿君    理事            西山 龜七君            山下 義信君    委員            岩崎正三郎君            吉川末次郎君            中川 幸平君            竹中 七郎君            谷口彌三郎君            平野善治郎君            小野  哲君            鈴木 憲一君            伊達源一郎君            兼岩 傳一君            小川 友三君            西田 天香君   國務大臣    内閣総理大臣、    外 務 大 臣 芦田  均君    國 務 大 臣 船田 享二君