運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1948-01-28 第2回国会 参議院 決算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年一月二十八日(水曜日)   ―――――――――――――  委員氏名    委員長     下條 康麿君    理事            太田 敏兄君            西山 龜七君            山下 義信君            岩崎正三郎君            田中 利勝君            吉川末次郎君            今泉 政喜君            北村 一男君            中川 幸平君            田方  進君            竹中 七郎君            谷口弥三郎君            平野善治郎君            深川タマヱ君            小野  哲君            駒井 藤平君            鈴木 憲一君            伊達源一郎君            帆足  計君            山崎  恒君            兼岩 傳一君            千田  正君            小川 友三君            西田 天香君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件行政機構等に関する調査承認要求に  関する件 ○賠償廳臨時設置法案内閣送付) ○連絡調整事務局臨時設置法案内閣  送付)   ―――――――――――――    午前十一時十五分開会
  2. 下條康麿

    委員長下條康麿君) それでは只今から決算委員会を開きます。最初に昨年十二月十七日に当委員会専門調査員になられました藤田友作君を御紹介したいと思います。同氏は長らく東亞研究所理事をしておられました。そしてかような方面調査には極めて堪能な方でありまして、非常に喜んでおります。御紹介申上げます。藤田友作君であります。
  3. 藤田友作

    専門調査員藤田友作君) よろしく。
  4. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 次に昨年の決算委員会の最後の場合と存じますが、行政機構に関して、自発的に委員会において調査したいという御意見が強くありました。その趣旨は、法務廳設置法案等の本会議上程の際におきまして、委員長からその趣旨を述べてありますので、この間片山総理お話を伺いましても、自分の方もやるが、あなた方も一つ考えて下さいということでありました。是非行政機構に関する調査を始めたらどうかと思いますので、これは議案がありませんから、参議院規則第三十四條によりまして調査承認をやるわけであります。一應案を作りましたのですが、ちよつとあなた読んで下さい。    專門調査員朗読     行政機構等に関する調査承認要求書  一、事件名称 行政機構等に関する調査。  一、調査の自酌 行政機構及び公務員の規律について一般的調査を行い、本委員会審議に資する。  一、利益 行政機構刷新改廃及び公務員綱紀粛正を図り、國政運用円滑化合理化に寄與する。  一、方法 関係官から説明聽取資料の提出を求め、且つ必要に應じて実地調査を行う。  一、期間 今期國会開会中。  右本委員会の決議を経て、参議院規則第三十四条第二項により要求する。   年 月 日            決算委員長   参議院議長殿
  5. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 如何でございますか、これでよろしうございますか。    〔「賛成」「異議なし」と呼ふ者あり〕
  6. 下條康麿

    委員長下條康麿君) それでは調査要求いたします。それでは付託されました賠償廳臨時設置法案及び連絡調整事務局臨時設置法案議題にいたします。外務大臣の御説明を願います。外務大臣からの御要求提案説明の前に一應速記を止めていろいろ御説明を伺いたいと思います。速記を止めて頂きます。    〔速記中止
  7. 下條康麿

  8. 芦田均

    ○国務大臣芦田均君) 只今議題となつております連絡調整事務局臨時設置法案提案理由説明いたします。連合國官憲による日本占領開始以東政府連合國官憲との連絡につきましては、終戰連絡事務局がその衝に当つて來たのであります。占領当時におきましては、國内諸機関の側におきましても、又占領軍当局の側におきましても、相互機構に不案内であり、従つてその間において終戰連絡事務局行政各般に亘り、両者連絡の窓口としての機能を行なつて来たのでありましたが、その後漸次総司令部部局及び日本側機関において、その所管事務ににつき相互に直接連絡の途が拓かれることになりまして、終戰連絡事務局連絡を行う事務内容は漸次に減少して来た実情であります。これは直接連絡の便宜及び必要の点から生ずる当然の帰結であります。併しながら他面この結果占領軍当局との連絡に関連して各省事務綜合調整を行う必要が痛感されて來た次第でありましで、この点については総司令部側においても強い希望があり、ここに終戰連絡事務局を廃止して、新たに内閣総理大臣管理の下に、連合國官憲との連絡に関する事務、及びこれに関連しまする各省事務綜合調整に関する事務を掌るために、連絡調整事務局設けんとする次第であります。これに伴い必要となつ外務省機構の一部改革をするというのがこの法案趣旨であります。  次に連絡調整事務局機構の概略を申上げます。その所管は、前申述べましたように、連合國官憲との連絡に関する事務、及びこれに関連する各省事務綜合調整に関する事務であります。そうして中央連絡調整中央事務局を置くと共に、所要の地に連絡調整地方事務局、これは從来終戰連絡地方事務局と称しておつたものを充てるわけでありますが、地方事務局を置くことにしております。又新機構の最も重要な機構一つであるところの連合國官憲との連絡に関する各省事務綜合調整に関する事項審議するために、連絡調整事務局連絡調整委員会を置くことができるようになつております、尚連絡調整事務局においては特殊財産――といいますと、戰時中に掠奪、徴発等によつて内地に運んで來た財産が主たるものであります――及び賠償に関する事務を掌ることとしまして、それにつきましては外務大臣又は賠償廳長官連絡調整地方事務局の長を指揮監督することができることとしております。而して終戰連絡中央事務局管理部において取扱つておりました特殊財産に関する事務は今般外務省に移管されることとなり、又從來終戰連絡中央事務局賠償部にて取扱つておりました賠償に関する事務は、別に政府より提出いたしました賠償廳臨時設置法案によつて設けらるべき賠償廳に移されることになつておりますが、この両者事務につきましては新たに地方機構設けることを避けて、連絡調整地方事務局をして地方的事務処理に当らしめることが適当と考えられますので、その趣意によつて右規定設けておる次第であります。  尚外務省機構改正につきましては、前に申述べました特殊財産に関する事務を管掌するため特殊財産局設ける外、新たに特殊資料部と称するものを置くことにしておりますが、これは日本占領に関する記録蒐集編纂並びに研究に関する事務を掌るものでありまして、連合國の対日管理に関して総司令部より発出されたる重要な文書、及びこれに対して日本側において執つた措置に関する文書等蒐集整理調査研究を行うことは、將來に対する準備の上から必要なことを考えまして、この点において遺憾なからしめたいという所存であります。  尚先程申述べました通り、総司令部側よりの意向もありまして、今年二月一日よりこの法律実施する必要がありますので、何卒愼重御審議上速かに可決あらんことをお願いいたします。  次に賠償廳臨時設置法案提案理由説明いたします。賠償事務処理は、賠償物件所管官廳大藏商工、運輸、文部の各省に分れておる関係もありまして、賠償実施作業はこれら各省責任において現に行なつております。併し実施計画立案関係事務連絡調整経済安定本部生産局終戰連絡中央事務局賠償部とが協力して今日までこれを処理しております、今回終戰の廃止に伴い、この際賠償に関する責任大臣を定めると共に、賠償廳設置する案を立てた次第であります。  賠償事務処理の体制が以上のごとく複雑多岐に亘つておる点については、かねて総司令部側よりも調整方の要望があり、又政府自体としてもその必要を認め、種々研究を重ねて参つたのであります。然るに今般終戰連絡中央事務局が廃止せらるることとなりましたので、この機会に一歩を進めることとし、賠償実施の現段階に照應するよう、賠償実施中枢機関として賠償廳を新設し、関係事務につき企画立案各省事務総合調整を強力に推進することにいたしたいのであります。  賠償廳賠償事務総合調整をなすに十分なる立場と権限とを持つ必要があります。これがため内閣総理大臣管理の下に置き、長官には國務大臣を充てることといたしました。而して事務機構は能う限り簡素ならしめることを旨とし、当り長官の下に官房次長及び六課と申しますと総務、調査実施輸送管理及び監査の六課を置いて、所管事項は左の通りにいたしたいのであります。一、賠償実施基本的事項企画立案に関する事項、二、賠償実施に関する作業責任官廳事務総合調整、推進及び監査に関する事項、三、賠償物件引渡しに関する事項、四、賠償に関する調査に関する事項であります。即ち賠償問題の一元的処理ため國務大臣を長とする中央機関設け日本政府に與えられた国際的義務の履行のため企画立案及び関係各省間の事務総合調整等に遺憾なきを期する考えであります。  以上法案の大略を説明申上げましたが、尚詳細については必要に應じて政府委員より説明申し上げます。
  9. 下條康麿

    委員長下條康麿君) それで皆さんの御質問に移る前に、專門調査員の方でこういう点が問題じやないかというところを研究されたそうですから、森專門調査員から一つお話願いたいと思います。
  10. 森莊三郎

    專門調査員森莊三郎君) 連絡調整事務局臨時設置法案の附則第十五條を見ますると、「外務省官制」、その改正につきまし、特殊財産局を一局として設けるということがありまするが、これはそれ程大きい一局にしなければならない程の大きい事務があるのかどうかということを伺いたいと思います。というのは一般的に今日行政整理がやがましく叫ばれておる際でありまするから、行政部の縮小ということは考えられまするが、拡張ということについては余程の重大な理由がなければならないかと思われまするので、その意味において特殊財産局という程の大きいものが是非必要であるかどうかというその点、それから次に同じく特別資料部でありまするが、記録を集めて置くということはこれは是非必要な仕事でありまするから、事業そのものは非常に結構だと思いまするが、是非しなければならないことと思いまするが、外に何か戰時中並びに戰後今日に至るまでの間の特別なる資料蒐集、或いは歴史の編纂というようなことを外の役所でどこかやつておる所がないのでありましようか、若し又外にないとするならば、ただここに書いてあるだけのことでなくつて、もつと全般的に直つた記録蒐集編纂などを内閣のような所で、國政全般に亘つてやる方が適当じやないかというような感じもいたしまするので、それについて伺いたいと思います。  それから連絡調整事務局予算がどんな工合になつておりまするか、聞くところによりますると、未だ提出されていないということでありまするが、今年の今後二ケ月分の予算及びそれが平年であれば何程の予算を要するであろうか、尚それに関連しまして外務省官制改正がありまする。それによつて外務省方面予算の点でどのような変更が來るであろうかということを伺いたいと思います。  それから序でありますから賠償廳の方も廳いたいと思いまするが、第一條の第二号に「賠償実施に関する作業責任官廳事務総合調整」とありまする。第三号には「賠償物件の引渡」ということがありますが、引渡し実地事務だとすれば、その前に書いてありまする作業責任官廳の方でやるのではないか、そこの関係ちよつとよく分りませんので、少し御説明を願いたいと思いまする。  それから賠償廳には如何なる部局設けられる見通しでありましようか、賠償廳というふうに、「廳」という名前は相当大きい所に從來使われておるように思いまするし、殊にその長官國務大臣となつておりまする以上、相当大きい役所であるだろうと思われまする。それならばたとえ臨時設置される役所とはいいながらも、その部局の数及び名称並びにその所掌事務のごときは法律で定める必要があると思われまする。この点について何も書いてなくつて、ただ第三條の第二項に「賠償廳組織細目については、長官がこれを定める。」、細目長官が定めるのは適当であろうと思われまするが、もつと細目にあらざる重要なる骨組ともいうべき部局の決定は、是非ともこれは立法事項であるべきことと思われまする。その点について伺いたいと思いまする。それから尚賠償廳に関する経費の点でありまするが、それも伺いたいと思います。  それから尚双方に通じまして、二月一日より施行ということで、又一月がかくのごとく押詰つたときに提出されて、而も参議院といたしましては衆議院が先議しており、こちらの方では未だ予備調査というような段階を経なければなりませんので、十分に愼重審議するだけの時間の余裕が乏しいのではないか、止むを得ない御事情があるとすれば、これはいたし方がございませんが「成るべくこういうものは十分な日数を置いて御提案になるように是非これは希望いたしたいと思うのでございます。  私の心付きましたことはそれだけであります。
  11. 山下義信

    山下義信君 只今專門調査員の御研究になりましたお話参考に伺つて置きます。質問は私共議員がいたしますので、只今参考の御報告として承つて置きます。  当局に伺いたいと思う点が二、三ございます。賠償問題に関しますることが実は國民の間にはつきりいろいろなことが分りませんのでありまして、我我議員といたしましてもその方面の知識が十分にございません。固より講和会議が始まらないのでございますから、具体的なことの國民の認識がないのは当然でございます。これは非常に全般的に重大な問題であると存じますのでありますが、新聞紙上などでは日本に課せられたる賠償のいろいろな各國の意見といいますか、有力な人たち意見というものが紙上に現れておるように見えております。國民はそういう点につきまして不明瞭でありまするが、非常に関心を持つておるわけでありますので、大体この世界の世論が日本に課する賠償ということについてどういうふうな状態でありまするか、大体の情勢というものを外務大臣からお聞かせが願いたいと思います。  第二点は、すでに決定いたしておるところの賠償物件処理、これがどういうふうになつておりますか。いわゆる兵器でありますとか、軍需工場であるとか、すでに指定されておりまするものは、私共よく存じませんけれども、三百万トン内外ありまする。それらの処理状況がどういう段階只今つておりまするかという点を伺いたいと存じます。  第三は、この賠償物件撤去作業、これは相当な仕事であろうかと思いまするので、この仕事はどういうふうにして、誰にやらしておるのでありますか、いろいろ協議会とか何とかいうものをお設けになつておられますとかいうような、極く漠然たることしか承知いたしておりませんので、どういうふうにしてこの作業請負師などが決まつて参りまするのか、動もいたしますとこういうことに利権が伴いますので、どういうふうにそういうことが運ばれておりまするか承りたいと存じます。  第四は、この法案を見ますると、賠償廳長官國務大臣が当るようになつておるようでございます。これは新たなる國務大臣お作りになりまするお考えでありますか。それならば又場合によりましては内閣法改正も必要になつて参りまする。只今のこの内閣大臣がお当りになるというと、どなたが手の空いた方がなさいますか。或いは外務大臣がこれに当りになる、兼任なさるという御予定にでもなつておりますか。総理が見えておりますと総理に伺うところでありますが、外務大臣が見えておりますから内閣の御意見を伺いたいと思います。以上。
  12. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 只今の御質問にお答えいたします。第一点は詳細を盡せばいろいろと詳しい書類委員会に配付すべきが至当であつたかと思いますが、本日はそういう書類を持参して御配付しておりませんが、極く大体の経緯を説明いたしたいと思います。御承知通りポツダム宣言の中に連合國日本に対して課すべき賠償の問題が掲げてありますので、主として極東委員会を中心としてワシントンにおいて賠償問題の論議が展開されておるわけであります。これらの詳細なる書類は公式には何ら日本送付されておりません。各般事情を綜合して考えて見た結果の結論を申しますと、一番最初賠償案立案する参考として、いわゆるポーレー・ミツシヨンなる者が日本に参りまして、ポーレー案と称する賠償一案が出來上つたのであります。この案は可なり日本に対出る賠償の重荷を負わせようとする案のようでありまして、連合國内においても種々の批判の的となつたようであります。その後更にストライキ使節團というものが参りまして、新たなる観点から賠償案立案する任務を託されておつたようであります。これもすでに最近報告書を纏めて、合衆國政府に提出することに運んでおります。  大体の印象を申しますと、その第一案であつたポーレー案よりも、実情に即した賠償案が漸次極東委員会において採用されておる傾向にあると信じております。その中で傳え聞くところによれば一番問題になりましたのは、連合國間における賠償の分け前が一つ、それから賠償撤去することによつて、今後日本に許すべき工業水準を如何なる年度に置くか、普通の説に從えば一九三〇年より三四年の間の程度を以て、今後日本に許すべき工業水準にするというふうに傳えられておりますが、連合國一部分においてはもつと厳格な水準設けて、或いは一九二〇年代の一時代をとつて水準にすべきであるという説も聞いております。この論議は昨年以來続けられておりまして、詳細の事情ははつきりいたしませんが、大体において連合各國間の論議は終結する一歩手前まで來ておるというふうに考えております。  それから第四の御質問國務大臣責任官吏とするという点でありますが、技術の問題はとにかくとして、國民一般に與える賠償問題の印象が相当深刻でありますから、やはりこの問題についての責任國務大臣程度の者が取る必要があるという考えから、國務大臣賠償廳長官にすることに。案を立てたのでありますが、只今のところ各省長官たる國務大臣は、賠償に関する責任を直接には取らない、省を持たない國務大臣の中から適当なる人間を選んで、賠償廳長官に立てる案を立てておるわけであります。  それから第二及び第三の御質問は、実際の実情をよく知つておる政府委員から説明をいたさせます。
  13. 島津久大

    政府委員島津久大君) 第二点の、現に決定しております賠償問題の処理の現況を申上げます。現在公式に決定しております日本関係賠償問題の根拠は、極東委員会中間計画であります。これに基きまして総司令部から日本政府に正式に指示が参つております。第一の指示賠償予定施設を、工場を指定いたしまして、これを良好な状態維持管理をして置くということであります。この対象となりました工場が約九百あります。引続きましてその予定施設の三割の範囲内で取立てをしてよろしいということが、総司令官アメリカ政府から指示が参りまして、この実施の一部といたしまして旧陸海軍工厰の中これは約百工厰あるのであります。その中の十七の工厰が第一次の撤去対象になつております。この工厰内工作機械、第二次金属加工機械、合せまして約二万台というものが現に解体梱包をいたしまして、一部船積を了したという状況でございます。これが簡單に申上げました現状であります。  第三点の実際の作業をどういうふうにやつておるかという御質問にお答えいたします。これは賠償物件所管官廳軍工厰大藏省民間一般工場商工省造船所運輸省、それぞれの所管役所作業責任を持ちまして、それが解体梱包作業の具体的な計画を立てまして、実施責任を持つておるわけであります。解体梱包ができまして輸送段階になりますと、運輸省が全責任を持ちまして所定の港まで輸送をするということになつております。この実際の作業をどういう人にやらしておるかという御質問でございますが、これにつきましては適当な業者選定いたしまして、請負作業をさせることになりまして、この選定に対しましては関係者で十分検討いたしました上で、賠償協議会というものを作りまして、官民合同して慎重に審議をいたしまして、民間工場軍工厰いずれも解体梱包段階までの仕事業者の粋を決めまして、その枠の中で競爭入札をいたしまして、これで業者を決定いたす。その競争入札をさせます際にいろいろの基準を與えまして、價格でありますとか、いろいろ契約の内容につきまして基準を與えまして、浪費のないように努めておる次第であります。輸送に関しましては、競爭入札よりも本当に実力のある業者選定いたすことが容易なのでありまして、競爭入札ではなく隨意契約で業者選定する。この選定当りましても、先程申しましたように賠償協議会審議をいたしまして、愼重に業者選定いたしております、大体以上のような状態であります。
  14. 千田正

    千田正君 所管事項に関してちよつと御質問申上げまするが、この度の連絡調整事務局並び賠償廳設置に対しまして、引揚邦人残留財産に対する処理に関する事項は、いずれの方面において所管されるようになりますか。その点についてお伺いしたいと思います。
  15. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 在外資産の問題は御承知通り日本政府において少しも発言権を持たない状態になつておるのでありますが、平和條約の際に恐らく在外資産措置については、相当の規定設けられることと思います。但し從來資料及び取扱関係外務省において或る程度の材料は現在持つており、尚引続き資料を集めております。差当つてこれらの問題を直接取上げて実際の事務を運ぶというようなことが困難な実情にありますので、從來通りやはり外務省管理局の一部において取扱うことに從來通り残ると思います。特に新たなる官廳においてこれを取扱うというような機構にはなつておりません。  先程説明をいたしましたときに、申上げなかつた点について、一二補足をいたして置きたいと思いますが、今回終戰連絡事務局が廃止されまして、その事務が二三の官職に分れて、或いは連絡調整局となり、賠償廳となり、一部分外務省に残る。その際人員及び予算の問題をどういうような方針で決定したかという点を附加えて申上げて置きたいと思いますが、政府行政整理に当面しておる今日でありますから、新規人員及び予算要求することは極力これを抑えております。從來終戰連絡事務局が持つてつた人員及び予算を大部分そのまま総理廳の方に移すということになりますから、これがため外務省においても新たに二部を設けることといたしましても、特にこれがため人員を増加することはいたしません。配置轉換によつて新たなる部の部員を補充することにしております。  それから賠償廳も、この点はもう少し詳しく内部の構成を政府委員より説明させますが、賠償廳につきましても、大部分從來通機構を持寄つて賠償廳を作るのでありますから、新規人員を採用する人件費從來よりも特に著しく必要とすることはない仕組にいたしております。尚賠償廳の細かい機構につきましては、政府委員より説明を附加えさせて置きます。
  16. 小野哲

    小野哲君 ちよつと今のことに関連して、今大臣から賠償廳組織細目について御説明政府委員からされるということのお話がございましたが、私からそれに関連して伺いたいことは、今度終戰連絡事務局を廃止して、その連絡調整ため連絡調整事務局お作りになる。この場合に從來終連がありました際において、各地方にやはり終連の出先機関があつたわけであります。で同時に府縣廳というような地方廳にも、府縣の事務として渉外的な事務を担当する課というようなものもあつたように記憶いたしております。と共に終連事務局の支局なり出張所というものもあつたつその際連絡調整事務局ができまして、この法律案の第八條によりますと、地方事務局が所要の地点に置かれることになつておりますが、從來地方の出先機関というものが非常に多いことは、外務大臣も御承知通りかと思いますが、この際連絡調整地方事務局が所要の地点に置かれますと共に、地方廳との関係をどういうように御調整になつて行くか。この点を賠償廳仕事の方は連絡調整地方事務局の方でやりますので、この点はまあ一本になるかと思いますが、全体として渉外事務が地方廳との関係においてどういうふうに今後運用されて行くか。これを関連して御説明を願いたいと思います。
  17. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 出先機関整理統合し、或いは廃止する必要があるということは、政府も前々から感じておるのでありまして、そういう見地からも今後の終戰連絡地方事務局をどうするかということを相当研究いたしましたが、御承知通り、これらの機関は主として占領軍官憲との連絡に当る機関でありまして、先方の意向を知ることが必要であると考えましたので、相当の連絡を以て、第八軍司令部とこの点についての意見の交換をしたわけであります。ところが先方側の意向は、終戰連絡事務局を廃止することは反対である。のみならず、府縣によつて終戰連絡事務局がないために、連絡の満足に行われない地方も相当の数にある。第八軍司令部としては、むしろ今日以上に連絡事務局の数を増して、人員を強化することを希望する、というふうな意向がはつきりいたしたのであります。事実今日までの経過を見ると、今直ちに終戰連絡事務局を廃止することは事宜に適しないと考えておりますので、その意向は内閣行政調査部の方にもすでに通達をいたしておるわけであります。
  18. 小野哲

    小野哲君 更に追加して今の事柄に関してお伺いいたしますが、そうしますと、現存ある終戰連絡地方事務局でありますが、これは今回連絡調整地方事務局というものが第八條で似て限定されておりますので、存置すべきものは、この新たに作られようとする連絡調整地方事務局の出張所というふうな形式で存置される御意向でありますか。この点を伺つて置きたいと思います。
  19. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 只今お話通りでありまして、終戰連絡事務局が今度内閣において名前を変えた連絡調整事務局になり、地方の終戰連絡事務局の支局が地方事務局に変るというので、内容は殆んど変化はありません。これを総理廳において統轄するということになり、從つて連絡調整事務局の配下に移るというだけの相違なのであります。
  20. 小野哲

    小野哲君 附則の第十三條に、「この法律施行の際に設置する連絡調整地方事務局の出張所は、次の通りとする。」ということで、ここに数ケ所掲げてありますが、もつと沢山ある、若し終戰事務局の地方事務局連絡調整地方事務局の出張所として存置するということになりますと、この法律施行の際においても相当外にあるのではないかというふうに想像されるのでありますけれども、その点如何でございます。
  21. 大野勝己

    政府委員(大野勝己君) それは現在の通りでございます。ただ諸般の関係から熊本の事務局を落しまして、本法施行の時には出張所にするというだけが違いであります。
  22. 下條康麿

    委員長下條康麿君) それでは午後二時から続けて参ります。    午後零時五分休憩    ―――――・―――――    午後二時二十九分開会
  23. 下條康麿

    小野哲君 附則の第十三條に、「この法律施行の際に設置する連絡調整地方事務局の出張所は、次の通りとする。」ということで、ここに数ケ所掲げてありますが、もつと沢山ある、若し終戰事務局の地方事務局連絡調整地方事務局の出張所として存置するということになりますと、この法律施行の際においても相当外にあるのではないかというふうに想像されるのでありますけれども、その点如何でございます。
  24. 中川幸平

    ○中川幸平君 両法案臨時とこうなつておりますから、どうでもよさそうでありますけれども、この機会に一、二お尋ねいたしたいと思います。  前の議会で行政機構の改革問題が二、三ありまして、労働省の設置問題はともかくといたしまして、法務廳の設置問題或いは建設院の設置問題にしましても、その際に痛切に感じましたことは、どうもこの行政機構の改革が行き当りつたりのやり方に思えてならん、司法省の大部分が最高裁判所に移る、その残りを法制局と一緒にして法務廳を拵えてはとか、或いは内務省の解体に伴い國土局をどこへやつたらよかろう、これは復興院と一緒にして建設院を拵えるというように、その当事者の方々の考えで、かような大切な行政機構の改変をなさるように思えてならない、そこで行政機構調査を担任せられている齋藤國務大臣にその都度承つて見ますると、その通りで全部が行政調査部の調査に掛かつておらないということを、その都度言明されておられるのでございまして、苟くも行政機構の改革に当つてはその担当の方方の意見のみでやられるということは非常に國家としても不幸なことであり、考えんければならん事柄であつて内閣全般が如何樣にした方が最もいいだろうかということによつて、やつて貰わなければならんということを申上げておつたような次第であります。この両法案臨時となつておりまするが、この連絡調整こいうのは占領軍がおる間必要な官廳であつて、決して臨時的ではないじやなかろうかという考えを持ちまするが、その点はどうでありまするか、お尋ね申上げる次第であります。  又この連絡調整賠償問題とこれを二つの官廳にする必要があるかどうか、これらを綜合的に合した官廳が最も適当するのではないかという考えを持つのでありまして、かように賠償廳連絡調整事務というように分れておることが、却つて不便なような感じをいたすのであります。果してこれでうまく運営ができるということならば、敢えて申上げんのでありますが、法案を見ましても賠償廳のごときは非常に簡單な法案になつておるようであります。これで果していいかどうかという感じがするのであります。むしろこれは一つに掻き混ぜた確固たる連絡調整廳というようなことが本当ではないかという感じをいたすのであります。これらの点につきまして外務大臣の御所見をお願いいたす次第であります。
  25. 芦田均

    國務大臣芦田均君) お答えいたします。最初賠償廳を特に切離した理由説明いたしたいと思うのですが、今日までの賠償撤去に関する企画及びその実施については、各省にすべての仕事が分れておることは先程申上げた通りでありまして、大藏商工、運輸、文部、安本、最近に至るまで終戰連絡事務局というふうに分れておりましたが、賠償問題に対する一元的の責任を取る國務大臣というものがおりません。帰するところは政府全体の責任でありますけれども、やはり賠償問題のごとく國民が多大の関心を持つ問題については、はつきりした責任を取る國務大臣が閣議において発言する機関を置くことが、統制の上に非常に便利であるということが第一点であるのであります。それから連合司令部においては、特に賠償部と称するものがありまして、これが一元的に仕事取扱つております。從つてこれに対應するような機関を、日本政府のどこかに設けることを希望するという、先方の切なる希望がありましたので、その点から賠償廳設置することになつた訳であります。  お話のように賠償廳は非常に簡單な組織になつておる。國務大臣長官になり、次長が一名、あとは六人の課長で、各省からそれぞれ採つた充実した人員仕事をやるという極めて簡素な形になつておりますが、この先例は例えば法務廳の設置案で御覽になりました通り從來部とか局とかいうことに対する一つの先入感がありまして、局といえば数が幾つもあつて、百人、二百人、三百人の人間が働くのが局というふうな考え方で、從來行政機構ができておつたのでありますが、法務廳の例で御承知通り責任の軽重に從つてその地位の上下を決めるのであつて、必ずしもその下に働いておる人数の多寡によつて責任者の地位を、高い低いと決めるわけではないという考え方に最近変つておりまして、そういう意味において、例えば外務省資料部であるとか、或いは特殊財産部のごときを部にしましたのは、必ずしもその部下が数が多いという意味ではありません。相当の閲歴、経験のある年配の人間を責任を取るという地位に置かないと、相当の判断を以て仕事を決済することに不便な場合が多いために、必ずしもその部内の人数の多寡に拘わらず、或る程度の経験のある、地位のある人聞をその長にする、こういう考え方でこの頃いろいろの部局機構考えております。そういう意味において廳といつても人数は極めて僅かであるという感を必ず與えるかと思いますが、その理由只今説明申上げたようなわけであります。調整連絡局の方の仕事賠償廳仕事とは、相手方から申しましても又仕事の性質から申しましても、余程趣を異にしておりまして、賠償廳の事業は主として大部分が現業であります。現実に賠償撤去し、これを輸送する準備をするという現業が大部分を占めるのでありまして、そういう関係上二つに分けましたわけであります。  それから臨時という文字を果してどの程度に解釈するかということでありますが、例えば石炭の國家管理法、これは臨時法であります。臨時法でありますが、期限は三年と限つてあります。今回提案しました二つの法律案のうちで、賠償廳の方は必ずしも平和條約が効力を発生したときに、賠償問題のすべての解決がつくとは思いません。場合によつては今後相当の年月に亘つて事務が存続するかとも思いますが、調整連絡の方の事務は、占領軍が撤去する即ち平和條約が効力を生じた曉には、いずれにしても占領軍は撤去するものと予想しておりますから、そのときにはすべての渉外事務は一元的に外務省が管掌をすることになりますから、そういう官廳における調整連絡事務局はそのときを以て廃止する。これはお説の通りいつ講和條約が効力を発生するかという見通しは、今日何ともつき兼ねると思いますが、先ず今後の考え方としては、そう長期に亘つて現状が継続されるものとは考えられないという観測から、臨時という文字を附けたわけであります。  大体こういう程度の期間のものを臨時ということは、從來の慣例から見て差支えはなかろうというふうに考えて、特にそういう文字を附けましたわけであります。
  26. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 先程の外務大臣の御答弁と関連いたしましてちよつとお尋ねいたします。講和会議終了後におきまして、連合軍は大体において引揚げる御予想はおつきになるのでございましようか。若しそうだといたしますと、その後の日本の國内の治安維持は大体どういうふうになるか、御予想はつくのでございましようか。管轄違いかと存じますけれども、序でにちよつとお知らせ願いとうございます。
  27. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 平和條約が効力を発生すれば、外國の連合軍が日本國内に残ることはあり得ないと思います。その際に國内の治安は國内の警察力によつて維持して行くのが唯一の方法でありまして、警察という言葉の中にどの程度の武器を携帶する者を警察官と言うかということは、これも恐らくは平和條約の締結の際に或る程度の了解はつくことと思いますが、國内治安は無論警察力によつてこれを維持するという以外に途はないと、かように考えております。
  28. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 もう一つ続けてお尋ねいたしますが、どのくらいな警察人員を置かれるのかよく分りませんけれども、將來若し過去にその不安があつたような労働攻勢が激しくなりまして、暴力革命の慮れが懸念されるような場合の内地の治安維持、それに万全が期せられるのでございましようか。若しそういう場合に日本の國内の警察カだけで維持し兼ねるような場合、果してどういう結果が起るでありましようか、又外國のお力を借りなければならない状況になるのでございましようか。そのあたりが非常に不安に存じますのでお尋ねいたします。
  29. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 將來の日本の警察力がどの程度まで必要であるかということは現在の情勢から申せば、必ずしも日本政府の自由の意思によつて決定できない場合もあり得ると思います。現に第一次世界大戰後のベルサイユ諸條約においては、それぞれ旧敵國の警察力を制限したのでありますから、かような場合も起り得る可能性はあるということを頭に置いて考えなければならないと思います。併しながら國民に対する國内治安の維持という問題は、必ずしも軍隊があつたから安全だということも申せないのでありまして、從來の革命の例を御覽になれば分ります通り、軍隊がなかつたから革命が成功したとか、軍隊があつたから革命が成功しなかつたというような考え方は必ずしも当らないのでありまして、たとえ厖大な軍備を持つておる國においても革命はしばしば成功したのであります。そういう意味からいえば、この問題のみを以て國内治安の維持の可能であろかどうかという考え方も必ずしも至当でない。日本國民の心構えの問題に帰するというふうに考えておるわけであります。
  30. 小川友三

    ○小川友三君 賠償廳設置法でありますが、政府がこの廳を作るに当りまして、敗戰の責任を果すために、極めて誠意を表現し、積極的にこれをやるという意味をこの法律の文句の上に現わしてはどうか、こう思います。この案によりますと、まあ負けたから仕樣がない。仕樣がないからこうした廳を作つてやるというような、澁々やるような感じは、これによると積極的な意味がないので、そういうような感じを持つ方もあるのじやないかというように思うのでありまして、これは敗戰の責任を果すために先ず誠意を示す、積極的に賠償廳を作つて、そうして万全を期して、大藏商工、農林、安本、運輸等、非常に関連のある発電所、汽車、汽船をやるとか、機械を取外すと払いう部面が非常に多いのでありますから、この單一細胞的な、下級動物的な組織である感じがするものでなく、やはり第一局とか第二、第三、第四局というようなものを設けて、荷造りする材料は農林省関係が積極的にやる。それから現業には練達の人格者を以てどしどし荷造りをしたものを期日の來ん前に送り出すというような積極性を持つて頂いて、そうして賠償の意思を表示して行く。平和文化國家日本を作るというために、この廳を作るに当りましては、特に政府は眞劍にやつて頂きたい、かように思うのでありますが、この案の裏には幾多のそうした氣持が盛られておるとは固く信じておりますが、これだけを見ますと、極めて簡單なものでありまして、甚だ遺憾に思うのでありますが、外務大臣の御意思をお伺いいたしたいと思います。  それから賠償廳が短い期間のように大臣は言われておりますが、相当大きな賠償金がドルで請求せられるであろうということは想像できます。それは五年十年では到底支拂い得ない。数十年を要するのではないかと、本員は危惧する者でありますが、こうした点、並びに賠償につきまして、日本にそうした積極的な誠意を示した行爲を認めて下すつて、これとこれは先ず当分待つてくれるということに相成つた場合に、やはり賠償廳仕事が残留をいたしまして、相当長期間に亘るのではないか、我々の生きておる中に解決は着かないのではないかと、長年月を要するように実は想像いたしておるのでありまして、この点につきまして賢明なる大臣の御答弁をお願いいたします。
  31. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 小川委員の御質問にお答えいたします。我々日本國民はポツダム宣言を受諾して以來、誠心誠意その義務を履行することに全力を致しておるのであります。歴代の政府は機会あるごとに、日本國民のポツダム宣言履行に関する。誠実なる履行を表明して参つておるのであります。今後も同樣の方針であることは疑いを入れないと思います。併しこのお手許に今御審議を願つております法律は、賠償問題の実体法を決めたものではありませんで、賠償実施に関するただ機関の構成を決めたに過ぎないのでありまして、実体法まはないことは御承知通りであります。他の法律で申せば民事訴訟法とか、刑事訴訟法とかいうような形の、手続法の一部分ともいうべきものであります。日本國民のポツダム宣言履行に関する熱意を表明する場所としては必ずしも適当でないというふうに考えられるわけであります。  それから第二点の、將來の賠償事務は数十年に亘つて継続するのではないかというような御意向に伺つたのでありますが、御承知通り賠償問題については、第一回世界大戰後のヨーロツパにおける賠償問題の全面的失敗に鑑みまして、今回の戰爭後における賠償問題は前回とは全然その行き方を変えたのであります。平和後久しきに亘つて、戰敗國民賠償の支拂いを行わせるごとき方法は捨てる。そうして思切つて一氣にできるならば、現に地上に残つておる現物を賠償物件として取立てるということを主たる考え方にしております。現在ヨーロツパにおいても、一部生産賠償と称して、生産品による賠償を数年間に亘つて支拂わせる方法も見えておりますけれども、連合國の大多数はかような方法に対して反対の意向を持つておるのであります。將來のことは必ずしも予言はできませんが、我々の希望としてはできるだけ現物賠償によつて一氣に撤去するものは撤去してしまう、それですべて賠償問題は解決する。久しきに亘つて生産賠償のごときことは極力これを避けたい、こういう意向でありますが、賠償問題解決がさほどの長年月に亘るものとは予想していないわけであります。そういう意味に御了承願います。
  32. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 先程の外務大臣のお言葉の通り暴力革命の成否は必ずしも軍隊の存否とは関係ないこととは存じますけれども、將來万一軍隊の解散された後の日本に暴力革命が起つたと予想いたしましたときには、その第一順位はどこの國の軍隊が來で治安を維持してくれるのか、こういう順位を予め私は立てて置くことが非常に大事なことと存じます。過去におきまして、中國が北清事変の時に内地の治安が乱れた時に、日本からその治安を維持するために出兵いたしました。ところが他の各國も自己の國の在留邦人の保護のために各國が軍隊を派遣しまして、各國の軍隊の間に騒動を起したことがありました。そうしてその結果なかなか撤兵をしませんで、又その後に残つた國が原因で日清戰爭としてそういうことがあつたように記憶いたしますので、將來望ましいことでありませんが、若し万一日本の國内においてそういうことが起つたとしますと、非常に日本の國が困りますので、予めそういう順位を定めておいてくれることが大切だと存じます。今度の講和会議は決して外國と日本との間の交渉ではなくして連合國同士の間の申合せを日本にただ傳達するだけのこととは承つておりますけれども、ジネーヴの國際会議、その他最近のヨーロツパの敗戰國間に行われておるところの平和條約の要領を承りますと、大体敗戰國の希望はちよつとは聽いてくれるそうでございますので、若し万一日本講和会議の希望を聞かれたときには、私はやはり日本に若し万一内乱が起つたときには、一体どの國が先に治安を維持してくれるのかその順位を予め決めて置くのが万一の場合に必要でないか。このことを非常に心配いたしますので、この点御意見を得たいと思います。
  33. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 只今深川さんからいろいろ御意見の陳述がございましたが、私共の現在考えておりますことは、日本國内の治安を維持することは、我々國民の熱と努力によつて容易になし得る問題であると考えておるのでありまして、みずから助けることのできない民族を外の國が血の代償を拂つてまで援助を與えることも考えられません。又我々國民として國の内政の干渉を予め外國に依存するということは、三流、四流の民族ならばいざ知らず。我々の民族としては、所詮かようなことは考えられないことである。かように考えておりますので、將來といえども日本國内に暴力革命が起つたときに、その鎭圧に対して外國に依存するというような考え方は、恐らく日本國民の大多数の同意を得られないことを確信いたしておるのであります。必ずしも深川さんの御心配になるような意氣地のない國民ではなかつた考えます。
  34. 山下義信

    山下義信君 この法案の條文につきましてお尋ねいたしたいと思いますが、連絡調整事務局の方の法案につきまして、すでに法案の表題が連絡調整事務局であります。第一條にもそのことが言つてあり、第二條の場合に連絡調整事務局組織が出ておるのでありますが、一体組織從來と違つて新らしい変つた作り工合にできておるように思います。第九條に参りますと「連絡調整中央事務局長官一人を置く。」とあります。連絡調整事務局長官というのが見えておりませんが、この役所連絡調整事務局という役所であつて、その長官の名前は連絡調整中央事務局長となりますのか、その辺が法文を拜見いたしましてよく分りませんので、御説明を得たいと思います。  それからいま一つは第二條の第三項のところに「外務大臣又は賠償廳長官は、前項に規定する事務につき」云々とございます。この特殊財産及び賠償に関する事務につきましては、賠償廳長官外務大臣とが地方事務局の長を指揮することができるようになつておるようでございますが、その他のことは外務大臣は指揮をいたしませんか。ただ特殊財産賠償に関する事務だけについて地方事務局長を指揮するので、それ以外のことは御指揮なさいませんか。外務大臣は……その点を二点伺いたいと思います。
  35. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 第三條の解釈は只今の御了解の通りであります。外務大臣特殊財産の問題に関する限り地方事務局の長を指揮監督いたします。賠償問題に関する限り賠償廳長官地方事務局長を指揮監督するというだけの規定に過ぎないのであります。  それから連絡調整事務局の長は連絡調整事務局長官がこれに当るのでありまして、第九條の第一項の通りであります。
  36. 山下義信

    山下義信君 それでお尋ねしているのですが、連絡調整事務局という役所であつて、この法文の書き方の如何によりましようが、その連絡調整事務局の中に中央事務局と地方事務局と、こうあるように見えておるのです。そうでないのでしよう。作り方がそうでないのだと思いますが、連絡調整事務局中央事務局と、地方事務局とでできておると、こういうふうに第二條では見える、そうするとこの役所長官連絡調整事務局長官という名にならぬと、長官の職名と役所の名前とが一致しないということを私は尋ねているのであります。第九條によりますと「連絡調整中央事務局長官一人を置く」とありますだけで、この連絡調整事務局長官というものがこの中に見えていないようですが、どこにありますかしら。
  37. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 実は只今お尋ねの点はそれ程までに考えないで、從來終戰連絡中央事務局総裁という者がおりまして、それがこの終戰連絡事務局の地方の事務局を管轄し、監督指揮して來たものですから、ついそのままそつくりこちらの方に移した関係上、成る程そういうふうに考えればその関係がはつきりしないかとも思いますが、この第二條の初めに、連絡調整事務局中央事務局及び連絡調整地方事務局とすると、こう書いたままで、中央に属するという意味のことがはつきり出てなかつたために、お話のような疑いを生ずる慮れがあると思うのですが、書きました趣意は中央連絡調整事務局長官があつて、地方の事務局はそれが指揮監督するという趣意で書いたに相違はないのでありますけれども、ちよつと書き方が或いは不完全であつたかと思います。
  38. 山下義信

    山下義信君 大臣の御答弁のように、これは條文を都合によりましたら修正しなくちや御趣旨に合わんと思いますが、まあ後の審議に讓ることにしまして、第一点の外務大臣地方事務局長を指揮しますということが、特殊財産及び賠償に関する事務だけに限つて連合国官憲との連絡に関する事務の方はなぜ外務大臣の指揮の中から除かれましたのございましうか。
  39. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 御承知通り今日の日本におきましては、公式の意味における外交というのがないわけであります。連合国官憲と日本政府との関係は、連合國の軍政府が、日本政府を指導するという立場から、すべて行われておるのでありまして、これは外交という実は本來の仕事にはならないのであります。從來それにも拘わらず。外務大臣終戰連絡事務局の総裁を兼ねてましたのは、一番最初説明に申述べましたように、当初は連合軍の軍政府が、日本政府に対する指導その他について、極めて大筋で止めておつたのであります。又それぞれの事務所管官廳との直接連絡がとれなかつたために、終戰連絡中央事務局を通じて諸般の交渉を行なつてつた、その仕事は渉外事務に比較的経験のある外務省の吏員の大多数を使つておりました関係上、事務的の調和の上から外務大臣が総裁を兼ねておつたということで、便宜上そういうふうになつて参りました。併し理論として見れば、考えて見れば、軍政府日本政府との関係というものは、実は外交ではない。日本政府全般に亘る指導でありますから、そういう意味においては、むしろ外務省という一つの省よりも、各省の総合中枢の機関である総理廳にこれを置くということの方が理論としては通るのである。又今日においてはさようにしても多くの不便は感じないというところから、総理廳に移すことに決定したようなわけであります。
  40. 山下義信

    山下義信君 大体その点は了承いたしましたのでございますが、外務省というお役所仕事と、その連絡調整事務局の御趣旨と、その点よく了承いたしました。そうしますと、この連絡調整事務局、この條文の上で申しますと、中央事務局の方は一切外務大臣とは関係ないのでございますか。つまり総理大臣の直轄になりまして、外務大臣とはこの法案の上では関係がない。ただ地方事務局賠償、特殊物件の事務は指揮するが、中央事務局の方は外務大臣は何も関係がございませんか。総理大臣直轄ということでございますね。
  41. 芦田均

    國務大臣芦田均君) お説の通りであります。
  42. 山下義信

    山下義信君 よく分りました。そうしますと、ただ問題は連絡事務局の法案の上では役所の名前と長官の職名とが一致しないという條文の上だけのことになつておりますが、この点は当局はどういうふうにお考えになりておりますか。もう一度お考えの程を伺つて置きたいと思います。
  43. 曾禰益

    政府委員(曾禰益君) その点につきまして御説明申上げます。これも一つの例でございまして、これでなければいけないというわけでもございませんが、現在の終戰連絡事務局官制にもございます。第三條におきまして終戰連絡事務局にを置く左の職員、中央事務局総裁、次長、こういうふうになつております。それから地方事務局それに局長というふうになつておりまして、形式的に申しますると、これを踏襲いたしたことになつております。即ち若し変りますと中央事務局の一等上のものは連絡調整中央事務局長官、こういう名前になるわけでございます。その外に地方事務局に局長ができます。併しながらその点は第九條でも「長官は、局務を純理し、所部の職員を指揮監督し、連絡調整中央事務局及び連絡調整地方事務局の三級官の進退を專行する。」というような書き方からいたしましても、この中央長官という名前で全体の中央、地方を通じまする局全体の一等上になるという点は、先ずこれで間違いなく、そういうふうに解釈して差支えないと思います。先例にも関連いたしまして考えますので、さよう御了承願いたいと思います。
  44. 山下義信

    山下義信君 官房次長の御説明でございましたが、私承服いたし兼ねます。それは御踏襲になりました御趣旨でもございましよう。併しまあ前は勅令でもございますし、今度は法律でもございまするし、その点はともかくといたしまして、中央事務局総裁というのは外務大臣の兼務と從來勅令にはなつております。でありますから終戰連絡事務局中央事務局を置く総裁を……と多少書き方が妙でありましても、首脳者が外務大臣が兼務いたしますので混線の慮れがございません。ところが今度の連絡調整事務局外務大臣関係がございません。最高の長官連絡調整事務局長官というものになるのでありますから、それで職名をはつきりいたして置きませんと、例えば終戰連絡中央事務局総裁であろうと、終戰連絡事務局総裁であろうと、名前は何であろうとも、外務大臣が兼務すると、はつきり條文の中に、勅令に出ておるのでありますから惑いがございませんが、今度は別でございますから、能く職名などは明らかにいたして置きませんと、調整局に中央局と地方局とがあつて中央局だけの長官はあるが局全体の長官はないというような形に見えますと、法文の体裁上妥当でないというふうに考えるのであります。
  45. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 山下委員、法制局長官が見えております。
  46. 山下義信

    山下義信君 長官の御説明、念のために承りましよう。
  47. 佐藤達夫

    c○山下義信君 官房次長の御説明でございましたが、私承服いたし兼ねます。それは御踏襲になりました御趣旨でもございましよう。併しまあ前は勅令でもございますし、今度は法律でもございまするし、その点はともかくといたしまして、中央事務局総裁というのは外務大臣の兼務と從來勅令にはなつております。でありますから終戰連絡事務局中央事務局を置く総裁を……と多少書き方が妙でありましても、首脳者が外務大臣が兼務いたしますので混線の慮れがございません。ところが今度の連絡調整事務局外務大臣関係がございません。最高の長官連絡調整事務局長官というものになるのでありますから、それで職名をはつきりいたして置きませんと、例えば終戰連絡中央事務局総裁であろうと、終戰連絡事務局総裁であろうと、名前は何であろうとも、外務大臣が兼務すると、はつきり條文の中に、勅令に出ておるのでありますから惑いがございませんが、今度は別でございますから、能く職名などは明らかにいたして置きませんと、調整局に中央局と地方局とがあつて中央局だけの長官はあるが局全体の長官はないというような形に見えますと、法文の体裁上妥当でないというふうに考えるのであります。
  48. 山下義信

    山下義信君 長官の御説明ちよつと私の質問趣旨を、大体そうでありまするが、一、二違います。中央事務局と地方事務局関係を聞いたのじやありませんのです。この役所連絡調整事務局と称するのか、連絡調整中央事務局と称するのか、その点が明瞭でないというのであります。中央事務局と地方事務局との関係はよく分つております。この役所連絡調整事務局という役所を置くという法律に、その長官というのが、中央事務長官と称する、つまり中央事務局と地方事務局と二つこの連絡調整事務局の中に置くと、こうあるように第二條が見えますので、そんなら連絡調整事務局長官というものが要るじやないか、こういうことを言うのであります。役所の名前は連絡調整事務局という名前にして置いて、長官の名前は、中央事務局と地方事務局と二つあると役所内容を第二條に謳うて置いて、そうして長官だけを中央事務長官という名を與えたのはどういうわけか、こういうことを聞いておるのであります。
  49. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 分りました。この連絡調整事務局と申しますのは、連絡調整中央事務局及び連絡調整地方事務局の総称として、かような名前を附けておるわけであります。言い換えますれば、連絡調整事務局は、連絡中央事務局及び連絡調整地方事務局より成るというふうに考えておるわけであります。從いましてその組織、これは例は適例ではございませんけれども、これが二つ即ち中央と地方とが集つて連絡調整事務局というものを構成して御るということになるわけで、その総称ということになるのでありましよう。便法みたいなものだという御説明をしようと思つてつたのでありますが、適切な例ではございますまいが、中央事務局というものが官制上はつきり決められておる筈であり、地方事務局というものがこれの出先として官制の上で決められておる筈であるということの考えでありまして、それを総称したものが連絡調整事務局というふうにお考え願えれば結構だというように存ずるのであります。
  50. 山下義信

    山下義信君 そうしますと、連絡調整事務局という役所はあるのですか、ないのですか。
  51. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 中央事務局と地方事務局とより成る一つ組織体を総括的に見ました場合に、連絡調整事務局というものがあるということになるわけであります。
  52. 山下義信

    山下義信君 役所があるのでしたら、総括的に連絡調整事務局長官というものがなけらにやいけますまい。
  53. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 只今申上げましたように、これは考え方の問題でありますが、具体的に法律でその組織なり、長官なりを決めておりますのは、中央事務局というものを捉え、或いは又地方事務局というものを捉えて、ここで法律で書いておるわけであります。從いまして中央事務局の長官という形でその長を指して、その職掌を書いたのであります。從いまして中央事務局の長官が、先程御説明申上げましたように、出先の方にまでも統轄権を及ぼすということは、その方から出て來るわけであります。從いまして観念として連絡調整事務局長官とするという考え方も成り立ち得るわけではあると思いますけれども、この場合におきましては、中央事務局の長官という方の考え方を取つて、かような條文を設け趣旨でございます。
  54. 山下義信

    山下義信君 そうしますと、條文の、法文の書き方は連絡調整事務局の中に、組織として中央あり、地方ありという書き方になつてつて、御説明の上では連絡調整事務局が即ち中央事務局だと、こういう御説明なんでありますが、言い換えるというと、連絡調整事務局という名前と別の名前で言うて見たらば連絡調整中央事務局と言うのか。別に中央事務局というのを除いて、他に連絡調整事務局という役所があるのじやなしに、連絡調整事務局という総称が即ち中央事務局という別名だとこう考えてくれ、こういう長官の御説明と聞きましたが、その通りでございますか。
  55. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 普通の場合で申しますれば、恐らく連絡調整事務局と一本槍で書きまして、そうして連絡調整事務局に出先の役所として出張所を置くことができると書けば、恐らく普通の例でございましようから御納得が行くのだろうと思います。ところが、これは結論においては同じに近いと思いますけれども、その考え方とは違う考え方でありまして、地方事務局というものと、この中央事務局と、一應は対立した形にこれを取上げて、そうしてこの中央と地方との事務局を総合したものを以て連絡調整事務局と見る。そうして今度は長官はどこに置くかといいますと、中央事務局の長官として置いて、そうしてそれが地方事務局の方にも統轄権を及ぼすという考え方に立つておるわけであります。今先に申しました普通の例と照し合してお考え頂ければ、又これはこれとして一つの行き方であるということを御了解願えるのではないかというふうに存じております。
  56. 山下義信

    山下義信君 大分分つて参りましたが、まだ分りませんが、この切らんようにして考えてくれという長官の今の御説明では、連絡調整事務局というのと連絡調整中央事務局というものを、第二條では切つておるように見えておるけれども、別名のことだから切らんように考えてくれという御趣旨はよく分るが、私は條文の書き方のことを言つておるのであります。第一條ではこうなつております。「内閣総理大臣管理の下に、連絡調整事務局設置し、」とありまして、中央事務局のこともなければ、地方事務局のこともない。第二條に來ますと、役所連絡中央事務局という役所に明白になつております。第二條と第九條の長官の職名その他のことは成る程これもハイカラな行き方でよく分るのでありますが、日本式の私共の頭で考えますと、どうも役所の名前と長官の名前とが一致ないような設置法案の條文になつておるということを私が申述ベておるわけなんでありますが、尚私少し研究することにいたしまして一應質疑を打切ります。
  57. 中川幸平

    ○中川幸平君 前のことを引張り出して言うようでありますけれども、法務廳の設置法案のときに、最高法務廳となつてつたの一つしかない役所に最高法務廳という名前はおかしいじやないか、「最高」という字を取つたらどうかと言いますと、司法大臣が、自分らもそう思うけれども司令部がそういうような名前を附けろと言うので仕方なしに附けたというようなことで、いろいろやつて見ますと、「最高」という名前は要らなんだということで、「最高」という名前を取つた例があるのであります。この法案山下委員が言われる通りに私共も大変おかしう感じているのであります。「連絡調整事務局を置く」となつてつたら、第二條に行つてもやはり連絡調整事務局でなくてはならないのでありまして、それが中央事務地方事務局とそういうものができる筈がない。ただ「連絡調整事務局は必要に應じて地方事務局を置くことができる。」、こう行かなければならない。後に九條のところへ行きましても、その通りに、連絡調整事務局長官は地方の何も指揮監督できることに、進退を專行するということになつております。そう行かんければ、中央事務局の長官外務大臣賠償廳長官の三つが地方局の長を指揮盛督するというようなおかしいことになるのであります。それで役所の名前が連絡調整事務局であり、長官連絡調整中央事務局長官、そういう役所の名前と長官の名前と違うということがある筈がないので、定めしこれは書き違えか思い違いで、これができていることと考えます。それでこの原案を政府において訂正してお出しになるお考えはないか、一つお伺いいたす次第であります。
  58. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 無論政府としては國会の意向を最も強く尊重する筈でありますから、如何ように御修正になろうともその通り政府は行うのであります。
  59. 山下義信

    山下義信君 委員長の意向はどうか存じませんですが、今日はこの程度で散会を願いたいと思います。
  60. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) ちよつと補足して……。先程山下委員のお答えにちよつと足りないところがあると思いますが、連絡調整事務局を完全な出張所にしておらないということは、例えば第二條において「連絡調整地方事務局においては、前條の事務の外、特殊財産及び賠償に関する事務を掌る。」というようなこともありまして、これは外務省系統、賠償廳系統の一つ仕事地方事務局が分担するというような点で、一つの特殊な地位に当つておるということを申添えて置きたいと思います。
  61. 下條康麿

    委員長下條康麿君) ちよつと私から二三伺いたいのですが、今まで賠償に関して連合國側で考えておられることで、こつち側に分つておるような事実がありましたら、表にしてお示し願いたいと思います。例えばポーレー案、或いは修正になつたようなものがありましたら、大体のことでよろしうございますが、それをお出し願いたいと思います。明日でも結構であります。それから賠償廳並びに連絡調整事務局予算の問題でありますが、これも明日午後に委員会がありますから、それまでに若し器示しを願えれば、本年内の予算並びに明年の分、それからそれが現在決定を受けております予算とどういう額が組み替えになりますか。その点もお示し願いたいと思います。それから今朝程外務大臣の御説明の中で、私の聞き違いかどうか知りませんが、連絡調整事務というものは大体各廳と直接交渉される面が多くなつたので、いわゆるこの総合調整に関する事務というのは、何といいますか、いわばここの文字の通りであつて、そう大した事務の分量がないのではないかというように思つているのです。從いまして、調整事務臨時設置法案の中にありますように、官房と一、二、三の三部がありますが、少しこれが組織としては大きいのではないか。例えば具体的に申しますと、第六條に第一部というのが本体的な仕事ですが、この外にあります第一部のごときものは或いは第三部と合わせて、そうして適当な整理をするということでも間に合うのではないかというふうにも考えているのであります。この仕事の分量はどの程度であるか、一應そこが分らないのでありますが、その点に対して細かいことでありますが伺いたいと思います。
  62. 山田久就

    政府委員(山田久就君) お答えいたします。実は最近、一部の問題でありますけれども、最近の地方における状況を見て参りますると、これまでいろいろ日本の政治部面、経済部面或いは文化方面において、日本の民主化とかいうようなものの方針を示されて、それを中央でいろいろ作り上げた最近の状況といたしまして、これを現実に各地方において特に滲透して行くということにいよいよ力を入れる必要があるというのが連合國軍の方でも特に重要視している点なのであります。その意味におきまして、実は地方の連絡調整事務局によくその点における中央の方針というものを傳達いたしまして、先方といわば表裏のような関係に立ちまして、いろいろその仕事に協力して貰う必要がある。そういう趣旨から申しまして、地方事務局というものの統轄という点につきましては、事柄の内容が廣汎である関係上、実はこれのために独立した一つ部局設置が必要であるということは、事実その通りでもございますし、且つこれが先方の希望でもあるような状況なのであります。併しながら最近いろいろ節約できるだけ、まあ簡素になし得るものならばやつて行くという趣旨からいたしまして、一般的な連絡とかというものを扱つておりまする一般の連絡というような仕事と合せまして、これを第一部に持つて來ておるような関係になつております。仕事といたしましては今申上げましたようにいろいろの点を各地方に傳達いたしまして、先方と密接に連絡して、これに協力を與えて行くというためにはその分量は可なり多いということを十分申上げ得るものだと確信いたしております。
  63. 下條康麿

    委員長下條康麿君) それでは第五條、特に第五條について何か分課規程の案でもおありになると思いますが、それを明日までに一つお知らせ願いたいと思います。第十條に「連絡調整事務局組織細目については、長官がこれを定める。」、長官がお定めになる筈でありますから、その細目一つ拜見したいと思います。  それからもう一つ賠償廳設置法案の中の第三條の第二項に「賠償廳組織細目については、長官がこれを定める。」とありますが、細目ですから本則があるわけですが、本則の一部として長官というものが第二條に見えておりますが、先程伺つたところによりますと、官房の次長と六課を置くということで、別に部局がないことになるのでありますが、部局も或いは細目で作れることになるのか、その点法制局長官に伺いたいのであります。
  64. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 局とか部とかいうようなものでありますれば、これは丁度只今同時に御審議つております連絡調整事務局の局に関する條文のように法律の中に載るのでありますが、この場合は局或いは部を設けずして、課というような小さな分掌單位を設けるつもりでありますので、この細目については長官が定めるというような書き方にいたしておるわけであります。
  65. 下條康麿

    委員長下條康麿君) それでは今日はこの程度に止めまして、明日午後一時から委員会を開きますからどうぞ御承知願います。これで散会いたします。    午後三時三十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     下條 康麿君    理事            太田 敏兄君            山下 義信君    委員            岩崎正三郎君            今泉 政喜君            北村 一男君            中川 幸平君            竹中 七郎君            深川タマヱ君            小野  哲君            伊達源一郎君            千田  正君            小川 友三君   國務大臣    外 務 大 臣 芦田  均君   政府委員    外務事務官    (総務局長)  太田 一郎君    外務事務官    (管理局官)  大野 勝巳君    外務事務官    (終戰連絡中央    事務局政治部    長)      山田 久就君    外務事務官    (終戰連絡中央    事務管理部    長)      磯野 勇三君    外務事務官    (終戰連絡中央    事務賠償部長) 島津 久大君    内閣官房次官  曾禰  益君    法制局長官   佐藤 達夫君