○
佐々木良作君
修正の
内容は大体二点でありますが、先ず
修正案を読上げます。プリントにな
つて修正案が出ております一というのがそうでありますから御覧願いたいと思います。
第三條第二項を次のように改め、これに関連して各
條文の
字句を整理する。
「
政党以外の
国体で
公職の
候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対する者に対しては、その
範囲内に限りこの
法律中
政党に関する
規定を準用する。」
これが第三條の
修正であります。
次に第九條第一項第二号中、「前号の
寄附をした者」を「前号の
寄附中一件百円を超える者(数回にわた
つてなされたときは、その
合計額による。)については、その
寄附をした者」に改め、同項第四号中、「前号の
支出を受けた者」を「前号の
支出中一件百円を超える者(数回にわたりなされたときはその
合計額による。)についてはその
支出を受けた者」に改める。
更に第十條に次の一項を加える。
前号の
明細書には、
寄附又は
支出の中、一件百円以下のもの(数回にわたりなされたときはその
合計額による。)については、
寄附をし、又は
支出を受けた者の氏名、住所、及び職業の記載を省略することができる。
以上が私の
修正案の全文でありますが、以下
簡單に
理由を御
説明いたします。第一に三條の問題でありますが、三條につきましては、小
委員会におきましても今
委員長の
報告通り、殆んど論議の
中心が三條においてなされておりまして、そうして三條はこれまでいろいろな、正式に出なか
つた修正ではあり言たが、いろいろな
方向からこれらの
修正が考えられたわけでありますが、そのいずれによりましても明確にならないものでありますから、私の今のような
修正案を
提出したわけであります。その
理由は、第一には飽くまでもこれは
実質的なものでありますが、この
法律が
規正しようとしておるところのものは、言うまでもなく
政治資金を最も
中心としたものであります。そうしてその
政治資金を
規正しようとする対象とな
つて、それの客体となるものは主として……主としてと言いますよりは、むしろ
中心的に、現在の
政党であるわけでありまして、これが三條の第一項によ
つて規定されておるところであります。併しながら
政党と雖も、他の
関係におきまして
政党に類似するような剛体が
政党と似たような
行動をする場合にはこれを或る程度
規正しなければ第一項の
趣旨が十分に貫徹できない。こういう
意味で第二項が設けられたという
説明を聽いたわけでありますが、それは一應尤もでありますけれども、この第二項に述べられたもの、先程
竹下委員からも読み上げられまして
説明がありました、がこれをこのまま読みますと、
協会その他の
團体というものがちつとも具体的にはつきりしないのでありまして、例えばここに言うところの
政党以外の
国体で
政治上の
主義又は
施策を支持し、反対するというのでありまするならば、例えば
労働組合が
大衆課税反対というた
つた一つのスローガンを掲げて、その他の
実質的な賃金の値上げの問題を掲げないで
行動を起す場合でも、当然にこの第三條第二項に言うところの
協会その他の
團体に該当するかしないか、該当すると認められる
可能性が非常にあるのであります。又同時に
経済團体におきましても、例えば
商工会議所なら
商工会議所というものが
労働組合法は改正した方がよいというような
意見を
一つ発表したとします。そうすると、これが直ちに
政治上の
主義又は
施策を支持し、反対したという
意味にな
つて、これが直ちにこの
適用を受けるのではないかという感じを持たせるわけであります。恐らくこの
立法者の、
説明者の意図によりましても、そのような
行動までは決してこの
法律で以て拘束するつもりはないということが言われてお
つたのでありますが、併しながらこれに
政治上の
主義又は
施策を支持し反対するとい
つてある限りにおきまして、その
行爲をどの程度に限るかということは極めて不明確でありまして、それはこの
立法者の
適用するものによ
つて或いは拡げられ或いは狭められ、どのようにでも、そのときの情勢によ
つてなされるという危險性を持つわけで、その
意味におきましては、この第二項の
内容は殆んど全権委任
立法的な性格を持
つて来るわけであります。それが最初に申上げましたように、この第二項は飽くまでも第一項を活かして、それの欠を補うという
意味を
実質的に持
つておるだけでありますから、これが非常に廣く
解釈され得る
可能性を持つ場合には、むしろ逆にあらゆる
経済團体、或いは
労働組合その他の
協会や
團体の
行動を、別の
意味でこの
法律から
行動を阻害するということが感ぜられるわけであります。そういう
意味におきまして、この第二項は飽くまでも第一項の附属的な
建前から、
嚴格な
解釈が必要である。
嚴格な
解釈がなされるような
條文の立て方が必要である、こういうふうに考えるわけであります。特にここに断
つて置きますが、
政党以外の
團体でありましても、例えば
労働組合とか、
経済團体でありましても、これが
政党に対して何らかの
寄附行爲なり、何かした場合に、つまり
政党を通じて、
政治上の
主義若しくは
施策を云云する
行動をした場合には、
寄附その他の制限によりまして、当然にこれは
規正を受ける筈であ
つて、三條の二項がなくても当然に
規正を受けるのであります。
從つて経済團体が多額の
寄附をし、或いはおかしな金を出したというような場合は、当然に第一項によ
つて規律されますから、第二項を
嚴格に
解釈され得るような
法律に改めても、その面から
政党の
政治資金の不明瞭さを助長するということにはならないのでありまして、それは第二項の有無に拘わらず同じことになるということを
一つ念のために申上げて置きたいと思います。今のように第一の
理由は飽くまでも第二項が
実質的な
意味におきまして、
政党、
協会その他の
團体の
範囲を拡げない、成るべく拡げないということか法の
建前からも、法の
目的からも、そうして現在の経済的な状態からも必要であるという
理由であります。第二番目には、飽くまでも、その
意味における
立法技術上の
建前からでありまして、先程の
竹下委員からの
修正案によ
つて、少し
字句が
修正されて、第二項の場合には「
目的を有する」という字が削除されましたけれども、これは
読み方によりまして「
目的を有する」というのを削ろうが、食つ附いておろうが、
読み方によ
つては決してそれですつきりしたものではないと考えるのであります。尚、
共産党の
中西議員も、この今の
修正が非常に何だか
協会その他の
團体の
範囲を狭くするような恰好になり、非常に優秀な
修正であるかのごとく今
意見を述べられましたけれども、私は決してそのようには考えられないわけであります。
法律技術上がら見ました場合には「
目的を有する」というのがあろうとなかろうと、
実質上においては同じことになる、こういうふうに考えるわけであります。
立法上の
建前からしましても、これは非常に原文もそれから先程出された
修正案もむしろ明瞭さを欠くと考えるのであります。そのような二点から
実質上の
理由と、
法律技術上の
理由と両方から考えまして、この第二項は飽くまでも
協会その他の
團体の
取締の
範囲を
選挙に関する項に限定するのが、一番
法律適用を明確にし、同時に
実質的な
取締もできる。現在のようにこういう
ぼつと拡げたものであり、又先程の
修正案の場合も同じようでありますけれども、
ぼつと拡げた場合には、結局どつちも
取締ることができないという結果になることを私は慮れるものでありまして、最も適切に
選挙に関するものを、最も
嚴格に
取締るということを重点としまして、そうして先程申上げましたような
修正をすることが適当だと考えるわけであります。
尚附加えて置きますが、三條の問題に関しましては、先程
経過報告のときに述べられました五月二十四日におきまする証人の
発言によりましても、六人見えておられましたが、各証人ともこの三條は成るべく狭く
解釈することが必要であり、そうして、でき得ればそれが他の
團体の
目的、或いは
協会の
目的の
行動を阻害しないようにすることが飽くまでも必要であるというようなことが述べられまして、殆んど私の
修正しようとする意図と合致しておるものであり、そうしてこの原文、及び先程の
竹下委員からの
修正案は、証人の
説明を殆んど考慮されていないものである。ということをちよつと附加えて置きたいと思います。それから九條、十條の問題でありますが、これは
寄附の問題であります。
寄附につきましてはいろいろ論議されたのでありますが、この点に関する
寄附は余り論議されなか
つたので、これは或いは見落しじやないかとさえ考えるのであります。と申上げますのは、九條のこの
趣旨は、これは会計帳簿の記載義務であります。会計帳簿の記載義務が九條に載
つておるのでありまして、これが一銭一厘であろうとも、全部記載しなければならない。特に二号を御覧にな
つて頂けば分りますように、
寄附をした者の氏名、住所、職業というようなものを全部記載しなければならないというようなことにな
つておるわけであります。それにも拘わらず、次の十
二條を御覧にな
つて頂けば分りますように、十
二條は
会計責任者のこういう
寄附に関する
選挙管理委員会への届出義務を
規定したものでありますが、これの二号によりますと、一件千円、一件五百円の制限附で届出でるごとにな
つておるわけでありまして、この九條の記載義務と、それから十
二條の届出義務とは金額の上でも相当の開きがあることであ
つて、実際の運用に当りましては、恐らく届出でる必要のないものについては適当に帳簿はどのようにでも書けるということになるじやないか、初めから何か脱法できるようなことが出て來ておるような
意味におきましても、少しおかしいじやないか。これは
形式的な
意味からであります。然るに
実質的な
意味からいいまして、この九條によ
つて、金額に拘わらず、住所、氏名、職業というものを記載して
寄附を受けなければならないということになりますと、例えば
労働組合の場合におきましても、
一つの賃金鬪爭というようなものがあります場合には、当然に今
街頭募金なり、或いは或る大会その他の席上における、いわゆる
資金カンパというようなものが行われておるわけでありますが、これは非常に少額の金額を人数がおるがためにざつと集めるというようなことでありまして、その場合におきましても、一人心々住所、氏名、職業というようなものを記載しなければならないということになりますと、実際上そのような募金、
街頭募金、大会その他における
資金募集に非常に大きな影響を及ぼして、
実質的には殆んどこれを不可能ならしめるというような状態になるわけであります。又このような
一つ非常に
簡單な手続によ
つて、
実質上のそのような
行動が阻害されるということは、非常に大きな影響があると考えて、現在の金額におきまして、少くとも百円以下のものでありますならば、当然にそのような
嚴格な
取締をや
つて、
労働組合その他
團体の今のような
行動を
実質的に阻害させる必要はない、阻害させることはよろしくないというように考えたわけでありまして、十
二條との
法律技術的な関連から、それから
労働組合その他の
資金募集というような
実質的な
意味からと、両方から考えましても、少くとも百円程度のものは除外して記載するようにした方が、より適切である、こういうふうに考えたわけであります。十條の
修正は九條の今の
修正に從
つて條文を書き変えるというだけでありまして、
実質的な
内容を持
つていないのであります。以上でありますが、この三條の問題の二項、それから九條の
寄附の問題、この二つにつきまして外にもいろいろ問題があるかと思いますが、この二点の
修正案を
提出するわけでありまして、皆さんの御了解を得たいと考えるわけであります。