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1948-04-16 第2回国会 参議院 決算・商業・鉱工業連合委員会打合会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年四月十六日(金曜日)    午後一時三十四分開會   —————————————   本日の會議に付した事件 ○中小企業廳設置法案内閣提出、衆  議院送付)   —————————————
  2. 下條康麿

    委員長下條康麿君) それでは只今から決算、商業、鑛工業連合委員会を開会いたします。お人も少ないから、取り敢えず懇談会として、始めたいと思います。この間総理大臣に對してご質問がある方がございまして、特に総理大臣がご出席になつております。安本長官も約三十分遅れて参られる筈でございます。商工大臣も間もなく來れると思います。どうぞ御質疑を願います。
  3. 山下義信

    山下義信君 総理質問をいたしまする前に、私共本案審議いたしまするにつきましての、私共の考えを申上げて置きたいと思います。それは中小企業廳というこの程度の新らしい機構を作りますということは、考え方によりますというと、そう大きな問題ではないようにも思われるのでありますが、併しながら實は私共は、この法案に對しましては非常に重大に考えておるのであります。それはいろいろな面におきまして重大に考えておるわけなんでありますが、その一つといたしましては、この法案の取扱いの上におきまして、今囘新設せられまする中小企業廳というものがどういう仕事をするかという仕事内容でございます。その内容が明瞭であるかないかということを確かめて置く必要があると考えるのでございます。そのよき事例といたしましては、一昨日決定いたしました石炭廳設置でございます。これはすでに石炭國家管理法というものができまして、而もその國管案審議するに當りまして、言うまでもなく十分議論が盡されまして、石炭政策というものがはつきりいたしまして、非常に細かな具體的施策までも論及せられまして、どういうことをするのだということがよくはつきりせられまして、而して石炭廳がここに設置をせられて來ております。今囘の中小企業廳設置法案につきましても、我々議員といたしましては、やはり同様に、この役所がどれだけの仕事ができるかという見通しはつきりついて、この役所の必要であるか否かということの考え方を決めたい、こういう考えを我々は持つておるのでございます。少なくとも私はそう考えおるようなわけでございます。從いまして、この案の審議につきましては、十分政府の所見を、成るべく抽象的でなくいたしまして、抽象的なことはすでに印刷物その他におきまして十分承知いたしておるのでございますが、まだ實は具體的なことが少しも私共に分かつていないのでございまして、でき得れば政府におきましては、そういう點につきまして、できるだけ實のある政策についてのお考えをご披瀝下さいまして、本案審議についての御便宜をお與え願いたい、こう考えておるのであります。その前提の下に総理に伺いたいと思いますことは、芦田内閣のお持ちになつておいでになる中小企業に對しての御政策を御説明を煩したい、こう思うのでございます。
  4. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 只今山下君の御質問がありまして、從來中小企業に對する政策については、終戰以來しばしば政府審議の議題になつたのでありますが、最近に至るまで具體的政策を行う餘裕がなかつたといいますか、その機會が遅れたのでございます。尚具體的政策についても、甚だ足りない部分も多いといういうことは御存じての通りであります。この戰争の結果最大の犠牲拂つた産業界は、一言で申しますと、中小企業者であつたと思うのであります。全國に亙る大小都市の戰禍を受けたうちでも、最も自己の負担において多くの損害を被つたものは中小企業であります。併しながらこの振興につきましては、他の産業に比べて實質的な援助を與えるための、例えば資金の融通その他については、頗る趣きを異にした點があるために、この方面施策が現實に行われなかつたというのも、一つの大きな理由をなしておると考えるのであります。併しながら中小企業は、大きく區別して考えましても一面においては輸出振興の上に重大な影響を與える仕事であります。從來の我が國の輸出貿易は、外に現れる以上に中小企業の力に負うところが多つたということは御承知通りであります。輸出の促進或いは貿易再開を前にして、中小企業振興はどうしてもこれをこのままにうつちやつて置くわけにいかないということが一つと、一方には國内の産業の上から申しましても、大産業の捨石となつて下に隠れてその基礎を與えるためには、中小企業振興されることが必要であり、然らずんば大企業を眞に再建することは困難であるという事情も御承知通りであります。又國民の民生を安定する上において必需物資生産するうえにおいての中小企業の力は極めて大であります。これらの點から考えましても、この際從來とはより一層具體的中小企業振興を圖らなければならん。併しながらその振興策の全部を中小企業廳が受持つというのではありません。例えて申せば、家を燒かれ、その家の中の仕事場を燒かれ、商品を失つた戰争が濟んで見れば残るものは借金だけであつたという状態になつておる中小企業が相當に多いのでありまして、それらの事情中小商工業復興を圖る上において極めて困難な原因をなしておる。然からばそれに對して必要なる資金を無担保で提供し得るものがあるかといえば、これを金融機關の手にのみ委せて置くという場合には、おのずからその貸付の方法等についても新たなる構想の下に、一口で申せば對人信用で金を貸すということ以外には、担保物を持たない中小企業者も相當多いのでありますから、これを通常の金融機關に委せて置いて、果して振興ができるかという點になると、これも随分困難な事情が多いのであります。そういう問題を具體的に一括して考えるという場合に、どの方面から手を著けて行くがいいか。緊急のものはどうしても先ずその方面から施策を圖らなければならんのでありますが、何を先順位にして著手するかというような問題も常に考えて置かなければならん。現在中小企業者に對する金融の上から申しましても、又資材割當方面から見ましても、若しくは技術的にも幾多改善すべき餘地のある中小企業でありますから、その技術改善に對する必要な指導、或いは必要なる補助等についても十分に具體的方法考えなくちやならん。必ずしもそれらの政策が全部中小企業廳の、ここに問題になつております政府機關によつて行われるというのではありません。併しながら一面においては商工協同組合のための組織を援けて、その商工協同組合の力によつてみずから起ち上つて、みずから解決し得る問題は、これを適當指導することによつて目的は達せられる。併しその協同組合の力に餘る部門については、必要に應じて政府がこれに援助を與える必要があることは申すまでもないのであります。そういう各方面に亙る組織指導とか、或いは資材割當の問題であるとか、若しくは資金を貸與するに必要な調査、研究、そういうたような極めて行政的な技術的な部門に關しては、主として新に設けます中小企業廳においてこれを取扱う、そういう仕事でありますから、勢い戰爭以前における中小企業の問題は、戰爭後に至つて事務から申しましても著しく繁多になつて來ておることは御承知通りであります。又施策においても極めて多方面からこれを考慮する必要があるというふうに考えて、中企業庁施策を實現することに決定いたしたような次第であります。  私の答辯は餘り一々具體的に亙つていなかつたかと思いますが、併し大體現在政府考えておる施策方針については御了承を願えるかと思う次第であります。
  5. 山下義信

    山下義信君 お伺いいたしますが、現内閣の重大な政策としまして外資導入による我が國經濟再建ということが非常に高唱せられております。又國民の大多数もその點に非常に望を掛けておるわけであります。總理は本年こそ久し振りに見る明るい年の第一年であるということを御聲明に相成つております。この外資導入ということに關連いたしまして、中小企業將來在り方、これを分けて申しますると、外資導入するための受入態勢としての中小企業在り方はどうなつておればよいのでありますか、どうお考えになられますか。  又第二點といたしましては、その外資導入しまして、我が國産業界に公明が齎らされて來るという見通しの下における將來中小企業のどういう點が興亡的に推移して行くというお見通しを以ておいでになりますか。これらについての總理の御見解を承りたいと存じます。
  6. 芦田均

    國務大臣芦田均君) お答えいたします。中小企業が今日持つておる役割は先程一應お答えいたしました通りに、一面においては輸出産業の極めて重大なる部門を占めておるということが一つと、又大企業補佐役となり或るい土臺となつてこれを各方面から指示して行く役割を持つておるということを申上たのでありますが、中小企業外資導入によつて受ける直接の影響はどういうことかというお尋ねでありますから、その點を考えて申しますならば、外資導入と申しましても、その形はいろいろあると思います。或るものは物資によつて輸入せられるに違いない。或るものは輸入に必要なクレジットの形で行われることでありましよう。或いは又企業の参加の形によつて外資が内地に入る場合も起こり得ると思うのであります。いずれにいたしましても物資輸入によつて國内の産業振興されるという場合には、中小企業の各種の部門において新たなる原料を掴み、新たなる輸出販路を見出し得るということになり得ると思います。假に單なるクレジットの形によつて輸入品を掴む場合におきましても、大企業が起こるためには、勢い中小企業がこれに即應する働きをするのでありますから、その事業の範圍は著しく擴大されて行くということは、疑いないと思うのであります。併しながら本當に中小企業が、この外資の受入れに必要な態勢を持つという、直接接觸する面は、大企業のようではあり得ないと思います。勢いその営業は間接的にならざるを得ない。又これらの外資は、必ず輸出振興によつて、その利子の支拂いをしなければならない。或いは物資輸入代金を決濟するために、外國貿易販路を廣くしなければならないという必要に、表裏相待つ問題でありますから、外資導入をすればする程、我が國の産業としては、輸出振興を圖らなければならない。その輸出の大宗である物資が、從來多く中小商工業によつて賄われていたという事情から見て、中小商工業振興外資導入と極めて緊密な關係にあることは間違いないと只今考えておる次第であります。
  7. 下條康麿

    委員長下條康麿君) ちよつと、商工大臣が、二時にGHQの方に行かなければならないので、その前にお尋ねがありましたら……。ちようど山下さん、お待ちを願います。
  8. 山下義信

    山下義信君 總理に伺いたいと思いますが……
  9. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 私ほまだ三十分ぐらいはよろしいですから。
  10. 下條康麿

    委員長下條康麿君) それではどなたか……、
  11. 竹中七郎

    竹中七郎君 私はこの日本産業の問題につきまして、政府がいろいろな面におきまして、いろいろな物資、或いは資金という點において、重點産業という枠で、大企業の方へ、お廻しなつたと、そのために中小企業が非常に困難な立場なつた。段々と餘裕ができて、この中小企業廳を置かれるということは、これは、内閣のヒットであると、かような考えおておる者でありますが、その點につきまして、いろいろの戰災者或いは引揚者その他に對しましては相當の費用をお出しになつておられる、然るに現在までにおきましては、中小企業の者は浮かばれなかつた、それをこの企業廳においておやりになります點につきまして、只今總理から申されました或いは商工協同組合を主體にし、その職務をやると言われますが、それだけではなかなかうまく行かないと思いますが、この資金その他におきまして、復興金融金庫の外に、或いはいろいろのこの金融機關と別に、中小企業の問題に對する機關設置せられる御意思があるか。 それから、この中小企業という中において、これにおきましても、資金その他の問題に對しまして、重點的にお考えになつて、どういう企業に對して、重點的にそういうふうな資金資材を廻されるか。  次にその資金というものは、どれくらいまでは、中小企業の方へ、お廻しになる政府にお力があるか。その資金に對しましては、いろいろ運動しますと、まあ引揚者その他におきましても、私は考えますが、運動して方へ行きまして、末端の方へ行つていない、こういう面が非常に多いということを我々地方におります者が考えまして、東京におります者、或るいは近くにおきましては、非常に廻つておりますが、それが地方に参りますと廻つておらない。非常にいい人もあり、悪い人もあつて、偏頗な状況にありますが、この點につきましても、勿論企業廳が公平におやりになりますと思いますが、この點につきまして、商工大臣の御答辯を煩したいて思います。
  12. 水谷長三郎

    國務大臣水谷長三郎君) 只今竹中さんの御質問でありますが、中小企業で、まあ一番大きな問題は資金資材の問題でございます。この資金の面に關しましては、このたびの三頭政策協定におきましても、中小企專門金融機關を設けるということを決定した。これは長年間商工省としても、それのために今いろいろ研究して、努力をしておる次第であります。復金なんかになにしますと……、第九十議會に、丁度石橋さんが大藏大臣の時に、私が予算委員として質問した時には、復金の中に中小企業部をもうけて、そうしてそれの不公平のないようにやるということを言われましたが、やはり復金融資の百分の五以下しか中小企業へ行かないで、口數が多くて、そうして金額が少ないとうような金融になり、今の復金ではなかなかむつかしいので、やはりそういうようなことを面倒がらずに、喜んで金融して呉れる、中小企業專門金融機關が是非必要であるという工合に考えておりまして、御趣旨に副いまして、できるだけの努力をするつもりでおります。  更にその中小企業資金の枠でありますが、この資金計畫の枠は、まだ最終的に決定はしておりません。併しこれは、あとから安本長官がお見えになつて、お答えになろうかと思いますが、こういうようにして、折角中小企業廳ができて、從來資金資材の面において、大企業中小企業とのアンバランスを矯正するという立場に立つ以上は、從來に比べて、枠は相當擴がるものであると我々は考えております。その擴がつた枠をば、中小企業の内部には、極めて公正に流さなければならんと思うのでありますが、我々は差詰め輸出産業に關連したもの、それから基礎資材と關連ある中小企業、或いは生活必需物資というように、重點的な扱いをやつて行きたいと、このように考えておるのであります。
  13. 中川以良

    中川以良君 私は本件は商工大臣竝びに總理大臣よりも御答辯を願いたいと存ずる次第であります。今囘中小企業が、今後の國の經濟再建のために負いまするところの大きな使命に鑑みられまして、中小企業廳が特に設置されるということは、誠に私共欣快に堪えないところであります。ただこの中小企業振興につきましては、いろいろな政府の方で要綱は述べられておりますが、根本的にこれを考へますときに、今日の統制經濟そのものを、私はどうしても再檢討を加えなければならないものと思つております。殊に只今統制經濟面は、統制經濟によりますところのプラスの面は全く引込んでしまつて、今日は統制經濟によるマイナスの面、つまり統制經濟によつて來るところの弊害のみが廣く現れておりまして、今日の道義の頽廢も又生産減退も、或いはインフレの昂進も、又官僚の獨善のことも、業界が互いに相剋摩擦を起こすというようなことも、すべて統制經濟の招きます一つの悲劇であると私は存ずるのであります。先般も、ドレーバー使節團の一行は、今後の日本經濟再建のためには、やはり經濟の自由を與えなければならんということをはつきり申しておるのでありますが、現在のような状態でありますと、例えば只今價格統制がされまして、只今八十何萬かの物資公定價格が附けられております。而して業界はどうかというと、最近クーポンでいろいろな資材割當てられております。クーポン貰つても、それだけの資材は到底公定價格で入手できないというような状態でありまして、つまり 飽くまでこの統制經濟を守るためには、政府所要の時機に所要量原材料をその企業家に與え、而してこれに所要資金をも融資をさせまして、これを公定價格で以て供出せしめるということでなければ、これは到底企業化はできないのでございまして、今日のごとく所要量所要の時期に來ない。而も公定價格の面は依然として、安く決定されておる。なかんづく、中小企業におきましては。基礎物資公定價格が先に決定されまして、中小企業の貰いまするところの物資原材量のみが高くなりまして、これによつて、できる製品の價格というものは常に三月、ひどいのは半年以上も遲れて決定されるのでありまして、眞に誠實なる業者が眞面目に正道を歩まんといたします場合には、當然損失を覺悟いたしまして製造しなければらないというようう状態に置かれておるのであります。かような状態にある以上は、業者は、どういたしましても大勢の職工を抱えております以上は、或る一部のものは横に流さざるを得ないというような實際實情に追い込まれておるのではないかと私は考えるのであります。かような意味におきまして、この統制經濟というものを大幅に御修正をなさるような御氣持ちがありかどうか。價格のごときものも或る程度大幅に公正價格の撤廢をなさるというような御意思があるかどうかという點を一つ承わりたいと存じます。 それから從來ございましたところの企業許可令というものがなくなりまして、あらゆる企業が今日自由に設立ができるということになつております。ところが、各地にそういう企業が起きましても、これに與えますところの原材料竝びに資金の面におきましては鞏固なる統制が取られておりまして、ここにも大きな矛盾がございまして、企業許可をするけれども、それに對して一向所要資金資材を與えておらない。殊にちよぴりの資材を與えて企業の自由を許しておるということをいつておりますることは、これは政府といたしましては全く今日の政治を見ましても非常に遺憾な點がございまして、かような意味におきましては本當に中小企業が熱意を以て、その業に勵む、而も正しく愉快に仕事をして行くということでなくして徒らに難しい取締の規則とか、或いは他の掣肘等に餘計なエネルギーの消費をいたして、生産減退を招いておるというような状態であります。公定價格が假に上がりましても、價格差益金というものが取られまして、業者の得ましたところの利益というものは再生産にならずに、徒らに縮小生産になり、遂には生産の破滅を招くというような今日の實情にあるのでありまして、かよな點におきまして、今後の中小企業を許して、これの指導をされるという面におきまして、どのようなお考えをお持ちか。從來實情に照らして新たなる御構想をお持ちどうかという點を一つ承りたいと存じます。
  14. 水谷長三郎

    國務大臣水谷長三郎君) 只今中川さんの御質問でございますが、高山内閣成立直後の緊急經濟對策におきましても、眞面目なる企業が育つて行くようにしなければならないということを言つたことは御承知通りであるのでございます。從つて我々は眞面目なる企業が育つて行くための適正なる利潤というものは認めなくてはならんと思います。更に又中小企業廳設置統制經濟の問題でございますが、これは御案内のように、今のような經濟事情の下におきましては、或る程度統制經濟としうものは不可避でありまして、これを機械的に或いは官僚獨善的にやるところに、いろいろの弊害があるのでありまして、現在の經濟事情の下におきましては、能率的な民主的な經濟統制というものは、これは相當尊重すべきものと思います。併しながら統制經濟は、統制目的でなくして、その統制を通じて、できるだけ自由公正なる經濟方式が取られる一つ段階として只今はやつておるのでありまして、我々といたしましても將來の目標というものは、只今中川さんがおつしやつた點におかなくてはならんということを、これは絶えずマッカーサー元帥も言つておられるところであります。ただ現在の止むお得ない一つ段階として、必要なる範圍において統制經濟をやつておるというのが現在の實情でございます。從つて我々はその必要止むを得ない範圍における統制經濟を、できるだけ能率的に民主的にやりまして、只今御指摘のような弊害のないようにやつて行きたいと思います。 更にマル公の問題に關しましても、去年の七月の價格改訂のときに不必要なるマル公、殆んど無意義な、又餘りまもられておらないものは、どんどん外すという方針を立てまして、去年の秋も相當外したのでございますが、なかなか僅かなものが外されただけでは、とてもどうするわけにも行きませんので、今度の新しい芦田内閣の上におきましても、統制と自由との調整を保ちながら、無意義にして餘り効き目のない統制は、順次順序を踏んで外して行きたい、このように考えておる次第であります。
  15. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 三點につきましてお尋ね申し上げます。 第一番はこの中小企業庁が發足いたします際は、一年に大體どのくらいの予算を計上なさるおつもりでいらつしやるのか。 それから第二番目には、私たちの記憶では、この度の中小企業廳、これが仕事内容といたしておるようなことは、從前は商工省内において行われていたものと存じております。その以後におきまして、そういう部局が整理されたものとも存じておりません。で、その以後におきまして、そういう部局が整理されたものとも存じておりません。勿論時勢の變遷がございますので、取扱う仕事内容には相當變化があることとは存じておりますけれども、一方において行政整理が大きな問題になつておりまするときのことでありますのに、それに逆行いたしまして、新に商工省の外局といたしまして一廳を設けるとなりますと、そこにはどうしても從來商工省内ではできない、新に一廳を設けなければならない相當重大なる御事情があることを存じております。先程の總理大臣お話を伺いますと、戰前に比べまして非常に仕事内容が繁多であつて方面に亙つておると伺いました。萬止むを得なければ致し方ないことでございますが、勿論政府におきましても、できるだけ冗費を省くおつもりとは存じますけれども、更にできるだけのその點を私からもよくお願いいたしたいと存じます。 第三番目のことでありますが、同じく中小商工業と申しましても、基本産業のことは暫く別といたしましても、犠牲産業方面のことをどうお考えになつておるのでございましようか。我が國におきましては、戰後の非常に大切な時期を空費いたしましたために、資材を食い潰して後の傾斜生産でありますので、それが成功いたしますままでには相當期日が掛かりますので、その間犠牲産業の堪えられない事情がありますから、それを救うために若干傾斜生産の幅を締めまして、犠牲産業を保護しなければならない事情があると存じております。具體的に申し上げますと、これにつきまして、若しそういうお考えがおありになるとしますと、資金の面で私たち考えでは……、今後の内閣外資導入ということが問題になつておりますけれども、これは主として基礎産業に充當されることと聞いております。それから復金の金も、委員會の審査によつて、やはり基礎産業に振り向けられるものと思つております。中小商工業者の場合は、協同組合とか、或いは合作社とか、或いは民間の銀行で預金の許す範圍においての融資、この程度だと存じております。先程の水野大臣お話によりますと、新に中小企業專門金融機關設置されるそうでありますが、これが将來犠牲産業中小商工業者にも金融をなさる御用意がおありになるのかどうか。 それから設備の點でありますが、講和會議が無期限に遷延されましたけれども、講和會議があつたと同じような經濟復興をさして下さるそうで、殊に平和産業に關係します設備は、餘り賠償の對象として撤去されない。こういうふうになりますると、集中力排除とか、獨禁やなんかの關係もありますので、そういうふうな大きな規模を小さく分けまして、中小商工業者、獨立しているような犠牲産業中小商工業者方面にも少し振向けて下さる御用意があるのかどうかといふ點を伺いたいと思います。 それから最後に問題なのは資材でありますが、これは先程總理大臣からお伺いいたしましたので、基礎産業方面資材を若干犠牲産業の方に振向ける用意があるかどうか。それとも 絶對量を殖やすために輸入に仰いだ資材をお使いになるおつもりがあるかどうか。極めて大ざつぱな質問ですが…。
  16. 水谷長三郎

    國務大臣水谷長三郎君) 大まかな點は私から申上げまして、あとは政府委員から答辯するようにします。 只今犠牲産業犠牲産業と言われましたが、その犠牲産業は恐らく今傾斜生産の對象となつている以外の廣い意味産業を指して言つておられるのだと思います。つまり 時代に取殘された産業というよりも、現在傾斜生産の對象から外れている一般の産業犠牲産業と言つておられるのじやないかと思いますが、今の日本經濟事情の下におきまして、或る程度傾斜生産をば産業の食糧といわれる石炭、更に又電力、或いは鐵鋼、肥料等々に行わねばならない事情というものは、御承知通りであろうと思うのであります。ただその傾斜生産をやりますそのやり方意如何ににわりますれば犠牲をば一で済むところを五になるというようなまずいやり方があることは、これは嚴として排除しなくてはならんのでございますが、今の日本經濟事情の下におきまして、そういうふうな基礎資材の下におきまして傾斜生産をば強行いたしますに當りましいては、或る程度犠牲というものが國民生活或いはその他の産業に及ぶということは、非常に遺憾なことではございますが、或る程度のやつはこれは止むを得ないと存じます。ただ我々はそのやり方を極めて巧みにやりまして、不必要な犠牲をばですね、外の方に及ぼさないようにやりたいと思うのであります。この度の中小企業庁を設置いたしましたのは、そういう犠牲産業を救濟するというような意味ではなしに、中小企業、なかんずくさつき竹中さんにもお答えしましたように、大體三つのような部門に關連する中小企業を中心にして育成して行こうというような意味でやつたのでありまして、いわゆる取殘された中小企業、不急不要の中小企業というようなものを殊更に振興しようというつもりはございません。併しながらこの犠牲産業をどうするか、更に又それに從事しておられる勞資双方面のものをどうするかということは、これは別個の立場から考えなくてはならんのでございまして、今後の中小企業廳設置機會といたしまして、そういう犠牲産業の救濟ということは我々は考えておりません。併しそれは別個の立場から十分考えなければならんし、更に又さつき總理も申されましたように、有効適切な外資導入が行われるに當りまして、傾斜生産の速度も速めると共に、他方又犠牲面における犠牲部門というものも徐々に緩和されるということは、これはいうまでもないことだろうと思います。
  17. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 商工大臣お尋ねいたします。二點お尋ねいたします。中小商工業を本格的に振興を圖ろうとさされることは非常に結構でありますが、現在商工省で生活物資局の振興課を中心にやつておられるのではいけないのだ、どうしても中小企業廳を外局として拵えなければいけないのだという根據が拜聴したいのであります。つまり資金はどうする、資金及び資材、或いは科學技術の振興等々という、こういう内容を達成するためには、現在の商工省の生活物資局の振興課を中心にしたものではいけないのだ、そうしてこの中小企業廳を作ればそういう矛盾が解決できるんだというのは、その内容資金資材と科學技術の振興というような點で、必ずや十分の根據をお持ちになろうと思いますので、簡單に具體的で結構でございますので、その點が拜聴したいと思います。これが一點 もう一點、第三條の第四号に「中小企業における新規で有益な製品又は製法等を獎勵する」という極めて結構なお考えを持つておられますが、先程拜聴いたしますと、基礎産業とか、或いは國民生活の確保とか、或いは輸出貿易というふうにおつしやつておりましたが、私共の專門から考えますと、戰災都市の復興が極めて重要であり、且つ住宅問題がいよいよ深刻化しておるに鑑みまして、組立住宅を拵えるとか、或いは現在の住宅の資材の壁とか瓦とか、その他のそういつたものに新規で有益な製品又は製法を奬勵するようなことを、つまり今の輸出でなく、或いは基礎物資でもない戰災都市の復興の住宅における新規で有益な製品又は製法を奬勵するのかどうか。及びその奬勵とは、はつきりと資金資材及び科學技術の進歩というような點をみけ具體的に、奨勵されるところの具體的な豫算なり内容をお持ちになるかどうか。この二點をお尋ねいたします。
  18. 水谷長三郎

    國務大臣水谷長三郎君) 只今質問の第二點は、私は先つき生活必需物資に關連する部門と申しましたと ころに當嵌まることと思います。只今例を擧げられましたものは、これ皆我々の國民生活に必要なる部面のみでございますので、私が先つき申しました生活必需物資に關連する部門という點に十分含まれておることと思います。  更に又これまで生活物資局の振興課でやつて來たのであるから、殊更に中小企業廳を設ける必要があるがどうかという點でございますが、成る程そういう意味におきますと、例えば商工省の機械局にも中小企業に属するやつもあります。化學局にも或いはその他各現局に皆ありまして、それが皆ばらばらになつて從つてその發言力がどうしても散發になるのです。そこで一先ず我々は中小企業庁というものにそれを統制、統一、調和、調整を整えまして、中小企業全體の發言力を強大にいたしまして、中小企業であるが故に不公平に大企業に對して取扱われておることを監視するといふような建前から、この度中小企業廳設置したのでございまして、いつまでもそういうばらばらのような状態に置かずに、一先ず各局に跨つておるところの中小企業というものを、一應中小企業廳というものに統制、調整するということが必要であろう、このように考えたような次第であります。これ又詳細な點に亙りましては、前の懇談會に中小企業廳設置法案提案理由の中に随分詳しく述べましたもので、その點で言い盡されておりますけれども、要約すれば、やはり現在の振興課、而も生活必需物資局の振興課という一課では、終戰後の激變いたしました日本經濟の下における中小企業の代辯者としては不十分であろう、このように考えております。
  19. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 總理も又御退席が近いそうでありますから……。
  20. 芦田均

    國務大臣芦田均君) いや、私はもう暫く……。
  21. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 山下委員長、先程のをお續け願います。
  22. 山下義信

    山下義信君 實はこの内閣中小企業に對する政策はつきりして頂きたいと思つて一、二の質問をさせて頂いたのでありますが、まだ私共了承いたし兼ねますので重ねて伺いたいと思うのでありますが、何か時間が十分おありでないということでございますので又他日の機會を得させて頂きたいと思うのです。例えば只今商工大臣のお述べになつて、先般からしばしばおつしやるのですが、中小企業振興は無差別一體にやるのではない、重點的にやるのだ、その重點的というのはどこに重點を置くかといえば、輸出産業に關係のあるもの、基礎産業に關係のあるもの、生活物資に關係のあるもの、これに重點を置くのだとおつしやる。然からばその三點以外のものに重點を置くといつたら殆ど全部でしよう。關係があるといつたら……。そういう曖昧なことを私共ははつきりさせて頂きたいというのです。例えば今深川議員の質疑に對しまして、いわゆる今までは大産業主義で大企業を補助して來た、そういう政策を採つて來中小企業犠牲的にされておる。犠牲産業という言葉をお使いになつたが、そういう意味でこれからは中小企業をうんと大企業と同じようにいろいろな面で取扱うて行くかということに對して、商工大臣の御答辯の中にこういうことがある。私は揚足を取るのじやありませんが、そういう犠牲産業の補助と救濟というようなことは別個の問題だとおつしやる。何が別個の問題ですか。今日の中小企業振興ということは今や潰滅しつつある中小企業を如何に助けてやるかという問題であると私は思う。何が別個の問題でありますか。今日日本中小企業というものは潰滅に瀕しておる。これを助けて行くと言うことが育成である。それが振興である。救濟ということも振興ということも育成ということも同じことなんです。であるかう、この内閣は、今までいわゆる片手落ちで虐げられて來ておつた不幸な状態に置かれてあつた中小企業を、うんとお助けなさるかどうかという點をはつきりして頂かなければなりません。 そこで最前私が伺い掛けておりましたのは外資導入、いわゆる貿易の再開、これに伴いまして即ち安定恐慌に突入する部面と、それがために好影響を受けまする部面と、こうある筈でございます。それで受入態勢の中に整備して外資導入のし易いように、又導入しました外貨がうまく活用されまして輸出産業振興しまするような、我が國産業が隆興しまするような態勢に整備をして行かなければならん面、その整備をしていかなければならん面にはおのずから脱落して行く面もございましよう。不適當企業がどんどん落ちて行く面もございましよう。又殘して行かなければならん面もございましよう。そういうことに對する御對策、確乎たる御信念というもの、目標というものがおありになさるに、相違ないと思いまするので、その點を伺いたいとこう思つたのであります。つまり言い換えれば非常に影響を受けまして脱落するような面があるのではございますまいか。中小企業と申しますと、申すまでもなくその中の工業、商業があります。これは今大體分かり易いように工業を中心としてお話をしておりまして、商業は又別個の問題で重要ないろいろの面もございましようが、引括めて企業と申しましても非常に影響を受けまして、或いは物價の點その他の點、こういうことは、釈迦に説法でありますから申しませんが、整理して行く、即ちパニックによりまして脱落して行く面がありはしませんか。同時に外の面から見まするというと貿易の再開、外資導入というものによりまして好景氣を受ける面がありはしませんか。若し好景氣を受ける面があるということのお見通しがありまするならば、脱落し掛けておるところの、潰滅に瀕しておるこの中小企業の救濟ということにこの内閣は十分にお力をお添えになるお考えがあるかどうか。即ち例えば金融面におきましても御遠慮なしに政府の責任におきましてどんどんとお貸付に相成り、この中小企業振興育成ということは、金詰りに瀕しておるこれらの企業に金を融通してやるということが大事でありますことは異口同音に言つておる。政府もよく御承知通りであります。その點御苦労もありましようが、將來好景氣ということならば、現在危機に瀕しておる中小企業に對して十分に、これは惜みなく御援助をお與えになつてもいいのではないか。こういう點に對して何かにしつかりしたお考えがあるかどうかということを私は考えておるのであります。 第二點といたしましては、例へば中小企業に働いております從業員の勞働問題、先程商工大臣がその點にちよつとお触れ掛けになつたのでありますが、これらは從來非常に勞資一體にやつて來ておりまして、中小企業の特色がそこにありましたことは言うまでもないことでありますが、これらの中小企業の勞働問題、勞資の問題については何か特別の御指導の御方針を持つておいでになるかどうか、という點を私は伺いたいのであります。 又先程總理の御答辯の中で私はもう一度確かめて於きたいと思いますることは、中小企業のこれからの在り方お尋ねしまして、それに對してまだはつきりしたことを承つていないのでありますが、その點念をおしたいと實は考えておつたのでありますが、これからの中小企業在り方は、從來と同じように、大企業の從属的立場のようなことを御答辯に相成つておる、速記録を後で調べて見なければなりませんが、やはりそういうお考えをこの政府がお持ちになつておるかどうか、これをはつきりして頂きたい。大企業の從属的立場在り方としての中小企業である、こういうお見通しであるがどうか、大企業の從属的立場を離れて、獨立の健全なる中小企業というものを作り上げて行こうというお考えであるかどうか。それを我が國産業の中心勢力にするというお考えであるかどうか。これは私は重大問題であると思います。取敢えずこの三點を伺います。 尚はつきりいたしませんこの内閣中小企業に對する政策というものについて、どういうお考えを持つておいでになるか。構想が輪郭すらもまだはつきりいたしません。これは囘を逐うて伺わなければなりませんが、今日は取敢えずその點を伺いたいと思います。
  23. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 私の答は順序が少し變るかも知れませんが、中小企業が大企業の從属的な立場であるということを言つたかどうかというお確かめでありました。私はそういうことを申上げたつもりはありません。速記録を御覧下されば分かりますが、從属的といつたような言葉を言わない理由はそうと考えていないからであります。私が申しましたことは、大産業と雖も中小企業の協力もしくはその基盤の上に立たなければ發展し得ない關係があるということを申上げたのであります。私からくどくどしく申上げるまでもなく、例えば大製絲或いは大きな紡績會社でも、その製品を織物にする、或いは木綿工場にしましても、或いは「ちりめん」の工場にしましてもこの中小企業というものが榮えない限り、大企業も又十分の機能を發揮し得ないのであります。これは炭鑛を御覧になつても大炭鑛の附近に無數の中小企業というものがこれと協力して仕事をしております。そういう意味からいつても、これを從属的立場というふうな考え方では、日本産業在り方を正確に把握していないと私はそういうふうに考えております。 それから後の問題は商工大臣から答えた方が或いはいいかと思いますが、如何でありましようか。
  24. 山下義信

    山下義信君 成るべくなら總理からお答え願いたいと思います。
  25. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 最初の第一點の御質問商工大臣答辯の中に、中小企業においても輸出關係の企業、或いは國民生活必需品に關係のある部門というふうに、いろいろ緊急の度に應じて區別をして考えておるように聞いた、併し今日中小企業というものの多くが潰滅に瀕しておるのだから、そのような差別をなす遑なく、政府は思い切つてこれを救濟すべきである。こういう御意見のように伺つたのであります。ところが、輸出入の發達に從つて中小企業の受ける影響は、只今山下君のお話のごとく相當激甚なものがあると思うのであります。例えば中小企業の中で合理化の巧みに行われないもの、或いは技術的に著しく事態の水準に遅れておる企業は、そのままでは 到底諸外國との貿易の競爭に打ち勝つ力のないことは申すまでもないことであります。輸入品が百圓で買える物を我が國の製品が三百圓するということは、國内的にも國外的にもその事業は立つて行けないということは申すまでもないのでありますから、今日の貿易再開を前にして、中小企業も必ずや今後の貿易再開機會に、諸外國の製品に對抗し得るだけの合理的な經營を行わなければいけないことは申すまでもありません。それが合理的に轉換することが本人の意思により、又周圍の情勢において可能であれば、政府がこれに援助を與えることは當然であると思います。併しそのような場合に經營者が損が行かないように、全面的に政府の力で支持して行くというふうなことはごく稀な場合であつて日本政府の力では到底なし得る仕事ではない。從つて海外との環境に適應せざるために、その仕事が衰えるということであれば、その本人の力、又合理化の援助による以外には、これを没落からといつて全部を救済するということは中小企業廳仕事ではない。さような場合はおのずから社會政策の見地から別に考えるべきである。こういう意味只今商工大臣答辯いたしたと了承いたします。大體私からお答え申すことはこの程度であります。
  26. 山下義信

    山下義信君 中小企業の勞資關係の點についての總理の御見解はございませんか。
  27. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 中小企業の勞働問題は、普通の工場勞働社などの大組織の場合とは餘程趣を異にしておるのでありまして、これを大企業の密集的な勞働問題とはおのずから別の見地でこれを扱つて行かなければならんことは、從來我が國の徒弟制度或いは家庭工業その他の場合に照らして明白になつておるのであります。ですからその點は今後時代の要求と、我が國の從來中小企業に從事する勞働者との條件等を勘案いたしまして、適宜に取扱つて行くのが最も實際的ではないか、かように考えておる次第であります。
  28. 竹中七郎

    竹中七郎君 今の關連質問でありますが、勞働基準法の問題でありまして、私この前の質問演説にちよつと觸れてございますが、勞働大臣がおられませんけれども、總理からお伺いするのですが、その問題がはつきりしないのであります。今の問題が八時間勞働という問題でありまして、中小企業の人々が、これは家庭工業のような本當の小企業のものにいたしましても、あの八時間勞働、それから休日というような問題が、本等にじやんじやんと正確にやられますというと、なかなかこれは生きて行かれないのではないか。これに對して政府ではどんなお考えかということを言いましたが、それがはつきりしないと思いましたが、只今總理お話がそれに對しては適當な處置をとると言われましたが、この點もう一度お伺いしたいと思います。
  29. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 只今竹中君から、勞働基準法に規定しておる例えば就業時間の問題その他について、事業の遂行上非常に困る問題が起こるという御意見は、或る程度まで政府においても承知をいたしておるのであります。從來の世間の批判にも鑑みまして、勞働基準法その他をどういうふうに取扱つて行くかということは、時折議論はして見たのでありますが、具體的に今どの程度にどうこれを改正するかということは決定いたしておりません。併しどうしても今日のままではいけないといつたような特殊のものは、特に例外にこれを外すようなことをして見たらどうか。こういうことを考えておりますが、これもまだ閣議に置いては決定はいたしておりません。併しそういう意向を持つ者が相當出ておるということを申上げて置きたいと思います。
  30. 竹中七郎

    竹中七郎君 今の問題の、一週四十何時間というのは毎日八時間ずつでなくても、四十八時間とか、或るは四十時間というものを、一週間を平均してやつて頂きたいと考える。中小企業など電氣などで相當休みがある。大きい企業ならばそれでバランスがとれて行きますが、電氣が休みになつてしまつたので、後で多く來るときにうんとやりたいと思つても、基準局の末端の役人はそういうことはぎゆうぎゆう責めで、お前のところはどうだと一人ずつ呼び出して、どういうふなうなことやつておる、そういう馬鹿なことはやらんでもいいじやないかと言う。こういう問題をちよちよく私聞きますので、この點伺いたいと思います。四十八時間、或いは四十五時間というふうな時間を決めて頂いても、それは一週間の間にそういうふうにすればいい。その間のバランスというものは一日三時間やるときも、或いは十時間やるときもある。少年は別として、青年の者ならばそういうふうにして頂ければ非常にいいのじやないかと思います。
  31. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 只今の竹中さんの御質問は、勞働基準法の第三十二條の第二項において、すでに許可されておると思いますので、一應私から……。
  32. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 商工大臣に一點だけお伺いいたしたい。今日中小企業廳設置して中小企業の發達を圖るという御趣旨は、誠に結構であります。現在日本中小企業者は非常に重税に惱んでおるということについて、商工大臣の御所件を伺いたいのです。つまり營業税とういうようなものが課せられておつて、他の農業或いは漁業というものに比べて見ても、非常にバランスが取れておらない。而も中小企業者は勤勞者であり、実業家であるということになつておるのであります。そういう點において他の勤勞階級が勤勞所得税を相當大幅に基礎控除されておるというのに拘わらず、ひとり中小企業者のみはそういう恩典もないというふうな状態でありまして、幾ら働いても働いても、働いたところの所得とうものは殆んど全部擧げて税金に持つて行かれてします。こういつたような見地からいたしまして、果たして中小企業家が救われて行くかどうかという點が、國民の間に膨湃して起こつておる聲であります。これに對しまして商工大臣は将來如何なる態度をお取りになりますか。
  33. 水谷長三郎

    國務大臣水谷長三郎君) 生産担當省としての商工省立場からは、苟くも生産増強を殊更に阻害するような租税に對しては、從來とも反對をしつづけて來たのでありまして、今後も三當政策協定のときにもその點を主張いたしまして、文言では法人税竝びに勤勞所得背の大幅輕減を行うということを言つたのでございます。只今の御指摘の中小企業に對する不當課税の問題につきましては、苟くもそれが生産増強を妨害する態の不當課税であるならば、我々としても斷じて贊成はできないのでございまして、そういう點は、我々の方で十分研究いたしまして、大藏省と強く交渉をしてみたいと考えておる次第でございます。
  34. 小宮山常吉

    ○小宮山常吉君 中小企業廳設置法案につきまして商工大臣お尋ねいたしたいと思います。政府が今般中小企業廳設置して我が國の中小企業の健全なる育成を圖らんとする決意を示されたことは、本問題の重要性に鑑みまして、誠に當を得た措置として私共も喜んでおりまするが、これにつきまして、政府において眞に中小企業の育成を圖らんとするならば、中小企業の健全なる發展には、やはり資金の融通と資材の獲得について強力な權限を中小企業廳に付與なさるお氣持があるかどうかというようなことを伺いたいと思います。  右の理由によりまして、私の考えでは、本案を左の通り修正を願いたいと思います。第三條の第一項に左の各號を加えることをお願いしたいと思うのであります。六に、中小企業への金融に關し、復興金融金庫その他の金融機關指導し、又は復興金融金庫に必要な指示をすること。」というようなこと。七に、「中小企業設備及び資材に關し、産業復興公團或いは他の公團を指導し、又は必要な指示をすること。」というようなこと。又第三條の第二項として左の一項を私は加えて頂きたいと思う。「復興金融金庫が前項第六號の指示に、産業復興公團或いは他の公團が前項第七號の指示に異議あるときは、その理由を中小企業廳に申出なければならない。」というような三項目の修正を加えて頂きたいことをお願いする者であります。
  35. 水谷長三郎

    國務大臣水谷長三郎君) 只今の問題は、衆議院においても非常に論議された問題でございますので、少し詳細にお答えして見たいと思います。中小企業廳において資材資金に關する直接事務を取扱えるという御意見でありまするが、それに對してお答えいたしますが、中小企業廳中小企業者に對する資材資金割當を直接行うことにつきましては、慎重に考えなければならん問題であろうと思います。即ち各種の生産計畫というものが縦に業種別に立てられております關係上、若し資材につきまして、一定分を中小企業用として横に割當てるようなことになりますと、當該生産計畫の一貫性と綜合性を害するような結果となりまして、産業行政全體としては却つて弊害がございますので、中小企業廳中小企業一般に對する資材を直接割當てるというやり方は避けねばならんのではないかと考えております。例えば綿織物業を例に取りますならば、綿布何ヤールを生産するという計畫が立てられまして、綿織物製造工場に對する綿絲とか石炭とかの所要量、即ち供給量が決定されるのであります。ところが、この綿織物工業の中には大企業者がございますならば、中小企業者もあるのでございまして、その生産資材を、大工場分としてどれだけ、中小工場分としてあれだけと、いきなり割つてしもうことは、個々の具體的な工場につきまし、A工場は大企業、B工場は中小企業としてはつきり區別することになりまして、從つておなじ織物工業でも、大企業は繊維局で、中小企業中小企業廳で、別々に担當することになりますので、繊維製品としての生産計畫及び配分計畫を的確に實施する上におきましては、實際問題として非常な困難と缺點とを生ずるのでございます。中小企業振興という問題は、むしろ個々の具體的企業にどれだけ割當てるかということよりも、一般的に中小企業者であつて十分實力を持つたものが、大企業に比して公平に取扱われているかどうかということの檢討が必要なことでございます。即ち中小企業者が大企業と比較いたしまして公平な立場資材割當てられるようにすること、及び中小企業全般に資材が適正に確保されることが必要なことでございます。これがためには、第一に、各産業部門の中における資材割當につきましては、今後各局に設置せらるる予定でございますところの資材割當諮問委員會に、中小企業廳は代表者を送りまして、資材割當中小企業者が輕視されることのないよう強く要求、監視することにしたいと思います。第二には、經濟安定本部及び各省、各原局に對しても、中小企業廳は絶えず強力に要求をいたしまして、中小企業に對する資材の強化、確保について努力したいと思つております。第三には、中小企業の技術及び經營の改善合理化を指導するといいましても、結局その改善合理化を現實に行うためには資材が必要になりますので、それに必要な一定量の資材を別に取りまして、この分については商工局等の割當に強い指示を與えまして、中小企業廳指導方針に副う割當を行わせて行く考えであります。第四には、地方商工局の調整保留分を擴大強化いたしまして、その活用を圖ることによつて、中央におきましては把握されない多くの中小企業に對しまして、現地の實状に即して資材の確保を圖るようにしたい、このように考えております。このようにいたしまして、以上のような各種の方法によりまして、中小企業者に對する資材の的確な確保を圖る決心でございます。從つて中小企業廳で直接各工場に對する資材割當を行うということは必ずしも必要でなく、又強いて直接の割當事務を行うこととするときは、前申上げましたように、同一の業種におきまして、大企業は繊維局とか機械局とかで取扱い、中小企業中小企業廳で取扱うというような結果を生じまして、同じ製品の生産計畫なり配分計畫なりが、いわゆる原局と中小企業廳との二つに分離されることになりまして、非常な困難と混亂とを生ずるということを我々は知らなくてはならんと思います。 次に中小企業範圍を、こういうような場合においてはどういう工合にして明確に決めるかということが關連して考えられるのでありますが、この點につきましては、政府としては形式的に中小企業の限界を定める必要はないので、むしろ常識的に彈力性ある運用を圖ることが實際適當であると考えておるのであります。ただ私共の目安として考えておりますのは、先日來説明したことと思いますが、獨立の企業であつて、當該業種としては投資額、生産高、販賣高、取扱量が比較的少なく、その活動が少數の事業分野に止りまして、且つ他企業との間に相互に投資關係のないもので政府援助を必要とされるようなもの、その他これに準ずるものということになつているのでございまして、この基準に副い各業種別に指導の對象を取上げて行きたいと考えております。中小企業廳仕事は、いわゆる助長行政、指導行政でございまして、直接に權利義務關係の設定されることがなく、從つて中小企業廳所管の企業範圍が明確でないために不都合を生ずるということは餘りないと考えております。ただ實際問題としては、中小企業形態が多いような産業が主として中小企業の對象となるのであります。例えば、農機具、綿織物、絹織物、毛織物、メリヤス、布帛製品、陶磁器、合成樹脂製品、鋳物、電氣通信機械部品、作業用具、マッチ、セルロイド製品、玩具、ボタン、木製品、ゴム製品、皮革製品、その他日用雑貨等の工業は、中小企業形態のものが多いのでありますから、これらが先ず對象として取上げられることと思いますが、他の業種の企業につきましても、從業員數、資本金、經營のやり方等から見まして、中小企業として取り上げるべきものはどんどん取上げまして、その指導なり助最なりを圖つて行くつもりでございますが、中小企業範圍及至は中小企業廳の對象を法律上明示して、一線を畫するということは却つて適等でないと考えております。又資金につきましては、先程申上げましたように、中小企業專門金融機關設置を準備いたしているこは前に申上げた通りでございますが、このほか資金計畫、復金融資計畫中の中小企業關係の枠の擴大、商工組合中央金庫の活用等を考慮いたしまして、これを中小企業廳において協力に推進して行きたい方針であります。長々と答えましたが、この點が衆議院におきましても非常に問題になりました點でございますので、一應我々の考えをば詳しく申述べまして御了解を得たい、このように考えております。
  36. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 安本長官がお見えになりましたから、餘り時間がないそうですから、安本長官に對する御質問を……。
  37. 中川以良

    中川以良君 私は先程今日の統制經濟によりまして、最も痛めつらけれておりますものは中小企業そのものであるということを申上げまして、これに對しましては總理大臣からも御所權を承わるべく申上げておつたところが、突然としてお歸りにかつたのでありまして、この點は甚だ遺憾に存じておる次第であります。幸に栗栖安本長官がお見えになりましたので、この點の一つ御所見を承りたいと思います。先程も實は申上げたものでありますが、只今統制經濟は大勢の役人が掛かつてこれをやつておりますけれども、殆んど確信のない仕事をしているのではないか。統制經濟によりまして庇護されますものは健全なる企業家でもなく、又國民大衆でもなく、今日これによつて惠まれておるものはむしろ闇業者であり、又惡徳官僚であるとまで今日は言われておる次第であります。これらの矛盾に對しまして、現在の統制經濟の機構を以て立派にこの統制經濟を遂行できるという御確信がおありかどうか。實情に副うようにこれを大幅に修正になる御意見、御意向があるかどうか。又價格の面におきましても公定價格の矛盾に對しまして、數十萬の物資に對する公定價格につきまして、これを一部公定價格を外すというような御意向をお持ちかどうか。一つの實例を申上げますならば、今日生きた牛には公定價格がないのであります。これは人間に公定價格が付けられないと同じように、性別、年齢別或いは能力等によりまして牛に公定價格を付けられない、付けた場合にはむしろ牛の増殖に大きな損害を來するというようなことになるのであります。今日この生きた牛はすでに十萬圓を突破しております。これを食肉業者が買い求めました場合に、肉にし、骨を賣り、皮革を供出する。これを公定價格で出しますと、十萬圓の牛を買いますと七、八萬圓の損を必然的にいたすのであります。これを補うためには止むを得ず今日牛肉は三十圓の公定價格のものが公然といたしまして百八十圓、百九十圓で、いいのは二百二、三十圓にも賣られておる状況であります。同様に皮の問題も根本のところにおいて大きな矛盾があるのであります。これを高く賣つてたまたま捕つた者は經濟違反で締め上げられる。こういうようなことと根本的の矛盾が一向に改められておらない。この點は當該業者がすでに昨年の春以來絶叫いたしまして當局にせまつておるのでありますが、一向にこれに對する研究が積まれていない、荏苒今日に至つておるような状況でございます。これは一つの例でありますが、かような統制經濟によりますところの矛盾が澤山有り、統制經濟のために今日道義が頽廃し、インフレが助長し、その業界相剋摩擦が起こるというようなことを斷言しましてもこれは敢えて憚らないのであります。かような今日の不合理なる統制經濟安本長官とされまして斷乎として大幅に修正をおやりになるお考えがあるかどうか。かような點につきまするところの御所見を承りたいと存じます。
  38. 栗栖赳夫

    國務大臣(栗栖赳夫君) ちよつと一番前にお斷わりして置きたいのは、總理も私も實は外國關係の人に面會を申込まれまして、總理が中座しましたが、總理考えておりますことも私別にお答えしたいと思つております。第一は中小企業振興でありますが、これは政府といたしましてはすでに片山内閣以來この經濟復興に關する長期計畫を立てておるのであります。これは大體幹事會で準備いたした者が、相當の準備が進みましたので實は先だつての閣議においてこれを大きな委員會に擴大いたしまして、そうした朝野の知識を集めて、長期計畫を立つておるのであります。これ大體幹事會で準備いたしましたものが、相當の準備が進みましたので實は先だつての閣議においては、これを大きな委員かいの擴大いたしまして、そうして朝野の知識を集めて、長期計畫の作成に、そうして實施というようなことに邁進する。こういうことに決めた次第でありまして、そうしてその中の産業部門におきまして、或るは國民の生業という面からいたしましても、中小企業ということが非常に大多數の國民において、又日本經濟維持、貿易、産業その他の産業の方から見ましても、この振興ということが日本の縮小された經濟を更に囘復し發展させるという上においても極あて必要だと思うのであります。私は曾てスタインという人のメンド・イン・ジャパンという本を讀んだことがあります。その中に明らかに書かれておるのは、日本の人口の七十%は中小企業に從事する者である。こういうことが書かれてあるのでありますが、昭和十年頃もそうありますが、私は今後はこの多くの企業は、中小規模のものが非常に大きな部門を占める。これによつて輸出産業その他の方面に從事することになると思うのであります。長期計畫の面におきましても、この日本經濟の依存度が中小企業に非常に固まつて來ると思うのであります。そういう意味におきましてもこの振興は十分に努めたい、こう考えておる次第でございます。 それから統制經濟に關する御質問があつたのでありますが、私はこの寡少生産の現場におきましては、この窮迫した状況が續く間、及び危機を突破するに必要な間は統制經濟は止むを得ない、こう考えておる次第であります。併し統制經濟在り方及び運營の仕方については、十分新内閣におきましても考えたいと思つておる次第であります。一つはこの運營が民主的に行われること、ただ官僚統制に墜しないこと、廣くその國民の間にあつて、そうして民主的に運營されるということを主観としまして、これを推進いたしたいと思うのであります。 それから統制の勵行度でありますが、これも必要な統制につきましては十分勵行いたしたい、こう思つておるのであります。併し必要ならざるもの、或いはこの行く得ざるもの等につきまして、殊に必要のないものについてはこれは統制を外すということは決して吝かではないということを、ここではつきりと申上げたいと思うのであります。要するに統制ということもこの危機を突破し、日本經濟再建するに必要な國民生活を最小限度に少なくとも最小限度安定さすということについて必要なのでありますから、その線に副うように十分改善その他をも考えたいと思うのであります。施設の上その他についてもこの諸般の政策と相俟ちはして實行に移したい、こう考えておる次第であります。
  39. 中川以良

    中川以良君 只今の御答辯によりまして、よく安本長官のこれに體する考えは分つたのでございまするが、ただ中小企業の面におきましては、非常に傷められておりますということは、一つ企業をやります際に、無論國家の計畫によつて計畫生産をしたのでありますが、それに要しますところの所要資材資金等が、つまり所要資材所要利用、所要の時期に公定價格を以てこれを與えてやらなければ、その企業が眞に統制經濟を嚴守はいできないのであります。これが今日國がクーポンを切りましても、必ず所要量所要の時期に公定價格を以て取得ができないということが澤山あるのでありまして、石炭鑛業のごときは、國家が復金融資の五〇%にも餘るものを、これは赤字融資をやつておるのでありますが、中小企業におきまするところのこの統制經濟によりまして、國のやり方によつてつたところの損失に對しまして政府は何ら補償をしない。補償をしないのみならず、中小企業からは先程お話のあつたごとく、中小企業はいずれも或る程度闇をしておるのではないかというところの見方をしまして、不當なるところの課税をされる。中小企業は常に痛めつけられておるのであります。かようなる政府の措置によりまする中小企業の被つた損失につきましては、政府はこれを補償をされる御意志があるかどうか。これがなければ既定の生産もできませんし、眞に中小企業統制經濟を嚴守するということも不可能であるのではなかろうかと思うのであります。この點につきまする一つの御所見を伺いたいと思います。
  40. 栗栖赳夫

    國務大臣(栗栖赳夫君) この中小企業振興のために、この資材その他の配給とか或いは統制の面において、その他の配給とか或いは統制の面においてね相當の特別な處理をして貰えるか、又すべきではないかというようなお話があつたのであります。これは振興のために必要な限度におきまして又一方には國全體としての統制を紊さん範圍におきましては、両方から許される範圍においては十分考えたいと思うのであります。併し資材或いは資金の面に置きましては、單に中小企業成るが故に總花的にこれを配給するとか、或いは供給するというようなことは、勿論これは嚴に慎まなければなりませんけれども、全體の機構、殊に中小企業に對する将來の國民の依存度の高い點、それを育成振興するり點において許される育成振興する點において許されたる範囲においては、十分なる考慮もいたし、措置もいたしたいと思う次第でございます。極く抽象的でございますけれども大體の精神はさように考えて運營いたしたいと思つております。 今の補償の點でありますが、補償といいましても、これは戰時中の補償はこれは問題はございません。戰後においては、或いは國家その他において赤字の關係の補償という御意味かと思いますが、これは國家の財政も窮乏しておる現在でありますので、直ちにそういうものにまで補償が出し得るかどうかというのは、十分檢討せんと分らんことことだと思うのでありますが、實際はなかなか財政が許さんのではないかと思つておりますが、むしろそういう面でなしに、将來に向つては十分、先申上げましたような許された範圍においては特別の処理、措置を考えるという點において育成、振興を期せられるのではないか。かように考えておる次第であります。
  41. 竹中七郎

    竹中七郎君 先程商工大臣からお話がありました資金の問題であります。復金の方ではなくて、他の金庫なり金融機關を求めてやられる方については、安本長官の方において何かやられるというわけでありますが、復金の外に中小企業に對する金融機關において幾らぐらいの、何十億ぐらいの機關を作られる御意思があるかどうかということをお伺いしたい。
  42. 栗栖赳夫

    國務大臣(栗栖赳夫君) 金融機關の整備ということは、目下大藏省において大藏大臣金融業法等の立案を考えておりまして、そうして新らしい事態に相應する新らしい機關を盛り立てるように今準備いたしておるのであります。私といたしましても勿論企畫その他については安本も關係を持つております。商工大臣が常々言つておられるところの一つ金融機關の創設ということであります。これは今商工組合中央金庫のごときものも現存しておりますので、こういうような點を十分考えて、今商工大臣安本長官大藏大臣とも十分協議を進め、研究をして、一つの纒つた機關を作りたいと思うのであります。併し私いささか中小企業について金融をいたしておるのでありますが、これから申しましても、機關だけができてそれで金融が疎通するというのではないのでありまして、むしろ中小企業については人柄及び仕事の仕振り等も十分考えまして、そうして運營をして行くということも極めて大事でありますから、機關の擴充、創設ということと同時に運營の刷新その他ということ、及び担保制度でありますが、担保制度も大企業に對するような担保制度ではいけないのでありまして、簡易な担保制度その他の信用制度も必要あれば創設をして、そうして運營する機關と、そういうような運營方針或いは担保制度というものと併せて運營せんといかんと思うのであります。その邊も十分考えたいと思うのであります。 尚資金の點でありますが資金の點は、この中小企業に對しては四分の一半期ごとに相當の枠を持つておるのであります。必要に應じては四分の一、年四囘計畫をするわけでありますから、その邊で十分盛りたいと思つております。 尚引揚者に對する特別の中小金融については、これは一、三の一億の枠を持つておりましたけれども、今囘はいささかこれを大きくして、枠を別に作つて行きたい、こうも考えておる次第であります。
  43. 下條康麿

    委員長下條康麿君) この際ちよつとお諮り申上げたいと思うのでありますが、中小企業廳設置法案は極めて重要な案件でございますので、小委員會を設けまして、そうして更に十分御審議を煩したいと思いますが、如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 小委員會は、三つの委員會から同一の比率で以て出しました數によつて構成されまして、そうしてその人選は委員長にお委せ願つて如何でございましようか。    〔「贊成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 下條康麿

    委員長下條康麿君) さように決定いたしまして、委員長は商業委員長竝びに鑛工業委員長とよく御相談しまして人選いたします。今日お見えになつておりませんから、追つて改めて広報で以てお知らせいたします。
  46. 山下義信

    山下義信君 只今人選とおつしやいましたが、人選と人數もお委せいたしたいと思います。
  47. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 人數竝びに人選でございます。ではこれで散會いたします。    午後三時十一分散會  出席者は左の通り。   決算委員    委員長     下條 康麿君    理事            山下 義信君    委員            竹中 七郎君            平野善治郎君            深川タマヱ君            小野  哲君            駒井 藤平君            兼岩 傳一君   商業委員    委員            油井賢太郎君            廣瀬與兵衞君   鑛工業委員    理事            中川 以良君    委員            荒井 八郎君            入交 太藏君            小宮山常吉君            藤井 丙午君   國務大臣    内閣總理大臣    外 務 大 臣 芦田  均君    商 工 大 臣 水谷長三郎君    國 務 大 臣 栗栖 赳夫君