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1948-06-29 第2回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科員昭和二十三年六月二十一日(月曜日) 委員長指名で次の通り選任された。    主査 中原 健次君    副主査 長野右ヱ門君       角田 幸吉君    上林榮吉君       原 健三郎君    本間 俊一君       岡田 春夫君    黒田 寿男君       川崎 秀二君    圖司 安正君       今井  耕君    叶   凸君       中村 寅太君     ————————————— 会 議 昭和二十三年六月二十九日(火曜日)     午前十一時二十五分開議  出席分科員    主査 中原 健次君    副主査 長野右ヱ門君       角田 幸吉君    上林榮吉君       原 健三郎君    黒田 寿男君       成島 憲子君    圖司 安正君       今井  耕君    中村 寅太君    兼務 海野 三朗君  出席國務大臣         農 林 大 臣 永江 一夫君  出席政府委員         農林政務次官  大島 義晴君         農林事務官   平川  守君         農林事務官   山添 利作君         農林事務官   藤田  巖君         農林事務官   平田左武郎君         農林事務官   三堀 參郎君         農林事務官   遠藤 三郎君         農林事務官   伊藤  佐君         農林事務官   近藤 康男君         食糧管理局長官 片柳 眞吉君         林野局長官   三浦 辰男君         商工政務次官  正木  清君         商工事務官   松田 太郎君         商工事務官   武内 征平君         商工事務官   小笠 公韶君         商工事務官   鈴木 重郎君         商工事務官   始関 伊平君         商工事務官   和田 太助君         商工事務官   玉置 敬三君         商工事務官   細井富太郎君         商工事務官   渡邊 一俊君         商 工 技 官 白崎 文雄君        商 工 技 官 三ツ井新次郎君         特許標準局長官 久保敬二郎君         貿易廳長官   永井幸太郎君         貿易廳次長   新井  茂君         石炭廳長官   佐野秀之助君         石炭廳次長   吉田悌二郎君         商工事務官   右坂善五郎君         商工事務官   平井富三郎君         商 工 技 官 渡邊  誠君  分科員外出席者         商工事務官   増岡 尚士君         商工事務官   永山 時雄君         商工事務官   大野 數雄君 六月二十五日  分科員川崎秀二委員辞任につき、その補欠と  して成島憲子君が委員長指名分科員に選任  された。 同月二十九日  第二分科所属員海野三朗君が本分科兼務なつ  た。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十三年度一般会計予算農林省及び商工  省所管  昭和二十三年度特別会計予算農林省及び商工  省所管     —————————————
  2. 中原健次

    中原主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  本分科会農林省及び商工省所管審議を進めることになつておりますが、審議の都合上本日午前は商工省所管とし、午後は農林省所管審査をいたすことにいたしたいと思います。  これより昭和二十三年度一般会計予算及び特別会計予算中、農林省及び商工省所管議題とし、審査にはいります。まず政府より提案理由説明を求めます。正木商工政務次官
  3. 正木清

    正木政府委員 ただいま議題となつておりまする商工省所管予算各案について御説明を申し上げます。  まず昭和二十三年度商工省所管一般会計予定経費要求額は六十億七百十万五千円でありまして、これを前年度予算額二十一億四千十七万六千十一円と比較いたしますと、三十八億六千六百九十二万八千九百八十九円を増加いたしておるのであります。  本年度予定経費要求事項中重要なものについて説明いたしますと、第一は石炭増産対策に必要な経費であります。現在の石炭事情に顧みまして、石炭生産を強力に増大するため、石炭鉱業臨時管理石炭に関する調査統計事務石炭及び亞炭等生産並びに開発、石炭及び亞炭鉱業生産資材に関する事務熱管理の実施、石炭及び亞炭等配給並びに輸送計画亞炭及び亞炭加工等に必要な経費二億二千二百十一万一千円のうち、百二万三千円を石炭廳長官官房に、五百十万七千円を石炭廳管理局に、五千二百三万五千円を石炭廳生産局に、七千六百六十三万五千円を石炭廳開発局に、二百九十四万円を石炭廳資材局に、五百五万一千円を石炭廳配炭局に、百五十五万五千円を商工局に、六千百八十七万九千円を石炭局に、七十七万五千円を燃料研究所に、八百七十二万二千円を炭鉱技術研究所に、六百三十八万九千円を亞炭開発指導所に計上いたしました。  次は重要産業の確立に必要な経費であります。重要産業現状に顧みまして、鉄鉱の増産対策、國産原油の増産対策化学肥料増産対策戰後國民生活安定確保及び輸出貿易振興に資しまするために、繊維産業の再建、機械工業並びに化学工業整備等の施設を講じまするために必要な経費一億三千八百五十八万七千円のうち、百二万円を商工省機械局に、六百三万三千円を商工省化学局に、二百二十一万七千円を商工省繊維局に、一億二千六百三十五万九千円を商工省鉱山局に、二百九十五万八千円を商工局に計上いたしました。  次は中小企業廳設置に必要な経費であります。中小企業における生産の増強、輸出振興対策を積極的に推進助長する等の措置を講じまするために、新に中小企業廳を設置いたしまするに伴いまして必要な経費一千三百十万六千円のうち、九十五万七千円を中小企業廳長官房に、五百八十四万円を中小企業廳振興局に、六百二十三万九千円を中小企業廳指導局に計上いたしました。  次は工業技術廳設置に必要な経費であります。試験研究機関を統合調整して、その技術最高度に活用しまして、鉱工業の振興をはかりますため、新たに工業技術廳を設置いたしまするに伴いまして必要な経費二千二百九十万円のうち、一千百一万五千円を工業技術廳調整部に、一千百八十八万五千円を工業技術廳標準部に計上いたしました。  次は重要輸出品等國営檢査に必要な経費であります。重要輸出品等品質現状に鑑みまして、最も重要であります機械器具電氣通信機械日用品の重要な品目、全繊維製品及び試薬に対して國営檢査を実施しまして、品位並びに技術の向上をはかりまするために必要な経費一億三百五十五万円のうち、一千三百一万四千円を機械器具檢査所に、七百八十八万七千円を電氣通信機械檢査所に、七百九十六万三千周を試薬檢査所に、一千二百六十三万円を日用品檢査所に、五千八百九十三万三千円を繊維製品檢査所に、百三十六万八千円を輸出絹織物檢査所に、百七十五万五千円を輸出毛織物検査所に計上いたしました。  次は指定生産資材割当事務等に必要な経費であります。指定生産資材指定配給物資割当並びに統制事務及び産業復興公團石油配給公團並び配炭公團に対する交付金を交付するに必要な経費三十五億二千九百二十一万五千円のうち、一億七千四百二十二万二千円を商工省総務局に、一千七十四万円を商工省機械局に、九百八十七万三千円を商工省電氣通信機械局に、一千二百九十四万一千円を商工省化学局に、九千九百四万八千円を商工省繊維局に、五億四千二十二万四千円を商工省鉱山局に、三百七十二万七千円を商工省電力局に、一千二百九十八万五千円を商工省生活物資局に、七百八万二千円を貿易廳輸出局に、一千二百二十一万二千円を石炭廳資材局に、二十三億七千八百十七万五千円を石炭廳配炭局に、二億五千三百五十二万一千円を商工局に、一千四百四十六万五千円を石炭局に計上致しました。  次に昭和二十三年度商工省所管アルコール專費事業特別会計歳入歳出予算の大要を御説明申し上げます。昭和二十三年度の歳入予定額は三十八億四千三百二十一万四千円、歳出予定額は三十六億二千三百六十一万九千円でありまして、資産賣掛代金等関係を加減いたしますと、昭和二十三年度の益金予定額は十二億一千七百八十九万七千円となります。これを前年度の益金予定額三億七千三百八十五万三百八十六円と比較いたしますと、八億四千四百四万六千六百十四円の増加となりますが、これは主として賣渡償格増加によるものでございます。  次に昭和二十三年度貿易資金特別会計歳入歳出予算について御説明申し上げます。昭和二十三年度貿易資金特別会計歳入予定額は十五億九千百一万七千円、歳出予定額は十五億九千百一万七千円であります。  次に昭和二十三年度不正保有物資等特別措置特別会計歳入歳出予算について御説明申し上げます。昭和二十三年度不正保有物資等特別措置特別会計歳入予定額は七十億三千九百四万一千円、歳出予定額は三十億六千四百八十四万四千円でありましで、歳入歳出を加減いたしますと、昭和二十三年度の登緑國債発行額は三十九億七千四百十九万七千円となります。  以上で商工省所管一般及び特別会計予算説明を終りまするが、なを御質問に應じまして詳細御説明を申し上げたいと存じます。何とぞ御審議の上御協賛をお願い致します。
  4. 中原健次

    中原主査 御承知のように会期もはなはだ切迫いたしておりますので、本分科会に與えられました時間は本日の午前と午後だけということになつております。はなはだ恐縮でありますけれども質疑はできるだけ簡潔にお願いいたしたいと思います。
  5. 上林山榮吉

    上林委員 質疑に入る前に、質疑を簡潔にするという趣旨に対しては賛成でありますけれども会期が切迫しておるから、本委員会に與えられた時間は、午前中が商工省所管、午後が農林であるというふうにはつきりとしたことを言われることはどうかと思います。この点は御訂正願いたいと思います。
  6. 中原健次

    中原主査 その点は、大体昨日の各理事並びに主査の打合会でそういうふうに運んでほしいということになつておりましたので、そのことをただいま申し上げたわけであります。従いまして、必ずしも窮屈に時間のわくをはめようという意味ではありませんが、なるたけ昨日の打合せの趣旨をくみとつていただきたいという意味から、ただいまそういうことを申し上げたようなわけであります。從いまして、ただいま上林委員の御意見もございますように、もとより私どもはできるだけ微に入りまして審議をすることに何ら異存をもつものではなくして、むしろ積極的にそうあるべきを願つておるものでありますが、それらの各般の事情を御賢察いただきまして、できるだけ順調に取進めていきたいと考えます。どうぞよろしくお願いいたします。  それではこれより質疑に入ります。質疑通告順によりましてその発言を許します。中村寅太君。
  7. 中村寅太

    中村(寅)委員 時間の関係上ごく要点だけを商工当局にお尋ねしたいと思います。現在内需用綿製品滞貨数、これをお示しを願いたいと思います。
  8. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 内需用綿製品もいろいろあるわけでありますが、とりあえずその原料になります綿布につきまして申し上げますと、正確な数字ちよつと記憶しておりませんが、たしか五月末現在において百七十万反くらいの在庫をいたしております。なお綿布につきましては、これも五月末でございますが、約五万二千こりほど在庫をいたしております。しかしこの数字は決して過大な数字ではございませんので、当然ランニング・ストツクといたしまして、常にある程度数量が必要でございまするが、綿布につきましては、やや多い状況でございますので、それの國内向出荷督励に当つておる状況であります。
  9. 中村寅太

    中村(寅)委員 現在綿製品等工場に対する供出割当がなされておるのでありますが、供出割当数量に対する出荷状況をひとつ御説明願いたいと思います。
  10. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 特に供出数量というものは割当ててはおらないのでありますが、実質的にほそれと同様に、いわゆる生産割当、それに必要な原糸割当をいたしておりますが、從來特に輸出製品生産確保に極力重点をおきました関係から、昨年度以來割当ててまいりました内需用綿糸製織が遅れておることは事実でございます。昨年の第一・四半期以降本年の第一・四年期まで、すなわち昨年の大体一年間におきまする割当に対しまして、今日までに現実製織されましたものの出荷はきわめて成績不良でございます。大体において三分の一強にしかすぎません。從いまして、この遅れておりまする製織の取返しのために、最近内需用織物増産運動を展開するようにいたしまして、七月から九月までにわたりまして、特に燃料動力等配給確保もいたしまして、極力昨年の製織の遅滞しておるものを挽回いたしたい。出荷成績は大体三割五、六分の程度になつております。
  11. 中村寅太

    中村(寅)委員 私はこれははりきりした調査ではないと思いますが、聞くところによりますと、福井縣あたり業者に二十年度か二十一年度ぐらいのがまだ供出済になつておらぬと聞きますが、そういうことがありますか。
  12. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 人絹織物につきましては、二十一年度の第三四半期までしか内需要としては割当が全然ないのであります。それ以降は司令部の指示によつて人絹織物人絹糸といたしまして、全部輸出用に利用することに相成りまして、糸もしくは織物として輸出をいたしました関係上、内需用には全然割当がないのであります。二十一年度以前は、二十一年度に今申し上げました第三・四半期までに割当てましたものの出荷状況は、大体福井縣について申しますと、八九%ぐらいになつております。なおその出荷がまだ完了いたしておらないもののあることは事実でございます。この点につきましては、先般いわゆる輸出用として生産いたしました人絹糸の不合格品を今回第一四回半期に初めて國内放出を許されまして、その割当をいたすことになりました。從來供出未済のものにつきましては、これを再調いたしまして、その出荷成績によつて割当てることといたしましたが、現在のところではまだ一割強のものが出荷未済になつております。
  13. 中村寅太

    中村(寅)委員 繊維製品出荷予定割当に対する供出率が非常に惡いことは、いろいろ理由はあるだろうと思いますが、私は業者人たち値上げ待ちをやつておるのではないかと思う。昨年の八月ごろに新物價改訂によつて價格が改められたときに、値上率の三分の一は業者の利得とさせるということが行われたと思いますが、最近にまた物價の値上りが当然考えられますために、出荷はいきおい遅れてくることがあわはせぬかと思いますが、その点の見透しはどうですか。
  14. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 むろん物價改訂の時期におきまして、ただいま御指摘のような現象が現われることは事実だと存じます。ただ私ども出荷指令といたしましては、從來生産残高につきまして、それぞれ需要者に対する割当もいたしております。特に御承知のように福井縣石川縣のごとき大産地につきましては、在庫品強制供出に類したような、例の十五條命令を出しまして、極力その供出督励してまいつておりますので、最近の物價改訂のために特に出荷が遅延しておるということは、現在ではないと考えるのであります。この十五條譲渡命令は、すでに昨年の九月ごろから整理して着々準備を進め、殊に石川縣のごときは昨年の八月に実行に移つております。福井縣の分については、すでに昨年中大体供出を終つております。今日残つておりますものは、やはり輸出入絹織物、あるいは羽二重製織等のために、その製織がやや遅れたものが残つておるのでありまして、最近の物價改訂のために一年程度が遅れておるということは考えられないと存じます。
  15. 中村寅太

    中村(寅)委員 さつきの話の、綿布出荷実績が三分の一強だということであつたと思いますが、これは一般配給に向けられるものの割当でありますか、どういうふうになつておるのでありますか。
  16. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員  一應一般内需関係供給源計画されておるものの出荷状況であります。
  17. 中村寅太

    中村(寅)委員 そうすると三分の一だけが出荷されて、あとの三分の二が出荷未定であるということになると思いますが、非常に一般消費の面では不自由を來しておる実情から考え、軽々に見過ごされない実情であると思いますが、それに対して当局の打つております手は、どういうことをやつておりますか、お聽かせ願いたい。
  18. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 遅れましたゆえんは、昨年のちようど暮ごろまでの現象は、一應この生産計画原料輸入確保されるという前提のもとに生産計画を立て、その割当を実行してまいつたのでありますが、御承知のように原綿輸入が昨年六月完全に止つたのであります。從つて紡績工場における原料がなくなりました関係から、当初の操業を継続することができなくなりまして、はなはだしいときは操業率が四割くらいに低下いたしてまいつたのであります。ちようどその後原綿輸入についていろいろ折衝をいたしまして、ようやく昨年の十月末ごろからはいるということになりまして、十一月になりまして原綿がはいり、從つて操業を取返してきたのであります。そういう関係と、先ほど申した通り、一面わずかな操業の間でも、極力輸出契約のできたものはあくまで確保するということから、國内用に対する原綿及びその綿糸生産は低下をいたしたのであります。それを昨年暮ごろから取返してまいりまして、今日に至つておるのであります。從つてこの計画として原糸が織布工場にはいつております数量が大体七割くらいの程度でありまして、最近においてようやく原糸がそこまではいつてきておるのであります。なお原糸の未入荷のものもあるわけでありまして、昨年度の計画紡績並びにその織布工場加工をはかりまして、今年はこれの生産確保するということで、七月から九月までの間に内需用綿織物増産期間を設定して、特に関係地方生産促進協議会を置き、それに対する具体的隘路打開生産監督指導、たとえば原糸入荷状況製織状況、それに対する電力資材等入手状況製品出荷状況等につき督励いたすことといたしたのであります。さらに中央には生産促進中央委員会を催しまして、関係各省関係業界の方々の御参加を願いまして、これらの隘路打開に努めることといたしております。從つてもちろん今日申しました、約五万二、三千の滞貨綿糸製品を、速やかに一定の期日を限りまして、紡績工場は確実にこれを製織工場に送る、製織工場はそれに対して極力所定の計画のもとに織り上げる計画を立てまして、現在諸般の準備を進めております。なおこれに関連いたしまして、輸送その他等の隘路が相当実はありまして、昨年の原糸入荷惡かつだこと、小口輸送に対する手配が不十分であつたこと、それから先ほど申した通り製織工場に対して輸出重点のために、電力割当あるいは石炭割当等が不十分であつたといつたような事柄が、その原因でございました。これらの隘路打開を解決することといたしまして、その生産促進協議会を中心に各地方現場監督生産督励に当る。こういう方式でここ三箇月間ばかりの増産期間を設定し、強力に供出運動を展開するようにいたしております。
  19. 中村寅太

    中村(寅)委員 滞貨が百七十万あつて供出が三分の一という成績であれば、この百七十万のものが供出されれば、ある程度需要が満たされるのではないかと思います。そうするといろいろ手を打つてあるということでありますが、私は現在滞貨がある以上、それを強力に出させるような手をなぜ商工当局は打たないか、農村において、米とか、麦とか、あるいはいろいろのものの供出に対しては、法的に設められておる保有米ですら、強制的に出さしておるような実情であります。そういう面を考えますと、小工業者にだけ非常に寛大な処置といいますか、寛大というよりも役人の怠慢ではないかと思いますが、その点いかにお考えになるか、御意向をお聽きしたい。
  20. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 このでき上りました製品出荷につきましては、当然需要者に対する割当を実行して、それに対して特にリンクして出荷すべきようなもの、たとえば供米報償用あるいは工場鉱山作業衣製造の原反といつたものについては、当然臨時物資需給調整法に基く指定繊維資材配給規則のいわゆる譲渡命令あるいは出荷指令というものを出して、極力出荷に努め七おります。この出荷成績は先ほど申しましたように、昨年の暮までは成績惡かつたのでありますが、一、二月以來相当出荷成績も実際の生産数量よりも多くの出荷をいたすようになつてまいつております。從つてこれらの現在ある物も極力原反もしくは衣料品原料として、速やかに出荷するように指令を出しておるような物もございまして、着々計画を立てて促進いたすように全力をあげております。
  21. 中村寅太

    中村(寅)委員 それから肥料のことをお尋ねしたいのであります。最近肥料やみ流れが相当に大量に見受けられるのであります。このやみ流れというのは、どういう筋で出ておるのか、当局では出ておらぬと考えておるのか、それとも出ておることを認めておるか、この点お尋ねしたいのであります。
  22. 大野數雄

    大野説明員 肥料やみ流れは、化学肥料については、私が今まで調べた範囲では、製造工場から直接消費者に出るルート一つ、それから配給業者の手に渡つてから後に何らかの関係で出るものが一つ、それから製造業者から配給業者の手に現実に渡る輸送途中において盗難等にかかつて出るもの、この三つが大部分でありまして、そのほかに特に肥料やみ流し、あるいは不正な肥料といわれておるものがありますが、これは化学肥料以外のいわしかすとか、にしんかすとか、その他菜種かす等有機質肥料——これは統制外のものでありまして、そういうものがあります。この問題は別といたしまして、その最初申し上げた三つルートの中で、私どもが調べた範囲内では製造業者から直接消費者に流れるものが二、三あります。ただちにさような工場に対しましては、資材等割当その他によつて取締をいたしますが、配給業者の方に渡つてから後のもの、または製造工場肥料配給公團に賣渡してから以後、盗難等によつて出たものがやみに流れたものについてはいかんともいたし方がありません。それでメーカーから直接出したものは二、三と申し上げましたが、ごく最近でも新潟の方で過燐酸石灰を一部静岡方面に流したという事件が新聞にもありましたが、これはまだ私ども数量等詳しい数字をもつておりません。三十トンが四十トンくらいまでのように聞いております。そのほかに石灰窒素硫安などがごく一部出たことを聞きましたが、これらは数量の問題としてはごく微々たるもののようでございます。ただ品質のよくないものが出たことがあります。過燐酸石灰というのは、品質はほとんど從來から一定にきまつておりまして、質のよくないものは百万トン出ましたうちで数トンも今のところありません。硫安において約六十万トンの中で、今までわかりましたものは東北方面で四、五十トンのもので、これも全体の数字としてはごくわずかであります。石灰窒素におきまして全体で二十万トンのもので、これは昨年度ある工場で約六千トン以上のものがありまして、その後一部の工場でも出ましたので、目下農林省の方で肥料取締法の見地に基いて取調べております。もちろん商工省といたしましても、さような粗惡なむのを出すものにつきましては、量の大きいまた効果の微弱なよくないものにつきましては、当該会社の責任ある代表者にやめてもらう、あるいは工場責任者をかえてもらうという、人事を入迭へるという行政的な描置をとつております。
  23. 中村寅太

    中村(寅)委員 ただいまの説明を聽きますと、量的に考えて非常に微々たるものというふうに聽いたのでありますが、ほんとうに微々たる数量しか流れておらぬと当局では考えておられるのか、その点を伺います。
  24. 大野數雄

    大野説明員 製造工場から出てきたものは配給所の問題でありまして、農林省の方から報告を随時受けております。その数字を最近伺つたもので、その以外に工場から直接にやみに出たものが中にはあるかと存じますが、私ども今まで調べた範囲内では、その数量は全体から申しましたら、ごく一部ではないかと考えておりますが、具体的に数字をつかんでおりませんので、まだ想像に過ぎません。
  25. 中村寅太

    中村(寅)委員 肥料やみ流れ数量というものは、実際の実情を申しますと、相当数量が出ているということが言えると思うのであります。それを当局において微々たるものであるということをほんとうに考えているとするならば、私は役人の資格はないと思うのであります。指導監督の責任をもつている以上、少くとも現在の肥料の中にはどれくらいの数量やみ流れが出ておるというくらいのことはつかんでいなければならない。そのつかんだ数量を根拠にこれを改めるような途を考えていかないならば、ただ微々たる数量が出ているというようなことでこれをとり防いでいく方法が考えられるかどうか、この点を聽きたいのであります。
  26. 大野數雄

    大野説明員 最初申し上げましたように、メーカーから直接消費者その他に出るものが、私どもの方の製造業者に対する監督の範囲ではあるわけです。それからその他の盗品あるいは配給業者に行つてからのものにつきましては、私ども今のところタツチしていないのであります。その配給業者につきましては、今まで私どもが渡しました電力石炭、その他の資材で一トン当りいくらできるかという計算は、われわれもそれぞれの工場につきまして統計をもつておりまして、またそれによつて原材料を割当てております。その渡しました原料、消費電力、それに対應する生産数量を出しまして、その統計をとつてまいりますと、もしやみに出るとすれば、私どもの方の生産統計との差額がそこから出るのではないかと思うのであります。それらを考えてみますと、数割ということはとうてい考えられない。私どもは実はメーカーその他に、別の見地から一体どのくらい流れているものかということを、いろいろ統計学上の意味から檢討しているのでありますが、これは私の感じですからはつきりとは申し上げられませんが、数万トンというものは出るべき道理がないと思います。それは御承知のように、輸送については輸送証明制度がありまして、これは農林省が管轄してやつております。また多量のものがそういう輸送証明なくして出る途はトラツクをもつて運ぶ途がある。工場附近において数トンを運ぶというものが中にはあると思います。これらから見まして、五%と申しますと、硫安と過燐酸と合わせて二百万トン出ますとしますと、一割で二十万トン、五%で約十万十ンですか、こういう数字はとうてい考えられない。ありましても、これは私どもいろいろな專門家に聽きましても、おそらく一%というものもないのじやないかということを言つております。それで私ども工場から出るものはありましても、量はわずかではないかということを今でも考えております。実際に農家においてやみで買つたというものを聽いてみますと、その間に取引されたもの、あるいは輸送途中において車票をすりかえられたものといつたようなことも聞きますので、それらがやみに出るのではないかという風説をなしているものもあります。配給の面は今全部農林省の方でやつておりますので、私どもは詳しい数字はもつておりません。
  27. 中村寅太

    中村(寅)委員 工場の職工に対して、実際苦しい生活を助ける意味で現物を渡しているというようなことをわれわれ聞くのでありますが、その点はどういうことになりますか。
  28. 大野數雄

    大野説明員 これは昨年の初め一月ごろからだつたと思いますが、一人当り月にたしか一貫匁だつたと思いますが、農林省の方から正式にその工場の職員に渡すということでやつておりましたそうであります。しかしこれはその物が自家用に使う以外にやみに出るために禁止した。しかしながら工場におきましてはその肥料一般に流すことによりまして、野菜とか生活必需物資を比較的獲得し易かつたというような実情が以前にありましたので、これはそういう各工場の恣意でやれば非常な弊害が出るから正式に縣にその肥料割当てまして、その受けました縣はこれをそれぞれの行政機関を通じて割当てまして、いわゆる肥料の特配をし、特配された肥料によつてできました生産物をその縣で集めましたものを再び肥料工場に特配する、委託肥料制度と申しますか、これは農林省の手を通じて安定本部その他で正式に認められたものをもつていたしております。それ以外には建前上関係ございませんが、しかし十万人の職工の中であるいは千分の一かあるいは一%とか、弁当箱に詰めて帰る者がままあるということを聞きます。どこの工場でも取締を嚴重にやつておりますが、さくを破つたり、あるいは倉庫を破つたりするので、なかなか取締に困つておりますが、今のところはそういう正式のものをもつて推定する以外にありませんが、中に弁当箱に詰めて帰るというような者が十万人の中ですからあつたかと思うのであります。
  29. 中村寅太

    中村(寅)委員 私ども肥料工場を実際に視察してみますと、完全なものでないそういう形で出ている数量が相当あると思うのであります。最近ではありません、昨年の初めごろであつたかと思います。大牟田のある石灰窒素工場にわれわれ出かけていつて見たのでありますが、その完全な形に整えられない前に出ている石灰窒素数量が、私はおびただしいものであると見たのであります。だれかがかついで出しているというようなものではないのであります。簡單なレールを敷いておつて、あれに乗せて運んでいるのであります。そういうものが相当流れている。それからアンモニヤだつてそういう形で実際はりつぱなものが出ておるのではないか。農村におきまして、肥料やみで買いさえすればいつもあるのであります。アンモニヤでも石灰窒素でも、しかも相当数量手に入るという今日の実情から見ると、私どもはそういうことで、実際は完全なものが、完全でないという形で工場では出しているということが考えられるのであります。そういうことには何か手を打つているかどうか。それからもう一つ重ねて聽きたいのは、いろいろ商工省の方で配給したところの原材料、この原材料によつてできる見込数量と現在肥料工場出荷している数量との比較をひとつ聽きたいのであります。
  30. 大野數雄

    大野説明員 第一点の完全なものでないというのは、ちよつと私どもわかりにくいのですが、どういうような実情でございますか。たとえば硫安につきましては、これは御承知通り硫酸の中にアンモニヤガスをつつこめば硫安ができるのでありまして、中途半端な完全でないというものは、硫安では技術的にできない。石灰窒素につきましては、カーバイトに窒素ガスをつつこみましてできたものが固まりをなしておりまして、成分のいいものと惡いものがあるが、よく混合して出している。ただ硫安にはこういう点はあります。たとえば日本窒素のものは二〇・七、東洋高圧のものは二〇・一とか、それによつて値段の開きがあり、それによつてまた品質のいい惡いがあるわけですが、價格が一本になつて実際のところはむしろ惡いものに統一されるわけです。それ以外に不完全なものが出るということは、ちよつと考え得ないのですが、かますになつてそれがやみその他に出ることはあると思います。あるいはばらのままで出るということはあり得ると思いますが、品物そのものが不完全ということはないと思います。  第二点の與えたる原材料と製品との関係でございますが、これは実はここにこまかい数字をもつておりませんが、硫安工場は約十八あります。その六五%が主として石炭、コークスを原料とするもの、あとの三五%は電力であります。日本は世界の硫安工場の博覽会場といわれるくらいで、特許の種類が七つ八つあります。大きな製造過程の相違は二つでありますが、同じ電力にしても月別に受ける電力量によつて、一トン当りの生産に使う量が違います。從つて原材料と製品との表は詳しいものがありますが、非常にこまかい技術的のものでありますから、大観的なものをお求めでございましたら、あとでお届けいたしたいと思います。
  31. 中村寅太

    中村(寅)委員 あとでよろしゆうございますから知らせていただきたいと思います。第一点の硫安とか石灰窒素というようなものが、品物そのものが中途年端なものでできないということは、わかつているのです。中途半端でないりつぱなものを、いわゆる不良品といつた形で出しておる形跡があるのであります。私は肥料工場に近いところにいるのでありますが、その工場に近い郡あたりが、最近肥料を使つている量というものは相当数量であります。あなた方が中央におつて、單に微々たる数字が出ているということを考えておるとするならば、見当違いもはなはだしいと思うのであります。私は福岡でありますが、福岡でも、私の郷里あたりと肥料工場近くのたんぼを見ればすぐわかるのであります。肥料の使用量は生産物の出來高を見ればすぐわかるのであります。しかもその微々たる数字生産できるようなものではないのであります。これは生産地の近くでありますけれども、佐賀、熊本、その他の縣にいつておる数量つて相当のものだと思います。それは暴露するようになつておもしろくないと思いますけれども、食糧を持つていけば、トラツク一台でも二台でも手にはいる途はあるのであります。そういう数量が私は全國的に相当流れていると思う。これは生産地だけではありません。おそらく日本中の農村に行つてやみ肥料を買えばその他のものが都市でやみで買えばあると同じように、やみで買えば肥料つていつでもある。こういう状態を考えて、もつと嚴重なやみ流れ防止の方策を考えてもらいたいということを要望しておきたいと思います。  それから繊維の問題その他の物資の問題にはいるのでありますが、政府で近く農村必需物資中の指定配給物資配給統制要綱を実施すべく計画が進められておるということであります。これについて、一般業者と農業協同組合との間に差別的な取扱いを行うような規定ができつつあるということであむますが、その要綱をお示し願いたいと思うのであります。
  32. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 農村用あるいは供米その他の農産物に対するリンク配給衣料の配給機構の問題でありますが、この点は衣料配給規則の定めておりまする通りで、生産者から、登録された問屋の手を経て、下部末端の小賣店を経て、各消費者配給されるのでありまして、小賣店としてその機能を発揮するものにつきましては、普通の一般業者につきましても、あるいは農業協同組合につきましても、その点は別に差別的な考え方をもつておりません。現在問題になつておりまするのは、農業協同組合が小賣店登録の申請をいたしました場合に、当然一般の小賣店と同様に一定基準に基く得票数を獲得した場合には、登録されるのはむろんでございますが、実際に各農村め事情によりましては、その地方に小賣店等がない場合もございまするし、また配給確保をいたしまするためには、そういつた機関を必要とする場合もがざいまして、その点は各地方長官の認定によりまして、所定の小賣業者の数の約五%の範囲内におきましては、農業協同組合であろうと、あるいは一般小賣店でありましようとも、所定の得票が集まらない場合においても、小賣店としてこれは登録する。こういうふうな制度になつておりまして、その点につきましては十分各府縣当局にも徹底をいたさせております。
  33. 中村寅太

    中村(寅)委員 小賣業者の部面では全然差別が考えられておらぬと解してよろしゆうございますか。
  34. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 その通りでございます。
  35. 中村寅太

    中村(寅)委員 われわれが聞きますと、何か現在ある業者のうちの七割くらいは、前の登録によつて既得権をもつておる業者があるのでありますが、それは認めて、あとの三割を新しく選挙によつて指定店をきめるというようなことが考えられておると聞くのでありますが、そういうことはないのですか。
  36. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 ただいま御質疑通りでございまして、現在登録小賣店として得票によつて選定されました小賣店につきましては、昨年來の実績によりまして、十分配給機関としての機能を発揮し得たと認定されるもの、すなわち約七割程度に相当するのでありますが、その七割のものは現在の小賣登録店をそのまま継続し、從來配給機関として登録はいたしましたが、その実績その他に鑑みまして、十分消費者の期待に副い得なかつたと考えられるもの、すなわち三割程度のものにつきましては、この際あらためて消費者の意向を参酌いたしまして、その得票によつて審査をする、こういうことにいたしたのでございます。なお本年は昨年の小賣店の店舗数に比べまして、價格もある程度騰貴してまいりますので、金融面の緩和を考慮し、また新規希望者の申請もございますので、これの参加も大いに歓迎する意味でこれも加え、さらに先ほど申し上げましたような実際の配給の便宜上必要なものも考慮されまするので、昨年の店舗数に比べて約一割五分の増加と考えまして、全体といたしまして大体業者の数の約四割五分をこの際消費者の得票を求め、その結果によつて審査委員会において決定する、こういうことに相なつております。
  37. 中村寅太

    中村(寅)委員 ただいま説明のうちに七割程度の施得業者成績のよい者は当然既得権を認めて、取扱い業者として指定していく、こういうお話があつたと思いますが、その七割は成績優良なりといつた決定権はどこでやるのでありますか。認定はどの機関でするのか、御説明願いたいと思います。
  38. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 これは各小賣店が一般家庭に衣料切符並びに特殊衣料切符によつて配給した成績の全部が報告されております。從つて小賣店の取扱いました品種の数量また價格という面を檢討いたしまして、その仕入数量配給実績というものを詳細に檢討いたしまして、地方聽に組織してありまする小賣店登録審査委員会がその決定をする。なお特に欠格違法、すなわち法規違反があつたとか、いろいろなそういう諸般の事情審査委員会が決定をいたしまして、三割程度のものは当然更新をするという決定をやることになつております。
  39. 中村寅太

    中村(寅)委員 三割程度のものを新たに登録によつて決定するということであれば、私は七割程度のものだけは既得権を認めて、あとの三割だけを新しく選挙によつてきめるという、そこにどうも納得のいかぬ面があるのであります。消費者の選択によつて、いい店を残していくという建前ならば、七割というものを残さずに、全部一緒に選挙する。そうすると当然いい成績であつたものに消費者の意向が集まるということだけは確実であります。中間のものが適当に認定するというようなことでなしに、消費者の投票数によつて、必ずいい店は残つていく。そういうことが考えられるのでありますが、それをことさらに七割は既得権を認めていく。三割だけを新しい登録によつてきめていこうという、その考え方の基本はどこにあるのでありますか。
  40. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 消費者の意向を十分尊重して、配給機関としての機能の発揮に努めるということは当然でございまして、昨年この登録制度を実施いたしました際に、ある程度消費者の意向が反映されて登録いたしたのでありまして、その点においては消費者の意向がこの小賣店登録の際、十分参酌されたのであります。さらに続いてその後の成果、すなわち販賣実績に鑑みて、それを見ますれば、消費者が希望する店で品物を買い入れておりますので、すでに相当の成績をあげておる業者は、消費者に十分信頼をおかれ、消費者の希望によつて取引をした結果が、今日現われてきておりますので、その家の数量及び金額を参酌いたしますれば、大体七割ぐらい以上を取扱つた方々は、その配給先である消費者にも十分期待に副い得る。こういうふうに判断をいたしまして、消費者の意向がその成果、すなわち販賣実績に表われておると、こう見て七割以上のものは更新を認めることといたしたのであります。  第二の特に必要な理由といたしましては、これを全面的にこの際総選挙と申しますか、総投票として、すべての店舗について消費者が全面的な投票をいたすということになると、現在配給しておる配給の機能を、一時停止せなければならなくなるのでありまして、昨年の登録に際しましても、昨年の七月以降十月ごろまで、全面的に配給を停止いたしまして、この登録小賣店の設定、それに対する割当て、それから仕入れ、こういうような段階を経て今日に至つたのでありまして、今日この機能を、一應選挙が終つて配給割当が維持されるまで、全面的に停止するということになりますと、現在配給中のいろいろな面に対する配給も、相当に混乱をいたしますし、またすでに相当な成果をあげておる小賣店でありますので、さらにこれを輿論に問う。そしていたずらに経費、あるいはいろいろの資材を使うということも、非常にこの際としては困難でございまするので、すでに消費者の信用のある店が成績をあげておるわけでありますので、そういつた七割以上のものは十分消費者の信頼をおかれ、また配給機関としての機能を発揮した、こう認定したのであります。
  41. 中村寅太

    中村(寅)委員 農業協同組合は、御承知のように農業会から協同組合に移行の途中でありまして、その点いろいろ漏れておるものが相当あるのでありますが、そういうものを考えますと、あるいは消費者としては現在の七割の指定業者よりも、新しく出発するものの方がいいと考えておつても、それが今のように七割だけは既得権を認めていくということになれば、私はその点で多少欠点があるのではないかと思うのであります。今言われますように物の面を動かすとか、あるいは配給の面に支障を來すということを考えていくと、どうしても七割程度のものは残していかなければならぬということになれば、今後ずつと改めていく場合も、やはり七割程度のものはいつもそういう條件によつてつていくということになりはせぬかと思います。その点はどういうことになりますか。
  42. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 将來の小賣店制度の更改の問題につきましては、まだ最後的な決定をいたしておりませんが、大体今後におけるこれらの配給機関の整備強化という際には、やはり配給の機能の停止をしないようにもつていくことが、必要であろうと考えておるのであります。從つてその限度を七割におくか、あるいは八割におくかということについての、今後の更改の問題については、まだ意見をまとめておりませんが、おそらく同様な考え方におちつくように予想いたしております。
  43. 中村寅太

    中村(寅)委員 長くなりますので簡單に申したいと思いますが、農業協同組合の現在までやつておりますところの、いろいろの物資の取扱いというものをなるべく活かすように、ひとつ御考慮を願いたい。特に農村でございますと、いろいろ役所で考えられるわくになつて、地域的に非常に不便な所がある等、いろいろな点がありますので、多少得票数には違いがあつても、その土地の実情によつて認めていくということも、ひとつ御考慮願いたいと思うのであります。  それからもう一つ縣の段階において、連合会というものを農業協同組合ではもつておるのでありますが、その縣の段階では農業協同組合連合会というものは、当然卸賣業の役割を果していくべきであると思うし、今までもそういう仕事をやつてきておると思いますが、その点もやはり現在通り認めていくという方針でありますか。
  44. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 第一点の各市区町村の事情に應じまして、得票数に何ら関係なく、地方長官の認定で登録をするということは、すでに指定が出ておりますし、その点は十分徹底をいたさせております。  第二の縣連の問題でございますが、これは今回の制度ができる以前、すなわち昨年の九月以前におきましては、全國農業会あるいは府縣農業会というものが、一つ配給機関として利用されたことも事実でございますが、今回の制度が創設されるにあたりましては、関係方面の強い意向もございまして、現在のところは府縣農業会はその配給機関としては何ら関係をもたないのでありまして、末端の市区町村の農業会のみが、配給小賣店としてその登録を認めてまいつたのに過ぎない。今後それに代るべき農業協同組合の府縣連合会を、どういうふうに取扱うかという問題につきましては、現在のところなお関係方面の方針が、昨年の新機構創成の際に表明した意向を、現在は全然改正いたしておりません。從つて少くともこの府縣農業協同組合の連合体を配給機関としての、たとえば卸賣商といつたような地位において、これを認めるかどうかということについては、相当に疑問がございます。但し実際の問題として、私どもが今打合せしておりますことは、現物の引受けを各農業協同組合に配分いたしますために、府縣單位に共同荷受けをするということは、必ずしも府懸單位にのみ限りませんが、縣内の都合によつては一箇所、二箇所、あるいは三箇所というふうに、現物の共同荷受けをする機構といたしましては、すでに昨年來も活用してまいつておるのであります。從つて今回もこの共同荷受け機構というものについては、実際の輸送配給のためには必要であると考えまして、関係方面とも相当長期にわたつて折衝を続けておりますが、現住のところなおその問題については承認を得られないので、とりあえず從來の問屋、小賣店という組織のまま、本年度の配給整備をいたすような準備をいたしたのであります。とりあえず実質的には府縣の小賣店の統合体である府縣連合会を、共同荷受け機関として活用するという点につきましては、從來通り利用していきたい、こう考えております。
  45. 中村寅太

    中村(寅)委員 商工省の意向としてはどういう意向でございますか。関係方面の意向によつて卸賣業としての指定をしにくいというようなお言葉がふつたようでありますが、関係方面の意向にかかわらず、商工省当局の意向としてはどういうお考えをもつておられますか。この点をお伺いします。
  46. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 府縣單位の卸賣商制度をつくることは、われわれは全然考慮いたしておりません。
  47. 中村寅太

    中村(寅)委員 府縣單位においては卸賣業者としての機能を與えないという方針のようであります。共同荷受かさせて現物を扱わせることは必要だということをさつき言われましたが、この共同荷受をさせることが必要であるということは、結局卸賣業の役割を果ざせることが必要だということになると私は思いますが、商工省方面ではどういうふうにその点をお考えになりますか。
  48. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 卸賣業そのものの性格は、ある地区を限定した小賣店もしくは消費者配給するのを対象として卸賣店制度を認めておるのではないのでありまして、卸賣業はあくまで各地方に散在する生産者からこれを集荷して、全國の小賣店を対象に配給する機関としてこの卸賣商制度を考えておりますので、その配給先をある地区に限定した卸賣商機関としての制度を設ける意図はないのであります。これほ卸賣商全般の問題として大体そういうふうに考えております。ただ私どもとして今考慮いたしておりまする問題ほ、しかしながら農業協同組合の性質に鑑みまして、当然ある地区的組織の連合体でありますので、卸賣商としての全國的機能を発揮する限り、たとえば相当廣範囲の地区を対象とするような連合体につきましては研究をしたい、こういうことで現在農林省当局とも御相談中であります。
  49. 中村寅太

    中村(寅)委員 今言われましたのほ、たとえて申しますと九州全体の各縣の農業協同組合が連合体をつくつているというようなものでございますか。
  50. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 そうです。
  51. 中村寅太

    中村(寅)委員 それからもう一つお尋ねしたいのでありますが、配給物資の審査委員会というものがつくられるということでありますが、この構成メバーはどういうふうに考えてあるか、お聽かせ願いたいのであります。
  52. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 ちよつと御質疑の点がわからないのでありますが、配給物資の審査委員会というのは、私どもの繊維関係には全然考えておりませんが、何か御質疑の内容が違うのかとも思います。
  53. 中村寅太

    中村(寅)委員 配給物資諮問委員会ですか、この間あなたのところの次長さんが見えたときにもそういうものをつくるということを聞きましたが……。
  54. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 御質疑のような指定繊維資材につきましても、衣料品にいたしましても、配給に関してなり割当に関しまして、そういつた諮問委員会といつたようなものは現在考慮いたしておりませんので、何か別の問題ではないかと思いますが……。
  55. 中村寅太

    中村(寅)委員 おとといであつたか、あなたのところの次長さんであつたと思います。大体商工省関係者等によつてつくるということであつたと思いますが、農林省の方はそれには入れることを今のところ考えていないとか、あるいは私らとしては農民代表とか、あるいは農業協同組合の代表者もそれに入れてもらいたいということを申したのでありますが、現在のところそういうことを考えていないということであつたのでありますが、局長のところではそういうことはないのでありますか。
  56. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 全般の問題として今御指摘のような問題は、おそらくはこの卸賣業者審査の諮問委員会の構成、あるいは絹、人絹織機の復元に関する審査委員会、あるいは毛織、紡績織機の復元委員会、あるいは繊維産業の再建審議会、そういつたようなものに関する御質疑であつたかと存じますが、これはたとえば繊維産業生産審議会につきましては、現在まだ委員の詮考中でございますが、当然農林当局からも御参加を願うつもりでおります。また指定繊維資材あるいは衣料品の登録問屋の諮問委員会のメンバーといたしましても、農林当局から御参加を願うように考えておりますし、また絹、人絹織機の審査委員会におきましても、農林当局また農林当局の御推薦願う業界の專門家も御参加願うということでありまして、おそらく今当面の問題として問題になつたのは、卸賣業者、繊維衣料品の卸賣問屋の審査の諮問委員会の中に、農業協同組合の連合体もしくは農業協同組合の代表者を参加せしめるかどうか、そういう問題ではないかと思いますが、この問題は今申し上げましたように、農業協同組合が末端の小賣店の制度として現在問題どなつておるのでありまして、卸賣業者審査には直接関係がないわけでございまして、その意味におきまして農業協同組合の代表者はこの卸賣商審査の諮問委員会のメンバーにははいつていない、そういうことでなかろうかと思いますが、この点は今申し上げましたように、直接農業協同組合が卸賣商の審査にタツチする事柄が今のところございませんので農業協同組合としての代表という意味においては御参加を願う必要がないと考えております。これは廣くそれぞれの消費部門の委員は、先ほど申した通り農林当局、あるいはそり他の業種別部門の代表がはいつていただいておりますので、具体的な農業協同組合それ自体としては考えていない、こういうことを申し上げたと存じております。
  57. 中村寅太

    中村(寅)委員 卸賣業者というのは全國に何箇所くらいおつくりになる御予定でありましようか。それから同時に、小賣商業者の指定も一般消費者の選挙によつて、民意によつてきめていくという方針だと思いますが、卸賣業者といえどもやはり小賣業者の投票によつてきめていくというきめ方の方が正しいいき方ではないかと思いますが、その卸賣業者に限つては特定の審査委員会をつくつて、それによつてきめていくという考え方の根拠をひとつ伺つてみたいと思います。
  58. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 この卸賣商選定について、小賣業者の投票によつて選定するというのも一つの案でございまして、私どもも何らかの方式において——その投票にのみよつて選定するかどうかは別といたしまして、取引先である小賣店の意向を十分に参酌せしめる方法につきましては、実は研究を進めております。ということはすでにその取引先との連絡の状況、あるいは取引先の取引証明といつたようなものがなければ、当然卸賣商としての登録はいたさないのでありますから、そういう意味において十分参酌いたしております。しかしこの卸賣商は一面生産者とのつながりもございますし、また金融決済蘭係における金融の機能との関係もございますし、また設備も相当必要であり、あるいは経験なり、その職員に專門家も必要でありますので、卸賣商は、單に小賣店の投票というような形のみによつて決定することはきわめて困難であると考えております。從つて今日の諮問委員会も小賣業者代表者も相当にはいつておりますし、また金融機関あるいは生産者、あるいはその他の專門家をもつて構成しておりまするので、小賣業者の希望は十分反映しておると考えております。
  59. 中村寅太

    中村(寅)委員 先刻私がお尋ねいたしました卸賣業者を全國に何箇所くらい指定するのか伺いたい。
  60. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 数は、現在これは各業種によつて違いますが、たとえば綿糸でありますれば現在三十六軒であります。綿糸織物は約百五十軒、絹、人絹織物は三百三十軒、こういうふうにその供給力と生産地及び配給関係等もございまして、業種別にその適限業者数を考えております。これは各一店の事業としての事業経営の單位としても成り立ち得るような取扱数量、取扱金額のある程度を考慮いたしまして業者数をきめておるのでございますが、これは從つて供給力の増減によりまして、その数も増減するわけでありまして、現在作業衣もあり、シヤツもありますが、すべての繊維製品を通じまして、今日まで登録しておるものが衣料品として約二千五百ばかり、指定繊維資材といたしまして千二、三百だと思います。合計いたしまして約三千数百軒ございますが、これを今回はやほり新規業者の希望進出の余地も與え、あるいは引揚者等の方もございますし、ある程度給供力も殖えてまいりますし、また特に金融面から見た物價改訂の影響によりまして、なるべく金融の便宜をはかるためにある程度殖やしたい。從いまして全体を通じまして約二割くらいの程度になろうかと思いますが、それは業種別によつて多少の相違があります。
  61. 中村寅太

    中村(寅)委員 その卸賣業者をきめる場合には、それをなるべく各縣につくつていくというようなことは全然考えないのですか。
  62. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 十分そういうことほ考えますが、実際の取引の実情に鑑みまして、やはり大阪地区とかあるいは関東地区といつたような都市に比較的集中しておる傾向がございます。たとえば絹織物であれば同一地区、綿織物であれば同一地区が中心であるというような自然のあれはありますが、極力各府縣の小賣業者あるいは需要供給の配給の面を考えまして、現在各府縣に全然登録店のないという所はございません。また特に大阪あるいは東京で登録を受けた業者にいたしましても、すべて各府縣に一箇所程度の支店、出張所を設けることをむしろ慫慂いたしまして、需要家の便利をはかるように極力指導しております。
  63. 中村寅太

    中村(寅)委員 各府縣に卸賣業者をなるべくつくつていくようなことも考えられておるようでありますが、そうしますと、先ほど局長の言われた、卸賣業者として備えておらなければならない條件をいろいろ考えてみますと、現在の農業協同組合の縣の段階における連合会が、私は最もその條件にかなうものではないか、かように考えられるのであります。私はどうも現在の段階においては、そういう戰時的な考えからこれをつくるということでなしに、農業協同組合というものを商工方面から締出そうという氣持が相当強く動いておるのではないかというふうに考えられますか、どうでありますか。
  64. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 全然そういう意図はもつておりませんし、昨年の登録に際しましても、一般の小賣店といたしましても三千軒以上のものは登録されております。決してそういう意図はございません。それから府縣になるべく分散することは、消費面から見た場合にきわめて必要なことでありますが、生産業着とのつながり、物を集荷してその府縣に現品を配給するという部面から見ますと、單に配給店としてのみ考えますならば、各府縣に從來の統制機構でありましたならば府縣配給会社というような縣別の配給機構も想定されますが、先ほど申した通り、今日の問屋制度の機構に鑑みまして、府縣別にその取引範囲を限定することは、必ずしも適当とは現在は考えておりません。
  65. 中村寅太

    中村(寅)委員 最後に縣の段階において連合会を卸賣業者として認めないという考え方は、関係方面はそうであるということでありますが、現在は商工当局もそうであると解してよろしうございますか。
  66. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 府縣單位の機関としては、今申し上げた通り、御指摘の通りの見解をもつております。
  67. 中原健次

    中原主査 それでは午前中の審査はこの程度にいたしまして、午後一時四十五分に再開することにいたしまして、それまで休憩いたします。     午後零時四十五分休憩      ————◇—————     午後二時三十九分開議
  68. 中原健次

    中原主査 休憩前に引続きまして会議を開きます。  これより昭和二十三年度一般特別会計予算中、農林省所管審査にはいります。まず政府説明を求めます。
  69. 永江一夫

    ○永江國務大臣 提案されております予算中、農林省所管分について御説明申し上げます。  一般会計中農林省所管予定経費要求額は、すでに國会の議決を得ました暫定予算分を含めまして、総額百二十億一千八十三万四千円であります。昭和二十二年度所管の合計は追加予算を含めて四十五億六千二百七十四万九千三百六円でありますから、七十四億四千八百八万四千六百九十四円の増加となつております。右の経費はお手もとに提出されてあります要求書の部、款、項に区分して支出される予定でありますが、その重要な事項につき二、三御説明申し上げます。  農地制度の改革はすでに一年度以來継続され、見るべき成果をあげておりますが、昨年度において法令の改正等がありまして、買收の対象の拡張を見ました等の事実がありまして、四十二億三千五百四十六万三千円を要求してあります。また國内食糧事情の改善をはかるために、本年度において食糧一割増産運動を展開すべく、この経費四千七百十三万二千円を要求してあります。  次に農村を民主化し、農家経済の改善、農業生産力の増進をはかる根本は、民主的な農業協同組合の発達によるごときわめて大なるものがありますので、その育成発達のために五千五百二万九千円を要求してあります。また新しき農業技術を農家の実際生産面にまで徹底さして普及させるためには、優秀なる技術者陣と強固な普及組織を必要といたしますので、これがために五億五千六百六十六万七千円を要求してあります。  水産業に関しましては、基本的な近海、遠洋に関する資源の調査に基く根本的な振興対策がきわめて緊要でありますので、右の調査のため一億四千七百二十七万円を要求してあります。  次に開拓地における農業経営には、特に各種の指導が必要であるので、これがために一億九千六百七十八万四千円を要求してあります。  次に森林資源造成法に基く造林奨励事業のために一億五千三十三万一千円と、並びに森林資源の涵養をはかり災害を防除するには、保安林制度の再強化がきわめて肝要であると考えまして、その準備等のために二千二十八万七千円を要求いたしました。  終りに今回の物價改訂による諸経費の増嵩に備えるための準備金として、九億五千九百四万八千円を要求いたしてあります。  次に農林省所管の特別会計は八会計ありますが、これらにつき簡單に御説明申し上げます。  食糧管理特別会計の歳入歳出は、二十二年度千百三十二億千五百七十六万二千円に対して、二十三年度二千七百二十一億千百二十四万八千円と、千五百八十八億九千五百四十八万六千円の増加を要求いたしましたのは、主として取扱食糧の價格の改訂を予想いたして、運営に支障なきように考慮いたしましたためであります。  薪炭需給調節特別会計歳入歳出において、二十二年度百十二億五千五百九十七万二千円に対し、二十三年度二百六十二億四千九百十八万円と、百四十九億九千三百二十万八千円の増加要求になりましたのは、これまた薪炭價格の値上げがありましても運営に支障を來さないためのものであります。  農業共済再保險特別会計歳入歳出において、二十二年度二十一億千九百九十五万二千五百円に対し、二十三年度四十九億七千三百八十五万四千円と、二十八億五千三百九十万千五百円を増加要求いたしましたのは、主として物價の騰貴に鑑み保險金額を改訂いたした結果であります。  森林火災保險特別会計歳入歳出においては、二十二年度四百六十四万五千円に対し、二十三年度千五百二十一万五千円と、千五十七万円の増加要求は、保險金額と料率の改訂によるものであります。  漁船再保險特別会計歳入歳出において、二十二年度五千八百七十三万九千円に対し、二十三年度二億六百五万五千円と、一億四千七百三十一万六千円の増加要求は、前項と同じ理由であります。  自作農創設特別会計におきまして、歳入が二十二年度二十一億八千六百四十三万四千円に対し、二十三年度七十億四千二百九十六万五千円と、四十八億五千六百五十三万一千円の増加見積は、主として農地改革進行に伴い、買收農地の賣渡しの進捗を予期したものであり、歳出において二十二年度二十一億六百二十八万五千円が、二十三年度四十三億千八百九万五千円と二十二億千百八十一万円の増加を見ましたのは、農地買收事業の進捗と、國債利子及び他会計より移管した國有地の賣拂代金を当該会計へ繰入れるための支出増によるものであります。  開拓者資金融通特別会計歳入歳出において、二十二年度九億五千六百七十七万円に対し、二十三年度二十五億二千五百五十七万円と十五億六千八百八十万円の増加要求は、入植者の増加による貸付対象の増加と、物價騰貴に基く貸付金の増加によるものであります。  最後に國有林野事業特別会計歳入歳出において、二十二年度六十四億千二百五十八万四千円に対し、二十三年度九十八億三千七百十五万円と三十四億二千四百五十六万六千円の増加要求は、木材價格及び諸資材の價格の改訂を予想したための増加であります。  以上所管につきまして、その概要を申し上げたのでありますが、なお所管事業に対してきわめて重要な関係にあります公共事業費に関し、現在一應了解いたしておりますところを御説明いたしたいと思います。これは未だ確定のものではありませんので、その点お含みおき願います。  二十三年度関係公共事業費は総額百二十六億二千六百三十七万円でありまして、二十二年度合計五十五億四千七百三十四万一千二百二十円に比し、七十億七千九百二万八千七百八十円の壇加であります。右のうち開拓及び農業水利改良事業並びに土地改良等としまして、七十二億三千七百六十二万四千円を予定しておりますが、その事業計画につきましては、ほぼ前年度と大差ございません。  次に林業関係につき、十四億五千五百五十六万九千円を予定いたしましたのは、戰時中及び戰後における研伐の過大の結果を考慮し、併せて近時災害防止のための水源涵養の意味をも考慮いたしまして、強化いたさんと考えたためであります。  次に漁港の修築のために三億二千六百五十万八千円を予定いたしておりますのは、食糧増産の一翼を強化せんといたしたものであります。  終りに、昨年度及びそれ以前に発生した災害の復旧費といたしまして、農林水産業関係を併せまして、三十五億六千六百五十九万一千円を予定いたしまして、災害による各産業の禍害を復旧し、もつて今後の食糧増産及び民生の安定に資せんといたしておる次第であります。  以上の通りでありますので、よろしく各位の御審議をお願いいたします。
  70. 中原健次

    中原主査 この際午前中の商工省所管質疑未了分がございますので、これを併せて継続いたしたいと思います。
  71. 角田幸吉

    角田(幸)委員 それでは商工省関係政府委員にお尋ね申し上げます。不正保有物資等特別会計の対象となります不正物資の範囲を御説明願います。
  72. 中原健次

    中原主査 商工省政府委員の都合により質問をちよつと保留願います。  この場合皆様にお諮り申し上げますが、委員外質問として海野三朗君から質疑の発言を申出でられておりますが、これを許すのに御同意でありましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 中原健次

    中原主査 それではこれを許します。海野三朗君。
  74. 海野三朗

    海野三朗君 商工省当局にお伺いいたしたいのであひます。四月、五月及び六月の亞炭の滞貨状態を見ますと、東北の方が全國の滞貨量の過半数を占めておるのであります。この滞貨しておる量は実に莫大なものでありまして、縣によりますと、三箇月分の生産量をストツクしておる。それはすなわち山元にあつたり、あるいは駅の附近にうず高く積まれたりしておるのであります。配炭公團法規によりますと、十六條によりますれば、生産業者から生産したすべてのものを買取るということになつておるのでありますが、駅の附近までもつてきたものしか公團は買取らないということでありまして、それでは山元にあるものは一指も染めることができない。そういうことはまことに私は不合理であると考えるのであります。これによつて業者はほとんど山元にあるものを駅まで運ぶことができない、それに対しては公團が金を支拂つてくれないという状態でありますがゆえに、もう皆手をあげておるのであります。この状態を商工当局は何と見ておられるのでありましようか、その御所信を承りたいと思います。
  75. 増岡尚士

    ○増岡政府委員 お答えいたします。亞炭の山元あるいは発駅において、相当たくさんの滞貨がありましたことは、ただいまお話の通りでありまして、できるだけ早くこれを消費地に運ばなければならないのでありますが、東北地方におきましては、特殊の事情がありまして、輸送力が思うようにまいりませんし、また一般的に申しましても、亞炭につきましては、必ずしも從來石炭と同様の輸送力が與えられたわけではございませんでしたので、非常な滞貨に相なつて生産者も非常に困つている状況であります。それについて、從來は亞炭につきましては、掘る一方という考え方をとつてつたのでありますが、その後の情勢は必ずしも輸送力が、先ほど申しましたように、これに対應しない。また一方亞炭の品質につきましても、全部が優良な品物ではないというような状況にありましたので、七月一日から新しい方式の統制をとりまして、亞炭のうち優良なものについてだげ統制をして、あとのものは配炭公團は買上げないということにいたしたのであります。配炭公團は掘りましたものを買うという建前ではありますが、申し上げましたように、輸送力が伴わないものをどんどん買上げるというわけにもいかないので、実際上山元なりに相当の滞貨があるという結果に相なつておりますので、今度の新統制方式の実施に伴いまして、この障害を一掃するという考え方で、山元にあるものについても、全体とは申されませんが、ある一定数量を、山元において生産者から配炭公團が買上げる措置を講じたい。また一方では駅頭にある貯炭をできるだけ早く搬出する。これについては輸送力を從來よりも増強をする見込がいくらかあるのでありますが、これとにらみ合せて、また山元からむりにといいますか、無計画に駅頭に出すということを避けて、駅頭の貯炭が拂い出したのと対應して、山元で先に買上げましたものを駅頭まで持ち出して運ぶというやり方で、この際貯炭の一掃をはかりたいというように考えております。と同時に生産の方もその貯炭がはき出せるまでの間は、一定の期間生産を調節いたしまして、輸送とにらみ合わせずに無計画生産をするということでなくて、大体数箇月の間に駅頭の貯炭も山元の貯炭もなくなるようにいたしまして、生産計画的にやつていきたい。その後において初めて順調に総輸送力と出炭とを併せて、計画的に掘つていきたいという考え方で進みたいと存じております。
  76. 海野三朗

    海野三朗君 滞貨しておりますのが東北の方だけが特に多いのであります。これにつきましては貨車の関係もございましようが、東北の方だけそれほど滞貨しておるということは、もう少し当局がお考えにならなければならないのじやないか。こういうように考えますが、その点の御所見はいかがなものでありましようか。
  77. 増岡尚士

    ○増岡政府委員 東北が特に輸送が不足であるという事情につきましては、最近において特別な事情がありまして、貨車まわりが惡くなつたようでありまして、近くそれほど東北だけが輸送力が不足だという状況ではないようになると聞いております。東北だけが特にまま子扱いみたいに輸送力を少くしておるというわけではありませんで、ただいま申し上げましたような事情で少くなつておりますので、私どもといたしましては運輸当局とも連絡いたしまして、全國的に輸送が調整できますように、今後とも努力してやつていきたいというふうに考えております。
  78. 海野三朗

    海野三朗君 亞炭と石炭の区別を伺いますが、石炭の方と亞炭の方に対する輸送上の特権と申しましようか、それが判然と区別をつけておられますか、一体石炭と亞炭とはどれだけの違いで区別をつけておられますか。
  79. 増岡尚士

    ○増岡政府委員 石炭と亞炭の区別につきましては、学問上から言つてもなかなかむずかしいようであります。その点は海野さんが私よりもむしろよく御承知だと存じます。現在のところでは結局鉱業権の目的といいますか、それによつてわけられておるのでありまして、亞炭として願出ました鉱業権をもつている山から掘出されたものが亞炭であつて石炭として鉱業権をもつている山から掘出されたもめが石炭であるという取扱になつてつて、嚴密に区別すればその間に重複あるいはお互いに反対の方にいつているものもあるのではないかと存ぜられるので、この点については目下研究中であります。ある程度学問的に亞炭と石炭の区別をするという考え方で研究を進めておりますが、まだ結論には達しておりません。それで石炭と亞炭とは今申し上げたような区別をいたしておりますが、輸送力の点では統制亞炭については石炭に準じて取扱うということで、石炭は大体百パーセントの輸送力を與えられておりますが、亞炭については、現在のところではまだ輸送要請に対して百パーセントというところにはいかない状況であります。
  80. 海野三朗

    海野三朗君 石炭でも劣等なものになりますれば五千カロリーを少し越えたくらいのものもありますし、亞炭の方でもいいものになりますれば四千七、八百カロリー程度、あるいは五千カロリー近くもいつておるのでありまして、そう輸送の点においても判然と区別をおつけにならないで、その間に段階をお設けになるのが至当ではないかと私は考える。元來石炭と亞炭の区別はないのであります。ただカロリーあるいは品質によつてつているのでありまして、亞炭でも優秀なものは石炭の代用をしておるわけでありますから、この点を御考慮になる必要がないのでありましようか。それをお伺いいたしたいと思います。
  81. 増岡尚士

    ○増岡政府委員 お話のように、亞炭のいいものと石炭の惡いものとでは品質が匹敵するという事情もありますが、現在のところ先ほど申し上げましたように、一應二つにわけて輸送統制をしております関係上、今ただちにお話のような取扱にすることは困難かと存ぜられますが、その点亞炭と石炭の区別の研究と合わせまして、亞炭のいいものも石炭の惡いものと同じように、あるいはそれ以上に運べますように、私ども亞炭をやつておる者としては努力をしていきたいと考えております。
  82. 海野三朗

    海野三朗君 私の質問はこれで終ります。
  83. 圖司安正

    圖司委員 関連して亞炭局長にお伺いしたい。東北地方の亞炭経営者並びに労務者が、経済的にきわめて困難な事情に追いこまれておるということほ、先ほど來海野代議士のお話になつ通りでありますが私は別の観点から亞炭局長にお伺いしたいのであります。そのような事情に追いこまれましたのも、その大半の責任は機構の関係にある。つまり現在の配炭公團というものが非常にわがままな権力をふるつておりまして、せつかく山元で生産したものに対しましても持込を禁止する。持込を禁止してそれなら輸送力に対して配炭公團が力を入れておるかと言いますと、打つべき手もほとんど打つておらぬ。実は関係方面から亞炭に対して統制をはずしたらいいではないかというお話があつたやに聞いておるのでありますが、その場合にまつ先に立つて反対したのは配炭公團の職員であつたと聞いておる。それほど自分の職域を守るに忠実である配炭公團の職員は、自分の職責に対しては力を注いでいるかと言いますと、今申し上げたように、需要先の開拓もしなければ輸送方面に対して打つべき手も打つておらぬ。同時にまた生産者に対しては何らの協力的な態度にも出ておらぬ。むしろ傲然たる態度をもつて臨んでおるという、実情にそぐわない亞炭計画をなし、配炭業務の運営をしておるというところに、今日の行きづまりを来した大きな原因があるのではないかと思うのでありますが、それに対して亞炭局長としては、配炭公團の指導、監督という方面に対して、今後いかなる手を打たれるのでありましようか。さらに究つこんで、配炭公團そのものを廃止する御決意があられるかどうか。私どもとしては、むしろこうした害あつて益なき機関というものは廃止された方が、拔本塞源的に生産増強に寄與する途ではないか、こう思うのでありますが、それに対する御所見を承りたいと存じます。
  84. 増岡尚士

    ○増岡政府委員 お答えいたします。配炭公團の亞炭関係の業務につきましては、まだ実施をいたしましてから時間が経つていない関係もありまして、ただいま圖司委員からお話のありましたように、遺憾な点がないでもないというふうに私どもも感じております。特に末端の方に行きますと、経験の足らない人もありましようし、また山形縣の場合などについて言いますと、元來石炭というようなもののなかつた所でありますので、おそらく扱いが初めてであつた関係上、他の地域に比して不満な点があつたのではないかというふうに推測しております。この点につきましては、私ども配炭公團の者と一緒になりまして、今後そういう生産者に迷惑をかけるようなことがないように、できるだけ円滑な配給ができますように、努力をいたしたいというふうに考えております。配炭公團そのものの存廃の問題になりますと、私だけでお答えするのは不適当であると存じますが、亞炭だけにつきまして、配炭公團の一手買上げというようなことを今後続けていくことがいいかどうかの問題は、なお研究を要する問題でありまして、今度の新統制方式で一部統制をしたということも、統制の方式から言いますと、初めてのことであります。これがうまくいくかどうかという問題ともにらみ合わして、亞炭の統制というものをどうもつていくかということは、私ども関係の業界の方、あるいは一般消費者の方、あるいはこれらにいろいろ御意見をもつておる方々の力を得まして、研究を進めていきたいというふうに考えております。
  85. 圖司安正

    圖司委員 もう一点、生産制限をしないで、亞炭の業界の合理的な改善をはかつていく。それがひいて國家の産業再建の上に役割を果さしめていくということになりますと、現在のままでは資材、輸送その他の面からして、とうていその目的を達成しがたいと思うのであります。でありますから、どうしても加工方面に相当に力を入れていかなければならぬと考えるのでありますが、亞炭乾溜の問題だとか、あるいはブリケツトの問題だとか、そうした加工方面に対して、亞炭局としてはどういう施設、計画をもつておられるでございましようか。さらにまた民間のそうした新しい工業に対しましての指導、援助の方法は、いかがなさるつもりでございましようか。たとえば融資の面において、あるいは資材の斡旋の面において、具体的に承りたいと思います。
  86. 増岡尚士

    ○増岡政府委員 ただいま圖司委員のおつしやるように、亞炭の加工の問題は、亞炭産業の將來として最も大事な点であります。石炭の代替といたしまして、工業用として使われます量につきましては、必ずしも將來たくさん増加するというふうには考えられませんし、また亞炭の性質といたしまして、遠い所の工場に運んでこれを使うということも不適当でありましようから、ただいまお話のように、加工乾溜をいたしまして、できるだけ近所の家庭燃料に向ける、あるいは工業用としての適当なものに向けるとか、遠くに運ぶにしても、能率的な輸送をするという意味で、最も適切なことであると考えまして、亞炭乾溜につきましては、大体大ざつぱなものでありますけれども、五箇年計画というようなものを立てて、これを推進したいという考え方であります。ただ、まだ新しい工業でありますので、どういう方法が最も適当であるかというようなことが、まだ完全に確定しておりませんので、いろいろ研究的な施設をしておるのであります。ただ土壕式のものにつきましては、相当の生産が行われておりますので、本年度におきましても、約五十万トンくらいの原炭を使いまして、二十万トンくらいの加工品をつくるというような予想で、これを第一年度として、土壕式からさらに改良したもので、五年後には相当数量のものを出したいというふうに考えておるのであります。しかしながら、この加工乾溜の問題につきましては、今御指摘がありましたように、資金資材の問題は、これを亞炭政策の中核としてやつていくという点で、まだ政府部内でも非常に強く確定したというところまで行つていない関係から、業者の申請等についても満足に行つていないような状態であります。近く総合的な案を立てまして、しかるべく決定する。この線に沿つて資金資材等の斡旋援助をしたいというふうに考えております。
  87. 圖司安正

    圖司委員 東北地方の方が特に生産過剰のような状況になつておるということは、御承知通りであります。それについて、何か東北地方に、特に亞炭の加工試験研究機関を設置されるということで、本年度の予算に請求しておられるというようなことも承つておるのでありますが、それについて、ちよつと伺いたいと思います。
  88. 増岡尚士

    ○増岡政府委員 加工乾溜関係の試驗指導の設備につきましては、本年度の予算にも、亞炭の研究のために経費を計上して、協賛をお願いしておるわけでありますが、それは大体今お話のように、亞炭の生産が東北にあるという関係で、大体は東北の方に設置したいという考え方で進めております。ただ経費関係もありまして、ただちに加工乾溜の実驗設備の相当なものをその試驗所につくれるかどうかは、初めのうちはわからないのでありますが、滞貨が東北に多いという関係もありまして、加工乾溜の獎励につきましては、東北を優先的に取扱いたいという考え方はもつております。
  89. 中原健次

    中原主査 物資調整課長が見えておりますから、角田幸吉君。
  90. 角田幸吉

    角田(幸)委員 もう一度、不正保有物資等特別措置特別会計の対象となります物資の範囲の御説明を願います。
  91. 永山時雄

    ○永山説明員 不正保有物資等特別措置特別会計で、買上げの対象といたしております物資は、種類としては不正保有物資と、過剰物資、この二種類に相なるのであります。不正保有物資と申しますのは、臨時物資需給調整法に基きまして、過剰物資と、在庫活用規則という規則が、本年の三月に制定をされておりますが、この規則の第一條で定義をされておりますものが、それに相なるのであります。もう少し具体的に申し上げますと、当該物資の入手、所有あるいは占有、そういう事実に関連して物資需給調整に関する法令に違反しておるもの、あるいは終戰時、軍から拂下げを受けましたいわゆる特殊物件と称するものでありますが、この特殊物件の入手に関する手続について違反があるというものは、この不正保有物資に該当するのであります。それから他のもう一つの種類の対象になります過剰物資は、これはそれぞれの業者、それぞれの者に対しまして特定の物資、指定物資につきまして、一定の保有限度、保有数量というものを認めておるのでありますが、その保有限度を超過しております部分ほ、過剰物資になるのであります。そうしてこの過剰物資につきましては、この特別措置特別会計でただちに買上げをいたしませんで、一定の期間をおきまして、切符引換えでまず処分をする。切符引換えで処分のできないものにつきまして特別会計で購入する、こういう建前であります。
  92. 角田幸吉

    角田(幸)委員 その物資の種類でありますが、たとえば農林省の方で取扱つておる油だとか、あるいは薪炭のようなものも含まれるのですか。
  93. 永山時雄

    ○永山説明員 農林省関係の物資につきましては、ただいま申し上げましたような需給調整に関する法令がございまして、それに違反する物資つまり不正保有物資になりますれば、この特別会計が買上げするということになるわけであります。
  94. 角田幸吉

    角田(幸)委員 そういたしますとその範囲な不正物資であれば、たとえば犯罪の用に供されたもの、油をやみで買つたというような場合も、この規定によつてやるのでありますか。たとえば裁判所で押收する、あるいは沒收するというような場合でも、この規定によつて取扱われ、特別会計で買上げるのであるかどうか。
  95. 永山時雄

    ○永山説明員 通俗にやみと申されるものに御承知通り通りあるのであります。價格的にいわゆる統制價格を無視して賣買をされたやみ物資と、それから配給統制が布かれております物資につきまして、その統制のルートを乱して取引をされた物資と、その二種類あるのでありますが、この特別措置特別会計で買上げの対象としております不正保有物資は、需給調整の関係の法令に違反する、つまり配給統制を乱して、無視して取引をされた物資に対して適用できるということを意味するのであります。
  96. 角田幸吉

    角田(幸)委員 今の問題をもう少し詳しく御説明願いたいと思います。たとえば北海道から多量の油をもつてきた。それがつかまつたというような場合に、裁判所は沒收によるのか、あるいは換價処分でやる場合にもこの規定でやるのかどうかというようなことの、具体的な御説明をお尋ね申し上げたのであります。
  97. 永山時雄

    ○永山説明員 北海道の方面から油をもつてきたという場合ですが、その場合にも單に價格的にやみ賣りをいたします場合には、特別措置特別会計の買上げの対象にはならないのであります。割当制度あるいは配給統制の制度を無視して、割当をしたにかかわらずそれを取得をしてきたという場合には、需給調整に違反をするという意味で不正保有物資になります。從つて二の特別会計で買上げるということになるのであります。
  98. 角田幸吉

    角田(幸)委員 そこでお尋ねを申し上げたいのですが、今現に不正保有物資としてあると想像されておる金額は、一体いくらあるのでしようか。
  99. 永山時雄

    ○永山説明員 不正保有物資につきましては、御承知通りいわゆる隠退藏物資の問題といたしまして、終戰以來非常に國内的にもやかましい問題になつております。日本政府側として、隠匿物資緊急措置令あるいは在庫調整規則というようないろいろな手段を使い、あるいは隠退藏物資の処理委員会ないしは現在存在しております遊休物資活用委員会というような方法、あるいはその他さらに議会に提案されております経済査察廳制度というものを通じて、極力その捕捉あるいは摘発に努めておるのでありますが、事の性質上なかなかその実態は把握できないのであります。從いまして、その全量がどのくらいあるかという点につきましては、まつたくこれはそれぞれの見方によりまして非常に違うのであります。この特別会計におきまして取扱うことを予定しております数量は、本二十三年度において不正保有物資の買上げ額を三十七億二千六百万円ばかり、それから過剰物資につきましては五億一千万円という程度を一應予想いたしております。これは從來の経済安定局、あるいは地方の物資活用委員会というようなところで、それぞれ摘発いたしました実績と、それからただいま実施されております全國的な摘発調査というものの効果を期待いたしまして推定した数字でございまして、先ほど申し上げましたように、その実態は必ずしも的確でないという性格の数字でありますから、さよう御承知を願います。
  100. 角田幸吉

    角田(幸)委員 そこでもう一つお尋ね申し上げたいのでありますが、先ほど價格違反というだけではこのものにはいらない、しかし正式なる配給のわくを違反したものがはいる、こういうことになつておりますが、これは一年間にどのくらいわく外の不正物資が檢挙され、またその高はどのくらいになる見透しでありますか、それを承りたいと思います。
  101. 永山時雄

    ○永山説明員 ただいま申し上げましたように、いわゆるやみ取引の数量そのものは、事の性質上想像できない。的確なる推定はきわめて困難であるのでありますが、從來檢察廳方面で摘発いたしたものは、時價換算をいたしまして約十億ほどであります。從つてこれらのものがとりあえず不正保有物資特別措置特別会計で取扱いをするということに相なります。
  102. 角田幸吉

    角田(幸)委員 そこでこの特別会計の剰余金として五億五千八百九十四万円、こういうものが一般会計にはいつているのですが、これは今の檢事局その他でやつたものを含めての計算でありましようかどうか
  103. 永山時雄

    ○永山説明員 含まれております。
  104. 角田幸吉

    角田(幸)委員 そこで私のお尋ね申し上げたいのは、今財源がきわめて少いとき、こんな程度のものではないではないか、まことに少い額、五億程度じやないではないか、三十億くらいは一般会計で繰入れられる程度のものはあり得るのじやないか、こういうことを実は財源の問題としてお尋ねを申し上げたりでありますが、きわめて杜撰な調査、推定に止まつておる。ただいまのところ、その程度の推定しか出ておらないのでございますが、その物資の保有量を調査した材料について、もう一度御説明を願いたい。
  105. 永山時雄

    ○永山説明員 お尋ねの点まことにごもつともでございますが、先ほど來申し上げておりまするように、事の性質からいたしまして、非常に推定が困難でございまして、一應先ほど申し上げましたように、この特別会計で年間——來年の三月末までに買上げを見込み得るものは三十七億程度、これも從來の実績からいたしますと、きわめて多い数字でありまして、從來地方経済安定局、それから経済安定本部、そういうものが摘発をいたしました実績は約二億七千万円ほど、これはちよつと資料を私ここで持ち合わせませんので、正確なる数字はお答えをいたしかねるのでありますが、大約二億七千万円であります。ただしこれは年間の数字ではございませんので、これをかりに年間に引直しをいたしましても、せいぜい六億程度数字であるわけであります。從いまして、この隠退藏物資、不正保有物資の摘発態勢を極力強化をいたしまして、努力をいたしましても、まずこの三十七億程度のものをあげるということは、これの実行は非常に困難だと思われる。そういうような数字でありますので、その点御了承を願いたいと思います。
  106. 角田幸吉

    角田(幸)委員 そうすると原材料の、大体不正保有量の何パーセントにあたるか。そして何年間ぐらいでこれは全部摘発される予定でありますか。これは経済査察廳との関係もありますので、それを一つ……。
  107. 永山時雄

    ○永山説明員 ちよつとお尋ねの趣旨がはつきりいたさないのでありますが……。
  108. 角田幸吉

    角田(幸)委員 三十七億というのは、現在予定しておるものの何%に当るのか、残部のパーセンテージに当るものは、來年度どのくらいになるのでしようか、これはどのくらいの間に全部摘発されて買上げられるか、こういう見透しについて承つておきたい。これは査察廳との関係がありますので、お尋ねいたしたいと思います。
  109. 永山時雄

    ○永山説明員 全体の数字で、どのくらい不正保有物資があるかという数字につきましては、私の方では別段推定をいたしました資料を持つておりません。從つてこの三十七億と申しますものは、全体の何%というようなことではじき出したのではないのでありまして、從來の実績を参照いたしまして、さらに経済査察廳関係の体制の充実というような点をにらみ合わせ、あるいは隠退藏物資委員会に対するいろいろな情報、そういうようなものを基礎にいたしましてはじき出された数字であるわけであります。
  110. 角田幸吉

    角田(幸)委員 そこでお尋ね申し上げたいのでありますが、そうするといくらあるかわからないということになりますから、それが全部摘発されるまでということになりますと、この点だけから考えれば、経済査察廳というようなこの方面だけでの事務とすれば、半永久的な存在としておかなければならぬということになりませんか。
  111. 永山時雄

    ○永山説明員 経済査察廳の存在の必要という問題につきましては、私から御答弁する限りではありませんが、この問題に関連いたしましては、現在の物資の需給関係現状のごとく、きわめて逼迫をしているというような状況であります限りにおきましては、引続き統制違反の発生という問題も免れないのではないかと考えます。從つてこの面における経済査察といいますか、経済警察といいますか、そういうものの強化は、統制の励行上ぜひ必要であろうと信じております。
  112. 角田幸吉

    角田(幸)委員 次にミシン工業の現在及び將來について商工省当局に承りたいのであります。というのは、何と申せ日本の國の産業の開発その他いろいろな面におきましても、どうしても労働力を得るという建前でいかなければならぬ。紡績業と併せて、ミシン工業というものは將來日本の國では相当重きをおいていかなければならぬ。これを東洋方面における三シソ工業の加工品、これは工賃を得るということになりますか、そう見ましても、これは相当大きい問題として考えなければならぬと思うのでありますが、この点に関する商工省当局の見解を、この際発表されたいと思います。
  113. 武内征平

    ○武内政府委員 お答えいたします。ミシン工業の將來につきましては、かつて非常にたくさん——昭和十五年には二十万台の生産があつたのであります。それから保有台数といたしましては工業用が五十万台、家庭用が百二十万台と推定されております。そのうち百十万台が戰災によつて燒失いたしておるのであります。從つて保有台数に達するまでには、まだ相当の生産を続けてやらなければならぬことは、申し上げるまでもないのでありますが、ただいまミシンにつきましても相当輸出の引上げがございまして、技術を得るという一面からいたしまして、資材が少くて相当高く賣れるという点からいたしまして、輸出用としても非常に有望な機械工業一つとして考えておるわけであります。從つて商工省としては輸出振興の面からして、また國内における保有の増加という意味からいたしましても、大いに生産を促進いたしたいと考えております。
  114. 角田幸吉

    角田(幸)委員 大体私の質問に答えられたようでありますが、日本でかつて二十万台のミシン工業がありました場合に、ミシン工業の加工生産高というものは、大体どれだけあつたのであるか、そうして日本の國の將來において、ミシン工業をもつて一体どれだけくらいまで加工生産がやれるのであるか。これは紡績よりも一層このことについて、商工省当局が研究しておかなければならぬということを考えておりますので、いろいろほかの輸出もありましようけれども、繊維品を入れて、そうして日本でミシン工業をやることは、日本の輸出という面からも、労働力の面からも非常に重大だと思いますので、お尋ね申し上げたいと思いますが、もう少し將來についての御見解を承りたい。
  115. 武内征平

    ○武内政府委員 ただいまミシン工場の数としては、完成ミシン工場として三十一工場、それから部品工場、主としてヘツドでありますが、ヘツドをつくつている工場が四十四工場あります。昭和二十一年度の生産は、完成ミシンが一万六千九百八十二、それからヘツドの方——頭部だけをつくりましたものが九千九百八十八でござい——して、両方合計して三万六千九百七十であります。それから二十二年度でございますが、これは統計の関係上十一月まででございますが、完成ミシンが六万九千八百四十七、頭部だけが一万二千七百三十八でありまして、すでに十一月までで合計八方二千五百八十五、こういうふうになつております。二十一年と二十二年を比べてみますと、相当生産が上つております。二十三年度におきましては、先ほど申しました趣旨からいたしまして、資材も二倍ないしは二倍半ぐらい程度のものは確保できると思つておりますので、一層生産が上るものと考えております。
  116. 角田幸吉

    角田(幸)委員 ただいまのお話はミシンの機械だけの生産でありますが、私のお聽きいたしましたのは、ミシン工業、ミシンをもつて生産をしておる加工意味であります。この前途を大いに考えていかなければならぬということなのであります。ですからミシンの台数とか、ミシンの機械自体の生産ではなく、ミシン工業——ミシン工業でば私の説明が足りなかつたかと思いますが、ミシンをもつて裁縫することでありまして、前にこの工業用が五十万台であるという実績があるのでありますが、外國から繊維品を入れてミシン裁縫的な生産をすることについて、商工省当局はどう考えておるかを聽きたい。
  117. 武内征平

    ○武内政府委員 それは繊維局長の所管でありますから……。
  118. 中原健次

    中原主査 繊維局長を呼んでおりますから、ちよつとお待ちまださい。——この場合農林省所管質疑に入ることにいたします。今井耕君。
  119. 今井耕

    今井委員 ちようど蚕糸局長が見えておりますので、蚕糸関係の問題についてお伺いしたいと思います。それは昭和二十一年から二十二年にかけての價格差益金の問題でありますが、その金額九千二百万円の処置のことであります。政府は昨年の七月二十八日に大津及び津山の会議で、この金額を桑苗の生産共同施設、あるいは稚蚕兒配給施設、あるいは繭質改善施設、桑苗の購入、指導奨励施設、養蚕團体活動促進費、こういうよ、な方面に交付するように発表せられたのでありますが、その後まだこれらのものが交付されておらない。それで関係團体なんかでは非常に困つておるように聞いておるのでありますが、その後交付されたかどうかお聽きしたい。
  120. 平田左武郎

    ○平田(左)政府委員 昨年度におきまする繭債の改訂に伴います差益金の問題につきましては、昨年は初めにおきましては日本蚕糸業会がその差益処理にあたつておりましたので、蚕糸業復興施設の助成施設としてただいま御指摘になりましたような金額を交付する予定であつたのであります。ところで昨年度におきましては海外における生糸の賣れ行きがはかばかしくまいらなかつたために、蚕糸業会といたしましても毎月々々出荷される製糸業者の生糸を買うのに大わらわになつておりまして、そうした余剰方面に資金を運轉利用するということが非常に至難な実情にありまして、昨年下半期まではそうした状況にあつたのであります。ところで昨年の九月の初めにおきまして、連合軍司令部の要求により蚕糸業会は閉鎖機関に指定せられることになり、十一月一日をもつて閉鎖機関となつたのであります。從つてその後におきましては、しばらくの間は指定業務としてこうした助成事業を続行することが許されたのでありましたが、だんだん閉鎖措置の進行に伴いましてそうした事業をも整理することになりまして、本年の一月六日をもつてこの復興助成の仕事は打切りというようなことになつたのであります。そうした関係に立つておりましたので、ただいまお話のような施設に対しましては、一部分可能の範囲において助成金の交付を支出し得たのでありましたが、その後われわれとしましてもいろいろと産繭の増産をはかりまする上において、この復興施設の一日もゆるがせにできないことを強調いたしまして、閉鎖機関の方に対してその金額の支出方を交渉しておりましたが、司令部当局の法理的見解等もありまして、所期の目的のように支出することか至難になつたのであります。そこでわれわれとしましては、これに代る方法として蚕糸関係者、製糸業者を主体とし、養蚕團体も加入いたしまして、一つの差益金の自主的処理の機関をつくりまして、蚕糸業会のそうした事業を続行する方針のもとに、爾來いろいろの方面の折衝を続けてまいつたのでありまするが、その機関も大体発足の運びになりつつありますので、そうした團体の事業と関連いたしまして、昨年度のただいまお述べになりました経費に対する補助をも考慮することに取運んでおるような次第であります。  なお桑苗等につきましてはすでに三千五百万円の金額を昨年の秋の時期において支出いたしておりますし、さらに水害等の関係におきまして、二千百万円の政府予算によります助成金をも支出しておりまして、なおそのほかに桑苗の生産についてはひとり予算的の助成のほかに、物資による裏づけをというような関係から、綿その他の粗惡製品十八万点、絹織物四、五万反を放出いたしまして、桑苗の植つけを助成してまいつたのでありまして、その関係は比較的順調に推移することかできた次第であります。その他の点についてほただいま申したような差益金の自主的処理の方法にまつというところで目下進行しておりますので、不日御期待に副うような結果をみることと存じております。
  121. 今井耕

    今井委員 実は農業会あたりでは解散に伴う決算をしなければならぬのであるが、これが未收で決算ができないので、非常に困つておるというような実情も聞いておるのであります。ただいまのような実情は詳細関係團体などには通知せられておるかどうか。また今日まで交付をされた金額はただいま桑苗の購入植付奨励費として三千万円余交付したという答弁がありましたが、合計していくらほどいつておるか。その点をお伺いいたします。
  122. 平田左武郎

    ○平田(左)政府委員 差益金に伴う復興施設の関係は、ただいま申したように業者の自主的の組織によつて運営することになつて、その機関に対しては養蚕の代表者も廣く参加されておりますので、恐らく新聞に御承知のことと存じております。それから桑苗の獎励金は金額はすでに昨年の十月において決定いたして通知いたしておるのでありますが、御承知のように桑苗の植つけは十一月ころから年を明けて三月ころまで及ぶ仕事でございますので、あるいは各府縣においては、そうした実数の取纏め等に時間を要されておるということもあり得るかと思いますが、金額自体は昨年に確定して交付の通知を申し上げておるような次第であります。
  123. 今井耕

    今井委員 今までいろいろ聽いておりますと、養蚕関係のこういうような交付される金がずいぶんややこしくなつてつて一般にずいぶんじじむさく考えられておる点が相当多いのでありまして、今後もう少し明朗にいくように、当局がやられることを切望してこの点については質問を打切ります。  次に去る二十六日の衆議院の本会議を通過いたしました農業改良助長法に関する予算、その他の問題についてお伺いしたいと思うのであります。農業の改良助長法は、現下の農村及び將來の農村に対しまして、実に重大な意義のあるものであると思うのであります。農林常任委員会では割合に簡單に取扱つておりまして、実は二十六日の本会議に討論をする予定をしておつたのでありますが、時間の関係でこれを省略したようなわけであります。農業の改良発達をはかる上におきまして、農業に関する試驗研究機関及びその技術の指導体制を確立することの必要なることは、申すまでもないのでありまして、この点は賛成をするのでありますが、要はその内容と効果いかんということになるのでありまして、同法律の第二章に農業に関する試驗研究の機関に関する事項が定められております。これによりますと、資金の交付を受ける方の試驗研究の機関は、全國都道府縣の試験場及びその他のものを合計いたしまして、七十五を超えることができない。こういうことになつております。これは現在の各農事試驗場を画期的に整理をするというのでありまして、今日農林省には、農業あるいは園藝、茶、畜産というような方面の試驗場が非常にたくさんある。おそらく國のものが五十箇所くらいあると思います。またそれに各都道府縣の農事試驗場が、本場とか分場とか試驗地とかいうようなものを合せると、約二百六十くらいあるでしよう。またそれに畜産関係のものが百二三十あるように聞いております。その上に農林省地方に設置しております農業改良研究所というものが、約百箇所くらいある。合計して國の分が大体百五十箇所くらい。都道府縣のものが約四百箇所くらいある。合計して五百五十箇所くらいあると考えるのでありますが、こういうような状態で相当乱立しておつて、かすばかり多くてその効果という方面を考えると、ずいぶん同じような試驗をやられておるという点から考えて、決して能率的であるとは考えぬのでありまして、これらの試驗場を整理統合するということは結構であると思うのであります。ところがこれらのものを整理統合するだけでは、非常に物足らぬのでありまして、画期的にこういうふうに整理すると同時に、その内容、試驗研究の設備その他の充実をはかる。そうして眞に農業改良助長のために、うんと効果があがるようにするというところの努力がなされねばならぬと思うのであります。ところが予算を見ますと、そういうような点が見られぬのでありまして、これは私は非常に遺憾に存ずるのでありますが、この点について御所見を承りたいと考えるわけであります。
  124. 山添利作

    ○山添政府委員 これに関する経費としてあげてございますのは、本年度は五億円、これはもつぱら技術の普及に関する経費でありまして、試驗研究に関する経費從來のままでございます。試驗場の整理統合につきましては目下審議をいたしておるのでございます。それから試驗場を能率的に運営しますと同時に、新らしい項目等についても、必要なものについてはやはり試驗をやつていく。だんだん根本的なものも取上げていくという考え方をいたしております。それらのことにつきましては、新しい農業改良局が設置をされ、有能なる專門家が設置されましで、関係方面あるいは大学等とよく協議をいたしまして、新しい観点に立つて試驗研究の計画項目等を選定いたしまして、所要の予算を計上してもらいたい。本年度におきましては規定の予算のほかは、とりあえず予備金を要求することになると思いますが、來年度からはまたさらに多くの経費を要求していきたいという考えをもつております。試驗研究に関する予算は、今申しますようにこれからの問題でありまして、今のところまだ予算面に現われていないのでございます。そういう事情で將來の御期待をいただきたいと思います。
  125. 今井耕

    今井委員 本年のところは從來通りの予算程度というお話であつたのでありますが、このままでいくと、今のところではとにかく七十五以下に減らす。この勘定でいくと大体一府縣に一試驗場ということになると考えるのでありますが、実際はそのままに残しておいて、場長だけを一人にしておいて、あとは分場か何かにして名目だけを残して、実際は前と同じようなことになつてしまうのではないか。こういうことになつてきまして、一向画期的の成績があがるようなものにならないということを心配するのでありまして、こういう整理を行うとともに設備ということについて画期的に充実をはかつていく。そうしてほんとうに現在及び將來の農業の改良発達のために貢献するものにしなければならぬと思うのであります。農村としては、こういうものを中心としてやつていくよりほかに頼るところは何もないのであります。今日農村に対しまして、供出など相当無理をしてやられておる。そして農産物の價格なども非常に低く抑えられておる。今日の農村はここ二、三年前の農村と比べてみますと、もうほんとうに経済的に行き詰まつて、水のみ百姓の状態に陷りかけております。なおこの食糧の不足する時期においてそうである。今後相当食糧がはいつてくる。そして食糧の自給ができるという時分になつてくると、またこれで百姓がより一層困る。こういうことになるのは明白であります。それで今日こういう食糧不足の時期において農村が犠牲になるということもやむを得ないと思いますが、同時にやはり將來いかなる時期が來ても立つていくところの試驗研究ということについては、この際思い切つてやるということでなければならぬと思う。そういうことがなされずして今日の農村に対する各種の制度をやつていくということは、ほんとうに農村を搾取していくということになつてしまう。そうして先が見えないということになる。この点を私は心配するのであります。從つてこういう方面への経費はとくと要求して、こういう試驗研究機関の内容の充実をはかつていくということでなければならぬということを、痛切に感ずるのでありまして、この点私は非常に遺憾に感ずるのであります。ただいまの答弁によりますと、來年からというような御答弁でありましたが、一日も早く実現されることを切望しておく次第であります。  次に法律の第三章に農業に関する普及事業に関する事項が出てきておるのでありますが、これに関連した問題といたしまして、昭和二十年度から政府におきまして農村に対するあらゆる獎励事業を整理いたしまして、三箇年計画——昨年から四箇年計画に変りましたが、全國に千数百箇所の技術指導農場を設置してきた。そして各府縣及び地元の市町村などもこれに協力して多大の犠牲を拂つてきたのであります。にもかかわらず本年度においてようやく完成してこれから実績をあげていこうという際に、突如としてこれを廃止することになつたということは、まことに遺憾にたえぬのであります。私はこのようになりました事情につきましては詳細承知しておるのであります。從つてこれについていろいろ追究するものではないのでありますけれども、今日までの指導農場の制度が惡いものであるということは絶対に考えられません。これは相当誤解があつた。こういうふうに私は考えておるのであります。今日日本の農民の指導というような面から考えまして、口先でやつているのではだめでありまして、目にものを見せて普及をはかるということが必要なのであります。この点からいつて技術指導農場というものは非常に有意義のものであるのでありますが、これもやむを得ないと考えます。それはそれといたしまして、今まで國がこういうふうに設置をしてきたのである。これを今度廃止する。廃止してあとを放任するということでは困ると思うのであります。農村といたしましては、せつかく今まで犠牲を拂つてきたのである。從つてこれを放つてしまうというわけにいかぬのであつて、何とかこれを有効に使うていくということについて心配しなければならぬのであります。從つてこれを有効に使つていくについては、またその上に犠牲を拂わなければならぬ。それについてはやはりある期間、今までやつておつた責任者としてその心配をしていくということが当然であると考えるのであります。また廃止に伴うところのいろいろな処置につきましても、相当責任があると考えるのでありますが、この点につきましてどうお考えであるか、この点をお伺いしたいのであります。
  126. 山添利作

    ○山添政府委員 試驗研究機関の能率発揮のためにする整備につきましては、相当の方法をもつてこれにかかつております。目下審議中でありまして、この問題は御承知のように愼重に考慮しないといけない。しかしただいまの予算には真に合つていない、こういう意味でありますから御了承願います。それからかつての指導農場の処置でございますが、これは地元の関係農民の自由なる意思に任せる。そして試驗場として使いますなり、あるいは種畜放牧場とするなり、あるいは農産加工場として使うなり、何でも農民諸君の実際上の利益になるような方法で、地方々々で適切な轉換を考えてもらうということにいたしております。ただその場合に金がいるじやないかということでございますが、もとよりある程度の金は要すると思います。それにつきましては通常のルートによる金融、またさいわいに特別の農民に対する融資制度がこの國会において成立いたしますれば、その方面で考えまして、農民の方に指導農場の施設が今後十分に役立つていくようにいたしたいと考えております。
  127. 今井耕

    今井委員 指導農場のあとの措置の問題でありますが、なおほかに今日までの指導農場の職員が相当やめなければならぬ者ができているのであります。これは一應次に普及技術員ができるのだから、それに肩替りをすればいいのだ、その数がほぼ同数だからそれでいいのだという解釈もつくのでありますが、これは國全体から言えばそういうことになるかもわからぬけれども、府縣によりまして指導農場の中絶してあつた所は後始末がつかぬのであります。こういうものについては何とか心配しなければならぬという問題に遇つております。なおまた各指導農場、これは相当継続されるものであるということを見越しまして、設備なんかはだんだん物が高くなるし、金を融通してきて一日も早くやろうという考えで設備をしたために、相当負債をもつておるという事実もあるのであります。こういうこともいよいよ廃止ということになつてくると非常に後始末に困るという問題があるのでありますが、こういう点についていかようにお考えになつておいでになるか、この点をお伺いしたいと思います。
  128. 山添利作

    ○山添政府委員 人の点につきましては、新しく置きますものは本年度二級官、三級官合わせまして五千名、それから雇員が千五百名。これは全國を通じての話であります。金を割り振りますにつきましては、各府縣の農家戸数並びに耕地面積を標準にして、いわば機械的な計算で配付をいたします。人数から申しましても、今まで指導農場におりました技術員はせいぜい四千名足らずであろうと思います。また金の点におきましても今回五億円でございまするが、これはもつぱら人員の設置、また委員会の費用でありますとか、あるいは印刷物の費用とか、もつぱら人を置いて技術を普及するということに伴う費用でありますので、いまの人の点については何ら心配は要らないと考えております。それから借金のある問題、これは借金と言いましても、その施設になつておるわけであります。從つて地元の市町村單位の協同組合の連合会なら連合会、これは任意の組合でもよろしゆうございますが、これが指導農場の施設を承継する場合には、それだけの施設を引継ぐのでありまするから、負債の方も引継ぐ。バランスはとれておるわけでありますから、そういう措置でもとるというふうにしたらどうかと考えております。
  129. 中原健次

    中原主査 それでは本会議の方で決選投票があるよしでありますから、しばらく小憩いたしまして、決選投票終了後ただちに再開して続行いたします。     午後四時四十三分休憩      ————◇—————     午後六時三十三分開議
  130. 中原健次

    中原主査 休憩前に引続きまして会議を開きます。
  131. 角田幸吉

    角田(幸)委員 ミシンの縫製加工について、商工政府当局はどう考えておられるか。今の生産能力の向上、將來への見透し、こういうものについて承りたいと思います。
  132. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 今日のミシンの國内の設備でございますが、御承知通り縫製加工の事業をやつておりまするミシンにつきましては、いわゆる登録制度を布きまして、登録されたミシンに対しまして必要な原反の配給をいたしておるのでありますが、大体今日のところでは登録されたミシン数が約十六万六千台くらい戰前はありました。その後の調査によりますと、最近は御承知の軍が保有しておりました軍需用のミシンが國内に放出されておりますので、これが最近の調査にまりますと、約十九万台くらいになつております。今日は特に國内の縫製品だけがこり方面に原反の配給がある程度でございまして、現在の状況でまいりますと、おおむね二割そこそこ、三割くらいの操業率になつておるように見受けられるのであります。從つて極力これらの國内のミシン設備を、輸出貿易輸出加工に活用するということがきわめて望ましいところでもございまするし、また一面加工すればするだけ外貨獲得の面から見ましても望ましいのでありまして、でき得る限り海外の需用をまつておるのでありますが、今日のところはいろいろと貿易契約その他の手続関係もありましようが、未だその縫製品としての注文はあまりないのでありまして、わずかに御承知のメリヤス製品が海外に出ておる、その縫製加工程度でございます。從いまして最近輸出用綿布類がある程度滞貨もいたしておりますし、殊に輸出用綿布のうちで一号品でない、二号品もある程度できておりますので、これらの輸出綿布をなるべく加工いたして海外に輸出いたしたい。こういう趣旨のもとに、最近ようやく司令部の國内に加工することの了解を得まして、第一回、第二回、第三回と許可を得ましてその縫製品のいわゆる見込生産を現在やつております。近く第四回が許されるのでございまして、今までのところでは大体五百二、三十万ヤードの原反が縫製品として見込生産をいたしております。特に輸出品でございますので、國内の縫製工場の中でも、その設備あるいは輸出品をつくつた経驗があるといつたような優良工場を、業界並びに役所方面でも現場調査を全部いたしまして、さしあたり約三百六十工場を選定いたしまして、今申し上げますような布帛製品の見込生産割当を終りまして、現在生産いたしております。私どもといたしましては、極力これらの國内の縫製工場を活用いたしまして、できる限り縫製品としての輸出に充たい、こう考えている次第でございます。
  133. 角田幸吉

    角田(幸)委員 今の十九万台ばかりのミシンが、操業しているものがわずかに二割、これは一年間くらいの間に全部操業するというような手は打てないものであるか。それについて考えていないかということを伺います。
  134. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 この登録されました約二十万に近いミシン設備を、現在のところといたしましては、國内向けのものもまたきわめて少い。なるべく消費者の立場から言いますと、縫製加工したものより自己の希望するものをみずからつくりたいというので、國内向けといたしましては、相当原反で配給することを希望しておられます。今申し上げましたように、輸出の大量注文は現在のところまだまいつておらないのでありまして、わずかに今申し上げたような程度のものを見込生産で、輸出品の見本としてとりあえずつくる。またそのうちの一部が賣れるならばそれを輸出いたしたい。こういうことでございまして、さしあたりのところといたしましては、大体年間を通じまして、現状では大体三割程度操業しかできないのではなかろうかと予想いたしております。
  135. 角田幸吉

    角田(幸)委員 その三百六十工場、これは地域的に、縣別に、分布はどういうふうになつておりますか。
  136. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 やはり大体においては大阪、東京、名古屋というような大都市が大部分でございます。なお各府縣で二工場ないし三工場というような所もありまして、工場の分布につきましては、各府縣別について、御必要であれば、選定工場数の表を差上げたいと思います。
  137. 角田幸吉

    角田(幸)委員 岡山はいかがですか。
  138. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 岡山縣の工場数か何工場選定してございましたか、ちよつと記憶がありませんが、後ほど資料によつて調べて御報告いたします。
  139. 角田幸吉

    角田(幸)委員 それでは、まだ分布の状態その他からみると、きわめて杜撰であり、もつとこの問題については十分研究をしていただかなければならない。たとえば大阪だとか名古屋だとかというものを漫然と承りましても、これは工場の数は別といたしましても、この程度のことは、もつと常識的にすぐ出るという程度にまで御用意していただきたい。そうでなければこの問題は解決できないと思うのであります。それで承りたいのでありますが、東北地方、北海道、こういう方面に今原反で農業用として配給しておりますが、たとえば岩手縣なら岩手縣というところに配給しております。あれは岩手縣なら岩手縣のミシン工場に原反で送つてやるのが本來であるが、それを原反ではなく、加工したものを送つて、そうして一面においては設備をしておるミシン工場は休んでおるというような現状になつております。これはどうしてああいうことになつておるのかということをお尋ねいたします。
  140. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 ミシン工場に対しまする原反の配給は、それぞれ作業衣、学童服あるいは布帛製品等の配給計画を基礎にいたしまして、それぞれの品種別生産計画をいたしまして、その品種別生産計画に基いて、その類別登録を受けたミシン工場に対しまして生産割当をいたしておるのでございます。從つてその類別による割当につきましては、すべての工場に公平に割当をいたしておるのでありまして、たとえば作業衣の登録を受けた工場には、布帛製品が場合によつてはいかないということになりまして、從つてかりに岩手縣等におきまして、それぞれのミシン工場が登録を受けた類別に從いまして、その生産計画に計上されたものは公平に行つておるわけでありまして、その登録を受けた設備に対して全然配給がないということはないと思います。
  141. 角田幸吉

    角田(幸)委員 私のお尋ねせんとするところは、登録されだものに全然配給がないということを言うのじやありません。私がお尋ねを申し上げたいことは、たとえば宮城縣なら宮城縣の縣内において農業用の繊維品を得る場合に、原反でやるのが原則である。原反でやつて、その縣内において加工をして、そうして配給する建前でなければいかぬと思います。ところが、たとえば宮城縣などで、具体的に申し上げますと、三分の二以上もほかの方で加工しており、三分の一だけしかやつていない。そこで從來つておりましたところのミシン工場というものは、たとえば五十台あるものを五台か三台使う。そうして抱えておつたところの職工を休ませておるという現状である。私はどうしてそういうことになつておるのかということを先刻お尋ねしたのであります。
  142. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 各縣別に配当をいたしまする衣料品計画は、原反で配給するもの、あるいは衣料品としてでき上りましたものをそれぞれ品目別に決定をされておるわけでありまして、供米報獎用その他の農村リンク物資として配給するものは、それぞれ品種別に安定本部において決定されてまいつておるのであります。從つて供米報獎用等に放出されます綿布あるいは人絹、スフ織物、絹織物といつたような原反につきましては、それは原反として各農家に配給することになつておるわけであります。從つて布帛製品あるいは作業衣といつたような、製品として配給するものにつきましては、それに即應する全國のミシン工場については、甲乙をつけず公正に配給して、そのできた製品を各府縣に配当する。こういうことになつておるのでありまして、この府縣に割当てらわた衣料品のすべてを原反で府縣別に割当て、その府縣別に割当てられたものを、府縣にある縫製工場で縫製させる、こうい建前にはなつておらないのであります。
  143. 角田幸吉

    角田(幸)委員 なつておらないのでお尋ね申し上げたのですが、どういうわけでそういうことになつたのか、それ以上追究してもそういう制度になつておる、こういうわけだから、これ以上申し上げません。そこでお尋ね申し上げる観点は、たとえば大阪だとか、岡山だとかいう方面の今たくさんのミシン工場があります方は、これは工具を他の方に轉業させ、利用させることも十分できるのであります。ところが農村地域にあつた工場におきましては、これは轉業させる方法がないのであります。そこでそこから非常な失業問題や工場の休業が起る。そういうものをねらいとして、やはりその縣別に、縣内で原反で配給し、そしてそれが加工されていく、だから配給されるものは、なるべく縣内においてそういうように操業させることができないものかということをお尋ね申し上げるのでありますが、これはいかがでありますか。
  144. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 縫製業者といたしましては、もとよりその縫製工場ができるに至つたいろいろの環境、立地條件等もございましようが、資材割当につきましては、やはりその工場の設備あるいは工場生産実績といつたような点を基礎にして、各業者個々について公正に配給することが必要でございますし、またそういうふうな考え方から、各地区別にその從業員の轉職が容易であるかどうかどうかというような点について考慮いたしませんで、現在の設備に対して公正に配給することがどうしても必要でございますので、その結果として工場の失業者が容易に轉換し得るところと、あるいはその就業先にかなり困難のあるような地方とあるかと存じますが、それが現在あります設備とその実績を基準にして、各業者間に公正に配給するということがどうしても必要でありまして、そういう建前から今申し上げたような配給割当方式をとつておるのであります。
  145. 角田幸吉

    角田(幸)委員 大体なさんとする意図はわかりました。そこで申し上げたいことは、これは一ミシンの問題でありますが、今後たくさんこういう問題が起つてくる。全体としてこういう問題について商工省当局に考慮を拂つていただきたい。二、三割の操業しかしていないという問題は、私の知つている限りにおいては岡山などは相当あると思つております。ああいう方面におきましては、別の方の利用がすぐできる。ところがこの問題について商工省当局の熱心がきわめて足らぬ。都会にはいるには今異動の許可が要る関係から、百姓になれぬ人は非常に困つておる。そういうところを相当考えてほしい。そういうことについての予算考慮がない。商工省の予算を拜見いたしますと、ほんとうにお座なりであるという感がさせられる。これは單にミシンの問題には止まりません。この問題について商工当局に大いに考えていただきたいものがあるので、この際特に発言を求めて、予算に少し関係がないと思われる点もありましようがお尋ね申し上げたのであります。  それからもう一つ承りたいのでありますが、商工省の公共事業費の内訳であります。小さいようですが、やはり小さいものが大きな問題になりますから、お聽きしておきたい。
  146. 正木清

    正木政府委員 商工省関係の直接の公共事業費として本予算に組まれておるものは一千三百万円で、この内容は常磐炭田における坑内の排水費の助成費であります。その他直接商工省の予算としては計上されておらぬのでありますが、石炭開発のための道路の開拓費、これは建設院関係でありますが、一億円組まれておりまして、実質的には商工省が恩惠を受けるということになつております。もう一つは運輸省所管の予算関係になるのでありますが、六億円で、これは主として港湾に必要な経費でございまして、この六億円の中で鉱山の鉱物の輸送等において直接商工省関係がその方面の恩恵を受けるということでございます。
  147. 角田幸吉

    角田(幸)委員 この六億の割合をお話願いたいのでありますが、これは建設院関係の港湾問題についてどういうふうに公共事業費として出すのでありますか。
  148. 正木清

    正木政府委員 土木関係の一億円はその主管は建設院で事業がなされるのでございまするが、ただいま申し上げましたように、この予算は石炭の開発のために必要な道路の開拓費でございまして、実質的には全部商工省が恩惠を受けるということでございます。それから港湾関係の六億円については、運輸省所管でございますから、この割合をと申されましても、商工省が直接この予算からいくらもらつて独立した港湾を改修するなり、新しくつくるということではありませんが、鉱山の鉱石を輸送する等の場合におきまして、商工省から運輸省に結続いたしまして、この港湾で鉱石の輸送のために、ここをかように修理してもらいたい、ここをさらに拡張してもらいたいというようなことで、これから受ける恩惠は相当大きいものである、かように考えております。
  149. 角田幸吉

    角田(幸)委員 公共事業費は御承知通り、安本の認証が要るのでありまして、これは結局直接認証をとるのは建設院であり、また運輸省なので、商工省は直接そのことにどういうふうに参画されるのでありますか。
  150. 正木清

    正木政府委員 お説の通り常磐関係の一千三百万円だけは、認証を受けております。
  151. 角田幸吉

    角田(幸)委員 商工省で……。
  152. 正木清

    正木政府委員 そうであります。
  153. 角田幸吉

    角田(幸)委員 そこで心安くきわめて簡單なことを申し上げるかもしれませんが、実質的なものは今の常磐炭鉱などの一千何がしの公共事業費、これは先ほど私がミシンのことをあげたのですが、商工省が本然の中小商工業の発展をはかるためには、どうしてももつと公共事業費を考究して、予算をとつていかなくてはいけないと考えるのでありますが、商工省当局はこのことについてどう考えておられるか。それをひとつ承つておきたいと思います。
  154. 正木清

    正木政府委員 まつたく御意見の通りでございます。この点に関しては、私も強く大臣に意見を申し述べておいたのでございまするが、今年度の予算編成にあたつて、國家財政の建前から、商工省関係としてはこのような計数に終つたわけでありまして、私としては御意見にまつたく同感であります。
  155. 角田幸吉

    角田(幸)委員 遅くなりますから、大体この程度で打切ることにいたしまして、あと農林関係にはいつていただきたいと思います。
  156. 今井耕

    今井委員 農業改良助長法に伴う普及技術員の設置についてお伺いしたいと思うのであります。これは予算においては農業技術浸透費五億八百八十七万円に該当するものであります。これは農業技術指導農場の廃止に代るべきものと考えられるのでありますが、本年度設置される技術員の数は約五千名と承つております。雇を入れて約六千五百名、そうして二、三箇町村に一名の割合で配置して、農業技術の普及に当らせるというのでありますが、これははなはだ不徹底のものであることは、從來の実例から考えて明白なことであるのであります。二、三箇町村に一人というような方法は責任者の所在を明確にしない、それがためにあぶはちとらずになりまして、非難の的になるのは、今日まですでに経驗済みのことであります。一方政府は、今日まで農業の改良、発達をはかるために、市町村の農業会の技術員、一市町村当り二名ないし五名の設置に対して助成をしてきたのでありますが、農業会の解散農業協同組合の設立に伴いまして、これが全廃されました今日、農業技術の普及機構は非常に弱体化されております。食糧確保の最も必要な今日におきまして、これに代る政府の努力は講ぜられておりません。右のような事情を考えまして、今回設置される普及技術員の数は、最小限度農家戸数数百戸に対して一名ぐらいの割合で設置し、これを農業協同組合に配置して、農業技術の普及、民主的農業協同組合の発達に資すべきであると考えるのでありますが、これに対してどういうようなお考えであるか、所見を承りたいと思います。
  157. 大島義晴

    ○大島政府委員 農業技術の改善、普及ということは、農業にとりましてはきわめて重大なことであります。從つてその筋におきましても、特にこの面には非常な力を入れてくださることも事実であります。ただ日本民主化の前提としての農業会の解散、あるいはその他過渡的な現象として、いろいろな事実が起つておるわけであります。しかし御指摘のような地方の指導農場等の職員に関しましては、一應これを廃止はいたしますが、できるだけ農業改良ということを考慮に入れてまいりまして、むしろ、技術的な指導は今日よりさらに一層強化してまいりたいと考えておるわけであります。ただ私もかつては農業組合に関係をもつておつた者でありますが、戰時中にあまりにも粗製の技術員がないでもなかつたのでありまして、こういうものと長い間技術指導をした人との比較はちよつととれない。そこでこういう方々に対しては技術の再訓練をし、完全な農業技術指導者として、今後農村の技術方面の指導に当りたいと思つておるわけでありますし、さらにただいま別途に提案しております農業改良等の案につきましては、農業技術の面だけでなく、農民の生活の内容の指導までいたしたい、かように考えて廣汎な指導をいたしてまいりたいと考えておるわけであります。
  158. 今井耕

    今井委員 農業改良助長法案を見ますと、これらの技術員の設置に対しましては、今年度は初年度であり、かつ急速なことであるために、その費用の全額を地方に交付することになつておりますが、來年度からは必要経費の三分の二以内を交付するということになつております。今速急というわけにはいきませんので、今の場合不満足ながらこれを了承せざるを得ぬのでありますが、近き將來において、少くとも一万五千名以上の普及技術員を設置いたしまして、これをはつきりと農業協同組合に配置いたしまして、そうして眞に農民のために農業改良発達のために資する。こういうことが最も必要であると考えるのであります。なおこの問題につきましては、ややもするとこれらの普及技術員が、國から助成を受けておるという立場から、都道府縣や市町村のいろいろの農業行政方面に使われるような心配がなきにしもあらずであります。もしこれらの技術員が農業行政方面に使われるようなことがありますならば、これは農民との間の関係が疎隔をいたしまして、眞に農民のための必要な普及ができないということになるのでありまして、実はこの法律にそういう事項をはつきりと明記すべきであると考えておつたのでありますが、こういう点につきましてどういうような方針をおとりになるか。この点をお伺いいたしたいと考えております。
  159. 大島義晴

    ○大島政府委員 將來の日本農村が、多角的な経営と集約的な経営をして、極度に能率をあげてまいらなければ相ならんことは申すまでもないのであります。從前の通りの有様におきましては、ある種の技術員は二、三箇町村連合で、たとえば畜産の技術員のごときは、連合で一人の技術員で間に合わせておつた実例があつたのでありますが、少くとも有畜農業の盛んに唱道される今日におきましては、各町村に当然一人の技術員をおかなければならぬと、こうも考えておりますし、この技術員の問題に対しましては、ただいま政府は最大の関心をもつてあらゆる努力を拂つておるわけでありますが、他省との関係上なかなか予算等において私どもの考えておる通りにばかりまいらぬことははなはだ残念な次第でありますが、できるだけ御指摘のような事実もありますので、御希望に副いたい計画をもつておりますし、今後ともその点において格別の御援助をお願い申し上げておきます。
  160. 今井耕

    今井委員 農業行政に関する点はいかがですか。
  161. 大島義晴

    ○大島政府委員 技術員の技術指導につきましては、ただいま申し上げた通り、專任の技術をもつ者を当ててまいりたいと思つておりますし、午後はそれを多角的に極度に能率を発揮していただき、他の方面にはそう使おうとは考えておりません。
  162. 今井耕

    今井委員 ただいまの御答弁ではまだはつきりしておりませんのであります。政務次官はまだはつきりその点御承知でないかもしれませんが、この点はよほどはつきりしておかなければ困ると思うのであります。どうかひとつこの点を善処せられんことを望みます。  次に農村電化の問題であります。今日農業電力の料金が一馬力百八十円というようになつておりますが、今度これが三倍になりまして、一馬力一箇月間五百四十円となりまして、これは使つても使わなくても毎月一馬力五百四十円ずつ拂わなければならぬということになりまして、農村電化の上におきまして非常な支障を來すことになるのでありますが、これについて何とかもう少し基本料金を下げるような点について、考慮がなされなければならぬと考えるのでありますが、これに対してどういうお考えをおもちでありますか。
  163. 大島義晴

    ○大島政府委員 電力料金が実はそれほど高いとは、私自身も使つておりますがまだ存じなかつた。ただいま御指摘の通りだといたしますならば、農村電化が非常に阻害されると思うのであります。しかしこの電力も卒直に申し上げると、共同作業等によつて相当カバーできるとは思いますが、しかし御指摘のように高い電力料金でありますと、農村電化を非常に遅らせることは事実でございます。これに対してはできるだけ努力いたしまして、料金の引下げ、あるいは特定料金の設定等に努力いたしたいと考えております。
  164. 今井耕

    今井委員 ただいまの電力料金の点につきましては、格別の御配慮を願いたいと思います。なおいろいろ質問いたしたい点もありますが、時間の関係がありますので、これで私の質問を打切ります。
  165. 中原健次

    中原主査 これで散会いたします。     午後七時二十一分散会