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1948-04-30 第2回国会 参議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年四月三十日(金曜日)   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○國家行政組織法施行までの暫定措置  に関する法律案内閣提出衆議院  送付)   ―――――――――――――    午前十時二十八分開会
  2. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 決算委員会を開きます。前会に引続きまして、國家行政組織法施行までの暫定措置に関する法律案につきまして質疑を続けたいと思います。
  3. 山下義信

    山下義信君 前会栗栖安本長官質疑をいたしまして、その答弁に対しまして尚了承いたし兼ねまする点を保留いたしておきましたのでございますが、この際重ねて安本当局に不明の点をお尋ね申上げて置きたいと存じます。それは一昨日の委員会におきまして、安定本部の五月三十一日までの延期につきまして、今後の同官職在り方についてお尋ね申上げましたところが、長官は、今後の安定本部は依然として臨時的な官職であつて、大体同じように一ケ年ぐらいの期間にする考えである。而して言うまでもなく経済が安定すればこの官職は不要に帰するのであつて経済安定までの臨時的の官職である、性格及び任務は從来の通り考えておる、こういう御答弁であつたのでありますが、極めて抽象的でございまして要領を得ませんので、多少この際一、二要領を得させて頂きたいと思うのであります。言うまでもなく詳細なことにつきましては、安定本部組織法提案されたときに伺いたい、と思いますが、この法案に関連して承知いたしておきたいと思います点を伺つて置きたいと思います。  長官答弁にありますと、やはり臨時的の官職で一ケ年くらいの期間を附して置きたいと思う、むしろ経済が安定するまでの臨時的の官職である、こういう御答弁でありましたが、経済界が安定する、経済安定とはどういうことを考えておられますか。どうなりましたときを経済界が安定したとお考えになりますか。且つ又それが向う一ケ年で、日本の経済界が安定し得ると、いうお見通しで御答弁になられましたか。その点を確かめて置きたいと思うのであります。荷言うまでもなく安定本部の仕事は統制経済に関連しますることでございますが、その統制経済は言うまでもなく経済界を安定せしめるための統制経済である筈であります。然らば向う一ヶ年ぐらいに殆んど経済統制の諸統制は、お外しになるお考えでありますか、どうでありましようか。この統制解除安定本部のお持ちになります御構想を承わりたいと思うのであります。第三点としましては、安定本部機構のことでございますが、これは詳細は他日に譲りますけれども、この際承つておきたいと思いますることは、最近の閣議で幾らか安定本部在り方について御相談もありましたように、新聞紙上で現われておりますが、安定本部機構相当圧縮する考えをお持ちになつていないのであるかどうであるか。殊に今朝の新聞におきましては、今後の長期の五ケ年計画の立案に際して、相当民間から知能を集めまして、厖大な会議形態が作られるということでありますが、それならば尚更安定本部における機構相当圧縮なされてもいいのではないかと考えますので、この点のお考えをどうでありまするか承つて置きたいと思うのでございます。長官はお差支ということでございますから政務次官から御答弁を頂きますれば有難いと思います。
  4. 藤井丙午

    政府委員藤井丙午君) 只今の御賛同は非常な重大な御質問でございますので、これは改めて安定本部設置法案の際に、大臣から詳細答弁願うといたしまして、取敢えず私から只今の御質問に対し、私の承知している限りにおきまして御答弁いたしたいと思います。  御質問の第一点は、安定本部は、経済安定に至るまでの臨時的の官職である、從つてその経済安定の今後の見通し如何というようなふうに伺つたのであります。一口に経済安定と申しましても、これは非常に測定のむずかしい問題でございまして、例えば國民生活水準をどの程度にするか、或いは又物資生産水準をどの程度に見るか、或いは又これに伴う産業編成構造をどういうふうに見て行くか、そういつたような角度から非常に議論が分れるところでございます。併しながら一應長期的にこれを見ますれば、私共の見解といたしましては、やはり國民生活が合理的な生活水準の上に立つて安定する。或いは又必要な食糧乃至は重要な工業原料等が輸入でき得る、これを賄つて行くに足るだけの輸出がこれに見合つて振興して行くというような段階從つて産業構成におきましても、これらの産業構成なり構造なりが、合理的な総合的な均衡を以てバランスのとれた姿になつ段階、更に又これらと関連して、労働の生産性が向上して参りまして、いわゆる國民完全雇傭、これも全部の完全雇傭というわけには到底行けないのでございましようけれども、相当程度完全雇傭ができ得るような段階、こういつた段階に到達いたしました場合が、いわゆる経済相当恒久的に安定するということが言い得るのでなかろうかと思いますが、併しながらこれは現在の状況といたしましては、御承知のように皆様方の御指導御鞭撻によりまして、幸いにして食糧生産供出等も比較的前年度は順調に参りましたし、又石炭の生産も三千万トン計画に対して、二千九百三十万トンでしたが、相当生産回復速度を示しておりますし、又鉄鋼、化学肥料、その他重要基礎物資におきましても、十分とは申しませんが、徐々に生産向上段階になつておる次第でございまするが、併しながら今申しますような見地からしますれば、これはまだまだ十分な経済安定の段階に達しておるとは申し得ないのでありまして、御承知のように一方におきましては、本年度はアメリカの対日援助の強化とか、乃至は外資の導入といつたようなことが、相当期待されるような状況にありまして、見通しとしては段々明るくなつて参りますし、又輸出もそれと相関連して相当に好轉の見通しがつきつつありますけれども、併しながらまだまだ、國民生活は御承知のように非常に窮迫を告げておりまして、又これを潤沢ならしめるだけの基礎物資にしましても、消費物資にしましても、十分な生産になつておりません。のみならず、一面インフレの進む速度も多少鈍化じておりますけれども、まだまだ前途なかなか容易ならざるような状況でございまして、これを経済の安定の段階まで持つて行くには、今後まだ非常な努力が要りますし、又私は相当期間を要するのではなかろうかというふうに考える次第でございます。併しながら先程申しましたように、恒久的な安定の段階に至るその過程プロセスにおきまして、やはり中間的な安定の段階が近付いて來るのではないかというふうに考えます。御質問のようにこれを一年と見るか二年と見るかということは、先き申しましたように、非常に測定の困難な問題でありまして、その辺のことはやはり國民経済回復段階に感じて併せて考えなければならん問題でなかろうかと考えておる次第であります。  それから第二の統制経済の、づまり外し方の順序はどういうふうに考えるかという御質問でございますが、これは今前段に申しましたように、國民経済復興國民生活の安定の段階に應じて、これに即應してこれは当然縮小し、最後にはこれを廃止するという問題でございまして、この経済回復速度と歩調を合して、順次解除し廃止されるということになると存ずる次第でございまするが、併しながら現在の統制におきましても、その統制の能力の限度の問題、或いは効率の問題、その他から十分この統制の個々の枠につきまして、具体的に研究し改善すべき問題があるのでございまして、安定本部の方におきましてもその問題を目下研究中でございますので、これはこの次の設置法等機会に、又もう少しより詳細に御説明ができるようなことになろうかと思う次第でございます。但し今申しましたように、これの統制を大幅に外すとか、或いは撤廃するということは屡々申しましたような理由で、現段階では考えられない問題でございます。  第三の機構を縮小する考えがあるか。このお尋ねも今申しましたように、第一の問題と関連いたしまして、現在のところでは、段々と客観的な情勢、國内の経済事情生産事情等も改善向上しつつあるのでございますけれども、まだ非常な困難な段階でざいますのみならず、言葉を換えて申しますれば、丁度経済復興、まあ人間の体に誓えますれば、恰かも病氣回復期にあるような、非常にデリケートな重要な段階にあるのでございますので、直ちに安本機構を大幅に縮小するということは、到底考えられない問題でございますが、ただ勿論機構というより、むしろその機能を十分発揮するような、合理的な能率的な運営を図るということは、十分考えなけれざなりません問題でございます。尚経費節約等の両から申しましても、節減できるものは極力節減しなければなりませんので、そういつた線に副いまして、今度の行政組織法に関連する、安本設置法案等につきまして、今いろいろと研究を重ねておる次第でございまして、詳細は前お答え申しましたように、設置法案か上程御審議になる際に一つ譲らして頂きたいと思います。
  5. 小野哲

    小野哲君 船田國務大臣に対しまして、この暫定措置に関する法律案内容に対しまして二、三の点につきまして伺いまして、政府の明確なる御見解をお願いいたしたいと思います。この暫定措置に関する法律案は一見いたしますと、極めて簡單なように見受けますが、その持つております内容は誠に重大なものがありまして、行政官聴法の効力の延期であるとか、或いは経済安定本部並びに建設院等の、重要なる中央行政官聴の、存続に関する点にまで触れておるばかりでなく、附則の第二項におきましては、定員に関する措置について、これを定めるというふうな非常に重要な事項が包含されておるものと思うのであります。然るにも拘わらず、政府はこの種重要な法律案を、短期間に、國会審議を求められまして、これが結論を見出そうとされて、おるやに見受けるのでありますが、この態度につきましては私共は極めて遺憾に存じておるのであります。この際私は以下申述べます点について政府の明確なる御見解を伺いまして、尚将來國家行政組織に関する法律案が、提案された場合におきましては、政府の今日お述べになりまする御見解を、十分に念頭に入れました上で審議に当りたい、かように考えておりますので、予め御承知置きを願つて置きたいと思うのであります。  先ず第一は、この附則第二項の掲げられておりまする、「行政官聴職員定員については、政令でこれを定めることができる。」、勿論「予算上の手続がこれに伴つていなければならない。」ことは申すまでもないのでありますが、然ろにこの國家行政組織に関する法律自体が、未だ確定しておらない状況にありますので、從つて一体いつ國家行政組織に関する法律が施行されるか、この期日も明日でないのでございます。そういうふうな非常に不安定な、又不確定な期間行政官聴職員定員について、政令で決めるということは、これは不穏当ではないか。のみならず行政出目廳職員定員は、必然的に行政整理とも重要な関連があるのでありまして、この行政整理措置とも見合せまして、定員を如何に定めるべきであるかということは、重要な要素をなすものと私は考えるのであります。特に從來旧憲法におきましては、天皇の大権事項として、勅令によつて官制事項が取扱われておりましたが、行政権が明らかに内閣に所属するという新憲法の趣旨に則りまして、官制等行政官聴組織に関する措置は、挙げて法律によつてこれを定めることになりましたことは、私から申上げるまでもないのでございます。そういう点から申しましても行政整理に関連し、又國家行政組織に関する法律が未定である現状におきまして、行政官廳職員定員を、暫定的の措置とは言いながら、政令に一任いたすということは、國会といたしましては必ずしも同意はいたし兼ねる問題でございます。さような点を考えましで私共はこの定員措置につきましては、本來の性質から出発いたしまして、愼重なる方法によつて取扱われなければならない。從つてこの附則第二項は極めて短期間、言い換えれば國家行政組織に関する法律が制定施行されるまでの間の、暫定措置というふうに了解いたしたいと思うのでありますが、この点に関して、政府はどういうふうな御見解を持つておられるか、これが第一点であります。  次は将來國家行政組織に関する法律案が、政府から提案されました場合におきまして、未だ発表にはなつておりませんが、要綱につきましてその大要の御説明伺つたのでございますが、一体政府行政官聴職員定員に関して、國家行政組織に関する法律案内容として、如何にこれをお定めになろうとする御意向であるか。即ち行政機関に置かるべき職の種類及び定員等につきましては、本來法律でこれを定めることが原則であろうと存じます。勿論これにつきましては予算上の措置がこれに伴つていなければならないことは申すまでもないのでございますが、これに関して國家行政組織に関する法律案の中に、明確なる條項をお入れになるお心組を持つておられるかどうか、これが第二点であります。  次にこの国家行政組織に関する法律案を、今準備されておるやに伺つておるのでございますが、いつ政府提案をされるお見込であるか、又この暫定措置に関する法律案が成立いたしました場合におきましては、五月三十一日という期限が切られるのでありますが、國家行政組織に関する法律案がいつ提案せられ、且ついつまでにこれが実施されることを政府としては予定されておるか。この点につきまして予め政府の御見解を承つて置きたいと思うのでございます。  要はこの種の法律案は一見極めて簡單なようでありまするけれども仔細に檢討いたしますと、重要なる事項を包含しておる。並びに附則第二項が、この暫定措置に関する法律案の本文とは、必ずしも同時にこれを審議しなければならないという理由に乏しい、おのずから性質を異にするものが、同時にこの法律案の中に入つて来ておるというところに、必ずしも承服いたし兼ねる点があるのございまして、只今申し上げましたような諸事項につきまして、政府の明快なる御答弁をお願いいたしたいと存じます。
  6. 船田享二

    ○国務大臣船田享二君) 只今小野委員からの御質問に対しまして、第一点の附則定員に関する問題につきましては、この案は決して新らしい方針をここで立てようとするものはございませんので、現在行われておりまする原則ではありまするが、実際上の問題といたしまして、最近特にともすればその原則がはつきりいたしておらない嫌いもありまするので、國家行政組織に関する法律において、この問題に関する、つまり定員増減等政令で定めるか、或いは法律で定めるかというようなことの、原則が確立されるに至るまでの全く暫定的な処置といたしまして、現在行われておりまするところを、はつきりさして置きたいといつもりのものでありまして、従つてこの附則の規定は、國家行政組織に関する法律が制定され、施行されるに至りますれば、その新たな法律の規定する原則に従うというつもりのものであります。  第二の御質問に対しましては、今申上げました通りでありまして、国家行政組織法案の中におきまして、定員或いは職の種類その他を法律によつて定めるか、或いは政令によつて定めるというようなことの原則を確定するようにいたしたい、こういうふうに政府といたしましては考えて、今案を大体確定いたした次第でございます。  更に第三の、いつ國家行政組織法案提案するかということにつきましては、すでに一昨日の閣議におきましは、その法案閣議として決定いたしまして、目下所要手続をとりつつあるところでありまして、できるだけ早く近い機会に、提案することができる運びに相成ると存ずるのであります。政府といたしましては、この法案をできるだけ早く提案いたしまして、十分に御審議願いたいと思いまして、実を言えば只今審議を願つておるような、暫定措置に関する法律というようなものを、特に制定する必要がなくて済むように、最善の努力をいたしたのでありますが、どうしても間に合わない状態に相成りましたので、そのためにこのようなお言葉のような重要な内容を持つ法案を、御審議の十分な期間を置くことができない程度に遅れて、提出するような羽目に陥りましたことにつきましては、誠に申訳のないことでありまして、ただできるだけこういう措置に関する法律というようなことを、なくて済ましたいと思つて努力いたしましたお蔭で、可なり提案が遅れましたことを御了承置きを願えれば幸いと存ずる次第でございます。
  7. 小野哲

    小野哲君 只今大臣の御答弁によりまして、政府の誠意あろ今後のお取扱い方につきましてのお考え承知することができたのでありまするが、本來ならばこの種の暫定法律案が出る際におきましては、大体において新しく制定されようとする國家行政組織だ関する法律案の、或る程度見通しを、我我審議の上において承知いたすということが、極めて便宜な点であるのであります。のみならず、今後行政機構なり行政官廳職員問題等につきましては、非常にこれは國民の注視の的になつておるようなところでありますので、政府におかれましては、この取扱い方については、十分慎重な態度をお取りにならぬことを希望して止まないのでございます。  尚この法律案中の附則第二項が行政官廳職員定員についての原則をここで明らかにするというふうなお言葉があつたようでありますが、これは暫定的な意味において、私共は一應認めるという態度を取らなければならないかと存じますが、その根本的な基本的な原則は、國家行政組織に関する法律内容において、初めて明らかにされることであり、又その際において十分審議をいたさなればならない事柄であろうと、かように思うのでございます。從つて政府はできるだけ速かに準備を整えられまして、國家行政組織に関する法律案、並びに各省廳設置法律案提案されまして、十分に審議の時間を取られるように、予め準備をされますことを特に要望いたす次第でございます。
  8. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 外に御発言もなければ、質疑は終つたことにいたしてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 質疑は終りました。それでは討論に移ります……。別段御意見もないようでありまするから、直ちに、討論を終つたものとして採決に移りたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 下條康麿

    委員長下條康麿君) この國家行政組織法施行までの暫定措置に関する法律案衆議院の修正になりますこの法律案に対して、御賛成の諸君の挙手を願います。    〔総員挙手
  11. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 全員一致でございます。本法律案は可決せられました。  この委員会報告は、例によりまして委員長にお委せを願いたいと存じます。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 両委員長報告に多数意見者の御署名を願うことになつております。どうぞ御署名を願いたいと思います。    〔多数意見者署名
  13. 下條康麿

    委員長下條康麿君) それでは散会いたします。    午前十時五十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     下條 康麿君    理事            西山 龜七君            山下 義信君    委員            北村 一男君            谷口弥三郎君            深川タマヱ君            小野  哲君            駒井 藤平君            鈴木 憲一君            伊達源一郎君            山崎  恒君            兼岩 傳一君            千田  正君            小川 友三君   國務大臣    國 務 大 臣 船田 享二君   政府委員    経済安定政務次    官       藤井 丙午