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1948-06-08 第2回国会 衆議院 労働委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月八日(火曜日)     午前十時四十五分開議    委員長 安平 鹿一君    理事 倉石 忠雄君 理事 辻井民之助君    理事 川崎 秀二君 理事 山下 春江君       江崎 真澄君    尾崎 末吉君       栗山長次郎君    綱島 正興君       島上善五郎君    館  俊三君       前田 種男君    山花 秀雄君       小林 運美君    佐伯 宗義君       西田 隆男君    大島 多藏君       河野 金昇君    木村  榮君  出席政府委員         経済安定本部労         働局長     渡邊年之助君         経済安定本部物         價局長     谷口  孟君         法務政務次官  松永 義雄君         農林政務次官  大島 義晴君         労働政務次官  大矢 省三君  專門調査員                 大橋 靜市君 六月四日委員松本一郎君辞任につき、その補欠と して大野伴睦君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 六月三日  公木町勤務地手当支給の請願(大石ヨシエ君  紹介)(第一二七四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  労働関係調整その他労働問題に関する件     —————————————
  2. 安平鹿一

    安平委員長 ただいまより会議を開きます。  労働関係調整その他労働問題に関する件を議題に供します。前会の質疑に引続きまして質疑を継続いたします。山花秀雄君。
  3. 山花秀雄

    山花委員 この前の労働委員会労働大臣の出席ありまして、いろいろ質問をいたしましたが、なお腑に落ちない点も多々あり、また労働大臣以外の関係政府の方々に質問したい要点もございますので引続いて質問を行います。  最初に今度政府で新物價改訂を織りこんだ賃金として、大体三千七百円ベースということが傳へられておるのでありますが、せんだつて労働大臣質問をいたしましたときに、この三千七百円は物價改訂をやつたときから実施するという回答があつたのであります。それから勤労所得税減免についても遡つてこれを実施しない、勤労所得税減免が決定されたときからこれを実施するというふうに回答をされたのであります。今日労働者階級が、せんだつての全官公庁の爭議を通じて、一月から大体三月までの暫定措置というふうに私どもは理解しておるのでありますが、二千九百二十円で賄う、四月から新しく物價改訂を行い、そこで新賃金給與審議委員会というようなものによつて賃金水準を出す、こういうふうになつていたと思うのでありますが、諸般の情勢から物價改訂の時期が遅れ、新しい賃金ベースの時期が遅れたといえども一般の実情は、四月から物價が上る、物價改訂がある、こういう見込みのために、二月、三月頃から非常に労働者階級一般生活費中心とする物價が高騰しておるのでありますが、二千九百二十円の当時の労働者生活必要物資がどの程度公定價格で賄われ、どの程度やみを認めていたか、新しく改訂されようとする新物價体系に伴う三千七百円の労働賃金は、どの程度マル公と、そこに若干のやみ消費というものを認めているかどうか、その割合一つ答えていただきたいと思うのであります。
  4. 谷口孟

    谷口政府委員 ただいまの御質問お答えいたしますが、この度の價格改訂の際に織こみますところの三千七百円という平均賃金は五月の実質賃金を維持するという目的のもとにできておるのであります。これには前提條件があるのであります。それは五月の水準における生活内容からいいますと、マル公支出やみ支出とがあるわけであります。今度價格改訂をいたしますと、当然マル公が上るわけであります。これが上りますとつまり実効價格が狂つてくるわけであります。そのまま放置いたしますならば、実質賃金切下げになるわけでありますが、これを切下げにならないように措置するという建前をとつておるわけであります。このやり方にはいろいろありますが、今度とりました方針は、一部は名目賃金上昇によりますが、大部分勤労所得税軽減が今度行われますので、これとにらみ合わせて、その二つをもつて五月の実質賃金を維持していくという建前をとつております。從いまして勤労所得税軽減は、加藤労働大臣はどうお答えになつたかしりませんが、われわれの了承するところでは、六月十五日に実施することに予定されておるはずであります。價格改訂國鉄料金の問題と絡んでおりますが、予定といたしましては六月の半ばというように考えておるのであります。この点につきましては、價格改訂勤労所得税減免の実施とは、食い違いがないようになると了解いたします。  それから五月における賃金水準の問題でありますが、これは現実すでに終つたわけでありますけれども、統計的にはまだ出てまいらないわけであります。そこで今日これを基礎にいたします場合には、推定を加えざるを得ないのであります。長期趨勢短期の趨禅、いろいろな勘案いたしまして、五月の水準は三千五百円というふうに一應見ております。実数といたしましては、今年の三月に全國工業平均賃金は三千二百二十四円であつたのであります。これが五月に三千五百円ぐらいになるとわれわれは一應推定をいたします。この三千五百円の中で、これを平均のところで見ますならば、扶養家族が大体一・五人でありまして、世帶に直すならば二人半の世帶であります。この二人半の世帶に対しまして三千五百円の平均賃金の場合には、税金が五百三十一円かかるのであります。從いまして手取りは二千九百六十九円に相なるわけであります。この手取り部分をもつて支出するわけでありますが、その支出割合マル公支出が二五・四%、それから自由支出と申しますか、それが残りの七四・六%になるのであります。そこでこういうような比率のもとに成り立つ生計費を、今度マル公の引上げによりまして、いかなるぐあいにしたならば五月の実質が維持できるかという計算をいたすわけであります。このためにはマル公の引上が一つの問題であり、次にはやみ部分上昇が問題になるのであります。マル公上昇基礎資材におきましては大体七割檢討を予定いたしております。これには補給金を使うわけであります。われわれの今日予定いたしております生活費マル公上昇は、大体七割程度に止めるという方針をとつておるのであります。從いましてこの手取り二千九百六十九円の中の二五・四%、これに相当する部分が七、八割上ることになるのであります。残りやみ部分は、しからばどういつたような比率で上つてくるかということでありますが、これもまた今後のトレンドを考えるわけであります。これから改訂までの間の上りを考えるわけであります。われわれは過去の実績長期短期趨勢から判断いたしまして、三分六厘という上昇率予定したのであります。すでに五月中は実数が現われまして、東京都における未配給給物資上昇は一・六%であります。三・六%に比べて低いのであります。さらにこれが今後六月の十五日まで同じような調子で上るものという予定のもとに立つているのであります。かくのごとくいたしまして、五月の手取り二千九百六十九円に相当いたしますところの六月改訂時における手取額というものが算出されまして、マル公上りが七〇%であり、やみ上昇が三・六%の場合には、三千五百七十七円ということになるのであります。こういつた上り方において、三千五百七十七円が手取りになるならば、五月の二千九百六十九円の手取り相当するわけであります。実効價格上つただけ手取りが殖えたということになります。これに今度は改正税法案によりまして税金が算出されるわけでありますが、これが七十二円かかるのであります。これをこの手取りに加えて税込み賃金は三千六百四十九円、こういうことになるならば、ちようで五月の三千五百円に相当する実質内容を維持することができるという計裁になる。しからば三千七百円の場合は手取りいくらになるかという問題であります。三千七百円の場合は八十円の税金がかかるのであります。從いまして手取額は三千六百二十円と相なるのであります。三千五百七十七円に比べてなにがしかの余裕を生ずる、こういうことになるのであります。八〇%の場合をとつてみましても、これは手取りが三千六百五十二円、そして税金が八十六円かかりまして、税込み賃金では三千七百三十八円ということに相なるのであります。これは先ほど申しました新税法考慮しての話であります。もしもこの三千五百七十七円に相当する手取額を、現在三千七百円予定しておりますが、その実質手取りが三千六百二十円になるのでありますが、この三千六百二十円の手取りになる現行税法による税込み賃金は、しからばいくらになるであろうかということを参考までに出してみますと、これは八百三十円の税金がかかりますので、現行税法によります場合は四千四百五十円の税込み賃金相当いたすのであります。四千四百五十円の税込み賃金相当するものが、新税法によりましては三千七百円で済む、こういうことに相なるのであります。それからさらに東京都の四・二人の世帶について同じような方法を適用してみましても、六月東京都四・二人世帶実質手取額は、五千四百八十九円になればいいのでありまして、この場合の税金が百八十九円であります。合計いたしまして税込み賃金としましては五千六百七十八円になれば五月の水準を維持できるのであります。これに対しまして三千七百円の場合の東京都四・二人の世帶手取り金額は、六千三百六十四円でありまして、さきの五千四百八十九円でよいものが、六千三百六十四円、從つてここに約五百円くらいの余裕が生ずるということになるのであります。これは今度の税法家族控除関係等から家族の多い方に少し樂になるような結果が現われてくるのであります。三千七百円の平均賃金の場合の四・二人の世帶手取額が六千三十九円でありますが、これを現行税法に引直してみたらいくらになるかと申しますと、三千三百十五円の税がかかりまして、合計しますと九千三百五十円見当になるのであります。こういつたものが今度の税法関係平均賃金三千七百円で一應つじつまが合うというような算出基礎をもつておるわけでございます。
  5. 山花秀雄

    山花委員 ただいまのお答えによりますと、大体五月の平均賃金が三千五百円、この基礎のもとに物價改訂を織りこみ、税の減免を織りこみ、大体三千七百円の賃金水準を出した、こういうように聽きますが、しかしせんだつて労働大臣にお伺いしたときは、さかのぼつて支給しないというふうに答弁されたのであります。五月現在で三千五百円ベースというものが実際賃金といたしますならば、私どもはこれは四千円と踏んでおるのでありますが、これは見解の相違で、ここでその点を爭おうとは思いませんが、たとえば三千五百円にいたしましても二千九百二十円ベースから比べてみますと、相当赤字が出ておるのであります。この赤字結論から言うとたけのこあるいは借金、こういう個人家庭借金政策によつて賄われておる。この借金が附きまとう限り、労働者労働意欲向上ということは考えられないのであります。さかのぼつて実施する意思はないと言い、便法として補給金を與える意思はないというような答弁せんだつて労働大臣はしておりましたが、その赤字借金をそのまま残して新物價体系、新賃金水準をきめ、そうして労働者生産意欲向上を強調するという腹で政府はおるのかどうか、この間の一般勤労者赤字を何らかの形で解消する意思があるのかどうか、この点お伺したのであります。
  6. 大矢省三

    大矢政府委員 これははなはだ重大な問題でありますから、大臣ただいまちようど閣議へ出ておりますので、後刻私から承つてお答えすることにいたします。
  7. 山花秀雄

    山花委員 この賃金裁定安本本部中心に、物價局中心でやつておると聞いておるのでありますが、一般物價を立て、賃金水準をきめるときに、そういう考慮が拂われたかどうかということを物價局長の方からお答えを願いたいのであります。
  8. 谷口孟

    谷口政府委員 ただいま御質問の点でありますが、さきの点につきまして私ちよつと正したいのでありますが、二千九百二十円ベースということを言つておられるのでありますが、われわれは民間給與、つまり全國工業平均賃金はそれよりは五月は高い水準にあるということを考えておるのであります。その水準前提にして今度の價格改訂が行われておるのであります。その基礎には五月現在三千五百円とわれわれは推定いたしますが、これを價格改訂によつて切下げにならぬようにするという考慮を拂つておるのでありまして、当然五月の賃金水準実質的に維持しておる、こういうふうに考えます。先ほどの御見解は、官廳職員に対する御え方から言うならば、二千九百二十円ベースでありますが、あれは官廳職員ベースであります。民間工業平均におきましてはすでに事実としての水準が高くなつておる、その高くなつておる水準基礎にして、これを切下げにならぬような措置を今度とる、こういうことの意味であります。
  9. 山花秀雄

    山花委員 新しいこの三千七百円ベースというのは、せんだつて官公廳が暫定的にきめた二千九百二十円と一連の関連性をもつてきめられた賃金水準であるか、それとも今の答弁を聽いておりますと、これは民間の全國工業平均賃金考慮して、その建前から三千七百円ベースが出たいうふうに、私の聽違いかどうかわかりませんが、そういうふうに聞えるのでありますが、全然全官公廳給與体系と切り離しての対策かどうか、全官公廳を入れての一切の勤労者賃金水準という建前からきめた水準かどうか、もう少し明確に御答弁願いたいのであります。
  10. 谷口孟

    谷口政府委員 お答えいたします。三千七百円の今度の物價織りこ賃金は、あくまでも物價形成基礎になる賃金であります。全國工業平均をとつております。官公廳給與水準とは関係がありません。
  11. 山花秀雄

    山花委員 從來の常識からいたしますならば、いつの場合でも一般企業と全官公廳の場合には賃金水準が若干開きがあるということは、私どもも十分存じておるのであります。これが全國工業中心に考えた賃金ベースというふうに承つたのでありますが、そうなりました場合にこの三千七百円ベース一般官廳に適用するのかどうか、これをお答え願いたいと思います。
  12. 谷口孟

    谷口政府委員 お答えいたします。三千七百円はあくまでもこれは物價の原價要素としての平均賃金であります。これを今度官公廳側職員にいかに適用するかという問題は、これは別途考えらるべき問題であります。今年一月中労委の裁定の結果給與委員会ができまして、そのときにとつ方式民間給與水準さや寄せをするという方式をとつて、その当時民間給與水準は二千八百五十円と推定せられておつたときに、時間差なり年齡構成なり地域差なり、これを加味して、そうして給與委員会においては二千九百二十円という水準を設定しておつたわけであります。今後この三千七百円に対應していかに官廳給與水準を設定するか、これは將來の問題であります。この前の方式をとるならば、やはり民間給與水準さや寄せをして均衡をとる、その均衡のとり方はこの前出された方式は三つの修正率をかけて出したわけであります。今後も大体そういう方向に向うものと私は見ております。その関係の当務者ではありませんので、この点は差控えたいと思います。
  13. 山花秀雄

    山花委員 先ほど説明によりますと、マル公の場合は、大体七割もしくは八割上る。そしてマル公生活が二五・四%くらいに該当し、自由價格が七四・六%くらいに該当すると大体見ている。そうして自由價格の方は上昇率を正確に言うと三分六厘に見ているわけですか。
  14. 谷口孟

    谷口政府委員 そういうわけでございます。
  15. 山花秀雄

    山花委員 三分六厘という上昇率を見ているとしますと、この上昇率について私どもは少し納得しかねるのであります。マル公が七割ないし八割上る、今までの自由價格上昇率は、大体マル公に追つかけて、追從的にある程度上昇率を示しているのであります。その上昇率は力の強いときと力の弱いときがございますが、最近マル公價格がだんだん上つてきておりますので、自由價格上昇率は非常に力が強まつていることは否定できない事実がありますが、三分六厘というようなこんな低率でないというふうに私ども考えている。この賃金裁定からいきますと、若干の黒字が出るというような一應説明がなり立つのでありますが、せんだつて千八百円ベースをきめたときにも、十一月がくれば大体四百円くらいの黒字が出ると安本長官は大みえをきつておりましたが、だれ一人これを信用するものはなかつた。むしろその議論の荒唐無稽さにあきれてものが言えないという態度で一般が臨んでいたと思うのであります。今度の三千七百円ベースは、たとえ金額が若干にしろ黒字が出るというような算定基礎の上になり立つておりますが、私は三分六厘というような低率ではないと思う。そんないくらかと言われますと、ちよつと私も正確な数字持合わせがないが、大体今までの実例から言えば、マル公相当高位に達しておりますが、やはり自由價格というものは、追從的にある程度上る。これが少し狂うと今言つたように、若干黒字員出るという体制が根本から崩れるのであります。  それから自由價格が上るも、上らないも、要は物の裏づけによつて決定されると思うのでありますが、せんだつて労働大臣にお尋ねしたときに、はつきりした回答を得られなかつたのでありますが、大体去年に比して今年の生産上昇率がどういう程度に上つているか、去年と今年と物を消費する力であるところの人口増加がどの程度殖えているか、これによつて大体物が消費に対してどの程度補給が去年より今年は上まわつているか、この数字的基礎が明らかにならない限り、自由價格がこんな低位に止まるということとは、私は考えられないのであります。この点について明細な数字、統計がおわかりでありましたならば、ひとつお示し願いたいと思います。
  16. 谷口孟

    谷口政府委員 一部分お答えいたします。やみ價格上昇についての御議論でありますが、やみ價格は昨年のマル公改訂の前後を比較してみますれば、昨年の上半期においては、大体対前引比一割上昇線をたどつてつたのであります。これに対してマル公を、御承知のように七月改訂したわけでありますが、それまでは手直し程度でありましたので、あまり上つておりません。そこで昨年の七月にマル公改訂をします場合に、マル公改訂があつたならば、月一割ぐらいずつ上昇しているところのやみ物價は、さらに輪をかけて上昇するであろうというような論議が多々あつたのであります。しかし実績は逆でありまして、マル公はなるほど数箇月の間に二倍半くらいの上昇をたどつたのでありますが、やみ物價は御承知のように昨年の八月以來対前月比が大体四、五パーセントに落ちております。そうしてさらに今年になりましてからのやみ上昇率は、非常に低いのであります。現に四月は一%に足らない上昇率であり、五月は一・六%程度である。われわれは一月から三月までの相当やみ上昇率の多いところを同じような趨勢で伸ばして、多少ゆとりをとつて見ておるのであります。結局三分六厘と申しますのは、これは今後價格改訂までの線としては裕りをとつておると申し上げることができるのであります。國民の中にはさらに價格改訂後にいかなる上昇をたどるであろうか、これをお聽きになりたい者があると推測するのであります。この問題は今ここで直接には融れておりませんが、われわれは昨年の経驗を見ましても、今日の購買力程度、また通貨の増発の状況、そういつたものから考えて、これがよほど変つた上昇をたどるようにはならぬと考えております。今後の物價維持の問題は、お説の通りにやはり物資配給ということにあると思います。われわれは満配事情前提として、さらにこれに綿布なり労務加配なりを加えまして、この実質賃金の維持には万全の努力を拂う考えでおります。しかし今おつしやる通りの統計的な工業生産水準とか、人口増加とかの資料は今私もつておりませんために、ここでは留保させていただきます。
  17. 山花秀雄

    山花委員 一般生産がどの程度になつておるか、それを消費する力、あるいは人口増員生産力を増す一つ基礎になつておるかどうか、こういう問題が明らかにされない限り今後のやみ物價の統制、あるいはこれがどういうふうになるかというような点は、これは水掛議論になると思いますので、私この質問はここではやめますが、勤労所得税大幅軽減のために、せんだつて労働大臣からいろいろお答え願つたのでありますが、ちよつと腑に落ちかねる点がございますので、いま一應物價局長に質したいと思うのであります。勤労所得税減免になる金額が一体どの程度か、それからいま一つは一般物價の問題はいろいろマル公價格自由價格が論議されましたが、今度新しく政府が新設しようとしておるところの例の取引税、これは当然消費者相当過重負担になつてきますが、その取引税過重負担を今後の賃金ベースに織りこんでおるかどうか、それと取引税過重負担というものが一体どの程度金額になるか、一般議論されておるところは、勤労所得税軽減は非常によい政策であるけれども取引税の新設は惡い政策であつて結論から言えば相殺勘定になるのでないか、こういう議論一般に行われておるのでありまして、この点はことつ明らかにしていただくならば、私ども勤労者に話する場合にも、非常に都合がよいと思うのでありますが、相殺勘定になり得ないような数字であれば、その数字的根拠をひとつ明らかにしていただきたいということ、それから今の賃金ベースの中に、新しい過重負担になる取引税が織りこんでおるかという点を明らかにしていただきたいと思うのであります。
  18. 谷口孟

    谷口政府委員 お答えいたします。今度の税制改革案によりますると、減税率は先ほどもちよつと例をとつて申し上げたのでありますが、三千七百円で二・五人の世帶のものにおきましては、現行税におきましては、大体八百三十円の——これは逆に申さなければわかりませんが、現行四千四百五十円の手取りでなしに、税込みの場合には二・五人世帶におきましては、八百三十円の税がかかります。從いまして手取り額が三千六百二十円になります。今度三千七百円の場合には、税金が八十円でありますので、手取り額は同じく三千六百二十円になるのであります。すなわちこの手取りが同じであつて、しかも税込み賃金片方は四千四百五十円、片方は三千七百円と開いたのは、これすなわち減税効果であります。從いまして、その差額が減税額と見ていいのであります。それから四・二人になりますと、税額が少し変つてまいります。扶養家族控除の点で変るのでありますが、九千三百五十四円の場合に、三千三百十五円の税がかかります。これは現行税でありますが。手取り額從つて六千三十九円になるのであります。今度三千七百円ベースの場合の四・二人の世帶見取り賃金が六千三百六十四円でありまして、それに新税法によりますと、三百二十五円の税がかかつて、そうして手取りが同じく六千三十九円になるのであります。すなわち三千三百十五円から三百二十五円差引いた約三千円というものが、減税効果であります。この四・二人、それから二・五人のところでは、金額相当の差異はありますが、そういうような実数が出るわけでありまして、これは各場合にあてはめてみれば出ると思いますが、私は今ほかの資料を持つませぬ。三千七百円の場合だけの資料を持つておりますので、これだけ申し上げておきます。  それから取引高税が新設せられることによつて、それが物價にどう響くかという御質問でありますが、取引高税は御説の通り物價には確かに影響はあると思います。しかしこれは百分の一の税でありまして、いろいろ取引によつて違うと思うのでありますが、われわれの見るところでは、大体これは企業が吸收し得る程度であろうというふうに考えております。またこの実施は九月以降になる予定でありまして、年を通じて考えてみるならば、その影響はそう大きくないというふうに考えます。從つてこの三千七百円という基準の平均賃金は、この取引高税を実施することによつて、これでやりきれぬというような程度のものではないと思つております。なおこれを計数的にという御要求でありましたが、これはなかなか計数でははじけない問題であります。われわれは企業において大体吸收し得るものということを前提として考えておる次第であります。
  19. 山花秀雄

    山花委員 大体勤労働所得税の減額と、取引税の負担とについて、総括的な数字の御答弁を得たいと思いましたが、お手もとに参考資料がないので、三千七百円ベース中心とするところの減税程度が明らかにされたのでありますが、取引税は聞くところによりますと、一分の負担というよりも、何か生務者、卸小賣という関係で、三分の負担というふうに承つておるのでありますが、この点はいかがでございましよう。
  20. 谷口孟

    谷口政府委員 御説の通りに各段階において取引高税がかかりますので、最終のものを扱う場合におきましては、これは御説のように三分なり、二分なり、取引の段階によつてその相違があると思いますが、加算されてくることに相なると思います。
  21. 山花秀雄

    山花委員 今度勤労者にとりましては、物價改訂のうちでも、とりわけ一番重要な問題は、主食の米賣の問題であろうと思うのでありますが、これも傳えられるところによりますと、米賣が三千二百円に決定するとかというような話が傳えられておるのでありますが、物價廳におきましては、どの程度が妥当な米價とお考えになつておるか、あるいは政府にはもう米賣の決定案ができておるかどうかという点、御在じでございましたならば、お答え願いたいと思います。
  22. 谷口孟

    谷口政府委員 お答えいたします。米價の問題はまだ決定いたしておりません。これは今度パリテイ計算をいたしまして、新麦、新馬鈴薯にはこの新しいパリテイによつて價格がきまると思います。今おつしやるのは米の問題でありまして、米の問題はこの秋の問題でありまして、今のところまだ未決定であります。さらに今御質問になつたもう一つの点は、二十二年度の産米をどうするかというふうな含みがあつたかと推測いたすのでありますが、この点もまだ全然未決定であります。
  23. 山花秀雄

    山花委員 十一月新米穀年度からの米價は、当然改訂されるだけうと思うのでありますが、本年度現行配給基準でいくかどうかという点になりますと、六月十五日には大体全面的な物價改訂を行うということになれば、当然一貧勤労者配給される米價の変更が考えられると思うのであります。二十二年度産をそのまますえおきに配給されるというふうには私どもは考えていないのでありますが、もしそうなれば非常に勤労働は助かるのでございますけれども、いまだにその点がはつきりわからぬという点は、これはあるいは私の邪推かもわかりませんが、逃げをうつていらつしやるんじやなかろうかというような邪推がわくのでございますが、十五日から一般物價改訂をすると言つておるこのときにあたつて、米價のことが論議にならないというような点は、ちよつと納得しかねるのでありますが、いくらに決定するかという点はわからなくても、大体の議論はあつただろうと思いますが、その点お答えできないでしようか。
  24. 谷口孟

    谷口政府委員 お答えいたします。二十二年度産米の措置につきましては、孝究中でありまして、もちろん未決定であります。従つて今おつしやるように、この價格をすえおいて、そうして今度の麦馬鈴薯の新しい價格による場合の配給者への價格をプールして、そうしてこれを少し下げるというやり方もありますし、あるいは適正に上げて、そうしてそこで出てくる特益をどう処理するかという問題もあるのでありますが、この点はまだ研究中でありまして、今答弁を申し上げる段階でないことを御了承願いたいのであります。
  25. 山花秀雄

    山花委員 新しく設定される三千七百円ベースという件につきましては、今日の日本の勤労者は何と言つても一番大きな問題として、一般物價改訂がどの程度に落ちつくか、これに関連して三千七百円ベースがいろいろ論議されるだろうと思うのであります。大体鉄道料金は三倍半というような原案が出ておりますと、郵便料金は四十という原案が出ておる。また酒、タバコの配給の値上率も一應の原案が出ておるのでありますが、大体三千五百円の現行税率のもとにきめられておる賃金から、六月の十五日ごろ勤労所得税の引下げを行い、三千七百円ベースにする。その間若干の賃金上りの率と一般物價の七割程度上り方、それから鉄道とか郵便料金は三倍半、四倍というような形になつておりますが、そのはね返りがどの程度のはね返りであるか。また一般生産がパーセンテージで自由價格が七五%強、マル公格が二五%強というふうに算定で出ておりますから、大体の労働者階級が使う生活物資に要する費用というものがはつきりしておると思うのでありますが、賃金上昇物價の値上げによるそのはね返りがバランスがとれるかどうか、どういう程度のはね返りを算定しておるか。その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  26. 谷口孟

    谷口政府委員 今度の價格改訂をいたしまして、そうしてそれの生計への影響はどうなるかという御質問であります。これは先ほども申し上げました通りに、大体において実効價格において二割見当になるのであります。先ほどの計算を克明にやつていただくならば、そういう数字が出るのであります。二割ないし、二割二、三分程度のものが実効價格として上昇するわけであります。これは先ほど申し上げました通りに、やみ物價は大体三・六%上る。それから生計費へのマル公上昇の影響というものが七割ないし八割程度に止まる。この前提のものにはじけば、大体実効價格が二割ないし二割二、三分というところに出るのであります。この実効價格上昇に対應して、今度の実質手取賃金というものが組んであるのであります。これに今度の新税を加えて、税込み賃金が設定されたのであります。これはバランスをとつておるのであります。今度これを特に主眼点として組立てられたものであるということをひとつ御了承願いたいのであります。
  27. 山花秀雄

    山花委員 大体自由價格マル公價格平均して二割程度上昇、これを基礎賃金の決定をした。こう了承するのでありますが、先ほど議論になりました七割値上げか、八割値上げか、七割値上げの場合にはいくら黒字が出る。八割値上げの場合にはいくら赤字になるように承つたのでありますが、一般物價が七割で抑えることができるか、あるいは八割まで上昇するかどうかという点、たとえば鉄道料金の関係を見ましても、郵便料金の関係を見ておりましても、一般勤労者支出するパーセンテージは少いかもしれませんが、ああいう大幅の値下げが行われておるのでありますから、はたして七割に止まるか、八割を起すかということが、われわれ勤労者にとりましては、非常に重要な問題になつてくるのであります。七割として大体二割の上昇、こういうふうに了解していいのでございましようか。それとも八割ということになりますと、どの程度のパーセンテージになるか、おわかりでございましたならば、お答え願いたいと思います。
  28. 谷口孟

    谷口政府委員 お答えします。大体今の計算でいきまして、七割の場合が約二割、八割の場合が二二%ないし二三%というふうに推定いたしております。それからいま一つ價格改訂は計算上同時に行われたような計算が出ております。しかしながら実際の價格改訂には相当の期間を要するのであります。まず基礎的なものが、先に改訂せられまして、逐次末端に及ぶのでありますが、昨年の例は特に長くかかりまして十月までかかつております。今度はそれほどかかるつもりはありませんけれども技術的に、また物理的にできない面もありまして、どうしてもこれは七月一ぱいはかかるものとわれわれは予測いたしております。從つてこのマル公改訂の影響というものは一氣に出るのではないのでありまして、逐次出てまいります。昨年の例を見ましても、マル公改訂の影響は八月、九月、十月までかかつて出ているのであります。今度もそういうふうになるわけでありまして、この七割の上昇というのは一遍に現われるのではないということを御了承願いたいのであります。
  29. 山花秀雄

    山花委員 せんだつて水谷商工大臣がおいでになつたときに、政府の手持と申しましようか、輸出の不適格品を連合軍に要請して、それを一般民需に充てる。その場合に実質賃金の確保に充てるようにするか、政府の財源をうんと増すという、そういう建前から配給するかという点について、大体二樣の議論があつたが、自分は実質賃金確保のためにそういうものを配給したい、こういうふうに水谷商工大臣お答えになつたのでありますが、その場合私はマル公を嚴守して、たとえ些少の差額であつても、政府みずからが自由價格、はつきり言うとやみ行為をするということは、國民一般に與える影響は甚大なものがあるから、マル公を嚴守してそれを配給するかどうかと問いましたときに、若干の價格の差異はやむを得ないのではなかろうかと思われるというような、きわめて曖昧な答弁をなさつてつたのでありますが、そういう價格は、例外價格であるとか、特定價格であるとかいうようなことを往々にして言われるのでありますが、物價局においては政府の放出物資に対するそういうやみ價格を加味した例外價格というものを、認めるものであるか、どうか、物價局方針がございましたならば、はつきりお答え願いたいと思います。私どもはたとえ些少な差であつても、政府から出る品物については寸毫の自由價格があつてはならない。そうでなければなかなか自由價格を取締るということはできないのじやなかろうか、こういうふうに考えておるものでありますが、物價局見解を承りたいと思います。
  30. 谷口孟

    谷口政府委員 私はただいまの説にはまつたく賛成であります。ただ問題は、政府が手持のものを放出いたしました場合に、いろいろ物によつて違うと思うのであります。一般民需向けのもので、絶対必需品、日用品として不可欠のもの、そういうものはお説の通りに、これはもう当然政府配給ルートにまわして、正規の方法でこれがいくことが当然であります。ただときに輸出のために多少贅沢品といつたようなものもあるかもしれません。そういつたようなものの賣りさばきといつたような場合には、これはまた特殊の考慮が拂われる場合もあり得る。こういうことは一應われわれも考えておかなければならぬというふうに思います。
  31. 山花秀雄

    山花委員 先ほど物價局長の御答弁の中に、もし八割の値上げがきまつたときには二二%くらいになるというが、そのとき私は若干赤字が出るのじやなかろうもかと思うのであります。傳えられるところによりますと、一應三千七百円というベースを発表したが、これではとても追つかないじやないか、こういう議論政府部門にあるということを承つているのでありますが、三千七百円ベースがもし八割願上げというようになりますならば、当然これは変更されるべき数字ではなかろうかと思うのでありますが、この点はどんなものでございましようか。一應物價の算定の基礎賃金をきめられる関係上、物價局の方が一番この問題についてははつきりお答えできるのじやないかと思います。
  32. 谷口孟

    谷口政府委員 ただいまマル公の引上げが七割か八割か、八割となれば赤字が出はしないかという御質問でありました。もちろん今われわれが推算いたますものは、数学的に出てくるのでありますが、一推測でありまして、これが的中ということはむずかしいと思います。相当の幅のあることは御承知願いたいのであります。ただいまの論は二・五人世帶の場合の論でありますが、四二人の世帶に換算して考えます場合には、これは非常にゆとりがあるのであります。そうして特にこの勤労者の純勤労收入によつて生活をする者の頭数から考えてみますならば、われわれの一つの推測では、この三千七百円の平均賃金はプラスの面が多いという結論を得ております。はつきり四・二人の世帶につきましてわれわれの推算したところを申しますならば、七割上げるときならば、五百五十円のプラスであり、八割上げるときならば四百三十四円のプラスになつておるのであります。それから二・五人の所では七割のところが四十三円のプラスであり、八割のところが三十二円の赤、これは先も申しました通り相当の幅のあるものでありまして、数字的に出たものをただちに現実にあてはめるというわけにはいかないのであります。その点のお含みを願いたいのであります。われわれはおしなべて大観してこの三千七百円というものが今日の場合において妥当であるというふうに考えます。
  33. 山花秀雄

    山花委員 大体新賃金水準政府当局のお考えになる意向はわかつたのでございますが、この前の千八百円ベースのときに的確な数字をいろいろ表わして、安本長官は十一月になれば四百何十円の黒字になる、千八百円ベースのあの水準に四百何十円の黒字が出る、こういうふうに言われておりましたが、それが何ら実現せずして崩れてしまつたということは御承知通りであります。今承つておりますと、相当幅のある賃金形態をきめておる。二・五のときには若干——些少なりとも赤字が出るけれども、四・二のときには相当四百円何がし、五百円何がしという黒字が出る、こういうふうに言われておりますが、從來の経驗からして一般の勤労階級はその説明にはおそらく信を置かない、こういうふうに私考えておるのであります。問題は賃金ベースいかんというものでなくして、本質は働く者の協力を得て、そうして日本の生産再建、生増産強をはかるということが、いかなる場合でも賃金裁定の狙いでなかろうかと思うのであります。ここで問題になりますのは、今日たとえば全官公廳関係の各労働組合の勤靜をうかがつておりましても、大体の基準というものは、あちらこちらで大会を開催されておりますが、手取り五千円をもらわなくては絶対引かないというような大会の決定を各地で行つておるのであります。私ども関係しておりますところの民間企業においても、最近の労働協約あるいは賃金提携はおおむね平均六千円という賃金ベースをきめておるのであります。五月から六月初頭そういうような動きが実際の賃金の動きとして現われておるのでございます。そういうふうに考えてまいりますと、この三千七百円ベースがはたして堅持できるかどうかということにつきまして、一抹の不安をわれわれは感じておるのであります。それで問題になりますのは、結局は名目賃金より実質賃金で、ひとつこういう問題を解決してもらいたい。先ほどの商工省当局の連合軍に対する輸出の不的確品拂下げの問題に関連してもそうでありますが、十一月から主食の配給を三勺ぐらい殖やすことができるというようなことを、たびたび政府の方で放送しておるのでありますが、私どもはそう樂観はできない食糧事情ではないかと思うのであります、一般國民の三勺の増配ということが可能が不可能かということ、これは見解の相違、議論の相違ということになりますが、現実に二合五勺の配給ですら主食以外の砂糖なんかを加味して賄つておるというのが今日の現実でありまして、もし多少の余裕ができますならば、勤労者中心とする実質賃金確保のために、労務加配に重点をおくような対策をとられたいと希望するのであります。特に運賃関係勤労者に及ぼす影響がいかに甚大であるかということは、勤労者の声を聽いてみればはつきりわかると思うのでありますが、運賃は國会においてどの程度の値上げにきまるか、はつきりほかりませんが政府原案は三倍半ということになつております。せめと勤労者の通勤バスだけは現状すえおきができないものであろうかどうか、物價廳においてその点をはつきり数字的に、何らかの形で、勤労者の定期も一般と同樣に絶対値上げしなくてはならないものかどうか、特に勤労者実質賃金確保という意味ですえおきできないものであるかどうかという点を、おわかりになればひとつお答え願いたいと思います。せんださて鈴木法務廳総裁がおいでになつたとき、やはり実質賃金確保というような意味でやみ市場の徹底的撲減をひとつつてもらいたいということに対し、断固やる、こういうようにお答えになつたのでありますが、最近聞くところによりますと、たとえばその辺のやみ市場を一齊檢挙をやる、現品を押收する。その押收された現品はいろいろあるが、食糧関係が大体中心であります。それをその辺の小学校の生徒にマル公配給で行つておるというようなことを聞いておるのでありますが、傳えるところによりますと、一旦押收した現品の九割までは元の商店主に返し、一割だけ小学校とか町会とかいうところを通じて配給するといううわさをときどき聞くのでありますが、そういうようなことがあつていいことか、もしそういうこが事実あるとしたら、檢察当局の担当者はどういう処置をとられるか、法務政務次官も來ておられるので、その方からそういう問題について檢察当局の御見解を聽かしていただければ結構だと思います。酒、タバコ等々も相当の率の値上げをしておるのでありますが、こういうような勤労者の勤労上必需品については、特別の労産加配を全般的に政策のうちに繰り入れるかどうかという点をも、併せて関係の方から御答弁願えれば幸いと考えます。
  34. 松永義雄

    ○松永政府委員 ただいまお尋ねの取締りの点については、十分檢察廳に傳えまして取扱りをいたすようにしたいと存じます。
  35. 谷口孟

    谷口政府委員 國鉄料金のうちで、定期等を特別な率にすえおいたらという御意見であります。この点につきましては、鉄道の独立採算の見地もあり、これは運輸省からお答えすることが適当と思うのでありますが、今までのわれわれの到達したところでは、すでに割引率も非常に世界に例を見ないほど多いのでありますから、これをこの際特別な率に止めることはむずかしいという結論になつております。それから労務の加配、おつしやる意味は傾斜配給ということかと思いますが、これもできれでそういうふうな措置をして、この際賃金物價の安定を期したいのであります、しかしこれも物量に問題があるのでありまして、物量のいかんによつてそういつたような施策も当然影響を受けてくることになろうと思います。われわれは当面あらゆる努力を拂つた滿配の維持、そうしてできるならばさらに労務加配なり線布の放出なりを期待する、こういうことは國民の全般が声を大にして要望しているところでありまして、あらゆる努力を拂つて実現に努力したい、こういうふうに考えている段階であります。
  36. 安平鹿一

    安平委員長 この機会に山花君に御相談しますが、まだあと木村君も前田君も関連質問があるようですから、なるべくひとつ時間を……。
  37. 山花秀雄

    山花委員 もう一つだけ、先ほど私申し上げましたように、一般平均賃金が私ども関係しているところでも六千円ないし、六千二百円というベースが動いている。おそらくこれは産別関係一般企業の労勤組合でも、その程度現実に動いているのではなかろうかと思うのであります。全官公廳の親合も先ほど申したような状態でございますが、そういうような労働攻勢が一方では起きようとしているし、現実の賃金形体はただいま申し上げましたような状態で動いているというときに、最高賃金統制と申しましようか、それをきめるとか、あるいは間接統制を行うとかいうような話が政府当局の方からいろいろ傳わるのでありますがゐそういうようなことをやつてはたして賃金統制ができるかどうかという点に、われわれは一抹の疑念をもつのでありますが、現在相当高位にある賃金を、それならいくら賃金で抑えようとするか。もと最高賃金統制を布くというのならば、現実に動いているこの高賃金を一体どういう措置をとるか、それをそのまま認めて、また賃金統制をやるというような偏頗なことをやるのか。それから全官公廳がただいま申し上げましたように、手取り五千円云々というような、大きな労働攻勢が起きようとしておるについて、労働対策ししてどうお考えになつておりますか、この点御回答を願いますれば、私の質問は、いろいろございますが、これで一應打切りたいと思います。
  38. 渡邊年之助

    ○渡邊(年)政府委員 賃金の安定措置の問題について御答弁申し上げます。先般來賃金の安定に関して政府においていろいろ考究されておるかのごとく新聞に出ておりますが、最高賃金をきめて統制を行うとか、あるいは平均賃金をきめて賃金の直接的な統制を行うとか、こういうようなことはまだ具体化しておりません。われわれの信ずるところによりますと、賃金の安定は、先ほどからしばしば御指摘がありましたように、実質賃金の充実が伴わなくしてはとうてい困難であり、戰時中における賃金統制の失敗の経驗に鑑みましても、現在の政治的並びに経済の情勢のもとにおきましては、賃金を直接に統制するというようなことは困難であるばかりでなく、行政的にも技術的にもはなはだむずかしい問題であろうと思つております。間接的な統制の問題もお話になりましたが、まだどういう方法で賃金を安定せしめるかということは、最後的な決定をみておらないのでありますけれども賃金の支拂われる給源と申しますか、資源と申しますか、資金支拂の給源が不健全なもの、たとえば價格差益金を滯納したり、企業やみ行為によつて賃金値上げに應じたり、その他下請工場に対する支拂を延期したり、いろいろ不健全な方法によつて賃金給源をまかないようなやり方は、何らかの措置によつて是正するようにしたい、こういうように考えております。その程度でありまして、具体的な措置は現在檢討中でございます。さよう御了承願いたいと思います。
  39. 安平鹿一

    安平委員長 前田君。
  40. 前田種男

    ○前田(種)委員 先ほどから應)されました点でもう少に明確にしてもらいたい点だけを物價局長にお尋ねしたいと思います。一つは、二十二年度産米の米價改訂の問題は考究中であるという答弁でありますが、三千七百円ベースの数には、二十二年度産米の改訂價格の問題が織りこまれておるかどうかということをはつきりしてもらいたいと思います。價格はどうなろうとも、この三千七百円ベースの中に織りまこれておるかどうかとう点が一点であります。  それから先ほど三千七百円ベース一般産業のベースで、官公廳に適用するベースではないという答弁でありましたが、しからば二十三年度本予算が昨日提案されておりますが、その数字を私見ておりませんけれども、二十三年度本予算の中には、官公廳の人件費というものは二千九百二十円ベースで提案されているのか、三千七百円ベースで提案されているのか、この内容を明確にしてもらいたい。  もう一点は、先ほどから、四月、五月のやみ値の上昇率予定よりも低いという答弁でございますが、この原因はわれわれの関知する見方から申しますならば、四、五、六月は本予算が成立せぬために暫定予算をもつてまかなつているためで、本予算が成立して政府支拂が一齊に出されることになりますと急激に引上げられるのじやないかという懸念をわれわれはもつております。金融の引締め、それから國家予算が成立し得ない、あるいは支拂が停頓しているということのために購買力が減退して、やみ値があるいは予定の下まわりをしているという現状でありますが、この現状は決して七月以後においては樂観を許さないという見方をわれわれはいたしております。この点に対して物價局としては、安心して三千七百円ベースで押切れるという見解をもつておられるのかどうかという、この三点について明確なる御答弁を願いますならば、私の質問はこれでおきます。
  41. 谷口孟

    谷口政府委員 御答えいたします。三千七百円平均賃金の中に米價の値上りを予想するかという御質問でありますが、これは当然考えておるのであります。今の実効價格上昇二割二、三分という中には、米價のマル公の引上げということを含んでおるのであります。これは今度新馬鈴薯が出ますならば、当然新しいパリテイ計算で上つてくるのであります。これを合一して考えておるのであります。  それから予算の中に人件費の單價として何が組んであるかという御質問であります。私は予算関係の当務者ではありませんが、私の予承するところでは、三千七百九十一円が組んであるということであります。これはさつき申しました通りに、今年の一月の臨時給與委員会において民間企業水準さや寄せしてきた場合に、官廳給與は平均に対して二分四厘程度高いのであります。二千八百五十円の民間水準に対して、二千九百二十円の水準が設定されておるのであります。同じような比率が適用されてある。こういうふうに了承いたします。  それから四月、五月のやみ價格上昇が低いのは通貨の放出が少いからだという御見解でありますが、ごもつともだと思うのであります。今年の一月以來やみ物價上昇が低いのは、満配事情と、そして通貨事情がそういうふうな非常に低い水準にあるということが大きな原因と思うのであります。今後新しい予算が成立して、そして政府の支拂が起きてくるならば、通貨は膨脹するのじやないかという御見解であります。これもある程度実現すると思うのであります。しかし今日大藏当局の過去の実績に鑑みて、なるべく月別にも收支を合わせるような方向にいきたいということを強調しておるのであります。年間においてバランスが合つても、出し方が時期を異にするならば、これはインフレーションの高進になるので、月別にもバランスさせたい。しかしこれは的確にはいきますまいけれども、そういう方針であるのであります。從つてこの点の御懸念はこういう通貨面の措置と、さらにいま一つ生産の流強と、そしてこの配給の充実という方法でやつていく。これは政府のよくするところではないので、國民全体の努力にかかるとわれわれは思うのであります。この点よく解明して、そして國民一人々々が物價賃金の安定に全力を盡すという態勢になることを切望しておる次第であります。
  42. 前田種男

    ○前田(種)委員 今の答弁の中に、私の聽き違いかしりませんが、二十三年度本予算には三千七百何がしを組んである。その通りですか。
  43. 谷口孟

    谷口政府委員 そうです。
  44. 前田種男

    ○前田(種)委員 そういたしますならば、官公廳の勤務時間は六・六と私は聽いております。それで三千七百何がしの標準賃金を予算として提案されておるといたしますならば、民間企業の八時間労働という場合には、一体どういうふうにしたらいいか。民間企業一般を三千七百円で標準賃金を押えようという標準のとり方の解釈は、物價廳で一体どうとつておられるかという点を、もう一度はつきりしてもらわなければ、ここに大きな矛盾があるのではないかと思います。
  45. 谷口孟

    谷口政府委員 お答えいたします。これは民間給與水準基礎にして、われわれは全國工業平均賃金基礎にして物價をはじくのであります。これは原則なのであります。そうして民間給與水準官廳側がさや寄せするというのが、この前の臨時給與委員会においてとつ方針であります。從いましてあくまでも三千七百円は價格形成の原價にとる水準であります。これをどういうふうに見るかというのは、今度は雇傭主としての官廳のとり方であります。そのとり方は今年の一月の給與委員会のとり方に從うならば、今申したように三千七百円に対して三千七百九十一円と、二分四厘ほど高いことになるのであります。その出し方はこの前の給與委員会の出し方を御参照願えばすぐわかるのでありますが、三つの修正がしてあります。一つは地域別、男女年齡、それから老若、こういつたような構成から比率がかけてあります。それから労働時間の六・六時間という修正率もかけてあります。さらに毎月勤労統計報告に載らない一般の方間水準のものもあることを予定して、この変動率をもかけて、三つの修正率をかけてこういうふうに算定されております。今の政府の三千七百九十一円の中には、この三つの修正の方法をそのまま踏襲して組んであるというのが現段階であります。
  46. 前田種男

    ○前田(種)委員 大事なところでありますから……、予算として三千七百何がしを提案されておりますが、これをどう採用するかということは雇傭主たる政府の決定によつてきろるということになりますが、予算が成立いたしますならば、いや應なくこの問題は実行されると思います。これですら一般官公職員の間には大きな不満があるというのが現状でありますから、そういたしますと、三千九百二十円ベースをきめたときには八時間に延ばせばこれが三千五百三十九円になると私は承知しておるのです。もし六・六の勤務時間で三千七百何がしの予算案が組まれてあるということになれば、これは八時間に延ばしますならば、その割合数字民間企業におきましてもずつて上まわりするということは当然だと思います。この上まわりするのが物價の中に織りこまれなければならぬと考えますが、もし二千九百二十円ベースのときに三千五百三十九円という八時間に延ばした賃金水準が出るということを承認されますならば、今度の場合にもその計算において数字が出てくるということを見た上の物價改訂であるかどうかということは、大事な問題でありますから、この点に対してもう一度だめを押して御答弁を願いたいと思うのであります。
  47. 谷口孟

    谷口政府委員 お答えいたします。御質問の中に少し誤解があると思うのであります。さき申しました通りに、民間水準予定して、それに修正率をかけて官廳給與が出ておるのであります。今の一つの時間の八分の六・六時間という修正率をかければ、これは官廳給與が低く出ます。しかしながら他に民間給與では漏れておるものがあるので、その一割五分というものを見て、それが修正された場合には、今度は官廳給與が高く出るのであります。いま一つは地域なる年齡なり男女別なりの構成比からの修正率、これは〇・八アツプの修正率でありますが、これらも総合いたしまして、そうして合計して民間給與水準平均のところに対して、これを一〇〇とするならば、二・四六%だけ官廳給與が高い、こういうふうに出てくるといたしますると、お説のように民間給與水準がきまつた場合に、官廳給與がそれとの格差つけてみるならば、二分四厘高い、こういう意味がありまして、御疑問の点は解消しておるはずだと思うのであります。
  48. 前田種男

    ○前田(種)委員 どうも私はその点が解消できませんので、これ以上の質問は中止いたしますが、この問題は大事な問題だから、もつと檢討して後日論議したいと思います。
  49. 木村榮

    ○木村(榮)委員 ただいま山花君の質問に対して物價局長答弁があつたわけなんですが、大体それによれば、三千七百円のベースが、五月の鉱工業の平均賃金を推定して、そのものに対する物價の値上りというものが基礎になつていると思うのですが、この前の委員会加藤労働大臣の御答弁では、こういうベースのきめ方が一應物價の面の方は大体そういうふうに一致しているが、ただその裏づけになるものとしては、食糧の増配ということが前提條件になるというふうに聽いたわけです。そこで大体労働者の場合は、労務加配米の問題と、それから一般に対する増配、この問題になつてくるわけです。その点で相当米の問題は農林省の方の御発表の配給状況と労働大臣と食い違つております。今日の御答弁ではこの三千七百円ベースのきめ方は、そういうことを全然考慮に入れないというふうに理解して差支えないと思いますが、それに関連いたしまして、今農林省の片柳食糧長官の名前で出ました食糧需給の概況を見ますと、七月以降三五%の米の配給をやるだけの割合どある。それで七百五十万石くらいを予定してあるらしいのですが、それだけしかない。そういたしますと、あとの六五%は大体砂糖だとか、その他麦、馬鈴薯、輸入食糧というふうになると思うのでありますが、この六五%の他の食糧に対しての値上りはさつき御答弁になりました範囲内でお認めになるかどうかを伺いたいと思います。
  50. 谷口孟

    谷口政府委員 お答えいたします。私は昨年八月以來の満配事情、この満配は今後も続くものと期待しておるのでありますが、ただ今おつしやるように、その配給の内容が多少米のみならず他の代替物で埋められなければならないような事情が起るのではないかというお質問でありますが、そういう場合もあり得ると思うのであります。その場合にも勤労者にはつとめて米とか小麦粉とか、そういつた配給をよくしていくという方面への努力をしたいのであります。質的によくしたいのであります。あらゆる努力を拂いまして、勤労階級の家計の維持に資したいと考えております。
  51. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そういたしますと、もし万一満配が実行できなくて、遅欠配が八月ないし九忠ごろに起つた場合には、その方面から三千七百円ベースは崩れざるを得ないということが言えるわけですか。
  52. 谷口孟

    谷口政府委員 遅欠配が起つたのでただちに崩れるとは私ども考えておりません。おつしやる通り満配の事情は重大な要素であります。家計安定の非常に大きな要素でありまして、これはわれわれが極力維持に努力すべき問題であります。しかしながら今おつしやる通りに、かりにしからば遅欠配が起きたらどうなるかという問題であります。これはそのときの実情によると思いますが、やみ價格が上つて、そうしてそのために維持がむずかしくなるではないかということも当然考えられると思うのであります。ただ問題は、一番主食のやみ價格上りますのは七月であります。これは例年そういう実情にあります。八月以降になりますと、主査の價格は展落してまいるのであります。これはすでに新米の出まわりを予想される時期になりますと、囲つてある米が出まわつてくる、これは過去の実例であります。そういうように出來秋に接近するに從つて、主食の價格は下つてまいるのでありまして、ここにもまた今後の賃金水準、生計の維持という面に大きなサポーター、援助者が控えておるということも考えられるのであります。あらゆるそういつたような要素を総合して、できる限りの努力を拂つて維持していくということを今申し上げるわけであります。
  53. 木村榮

    ○木村(榮)委員 農林政務次官がおいでになつておりますから、お尋ねしたいと思うのですが、この前の委員会並びに今日の委員会の定船本部の物價局長答弁を聽いてみますと、いろいろ民間に傳えられますところの二十二年度産米の價格のスライドの問題、あるいは新麦あるいは馬鈴薯、早掘り甘藷といつたようなものの値段、麦や馬鈴薯はさつきの御答弁では大体御考慮になつておるらしいのですが、昨年度の米の値段は全然考慮に入れてないというような御答弁であつたと思うのであります。そういたしますと、これを簡單に申しますと、大体三千七百円ベースというものは、農民の犧牲において、全部とは言いませんが、大体半分以上は農民の犧牲によつてとつつていこうという建前の立て方ではないかという点を、われわれは認めるわけであります。そこで農林省の方といたしましては、昨年度の米價の問題をどうお考えになつておるか、これは農林委員会の方で聽くべきことだから、その方は簡單でいいが、同時に配給の面から見ますと、片柳食糧長官の御発表になつたものが正しいものとしたならば、今政府が考えていますような満配計画というものは、ほとんど不可能ではないかと思う。これを見ますと、九月以降はもし輸入食糧が八月に到着しなかつたならば、所によつては米の配給がまつたくなくなるという事態が起つてくる、こういうふうに御報告になつているわけです。そうしますと、これを逆に考えますと、この御報告を読んでみますと、豊村の還元配給というものが予想以上に多くて、都市の配給がやつていけない、この文章にもそういうふうに書いてある。そこでこの間各縣からの情報を見ますと、今まで保有量がかりに一應きめたわくがあつたのであるが、今度にわかに神戸の方に二万石出せ、あるいは大阪に三万石出せというので、保有米の限度を食い込んで、今までは八〇%の保有量を認められておつたものが、六〇%くらいに切下げられて、その間はどんどん出さなければならぬという状況になつている。その場合に、出す側の農民は新しい賃金ベースがきまつて、去年賣つた米ならばまだ別個の問題はあるのだが、今月、來月と新しく米を保有米の中から何十パーセントから食い込みまして、現に各縣から出しておる。そうしたものに対して農民は大体今度の米の値段が変るだろうと思つて出しておると思いますが、それに対しても何ら米價の決定は、今の安本の方の御答弁では考慮に入れてないというお話である。これではどういうことになるかと申しますと、三千七百円ベースは先ほど申し上げたように、農民の犧牲において維持していこうという以外にない、かように考えるのであります。そこでこの報告通りだと、今度は政府が企図していますような満配でなく、次配遅配になる危險性が多分にある、こういう点で農林省はかかる食糧事情になるということは率直にお認めになるかどうか、こういつた食糧事情になるということをお認めになるならば、安本の方といたしましても、その他労働省関係といたしましても、主食その他農村の生産物というものを一先先に考慮に入れなかつたならば、三千七百円ベースというものを維持できないとお考えになると思いますが、その点に対しての農林政務次官の御答弁を願いたい。
  54. 大島義晴

    大島政府委員 遅配欠配が起ると、それによつて賃金ベースが崩れるではないか、遅欠配に対する見透しはどうかというようなことが第一点だと思いますが、ただいま政府の計画におきましては、二合五勺の配給は完全に維持できる数字を把握しているのであります。もしかりにある部面に遅配等が起りましても、それは輸送操作の関係で遅配が起り得るのでありまして、昨年度のようにこれを欠配として切捨てることなく、必ず輸送の回復をまつてこれを買配して、二合五勺をあくまでも護保したい、かように計画をいたしている次第であります。  さらに米價の問題でありますが、これは私が申し上げるまでもないグすでに一應の決定をみたものが、ある事情のために足踏みをいたしておりますが、しかし農民の犧牲においてのみこの問題が解決されるとは考えておりません。農民には遠からずある種の方法を講じて、再生産に支障のないように努力いたしたいと考えておるようなわけであります。  なお加配米のことについて、先ほど來いろいろ御質問があつたようでありますが、労務加配米をこの際殖やすということは、これはなかなか困難なことであります。今申し上げた通り、二合五勺の配給を確保するということには確信をもつておりますが、この際加初米を増量するということは、非常に困難な事情にありますので、この点は御了承願いたいと思うのであります。労務加配米も二つにわかれまして、政府から直接差上げる分と、政府が各府縣にわくを差上げて、各府縣の事情によつて差上げるものとの二種類にわかれているのであります。直接政府が差上げている分においては、これは問題ないようでありますが、各府縣にわくを差上げて、この中から差上げているというものに対しましては、各府縣の食糧事情等も考慮されて、ある場合にはこれが減額される危險がないでもないのでありますし、さらに実際面といたしまして、総括的にある会社、ある事業の主体に配給されます関係上、これが一部に保留されるということもあるのありまして、こういう関係上、労務加配米が働く者の手に完全に行き渡らぬということを私どもは認めざるを得ないのであります。そこで今後はこれらをできるだけ直接働く者の手に渡るように、その制度を改善いたしまして、貫徹を期したいと考えているようなわけであります。
  55. 木村榮

    ○木村(榮)委員 今の問題に関連いたしまして、労働政務次官にお伺いしたいのですが、労務加配米の範囲が拡大されるようなことを承つておりますが、一体どの程度拡大されますか。
  56. 大島義晴

    大島政府委員 私から申し上げます。業務の範囲につきましては、重点的な産業はことごとく包含されていると申し上げて過言でないと思うのでありまして、内容はプリントのものもありますから、御必要があれば、朴料とそて差上げて差支えないと思つております。
  57. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そういたしますと、今度は相当廣範囲内に拡大されると認めて差支えないと思いますが、この点はあとで文書によることにしまして、ただこの場合に今までの配給方法と違つて、亞炭鉱その他基礎産業なんかにつきましては、病氣その他で休みましたときには、これは配給はないと思いますが、その点は間違いございませんか。
  58. 大島義晴

    大島政府委員 労働加配米は、欠勤あるいはその他の事有で、労産に服さない場合には、差上げないことを原則といたしております。勤務日数に乘じてこの量を差上げることにいたしております。亞炭の場合における加配米は、大体四百九十グラケ、三合五勺差上げておるわけであります。相当多量のものがいつたいると考えております。
  59. 木村榮

    ○木村(榮)委員 その問題でもう一遍お尋ねしますと、今次官の御答弁で、大体遅配、欠配はやらないという点は申し述べられましたから了解いたしましたが、ただこの食糧需給計画を見ますと、米はないが、砂糖ならば配給を認めるということが書いてある。労務加配米と銘打つて、カロリー計算で、実際は腹のたしにならないような砂糖であるとか、このごろ配給になつているあんずとかいうようなもので、これは米ならば何カロリーになるのだから、さとうを何斤だとか、何日分だとかということで、労務加配工としておやりになることはないかどうかお伺いいたします。
  60. 大島義晴

    大島政府委員 砂糖やあんずがこのろ配給に放出されていることは、相当な量に達していることはもちろんであります。しかし勤労階級に対しましては、できるだけこういうものを避けまして、主食を主としてやりたい、こういうふうに考えてその手配をいたしておりますが、先ほど申し上げた通り輸送関係において必ずしも計画通りにまいつておりません点は、はなはだ遺憾でありますが、できるだけ添加物を除いた主食を配給いたそうと考えております。
  61. 木村榮

    ○木村(榮)委員 先ほど本花委員の御質問に御答弁があつた際に、やみ物價の値上りの状況が、昨年の七月までは一割と御報告になつたと思う。そこで去年の八、九、十、十一から十二月にかけましてのやみの状況を計算してみますと、大体の平均が一〇・四%というふうになつております。ところが今度の場合は、三・六%で押え得るというわけで、先ほど御答弁にあつたと思いますが、三・六%で押え得るという根拠は、大体先ほど簡單にお述べになつたのですが、去年の八、九月には大体一〇・四%の値上りつたが、今年は三・六%で押え得るという見透しは、一番重点はどういうところにあるかということを御説明願いたい。
  62. 谷口孟

    谷口政府委員 お答えいたします。昨年の八月以降は——おつしやる計数がよくわからぬのですが、大体四、五パーセントの対前月上昇率をもつてまいつております。今年になりましてから、四月になつてこの上昇率が非常に落ちまして、対前月比で一%に足りない上昇率であります。五月になりましてから一・六%であります。今三・六%と申しますのは、今日から價格改訂までの月上昇割合を三・六とみておるのであります。その後の問題は別の問題なのであります。それなら今度どういうふうになるかとおつしやるならば、これは昨年の例にもあつた通りに、マル公が大幅に上つたからといつてやみがそれに輪をかけて上ることはない。昨年も前半期は月一割程度上昇を示したものが、マル公改訂後にはかえつて月三、四分の上昇に止まつて今日に及んだ。この傾向からいくならば、今後マル公は上つても、やみ上昇やみの原因によるので、そう大きな上昇はない。ただ今後の問題は、通貨の放出がどうなるかということも先ほど御質問になつたのでありますが、多少殖えても、今後は月別にも財政收支となるべく均衡をとらせるという方針をとつているということと、それから購買力がそうやみにばかりも向わない状態にもあるのであります。また生産の面から申しますならば、大体去年に比べて、本年は三割ないし四割くらいは物價上昇するという見透しもあるのであります。これらを勘案して考えていくならば、マル公改訂によつて、そのここにやみが大きく動くということは考えられない、こう申し上げるわけであります。
  63. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そういたしますと、大体平均いたしまして、七割程度の値上りということになるという御答弁であつたのですが、この間加藤労大臣は、これが八割を上まわるということになれば、三千七百円ベースは崩れていく。從つてその裏づけになるものは今申しましたような食糧の増産、あるいは満配だ。こういう御答弁であつたと思う。そこで今政府が御計算になつておるようなやみ價格のはね上りといつたようなことや、マル公はきまつておるわけですから、これは固定すると思いますが、これが崩れて、たとえば九〇%、八%はね上るということになれば、当然片方が今度は逆に食糧はある程度満配になつたとしても三千七百円ベースは崩れていく危險性があるということは認めて差支えないと思う。これが崩れないという安本の御見解も、万一崩れた場合には三千七百円ベースそのものも崩れることになると思うが、これをお認めになりますか。
  64. 谷口孟

    谷口政府委員 お答えいたします。將來このやみ物價上昇して、そして生計費が嵩んできた場合に、どうなるかという問題であります。これは生産が殖えてくるならば、そこに賃金統制がない限り、やはり利潤の分配の意味において賃金も上るでありましよう。これは昨年の七月のときもそうでありましたが、これをもつてただちに三千七百円が崩れたというわけにはまいらないのであります。なぜなら、三千七百円は公定物價基礎とつ價格であります。從つて生産物は三千七百円の賃金水準へ織り込んだ價格取引せられましても、企業の合理化なり、また能率を挙げて、そしてそこに三千七百円以上の水準賃金を拂い得るのであります。それは企業によつて違うと思います。しかしながらそうなつた價格をかえるかというと、そうじやないのです。價格はやはり三千七百円の價格なのであります。この三千七百円はあくまでも價格の形成の要素としての賃金を設定したわけであります。價格改訂まではこれは維持されるのであります。
  65. 木村榮

    ○木村(榮)委員 その点については如藤労働大臣の意見が多少食い違つておるのではないかと思いますが、それは別個の問題といたしまして、それから中央労働委員会の委嘱の問題、その他関連した問題が三、四点ございますが、次の機会に労働大臣がお見えになつたときに御質問したいと思います。きようは約束の時間ですから、これで止めます。
  66. 安平鹿一

    安平委員長 本日の質疑はこの程度で止め、残余の質疑は次会にいたすこととし、次会は來たる十五日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十四分散会