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1948-06-21 第2回国会 参議院 運輸及び交通委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月二十一日(月曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件 ○國有鉄道運賃法案内閣送付)   —————————————    午前十時四十四分開会
  2. 板谷順助

    委員長板谷順助君) これより会議を開きます。前回に引続きまして運賃改正に関する質疑を継続いたします。どうぞ御質問を願います。  それから尚安本長官大藏大臣は十時までに來る約束でありましたが、衆議院の財政金融委員会に出ておつて、その模樣を見てこちらへ來ることに申出がありました。
  3. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 貨物輸送の対策について運輸大臣お尋ねいたしたいと思います。先程当委員会が主張いたしまして、輸送力増強に関する決議をしたのは、決してお座成りや何かではないのでありまして、日本経済復興には輸送力を増強するのが根本であると考えたからであります。それ以來当委員会としては、あらゆる機会関係者並びに各省大臣なり、或いは運輸当局者の援助を與えるように要請しておるのでありまして、この点に関しましては運輸大臣は再三感謝の意を表せられておるのでありまして、まあ安本長官輸送方面に対しては労需物資を極力増加するというように言明しておるのであります。それならばこの輸送力も向上する筈だと思いますが、又却つて輸送をもつと円滑にすれば、國鉄走行キロももつと活溌になり、輸送量が増加する筈ではないかと思うのであります。又例えばロープなんかにいたしましても、十七万本くらい要るというのが、今現実に聞いて見ますと一万本くらいしかない、こんなものはもう少し力を盡せば五%や六%の積載効率を高めるということはできると思います。運輸実務者はいろいろと言われるでありましようけれども、それを押切つて國家のために輸送量を増加するということは、これは大臣の最も大なる責任ではないかと私は思うのであります。大臣はこの輸送力増強決議に対しまして、如何なる処置をお採りになるか、一度でも運輸省事務当局に対して増強しろというような強い命令を発せられたことがあるかどうか、先ずそれを承りたいと思います。一億二千六百万トンの据置きでは、曾ての輸送力増強決議というものが、泣きやせんかと私は思うのであります。大臣は如何なる御処置をお採りになるか、伺いたい。
  4. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) 輸送力増強決議案に対しまして感謝意思表示をいたしております。又それには心から増強政策を実行に移さなければならんと考えておりまして、抽象的には、浅岡さんが言われましたように、指示を與え、又省内準備も著々行なつておりますが、具体的には、只今予算案がまだ審議中でありまして、その予算から承認されて参ります労需物資、すべての修繕用或いは運営用資材等が具体化するときを以ちまして、具体的な命令を出したいと思いまして、今準備中でございます。運賃法も、予算案も、大体我々の予想よりは遅れる傾向にはございますが、数日のうちに修正するかしないかの結果が國会によつてお附け下さるのじやないかと思つて、それを待ちながら具体的方法を織込みました増強命令をその後に発したいと思つております。
  5. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 只今運輸大臣説明で諒とするところもありますが、とにかく予算案通つた曉におきまして、具体的な面を以てそうしてそうした処置をするとおつしやいますが、併しこの予算案が通る通らん、或いは今審議の過程にありますが、とにかく日々汽車は動き、貨車は動き、船も動いておるのですから、その面に対しまして、これは一刻も忽せにすべきじやなく、而も國会におきましてはもう満場総意を挙げて決議賛意を表せられたのであります。ですから、その賛意を表せられた直後から、その予算審議、或いは予算決定を待つまでもなく当然なさるべきじやないか。私まだ不幸にいたしまして、この決議が上程され通つたその曉において、大臣省内に対して、國会としてはこういう意思が強力に発せられておるのだというようなことを、まだ寡聞にして聞かないのですが、今大臣から具体的な面を以てやるとおつしやいますが、そうしたように時を遅らしていいものかどうか。実際現実においてそういうふうに時を遅らせる、或いは遷延するということを許さない時期に現在あるのじやないかと私思うのですが。
  6. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) 淺岡さんの御質御尤もでございます。私共考えております具体的に織込めるまで待つということは、御指摘の通りの優柔不断にもなるかと思うのでありますが、幹部と協議いたしまして、若し数日中にその方が決定いたさん場合には、何らかの方法を考慮いたしたいと存じます。
  7. 板谷順助

    委員長板谷順助君) よろしうございますか。申込み順序によりまして発言を許します。村上君。
  8. 村上義一

    村上義一君 國有鉄道運賃法案が本國会に初めて提案せられ、而もその中に織込まれておる運賃現行から旅客貨物共に三倍半にするという点、その他種々重要な内容を織込んでおる次第であります。で私はこの輸送原價についてお尋ねいたしたいのであります。  國有鉄道運賃輸送原價を基調として、運賃負担力を限度とした、いわゆる経済運賃であるということは最も望ましいことでありまするが、併しながらそのときどきの國家全般政策に鑑みて、相当の変動を見ることがあるということは、これ亦止むを得ないことであると思うのであります。併し如何に政策運賃を実施するとしましても、その基本となる経済運賃が如何なるものであるかということを根柢において明らかにして、然る上に政策運賃決定すべきであると思うのであります。過日運輸大臣から輸送原價收入との比率につきまして、旅客は十七割九分である、即ち輸送原價に対する收入割合は十七割九分、貨物は四割六分であるという御説明伺つたのであります。ただこれにつきまして、この比率は六月十五日を境としまして現行の物價賃金体系によるものと、六月十五日以降は新物價改訂によつて原價を算出せられたものと想像するのであります。又收入額につきましては、六月十五日を境として現行運賃と、そうして三倍半の値上げ後の收入と合算したものによつて算出せられた比率であると想像するのでありますが、かく解釈して差支ないかどうかという点を先ず以てお伺いしたいと思います。  第二点におきましては、今日旅客運賃と申しましても、普通旅客運賃と、定期旅客運賃との間には、非常な開きがあるのでありまして、定期客につきましては著しい政策運賃が行われておるのであります。又貨物運賃にしましても、一車扱運賃小口扱運賃との間に、これ亦異常なる差があるのでありまして、旅客につきましても普通と定期と、又貨物につきましても車扱小口扱と、この四つに分けた輸送原價に対する收入比率を伺いたいと思うのであります。若し大臣からこういう数字を御説明願うのも煩瑣でありましたら、政府委員の方から説明を伺つて結構であります。
  9. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 委員諸君に御相談をいたしますが、只今與党三派の間で運賃問題について関係大臣が協議をやりたいから、運輸大臣にも暫く席を外して来て貰いたいという要求がありましたが、今事務当局の御答弁でよろしければ、大臣は暫く退席したいという申出がありますが、如何ですか。    〔「賛成、止むを得ない。」と呼ぶ者あり〕
  10. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それじや結構です。藪谷政府委員
  11. 藪谷虎芳

    政府委員藪谷虎芳君) 運賃決定には、御承知通りコストから考察した面が一つ、國の財政、或いは國鉄財政から観察したものが第二、國民負担力、或いは物價に対する影響等負担力の面から見ました考察が第三、これらを総合して考えるべきでありますが、只今お尋ねはその第一点のコストの問題でありますが、二十三年度における予算輸送原價との割合を申上げますと、輸送原價に対する收入割合は、先ず國鉄について見ますと、旅客が一・七九であります。荷物が〇・三四であります。貨物が〇・四六であります。これを平均いたしますと、〇・九二になります。即ち國有鉄道だけでは貨物旅客総合いたしましても尚一に満たざること〇・〇八というものが出て参りまして、即ち本年度において一般会計から百億余り繰入れるという赤字が出て参るわけであります。かような面から見ますと、貨物運賃に尚引上げる余地があり、旅客はもう少は安くせよとの議論がコストの面からは出て参るのでありますが、他の負担力、或いは財政政策等の見地からして、今回おのおの三倍半の値上を決定いたした政府の案を作つたわけであります。
  12. 村上義一

    村上義一君 私が今お尋ねしました意味合、言葉が徹底しなかつたためかと思いまするが、私の今お尋ねした第一点は、旅客輸送原價收入との比率十七割九分、又貨物の四割六分、只今説明の小荷物三割四分ということでありますが、この旅客なり貨物なり、これらの比率は本年度の途中において物價体系賃金体系変更せられる。要するに支出輸送原價の面においても、六月十五日を境として変更になるという前提で御調査になつておるのじやないか。收入においても亦六月十五日を境として、現行運賃と値上後の運賃とによつて收入を併算してこの比率ができたのじやないかと想像するのであります。私の想像で間違いないかどうかということがお尋ねする第一点であります。  第二点はこの旅客十七静九分というものを、普通旅客定期旅客とに分けて比率示して頂きたい。又貨物の四割六分という比率を、車扱收入小口扱收入とに区分してお示し願いたいという二点であるのであります。
  13. 藪谷虎芳

    政府委員藪谷虎芳君) 第一点の方は村上さんのおつしやる通りでございます。  第二点の御要求でありますが、只今まだ詳しい調査はできかねておりますので、旅客定期定期外につきましては、計算はしておりませんが、今申しました旅客一・七九なる数字に対しましては、恐らく定期以外は二・以上になることと思います。定期は一ケ月、三ケ月、六ケ月各各数字が違いまするが、これ亦從來実情から見まして、殆んど貨物と等しい〇・四七程度から〇・四六程度になることと存じております。  それから貨物の方は小口車扱に分けますというと、村上さんの御承知のように車扱いの方が殆んど九〇%を占め、小口扱の方が殆んど一〇%に過ぎないような少いものでございますが、そのコスト車扱が恐らく〇・四八内外、小口扱が〇・四程度になろうかと、私が從來数字から推算いたす次第であります。
  14. 村上義一

    村上義一君 政府委員の方に、只今ここで詳細の数字を持合せてないようでありまするが、併しこのコストは先ず以て私共はつきり把握して掛がらなければ、この運賃の是なるや非なりやという問題を審議することができないと思うのであります。今回提出せられました國有鉄道運賃法の第一におきましても「原價を償うものであること。」という事項が運賃決定する場合の四つの項目の一つとして掲げてあるのであります。このコストを知ることが運賃を考察する場合の基本でなくてはならんと思うのであります。現に昨年八月経済白書國有鉄道白書を我々に提示せられました当時、普通旅客は十六割六分である、定期旅客は二割八分である、車扱貨物は三割三分、小口扱貨物コストに対して收入が一割九分にしかならんという説明伺つたのであります。私の記憶が間違いないとすれば、そういう数字説明を得ておるのであります。今回かくのごとき、根本的に國有鉄道運賃法決定するというに際しましては、しつかりした数字を伺わんければ、審議に入れないと思うのであります。若しここにお持ち合せがないならば、至急にこの数字を御檢討になつて一つ示しを願いたいと思うのであります。
  15. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 尚委員長からも要求いたしますが、この原價計算につきましては、只今村上君から要求された通りであります。或は正確の数字ができるか、どうか分りませんが、とにもかくにも大体の原價コストというものが標準となつて、我々はその審議に当りたいと思うのであります。念のために伺いますが、この原價計算の場合において、予備費減價償却というものが加えられているように私は感じておりますが、それはどうなつておりますか。
  16. 加賀山之雄

    政府委員加賀山之雄君) 両方加えてございます。
  17. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 尚念のために申上げますが、予備費十五億円と、減價償却の六億というものは、こういう今運賃値上せねばならんという重大な場合において、これを加えない計算と、今あなたの方では加えているというお話しであるから、加えた計算と、両方の一つ示しを願いたい。我々は場合によると、予備費或は減価償却というものは、原價に加うべき性質のものじやなく、この際はこれは除くべきものだという解釈を持つておりますから、念のためにそれを申上げておきます。
  18. 村上義一

    村上義一君 次にお尋ねいたしたいのでありますが、戰時中から低物價政策政府は堅持せられて、貨物運賃につきましては、非常な政策運賃を実行せられて、戰後においてもますますその政策の強調しつつ今日に至つたと思うのであります。併しいずれにしましても経済的運賃を大体決めて、然る上に政策運賃の額を勘案するということが順序であるのは当然でありまして、経済的運賃は、私見としましては、輸送原價を償う、併しながら輸賃負担力を超えないという点を勘案して、経済的運賃が決まるのである、又決めるべきであると信じつつおるのであります。  この運賃負担力という観点からしますれば、今日の遠距離逓減制について再檢討を要するのではないかということを痛感いたすのであります。旅客貨物は丁度逆になつて來ると思うのでありますが、今日旅客は百五十キロを境として二つのゾーンに分れております。これを今少し小刻みにして四つか五つのゾーンにするということが至当なんじやないか、又貨物相当詳密に今日遠距離逓減制が実施されておるのであります。大体旅客と同じくらいに四階段乃至五階段ぐらいのゾーンにすることが適当なんじやないか。  同時に貨物につきましては等級表の再檢討を要するのではないかということを、実情に鑑みて痛感するのであります。今日貨物輸送するにつきましては、毎月の運輸省で行われている計画輸送に乘る物資につきましては、これは別でありますが、その他の物資につきましては、輸送について輸賃以外の諸雜費が、可なり高額に運輸省支出を要するということはもう明らかな事実でありまして、と申すのは、いわゆる貨物の中の相当なる部分が尚大きな負担力を持つているということを意味するのでないかと思うのであります。これらの点に鑑みまして、等級表の再檢討が必要なんじやないかということを痛感する次第であります。  この遠距離逓減制の再檢討、又貨物等級の再檢討、今一日を爭つて運賃値收入増加をやらなければならんという國鉄財政におきまして、これらのことを直ちに実行するということは、至難な業であると思いまするが、近き將來においてこの点に鑑みて考慮し、実施せられる、改正せられるという御意図がないかどうか、この機会に伺つておきたいと思います。
  19. 藪谷虎芳

    政府委員藪谷虎芳君) 遠距離逓減制は、遠距離旅客優遇策として、日本のような長大な地形の國にありましては適切な施策として、又理論的根拠も、長距離になるに從つて單位あたり輸送費逓減するという点から、從來國鉄においても明治三十二年以來この制度を採用して参りましたことは村上さんの御承知通りであります。併しながらこの制度は最近漸次是正されまして、昭和十七年以來百五十キロを境界にして、一地帶を採用するようになりましたので、この理由は最近のように諸物價の高騰をいたしました経済情勢を考えましては、輸送実費は著しく高騰いたしまして、いわゆるターミナルコストが、輸送費の中で占むる割合が極端に少くなつて参りました。而も距離に比例して單位当りの輸送コスト、ランニング・コストの方が割合に多くなつて來たという点においては、從來のような比ではなくなつたのでありまして、この点が國鉄遠距離逓減制改正しまして、現在一地帶制に改めた最大の理由でありますが、この事情は今日も何ら変更いたしておりません。又他面諸外國旅客運賃制度におきましても、この制度を採用する國も極めて少いので、今日の程度を以てしては現在通り地帶制が適当かと考える次第でありますが、この百五十キロ迄の第一地帶需要人員は大体九四%を占めておりまして、百五十一キロ以上は僅かに六%という程度であります。併しながら今後経済上の変化に從つて十分御注意のように將來愼重に研究いたしたいと存じております。  又貨物運賃は御承知のように現在遠距離逓減制を細かく採用しておりまして、現在のところ十キロの一トン当り運賃に対しまして、五十キロ程度になりますと五割二分ほど減つて参ります。かように百キロ地帶では五割九分減るようになつております。かようにして旅客よりは逓減制を細かくつておりますのは御承知のように村上さんのお説にもありましたように、旅客に比してはターミナルコストが、積替え或いは積下し等によりまして、小運送費用が、余計ターミナルコストの方が掛かる。  もう一つは御承知のように日本のような長大な國にありましては温帶から寒帶方面へのいろいろの物資を而も均等に近い値段で以て、國民に分配するといつたような政策から逓減をいたしておるのでありますが、船運賃との均衡が、戰前に比して逆になりました今日から申しまして、海運再轉移といつたような点から申しましても、村上さんのお説の通り逓減率を少し低めにして、そうした研究もいたさねばならないと存じておる次第であります。現在のところでは一應現行通り制度は適当といたしまするが、今後の経済情勢変化に從いまして將來愼重に研究考慮いたしたいと存じておる次第であります。
  20. 加賀山之雄

    政府委員加賀山之雄君) 等級表の再檢討につきましては戰時中から心掛けて参つて來ておるわけでありまして、かたがた関係方面におきましても、等級表について更に細かくアメリカ式に組替えるといつたことで研究しておりますが、差当りとしましてこの運賃引上げに際しまして先程村上さんが言われましたように、急場の間に合わせるには、どうしてもこれでないと間に合いませんので、今回はそれには手をつけないということにいたしております。又ただこれについて考えなければならないと思いますことは、原價の價格が非常に平常でございませんために、負担力の面から見たアレンジメントは、なかなか現在やるという場合に、却つて公正を欠くようなものが出て來はしないかというような考慮もいたしたのであります。御承知のように、現在十一等級になつておりますが、このままではいかない。檢討はいたしておりますが、非常に近い將來にこれを直すかというお尋ねに対しましては、現在が最も適切な時期であるかどうか、その点の檢討も加えていたしたいと、かように存ずる次第であります。
  21. 村上義一

    村上義一君 次にお尋ねしたいのは、通行税関係でありますが、この通行税從來賦課方法と全然異にして、運賃総額に対して五%ということになつておるように承知いたしておりますが、今回の運賃にこれは含まれておるのでありますか。或いは又この通行税利用者負担となるのでありますが、その点伺いたいと思います。
  22. 藪谷虎芳

    政府委員藪谷虎芳君) 從來は御承知のように、一キロにつきまして、五厘でありましたが、今回は通行税は百分の五に値上になりました。又從來の二十キロ未満旅客については、從來は免税されておりましたが、今回は定期旅客以外は、二十キロ未満と雖も全部掛かることに改正になりました。そこで今回の政府が提出いたして御審議を願います運賃率の中には、勿論從來と同樣に、通行税が含まれておるのでございます。別に旅客から徴收するのではございません。
  23. 村上義一

    村上義一君 利用者をして別個に負担せしめるのではないということでありますと、前刻示されました、旅客全体として、この十七割九分という原價の中に包含してあるのでありますか、それを伺いたいと思います。
  24. 藪谷虎芳

    政府委員藪谷虎芳君) 通行税は除いてございます。
  25. 村上義一

    村上義一君 輸送原價から通行税が五%という額は相当大きい額でありますが、これが原價から除かれておると、そうしてこの收入の中から一般会計通行税として大きい巨額の税を委付されるというと、どうもそれじや非常な又穴ができるんじやないかと。一面において一般会計から、この案の通りとしましても、百億を補給すると、他面において大きい金額を又一般会計に納入すると、この間どういうことになつておるのか、一つ詳細に伺いたいと思います。
  26. 藪谷虎芳

    政府委員藪谷虎芳君) お尋ねの点は、收入からも支出の点からも、共に通行税関係のものは除いてるんですから、今後の処置は要らんと思います。
  27. 村上義一

    村上義一君 尚今の御説明で少し理解しかねるのでありますが、そうしますると、この原價にも入つていないと、それから支出の方にも組込んでおらん。結局國家企業であるから、通行税については、一般会計へ納入しないという申合せ政府部内でなつておるのでございますが、尚伺いたいと思います。
  28. 田中健之助

    説明員田中健之助君) 御説明いたします。國鉄会計制度が二十二年度から発生主義変更になりましたに伴いまして、從來收入予算の計上方が変つたのであります。昔は、二十一年度までが、通行税國鉄收入予算上ありまして、それから通行税を、相当額鉄道特別会計から一般会計を納入する。それも支出予算に計上しておつたのであります。ところが二十二年度からは、從來現金主義発生主義に変りましたに伴いまして、鉄道の純收入にならないものは、運輸收入に挙げないと、こういうように原則が変更になりましたので、通行税收入は、予算的に鉄道運輸收入に挙げない、それから一般会計への特別会計からの通行税納入経費に立てない。こういうように変りましたので、收入経費いずれにも通行税額は上らないということになりましたが、事実問題としては、國鉄旅客から通行税を徴收しまして、それを一般会計へ納入すると、こういう事実は事実として残つておるわけでありますが、ただそれが鉄道予算、決算を通らないと、こういうふうになつたわけでありまして、今回提出いたしました予算にも、從いまして通行税收入收入に入つておりませんし、それから通行税一般会計へ納入する額も、経費の中に入つていない。こういうことになつておるわけであります。
  29. 村上義一

    村上義一君 只今國鉄收益勘定の立て方が、純收入、純支出主義で、通行税は計上しないという御説明で、この点了解しました。併し三倍半にこの法案のごとくなるといたしますれば、この三倍半の中には勿論それに対する五%というものは含まれてある筈であります。そういうことになりますと、地方鉄道軌道等私的企業におきましては、どういうことにこれがなるのでありますか。私的企業で、一年例えば十億の総收入があるという場合には、五千万円の大体通行税拂わんならんということに、非常にこれは大きい問題であるのでありますが、そうしてこれについて、やはりそれぞれ私企業者から五分の通行税を拂うと、こういうことになつて來るのは当然だと思うのでありますが、これはそういうことで間違いないか、一つ政府自身の尚説明を伺いたいと思います。
  30. 加賀山之雄

    政府委員加賀山之雄君) その通り考えて頂いてよろしうございます。
  31. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 尚私からお伺いしますが、先だつて大臣説明には、運賃三倍半の値上中には、通行税を含んでおるんだと、こういう御答弁があつたのであります。ところが今承わつて見れば、つまりこの收入にも支出にもそれを計上せんということになると、結局政府間に國鉄通行税は徴收せんというような申合せがあるのか、その点は村上委員からもお尋ねなつたがそれに御答弁がないようでありますが、どういうことになつておるかもつとはつきり……。それから通行税推定金額はどのくらいの見当であるか、それもちよつとお知らせ願いたいと思います。
  32. 加賀山之雄

    政府委員加賀山之雄君) 前段についてお答えします。先程申しましたように、通行税鉄道といたしまして旅客から徴收するわけであります。徴收いたしましてこれを一般会計、即ち國庫へ納入するわけであります。その事実は確かにあるわけであります。ただそれを予算に計上しない。純收入、純支出でないから予算に計上しないというだけでありまして、徴收して納めることは事実であります。金額は二十三年は約三十億ございます。
  33. 板谷順助

    委員長板谷順助君) そうすると尚念のために伺いますが、例えば三倍半の中に含んでおるということであるが、この率が訂正された場合においては、その点が又余程違つて來るのですね。それはどういうふうにお考えになつておるか。
  34. 加賀山之雄

    政府委員加賀山之雄君) 今度定額ではなくて定率になりましたために、いずれの倍率になりましても、その五分というのに相当する通行税一般会計に納入するという形になる。從つて先程申上げました三十億の通行税が減るという格好になります。
  35. 村上義一

    村上義一君 この國有鉄道運賃法の附則の問題でありまするが、附則の十條には「公布の日から七日をこえない期間内において、政令でこれを定める。」十一條には営業法の一部の改正が載せられて『「一月」を「七日」に改める。』ということになつております。この営業法の本文の書き方は一ケ月以上は公示せなくてはならない。運賃を値上げする場合、又その他の運送條件の変更をする場合には、一ケ月以上法の示す場所に公示をしなくてはならんという意味の法文であると思うのです。十條と十一條とは内容を異にするものでありまするが、併し運賃値上を実施するという観点から申しますると、十條では國有鉄道運賃値上は、この法律が公布せられてから七日間以内に実施せなくてはならんということに相成つております。十一條の鉄道営業法の改正の法文を運賃値上という事実に当てはめて見ますると、一ケ月を七日に改めるのであります。私鉄関係はここに國有鉄道以外の鉄道運賃値上には七日以上は公告をせなくてはならんというように読めるのであります。この両者の間に運賃値上という一つの事実に対して異なる措置になつて來ると思うのです。この点について政府当局の立法の趣旨を、御説明願いたいと思います。
  36. 藪谷虎芳

    政府委員藪谷虎芳君) 先ず附則第十條でありますが、國鉄についてのみ從來と違つて、営業法所定の公告期間を排除して、十條によつたかという問題でありますが、國鉄運賃國会における法律の審議によつて十分國民に予告できますと共に、施行期日の定め方によつて如何ようでも國民の代表である國会の御意思に副い得るのでありまして、営業法の規定とこの法律の施行期日との間に誤解を生ずる必要をなくするために、排除いたしたのであります。  そこで第十一條の関係になりますが、今までの鉄道営業法第三條第二項は御承知のように「運賃其ノ他ノ運送條件ノ加重ヲ爲サムトスル場合ニ於テハ前項ノ公告ハ一月以上之ヲ爲スコトヲ要ス」とありますが、それを今度は「國有鉄道以外ノ鉄道ノ」を入れますと、結局國有鉄道以外の私設鉄道その他の運賃を意味するわけでありまして、これを「一月」を「七日」に第二点として改正いたしましたのは、最近の物價の状態と運賃値上に必要な手続とを考えますときに、一ケ月の予告期間は余りにも長い。そのために経営困難に陷る会社等も出て來ることが予想されるのであります。從つて七日は常識上最も妥当でありますし、去る第一回國会にも七日に短縮する改正案を提出いたしまして御審議を願い、衆議院の分は可決を頂いた経緯もありますので、今回も亦七日にいたした次第であります。  そこで國有鉄道の実施時期と私設鉄道の実施期日とを如何にして等しくするかという問題でありますが、大体法律の御審議によつて公布の日から七日を超えない期間内において、重要な法案でありますから、成るだけ早く政令で定めて実施するということになりますと、それから実施する日を逆算いたしまして、私設鉄道運賃の実施を、運輸大臣が十日なり或いは七日なりというものを告示して、議会に審議を願うのに、國有鉄道以外の運賃については國民の利害関係がありまするが故に、ここに七日以上を告示しなければならんという義務を負わして、その期間と合せて両方考えて、大体概ね同日に今後実施いたしたい、こう考えている次第であります。
  37. 村上義一

    村上義一君 只今の御説明で少し理解しかねる点があるのですが、それでは改めて更にお尋ねしたいのですが、この國鉄運賃値上を実施するのは七日以内、本法の施行と同時に実施することになると思うのであります。從つて七日以内、五日でも四日でもいい、こういうことになるように思うのであります。そうして私鉄については七日以上ということになるわけであります。逆算してというお話でありましたが、これは必ずしも同時に施行するということでなく、時には別の日に実施するということを予想しておられるのですか。この点重ねてお伺いして置きたいと思います。
  38. 藪谷虎芳

    政府委員藪谷虎芳君) 一緒になつた場合には先程御説明しました通り、例えば六月二十五日に本運賃法通りますと仮定いたしますと、成るだけ七日以内に政令を以て掲げて、七月一日から実施するということになりますと、これと合せて私設鉄道は少くとも二十二、三日には公告を一般の駅に出して國民に知らせなければならん。こういうふうなことになります。それから別々な場合も勿論ありますので、形式的には十條、十一條の平仄が合いかねますが、実質的には政府の法の運用によつて十分考えて行きたいと存じております。
  39. 村上義一

    村上義一君 一應私の質疑は打切りまするが、一番最初お約束願いました普通旅客定期旅客車扱貨物運賃小口扱貨物の運送原價とそれぞれの收入との比率はいつ提示願えるでありましようか、その点を伺いたいと思います。これは成るべく早く御提示願わなければこれが基本になると思うのであります。これを伺わなければこの値上についての意見が定めかねる次第であります。寸時も早くお示し願いたいと思うのであります。
  40. 板谷順助

    委員長板谷順助君) どうです。いつお出しになるか……。
  41. 田中健之助

    説明員田中健之助君) 明後日の午前から大丈夫です。
  42. 早川愼一

    ○早川愼一君 私簡單に質問いたします。この間中村委員の質問に対しまして、運輸大臣から例の今回の値上による利用減のつもりが五%になつているが、それは事実可なりむずかしい、五%に止まらないであろう。こういう意味の御答弁がありました。その場合は経費節約その他によつて合せるのだこういうお話がありましたが、過般の公聽会におきましても私鉄側の方の経驗から七割五分の値上によりまして僅かに收入は三割の値上に止まるこういう事実が最近の実例としてあるのであります。そういたしますというと、この五%は甚だ今日の実情においても無理であります。更に運輸当局自体も五%というのは過小見積りである、こういうふうにいわれておりますが、これをもつと端的に、何だか我々の印象によりますと、收支の見積りを辻褄を合せるために止むを得ず五%に止めている、こういう印象が残つたんでありますが、それといたしますると、この運賃値上自体そのものにも非常に欠陷があるというふうな印象を受けるのであります。それらの点についています少しくはつきりしたお見通しを願いたい。
  43. 加賀山之雄

    政府委員加賀山之雄君) 早川さん御指摘の点は誠にその通りと我々も考えるのでございまして、手固く收入を見積りますことは我々の当然なすべきことと考えるのでございますが、我々の見地といたしましては、できるだけ運賃の倍率を少くしたい、一般会計の財源が少うございますので、その財源の方からの制約も受ける。両方の意味からいたしまして、端的に申しますれば少々危惧はありながら五分減程度に見積つて、今後の経済事情なり國鉄輸送事情によつて、或いは、更にインフレの状態に関連して、この数字が変つて参る。昨年度におきまして、やはり同じ比率によつて値上を行つたのでございますが、昨年度の成績でございますと、大体この程度に納まるという見当が附くわけであります。併しながら今回は昨年度三倍半値上したものを又三倍半にするのでございますので、その点が今回は非常に違うような氣がいたします。我々といたしましては手固く参りますれば少くとも一割は見込むべきであるということを考えますが、そういうところに確かにこの予算の危ない点がございます。併しながらこれは五分減で、これは一に見通しでございますので、これでは絶対いかんという根拠を私は見出し得ない。先程申しましたように経済事情なり、今後の輸送力に関連いたしまして、我々といたしましては先程の浅岡さんの御意見がございましたように、できるだけ旅客を発賣制限をしないで、何とかしてもつと自由に汽車に乘つて頂くという氣持もここに含くめて五分減、かようにいたしておる次第であります。從いましてこれは五分減に終りませんければ、更に節減も図らなければなりませんが、節減だけでは運輸省としてやつて行けない場合は、他に何か方法を講じなければならないというふうに考えております。
  44. 早川愼一

    ○早川愼一君 次にお伺いしたいのは、独立採算制という言葉が度々出るのですが、この独立採算の意味、企業に独立採算制が必要だといわれておる半面には、その企業自体で收支を償つて行く、或いは採算を採つて行くというふうな意味を含んでおり、從つて事業の運営について或る程度の責任が持てるということが独立採算制を喧しくいわれる点であろうと思います。どうも今回の運輸省のこの運賃値上につきましては、こういう見地から見て果して運輸省として企業の責任をとり、この收支の辻褄を合せて行くという自主的な点が非常に欠けておるように見えるのでありますが、それらの点について、或いは今後事業運営において、從業員全体を引締めて行く上においての、独立採算制が非常に欠けておる点については、どういうふうなお考えで運営の責任をとつて行かれるおつもりでありますか、その点を確かめておきたいと思います。
  45. 加賀山之雄

    政府委員加賀山之雄君) 先程申しましたように、本年度といたしましては、極力独立採算制に近付くと申しますか、その方向に持つて行くように、編成をいたそうという努力をいたしました次第でございまして、現下の情勢からいたしますと、この方向は確かに間違つていないのでございますが、ただ現下の財政経済の事情からいたしまして、急速に独立採算制を徹底いたしますことは、困難であるということからいたしまして、依然としてこの收支の均衡を合わすという意味からだけで申しまするところの独立採算制におきましても、尚一般会計との関係におきまして、補給金を繰入れる措置を採るという止むなきに至つておる次第でございます。  更にこれをいわゆる標準原價を作りまして、各機関毎に独立採算制を徹底して行くという問題に相成りますと、これは相当日時を要する問題でございまして、從事員を引締めて行く面からいたしますと、むしろこの問題が最も重要な問題に相成るわけでございますが、極く簡單に申せば、請負制度のような制度によつて、運用いたして行くという方法も考えられないこともないと思いますが、これも亦現在の予算制度からいたしますれば、これを極端に実施するということも困難なことは、すでに御承知通りであります。從いまして我々といたしますれば、ここに根本的には機構の問題、つまり非常に方々の制約を受けて、予算的に或いは資材的に或いはその他の面から、手取り足取り制約を受けて行くのでは、國鉄の独立採算制はとても望み得べくもないと考えておりますし、更に会計の問題にいたしましても、現下の予算制度に縛られておりますのでは、これも見込がないというふうに考えます。從いましてこれらの根本的の改善を加えますと同時に、現場の各機関の仕事を、いわゆる標準化して行かなければならないのでございますが、これは実を申しますと、現在の経済事情の下では、非常に困難ではないか。いわゆる標準原價を立てるということが、今の人件物件費の、この浮動の時期におきましては非常に困難ではないかというふうに考えておるわけでございます。先程から申しますように根本問題と合せまして、今後における我々の大きな課題であるというふうに考えております。從いまして今回試案として御覧に入れましたところの五ケ年計画におきまして、その過程中において、この実現を期するというように、私共としては考えておる次第でございます。ただ本年度といたしましては、非常な窮屈な予算に相成つておりまして、收入面におきましては先程申上げましたように、見積りが非常に過大とは申せないにいたしましても、手固いとはいえない。又支出面におきましては、極度の節減を大藏省との協議において受けておりますので、この予算の運用は今年度においては実に困難であるというふうに考えております。從つて我々が好むと好まざると、又強いせれると強いられざるとに拘わらず、経営の合理化、経済の節減ということに対しまして、極端なる方法を講じなければならん。從つてこの予算の枠内におきまして、我々といたしましては、各現場機関にこの点を強調いたしまして、從來つて参りませんでした手段を何か採らなければなるまい。先程も早川さんが申されました現場を引締めて行きます前に、請負制度にして行かないまでも、何かそういつた手段を講じて働く氣持を持たせ、働いた者にはそれをよく見てやるという方法を講じなければならんというふうに考えておる次第であります。
  46. 早川愼一

    ○早川愼一君 今一度運輸当局にお伺いいたしたいのでありますが、何か今度の予算の報奬制度が盛られているということでありますが、その金額方法はどういう方法でございましようか。
  47. 加賀山之雄

    政府委員加賀山之雄君) 從來も僅かなばら予算の範囲内におきまして、僅かながら報奬制度というものはやつて参りました次第でございますが、本年度はもう少しそれを突き詰めて行きたいというふうに考えまして、予算要求いたしましたが、我々が考えましただけの予算は本年度予算面においては獲得することはできなかつたわけでありますが、額といたしましては二億四千万円程度でございます。これは年間の総額でございます。その外に他の部門に対する額が約一億ばかり持つております。つまり部外に対する報奬的なものでございます。このやり方といたしましては、いわゆる基準になるものを定めまして、その基準以上に出たものを累進的に報奬して行こうというのでございまして、例えば貨車の運用効率にいたしましても、これを貨車の停留時間等から計算いたします。或る一駅の停留時間が從來は十七時間であつた、これを実際だとその駅では十五時間でやられる。又やらなければならん、それを十三時間でやつた、一車について二時間を短縮した、こういつた具体的な数字からいたしまして報奬をいたして行こう。これは單に勿論労働強化等によつてでなく、通信機関の整備でございますとか、或いは何と申しますか、小運送を合理的に利用いたしますとか、或は荷役を機械化いたしますとかというような面でやつて行きたい。勿論それに関係する從事員が能率を挙げてやらなければならないことも当然だと考えますが、そういうような見地から報奬をいたして行きたい。これは例を貨車に採つていたしましたのでございますが、或いは車輛の修繕面においてもかかることがございますし、又線路の保守面におきましてもかように考えておる次第であります。
  48. 早川愼一

    ○早川愼一君 物價廳の政府委員がお見得になつておるのでお伺いしたいのですがよろしうございますか。
  49. 板谷順助

    委員長板谷順助君) よろしうございます。
  50. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 その前にちよつて報奬制度について……。
  51. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 早川君、よろしうございますか。
  52. 早川愼一

    ○早川愼一君 どうぞ。
  53. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 この報奬制度の問題ですけれども、これは大藏省で策定される問題と思いますが、今のお話では二億四千万円ですかの予算、そうした面に対してはこれは大藏省として強力にやつたけれども、それが二億四千万円に止まつたというのでしようか。或いは大藏省の方でこの程度のものだというふうに押えられたのか、どつちが強く主張されておるのでしようか。
  54. 加賀山之雄

    政府委員加賀山之雄君) 当初の要求におきましては実はもう少し多額の報奬金を我々といたしましては必要であると考えて、強く要請をいたしましたが、結局いわゆる財源と申しますか、結局そういつたことが又運賃の率に響き、又、運賃の率が押えられれば、一般会計からの繰入額が殖えるという見地から、大藏省において査定を受けたと申しますか、率直に申上げてそういう事情でございます。ただ我々といたしましては、その報奬金が單なる給與の変形になつてはならんと思うのでございまして、現在の給與が能率給の域からは遥かに離れておるのでございまして、せめて報奬制度予算を極力そういつた面に使つて行きたいと思います。ところが、人件費全体は三百億とかいうようなときに、僅か二億ぐらいの報奬金は我々として決して十分な額とは考えておらないのでございます。何とかしてこの運用を巧くやりまして、能率を挙げるようにいたして行きたい、かように考える次第でございます。  それから序でにちよつと答弁さして頂きたいと思うのでございますが、委員長から減價償却予備費等を落した支出予算で以て組んで見ろという仰せがあつたのでありますが、減價償却につきましては、これは実際の意味から申します減價償却費用を見込ますならば、どうしても百億以上のものを見込まなければならないのでございまして、これは全く六億、僅かではとてもこれは問題にならない額でございます。ただ法律において定められてございます点と、たとえノミナルでございましても、この範囲だけでもいわゆる取替、維持の費用をこの中から立てる、從つて先程の國有鉄道全体の健全化を一方で進めるという意味で、計上いたしております次第でございまして、これを取除いて行くことは、私はむしろいけないのではないかというふうに考えておるのであります。  予備費につきましても、これは落せと言われれば勿論落すのでありますが、この比較は一般会計等の予備費等と或る程度性質を異にいたしまして、毎年起りますところの風水害その他の費用に充てるための予備費でございまして、單純な予備費ではないのでございまして、これはもう実驗上國有鉄道予算の約三分ぐらいに相当いたしますものは、毎年風水害等の應急の工事費、或いは復旧工事費に必要に相成つておりますが、これを落しますと、本年そういうことが絶対にないということならば誠に幸でございますが、例年、もうすでに現われかけておるような始末でございますので、落しても、更にそういつた場合には追加予算ということに相成る性質のものであるというふうに考えております。
  55. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 今後は如何なることが起きましても、とにかく運賃値上について、國民に納得させる。それには、やはり鉄道の内部を或る程度整理する必要がある、こういう意味からとにかく各目として予備費、或いは減價償却、今お説のごとく減價償却のごときは國鉄全体から見れば微々たるものでしよう。けれども私の要求したのは、今後どうなるとしてもこれを除いた原價計算をお出し願いたい。それを一應お考え願つて置きたい。
  56. 水久保甚作

    ○水久保甚作君 議事進行について……。
  57. 板谷順助

    委員長板谷順助君) どうぞ。
  58. 水久保甚作

    ○水久保甚作君 私遅れて参りまして、或いは重複するかも知れません。この運賃價値上につきましては、各党共に意見が異なつておるようであります。それでこの二十三年度の今予算審議中にあります、運賃関係の運輸省予算に対しましては、原案が旅客は三倍、その他は三倍半、こういうふうに相成つておるようでありまして、これが果して閣議決定を経て参つておりますれば、これに対しましては私はかくのごとき今朝の新聞のような記事は出ないと思うのでありますが、こういうような杜撰な案を出して、ここにこの委員会を毎日開いてこれを審議するということは、私は誤りを考えておるのであります。これは政府がここに確たる予算の点を明かにして提出いたしました以上は、これに対してどこまでも維持するという考えを持つておらねばならんと思うのでありますが、この点について今大臣が見えておりませんから、或いは確答ができんかも知れませんが、事務当局においてかくのごとき各與党で意見が違つておるような予算をお出しになつたことについて、この審議をやはりこのままで進めて行かれる考えであるかどうか、私はこの点を尋ねして進みたいと思います。
  59. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それは水久保君、とにかく政府の原案として出ておるので、それに基いてこの委員会審議しておるので、今あなたの議事進行でお話しになつたのは、又趣意が違う。それからあなた、そういう点について御質問があるならば、発言の順序が皆決つておりますから、更めて一つつて下さい。  それから早川君に御相談いたしますが、実は一昨日ですね、今日の午前十時から会議を開いて、物價問題、これは運賃改正に重大なる関係のあるところから安本長官大藏大臣運輸大臣、三人に是非列席して貰つてそこで討議をするということになつてつたのが、遺憾ながら何か閣議その他の点について都合があつてお出でにならん、非常にその点私は遺憾に考えておるのでありますから、もう時間もお午に近ずいておりまするので、どうせ午後引続いて一時半から開きたいと思います。それからまだ質問の通告が丹羽君、小野君、中野君、新谷君と、現在のところはこれだけの通告がありまするが、午後一時半から開きますからこの質問が通告の方、又新たに質問したいという方はどうか一つ是非御出席を願つて、成るべくこの審議を早めたいとこう考えます。
  60. 丹羽五郎

    ○丹羽五郎君 私午後は実は水産金融調査委員長を勤めておりますので、それを午後一時からやりまするが、私の質問は取消して置きます。
  61. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それから水久保君、今あなたの御質問については、午後に運輸大臣が來ますから、その際改めて御質問になるように……。
  62. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 私も一つ安本長官大藏大臣に質問いたします。
  63. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 尚大臣が揃つてお出でにならんと段々延びますから、それはどうか政府によくお傳え願いたい。
  64. 中野重治

    ○中野重治君 午後は速記は大丈夫ですか。
  65. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 速記は今日は午前午後とも約束してあります。それでは午後一時半まで休憩いたします。    午後零時十一分休憩    —————・—————    午後二時十分開会
  66. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 引続き開会いたします。速記を止めて。    午後二時十一分速記中止    —————・—————    午後三時五十四分速記開始
  67. 板谷順助

    委員長板谷順助君) では速記を始めて。本日はこの程度にて散会いたします。    午後三時五十五分散会  出席者は左の通り    委員長     板谷 順助君    理事            丹羽 五郎君           橋本萬右衞門君            小野  哲君    委員            カニエ邦彦君            小泉 秀吉君            鈴木 清一君            中村 正雄君            淺岡 信夫君            加藤常太郎君            水久保甚作君            小林 勝馬君            飯田精太郎君            新谷寅三郎君            早川 愼一君            村上 義一君            中野 重治君   國務大臣    運 輸 大 臣 岡田 勢一君   政府委員    運輸事務官    (鉄道総局長    官)      加賀山之雄君    物價廳次長   野田 信夫君    運輸事務官    (鉄道総局業務    局長)     藪谷 虎芳君   説明員    運輸事務官    (鉄道総局総務    局会計課長)  田中健之助