○兼
岩傳一君 私は
政府の御提出に
なつておる
建設省の
設置法案について、聰明にして冷靜なる芦田総理理
大臣に、根本的なた
つた一点だけをお尋ねしたいのであります。その御
答弁に基いて我々は
政府の提出されておる
法案を、我々において十分に
審議したいと
考えておるものであります。それはどういう一点であるかと申しますと、今現在祖國はインフレ、或いは食糧問題、そういうものを背景にする
労働攻勢、又それを反映いたすところの政党
内部の矛盾という形で、非常な政治的な、大きな変動を受けてお
つて、多くの國民はそれに目をとられておるかのごとく見えますが、私
建設技術の專門家の出身者として、又都市復興の專門家として、この
住宅問題の解決並びに水害の問題こそ、今や漸やく今後の政治の根抵と
なつて大きく政治を揺り動かそうとするところの、大きな要因であると私は見ておるのであります。即ち全國民の半ばに近い都市の
人達は、この
住宅難に悩んでおるのであります。これは將来恐るべき
一つの國民の不満として、私は爆発して来る要因であると
考えます。
それから河川の問題、これは專門家でない方々は、昨年の利根川及び東北方面の水害を以て、恰かも驚くべき事態であるというふうに
考えておられるかも知れませんが、私共專門家の見るところを以てすれば、
日本の水害は、今や漸やくその恐るべき序曲の第一歩を踏み込んだに過ぎないのでありまして、昨年の水害のごときものはこれからも今後起る
つて参ります。今年、明年、明後年、今後起り來るところの水害の本当の序曲に過ぎないという点を
考えて、私は実に憂慮に堪えない、心配をいたしておるのであります。
先ず水力発電の問題、これも歴代の
内閣で口の先だけでは取上げられておりますが、水力発電の本格的な開発なしには敗戰後の
日本は
再建できない。有利な地点は殆んどやられておる。今後水力発電としてやらなければならん点は、農耕地の
改良及び水害の防除というような点と結び付けて、國管経営でやらなければならないような技術的な段階に水力開発の問題は來ておるということ、このような点の解決。
つまり都市を復興し、水害を妨除して本格的な農耕地の開発をする、それから水力の開発をする等々というような問題の解決の重要な條件として、私共は
建設省を要望しておるのであります。それが現在、最近切れました利根川につきましても、一方において
建設院の
関係が鋭意堤防を築造しておりますと、この下のところでは開拓局
関係の指導下にあります水利の
関係で、その堤防の下を掘り返しておるという、これは次に來るべき出水の大きな禍根になるというような
関係、それから戰災復興につきましても、水力の開発につきましても、
國立公園の問題につきましても、農耕地の
改良にいたしまましても、港湾の
建設にいたしましても、漁港の問題にいたしましても、何
一つ総合的に纏められていないのであります。
然るに今回提出されます
建設省について、我々は少くもこの最も困難な
農地の
改良と電力の問題の二、三はこれは問題はあろうが、私は読み上げませんが、この十幾つのものについては文句なく統合されること、それに
一松大臣の極めて熱意のある努力があり、片山
内閣以來この問題は十分論議され、公約されておる問題である。而も芦田
内閣は片山
内閣の継続としてそういうことを当然継続されるものと期待しておりましたところ、実に
特別調達廳のG・H・Qの
関係だけを除きまして、十二の中僅かた
つた一つの
運輸建設本部を吸收するというような貧弱な計画の
建設省の
法案を、何故にこの芦田
内閣において提出されたか、これであります。
で結論に入りますと、総合
建設省を望む者は誰であるか、総合的な
建設省を望まない勢力は如何なる勢力であるかという点に私は帰著すると思います。総合的な
建設省を望むのは、我々全國の
建設技術幾万の專門家及びこれを中心にする
建設業界及びこれに
関係ある幾十万の
関係者、及び都市においては
住宅難に悩み、農村においては水害に悩み、山村においてはこの出村の荒廃に悩むこの幾千万の勤労國民、これが総合的な
建設省を望んでおります。次にこれを望んでいない勢力があります。それは何者であるかというと、
中央官廳における上層特権官僚であります。官僚統制の基盤においてセクシヨナリズムを強化することによ
つて、自己の特権的な立場を讓
つて行こうとするところの官僚勢力で、あります。これをもつと一般的にいえば、官廳における幾万の中のほんの幾人か、幾十人かの次官、局長、次長とい
つたような人の、而もその一部分、そういうような
人達が総合
建設省にいろいろな理窟をつけて金があるとか、ないとか、摩擦が起きるとか起きないとか、そういうことをい
つてこれに反対しておるのであります。そこで私は総理
大臣にお尋ねしたい結論に入るのでありますが、このような
二つの勢力において、冷靜にして聰明、且つ意思強固なるところの芦田総理は、何故に、私の述べたようなことは恐らくは十分知
つておると思いますが、そういうような條件において、このような貧弱な
建設省を設置されたことは、恐らく御本意ではあるまいと思う。
從つて我々は十二項目、
行政調査部のこの
暫定案、並びに
要綱案に基くこの十二或いは十三の項目、
國立公園、それから山林砂防、
農地改良、電力、水道及び下水道、林道、
戰災学校の應急復旧
補修整備工事、裁判所及び法務廳
関係建物の営繕、港湾の
建設、維持及び管理、漁港、それから
農地開墾及び
干拓というようなものについて、如何程現段階において、どれだけ入れるように
修正すべきかということにつきまして、私は
國会委員会及び
決算委員会において慎重に
審議し、これを強力に持
つて行くべきだという立場を堅持しておりますが、それについて、そういうふうに我々が
審議して行くのについて、今申上げましたような背景、條件において、何故にこのような貧弱な案を、聡明にして意志強固なる総理が提出されたか。片山
内閣との
関係、或は社会党の第一回及び第二回総選挙における天下の國民に対する公約、國民協同党のかねてよりの
建設省の賛成という点と、及び私が確めました、あなたの党、民主党の政務
調査会においても総合的な
建設省でなければいけないという強い
答弁があるにも拘わらず、このような案が提出されておるかという実情をよく
一つ明瞭に
お答え願
つて、今後の議事……而も会期が追
つておるので大急ぎで
審議して、十分な
修正をこれに與えて、これを実現させて行きたいという熱意を持
つておるのでありますので、この我々委員の
審議の心構えに対して
一つはきりと以上の
質問に対する御所信を
お答え願いたいと思います。