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1948-06-30 第2回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月三十日(水曜日)     午後十一時四十一分開議  出席分科員   主査 中原 健次君   副主査 長野重右ヱ門君       角田 幸吉君    岡田 春夫君       黒田 寿男君    成島 憲子君       国司 安正君    今井  耕君       中村 寅太君  出席政府委員         農林政務次官  大島 義晴君         農林事務官   山添 利作君         農林事務官   平田左武郎君         農林事務官   三堀 参郎君         農林事務官   遠藤 三郎君         農林事務官   伊藤  佐君         農林事務官   近藤 康男君         農林事務官   清井  正君         食糧管理局長官 片柳 眞吉君         林野局長官   三浦 辰男君         商工政務次官  正木  清君         商工事務官   松田 太郎君         商工事務官   小笠 公韶君         商工事務官   鈴木 重郎君         商工事務官   始関 伊平君         商工事務官   和田 太助君         商工事務官   玉置 敬三君         商工事務官   細井富太郎君         商工事務官   渡邊 一俊君         商 工 技 官 白崎 文雄君        商 工 技 官 三ツ井新次郎君         特許標準局長官 久保敬二郎君         貿易廳長官   永井幸太郎君         貿易廳次長   新井  茂君         石炭廳長官   佐野秀之助君         石炭廳次長   吉田悌二郎君         商工事務官   石坂善五郎君         商工事務官   中井冨三郎君         商 工 技 官 渡邊  誠君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十三年度一般会計予算農林省及び商工  省所管昭和二十三年度特別会計予算農林省及  び商工省所管     —————————————
  2. 中原健次

    中原主査 会議を開きます。昨日に引続きまして質疑を行うことにいたします。
  3. 中村寅太

    中村(寅)委員 私は農林当局にお尋ねしたいのであります。先般総司令部天然資源局農業課長アメリカに帰るL際に、内外の新聞記者を集めての会見において、日本畜産業は世界で最悪のものである。その改良方法をわれわれは提案したけれども、歓迎されなかつた農林官僚がこれをきらつて取上げなかつたということを発表しているのでありますが、そういう提案がなされたことがあるのかどうか、提案されたことがあるとすれば、その案をお示し願いたい。
  4. 大島義晴

    大島政府委員 ただいまの御質問は、この間アメリカ担当官アメリカに帰られる際に談話を発表されたわけでありますが、その談話の中に、たまたま日本農林省官僚が向うの言うことを聴かなかつたというような談話を発表されたのであります。これは実は畜産関係があるのではないのでありまして、むしろ農業技術の振興をやらねばいかぬ、農業技術というものを今の段階で食い止めてはならない、これを飛躍的に拡大しなければならないということで御指示がありました。縫つてそれに基いて農林当局といたしましては、農林省機構改革その他について長い間検討を続けてまいつたのであります。一体機構改革が少し遅れましたので、実は本日の午後の決算の委員会で御審議願うことにいたしておりますが、農業改良局という局を新設いたしまして、との改良局ひとり生産面のみならず、農民生活実態にまでこれを指導することにいたしておりまして、これが遅れたことを指摘されてあのような言葉を言われたのでありますが、本案の提出によつてあの御意見は一應解消し得るものと考えております。
  5. 中村寅太

    中村(寅)委員 畜産に関する改良方法を提案したとははつきり具体的に言つているのでありますが、そういう事実がないというお答えと解してよろしうございますか。
  6. 大島義晴

    大島政府委員 畜産というふうに限つたわけではないのでありまして、技術改良に対して農林官僚がその御指示をただちに実行に移さなかつたというこで、あの問題が起つておるのでありまして、しかもそれは農業改良局の設置によつて指示通りにやるわけでありますから、ここで問題を解消し得る、かように考えております。
  7. 中村寅太

    中村(寅)委員 それから同じくその際に、農村における課税実情は、大藏官僚官僚主義による権限を振廻すことによつて農民に勝手な課税をやつておる。そのために農地改革案課税の重みのために、せつかく買上げた土地もと所有者に還るようなありさまであるということを言つておるのであります。現在そういう実情にあるかどうか、あるとすればその数字を示してもらいたいのであります。
  8. 大島義晴

    大島政府委員 昨年度の農業所得税が非常に過重であつたことは事実であります。これがためにいろいろな面で農民が困つておることも事実でありますが、従つてわれわれはこの農民負担軽減について最善努力をしておるわけでありますし、さらに三党政策協定の中にもその点を明確に織込んで、農民負担軽減を主張しておるようなもけであります、しかしただここで特にこの副産物としての問題が一つつておるのであります。これは農地改革に難じて、この機会耕作のいかんにかかわらず、耕地を獲得しようというふうに考えた一部の者が、これによつて非常に是正されて、耕地面積を少くして集約的に収穫を得ようという方向にまいつてきておるのでありますが、今申されたような耕地放棄というような言葉で表現されたかも存じませんが、実は耕地放棄でなくして、いたずらに廣大面積耕作することなく、集約的な耕作を続げていこうという農民心理がそういう表現になつておることと思うのであります。まだ私ども耕地放棄ということを、具体的には聞いておらないようなわけであります。
  9. 中村寅太

    中村(寅)委員 農林次官は今土地を所有しておる耕作農民が、集約的な農業に移行するために、土地放棄しておるような傾向がある、こういう答弁であつたと思うのでありますが、私は現在の農村でそういう事実があるということは疑念をもつのであります。現在の農民心理として、二町でも、三町でも用いておる土地を、集約農に移行するために、放棄するということは断じてないのではないか。事実そういうことがあるとすれば、どこにそういうことがあつたのか、具体的にお示しを願いたいと思うのであります。
  10. 大島義晴

    大島政府委員 私は放棄しておると申し上げたのではないのでありまして、土地に対する観念が、たとえば特殊な事情があつて、一時的に賃貸されておつたものを、耕作民がこれを承知しないのであくまでも自己のものに使用するという考え方が、非常に変つてきた、その変り方の原因は、集約的に農業経営しようという結論からそういうものが出ておるのだということを申し上げたのでありまして、決して土地放棄するという意味ではない、その点は誤解のないように御了承願いたいと思います。
  11. 中村寅太

    中村(寅)委員 私の質問言葉が足らながつたかとも思いますが、次官お答えとは少し当つてい、ないように考えます。デヴイス氏がこの間発表した中に、農村課税の過重なために、せつかく農地改革によつて得たところの土地を、またもと所有主に還すというような実情になつてきているとはつきり言つているのであります。そういう事実があるかどうか、それからあるとすれば、そのデヴイスの言う事実を当局としても認めておるかどうか。認めておるとすれば、その数字を示してもらいたい。こう尋ねたのであります。
  12. 大島義晴

    大島政府委員 農民負担が重いということは事実でありまして、従つてこれに対する負担軽減のため、われわれは最善努力をしておるようなわけであります。そこで農地改革が過重な負担のために土地放棄されるというような御懸念は、実はそうでなくて、むしろ農民集約的農業経営の面に考慮が拂われつつあるがために、土地に関するいろいろな問題が比較的解決の緒につきつつあるということを申し上げたのでありまして、決して負担が多いから、農地開放で一應自作農になつた者がその土地放棄するというような事実は全然ないのであります。その点が一つデヴイス氏のおつしやられた問題も、結局は農村の過重な負担からぐる一つの現象であるということを御了承願いたいと思います。
  13. 中村寅太

    中村(寅)委員 第一も、第二も農林当局は否定されたように考えますが、これ以上私は追究することをやめます。  その次にお尋ねしたいのは、デヴイス氏も言つておりますように、また現在の実情もそうであると思いますが、日本農民に対する課税が非常に重いということは事実だと思うのであります。供出した作物の公定価格の半分以上を所得税として納めておる。さらに地方税等で相当の額を納税させられておりますがこの現在の農民の秘による荷が重いということは、当局も認めておるであろうと思うのであります。そう認めておるとすれば、今度の予算編成にあたつて農民負担を軽くすることに努力してやられたかその点をひとつお答え願いたい。
  14. 大島義晴

    大島政府委員 農民負担が非常に過重であるという点は先ほど御指摘通りであり、農林当局としてもこれを認めておおますので、できるだけ負担を軽からしめようということで努力いたしております。さらに先ほど申し上げました通り、三党政策協定の中にもこの面は織りこんでありまして、ただいまでは大体免税点が非常に引上げられてまいつておりますし、それに基礎控除等も相当大幅に取入れてありますので、今後の負担は非常に軽くなるということが言えると思います。
  15. 中村寅太

    中村(寅)委員 所得税免税点引上げられたということはわれわれも認めるのでありますが、その代りに地租の税率が非常に引上げられておる。地租は百分の二十五であつたものを、百分の二百に引上げており、それから宅地税の方は百分の二百五十に引上げておる。こういう具体的な事実があるのであります。地租というものはほとんど農民が拂うものでありますが、農民課税だけをほとんど十倍に近いものに引上げておるということを、農林当局は黙つて認めてきたのか、その点聴かせてもらいたいと思います。
  16. 大島義晴

    大島政府委員 農林省といたしましては、決して今の税金が軽いとは考えていないのであります。非常に過重な負担であると考えておりますけれども、しかし今の日本経済事情もとにおいて、たれもが背負わねばならぬ負担であるならば、ある程度はやむを得ぬことと考えておるようなわけでありまして、これは過重ではあるが、本年の免税点引上げ、あるいはその他によつて、この点は非常に緩和されておると考えておるのであります。
  17. 中村寅太

    中村(寅)委員 現在の日本段階において、相当重い現金を納めなければならないということは、これは國民全体の覚悟するところであることは勿論であります。しかしながら税というものはどこまでも国民の担税力に対して均衡を得るということが最も大切なことであると思うのでありますが、現在の状態で均衡を得るという点から考えても、地租を百分の二百に引上げるとい、うことが、はたして当を得た措置であるか。この点の措置をどう考えておるか、当局にお聴きしたいのであります。
  18. 大島義晴

    大島政府委員 御指摘の問題は、現下日本経済事情からやむを得ない処置考えまして、一應この点で辛抱せねばならぬと考えておるのであります。
  19. 中村寅太

    中村(寅)委員 農林当局としては國民課税均衡上、現在の地租引上げるいうことも、妥当として考えておるということを承つたのでありますが、それならば一應それを認めるといたしまして、今度の予算修正考えられておるのであります。次官社会党に籍をおいておられますが、社会党、民主党、國協党の間で修正考えられておる修正の中に、取引高税について廃止か、あるいは削減かが考えられているということを、われわれは聞いているのでありますが、当初税をきめる場合には、全体の均衡をはかつて政府でも一應考えておつたはずだと思うのであります。そうした取引高税を廃止するとか、削減するとかいうことになれば、私はさつき言いましたように、特に農村の大きな負担になつてくる地租、あるいは宅地税というものについては、何らか考慮が拂われねばならぬ。この点は次官あたりはどう考えておられるかお聴きしたいと思います。
  20. 大島義晴

    大島政府委員 予算がかり修正されるといたしましても、それは不公平な修正がなされるはずはない。従つて國民負担に耐え得るような公平な措置もとに、それが修正されるものとわれわれは考えておるような次第であります。
  21. 中村寅太

    中村(寅)委員 不公平な修正がされるわけはないと言われるが、必ずしもそういうことにきまらないと思うのであります。現在の異常の修正しておる点で、税金の面だけを考えた場合には、当然不公平ではないかと私は考えるのでありますが、それでもやはり次官は不平をこわすものでないとお考えになるかどうか。その点はつきり御説明いただきたいのであります。
  22. 大島義晴

    大島政府委員 繰返して申し上げるようなわけでありますが、一應三党政策協定でまとまつた案が、さらに三党の協定によつてできる場合には、著しい不公平はない。公平な見地からその修正が行われると考えております。
  23. 中村寅太

    中村(寅)委員 くどいようでありますが、今度の與党修正によつて、私は課税負担の面における均衡が破れて行く傾向があるということを、強く感じておるのであります。この上次官と問答しても無用だと思いますので、この程度でやめますけれども次官社会党の幹部をしておられるのだから、修正をされる場合に、取引高税を削除しあるいは削減して、そのほか直接農村関係のある面を扱わないということになれば、農村だけが取残される。そうすれば現在においてすら過重な税がかげられておるのに、またその過重さが大きくなるという点を考慮していただいて、万全の処置を講じていただくようにお願い申して、その点は一應打切りたいと思います。  それから食糧管理局長もお見えでありますが、先般総司令部天然資源局農業課長デヴイス氏が、供出量割当公平化にはなお改善の余地があると思う、ということを言つておられるのでありますが、現在の農秣当局としても、今日の供出量割当について不公平な点があるということを認めてあるかどうか、その点をお聴かせ願いたいと思います。
  24. 大島義晴

    大島政府委員 ただいま供出割当が公平に行われているかどうかという御質問でありますが、もちろん政府はできるだけ公平にこれをやりたいという考え方をもつて目下農林委員会にも食糧確保臨時措置法という法律を出しまして、できるだけ公平な見地に立つて供出割当をいたしたい、こう考えておるのでありますが、その具体的な事実といたしましては、たとえば地方の査定に基礎を置いた事前割当方法を行う。そうして今までのように、精農が一生懸命精を出してつくつたものを、検見あるいは坪刈というような方法で、いいものをとつたものは余計出すという方法でなく、特別な努力をした農民は、それだけ特別に保有もできるのだという方法にもつていきたいと存じまして、農林委員会にもその案を出しているわけでありますが、できるだけ公平なものをつくり上げたいと考えております。しかし神でない限り絶対公平ということはできなかろうと思いますが、漸次公平に近いものをつくり上げたいと思つて、鋭意努力しておるのであります。
  25. 中村寅太

    中村(寅)委員 食糧割当公平化を期するためにいろいろ考えておるということでありますが、さいわい今次官のお言葉の中に出ました、食糧確保法案の中に、われわれは一点だけはぜひ修正すべきものである、そしてこの法の一つの欠陥ではないかと思いまするのは、食糧確保法案の第八條の四の中に、農民の面においてやむを得ざる事故によつて供出割当量が出せないような実情になつた場合には割当減額申請ができる、しかし申請中といえども食糧管理法第三條による売渡し命令効力は停止するものでないという條項があるのであります。この案のもつ内容はわれわれも一應認めるのであります。ところがここに農民としては非常に関心をもたなければならない点は、これはやむを得ざる理由によつて不作が生じて、その不作なつたことによつて供出割当量を減してもらいたいという申請を出しておるけれども、事実不作であつて申請はいたしておつても、政府所定割当量売渡し命令効力が停止しない。そういう事情になつて割当量を一際売渡しさせることができるどいう條項考えるのでありますが、そうすると現在起つている農家保有米に食いこんで供出しなければならないという姿が、また起つてくると思うのであります。この点を考えますときに、われわれそのは條項の中に、必ず農家保有量は確保させるものであるという一項目を附加してもらいたいと考えるのでありますが、これに対して当局はどうお考えになりますか。
  26. 大島義晴

    大島政府委員 食糧確保臨時措置法案内容についての御質問でありますが、八條の四にあります点は、結局病虫害による不作あるいは天候の異変等による不作の場合には、これを申し出て修正をしてもらえるわけであります。しかしその修正申請をすれば供出をしなくてもいいかということになりますと、何かそういう手続さえしておけば供出が延期できるということにすると、非常な弊害を伴うために、それはそれとしてあるけれども一應供出はしなければならぬ。しかし供出をする場合にも通常行われておるところの、いわゆる強権発動適用は絶対しないといということは、この機会に私どもははつきり言明できるのであります。さらにまた保有米の問題でありますが、この保有米の問題は保有するのが当然と考えておりますので、これを條文の中に入れておらない、かように御了解願いたいと思います。
  27. 中村寅太

    中村(寅)委員 次官が前段に述べられました意向というものはわれわれも了承するのであります。割当減額申請を出したら、その間は供出しないでいいということになれば、もちろんそれを悪用する結果が生まれるということも考えられる。そこでわれわれは、あの條項当局処置としては当を得た処置である、かように考えるのであります。しかしながら、現在の供出実情からみまして、農家保有米を食いこんで出さしておる。この事実があることは当局も認めているはずだと思う。これを認めているからこそ調整米を出しているわけであります。しかし農家保有量まで出させる、これほど私はまずい手はないと思うのであります。またそのまずいということは当局も認めているだろうと思います。こういうまずい手はだんだんなくしていくということが、政治の面で考えなければならぬことではないかと思うのでありますが、そういう点を考えるのにはさいわいにいい機会であると思うのであります。次官保有米を確保させるということは、当然の規定であるがゆえにそういうことを入れることをしていないというお答えでありますが、私はもちろん保有米を確保するということが当然の規定であるということも承知しておるのであります。しかしながら、農業の面における供出実情というものは、その規定が無視されておるということも、次官は了承しておるだろうと思うのであります。あの八條の四の「停止しない」の次に「農家保有米を確保させるものとする」という一項を入れても、それは決しておかしなことにならぬと思うのであります。一方的な処置となるおそれが現在事実の上にあるのですから、その事実をためるためには、やはりその一項を入れなければならぬと私は考えるのでありますが、この点食糧管理局長官にお聴きしたいのであります。
  28. 片柳眞吉

    片柳政府委員 ただいまのお話の第八條の第四項でありますが、この点はただいま政務次官からお答えになつた通りでありまして、なお若干補足いたしますと、米を例にとりましても、大体収穫は十月から遅くも十二月の間にあるわけであります。供出期限早場地帯が二月、遅場地幣が三月ということになつておりますので、収穫直後に異議申立があると思うのであります。しかも異議申立がありますれば一定期間内にこれが裁決をしなければならぬという関係になつております。従いまして牧穫時期と供出期限との間において、この問題の解決はつくであろうというふうに考えておるのであります。あるいは異議申立をすれば売渡命令効力が停止されるということを運用されるおそれもあるのではなかろうかという、実は万が一心配からああいう規定をおいたわけでありまして、実際の実情におきましては、大体収穫時期と供出期限との間には相当の期間がございまするから、その間に問題の解決がし得る。もしもあの條項適用が不当だといたしますれば、供出期限を非常に早くきめることが不当であつて供出期限農家経営実態に即して、適当な期限を設定しますれば、大体においてあの第八條第四項を適用する必要はないと思う。もし問題でも起りますれば、考え方といたしましては、むしろ供出期限を延長するというような方向実態を救つていくべきではないかと考えております。先ほど政務次官お答えに、さらに私の考えを補足して御説明申し上げました。
  29. 中村寅太

    中村(寅)委員 大体食糧のすべてを扱つておられる当局としての考え方としては、私も了承するのであります。とる建前からの立場からの考え方としては、もちろん正しい考えだと思うのでありますが、八條の四というのは、万一そういう制度を悪用されるおそれがある場合を仮定してつくつた案であると考えられますからわかるのでありますが、農民が悪用してはならぬということでお考えになると同時に、とる方の立場がもしもこの法を悪用してはならぬということを、政治の親切として考えなければならぬ。そういう点から、いわゆる農民食糧の、規定保有量を確保させるものとするという一項を入れられても、何ら私はこの法案というものがおかしなことにならぬと思います。当然それは一つ政治の親切ではないかと思うのでありますが、その点どうお考えになつておるか。それから時間を急ぐ関係上併せて申し上げますが、現在の農林委員会の空気も、その点は相当みんな考えておるようでありますが、あの法案はぜひお通し願うという決心をもつておられるのかどうか、決心をもつておられるとすれば、私はその点の修正考えていただかなければ危ういのではないかと思つておるのでありますが、その点一緒にお答え願いたいと思います。
  30. 片柳眞吉

    片柳政府委員 第八條の点は先ほども申し上げましたように、もしも供出期限が一旦切れましたものが、非常に実際に適しないという場合においては、むしろこれを適当に延期是正する方向でむしろ私は解決していきたいと思うのであります。その点からやはり万が一心配かもしれませんが、この條項はやはり最悪の場合に備えて、これを存続することが適当だろうと考えております。なお法律解釈といたしましても、一應割当決定しまして、異議申立がありましても、異議申立決定になるまでは、これは一懸割当はそのまま有効でありますから、その但書保有米切つてはならぬという條項を附加することは、実質論といたしましては至極同感でありますけれども形式論としては、異議申立がありましても決定までは当初の割当が有効でありますから、その但書保有米切つてはならないという條項を置きましても、法律的には実際上の効果はないであろう。こういうふうに考えるのであります。その点は実際の運用上支障の起らぬように善処してもらいたいと思います。
  31. 大島義晴

    大島政府委員 あの措置法を通すつもりかという御意見でありましたが、私はぜひ通したいと考えておるのであります。それは先ほど申し上げた通り、今までのような供出制度で、いいものをつくつたものがよけいとられるという方法では、増産意欲というものが農村に起きない。従つてあの方法によつて一定限界をつくつて、それ以上いくらいいものをとつても、それ以上追加割当をしないということが、第七條の四項に明確にしてあるのでありますから、いいものをつくつた場合は、いくらよけいとれてもそれは公々然と保有できるのでありまして、それに対して政府自身が追加割当ができないということを明確に規定しておるのでありますから、耕作農民は非常に喜んでおるのであつて、私もしばしば地方に出さして農民とよく接触しておりますが、農民はあの規定によつて、これからいくらとつても大丈夫だ。とれ高のほらを吹いてもこれを通るのだというふうに、非常な安心感をもつて増産意欲をすでに非常に燃やされておるという事実がありますので、ぜひとも皆さんの御協力によりまして、この法案は通過せしめたいと考えておるのであります。
  32. 中村寅太

    中村(寅)委員 今の次官の話は私も同感であります。ただやはり農民は、あの法案が通るというと、あの方法考えられるということを期待しておると同時に、保有量を絶対確保したいと考えておることも事実であります。あの法案を見ますときに、われわれが心配するように、やはりあの法案だけでは、私は保有量は絶対に確保していいという姿が生れないと思うのであります。その点をひとつ当局としてもさらに考えていただきたいと思うのであります。  それからもう一つお尋ねしたいのは、あの法案通りました場合のことであります。あの法案通りますと、一應供出割当決定される。そうして、供出割当決定されて後は再割当しないということが、第七條の三項ですか、あれにきまつておるはずですが、そうしますと、私は一應國の面で考えるときには、割り当てられた供出数量が殖えることは絶対にないということをまず考えなければなりません。それからだんだん申請によつて減らしていかなければ、ならぬ面が生れてくる。そうすると私は、減らす面だけができて殖やす面がなくなつてくるということになれば、國の食糧計画の上に大きな違算を來しやせぬか、もしその違算を來さないようにするならば、一應水盛りした、いわゆる盛りかけた割当計画というものを考えておかなければならぬというふうな事実が生れてきやせぬか。当局としては減らす面が生れてきて、殖える面が一つも生れてこないということになれば、その割当というものの確実性が薄くなると考える。その点の心配が私はあると思いますが、これは当局としてどうお考えになるか聴きたいのであります。
  33. 大島義晴

    大島政府委員 減らす面だけがあつて殖える面がないではないかというお説でありますが、この減らす面と申しますのは、あなたが御指摘なつたように、その年の非常な減収に基く場合に減るのでありまして、減収のない場合はこれは減らないでありますから、事実上の減収があつて減ることはやむを得ない。ところで保有米の場合も、先ほど申し上げた通り当然の処置であるために、これに法律にもふれていないのでありまして、保有米を優先確保するということは当然なことである。かように御了承願いたいと思うのであります。増加すべき面が少しもないではないかという御意見でありましたが、実は追加割当はいたしませんけれども、もしその増産の分を政府に費つてくださるときには、政府は三倍の償格で買い上げる。特別に報奨物資も出そうということにいたしておりますので、やはり農民みずからが進んで割当追加供出にぜひ協力くださることを期待しております。
  34. 中村寅太

    中村(寅)委員 私は一應理屈としてはそういうことも考えられると思いますが、その供出割当量の減されるという場合は、今次官が言われましたように、特別の不作によつて減収された場合だけだということはもちろんであります。ところがここに特別の不作のときといえども、私は日本食糧一つの計画の数字はあるはずだと思うのであります。その計画の数字に狂いを來すということは間違いがないはずであります。そうするとこれは私の考え過ぎかとも思いますがそこに当局として割当をするときには、減る面を一應考えなければならぬ。殖える面がなくて減る面があるのですから、責任の地位にある者としては、私はそこを当然考えるだろうと思う。そうすると割当量に幾分かの見込数量というものがたくさんはいつてくるいうことが考えられます。この点を心配するのであります。もう一つは、次官保有量は当然確保されることになつておる。確保されるものであるから、この法案の中に入れなかつた、こう仰せられましたが、それでは当然確保されるものと規定されておるものを、政府処置としては確保させておるかどうか、この点をお聴かせ願いたいのであります。
  35. 片柳眞吉

    片柳政府委員 今回の法案が通過した場合におきましては、当然に事前割当ということになるのでありまして、その場合の生産見込みは、災害がなかりせばどの程度の生産があるだろうかという想定で、生産見込みを立てまして、それから一定保有米を引きましたものが割当数量になる。これは御承知のことであります。従いまして不幸にも災害が起りますれば、これは減額ということになりますが、ただ災害率を見る場合におきましても、各府縣の災害寧が土地によつて相当の違いがございますが、その大体平均災害率をとりまして、それで生産見込みを立てておりますから、最高の災害率はとつておらないのであります。平均の災害率をとつておりまするから、場合によつてはその生産見込み以上になるということもありまするしまた同じ災害率をもちましてある程度減るということもありましようが、減る方にはならぬと思うのであります。最高の災害率では算定しておりませんで、その中庸的な災害率で生産見込みを立てておりますから、殖えることもあり得ると思つておりますし、しまた殖えた場合においては、ただいま次官から御答弁になりましたような超過供出については、別途に自発的な供出を願うような措置も併せて考えておるのでありますが、必ずしも減る一方ということにはならぬと私も考えております。それから今日までの割当において、保有米切つておるかどうかという御質問でありますが、この点は帰するところは農村側の言いますところの生産見込みなり、あるいは実収高なり、あるいは災害の認定類いかんに問題がかかつておると思うのであります。遺憾ながら農村側から出ました数字と、私の方の統計調査局系統で決定したものとの間におきましては、相当の開きがあるのであります。この点が結局保有米を切るか切らぬかの問題を決定する点と思うのであります。今後できるだけ正確な実収高の価格なり、災害の認定につきましては、これはできるだけの措置を実施したいと思いまするただ端的に言いますれば、片方で還元配給があるという事実からいたしまして、保有米を遺憾ながら切つでおる例は、認めざるを得ないと思います。この場合においては収穫直前に見込みを立てまして割当ておる関係で、なかなか減額制が思うようにまいらない。今度は事前割当でありますから、当然災害があれば減らすということをその間に含んでおりますから、この運用をよろしくしていきますれば、むしろ適正なる減額ができまして、保存量に食いこまないという効果があると私は思つておるのであります。ただ問題は実収高なり、災害の認定いかんが、最後に実際問題として残ると思うのであります。この点についてはできるだけの努力をして、遺憾なきを期したいと考えます。
  36. 中村寅太

    中村(寅)委員 その問題はその程度に止めておきまして、価格の決定に関する点でありますが、生産物の価格を決定する際には、生産者の意向を聴くということ、これは絶対に必要なことであると思うのであります。あらゆるものの価格をきめようとすれば、つくつておる者の意向を聴くことが大切で、あることは今申した通りでありますが、農産物の価格決定の際に、これが考えられておらぬという一つの事実があるのでありますたとえて申しますと、米價を決定する際にも、米をつくつておる農家の意向というものが考えられておらぬ、聴き入れられておらぬ。あるいは当局ではいろいろの面に向つて意向を聴いておるというようなことを言われるかもしれませんけれども、私は米價あるいは麦の価格をきめるとき、農産物の価格をきめるときに、はつきりした一つの審議機関というか、諮問機関というものを当然つくるべきだと思うのであります。どこでたれに聴くかわからぬようなことで聴いておいて、それでもつて生産者の意向を聴いたということは、私は当らぬと思うのであります。そういうことを考えますときには、当然農産物の価格決定に対して、政府が今のような処置でいくといたしますれば、諮問機関というようなものをつくる必要があると考えるのでありますが、その点についての当局の御意見をひとつ聴かしていただきたい。
  37. 片柳眞吉

    片柳政府委員 米価の決定につきまして生産者の意向を十分に聴いてほしい。こういう御意見は、従來からもいろいろお聴きしておりまするし、われわれとしても適当な方法なり機構において、十分意見をお聴きしますることは、考えていきたいと思つておりますが、ただ正式の諮問機関なりあるいは決議機関というようなかつこうでやることにつきましては、かえつてそうでない方が現在の実情からは適当でないだろうか。またいろいろな関係方面と折衝というような事項もありますので、聴くといたしましても、これはむしろ任意的な團体等をつくつていただきまして、そこで十分御意見を聴くということが適当でないかと考えます。
  38. 中村寅太

    中村(寅)委員 大体に当局の意向をわれわれが付度しますと、なるべく聴きたくないという考え方もとに要求を全然無視もされないから、まあ聴こうというような考え方から生まれてきた当局意見だと私は解釈するのであります。内々で聴くというようなことでなしに、私は今長官の言われますように、関係方面の意向もそういうことを嫌つておるというようなことを、いろいろの方面から漏れ聞いておるのであります。そういう事情であればあるほど、私は正式の機関をつくる、決議機関というようなものではあるいは支障を來すと思いますので、当然各方面の意向をそこに表示し得るような機関をつくる。その意向を取入れようと入れまいと、それは一應現在の占領治下にある段階としては、やむを得ぬ面が生まれてくると思うのでありますが、一應生産者の意思をはつきり出させるということは、民主政治として最も大切なことであると考えるのであります。そういうことについてひとつ積極的に手を打つていただきたい。そのために生産者の意思表示機関ができたために、価格が安くなるということが、むしろ逆効果としてあつた場合でも、それは当然農民の面としては感謝すべきである。生産者としては価格が高くきまるとか安くきまるとかということでなく、当然生産者の意向が表示され、汲みとられる行き方、あり方が大事であると思うし、またそうでなければならぬと考えるのであります。そういう点からつくつたがいいとか悪いとかでなく、当然そういうものはつくるべきものだという建前に立つて考えてもらいいたいと思うのであります。これは全農民の要望でありますし、要望であるだけでない。現在のような段階で生産者の意思を無視してきめておるという行き方は、正しい行き方でないと思うのであります。これをぜひひとつ考慮していただきたいという希望を強く申し入れまして、この点はそれで打切りたいと思います。  もう一つ当局にお伺いいたしたいのは、御承知のように農業協同組合法が施行されまして、現在全国に農業協同組合の設立が進められておる実情でありますが、私は今後の日本農業のあり方を考えますときに、だんだんむずかしくなつてくる。経済上その他の関係からだんだん農業経営というものがむずかしくなるということは、もちろん考えられると思うのであります。講和様約でもあるいは近く済んで、その後いろいろ南方その他の方面から農産物などがはいりこんでくるというような情勢になれば、いよいよ日本農業経営というものは困難を増してくる、これははつきり言えると思うのであります。農業経営が困難になつてくればくるほど、私はこの農村における協同組合が完全な機能を発揮し得るかどうかということによつて農村がいけるかいけないかということになつてくる思うのであります。そういうことを考えるときに、この農村における農業協同組合の運営がうまくいくかいかないかということが、かかつて私は今後の農村の生活がよくやれるようになるか、あるいは悪くなるかのわかれ目にかると思うのであります。こういう大切な農業協同組合に対して、農林当局農業協同組合の施行に要する経費を見ますときに、あまりにも僅少過ぎるのではないかと思うのであります。今年の予算を見ますと、四千万円くらいになつたようでありますが、そんな小さい金ではたしてできるか、農業協同組合の施行に要する経費の内訳を見ますと、私はこれは問題にならぬと思います。この点当局としてはどう考えておられるか、聴かしてもらいたいのであります。
  39. 大島義晴

    大島政府委員 農村恐慌対策といたしまして、協同組合のきわめて円満なる発達をなさしめることは、御指摘通りであります。従つて政府はこの点に重点をおいてまいつておるのでありまして、予算措置から申しましても、今年は去年の倍以上になつておるのであります。もちろん物價の値上り等も相当あるでありましようけれども、しかし協同組合は政府の援助、政府の保証によつて発達すべきものではない。農民みずからの手によつて発達すべきものと考えておるのであります。いわゆる中央依存政策というものを一擲いたしましてへ農業協同組合みずからの力で立ち上つていただくというふうに、私ども考えておるわけであります。しかしできるだけのことはいたしたいと考えております。ただいま申し上げました通り、その予算措置といたしましても、昨年の倍以上の予算が一應確保されておるわけであります。
  40. 中村寅太

    中村(寅)委員 予算というものは昨年度に比較しでつくるべきものではないと私は思いますが、次官がいわれるように、昨年の倍くらいのものが組まれておるという点については、われわれも数字を認めるのでありますが、昨年と今年の物価の値上りを考えると、倍にしてもほとんど昨年と大差のない実質的な姿だと思うのであります。私はそういうことで当局と議論しようと考えるのではないのでありますが、どう考えてみましても、今言いますように農業協同組合がうまくいくためには、政府のできるだけの協力というか、援助というものが必要であることはもちろんであります。もちろん農業協同組合は、農民みずからの力によつて盛り上つていくことが原則であることは、われわれも承知しておるのでありますけれども、現在の段階においては、できるだけやはり政府の手で協力するということが必要であると思います。政府がかつてに引ずつていくということは考えたはならぬと思いますけれども、協力していいものは協力していくような態度をとることは、決して私は避くべき方法ではないと思う。そういうことを考えると、四千万円とうはした金ではたしてできるかどうか、できないことはこれは事実だと思いますが、私は農林当局が、農業協同組合の一つのあり方が、健全なものであるということが大切であるどいうことを考えておられるとするならば、この予算の額があまりに僅少すぎる思います。もう一点特にお願いしておきたいのは、農業協同組合の発展といいますか、運営がうまくいくかいかぬかということは、要はその中におる職員の良否にかかると思うのであります。もちろんいい職員を充実させることが、農民の責任ではありますけれども、この中に特に政府考えていただきたいことは、職員の養成措置であります。いい職員を養成するという措置が全然考えられていないということは、早急に当局考えてもら、わなければならぬことではないか。農業協同組合が新しく農民の手によつて生れておりまするので、今までの農業会とは相当人的内容の点においても変つてきておることは事実であります。ところが協同組合を運営していきます場合には、相当経済的その施において、知識、技術を喫する点があると思うのであります。全然素人のような人たちが集まつてやるということでは、非常にそこに困難さが生れてくる、行詰りがあり得ると私は考えるのでありますが、どうしてもそれには職員の優良なる者をもたなければならぬ。その優良な職員をもつということは——優良な者だけを集めることはなかなか困難あります。現在の農業協同組合の職員の技術を錬磨し、あるいは知識を獲得するような一つの機関をつくつてやる必要がある。養成機関といいますかそういうものをぜひつくる必要があると考えるのでありますが、その点について当局はどうお考えになつておるかをお聴かせ願いたいと思います。
  41. 大島義晴

    大島政府委員 農業協同組合の設立にあたりましては、政府は積極的にこれに関與することはできないということを、各地方にも通知しておりますようなわけで、農民みずからの自覚によつて農業協同組合をつくつていただく、それの円満なる発達を希望しておるようなわけであります。なお優良なる職員をと申されておりますが、多分それは技術面における優良な職員の意味が含まれておると思うのでありますが、これは先ほど申しげましたように、ただいま農業改良局というものが農林省の中に設置されまして、この面でひとり技術のみならず、農民の生活内容にまで一應の指導をしていぎたいと思います。農業改良局というものは相当大きな力になつていくものであるということを御承知願いたいと思います。
  42. 中村寅太

    中村(寅)委員 今のははつきり聴かなかつたのですが、どういうものが考えられておるのでありますか。
  43. 大島義晴

    大島政府委員 農業改良局と申しまする局が農林省内に新設せられまして、農業技術のみならず、それが農民生活内容にまで指導をしようというのでありまして、先ほど一番最初に御指摘なつたあの問題がここにあるわけであります。今後の技術陣並びに協同組合の指導等に万遺憾なきをこれで期してまいりたいと思います。
  44. 中村寅太

    中村(寅)委員 その点と私が言つておるのは少し違うと思います。農業協同組合を運営していこうといたしますには、どうしても経理の面に明るいものが必要である。あるいは技術の面からも相局堪能なものが必要である。これはもちろんだと思うのであります。そういう点を考えたときに経理の面、技術の面で職員の知識、技術、実力をだんだん引上げていくというようなこと、これは私は非常に大切なことだと思います。今いろいろ次官が言われたような形で、農民の実生活の面まで指導していくということ、もちろん私はきらうことではないのであります。もちろん役人が農民を指導し啓発していくよりも、農民の中から出ておる者が、その人たちの知識、技術、その人たちの努力によつて、だんだん農民が啓発されていく、知性が高まつていくということの方が、私はいい行き方だと思うであります。さいわい今度の農業協同組合の職員の中には、ほんとうに農業の体験をもつた農業の中に足を踏み込んでおる者が大部分いると考えておるのであります。これは実際の問題といたしまして、今まで営々として働いておつた百姓が、農業協同組合の中にはいつて協同組合の経理をやろうとしましても、いろいろむずかしさがあるのであります。そういう点を考えますときに、どうしても私は職員の一つの養成機関というものが当然考えられなければならぬと思う。そのことは、私は決して農業協同組合の健全な発達に害にはならぬと思うのであります。その点をひとつ特に考えてもらいたいと思うのでありますが、この点どうでありましようか。
  45. 大島義晴

    大島政府委員 農業技術者の養成であるとか、あるいはその他農業協同組合に必婆な職員の養成機関は、各地方農林省関係の機関を動員いたしまして相当やる計画をもつておるのでございまして、これは予算の中にも織込まれておるのでのります。
  46. 中村寅太

    中村(寅)委員 私はその予算がどのくらいあるかお聴きかせ願いたいのであります。私はそういうことでなしに、たとえて言えば、一つの機関をつくつてもらいたい。学校のような形でつくつてもらう。あるいは長期の講習会制度でいく。地方でやるということはもちろんこれも必要でありますけれども、やはり中央に一つの長期な講習会制度を設けていくかあるいは一年とか、二年とかの学校のような形でやるとか、私はそういうことがぜひ必要だと思う。こういうことが必要であるということはもちろんわかりますけれども、こういうことは農民みずからの力ではやれないのであります。学校をつくるとか、長期の講習会制度を布こうとしましても、それは地方の百姓が一町村や五箇町村集まつたつてできない。これはやはり一つの國の制度として考えていくべきである。かように考えておるのでありますが、ひとつぜひ考えてもらいたいと思います。
  47. 伊東正義

    ○伊東(正)政府委員 今の御質問でございますが予算にはどのくらい組んであるかということでありますが、われわれの方といたしましては、農業技術者の養成という項目で大体千二百六十六万円くらいのものを考えております。これは高等農事講習所でありますとか、あるいは中堅の技術者の養成でありますとか、そういう施設をつくりまして、ここで技術者の養成をしていくというふうに考えております。一本でまとまつておりますものは千二百六十六万円でありますが先ほど次官からも御説明いたしましたように、あるいは蚕糸技術の指導者でありますとか、いろいろな各方面にわたりまして、技術者の養成の予算は組んでおります。
  48. 中村寅太

    中村(寅)委員 今言われます技術者というものの内容は、どういうことですか。
  49. 伊東正義

    ○伊東(正)政府委員 技術者の内容を申し上げますと、これは予算面から申し上げますと、蚕糸とかあるいは畜産とかあるいは純然たる農業方面の技術者、そういうような中学校、中等学校程度を出た人でありますとか、いろいろな農村の末端で技術の指導をする人を考えて、いろいろな講習所であるとか、学校のようなものをつくつてつていくという考えであります。
  50. 中村寅太

    中村(寅)委員 それはいわゆる農業技術者の養成で、私が言つておるのとは少し違うのです。私はやはり農業協同組合の運営をやつていくという観点に立つての、言葉は適当でないかと思いますが、農業協同組合の経理に堪能な人をつくるとか、あるいは経営そのものに堪能な者をつくるという意味であります。それから特に先ほど次官の言われましたように、私は今後の農業というものを考えていく場合には、農業の技術だけをうまくやつたということだけでは目的は達せられない。いわゆる農業過程の経理をうまくやるということが結局大切なことではないか。これは非常に極端な例でありますが、なんぼたくさん収入をあげて、そうして農家の収入というむのはたくさんに殖えましたところで、家計の経理がまずくて、全部使つてしまつて、何のために働いたかわからぬようなことということだつてあり得るのであります。個人の場合だつてそうでありますが、協同組合の場合だつてそうだと思うのであります。その担当しておる経理者のうまいか、まずいかによつて非常に大きな結果が生れてくる。そうするとそれがことごとく農民の面にいくのでありますかあら、中心責任をとつておる人たちの経理というものが非常に大切なものである。そういうような経理の面から協同組合の職員の養成に使う費用が欲しいと思うのでありますが、その点にまわるような費用は農林省の中にはありませんか。
  51. 伊東正義

    ○伊東(正)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたが、その経理面の方に言及しなかつたのでありますが、大体今年の農業協同組合の指導監督に五千四百万円ばかりはいつております。この中の九百二十万円ばかりのものが普及宣専費と申しまして、これで講習会とかそういうものをやりまして、御質問の協同組合の経理をやつておる人の養成もしていきたい。大体九百二十万円ほどの予算は組んであります。
  52. 大島義晴

    大島政府委員 先ほど申し上げた通りきようの決算委員会にかかることになつておりますが、農業改良局というものの仕事は、ひとり農業技術のみならず、農民の経済生活まで指導をするという段階でこの計画が進められておりますので、ただいま御指摘のような意見はここで一應の解決ができるのではないかと考えております。
  53. 中村寅太

    中村(寅)委員 今申されました九百二十万円の予算と五千四百万円の予算そういうのは、農業協同組合法施行に要する経費の外でございますか。
  54. 伊東正義

    ○伊東(正)政府委員 その中でございます。
  55. 中村寅太

    中村(寅)委員 それはおかしいじやないですか。五千四百万円という金はないじやないですか。農業協同組合法施行に要する農林組合というのは総額いくらでございますか。
  56. 伊東正義

    ○伊東(正)政府委員 お手もとに差上げてありますものに、いわゆる農業協同組合法り施行に関する経費としては、五千三百六十四万九千円ぐらいになつております。これを昨年に比較いたしますと、昨年は二千九百十五万三千円という数字になつております。それから養蚕の農業協同組合でありますが、これは昨年は予算として計上しておりませんが、本年は五十九万六千円という金額を計上しております。それから畜産農業協同組合、これは昨年は二万二千九百三十円という予算でありますが、本年は七十八万四千円という予算を計上しております。そこで普及宣専費でありますが、これは五千三百六十四万九千円の中に含んで考えております。五千三百大十四万九千円の中で、一番大きいものは地方公共團体の職員設置の補助になつております。これが大体三千二百万円ばかりはいつております。それが一番大きいのでありますが、そのほかに今申し上げましたいわゆる講習会とかそういうものをやつていこうという経費がその五千三百六十四万九千円の中に約九百二十万円はいつております。
  57. 中村寅太

    中村(寅)委員 その講習会は農林当局が主催でやられるのですか、地方の公共團体等の主催によつてやらせるのでありますか。
  58. 伊東正義

    ○伊東(正)政府委員 これは農林省が直接やりますものと、地方の公共團体に委託しましてやるものと二つ考えております。
  59. 長野重右ヱ門

    ○長野(重)委員 片柳長官が御出席になつておりますので、この機会に一應承つておきたいと思います。それは次年度以降におきまするわが國主要食糧の需給見透しについてであります。申すまでもなく日本経済の再建が食糧確保にありますことは、今さら言を盡すの必要はないのであります。過般本年度の計画につきましては、詳細なる御発表がありまして、本年度十一月以降におきましては、いわゆる二合七勺の配給を確保するように種々御配慮を煩わしているようでありますが、わが國におきましても、この食糧の自給自足をはかるという方針のもと耕地の改良あるいは増反諸般の措置を講ぜられているのでありますが、今後大体の見通しというものを卒直にお考えつてどういうような形になつでまいるかということを、一應伺つておきたいと思うのであります。もとより今日の人口から考えまして、いろいろ考えました結果、自給自足のみでやり得ないことは言うまでもないのでありますが、大体輸入食糧というものは、次年度以降はどういう方法で、あるいはどの程度の数字が必要であるかということを、一應承つておきたいと思います。
  60. 片柳眞吉

    片柳政府委員 十一月以降の來年度の需給計画につきましては、実仁関係方面と目下鋭意折衝しておりまして、未だここで数学的に具体的なお答えができませんことを遺憾に存じますが、われわれといたしましても、現益の二合五勺の配給量なり、あるいは労務加配米にいたしましても、できるだけこれを増量していきたい念願をもつておりますことは当然でありまして、できるだけ新年度からは何とかこれを果してまいりたいという線に沿いまして、目下連絡をとつております。ただ問題は、御承知りような輸入食糧の供給が、わが國の自主的な権能からこれを取得するわけにまいらぬのでありまして、今後の状況がどうなるかは予測を許しませんが、まずさしあたりは、從來の通り穀類の割当は、世界の食糧会議において割当を受けまして、その資金は占領地の救済資金の、いわゆるガリオア・フアンドで買付けて日本に供給するという一定の制約がありますので、日本が自主的に食糧の輸入を決定するというわけにはまいらぬのであります。従いましてわれわれの考え方は、できるだけ國内の増産なり、あるいはできました食糧を正規のルートに乗せることにつきまして、さらに一段の努力をいたしまして完璧を期する、こういうことに努力していくほかはないと思います。この結果どういうような世界の食糧割当決定されるかわからないのでありますが、あるいはガリオア・フアンドがどの程度に決定されますかは、こちらからは自主的に決定し得ないことは御承知の通りであります。要するにできるだけ國内態勢を整備していきますれば、私はおのずから光明はわいてくるのではないかということで、目下折衝しているわけでありまして、具体的な数字決定しました場合におきましては、國会等において何分の御審議をお願いいたすことになろうと思います。
  61. 長野重右ヱ門

    ○長野(重)委員 いろいろと御答弁を承つたわけでありますが、私が承りたいと思いますことは、関係方面との折衝の内容でもありませんし、また日本が自主的に決定することの不可能でありますこともよく了承いたしているのであります。ただ長官が、深い経験のもと日本食糧をお取扱いになりました、今後の見透しといたしまして、ただに明年度のみならず、その後におきましても、大体日本食糧というものはこの程度のものは輸入しなければ、たとえば二〇%なら二〇%というものはぜひ輸入しなければ、日本食糧というも、のは確保できないのであるというような事柄についてのお考えを承りたいと思うのであります。
  62. 片柳眞吉

    片柳政府委員 私の考えでありますが、米麦等につきましても、もちろん今後増産の余地はあろうと思いますが、私の所見では、米麦等につきまして、從來の生産高を飛躍的に増強することは困難ではないかと思つております。むしろ増産の可能性は、甘藷、馬鈴薯等については、ある程度可能性があると思いますが、しかし反面に人口もある程度増加、してまいる関係にありますし、やはり私の見透しでは、毎年二百万トンないし二百四、五十万トンというものは、どうしても絶対量の不足として出るのではないかと思います。さような考え方を私はもつております。御承知のような日本の自給し得ました当時の状況は、当時いわゆる内地に属しておりました朝鮮、台湾から一千万石から一千五百万石程度のものがはいつておりました。これで何とか自給ができておりましたものが、その軌鮮、台湾からの供給が期待できませんし、また期待ができましても、これはや依り外國からの輸入という関係になりますので、どうしても今申し上げました程度のものは、今後当分の間不足としてみなければならないと思います。
  63. 長野重右ヱ門

    ○長野(重)委員 なお最後に一点だけ伺いたいと思います。それは現在の輸入食糧の問題であります。申し上げるまでもなく、これはほとんどアメリカの陸軍省の予算によりますいわゆるお情けの輸入であります。これに対しましては、代金をお拂いに相なつておらぬと考えておりますが、今まで一度もこの代金はお拂いになつておりませんか。あるいはまた一部の代金をお拂いになつておるとすれば、為替レートの関係はどういうふうになつておりますか、これを伺います。
  64. 片柳眞吉

    片柳政府委員 今日の主要食糧として輸入をいたしましたものは、すべて御承知のガリオア・フアンドから供給を受けておりまして、直接の決済ではありません。ただこの日本に対する食糧等を占領地救済資金で買つて供給しましたものを、これをどう決済するかは今後の問題でありまして、おそらく講和会議等の際に、その問題ははつきりすると思いますが、さしあたりはこちらからは何らの資金の決済もしておりませんし、物資の裏づけもしておりません。結局私の方では貿易廳から大体國内の生産者価格によりまして、これを買入れまして配給いたす、かような次第であります。
  65. 今井耕

    ○今井委員 質疑はこの程度で打切りまして、討論と採決は予算総会において議決せられんごとを望みます。
  66. 中原健次

    中原主査 ただいまの今井君の御提議は、本分科会の質疑はこれで打切りとして、討論と採決は委員会において議決することを留保したいという動議であります。そのように決するに御異議ありませんか。   (異議なし」と呼ぶ者あり)
  67. 中原健次

    中原主査 御異議なしと認めまして、そのように決定いたします。従いまして討論と採決は予算委員会におきまして、これを議決するに決しました。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時五十八分散会