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1948-05-12 第2回国会 参議院 議院運営委員会政党及び選挙に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月十二日(水曜日) ————————————————   本日の会議に付した事件 ○政治資金規正法案衆議院提出)   —————————————    午前十一時一分開会
  2. 藤井新一

    委員長藤井新一君) ではこれから政治資金規正法案についての小委員会を開会いたします。これについて先日來公聽会を開いて呉れという要望がございましたが、それは取止めて、証人の出頭を求めることに決定いたしました。ついてはその日取を二十四日に議院運営委員会が招集するということにいたしまして、その出頭さるる方の人選は、大体学者二名、実業界二名、労働組合方面から二名、合計六名と決定いたしまして、先ず学者方面からは東大の宮澤俊義君、早大の政治科吉村正君、又労働組合の方は岩間委員に御一任であつて、全教及び総同盟から一名ずつ又実業界の方は日商及び日本工業倶樂部からおのおの一名、こういうことにいたして、これは黒川委員に御一任ということに決定いたします。以上のことは議院運営委員会で決定さるるのですが、先ず本委員会で内定をして置く次第でございます。これから政治資金規正法案についての審議を続行いたします。
  3. 門屋盛一

    委員外委員門屋盛一君) この前の委員会衆議院側淺沼委員長説明は承わつたのですが、これに対する全國選挙管理委員会の方の大体のお考えを承わりたいと思います。
  4. 郡祐一

    政府委員郡祐一君) 衆議院の御審議経過で若干の部分に、何と申しますか、初めの草案に加える部分が出て参つたのでありまするが、衆議院の御審議の途中も選挙管理委員会も常に連絡をいたしており、全体といたしまして当初の考えよりやや届出公開等の範囲が廣くなつて参りまして、そのために相当政党その他の團体、或いは候補者の側におきましても、この事務を取扱います委員会等の側におきましても仕事の分量が相当殖えて参ることと思いまするが、それだけに届出等が稠密になつて参りましたために、資金規正法目的により完全に副うようなつで参つたことと思いまするので、個々條文について申上げるのは少し煩わしうございまするから、大体といたしまして先般淺沼委員長が話してお出でになりましたよう解釈で運用されますならば、この法律目的は相当十分に達し得ることであろうというのが、選挙管理委員会で、この衆議院で可決されました規正法についてその後委員会で一應拜見して一同が結論的に現在到達しておる考え状態でございます。又個々の点について御指摘がございましたら、その都度申上げることにいたします。
  5. 門屋盛一

    委員外委員門屋盛一君) 郡さんに二つ質問をしてみたいのですが、一つは公職にある者の寄附行爲を一年間遡つて届け出でるということは、その寄附の性質その他によつて、その候補者の資格の審査に影響するような含みの下にやつておるのですか、どうですか、それが一つと。それから政治資金規正と、選挙の公正を期する上に現在の選挙費用の公定というものが非常に少なきに失しているように思われるのですが、こういう法案が実施される場合に、管理委員会の方では本当の選挙費というものをもう少し実態に近いものに上げねばならんとお考えになつてはおらないか、上げる意向があるかないか。これは法というものはやや実行し得る程度のことにして置かないと実行できない額で線を引かれておるためにいろいろの脱法行爲が行われておる。却つて法目的が達せられないのじやないかというよう考えるので、この二つの点をお尋ねいたします。
  6. 郡祐一

    政府委員郡祐一君) 第一点の議員候補者立候補いたします場合の過去一ケ年間の寄附の点でありまするがこれは極く悪い場合を考えまするならば事前買収的なことが選挙の期日前に行われておるようなことがありはしないか、又さよう意味合のことは時々言われる例もあるのであります。それで從來寄附についてそれが僞装されている買収であるのではないかというようなことを、國民の前に判断する機会を與えることが必要なんではないだろうかというようなことは、これは一般的に從來選挙粛正というよう運動が起りました際も言われておつたことでございます。今度の場合はそれ程はつきりとそのような虞れがあるからというよう考え方でもないのでありまするが、とにかく非常に寄附というものがいろいろの名目で出されておる。それで立候補前の一ヶ年間におきまする一切のそれが文化團体であろうと、経済團体であろうと一切のものに対してその当該候補者寄附したものを届け出でして頂くということは、只今までの金銭支出がどういう面にその人は出しておるであろうかということの判断を公開するということによつて有権者に與えようというだけでありまして、從いましてこれが何らかの材料に使うというようなことはなし、又さようなことは起るまいと思つております。又届け出での中にも普通の冠婚葬祭というようなもの、これは入らないことだと思いまするし、それから又かよう届け出公開をいたしますことによりまして、逆にあの人はこういう部落なら部落に多く金を出しておるから部落のお世話をやつて呉れる人だというような印象を與えるとか、或いは逆にあの人はああいう金を出しておるから落せというよう工合に、逆の方に働くというような点も問題がありはしないかというよう考えては見ましたけれども、それらの点はたとえ何らかの影響がありましても極く軽微なものでございまして、それよりも候補者というものの立候補の場合には、極めて自分從來の行動に対して洗いざらい國民の前に示しておるのだという方が効果が多いと思いまして、かよう規定の置かれることが適当だと存じております。從いまして重大なこれによる悪い影響考えませんければ、これが如何なる方面におきましても、國内的にも國際的にもこれを何らかの材料にという考えは全くないと信じております。それから法定制限額の問題でありますが、これは確かに今までも費用制限額というものは殆んどナンセンスに近いものでございます。それでこれをやや今までの関係方面との古くからの折衝経過で申上げますると、昭和二十年の選挙法改正の際に、法定制限費用額というのがおかしいじやないかという論がすでに起つておりまして当初は関係方面との折衝ではこれをリーゾナブル金額に上るようにというようなことを申しておりましたが、そのリーゾナブルを抑えるということが非常に困難だとの説明をいたしておりました。その後途中から変つて参りまして、成る程法定制限額が、例えば全國参議院で七万八千円であるとか、衆議院で五万円であるとか、そういうような抑え方をして見ましたところで、それだけでは大して意味がない。從つて法定制限額金額をどうするかということには余り興味がないという工合に段々変つて参りました。変つて参つたということは、選挙実情ということが段々わかつて來たようであります。それでは代案としてアメリカでは例えばガバナーの選挙のときにはその者の一年分の給料相当額であるとか、或いは半年分の給料相当額制限費用にする、或いは又逆にさよう法定制限額を置かずに、こういう銀行に預け入れた以外に使えな金いとか、それからこういうところに支出をしてはいかんとか、そういう使い方で抑えて参つたらどうであらうというような研究問題を提供された場合がございます。それで考えて見ますると、ただ法定制限額を抑えただけでは意味がない、又いろいろの使い方といつてもどこの銀行に預けた金しか使えないというのも日本実情に合わない、それから又例えば知事選挙とか、議員選挙のときに、一年分の歳費の総額とか、給料総額では、とてもそれも実情に合わん、いろいろの点問題にはしてみたが、採用できかねる結果が、一方ではかよう届け出でをする資金規正法の思想となつて現われ、又一方では選挙法改正となつて現れて來ておるものと思うのでございます。それで選挙公営というものを徹底するということは、これは今日の採るべき途だと思うのでありますが、選挙公営だけで自由な選挙運動を認めませんということは、フリーエレクションと申しますか、とにかく選挙の場合には國民の前に能う限り自分立場はつきりしてという、正当な候補者立場からいえば、選挙公営だけで行く選挙運動というものが、果して理想的なものであろうかどうか、ここに私は疑問があると思います。そういたしますと、公営をどの限度に認め自由な選挙運動をどの限度に認めるかということで法定制限額の問題がおのすから変つて來るのだろうと思うのであります。それで現在の法定制限額というものは、むしろ実際には合わないのであります。選挙公営をやつてこれに候補者から或る程度納付金を要求し、その外に自由な選挙運動のための選挙運動費用法定制限額を決めることといたしますと、私は只今はそれ程高く上げる必要がないのではなかろうかと思つております。結局今のところでは、法定制限額については、選挙公営をどの程度までこれを認め、自由な選挙運動候補者自身費用を出さなければならない自由な選挙運動をどの程度に認めるかということで、法定制限額の問題を決めて参りたいと考えているよう状態でございます。
  7. 竹下豐次

    竹下豐次君 この前の委員会佐々木委員の御発言だつたと記憶しておりますが、労働組合、官公労の問題で政府給與標準等を決める場合に、それに反対の運動をやるというような場合、これらの取締り対象にされるということは、事実今日としては動きがつかなくなる心配があるが、これはどうかという質問に対して届け出ですればよい、活動を妨害するという意味ぢやない、こういう説明があつたように記憶しております。併し届け出でをその都度するということそれ自体に非常に問題がある。事実はやはり活動を拘束されるという結果を生ずるというふうに見なければならんと私は思うのであります。そういうことも考えまして労働組合のみならず経済團体等一時選挙関係するとか或いは政党資金寄附するとかというような場合など、或いは労働組合候補者を立ててそうして総選挙に臨んで行くというような場合については、この法律取締り対象にする必要があるけれども、その以外の場合には一々届け出でしたりしないでもこの法の目的は達せられるじやないか、もう一遍繰返えして申しますれば、選挙関係するか或いは政党その他の本來政治目的とする政治結社金銭的の寄附をするとかというような場合だけに取締り対象にするということにして、その他は余り取締らないという方がいい、これでこの法律目的は達せられるじやないかと思いますが、その点如何でしようか。
  8. 郡祐一

    政府委員郡祐一君) お話よう候補者を推薦支持いたします場合は、現在の勅令百一号でもやはり届け出ですることになつております。この場合は恐らくさような推薦、支持をいたしますれば、金銭の収支もございますから、この場合は明瞭だと思います。それからお話ように、経済團体でありますとか労働組合等活動の場合でございますが、政治上の主義施策に関しまする目的を持ちました場合は、法律としては、私はこれを更に限定して書くということはなかなかむずかしい問題ではないかと思います。そういたしまするがために、解釈問題に入つて行くという点が、一つはこういうようなこの法の規正を受けますものは、相当幅の廣い法律について解釈が残されておるということは、やや好ましくないことでございまするけれどもどうしても私は解釈問題が残るだろうと思つております。それで労働組合だとか経済團体だとかいうものは、全然これを外に外してしまうことになりました場合には、そのような途を通ずる政治資金が脱法的に行われるということは、これは私は予想せざるを得んことだと思うのであります。且つ労働組合につきまして、百一号の届け出でが、現に選挙際等に行われておる。私はそれ等の團体のいずれについても、直ぐここに書かなかつたから、脱法的なことが現在ある團体について起るとかいうようなことを予断するわけではございませんけれども、この法律に網羅し盡しておりませんと、どうしてもそこに抜け穴ができるのではないか、そうすると、この法律には或る程度廣く規定をして置く必要があると思うのでありますが、勅令百一号の、日本外國との関係について論議するときは、論議する團体はすべて届け出でなければいかんということになつておりますが、およそ如何なる團体でも、現在日本外國との問題を論じない團体はないので、論じて見たら、その都度すべて届け出でをするかといえば、さようにはなつておらんのであります。從つて政治上の主義施策を支持するとか反対するとか言いましても、又それが全体の当該團体のいたしておりまする、或いは目的といたしておりまする中味の幅と比べまして、極めてこれに附随したものであるというような場合にまで、たまたまその一つスローガン等がありますために、それを引抜いて、一々直ちに適用團体にするという工合には考えないでよろしいのではないかと思つております。思つておりますけれども、丁度勅令百一号に、初めは労働組合を入れずに読んでおりましたのを、途中から労働組合を入れて読むように、殊に規定の上にまでそれを出すようになりました経過もございまするし、とかくこういう法律は拡がつて読まれがちであり、而も始めから限定することが困難でありますので、これの実施に当りましては、十分國会の御意向等を尊重いたしまして、関係方面と協議いたしまして、これの適用限度というものを、いろいろな場合について決めようとは思つておりますが、只今法律規定から、直ぐこの部分を省いてしまうということは、私は不可能であり、又さようにいたしましたときには、法律目的を完全に達し得ない部分が起つて来るのではないかと、只今のところ考えております。
  9. 竹下豐次

    竹下豐次君 私の申しまするのは、この取締り対象にする團体を、先ず政治結社ということにして、政治結社以外の團体については、特に必要な場合それだけを加えて行くという立場行つた方が事実に適するのじやないか労働組合もそれで組合としての活動ができ易いし、その他経済團体にしましても、余計な面倒な手数を煩わされないですむと思うのでありますが、今の御説明によりますというと、私のその気持を実質的にはお認めになつておるが、併し立法技術としてそういうことは甚だ困難であるというお考えように承わりましたが、そうなんでありますか。
  10. 郡祐一

    政府委員郡祐一君) おつしやる通りでございまして、これは私の個人的な考え方になるかも知れませんけれども、政事結社と、公事結社と申しまするか、或いはそれ以外の純粋な経済團体と申しますか、政事結社とそれ以外のものとの区別というものが、只今ではやや明瞭を欠いておるように思うのでございます。勅令百一号に政党、協会その他の團体結社に関する勅令とこう申しておりますが、あれは果してどういう中味のものを言つておるか。寧ろこういう目的で逆に縛つておる勅令でありますから、どうも只今のところ政事結社についての根拠の法令といいうものがございませんし、その個々法律適用について考えられるような現状でございますし、又團体の実際もさように明瞭には区分されないようなものが多いように思うのでございます。從いまして、狙いは、私はやはり政党が一番主であり、政事結社がその次の大部分であり、後は寧ろ附加的な問題であつて、それによつて政党なり政事結社なりの活動を把握するのには不十分だというよう部分について、他の問題が起つて來るというよう考えますので、お考えの点は私自身としては全く同感なのであります。ただこれを実際に適用限度におきまして、どのよう状態が起りますか、私はこの法律がいよいよ若し成立いたしましたとして、その次の段階でどういうようなところまで適用されるものだろうか、どうであろうか。これは関係方面と笑いながら話しました際にも、これを完全に励行して行くと、お前のところのコンミッションは、幾ら人間を増しても、殺到した書類の山をどのくらいの時間があつたら片附けることができるのかというような笑い話があつたくらいであります。從いまして、これはいろいろなものを間口ばかり拡げて本來の重要なものについてのはつきりした認識を國民に與えるというよう機会を逸するようなやり方があつてもいけないと思いますし、よく法律目的と立法府の御意向によつてこれは動かしてやらなければならず、そういう場合には、どうしてもお話よう程度をつけて、段階をつけて進むべきものであると考えております。
  11. 竹下豐次

    竹下豐次君 私の希望しておるようなことを、立法技術として書き現わすことが非常に困難だというお話でありましたが、私は、そうむずかしいことじやない、まだよく言葉を練つておるわけではありませんけれども、大ざつぱに言つてみれば、そういう團体適用する場合には、選挙関係する場合と、それから政党その他の政事結社資金的の関係を生ずる場合、寄附したり或いは貰つたりするという、二つだけにはつきり書いて、それだけについて、経済團体についても本法を適用する、こう書けば、そうむずかしい立法技術じやないように思いますが、その外に、それだけじやまだ何が足りないという点がございましたら、お示しを願いたい。それからもう一つの点は、そういうものに無理の行かないように実際法の運用に氣をつけて行くことが極めて大切だというお話でありますがそれは尤もなことだと思います。ところが從來できました法律運営というものは、過去の例によりまするというと、よく今あなたのおつしやつたよう説明政府当局はしておるのです。併し運営の結果はどうなつておるかというと、法に現われたよりもいつそう嚴重になつておりますけれども、それがゆるめられて適用されておる例というものは非常に少い。一番はつきりしておるのは農地調整法です。政府が言つたことは、そのままちつとも励行されていない。それはそのときの速記録を御覧になつて、今の実際の運営の方法と合つておるかどうかお調べになれば分る。これなどは頗るはつきりした例である。その外に、結局我々議員立場から見ると、その場限りの政府の言い逃れであつて、後は又当局も変り後の局長は、元の局長がなんと言つて説明したか速記録も読まないで法律運営をする。地方に行けば、末端に行けば行く程強くなる、それは取締りの責任にある者の立場から見れば、そうなるのが自然だ。だから考は、そう今仰しやるよう政府としては考えなければならん、役人もそう考えなければならないことですけれども、実際の運営は逆に行くと思うのであります。取締る方でもやはり同じようなことになつて行く危険を非常に考えられる。そう考えますと、余り細かく不必要な場合でも、取締り得るよう條文をお作りになることは余程愼しまなければならん、かよう考えるわけであります。その点どうですか。第一の私のまだ修正案とか、何とかいうわけじやありませんが、二つ事項だけについて適用する……それだけじや足りませんか。ちよつと速記を……。
  12. 藤井新一

    委員長藤井新一君) 速記を止めて……。    〔速記中止
  13. 藤井新一

    委員長藤井新一君) 速記を始めて……。
  14. 竹下豐次

    竹下豐次君 私は立法者の心得として大事なことは、徒らに國民に不安を感ぜしめるよう法律は作らないということにあるわけであります。そのただ二つだけの例を挙げて申したのでありますが、その外に、立案者の方におきまして、何か具体的な取締りの要項というか、思いつきのところが現在ないというならば、やはり私のお話した程度のことだけをかかげておいてその外万一拔け目があつたら困るからという條文を作るということは、間接に國民の権利を侵害し易い法律を作るのじやないかということになる。その点は愼しまなければならない。取締りの方から見れば、その点は取締りの方だけを考えますれば、一ヶ條薪たに作つて本当に法律の趣旨に反するような場合があつたならば、何でも処罰するという條文を一ヶ條作つておけば最も不難だ。併しそんな非常識なことはできるわけじやない。今の御説明から見るとその折衷された程度において不安は感じられるだろうけれども、取締りの方じや都合が悪いから拔け目のないようにしておくのだ、こういうふうに聞こえますが、それじや私は近頃の立法者としては逆な考え方で、罰則までついておるのだから、その点がはつきりしなければ、私の言つたよう立て方にすれば何も逃がすというような曖昧にして、運営でゆるめてしまうという問題は起らない。はつきりして來る、これこれの場合にはこれを適用するのだということがはつきりしてくる。運営をゆるめてしまうだろうという心配は起り得ない。又無理もいかない。若し運営してそうして実際の都合、又予想されないこういう問題が実際問題として起つた、これは取締規定に入れなければならんという実例が示された場合には、それを又加える改正案作つて行くということが、私は國民大衆に本当に親切じやないか、かように思いますですがね。それから先は意見の相違にもなりましようから、今ここで重ねて御答弁は必要ないと思います。それから、これは條文質問ですが、第一号第二号の中に包含せられ、第三号は第四号の中に包含せられるのじやないかというふうな疑問を起したのです。と申しますのは、寄附の例におきましていうと、第二号では「前号の寄附をした者の氏名住所及び職業云々」、「並びに寄附金額及び年月日」を記載しなければならないということになつておりますね。第一号ではすべての寄附を記載しろということになつております。で、この第二号の中に寄附金額まですつかり記載することになつておりますので、一号とダブるのじやないか、第三号と第四号の関係もやはり同じようになつている。同じことを二度と書かせることになるのだが、強いて私考えると、これは一号の方はすべての総計とか何とか、第二号の金額というのとはまた別のことを考えていらつしやるのかと思いましたけれどもそれもなかなかむずかしいことだと思われるのですが、その点はどうでしようか。
  15. 郡祐一

    政府委員郡祐一君) これは、仰しやるように第一号、第二号、三号、四号、それぞれ対應しておりまして、一号では寄附のすべて、政党収入をでありますか、それを一切のもの。で、この第一号なり第三号なりでは、このままでは恐らく金額だけ出てくればいいよう考えられることと思いますので、そのそれぞれの収入寄附なり支出なりに対應いたしまして、その寄附をしたものの氏名住所等が、帳簿でありますれば、それぞれの一つ一つのところに出て参る。一号、三号はただ収入なり寄附なり一切のものを届け出る。一切のものが帳簿に載らにやいかんのだ。併しその中味となりますと、それぞれ対應いたしましたそれぞれの一件々々の金額等が出てくることでありまして、從つて号を分けました。この号の一、二、三、四が仰しやるように必ずしも並列的な値打を持つたものではないと思つております。二号、四号はそれぞれ一号、三号の註釈めいたものの表示になつている。むしろこう並べた方が分りがいいというので、かように書いてあるのでありますけれども、そのものの言おうとする骨子というものは、仰しやるように二号、四号はそれぞれ一号、三号の説明というよう関係になつていると思います。
  16. 竹下豐次

    竹下豐次君 結局具体的にお尋ねするというと、寄附が十人で十件あつた。一万円あつたという場合に、第二号、第四号によるとその金額なり、氏名、年月をすつかり書く。そうすると第一号による記録というのはどれだけ書くのですか。やつぱり何の某が寄附を幾らしたということを書くのでしようか。ただ寄附の受入十万円と、こう書くわけじやないでしようね。
  17. 郡祐一

    政府委員郡祐一君) これは二号、四号の方で選挙管理委員会で決めます帳簿なり樣式なりにも出ておりますところは、結局寄附なり支出なりのそれぞれ二号、四号に言つておりますような事柄と、それの期間の区分によります累計等が表われるようにしておりますから、帳簿面に表われますものは第一号、三号の帳簿記載事項が別の帳簿になるというようなことはございません。ただその帳簿に、更に明細書がくつついております帳簿と、幾つかに分けるかどうかということはございまするけれども、一号、三号、或いは二号四号とが別の帳簿になる。一号、三号の帳簿というものは別に存在するというような扱いにはいたさないつもりであります。
  18. 竹下豐次

    竹下豐次君 それを具体的に書かなければならない必要が私には分らないのです。
  19. 三浦義男

    衆議院参事(三浦義男君) 先程いろいろお尋ねがございましたようでございますが、この法案衆議院の議院立法として提案になりましたのでありますので、私はただその関係に或る程度関與いたしておりました関係上、委員会審議の模様に鑑み、且つ又そのときの立案の経過等に照らしまして、衆議院の意思を代弁いたしまして御答弁を申上げたいと思います。只今のお尋ねの点は一号から四号までの問題につきまして、一号、三号の問題につきましては、二号、四号の問題と二つの点において考え方が異つておるわけでありまして、第一号、第三号におきましては「すべての寄附及びその他の収入」「すべての支出」というものを取り上げまして、この場合におきましては金銭のみならず、物品等すべてをそこに記入するということでありまして、金銭につきましては総額を挙げればよいわけです。例えば寄附に例を取つて申し上げますれば、寄附が全体の総額で十万円ということになれば、その総額を記入して置けばよいわけであります。それから「政党、協会その他の團体」ということにつきましては三條等の規定と関連しまして区別を設けておるわけでありまして、九條はその一つが現われておるわけであります。「政党にあつてはすべての寄附及びその地の収入、協会その他の團体にあつてはすべての寄附」であります。第二号に関連して申上げますれば、第二号は寄附だけでありまするので、政党のその他の収入というものにつきまして特に括弧した事項を挙げましてそれを記入するということは収入については必要はないわけです。寄附だけについてかような取扱いをする。この二点が今のお尋ねの点につきましては違えて書いてあります。
  20. 黒川武雄

    ○黒川武雄君 今の三浦部長の御説明で、二と四は五百円ということに、そういうことの制限があるのですか。
  21. 三浦義男

    衆議院参事(三浦義男君) 九條の問題は会計帳簿の記入樣式の問題でございますので、只今お尋ねの点は十二條のこの報告書を選挙管理委員会に出す場合におきまして区別を設けますその場合におきましてもその金額等と関連いたして参りますので、この九條の場合の寄附支出について個々的に金額というものを会計帳簿の上に記入して置くということは必要であろうかと思つております。報告書は管理委員会に出すだけでありまして、仮に控えを取ればこつちに控えが残りますけれども特にそれを会計帳簿の中から摘出して十二條の報告書というものを出すことになりますので、その意味におきましてその会計帳簿に更に二号、四号において個々的のことを取り上げて記入して置くということは報告書の事項とも或る程度照合する。かようなことになつております。
  22. 黒川武雄

    ○黒川武雄君 今の第八條の終りの但書についてちよつと伺いたいのですが但書は何だか必要ないように思いますが三浦部長の説明を願います。
  23. 三浦義男

    衆議院参事(三浦義男君) 但書がちよつと分りにくいよう規定がございますが、その趣旨はこういうことでございます。第八條の本文におきましては第六條に規定してありまする「代表者、主幹者又は会計責任者」、こういうものの届け出でをしなければならないのでありまして、その届け出でかされた後でなければ、その以前においては如何なる名義を以てしても寄附を受けたり、或いは支出をすることができない。こういうことになつておりまして第六條の二項によりまして会計責任者を届け出ると同時に法律上の義務といたしまして、会計責任者に事故があるとき、又は欠けたときにその職務代行者も合せて届け出るとこういうことにいたしております。團体活動における会計経理という大きい面がありますので、そういう便宜の処置を法律上とることになつております。從いまして八條の但書におきましては、会計責任者が或いは死亡したような事故が起りまして、或いは辞職する、退職するというようなことで欠けた場合におきましては、仮に第六條第二項におきまして届け出た会計責任者の職務代行者が現在おる場合におきましてはこの限りでないということでありまして、その場合においては寄附を受けてもかまわないということでありまして、つまり会計責任者がいなければ会計責任者の職務代行者、いずれかがおれば、而もそれが届け出でられた後において存在する場合においては、かまわないという趣旨でございます。
  24. 黒川武雄

    ○黒川武雄君 私の言いますのは、第六條第二項並びに前項の規定がありますから、この但書は分り切つたことであつて余計な條文じやないか、こういう意味であります。
  25. 三浦義男

    衆議院参事(三浦義男君) それは第八條の方で届け出でがなされた後でなければ一切寄附を受けてはいけないといいます場合においては、それだけでは十分でないと考えられるのでありまして、つまり第八條の「第六條又は前條の規定による届出」という前條の規定は異動の場合の届け出ででありますが、同時に第六條は本來の代表者、主幹者、会計責任者でありまして、こういう届け出でと、それから職務代行者の届け出でというものと二つあるわけでありまして、本文におきまして予め職務代行者を届けている場合におきましては問題はないのでありまするけれども、或る場合によりましては職務代行者が欠けて、更に又異動の届け出でとして出て来る場合もあり得るわけでありますので、本文だけの規定は、最初に会計責任者を届け出る場合に職務代行者も届け出るという趣旨でありますので、その後に変更がありまして会計責任者の職務代行者等が届け出られた場合においては、その点に欠ける点がありますから、但書はやはり必要だろうと、かよう考えております。
  26. 竹下豐次

    竹下豐次君 第九條の第一項、政党の場合と、協会その他の團体の場合の記載事項が違つておりますね。政党の方は「寄附及びその他の収入」の場合に入つておりますが、協会その他の團体の場合には「その他の収入」というものはオミツトされておりますが、これは何か理由がありますか。
  27. 三浦義男

    衆議院参事(三浦義男君) それは政党につきましては三條にも五條にもちよつと書いてございますように……五條の第二項でございまするか、「党費」とか或いは「会費」というものはあり得るわけでありまして、こういうものは「収入」ということに取扱われまして、「寄附」という観念には入らないわけであります。それ以外に政党自体の例えば機関紙を持つているとかいうような場合の、そういう事業上の収入、こういうものはあり得るわけでありますので、政党の場合につきましては、特に「寄附及びその他の收入」ということを挙げましたのでありまして、協会その他の團体につきましては、これは本來的に政治目的を持つていないがこの政治資金規正法の面においてこれを取り入れて規正して行くという趣旨でありますので、成るたけその点に関しましては最小限度の取扱いをするという趣旨から「寄附」だけにいたしたわけであります。
  28. 藤井新一

    委員長藤井新一君) ちよつと速記を止めて……。    〔速記中止
  29. 藤井新一

    委員長藤井新一君) 速記を始めて……。本日はこの程度で散会いたしたいと思いますが、如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 藤井新一

    委員長藤井新一君) それではこれを以て散会いたします。    午前十一時五十八分散会。  出席者は左の通り。    委員長     藤井 新一君    委員            黒川 武雄君            大隈 信幸君            竹下 豐次君            岩間 正男君   委員外委員            門屋 盛一君   政府委員    全國選挙管理委    員会事務局長  郡  祐一君   事務局側    参     事    (法制部長)  川上 和吉君    参     事    (委員部長)  河野 義克君   衆議院事務局側    参     事    (法制部長)  三浦 義男君