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政府委員(加賀山之雄君) ダイヤ
改正の問題につきまして、組合側がこれは当局が一方的に実施しようとしておると、こういうことを言
つてお
つたことは事実でありますが、当局といたしましては一方的に実施しようとして覚えはありません。從來ダイヤ
改正につきましては、これは一朝一夕にこの案ができるものではありませんので、実は今回実施のダイヤにおきましては、すでにもう一年くらいに亙りまして檢討いたしたものであります。早く実施をいたしたいと
考えてお
つたわけでありますが、その後種々の
事情からなかなか実施ができなか
つたということでありまして、從いましてそういう長い間には、いろいろ
專門家を集め、或いは組合員であると、管理者側の職員であるとを問わず幾度も論議をいたしまして、プランを作
つて參
つたのであります。今回の問題といたしましては、御
承知のように國鉄労働組合は奈良における大会におきまして、幹部に非常な変化があ
つたのでありまして、その後新執行部の成立を俟ちまして、もう七日と実施も迫
つておりますことでありますので、新幹部にこれを提示して反省を求め、
改正の
趣旨並びに方法等につきまして協議を重ねたのであります。然るに組合側におきましては、いわゆる
人員が非常に多く要るという主張をいたしまして、今回の当局の案には急に賛成しかねる、まあ簡單に申せば、何ら明確な具体的な條件の提示もなく、どうだというならば反対する外はないとい
つたような消極的な態度に終始して参りまして、結局明確な賛成がなか
つたということが事実であります。從いまして当局といたしましては、先程申しましたように一日もダイヤの
改正は早くやらなければならない。特に石炭の節約、或いは貨物列車におきましては一億三千万トンの輸送という大なる目的が入
つておりますダイヤでありますだけに、どうしてもこれを早くやらなければならん。再び六月二十五日に私が直接組合本部の幹部に來て貰いまして、最後的にどうかこの
趣旨から言
つて反対はないと思うけれども、尚念のために申入れる、組合側として十分協力と努力を盡されたいということを要望したのであります。そのときにも当時出席いたしました鈴木副
委員長は、單に申入れを受けて置くという態度で、
はつきりとした回答がなか
つた。で、私共といたしましては特に当局の強い反対の意思表示がない点からみて、いよいよ実施の肚を決め、その準備を更に進めたのであります。然るにその後中央鬪爭委員会において、二十六日の翌日の中央鬪爭委員会において、現在のダイヤを実施するという指令第九号というのが決りまして、それを土曜の夜発信をされておる。そして我々に対しましては、その翌日は日曜でありますので、翌々日の月曜の朝に至りまして書面を以て、使いを以て、当局の案には賛成できない、指令第九号を発して組合としてはこのダイヤ
改正を阻止する手段を取るという重大な通告を受けたのであります。我々は誠に驚愕いたしまして、早速組合幹部と会見いたしまして、同じことを繰返したのでありますが、組合としては変える意思がないということで、その後再三新聞紙に現われておりますような折衝を重ね、結局組合といたしましては最後に漸く健在な
判断に立戻りまして、いわゆる指令第九号を取消したという指令第十三号を、昨日の夕刻始めて発信したという始末であります。で一方的だという意味がどういう意味か
はつきりいたしませんが、勿論このダイヤ
改正のごときは、当局が
責任を以て実施すべき事柄であると私は確信いたずのでありまして、そのためにはどうしても労働組合の協力を求めなければならんと存じますが、その協力を求めたことに対して、これを確実に、或いは速かに回答を私はなすべきものである。反対するならば反対の要点を具体的に挙げて、こういう点が反対であるというならば、当局としてもその点について勿論考慮すべき問題があれば考慮する、訂正すべき点があれば訂正するのであります。そういう点がなければ荏苒日を延ばすということでは、当局のこの國鉄の運送の
責任は完うできないのでありまして、
從つて最後的には当局の
判断において、当局の
責任におてい時刻
改正をいたさなければならん、こういう決心をいたしました次第であります。幸いにして組合はそのちぐはぐの指令を取消されましたので現在の
事情といたしましては、明七月一日から支障なくダイヤの
改正、移り変りができるものと確信いたしておる次第であります。從いましてその一方的という意味は、そういう経緯によ
つて、組合側は一方的にと言
つておりますが、当局といたしましては何ら組合に相談をせずにや
つたこととは
考えておらないのであります。第二段のこれによ
つて労働の強化はないか、
人員が足りなくはないか、或いは運轉の保安度が落ちやしないか、こういう御懸念でありますが、元々今回のダイヤ
改正は從來のやり方でありますと、列車キロの増加に伴いまして多くの
人員を計算いたしまして増加し、これを新規採用するのが例であ
つたのであります。然るに最近の運賃問題で、これは御
承知のように國鉄の経営面において人が多過ぎやしないかということが責められておるわけでありまして、我々といたしましては漸次戰前の水準へ帰る、一歩でも帰
つて合理化するということを
考えなければならないのでありまして、そういう点からいたしましてできるだけ能率的、合理的にや
つて行こうという見地から運轉取扱心得を
改正いたしまして、これによ
つて例えば機関助士というものは普通の計算で参りますと、今回の
改正で二千数百人を要するという勘定になるわけでありますが、これは複線区間の自働信号区間における四トン以下の石炭を焚く区間におきまして、つまりロードの軽い区間であります。この区間におきましては、機関助士を一名以上持つ、從來二名以上であ
つたものを一名以上にする、そこから機関順士を浮かせるという方策を取ろうとしたのであります。又実は全面的に機関士が余剩がありまして機関助士が足りない、それは
関係方面の
指示によりまして、從來ずつと七名以上であ
つた機関助士を
一つきの二名乘務にしたらということから來ておるのでありますが、ロードがそんなに重くないところで信号注視の
責任は自動信号区間の保安度の高いところであるならば、必ずしも二人は要らない。それで
関係方面の了解を得まして一名にした、一方機関士の方面の余剩の分は、その中には機関助士から上
つた若い連中がおりますので、その若い連中は一時機関助士の仕事をして貰う。尚且つ不足はいたすのでありまして、結局千六百人程度の
人員を新規採用せざるを得ないという実情であります。從いまして
人員の面におきましてはそうしたやりくりはいたします。やりくりはいたしますが、又從事員の努力は是非とも要請しなければならん、労働を強化する、現在の労働から急に非常にこれを強化するということはないのであります。又もう
一つの例といたしましては、車掌でございますが、車掌におきましても、短区間殆んど閑散な区間でストツプのしない区間においては、車掌の乘務を省略する、或いは車掌の前部、後部兩方に、全列車乘せておりますのを、区間によりましては一人乘務にするとい
つたことで、車掌を浮かせるということもや
つているわけであります。從いましてそうしたやりくりをいたしますことによりまして、どうにか今回の時刻
改正をやろうというやり方を
考えたわけであります。予算
人員におきましても六十二万七千五百人の
人員でありますが、殆んど労働基準法
関係の
人員を採用いたしてしまいますと、もう二千人程度の余剩よりないということになるのでありまして、この二千人程度の者を全部駆り出して今回の時刻
改正に充てた。でそれでも足りない分を今申しましたやりくりによ
つて動かすという方法を取
つたわけであります。これについて労働強化がないか、保安度の低下がないかというお尋ねでありますが、労働の強化ということにつきましては、先程の機関助士の例によ
つて見ましても、又車掌について
考えて見ましても、労働の強化はありません。保安度の問題につきましては
考えようでありまして、國鉄始ま
つて以來数十年間こういうやり方をして來たわけであります。
関係方面の
指示によりまして戰後いわゆる機関助士の二名、車掌の二名ということが始ま
つたのです。それは二名より三名、三名より四名の方が保安度が高くなることは当然でありますが、現在の國鉄といたしましては、それ以上のことができない。ただ先程申しました省略区間が自動信号区間であり、又或いは行き違い列車等のないところの車掌を省く、機関助士については自動信号区間の而も四トン以下の石炭を焚く区間について省くというのでありますから、保安度についての心配もない、從事員が努力さえして呉れれば心配がないというように
考えているのであります。併し組合とは、尚疑念があるならば先ず時刻
改正の蓋を明けて具体的に
地方で実施をして、その上で非常に工合が悪いところがあれば、又協議しようじやないか、組合も團体交渉に應ずるということを申しておるのでありまして、勿論労働條件の問題につきましては、組合と篤と話をいたさなければならないと
考えている次第であります。