○西山龜七君 私は全体的のことについて
総理大臣に御
質問申上げます。これまでにあるあらゆる
國家の
機関、又最近新らしくできております
國家の
組織に職を奉じておられる人々に対する
政府の給與の支給
方針と、これに関連する問題について
総理大臣の御
所見を伺います。
第一は先般問題となりました裁判官に対する待遇と一般官公吏に対する待遇を如何に差別をつけて支給せられる御
方針であるか、同じ年齢で、同じ学校を出て、甲は裁判官に、乙は
各省の
官吏に、丙は或る技術方面に等々、おのおのその自己の性格や、志望等によりまして、
國家のあらゆる
機関に奉職しておるのが実情であります。然るに裁判官は特殊な地位に置かれているという
関係で、特別な待遇をすべきが当然であるかどうか。当時或る新聞のごときは、大きな見出しを以ちまして、この待遇問題を取上げまして、裁判官は最低一万円というがごとき報道をしておられることは御
承知の
通りであります。
政府といたしましては裁判官と一般官公吏との給與に対する支給
方針を如何に
考えておられるか。同じ学窓を出て、同じ
國家の
機関に職を奉じ、同じ年月を奉職いたしまして、同じような家族を持
つている者で、一方は裁判官であり、一方は他の官廰の
官吏であるといたしまして、その給與を何程の差額をつけて支給せられる御
方針であるか、その根拠と、差別の
程度を明確に御
説明を願いたい。
それから第二は、裁判官は特別な位置を保
つていかなければならない
関係で、特に優遇せなければならぬという理由の下に、特に他の
官吏と差別をつけて待遇するとなれば、他の
國家の諸
機関に奉職しておりまする者は、その職責に最も忠実でなくともいいという印象を與えるのではあるまいか。同期に卒業した友人が裁判官に
なつたために、
國家より特別なる給與を受けるなら、我々は自己の
職務を利用して役得をしても差支えないのじやなかろうかという
考え方も起
つて來るのではあるまいか。御
承知のように生活困難なる現状におきまして、おのおのその立場を異にいたしまする者といたしましていろいろの
考えを持つものと見なければならぬと思います。私は過般の新聞記事を見まして、これは思想上非常に悪い影響を及ぼすのではあるまいかと心配した次第であります。特に官僚道のやかましい今日、この思想上に及ぼす影響に対しまして、
政府は如何なるお
考えを持
つておられるか、この点をお尋ねいたしたい。
最後にお尋ね申上げたいのは、名誉ある位置に就く者は、その位置の
関係上、物質上の待遇を問題とせないことは古來一般の常識とな
つておるのであります。その
意味におきましては裁判官のごとき地位にある者に、その地位名誉のために逆に一般
官吏より薄給でも可なりとも言い得るのであります。裁判官の地位を持
つために特別なる待遇をせなければならんとせば、私は一般
官吏は融合の罪悪と闘い、これに打勝
つて行くために、先ず第一に生活に不安を與えない
程度の給與を與うべきであると確信する者であります。要は生活の安定が
根本でなければならんと思うのであります。私は過般の新聞を見て、現在は如何なる地位にある者でも、闇の生活をせずして、配給物資による厳格な
意味における生活をせんといたしますなれば、特別に金銭を以て優遇をして貰
つても、それは
意味を成さないではあるまいかと思うのであります。裁判官のごとき、特殊の地位にあるという
意味で、金銭を以て優遇をしても何らその支給の精神に副わないであるまいか。現在の社会の現状はさように私は
考えるのであります。永い慣例によりまする裁判官と一般
官吏公吏との給與の均衡等を考慮なされましてそこにいろいろの思想に悪影響を及ぼさないように善処すべきであるまいか。その点につきまして一から三点まで、
総理の御
所見を承わりたいと思います。