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1948-06-17 第2回国会 参議院 運輸及び交通委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月十七日(木曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件 ○國有鉄道運賃法案内閣送付)   —————————————    午後十時四十二分開会
  2. 板谷順助

    委員長板谷順助君) これより会議を開きます。前回に引き続きまして運賃改正法案に対する質疑を継続いたします。
  3. 中村正雄

    中村正雄君 昭和二十三年度の收支予定表から見まして、現行旅客運賃原價に対しまして大体五一%、貨物運賃が一二%、こういうふうになつております。從いまして運賃値上げについて考えてみますと、大体コスト中心考えれば旅客運賃は二倍、貨物運賃は八倍乃至九倍というところになるのが妥当だと思うわけですが、値上げ法案によりますと、何れも三倍半ということになつております。ところが法案の第一条には、運賃料金というものは「公正妥当なものであること。」「原價を償うものであること。」こういうことを第一條に謳つておるに拘わらず、実際の法案はこういう貨物につきましては非常に原價の半分にも足らない運賃なつており、又旅客につきましては原價の倍にも相当する運賃を取つておる。これに対しまして、政府の御見解をお聞したいと思います。
  4. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) お答え申上げます。これは先に御提案理由説明のときにも申上げましたように、只今の日本の経済現状に鑑みまして、貨物運賃を抑制する必要がございますので、そのために採算原價をぐつと割りまして、只今のような倍率に決めざるを得ない関係にあります。御指摘になりました項目中の第三項だと思いましたが、産業復興に寄與するという一項がございます。それから又國家の全般の総合経済に逆行しては産業復興に寄與しないことにも相成ります。只今國家財政現状などから考えまして、物價政策インフレ対策見地から止むを得ない、貨物運賃の一線を引かざるを得ないことになりました結果、一方におきましては、鉄道特別會計の余り問題になる赤字は、これは不健全な経営ということになりますので、旅客運賃は少し割高にはなるのでございますけれども、今日の貨幣價値現状などから見まして、旅客負担は先ずどうにか堪えられないことはないという見地から、こういう倍率決定いたしましたのでございまして、政府といたしましては、これをあらゆる見地から見まして止むを得ない倍率決定である、これ以上に適当な方法はないという結論を得ましたので、こういう決定をいたしたような次第でございます。  尚運賃法案の第一條の二項に擧げてあります公正妥当なもの、原價を償うもの、産業の發達に資すること、賃金物價の安定に寄與すること、この四項目とも参酌をいたしまして、四項目のいづれにも今日の経済現状から考えまして、完全には合致いたさない、その代り四項目のいずれをも参酌いたしまして、この倍率が今日といたしましては止むを得ないことである、こういうことでございますので御了承願いたいと思います。
  5. 中村正雄

    中村正雄君 鉄道運賃につきまして、運賃理論からいたしますと、現在の経済情勢でありますると、旅客運賃貨物運賃というものは、これは相当性質が違うだろうと思うわけです。即ち旅客運賃でありますれば、乘車する人、その人の負担でピリオドが打たれるが、貨物運賃になりますと、今のような経済状態であれば貨物運賃はすべての國民負担され得るということになつて來ております。そういう関係鉄道経費というものは、受益者負担が妥当だという理論は、これは旅客運賃には当嵌りますが、財物運賃には今の場合当嵌つておらない。從つて貨物運賃改訂その他の見地から、原價考えずに割安に政策的に抑えるという点につきましては了承できるわけなんです。從つて貨物運賃コストの半分である。併しそのあとの半分については合計からいわゆる補給金のような性質を以て補填するという点については十分考えられるわけですが、いわゆる旅客運賃について、貨物運賃赤字大衆の足に課する、大体二倍の運賃値上げコストが賄えるに拘わらず、三倍半も上げて、一般の祖税負担的の貨物運賃赤字大衆の足に轉稼しておるという政策については、どうも納得できないわけですが、今大臣説明は止むを得ない、これが妥当だという抽象論で言われておるが、なぜ止むを得ないか、なぜ妥当なのかという理由をお聽かせ願いたい。
  6. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) 從来旅客運賃が必ずしも経営採算原價を標準にして決定されておつたのではございませんので、それは別の統計でお廻ししておるのではないかと存じますが、大体最高、高いときには採算原價の三倍くらいになつておつた年もございます。いろいろ公共的性質帶びております國営事業のことでございますので、或る場合に採算原價以下に或る一方の運賃がなるということは、これは止むを得ないことであり、むしろ國家総合政策上から考えまして当然のことということになると思います。只今の三・五倍に御賛成を得ますことになりますと、経営原價からの指数は一七五ということに相成りますが、昭和十年前後の指数は今まだリストが見付かりませんが、或る場合には百に対して三百ぐらいになつておる年もある。三百を超過しておつたときもございます。そうして二倍ぐらいに、既往の十ケ年、十五ケ年ぐらいはおしなべてそういうような指数なつておりましたわけでございまして、ただ今日の場合、物價及び賃金が非常に暴騰いたしまして金嵩さが大きくなつておりますので、非常に目に立つて見えるわけでございますが、それは貨幣價値の値下りから考えますと、必ずしも大きなものにならないということになると私らは思つております。それで採算原價から以上になる分を、貨物運賃から出た赤字を被せこんで來るということにもまあ一應言えるのでございますが、從來の例によりますと、どちらか一方でその当時の経済情勢に対應いたしましてそういうことになつておる例がございますので、必ずしも貨物運賃赤字旅客に背負せこんでしまつたということには、理論といたしましてはならないのではないかと思つております。
  7. 中村正雄

    中村正雄君 從來の例からと盛んに言われておりますが、大体貨物旅客運賃経済運賃でなくてはいけないと思いますが、今度の法案によりますと、これは財政運賃でという感じしか受けられないように考えております。それは措きまして、今のような関係貨物運賃は非常に下廻つておる。ところが一億三千万トン輸送しなければいけない。こういう要請があるわけなんですが、貨物につきましては輸送すればするだけ赤字が多くなる。こういう制度の下において一億三千万トンの輸送が可能かどうかということについての見解を承わりたいと思います。
  8. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) 一億三千万トンの計画数量輸送を完遂いたしますのには、前にも御説明を申したことがございますが、これは余程努力をいたしませんと困難な仕事でございます。そのため本委員会におかれましては、先に海陸増送強化の決議案を御決議下さいまして、運輸省を激励して頂きまして、その点は感謝いたしておりますが、只今運輸省が各省に要求しまして大体了解を得ております労需物資、並びに改良用、その補修正の資材、人員、それから燃料等予定通りに要求を実現して下さるならば、大体一億三千万トン増送は突発的事故の起りません限り、できる見込でおるわけであります。ただその間に燃料石炭節約を余儀なくされましたり、作業從事員人員数の切下げをせられましたり、或いは天災的のでき事が起りましたりする場合には、一億三千万トンがそれだけ割込むことになるのではないかと心配しております。
  9. 中村正雄

    中村正雄君 先程の説明旅客運賃の三倍半というものは、賃金物價との比率から考えてそう無暗なものではないと、こういうふうにいわれております。去年の七月の運賃改正の当時、賃金ベースは千八百円であつたわけですが、そのときに、仮に例えば、大阪東京間二等急行で往復した場合、大体千三百円の運賃、いわゆる千八百円ベースにおきましても千三百円の運賃で、一往復が可能になつておつた。ところが今度政府の案によりまれば、大体三千七百円ベースを採つておりますが、運賃の上りというものは四千四百円になつております。こういう関係から見て三倍半が運賃物價関係上、至極不都合なものではないか。大臣説明に対してどうも納得できないのですが、その点どういうふうにお考えなつておりますか。
  10. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) 三千七百円ベース只今予定いたしておりますのですが、中村さんも御承知でございましようと思いますが、このベース決定実質賃金の充実、即ち生活必需物資実物配給を強化いたしますこと。それからもう一つ大きなことは勤労所得税の大幅の軽減を策しまして、別に税制改革法律案で御審議をお願いすることになつておりますが、そうした関係からいたしまして名目賃金は、これは私の所管ではございませんけれども、只今状態から旧税法並びに旧配給から考えましたら相当高額なものに相成るわけでございますので、從いましてこの運賃にいたしましても大体は辛抱して頂ける数字であると考えております。
  11. 中村正雄

    中村正雄君 次に貨物運賃をいわゆるコスト並みに取るというふうに、大幅に値上げすれば相当物價に影響するということをいつも言われておりますが、併し戰前の物價において運賃の占めておる割合その他から考えまして、果して貨物運賃を、極端な例ですが、コストだけ取るならば八倍乃至九倍になると思いますが、それだけの運賃を取つた場合に、一体主要生産物に対してどの程度の影響があるかというような具体的な資料を頂いておらないわけでありますが、これに対しまして具体的にコスト並みに取れば物價はこの程度上昇するのだという御説明ができませんか。
  12. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) これは私としましては相済まんわけでございますが、その計算法については物價廳の方と檢討いたしておりません。大体運輸省事務当局といたしまして大体の檢討はいたしておりますのですが、運賃値上げによる物價上昇率につきましては、主として物價廳安本とで計算をいたしておりますので、できますれば物價廳の方に御質問下さいました方が適当かと存じます。
  13. 中村正雄

    中村正雄君 運賃値上げというものは物價に直接影響しないというふうにお考えなつておるかどうか、この点について伺いたい。
  14. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) 大体私個人といたしましては、旅客運賃値上げも現実に生計費に影響いたしますことでございますし、それから実際問題といたしまして闇物資高騰を促しますので、その面からいたしますと物價相当に影響するものであると私も考えておりますが、先にも申上げましたごとくマル公生活物資配給をパーセンテージを強化いたしますことによりまして、賃金にこたえまする面は緩和せられることになりますが、併し中村さんの御質問物價に影響するのではないかというお含みだらうと存じますが、私も相当程度物價に影響するものであると考えております。
  15. 中村正雄

    中村正雄君 旅客運賃三倍半というものは大体國民が許容し得る値上げだと、こういうふうに大臣はおつしやつておられますが、果して三倍半の旅客運賃値上げ國民経済力を脅やかすものでないとするならば、これによりまするところの收入というものは大体どの程度減ずるようにお考えなつておりますか。私のお尋ねしておるのは運賃値上げによるところの利用減を見ておるわけなんです。
  16. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) お答えいたします。利用減只今五%と見ておりますのでございます。五%と申しますことは、実は過少の見積りであるという感がいたしましたのでございます。併しそれは將來の問題でありまして、今のインフレ状況高進するか否かによりまして定められることでありましようが、運輸省事務当局の長い経驗による計算から申しますと、少し少い目であるのでございますが、併し予算編成に当りまして、國の財源難その他運輸省経費の節減によつて收入を成るべく大きく見積つて國財源難を緩和しなければならんということが、強く要望せられましたので、閣議におきましては、大体皆なの意向といたしまして五%と決定いたしました次第であります。私といたしましても、個人考えといたしますと少し少いと思うのでありますが、今後の運輸省経営面におきましていろいろ節約すべき部面節約し、又増收を図ります部面増收を図るということによりまして、若干の食違いはそこから生み出したい、努力いたしたいと、こういう氣持で五%に賛成いたして來た次第であります。
  17. 中村正雄

    中村正雄君 利用減五%といたしまして、これは経驗からいつても亦一般常識からいつても、非常に少いというふうに考えられるわけでありますが、現在歳出相当多いし、國家財政から困るから利用減は極度に切詰めて貰つたという御回答でありますれば、実質を伴わないところの、いわゆる予算を拵えたというふうにしか受取れないわけであります。又インフレ高進とかその他によりまして收入が変り、インフレが進行して行くならば五%の利用減で大体收入が確保できるということになりますと、收入の分がインフレ高進によつて五%は確保できるといたしましても、反対に歳出の面におきましては、インフレの進行によつて尨大歳出が殖えるという関係で、この種のバランスは破れるだろうと思うのであります。運輸大臣といたしましては、五%の利用減見積り收入に関して、今後の國鉄の運営について自信があるかないかという点についてもう一度お伺いいたします。
  18. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) 大体少し少い感じでございますが、只今状態におけるインフレ状況でずつと持ちこたえて行きますならば、これでどうにか耐え得るという自信を持つております。若しインフレ高進いたしまして、中村さんのおつしやるように、收入は増加いたしました場合には、これは高進いたしますことによつて起ります物價或い賃金高騰によりまして、必然的に鉄道收支計算改訂を加えなければならんことに相成ります。そのときになりまして運賃を上げるか上げないかは、これは又別の考えでございますが、物價賃金改訂が加えられました場合には、やはりそれだけ鉄道特別会計赤字が増すことに相成ります。從いまして、只今の水準でインフレがそのままで保合いになつております間は、これで不十分ではあるけれども、いろいろの経費節約増收などを図りましてやつて行けるという自信を持つております。
  19. 中村正雄

    中村正雄君 先程のお答えの中に、いわゆる貨物運賃は非常にコストは割つておるが、旅客運賃は大体七割五分以上のコスト見積つておる。これは政策上止むを得ない、こういう御回答でありましたが、ところが國鉄の場合は貨物旅客比率が相當あります関係上、貨物赤字を一應政策的に旅客の方の黒字で補う。つまり國鉄私鉄関係については、國鉄につきましては、こういうふうに國会審議しておりますけれども、私鉄運賃値上りにつきましては、監督官廰運輸省が一方的に決定する。國鉄旅客運賃を三倍にすれば、私鉄の方の運賃もこれにスライドするだろうと思うのでありますが、國鉄貨物は非常に赤字が多いから、旅客の方の黒字でこれをカバーするのだが、私鉄におきましては、旅客貨物比率というものは非常に國鉄とは違つております。極端に申しますれば、旅客というものが九割以上を占めておる。そういう私鉄に対しまして、國鉄運賃をスライドさすということになれば、非常に私鉄に対しましてコスト以上の運賃を認めるというわけになるのすが、この私鉄運賃値上げに対する運輸省の今後の方針というものはどういうふうにお考えなつておるかお聞きしたい。
  20. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) 私鉄運賃只今運輸省といたしましてもいろいろ研究中でございまして、先ず各私鉄会社財政内容、或いは收支現状交通量等を勘案いたしまして、画一主義運賃値上げを許可しない方針にいたしております。個々別々に嚴重に檢討を加えまして適正運賃といたしまて、別々の数字で許可を與えたい。このように考えております。
  21. 中村正雄

    中村正雄君 別々に決めると申しますと、各私鉄経営内容考えて、そのコスト中心にして決めるという意味ですが、それとも國鉄との並行その他の関係から國鉄運賃との比較において決めるという意味ですか。どちらです。
  22. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) 並行線の場合はこれを参酌せなければなりませんが、スライドするだけの考えでは私は不適当であると考えておるのであります。で並行線でない場合は中村さんの言われますように会社経済内容檢討いたしまして、コストに對しまして、適当に、只今の通念からいたしまする、低廉なる適正利潤を加えたものを算定いたしまして、決定をいたしたいと思つております。尚並行線というものは並行線という事情をも参酌いたしまして、それに幾分の手心が加えられることかと思います。
  23. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますと私鉄運賃決定につきましても、運賃法一條、第二條の規則に從つてやるとこういうふうに了解してよろしうございますか。
  24. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) はい。
  25. 中村正雄

    中村正雄君 次にお尋ねしますのは運輸省工事勘定という費目がありますが、この中にはどういうものがあるのか聞きたいと思います。
  26. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) 今事務当局から説明いたさせます。
  27. 三木正

    政府委員三木正君) お配りいたしました予算参考資料というものを御覧願いたいと思います……。
  28. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 尚この際中村君の質問に関連して、大臣にお尋ねして置きたいと思います。というのは大体この運輸省のいわゆる独立採算制を採らなければならんという事業といたしまして、旅客運賃貨物運賃原價を大体基礎として計算してあります筋合のものであります。然るに旅客運賃相当に儲かつておるが、貨物運賃は三倍半上げても原價を、殆んど半額に等しい程割つておるというような関係から、物價関係がどういうことになるかという中村君の質問に対して、大臣ははつきりした御答弁でないようであります。ですからこの貨物に影響する限度は、どの程度にあるかということにつきまして、今でなくともよろしうございますが、よく御調査になつ安本等関係をよく相談を纏めて、そのときに御答弁願いたいと思います。
  29. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 今の中村君の質問に関連したことを、ちよつとお聞きしたいと思いますが。
  30. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 中村君よろしうございますか。
  31. 中村正雄

    中村正雄君 よろしうございます。
  32. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 この鉄運道賃の三倍半の問題でありますが、これは旅客の方は、例えば東京から下関に行くというような場合に、それを賃金関係で廣島に変えるというようなことはできないですけれども、貨物の方では、例えば百個分を八十個分にするというようなことも考えられると思う。で、旅客運賃というものに対しては、一つもう少し御檢討を眞実に願いたいと、こういうふうに私は思うのであります
  33. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) 淺岡さんの御質問長距離逓減率のことでございましようか、これは前の私共就任しておりません昨年あたりの賃金改訂の場合に、やはり長い旅行をなさる方は以前には四段、五段に逓減をされておつたのですが、それは原價計算から申しますと、長距離におきましてもやはり同じ原價が掛かるということにもなりますので、逓減数をぐつと減らしまして、只今現行運賃は一段だけしか逓減をいたしておりませんで、御承知でございましようと思いますが、只今現行は百五十キロまでが一キロに対して三十五錢、百五十キロ以上がぐつと下りまして一キロ二十五錢、こういう二段の逓減をやつております。もつと五段逓減、六段逓減にいたしますると、長距離旅行者は非常に安い運賃になりまして助かるのでございますが、中距離の旅行者に対して割合高い負担を願わなければなりません。今回いろいろ皆んな寄つて相談し檢討を加えたのでありますが、今回の場合は現行逓減率をそのまま踏襲することが適当であろうということでございまして、運賃法で御審議をお願いしておりますように、百五十キロまでは一キロ一円二十五錢、それから百五十キロ以上は九十錢、こういうふうに決定いたした次第であります。これはいろいろ理由もございましようと思いますが、先ず一應今回の何はそういう決定をいたしたのでございますが、今後におきまして、若し相当にこれが公正だと思われる御議論が出ました場合には、研究をいたしたいと考えております。
  34. 三木正

    政府委員三木正君) あのお配りしました予算参考資料という第十表を御覧願えれば仕合せと思います。ここに書いてございますように、工事勘定経費は左の欄にございますのが、この項目でございます。建設々々と申しますのは新線の建設でございます。線増と申しますのは、線路増設、單線を複線にいたしましたり、複線を三線にいたしましたり、線路を増設するということでございます。線改というのは線路改良でございまして、線路を良くすることでございます。例えば二十キロの軌條を五十キロの軌條に交換するとか、勾配を緩和するとか、曲線を緩和するとか、そうして大型機関車を入れるとか、そういう項目であります。その次の防災と申しますのは天災地変によります事故によりまする損害を復旧する費用と、それから災害が起らないように努める。橋梁を改造しましたり、「のり」や切取を改造したり、側溝を作つたり、こういうような天災による災害を輕減するための工事、こういうものであります。次の停車場というのは單に駅ばかりではございません、駅は勿論でございますが、機関区、保線区、あらゆる部門の業務機関建屋なり、そういうものの改良新設費用でございます。水陸と申しまするのは船車連絡関係の省営航路は勿論のこと、他の私設の航路との水陸連絡、こういうようなものを考えております。今年度は特に石炭増組につきまして宇野、高松辺りの、そういう方面石炭の荷揚げに便にするような費用、建築と申しますのは廰舍、それから倉庫、從事員官舍、合宿、こういうものの費用でございます。電化は申すまでもございませんで、動力電氣で動かすための費用で、今年度は沼津浜松松戸我孫子福島米沢間であります。発電発電所でありまして、これは川崎火力発電所の復旧、信濃川の第三期工事の一部、こういうものでございます。通信は、電話交換等通信設備に要する経費無線無線電燈電力、これはあらゆる電燈に他に機械に要しまする動力設備に要する経費を含んでおります。電氣信号信号機電氣的な裝置に要する費用でございます。電氣工場と申しますのは、いろいろな電氣部分品を修繕いたします工場で、昔電氣修繕場と申しましたが、そのことであります。それらの改良新設に要する費用自動車工場というのは省営自動車の修理です。工場は、工機部の一切の費用、中に入つております機械新設建屋は勿論のこと、そういうもの一切を含めてこの項に掲げております。機械は、工場以外に機関区でありますとか、保線区でありますとか、そういうものの荷役機械に要する経費、採炭と申しますのは、省が持つております志免炭鉱の新鉱開発、竪坑を掘つたり、新らしい坑道を掘る、そういう費用でございます。自動車線は、自動車路線に要する建物、或いは道路を改修いたしまする分担金車輛鉄道車輛一切、機関車電氣機関車、客車、貨車、一切を含めております。自動車はやはり既存の省営自動車路線における新らしいものを購入するに要する経費、船舶はそこにあります通り、総係費は、從事します設計をしたり、監督をしたりする人間の費用並びにその給料並びにそれに要する事務費、そういうようなものでございます。
  35. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) ちよつと補足説明をさせて頂きます。今総務局長から御説明申上げました工事費の額は、百八十六億六千万円余りになつております。併しこれは当初の運輸省計画といたしましては増送の完遂その他今後の鉄道改良等にもう少し多額工事費見積つておりましたのでございますが、関係方面との折衝の結果十分に間に合わない面がありましたので、取敢えず百八十六億六千万円といたしまして、これを資産勘定に見ましたことは、この際概数をなるたけ多額に引上げないように持つて行きたいということで、これを資産勘定とみなしまして、公債を發行しまして、この経費を支弁するということに決めまして、別途予算の御審議にお願いすることになつております。ところが國の生産増強、それから鉄道貨物輸送の増送の仕事を完遂いたしますには、この費目ではどうしても足りませんので、その後折衝を続けておりまして、最近にだんだんそれが進みましてほぼその了承を得ることになつております。その額は三十億前後になることと存じますが、若しその交渉が成立をいたしましたならば、これ亦補正予算で御審議をお願いいたすことになると存じます。勿論財源は公債で賄うつもりになつております、
  36. 中村正雄

    中村正雄君 次に收入の中で進駐軍関係收入、これは実費によつて計算する、こうなつておりますが、これはどういうような計算によるのか御説明を願いたい。
  37. 三木正

    政府委員三木正君) 大藏省の監理局の人と我々の方に寄りまして、一つ委員会を拵えまして、それから進駐軍関係輸送要請に基きいろいろ輸送の命令がございますから、それらに基きまして、それに要した費用を人件費、物件費全部を拾い上げまして、そうして実費を計算して貰う、こういうふうなやり方でございます。その計算の方式は委員会で打合せまして、極く最近、今年の一月から始めたもので、今度のものについては目下計算中でございます。
  38. 中村正雄

    中村正雄君 一應私の質問はこれで打切ります。
  39. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 大臣は衆議院の運輸交通委員会から至急に呼びに來ておるそうでうが、どうも大臣が行かれるというと、だんだんこの委員会も長引いて誠に遺憾でございますが、事務当局に対する質問でよろしうございますか。その中安本長官が來るそうでありますが……。
  40. 小野哲

    ○小野哲君 ちよつと伺うことがありますが……、大臣は御承知かと思うのでありますが、昨年七月に國有鉄道では相当大幅の改正をやつたのであります。その際の政府説明によると、一般物價体系の一環として鉄道運賃の改正をする。こういうふうな説明であつたのであります。今回の改正の根本の考え方が先達ての大臣提案理由の中にありましたように、独立採算制確保のための改正でない、物價の総合調整の見地から処理したのだ、こういうふうに言つておられますので、やはり一般物價との均衡を尊重して、そうしてその会計の一環として鉄道運賃の改正が行われる。こういう意図があるように思われるのであります。ところが私の手許に政府から出ております昭和二十二年度予算説明、これは未定稿ということになつておりますが、大藏省主計局で作つたものでありますから、これによることが果して妥当かどうか存じませんが、とにかく政府当局から出ておるものについて見ますると、國有鉄道とか、或いは通信事業については企業会計の独立採算制の確立を目標とするものである、こういうことを白書で謳つておるのであります。で、そういたしますと、今囘の運賃改正が一体物價体系の一環としてのみ考えておるのか、或いは又この予算説明書にあるように、若し今直ちに企業会計の独立採算制を確立することは困難ではありましようけれども、考え方が独立採算制の確立であるということになりましては、違つて來るのではないか、即ち企業独立採算制の確立という点から運賃の問題を採上げますというと、どうしても理論的に運輸原價を基礎とした運賃の設定ということが必要になる。從つて國有鉄道の企業会計の健全性を確保して行くというために、これに相当する台数等の、合理的な運営も考えて行かなければなりませんし、いろいろの問題が起つて來るのであります。で、運賃の問題が先程中村委員からもお話がありましたが、國有鉄道從來運賃政策が、特に貨物運賃についてはややともすると、殆んどが政策運賃であつた、併しながら若し独立採算制というものを堅持して行こう、將來確立しようとするならば、單純な政策運賃によつて、勿論この運賃政策をやるということはこれは妥当ではない。やはり運送原價に基いた適正利潤を込めた一つ運賃というものが設定されなければならないのではないだろうか、こういうふうに考えるのであります。從つて私のお聽きしたいことは、今回も前年七月に行われた運賃改正と同じように、物價体系の一環として行われておるのか、或いは又この予算の面から考えまして、言い換えれば、財政の辻褄を合わせるために、企業独立採算制を目標として、一つの中間的な政策として、今回の運賃改訂を意図されておるのか、この辺についての運輸御当局の考え方を伺つて置きたい、これが一つであります。
  41. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 小野さん先程ちよつと申上げましたが、大臣は午前中に行かれますから……。
  42. 小野哲

    ○小野哲君 それでは大臣には運賃改訂について運賃の根本の考え方、これについて一体運輸当局はどう考えておられるのか、過去における運賃改訂考え併せて大臣の御所見を承つて置きたいと思います。
  43. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) 小野さんのおつしやるように昨年の七月の運賃改訂の場合には、新物價体系の一環として運賃を補正するということが説明せられましたのでございます。今回の私の運賃法提案理由説明と、今大藏省から出されております未定稿という説明書とが、少し食い違つておることを小野さんからも御指摘になられました。併し私の説明が余り間違つていないことは、独立採算制を実現しておらない事実がこの法案に実際に現われておりますと思いますが、理論から申しますと、独立採算制を確保するところまで行きまして、健全な企業の経営ということにならなければならんのは、小野さんも先程おつしやつた通りでございます。そこではつきり申しますならば、今回の運賃改訂政策運賃というお言葉で言われましたが、國の財政現状に即應すべきところの一種の政策運賃と、独立採算制と両方を加味せられたことになると言えると存じます。  そのわけは只今インフレ高進いたしまして、これは私は現実論ばかり申すことになるかも知れませんが、國内のあらゆる重要物資等の生産が赤字生産を続けまして、だんだん生産が縮小して参ることによりまして、一層インフレ高騰せしめる、この際この赤字生産を救済いたしまして、生産の増強をすることによりまして、インフレを抑制しなければならないという経済の総合的必要に迫られて参りまして、物價改訂すると同時に、関連いたしまして、賃金改訂をやらなければならん、こういう必要に迫られて参りましたので、それで新物價、新賃金によりますると、鉄道特別会計は尚更厖大な赤字を出さなければならんことになりまするので、そこで或る程度運賃値上げをしなければならんということに相成りまして、運賃改訂を策案いたしましたわけでございます。  そこで策案に当りまして、やはり原則といたしまして、独立採算制を確保いたしますことが、理想でございまするが、今回のような日本経済の過渡期におきましては、それを堅持するということが物價政策の上から許されませんことに相成りますので、貨物運賃を抑制いたしまして、そして旅客運賃相当に上げるということによりまして、やや独立採算制の方向に接近させますことによりまして、その結果出ます赤字一般会計から繰入れることに決定をいたしましたのでございます。それを一丸にして小野さんの御質問の答えとして申上げるならば、政策運賃独立採算制と双方加味された現実的の運賃改訂ということに歸することになるわけであります。
  44. 小野哲

    ○小野哲君 只今大臣の御説明は、極めて現実論でありまして、國有鉄道現状を見ますると、これはどうにもならないというのが一般の常識だと思います。從つて若し嚴格な運送原價に基く計算からいうならば、大体旅客貨物を両方とも均等に三・五倍にするということは、これは運賃理論からいえば、私は不合理だと思うのであります。ただ大臣は、物價その他諸般の情勢と睨み合せをして涙を呑んで独立採算制を放棄したと、独立採算制を加味しておるが、実は運賃政策面においてはその結果は現われておらない、これは私が断言してもいいだろうと、かように思うのであります。  それで一体この國有鉄道という厖大な企業を御担当になつておる運輸当局としては、一体國有鉄道をどういうふうな方向に持つて行かれようとしておるのか。今回の運賃改正に関して、國有鉄道の再建五ケ年計画をお出しになつておりますが、これによりますと、昭和二十七年度においては黒字になる、こういう計算なつておるのであります。黒字になるということは、昭和二十七年度になりますと、大臣が非常に希望されておる國有鉄道が企業独立採算制を確立できる、これが即ち昭和二十七年度であるという見通しがすでについておるのでありますので、それならば今からそういう方向に手を打つて行かなければいけないのにも拘わらず、財政上の帳簿上の辻褄を合わせるために、三・五倍の倍率による運賃改訂を行なおうとするところに、私は運輸当局としての果して良心的な御考慮が現われておるのかどうかということは疑わざるを得ないのでございます。  そういう意味合において、予算面における國有鉄道の独立会計の扱い方、或いは又先程も中村委員から指摘されましたが、鉄道運賃値上げすることによつて利用減が五分であるということを言つておられますが、これも私は極めて過小評價であろうと思いますので、そういうようなことでいろいろ若心慘擔の結果、とにかく予算の上では收支均衡を保つと、又一般会計からの繰入れを仰いでどうにか予算ができ上つておるというのが、今日の状況ではないか。これが私は現実論ではないか。併し現実論ばかりでやつてつては、一体國有鉄道はいづこへ行くかということを私共は懸念せざるを得ないのでありまして、私は恐らくこの運賃改正によつて今直ちに独立採算制が確立できる、又確立するような態勢をここに作り上げるということは、困難だろうと思います。併し五ケ年計画がすでに或る程度目標計画であつたにしても、一應の見通しを付けて、その方向に向つて行こうという熱意を現わしておられるのでありますので、運賃改訂の場合においては、これらの事情をも勘案して、相当これは運賃理論的な基礎に立つて檢討を加えて行くことがやはり必要ではないか、かように思うのでございます。  從つてすでに國民の輿論なり、或いは國会の論議の上におきまして、旅客貨物共に三・五倍とするということが理論上適当でないということになつておりますることは、私共仄かに聞いておるのでありますが、然らば旅客運賃原價計算から考えて或る程度修正して行くという場合においては、政府の方ではどういうふうなお考えを持つておらるるか、或いは運輸当局としてはもつともつと理論的な根拠に基いてお考えを持つておられるのか、止むを得ずこういうふうな情勢になつたのか、この辺の事情も併せて伺つて置きたいと思うのであります。
  45. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) お答えいたします。理論から申しますならば、コストにマツチしたごとき運賃を制定せなければなりませんのでございますが、只今の日本國内の経済の実相は、理窟のみによりましてこれらの政策を実行するわけには参らんと私は思います。それで理想と反しておる運賃制定、それでは一体この先どうなるのかと、こういうお話のようでございますが、先ず今日の場合止むを得ない、政策を加味された、或いは物價に牽制せられました運賃を決めまして、言い方によれば、或いは予算の辻褄を合したいとうことも、否定できないかも知れませんが、先ず今日の経済現状に対処いたしまして、これを打開いたします総合政策の上から考えましたらば、これは止むを得ないことであると考えております。  ところで、理論から申し、理想から申したしたならば、世界中の鉄道経営をよく比較檢討いたしまして、日本の國有鉄道経営が果して健全に採算的或いは能率的に経営されておるかどうかということを十分檢討いたしまして、その水準からコストが上らないところに持つて行くことを目標といたしまして、尚且つその間技術的方面からも十分檢討いたしまして、最後の経費、最高の能率を目標にいたして進歩發展させなければならんと思うのでございます。それで五ケ年計画は、又必ずしも十分であるとは思われませんのですが、電化工事、施設の機械化、その他いろいろの具体的計画を織込みまして二十七年度には黒字を目標として一應策定をいたしておりますのでございます。私は理論が下手でありますから、小野さんの御満足の行くようなお答えはできんかも知れませんが、私の考えといたしましたら、若し借すに時日を以てして下さるならば、理論上からも、技術上からも、健全な鉄道企業の経営体に持つて行く自信を持つて努力しておるということだけは申上げられると思うのであります。  そういたしまして、今囘の三・五倍の一律引上は、理論からは反対の方向に遠く離れておりますことは、私と雖も卒直に認めます。併し現実を無視しては政治は成立たないことは、よく小野さんも御承知でございましよう。この間に理窟付けまして、政策運賃値上げ、或いは又独立採算制に近寄つておるのであるというようなことが論議せられましても、それは若干見解の相違というものになつて参りまして、結局のところは、現実を無視した政治はあり得ない。無論理論も理想も必要でございますが、そういうことになりまして、今の日本経済の難局を打開するために必要な運賃政策を採るより外はないと、こういうことより外言われないと思います。
  46. 小野哲

    ○小野哲君 多少意見に亘つたことを申上げたのでありますが、大臣はもう非常に現実主義の方で、又政治は現実に立脚しなければならんということは御尤もでありますが、然らば一体國民の輿論なり國会の論議というものをどういうふうにお考えなつているか、これも私は現実だと思うのでありまして、そういう点についてのやはり御配慮があつて然るべきじやないかと、かように思うのであります。  これはまあ余計なことかも知れませんが、國有鉄道独立採算制の問題について、いろいろと御苦心のあるところは了承いたすのでありますが、今回の予算の措置として現われておるところでは、從來業務の運営に直接関係を待つておらない行政又は監督等に関する経費一般会計の負担に移して、極力経費節約とその効率的使用に努めたというような説明があるのでありまして、これは恐らく独立採算制を確立するための第一歩をお踏み出しになつたものと私は了承するのであります。それから又新たに損益勘定に減價償却費及び公債発行に関する費目をお立てになつておるというふうな点につきましても、相当努力を拂われているということは十分理解がつくのであります。  併しながら会計区分の面のみでは、なかなか問題の解決はできないと思うのでありまして、この種会計の独立採算制を確立するための措置をお取りになりつつある場合に、この運輸省における行政機構等につきましては、どういうふうにお考えなつておるか、これもいわゆる運賃が運送原價を基礎として計算して行くという、大臣から言われれば極めて理論的なことをいつておるというふうにお考えになるかも知れませんけれども、國有鉄道の合理的な経営というものは、結局原價に現われて來るのでありまして、この運送原價が如何にして合理的なものに作り上げられて行くかということによつて、現実の國有鉄道の合理化が行われて行く基礎にもなるし、それが從つて合理的な運賃制度を確立する所以にも相成りますので、これを相俟つて能率的な、民主的な行政機構が運営されることによつて、会計制度の区分と相俟つて、國有鉄道の合理的な経営ができるのではないか、かように考えられますので、これらの点についての大臣の御所見を承わつておきたいと思います。
  47. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) 第一の御質問國会の御意向、國民の輿論をどう思うか、勿論私は國会の御意向を十分尊重いたし、又國民の輿論に應えなければこれは政治ではないと考えております。ただそこに運賃を上げるとか税金を上げるとかということになりますと、どうしてもこの反対論が多いことは、これは又現実の問題でございまして、眞に公平な批判を行われる人はなかなかそう沢山はございません。國会の、旅客運賃値上げに対する空氣の悪いこともよく分つておりますが、併し私らは、これが適当であると信じまして提案いたしております以上は、これが國会を通過いたしますことに全力を盡くすことは当然のことでございます。  併しながら國会におかれましてこれが不適当であるということで、國会が御修正なさるとか何とかいうことは、これは國会に與えられました自由なる権利でございます。その点に対しましては我々はどうこうということは一切申上げる積りはございません。ただその場合に、御修正される場合には代り財源が、適当なものが見付かつて実施できるということでなければ実施の責任は負われないということになることでございます。國民の輿論も相当に悪うございます、ただ運賃負担が多くなるという感情のみによつたものだと断定することはこの際避けなければならない、本当に苦しいのであるという理解をせにやいかんと私も思つておりますが、大体そういう氣持で私はこの御審議をお願いしておりますので、併し私らといたしましては、無修正で通過さして下さることを希望いたしておりますのでございます。  それから合理的経営は小野さんのおつしやつた通りに、この経営原價にその成績が現われて來ることは申すまでもないことでございます。これは私が先程も説明の仕方が少し私は下手でございますから、十分の得心に行くような説明をすることができないかも知れませんが、先ず今年度の予算におきまして行政監督費を分離いたしましたことは、近き將來におきまして特別会計とはつきり機構を分離いたしまして、そうして合理的の、能率的の運営が、独立いたしました企業部門におきまして促進できて行ける。こういうような方向をとるために先ず会計面におきまして今回分離いたしておりますのでありますが、これは近く國有鉄道審議会というものを設定いたしまして、ここにおきまして從來の調査会、審議会というような、あり來たりの運営でなくして、具体的にこの機関で愼重に、又眞劍に檢討を加えまして、成るべく早い機会に分離を決行する案を決定いたしたいと存じております。又独立採算制、その他会計制度の改善等に関する事項、或いは技術の向上に関すること、電化の促進、作業施設等の機械化、能率増進等に関する件、その他いろいろの点を十分に調査檢討をいたしまして、國会の御承認を得なければならんものは、その都度國会に提案をいたしまして御承認を得よう、こういう考え方で進んでおりますので、その結果は私が理論を申上げて、あなたに得心して貰うことは、或いは下手でございますが、やはり経営コスト面にその努力の如何は現われて來るものであろうと存じますので、理論のうまい人には理論を使つて貰い、現実で行く人には現実で行き、技術で行く者は技術で行くというふうに、いろいろ組合せまして、各方面の権威者の御参加を願いまして当面の目的を達成するように努力をいたしたいと考えております。
  48. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 今安本長官が見えるそうでありますから、石炭問題、或いは物價貨物運賃関係の問題を十分一つ御討議を願います。大臣に対する御質問は……。
  49. 丹羽五郎

    ○丹羽五郎君 今大臣は現実論のことをおつしやつたのですが、私はこれは馬鹿話になりますが、本日の新報知の「きのうきよう」というところに非常に穿がつたことが書いてあるので、ちよつと大臣に御参考までに申上げたい、かように考えております。断片です。『所用あつて九州まで飛脚旅行をした。往復七十時間汽車に乘りずめはずいぶんとくたびれた、婦人子供の乘客が極めて少いのも、「入り鉄砲に出女」の箱根の関所のせいではなく、片道三十余時間分の弁当を持参せねばならぬ、旅は憂き物の昔の再現だからである。早朝、東京発車前に少年が新聞を賣りに來た。朝夕刊二枚抱合せで十円、官記粛正されとるはずの車中で、最初の賣物買物がヤミなんだから妙だつた。便所の不潔には胆を消した、便所の掃除なぞいつしたのかわからない、せめて一ケ月に一度藥品で洗えば眞白になつているんだが、水洗のペタルも壞れて役に立たない。車内の掃除も不十分だ、弁当のカラ、果物の皮、紙屑、スイガラを所講わず捨てるかわ、乘客はまるでゴミ箱の中にいるみたい、停車中を見計つて便所へ行く者もある、日本人は公徳心を戰爭と共に放棄したのかといいたくなる、寢台車、食堂車を想うこと切なりきだつた、せめて補助椅子を貸して立ン棒の憂目を救うサーヴイスをしたらどんなもんだ、昔は貸枕という便利なものがあつた旅客運賃値上げ倍率も内閣の命取りの片棒をかついでいるが、運賃だけ上げて、サーヴイスは急行発車のベルの後でレコードで音樂を聽かせてごまかすんではそりやきこえません岡田の勢兵衞サンだ。』(笑声)ということが書いてあるのです。私はこの中には言々句々、つまり非常に鉄道当局としてやらなければならんことをやらずに、ただやらずぶつたくりの値上げはいかんというのが、一般國民のこの中に書いてある言葉であらうとかように考えるのです。  先程小野君が言われた。私も実はそれは不審に思つてつた。前は独立採算制によつて運賃を値上するということは昨年の七月の話であつた、この間大臣が劈頭ここで御説明なつた折は独立採算制じやないのだということをはつきりおつしやつたので、実は私共も本委員会においてお尋ねしようと思つたが、小野君からお尋があつたのですが、結局政府はその日その日の拠りどころによつていろいろの値上げ理由考えられて、結局今辻褄の合わん、値上げ理由ということはどちらに置いても理論的に挙げることができないが、止むを得ず上げるのだということは私はすべての表現じやないかと、かように考えておるわけであります。どうか簡單な言葉であるが、國民はかように、政府は義務を負わずにただ権利のみ、取ることを考ておるという、この國民の氣分をよく考えておやりを願いたいということを私はここで希望をいたして置きます。
  50. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) 丹羽君の御意見は謹聽いたして置きます。サーヴイスの悪うございますことは、誠に國民諸君に対しまして相済まんのでございまして、何といたしましても車両数ず少い、修繕が十分に行届かない、資材が少いというようなこの悪條件が重なつております結果、どうも思うように十分に國民に納得して頂けるだけのことが進んでおりませんことは誠に遺憾であります。併し努力をいたしましたならば、それはだんだんに改善できることでありますので、我々は今後も十分に注意をいたしまして、サーヴイスの改善に努力をいたしたいと考えております、ただ運賃値上げをいたし、又旅客が殺人的に輻湊いたしておりますのに、車両数が殖やされない、こういうことにつきましては、これは一岡田勢一だけの力では何ともできないことでございまして、國会の皆樣方にも十分な御鞭撻を願いまして、鉄道に対して資材、労需物資、修繕用の部分品などが成るべく増加して割当てられますように御應援をお願いしたいのでございます。  尚國家財政にいたしましても、旅客運賃をかような大幅に値上げをして國民の諸君から大変なお怨みを買うようにならないようにいたしたいものでございますが、國家財政現状を何とか改善せなければならんということにつきましても、これはやはり運輸大臣一個の力ではどうにもならん面もございますので、勿論我々は努力を吝む者でもなければ、責任を忌避する者でもございませんが、これは國民を挙げての協力というものがなければ実現ができない問題もございます。運輸省といたしましても謙虚な氣持で、サーヴイスの改善或いは運営の能率化を一層注意してやりますと共に、皆樣方の御協力もお願いする次第であります。
  51. 北條秀一

    ○北條秀一君 私は別の点から運輸大臣にこの際質問して置きたいと思います。それは先に参議院が輸送力増強についての決議をいたしましたことは御承知でありますが、その中心が総合的運営に欠けておる。そこに現在の國鉄の不備な点があるのだということを指摘している点は御承知通りであります。從つて総合的運営について格段の工夫をするならば、國鉄は現在の赤字克服は可成りの程度に行くのではないかというふうに私は考えるのであります。つきましてはそういう大きな問題でなしに、そういう観点から次に二つの点について運輸大臣の御意見を聞いて置きたいと思います。  それは一つ石炭の問題でありますが、昨年度國鉄は五万トンの石炭節約したということをいわれておりますが、この五万トンの節約は、私の考では、決して節約でなしに、悪く言えば浪費すべき極めて杜撰な計画が、実際にやつて見た結果は五万トン殘つたというようなことになつておるのではないかというふうに思うのです。実際に國民のいろいろな批判を聞いて見ましても、國民石炭の使用方法、これは焚き方の技術の拙劣さにもよるかも知れませんが、あらゆる点において石炭の使い方というものが極めて非現実的ではないかという意見を聞くのであります。從つて本年度の石炭の需要量というものは、昨年度の石炭の使用量というものを十分に檢討された上で、本年度の計画を立てられておるのかどうか、この点について大臣にお聞きしたい。  もう一つは現在の國鉄の運行を見ておりまして、悉く私はスピードを失つておるところに、鉄道の最大の欠陥があるというふうに考えるのであります。素人目に見ておりましても、國鉄の現在のダイヤは一体どういうものを基礎にして計画されておるか。これは現在のような國鉄財政状態でありますならば、最も科学的に経済速度で以てダイヤというものは決まるべきであると私は考えるのでありますが、現実のダイヤというものはお凡そ経済速度というものと関係なしに編成されていはしないか。從つて私の考では、このダイヤを合理的に編成し直すということが最も今日必要であるというふうに考えるのでありますが、その点についての運輸大臣の御所見を聞いて置きたいと思います。
  52. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) お答えいたします。石炭の合理的の使用等につきまして、これは鉄道といたしましては余程前から、石炭の熱量の百パーセント利用ということを一往復毎に統計にとつておると思います。私は就任日尚淺いのでございますので、その現場をまだ確めておりませんが、報告によりますと、一列車毎に石炭の数量を檢査いたしまして消費を報告せしめることになつており、何某の機関士が乘つた場合には、一往復なら一往復に何トン消費したということが記録に載るようになつておりまして、それをどういうふうになつて行つた石炭の消費を節約できるかということを永年に亘つて研究しながら励行しておりまして、又十分に節約をして能率を挙げました者にはいろいろ報奨の制度もできておると聞いております。それから今日まで無暗みやたらにルーズにやつておるということはないと思うのでございますが、今後におきましても石炭の消費節約、合理的な熱量発揮ということには十分檢討を越えて注意して行きたいと思います。それからスピードの問題でございますが、これもいろいろ國民の方から、この頃非常にともかく、何か列車の中で話が出ましたら、鉄道の不合理とか、サーヴイスの悪いとかいう攻撃のお話ばかり沢山に起るようでございますが、事実と相違いたしました誤解もその中には相当つておるやに考えられます。それでスピードもむちやくちやに経済速力を出すことは私は絶対にないと思つております。経済速力を出すものは出す。或いはダイヤの都合で少し燃料が余計要りましてもスピード・ダウンをする場合もございましようし、この詳細の点につきまして御要求がございますれば運轉当局から御説明申上げたいと存じますが、尚七月一日から時刻を改正することになつて、今ダイヤを編成中でございます。今回は各列車ともスピード・ダウンをいたしまして、うんと輻湊いたしますときには、車幅の数の許します限り列車本数を殖やして行きたいと思つて只今研究中でございます。
  53. 北條秀一

    ○北條秀一君 只今のダイヤの点につきまして運輸大臣は專門でないので、運輸当局から改めて説明するとい話でありますので、今日は時間がありませんから私はこの点は打切ります。私の聞きました良は、経済速度を原則として列車を運行すべきであるということを言つておるのであります。只今七月一日のダイヤの編成を控え、その点についてスピード・ダウンをするというお話しがございました。これはどういう観点に基ずいてスピード・ダウンされるか。即ちただ漫然とスピード・ダウンされるというようなことでは全く意味のないことなんであります。現在の國鉄財政状態から見て、最も列車を経済的に運行するためには、経済速度というものを原則にして動かして行かなければならんということを私は先程聞いたのであります。この点について大臣が十分なお答えの用意がなければ改めてその現局の長の方に意見を聞くことにいたしたいと思います。
  54. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) 経済速力を原則といたしまして、スピード・ダウンを計画いたしておりますわけなんであります。何か鉄道というものは大変にこの頃國民の皆さんから信用を失つておるかいたしまして、とにかん何んでもかんでもルーズなやり方をやつておるような印象を受けるようなお叱りを受けるのでございますが、私といたしましても若干ルーズな点があるかも分りませんが、併し專門的に今日まで長い間相当な正確な能率と成績を挙げて、やつておりますものですから、そうむちやくちやに、國民の皆さんが御非難になつておるようなルーズな、むちやくちやなやり方をやつておるのではないと私は考えておりますが、併し一部に檢討いたしまして不合理な点を發見いたしましたならば、即座に改正も加えますし、又各末端に至るまで合理化、能率化を一つ注意いたして、能率の向上に資したいと思つております。
  55. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 本日はこの程度で散会いたしますが、委員諸君に希望いたしますことは、午後は速記の都合で開くことができません。それで明日は午前十時から午後に亘つて開きたいと思います。殊にこの問題は重大問題でありまするから、明日は安本長官、大藏大臣運輸大臣その他運輸関係当局は勿論のことでありますが、物價廳の第五部長がおいでなつたけれども、こう、どうも來ようが遅くては困る、もつと早く來てやつて貰わなければ委員会が進行いたしません。今安本長官にも約束いたしたのでありますが、必ず午前十時にはこれらから催促せんでも出席なさるように……。又委員諸君もどうかもう終りに近ずいておりますから、お繰合せの上是非一つ御出席になるように希望いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後零時六分散会  出席者は左の通り。    委員長     板谷 順助君    理事            丹羽 五郎君           橋本萬右衞門君            小野  哲君    委員            内村 清次君            カニエ邦彦君            小泉 秀吉君            中村 正雄君            淺岡 信夫君            水久保甚作君            仲子  隆君            小林 勝馬君            飯田精太郎君            新谷寅三郎君            早川 愼一君            北條 秀一君            村上 義一君            中野 重治君   國務大臣    運 輸 大 臣 岡田 勢一君    國 務 大 臣 栗栖 赳夫君   政府委員    運輸政務次官  植竹 春彦君    運輸事務官    (官房長)   芥川  治君    運輸事務官    (鉄道総局長    官)      加賀山之雄君    運輸事務官    (鉄道総局総務    局長)     三木  正君    運輸事務官    (鉄道総局業務    局長)     藪谷 虎芳君    運輸事務官    (業務局総務課    長)      石井 照正君    運輸事務官    (鉄道総局資材    局長)     吉次 利二君    総理廳事務官    (物價廳第五部    長)      山崎 丹照君