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政府委員(
藤井丙午君)
只今の御賛同は非常な重大な御
質問でございますので、これは改めて
安定本部の
設置法案の際に、
大臣から詳細
答弁願うといたしまして、取敢えず私から
只今の御
質問に対し、私の
承知している限りにおきまして御
答弁いたしたいと思います。
御
質問の第一点は、
安定本部は、
経済安定に至るまでの臨時的の
官職である、
從つてその
経済安定の今後の
見通し如何というようなふうに
伺つたのであります。一口に
経済安定と申しましても、これは非常に
測定のむずかしい問題でございまして、例えば
國民生活の
水準をどの
程度にするか、或いは又
物資の
生産の
水準をどの
程度に見るか、或いは又これに伴う
産業の
編成構造をどういうふうに見て行くか、そういつたような角度から非常に議論が分れるところでございます。併しながら一應長期的にこれを見ますれば、私共の
見解といたしましては、やはり
國民生活が合理的な
生活水準の上に立
つて安定する。或いは又必要な
食糧乃至は重要な
工業原料等が輸入でき得る、これを賄
つて行くに足るだけの
輸出がこれに見合
つて振興して行くというような
段階、
從つて又
産業構成におきましても、これらの
産業構成なり
構造なりが、合理的な総合的な均衡を以てバランスのとれた姿に
なつた
段階、更に又これらと関連して、労働の
生産性が向上して参りまして、いわゆる
國民の
完全雇傭、これも全部の
完全雇傭というわけには到底行けないのでございましようけれども、
相当程度の
完全雇傭ができ得るような
段階、こういつた
段階に到達いたしました場合が、いわゆる
経済が
相当恒久的に安定するということが言い得るのでなかろうかと思いますが、併しながらこれは現在の
状況といたしましては、御
承知のように
皆様方の御指導御鞭撻によりまして、幸いにして
食糧の
生産、
供出等も比較的前年度は順調に参りましたし、又石炭の
生産も三千万トン
計画に対して、二千九百三十万トンでしたが、
相当な
生産の
回復の
速度を示しておりますし、又鉄鋼、
化学肥料、その他
重要基礎物資におきましても、十分とは申しませんが、徐々に
生産向上の
段階にな
つておる次第でございまするが、併しながら今申しますような見地からしますれば、これはまだまだ十分な
経済安定の
段階に達しておるとは申し得ないのでありまして、御
承知のように一方におきましては、本年度はアメリカの対
日援助の強化とか、乃至は外資の導入といつたようなことが、
相当期待されるような
状況にありまして、
見通しとしては段々明るくな
つて参りますし、又
輸出もそれと相関連して
相当に好轉の
見通しがつきつつありますけれども、併しながらまだまだ、
國民生活は御
承知のように非常に窮迫を告げておりまして、又これを潤沢ならしめるだけの
基礎物資にしましても、
消費物資にしましても、十分な
生産にな
つておりません。のみならず、一面インフレの進む
速度も多少鈍化じておりますけれども、まだまだ前途なかなか容易ならざるような
状況でございまして、これを
経済の安定の
段階まで持
つて行くには、今後まだ非常な
努力が要りますし、又私は
相当の
期間を要するのではなかろうかというふうに
考える次第でございます。併しながら先程申しましたように、恒久的な安定の
段階に至るその
過程プロセスにおきまして、やはり中間的な安定の
段階が近付いて來るのではないかというふうに
考えます。御
質問のようにこれを一年と見るか二年と見るかということは、先き申しましたように、非常に
測定の困難な問題でありまして、その辺のことはやはり
國民経済の
回復の
段階に感じて併せて
考えなければならん問題でなかろうかと
考えておる次第であります。
それから第二の
統制経済の、づまり外し方の順序はどういうふうに
考えるかという御
質問でございますが、これは今前段に申しましたように、
國民経済の
復興と
國民生活の安定の
段階に應じて、これに即應してこれは当然縮小し、最後にはこれを廃止するという問題でございまして、この
経済回復の
速度と歩調を合して、順次解除し廃止されるということになると存ずる次第でございまするが、併しながら現在の
統制におきましても、その
統制の能力の限度の問題、或いは効率の問題、その他から十分この
統制の個々の枠につきまして、具体的に
研究し改善すべき問題があるのでございまして、
安定本部の方におきましてもその問題を目下
研究中でございますので、これはこの次の
設置法等の
機会に、又もう少しより詳細に御
説明ができるようなことになろうかと思う次第でございます。但し今申しましたように、これの
統制を大幅に外すとか、或いは撤廃するということは屡々申しましたような
理由で、現
段階では
考えられない問題でございます。
第三の
機構を縮小する
考えがあるか。このお尋ねも今申しましたように、第一の問題と関連いたしまして、現在のところでは、段々と客観的な情勢、國内の
経済事情、
生産事情等も改善向上しつつあるのでございますけれども、まだ非常な困難な
段階でざいますのみならず、
言葉を換えて申しますれば、丁度
経済の
復興、まあ人間の体に誓えますれば、
恰かも病氣の
回復期にあるような、非常にデリケートな重要な
段階にあるのでございますので、直ちに
安本の
機構を大幅に縮小するということは、到底
考えられない問題でございますが、ただ勿論
機構というより、むしろその機能を十分発揮するような、合理的な能率的な運営を図るということは、十分
考えなけれざなりません問題でございます。尚
経費節約等の両から申しましても、節減できるものは極力節減しなければなりませんので、
そういつた線に副いまして、今度の
行政組織法に関連する、
安本の
設置法案等につきまして、今いろいろと
研究を重ねておる次第でございまして、詳細は前お答え申しましたように、
設置法案か上程御
審議になる際に一つ譲らして頂きたいと思います。