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1948-06-07 第2回国会 参議院 運輸及び交通委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月七日(月曜日)    午後一時三十八分開會   —————————————   委員の異動 六月四日(金曜日)委員植竹春彦君辞 任につき、その補闕として仲子隆君を 議長において選定した。   —————————————   本日の會議に付した事件 ○國有鐵道運賃法案内閣送付)   —————————————
  2. 板谷順助

    委員長板谷順助君) これより會議を開きます。  この度若木委員の補缺として委員に就任されましたカニエ君を御紹介申上げます。
  3. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 社會黨カニエでございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
  4. 板谷順助

    委員長板谷順助君) この度この委員會提案をされましたる國有鐵道運賃法案、これに對する豫備審査を行います。  先ず運輸大臣説明を求めます。
  5. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) 只今提案せられました國有鐵道運賃法案につきまして、その提案理由を御説明申上げます。  國有鉄道は、創設以來終戰に至りますまで經營上の赤字を生じたことはなかつたのでありますが、終戰後、急激なる物價及び賃金高騰によりまして、今日までに二囘運賃改正を行いましたのでありますが、その都度インフレーシヨン抑制のため、その値上げは少額に抑えられて參りまして、昭和二十一年、二十二年の兩年度に亙りまして、多額の損失を生ずるに至にましたことは御承知通りでございます。更に今囘物價改訂賃金水準引上げ等が行われますることになりまして、國鐵收支の減額は、企業根本原則を喪失いたしますのみならず、國家財政健全性を危殆に陥れることとなりますので、この度運賃改正を圖りまして、財政法第三條の特例に關する法律によりまして、國會の御審議をお願いすることになつたのでございます。  國有鐵道事業は獨占的であり、且つ公共的性質のものでありますので、經營竝びに運賃如何は直接國民大衆日常生活に多大の影響を及ぼします關係上、その經營能率高騰いたしまして經費を節減し、運賃値上げ最少限度に止めなければなりませんことは申上げるまでもないのでございますが、この度の改訂に際しましても、日本經濟現状に鑑みまして、物價高騰は依然としてできるだけ抑制しなければならないことが強く要請されますので、貨物運賃は採算、コストを無視してまでも低位に抑えることが必要であるのでございます。そこで政府におきましては、あらゆる角度からいろいろ考慮檢討を加えられました結果、貨物、及び旅客運賃共現行の約三・五倍に引上げます。言い換えますと、現行の二・五倍を引上げることに案を決定いたしましたのでございます。戰前に比べまして、現行運賃旅客貨物共に約二十二倍になつておりますので、今囘も同率値上げをいたすことにしたのでございますが、鐵道を利用せられる多數の國民諸君に對しまして、この結果、實質的の御負擔の増加になりますことにつきましては、誠に心苦しい次第でございます。從いまして、政府といたしましては、かかる運賃値上げを行います以上は、十分なる自己反省の下に、鐵道特別會計合理化を行いまして、幾分でも國民大衆の負擔の輕減を圖り、その納得を得なければならんと存じます。即ち本年度國鐵道豫算案は、當初の要求に比して、大藏省と打合せの結果、人員におきまして約六萬人修繕費及び物件費等を合せまして約六十億圓の節減を行うことといたし、非常に窮屈な經費を計上いたしますと共に、他方雜收入約十億圓を計上いたします等の措置を講ずることといたしましたのであります。尚且收入不足百億圓という額をそれでも出しておるのでございまして、この不足金は一般會計から繰入れることといたしたのでございます。又今囘増額を豫定されております通行税は全部旅客運賃の中に、その枠の中に包含させることといたしましたのも、この趣旨によるものでございます。これら收支細目につきましては、別途豫算案において國會の御審議を願う次第でございますが、今囘の値上げ、特に旅客運賃は一見大幅値上げでありまして、いろいろと御批判もあろうかと存ずるのでございますが、以上述べました通り貨物旅客兩運賃全體といたしまして、現在の經營採算からは、尚且つ相當に下廻つた水準になつておるのであります。從いまして現在の物價竝びに經濟現状に照しまして、何とか御了承を賜りたいと思うのでございます。我々鐵道當局といたしましては、從來とも經營合理化には努めて參りましたつもりではございまするが、更にこれを促進し、徹底いたしまするために、國有鐵道復興五ケ年計畫を作案いたしますと共に、その經營機構、技術、經理等の全般に亙りまして刷新改善を速かに實行したいと存じまして、新たに國有鉄道審議會を設けまして、これが調査立案をいたすこととした次第でございます。今後とも經營合理化及び能率の向上と、輸送力強化竝びにサービス改善等に積極的の努力を傾注いたしまして、國民各位の御付託に副いたいと存ずる次第でございます。  尚今囘の運賃引上げに當りまして、巷間しばしば行われております一部の説によりますと、鐵道運賃を上げることにしたから、物價竝びに賃銀を上げなければならなことになるのだというふうな議論が行われておるようでございますが、これは逆でございまして御承知通りに、只今國家經濟生産現状は、重要物價の面におきまして大きな赤字を出しつつ赤字生産を續けて參つております。又賃金の面におきましても先般來決定實施されております只今の二千九百二十圓ベースというものは、その後の物價の上昇によりまして何らかの改訂を加えなければならない段階に迫られておるのでございまして、これを打開いたしますために、物價賃金改訂を行わなければならんことに迫られたのでございます。この物價賃金の新らしい改訂を行うに當りまして、その實現になりますると、鐵道特別會計によりまして更に厖大な赤字を出すことに相成りまして、鐵道企業企業性を破壞するがごとき段階に立至りまするまでに、これに關連をいたしまして、運賃引上げを行うということに相成つたわけでございまして、運賃を上げるから、物價賃金引上げなければならんのだという巷間の一部の説は、これは逆でございますことを御承知であろうとは存じますが、申上げて置きたいと存じます。尚又、私らといたしましては、運賃引上げが今日の國民生活竝びに物價に多大の影響があるのでございますので、殊に先程も申上げましたごとく旅客運賃はもう少し低目に定めて置きたいという考えでいろいろ苦心をいたしましたのではございますが、只今健全財政を遂行せなければならないという大前提から考えますと、赤字赤字借入金によつて賄うということは許されませんことに相成ります。從いまして、只今旅客運賃をもう幾らかでも下げるということに相成りますと、それによつて生じまする缺陥は別の財源によらなければならんのでございまして、即ちそれは祖税等措置によりますと、鐵道を利用せらるる方以外の全部の國民方々の御負擔に期さなければならんという事態も起つて參ります、というようなことも兼ね合せて考えまして、成る程一見旅客運賃は非常な大幅の引上げとなるのであり、心理的にも相當な影響を與えるのではございまするが、或る程度水準決定いたしますことが、只今といたしましては止むを得ないところであると考えまして、この水準を作案いたしました次第でございます。  それから運賃改訂決定に當りましては、これは鐵道特別會計、即ち獨立採算制の原因からのみ考えまして、これを作案いたすということは間違つておるのでございまして、これ亦世間往々にいたしまして、一部においては鐵道會計獨立採算制を確保せんがために、運賃値上げをするのだというふうに推測をせられておる點があると思うのでありますが、先程から御説明申上げますように、只今日本經濟現状から考えまして、物價賃金を策定する。同時に又只今政策が計畫的總合的の統制經濟をやつております建前から、これは總合財政關係上、又總合的物價調整關係上から、それを主管いたしております安定本部物價廳などがむしろこれを主管をいたしまして、最後物價に關連いたしまして、運賃と雖もいわゆる物價の一部でございますので、その見地からこの決定をなさなければならんというようなことに相成つております。勿論運輸省といたしましては、政府全般政策に参加しておりまして、無論閣議の決定を經ました以上は、私といたしましても十分責任を持たなければならないことは勿論でございますが、財政的或いは物價總合調整的の見地から考えますならば、總合的の主管をいたしておりますところの意見を尊重せなければならんというようなことにもなつております。從いまして運輸當局だけが獨立採採を堅持する建前から、このような運賃値上げをやつたのだという世間一部の議論につきましては、當らないのであるということをこれも亦すでに皆さん方は御承知であられようと思うのでございますが、附け加えさせて頂く次第でございます。  以上でございまして、何とぞ愼重の御審議を賜わりまして、可決をせられますことをお願いいたす次第でございます。
  6. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 本件は國民生活に及ぼす影響が頗る重大でありまするので、その利害得失につきましては、この委員會において十分な一つ審議を願いたいと存じます。そこで皆さんに御相談したいことは、國民世論を問う意味におきまして、公聽會を開く必要ありや否や、御承知通り今日の新聞を見ますと、衆議院の方ではこの十二日に公聽會を開くという公告が出ております。でこの委員會としては、本日初めて提案をされて豫備審査をこれから行おうということでありますが、これに對する皆さん一つ意見を承わつて善處したいと思いますが、如何でございますか。
  7. 鈴木清一

    鈴木清一君 衆議院で開かれるということだつたそうですがそれに合同をしてやるというような何にしたら如何ですか。
  8. 小野哲

    小野哲君 今鈴木君からの御發言がありましたがやはりこういうような際ではありますし、できるだけ衆議院參議院合同でやるという方がよいのではないかというように考えますので、そのお取り計らいを然るべく委員長においてお願いをいたしたいと思います。
  9. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 如何ですか。    〔「贊成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 實は私は今日の新聞を正式に初めて見のでありますが、とにかく公聽會ゐいわゆる國民世論を聽くということについては、衆議院參議院においてもその考えは何ら變りはないのでありますが、何ら衆議院の方から我々の方に相談のないのを、こつちが向うへ追從する必要はない。だからして衆議院の方から申出があつた場合においては合同公聽會を開くというような方針で實は進みたいと思う。こつちから何も進んで衆議院の方に、我々もそれでは一緒にやろうなどということを言う必要はない。それで向うが、どうか、同じ世論を聽くのだから、參議院一緒になつてつて呉れというならその方針で進みたい。若し向う參議院を無視したわけではないかも知らんが、向う向う獨自立場でやるというなら、我々の方も亦獨自立場で進みたい。委員長としては私はそういうように考えております。大臣から一つお話を伺つて向うから交渉があつて合同で開くというなら、十二日でありますから、いわゆる衆參兩委員會における公聽會という形にして貰いませんと、我々がそれに參加するという程度では、委員會としての面目もありますから、それを一つ考えを願つて置きたいと思います。
  11. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) それにちよつと關連しまして、衆議院委員長におかれましては、參議院の方へ、一緒にやられませんかということを申入れられるというような御事向を持つておるようでございましたが、これはまだ參議院のどの委員會に付託せられるかが決つておりませんし、多分運輸交通委員會であろうというようなことでございましたが、參議院運輸及び交通委員會には輸送事業鐵道陸運などの權威者が澤山おられるから、そういうことを言つたならば失言だということで怒られはしないかということを言つてつたようでありますが、衆議院委員會の方にこの決議を私からお傳えいたしまして、その考えに進んで貰うというようなことにいたしたいと思います。
  12. 板谷順助

    委員長板谷順助君) そうするとやはり衆參兩委員會合同公聽會という形にして貰わんと……。
  13. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) さようですね。
  14. 飯田精太郎

    飯田精太郎君 この問題はとにかく國民に非常に深い關係がありますのでとにかく公聽會を開く必要があると思います。ただ問題を餘程うまく出しませんと、これは全部反對意見になるのではないかという懸念がある。衆議院の方の今度の公聽會はどういう問題で聽くようになつておりますかその邊は餘程お練りにならんと跡始末に困るようなことになりはせんかと思います。
  15. 板谷順助

    委員長板谷順助君) そういうようなのは政府當局で分つておりませんか。今日は新聞で見ますと、全國の應募者の中から選んでその中から委員會で選定するというようなことになつておりますが。
  16. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) そういうふうになつておるかと思います。若し合同になるようでございましたら、多分衆議院委員長參議院委員長の方に人選について相談をせられることであろうと思います。
  17. 板谷順助

    委員長板谷順助君) では、大臣は今衆議院の本會議においでになるということですから止むを得ませんが……。それから尚この際參考資料の御要求がありましたらばお申出を願います、今日にも限りませんが……。どうしますか、質問を繼續してやりますか。(「散會しようじやないですか、大臣がいないのだから」と呼ぶ者あり)事務的のことでお尋ねがあれば、この際お申出を願います。
  18. 中村正雄

    中村正雄君 ではこの國有鐵道運賃法案、これを説明して貰いましようか。
  19. 藪谷虎芳

    政府委員藪谷虎芳君) 御指名によりまして、國有鐵道運賃法の要點につきまして、御説明申上げます。  先ず第一條でございますが、御承知のように、運賃法原則を謳いましたものでありますが、ここに言う國有鐵道とは、國有鐵道及びこれに關連する國營船舶を含んでおります。國營自動車運賃本法規定しないのは、御承知のように、その路線及び運營規定から見ましても、民營と同じ立場で公正な條件で運行すべきが至當でありますので、一般のバス、トラツクの運賃同率適用する方針でありますから、本法の對象外といたしたのであります。それから「これに關連する運賃及び料金」とありますが、これは何かと申しますと、例えば急行料金小荷物運賃入場料金貨物保管料等枚擧に暇がありませんが、その中で急行料金については、本法中に具體的に明示し御審議を願うことといたしまして、爾餘な微細なものにつきましては、第九條によりまして、運輸大臣に御一任願うつもりでございます。手小荷物運賃につきましても、御承知のように、数量から言いますと、僅かに四%のものでありますから、一應運輸大臣にお任せを願いたいと存ずるのであります。  第一條の二項の「左の原則」というところでありますが第一が「公正妥當なものであること。」、第二が「原價を償うものであること。」、第三が「産業の發達に資すること。」、第四が「賃金及び物價の安定に寄與すること。」、こういつたように、第二項は原則を示したものでありまして、且つここに掲げておる四項目は、いずれも本法理想とするものでありますから、今日の不安定な經濟状況では、そのすべてを十分に滿足するような結果を得ることは極めて困難でありまして、この理想に向つて一歩でも進みたい、こう思つているような次第であります。第二條は、旅客運賃は、普通運賃定期運賃とに區別する、等級は、一、二、三等とするというので、別に説明は要らんと思います。  第三條は、今囘の規定の基本になるものでありまして、約三倍半現行より値上げをいたしておりますが、從つて三等の賃率は、營業キロ一キロごとに、百五十キロメートルまでは、現行は三十五錢でありますが、これを税金を含めて一圓二十五錢、税金を拔きますと大約一圓十九錢、三倍四分くらいになります。税金はこの中に約六錢、〇・一倍程度つております。百五十キロメートルを超える部分は九十錢と改正いたしましたが、現行は二十五錢であります。九十錢の中には、やはり約四錢三厘ばかりの通行税が含んでおります。從つて運賃は八十五錢七厘程度になりまして、合せて九十錢といたしております。今囘通行税改正が行われますが、これは税法改正が目下審議中でありまして、その成案の得次第、通行税の點は税法改正のときに謳うことになつておりますことを御了解願いたいと思います。  第四條は、航路の普通旅客運賃につきましては、一應表にいたしております。附表の第一をお開き願いたいと思います。これも青函間は、現行四十圓が百四十圓になります。宇野高松間は、七圓が二十五圓になります。仁方堀江間は二十五圓が九十圓、宮島口、宮島間は、現行一圓でありますが、最低運賃に合せる意味において三倍半にしないで三圓ということにいたしております。大畠小松港間は、二圓が七圓、下關門司港間も、二圓が七圓、以下同樣二等、一等もおのおの三倍半にいたした次第であります。  次は第五條定期旅客運賃でありますが、御承知のように、現在普通定期券は六割から八割九分程度まで普通運賃よりも割引をいたしております。學生定期は七割二分から九割二分二厘まで大幅の割引をいたしておりまして、今囘に當つて割引率について檢討いたしたのでありますが、歐米の各國に比べますと、日本國鐵割引率が非常に高いという意見もあり又現在の經濟状態からして少しでも引けないだろうかということを檢討いたしまして、結局兩説がありましたが、今囘は割引率をそのままにして、普通運賃同率の三倍半の値上げをいたしたわけであります。先ず第五條の一は、「一箇月又は三箇月の定期旅客運賃は、普通旅客運賃の百合の五十に相當する額をこえることができない。」、少くとも五割引をせよ、こういうことなので、むしろ運輸大臣に對して義務付けて、定期旅客利益を保護した規定であります。六ケ月定期におきましても、同樣、四〇%に相當する額を超えることはできない、少くとも六割引せよ、こういう規定であります。現在六割引が最も低い割引率と先程申しましたが、實際に端數整理關係上、現在におきましても五割引程度のものがありまして、今囘もさようなことが、現行通り原則といたしましても出て參りますもので、從つて第一項には一ケ月、三ケ月のそうした例外的なものが、端數整理等關係で出て來ますから、「百分の五十に相當する額をこえることができない。」、こう書いたのでありますが、原則現行のままであります。これが一々表になりますと餘り細か過ぎまして、御審議を願うのもどうかと思いまして、その現在の制度の最高の水準だけをここに設けて、定期旅客利益を保護し、大臣に義務付けたのが、本規定の内容であります。  第六條の急行料金及び準急行料金は、やはり別紙の通り表になつておりますが、第二の表であります。これも現行通り料金を皆約三倍半といたしたものであります。準急行も同樣に、急行料金の二分の一を今囘の改正當つて現行通りにいたしたいと存じております。學生定期につきましては、現行通り普通の定期より三割引いたした額によるつもりでございます。又割引證による普通運賃學生の二割引も、このまま存置いたしたいと存じております。  第七條の二につきまして御説明申上げたいと思いますが、「車扱貨物運賃は、貨物等級表等級に從い、別表第三の賃率による。」と書いてありますが、御承知のように貨物等級表は、あらゆる貨物の品物をその負擔力に應じまして、十一等級に類別しておりますが、貨物品數は六十八、更にこれを細別した品目數は千百六十七に及んでおります。新らしい貨物ができたり、或いは、商品が分れたり、用途が異なつたりするために、微細な改訂を時々いたさねばならないとますます迷惑することになりますので、そのような微細な改訂にまで一々國會を煩わすことは、實際問題として困難だと思いまして、貨物運賃料等級は、一應大臣にお任せ願いたいと存じております。それでは貨物運賃料變更によつて、實質的に運賃變更できるのではないか、こういう御質問が或いはあるかと思いますが、貨物等級表商品學的立場によつて分析されて格付けられておるものでありまして、勝手に餘りに等級變更するようなことは貨物等級をおのずから抹殺することでありまして、決して當局といたしましては大きな改正はいたしません。ただ些細な品目によつて先程も申上げました通り、新らしい貨物ができたり、或いは商品が分れたり、用途が異つたりするために、微細な變更が必要な場合がありますので、それは第九條の趣旨から見ても、一應大臣にお任せを願いたいと存じておる次第であります。次は第七條の三項でありますが、「小口扱貨物運賃賃率を參しやくして運輸大臣の定める賃率による。」とありますが、これは何故法律で決めないかという御質問があるかと思いますが、御承知のように小口扱車扱の取扱トン數におきまして僅かに四%であります。收入におきましても一〇%内外のものでありますので、又基礎物資はすべて車扱によるものが多いのであります。小口扱賃率が更に餘り高いと、皆車扱に移り、餘り安いと、車扱ら小口扱に移つて参りますので、結局車扱運賃が定まればおのずから定まるものであります。それに尚積み卸し料金を加算することが必要でありますが、この積み卸しは小運送業者に請負わしめております關係上、その料金が小運送料金の變動に應じて調整する必要が時々生ずるのであります。從つてこれを法律に明示しないで、運輸大臣にお任せを願つたわけであります。  第八條の「運賃又は料金の輕微な變更」とありますが、これは災害の際の運賃の減免、學生、兒童等に對する割引團體旅客に對する割引私有貨車を使用するものに對する割引等による臨時の割引を指すものであります。  第九條の、この法律に定めるもの以外の運賃及び料金とは何かという問題でありますが、これは先程申上げましたように、手小荷物運賃、それから貨物保管料入場料貨車留置料車輛貸渡料等であります。第九條の「賃率適用に關する細目」とは如何なるものであるかということにつきましては、最低運賃の設定、或いは端數の處理とか、運賃料金の追徴、拂戻し、或いは乘越等の變則乘車の場合の運賃計算方法等意味いたすものであります。第九條の但書に、營業法適用を妨げないということがありますが、これは營業法及びこれに基く鐵道運輸規程では、旅客、荷主を保護するために、鐵道にいろいろ運輸上の制限を附しております。これらは鐵道公共性に出ておるもので、その中に運賃に關することも少くありませんが、例えば小兒は半額を以て運送しなければならないとか、賠償關係で要償額表示料金規定があります。この運賃法が出ましても、これらの規定の効力には變りがないことを明示したわけであります。  大體以上が條文の本文につきましての御説明でございますが、將來運賃改正する場合には如何なる形を取るかという問題がありますが、これは勿論本法改正案として國會の御審議を願うことに相成なります。  その次は最後の附則の御説明を簡單に申上げたいと思いますが、國有鐵道についてのも営業法所定の一ケ月の告示期間を排除いたしました理由でありますが、第十條でありますが、「公布の日から七日をこえない期間内において、伏令でこれを定める。」と書いてありますが、國鐵運賃は皆様の審議によつて十分國民の豫告しますと共に、旅行期日の定め方によつて如何ようとも國民の代表であられる國會方々御意色に副い得るので、營業法規定とその倫律施行期日との間に護解を生ずる必要をなくするために排除したのでありまして、今後は本法によつて公布の日から七日を起えない、期間において政令で實施期日は決まるわけであります。  第十一條は「營業法の一部を次のように改正する。」、營業法の三條の二項に、現在「運賃其ノ他ノ運送條件ノ加産ヲ爲サムトスル場合ニ於テハ前項ノ公告ハ一月以上之ヲ爲スコトヲ要ス」とこうありますが、最近の物價状態と運賃値上げに必要な手續とを考えますときに、一ケ月の豫告期間は餘りにも長く、そのために既説鐵道の中には經營困難に陷るものもできて來ることが豫想せられますのでありますが、七日は常識上或いは事務手續上最も妥當でありますし、去る第一囘の國會においても七日に短縮する改正案を出して御審議を願い、衆議院の分は可決をして頂いた經緯もございますので、今囘も亦七日といたしたのであります。  以上甚だお粗末でございますが簡單に御説明を申上げました。
  20. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 委員長として要求いたしますが、今お話の中に定期旅客運賃は、一ケ月又は三ケ月の定期旅客は百分の五十相當額を起えることはできない、六ケ月ならば百分の四十に相當する額を終えることはできないとか、或いは何かあなたの方で定期券の條章をこれを一つ御提出を願います。  それから貨物等級表これもありましたら一つ御提出を願います。如何ですか。何かお尋ねがありますか。
  21. 中村正雄

    中村正雄君 大臣がおられませんので、運賃値上げ一般に關する質問は後に廻しまして、國有鐵道運賃法のこの條文についての質問をいたしたいと思います。  第一は、第五條關係でございまして、定期旅客運賃につきましては、一ケ月と三ケ月のものが最低五割引、それから六ケ月のものが最低六割引とこういうふうに義務付けられておるわけでありますが、結局この範圍内であれば運輸省自體の自由の運賃變更ができる、こういうふうになります關係上、今後の運賃値上げにしましてもこの範圍内で假に八割引できるものを六割にするとか、或いは七割引しておるものは五割引にするというような運賃値上げは自由にできることになると解釋していいのでありますか。
  22. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それは中村君それは今原名の表があるそうであります。
  23. 中村正雄

    中村正雄君 表があつてもなくても表の關係でありません。字句の解釋であります。
  24. 藪谷虎芳

    政府委員藪谷虎芳君) 法文上は中村さんのおつしやつたように可能でありますが、實際に御承知のように目白押しにずつと表がございますので、ここで義務付けられた一番上の點を仰えられますと、あとはずつと段階が細かくなりますので、今のところではなかなかそうした修正は實際において困難だろうと思いますが、今囘の値上げ現行法そのまま踏襲することにいたしております。
  25. 中村正雄

    中村正雄君 私の質問は今度の運賃改正についての運賃言つておるんじやなくして、今後の問題としましていわゆる一ケ月、三ケ月であれは最低五割引、六ケ月であれば最低六割引、この限度であれば、この範圍内であれば如何ようにも運賃改正ができ得る可能性があり得るか、これは運輸省に任してあるというのですか。
  26. 加賀山之雄

    政府委員(加賀山之雄君) この八條に「國有鐵道の總收入に著しい影響を及ぼすことがない運賃又は料金の輕微な變更」、これになるかならないかということになると思うのですが、まあ私絹の見解としましては、六割引というやつですね、通用期間六ケ月というやつは、すでに最低が六割引になつておるわけですね。そうするとこれは例えば今の最高八割八分か八割九分になつておりますが、それを定めれば六割をもつと下げなければならないので、事實上不可能だと思います。又もう一方の見方から見て、定期の性質から見て果して輕微な變更を言い得るかどうか、これは頃常に疑問だろうと思う。大衆の負擔が非常に強化いたしますから、ここで「輕微な變更」と言つておりますのは、むしろ一時的な臨時的な割引言つておるつもりなので、結局定期の率を變えるというような場合には、やはり勝手にはできないんじやないかという解釋になると思います。
  27. 中村正雄

    中村正雄君 次に第七條の「車扱貨物運賃は、貨物等級表等級に従い、別表第三の賃率による。」こうなつておりますが、賃率は別表に出ておりますが、貨物等級表というのは、これは法律によらずして運輸省の告示その他によつて自由に定めておるわけですか、それはこのままこの方針を踏襲する考えでありますか。
  28. 藪谷虎芳

    政府委員藪谷虎芳君) 先程御説明申上げました通りこのまま大臣權限でやらして頂きたいと思います。
  29. 中村正雄

    中村正雄君 次は第八條のこの規定及び第九條の關係規定、それから行きまして運賃料金變更というのは、これは政令でやられるという意味ですか、それとも告示でやられるというお考えなのですか。
  30. 板谷順助

    委員長板谷順助君) もう一遍言つて下さい、何か趣旨が徹低しないそうだから……。
  31. 中村正雄

    中村正雄君 第八條。九條關係運輸大臣に委任されておる事項、これは從來旅客輸送に關することはすべて輸送約款としての告示でやつておりますが、八條、九條の規定ができましたので、政令の形式でやられるか、それとも從來の通り告示の形式でやられるかということをお伺いしております。
  32. 藪谷虎芳

    政府委員藪谷虎芳君) 從來通りやはり告示でやりたいと思つております。
  33. 小林勝馬

    ○小林勝馬君 第三條の税金の問題でございますが、税法改正後はこれは又加算して料金を高くして参るわけですか。それともこれは税金をそれに含んで行くという御豫定ですか。それから環状線の電車の特別料金などはどういうふうになりましようか、それをお伺いいたしいと思います。
  34. 藪谷虎芳

    政府委員藪谷虎芳君) 第一通行税關係につきましては、現在の御承知のように二十キロ以上のものにつきまして五厘という税金でありますが、今囘の改正せられるた豫定は目下審議中ではありますが、大體百分の五程度値上げされる見込でありまして、又二十キロ未滿につきましても定期券を除く以外の運賃には掛かる豫定になつております。従つて先程御説明申上げた通り、一圍二十五銭及び九十銭の運賃の中には税が含まれております。第二の將來の通行税が上つた場合にはどうするかという御質問でありますが、これは將來研究いたしたいと存じております。そう一つは環状線の電車の運賃は今囘は現状のままやはり三倍端にいたしました。
  35. 小林勝馬

    ○小林勝馬君 第三條の税法改正なつたら又考慮するというお考えのようですけれども、現在一圓二十五錢のうちには百分の五が入つておるので、今御豫定されておる改正の大體の基準が入つておるようですが、それでもまだこれ以上上げる御豫定ですか。
  36. 加賀山之雄

    政府委員(加賀山之雄君) 今囘豫定されておる百分の五は入つておるわけです。今囘の税法改正の分は入つておるということに……。
  37. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 外に事務的の何かお尋ねがありませんか。次會は水曜日の午前十時に開きますから御承知置き願います。
  38. 小野哲

    小野哲君 その際大臣の御出席をお願いして置きます。
  39. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 承知いたしております。運輸大臣、安本長官、大藏大臣の出席を要求いたします。どうか十分お調べになつて質問願います。本日はこの程度で散會いたします。    午後二時三十三分散會  出席者は左の通り。    委員長     板谷 順助君    理事            丹羽 五郎君           橋本萬右衞門君            小野  哲君    委員            飯田精太郎君            小林 勝馬君            加藤常太郎君            大隅 憲二君            水久保甚作君            高橋  啓君            新谷寅三郎君            小泉 秀吉君            カニエ邦彦君            中村 正雄君            鈴木 清一君   國務大臣    運 輸 大 臣 岡田 勢一君   政府委員    運輸政務次官  植竹 春彦君    運輸事務官    (鐵道總局長    官)      加賀山之雄君    運輸事務官    (鐵道總局業務    局長)     藪谷 虎芳君    運輸事務官    (海運總局長    官)      秋山  龍君