運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1948-06-04 第2回国会 衆議院 労働委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月四日(金曜日)     午前十一時開議  出席委員    委員長 安平 鹿一君    理事 倉石 忠雄君 理事 辻井民之助君    理事 山下 榮二君 理事 川崎 秀二君       尾崎 末吉君    菊池 義郎君       栗山長次郎君    綱島 正興君       荒畑 勝三君    菊川 忠雄君       島上善五郎君    前田 種男君       山花 秀雄君    小林 運美君       高橋 禎一君    西田 隆男君       大島 多藏君    河野 金昇君       木村  榮君  出席國務大臣         國 務 大 臣 鈴木 義男君         商 工 大 臣 水谷長三郎君         労 働 大 臣 加藤 勘十君  出席政府委員         労 働 技 官 金子 美雄君  委員外出席者         專門調査員   大橋 靜市君         專門調査員   濱口金一郎君 五月二十五日委員天野久君及び小川半次君の補欠 として西田隆男君及び高橋禎一君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日委員石田博英君及び村上勇辞任に つき、その補欠として鈴木正文磯崎貞序君が議 長の指名委員に選任された。 同月三十一日委員平川篤雄辞任につき、その補 欠として河野金昇君が議長指名委員に選任さ れた。     ――――――――――――― 六月二日  労働法規改正反対並びに税金及び賃金改惡反対  の請願安平鹿一君紹介)(第一一三九号)  松田町に労働基準法監督署設置請願鈴木雄  二君紹介)(第一二〇二号) の審査を本委員会に付託された。 六月三日  管財職員より待遇改善に関する陳情書外百五十  六件  (第四四八号)  全國財務労働組合幹部徴戒処分取消に関する  陳情書外七十九件  (第四五二号)  同  (第四六〇号)  税務官吏待遇改善に関する陳情書  (第四七一  号)  労働法規改正反対陳情書外三十九件  (第四七三号  )  國家公務員給與等臨時措置法案に関する陳情書  (第四七四号)  労働法規改正反対陳情書  (第五〇六号)  勤務地手当地域差撤廃陳情書  (第五  一〇号)  完全雇傭等に関する陳情書  (第五一  五号)  財務職員生活保障に関する陳情書  (第五  二五号)  行政整理及び企業整備による馘首反対陳情書  (第五二九号)  労働法規改正反対陳情書  (第五三三号)  労働委員手当増額陳情書  (第五五  六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  專門調査員出張に関する件  職業安定法第十二條第十一項の規定に基き、職  業安定委員会委員旅費支給額に関し議決を求め  るの件(内閣提出)  労働関係調整その他労働問題に関する件
  2. 安平鹿一

    安平委員長 ただいまより会議開きます。  労働関係調整その他労働問題に関する件を議題に供します。前会に引続きまして、質疑を許します。山花秀雄君。
  3. 山花秀雄

    山花委員 私は本日、政府で今つくりつつありますところの賃金物價に関連する問題をおもに質問いたしたいと、かように存じておるものであります。関係政府当局の方が來ておりませんが、さいわい法務廳総裁がお出でになつておりまするので、労組法の件につきまして、若干総裁意見を質したい。  労組法の改正問題が最近いろいろ論議されておりますが、私個人見解としては、労組法はこの場合改正すべきでない、こういう見解をもつておりますが、その労組法の一部で、ただ十一條違反について、最近私ども関係した組合の爭議の中から、この問題だけは緊急にひとつ改正する要があるのではないかと思われる点が二、三ありますので、一應お尋ねしたいと思うのであります。それは十一條違反によつて労働委員会に提訴いたしましたときに、労働委員会がその提訴人意見をくみ入れて、これを檢察当局の方へ起訴の手続をとりました場合に、提訴人たる労働組合は、その問題から全然関係がなくなつてしまつて労働委員会原告となり、相手方が被告になる、こういうことに法規上なつておるのでありますが、問題は、そういう問題が起きたときに、一般労働者が一應解雇ということになりまして、事件が落着するまでは、言いかえれば、二年かかつても、三年かかつても、そのまま職場から放逐されるというのが現状なのであります。そこで万一原告側意見が破れて、被告意見通つて裁判の結果が資本家側が無罪、こういうことになりますればやむを得ませんが、資本家側が一審においても有罪になり、二審においても有罪になり、終結裁判においても有罪になるということになりますと、その長い期間の間、その労働者生活に苦しみ、路頭に迷うということになるのであります。そこで問題は、大体労働委員会檢察当局の方へ事件をまわしたときは、提訴人として何らそれにくちばしを入れる権限がなくなりますので、労働委員会性格は、おおむね予審的な性格ではなかろうか、こういうふうに私ども考えておるのでありますが、それが予審的な性格であれば、労働委員会がこの問題を取上げるべきであるという決定をした場合に、当該関係労働省を職場に一應帰すというふうにならないものであろうかどうか、この点について一應お尋ねをしたいのであります。
  4. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 山花委員の御質問はまことにもつともなことでありまして、十一條違反の取扱いの上において、実際問題としてお説のような矛盾を感ずるのであります。但し実質的には、労働委員会と、労働者または労働組合と、檢察廳の関係をどういうふうに規整するとかいう問題は、むしろこれは労働大臣の所管に属するのでありまして、立法的にどういうよかという問題は、実質がきまりましたならば当然起つてくる問題であります。私個人としては至極もつともな御意見であると考えますから、労働大臣とも協議をいたしまして、その方がよろしいということであれば、適当な立法的措置考えてよろしいと考えております。今の法律のもとにおいても、そういう場合労働者地位を保護するためには、仮処分ということがなされ得るわけでありまして、爭いが解決いたしまするまでの間は、依然として労働者たる地位を保持するという仮処分を申請せられますれば、救済の途なきにあらずと考えます。しかしそれでは不十分ということでありますれば、さらに進んだ立法的措置考えてしかるべきである、かように考えます。
  5. 山花秀雄

    山花委員 ただいまの回答によりまして、仮処分という別個の途が開いておるということでありますので、その問題はそれとして、そういう方向に向つてこの問題の解決を一應したいというふうに考えておりますが、いま一つ法一つ矛盾を見出す点は、労働基準法の第六章の女子及び年少者條項でありますが、最低年齡の項目につきまして、法第五十六條では「満十五歳に満たない兒童は、労働者として使用してはならない。但し、満十四歳以上の兒童で、命令で定める義務教育課程又はこれと同等以上と認める課程を修了した者については、この限りでない。」こういう規定があるのでありますが、この満十五歳以上で今日義務教育課程を終了するということはあり得ないことでありまして、むしろこれは満十五歳というところで、この満十四歳という但書をとるのが当然ではないか。これは多分この前の教育年限が、八年年限が今度六・三の九年年限なつたので、法の内容にこういう矛盾が生じてきたのではなかろうかと私は考えておるのでありますが、この点について緊急にこの矛盾した法規を改元する意思があるかどうか、あるいは教育年限について私の考えが護つていたかどうかという点を、ひとつ法律総裁の方から御意見を承りたいと思うのであります。
  6. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 御質問趣旨は、これまた至極もつともでありまして、簡單な算術の問題であります。義務教育はできるだけ、労働をしつつやるということを予定しておらないのでありまして、專心勉強をさせることを趣意といたしておりまするから、満十五歳以下では六・三制の義務教育を終ることができないということが明らかである以上は、当然その法規を改正すべきものと考えます。いろいろ制度の改革が急激に多方面にわたつて行われました結果、至るところにその種の矛盾を見出すわけでありますが、氣づきました限り取急いで訂正するように努力いたしたいと考えます。
  7. 山花秀雄

    山花委員 これは法規の問題ではございませんが、賃金物價の問題に関しまして、政府が新しい案を大体発表しておるのでありますが、労働者賃金名目賃金であつては今の日本経済実情のもとにおいてはうまくいかない。言いかえれば実質賃金労働賃金の問題を解決していきたい、こういうふうに考えておるものであります。その実質賃金裏づけ一つとして、労働者購買力の問題でありますが、最近やみ市場が公然と横行濶歩しておる、敗戰國家の現実として目をおおうような実情が街のちまたに横行しておるのでありますが、しばしばやみ撲滅とか、あるいはやみを徹底的に彈圧することによつて日本経済の正党化をはかるというような声明を政府当局はやつておられるのでありますが、そういうようなことは今日の國民大衆はもう納得しないのであります。事実どこへいつても、到るところにやみ市場が汎濫し、それが日本経済を撹乱し、かくては勤労者生活に多大なる脅威を與え、その結果言いかえれば名目賃金の値上げに労働者が奔走奔命するというような状態が続いておるのであります。この公然と横行しておるやみ市場、あるいはやみ商品やみ行為、これに対して檢察当局としてはどういう手段をもつてこういうやみに横行を抑えようとしておるか。たびたびの言明にもかかわらず、なお跋扈しておるのはどこに欠陷があるとお考えになるか。これらの点について法律廳総裁の御意見を承りたいと思うのであります。
  8. 鈴木義男

    鈴木国務大臣 ただいまの問題は深刻な問題でありまして、政府としてもまことに心を痛めておるところであります。お言葉通り生活の安定をはかりますためには、どうしてもやみ撲滅をするほかはないのでありますが、滔々としてやみが行われておりまして、これを取締る官憲の数及び力はこれに対抗すべくあまりにも微弱なのであります。御承知でもありましようが、たとえば檢事陣営は全國の非違を檢察いたしますために、八百五十人の定員をもつておりまするが、生活困難のためにやめる者が多くて、実人員は五百五十人しかおらない。そうして檢察事務官等も多少増員をいたしておりますが、これまた定員を満たすに至つておらないような状態でありまして、殊に経済取締りにつきましては、実は非常なたくさんの人間と、いろいろな手段を必要といたすのでありまして、投書は山のごとくにまいりますが、さてこれをことごとく処理することは不可能な状態にあるのであります。そこでどうしても重点的に大きなやみから手をつけていく、こういうことにならざるを得ない実情にあるのでありまして、これらの陣営を強化いたしますために、定員増加等をはかることも一つの途であると考えます。また最近國会に御審議を煩わしております経済査察廳というものはこれを土台としてやつておるものでありまして、これができますならばよほどよくなると考えておるのでありますが、しかしそれでも微々たるものでありまして、これ態勢を制圧いたしますためには、國民自身の自覚にましまして、あらゆる方面國民が協力してくださる、警察というものも、御承知のように自治体警察が原則である、われわれのつくつた警察である、ゆえにわれわれが助けて仕事をさせるのであるという意識を養わせることが警察地方分権化根本趣旨なのでありますから、そういう意味において國民の間に一大運動が起つて、そうしてわれわれを助けてくださることを期待いたす次第でありまして、それらいろいろな方面に総合的に力を注ぎまして、やみ撲滅努力いたしたいと考えておる次第であります。
  9. 山花秀雄

    山花委員 先ほど法律廳総裁人員不足と、國民道義関係でなかなかうまくいかない、小物より大物を捕える方針であると言われるが、私はその点は了承できるのでありますが、あまりにも傍若否人やみ行為が街のちまたに横行しておるという点であります。大物を追究するのも結構でありますが、差別勤労者関係のある、日常卑近な生活に関連する問題は、特に一般に言われておるやみ市場であります。それから公然といわゆる営業をやつておるところにおいても、頻々としてやみ行為が行われておるのであります。人員不足というようなことを往々にしてよく聞くのでありますが、特に最近は、これは私が労働組合運動をやつておるから、こういうようなことを言うわけでありませんが、労働運動に対しましては相当人員不足にもかかわらず、やりくりをして人員を出して彈圧しておるという傾向が最近顯著に現われてきておるのであります。そういう方面に割く人員を、むしろ現行犯をやつておるところのやみ行為に対して繰出してもらいたい。何だかこの彈圧方向を少し誤つておるのではなかろうかというふうに私ども考えておるのであります。労働運動にあまり彈圧的な力を及ぼすというようなことになるますと、結局物をつくる力を抑えるというような傾向が生れてくるのであります。われわれは物をつくる力はなるべく助長し、物を消費する力を極力抑えるというのが大体今の日本の國の対策ではなかろうかと考えておるのであります。これは少し意見めいたことになりますが、労働運動彈圧する余裕のある力を傍若無人に横行濶歩しておるやみ市場やみ行為、そういう方向を全力をあげて取締つていただきたい。そのことが勤労者生活をまたある一面から助ける原因にもなると私ども考えておるのであります。彈圧方向を誤らないように、そうした小さなやみであつても、現行犯的な傍若無人な、目にあまるようなやみはひとつ徹底的に嚴重取締つてもらいたい。單なる人員不足であるとか、あるいは國民道義心のためというのは、これは事実でありますが、檢察当局がもつと大勇猛心揮つて、そういう不当利得を占めるやみ行為を徹底的に彈圧するという氣魄を示していただきますならば、國民大衆もその政策には必ず協力を惜しまないし、また協力するような態勢が生れてくると私どもは信じておるのであります。その点ひとつ單なる人員不足というような、いわゆるどこの質問にも総裁はそのような言葉で、私ども露骨な言葉を使いますと、お茶を濁しておるというような感じがするのでありますが、そんなことでなくして、ひとつ徹底的にやみ行為取締る。総裁がその言明をすることによつて下僚に相当大きな影響を與えるというふうに私ども考えているのであります。人員不足人員不足というようなことになりますと、下僚はその総裁言葉をそのまま信じて、まあ大してやらなくてもいいのではないかというような氣持が、当然そこから生れてくるというふうに私どは考えているのであります。強い政治力を発揮して、徹底的に総裁みずから陣頭に立つてそういうような不正行為を断固取締るというような決意をひとつ表明していただきたい。こういうふうに私考えているものであります。ぜひそういうふうな毅然たる決意をお示し願いたいと思うのであります。
  10. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 大部分は御意見であるようでありますから、喜んで承つておくのでありまするが、ただ勞働運動彈圧するのには相当警察力を使う、これは私の方で使うわけじやなくして、警察の問題でありまするから管轄が違いまするけれども、確かに一、二の事例においてあつたことは確かであります。しかしこれは不当に財産権を侵害し、刑法の罰條に該当するような行為があつたということで、遺憾ながら強制力を用いたのでありまするし、また一方では神聖なる裁判所命令に服從しない、その執行を妨害するという態度をとりましたために、やむを得ず裁判所命令を執行するために警察の力を借りたいというような事例が一、二あつただけでありまして、決してそうむやみ彈圧をしたというようなことはないと信じているのであります。それに比較いたしまするならば、全國の統計をもつてごらんに入れますならば、いかに多くのやみを檢挙しているか、少き人員をもつてよくもこれだけ働いているというお賞め言葉をいただくだけ仕事はいたしているつもりであります。それにもかかわらずあまりにもやみというものが多いために、一般の目から見ますると、十分に能率をあげておらないように見えるのであろうと考えるのでありますから、その点につきましては、もし断固たる決意表明するだけでよろしいということでありますならば、現に先日も全國の経済檢事を東京に会同いたしまして断固たる決意表明して鼓舞激励いたしておいた次第でありまして、今後も引続いて努力はいたしまするが、あまりにも数が多い場合には、どうしても御期待に副うだけ成績をあげることができない。これは國民諸君の方でも労働者諸君もひとつ私設警察官なつたつもりで御協力願いたい。こういうことを申し上げる次第であります。
  11. 山花秀雄

    山花委員 われわれも一体になつてやみ撲滅めためには私設警察官といような氣持でこの問題を処理していきたいという点につきましては、ただいま総裁の言われたこととまつたく同感であります。しかし嚴重にこれを取締るという決意表明ということは、それに対する裏書表明がなくてはならぬのじやなかろうかと私考えているのであります。すなわち今後大小いかなるやみに関しても、それを檢挙してその犯罪が明らかになつた場合には、現行法規最高をもつて処断する。こういうひとつ裏書がなくては偉大なる決意とも私言えないのではなかろうかと思うのであります。檢挙の数が非常に多くても、結局は説論であるとか、あるいは有限者が少し運動をやるとそのまま放して、しまうという傾向もまた非常に多いのであります。やみ國民経済を撹乱し、日本を亡國に導いているということ、それから労働意欲を阻害しているということ、生産がそのために衰頽しているということは隠れもない事実であります。從つて断固檢挙するという決意と同時に、その裏書であるいやしくも檢挙されて有罪となる場合には、最高の処罰をもつて臨むというような言明をしていただきますならば、相当効果があるのではなかろうか、私はかように考えるものであります。
  12. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 至極ごもつともでありまして、その点につきましてはほんとうにこれをやろうとすると、実は軍隊に近い組織をもつてやらなければ撲滅ができない程度に蔓延しているということを考えておるのであります。実は関係方面でもこの点につきましては深く意を用いまして、第三国人経済違反のごときも、その力を貸してくださいまして、嚴重取締りを開始しておるような次第であります。われわれも深く感謝をいたしておるのでありますが、從つて國内における経済違反につきましても、ただに断固檢挙するというだけでなく、嚴重に処罰するという方針は、私どもとしては堅持いたしておるのでありまするが、裁判所は御承知のごとくまつたく立法行政から独立しているところの裁判権の作用でありまして、われわれから注文をいたすことも、希望を述べることは差支えないと思いますが、干渉がましきことをいたすことができませんので、やや刑が軽きに失するというような、諸種の事案につきまして非難がありますので、これをどうして裁判官諸公意識をわれわれの意識に合致させるかということが、第一のデリケートな問題になつているわけであります。そのために参議院におきまして、特別な活動を開始しているというようなことは、山花議員も御承知通りと思うのであります。だんだんそういう線を通して仰せられるような科刑適正——必ずしも嚴重に処するだけで目的を達するとは考えませんが、しかし嚴罰もまた必要であるとわれわれは考えておるのでありまするが、そういう方向に導いていくべく努力をしているということを御了承願いたいと思います。
  13. 山花秀雄

    山花委員 私の総裁に対する質問はこれで終りでございますが、水谷商工大臣が來ておりますので、商工大臣にひとつ質問をいたしたいと思うのであります。それは最近ちよつと新聞で拜見したのでありますが、政府では手持の綿布が相当量あるので、それ特定價格國民に配給をして、ある一定の財源を捻出する。こういうふうに新聞記事で見たのでありますが、その特定價格というのが、公定價格でないというふうに想像できるのであります。綿布が一ヤールどの程度公定價格かということは、最近の價格がおもにやみ價格國民常識というような形になつておりまして、公定價格を見るには公定價格表という册子でもめくらなくちやなかなかわからぬというのが、今日の嘆かわしい國民常識になつているのでありまズ若慎純磨枚偉たしましても特定價格でこれを配給するというような意味のことが新聞に出ていたが、それは公定價格でないといふうに私想像しているのでありますが、この点は誤り誤りでないかという点をひとつお尋ねしたいと思うのであります。
  14. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいま山花委員の御質問の点は、私うかつにして新聞記事を見落しましたが、大体御質問の点は、芦田総理、また私自身言つたと思いますが、輸出適格品を國内に放出する。そのために努力しておる場合に、その輸出適格品と言われておるものの價格のことを指しておられるのではないかと思つております。一部にはもしこういうようなことが許可せられました曉におきましては、ある程度値段、つまりマル公やみ値の中間をとつて浮動購買力を吸收するために用いたいという意見もありまするが、私自身といたしましたならば相当高い値段浮動購買力を吸收するという役割を果すよりも、むしろ値段事情の許す限りできるだけ低くいたしまして、物價改訂の時期を狙つて実質賃金裏づけをしたい。自分としてはそういう意味で使いたいという氣持をもつております。從つて浮動購買力吸收に重きを置いたときの價格と、ただいま私が申しましたように実質賃金裏づけという点に重点を置いた價格とにおきましては、相当の値開きがあろうと思つておりますが、これは山花君も御案内のように、前の〇・八のときのいきさつによりましても、マル公より高い値段で賣るというようなことが論議されたものでありますから、そういう御質問があつたのだと思うのでありまするが、ただいま御指摘特定價格というものが、マル公に比べてどの程度に高いものであるかというようなことは、すべて何ら確定はしておりません。さよう御了承願います。
  15. 山花秀雄

    山花委員 ただいまの水谷商工大臣の御答弁で大体樣様はわかつたのでありますが、いわゆる浮動購買力を吸收するという建前の價格と、実質賃金に充当せしめるという價格との開きは相当あるが、私は商工大臣としては実質賃金充当という價格で、この品物を処理していきたいというふうに考えたのであります。それにいたしましても、私の考え方を申し上げますと、たとえそれが実質賃金充当という面に用いることはもちろん大賛成でございますが、價格においてはやはり特定價会、異つ嚴守してもらいたい。特定價格異例價格格ということになりますと、その價格の差がいくらか違つただけでも、一般商人の心理に與える影響は、政府でもやみをやつておる、こういう心理的な影響一般商人階級に與えるのでありまして、少くともやみ撲滅し、やみの根源を突くという先ほどの法務廳総裁の言とは少しかけ離れたようなことになるのではなかろうかと思うのであります。実質賃金充当のためには、公定價格で特に重点的に労務者、勤労者を中心としてこれを配給する。こういうような政策をおとりになる意思があるかどうか、それとも若干の開きのある値段でやられるお考えをもつておられるかどうか、この点をひとつ明確に御答弁を願いたいと思うのであります。
  16. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 もし問題の品物実質賃金裏づけに充当するというならば、山花君御指摘のようにマル公でなくてはならぬと思います。しかしながら現在の日本の財政、その他諸般の事情を斟酌いたしまして、百パーセント実質賃金に充当する建前をとれるかどうかということは、諸般の事情を檢討してみなければわからぬのでありまして、私がさき申し上げましたのも、百パーセント実質賃金裏づけということではなしに、それを主眼としてやるという考えであるということを申したような次第でございます。從いまして実質賃金裏づけということに充当する場合におきましては、多分山花君御指摘のように嚴格にマル公が遵守できるかどうかは、ただいまの段階におきまして、まだはつきりと御返答はいたしかねるのでございますが、御趣旨は十分了承いたしまして、われわれといたしましては十分檢討してみたいと思いまするが、さつき申しましたような事情がございますので、ただいまはたして放出されるかどうかということもわかつておりません段階であり今せつかく努中力である現段階におきましては、そういう價格の点まではつきり明言できないことを御了承願いたいと思つております。
  17. 山花秀雄

    山花委員 政府において放出物資要請のために懸命の努力を拂われておられる点につきましては、私ども大いに賛成の考えをもち、政府と同じような立場に立つて國内に放出せしめるよう努力していきたいと思うのでありますが、たまたまそれが放出許可になりまして、一般に配給するという場合には、賃金物價その他いろいろ関連して質問したいと思いますが、ただこの問題に関しましては、マル公を嚴守して、政府は絶対にやみをやらないという模範的な態度を示していただきたい。そうしてマル公マル公と言つても、今日のマル公勤労者生活から見れば相当負担が加重になるような、賃金とあまりにもえけ離れた價格が今回きめられようとしておるのでありまして、マル公だから勤労者はすぐにそれによつて賄い得られるかどうかという点になりますと、なお一抹の杞憂をもつというのが今日の勤労者賃金形態でありまして、放出許可になりました場合には、絶対にマル公を嚴守して價格を守るということと、マル公による配給を一つでも殖やして、実質賃金裏づけ援助に供されんことをお願いいたしまして商工大臣に対する質問を終えたいと思います。なお私は物價賃金の問題に関して質問したいと思いますが、法務廳総裁商工大臣はたいへんお忙しいという話を承りましたので、他の委員の方から法務廳総裁商工大臣に質疑がございましたならばその方を先にやつてもらつて、その質疑が終りましたら私の質問を継続していきたい、こう考えておるものでございます。
  18. 安平鹿一

    安平委員長 この機会にお諮りいたしますが、今山花君の言われたように、島上君、木村君が通告順になつておるのでありますが、法務廳総裁並びに商工大臣に対して菊川君、前田君が山花君の質問に関連して質問したいという要求がありましたので、許して差支えありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 安平鹿一

    安平委員長 それでは前田種男君。
  20. 前田種男

    ○前田(種)委員 私は簡單に質問申し上げますが、今日問題になつておりますところの労働立法の改正の問題、あるいは改惡の問題が國内的にも相当問題になつておりますし、政府の中でも相当論議されております。もちろん労働立法は私が言うまでもなく組合法、労調法、書準法の三つでありますが、主管は労働関係でありますが、法務廳関係でこの労働立法に対して相当改正すべきかどうかという点について、檢討なり意見があるかどうかという点を法務廳法裁にお尋ねしたいといます。さらに商工大臣に簡單に質問したいという要点は、今日の物價賃金関係、さらにそれを裏づけするところの生産の関係について、商工省としてはどういう政策なり意見をもつておられるか、この問題は賃金の安定の問題、あるいは実質賃金名目賃金かという今日重要な問題でございますから、労働委員会を通じて商工大臣から、物價賃金、あるいは生産の面、この三つを相関連して、商工省の方針を明確に発表していただきたいとお願いします。その点だけであります。
  21. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 お答えをいたします。労働立法について改正をするために調査をしておるようなことがあるかというお尋ねと拜聽いたしますが、法務廳は、御承知通り立法一般について世界のあらゆる資料を集められるだけは集めて、常に調査研究をする義務をもつておりますので、その点は調査意見局において調査いたしております。けれども特にこの日本の現在の労働立法に、どう手をつけるかというようなことを目標にして研究調査はいたしておりません。その問題は当然これは主として労働大臣の所管でありまして、また閣議においてそういう方針がきまるというようなときに、これを立法化するために、法務廳の法制部において担当いたことがあろうと思いますが、そういう現実の政治問題として法務廳では調査研究はいたしておりません。一般的に常に調査と研究を続けるという意味においてやつておるのであります。こう御了承願います。
  22. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいま前田委員のお尋ねでございますが、この問題に関しましては、去る二十五日参議院の労働委員会におきまして、労働大臣と同席いたしまして栗山委員の御質問に答えたのでありますが、生産増強を引受けております商工省の立場といたしましては、経済の安定のためには物價並ばに賃金の安定が確保されまして、円滑に生産増強が行われるということが、何よりも望ましいということは申すまでもない点でございます。しかしながら、その賃金の安定という問題は、あくまで働く人の理解のマイナスになるのでございまして、われわれといたしましては絶対愼まなくてはならぬと思うのであります。すなわち商工省としての考えの、ごくまだまとまつておらないあらましを言うことを許していただくならば、賃金安定の必要なることは、賃金ゐ他の生産條件に比べ、非合理的に高騰いたしまして、これが物價全般に影響を及ぼすことを避けることにあるのでございまして、賃金そのものの固定を目的とするものでは断じてないのであります。特に現在のようにインフレーシヨンの高進がはなはだしい速度をもつている場合におきましては、賃金安定の方式といたしまして最高賃金制をとることは、実際上労働者諸君の負担を増大することになるのでございますがゆえに、その前提としての生産物資の充実、食糧の増配、席に安定勢力の確定がない場合におきましては、いたずらに労働者諸君を過激な行動に出でしめる結果となるおそれが十分にあるのでございます。從いまして、賃金安定のしかたは、あくまでも生産能率を上昇せしめるという目標に合致するよう、哲業の能率を中心にこれを判定していく方が正しいと思われます。すなわち最高賃金制ではないのでございまして、業種部門ごとに、または企業の規模ごとに標準賃金を策定いたしまして、企業が一定の條件を充足している場合にのみ標準賃金以上の支拂を認めて、それ以上の賃金支出に対しましては一定の措置をとることが妥当であると考えております。しかも商工省の考えといたしましては、もしかりにこういうことをせねばならないという場合におきましても、いわゆる基本産業、その中におきましても國民の犧牲によつて補給金をもらつている産業、あるいはやむなく赤字融資をもらつている産業、そういうような基本産業のみを大体目標として考えておるような次第であります。けれども省議において一定の措置をとる方式、すなわちそれ以上の賃金支出に対しては一定の措置をとる方式という問題に関しましては、目下しきりに人議を開いてその点を檢討しておりますが、大体生産担当者としての賃金安定対策に対する根本の考え方は、さきに申し上げましたような状態であります。たとえば炭鉱のごときは傾斜配給をしておりまするから、大体マル公物資は五三%程度に行渡つておりますが、その他一般の産業のごとく、やみ物資に拂う價格が七五%、マル公物資に拂う價格が二五%という状態におきましては、最低賃金制度を確立することは、理論的にも実際的にも不可能であるとともに、また最高賃金制を策定することも、なかなかむずかしいような問題であるので、未定稿ではございますが、大体商工省としての考え方は以上申し述べましたような次第であります。
  23. 前田種男

    ○前田(種)委員 質問の第三点、生産面から見た商工省の方針に対しての答弁がないのでございますが、私はこれが一番重要だと思います。今日の状態は生産面よりも消費面が多いから、ますますインフレが上進しているというのが現状でございます。どうしても生産面が消費面をカバーするということにならなければ、日本経済の安定はあり得ないのです。その点で今日資材、資金といろいろの面で隘路が山積しておりまするが、おりながらも何とかして生産面の増強をはかるために、少へとも労働者の稼働率、あるいは生産率、あるいは技術の向上等、そうした面については、必ずしも商工省だけの考えではありませんが、商工省の立場から見た労働者の稼働率、生産率、あるいは技術の面に、もつと商工省の意見が活溌に反映されなければならぬと私は考えます。どうも物だけに重点がおかれまして、物の計画はいろいろの点に苦心されておりますが、労働者自身の稼働率、生産率あるいは技術向上という面については、むしろ他省に讓つてわれ関せずという態度が、今日の商工省の態度ではないかと思いますが、私は生産増強の基本はここにあると考えますので、この点について、もつと積極的な商工省の意見を反映せしめるような方策があるかどうかという点だけをお伺いしておきたいと思います。
  24. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 私がただいま申し上げましたことは、言葉が足りなかつたかどうかしりませんが、生産面から見た考え方を申したのであります。いやしくも商工大臣としてものを言うときには、生産増強第一主義の立場に立つてものを言つておるのでありまして、ただいま私が申し上げましたものも、その基本的立場に立つておるのであります。御指摘の点は一々ごもつともでございまして、たとえばこのたび炭鉱労務者対策にとりましたところの措置も、ただいま前田さんが言われましたような趣旨に立つておるのであります。たとえば炭鉱労務者をば、四月未において押えるということは、一部の人が言われておるように、労働強化を意味するのではないのでございまして、不必要なる炭鉱労務者の増加に対する不必要な賃金を支拂う代りに、山の機械化のために、それらの金を投じまして、経営の合理化並びに労働條件の改善ということを考えて、そういうことをやつております。さらにまた家族の加配米に対して、四月一日から本人が働かない場合においては、その家族の加配米も止める措置をとつておる点や、さらにまた四月一日からやつておりますところのいわゆるリンク物資のポイント・システムというような点も、生産増強の立場からわれわれはやつておる点であります。さらに技術の問題に関しましては、このたび議会に出しております中小企業廳の要領を見ていただきましても、中小企業の生産増強のためには、いかに経営の合理化、技術の向上が必要であるかということを法の精神としてうたつてあります。さらにまたこのたび商工省に試驗標準廳という外局をつくりまして、商工省所管の研究所全部を一括いたしまして、商工行政の技術面の推進に資しようという点も、みなその趣旨に出ておるのでありまして、そういうような点は、力は十分ではございませんが、基本方針としてまさにその通りであつて、そういう線に沿うてやつておることを御了承願いたいと思います。
  25. 菊川忠雄

    ○菊川委員 私先ほどの山花君の質問の中の労働組合法第十一條違反の問題に関連して、鈴木総裁にお尋ねをしたいのであります。なお同時に加藤労働大臣へのお尋ねになる点があると思います。  先ほど前田君の質問に対しての鈴木総裁のお答えでは、直接に労働関係法規の改正ということは、法務廳として関與はしておられないということであります。ところがこの労組法の十一條の問題につきましては、現在のままでは労働者と雇主の間において粉爭をさらに激発するおそれがあるのみならず、当面増産の上においても、これを阻害しておるというふうな点があろうと思います。この問題につきましては、法規の改正の立場から、またそこまで行えないといたしますならば、現実にこの法規欠陷を救済するという立場から、何らかの対策がなければならぬと思うのであります。私はこういう点から一つの例を申してお尋ねしてみたいと思います。これはもちろん現在進行中の爭議でありますから、この爭議そのものをこの委員会が取上げていかに処置をするかということを申し上げるのではないのであります。それは山口縣の大浜炭鉱の爭議であります。これは昨年の八月二十日に端を発しています。問題は当時の炭鉱の六月分の賃金差額金が八月に至つてもまだ支拂われていない。あるいはまた無償で配給をされるところの特別の増産拡奬の酒が、当時会社が有料で配給しておる、そういうことから代金の拂戻しを要求した、そういう点と関連して大浜炭鉱の所長の責任を追究する。こういつた問題を中心にして起つたのであります。またこれが山口縣の地方労働委員会に提訴になりました。地方労働委員会でもいろいろこれについては斡旋をしたのであります。ところが地方労働委員会だけでは会社がなかなか應じないというふうな事情から、九月の二十九日には東京にまで代表者が参りまして、当時石炭廳、それから石炭増産協力会、さらに山口の地労委、こういうようなものの調停を煩わして、一つの覚書ができたのであります。その覚書に附随して、さらにこの爭議については犠牲者を出さない。こういうことまでもつけられまして、そうして十月四日にはストライキが打切りとなつて、全員が從業したのであります。しかるに十一月の五日に当つて、会社はその覚書と附帶協定に反して、突如として工員の七十六名、職員の十四名に解雇を申し渡したのであります。そこと労働組合側といたしましては、再度昭当の地労委に提訴をいたし、地労委といたしましてはこれを明らかに労組法の十一條並びに労調法の四十條違反であると断定いたしまして、山口の檢察廳に告発をしたのであま回す。十一月の二十四日以降檢察廳では重盛鉱業所長を起訴するというふうなことになつたのであります。それ以來十二月の十日、二十三日、二十五日の三日間の審理の結果、山口地方裁判所におきましては、今申しました労働組合法違反の事実を認めて、重盛所長に対しては罰金五百万の判決を言い渡したのであります。しかしなばら檢事側といたしましてはこれに対して禁錮二箇月を求刑いたしておりましたので、その鉱業所長並びに檢事両方が廣島高等裁判所に控訴することになつたのであります。その後五月の二十一日に至りまして、廣島県高等裁判所では重盛所長に対して禁錮二箇月、三年間の執行猶予の判決を下したのでありますが、引続いて重盛所長はこれを最近東京に移して、そうして最高裁判所で爭う。こういう事態になつているのであります。このように一つ労働組合法第十一條違反というものが、発端以來すでに十箇月以上経過しており、なおおそらく東京に移つてから数箇月はかかると思うのでありますが、その間においてはすでに現地におきましては、七十六名の炭鉱從業員、十四名の職員が解雇されて、そのままになつております。これに対してはわれわれ組合側といたしましては、毎月組合員が負担をしてその家族の生活を支えながら、この裁判の闘争をやらなければならないことになつているのであります。しかも会社側はこの期間に、この組合のおもだつた者を現場から追出して、そうして工場の中を切崩して第二組合、いわゆる御用組合をつくつて、その間において裁判の長引く間に、現場において問題をうやむやにしてしまおうということで、一生懸念やつているというのが現状であります。そいわいにして山口の地労委においては、その御用組合に対しては、これはやはり法規違反であるとして、禁止をするというふうな挙に出ましたからして、頓挫はいたしておりまするがゐ今なおこういう状態が現場においては続いております。でありますから、こういう点から見ますというと、せつかく労働組合法第十一條というものがありましても、これに対してどこまでもこれを控訴から、さらに最高裁判所までもつてくるというふうなことで、違反は覚悟で引延ばしをする。しかもその間において從業員の大量解雇をやる、さらに組合の切崩しをやるということでありますれば、何ら十一條というものが労資の間の協力を好意的に進めるということには役立たないという結果になるので、さようなことから考えまして、一体この十一條というものを今後改元することはお考えになつているかいないか。それから現在ただ十一條というものだけをいじることではなくて、労働法規全般にわたつていろいろな見地からこれが急に間に合わないといたしますまれば、この欠陷を救済する上において、何らかの方法をお考えになつておるかどうか、この点を私お尋ねを申したいのであります。先ほども山花君に対する御答弁によりますと、仮執行処分のごとき方法があるということでございまするが、これはとうていわれわれ労働組合運動をやつておるものにとりましては、その救済方法ではないということを考える。何らかそこにやはり明確な救済方法がなければ、この法規だけでも改正を断行しなければならない、こういうふうに考えております。なお附け加えて申し上げますが、この大浜炭鉱は、昨年において八百人ほどの從業員を使いながら、しかも現場において六時間交替を実施して、一日四交替、しかも非常な條件の惡い山でありまするが、從業員のはとんど血の出るような協力によつて一箇月七トン以上の出炭成績をあげておる山であります。現在においては遺憾ながらそれが落ちつつあります。從つて從業員そのものは惡い條件の山においても非常に熱意をもつておりまして、数炭増産に邁進しつつあつたのであります。しかもこういうところにおいてもなお十一條違反を行うところの資本家が現われてきて、現在せつかくの労働組合法規で何ら救済できない。こういう点があるのであります。しかもさらにこの間四月におきましては、東京においては労働省の労政局長が中心になられて、その間において從業員を一時大部分を仮復職の形にして仕事をする。しかし現地は一應休戰状態にする。裁判裁判として進行せしめるというふうなことをお骨折りを願つたのでありますが、そのときは会社側も一應了承したのでありましたが、現地に帰つてみますと、それすらもやはり拒否して、從業員を路頭に迷わしておるということをやりながら、しかもあえて東京の最高裁判所までもつてつてつておる。だれが考えましても、この事件は常識をもつてすれば無罪になる得るはずがないにもかかわらず、有罪は覚悟の前であるが、半年でも一年でも爭うことによつて組合を切崩そうという魂膽に出ておることは明瞭であります。こういうことがありますから、これはこの事例を私申し上げまして、この問題の解決に対してどうこう言うのではないが、おそらくこういう事例が全國に相当あるということ、また今後こういう行動をこのままにしておきますれば、方々にこういうものが出てくるということをおそれるのであります。この点についてお尋ね申し上げたいのであります。
  26. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 ただいま菊川委員から大浜炭鉱を例として、十一條改廃の問題について御質問でありまして、まことにどもつとものことであります。多少類似の事案について報告を受けておることもあるのでありますが、いかにも不合理であると考えます。しかしわが國全体の労働対策の問題としては、きわめて重要な問題でありましとて、労資双方にそれぞれ意見があるだろうと思うのであります。結局実質的な問題をどうみるかということになると、労働大臣が主管でありますから、労働大臣の方が御調査御研究の結果改正すべきものである。——おそらくは菊川議員の指摘される、また山花議員指摘されると同じようなふうに考えておられると考えますが、そういうことになりますれば、法務廳は喜んでこれを改正することに御協力申し上げるつもりであります。法務廳としては國有の所管に属する民法、商法、刑法のようなものはこれを独自に考えて改正するということを申し上げることはできますが、こういう労働関係法規につきましては、やはり所管大臣の意見を尊重して、その方面から意見が出てまいりますならばこれに應じて立つ、こういう建前になつておりますので、さよう御承知を願います。
  27. 山花秀雄

    山花委員 安本関係に方がどなたか來ておりますか。
  28. 安平鹿一

    安平委員長 來ていないのです。
  29. 山花秀雄

    山花委員 この前の労働委員会のときからずつて要求しているのですが、委員会を軽視しているんじやないかと私は考えている、今日もたびたび使いを走らして呼びにやつておるのですが、まだ來ないということは、はなはだけしからぬと考えておりますが、今後委員長の方から嚴重に出席するように傳達していただきたいと思います。  商工大臣もおりますし、労働大臣もいらつしやいますから、その方からでき得るだけの御答弁を願いたいと思います。問題は最近賃金ベーカの改訂、それに伴う物價の改訂をその賃金ベースに織込むというふうに政府政策が発表されておるのであります。この前片山内閣のときの千八百円賃金ベースを決定いたしましたが、結論から申し上げますと、物の裏づけがないために、この政策が一應破れたという形で結果が終つておるのであります。前年度の期間は全官公廳の爭議の解決をみましても、二・八は支給するのが妥当ではなかろうかというようなことで、政府と全官公廳との間の爭議が解決しておるのであります。一月から三月までは暫定給與として二千九百二十円ベースが決定し、この四月からの新給與が今論議されておるのであります。大体発表されたところによりますと、三千七百円が新賃金ベースとして妥当だというふうな発表を新聞紙上で私ども見ておるのであります。この三千七百円ベースの中には、新しい改訂する物價を織込むということになつておりますが、この三千七百円ベースを維持する確信があるかどうか。新しい物價改訂をこの賃金ベースの中に織込んで、三千七百円ベースで今日の勤労者生活を維持していくという確信を政府の方々がもつておるかどうか。これを一つお伺いしたいのであります。たびたびの物價改訂賃金改訂というようなものは、先ゆき労働不安を増すばかりであつて、百害あつて一利ないというふうに私ども考えておるのでありますが、今までたびたび行われましたが、今度はこの賃金ベース、物價改訂を、最終の段階というような確信をもつて断行していただきたいと思います。先ほど水谷商工大臣の方から働く者の協力と理解がなければ生産増強は不可能だと言われましたが、まことに至言であります、その通りであります。この三千七百円賃金ベースをもつて、働く者の協力と理解の態勢をとられる確信を、政府でおもちかどうかという点を、ひとつ御回答を願いたいと思うのであります。
  30. 加藤勘十

    ○加藤國務大臣 ただいまの山花委員の御質問に対しまして、私からお答え申し上げまするが、御質問の要旨は二つの要点にわかれておると思うのであります。一つは昨年の片山内閣の物價改訂の問題が失敗に帰してうまくいかなかつたことと、それからこんど物價改訂に伴う三千七百円ベースが維持できるかどうか、こういう点の御質問でありましたが、昨年の片山内閣の物價改訂賃金準備の改訂との問題がうまくいかなくて、遂に暮て至つて中央労働委員会の裁定で生活補給金として二・八箇月分が支給されることになり、さらに一月の物價水準を基準として二千九百二十円の問題が決定した。さらにそのときにそれは一月から三月までの暫定給與であつて、四月からの新給與が三千七百円として今論議されているが、これを維持することができるかどうか、こういう御質問でありましたが、ここでまず私の方からお答えする前に一つの誤解がありまする点を明らかに訂正しておきたいと思います。それは二千九百二十円の問題は、一月の物價を基準としてきめられた一月から三月までの暫定的なものであることについては相違ありませんが、四月からの賃金をただちに今度の改訂賃金によつて行うというように、御理解になつておるようでありますが、この点はちよつと違うのでありまして、あの解決当時に私と西尾君とが了解をし、覚書を出しました場合にも、また衆議院、参議院等におけるいろいろな場合に私どもが、述べてまいりましたことも、四月からただちに改訂賃金によるというのではないのでありまして、四月以降において、物價改訂等その他客観的情勢の変化に從つて、当然この二千九百二十円という水準は変更せられることが考えられる、こういう意味のことでありまして、その当時は四月の末ごろに物價改訂が行われるのではないかという見透しがあつたわけであります。しかしながらその後の情勢は御承知のように、物價の上昇率は大体一箇月、やみ物價でわずかに〇・三六くらいの割合でありまするし、三月から四月のごときは〇・〇三というように、ほとんど完全な横ばいと言つてもいい状態を示しておるわけでありまして、從つて物價の上昇という特殊な現象を起つておりませんし、それから物價の改訂はまだ行われていないわけであります。四月以降と申しましたことは、当然物價改訂を予想のことでありまするからして、三千七百円というものは二十三年度の本予算編成の一つの基準となつておるわけでありまして、物價改訂に伴つて当然賃金ベースが改訂されるという意味でありまして、四月から必ず行うという意味ではないのでありますから、この点は誤解のないようにしておいていただきたいと存じます。  さて昨日片山内閣が新物價政策をとり、それに伴つて賃金の改訂をやつたことが、結局失敗に終つたということは、当時の食糧、主食の配給の問題、その他の生活必需物資等の見透しにおいてこれを誤つた、こういう点が一つ取上げられる、結論的に言えば流通秩序の確立を大きく掲げたるにもかかわらず、その流通秩序の確立がうまくいかなかつた、こういう点に一番大きな原因があると思うのであります。しかしながら私は昨年の片山内閣の流通秩序の失敢という中に、ただ一つのとりえば、主食の配給が当時御承知通り吉田内閣から片山内閣が政権を引継いだ時には、全國平均十二日弱の遅欠配がありまして、その当時の政府の手持ち、その他の見透し得られる情勢においての食糧の配給は、米穀年度内において平均二十八日の遅欠配を見なければどうにもやり繰りがつかない、こういう見透しが立てられておつたのでありまするけれども、この主食の継続的遅欠配の数量は、連合軍の非常に好意ある援助があつたことはもちろんでありまするが、それによつてもともかくも内容的には不満足なものがたくさんありまするけれども、一應これらの遅欠配を解消した、こういうことは私は片山内閣のすべての失敗の中においても、一つだけと取上げて差支えない問題である、このように私どもは過去から今日まで信じてきております。  さて今度物價改訂が行われ、さらにこうした点についての見透しの問題でありますが、片山内閣当時よりはいくらか先の見透しは明るいものがあるということは言えるわけでありまして、大体主食の配給につきましても、もとよりこれはまだ最終決定を見ておるわけではありませんけれども——確定的にこうであると断言するわけにはまいりませんけれども、おおよその見透しとしては、一般食糧の家庭配給がいくらか殖えるのじやないか、それから労務加配についても、ある程度量が殖えるのじやないか、また殖やし得るように努力を続けておるわけでありまして、これは今申しまする通り、決定的なことは申し上げられませんが、ある程度可能ではないかという見透しが相当ついておるわけであります。その他必需物資においても今商工大臣もお答えしたように、纖維製品の配給もある程度はつきりしたものが増配されるようになるのではないかという点の見透しも聞くわけであります。  それからこれは間接的になりまするけれども、これらのものを國内的に條件において裏づけるものとしては、春の化学肥料の生産が予定以上に超過しております。これは化学工場の勤労者諸君の熱意も加わつておることもちろんでありまするが、ともかくも春の化学肥料の生産は予定計画量を突破しております。從つて輸送が円滑を期せられるならば、適宜適時に肥料の配給ができる。これは農産物の増産の上に相当役立つのではないか、こういうことも考えられまするし、それから連合國側の援助もある程度期待されるのではないかと思いまするから、今申しました一般家庭の増配の問題にしても、労務加配の増配の問題にしても、全然單なる政治上の架空な想像ではない、こういうことだけは御了承を願いたいと思います。從つて今度の三千七百円のベースの問題でありまするが、これは予算編成に当りまして、予算編成の基本方針として健全財政を保持するということと、勤労者生活が現在の生活水準より下まわらない、この二つの基本的な点から予算が編成されておるわけでありまして、三千七百円ベースの根拠は、昨年七月以來の工業平均賃金を基準としまして、その後の物價上昇の率、賃金上昇の率、これらのものを土台として、これに今度の物價改訂によつてどれだけ生計費の方にはね返つてくるか、また賣上税の設定によつて勤労者がどのくらいの負担をしなければならないか、これらのものを勤労所得税の軽減によつてどれだけカバーすることができるか、こういう点を基準として、大体三千七百円というものは、現在の二千九百二十円、水準の生活を下まわりはしない、こういうことでありまして、これ以上には、今申しまする通り、主食配給の若干でもの増配が行われることになりますならば、さらに纖維製品の配給が行われることになりますならばということで、実質給與の裏づけをしていきたい、こういうように考えておりまするから、もし物價の上昇率が、政府が企図しておるように、基本安定帶物資については百十の線が確保せられ、他の必要物資について七〇%もしくは八〇%の値上りで食い止めることができるならば、この水準は維持できる。もし物價がこれ以上上昇するということがありますれば、三千七百円のベースは割れてしまう、こういう状態にありますので、政府としては極力三千七百円のベースが維持できるように、物價の上昇を計画以上の線に上らないように、極力努力すると同時に、一方においては二千九百二十円で、もちろん満足な生活ではないのでありますから、実質的にいくらかでも上まわるようにするためには、今申しますように、主食その他の勤労者用の必要物資をできるだけ増配ができるようにしたい、こういうように努力しておるわけであります。見透しとして、もちろん維持できるという見透しでやつておりまするが、今申しまする通り物價がもし八〇%を起すようなことがあれば、三千七百円のベースを維持することは不可能だ、こう思つております。
  31. 山花秀雄

    山花委員 ただいまの労働大臣の御答弁で、四月からこれを実施するものでないという点は明らかになつたのでありますが、私この点は追かけてひとつ質問してみたいと思つていたのでありますが、この問題に関しては質問する要はなくなりました。三千七百円ベースに新物價の改訂された價格を織りこんで決定するという御答弁でありますが、私どもの最近の労働賃金の実態調査では、これは相当信用されるべき調査であると思いますが、全國的平均が、二月の場合には大体三千三百円ベースで動いておるのでありますが、五月になりますと、大体四千円ベースというふうに推定されるのであります。当然六月の平均は四千三百円ベースに上昇する見込みでありますが、大体この見込みは私どもは正確であるというふうに考えておるのであります。この点は政府当局と、あるいは見解の相違があるかもしれませんが、特に労働組合を組織しておる、言いかえれば私どもの組織しておる労働組合の範囲内においては、今日優に税込み平均六千円ベースであります。標準世帶ではありません。平均六千円くらいの賃金を獲得しておる工場も多々あるのであります。こういうように一方では新しく高くなつ物價を織りこんで三千七百円でやつていこうというのにもかかわらず、実際の賃金の動きは、二月、五月、六月というふうに、だんだん上昇してまいりまして、現在では四千三百円ぐらいが大体信用の置ける平均賃金ベースということになつておる。私ども組合はもう少し上まわつておりますが、もしこれが新しく決定されたときから実施するということになりますならば、一月、二月の賃金体系は二千九百二十円ぐらいで何とかやつていけるだろうと思いますが、三月、四月、五月、あるいは六月ということになりますと、労働階級は実質的には赤字財政で賜つておるのであります。こと赤字財政は、新しく賃金が改訂された場合には、何とか補充がつくであろうというような、かすかな樂しみでこの賃金ベースを見ておりましたところが、今言つたように三千七百円、それも新價格を織りこんだベースということになりますと、この間の赤字を埋めるよりどころがなくなつてしまう。それと同時に、三千七百円では、現在の四千円ないし四千三百円の賃金ベースでも、ようやくかつかつ生活をやつておるというこの実情と、ずいぶんそぐわない点があるのでありますが、こういうような状態では、三千七百円ベースは即座に破れて、猛烈な労働攻勢が起きてくるのではなかろうか、かように私ども考えておる。最近全官公廳関係、これはいつの場合でも民間企業よりは賃金ベースが低いというのが常識でございますが、その低い全官公廳関係労働組合の大会の決定を見ておりますと、もちろんこの要求が妥当かどうかということになりますと、議論の余地は若干ございますが、手取り五千円というのが、大体平均された政府に対する要求項目として、各大会において決定されておるのであります。一方は税込み三千七百円をきめようとしておるし、一方は手取り五千円を最低の要求としてそれぞれの組合大会において決定された。從つて当然猛烈な労働攻勢が起き、その結果この賃金ベースは即座に破れるのではなかろうかと私ども考えておる。傳えられるところによりますと、これはどことなしに私どもの耳に傳わつてきておるのでありますが、政府の内部においても、こういう新事態についてもう一段考慮する必要があるというようなことで、三千七百円ベースを四千二百円ないし四千三百円ベースにしたらどうかというような意見が、政府の内部において鬪わされておるということが、どことなしに私どもの耳に傳わつてきておるのでありますが、そういうような議論が政府の内部において行われておるかどうか。それとも、現状では三千七百円ベースを、あくまで健全財政の立場に立つて提示しようというおるかどうかというような点について、ひとつお答えを願いたいと思うのであります。
  32. 加藤勘十

    ○加藤國務大臣 政府の部内において、賃金問題についてそういう論議は未だ行われておりません。はつきり申し上げます。三千七百円ベースが維持できるかできぬかという問題は、今申します通り物價の上昇率が、政府考えておるように八〇%以上に上るならば、これは不可能である。しかし七、八十パーセントに止めることができるならば、それは三千七百円は可能である、こういう状態であります。しかし三千七百円は、もちろん予算編成の一箇の標準を求めたものでありまするから、もしこれが破れるということになれば、物件費全体も膨脹してまいりますから、予算は成り立たない。当然予算全体が編成替えされなければならぬ。こういうことになるわけであります。現在は三千七百円が維持できるものという前提のもとに、この予算が編成されておるわけであります。
  33. 山花秀雄

    山花委員 一般労働階級は当然四月からもらえるというような概念をもつておるのでありますが、この三千七百円ベースがいつきまるか、はつきりわかりません。またいつから実施されるかわかりませんが、たとえば六月から実施するということになりました場合に、四月、五月に対して特別の補給金——実際問題として赤字になつておりますので、そういう補給金を與えるというようなことを政府考えておられるかどうか、その点についてお考えを承りたいと思います。
  34. 加藤勘十

    ○加藤國務大臣 先ほども申しました通り賃金改訂は、四月以降において物價改訂等、その他の客観的條件が発生した場合に改訂されるということになつておるのでありまして、四月から改訂するというのではないのであります。この点は官公廳の諸君も了解されておるはずであります。ただ組合側としては当然四月からとれればそれに越したことはありませんが、政府としては現在のところ補給金というような形式については考えたことはありません。またおそらくバツク・ペーということは、今日の状況において許されないことと考えております。
  35. 山花秀雄

    山花委員 物價改騰は、生産財、消費財大臣平均倍というように承つておるのでありますが、それが事実かどうか。それからその倍の中で生産財は大体倍を少し越す、消費財の方は大体七割とか八割とかいうふうに承つておるのでありますが、どのような点がただいま正確にお考えになつておる政府考えか承りたい。
  36. 加藤勘十

    ○加藤國務大臣 ただいま申しましたように、安定帶物資は基本年度を一といたしまして、百十の線を食い止める。これは私は補償金の制度がありますから、維持できると思います。主要なる生産財、安定帶物資については、またその他の消費物資につきましては八〇%を最大限とする、こういうことになつております。
  37. 山花秀雄

    山花委員 大衆生活と最も関連性があり、密着しておるところの鉄道、通信、これらが三・五であるとか四倍というような値上げを流布され——流布されるようではない、もう國会に上程されようとしておるのでありますが、この三・五、四倍という値上げを一般消費者の方向を入れて、大体八割以内で押えようという腹であるか、これがはいると八割以内というのは破れるかどうか。この点の見透しをお答え願いたいと思います。
  38. 加藤勘十

    ○加藤國務大臣 鉄道は三・五というのは基本数を入れてでありまして、値上げ率は二倍半であります。それから通信の方ではそういう意味において三倍値上げ、一が加わるから現在の價格から比べれば三倍仁になるけれども、値上げ率は二倍半であります。その点はひとつ誤解のないようにしていただきたいと思います。そういうことも一應は運賃という計算から、当然物資の中に織込まれる、こういうことが計算の中にはいつておるわけであります。
  39. 山花秀雄

    山花委員 一般勤労階級の生活の中心をなすのは何と言つても米價であると思いますが、傳えられるところによりますと、米價は大体三千二百円程度と傳えられておるのであります。これは供出買上價格が三千二百円程度というふうに傳えられておるのであるが、それがその通りであるかどうかという点と、もし三千二百円という米價の決定を見ますならば、標準世帶四・二人に換算いたしまして、現在のマル公配給につきましても、その標準世帶の負担額は六百五十円ほど増加することになつておるのでありますが、三千二百円というのが正確なのかどうか、まだ議論中なのであるかどうかという点もひとつお答え願いたいと思います。
  40. 加藤勘十

    ○加藤國務大臣 米價の問題はまだ議論されておりません。いずれこれがどういうようになるのか、それらの点につきましてもまだ全部未決定の状態になつております。
  41. 山花秀雄

    山花委員 今度の物價改訂賃金ベースにつきましては、大体公價を中心に賄う、やみ價格は今度の改訂によつて、前のように公價が引上るについて追從的には上らない。今度は大体公價にやみ價格が近づいてきて、やみ價格の方は大して心配ない、こういう政府の御見解でありますが、私は生産の裏づけ、物の裏づけがない限りは、やみ價格は公價に追從していく、公價に追從していけば、この三千七百円ベースは当然そういう面からでも破綻を來すというふうに考えておりますが、商工大臣がおられればちようどいいと思うのでありますが、商工大臣はおりませんが、大体生産が去年の千八百円ベースを規定した当時の生産力と、今日三千七百円ベースを規定しようとするときの生産力の相違点はどういうようになつておるか、うんと上昇しておるか、それとも同じような質態であるか、あるいは最惡の下降線をたどつておるかどうか、この生産に対する見透しがおわかりでございましたならば、ひとつ回答願いたいと思います。
  42. 加藤勘十

    ○加藤國務大臣 もちろん今私数字的な詳細なものはもつておりませんし、まだ計画に属するものは表示することができない状態でありまして、これは計画が計画であつて何にもならぬと思いますが、計画としてはもちろん去年と同じものであるわけは絶対にありません。ただしかし石炭の問題について見ますれば、昨年は三千万トンを標準としたものであり、本年は三千六百万トンを標準としてこれが達成に向つておる。それから今金肥の問題、硫安でるとか石炭窒素であるとかいうような化学肥料につきましては、もう計画量を突破した生産が現実に行われておるわけで、いずれも計画よりも一〇〇%を越した生産を見ておる。だから昨年よりは相当多い量が生産されておるわけでありまして、その他のものにつきましても、計画としてはもちろんはるかに上まわつておりますが、今私手もとに数字をもつておりませんし、お答えすることは不可能であります。
  43. 山花秀雄

    山花委員 生産が昨年度より若干増加しておるという点は、これは先ほどの御答弁ではつきりするのでありますが、場産の増加とともに消費の人口増加の比例がどういうようになつま扱るか、それによつて若干の生産増強は相殺勘定になつてくるのではなかろうかと思うのでありますが、人口増加の比例と生産増強の比例との関連性がもしおわかりになればお答え願いたいと思います。
  44. 加藤勘十

    ○加藤國務大臣 私まだそれを正確に今知つておりません。從つてお答えできませんが、ただしかしながら繰仮して申し上げます通り、生産財の生産が増加しても、直接消費物資の生産が増加しなければ、依然としてやみの支配する部分が多いわけであります。どうしても消費財の、しかも直接生活必需物資の生務が増強されることが一番必要なことでありまして、いかに生産が増強されることが必要でありましても、設備の問題、資材の問題等において、あるいは電力等において、十分それを期待することができなかつたならば何にもならない。そういういろいろな点が考慮されまして、いわゆる原料、資材の輸入等についてもいわゆる外資導入の名によつてクレジツトが設定されようとする現在の段階にあるわけでありまして、これもまだ最終決定を見ておるわけではありませんから、はつきり申し上げることはできませんが、とにかくインフレーシヨンを抑えて、勤労者生活をいくらかでも現在よりも上まわつた状態において維持しなければならない、こういう方針のもとに外資の導入ということも考慮されておるわけであります。その他の生活物資の増産についても考慮されておるわけでありますから、この点御了承願いたいと思います。
  45. 山花秀雄

    山花委員 今度政府は勤労所得税の軽減の政策を発表されておるのでありますが、私どもは大歓迎であります。大いに賛成の意を表するものでありますが、その半面に取引税というものを新設しようとしておるのであります。一方では勤労者の負担を軽減するというような歓迎すべき政策があると同時に、他方には勤労者の負担を過重ならしめるような取引税の新設ということで、この歓迎すべき政策が相殺勘定になつて、結局何にもならないという結論を私どもは見るのであります。そこで勤労所得税として一体どの程度軽減する御方針でありますか。取引税によつて一般勤労者の負担がどの程度加重されるものか、もし数字的におわかりでございましたならば、御答弁を願いたいと思います。
  46. 加藤勘十

    ○加藤國務大臣 詳細な点については今手もとに数字をもつておりませんが、概括的に申し上げますと、勤労所得税の軽減によつておよそ九百億円くらい、この中に若干多額所得者の税金の率の引下げも加わつておりますが、ともかく所得税法の改正によつて、およそ九百億円の減税となるわけであります。これについて賣上税の新設によつた税收入に見られるのは二百七十億円であります。こういう結果から見ますれば、なるほど賣上税などは大衆課税であるからないのがいいのでありますが、遺憾ながら敗戰國の日本として一千億を超える終戰処理費並びに賠償撤去費を負担しなければならないのであります。四千億近い予算の中で、一千億を越える終戰処理費を負担しなければならない。この現実の事実をわれわれは冷やかに見なければならないと考えます。  それから賣上税はもちろんないに越したことはありません。タバコの値上げにしても、酒の値上げにしても、ないに越したことはないのでありますけれども、今申し上げますように、どうしても一千億というものに——ほとんどこれは大部分が再生産の過程に上つてこない費用であります。これを負担しなければならない。そして政府はほかにたとえば三党政策の協定による國富調査税のごときはどうした、こういう御意見が出るだろうと思いますが、こういう点につきましては、税制懇談会が設けられておりまして、当然この税制懇談会において今議題になつて、やがて決定を見ることになつているわけであります。  それから鉄道の問題などにつきましても、たとえば部外財産として運輸省で保有しておつた物資、これは今度全部賣拂う。これは片山内閣当時においてもできなかつたことなのであります。これを今度はやることに決定しました。  それから政府の不要不急の物資施設はできるだけこれを財源化する、こういうあらゆるものを全部袖を飜してはたして、それでもどうしても財源がないという点から、やむを得ざる措置として賣上税の新設を見るような次第でありますから、これはまことにわれわれとしてもこういう税がない方がいいにきまつているのでありますけれども、やむを得ない事情であることをひとつ御了承願いたいのであります。
  47. 山花秀雄

    山花委員 勤労所得税の軽減と、賣上税に伴う勤労者の負担の加重になる数字は明らかになりますか。先ほど新しい改訂賃金は四月からさかのぼるないという点が明らかにされたのでありますが、その勤労所得税の軽減はさかのぼつてやるかどうか、一般勤労者は当然これはさかのぼつて軽減される。そうでなければただいま申し上げたような赤字の補填のよりどころがない、こういうように考えておるのでありますが、この点政府としてはどうお考えになつておるか。
  48. 加藤勘十

    ○加藤國務大臣 物價の改訂は政府としては六月十五日に予定しておりますので、從つて税制の改革も六月十五日から行う。こういう方針をもつております。
  49. 山花秀雄

    山花委員 それでは勤労所得税の方は大体六月の十五日を限度としてさかのぼつて軽減しないという政府のお考えでございます。
  50. 加藤勘十

    ○加藤國務大臣 その通りでございます。
  51. 山花秀雄

    山花委員 新賃金の三千七百円ベースは、先ほど私が申し上げたように、現在早くも一般賃金は上昇いたしまして、これを上まわつておるというのが現実の実情であります。いい惡いは別問題として、それが現実の姿であります。その現実の姿をあなたはいかに見るか、それともお前の言つておることはなんか架空の理論だというふうにお考えになつておるのかどうか。これを質して見たい。
  52. 加藤勘十

    ○加藤國務大臣 山花君はどういう数字を根拠にされたか存じません。またわれわれの知つておる範囲においても相当高率の賃金を得ておる人がたくさんあります。ともかく政府が三千七百円ベースの標準を出しました計算の基礎は、先ほど申しました通り昨年七月の全國工業平均賃金を基準として、これらの物價の上昇率と、賃金上昇率とを、ずつと前線的にもつてまいりまして、それによつて六月がどれだけになるか、こういう点から見出したものであります。
  53. 山花秀雄

    山花委員 今度の物價改訂と三千七百円ベースにつきまして、労働大臣は去年の基準を中心にしたと言われましたが、去年われわれが傳え聞くところよりますと、千八百円ベースは物價は大体戰前の六十五倍、賃金は大体二十八倍というふうに承つていたのであります。今度は百十倍というふうに承りましたが、賃金の方の率は戰前に比べてどの程度のことになつておるか、この点おわかりでございましたら御回答願いたいと思います。
  54. 加藤勘十

    ○加藤國務大臣 百十倍というのは安定帶物價で、それは一般消費物資ではありません。今私その両者の比較比率は承知しておりません。いずれ安定本部なりその他からお答えがあると思います。
  55. 山花秀雄

    山花委員 私の質問は実は労働大臣に対しては少し無理かと思うておりますが、劈頭に申し上げましたように、安本関係の方をたびたび要求して、だれか來てくれと言つておるのでありますが、來ないから、ついでと言えば語弊があるのでありますが、労働大臣にいろいろ質問しておるのであります。物價のはね返りをどの程度に見込んでおるか、具体的におわかりになれば御回答願いたいと思います。
  56. 加藤勘十

    ○加藤國務大臣 それは労働省の調査局長が來ておりますから、そちらから答えましていただきます。
  57. 金子美雄

    ○金子政府委員 今回の物價のベースの場合の賃金の基準三千七百円、大体そういう案で進んでおるのでありますが、この場合の物價のはね返りの率、これは先ほどから何度もお話に出ましたような大体七〇%ないし八〇%というところを目標として、物價改訂の作業が進行中であるというふうに聞いております。最終的にすべての物價がきまつておりませんので、現在そういう目途で進行中である。從つて一應三千七百円ベースを出します場合においても、公安價格の引上率が七〇%であればどうなる。八〇%であればどうなるというふうに、いろいろ数字について当つて見まして、それを大体総合して値段をきめる見当をつけておるということでございます。
  58. 安平鹿一

    安平委員長 それでは時間がございませんので、本件の質問は次会に讓るといたしまして、この程度で止めたいと思います。     —————————————
  59. 安平鹿一

    安平委員長 次に職業安定法第十二條第十一項の規定に基き、職業安定委員会委員旅費支給額に関し議決を求めるの件を議題に供します。本件に関する御質疑はございませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 安平鹿一

    安平委員長 別に御質疑はないようでありますから、本件に関する質疑は打切ることといたすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 安平鹿一

    安平委員長 御異議なければさよう決定いたします。  次に專門調査員浜口金一郎君派遣についてお諮りいたします。この件につきましては、実は労働法第十一條及び暴行事件につきまして調査する必要がございますので、出張の目的といたしまして、新潟縣の理研小千谷工場労働爭議の実態調査、これが出張の目的であります。出張の期間は、六月五日より九日までの五日間といたしたいと思います。出張の地名は新潟縣、以上でございます。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 安平鹿一

    安平委員長 御異議なければさよう決定いたします。  次会は六月八日火曜日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十五分散会