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1948-06-01 第2回国会 参議院 決算・治安及び地方制度連合委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月一日(火曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件経済査察廳法案内閣送付)   —————————————    午後一時四十二分開会
  2. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 決算委員会治安及び地方制度連合委員会を開会いたします。経済査察廳法案を議題といたします。前回に引続き御質問をお願いいたします。安本長官は二時頃出席されるそうです。法務総裁も今GHQに行つておられるので多少遅れると思います。この際御質疑をお願いいたします。
  3. 鈴木直人

    鈴木直人君 この経済査察廳仕事範囲でありますが、これは経済法令違反行爲に関するものであつて、その経済法令というものは別表第一に掲げるというようなことにして、別表を常に掲げまして、その別表に掲げてあるもののみの法令違反行爲ということに限定をされるものであるか。それ以外のものについては権限を行わないというようなことになつておるのであるかどうか。それをお伺いいたします。
  4. 國鹽耕一郎

    政府委員國鹽耕一郎君) 経済査察廳の取扱いまする経済統制法規範囲は、お話通り別表に掲げてあるものに限られておるのであります。従いまして統制励行の方、並びに違反がありました場合においてのその取扱の方、両方とも別表法令範囲に限定されておるということになります。但し第一條の第二号にありますような経済法令は「別表第一に掲げる法令及び政令で指定される法令並びに当該法令に基き発せられた命令をいう。」ということで、経済法令の解釈を、さようにいたしておりますから、即ち正式には別表法律で一々改正しなければならないが、法令が随時、例えば物資需給択調整法でありますれば、それに基く命令の形で出ることがあるのであります。それを法律改正によりましてこの別表を改めるということにいたしますと、時期的にも間に合わないという問題が起りますので、そういう際には政令で、別表に追加という意味ではありませんけれども、追加的な意味政令を以てそれを指定する。こういうことが規定されておるのであります。
  5. 鈴木直人

    鈴木直人君 只今の御説明によつて経済査察廳の行うところの範囲がはつきりいたしておりまするので結構だと思いまするが、どの法令別表に掲げるかというようなことの決定は、内閣総理大臣専決によるものであるかどうかという点についてお聞きしたいと思います。尚例えば現在風俗営業取締法などが出ておるのでありますが、かくのごときものは別表の中に掲げられるということになるかならんか。これは経済統制法規ではないのでありますが、経済的に関係をいたすものでありますが、こういうものは経済査察廳でも管轄するということに、その違反行爲がなるのかどうかという点もはつきりして置く必要があると思うのであります。これはなぜそうかと申しますと、一般警察犯罪捜査或いは予防ということに非常に関係をいたすのでありまして、普通警察官乃至警察吏員は、経済法令に関するところの犯罪檢挙その他についても権限を持つことになるわけであります。従いまして非常に廣範囲権限一般警察官が持つ。現在審議されておるところの機構は、法令において限定されたもののみにおいて権限を持つ、こういうようなことになるのだろうと思います。尚、更に第二点としてお聞きいたしたいのは、この経済査察官吏権限の一及ぶところでありますが、これによりますというと、調査ということになつておるわけであります。勿論勧告、協力というようなことがあり、あと啓発というようなことがありまするが、これは重要な点ではないのでありまするが、違反行爲調査ということは、どういうところまで調査であるか、こういうことをはつきりいたして置きたいと思うのであります。即ち違反行爲調査をして、ここに違反事実があつたというような場合においては、それを檢挙して聴取書を取つてそうして檢事にこれを送る、起訴するというようなところまで行くのであるかどうか。違反行為調査して、違反行爲の事実があるということが分つた場合には、その事実を明らかにして、一般警察方面にそれを渡すというようなことになるかどうか。その関係一つ説明願いたいと思います。
  6. 國鹽耕一郎

    政府委員國鹽耕一郎君) 第一の御質問別表の掲げる経済法令総理大臣専決事項であるかどうか、こういう点でありますが、この法律と一緒になつております別表そのものは、國会の議決を経て決定されるのでありまするから、その分に関しましては総理大臣専決事項ではないのでありますが、これに追加いたしまして政令で指定せられる場合におきましては、当該事項法律的に申せば総理大臣専決事項と申しまするか、閣議で決定されることになると思うのであります。勿論その場合関係各省は十分な連絡をとつておやりになることと思います。第二の御質問風俗営業に関する取締の事務を、経済査察官が行うことがあるかどうかという点でありますが、風俗営業取締に関しましては経済査察官は全然関係ないのであります。ここに書いてありまする目的範囲は、厳格に考えたり、そうしてそれに主力を注ぎ、手廣くやりますことは、却つて経済統制励行する見地からその点がぼやけるということを考えます。風俗営業の方には手を延ばす考えは毛頭ないのであります。第三の調査範囲でありますが、これは経済法令違反の事実がございますれば、それを十分に調査いたしまして、必要があれば、令状を貰つて臨檢或い家宅捜査、場合によれば、止むを得ない場合は逮捕もして、十分に事実を調べて、そうして檢事に告発するという段階までをやり得ることになつておるのであります。併しながら実際問題といたしましては、事柄によれば警察の方にお願いしてやつて貰う方がよい、又調査する事に檢察廳連絡いたしまして、検察廳の方でやつて頂くという場合も出て来るかと思うのであります。経済査察官がやらなければならん、又やる方がよろしいと考えた場合におきましては、只今の最終の段階まで証拠固めを十分いたしまして、檢事局に告発するという段階まで行い得ることになつておるのであります。
  7. 鈴木直人

    鈴木直人君 経済査察官の行う範囲については、はつきり了承いたしたのでありますが、そうしてその方が非常にいいと思いまするが、この点について一般警察との関係でありますが、一般警察におきましても、犯罪捜査という点からして同じようなことをやる、この経済査察官檢事指揮を受けて同じような権限を施行するというようなことになり得るわけであります。この際に、その連絡関係でありまするが、別個にそれぞれ権限に基いて同じようなことをやつて行くということもあり得るという予想であるか。或いは犯罪の検挙という点に立ち至る場合には、常にその区域における國家警察或いは自治体警察連絡をとつて、そうして共々にそれを実行するという方針であるか。その点を承わりたいと思います。
  8. 國鹽耕一郎

    政府委員國鹽耕一郎君) お話のごとく、経済統制法規違反事件に関しましては、一般警察犯罪の一部といたしまして取扱うことができるのであります。そうした意味におきまして、経査察官と同じ事件を取扱う可能性が理にはないのではないのであります。但し経済査察官檢事指揮等を受けるという事は絶対にないのであります。独自に活躍する、警察官檢事指揮をと申しますか、そういう支配を受けるのでありますが、経済査察官檢察廳関係は、警察が、檢査廳に対応する関係とは違いまして普通の人が告発するという点が違うのであります。実質的に葉警察の捜索も経済査察官関係も同じような行爲は行い得ることになります。従つて同一事件双方でやることになりはしないかという危険もないわけでありません。その問題に関しましては、関連する委員会を設けることになつておりまして、その委員会の席におきまして、どういうふうに事件を取扱うかという具体的な問題についても協議いたすのでありますし、又一般経済査察廳は大きな事件を中心として行う、これはもう定の方針でありますが、従つて警察はどういう方面仕事に力を入れるかというようなことも、予め協定をするということもできますし、仮に具体的にそういう事件が発生いたしました場合においては、直ちにその話し合い或いは連絡をいたしまして、具体的に調整したい、かように考えておるのであります。同一事件を繞りまして双方で競争をするというようなことは絶対にないようにいたしたいと考えてます。
  9. 鈴木直人

    鈴木直人君 もう一つお伺いいたしたいと思いますが、元來経済自由経済を建前ということが最も理想的であるとわたしはかんがえておるのであります。即ち自由経済によつて各自の経済能力を十二分に発して、そうしてその各自の力量、努力によつておのずから経済が動いて行くというところに立ち至ることが経済の目標、理想であるとも考えておるのでありまするがこれは國家の必要からして統制をいたしまして、そうして行つて行くということになるのであつて従つて経済統制をして行くという場合においては、相当経済統制に関するところの、何といますか、執行官というものの経済に関する知識が必要であります。一般警察と非常に違うところであつて経済を調整する事によつて経済統制目的が破壊される、その目的と逆に経済が動くというようなことになるということは経済統制のも目的ではないのでありまして、従つてこの経済査察官たる人が問題になつて来ると思うのであります。聞くところによるというと、この経済査察官たるべき人に対するが、どういう標準を似てこの経済査察官採用基準というものを立てておるか、この点をお聞きしたいと思います。
  10. 國鹽耕一郎

    政府委員國鹽耕一郎君) 経済査察官は、できるだけ経済に関する専門知識或いは経験を持つた人達を似て構成したいと考えておるのであります。それ故に一般経済界民間経済界知識ある人々、或いは官吏にしますれば統制経済関係ある仕事を担当しておつた人々相当高い地位におきまして経済関係仕事をしておつた人、かようなところを対象に考えておるのであります。従いまして、採用基準といたしましては、経済関係ある仕事に少なくとも二年或いは三年以上従事した人々警察官でありますならば二級官は二年、三級官はやはり二年か三年か、そういうような基準を……只今手許に資料を持つてておりませんで御必要がありますなら更に詳しく申し上げてもよろしいと考えてますが、民間の人であればやはり二年というような基準を設けまして、学校を出ても直ちに経済査察官にはなれないというようなふうに決めておるのであります。
  11. 鈴木直人

    鈴木直人君 只今の御説明によりますと、経済関係相当経験を持つておるものを採用するというのでありますが、この点は結構だと思いますが、現在の警察統制行つておるところの官僚の形態をみますというと、この統制権限を悪用して、相当のよろしからざるところの行いをやつておる者が非常に多いようであります。民間の声を聞きますと経済統制はなぜいやかというと、この生産、配給、消費を通じまして、これらの官吏がそれぞれ権限つておりますために、この官吏歓心買つて、そうして自分の目的も達成しようと、即ち統制に服従するよりも、何とかしてこの統制除外例買つて、そうして何かうまいことをしようとする業界も非常に多いのでありますし、又統制をまじめにしようとするの人々としても、統制権を握つておるところの官吏の性格によりましては、相当却つて権力を利用するというような傾向が非常に多いようであります。従つて業界はそれを非常にいやがるために、経済統制をいやがつておるというのが現状であります。ここに経済査察官というものができますというと、恐らく業界民間人々は、この経済査察官の了解を得て、或いは歓心を得るというような点に主力を注ぐようになると思います。従つてこれらの官吏は、相当しつかりした気持ちを持つて事に当りましても、段々と誘惑されることもあるのでありましようし、或いは最初からこの職権を利用しようとするというような者もないということは期し難いのであつて、この点を我我非常に憂えておるのであります。従つてこの経済査察官たるべき者は、単に経済経験を持つているというだけでは決して満足すべきものではなくて、むしろ本当に立派なこの権限を悪用しない、権限に忠実にであるというような人格者、そういうものを採用するために、どういうふうに政府においては考えられているか、それを伺いたいと思います。
  12. 國鹽耕一郎

    政府委員國鹽耕一郎君) 只今のご質問のありました点は誠に御尤もでありまして、私共も関心と注意を拂つておる点であります。できるだけの知識経験の豊富な人を採ると同時に、その人達が人格的に立派な間違いない人であうことを最も重要な条件といたしております。併しながら、経済に関する仕事をするのでありまして、いろいろの方面において誘惑が発生するということを予想せられますので、先ず第一待遇を改善することによりまして、できるだけその誘惑を防止するようにする、即ち生活の安定を図る、生活が安定しておらないので、いろいろ弊害を釀しておる一般官界の実情に鑑みまして、経済査察官は何を措いてもそうした弊害を発生しないように考えなでればならない、それが為に待遇を改善する、その待遇の改善の基準をどこに置くかということにつきまして、関係方面といろいろ折衝したものであります。当初は、或いは一般官吏の二倍、三倍の報酬を出さなければ駄目という意見も相当有力に行はれたのでありまするが、財政上の問題並びに一般官吏給與基準との平衡の問題もありまして、結局一般官吏より三割増加する、三割増加したものを本俸として支給する、こういうことに決まつたのであります。三割程度では私共としましては必ずしも十分とは考えておらないのでありまするけれども、この分だけ認めていただきましただけでも相当精神的に影響すると共に、従つて、それによつて十分査察官の心のというものを防止し得ると考えるのであります。第二に、採用にあたりましては、選考委員会を設けまして、誤りのない人間を採用する、かのように考えておるのであります。お話のごとく素質の悪い人達が、この査察廳に入り込んで、一儲けしようというような噂も我々の耳に入りまするし、又査察廳が設置せられるという声を聞きまして、民間側においても、いまから御機嫌をとらなければいけないというので、いろいろ暗中活躍が行われておるというような噂も耳にいたしますので、設立されることになりますれば、一層その点に関する注意と警戒を厳重にいたしまして、過ちが絶対にないように私共は図つて行きたいと考えるのであります。
  13. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 栗栖大臣にお尋ねいたします。経済査察廳が新設されようといたしておりますが、このお役所によりまして経済統制励行されますことは極めて有難いことでありますけれども、従來こういうお仕事は、地方警察及び國家警察経済課とでもいうようなところで取扱われていた仕事であるように存じておつたのでありますが、この役所を改革し補強する程度では間に合わなくなつて、根本的にこの新らしいお役所一つ新設されることにならなければならないその理由について、一つはつきりお教え願いたいことが一つ従つてその理由は、従前のこの経済課よりも遥かに新らしい経済査察廳というものが優秀であるということになると存じます。  それから第二番目には、経済査察廳を新設されるとなりますと、財政支出の点で、どのくらい計上なさつておいでになるか。  第三番目は、比較的財政支出も少くて、能率的に経済統制励行されるとなりますと、非常に歓迎いたすお役所でございますけれども、特に私がこれに希望を寄せますことは、近頃警察地方分権ということが盛んに唱えられております。そこには長所もございますけれども、経済統制に関する限りは、私はここに非常に中央集権の必要を感じております。というのは、地方分権警察でございますと、その管轄範囲闇商人警察とが押れ合いになりまするので、民衆が非常に困つておりますので、いつ如何なるときと雖も飛び込んで行つて、自由に統制を監督し、檢挙もできる中央の強い官廳の必要ということを痛切に感じておりましたので、この方面一つ強く働いて下されば、私は歓迎したいと思つております。  それから第四番目に、新らしく経済査察廳が生れるといたしますと、ここでは一体第三國人経済統制に対しては、どういう態度をおとりになりますつもりか。今日日本では主食物その他繊維製品その他物資が非常に欠乏いたしておりますので、第三國から持つて來て賣つて呉れるんだつたら、これは貿易の輸入で非常に歓迎されるのでありますけれども、米にしろ、木綿にしろ、「まぐろ」にしろ、いずれも日本品物を賣りますので、而もその利益日人に封鎖して置いて、第三國人のみに與えるとなると、非常に日本人に不可解な政となる。これは物の統制よりも人の統制強化して貰いたいという希望を持つておますけれども、連合國の方の関係もありますが、こういう点について新らしい経済査察廳はどういう態度でお臨みになりますか、それをお尋ねいたしますこと。  第五番目には、私は経済統制を強化されます前に、統制範囲を整理して頂きたいと思います。今日統制されておる品物であるのに平気で賣られておる品物が多いのでありますが、もうすでに生産相当増強されまして、これ以上統制しなくても間に合う品物相当ておると思いますので、こういうものは逸早く統制を解除して貰いまして、できるだけ大勢の人に職業に就いて貰う、そうしてどうしても統制しなければならないものはげん密に統制を強して貰う。そういたしませんと、今までのような状態ではずる賢い者のみに対して國家が保障して、独占的な利益を與えおるような恰好になります。こういうだしない態度は即ち政治に筋道がないので國民の道義の頽廃する原因になるのではいかと思いますので、こういう点につい力瘤を入れて頂きたいと思います。以上につきましてお尋ねいたします。
  14. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) 深川委員のお尋ねに対して順々にお答えいたします査察廳を設置する理由はいずれにあるかというのでございます。これは第一の点は経済問題であり、経済行爲その他の問題があるのでありまして、そういうものを警察官とか、或いは経済に比較的うとい……うといと言うと工合が悪いかも知れませんが、完熟しない警察官その他にいたしますというと、或いは行過ぎその他があると思われるのであります。それから又警察官あたりは、経済違反が起きた場合に、それを檢察するというような任務を持つておるわけであります。むしろそれよりも、経済現象経済事象経済行爲等に完熟しておる者を置いて、むしろ違反が起る前に勧告をするとか、或いは調査をするとかこういうようなことをして違反をなからしめるというようにすることが非常に大事だと思うのであります。こういう意味におきまして、檢察当局とも密接なる連絡の下にも動きますけれども、併し査察廳というものを設くる必要は、それと離れて、犯罪豫防その他今申上げましたような理由で必要だと思うのであります。査察というような言葉も或いは適当でないとも思いますが、英語でいインヴェスティゲーシヨンでありますから、調査をすることが主たる目的になつておるのであります。  それからその次は、官廳官廳との間の切れ目が非常に多いのでありまして、その切れ目のために、殊にこの警察制度等が新たに設けられました結果は、その官廳官廳とを連絡するとか或いはそれを引締めて経済違反或いは経済統制励行というようなことをしなければならん必要があると思われるのであります。そういう場合にもやはりこの査察廳があるということが必要であると思うのであります。まあ大体こういうような理由からいたしまして、査察廳を設けたいと、こう思つておるわけであります。併しここで申上げたいことは、査察というような意味が、檢察をする違反をどしどし摘発して行くという意味では毛頭ないのであります。先程來申上げました通り、むしろ事前にこれを予防し、又闇になるような原因を探索するとか、闇のルートがどうして起るかというような事情も調査して、それを防止する、予防するという点に力点がございますので、その辺を御了承を願いたいと思うのであります。  それから財政支出でありますが、これは大体五千人の人を配置したいと思いまして、これもなかなか人を得るということに困難でありますけれども、併し民間経験者をも登用したいと思います。そういうような関係から、費用も相当に要るわけでございます。これは或いはお手許に配つてあるかと思うのでありますが、すべてで六億七千七百五十九万五千円、こういう予算になるわけでありまして、その内訳その他につきましてはお手許に配つてございます。ここでもう一つ申上げて置きたいことは、行政整理財政の緊縮ということを十分いたしております際に、新たに機構を設けるというようなとは、いろいろの点で必要止むを得ない場合でなければこれをやらんという政府方針でありますが、こういうことがインフレを克服し、闇の撲滅とそれから物資統制励行するというような場合におきましては、必要止むを得ないと思いますので、これも一時の暫定的なものとしてこれを認めたいと、こう思う次第でございます。  それから第三番目の点におきましては、経済統制等も各自ばらばらになりがちでございます。そこで粗密が非常にあるということになるのでありますが、これでは非常な公平を失するようなことが起きるのみならず、本当に統制励行することができないと思いますので、そこでこういうものをよく各地が連絡をとつて、そうしてこの物資統制その他についての経済違反のないようにするというようなことを、十分目的を達したいと思いまして、かような機構を作るわけであります。  それから第三國人統制違反に対する取締の問題でありますが、第三國人中朝鮮人については、日本人と同様に日本裁判権があるわけでありまして、これについては裁判権の行使が無論できるわけであります。その他の三國人については裁判権がないわけであります。これは違反事件が起るような場合には、司令部関係出先機関連絡をして、その手によつてこれを防止し、或いは摘発すると、こういうことに相成るわけでございます。  それから統制の問題でありますが、これは本議会においても私は申上げたと思うのであります。実は統制が非常に煩雑に、又数多くなつておりまして、その中には統制を必要としないもの、或いは統制のできないものというようなものが相当あると思いますので、こういうような、一方においては経済査察廳を設け、経済統制励行いたすと同時に、他方においてはその他必要でないものについては統制手続を簡便にするだけでなしに、統制を外そうと考えておる次第でありまして、これは作業としてはなかなか大變な仕事でございますけれども、併しすでに生産の面におきましては、二千トン以下の亞炭を出す山については統制を外しました。これは現地で然るべく処分ができるようにいたしました。それから高級の鮮魚についても統制を外しました。これも統制をしても、各自の台所に廻るというようなものでないように思われますので、むしろ統制を外した方がいいと思いまして、外したような次第であります。それからお茶でありますが、これもいろいろ統制を外す方が必要だと思いまして、いろいろなまあ議論も、いろいろな交渉もいたしました。結局これを外すことにいたしたのであります。却つてその方がよいような結果を見つつあると思うのであります。その外この作業ができ次第相当取纏めて統制を外したい、必要ないものは外したいと思います。そこでこの物價應におきましては、差当り二百種ぐらいとかいうようなものについていろいろ考えております。各團体にも外すべきものは申出でて貰いたいというようなことで、いろいろ申出でを受けております。國会におかれましても、そういうようなものがありますれば、是非お示しを願つて外したいと思つておるのであります。他方主食とか、どうしても現下において統制をすることの緊要なものについては励行をいたします。その代り不用のものにいては外しまして、そうしてこの統制ということが、國民生活の間に暗い影を投げるようなことは成るべく避けたい。こういうように考えておる次第でございます。
  15. 山下義信

    ○山下義信君 経済査察廳の在り方と申しますか、そういうものにつきまして、長官からの御意見を伺いたいと思います。どういうわけで安本長官中央経済査察廳長官を兼任しなければ便利が惡いのか。これは提案の御説明の中に、表裏一体の関係があるから、密接な関係があるからと、こういうことをおつしやつたのでありますが、一方は企画廳、一方はいろいろ欠点を探り、只今も御説明があつて、それは分りましたが、一人が兼ねていなければ都合がなぜ悪いのか、先ずその点伺いたいと思います。御説明を聞きまして又お尋ねいたします。
  16. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) お答えいたします。その前にちよつとお話がありました査察廳の在り方でありますが、これも、先だつて衆議院でもお尋ねにあつたのでありますが、私はこれが経済違反についても、それが全く知らざるによつて起るものであろうと、故意にやつたものであろうと、それを問わず、摘発して持つて行くというような摘発主義の官職であるというような考えをいたしてはいかん。ややもすると、今日までの地方警察その他によつて経済違反の摘発がそういう氣持を國民に植えつけておりますので、それを變えたいと思つた次第であります。條文その他についても、その筋との関係上問題もありましたけれども、私はこれを摘発主義の官廳というように考えないのであります。むしろ事前に予防し、指導し、そうして闇の源を突き、そうして経済違反原因を明らかにして、いろいろそれを防止するのに努めたい、こういうように考えた次第であります。そこで衆議院でも例として申上げたのでございましたが、支那の周の時代に春、夏、秋、冬という四つの官があつたのでありますが、秋の官と、冬の官というものとは違はねばならぬものと思うのであります。春の官が夏の官であるというような意味でこれを見て行きたい。在り方については、そういう在り方のものとして國民も見て頂き、職を奉ずる者もそういう気持で運営して頂きたいと考えておる次第であります。  それから何故に安本長官が兼ねることがいいか、表裏一体の意味如何、こういうお尋ねでありますが、これは只今安本長官といたしましては、物資生産配給等についての企画官廳であるわけであります。それと同時に、物價廳の長官を兼ねておりまして、物價の在り方その他についてのいろいろ仕事を統轄いたしておるわけであります。それでやはり経済査察というようなことも物價の在り方、物資の流れ方、配給、その他についての裏の事情、その他を調査し、それが正常なルートに流れるように努める仕事でございます。そこで三者が一体をなして一人の長官によつて兼ねる。こういうようなつもりで立案せられたものであります。いずれ行政組織法ができますというと、物價廳が或いは物價院となるかも知れませんが、そういうものも新たに法案を提出して又お願いすることになると思いますが、そういうものにつきましてもこの関係が現われて三者一体というようになつておると思うのであります。併しこれには、おのおの次長制がありまして、有能なる専任の次長を置いて、実際の運営をいたす等十分遺漏のないようにいたしたいと思うのであります。尚この安本長官は、誰がなりましても、相当経済のこういう困難な時代にあつて相当大きな権限を三つ手に改めるわけでありますから、長官たる者は、その責任と職責とを十分考えて、運用のよろしきを得るということを自ら戒め、そうしてやつて行かなければならん、こう考える次第であります。
  17. 山下義信

    ○山下義信君 長官のなかなか名答弁で、この点は了承いたしましたが、表裏一体ということは、私には解せないのであります。右の手は安本の仕事をする手である。その安本のやり方が惡いというと、いろいろこういう役所を置かなくちやならんようなことが出て来る。その経済法令を実行する、その他の行政官廳の運営のよろしきを得ないことも、いろいろそれは統制励行を紊している因にはなつておりましようけれども、元來、統制法令を作る、総合企画をいたす基がまずいということはいけない。右の手が惡いのに、右の手で直そうとすると、私、譬を以て申上げるが、できることではない。鏡を以て照すといえば、一つ役所でこれをやるのが至当だ。これは議論になるから止めますが、これはこういう非常に有益な而も重大な官廳の長官というものは、専任にしても尚且つ日足らざる程、これは重大な役所でなくちやならんのに、兼任できる程のことじやない。次長がおればいいようでありますけれども、次長委せでできることならば何も安本長官が、表裏一体、是非重要だからといつて、兼ねる程のことでもないことになるのでありますが、それで私はそれ程安本長官と切つても離すことのできない程の役所であるというならば、何故これは安本の外局になさいませんか。どういうわけで総理廳の外局に置かれましたか、その理由を承りたい。
  18. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) 山下委員のお尋ねは、私も実はこの法案を作るときも、そのことを事務当局にも話したのであります。実は安本というものは総理廳の外局でございます。その外局に、又この外局を作るということが、今の日本の官制のやり方、今度の行政組織法等においても適当でございませんので、相並ぶ外局を作るということに相成つたのでございます。
  19. 山下義信

    ○山下義信君 説明の方では、安本にこの機関を作つたのでは、安本の機構が大きくなつて、それでなくてもいろいろ批評があるのに、大きくなり過ぎては困るので、こういう別の役所にしたのである、こういう説明でありますが、それに間違いございませんか。
  20. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) それは勿論一つ理由でございまして、今、中に一部の機構としてはそれがあるわけであります。併しこういう仕事相当急激にやる必要がありますので、そういうことにいたすということにいたしたわけであります。と同時に、先程お尋ねのように安本の外局にできんかということは、安本を單独の一つの省とか何とかいうものにすれば別でございますが、安本自体が総理廳の外局でございますから、外局の又子の孫ということは外局としてむずかしいので、かねがねこれをそういうふうにしたような次第であります。
  21. 山下義信

    ○山下義信君 一應御尤ものようでございますが、総理廳の直接の外局に置きますということと、安本の外局にしますということは非常に意味が違います。このことは私共又決算委員会の方で研究させて頂こうと思いますが、総理廳の外局に置かれますということは、私共の常識から考えますと、半ば恒久的な官廳のように考えられるんであります。それは臨時のものもあります。ありまするが、この法案自体から考えまして、これは前会におきましてもこれを論議したのでございますが、半ば恒久的な役所のような感じがするのです。然るところ、御説明を承わりますというと、先程大臣も深川委員の答弁にお触れになりましたが臨時だとおつしやる、この経済査察廳というものは臨時の役所だとおつしやる。そうすると、安定本部というものも臨時なんだ、正確に申しますると、今月限り、六月限りの役所であります。今度出ます安定本部設置法案がどういうふうに規定されておるか存じませんが、ともかく臨時の役所であります。経済査察廳も臨時であるならば、臨時の安定本部の外局にするのが私共筋が通つていると思う、これはたしかに臨時の役所でございますか。前會政府委員は臨時の役所である、こう申しましたが、正に臨時の役所でございますか。
  22. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) 山下委員のお尋ねの通りに臨時でございます。なぜかといいますと、経済統制とか、こういうような配給というような事象に対する一つ官廳でございますので、従つて統制とかそういうようなものというのは、只今のところ政府としてはこの経済危機を突破するために採つておる対策でございます。そこでそれに関する機関も臨時である、こう申さなければならん。恒久的な機関とは申されないと思う次第でございます。
  23. 山下義信

    ○山下義信君 大変よく分りました。そういたしますと、元來今日まで官廳を設置いたしまする場合の通則といたしましては、私共素人でございますが、少しばかり調べて見ますと、臨時の官廳はすべて存続期間というものをその官制の中に入れますのが通例のようでございますが、この経済査察廳法案には、この役所は臨時の役所であるとうことがどこにも見えませんが、これはそういうことを一廳規定して置くことが妥当ではないかと思いますが、大臣の御所見は如何でございますか。
  24. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) 今案は規定してあるわけでございますが、こういうものの規定は、面接の規定と間接の規定とに分れるのでございます。安本のごときは直接法を以て書いておる次第でございますが、この法律は安本の長官を以てかねるということがございますので、実は安本の生命とせいぜいこの存続期間を同じくするものと御解釈を願いたいと思うのでございます。我々はそういう方針の下にその筋とも交渉し、又これを立案したような次第でございます。
  25. 山下義信

    ○山下義信君 一應了承いたしました。つきましてはこのお仕事の中に「経済法令」とありまして、先程鈴木委員がこの点の御質疑がありましたが、非常に廣くして皆やることになつておる。新令で決めさえすれば、どの法律でも皆悉く仕事範囲内に入ることになつておりますが、何故賃金をお除きになりましたか、承りたいと思います。
  26. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) この賃金に関する統制というものは只今のところございませんのでございまして、その結果査察ということも必要でないと認めまして目下のところではこれを除くということにいたしておるような次第でございます。
  27. 山下義信

    ○山下義信君 私も多分そうではないかと存じておりましたのでございますが、この賃金というものは、言うまでもなくもうこれは釈迦に説法ですから省略いたしますが、すべての経済條件の重大部面を占めておりますることは言うまでもございません。これはやがて賃金の統制がされますような時期が参りましたらば、この賃金統制に關しますることもこの役所でお扱いになりますか、お扱いになりませんか。
  28. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) この賃金……統制ということは政府として今まだ考えておりません。この賃金安の方策は何か取る必要はないかどうかというので、只今内閣で研究をいたしておるのでありまして、仮にそういうようなことが決まりました場合に、この官廳でどうするか、或いは労働省でどうするかということは、その際の行き方、方法等によつて考えなければならんと思いますが、それが仮に決まるようなことになれば、その際にこのいずれのものによるかというようなことも考えたい場と思うのであります。ただ賃金安定の方法につきましては、それはいろいろ方法よつては各会社の資金の状況、支拂状況その他を調べる必要もあるのでございます。そういうものは労働省でやるか、或いはこういうとろでやるかということは、これはまだ特來の研究すべき問題として残つておる、それまでお待ちを願いたいと思うのでございます。ちよつと申傳えますが、賃金安定の措置を取るかどうかは只今政府で非常に研究いたしております。どうなるかは今暫くお待ちを願わないと分らないような次第でございます。
  29. 山下義信

    ○山下義信君 賃金のことについてはまだ御計画が決まつていないようでございますから、これはお待ちすることにいたしましよう。つきましてはこの安定本部と運命を共にいたします経済査察廳、臨時の役所、この役所の性格を聞けば、安定本部の性格を聞かにやならん。妙なことでございまして、その臨時のこの見通しを私は承りたいと思うのでございますが、これも無理なこととは存じまするけれども、元來その臨時の役所をいつ頃までまあ置くのであろうか、三年ぐらい必要であろうか、五年ぐらい必要であろうか、それとも安定本部と同じように、まあ一年ぐらいで、來年の春頃までだろうかというような見通しが付かないで、臨時の官廳というものを置く置き方では、私共審議のいたし方がないと思います。それで大体のお見通しを承りたいのでありますが、併し無理なことを申上げて御説明を煩わすのも恐縮でございますが、私共の考えでは、かねがね長官などが頻りにおつしやつておられまする中間安定……成る程私共そう感じます。最近の通貨の発行及び物價の上り方、それらの止つております状況を見ますと、成る程中間安定の段階に入つたということは私共共鳴いたしますが、この時期こそ大幅に統制を外す絶好の時期ではないかと思うのであります。先程深川委員の質疑に対してお答えになりましたが、統制を外して行けば行く程、この官職の必要性がなくなりまするので、丁度恰かも賃金のスライドと同じように、あなたの方の統制が必要がなくなれば、お外しになるならば、成る程この査察廳は段々細め行かなければなりません。この先を見通しての計画がこの設置法案のどこにも窺うことはできませんが、大体その辺のお見通しは長官はどういうお見通しを持つておいでになりまするか、承わりたいと存じます。
  30. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) これはなかなかむずかしい問題で、沢山の仮定を置いて行かなければ申されないと思います。先ず経済安定の問題について申し上げるには、中間安定のことを先に申上げないといかんと思います。政府といたしましては、單に危機を突破するという懸念的、臨時的な措置でなしに、経済復興の再建の施策をするというので、実は御案内のように経済復興計画委員会というものを作つたのでございます。これの委員会の作成しました復興計画自体によつて、これは相当見通しがはつきりつく問題だと思うのでありますが、まだ委員会はそこまで行つておりません。併し政府は第一次の試案として、昭和二十七年度末までに大体昭和三年から九年における経済水準、我々の生活水準を回復する、こういう施策を立てようとしておるのであります。併しそれは五年の期間がありますので、中間的に一つの目標をつけ、丁度この物價の騰勢、或いは日銀券の発行高の騰勢がちよつと中止しおります、横這いになつております現在を捉え、更に生産増強と、それから外資導入その他によつて、中間的安定点を見出そうとしておるのであります。これも一年或いは二年かかるかとも思うのでありますが、私はこの安定本部その他がいつまで続くかということは、まだ分りませんけれども、この政府の施策その他によつて考えますというと、これが中頃ぐらいまでになりますというと、相当物資の配給も豊かになりまして、余程この安定本部その他の仕事を縮小することができる時期ではないかと思うのであります。で、五年ぐらいまで忠実に実行されて行きますというと、これはむしろ経済安定でなしに、これは経済を繁栄させる一つの別な機関ということになつて、任務を終えるのではないかと、かように私は予測し考えておるような次第でございます。
  31. 山下義信

    ○山下義信君 大変行届いた御答弁を頂きまして、是非そういう明るい時代が來ることを待望いたします。段々査察廳の必要性がなくなつて行く、それにつきましては將來余程……多数の人も使うわけでございますので、経済統制の在り方と睨み合せましてのこの官廳の将來というものは、よく今日から考えて置かなければならんことであると思いまするから、この点是非長官にも御留意を願つて置きたいと思います。序でに私はいま一つこの機会に承わるのでありますが、これは事務当局の方でもようございます。どういうわけで、この管区査察廳で行政機関のいろいろの調査をさせて、地方経済査察廳にはなぜこれをやらせませんか、その理由を承りたいと思います。
  32. 國鹽耕一郎

    政府委員國鹽耕一郎君) 末端におきましては、その関係範囲が狭いということと、それから大きな官廳が縣廳以外にないという点からいたしまして、相当の人員を配置することも困難でありまするし、これを取止めまして、少い人間でありますから、管区に集約的に配置いたしまして、そうして大体他の行政官廳を、商工局にいたしましても、鉄道局にいたしましても、そこが中心になつて地方の行政をやつておりますから、その範囲をよく見得るようにしないと、行政の欠陷ということもはつきり分らない、そういう見地で管区に止めることにいたしたのであります。愼重に、そうして十分な能力を以てやりたい、かように考えるのであります。
  33. 山下義信

    ○山下義信君 この点了承いたしかねます。これは宿題として残して置きます。両多数の質疑がありますが、私は他の同僚諸君にお讓りしてこれで止めますが、いろいろ委員会を作ることになつて、管区は管区の委員会を作り、地方地方委員会を作ることになつておる。それがいろいろ中央役所地方出先機関でずつと委員会を作ることになつておる。その地方出先機関が廃止になつたらどうする。そうすると、代りの何か考えを持つておりますか。一應今日では建設院、農林、商工、いろいろそれらのものが委員会を作ることになつておりますが、建設院の出張所のごとく、或いは農林、商工、なた方がそれらと一緒になつて委員会を作つて研究しようというそれらの地方出先機関は、今更廃止の論議の中心になつている。それらが廃めになつたときは何か考えがありますか。
  34. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) それについては丁度出先機関の、今の整理ということも閣議で急いでおりますので、併せてこの点をも申上げ、御了解を得たいと思います。出先機関の整理ということは……ちよつと速記をやめて下さい。
  35. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 速記をやめて。    〔速記中止〕
  36. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 速記を始めて。
  37. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) そうして各出先機関を整理いたしましたときに、全然その管掌事務を止めてしまう場合は別でありますが、多くは地方廳の方にそれを委譲するような場合が多かろうと思うのであります。そういうような場合には、委讓されたところで、この委員会その他にも参加をして貰うとか、或いは連絡をして貰うとか、こういうことになろうと思つております。
  38. 山下義信

    ○山下義信君 折角大臣がお答え下さいましたので、関連して、それではいま一つつて置きましよう。この委員会をお作りになろうとなさる相手のいろいろの関係行政廳、これは中央はともかくとして、中央ももとより必要でありますが、段々それが地方に行く。それらの官廳こそ査察なさる必要があるので、そういうものと一緒に相談したつてしようがない。而もなぜこういう委員会を、この査察廳法案の中で、法律で決めなければならない必要がどういうわけであるのか。これは法律でお決めにならなくとも、そういう委員会を設置するということを法律でお決めにならなくとも、関係官廳が電話先で集まつていろいろ打合せすることぐらいはできるのであります。どういうわけで法律で決めたか。こういう委員会官吏ばかり集まつて相談し合う、而も互いにそれが調査し合わなければならない対象でありますようなものが集まりますよりは、もつと民間の者を集めて、そうしてこの所掌事項の中にありますような予防的措置、これが大であります。経済事犯の違反が起らない、よく遵奉され、励行され得るようにするためには、如何に奨励するかということを、民間人をお集めになりまして、或いはいわゆる防犯組合、経済防犯組合というような一式のものを、民間人の盛り上る力の、なせ協力をお求めになるようなことをなしておらないかということの疑問を本員達は持のであります。それらにつきまして大臣は何かお考えがありましたらば、伺つて置きたいと思います。
  39. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) 実はこの委員会は、各官省を連絡する一つ委員会であります。この國民の協力を求め知識を集めての委員会その他のことというのは、別途に考えておりまして、後程申上げたいと思います。この官廳は、各官廳が思い思いに繩張りを爭つたりなんかしまして、そこがうまく行かないというような場合がしばしばありますから、ここに一つの義務付けた委員会というものを作りまして、その間の繩張り爭い、その他をも止め、十分連絡をとらせたいと思うのであります。これは重要なものでありますから、政令によつてするというよりも、むしろ法律によつた方がよいのじやないかということを考えました点と、今回の行政組織法によりますと、各官廳の設置法が法律を以て作られることになりましたので、それとの均衡等も考えて、かたがたこの法律を以て定めたような次第でございます。  それから私は衆議院でも数日前に委員案に出まして申したのでありますが、こういう機会に物價の補正をし、予算を編成する、それから経済査察ということで出発するというよい機会に、價格の統制その他についても、十分外すべきものは外し、必要なものは励行すると申しました。それと同時に、國民生活を安定し、経済を復興するについては、闇の撲滅ということがどうしても必要でございます。別に一面に於ては、主食その他の配給について、十分心を用い、実行のできるようにいたしたいと考えますと同時に、闇撲滅についての國民運動を一つ展開したいと思うのであります。私は前に大蔵大臣のときに、國民貯蓄運動、それから納税運動ということを、本院の非常な御援助によりまして、いたしたような次第でありますが、これが相当著しい成績を挙げておりますので、やはりこういう闇撲滅に関する運動も、できれば本院の非常な御援助によりまして、一つ國民運動として展開したいと思うのであります。そういうような運動をいたします際におきましては、民間の有識者その他につきまして、この経済査察の運営その他についても、或いは諮問委員会のようなものを作りまして、十分の民間知識経験をも頂戴いたして、運営の全きを期したい、こう考えておる次第でございます。
  40. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 供出の問題でございますが、供出の促進ということはどなたもまだ質問がなかつたのでありますが、大体御承知のように、今回は供出も完遂されて、大体供出は非常に國民も農民も理解してうまくやつております。又食糧調整委員会も大分仕事に慣れて参りまして、よくやつておるようであります。そうして又惡質なものはやはり弾圧しなければいかん、これは分りきつておる。で、承われば、この査察廳は秋の官ではなくして、春夏の官であるというのならば、彈圧をする警察的な方面はある、而も春夏の仕事をするところの、又供出を自然的に自発的に促推する食糧調整委員会が各地に於て十分なる活動をしておるとい際に、ここに改めて供出促進をされる、励行させるということがありますが、具体的にはどういう面において供出促進を励行させるかということをお伺いしたい。  それからもう一つは、先程政府委員がお答えになりました、この査察官は誠に立派な人間を選ばなければならん。官僚的な物の分らない者ではいかんというので、選考委員会を作つてそういう者を選びたいと申しましたが、この選考委員会が從來の官僚的な或いはボス的な力の下にあつた選考委員会では、結局選ばれた者がそういうふうになつてしまうと思いますが、一体どこにそういう選考委員会を作る目安を置かれるか、どういう具体的なお考えがあるか、その二つをお伺いしたいとと思います。
  41. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) 前の問題について先ずお答えいたします。これは一條の第二項の第八号に該当するお尋ねだつたと思うのであります。これは「隠退蔵物資調査及び供出の促進に関する事項」とあります。この供出は隠退臓物資の供出でございまして、米その他の主食の供出は含まんわけでございます。  それから第二の点につきましては、具体的には尚いろいろ考究をいたしておりますけれども、幹部におきまして委員会を作りまして、そうして民間の有能者、或いは今現に使つておりますような人その他をも、有能な者を使いたいと思うのであります。それから配置轉換その他についても十分考えたいと思うのであります。配置轉換その他につきましては、委員会におきましても前官時代のいろいろな事績等をも調査いたしまして、適当なる者を配置し、國民に御迷惑を掛けるということを防ぐのみならず、この目的を十分穏かに達するような人を選びたい、こう考えておる次第であります。從つて委員会を、外の人を今選任をしまとて、そうしていろいろするというようなことは、法令その他の手続も要しますし、いろいろな点においてむずかしいことであると思いまして、考えておらんような次第でございます。併し選任については、遺漏なきことを期したい、こういうように考えております。
  42. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 ちよつとさつきの政府委員の答弁ですが、選考委員会を作られるのですか。
  43. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) 選考委員会は作ります。作りますけれども、民間の人を入れては作らんつもりであります。
  44. 柏木庫治

    ○柏木庫治君 私は今日初めて出たのでありますが、さつき安本長官の、山下委員が民間人云々というのに対しまして、各官廳がまちまちでないように緊密なる連絡をとるという意味においてというお言葉、非常に結構であると思うのでありますが、幸いにして各官廳一つになる、よく話合う、一つの機関にもなるのでありますから、これは私の個人の経からでありますが、例えば近來砂糖が三日分とかいうようにやつて來る、そうすると、私共は二十幾人おるのでありますが、最初の一回くらいは、久方振りで砂糖で潤うたということで、何かに入れて砂糖を沢山嘗めますと、腹も暖かくて大変喜ぶのでありますが、これが何回も続きまして、大家族になりますと、実際問題としては非常に困るのであります。ところが、私共は絶対に法を守りたい、どんなことがあつても法を守るという心持でやつておるのでありますが、実際問題としては、あれでやつて行けない者が沢山あるのであります。その場合にあの砂糖を新潟その他に出掛けて行つて食糧品と換えて來るというようなことが、今度経済警察の手で絶対に許されないといたしますと、そこで國民はどういうことを考えるかと申しますと、砂糖をあんなに沢山配給をして置いて、絶対に統制を守れと言つても、事実は守れない、生きて行けないのだ、だから暗黙のうちに……実際汽車に乗つて見ると、一尺一寸の荷物、といつても大きな荷物が沢山載つておるので、事実は知らん顏をして許しておるのだろうというふうに考えれて法を軽ろんずるような心持も起る。法を守るか死するかという問題になると生き行くことを考えると思う。それから経済警察が汽車を止めることによつて、一時間も或いは二時間も止めることよつて、次の汽車に乗る予定が間に合わずして、例えば京都なら京都で米一合も持つていないのに汽車に間に合わず、その晩汽車に泊るということになる。こういうことは実際を申しますと、経済警察の処置とは申しますものの、政府國民に非常な迷惑を掛けるということになるのであります。それは大きな言葉で申しますと、憲法違反で、その弁償を政府がするのかというような実際の面において、全然取締の必要のない人間が汽車を止められて一晩寒い停車場に泊らなければならんという実情がある。実際砂糖を配給されてやつていけないものがあり、そういう生きた問題があります。國民は法を守ろうといたしましても、守れない世界ができて参りますと、法を軽んずるようになるのではないかと盧れるであります。幸いにして各官廳ともこれを中心として連絡ができますならば、今私が申上げた二つの事実によつて、これをどうやつてつて國民が明るく生きられるかということを、こういう生活方式を取るならばそれで行けるのだというようなことを、具体的にお示し願うことが、國民生活を明くし、同時に法を明るく賢明に守らせる所以であると思います。この点について近く安本から生活方式というようなものを考えて頂きたいと思います。
  45. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) 柏木議員の御質問は誠に御尤もの点もあります。実際は先程もちよつと申上げましたが、経済査察その他でこれを励行し、闇その他の違反を防止するということを一方でいたしまして、他方において國民生活必需品の配給を時期的な、或いは量的な質的とかというものについて十分考えなければならん次第でございます。ところで、現在の状況でいいますとなかなかそうも行かないのでございます。そこは緩急よろしきを得るというふうに考えなければなりませんし、建前としましては、或いは繊維製品とか或いはその他の物資の配給を十分増加に増加を努めるということにしまして、これは急に今直ぐ大きな増加は望めなくても、漸次その方に向つて行く。それと同時にこの経済違反事項その他についても、これを抑止するということを併せて両方を見較べて考えて行 きたいと思う次第でございます。只今の砂糖につきまして、これを主食の代替にするという点もいろいろな点において、國民の皆様に対してはいろいろ苦しいこともあろうと思います。政府として、できればこれを嗜好品とか調味料として考えるように持つて行きたいといろいろ努力はいたしておりますが、今暫くお待ちを願いたいと思う次第でございます。それから経済違反その他に対しての取調べ、その他のためにも汽車が長く止つたりして御迷惑になる。私もその経験はあるのでございます。本当に事実を言うならば、なかなかどうもすべてに旦つて十分行き届いて円満完全に運営されるということは現在においては望み難いと思うのであります。そういうようなことのないようにいろいろ努めるようにしたい。そういう意味におきましても國民の協力を求め、國民の認識を深めるという意味においても、先程来の國民運動を展開することが一助になるのじやないか、こう考える次第でございます。
  46. 伊達源一郎

    ○伊達源一郎君 ちよつと一点だけお伺いいたします。統制がうまく行われんということの大いなる原因は役人に惡いことがある。末端の方のことから、地方の権力の根源である点から考えて見ましても、この統制を行なつて行かなければならん責任者の方に可なりの欠点があり、惡い原因がある。こういうことはよく知られておるのでありますから、この経済査察廳はそういうことに対してどういう決意と覚悟を持つておられるか、その点を明白にして置きたいと思います。
  47. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) 伊達委員からのお尋ねでありますが、そういうような声を残念ながらしばしば聞くのであります。そこで先ず査察廳に職を奉加ずる者がみずから身を浄めて過ちのない、汚職のないようにするということは勿論でありますがこれは各官廳職の関係をもいろいろ取調べ、事前調査、或いは違反に対する予防的な調査その他をするのでありまして、そういうような点においても十分考え、むしろ犯罪者を摘発するというよりも、その前に犯罪のないように予防するということに努めまして、ややもするとそういう声を往々聞くのでありますが、そういうような声を一掃するように努めたい、こう考える次第であります。
  48. 西山龜七

    ○西山龜七君 この査察廳査察をいたします者は別表に掲げてある以外の、例えて申しますならば、一番我々の経済関係のありまする煙草とか酒類というようなものの闇というものが非常に我々の生活と密接な関係がありますが、こういう方面に対しましてもやはり査察廳範囲に入りますか、これは別に除きますか、その点をお尋ねするものであります。
  49. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) お答えいたします。この法案の終りの別表第一にございますが、物償統制令が挙げてございますが、そういうものは物償統制令に関するものでございますので、この査察の対象に相成る、こう思つている次第でございます。
  50. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 法務総裁もお見えになつておりますが、その前に山下委員の質問関係いたしまして、安本長官の御答弁で不審を起した点がありますから、一二お尋ねいたします。それは山下委員がこの経済査察廳なる官職を何故経済安定本部の外局にしないかという御質問に対しまして長官はそれは安本が総理廳の外局である、だからこの経済査察廳は安本の外局にする、又その外局でおかしくなるからという御答弁でありました。併し今度の総理府設置法案その他を見ますると、総理府の外局として安本は挙つていない、経済安定本部は挙つていない。それから國家行政組織法を見ますと、これは安本があるために設けられた條文だろうと思いますが、第三條の第三項に、「前項の行政機関の外、特に必要がある場合においては、別に法律の定めるところにより、臨時に、内閣総理大臣をもつて長に充てる本部を置くことができる。」こうあります。この本部は外局というわけじやないと思うのであります。そこでこれを見ましても、この総理府設置法案を見ましても、経済安定本部は総理府の外局にしておりません。もう一つ根本の國家行政組織法案を見ましても安本というものは外局でない。こういたしますると、先程の御答弁が食違つて來るのですが、その点はどうでございますか。
  51. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) これは先程來私が申しましたように、安本が今の総理廳の外局である場合に、外局として作ることはむつかしいということを申上げたのであります。実はまだはつきりいたしませんけれども、我々の考えとしては、この行政組織法及び経済安定本部設置法が各位の御承認を得て成立いたしますならば、適当なときにはこの安本は一つの独立官廳となるわけでございます。必要に感じてこれを外局にも持つて行かう、こうも考えておる次第でございますが、併しそこまではまだこの行政組織法その他のものがどういうようになるかも分らん関係もございますし、それといつてこちらの方は非常に設置を急いでおる関係もございますので、で、現在の安本に対する関係を基礎といたしまして、こういうような法律を規定したものであります。
  52. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 その点は大体それで分りましたが、もう一つ。何故この経済査察廳の方に、「長官は、経済安定本部総務長官たる國務大臣を以てこれに充てる。」というふうにはつきり経済安定本部長官たる國務大臣がこの長官を兼ねると、それを以て充てるというふうに規定なさつたかという山下委員の質問に対して、それはこの経済安定本部と経済査察廳とそれから物價臨とは三者一体、不即不離の関係に立つからというふうに御答弁がありました。現に物價廳の方においても安本長官がこれに当つておるというお話があつたのです。ところが今度は物價院の法案を見ますと、これは「物價院総裁は、國務大臣をもつて、これに充てる」と、こうありまして、安本長官たる國務大臣を以てこれに充てるとはないのであります。この点も御答弁に少し誤りがあるのじやないかというふうに思うのでありますが……。
  53. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) この行政組織法その他のものは将来これができた場合の問題でございまして、今現在この設置を非常に急いでおりますので、経済査察廳につきましては、これは現在の物價廳そういうものを基盤として作るわけでございます。そうして制度としては文字の上に現われませんけれども、行政組織法及び物價院の設置法の中には、やはり安本の長官がこれを兼ねるという趣旨で立案をし、そういう意味で決定をいたしたのでありますが、法文の上に現われておらんだけのことでございまして、運用は全く同じに相成らうと思う次第でございます。
  54. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 併しその物價院の法案にいたしましても、ここに出されておる経済査察廳法案にしましても、これはいずれも将来のことでありますから、若しどうしても物價院の総裁に安本長官が必要だということになれば、つまり是非これは三位一体の関係にあるということになれば、この二條にやはり「安本長官たる國務大臣を以てこれに充てる。」こういうふうに規定しなければ、この経済査察廳の方と平仄が合わないのであります。それを逆にいうと、「物價院総裁は、國務大臣をもつて、これに充てる。」、こういうふうに書く以上は、こちらの査察廳の方でも「長官は國務大臣を以てこれに充てる。」ということにされるのじやないかというのが私の議論なんであります。
  55. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) これは実は時期的ズレがあるのでございますが、行政組織法その他一聯の官憲の設置法につきましては、新らしい統一した用語で以て、そして用例とで以てできておるわけでありますので、行政査察の方はもう相当前に提案をいたす準備をして、その筋と大分掴んでおつたのでありまして、これは或いは五月一日或いは六月一日にも施行せよということをその筋からも言つて來ておつたものでございまして、これは現在の物償廳、現在の安本、そういうものの立法の上に関連を持たして作つたものでございます。両者の分は別に考えなけりやいかんと思うのであります。そうして将來これが或いは安本が独立した本部というものに、官廳になりましたときには、これを外局にするとか、その他の場合にはこの組織法の用例その他と一緒にして考えたいと思うのでありますが、実は長いことその筋とも揉んでおりましたし、漸く承認を得たような次第でございまして、その間に相当の時期の、ズレがあるので、考え方のズレがあるというようなことでございますが、内容においては全く同じであると御了承願いたいと思います。
  56. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 一應そういうふうに拝承いたして置きまして、もう一つお伺いいたします。それは鈴木委員が触れられた点でありますが、第一條の経済法令は何であるかという問題、「別表第一に掲げる法令及び政令で指定される法令並びに当該法令に基き発せられた命令」、こういうふうになつております。そこでこの「政令で指定される法令」ということをなぜお書きになつたか、これが非常に疑問なんです。で、「別表第一に掲げる法令」というので、これに附加える必要ができて來れば改正法律をお出しになりまして、別表に附加えて行かれればいいのでありまして、何も「及び政令で指定される法令」というふうな手放しの委任をする必要はないと思うのであります。「並びに当該法令に基き発せられた命令」というのは、これはいわゆる施行命令でありましようから、これはまあいいと思いますが、施行手続みたいなものでありましようからそれでいいとしまして、「政令で指定される法令」というのをなぜお書きになつたか、その点を伺つて置きます。
  57. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) 例えばポツダム宣言に基く法令のごとき、法を改正するに暇がないようなものが或いは出ることがあることと予定しまして入れたような次第でございます。
  58. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 そうとしますと、この「政令で指定される法令」というのは、ポツダム宣言に基く政令、これは出されることは承知いたしておりますが、それでこの経済法令を指定するようなことがあり得るようにお答えになつておるのでありましようか。
  59. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) 余りにもないだらうと思つておりますが、併しあり得るものででございます。その筋ともいろいろ打合せをいたしまして、あらゆる必要な場合に間に合うようにということで、かようにいたしたような次第であります。
  60. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 そういたしますと、ここで「政令で指定される法令」というのは今御答弁のあつたような極く狭い意味におけるものでありまして、原則としては、「別表第一に掲げる法令」を正規の手続をいたして法律で改めて行くということでなければならんと思うのです。この「政令で指定される法令」というものをお使いになる場合にはよくよく本当にポツダム宣言に基くものに限られなければならんと思うのですが、この点を念を押して置きます。
  61. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) ポツダム宣言による法令に限るということは、或いは経済状態の急迫した事態で法律を改正する暇がないというようなことで考えなければならんかも知れませんが、大体において私はそういうところのものを予定し、これを廣く使うというようなことを考えないで立案をしたような次第でございます。
  62. 柏木庫治

    ○柏木庫治君 私のさつきの質問に対しまして、長官の親切な、苦心された答御弁はよく分かるのでありますが、それは統制もこれも懸命にやるというだけに止つたと思うのでありますが、私さつき山下委員が言われた、この民間人もその会議に入れると申しますか、携りまして実際これは、私は生きた実際の問題を申上げておるのでありますが、事実これは國民が忍ばなければならないことなんですから、忍ぶのでありますが、例を砂糖の配給に取りますが、子供を沢山持つて、実際は主食にならないものを一方では配給する、それは政府において力一ぱいの心をこめた親切な配給であることは明らかでありますが、それでも実際としては事実が足らない、そうすると一方には経済取締を嚴にする、この経済取締を嚴に極力やるということは、実際問題として闇の物資を持つて來つつある者があるということを認めておるかから、取締をやられるのであります。闇物資を持つて來てないと分つたら取締はないと思うのでありますが、事実は実行されておることは認めておるということでありまして、そこで私のお尋ねを申しますよりも、具体的に今後やつて頂きたいと思いますことは、配給をする者と、実際において取締る者と、それから配給をされて食つて行けない者と、それからこれを輸送する者と、折角こういう査察廳において、その四つの者を集めましてそうして肚をぶちあけて実情を相談して頂いて、國民が無論苦労をして行かなければならないのでありますが、主食の足らない者、又余つた人と、取締と、運送と、実際食つて行けない者ぐらいが集つて、生きた協議をする必要はないか。そうして少しでも細民をして何とか極力よくして上げないと、実際問題として足らないならば、法を守る精神が薄らぐのではないかということを私は一番虞れるのであります。これは実際問題といたしまして私なんか実はとかく境涯が恵まれておりますから、今度初めてちよつと驚いたような工合でありますが、やはり実際に困つておる者もその中に加えて相談しなければ、私は配給する者と取締る者との間に非常な矛盾がある。困る者は誰が困るか、弱い者が困るという結果になると思いますので、将來この問題についてどうして國民の苦しみをできるだけ軽減するか、或いは生きた親切なお取計いを、力を入て頂きたいと私は希望いたして置きます。
  63. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) 今の柏木委員の御希望に対してお答えいたして置きますが、実は十二條と十八條における委員会は、行政事務であると各官廳連絡その他調整について開くものでございますが、官廳間の委員というものでやつておりますが、今柏木委員が非常に必要をお述べになりましたことは全く同感でございますが、廣く配給を受ける者、配給する者、運輸その他各般に携わる者、知識経済者を集めてのいろいろの諮問委員会のごときものは、これはどうしても國民運動としていたします際には設けたい。これも中央地方に設けて闇撲滅と配給を正規のルートによつて行うということ、これをいたしたいと考えておる次第でございます。
  64. 中井光次

    ○中井光次君 本日頂きました資料全般、我々からお願いした資料につきましてちよつとお伺いいたして置きたいと思います。第一は経済安定本部と各地方経済安定局から経済査察廳への人員轉換表というのがありまして、これには轉換定員七百六名、轉換現員四百七十三名ございますが、先般御依頼申上げましたのは、地方経済安定局における二つの部があつて一つの部が査察部でありまするが、その全員は殆んどこの経済査察廳の方に轉換するというお話のように承わりましたから、これはその部分を全部現わしたものでありまするか、お願いを申上げましたもう一つは、調整部と申しまするか、もう一つの他の部における残つたものはどのくらいになるかということもお願いしたのでありますが、それは出ていないようであります。それは経済査察廳の設置は仮に必要であるといたしましても、一面残存部分が地方経済安定局として存置するものでありや否や、それの判断の資料にいたしたいと思つておる次第でありますが、その部分が明瞭でありませんが、この表について以上のお答えを願いたいと存じます。  その次は頂きました表の五千人の経済査察官の配置予定内訳表というものと経済査察廳一覧表の数字であります。中央経済査察廳における人員が前者において二百二名、後者において二百五十名、管区経済査察廳において、前者において七百八十八名、後者において八百十八名とありまするのは、これは経済査察官だけでなく事務官をも含んだ故にこの数字が一致しておらないのであろうと思いますが、そうでありまするかどうか。これだけを伺つて置きたいと思います。
  65. 國鹽耕一郎

    政府委員國鹽耕一郎君) この表にあります七百六名というのは、経済安定本部及び安定局の監査局関係の職務に従事しておる者の定員であります。それだけは当然この仕事経済査察廳の方へ移りますので、それに随伴いたしまして配置が轉換になるのでございます。そのあと経済安定局にどれだけの人間が残るかということに関しましては、我々の方の記憶違いか、御要望がなかつたように思い違いいたしましたので、まだ資料ができておりません。早速この分は取揃えまして差上げたいと思います。  尚あとの数字の御質問でございましたが、甚だ恐縮でございますけれどもどの数字でございますか。
  66. 中井光次

    ○中井光次君 五千人の経済査察官の配置予定内訳表というものの中の、中央査察廳の人員が二百二名、管区経済査察廳の人員が七百八十八名であります。これと地方と合せて結局五千人になるのでありまするが、もう一つ別に頂いたこの表でありますが、これの中央経済査察廳における人員が横に書いてあります。それから管区経済査察廳における人員が書いてありまするが、その数とこれと合わないのは経済査察官にあらざる他の事務官を本表においては含んでおるのでありまするかということであります。
  67. 國鹽耕一郎

    政府委員國鹽耕一郎君) お尋ねの通り、この図表になつておりまするのに附いております数字は、経済査察官以外の事務官を含んでおるのでございます。
  68. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 法務総裁にお出で頂きましたから、この前の審議に当りまして疑問になりました点で一二伺いたいと思います。それは第一に、この経済査察事務、それは経済査察廳というものができまして、それでやりますこの経済査察事務、それから従來から警察でやつております経済査察事務、これは先程政府委員からの御答弁によりますと、おのおの別個にやるのだ、それで同一事項において重複するようになる慮れがあるから、そういうことに一らないように連絡調整をしてやるのだ、こういう御答弁もありました。そこで一体経済査察事務なるものは、自治体警察がやつておりますときに、それは自治体の固有事務であるか、又國家事務を自治体が委任を受けてやつておるのか、こういうことが疑問なのであります。これはなぜこういう質問をいたしますかと申しますと、第一國会におきまして警察法を我々が審議いたしましたときに、この自治体警察というものができまして、それでやります警察事務は、これは從來町村の固有事務であつたもの、それから國家事務であつたもの、これを併せて市町村の固有事務といたしておつた、こういう御説明が、私の質問に應じて、而も研究された挙句、木村内務大臣からあつたわけであります。そういたしますと、この経済査察事務というものは、市町村即ち地方公共團体がやつておりますときには、その固有事務ということに、木村内務大臣の答弁によりますとなつてしまうわけであります。それではどうしてもおかしいと思います。この経済査察廳のやります経済統制事務について質問をして見ますと、それは國家事務だ、警察がやつておるのは國家事務の委任を受けたのだという政府委員の御答弁がありました。それについて法務総裁から、政府ではどういうふろにお考えになつておるか、御責任のある御答弁を願いたいと思います。
  69. 鈴木義男

    國務大臣(鈴木義男君) 只今岡本委員から、実際の固有の事務であるか、それとも國家から委任された事務であるかというお尋ねでありまするが、この点は非常にデリケートな問題でありまして、警察仕事は本來見方によつて國家の事務である、又自治体警察ができました以上は、挙げて自治体の事務であると申すこともできるのであります。それは一種の不可分の関係にある、そういう意味であつて理論上分つことはできまするが、できるだけこれを統一的に考えて行かなければ、本当の警察目的を達することができない、こういう見地から考えておるのであります。併し便宜、これを例えば費用の分担でありまするとか、或いは事務の先後軽重の問題であるとかいうことで分類をする必要があるというような場合がありまするならば、仰せのように、國法で定めておりまする事務は、自治体にとりましては委任事務である、自治体の條例等で規定をいたしておりまするものは自治体の固有の事務である、こういうふうに解釈することが正当であろうと考えておるわけであります。併しそれは分類を正当付けるだけでありまして、実際の仕事は区別なくやつて行かなければならない、そうしていわゆる経済査察仕事と、それから警察仕事とが競合或いは衝突するというようなことがないように、適当に連絡調整を図つて行かなければならんことは、政府委員からお答え申上げた通りであります。
  70. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 只今御答弁を頂きましたが、國法で定められておる事務は國家事務、市町村條例で定められておるのはその市町村の固有事務、こういうふうに観念的に考えるべきだ、こういうふうな御策弁と了承いたします。そこでそういたしますと、この経済事犯のみならず、いろいろの犯罪捜査及び被疑者の逮捕というようなことは、勿論これは國法で定められておることでありますから、これは國家の事務ということになると思いますが、その点如何でしようか。
  71. 鈴木義男

    國務大臣(鈴木義男君) そういうふうに解釈して差支ないと考えます。條例の上で規定されておりましても、結局はそれを捜査し逮捕し処罰することは國法によつて規定されておるのでありまして、國法と矛盾せざる範囲内において條例を規定されておるものと解せられるのでありますから、終局においてやはり國家事務として存するのである、こう解することができると思います。
  72. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 この問題は治安及び地方制度の委員会に掛かつております地方自治法の一部を改正する法律案、これに非常に関連がある問題でございます。これはこの委員会で長々と御質問をしたり御審議頂いたりするには少し不適当かと思いますから、別の機会にいたすことにして今日は経済査察の点だけに止めて置きますが、一体なぜこういう質問をいたしますかといいますと、この國家事務を委任したものであるとすれば、今おつしやいましたように、その費用の國家負担というものをどうしても考えてやらなければいけない。それは市町村の財政というものは非常に枯渇をいたしておりますことは國家大臣たる総裁がよく御存知の点で、これは國家として成るべく國家事務については負担をしてやる、それはその事務をやらしておるのに見返るだけの財源は十分與えてやるというふうに考えなければならないのであります然るに今警察法ではそういう犯罪捜査及び被疑者の逮捕が非常に費用の掛かる問題でありまして、こういうものを全部町村の負担にさせるように規定してあるのでありますが、その点は追及して行くと、それは固有事務をするのだからということに実はなつてしまうのであります。そうでないということになれば、これは國家として当然考えなければならないことであります。  それからもう一つ経済査察廳というものができまして、経済統制についてはそれを統一し調整する機関があるのであります。それで結構でありますが、その外の犯罪に対しまして、自治体警察ができました以後は、それを統合調整するものが平時ではないのであります。これか非常な欠陥でありますことは、これは先のあの神戸事件、大阪事件でも総裁が出張してお調べになつたのだからよく御存知の点であります。その警察法を審議いたしますときに、その点は十分心配いたしまして、それじやいけないのだということを口を酸つぱくして各委員から言つたのでありますが、それはそのときの情勢で仕事がなかつた。併しそのことは直ちに馬脚を現わしましてとんでもないことになりかかつたのであります。而して犯罪捜査及び被疑者の逮捕、又進んで國家の治安維持というようなことは、これは町村の固有事務でないことはもう誰にでも分つておるのでありましてこれは明かに國家事務である。それを委任してあるのである。そういうことになりますれば、やはりこれを統合すべき地方官廳というものは考えなければならない。これはもう議論する余地のないものであつて、そういう点を考慮して私は質問をいたしたのであります。それだけこの問題について申上げます。  尚もう一点経済査察について質問いたしますが、それはこの経済査察廳法によりまして経済査察官が臨検検査をいたしますときには、適当な裁判所の裁判官の許可状を受けて、つまり令状を受けてやる、而も警察官又は警察吏員を同行してやるこういうことになりまして、これは誠に結構なことでございまして、この前も申したのでありますが、第一國会のときに経済査察官の臨檢檢査等に関する法案というものが出まして、そのときにはこういう規定がなかつたのであります。それでは憲法の違反になる、憲法三十五條でありましたか、その違反になるのだ、だからそれは修正をするということを治安及び地方制度並びに司法の連合委員会において修正案を作つたのであります。ところが、第一國会におきましてはそれはそのままになりまして流産をしたのであります。このたびの経済査察廳法が出されまして、それでは今申したように、我々が修正しようとした点が網羅されて規定してあります。これは非常に結構なことだと思つて我々は満足する次第でありますが、それではこの経済査察廳法というようなものを作つて、非常に根拠のある経済査察官ですら、その臨檢檢査をいたしますときに、この適当な裁判所の裁判官の許可状を受けなければならないということになります以上は、この臨時物資需給調整法の第三條、食糧管理法の第十三條、それから隠匿物資等緊急措置法の第七條、こういうような法令にその関係官吏がそういう許可状を、つまり令状を持たない下臨檢檢査ができる規定があるのでありますが、これは政府としては早速廃止をするなり改正をするなりすることが当然じやないか。つまり経済査察のときですらこういう許可状を以て臨檢檢査をする、そういうことに当然ならなければならないのでありますが、その精神は今申したような法令においても当然ではないか。それを改正の手続をなさる意思がないように政府委員から御策弁がありましたけれども、それは片手落じやないかそれは早速改正をなさるべきじやないか、こういうふうに私は考えるのであります。その点について総裁の御所見を承わりたいと思います。
  73. 鈴木義男

    國務大臣(鈴木義男君) 先程の御発言は希望として承つて置きまして、特に私からお答え申上げる必要がないかと存じます。費用の問題につきましても、國家財政の許す限り十分に考えております。又警察制度は決して完全なものとして出発したのでないのでありまして、取敢えず不完全ながらできるだけ自治体警察として成長発達させる、自分の警察である、我々が作つた警察である、こういう感じを持たせて出発をするというのが目的でありますから、更にこれを統合調整いたしまする中央機関のようなものが必要であろうということも十分私共も考慮いたしておるのであります。政府におきましては特に五人の閣僚を選びまして、そういう点につきまして警察制度の改革について調査いたしておるような次第であります。御了承を願います。  それから第二の御質問でありますが、一般に臨時物資需給調整法或いは隠匿物資等緊急措置令等においては、臨檢檢査をなすのに必ずしも令状を必要としないものになつておる。これはそれぞれの御指摘の法律その外にもあろうかと思いまするが、詳細に取調べましたならば、或いは御趣旨のようなことが來るかも存じませんが、大体において一般に行政官吏をして行政上の目的のために捜査をさせます場合には、臨檢檢査をさせます場合には、令状を必要としない、こう考えておるのであります。それは実質的にも形式的にもこれは行政作用であつて刑事作用ではない。刑事処分というようなものに轉換する場合は別でありますが、少くも本質的にそういうものを持つておらない、こういうふうに解釈いたしまするからこれで違法ではないと、こう考えておるのであります。但しそれが刑事処分に類似するもので、或いはそれに進展して行くというような可能性のありますものにつきましては、経済査察法同じく令状を必要とするものと考えまするから、そういうふうに改正すべきものと考えております。
  74. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 隠匿物資等の緊急措置令、食糧管理法、臨時物資需給調整法等の関係でありますが、これは行政措置だから令状は要らないというふうに申されるのであります。又第一回國会において審議いたしましたときに、当時の司法省の関係の方はそういうことを言われたのでありますが、それは我我は納得ができないのであります。憲法の第三十五條に、「何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三條の場合を除いては」というのは現行犯であります。現行犯の場合を除いては「正当な理由に基づいて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない」と、こうあるのでありまして、これはこの條文の前後の関係が皆この司法関係だから司法の場合だけだ、行政の場合は含まないのだ、こういうふうにおつしやるのですが、それは決してそうじやないと思うのです。我々は司法処分の場合ですら令状がなければ侵されないのでありますから、行政処分の場合にも令状がなくてどんどん侵せるということは、それは筋が合わない。司法の場合ですらという解釈で、行政の場合も向うの承諾なくしてどんどん臨檢檢査……それはもう承諾がなければ捜索になりますが、そういうことはできないのだというふうに私共は信じておるのであります。この点についてもう一点伺いたいと思います。
  75. 鈴木義男

    國務大臣(鈴木義男君) 御質問の趣旨は御尤もの点もあるのでありまするが、実際問題としては、例えば物資がどれだけあるかということを調査する、或いは統計を取るために調査をする、極く大まかな意味では営業所なり工場なりに入つて來られる、それ自身がすでに不愉快でもあり、若干の権利を侵害するということになるでありましよう。すべての権利侵害はすべて令状によらなければできないというふうに解しますることは、余りにも実際問題を窮屈にし過ぎて、実際の仕事をいたしまする上に困る。それで憲法が保障するものは、基本的人権としての個人の自由と権利でありまするから、これを侵害する虞れがあると目されまする場合に初めて令状を必要とするのであつて、若干の不利益、不愉快、その他が伴いましても通常の行政調査としていたしまする公務については令状を必要としない。若しそういうことから刑事手続にまで展開するような必要を生じた場合には、その段階において初めて令状を要求して行つてやるということで、実際の便宜にも合致するのではないか、このように解釈をいたしておるのであります。
  76. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 大体今総裁がおつしやるように私も考えておるのでありまして、その調査をするためにその住居なり事務所へ來まして、その所持品について見せて呉れないかというときには令状は要らないと思うのです。ただそんなことは今困るというときに、何でもかんでも拒んでもやるようなことはできないと、こう言うのです。而もそれを拒めば罰則が附いております。これは三つの今の法令全部に附いておつたか、二つに附いておつたか、ちよつと今日は持つて來ませんでしたが、罰則が附いておる。これはそういう罰則が附いておるようなのはやはり令状がなくちやできない。こういうふうに私は思うということを申上げたのであります。これ以上は議論になるかも知れませんが、その点はよくお調べを願つて善処されたいと思います。
  77. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 大分時刻が移りましたから、本日はこの程度に止めて置きまして両御質問相当あろうかと思いますから、もう一回連合委員会を開きまして、三日の木曜午前十時から開きたいと思います。それで次回は逐條的に、章別ぐらいに政府の方から御説明を願いまして、そうしてそれに対して質疑なり御意見があればお述べを願いたいと思います。かように考えております。
  78. 山下義信

    ○山下義信君 最高検察廳長官並びに最高檢察廳経済係の主任檢事であります長部檢事は、政府委員でなければ証人としてお呼びを願いたい。それから國家警察本部長の出席を要求したいと思います。
  79. 下條康麿

    委員長下條康麿君) さよう取計います。それでは散会いたします。    午後三時五十六分散会  出席者は左の通り。   決算委員    委員長     下條 康麿君    理事            西山 龜七君            山下 義信君    委員            岩崎正三郎君            北村 一男君            平野善治郎君            深川タマヱ君            小野  哲君            駒井 藤平君            鈴木 憲一君            伊達源一郎君            山崎  恒君            千田  正君            西田 天香君   治安及び地方制度委員    委員長     吉川末次郎君    理事            中井 光次君            鈴木 直人君    委員            羽生 三七君            岡本 愛祐君            柏木 庫治君            阿竹齋次郎君   國務大臣    國 務 大 臣 鈴木 義男君    國 務 大 臣 栗栖 赳夫君   政府委員    経済安定政務次    官       藤井 丙午君    経済安定本部副    長官    (第三副長官) 田中己代治君    総理廳事務官    (経済安定本部    監査局長)   國鹽耕一郎君   説明員    総理廳事務官    (経済安定本部    監査局次長)  司波  實君