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1948-06-03 第2回国会 参議院 決算・治安及び地方制度連合委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月三日(木曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件経済査察廳法案内閣送付)   —————————————    午前十時二十九分開会
  2. 吉川末次郎

    委員長代理吉川末次郎君) 只今から委員会を開会いたします。下條委員長が御用のため私が代つて委員長を代行いたします。速記を止めて……。    午前十時三十分速記中止    ——————————    午前十時四十八分速記開始
  3. 吉川末次郎

    委員長代理吉川末次郎君) 速記を始めて……。第一章につきまして、御質問があればお述べになつて頂きたいと存じます。
  4. 山下義信

    山下義信君 法務廳政府委員も見えたようでありますので、関連いたしまして一括して質疑をさせて頂きたいと思いますが、如何でございますか。
  5. 吉川末次郎

    委員長代理吉川末次郎君) よろしうございます。
  6. 山下義信

    山下義信君 これは安本政府委員に伺つておきます。念を押して置きますので、速記がございますので、速記に残して置きたいと思います。 経済査察廳検察廳警察等不離一体仕事をする官廳でありますから、私はこの官廳の行います事務は、非常に眞面目に厳格に行われなければならん官廳だと思う。時の政府政策政略というようなものに、この官廳の権限が重大なる影響を受くるがごときことがあつてはならんと考えますが、政府はこれに対してどう考えられまするか、これが第一点でございます。これは相当私は重大に考えておりまするから、責任のある御答弁を頂きたいと思います。 それから第二点は、これは私たちが審議します上の心構えとして承りたいのであります。國家行政組織方成立いたしますると、相当関連しまして修正の必要が起きて來ると思いますが、その場合には修正をなさいますか、或いは又國家行政組織方成立以前に速やかにこの法律成立を望まれまするか、その点を伺つて置きたいと思います。この法案は、六月一日から施行原案になつておりますが、これは当然な直さなければなりませんが、いつから施行されるというお考えがありまするか、この三点を先に承つて置きたいと思います。
  7. 國鹽耕一郎

    政府委員國鹽耕一郎君) 第一のお尋ねの点の経済査察廳運営に関する基本的態度に関する問題でございます。お話のごとく経済政策励行と申しますることは、その他のこともそうでありまするが、特に細心なる注意を払いまして、一党一派に偏する、殊にこれが政党、政派に利用され、政略の具に供せられるごときことがあつては絶対にならないと、私共深く且つ強く確信しておるのであります。從いまして私共がその責に当たりまする場合におきましては、絶対にさようなことがないように十分に戒心いたしたいと存じております。又そういう点がございまするならば、各方面の御批判を仰ぎまして、私共みずから反省して参りたいと、かよう考えておる次第であります。 第二の行政組織法との関係でございますが、行政組織法成立以前に、できるだけ早く経済査察廳法案成立いたしまして、実施をいたしたいと考えまするので、國家行政組織法が後刻成立いたしますれば、後にその法律との関係において修正しなければならない部面は調整いたしたい、もう一度御修正を願うようにお願いをいたしたいと考える次第であります。手続から申しまするならば、それと歩調を合わせました案を当初から出して置くのが便宜でございまするが、果たして國家行政組織法案原案通りに御決定になるかどうかということにつきましては、私共見通しが当然付かないわけでありまして、そうした関係から、殊に関係方面とも折衝しておつた経緯もございまして、從來の案をそのまま御提案申上げて御審議を煩わすことにいたしたのであります。 実施期日の点でございますが、これはできるだけ早くという要望から、五月の十四日に提案いたしまして、六月一日ならばたぶん実施できるのじやないかというところで六月一日と決定いたしたのでありまするけれども、今日の状況におきましては、これは当然訂正さるべきであります。我々の希望といたしましては、できれば十日、遅くも十五日頃には発足いたしたい、成るべく十日くらいに発足いたしたいと考えるのでありまするけれども、これは御審議状況にも関係いたしまするのでありまするが、希望といたしましては、かよう考えておる次第でありまして、できますれば、かようにお願いいたしたいと存ずる次第であります。
  8. 山下義信

    山下義信君 第一点の時の政府政略的なことに営業を受けるがごとき官廳ではないという御答弁了承いたしました。具体的に申しますと、この経済査察廳のお仕事の中には政策的お仕事はないと心得てよろしゆうございますか。
  9. 國鹽耕一郎

    政府委員國鹽耕一郎君) 政策的という言葉意味でございますが、政策を立案計画すると言うことは勿論ございません。それから政策的に即ち一党一派の利益になる人々のために取締その他の査察を行うということもないと存知まするが、ただ政府政策といたしまして、当面鉄鋼関係が重要である、であるから、その方面査察を徹底的にやるようにというよう政府政策が決定される場合において、それの励行を期するというのも政策的という言葉のうちに包含されるものであれば、さようなことはあるのではないか。これは当然政府政策に從いまして行わなければならないのであります。ただ、いわゆる政策的、何かためにするという意味における政策的と言うことは絶対にないと考えております次第でございます。
  10. 山下義信

    山下義信君 その点は了承いたしました。 法務廳政府委員檢務局長が見えましたようでありますから、伺いたいと思うのでありますが、経済査察廳檢察廳と非常な関係があることになつておりますので、檢察廳側所見のうち、次のごとき諸点において伺いたいと思うのであります。 第一点は経済統制違反につきまして、檢察廳は今日まで如何なる檢挙方針を持つておいでになりましたか、又今後どういう方針を持つておいでになりまするかという点であります。 第二点は……勿論以下事件と申しますれば経済統制違反事件でございますが、事件摘発につきましては檢察廳側から積極的に経済査察廳連絡されるようなことがございまするか。今後の運営につきましての所見であります。 第三点は、経済犯はいつたい初犯が多うございましようか、或いは又再犯が多うございますか。大体のところでよろしうございますから承りたいと思います。 第四点は、現今の情勢におきまして果たして経済事犯予防し得られまするか、十分予防し得られるというお見込みを持つておいでになりますか。檢察廳側所見を伺いたい。 次は参考資料として承りたいと思うのでありますが、今日まで檢察廳檢挙せられましたその檢挙数であります。その檢挙率というものは、いつたい潜在しておると推定せられまする経済事犯の凡そ幾%くらいと考えられまするか、その点であります。尚、現在経済係の検事は全國で何名くらいあるのでございますか、承りたいと思います。 最後公務員経済統制違反事件につきましては、檢察廳は如何なる考えを以てこれに処しておいでになりますか、承りたいと思います。それは私共は経済統制違反事件につきまして、公務員側におきまする関係者が非常に多いと想像いたしておるのであります。然るにそれらが事件になるますると、相当大きな事件でも、いわゆるそれらの者が地位、名誉というものを持つておるという御見解か、概ねこれらが不起訴であるとか、起訴猶予というような処分に伏せられておりまして、尚依然としてその公務員の職に留まつておりますことが、全國に幾多見受けられるのであります。公務員経済統制違反は、檢察廳においては寛大に取扱われる方針であるかどうかという点を承りたいと思うのであります。最高檢察廳責任者に伺いたいと存じましたが、檢務局長が一番お詳しうございますので、あなたから御説明を願いたいと思います。
  11. 國宗榮

    政府委員國宗榮君) お答えいたします。先ず第一点といたしまして、経済統制違反事件の、今日までの檢察廳の採つてつた檢挙方針はどういうことであるか、こういう御質問であると思いますが、この点につきましては、これはもう從來も今日も変わつておりませんが、抽象的に申しますると、いわゆる重点的檢挙というのでありまして、先ず生産必需物資、それから生活必需物資、これらに対しまするところの重点的檢挙檢挙方針といたしております。そうして実際にその効果を挙げておりますかどうかは甚だ申しかねる点でありまして、或いは効果が挙がつていないという御批判もあろうかと思いますけれども、これにつきましても、只今申挙げました生活必需物資とか、或いは生産必需物資、これらにつきまして重点的な檢挙をいたしておりますが、而もこれに対しまして、方針といたしましては抜本塞源的な檢挙をいたしたいと考えております。これにつきまして十分の効果を甚だ申しかねますけれども、挙げていないと言うことを、本当は申上げなければならんと思うのであります。併しこれは檢挙官の数の問題、それから設備の問題等、いろいろございまして、私共の考えました方針通り効果を挙げていないということは、私共といたしましては非常に遺憾に存ずるのでありまするが、今後の方針におきましても、かよう方針は堅持いたしまして、その効果を挙げたいと考えております。 それから第二点の経済事件檢挙につきまして、積極的に経済査察員連絡することがあるか、今後の運営は如何であるかという点でございますが、勿論私共といたしましては、経済査察員と緊密なる連絡を取りたいと思つております。又現に取らなければ、今後の経済統制違反事件に対しまして十分な効果を挙げ得ない、と申しまするのは、先程も申上げましたように一應の、又從來堅持しておりますところの方針がありますけれども、これを徹底いたしまするには、檢察官だけでは数も足りませんし、國家のあらゆる同じようなことをやつております機関お互いに協力し合つて初めて十分の効果が挙がり得ると考えておりますので、今後は積極的に連絡することを考えております。今後の運営におきましても、十分法規にありますところの査察委員会等によりまして、経済統制事犯檢挙につきましては、庶幾するところの効果を挙げたいと考えております。 それから経済事犯初犯が多いか、再犯が多いか、こういう御質問でございまするが、これいつきましては、実は全國的な統計がございませんので、はつきりしたことは申上げかねますが、東京地檢におきますところの昭和二十二年度中におきます起訴人員のうちについて統計を取つて見ますと、大体二千五百名の者が起訴に相成つておりまするが、そのうち、初犯者が九六%強であります。累犯者は三%強、この点から全國的に考えまして、初犯者が多いね再犯者は非常に少ないという結論が、極く一地方でありまするから、確言いたしますことは甚だ危檢だろうと思いまするけれども、先ず再犯者は少ないということが言い得ると思います。從いましてこの経済事犯というものは一たび檢挙になりますると、その後におきましては余りやらないということを言い得ると考えております。 それから現在の情勢経済事犯予防し得るか、という点でございますが、これは非常にむずかしい問題でございまして、率直に申上げまするというと、現在の情勢で、私共檢察立場からいたしまして、全く経済事犯をなくし得るよう予防ができるかと申しますと、これは非常に困難だと言うことを率直に申上げなければならないと思います。この点はいわゆる檢察という観点でなくして、行政的な措置が十分完全に行われなければ、その点の効果を挙げ得ないというふうに私共は考えております。尚、私共の檢察的観点から申しますると、これは行政的措置というような、実際の経済生活に関しまする施策というもの以外に、私共といたしましては、精神的なもの、一つ遵法精神の高揚ともうしますか、そういう面をも私共といたしましては動かして行つて予防効果を道徳的に挙げるという以外に、先ず実際のところ申しまして、方策はないのであります。この点から申しまするというと、絶対に予防し得るということを申上げることは、実は困難と思います。併しこれにつきましては、困難だからというので捨てて置きませず、檢挙もいたしまするが、同時に檢挙に先立ちまして、私共できる限りの予防の方法は講じて行きたい、又檢挙の面から見まして、行政政策がこうあるならばよろしいということが分かりましたならば、これはこの点を行政部の方に申入れまして、その施策の改善を図つて頂くという手は用いたいと思つております。 それから経済事犯檢挙率潜在犯罪に対するところのパーセンテージの問題でありますが、これは実は非常に分かりにくいのでありまして、大体申上げますと、昭和二十二年度におきまして檢挙廳が受理いたしました経済事犯違反人員でありますが、これは六十万七千四百二十二名であります。この外にいわゆる警察違反として檢挙されまして、檢察廳送致なく、そのままで終つておるものがあうろうかと思います。どれだけ一体実際の潜在的な経済違反犯罪があるかということは、これはちよつと分かりかねます。從いまして檢察廳送致になりました経済違反事件とのパーセンテージも実は出しかねるのでありまして、この点は一つ御了承願いたいと思います。 それから経済係檢事の数でありますが、これは経済係檢事として置いてありますのは、全國で七十名でございます。この七十名の経済係檢事が、只今申上げました六十万七千四百二十二名を処理いたしますと、これは一人で一ヶ年に八千六百七十七名を処理しなければならないことになるのであります。併しこれは経済係檢事といたしまして私共が專門に置いてありますのが七十名でありまして、実際は事件がかように多くありますので、経済係檢事でない檢事が実際には多くこの処理に当つております。從いましてこの数の関係から申しますと、全体の檢事が現在六百八十四名おりますから、経済事件だけを処理いたしまして、一人当たり八百八十八人を一年に扱つておることになります。で、現在実数から申しまして、檢事が一体経済事件というものを一人でどれだけ扱つておるかということは、これはどうも正確に出て來ないのでありまして、ただ東京地方檢察廳におきましては、これは相当に組織もできておりますので、ここでは経済係檢事が十五名おります。これは專門経済事件取扱つておりまして、外の檢事経済事件取扱つておりませんから、ここの計数を出しますと、一人当たりが年に二千百七十五人、これを東京経済係檢事は扱つております。大体まあこのぐらいの見当になるのではないかと考えております。 それから最後の御質問の問題でありますが、公務員経済事犯につきまして、檢察廳取扱い方は緩慢ではないかというような点でございまするけれども、これにつきましても、公務員がいわゆる個人といたしまして経済事犯を犯しました場合には、これは一般公務員でない者との間に、実は処理の上においては差別をつけていないつもりでおります。ただ併しいろいろ刑事訴訟法の規定にもございますように、その犯人のいろいろな地位、或いはいろいろな環境その他によりまして、起訴、不起訴を決定すべきことに相成つておりますので、それらの点ではやはり多少考慮に入つた措置が行われておるのかも知れないと思います。併し特に公務員経済事犯だからというので、これに対しまして取扱いを別いたしておるということはございません。ただ公務員が職務上に関しまして経済事犯を犯しました場合には、これは非常に嚴格にいたしております。地位の高下を問いませず、相当嚴格檢挙処理をいたしております。尚、只今山下議員から、如何にも公務員一般の者と区別されまして、取扱い上有利な処遇を受けておるようなお感じを抱いておられるように伺いましたが、かようなことがございますならば、今後におきましてはさような誤解のないよう処理いたしたいと思つております。簡單でございますが……。
  12. 山下義信

    山下義信君 大変有益な参考説明を得まして感謝をいたします。尚いま一点念のために伺つて置きますが、從來安定本部査察官檢察廳側との間が円滑に行かなかつたということは、過去の隠れのない事実になつておるのであります。今後はたぶん円滑なる協調の下に運営されて行くと思いますが、この際経済調査廳運営の上におきまして、檢察当局方面から、何らかの特に要望せられる点があれぱ承つて置きたいと思う。例えばこれは極く最近のことであろうと思うが、全國の都道府縣のいわゆる特殊物資轉用というような問題について、一齊にあなたの方から指令でも出てお取調べになつて、御着手になつておるのかとも思われますが、そういうあなたの方の全國的な御計画というものが、経済査察廳との連絡からいろいろなことの上に漏れて、檢挙目的が達せられないというようなことは、これは円満なる協調でなくて、却つて仕事の邪魔になるというようなことがあつてはならんと思う。そういう轉用を全國的に調べるというようなことは、いろいろ地方の者がどういうことを言つておるかと思えば、これはただ全國的に一齊に調べるということだけであつて、何でもないことであるというようなことを言つておる地方廳当局者などがあるが、どうか、そういう点について峻嚴にやつて頂かなければならんし、又経済査察廳との間の連絡、運用の上において、檢挙上障害のあるよう連絡があつてはならんと私は思う。それいついてのあなたの方のお考えを確かにして置きたい。 それから第二点は、言うまでもなく経済査察廳のいろいろな査察委員会が、あなた方の檢察当局のなされ方が自由分でないところがありますと、それについて段々と中央査察廳長官の手を経て勧告をすることができるようになつておる。而もあなたの方の最高監督機関に向つて勧告をすることになつております。檢察廳の方におきまする檢察側の最高監督機関と申しますと、檢察廳長官でございますか、法務総裁でありますか、これは不案内でございますからその点あなたの方から、誰がその勧告を受けるのであるかということを聞きたいと思います。それで私の質問は終わります。
  13. 國宗榮

    政府委員國宗榮君) お答えいたします。只今檢察廳経済査察委員に対しまして、どういうふうな、特に希望するところがあるか、こういう第一点の御質問と存じますが、檢察廳といたしましては、実際のところから申しますと、この警察制度が新しくなりまして、地方分権化された警察制度になつたのでありますので、統制経済を実際に効果あらしめるためには、全國的に統制のあるところの警察制度が実は欲しかつたのであります。で、その代りに生まれましたものがこの経済査察委員と私は考えておるのでありまして、この点につきましては、今日の日本の立場上から、いろいろの制度が新憲法下におきましていろいろな考えたかの下に作られておりまして、これは私共は、はつきりその点を見極めまして、制度お互いに有効に守り立てるという考え方に立たねばならないと考えております。そこで檢察廳自体だけの希望からいたしますと、只今申上げましたような、経済統制の問題は、実際は警察官としてやつて頂きたいと思つてつたのでありまするけれども、これは、まあ別といたしまして、今後の問題といたしましては、経済査察廳検察廳と十分なる協力を保つて頂くことを私共痛切に希望いたす次第であります。 それから更に経済査察官は、本法によりまして独自の行動をとられることに相成つておりまするけれども、これは檢察廳といたしましては、協議会で以て十分に連絡を遂げまして、そうして十分に檢察廳考え方というものを尊重して頂けるものと考えておりますし、又さよう運営したいと思つております。 それから尚現在も同じでありますが、今後におきましては、檢察廳との間にある程度の人事の交流ということも考えておりまして、これによりまして人的な繋がりによりまして、円滑なる動き方をいたしたいと考えております。 それから檢察の全國的な方式に関しまして、経済査察委員からいろいろなことが言われるのではないか、この点でございまするが、これは経済檢察につきまして、檢察固有方針というものがございます。この方針は、檢察廳が独自に施行しなければならないものと思つておりまするから、この点につきましては、査察委員の法からもよく御了解願つておる筈でありまして、今後におきましても、この点につきまして、査察委員の方からその方針自体に対しまして、方針施行に関しまして、かれこれ障害となるようなことはなかろうと存じております。併し大体におきまして、統制經濟國家的に行われなければならないもりであります。從つて檢察廳根本方針というものと、檢察委員根本方針というものは、これは違反摘発に関しましては、将来におきましては一本であるべきものであると私は考えております。さよう檢察廳行動したいと思つております。從來末端におきまして、いろいろあつたと思いまするけれども、今後におきましては、さような摩擦或いはお互いの誹謗というものをなくしたい、お互いに一緒になつてやりたい、こういうふなに考えております。 それから勧告の問題でございまするが、これは、かようなものができたのでありますが、檢察廳は何と申しましても経済統制違反の面だけを担当いたしております。ところがこの経済査察委員経済施策実施その他相当廣範囲なものをいたしておられます。從いましてこの統制經濟に関しまするいろいろな点につきまして、非常に多くの情報を持つておられるというふうに考えられるのであります。この制度上といたしましては、勧告を……若し檢察廳行動において面白くない点がありましたならば、経済査察委員の方から勧告が私共の方の最高官廳である法務総裁に対してあるのではないかと思います。ただ併し非常にそういう場合は稀有な例であろうと存ずるのであります。勿論檢察運営といたしまして、経済査察委員から勧告を受けるようなことがあつてはならないと考えております。又さようなことのないようにいたしたいと思つておりますが、併し法案によりますると、勧告という問題がございまして、これを受けるのは法務総裁が受けるべきものと考えております。大体さよう考えておりますから、御了承願います。
  14. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 この法案目的は、條文がどうあろうとも、私共は隠退藏ふつしの摘発がねらいであつたと思うておつたのです。それ故にこの條文に余り注意しなかつたのでありますが、段々説明を聴いて見、それから安本長官の御説明を聴きますと、予防宣傳が第一になるように存じます。こうなりますならば、今日まで経済安定本部地方経済安定局というものが全國に置かれてあるのですが、これをいわゆる強化、なさつたら如何かと思います。 或いは行政機関にやらせるか、宣傳とか、予防ということなら……。今更六億をここに出して、これらがいつまで続くかやら分からないものに、要らない仕事をさせるということになりはしないかという心配を持ちます。これが宣傳予防ならば、委員会を作りまして、官吏だけでなく民間人を入れなければ、予防の意義が成り立たないと思う。私は今日は予防ではなく、檢挙でなければならんと思う。違反する者は、やつてつても資材が足りないとか、價格が引合わないとか、或いは自分の収入がたりないためにやつたのだというが、実際はよく知つておる者を相手にしてやるのですから、檢挙でなければ直らないとおもいます。それで警察自体経済違反の取締りをしておるのですから、これを強化することはできないでしようかとも考えます。それには人員の制限があるというならば、治安に関する警察官の方が御協力なさいまして、お互い人員の融通でもすれば、相当能率が上がるのじやないか。宣傳とか予防とかいうことは、行政機関仕事になりはしないか。今まで地方経済安定局がやつてつたのではないか。これを強化する方針を以てやればいい、今更六億の金を使つて新しく作る必要があるかどうかということを伺います。
  15. 國鹽耕一郎

    政府委員國鹽耕一郎君) 從來経済安定局行つておりましたことは、積極面、即ち生産増強の面に関する宣傳ということはやつてつたのでありまするけれども、いわゆる犯罪防止的な意味におきまする啓発宣傳ということは、性質上余り行われておらなかつたのであります。今回の経済査察廳の性格は、一般國民の問いに法の励行の観念を徹底し、そうしてそれを予め犯さないようにすると共に、重大なる違反事件については、勿論これが取締を行う。その場合におきまして、わずか五千の人間でありますし、十分なる取締もできませんので、警察とも連絡いたしまして、警察に全面的に活動せしめつつ、その促進を側面から行うと同時に、みずからも大きな事件に関しましては手を着ける、かよう考え方でおるのであります。專ら予防宣傳だけをするというものでは勿論ないのでありまするが、理想といたしますれば、予防宣傳違反の件数が減少する或いは絶滅するということを期待いたしまするが故に、それに力を注ぎたい。併しながら御説のごとく、なかなかそれのみを以てしては、先程檢務長官から御説明がありましたが、檢挙しても、なかなか絶滅するということは期し得られない現状でありまするが故に、宣傳たげでは勿論不十分であることは、私共も十分考えておりまして、その点は両々相俟つて適正な運営をして行きたいと考えておる次第であります。
  16. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 只今承ると、警察に全面的に協力させるが、警察が足りないからこういう機関を作る。そうすると、警察の方はできないことになりませんでしようか。
  17. 國鹽耕一郎

    政府委員國鹽耕一郎君) 警察は御承知のように、自治体警察というものに全國分かれまして、数は、はつきり覚えて得おりませんが、相当の数の独立自治体警察があるのでありまして、それは相互に一應連絡するということになつておりますけれども、強制的、義務的にこれを統制するということは不可能であります。從今して、各自別個の行動をとり得る。或るものは一般犯罪に力を入れるけれども、経済取締りには力を入れない。或るものは、その中でも食糧には手を入れるけれども、繊維製品には手を着けないというような、ばらばらなことが行われることは予想されるのであります。併しながら統制経済励行に関しましては、全國的に統一を保つ必要が相当ある。或る機関は或るものに集中的に力を注ぎまして、そうしてその方の流通秩序を確立する。基本的なものについて、先ず眞つ先にそれを採り上げて、歩調を合わせてやつて行く。逐次それから是正してやつて行きたい。こういうふうに政策が立てられた場合におきましても、これを警察にお願いしまして、その通りにやつて頂くということはできないのであります。そこで、この経済査察廳が中心になりまして、そういう計画を立て、みずから実施すると共に、第六條にある委員会或いは勧告等の方法によりまして、警察もそれに手傳つて頂くようにお願いする。こういう次第であります。
  18. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 私は、國家瀬方警察本部長官に質問いたします。從來は、現在審議されておるよう法律がなかつたために、警察警察法の第二條に基づきまして、犯罪予防鎮圧、捜査、被疑者の逮捕というような、主として犯罪の防止という観点から、経済統制法例違反に対して取締を行なつて來ておるのでありますが、今回この法案ができました後におきまして、警察としては從來行なつてつてやり方と、どういうふうに違うようになるかという点について、お尋ねいたしたのであります。 犯罪の取締と檢挙という点から、この一般犯罪の取締の一部として、やつてつたのでありますが、今後は、この経済査察官と打合わせてやることになるわけでありましようが、経済査察官と全然打合わせをすることなく、独自に将來経済法令違反行為の取締を行うかどうかという点であります。又、経済査察官と、警察官及至警察吏員との関係でありますが、これ対等の権限を持つて進むようにはなつておりますが、この法令を見まするというと、二十一條、二十五條では、経済査察官の動向を求められて、そうして臨檢、捜索、差押え、或いは被疑者の逮捕というようなことを警察官が行うようになつておりますし、又三十條には、経済査察官から、同行應接を求められときには、警察官は、これに應じなければならんということになつておりますし、又三十一條には、府縣の警察長及至市町村の警察長が應接を求められたときには、又これに應じなければならんというような、義務づけになつておるところによりますというと、この経済調査官の補助的な任務、いわゆる犯罪檢挙という、そういう部面に立ち至つた際に、警察官が補助的な仕事をして行くんだというふうな建前に、この法令はなつておるわけでありまして、まあそういたしますというと、この法令が実施去れますると、一般警察は、主として経済事犯については、経済査察官にやつて貰う、そうして経済査察官の應援を求められたときというような場合に、初めて職権を発動するというよう考え方になり勝ちであるし、或いはなるかも知れない。從つてそういうよう方針を採るのですか。或いは從來と同じように、積極的に犯罪の捜査をし、そうして検挙をして行く。そうして査察官と対等の地位に立つて連絡を取りつつ取締をして行くのであるか。噂に聞きますというと、この法令ができますれば、実は警察は手を引くんだと、そうして経済査察官が、主としてやつて行く。そうして、査察官の補助的任務に警察が從うのであるというように、地方においては、解しておるようであります。この法令の発足と同時に、経済事犯に対する警察のやり方について、はつきりして置く必要があると思うのです。どういうふうにしたらいいかという点について、警察は迷うのでありますから、そのてんを両者が相談の上に、この法令が発足と同時に、警察としては、こういうふうな態度で進むということをはつきり決めて置く必要があると思うのでありますが、その点について、本部長官のお答えをお願いいたします。
  19. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 法律の建前におきましては、警察が、現在やつておりまする経済法令の事犯の捜索、取締の責任につきましては、この経済査察廳法が成立いたしましても、何ら軽減せられるものでない。かように解釈をいたしておるのであります。從いまして、警察はやはり從前の通り経済違反の捜索を独自の見地においてやる責務があるのであります。この経済査察廳法によりまして、警察にいろいろな協力を求められておりまするが、その協力を求められておる点から、更にはつきりすると考えておるのであります。只今質問のありました、坊間傳うるところによると、経済査察廳法が制定をされると、警察経済違反の調査については、いわゆる第二義的になつて、手を引くという噂があるということでございましたが、我々は、さようなことにならないように、大いに戒心をする必要がある。こう考えておるのであります。警察法の第二條にも、特に、この法律にいう犯罪とは、経済法令に関する違反を含むものであるということを明記されたのでありまするが、これは、さような誤解をとくに避ける意味において、たとい他の法令で、経済事犯に関する調査或いは査察をやる官廳ができても、警察仕事から、それを奪い、或いは仕事を軽減するものでないという趣旨において、この條文が揚げられておるのであります。又実際の運営の面から考えましても、経済査察廳に、経済取締をお委せして、その要求があつたときだけ、警察がこれに協力するという建前になるということになりますれば、大きな経済違反については、或いは事足りるかと思いますが、今日の経済違反の現状から考えまして、到底それでは経済秩序の維持ができないと、かよう考えておる次第であります。
  20. 山下義信

    山下義信君 私は、鈴木議員と全く同感、同様の疑義を持つてつたのであります。鈴木さんの只今質問に対して、政府委員の御答弁もあつたのでありますが、まだ十分はつきりいたしませんので、重ねて私伺いたいのであります。 この経済査察廳のいわゆる経済事犯に対しての警察的職務をいたしますることが、少しもこの警察自体のお仕事を軽減はいたしますまいけれども、お仕事の分量が、幾らか樂になる。俗にいう、その方面については、手が空いて來るということが、多少あるのではないかと思うのであります。地方においてさようにも考えておるのみではない。中央においても、先般一流の新聞紙が、たしか朝日でありましたか、毎日でありましたか、経済査察の設置問題を社説において論じておりまして、警察におけるこの経済事犯方面仕事が、少しこの役所ができて來るというと、手が省けて來る。それだけに、警察は全力を挙げて、あらゆる犯人の捜索に、今までどうかといろいろと、手ぬるかつた方に、全力を挙げて治安の保持に努められるというので、経済査察廳の設置は誠に当を得ているという、一流新聞紙の社説があつた。そういう役所ができても、警察の方の仕事は、こういう経済事犯に関する限りでは、ちつとも減りはしない。少しも代わりはないというのでありますると、徒らに、二重な役所が重なつてできまして、而も警察は恰も経済査察廳の下風に立つがごとき感がある。而も警察関係條文をこの査察廳の方から抜いて見ますと、殆んで十ヶ條以上ありまして、恰かも下風に立つ感がある。これはまあ別といたしまして、今の警察警察の事務の上において全く影響がないであろうか、多少経済事犯に関する限りは、それだけ荷が軽くなつて、そうして警察本來の治安の保持、犯人の捜索ということに十分手が廻り得るというような利点があるのではないか、念のために伺つて置きたいと思います。
  21. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 私は先程警察の責務の点から申あげましたが、さて実際の運営から、警察は現在よりも若干経済違反についての手は省けるようにおのずからなるのではなかろうかという御質問でございますが、これは今後経済取締りについての責任について、経済査察廳方面に絶えず世論が注意されるというようであれば、これは勢いの赴くところとして、警察が手を抜いておつても世間から非難されないというようなことから、自然にさようになる或いは虜れがありはせんだろうかと私は考えております。從つて、これはこの法令を運営する場合の、官廳方面運営のやり方もさることながら、一般世論が経済違反の取締についてどちらに重点を置いてやれるかというようなことから、私は大いに影響があるであろう、かよう考えておるのでありますが、私は現在のこの両方の法令を読んで、且つこれのできました経緯に鑑みまして、警察当局といたしましては、從前よりも手を抜くということはあつてはならない、從つて事務もそのために暇にはならない、むしろ今まで警察が人数の不足、或いはその他の関係から手を着けられなかつた所にこの経済査察廳が中心になつて手をお着けになり、それにつていろいろ協力を求められる。從つて今までより以上に忙しくなるのではないか、そういうことすらも考えておるのであります。これは実際の運営の際に、この委員会等におきましても、警察仕事の繁閑を考えながらやつて行かなければならんと考えておるのでありますが、私は警察官経済事犯取締に対する事務分量が今日よりも減るというよう運営になりますることは、経済秩序を今日より以上に強化をしようということとは、凡そ反する事になると考えるのであります。從いまして警察はこの法令ができましたために、余力を他に廻すというようには相成らんと、かよう考えておるのでございます。
  22. 山下義信

    山下義信君 結局まだ経済査察廳警察との間におきましては、そういう点につきまして十分なる方針といいますか、見通しというものがないようでありますが、我々も大いに研究審議をこの点はしたいと思つております。 いま一つお尋ねしたいと思うのは、國家非常事態の宣言のありました場合は、この経済査察廳は、警察とはどういう関係に立つのでありますか、この点を伺いたいと思います。
  23. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 國家非常事態の宣言の発せられましたときにおきましても、この経済査察廳関係法律上は変化はないと考えております。國家非常事態の宣言が発せられました際におきましても、警察仕事といたしましては、何ら仕事の内容は変わりがないのであります。この際の警察の運用をどこに主眼を置いてやつて行くかというその運営の重点の場所が変つて來ると考えます。警察官の動かし方にいつては、その仕事の或るものいついては非常に変つて來るということになるのでありますが、併しながら法律の建前自身に置きましては変化はないと考えております。勿論その際には自治体警察について、市町村或いは市町村の公安委員等が現在運営について責任を持つておりまするが、その責任の所在は公安委員からなくなつてしますという形になりまして、從つて警察責任がどこに行くかという責任の所在が警察法によつてつて参りまするけれども警察全体はこの経済査察廳との関係は変化を來さないものと考えられます。
  24. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 私は起案者の方にお伺いして置きたいのであります。この第一條の第三号の「経済法令に関する違反行為」というのでありますが、この「経済法令」の中には経済法令を立案したり或いはそれを執行したりする、そういう官吏に対するところの、やつてはいけない、こういう点はやつてはいけないというような制限規定が含まれておりますものがあると思います。そういうふうな執行官、取締官でなくして、法令を執行する方面におけるところの官吏がその條項に違反したというような場合にも、当然この「調査」の内容に入るのであろうと考えておるわけでありますが、私の質問の重点は、この経済法令を執行するところの各官署の官吏が、先程のお話にもありましてたように、相当監査する必要がある。これは從來一般犯罪の捜査、檢挙という点から、或いは檢察廳、或いは警察におきまして、犯罪が発生した場合においては、それが行われるのでありまするが、その発生する以前におけるところの違反行為の調査というような点について、この経済査察官がこれを行うところの権限があるのかどうか、そうしてこれを行わんとするのであるかどうかということについてお聴きしたいのであります。この第七号の内容につきまして、実は私よく承知いたしておらないのでありますが、ここに経済法令を施策するところの行政機関及至矯正官吏に対するところの事務の監査というようなことが行われるのでありますが、これは恐らくその事務が適切妥当なものいであるかどうか、この経済法令が果たして妥当な法令であるかどうかという点を監査するのであるかどうか、これは現在安本の監査局でやつておるということでありますが、その内容については私実は知つておらないのでありますが、この内容も実は知りたいと思います。その「監査」というものと第三号におけるところの「違反行為の調査」というものとの違いですね、この点を明らかにして、私の問わんとするのは、官吏に対してどういうふうに経済査察官が今後取締を施行するかという範囲をお聴きしたいと思います。
  25. 國鹽耕一郎

    政府委員國鹽耕一郎君) 第三号の経済法令違反行為に関しまして、官吏の違反行為をも調査するかどうかというお尋ねでございますが、この法律によりまして、経済査察廳取扱いまする経済法令、それに関して官吏が違反行為を行い、当該法令に触れるという場合におきましては、やはり調査の対象になるのではないかと私は思つております。それがために他の刑法に触れるというような場合は、これは経済査察官の調査活動の対象にはありませんけれども当然これが経済法令に違反する行為であるという場合においては、経済査察官は調査の対象として、この調査を行う権限を持つと考える次第であります。 第七号の規定は、いわゆる行政監査でありまして、政府の立案計画いたしました統制經濟実施計画が、その計画通り運営されておるかどうかということを、当該経済政策実施の行政官聴について調査をする。例えて申しますれば、繊維について申しますれば、繊維については配給制度を確立する、そうして、それは切符制によつて行う。更にそれは公團を通じて行うというようなことになつておるといたしますると、需給計画に置いてそれぞれの配分計画を安本で立案し、商工省にそれを移管する、商工省はその計画に從つて、当該繊維品の分配について、適正に行なつておるかどうか、更に公團は計画通りつておるかどうか、能率的にやつておるかどうか、その間の、切符の不正発行、増加発行というようなことはないか、必要以外の所に、割当てていけない所に割当てるというようなことはないかというような問題を調査するのであります。又その当該繊維品がリンク制物資になつておる、農産物の供出の報奬物資になつておるという場合には、その報奬物資は適当に配分されておるかどうか、手許まで届かないで、途中で止まつておることがないかどうか、時期的なズレはないかどうかというような具体的な問題について、当該官廳の官吏の統制経済運営事務が円滑に正しく行われておるかどうか、ということを見るのでありまして、從いまして、そういう政策実施の場合におきましては、必ずしも統制法令違反という問題は起らない、訓令違反ということは或いは生ずるかも知れませんけれども、法令違反の問題は極めて少い場合が多いのである。法令違反という問題に関しましては、第七号におきましては行い得ないことで、これは当然警察の所管なり、檢察廳の指揮の下に調査が行われるということになりまして、若しそういうことがありますれば、從來警察なり、檢察廳に引渡すというものについては、こういう事実が発見されたから御調査願いたいというので移管する。今後はこういうものについて、第三号に該当する事項でありますれば、経済査察官みずから調査するということになります。
  26. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 只今の御説明でよく分かりました。もう一点お聞きしたい点というのは、昨日柏木委員から質問があつたのでありますが、それは砂糖を例にとつて質問いたしてあつたのであります。即ち砂糖三日分配給された、併しながら砂糖を食べて生活するわけには行かない、どうしても砂糖を米か何かと交換しないというと、配給じや生活することができないというような場合に、この統制法令というものを嚴格に実行して行くというと、國民の最低限度の生活すら保障することができないような場合に逢着する、こういう例が今相当多い。今までは一般犯罪檢挙という点から、そういう観点から法令を確保するのだというよう観点から、檢察廳及至警察取扱つてつたのであるが、今後は統制法例の励行を確保するという、その目的の下にこの制度ができるわけであります。そうすると、この制度実施されるところの前提として、経済法令というものは完全であつて、そうしてこの経済法令を本当に確保し、実施されるならば、國民は最低の生活を保つて行くことができるのだという前提を持たなければ、確信を以てこの法令の執行をすることはできないわけであります。恐らく今後経済査察官が、良心的にこの仕事を進めて行つた場合に、相当煩悶して來ると思う。今までは警察及至檢察地用は犯罪檢挙という点から行なつておるのでありますから、煩悶いたしましても、そこまでは行かないかも知れません。批判という点になるでありましよう。先程の法務廳のお話のよう批判的な立場で、それはなかなか困難だろう。山下議員の質問に対して、経済法令の違反予防するということは、非常に困難と思うというよう批判的な答弁で済むのでありますが、この法令の執行官は、その批判的なところの答弁では済まないと思う。なぜかというと、経済法令を嚴重に執行して行くことがこの目的なんであります。勿論先程第三号の調査というのは、大きな悪質な犯罪だけを調査するのであるというお話でありますが、併しこの法令の目途とするところのものは、第一條に謳うつておるように「経済統制励行を確保する」という点にあるのであります。從つてこれを押し進めて行くというと、我々も実際において経験したのでありますが、経済警察を押し進めて行きますと、この経済法令が間違つておる、この点は間違つておる、この点はこうすればいいのだというところに逢着するのであります。間違つたというわけではありませんが、余りよくないところの政策を立てて、そうしてその政策をどこまでも維持して行かなければならんという立場にある者が、これを眞面目に執行して來るというと、この政策批判というところに到つて來るのであります。そうしていつも、やはり政策を立案する場合に、自分達も入つて見たいという氣分になる。勿論取締をするという点からもそうなるのであります。從つてこの政策を立案する部面にまで参加をして、意見を述べたいというようなところにまで到達して來るというような結果になるのであります。併しこの法令においては、勿論その権限がないのでありますが、実際の場合において、この法案の立案をするという場合に、この経済査察地用の幹部、これは経済安定本部長官でありますが、從つて両刀使いになるわけでありますけれども、その下の者も、その取締つた結果によるところの間違つておる点、或いは考え方を入れるようなことになつて行くのかどうか、という点を一つお聴きしたいと思うのであります。これは、まあ相当経済査察廳の中央の幹部の問題でありますが、末端に参りますと、相当査察官は煩悶して來ると思います。こんなことを遂行して行つたつて、これは本当に善良なる國民を饑えさすばかりになつてしまう。これは問題だと、この五千人の調査官がなる場合が非常に多いと思います。これに対してどういうふうに処置されるかということを一應この際お聴きして、私の質問を打ち切ります。
  27. 吉川末次郎

    委員長代理吉川末次郎君) 十二時になりましたから、御相談したいと思いますが、本日はこの法案を付託されておりまする委員会であります決算委員会の委員長が御欠席になりましたので、私が便宜代つて委員長の責を汚しておるわけなんであります。大体決算委員長と話合いました先日の結果では、本日で以て連合委員会を打切るような予定で実は議事を進めて参つたのでありますが、相当重大な法案でもあり、又殊に治安及び地方制度委員会の委員の立場からいたしまするというと、第二章及び第三章等は、先般來の総括的質問を通じて読めば大体直ぐに分明するというようになつておるので、皆さんも十分御会得になつておると思うのでありますが、第四章経済査察官の権限等につきましては、警察制度との連関性、或いはその連関的な行政の処置等につきましての規定について、相当突つ込んでもつと詳しく審議をする必要があるのではないかと、これは私の私見でありますが考えられるのでありますが、どうもこれだけでは審議が終つていないかと考えられまするので、どうしたものでしようか……。只今の鈴木さんの御質問に対する答弁も政府の方から願わなければならないのでありますが、それで大まかな総括的な質問は先般來せられたと思うのであります。殊に山下決算委員からいろいろ御質問がありまして、相当その方面の意は盡し得たかと思うのでありますが、本日午後一時から治安及び地方制度委員会が開催されることになつておるのでありますが、午後引続いて專ら質疑の御要求は、治安及び地方制度の委員の方に今後余計細かしい点についてはあるのじやないかと思うのでありますが、合同委員会は引続いてやりますか。ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  28. 吉川末次郎

    委員長代理吉川末次郎君) 速記を始めて。それでは只今の鈴木委員の質問に対する御答弁を政府委員からお願いいたします。
  29. 國鹽耕一郎

    政府委員國鹽耕一郎君) 只今鈴木委員から統制法例の確保を徹底的に行う場合における幾多の困難な問題について御指摘があつたのでありますが、誠にお考えのごとく、そこにいろいろむずかしい問題を私共含んでおると思うのであります。調査に関しましては、統制經濟励行の確保に基本的なる問題を取上げたい。末端の枝葉末節の問題から取上げましても、この励行の確保ということが非常に困難でありまして、先ず基本になる事項から、流通過程においても、その他の物資の面においても、そういうものから逐次計画的に推し進めて行くようにしたいという根本的な考え方を持つておるのでありますけれども、必要に應じまして、又場合によれば末端に行かなければならないこともあると思うのであります。そういうときに、只今御指摘のような困難が起こりました場合におきましては、それは第七の行政監査の面と関連して参るのでありまして、政策が悪い、方針がよくないという場合におきましては、それに関する見解を纒めまして、それを安本長官査察廳長官から意見具申ができる。これは後に別のところに規定がございますが、意見具申をいたします。安本総裁は現在の安本令の第十五條でありましたかに、改善その他に関して各省大臣に指示ができるという規定がございますが、これによりまして安本総裁が各省大臣にその施策の改善方について指示をする、そこで政策の面をも是正する、法則的に申せばさよう措置も講ぜられておるのであります。更に又運用の面におきましても長官が当然兼務であるということのほかに、重要幹部は常時安本の会合に列席する、尚関係によりましても係官もその計画の立案に参画するということは行うよう情勢になつておるのであります。実際のそうした取締の困難な問題につきまして、政策の面は今のようにして解決して行きたいと思うのでありますが、具体的な個々の事件処理に関しましては、経済政策、並びに経済界の実状全般と睨み合せまして、又検察廳の他の関係官廳との連絡等、商工省、農林省も列席いたすのでありますが、そういう官廳の行政の実施状況とも睨み合せまして、その間適宜調節するようにしていきたい。経済統制励行をせんがために経済を破壊する、或いは國明の健全なる生活を脅かす、止むを得ない緊急避難的な行為をも、処罰するというようなことはないようにしなければならないと考えておる次第であります。
  30. 吉川末次郎

    委員長代理吉川末次郎君) それでは午後の連合委員会は会場を変更いたしまして、治安及び地方制度委員会が開かれます四号室において一時から続行いたします。これを以て休憩いたします。    午後零時九分休憩    ——————————    午後一時二十八分開会
  31. 吉川末次郎

    委員長代理吉川末次郎君) それでは只今より午前に引続いて連合委員会を開きます。速記を止めて……。    午後一時三十九分速記中止    ——————————    午後三時三分速記開始
  32. 吉川末次郎

    委員長代理吉川末次郎君) 速記を始めて……。本日はこれにて散会いたします    午後三時四分散会  出席者は左の通り。   決算委員    理事            太田 敏兄君            西山 龜七君            山下 義信君    委員            堀  眞琴君            平野善治郎君            深川タマヱ君            小野  哲君            伊達源一郎君            山崎  恒君            西田 天香君   治安及び地方制度委員    委員長     吉川末次郎君    理事            中井 光次君            鈴木 直人君    委員            羽仁 三七君            草葉 隆圓君            黒川 武雄君            奧 主一郎君            岡本 愛祐君            岡元 義人君            柏木 庫治君            阿竹齋次郎君   政府委員    経済安定政務次    官       藤井 丙午君    総理廳事務官    (経済安定本部    監査局長)   國鹽耕一郎君    國家地方警察本    部長官     斎藤  昇君    法務廳事務官    (檢務局長)  國宗  榮君   説明員    経済安定本部監    査局総務課長  山口鉄四郎君