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1948-06-26 第2回国会 参議院 決算・国土計画連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月二十六日(土曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————  委員氏名   決算委員    委員長     下條 康麿君    理事      太田 敏兄君    理事      西山 龜七君    理事      伊達源一郎君            岩崎正三郎君            堀  眞琴君            吉川末次郎君            今泉 政喜君            北村 一男君            中川 幸平君            田方  進君            竹中 七郎君            谷口弥三郎君            平野善治郎君            深川タマヱ君            小野  哲君            駒井 藤平君            鈴木 憲一君            帆足  計君            山崎  恒君            山下 義信君            兼岩 傳一君            千田  正君            小川 友三君            西田 天香君   國土計画委員    委員長     赤木 正雄君    理事      原口忠次郎君    理事      島津 忠彦君            岩崎正三郎君            島田 千壽君            石坂 豊一君            小林 英三君            平沼彌太郎君            石川 一衞君            田方  進君            田中 信儀君            仲子  隆君            安部  定君            大山  安君            高田  寛君            久松 定武君            北條 秀一君            町村 敬貴君            兼岩 傳一君            國井 淳一言   —————————————   本日の会議に付した事件 ○建設省設置法案内閣送付)   —————————————    〔下條康麿委員長席に著く〕
  2. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 只今から決算國土連合委員会を開きます。今お手許に新らしい印刷物をお配り申上げましたが、それは地方支分部局の中、建築主張所をとりました案ができましたので、お手許に配付したわけであります。第二條の更に修正でございます。一松大臣がお見えでございますから、どうぞ御質問をお願いいたします。
  3. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ちよつとお尋ねしたいのでありますが、総理が來られまして、一つその根本的に問題を徹底的にお尋ねしたいのでありますが、そのお尋ねする前提として、昨日政府から資料として頂きました、建設省所管事項の区分のものにあります、行政調査部建設省設置要綱と、暫定案と、二つの事柄が書かれておりますが、大臣或いは他の政府委員でも結構ですが、お尋ねしたいことは、行政調査部建設省設置について約二年に亘つて活動して、この案を得ておる。その案に暫定案要綱案二つあるが、それと今回政府の提出されておる案とどういう関係があるか、この行政調査部二つの案については、どういう内的な関係を持つておるのか、それからそれらの案と今回出されておるものの間に、どういう関係があるか、つまり行政調査部の單なる調査をしておつて、それと全く関係なく提出されておるのか、こういう行政調査部調査研究及び案を最も有力なものとして立案しておられるのか、この両者関係内容、そういう点を一つお尋ねしたいのであります。
  4. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 先ずこの行政調査部暫定案と、調査要綱の案から申上げますが、これはつまりいわゆる理想案であります。大建設省を作るのには、この行政調査部建設省設置要綱案というものの通りにすれば、これがいわゆる大建設省が作れるのであります。こういう意味において作れば、殆んど理想に近い案である。併しそれではこの農地改良だとか、電力開発及び発送電施設、或いは農地開墾及び干拓というようなものまでも、ここに大建設省を作るために吸収するということは、多少、殆んど至難である。それならば、それだけのものを除いたところの國立公園施設だとか、或いは山林の砂防だとか、水道及び下水道だとか、林道だとか、特別調達廳だとか、戰災学校の應急復旧補修整備工事だとか、裁判所及び業務機関建物の営繕だとか、或いは港湾の建設、維持及び管理、公有水面に関する事項、或いは漁港及び漁業土木施設だとか、或いは運輸建設本部の吸収だとかという程にできれば大変に結構である。こういうように、これが行政調査部調査した案です。ところがこの暫定案にすれば、それは非常に結構であるが、急速に建設省をここに昇格せしむるのには、この暫定案でも、なかなか樽爼折衝の困難があるからして、取敢ず今回は、そういうような時間を要するような困難な問題は後日に見送つて、そうして最も易いところの、いわゆる運輸省建設本部という、あまり問題のないものだけを吸収して、取敢ず建設省に昇格せしめて、あとは徐々に、その本体ができ上つたならば、檢討して吸収するような措置を講ずることが最もよろしい。そうしなければ、急速に間に合わん。急速に間に合わんということによつていろいろ重大な仕事を持つておる建設院建設省に昇格ができなかつたということになれば、建設行政のために非常な不幸だ。こういう意味において今度の提案を見るに至つたのであります。さよう御了承を願いたいと思います。
  5. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 暫定案理想案だということは分りましたが、暫定案の外にもう一つ要綱案というので、側線が引いてあります農地改良電力開発送電施設、それから最後の方に農地干拓及び開墾、この三つについてアンダーラインして、そうしてこれが要綱案なつておるのです。この暫定案要綱案とはどういう関係があるかということ。それから行政調査部活動を始められてから何年になり、そうして暫定案はいつ作られ、要綱案はいつ作られたかということをお尋ねしたのでありますが、それと関連して、昨日の次官の説明では非常に不満足でありますので、一松大臣が、暫定案はおろか、要綱案からも遥かに低い、こういうものを出された関係を御説明願いたいのでありますが、その前提として、行政調査部活動を始めてどれだけになるか、立派な堂々たる役所があつて建設省調査を始められて何年になり、暫定案の外に要項案というものがもう一つあるのだが、両者はいつ発表され、いつそれをどういうふうに利用されるのか、その辺の関係が全然理解できんのであります。
  6. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) それは今よく調査いたしませんと、私共その当局でありませんからよくわかりませんが、それは行政調査部の方に更に調査いたさせまして、適当な時期にお答えをして、或いは行政調査部の方の総裁の船田君でもお呼びして頂けば一層明確になろうかと思うのです。ただ私の方ではこれだけの行政調査部暫定案設置要項案というものができたということを示されたので、皆さまの御審議の便宜上これを御参考に提供しただけでありまして、その時期がいつであつたか、どういう関係においてこういうような二つに案が分れたかという細かいことはよくわかりませんが、私の分つておることは今申上げた通りの趣旨であります。
  7. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 大臣でわからなければ他の政府委員で結構です。というのは苟くも國行政調査、つまり新らしい憲法に基く、連合軍の要請に基く中央官廳の民主的、合理的な再編成の時期に際して、建設省の案を苟くも出される以上、そういうことのために國家で設けておる施設調査立案というものと無関係に提出されておるわけはないはずだと思います。若しかようなことがあれば非常に問題だと思う。恐らく大臣はそういう細かい事務的なことは御承知ないと思いますので、大臣以外の政府委員から明確に御答弁願いたい、若し御答弁願えなければ行政調査部責任者を呼んで御答弁願いたい。その代り國家重要施設と無関係建設省を出されたものと我々は認定して審議を続けざるを得ない。
  8. 中田政美

    政府委員中田政美君) 兼岩委員只今の御質問に対して私から若干補足してお答えいたします。ここに御参考のために、便宜のためにお示ししましと表はもとより行政調査部要綱案、或いは暫定案というものの内容参考にしてここに作られたのでございますが、行政調査部において二つの案を内部的に御立案なつたということについては、昨日も説明いたしました通りでございまして、要綱案というものは一番事項を多く吸収する、まあいわば最理想案的なものを内部的に御立案なつたと考え了承しております。それから暫定案というものはややもう少し桁を下げまして作られた案らしいというのでありますが、政府内部において決定的に決つた案というわけではなきやに私は伺つております。ただ行政調査部内部においてお作りになられた一つの案、從つてこれが政府の一種の決定的な案ということにはもとよりなつておらんわけでございます。  それから行政調査部の権威のある調査機関のものした案と、今回出しました建設省設置法案との関連ということになりますれば、これは昨日もお答え申上げました通り行政調査部が主として御担任になつておる、現内閣行政機構改革審議会において、建設省問題はいろいろと御討議になりまして、政府は差当りいろいろな理想案考えておるけれども、この案で先ず建設省作つて、逐次実績に基き、又了解を得て大建設省案に近附いて行こうという、漸進主義を採ろうということになつて、政府案として今回このような案が提出されたわけでありまして、行政調査部におかれてもいろいろな理想案は御研究であり、かような案も一應内部的には纒まつておることもありましたが、併し諸般の情勢上今回は不満足ながらこの程度に建設省を発足するということに了解をされて、ここに提案をして御審議を願うことになつたわけであります。  尚要綱案或いは暫定案というのは、勿論これは決定的な案でないことはしばしば申上げた通りでありますが、これらがいつ頃作られたかということにつきましては、大臣お答え通り行政調査部につきまして取調べの上お答え申上げたいと存じます。
  9. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 昨日の質疑に対する御答弁まだ完全なところがなかつたように思いますので伺います。この建設省設置法案国家行政組織法案則つておやりになるのであるか、この國家行政組織法案はまだできておりませんから、それができたらそれに合うようにもう一遍これを直して行く御方針であるか、その点をはつきり御開陳を願います。
  10. 中田政美

    政府委員中田政美君) 只今の御質問の点でございますが、これは國家行政組織法政府提案いたしまして、御審議を願つておるわけでありますが、その関係十分考慮に入れて、この法案を提出しておるわけでございます。ただ國家行政組織法政府提出原案に対して、國会において御審議の結果修正をするやに拜承しておりますので、それらの点を補足する意味においては、昨日も申し上げましたいわゆる修正案というものを御参考に供してるわけでありまして、大体において建設省設置法案は、将来実施されるであろうところの國家行政組織法に準拠したものであつて、別段の支障のない限り変える必要はないと考えております。
  11. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 只今お答えはつきりしておりますけれども、國家行政組織法案はまだできていない。できていないのにこれに準拠してやるということが甚だ疑わしいことであるのみならず、今修正しておる個所は、根本的に思想において、原案と違つたことであり、則ち政令で決めることを法律で決める、又役人の定員を決めるというようなことが可なり大きな修正を加えつつあるわけであります。準拠しておやりになるということは原案によるのであるか、修正案によるのであるか、原案によるということと修正案によるということは非常に大きな相違がある。それをどつちによつてやるのだか、うちでもよいというようなよい加減な考えではこういう大きな問題はでき得るものではないと思いますので、その点をもう少しはつきりお答えを願います。
  12. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 速記を止めて。    〔速記中止
  13. 下條康麿

    委員長下條康麿君) 速記を始めて。
  14. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 只今大臣の御答弁で明らかなつたと思います。大臣の御答弁のように相当これは困難な問題であつて政府委員からお話のような簡單なわけのものでありません。実際國家行政組織法案なるものがまだできておらないのに、そして修正個所等においても、衆議院と参議院の相違の点もまだ多々存在しているのに、それに準拠してやるなんという簡單な言葉でこれが解決できるものじやありません。そういうことがあるために各省設置法案は殆んど全部撤回されて、建設省だけを残して便宜上やろうというのでありますから、この点を滑らかに進行させるようにせなければならんと思うのでありますが、只今大臣はそのお考え、そのお含みを以て、これを処理しようとなさるということは私了承するところであります。從つてこの建設省設置法案なるものは、國家行政組織法案進行と睨み合せて進めて行かねばならんということを了承いたしまして、只今質問は打切ります。
  15. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 國家行政組織法の発足することと睨み合せて、建設院建設省に昇格して行政行爲を推進することのできるようにということは、これは勿論何も異議はありませんが、先刻來申上げましたようにこの日本再建のために最も重要な任務を持つている建設院は、今日のままではどうもその活用が円滑に行かない、だからしてそういう澁滞するような欠点のあるところを取除いて、敏速果敢にその建設行政のできるようにいたしたいというのが私共の考えであるのみならず、昨年建設院が創設せらるべき法案の御審議に当りまして、参衆両院共に、これをこういうような機構の貧弱なものでは國土再建のためには効果が薄い、だからして、一刻も早く建設省を拵えて、そうしてこの目的達成に寄與するようにしなければならんというような御決議のありましたことを、私共は非常に尊重いたしまして、そうしてそういう時期の一日も速かならんことを実は期待しておつたのであります。そういう建前でこれを出したのでありまするから、國家行政組織法が今直ぐに行われないから、建設院建設省にするについては難色があるという点につきましては、いろいろの御事情もありましようけれども、丁度労働攻勢に備えるために急速に労働省を設置する必要があるということで、厚生省から労働行政を分離して労働省を設置したというようなことと同じ極旨において、御進行が願えれば非常に有難い、こういう意味においてひたすらお願いをしておるわけでありますから、その点はどうか一つ了承を賜わりたいのであります。
  16. 下條康麿

    委員長下條康麿君) ちよつと私から今の伊達委員質問関連してお伺いしたいんですが、修正案が幾つか出ておりますがこれは要するに國会で若し修正した場合に参考の案が出たというふうに伺つたんですが、その中に先程伊達委員が、お述べになつたことと同じでありますが、職員の定員法律で以て定めるということが國家行政組織法両院を通じての修正一致点でありますが、その点に関しては第七條に政令で以て決めると書いてありますが、これはその点を御承知の上でこういう規定を置いたものでありましようか、その点がはつきりしないんですが……
  17. 中田政美

    政府委員中田政美君) この点につきましては内々行政調査部からそういうお話もございましたが、政令でこれを定めるということについては、行政調査部打合せの結果、國家行政組織法が実施される間までは、從來の法規との関係上、各省関係も歩調を合せて大体これでお願いした方がよかろうというような御意見もありましたので、政令でこれを定めるという、こういう参考案を作つたわけであります。
  18. 下條康麿

    委員長下條康麿君) もう一点それに関連してでありますが、昨日御説明なつ行政官廳法等の一部を改正する法律を、今度更に延期する法律が出ておりますが、その中に、今回は特に建設院設置法附則第二項中の五月三十一日を六月三十日に改める、これが先に出ておりまして、更に延ばす必要があるわけでございますが、その点お延ばしにならないのは、この設置法が六月中に審議ができなかつた場合にはどういうふうになるのでしようか。
  19. 中田政美

    政府委員中田政美君) 御尤もな点でございまして、これは行政調査部とも打合せの結果、あの行政官廳法の一部改正で期限を延長するところから、建設院附則の部分だけは削つて出したわけでございますが、それは只今審議を願つております建設省設置法案だけは政府は撤回せずに、是非この際御審議可決を願いたいという意味で、今期中に御審議可決を願えるということを前提にして、あの方は削つておるわけでございます。從いまして若しこれが不幸にして御審議が願えないというような羽目になつたといたしますれば、若干あれを補正する必要があるのではないか、こういうふうに考えております。
  20. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 よく委員会が衝突いたしますので、質問が重複いたしておるかも知れませんが、若干お尋ねいたします。  今までありました建設院と、今度新たに設置なさろうとする建設省との間に、お仕事の上において大体どういう相違があるのか、それと財政の支出の点でどのくらい膨脹になるのか、これを簡単に伺うということが一つ。その次は新しく建設省が発足いたすことになりますと、これに対して私は住宅難緩和の問題を非常に期待いたしておるのでありますが、これについて以下お尋ねいたします。  今年庶民住宅を三十万戸建設なさるということをしばしば承わつておりますがそれの資本金の出資は國家であるか、或いは國民個人であるか。國民個人でありますればそれは罹災者とか引揚者に優先的に資材を配給なさるのか、それともそういう方々は、家は必要には違いないけれども資力がないから、やはり家は持てる人に建てて貰わなければなりませんから、資力があつて家を建てる希望者には誰にでも建てさせるのか、そういう場合には、ただその家の使用に当りまして、ここ何年かの間は特に住宅に限るという制限を設けるか、或いは罹災者とか引揚者に優先的に使用させる、こういうふうに國家が干渉なさるのかどうか。  それからその次は家族轉入の問題でありますが、六大都市に主人公が國家再建に止むを得ない大切な業務に携つておりまして、その家族はやはり住宅難などの関係で田舎に疎開いたしたままになつておりますが、これからの人達は積極的に必ずしも不幸とはいえない場合も多いでございましようけれども、幸福であるともいえないと思いますので、成るべくは家族は同居させるのがいいと思いますが、この点轉入の問題についてどういうふうにお考えなつていらつしやるのか。今轉入制限がどういうふうになつておるのか詳しいことは分りませんので、ちよつとお尋ねいたします。  それから四番目は手持資材のことでありますが、最近手持資材でどんどん建てさせるということを聞いておるのでありますが、いつ頃から持つていた資材にそういう自由を與えるのか、これは大切なことでありまして、現在とにかく材木に対して、所有権さえあればいくらでも建てさせるというようなことになつておるのだつたならば、金のある人が一山を買占めるとか、大きい山を持つておる人がその資材でどんどん建てて、この住宅難のときですから、闇でどんどん貸すというよう方法もあると思うのでありますが、これは、手持資材はいつ頃から持つてつたものがいいのか、最近持つたものでもいいのか、この期限と申しますか、こういうことについてちよつとお尋ねいたします。  五番目は、月賦建築でありますが、町を歩いて見ますと、ところどころで月賦建築とか年賦建築廣告が出ておるのでありますが、その経営主はあの資材を一体どこから手に入れておるのか、そうして又あの人達に頼むのはどういう人達が頼めるのか、誰でも頼めるのか。  その次六番目は、まだ生産資材日本に十分にありませんので、生産が十分に発達していない。そこへ持つて行つて地方から生活物資都会に運び込んで來る。輸送機関を整備いたしておりませんから、徒らに地方の人間を都会に集中させることは、決して策のよいものとは思えませんけれども、現在の生産と比べました上でも、やはり住宅の足りませんことは分り切つております。住宅の足りないために失業救済もできないし、生産も阻害されていることは、全國の寮の状態なんかを視察してまいつたときによく明かなことでありましたが、それにつきまして、只今この住宅の隘路になつていることが、非常に庶民関連のない土木とか建築の方に資材が沢山廻りますので、日本庶民住宅が建ち遅れの形になつているということを聞きますが、これは今年一年ぐらいで大体解決はついて、來年ぐらいからはもつと大仕掛に庶民住宅が建つお見込みがあるかどうか。  第七番目は暫く、いずれにしても庶民住宅が非常に欠乏しているが、これに対してやはり今までの施設設備を利用することが必要だと思いますので、前から軍需工場の改築をお願いしておりますが、ここに特にお願いいたしたいことは、全國何万かの寺院の一時解放であります。勿論寺院は宗教的の特別の目的もありまして、壯嚴な場所として置かなければならぬ必要はありましようが、さりとて今日住宅がないために健康を害して死んでいる人もあるようなときに、さような贅沢なことは言つていられません。眞の衆生済度意味におきましても、暫く僧侶は衣を着て辻説法してでも、寺の部屋はできるだけ非現業の官公吏とか学生等、余り荒さないような人の寮にされまして解放し、それらの人の今まで住んでいたところを、一般人に讓つて自然に住宅難を緩和して頂きたいと存じます。日本再建の曉、住宅も間に合うように建設されましたら、又もとの立派な寺にして現状に復するようにいたしたらよくはならないかと存じます。以上についてお尋ねいたします。
  21. 中田政美

    政府委員中田政美君) いろいろ深川委員からお尋ねがありました。大体逐次お答えいたしたいと思いますが、先ず建設院仕事と、建設省なつた場合の仕事の違いはどういうところかということにつきましては、昨日も一應御説明いたしましたのでございますが、現在の建設院のいたしております仕事は、大体におきまして省になりましても略々そのまま強力に推進して行きたい。  その他に運輸省所管に属します運輸建設本部という機関がございまして、現在國鉄その他いろいろの建築土木に関する仕事を委託によりまして実施いたしております。これはもと海軍の施設本部にありました技術者、労務者、又は建築土木用資材というようなものを一括運輸省に持ち込みまして、その人的及び物的の力を機動的に働かして國鉄再建に精進させるという意味で、從來運輸建設本部というものが運輸省に設けられておつたものであります。これは仕事の性質から申しましても現在やつております仕事を受けている実情から申しましても、建設省にこれを移管して、建設工事の方面にこれを活用する方がよかろう。ただ單に國鉄仕事ばかりというわけでないのであります。こういう意味でこの人的及び物的の一切を挙げて建設省に吸収するということになつているわけでございまして、要するに現在の建設院の全部、運輸建設本部のやつている仕事の全部と統合して一應建設省として発足したいという意味でございます。  第二の財政的な問題でございますが、省にするからといつて特別な予算的な膨らましはございません。從來すでに建設院ではありますけれども、相当な予算とスタツクを以て発足いたしておりますので、省にする機会に特に膨らますというような措置はございません。ただ建設省になればなる程強力に國土再建をやりたいためにいわゆる公共事業予算等につきましては、政府は能う限りこれに重点を傾けて、そうして事業の量を多くして行きたいという熱意はございますが、いわゆる人件費等において膨脹することは全然ないのでございます。勿論運轉して参りますについての自然的な組替はございますが、省にするための実質的な膨脹というものは現在のところございません。又人的方面における経費につきましても、極力現在のスタツクで充実して行きたいという考えでございます。  その次に住宅問題についていろいろ御質問ございましたが、住宅問題は御指摘の通り今日の國土再建上から必要のみならず、民生安定上から大変緊急不可欠の一大問題でございまして、微力ながらこれに努力を重ねているわけでございますが、分けてもいわゆる勤労者階級に比較的低額な家賃で住を與える。いわゆる庶民住宅の供給は当初十万戸程度したい予定でいろいろ企画をいたしましたが、何しろ財政の窮迫、殊に公共事業費、あらゆる方面の厖大なる要求がありまして、大体のところ四万戸程度庶民住宅を本年度は供給する程度に我慢することに相成つております。但し貸家はその程度になりますが、重要産業の鉱山とか石炭山とか、或いは重要工場におきまする勤労者階級のために、いわゆる給與住宅的な住宅建設して、その住宅には金融的な援助或いは資材等を特別優先というようなことで、廣い意味の勤労者住宅はそういう面から相当これを推進して行きたい考えでございます。一般の個人の力で個人の家をお建てになるものにつきましては、資材の許す限り極力これを許す考えでございまして、住宅以外の建築物は極力御遠慮願つて、どこまでも住宅のために一戸でも多く資材その他を出しまして、これを助長して行きたいと考えておりまして、尚この住宅関連した手持資材の問題でございますが、これは先程新聞にも発表いたしておりましたのでございますが、手持資材は去年の二月確か十日以前にお持ちになつていることがはつきりしているものについては、今後と雖もこれを認める考えでございます。その後におけるものにつきましては正規の手続で許可して行きたい。勿論住宅殊に庶民住宅建築につきましては、挙げてこれを抑制するような意味はございません。ただ資材の統制をいたしておる関係上、手持資材の名に隠れて闇資材が一般に横行することになりますと、從つて闇價格が上るということになりますので、この点を適当に運用して行きたいという趣意でございます。  それから年賦、月賦等の廣告がちらほら見受けられるのであります。これも特段に援助したというわけではございません。これは資金のない人が許可を取つた場合に、こういう便法を建築業者が若干行つて自分の仕事を殖やすという趣意であろうかと存じます。ただ工場で部品を作つて現場で簡單に家ができ上るような大量生産方式の住宅につきましては、その実積を檢討しまして庶民階級のために便利であるというものにつきましては、特にそういう工場に対して資材を特配いたしまして、そして一定の建築費を制限しまして、個人建築の求めに感じさせるという制度を取つております。  それから既存の建物、殊に寺院のごときものを解放するというようなことにつきましては、お説御尤もなのでございまして、從來と雖もいろいろ干渉を加え、又住宅緊急措置令によりまして、或る程度不当のものについては法的処置も辞せないという方針でやつております。併しながら実際問題としまして、寺院等につきましてはなかなか思いに委せない場合もございます。從つて必ずしも我々が期待しておる程、開放ができておるかと申しますと、残念ながらそこまで参つていないのが、実情でございます。これは今後と雖も極力干満して既存建物の利用について努力し、そのために改造費についても若干の補助を與えるということにいたしております。  それから余裕住宅の解放の一助といたしまして地方税法で余裕住宅税を設けて、これは地方の財源とするよりは、むしろその制度によつて住宅の解放を少しでも穏便に進ませたいという狙にあるわけでございまして、これは一つの間接奢侈税の作用を持つてあろうと思います。  最後に都市轉入の問題でございますが、これはすでに御承知かと存じますが、二十二年の十二月二十二日都会轉入抑制令という法律が制定されまして、現在この法律に基きまして適当なる抑制を加えておるわけでございます。個々の事情によつて特別の必要あるものにつきましては許可を出しております。例えば國民生活を再興するため当該地域において必須の業務をやつておる者、或いは官公署に勤務しておる者とか、或いは学生、生徒、教職員はもとよりのこと、それから以上申上げた者と同一戸籍内にある扶養家族、そういうものもやはり個々の具体的事情を聞いて、市区町村長において許可を與えるという制度をいたしております。都会地の轉入抑制の問題は、今後におきましては大きく言えば國土計画、小さく申しますと大都会というものを如何に形成するか、日本の大都会というものを八千万の人口を適当に配置する上においてどうこれを持つて行くかというような、いわゆる大都市処理問題に係つておるわけでございますが、これはまあ現在の抑制法は食糧問題、又戰後における大都会の混乱状態等を考えて便法的に現在の制度を採つておるわけでございますが、大きく考えますと、今後の大都市を如何に処理するかという問題に絡んで來る問題でございまして、これらにつきましては私共も今後研究してみたいと考えておるわけでございます。一應御説明いたします。
  22. 原口忠次郎

    原口忠次郎君 私は國土計画委員の一人といたしまして、政府が出しておられる今度の建設省案については、非常に失望しておる者でございます。私だけじやなく参議院の國土計画委員の殆んどすべての人が失望しておるという形でございます。それで我々が一体この第一國会から建設省を是非作つて貰いたいということを盛んに叫んで來たにも拘わらず、建設省ができない、今までできなかつた。殊に第一國会におきましては、政府建設院という法律案を出されたそのときにも、総裁は國務大臣を以て充てることができるというような案を出され、そのとき大臣は、確か厚生大臣が來ておられたと思います。あの案はやはり閣議でもお決めになつて出されたと思いますが、建設院仕事はあの当時は非常に重要なるものじやない、大したものじやないということで、第一國会で出したあの案に賛成なさつたのだと思います。  然るに建設院総裁にお成りになつて眺めて見ると、非常に重要なものだ、だからあれに運輸省建設本部ぐらいをくつつけて、そうして建設省にするのだ、こういうふうに私は解釈ができるのじやないかと考えるのであります。これは私の非常に失望することでありまして、私共がこの建設院作つて貰いたいということを言つておりますのは、建設院仕事が重要だとか、重要じやないということはこれはもう昔から決つておることでございまして、昔ですら河を治める者は國を治めるとさへ言われておる。そういうふうな重大な仕事であるから、建設省作つて貰いたい、こういうふうに言つてつたのですが、建設院でいいのだ、総裁は國務大臣でなくてもいいのだというふうに、この前は決めようとされた。最近になつて今のものを建設省にする。私共は一体近代國家が、非常にこの生活が複雑になつて行きますと、行政が非常に細分化されて行くということは勿論分つております。併しその行政職分において統合して貰つたらどうか。今まで日本建設行政というものは一つも試みていない。建設行政が事務系統別、或いは産業系統別に一つの附属部門として取扱われておる。だからこの附属部門として取扱われておる建設行政の行政職分に應じて統合して、少い國費を使つて大きな効果を國民のために挙げるような建設行政を大きくやつて貰いたいというのが、私共の建設省作つて貰いたいという根本であります。それにも拘わらず、大臣は今まで閣議におかれまして、本当に國民が要望しておる建設省を作るようにどんな御努力をなさつたのか、私は不幸にしてまだ閣議において建設省問題が大きく採り上げられたということも聞いておりません。そういうふうなことで將來我々國民が希望してをる建設省が果してできるのかどうかということに非常な不満を持つております。  なぜ私共がそういうふうな行政職分において、本当に建設省作つて貰いたいかということは、昨日のお話では、例えば港湾が、昔から内務省にあつたものであるけれども、今運輸省にいつておる。これは海運行政の一環だから從の方向に割つてあるから、それを横の方に分ければ、又いろいろ議論があるからというようなお話があつたのですが、そういうふうな私は政府当事者のお考えはとんでもないお考えじやないかというふうに考えております。縱とか横とかいう問題じやなくて、我々はこの建設行政を今資材がない、機械がない、人手が少い、こういうふうな時代こそ初めて建設行政を行政職分において統合したらどうか、こういうようなことを言つておるのであります。そういう御努力が一つも現われていないのじやないか。  今海運行政とおつしやつたけれども、戰前の日本が五百五十万トン乃至六百万トンの船舶を持つておる時代ならば海運行政があつたか知らないが、今五十万トン、六十万トンの船舶で何の海運行政がございましよう。而も一方港におきましても東京港を御覧になつても分ります。新潟湾を御覧になつても分りますが川の中に港がある、川と港とどこで区別する。ただ人間が引張つた線で決めて、港内、港口区域とか言つて、川は港の中に流れて行つております。そういうふうに実際は混合しておるにも拘わらず、徒らに事務系統で分けておる。それが縦の方向とか横の方向とかそういうふうなお考えで、私は果して將來建設院というものができるかどうかということを疑うものであります。  是非一つ先程から何遍も申上げましたように、行政職分において統合された大きな建設省ができるように我々希望しておりますが、今まで大臣はそういう方面について御努力をお願いできたのかどうかということを一應お尋ね申上げたいと思います。
  23. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 只今原口委員の御質問御尤もであります。実は私まあ御承知かも知れませんが、法律家出身の者で、法律のことは多少自信もありますが、それ以外のことについてはずぶの素人でございます。私が素人でありながら逓信大臣、若しくは厚生大臣に、今度建設院総裁ということに、その役目を仰せつかつたのでありますが、私の仕事としては細かい專門的のことは下僚の方でなければ十分に分らない、併しながら人間の力の及ぶ限り一つしよう、そうしてお國のために働いてみよう、それには自分の部下の有力なる指導推進によつて大所高所から仕事をしよう、一面は國会議員諸君の御支持を得よう、自分の良心に恥ずることなく、國家のために献身の努力を拂えば、それで大臣という仕事は勤まるのじやなかろうか、こういうつもりで就任をいたしまして今日に至りまして、逓信及び厚生はどうにかこうにかへの字なりに勤めて来たのであります。今度この建設院という方面になりますと、これ亦全くずぶの素人で、精神は今申上げるような趣旨で一つ働いてみよう、こういう考えでおつたのであります。成る程建設院の創設せられます当時は、私は厚生大臣であつて、片山内閣の閣僚の一人でありましたときに、この國土局、或いは戰災復奮局というようなのを合せて、取敢ず内務省の解体に際してここに建設院を作ろうというようなことが閣議のとき持出されまして、そのときにあなたの仰せになりましたような建設省即ち日本再建のためには理想とするような大建設省を作ることが必要であることは、私素人でありますが、よく認識しております。併しながら何分当時にはいろいろな機構の改革等についてあれもこれもというときでありまして、而も主任大臣として木村内務大臣がその衝に当られて、取敢ず今日の程度においてはこれ以上のことをすれば一月一日の発足にも間に合わんだろう、取敢ずこういうことにしておいて、そうして徐々に必要に應じて吸收しようと、こういう建前から実はあの建設院ができたのでありまして、決して片山内閣においてこれが理想建設院ということを考えたものは誰もありません。私もその一人であつたのであります。ところが建設院ができました後に、私が三月十日に建設院総裁の任を受けまして、その木村建設院総裁のあとを引継いて、そうしてこの内容調査檢討して見るに從つて、一層重大な仕事であるということを痛感いたしました。一日も速かに参衆議院における決議をこれを実施したいという考えを以ちまして、よりより閣僚にも話をし、閣議でも再三再四この話を持ち出して、そうして檢討して見たのでありまして、これは一度原口さんが大臣にお成りになつて見ると直ぐ分りますが、なかなか自分の思う通り理想は実現はできません。自分としてこういう仕事をするのが如何かと思つても他にそれに反対する又理想論がありまするから、そこで結局のところどうしたらいいかということを閣僚の一人として考えなければならんのでありまして、あなたのおつしやるように自分の思うことは閣議においてすべて実現ができるということであれば、これは実に立派な大政治家でありますが、私は微力で実はそこまで及びません。甚だ恥かしい次第でありますがその辺は一つお許しを願いたいのであります。できるだけ努力いたしました。いたしましたけれども、今日そういうようなことを結末をつけて、いわゆるあなたのお考えなつておるような大理想建設省を作るということになりますと、この議会に間に合いません。然らばどうするか、ここでこの場合建設院としてじつとしておるのがいいのか、或いは一歩でも理想に近付くことがいいのか、これは私徴力ながらその身分が政治家としてその点を考えて見ますると、一歩でも理想に近付くことが、よかろう、そうして理想に近付いて一本になつて自分の努力で、すべての運営ができるようになつたときに除々に閣僚の説得、並びに有力なる國家最高機関である國会議員諸君の有力なるお力によつて一歩々々その理想に近付きたい、こういう意味でこの案を出したのであります。そこで私が甚だ微力であつてあなたのお考えになる理想案を提出することのできなかつたことは誠に相済みません。けれども今申上げることは私はつつみ隠すことなき私の本当の精神を赤裸々に申上げたのでありますから、その点に御理解を賜わりまして、一つ成るほどそうかと、それならば自分らも大いにやつてやろう、一松は無力だから我々の力によつて、堆し進めて、そうして自分らの理想を実現して國家再建のために寄與してやろうというようなお考え一つなつて頂いて、又原口委員を先頭に押し立てて、こういう理想の実現に一つ御努力をお願いいたしたいことを、特に私はあなたにお願いをいたします。そういたしましてこれが実現できることによつて國家再建のために少しでも寄與することができましたならば、微力であることも以て瞑すべし、かように実は考えておるのであります。
  24. 原口忠次郎

    原口忠次郎君 只今私の先程の質問に対して大臣から極めて御懇篤なる御答弁がございました。誠にありがとうございました。大臣が非常に御努力をして頂いておるということを直接拜承いたしまして私は非常に心安く思う次第であります。結局私は先程兼岩委員からの御質問がありましたが、行政調査部設置要綱案というふうなものがここに書いてあるが、こういうものを統合するということに大臣は努力をしておられる。努力をしておられるが、いろいろな関係上日にちもないから本國会には間に合わんから、差当りこういうような建設省作つて、そうして來るべき議会に各省と対等な地位に立つて、そうして理想案に進めて行きたいと、こういうふうにお考えなつておるというふうに私は解釈いたしまして、本案の審議に当りたいと思います。
  25. 千田正

    ○千田正君 只今原口委員の御質問に対して大臣の御答弁も承わりましたが、これは私も第一回國会の施政方針演説に対しましても、第一の質問として建設省設置法案なるものに対して第一声を學げたわけであります。当時の片山首相は我々の要求するところの建設省というもの、即ち建設省という面においては、総合的な日本の復興に対するところの大きな役割を特つところの省を設けたいという答えでありました。先程大臣の御説明によつて、なかなか容易じやないんだが、どうやら一歩前進だからこれを承認して欲しいという御要望でありましたが、特に私はお願いしたいのは、ここに建設省所管事項区分の中の、厚生省関係國立公園施設の問題は、施設建設省でやるべきであつて、その経営若しくは管理は厚生省でやつてよろしいと思う。それから河川行政の中の電力開発及び発送電設備については、これも同じように建設省それ自体がその建設の任に当つておる。配電の行政或いは管理は商工省でやるべきものであつて、おのずから私はそこに建設の区分がはつきりしておると思うのであります。水道において然り、或いは漁港において然り、こう見たときにおいて、今度の区分の中に入つて、漸く今の建設院より一歩進んだというのは、僅かに運輸省建設本部の吸收以外にない。こういうものであるとすれば、予算の上においても十分な予算がない。大した増加にもならない。人員も大した増加にならない。建設事務も大した増加でない。誠に貧弱なる建設省であるということを考えたときに、私共決算委員としましても、本当の建設省を作るとしたならば、こうした今までのセクシヨナリズムを拂拭して、本当の日本の復興のための建設省を作るべきであるということを、私は特にこの点を要望するのであります。大臣只今の御説明によるというと、今度の場合はどうにもならんというような御説明でありまするが、建設省そのものの本來のあり方としては、どうしてもこういうものを一括して総合的な建設省を一作つて、將來の日本の復興に寄與されんことを特に希望するのでありまして、どうかたゆみなくこういうセクシヨナリズムを打破して、本当の建設省を作られんことを希望いたします。    〔委員長退席、赤木正雄君委員長席に着く〕
  26. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 千田委員のお言葉に対しましては誠に感謝感激に堪えません。私の考えておりますことは、先刻原口委員に対してお答え申上げた通りでありまして、甚だ抱負も経綸も持つておらんことを皆さんの前に告白してお詫びをするわけであります。ただ併しながら誠心誠意一身を國家のために捧げたいというこの熱意に対しましては、私人後に落ちない考えであります。只今千田委員の御督励に相成りました大建設省を作ることについて、例えば厚生省の國立公園に関する建設行政の面、或いはその他の各省に跨がるところの建設行政の面、これらのものを吸收して一元的に大建設省を作るということが理想でなければならん。それでなければ日本の本当の再建はできないのだという御意見は、全然同感であります。で私はこの建設院建設省に昇格するということになりますれば先ず一番の極く僅かなことでありますが、総理大臣がこれを指揮監督しておるというその機構から脱しまして、建設大臣が独力で以て自分の意のままに建設行政を推し進めて行くということのできることが、少しでも理想に近付いたのと考えるのでありますが、それ以上に今あなたのお示しになりましたように、各省に跨がるところの建設行政というものは、理想として全部建設院でこれをやつて、そうして建設部面の仕事はすべて建設大臣がこれをやる、でき上つたものを建設省各省においてこれを適宜運営し得るということは、これは当然のことである。然るに各省建設事務まで自分の手に收めてやるということが、経費の点において、人員の点において、二重行政の点において、非難が多いということを私は痛感しております。そういう点についてはできるだけ努力をいたしたいと思つておりまするから、どうか千田委員におきましても今の御理想を是非私をして実現せしむることのできまするように御助力をお願いいたしますれば、これが実現の暁には皆様方の非常なるお力を有力なる後援といたしまして、死力を盡してこれが運営に邁進いたしたいと、かように考えております。
  27. 久松定武

    ○久松定武君 私もこの建設省のでき上りまするまでに、一つ事業の上において統合して頂きたいという氣持を持つておりますので、この点について大臣にお尋ねしたいのでありますが、実は建設院におきましては、現在この水害の問題や何かに対しまして、砂防工事をやつておる。ところが農林省におきましては同じようなものでありながら、荒廃林地復旧、遊水林地、滑り地保護工事等をいたしておりますが、こういう事業は今後統括的にやつて頂いたら如何かと思います。國土計画上の今最も重要なものは、我が國の山野が荒れ果てている、そうして治山、治水の事業というものが非常に緊急を要する問題でございます。過去を見まするときには、明治初年以來砂防工事と称しまして、こういう事業は一般造林を除きましては全部内務省でやつてつたのであります。ところが明治四十三年の第一囘治水会議におきまして、初めて山林は農林省が所管しておるから、砂防工事は農林省でもできる筈だとというような見地から、遂に同じ仕事を農林省と内務省がやつている。それでその中で明治四十四年からは荒廃林地復旧工事という名称で、その後は遊水林とか、地滑り地保護工事等の名称で以て、その当時の内務省がやつておりました砂防工事と、全く異名同種の工事をやつているような状況でありまして、この結果常にセクシヨナリズムのいろいろと惡いところが発揮されまして、常にその水害地、災害地におきまする地元の方々は非常な迷惑を被つてつたような弊害があるのでありまして、只今もそういう災害地におきまする縣民諸君には、常にこれは一つ総合的に統一して参りたいという希望が多いのであります。この機会におきまして、この点も、最も我が國としましては治水治山は重要な問題でありまするから、是非御研究頂きたいと思います。尚行政調査部におきましても、理論上は両者仕事は統一さるべきものであつて、一省に統一すべきものであるということを考えておる次第でありまするから、この際是非とも一つ御考慮を頂きたい、こう存じておる次第であります。
  28. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 久松委員の只今の御意見御尤もであります。実は私先刻來申上げまする各所に散らばつておる建設行政を、これを吸收いたしたいというその項目の中に、只今審議相成りました山林の砂防工事、農林省のもつております砂防工事というものは、勿論一番にこれを取上げなければならんと、かように考えております。今お示しになりましたように、これが農林省と元の内務省、今回のいわゆる建設院との両面に跨がつて、その計画も十分に明瞭でないというような仕事を、二つに分けてやるというようなことのために、河川行政に從事いたしておりまする建設院として、むしろ迷惑をかけておる。それがために昨年來のようなああいう洪水が起つて、非常に民衆に迷惑をかけたという点につきましては、特に建設院総裁という立場から私は痛感をいたしておるのであります。こういうことが昨日の衆議院の委員会においても取上げられまして、そうして是非これは今回は一元的にする。それについては前から衆議院のこの建設省設置案の委員会においては、これを建設省に吸收するということについて、大臣の腹はどうだということを実は聞かれました。私は双手を挙げて賛成するのだ。併しながらそういうことのために、この短期日にこれが若し審議未了に終るようなことになると、折角私共が考えて皆様の御期待の一部にでも早く近寄りたいという希望が、水泡に帰するようなことがあつては誠に残念だから、その辺と睨み合せて、そうして一つ審議を願いたいということを特にお願いをして置いたくらいでありまして、さような点につきましても今久松委員の熱心なるその御希望は、若し委員会におきまして、皆様がそういう点に御努力賜わりまして、これが実現するということになれば、建設を担当いたしておりまする私として毫も異存がないどころではありません。喜んでお引受けするのでありますが、只今申上げますようないろいろな実情でありまするが故に、この際実現が困難ではなかろうか、そうなつて來てこれが贔屓の引き倒れ、審議が未了になつてはいかんと、ただ心配いたす次第であります。これらの点十分御了承賜わりまして御審議あらんことをお願いする次第であります。
  29. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 先程から同僚議員各位の熱意のある御質問、又これに対して一松大臣の非常に熱意のある御答弁を拜聽して非常に敬意を表しておるのであります。併しながら建設省の問題は、私共全國幾万の技術者、幾十万の建設関係者、及び幾千万の農民、労働者、市民の要望に基ずくものでございまして、先程から縷々一松大臣の熱意ある御説明にも拘わらず、現実に提出されておりますところの議案は実に貧弱極まるもので、現在の建設院運輸建設本部を併設するという程度で甚だ貧弱であり、且つ失望すべきものである、幾千万の國民に應え得る内容を持たないと私は思うのであります。そこで私はこの我々の國土計画委員として、又私は決算の委員として、この重大な法案審議するに当つて、かくのごとく熱意のある一松大臣以下の努力にも拘わらず、かくのごとく我々が幾千万の國民の希望を裏切るような貧弱な原案が提出されているかというこの事情に対して、この政府の首班にあるところの芦田総理に徹底的な私は質問を述べて、そうして徹底的な答弁を得るために、数日前から要求しておるのでありますが、未だに御出席になつていない。私は一松大臣の熱意、それから今後の御努力に対して、何ら疑うところを持つておりませんので、大臣に対して私は今後希望こそすれ、これ以上強いて本日聞くところはないのでありますが、総理大臣に対しては、私は片山内閣の継続としての芦田内閣という根本義に立ち、又國民大衆は決して一個の省ができたというようなことで喜ぶものでない、省ができて喜ぶのは中央官廳の、而も高級官吏が喜ぶのみでおつて、大衆はそのような行政機構の末梢に対してそれを喜ぶものでない、それ程期待をしておるものではなくて、本当の日本の土地が復興できるか、先程湊川委員からも質問がありましたが、本当に都市復興ができるか、水害復旧はできるか、本当に荒れた道路を、港湾を、そういうようなものが復旧できるか、その根本問題に非常な関心を持つてやる。私はどうしても総理大臣の出場を要求せざるを得ないのであります。その点について一つ総理大臣は出て私のかねてから要求しておる質疑に答えられるのか、何か特別の事情があつて出られないのか、若し出られないならいつ答弁の機会を與えて下さるのか、ちよつとお尋ねしたいのであります。
  30. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 兼岩委員のいつに変らん熱心な御主張に対しまして、敬意を表しますが、実は総理大臣は今日重要な問題で関係方面に出て行つておるのであります。いずれその中に帰られましたならば、当委員会に出席いたしまして、あなたの熱心なる御質疑に対しましては、眞摯なる態度を以て答えられることだろうと思います。只今お見えになりました、どうぞよろしくお願いいたします。
  31. 大山安

    ○大山安君 私は一松大臣にお伺いするわけですが、專門家であるという言葉を聞きまして、甚だ力強く思います。この提案建設省設置法案内容についてでありますが、第三條に「本省の所掌事務の範囲は、左の通りとし、その権限の行使は、その範囲内で法律法律に基く命令を含む。)に從つてなされなければならない。」こういうことが書いてあります。而して所管事務及び権限の範囲として、一乃至三十の項目が挙げられて、これらはいずれも法律に從わなければならん、こういうことになつておるのであります。この各部門が、現在おかれておる民主主義國家建設上に適当であるか否かということにつきまして、私は適当でないと思う。よく調査もして見ませんが、現行法規はすべて、大体にこの三十に対する部門法規は、殆んど改訂せざるを得ない法律なつておるのであります。而して、この法律が改正の必要を見ず、旧態依然の法律を以て、建設省の威嚴を以てこの法律に從わしめられた場合には、甚だこれは危險ででないかというような考えを私は持つております。而してこの法の根拠といたしまして、私はこれは極めて薄弱なものであると思う。これは第一回の國会に片山首相が申された、看板はどうでもいいんじやないか、実質的に國家のためになることならという言葉がありましたが、何だか実際の根柢のない項目だけを看板に並べて、そうして実際に仕事をする國家建設を図るための根本というところが、つまり魂がないというような仕事ばかりしておる。こういうような考えを持つておるのであります。これについて、どうしても建設省として実際の、只今お説のような熱意を持つておるとせられるならば、これはどうしても法律を変えなければならん。これに專門家であるというようなお話でありますから、殊更に、多分大臣が見て出されておるかどうか、根拠はそこにあると思うのです。これはどうしても法律を変えなければならん。法律を変えないでこれを振り廻しては、國民が甚だ迷惑であるということになつておる。これはよく調べて見たらどうかと思います。それからこの提案をよく調べて見たかという点。それから今後建設省としてそれを指導する根本とするところのこの法律を改正せられるや否やという、この二つについてお伺いいたします。
  32. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 只今お示しになつたところは、第三條に列挙してある事柄が法律に違反するというような御趣旨のように拜承いたしましたが……。
  33. 大山安

    ○大山安君 いや、違反じやないです。旧法によつてそれを実行される場合には、極めて不備の点がある。それだから法を変えて呉れないかという趣旨です。
  34. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 只今の列挙してありますることは、政府としては、取敢ずこれだけのことを実施するということについて、大した支障はないと考えております。併しながら若しあなた方の方で、この点がよろしからんからして、この点はこういうふうに修正しなければ、運用について支障を來すというような点がありますれば、それを御指摘賜わりますれば、私共の方でよく檢討いたしました上で、適宜に処理いたしたいと思うのであります。只今の抽象的のお話では、ちよつとどの点がどのようになるのか、その辺がよくわかりませんので、願わくば一つ御指摘を願いたいのであります。
  35. 大山安

    ○大山安君 只今指摘をしてくれというようなお話でありますが、一から十という項目になつております。つまり十の権限ですな、これが殆んど……。
  36. 赤木正雄

    委員長(赤木正雄君) 大山君には発言を許可しておりません、……兼岩委員
  37. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私は政府の御提出になつておる建設省設置法案について、聰明にして冷靜なる芦田総理理大臣に、根本的なたつた一点だけをお尋ねしたいのであります。その御答弁に基いて我々は政府の提出されておる法案を、我々において十分に審議したいと考えておるものであります。それはどういう一点であるかと申しますと、今現在祖國はインフレ、或いは食糧問題、そういうものを背景にする労働攻勢、又それを反映いたすところの政党内部の矛盾という形で、非常な政治的な、大きな変動を受けておつて、多くの國民はそれに目をとられておるかのごとく見えますが、私建設技術の專門家の出身者として、又都市復興の專門家として、この住宅問題の解決並びに水害の問題こそ、今や漸やく今後の政治の根抵となつて大きく政治を揺り動かそうとするところの、大きな要因であると私は見ておるのであります。即ち全國民の半ばに近い都市の人達は、この住宅難に悩んでおるのであります。これは將来恐るべき一つの國民の不満として、私は爆発して来る要因であると考えます。  それから河川の問題、これは專門家でない方々は、昨年の利根川及び東北方面の水害を以て、恰かも驚くべき事態であるというふうに考えておられるかも知れませんが、私共專門家の見るところを以てすれば、日本の水害は、今や漸やくその恐るべき序曲の第一歩を踏み込んだに過ぎないのでありまして、昨年の水害のごときものはこれからも今後起るつて参ります。今年、明年、明後年、今後起り來るところの水害の本当の序曲に過ぎないという点を考えて、私は実に憂慮に堪えない、心配をいたしておるのであります。  先ず水力発電の問題、これも歴代の内閣で口の先だけでは取上げられておりますが、水力発電の本格的な開発なしには敗戰後の日本再建できない。有利な地点は殆んどやられておる。今後水力発電としてやらなければならん点は、農耕地の改良及び水害の防除というような点と結び付けて、國管経営でやらなければならないような技術的な段階に水力開発の問題は來ておるということ、このような点の解決。  つまり都市を復興し、水害を妨除して本格的な農耕地の開発をする、それから水力の開発をする等々というような問題の解決の重要な條件として、私共は建設省を要望しておるのであります。それが現在、最近切れました利根川につきましても、一方において建設院関係が鋭意堤防を築造しておりますと、この下のところでは開拓局関係の指導下にあります水利の関係で、その堤防の下を掘り返しておるという、これは次に來るべき出水の大きな禍根になるというような関係、それから戰災復興につきましても、水力の開発につきましても、國立公園の問題につきましても、農耕地の改良にいたしまましても、港湾の建設にいたしましても、漁港の問題にいたしましても、何一つ総合的に纏められていないのであります。  然るに今回提出されます建設省について、我々は少くもこの最も困難な農地改良と電力の問題の二、三はこれは問題はあろうが、私は読み上げませんが、この十幾つのものについては文句なく統合されること、それに一松大臣の極めて熱意のある努力があり、片山内閣以來この問題は十分論議され、公約されておる問題である。而も芦田内閣は片山内閣の継続としてそういうことを当然継続されるものと期待しておりましたところ、実に特別調達廳のG・H・Qの関係だけを除きまして、十二の中僅かたつた一つ運輸建設本部を吸收するというような貧弱な計画の建設省法案を、何故にこの芦田内閣において提出されたか、これであります。  で結論に入りますと、総合建設省を望む者は誰であるか、総合的な建設省を望まない勢力は如何なる勢力であるかという点に私は帰著すると思います。総合的な建設省を望むのは、我々全國の建設技術幾万の專門家及びこれを中心にする建設業界及びこれに関係ある幾十万の関係者、及び都市においては住宅難に悩み、農村においては水害に悩み、山村においてはこの出村の荒廃に悩むこの幾千万の勤労國民、これが総合的な建設省を望んでおります。次にこれを望んでいない勢力があります。それは何者であるかというと、中央官廳における上層特権官僚であります。官僚統制の基盤においてセクシヨナリズムを強化することによつて、自己の特権的な立場を讓つて行こうとするところの官僚勢力で、あります。これをもつと一般的にいえば、官廳における幾万の中のほんの幾人か、幾十人かの次官、局長、次長といつたような人の、而もその一部分、そういうような人達が総合建設省にいろいろな理窟をつけて金があるとか、ないとか、摩擦が起きるとか起きないとか、そういうことをいつてこれに反対しておるのであります。そこで私は総理大臣にお尋ねしたい結論に入るのでありますが、このような二つの勢力において、冷靜にして聰明、且つ意思強固なるところの芦田総理は、何故に、私の述べたようなことは恐らくは十分知つておると思いますが、そういうような條件において、このような貧弱な建設省を設置されたことは、恐らく御本意ではあるまいと思う。從つて我々は十二項目、行政調査部のこの暫定案、並びに要綱案に基くこの十二或いは十三の項目、國立公園、それから山林砂防、農地改良、電力、水道及び下水道、林道、戰災学校の應急復旧補修整備工事、裁判所及び法務廳関係建物の営繕、港湾の建設、維持及び管理、漁港、それから農地開墾及び干拓というようなものについて、如何程現段階において、どれだけ入れるように修正すべきかということにつきまして、私は國会委員会及び決算委員会において慎重に審議し、これを強力に持つて行くべきだという立場を堅持しておりますが、それについて、そういうふうに我々が審議して行くのについて、今申上げましたような背景、條件において、何故にこのような貧弱な案を、聡明にして意志強固なる総理が提出されたか。片山内閣との関係、或は社会党の第一回及び第二回総選挙における天下の國民に対する公約、國民協同党のかねてよりの建設省の賛成という点と、及び私が確めました、あなたの党、民主党の政務調査会においても総合的な建設省でなければいけないという強い答弁があるにも拘わらず、このような案が提出されておるかという実情をよく一つ明瞭にお答えつて、今後の議事……而も会期が追つておるので大急ぎで審議して、十分な修正をこれに與えて、これを実現させて行きたいという熱意を持つておるのでありますので、この我々委員の審議の心構えに対して一つはきりと以上の質問に対する御所信をお答え願いたいと思います。
  38. 芦田均

    國務大臣(芦田均君) 只今兼岩君より縷々お述べになりました御意見は、全然私共の見解と符合いたしておるのであります。住宅問題、災害予防の問題、農地開墾の問題、共に只今内閣はできる限りの力を傾倒してこれらの事業の促進に当りたいと考えてあるのであります。殊に兼岩君のお話なつた昨年の水害は、今後起るべき大水害の序曲であるという御議論は、私も全くさように考えております。これがために國土計画の全般に亘つて各河川の水源に譲つて砂防工事を施し、治山治水の計画を渾然一体のものとして実行しなければ、ただ中流、下流の堤防を築堤するごとき姑息な仕事では、所詮今後の水害を防遏することができないであろうということを密かに憂えておるのであります。又電力の開発につきましても、施設建設においてその片麟を申述べた通り、今後大規模の水力発電に対しては、國家の経費を投じてこれを実行しなければならないということも申述べて置いたのであります。いずれも只今御披瀝になりました意見と全然同じ見解を持つておるわけであります。從つてこれらの事業を統一して行うためには、どうしても総合的な強力な統一ある建設省を作らなければならんということが、政府としての基本的な政策になつておるのであります。ただ現在の内閣に所属しておる建設院は、その人員においてもその事業の範囲においても、如何にも廣汎でありまして、私自身内閣総理大臣としての職務上、これを一々管理しておるとは言いながら、実務を見ることは困難であるので、特別に國務大臣をして建設院の総裁の仕事を見て貰うことになつております。このように近々総理廳における法案が複雑多難でありますから、建設省大臣が独立の見解を以て全責任を負う組織にしなければならない。そして民間各方面に嘱望されておる、眞に建設行政を統一するという点に、今出ております法案においては誠に貧弱であります。御指摘の通り私共もこの際急速にその仕事を統一して、内容実質共に携わる建設省を作ることは熟慮いたしておるのでありますが、時間的の制約と、そうして又只今御指摘になつた事情があつて、一概にこれを達成することはできないが、ただとにかく建設省という一つの大きな家を建てて屡こう。内容は非常に貧弱であつて、随分、空間もあります、その空間は随時これを充實して行く、かような考えで出発いたしたのであります。少くとも家を建てるという仕事を始めるからには、それは家を建てないよりはその事案の促進において一歩を前進せしめるものであるという考えの下に、今回の案を立てたのでありまして、基本的な考えにおいては只今兼岩君のお述べになつたことと全然同感であります。若し議会方面において政府の意図するところをよく御了解下さるならば、來るべき会期において、尚政府においても政府の案を出す機会があると思うのであります。議会においてもその独自の見解によつて適当な改革を実行されるように、御審議を願うということで、政府としては喜んでその意思を尊重するつもりでおります。会期終了の直前であり、行政機構の根本原則として法案を提出しなければならないというこれらの事情に制約せられて、正直に申せば極めて不十分なる案ではあるが、併しこの不十分なる建築でも全然家を建てないよりは確かに一歩前進したものである、かように考えて、この案を御審議願うことにいたした次第であります。
  39. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 只今の御答弁でその大体を了解したのでありますが、捕捉してもう一つだけ……。今のやはり根本質問関連でお尋ねしたいいのでありますが、政治は勿論私の述べるような一片の理想ではない、そこに複雑なる力と力の関係があり、非常に苦慮されたに拘わらず、特に一松大臣の熱意ある努力にも拘わらず、これしかできなかつた、だから建設省という家を建てた、内容も貧弱で空室も多いけれどもこれから順にそか部屋を固めて行こう、纒めて行こう、こういう大なる理想の第一歩である。こういうふうに御答弁になりましたが、だとすれば仮に……。そうでしよう。恐らくそうであると私確信いたしますが、そうであるとしますならば、いま少し政府の出されましたこの法律にそういう傾向が少くも現われてなければいけない。即ち具体的にいえば、成るほど農地改良とか努力とかいう問題は多少むづかしい。で容易なものの五つ、六つは無論この際入れる外に、尚第三條辺りに、仮にいろいろな矛盾、その他の事情があつて入れられないにしても、建設関係に対しては各省が懸念する、例えば農地改良について、或いは水力発電について、建設方面は建設省へ要求して、建設省において他の関連考えて、一元的に立案して、この建設に進んで行くというような少くも暫定措置として全部を包含する、つまり空間の多い家、その空間がまるでがらがらして蜘蛛の巣を張るような空間でなくて、法律的に関連を持ち、やがては吸収して強力なものに作るんだという法律措置が、少くもこの法律の第三條あたりに講じられなければならないのに、そういう傾向がこれへ現われてないのであります。この点は我々一つ後日委員会において十分審議したいと思いますが、総理大臣説明にも拘わらず法律的そういうような、やがて……。この空室は今は空いているけれどもそれへ待つて來るんだという、少くとも繋がりを法律的に私共見つけることが、できないのでありますが、そのような点は総理大臣はどういうふうに考えられるか。つまり一片の空瀞ではなくて、やがて必ずするという措置法律的に具体的にどこか出ているかどうか。この一つだけ補足的にちよつと伺いたい。
  40. 芦田均

    國務大臣(芦田均君) この案を作成しました当時は、主として各省設置法と調子を合せたので極めて技術的なものにでき上つた結果、今兼岩君のお話なつた点につき十分意を察しておりません。若し参議院の委員会において只今政府の述べました所見に御同感であるならば、或いは附帯決議案等を以て、政府は來るべき議会に更に完全な案を附して議会に諮るべきだというふうな御決議でもつけて出して貰えることになりますと、國民は議会の意のあるところを明白に知ることもできます。又政府としてもその決議に服從して尊重しなければならない立場に今日から置かれることであります。さような方法も政府としては慎んで受諾する考えでおります。
  41. 小川友三

    ○小川友三君 敗戰後の日本建設するために極めて英断的な建設省を作るという政府案に対しましては、國民としても滿腔の敬意を表する次第であります。さてこの建設省を作るには何というても日本の代表的な技術者、科学者を網羅して能率を増進し、立派な建設をしなければならぬのが基本原則であると確く信じておりますが、その点について政府技術者、科学者をどういう工合に待遇するか、特別に待遇するという意思が勿論あると思いますが、総理大臣の御所見を承りたいと思つております。  それから國力に正比したところの建設しか世界各國を通じてもできないのでありまして、國力に反比例する建設は不可能であります。併し敗戰後我が國の現状は、例えば兼岩委員質問並びに総理大臣の英邁なる御答弁がありました通り、全力を挙げて予算をとり、そうして最大の努力に正比する最大の予算を取つて頂いてこの建設省仕事をやつて頂きたいと思いますが、最大の予算はどのくらい総理大臣はお取りになりますか。並びに一松大臣はどのくらいの予算を請求していらつしやいますか。総理大臣はどれだけを協力して下さいますか、その点について御答弁をお願いいたします。
  42. 芦田均

    國務大臣(芦田均君) 小川君の第一の御質問は、科学技術を必要とする省であるから、科学者をどのくらい優遇し、利用する考えであるかという点であります。我が國はとかく科学者を優遇しない習慣を持つております。各省共かような弊害が多年に亙つて、行われておつたのでありますが、近年に至つて、ややそれらの弊害を矯正することができまして、各省とも、例えば運輸省にしても、厚生省にしても、或いは建設院においても、今日重要な幹部の地位には相当の技術者をその職に当らしめておるのであります。尚今後ともこの方面に十分の注意を加えて、科学的技術の万全なる利用を期したい、かように考えておるのであります。  第二は予算の問題であります。御承知通り公共事業土木事業はその基本としては資材を必要とするものであります。予算を莫大に計上しましても、資材がない場合には、これを有効に利用することができないことは申すまでもないのでありまして、現在我が國において、これらの事業にどの程度の資材を利用する余地があるかということは、一應安定本部その他において計数を握つております。從つてその利用し得る資材の分量と、一面又國家財政の現状に鑑みて、國費をどの程度まで支出し得るか、これを裏から申せば、國民の担税能力がどこまでこれらの事業に堪え得るかという点を考えまして、その二つの観点から予算を作つたのであります。現在の予算におきましては、公共事業費に幾ばくの予算を組むかということは、專らこの二つの点から考慮いたしたのでありまして、資材においても、亦國庫の現状においても、最大限の経費をここに計上したい、かように考えておる次第であります。
  43. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 只今小川君の御質問の中で、予算に関する点を数字を挙げて私はお答え申し上げたい。建設省に昇格いたしまして、使うべき予算はどのくらいかということに対しましては、先刻総務局長から申上げましたように、別に昇格することによつて、今予算を増額するということにはなつておりません。でございますから、建設院として今回の予算に取上げて頂きました数字を申上げますれば、事務費の方におきまして、二十三億一千万円、それから事業費の方におきまして百七十八億、昨年に比べますると、昨年は合計七十一億程であつた。それが、今申上げましたような二百何億というような厖大な予算を頂戴することができたのであります。これを本年度の公共事業費の四百二十五億に比較いたしますると、約半分の予算建設院の方に頂戴することができた、こういうふうになるのであります。  これ以外に、尚この前申上げましたように、水害対策という方面で、非常に閣僚全部の方も盡力して頂きまして、予備費の十億というものがあるのでありまするが、それを災害の費用に優先してこれを使わせて頂きたい、こういうふうなことを閣議の了解を得ておるのであります。さように御了承を願います。
  44. 原口忠次郎

    原口忠次郎君 議事進行について発言いたしますが、芦田総理並びに一松大臣の熱心な御答弁がございましたので、私共政府の意のあるところ、大体付度することができたと思います。それで今日の連合委員会はこの程度にして頂いて、そうしてあとの法律案の審議國土計画委員会にお委せ願つたらどうか、こういうふうに考えますが、一應お諮りいたします。
  45. 赤木正雄

    委員長(赤木正雄君) その前にちよつと……。総理は今日は少しお時間があるそうでありますから、総理に対する御質問があるならばこの際お願いいたしたいと思います。
  46. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 この建設省の問題は片山内閣建設院を作るときから大分問題がありまして、その当時片山前総理はよい案が出ればやりたいのだ、そのつもりでいるという答弁をされたのでありますが、片山内閣の施政方針を大体御踏襲になるという御演説があつたこの内閣が、さような片山前総理が総合的の建設省を作るという意向であるということを言つたにも拘わらず、今日まで片山内閣の方針を大体踏襲するという立場にある芦田内閣が、未だかような先程各同僚委員から話されたような貧弱な提案をしている。それについてはいろいろな事情もありましようが、果してさようなこの程度のものを出すについて、一体農林省とか厚生省とか商工省とかそういう各大臣とじつくり話合つたことがありますか。少くとも私共は今水害問題治山治水の問題に関連して農林関係の問題は至急建設省に総合する必要があると考えるのでありますが、一体少くとも総理は農林大臣とこの問題を話したことがありますか。又話されたならばどんなふうに農林大臣はこの問題の解決について御答弁があつたか、ちよつとお伺いします。
  47. 芦田均

    國務大臣(芦田均君) この案を決めるのはむろん閣議であります。閣議においては所管大臣であると否とを問わず、皆國務大臣としてそれぞれの意見を開陳せられたのであります。その意見の開陳せられた後に閣議としてこの案を纏めたのであります。無論農林大臣もその他の各省大臣もそれぞれ意見のあるところは述べたのであります。そうして最後の結論としてこの案を出したのでありますが、中にはこの案を絶対に支持する閣僚もあり、又中にはこれでは不十分だという意見も相当に鬪われたのでありますが、御承知通りに、閣議においてどの大臣がどういう意見を述べたかということは從來の慣例上外に発表しないことになつております。又そういう意見を一々発表することになりますと、將来閣議の進行上においても随分困ることも出て参りますから、その点はよく事情を御了察を煩わしたいと思います。
  48. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 閣議のお話をできないというけれども、これはこういう議会の委員会でもできないかどうか。そのことはまだ私寡聞にして知りませんけれども、併し私共が地方に居りまして、治山治水問題を論ずる場合に直ぐ農林関係の問題が出て参るのであります。恐らくそういう総合的な建設省を作りたいということは、大臣も亦総理もよく考えていると言いながら実際農林大臣として、閣議においてただ通り一遍に閣僚として話しておるということでは、恐らく我々は承服できないのであります。若ししてないならば至急農林大臣と総理と話をして、政府として纏めて一つ答弁を願いたいと、かように思うのであります。
  49. 小野哲

    ○小野哲君 先程來総合的な建設行政を強力に実施するための建設省設置について、活溌な御論議があつたのでありますが、仮に建設省ができました場合を想定いたしましても、これが堅実な且つ強力なる運営をいたしますためには、何と申しましても、優秀な技術者を多数に包容しておること、又充実された工事能力を持つておること、同時に機械的な設備を備えておるというふうなことが、実際の問題として必要であることは申すまでもないのである。それと共に今回の御提案建設省設置法案によりますと、地方の部局といたしまして地方建設局を置かれる、或いは又工事事務所を設けられるというふうなことにも相成つておりまして、而もこれらの地方機関は國の直轄工事を担当いたすことに相成りますので、建設省自体の企画が、現実に國民の福利の上に現われて参りますところは、地方機関が如何に能率的に、且つ十分なる運営ができるかどうかということにかかつて来るということも考えられるのであります。これらの点につきましては、総理の御答弁を今日は煩わす意思はございません。  もう一つ考えなければならんことは、先般も大臣からお話がありました本年度は公共事業費中の約半ばを建設院仕事の上に出そうというふうな状態になつておることは、誠に結構だと存じますが、この建設院なり或いは建設省なりが担当しております仕事を見ますと、誠に廣範囲であり、又緊急を要する面が非常に多いのであります。従つて現在の國力から考えまして、この程度の國費の支弁によつて果して所期の目的を達成し得るかどうか、國民の期待いたしますような建設行政が遂行されるかどうかということは、十分に檢討をいたさなければならんと存じます。それにつきまして総理に伺つて置きたいことは、我が國の國土の復興、多岐に亙つておるところの諸計画を遂行いたして行きますために、対日援助計画等とも関連いたしまして、外資の導入、即ち資金、資材の導入等に関しまして、政府は如何に御盡力をなされつつあるか、又如何なる見通しをお持ちになつておるか、この点についてこの際伺つて置きたいと思います。
  50. 芦田均

    國務大臣(芦田均君) 我が國の経済再建のためには、無論根本は、國民の自発的な努力に俟たなければならないので、これは申すまでもないことなのでありますが、その努力のみによつて尚且つ十分な計画を遂行し得ないという場合には、勢い外國の物質的援助に俟たなければならないことは申までもないのであります。この点は恐らく日本國民大多数が同様に感じておることと思います。從つて外資を我が國に導入するためには、何よりも先ず以て諸外國の信頼を博するごとき態勢を國内において整えることが必要である。その個々の條件につきましては、本会議等においても答弁をいたした機会がありますから、特に本日はこれを繰返すことはいたしません。併しこの問題は、一にかかつて我が國がどういう方向に動きつつあるかということによつて左右せられるのでありまして、現に六月二十日にアメリカの議会は閉会いたしましたが、その際にアメリカ陸軍省の予算において、新聞で報ぜられた通り予算を一應決定いたしました。それ以外においても、綿花借款のために六千万ドル、或いは回轉基金として一億五千万ドル等のクレジツトも設定されております。併し必ずそれだけのものが来るかというと、そうではないのであります。現に一両日來のアメリカのラヂオ放送等によつて見ても、日本國民が今尚経済再建のために必要な予算さえも審議を終らずして、國内に政治的にも、亦議会運営の上にも幾多の好ましからざる徴候が現れておる、その結果如何によつて確定的の金額を決める、こういうことになつておるのであります。いよいよ最後的にどれだけの対日援助が実行できるかということは、恐らくここ一週間ぐらいの経過を待たなければ、正確には何人も判断し得ない、かように考えられる次第であります。
  51. 赤木正雄

    委員長(赤木正雄君) 先程原口委員から、動議がありましたが、併し尚質問があるかも知れませんが、明後日もう一度やることにいたしては如何でしようか。或いは原口委員の動議の通りにいたしますか。尚これは決算委員会に付託されたものでありますから、その点もお考え願いたい。
  52. 小野哲

    ○小野哲君 今原口委員からの御発言がありましたが、只今委員長からお話なつたような付託の関係もありますので、若し皆様にお諮り願いまして、連合委員会という形式で御審議をお進め下さることになりますれば、好都合ではないかと思うのでありますが……。
  53. 赤木正雄

    委員長(赤木正雄君) 如何でしようか、連合委員会としてやはりやつた方がよくないでしようか。    〔「結構です」と呼ぶ者あり〕
  54. 赤木正雄

    委員長(赤木正雄君) ではそういうことにいたします。明後月午前十時からやることにいたします。本日はこれを以て散会いたします。    午後零時四十八分散会  出席者は左の通り。   決算委員    委員長     下條 康麿君    理事            太田 敏兄君            西山 龜七君            伊達源一郎君    委員            岩崎正三郎君            北村 一男君            田方  進君            深川タマヱ君            小野  哲君            鈴木 憲一君            山崎  恒君            山下 義信君            兼岩 傳一君            千田  正君            小川 友三君   國土計画委員    委員長     赤木 正雄君    理事            原口忠次郎君            島津 忠彦君    委員            島田 千壽君            石坂 豊一君            平沼彌太郎君            田中 信儀君            仲子  隆君            大山  安君            久松 定武君   國務大臣    内閣総理大臣    外 務 大 臣 芦田  均君    國 務 大 臣 一松 定吉君   政府委員    総理廳事務次官    (建設院総務局    長)      中田 政美君