○喜多
政府委員 ただいま議題となりました
昭和二十三
年度厚生省所管予定
経費要求額の概要について、簡単に御
説明申し上げます。
昭和二十三
年度厚生省所管一般会計予算の
要求額は二百九億四千百三十二万五千円でありまして、これを二十二
年度成立
予算百二十九億六千五百四十七万二千円に比較いたしますと、七十九億七千五百八十五万三千円の増加と相な
つております。今右
予算のおもなる
事項について申し上げますと、まず第一は、公衆
保健衛生の向上に関する
経費二億九千五十六万円であります。
公衆衛生行政の綜合
調査をはかりまして、国民の健康増進に関する
調査企画、衛生思想の普及向上を期しまする等のため、必要な
経費百四十六万余円と、
公衆衛生の向上をはかりますには、これに従事いたします衛生技術者の素質の向上をはかりますことが、急務でありますので、
公衆衛生院におきまして、医学科、薬学科等七科目にわたりまして、再
教育を
実施いたします
経費二千百五十七万余円と、
公衆衛生行政の末端
機関である保健所が、
公衆衛生向上に関し、国民のよき相談相手となるよう、
運営いたしますために必要な
経費九千三百七十三万余円と、また国民の身体状況や、摂取栄養量を都市農村を通じ
調査いたしまして、その
実情を把握するためと、入院患者の栄養
状態を改善するため、さしあたり七大都市に病院給食を
実施いたします等の
経費、二千十六万と、またこれと相呼応いたしまして、国民の食
生活の改善方策を
科学的に
調査研究する国立栄養
研究所を経営するに必要な
経費四百二十四万余円と、前
会議に御協賛を得ました食品衛生法の施行に伴いまして、不良飲食物の横行を阻止いたし、中毒事件の発生を未然に防止する必要がありますので、これが
指導取締りをするための
経費三千二十三万余円と、人口動態及び各種疾病の
状態を、迅速かつ正確に把握するため、衛生統計行政
機構を整備充実する
経費一億三万余円と、また国立公園は、御承知のように、国民の保健、休養、教化等に効果がありますのみならず、観光
経済に寄与すること大なるものがあると
考えられますので、現在十三箇所の国立公園の維持管理をする等のため、千九百十二万余円をそれぞれ計上いたしておるのであります。
次に第二は、医務及び薬務対策に関する
経費四千二百五十万余円でありますが、国民医療法及び薬事法による、医務及び薬務行政の円滑なる
運営をはかりますとともに主要医薬品の生産、配給等の確保、不良医薬品及び麻薬の取締りを徹底的に
実施いたしまして、国民の医療の向上を期しますための
経費一千八百九十六万余円と、医薬品の創成及び製造方法の効率的な
研究を
実施いたしますため、衛生試験所の経営に要する
経費千五百五十八万余円と、変死者、行旅死者等の死因
調査の
経費に対して、助成するに必要な
経費百十七万余円と、医師及び歯科医師の素質の向上をはかりますため、
国家試験を
実施するに必要な
経費六百三十二万余円と、また
日本医療団は、さきに解散しまして、現在清算中でありますが、医療
施設の転換、清算
事務の
指導等を行いますための
経費四十六万余円を計上いたしておるのであります。
次に第三に、特殊医薬品の配給確保に必要な
経費、六億四千七百三万余円でありますが、本
経費は、不時の伝染病の発生に備えまして、D・D・T及び発疹チフスワクチン等、特殊医薬品の生産加工を行い、適切迅速な配給をいたしまして、防疫上万全の措置を講ぜんとするものであります。
次に第四は、国立病院及び国立療養所の経営等に関する
経費三十一億七千三百三万余円であります。国民医療の確保改善をはかりますため、国立病院九十七箇所、二万四千病床、国立の結核療養所百箇所、三万五千病床、癩療養所十箇所、一万病床、精神療養所二箇所六百病床、頭部療養所一箇所五百病床、脊髄療養所一箇所九十病床、温泉療養所七箇所四百病床等を経営いたす必要がありますのと、これら病院、療養所の諸
設備の補修整備をするため必要な
経費を計上いたしました。
次は第五に、予防衛生対策に必要な
経費七億七千七十一万余円でありますが、伝染病の発生を未然に防止いたしますため、防疫及び水道、清掃等の行政の充実をはかりますのと、都道府県の行います、トラホーム、癩、寄生虫病、精神病、その他急性伝染病予防の
経費二億五千七十七万余円と、伝染病発生の根元となります、鼠族昆虫の駆除を全国的に
実施いたしますための
経費三億二千五百万円と、特殊疾病の検索、治療方法の
研究、細菌製剤の検定等を行います予防衛生
研究所経営に必要な
経費四千九百三十七万余円と、また性病は、最近ますます蔓延の傾向にありますので、接触者の
調査と、健康診断及び治療を行う等、
諸般の性病対策を
実施いたしますための
経費八千八百十一万余円と、海港検疫は国内伝染病の予防上きわめて重要なことでありますので、前
年度に引続いて、海港検疫を
実施いたします
経費五千七百四十五万余円を計上いたしておるのであります。
また第六は、結核予防対策の強化に必要な
経費八千七百二十四万余円でありますが、御承知のように、
わが国の結核は、ますます蔓延の傾向にありまして、憂慮すべき状況にありますので、結核予防技術者の資質の向上と、八才から二十才までの青少年を対象といたしまして、B・C・Gの接種を行いますのと、さらに陽性者と判定せられたものに対して、精密検診を行いまして、結核発病防止を期しまするとともに、全国百箇所の保健所を選びまして、特に巡回診療班を設け、国立病院、療養所等とも密接な連絡のもとに、健康診断及び治療の
指導にあたらせる等、結核予防の徹底をはからんとするものであります。
次に第七は、民生安定に必要な
経費九千九百七十二万余円でありますが、終戦後の
情勢の激変に伴いまして、速やかに各種の社会施策を
実施することは、緊要なことと
考えられますが、とりあえず各種社会
事業施設の
指導と、また社会
事業に従事する者の素質の向上をはかるため、従来東京のみであつた社会
事業学校を、本
年度はさらに、大阪に一箇所増設いたします等の
経費千六百五十五万円と、また約十三万人の民生
委員は、社会福祉の増進にきわめて重要な任務をもつものでありますので、これが
指導の強化をはかりまして、民生安定施策に寄与せしめますための
経費四千八百七十六万余円と、傷痍者に適応した授産
事業を併設した傷痍者保護
施設の
運営に要する
経費の助成と、中途失明者の再起に資するため、適当な
生活訓練と、職業
教育を与える
施設は、従来一箇所でありましたが、本
年度は一箇所増設致しまして、これを国立で経営しますのと、また顛落婦人の顛落防止と、更正の機会を与えるための経営費に対し助成する等の
経費九百八十五万余円と、ララ救助物資の配給の万全を期するための
経費二千四百五十五万余円を計上いたしたのであります。
次は第八に、
生活保護法施行等に必要な
経費七十九億千百八十四万余円でありますが、現下の
経済状況の推移に伴いまして、
生活困窮者が、ますます増加の傾向にありますので、
生活保護法に基き、
実情に即した保護を加える必要がありますので、本
年度におきましても、約三百万人を対象といたしまして、
生活扶助、医療、助産、産業等各種の扶助援護を
実施いたしまして、民生の安定をはかるため必要な
経費を計上致しておるのであります。
また第九は、児童福祉に関し必要な
経費三億百五十万余円でありますが、児童の健全な育成、愛護等、児童福祉を増進するため、本年四月から児童福祉法の全面的施行をみたのでありますが、これに伴いまして、児童
委員の設置、児童相談所、一時保護所、保導
委員の設置等に要する
経費六千四百十五万余円と、また不良児、孤児、浮浪児に対し、収容保護を加えんとするための
経費一億九千七百三十八万余円と、保育所、母子寮等の
施設の経営及び妊産婦、乳幼児の栄養増進、疾病の予防と母子保護対策に必要な
経費三千九百九十七万余円を計上いたしまして、児童福祉の増進をはからんとするものであります。
次に第十は、社会保険対策に必要な
経費四億七百五万円でありますが、健康保険、厚生年金保険及び船員保険等、各種社会保険行政の円滑なる
運営をはかりますのと、新たに社会保障制度についても、慎重に
調査研究をいたす必要があると認められますので、これが
調査を
実施する等の
経費八千四百三十七万余円と、厚生保険特別会計及び船員保険特別会計へ保険給付費及び業務取扱費の一部を
一般会計から繰入れますための
経費三億二千二百六十七万余円をそれぞれ計上いたしておるのであります。
次は第十一として、国民健康保険に関する
経費五億六千五百九十五万余円であります。国民健康保険組合は、全国で七千組合、組合員約四千万人を擁しておりますが、これらの組合は、国民保険向上の基盤でありまして、これが育成強化をはかりますことは、きわめて重要でありますので、本
年度におきましても、組合の
運営及び直営診療所の
経費等に対し、助成するための
経費を計上致したのであります。
また第十二として、引揚民対策に関する
経費四十億九千六十万余円であります。内地へ引揚ぐる者、及び内地以外の地域へ引揚ぐる者に対する援護の徹底をはかりますことは、きわめて重要なことでありまして、前
年度に引続いて、引揚地において、収容保護、輸送その他各種援護の万全を期しますため必要な
経費八億四千二百九十七万余円と、旧陸海軍の残務の処理及び未復員者、在外死没者の
給与等、各種復員
事務を処理するための
経費三十二億四千七百六十五万円を計上いたしておるのであります。
最後に、その他の
経費として二十五億三千七百九十四万三千円を計上いたしましたが、これは現下の
経済状況によりまして、
政府職員の
給与の改善をはかります
経費十三億七百八十七万七千円と、物価の改訂に伴う物件費等の値上りに必要な
経費十二億八百七十九万六千円と、大臣官房
事務の処理のため必要な
経費二千百二十七万円等を計上いたしました。
以上二十三
年度厚生省所管一般会計予算の
大要について、御
説明申し上げたのでありますが、次に特別会計の概要について申し上げます。
まず第一に、厚生保険特別会計の健康勘定においては、歳入歳出とも二十七億五千九百十三万六千円でありまして、年間勘定では、歳入が二十四億九千六百六十万五千円、歳出が四億五千四百三十五万円、差引歳入超過二十億四千二百五十七万円であります。また業務勘定におきましては、歳入歳出とも五億八千五百六十八万千円と相な
つております。
また第二に、船員保険特別会計におきましては、普通保険勘定が歳入で九億五千六百三万三千円、歳出で三億四百七十九万六千円、差引歳入超過六億五千百二十三万七千円でありまして、失業保険勘定では、歳入歳出とも一億六千五百九十九万七千円と相な
つております。
右はいずれも各種の保険給付と、業務
運営のため必要とする
経費であります。
以上
昭和二十三
年度厚生省所管一般及び特別両会計の概要について、御
説明申し上げたのでありますが、何とぞ本
予算の成立につきましては、皆様の格別のお力添えをお願い申し上げる次第でございます。