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1948-06-29 第2回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科員昭和二十三年六月二十一日(月曜日) 委員長指名で次の通り選任された。    主 査 稻村 順三君    副主査 田中源三郎君       青木 孝義君    淺利 三朗君       植原悦二郎君    庄司 一郎君       西村 久之君    鈴木茂三郎君       田中 稔男君    田中 松月君       中崎  敏君    米窪 滿亮君       梅林 時雄君    小坂善太郎君       大神 善吉君    東井三代次君       野坂 參三君 ―――――――――――――――――――――   会議 昭和二十三年六月二十九日(火曜日)     午前十時五十六分開議  出席分科員    主 査 稻村 順三君    副主査 田中源三郎君       青木 孝義君    淺利 三朗君       植原悦二郎君    庄司 一郎君       西村 久之君    田中 稔男君       田中 松月君    中崎  敏君       成田 知巳君    川崎 秀二君       小坂善太郎君    東井三代次君       野坂 參三君  出席政府委員         総理廳事務官  齋藤 常勝君         宮内府次長   加藤  進君         宮内事務官  塚越 虎男君         経済安定本部副         長官      堀越 禎三君         総理廳事務官  澁江 操一君         総理廳事務官  美濃部亮吉君         法務廳事務官  岡原 昌男君         大藏政務次官  荒木萬壽夫君         大藏事務官   大槻 義公君         大藏事務官   正示啓次郎君         大藏事務官   忠  佐市君         大藏事務官   伊東  隆君  分科員外出席者         衆議院参事   山崎  高君         最高裁判所会計         課長      吉田  豊君         会計検査院総務         課長      小峰 保榮君         法務廳事務官  池田 浩三君         法務廳事務官  松本 貞夫君         大藏事務官   小熊  清君         専門調査員   小竹 豊治君 六月二十六日分科員梅林時雄辞任につき、その 補欠として川崎秀二君が委員長指名分科員に 選任された。 同月二十八日分科員米窪滿亮辞任につき、その 補欠として成田知巳君が委員長指名分科員に 選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十三年度一般会計予算皇室費国会裁判所会計検査院総理府法務府及び大蔵省 所管  昭和二十三年度特別会計予算総理府及び大蔵所管     ―――――――――――――
  2. 稻村順三

    稻村主査 これより予算第一分科会を開会いたします。  本分科会は、総予算皇室費国会裁判所会計検査院総理府法務府及び大蔵省所管並びに他の分科所管以外の事項であります。この審査期間は、本日中でありますので、大蔵省所管は午後にまわし、その他のものについては、午前中に審査を終りたいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 稻村順三

    稻村主査 御異議がないようですから、まず皇室費より御説明お願いいたします。宮内事務官塚越虎男君。
  4. 塚越虎男

    塚越政府委員 昭和二十三年度予算案皇室費につきまして、御説明を申し上げます。  皇室費は御承知の通り内廷費宮廷費皇族費にわかれておりますが、その昭和二十三年度予算額は五千八百七十八万五千円でありまして、昭和二十二年度予算額に比較し、二千七百十三万三千円の減少となつております。右のうち、内廷費は二千万円でありまして、前年度に比較し一千二百六十六万七千円の増加となつておりますが、これは天皇、皇后、皇太后三陛下、皇太子殿下並びに内廷にあられるその他の皇族の方の日常の御費用、その他の内廷諸費所要経済情勢推移に即して計上いたしたものでございます。  次に宮廷費は三千六百八十九万五千円でありまして、前年度に比較して八百十九万三千円の増加でありますが、宮殿等維持管理費用その他宮廷用務遂行上必要なる経費を計上いたしたものでございます。  次に皇族費は百八十九万円でありまして、前年度に比較し四千七百九十九万三千円の減少となります。これは皇族三宮家に対し、年額により支出するものでありますが、経済情勢推移に顧み、皇室経済法による定額を三十六万円といたしたものにより算出した金額を計上しております。なお前年度に比し激減いたしておりますのは、前年度においては皇籍を離脱せられました皇族方に対する一時金等を計上いたしておつたためであります。  なお前に申し述べました内廷費及び皇族費は、皇族経済法に基いて支出されるものでありまして、その定額を定めておる皇族経済法施行法改正法律案が別途提出せられ、目下御審議願つておる次第であります。
  5. 稻村順三

    稻村主査 次に国会予算説明を願います。衆議院庶務部長山崎高君。――お見えになつておらないようですから、次に最高裁判所会計課長吉田豊君。
  6. 吉田豊

    吉田説明員 裁判所所管昭和二十三年度予定経費要求額について御説明申上げます。  昭和二十三年度裁判所所管予定経費要求額は、二十億百十八万九千円でありまして、これを前年度予算額五億三千三百万七千円に比較いたしますと、十四億六千八百十八万二千円を増加いたします。右経費のうち、重要な事項について御説明申上げますと、次の通りであります。  一、最高裁判所及び下級裁判所機構維持及びこれらに伴う事務を行うため必要な経費三億六千四百六十万五千円、これを三つの科目にわけておりますから、それを申し上げますと、そのうち五千四百五十三万九千円を最高裁判所に、三千五百九十九万四千円を高等裁判所に、一億五千六百二十七万四千円を地方裁判所に、一億一千七百七十九万八千円を簡易裁判所に計上いたしました。  二、家事審判法施行に伴い裁判事務処理するために必要な経費四千二百十五万八千円のうち、十二万四千円を最高裁判所に、四万一千円を高等裁判所、三千五百十二万七千円を地方裁判所に、六百八十六万六千円を裁判所共通費に計上いたしました。  三、図書及びその他の図書館資料を蒐集し、国務の遂行に資するとともに、法律に規定する図書館奉仕を提供するのに必要な経費三千七十五万四千円を国立国会図書館支部図書館に計上いたしました。  四、裁判所庁舎戦災復旧工事並びに簡易裁判所及び家事審判所庁舎の新営工事等のため必要な経費四億七千三百四十九万九千円を裁判所共通費に計上いたしました。  五、裁判所職員給与改善を図るため必要な経費五億八千六百四十万八千円を裁判所共通費に計上いたしました。  六、昭和二十三年度における価格補正等に伴い生ずる予算不足を補充するに必要な経費一億七百三十三万八千円を裁判所共通費に計上いたしました。  七、裁判所法の規定にもとずく予備として八百万円を予備経費に計上いたしました。以上は昭和二十三年度の裁判所所管予定経費要求額について大要を御説明申上げました。何とぞ御審議の上議決あらんことをお願いいたします。
  7. 稻村順三

  8. 小峰保榮

    小峰説明員 お手もとに配付いたしました資料について御説明申し上げます。  昭和二十三年度の歳出予算要求額は一億千百十七万八千円でありまして、その主なるものは、行政部費におきまして官吏給千五百七十一万九千円、手当及び給与金、これは主として勤務地手当でありますが千八十五万七千円、旅費、これは実地検査に要する経費であります。千四百五十七万円、消耗品費二百六十九万円、役務費三百三十二万に千円、備品費二百万円、行政共通費におきまして、手当及給付金家族手当及超過勤務手当八百七十四万九千円、給与特別措置費三千五百六十五万千円、価格補正等補充費におきまして千七十九万二千円等を計上しました。これを前年度予算額二千二百七十七万円、予備金支出額千八百四十二万八千円、合計四千六百十二万八千円に比較いたしますと、六千五百五万円の増加となりますが、その増加の主なるものについて説明いたしますと、官吏待遇改善に伴う増加四千五百五十七万八千円、旅費定額改定及び実地検査充実に伴う増加千六十八万五千円、物価改定に伴う増加千七十九万二千円、国立国会図書館支部設置に伴う増加十万円、その他の増加三百三十万二千円等でありまして、前年度において機構拡充に伴い要しました初度設備費五百四十万四千円を減じますと、差引前掲の六千五百五万円の増加となるのであります。  はなはだ簡単でございますが、御質問等ございましたら、お答いたします。よろしく御審議お願いいたします。
  9. 稻村順三

  10. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 総理府所管昭和二十三年度歳入歳出予算の概要について、簡単に御説明申し上げます。  歳入昭和二十三年度予算におきましては、二百十七億六千八百七十九万九千円、前年度の予算八十八億七千三百十三万二千五百四円に比較いたしますと、百二十八億九千五百六十六万六千四百九十六円の増加になつております。  次に歳出につきましては、昭和二十三年度予算額は千五百五十四億四千四百四十七万五千円でありまして、前年度予算七百九億八千三百万五千円に比較いたしますと、八百四十四億六千百四十七万円の増加となります。  次にその歳出内訳を申し上げますと、公共事業費四百二十二億四千百六万一千円、地方財政費四百六十二億二千八百八十九万八千円、価格調整費五百十五億円、行政部費三十七億七千八百一万六千円、行政共通費三十六億九千四百六十九万四千円、物資及び物価調整事務取扱費三億八千六百億十万八千円、終戦処理費二億二千五百三十五万一千円、賠償施設処理費一千四百五万二千円、産業経済費一千五百八十一万二千円、司法及び警察費七十三億五千九百九十八万三千円となつております。このうち最初にあります公共事業費地方財政費価格調整費の三者を合計いたしますと、一千三百九十九億六千九百万円強となるのでありまして、全体の千五百五十四億のうち、九〇%を占めております。従いまして、残りの一〇%が行政部費その他となつております。  次に主なる事項について御説明申し上げますと、公共事業費のうち事業費が四百二十億四千百四十二万一千円であります。これは河川、砂防、道路、都市計画住宅等公共事業事業費となつております。残りの一億九千九百六十四万円は、総理府所管公共事業費のうちの公共事業事務費に相なつております。これはすべて建設員事務費となつております。  次に地方財政費、このうち主なるものは、地方分与税分与金四百四十九億一千六百万円であります。これは地方分与税法に基きまして、所得税その他の収入を地方公共団体に配布いたしますために分与税分与金特別会計に繰入れるに必要な経費であります。  次に地方公共団体土木費に対しまする財政補助に必要な経費十億一千七百六十四万に千円、これは土木費借入金、あるいは災害借入金戦災による歳入欠落補填借入金元利補給をいたしますための地方公共団体に対する財政補助であります。  次に価格調整費五百十五億につきましては、申すまでもなく石炭、鉄鋼、非鉄金属ソーダ灰肥料等重要基礎物資につきまして、その価格調整のために出しまするところの補給金であります。次に行政部費について申し上げますと、総理府にはいつております部局の中で、賠償院特別調達院国家公安委員会国家地方警察本部国家消防庁等を除きましたその他の部局基本的経費及び若干の特殊的経費であります。そのおもなるものは、地方における各種統計事務処理に必要な経費であります。これは三億一千三百十五万八千円で、地方庁統計機構整備のために、市町村及び都道府県に対して交付いたしますところの補助金であります。次に建築に関する総合企画建築監督指導助成及び住宅建設等に関する事務等処理に要する経費、十九億四百七十二万二千円であります。このうち十八億は住宅復興資材調達に要する経費でございます。これは申すまでもなく、地方公共団体において施行いたしますところの庶民住宅建設事業を促進いたしますために、その所用資材建設院において調達輸送するために要する経費であります。従いまして、これに対しましては、その費用を回収いたしますために歳入として十七億を見込んであります。次に物資及び物価調整事務取扱費の中でおもなるものは、価格調整公団に必要な経費一億九千八百五十三万八千円であります。これは価格調整公団経費といたしまして、公団に交付する交付金でございます。次に建築及び機械設備設置等の規制並びに炭鉱労務者住宅資材確保等に関する事務処理に要する経費一億六千三百四十六万九千円は、臨時建築等制限規則施行に要する経費であります。次に終戦処理費のうち、総理府に関しまするものは、終戦処理事務費であります。そのうちおもなるものは、連合国軍の需要する建造物及び設備営繕並びに物資及び役務調達に関する事務処理に必要な経費一億九千七百七十六万六千円であります。これは特別調達院基本的経費であります。次に賠償施設処理費のうち、総理府関係あるものは、そのうちの事務費であります。賠償実施に関する綜合的事務及び賠償協議会等運営に必要な経費一千四百五万二千円、これは全額賠償院の基本的な経費であります。次に産業経済費、そのうちおもなるものは、外国貿易使節団宿舎の改装に必要な経費一千三百万円で、これは建設院に所属するものであります。  次に司法及び警察費のうちおもなものは、自治体警察施設費補助に必要な経費五億九千七十五万円、これは新警察制度実施に伴いまして、従来の警察施設国家地方警察に引継がれるものが多くありまして、そのために新たに自治体警察施設整備に要します経費は、相当多額に相なりますので、地方財政逼迫折柄でもありますので、国においてその二分の一を補助しようとするところの経費でございます。次に警察費国庫負担金に必要な経費二十八億九千七百九十七万八千円は、本年六月までの地方における警察費に対しまして、警察法の附則によりまして、連帯支弁金と同様な方法によりまして、国庫においてその二分の一を負担しようとするための経費であります。そのほか司法及び警察費につきましては、国家地方警察管区本部に必要な経費都道府県国家地方警察本部に必要な経費警察学校等維持に必要な経費及び消防庁に必要な経費等であります。  以上簡単でございますが御説明を終ります。
  11. 稻村順三

    稻村主査 次に衆議院予算の御説明を願います。衆議院庶務部長山崎高君。
  12. 山崎高

    山崎説明員 衆議院関係について概略説明申し上げます。  衆議院予算は、運営委員会の議決を経まして、大蔵省に提出いたしておるものでございまして、大体その内訳を申し上げますと、議員に関する経費五千五百五十九万一千円、委員会関係といたしまして一千二百六十六万九千円、事務局に関する経費七千百七十三万三千円、営繕費二億三千三百九十八万八千円、家族手当等が七千六百九十二万七千円、価格補正等特別補充費一千七百四十六万九千七十四円、国会予備金、これは衆議院のみでありますが七百万円、これは予備金の方は、昨年四百五十万円でございましたが、その五割増ということになりました。  ごく簡略でございますが、なお御質問がありますればお答え申し上げます。とりあえず概略説明申し上げます。
  13. 稻村順三

    稻村主査 次に法務府会課長岡原昌男君に法務予算説明を願います。
  14. 岡原昌男

    岡原政府委員 昭和二十三年度法務府所管予定経費要求額について御説明いたします。  昭和二十三年度法務府所管予定経費要求額は、四十五億五千二百余万円でありまして、これを昭和二十二年度予算額二十億四千百余万円に比較いたしますと、二十五億千百余万円の増加であります。  右の要求額中、その事項の重要なるものについて御説明いたしますと、第一は法務庁設置法制定に伴い各部局設置並びに職員の増員に必要な経費一億六千二百余万円を法務総裁官房その他の部局に計上いたしました。第二は現今の各種犯罪事件増加に伴い、検察上の指揮監督捜査等検察庁機構充実強化をはかるために必要な経費三億四千五百余万円を最高検察庁その他に計上いたしました。第三は、隠退蔵事件の摘発及び処理を厳正かつ迅速に行うため、検察機構充実強化をはかるに必要な経費一億二百余万円を、同じく最高検察庁その他に計上いたしました。第四は、自作農創設特別措置法施行等による司法事務局機構充実に必要な経費二億八千七百余万円を、司法事務局に計上いたしました。第五は、刑務所における刑の執行及び過剰拘禁の緩和をはかるとともに、警備施設充実するために必要な経費十六億七千七百余万円を刑務所に計上いたしました。第六は、法務庁設置法による少年保護団体禁止に伴い既設矯正院拡充並びに新設に必要な経費一億八百余万円を、矯正院に計上いたしました。第七は、職員給与改善及び家族手当等に必要な経費十三億七千四百余万円を、行政共通費に計上いたしました。第八は、本年度における価格補正等に伴い生ずる予算不足処理するため三億三千余万円を同じく行政共通費に計上いたしました。第九は、地方公共団体に対する旧陸海軍将校調査追放者監察等、並びに政党、外国人登録及び解散団体財産管理等に関する事務処理に必要な経費を補助するため五千三百余万円を地方財政費に計上いたしました。  以上は大要について御説明申し上げたのであります。何とぞ御審議の上、速やかに議決あらんことをお願いいたします。
  15. 稻村順三

    稻村主査 御質疑はありませんか。
  16. 田中源三郎

    田中(源)委員 私はごく簡単に希望と一、二の点を伺つてみたい。当分科に提出されました予算を短時間において審議するということは不可能であります。従つてそれぞれの予算関係当局は、目下国家財政の窮迫せる事態でございますから、努めて国家財政の面についても、御留意を願つて、適正なる支出を特にこの際に強くお願いをいたしておきたい。これは私の希望であります。しかしながら、民間の実業界におきまする給料と比較いたしますと、日本官庁職員というものは、非常に待遇が悪い。従つて今日の情勢から申しますと、インフレの高進時期における官庁職員生活というものは、はなはだ困難であろうと私ども想像いたしております。しかしながら、現在の給与によつて、努めて国家事務に向つて御留意くださつておることについては、私どもも感謝いたしておりますが、人間の生活には、やはり適正に物を与えていくということが原則で、こう観点から見る場合に、日本官庁におけるいわゆる能率というものは、欧米の官庁と比べて、非常に低いと言わざるを得ない。比較的人を多くして能率があがつておらないのが、日本の長い間の官庁の状況であります。いつかはこの欠点を是正し、これを打破しなければならぬことは、おそらく何人も否定し得ざることであろうと、私は思います。なんかずく裁判所関係司法関係、あるいは会計検査院、文部省というようなところに職を奉ずる者は、公正なる監察、公正なる法の判断を与え、また国民を教養する立場にあつて、おのずから他の企業界における人たちよりも、身を持することに厳でなければならぬ。しかるにこれらに与えるところの待遇というものは非常に悪い。従つて法威信の上に、また法の公正なる適用の上に、また職務執行の上において、私は欠けるところがあつてはならぬと、実は懸念いたしておる。特に一例を申し上げますならば、会計検査院地方庁会計を検査するという場合には、その監査を受けるところのものは、でき得るだけの便宜をはかり、またでき得るだけの努力をこれらの人に振り向けておることは、私はこれは結構なことだと思う。事務監査能率を向上せしむるための努力はよろしいが、しかしながら、これらの人の受ける給与というものは非常に少い。こまかい話をいたすようですが、地方に出張するならば、旅費あるいは宿泊料等において事を欠くだろうと思う。そこで自然地方が剰余のやりくりをして、これらの人たち待遇しなければならぬということもやつておるということは、これは表向き言えないことだが通俗になつている。私はかつて自分政務次官をいたしておりまするときには、与えられたほかには自分資材をもつてすべての監査及び業務の執行をやつてまいりましたが、これは迷惑をかけるということが、いけない。そこで私はこの予算でそうした面の補いがつけられるかどうかを心配する。りつぱに威信を保ち、その方を過たぬようにいたし、同時にその職権を公使する場合に、正しき指向を与えるときには与えるべきものを与えていかなければならぬと思う。ただ大蔵当局がこれだけしか予算がないからということで、予算面で押えつけるということは無理をしているということになる。某判事がマル公を厳守して配給物だけで生活して、遂に自分の生命を断たれたというのも、あまりに法に忠実であつたからであつたとしても、またそれが当然でありましよう。しかし今日の時代においては、私は理屈一本で通そうとは申しません。そこで私はこの面について特にお願いをし、またお答えを願いたいと思うのは、予算は大体やり得られるという面で組んでおる。要不要の見込額予算である。過般来われわれの先輩が当議会において言われた通り所要額を見込み要不要を見込んで、国の歳入をあんばいしたものがすなわち予算である。いわばこれは見込額である。そうして決算に実行額が現われてくる。そこで私はこういう面について、いかに国家財政窮乏なりといえども、必要なるものは要求して、こういうものについて機能を十分に維持しこれを実行し得るということにしていかなければ、ほんとうのりつぱな政治というものは行われていかないと思う。この点について、あなた方はこれでやつていくという確信があつて、この予算というものを提出されたとは思います。しかしこれは経済事情変遷による財界の変遷によつて物価の高騰を来した場合においては、自然その面においての移動が生じてくることは、当然のことでございまするけれども、努めて反面に不要のものを節約すると同時に、要するものの当然額は要求していただきたい。そうしてそれによつて完全なる、また公正なる執行お願いいたしたい。私の今申し上げた点で、確信がないとはお答えできないから、あるとおつしやるだろうが、ひとつ率直に皆さん方の意見でも結構です。別に答えでなくても結構ですが、それができないならば、私は決して今答弁を要求しません。文書でよろしいから、主査を通じて私のところに出していただきたい。今申し上げることは、日本職務執行上におけるところの官紀の振粛の面から見て、最近汽車の中で、ある一人の大阪の商人がいわく、最近の官吏はどうも困る、一番困るところはどこかと聴いてみたら、商工省だ。運輸省は何番目かと聴いたら三番目だ、こう言つた。そういうことがないようにするには、与えるべきものは与えていかなければならぬ。待遇改善はもちろんのことでございますけれども、たとえば出張旅費にしても、私は執行上において足りるのかどうかと心配しておる。要るものはどんどん使つていいと思う。そうして人は働くだけ働いて、とるべきものはとつたらいい。不要な人はやめてもらう。たとえば日本役所の建物一つ見てもその通り、銀行へ行きますと、マネージヤーが真中におり、すべての仕事、窓口をにらんでおつて、その日の計数、いわゆるキヤツシユ・デリヴアリーもチエツクも、ビルも、こんなものをみんなその人にやらしていくが、日本役所へ行くと、小さな部屋がたくさんあつて課長から部屋にはいつてつて、一々ドアをあけて行かなければならぬ。私が大蔵省給与局へ行つたときに、上からずらつと、局長以外の人のいすが一つに並んでおつた。これで初めてこの局は能率があがつてくるなと、焼ける前ですが、考えておつた。建物からその通り、そんなことで能率があがるべきはずはない。スタツフのチーフが出て行つて、みずからが指導するというのでなければ、仕事の能率はあがるべきはずはないと思う。日本事務能率というものがあがらぬことについて、私は一つの書類を決裁するときの判を調べてみたら、二十七押しておつた。二十七の所へ持つて行くまでに、相当の時日がかかる。大体そんなことで能率があがるはずはない。もつと与えるべき権限は与えてやつていかなければならぬ。人を信ずるということでなければならぬ。日本の役人は信ぜぬようにしてある。課長であろうが、係長であろうが、その面においてもつともつと人を信じて、その人に責任をもつてもらう。与えるべきものを与えて、そうしてやつていくということが、ほんとうのビジネスだと思います。この面で私は今申したように、足りなければ足りないで、この問題については追加を要求されてもやぶさかでない。その半面には能率が増進する。それでなければならぬと思います。この点をひとつ別に文書でもよろしいし、また御書信でもよろしいから、お答えを願つておきたい。今申したように、文部省であるとか、裁判所であるとか、会計検査院であるとかいうところは、旅費が少く、厖大な事務を向うへ行つて検査しなければならぬのに、完全な検査ができないような状態におかれておると私は思う。ひとつこの点について、関係の方からお答えでもよろしい、御意見でもよろしいから、お述べ願いたい。私の希望を申し添えて、総括的な実際的な御意見を承つておきたいと思います。
  17. 岡原昌男

    岡原政府委員 会計検査院の総務課長でございます。ただいまの御意見について、私どもの考えをお答えしたいと思います。非常に率直な御意見を伺いまして、私ども非常にありがたかつたのでありますが、実は会計検査院は、昨年五月の新憲法の実施に伴つて、非常に大きくなりました。名前は六十年も七十年も同じ名前でございますが、質はすつかり変つたのであります。新しい職員も非常に殖えました。これの訓練とか、先ほど御指摘になりました実地検査のときの処置とかいうものについては、実は院長以下苦心して、いろいろな方法をとつてをるような次第であります。給与旅費、俸給、そういうものについて、ことしの予算がはたしてこれでやつていけるのかという御質問と拝聴いたしました。旅費もそうでございますが、俸給というような面は、御承知のように、会計検査院職員もやはり官吏でございます。官吏のわくを一歩もはずすことはできないわけでございます。本年の給与は御承知のように三千七百円ベースということで、予算が計上してございます。官吏としてはたして三千七百円で食つていけるか。会計検査院職員監督官庁といたしまして、これでその対面を維持していけるか。こういう点になると、なかなか実はお答えがむつかしいのであります。私どもとしては、与えられました給与で、できるだけ努力をしてやつていくつもりであります。そのベースが変更にならぬ限り、実は急に仕事が深みを増しまして、徹底的な検査をしなければいかぬ。御承知のように戦時中に経理機構というものが非常にゆるみまして、これを建直すことこそ、日本財政を建直す第一歩だ。こういう確信で、私どもは日夜実は努力をしております。それで現在は定員も決して十分とは申せないのであります。ほかのところに見るような欠員というようなものは、できるだけないように、いろいろな方法で職員の補充養成ということをやつておる次第でございますが、現在の定員が変更にならぬ限り、今度お願いいたします予算の三千七百円ベースの給与をするということにいたしてございます。  旅費でございますが、これは会計検査院職員はやはり官吏でございますから、官吏旅費規則のわくを一歩もはずしておりません。違法的な措置は私どもの立場として、厳に戒しめなければいけないのでございます。旅費規則定額の範囲を実は一歩も超えておりません。そのために地方へ参りまして、相手官庁に、これも私ども実は心苦しいのでありますが、いろいろ御迷惑をかけているということを伺つております。こういうことのないように、一般官吏並以上の旅費ということは、私どもとしては希望いたしますが、何分にもこれが官吏という以上、官吏並の旅費でがまんしなければいかぬというような、ジレンマ的なところもございます。それで実は実地検査の今のような御指摘の点は、私どもとしてもいろいろな悩みをもつておるのであります。現在は給与旅費定額の範囲を、この予算は実は一歩も出ておりません。はなはだ低い定額でありますが、官吏である以上は、これでやつていかなければならないのじやないかというので、いろいろな要求も実は私どもの方で仰えております。できるだけこの範囲内で、なるべく方々へおかけいたします迷惑を少くして、年度内はやつていきたいというふうに考えておる次第であります。
  18. 田中源三郎

    田中(源)委員 ただいまのお答えは、そのわく以外のことはできないことは、私どもも了承しておりますが、実際問題としてみな困つておる。この点については、われわれも考えておりますが、当該関係のあなた方においても、十分に考えて、職務遂行上において必要な面だけのものは、何らかの方法で支出しても、私は能率をはかつていくことが必要であるという考えで、今率直なお考え方をひとつ聴きたいと思つて申し上げた。大体私も官吏服務紀律であるとか、官吏の与えられたる待遇というような問題外の問題として、率直な御意見を伺いたいと思いましたが、これはこの程度に止めておきます。  もう一つは、総理庁の予算中のいわゆる行政部に属する一部の統計事務については、完全な統計をつくるということは、非常に国家の政治の上に必要だと思う。この統計上について、はたしてうまく今日統計事務調査遂行されておるのでございましようか、実際われわれは戦後なかなか容易にこれはうまくいくまいと思つて心配しておる。一刻も早くこれをつくり上げていかないと、完全な日本の政治はやつていくことができないと思う。統計ほど大事なものはないと思うのですが、この点について目下の統計事務がどういうふうに行われて、日本の各種の統計がどの程度まで進捗しておるか、これは率直に私はお答えを願いたい。ただここのおざなりの答弁でなくて、できておらねばできておらぬでよろしい。できるだけ早くつくるようにしなければならぬのですから、そんなことに私はこだわりませんから、ありのままをひとつここで御説明願つておきたいと思います。
  19. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 私の知つております部分だけをお答え申し上げます。統計につきましては、各省でも統計をやつておりますけれども、総理府におきまして中心になつておりますのは、統計委員会及び総理庁の内局として存在します統計局でございます。各省でやつておりますものは、別といたしまして、統計局で現在やつております統計は、常住人口の統計とか、事業者に関します統計とか、すべて経済施策、産業施策の基本になりますところの統計を、統計委員会の企画に基きまして、統計局が実際に計算をいたしておるわけであります。ただ現在予算も相当額頂戴いたしてやつておるわけでありますけれども、何分にも現在人員が非常に不足しております。それから統計を人の手によらず、機械化して機械によつて集計していくということを考えまして、その点も逐次整備しておるわけでありますけれども、こういう状況でございますので、思うようには整備が進みません。従いまして、どうしても人に頼らねばならぬのでありますが、その人の方が現在約一千人ばかり、若い女性の職員を擁してやつておりますけれども、これが月々に欠員が非常にできる。その充足のために苦労しておるという状況でございます。統計局におきましては、各省でやつております統計の集計等にも協力いたしまして、全体の統計が十分に整備されるように現在努力しておる次第でございます。
  20. 田中源三郎

    田中(源)委員 午後統計局長でも、もし時間がありましたら、この面の説明だけを願えれば結構です。できなければよろしゆうございます。
  21. 稻村順三

    稻村主査 統計局長が時間があれば説明だけを聴取することにいたします。
  22. 田中源三郎

    田中(源)委員 統計委員会の事務局長がいいでしよう。
  23. 稻村順三

    稻村主査 それでは東井君。
  24. 東井三代次

    東井委員 ちようど宮内府次長も今お見えになつたようでありますが、私少々遅れて参りまして、最初の御説明を承らなかつたので、あるいは重複するかもわかりませんが、その点はお許し願いたいと思います。皇室費のうちで特にお尋ね申し上げたいのは、内廷費の方でございますが、昨年から新しい制度でこういうふうになつてきたのでありますが、昨年度の御経験上、内廷費につきましたは、どういう結果になつておりますか、その経理状態を一応簡単で結構でございますが、御説明を願いたい。それから昨年の七月でございましたか、われわれ皇居の中をその当時の委員であつた者が見せていただいたわけでありますが、そのときに相当皇居の中が荒れるに任せておるような現状であつたようにわれわれ見受けたのであります。その後皇居の中がだんだん整備されておりますかどうか、最近拝見しませんからわかりませんが、その状況も承りたいと思います。さらにもう一点は陛下のお住居の、いわゆる宮殿の復興というようなことにつきまして、その後何ら計画なり、そういつたことが進められておらないかどうか、そういう点も承つておきたいと思います。
  25. 加藤進

    ○加藤(進)政府委員 お答え申し上げます。第一の昨年度の内廷費の実績でございますが、これは八百万円の月割額に対しまして、相当超過いたしておりまして、約一千万円を少し超した実績になるかと思います。それから第二の皇居の中でございますが、これははなはだ申しわけございませんが、昨年おいでになりました状況より非常にきれいになつておるとはちよつと申せない状況でございます。第三の皇居の増営につきましては、現在の経済状況から考えまして、何もただいまのところでは計画をもつておりません。また近いうちにさような計画の準備に着手しようということも、ただいまのところでは考えておらない状況でございます。
  26. 東井三代次

    東井委員 ただいまのお答えで大体は了承いたしましたが、昨年度の予算より少し超過をいたしておると今承つたのでありますが、それはどういうように御始末をなさるつもりでございましようか。さらに皇居の焼跡が大分そのままにいたしておりましたが、その後せめて焼跡だけでも取かたずけぐらいはできておりますか。それからわれわれの方に配布されました、皇室費予算前年度比較表というこの表の宮廷費の中の原材料費というのを、ちよつとその内容を説明していただきたいと思います。
  27. 加藤進

    ○加藤(進)政府委員 お答えいたします。これは昨年度に御説明申し上げたと思いますが、憲法によりまして、財産が全部国に移りました場合に、一部は皇室の私産として残つた分がございますが、その中に現金が昨年の状況におきまして、千五百万円あるということを申し上げたと存じます。この中から二十二年度におきまして、内廷の超過分は支出いたしたわけでございます。  それから第二の点につきましては、私申し上げ足りませんでしたが、焼跡の方は、その後宮廷費を使い、また各地から奉仕の作業にまいつた者がございますが、かような人々の助力を得まして、あとは取りかたずけまして、ただいまではここは菜園にいたしております。それからもう一つお尋ねの点は、皇室経済主管からお答えをいたしたいと思います。
  28. 塚越虎男

    塚越政府委員 お答えいたします。ただいま御質問の最後にありました宮廷費の中の原材料費というのは、どういうものかというお尋ねでございますが、これは営繕資材等の、例えば木材であるとか、セメントであるとか、そういうものが、その内容に相なつております。
  29. 東井三代次

    東井委員 それで大体その内容は承つてわかりましたが、今年の予算が昨年の予算よりもずつと多いことになつておりますが、何か新たに新規計画でもその中に含まつておりましようか。
  30. 塚越虎男

    塚越政府委員 お答え申し上げます。実は昨年、二十二年度でございますが、二十二年度は宮廷費が一本になつて御協賛をいただいておつたのでございます。第一国会で追加予算をいただいたのでありますが、その際に款項目による区分によつて審議を願つたようないきさつになつております。この表によりましても、当初予算は千五百二十四万円ございまして、これは一本で御審議を願つたのでありますが、この中にもやはり原材料費なるものがあるわけでございます。そうして補正予算の方は、ただいま御説明申し上げましたように、千三百四十六万二千円という追加をいただきまして、それはこういうような内訳になつております。この追加予算役務費二千七十四万六千円というものがございます。これは全部請負費として御審議をいただいたのでありますが、この中にやはり原材料に当るものがございまして、それは実際上目の流用によりまして支弁をいたしております。そんなような関係で、この表の中には二十二年度には原材料費というものはないことになつておりますが、実行の上におきましては、やはりその費目は相当織りこまれておりまして、それに対しまして、本年度はそれの物価の値上り等によるもので、四百五十三万七千円というものを計上いたしたような実情になつております。特に新規のものというのではございません。
  31. 田中松月

    田中(松)委員 皇室財産の見積額が――概括でよろしゆうございますが、――どれくらいあるか。それから中で勤務している人員、これは臨時雇でない、通常勤務している人員が、ほぼどれくらいであるか。それからこの宮廷費の中の四の中に、手当及び給与金としてあるのと、十の役務費としてあるのとありますが、これは常識的にはほぼわかりますが、ちよつとその点を御説明願いたいと思います。
  32. 塚越虎男

    塚越政府委員 お答え申し上げます。ただいまの皇室財産と申しますのは、憲法の八十八条による皇室財産ということでございましようか。
  33. 田中松月

    田中(松)委員 そうです。
  34. 塚越虎男

    塚越政府委員 皇室財産はたまたま財産税の課税の対象に相なりましたので、昭和二十一年の三月三日現在によりまして、他の一般の財産と同様の方法によりまして評価いたしたものがございます。それによりますと、総額は三十七億一千五百六十二万円に相なつております。そのおもな内訳を申しますと、土地が七億七千二百六十二万円、建物が二億三千四百十四万円、立木が十六億三千九百七十五万円、各種の営林物件が三億八百四十三万円、有価証券が二億二千二百十二万円、それがおもなものでございます。  次の御質問は、現在の宮内府の人員と伺いましたが、これにつきましては、実は本年の四月に定員の減少をいたしたのでございますが、それによりまする人員は、判任官以上三百八十三人、雇傭人以上としまして九百八十二人と相なつております。  次に御質問の第三点の宮廷費手当及び給与金、それと役務費の内容でございますが、第一の手当及び給与金とございますのは、皇太子殿下の外人教師でありますところのヴアイニング夫人に対する給与というようなものが、この中にはいつております。これは三千ドルでございます。それを五十円にかえましたところの金額、その他小さな嘱託というようなものの費用であります。役務費の内容は、これは他の一般予算にありますと同じようなものでありまして、たとえば通信費でありますとか、運搬費でありますとか、請負費でありますとか、そういうようなものが、この中にはいつております。
  35. 田中松月

    田中(松)委員 次に総理府関係であります。いわゆる公安委員費用というのは、国家地方警察管区本部に必要な経費、この中に含まれておるものでありますか。それからこれも私の思い違いかもしれませんが、全国選挙管理委員会は、一体どの部門に属するのでありますか。もし総理府所管であるとするならば、あそこの委員会の委員人たちの受けているものは俸給というものですか、あるいはまた手当というようなかつこうのものですか、またその額はどういうぐあいになつておりますか。その点をお伺いしたいのであります。
  36. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 ただいま御質問のございました国家公安委員会経費につきましては、先ほど申し上げましたときにお配りいたしました資料の中には、国家公安委員会費用をあげてございませんけれども、司法及び警察費の中に、国家公安委員会として、別に六十四万七千円を計上してあります。それから国家地方警察本部につきましても、三十七億二千四百九十六万一千円計上してございます。先ほど御説明申し上げました警察費連帯支弁金の二十八億は、その中に含まれております。それからもう一つの全国選挙管理委員会、これは総理府所管の中に入つております。そのおもなものは、地方財政費の一億八千五百三十五万円でありまして、これは衆議院議員の選挙人名簿の調整に要します地方公共団体費用国庫において負担するために経費であります。あるいはまた補欠選挙に要しまする経費であります。また最高裁判所裁判官の国民審査法に関する職員に対して、地方公共団体に補助するというものを含んでおります。
  37. 田中松月

    田中(松)委員 もう一つその管理委員会の委員はどういうかつこうになつておるのでしようか、いわゆる俸給という形ですか、手当という形ですか。またそれをやつておるとすればどのくらいやつておるものでありますか。
  38. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 お答えいたします。全国選挙管理委員会の委員につきましては、委員手当として、手当及び給与金を計上してございます。委員長が月六千五百円、委員が月五千円として計上してあります。
  39. 田中松月

    田中(松)委員 私はこれでよろしゆうございます。
  40. 稻村順三

    稻村主査 庄司君。
  41. 庄司一郎

    庄司(一)委員 裁判所関係予算について伺います。裁判所関係予算の中に、戸籍及び寄留事務に関する市町村の研究会という団体がございますが、これはおもに、もとの名前の区裁判所管轄管内における町村長並びに戸籍、寄留の専任の職員等が会同しておる会合でありますが、この経費地方財政と相当関係のある諸経費でありまして、それらの最下部の裁判所の管轄管内における戸籍及び寄留事務の研究会等に対して、ただいま議題となつておる裁判所予算の中において、助成金あるいは補助金というものは含まれておるかどうか。含まれておるとすれば、二十三年度においてどの程度の補助を当てこんでおられるか。ただいま申し上げた戸籍、寄留事務の研究会は、さらに都道府県単位の連合会がございます。その連合会等に対しての助成金が見こまれておるかどうか。その額がはたしてどの程度であるか。戸籍、寄留事務を専門の職員として指導する裁判所関係における指導員を設置されておるかどうか。設置されておるとするならば、その人件費及び諸手当旅費等の増加額がどのくらいに相なつておるか。これを裁判所関係当局に、お伺いしてみたいと思います。
  42. 吉田豊

    吉田説明員 ちよつと申し上げますけれども、今戸籍事務の方は法務庁の所管になつておりますから、法務庁の方からお願いいたします。
  43. 岡原昌男

    岡原政府委員 お尋ねの戸籍、寄留関係でございますが、昨年五月から裁判所と分離しました関係上、司法当局としては、法務所管になつております。二十三年度の予算といたしましては、まず本庁に司法事務局の戸籍課長を会同する旅費として、年額十二万円というものが計上してございます。なおただいまお尋ねの戸籍吏員の現地会同でございますが、これにつきましては、年一回千八百円と見まして、滞在一日の会同を計算し、五十六万円を会同費として見積つております。なおそのほか現地の指導をいたす関係上、指導官を派する費用といたしまして、二百万九千円を計上してございます。大体お尋ねの戸籍関係の諸費用は、以上の通りでございます。なお若干ございますけれども、大綱は以上の通りでございます。
  44. 庄司一郎

    庄司(一)委員 要点だけはただいまのお答えで了承いたしました。御承知の通り、戸籍及び寄留事務は、市町村に対しては、国家の委任事務でございますから、さような経費は、現在において、おそらく九〇%は市町村に依存されておると思うのであります。御説明によつて五十六万円というような程度も、結局これは助成金ということになるのでありましようが、これでは関係町村の負担がえらい負担となりまして、法務庁がただ単に五十六万円の助成を与えておるから、それでいいというようなものでは決してございません。これは来年度等においては、相当御考慮なされてしかるべきものであるという希望を申し上げて、あなたに対する質問を終ります。  次は法務関係の第二点でございますが、司法保護事業法によつて制定されておる地方町村の保護会、あるいは司法保護等に対する手当、あるいは補助、助成等の予算が、どの程度本予算の中に含まれておるか。その点を明らかにしていただきたいと思います。
  45. 池田浩三

    ○池田説明員 ただいま御質問司法保護団体に対する補助金関係でございますが、これは本年度の予算といたしまして、司法保護団体に対し六百万円を計上いたしております。次に司法保護委員に対する手当でございますが、これは一人年額三百円で三万六千九百四十人、合わせまして一千百八万二千円、かように計上いたしております。
  46. 庄司一郎

    庄司(一)委員 もう一点お伺いしておきたいのは、ただいま議題となつております法務予算のうち、刑務所の収入が五億何千万円か計上されております。全国刑務所の年間の収益高は、五億何千万円となつておるようでありますが、受刑者に対しては賞与金という名前のもとに、監獄法に基いて僅少の手当をくだされておる。そこでお伺いしたいのは、賞与金の問題であります。昨今たとえば石炭を採掘する。あるいは亜炭を掘るというような重労働の方面に、一日百五十円、あるいは二百円、あるいは一トン当り三百円というような請負制度で働いておる外役関係の受刑者もございますが、たとえば一日働いて二百円の収入を受刑者があげた、かような場合における受刑者に与えるところの賞与金が、どんな割合で与えられておるか。もつと具体的に言えば、一箇月かりに五千円働いておる受刑者には、どの程度の賞与金を与えておるか。これは受刑者が釈放された後において更正の生活にはいる場合における営業資金、あるいはいろいろな新しい職場につく意味において、あるいは家庭をもつ場合において重大な関係がございますので、かような点を明らかにして、いわゆる司法保護事業の完璧を期するために、念のためにお伺いしておきたいと思うのであります。
  47. 松本貞夫

    ○松本説明員 お尋ねの作業賞与金の問題でありますが、実は現在の規定の上では、作業賞与金は、給与者の働き高に応じた金高を給与する賃金制ということになつておらないのでありまして、これは恩典的に給与するという性質をもつておりますから、ただ単に働き高だけではなくして、本人の現在属するところの階級とか、本人の行状とかいうものを斟酌いたしまして、その給与額がきめられております。実はこまかい点は資料をもつておりませんので、申し上げかねますが、大体成績のよろしくして、重労働で、作業成績の優秀なる者は、大体日に七円五十銭程度払う。現在の額は決して現在の物価高の時期に適当な額でないという点は認めまして、早急に改正すべく目下準備をいたしております。
  48. 庄司一郎

    庄司(一)委員 建設院関係についてお尋ね申し上げます。建設院建築関係当局にお伺いをしたい点があるのであります。昭和二十三年度において全国戦災都市その他の重要なる市町村等に庶民住宅、分譲、あるいは公共団体の貸付等々の合計において何万戸を建設させる御方針でございますか。またそれらの資材等について、大体手配りをされていて、資材の円滑なる配給ができ得るお見込でございますか。この一点を最初にお伺いいたします。
  49. 澁江操一

    ○澁江説明員 ただいま庄司委員からの御質問の点についてお答えいたします。本年度の予算におきまして、庶民住宅の建設関係予算といたしましては、公共事業費の内容といたしまして、約二十七億円ばかりを計上されてございます。その二十七億円の予算によりまして、計画いたしております戸数が、大体四万三千戸程度と御承知を願いたいのでございます。これはもちろん国から公共団体に補助をいたしまして、建築をいたしますいわゆる庶民住宅と申しております家屋の建築に関するものでございます。それ以外の一般のそれぞれの個人の資金によります住宅建設の問題は、予算とは関係ございません。  それからそれに対する資材の裏打ちでございますが、これも予算の上にただいま計画いたしました四万三千戸に対する分といたしまして、資材調達費として建築局の予算の中に十八億円の資材調達費を計上しております。大体資材調達は、各地方公共団体が、それぞれ国から補助金を受けまして、資材調達をいたすわけでございますが、それを一括中央で購入いたしまして、現物化したものを各公共団体に割当てられた戸数に応じまして、手もとにそれぞれ現物を割当配給するという仕組をいたしております。それの費用がただいま申しました十七億の予算になつておるわけであります。
  50. 庄司一郎

    庄司(一)委員 もう一点だけお伺いいたしたいのは、昭和二十三年度の本予算前の暫定予算等によります賃貸住宅関係の建範費に関して、本庁の方ではこれをA・B・C・Dという四区に差別され、A地区が坪当りの建設費が土地等をも含んで八千五百円、Bが八千円、Cが七千五百円、Dが七千円、かように各段の区分をされて、A地区よりD地区に至る全国都道府県を四区に分けて、ただいま申し上げたような差別をつけられているようでございますが、かような見方は、その地方のどこに基準を置かれて、かような差別をなされているのであるか、その基本的な根拠を伺つておきたいと思うのであります。
  51. 澁江操一

    ○澁江説明員 お答え申し上げます。今のA・B・C・Dの四階級に各地域をわけております根拠は、主として、やはり都会地とそれからそれ以外の中小都市、そういつたようなものに関します、土地の地代、あるいは賃貸価格、そういつたものを参考といたしまして、段階をつけておるのでございます。それにどういう基準でもつてあてはめておりますか、詳しい内容につきましては、なお主管政府委員等とよく当りまして、後刻資料を差上げてもよろしいかと思つております。それ以上の詳しいことは承知いたしておりません。
  52. 庄司一郎

    庄司(一)委員 ただいまのお答えで結構でございます。ただぜひ御検討を願いたいのは、A地区がどこどこ、B地区が北海道及び東京、あるいはC地区が埼玉県ほか何県、こうなつておりますが、ぼくは仙台でございますが、東北六県というものが全部Dクラスにはいつておる。どうも感じが悪い。東北六県はどうでもいいんだ、最低でよろしいんだというような意味に解釈されて、はなはだ不愉快でございますが、東北六県に関する限り、Dクラスでよろしいんだ。東北の七十万の民衆はD地区民である。坪当り七千円でお前は結構である。こういうような意味に解釈をすると、たいへん不愉快になるのですが、ここをよほど緩和されて、御検討の上、適当な機会に御答弁を願つておきます。私の質問は終ります。
  53. 野坂參三

    野坂委員 私は皇室費について二、三お聴きしたいと思います。本問題は詳細に参議院の方で質問するはずですから、簡単に二、三の点についてだけお伺いいたします。先ほど皇室財産の御質問があつたときに、有価証券が二億二千二百万円内外あると申されたのですが、その内容について、どういうものがあつて、どういう価格でということをまずお聴きしたいと思います。  それからその次には、これからどれだけの収入がはいるか、このことをまずお聴きしたいと思います。
  54. 塚越虎男

    塚越政府委員 ただいまの野坂さんの御質問に対しましてお答えをいたします前に、先ほど皇室財産についてお尋ねのありました点についての御答弁が、少し不十分の点がございましたので、この機会にさらに補足させていただきたいと存じます。  先ほど申しました皇室財産の三十七億円余と申しましたのは、そのときにも申しましたように、昭和二十一年の三月三日現在におきまして、財産税の賦課の対象といたしまして、計算評価をいたしました額でございます。それに対しまして、財政税を納付いたしました金額が、三十三億四千二百六十八万余円でございます。そのあとの残りましたものにつきましては、憲法の八十八条の規定によりまして、先ほど次長が説明いたしましたお手もと金等、その他お身まわり品、由緒ある調度品等を除きまして、全部国の方へいつております。国有になつておるわけでございます。従いまして、先ほど申しました二億二千二百十二万余円という有価証券でございますが、これは当時もつておりましたものを、財産税の評価基準によつて、当時におきましては、たとえば特経会社の債券でありますとか、あるいは外地の債券というようなものにつきましては、評価をいたさないというような関係――一般の財産税の課税の評価標準がそういうことになつております。そういうような同じ標準によりまして、計算評価いたしたものでございます。  次に野坂さんの御質問の、有価証券の内訳なり、あるいはその収入と申されますのは、その前の、皇室財産としてのものでございましようか。それとも現在のものでございましようか。
  55. 野坂參三

    野坂委員 現在のものであります。
  56. 塚越虎男

    塚越政府委員 現在は先ほど次長からも御説明しましたように、御私有財産としての現金預金は千五百万円程度でございます。これにつきましては、とりあえず預金の形にいたしまして、だんだんに有価証券の方に投資をいたしていくということに相なつております。そのうちでも、先ほどの昨年度の収入不足を補うために支出した金額等を除きまして、その他のものにつきましても、一部有価証券に投資をいたしておりまするが、大部分は預金の形において保有をいたしております。従つてそれから生ずる収入は、昨年におきまして十六万余円であつたと記憶いたしております。以上お答え申し上げます。
  57. 野坂參三

    野坂委員 それからその次に、ここにいろいろ皇室費として、たとえば手当給与金とか、賃金、それから役務費とか、いろいろなものがありますけれども、これと税との関係はどうなつておりますか。普通に課税されておるのか。たとえば所得税関係とか、これはずつと上は天皇から、下のクラークにいくまでの間です。
  58. 塚越虎男

    塚越政府委員 お答えいたします。ただいまお尋ねの宮廷費のうちにありまする、たとえば賃金等によりまして、所得税を控除して支払いをするという方法をとつております。
  59. 野坂參三

    野坂委員 ここにある給与に関するもの、全部そうなつておりますか。
  60. 塚越虎男

    塚越政府委員 ただいまお尋ねのうちに、天皇のというお話がございましたが、この内廷費につきましては、所得税法の規定によりまして、課税の対象になつておりません。
  61. 野坂參三

    野坂委員 私の聴きたいのは、そこからずつと下まできた、たとえば一人の給仕人でもよろしい。そこまで至るまでのことであります。
  62. 塚越虎男

    塚越政府委員 それはその通りに、税法の規定によりまして課税を受けております。
  63. 野坂參三

    野坂委員 それからもう一つ、これは直接予算には関係ないようですけれども、やはり間接には関係あると思いますが、今やはり宮城の中でいろいろ勤労奉仕的なことがやられておるということを承つております。この内容を少し具体的にお伺いしたいと思います。これは各県から選抜されたのか、あるいはどういうふうなやり方か知らぬが、若い青年男女が来て、ちようど戦時中のような勤労奉仕がやられておる。この組織とか、これに対して政府側としては、どういうふうな見解をもつてこれをやられておるのか。それからこれについて、費用の点については各人が自分持ちだということを聞いておりますが、これと皇室費なんかと、関係があるのか、ないのか、そういうふうな点であります。
  64. 加藤進

    ○加藤(進)政府委員 お答えいたします。ただいまお尋ねの通りに、宮城、赤坂等には、全国から勤労奉仕のために参つております。これはまつたく自発的に出てまいりまして、何か宮城の方の、中をきれいにしたいといつたようなことから出てまいりましたものでございます。費用は食糧等をまつたく自分持ちで持つてまいります。われわれ宮内府といたしましては、中に宿舎に相当する建物を与えておるわけでございまして、毎日大体百名から百五十名くらいの間の人間が来ておりまして、組織はまつたくございません。これはいろいろ婦人会が参りますとか、あるいは学校の生徒が参りますとか、工場から参りますとか、まつたくどういう者がどういうふうに参りますかは、その来ましたときに、初めて承知する次第でありまして、特別な組織はございません。仕事といたしましては、これは農村の人がありまするし、工場の人がありますので、いろいろ雑多でありますので、大体その人たちに向くような仕事を、その場になりまして与えております。
  65. 野坂參三

    野坂委員 そうすると皇室費とは全然関係がないのですか。
  66. 加藤進

    ○加藤(進)政府委員 これは、たとえば道路をきれいにいたしますから、その意味では宮廷の中の工事費が幾分省けるという関係はあると思います。その限度でございます。
  67. 野坂參三

    野坂委員 大体百名とか、百五十名とかありますけれども、各府県からずつと来ておるように聞いておりますが、その費用を大体概算するとどのくらいになりますか。旅費とか、食糧その他が、結局一人当り……。
  68. 塚越虎男

    塚越政府委員 お答えしますが、これはただいま調べたものもございませんが、大体食糧は自分で持つてまいりますし、宿賃は微収いたしておりませんので、自分たちの汽車賃とそれから東京へ出たついでに何か買物をして帰ると存じますが、さような費用だろうと存じます。私どもの方といたしましては、これを受入れまして泊めまして、その適当な仕事を考えて割当てるというだけでございまして、それ以上の関係は生じておりません。
  69. 野坂參三

    野坂委員 何かこれに対して教育的なことをやられておりますか。
  70. 加藤進

    ○加藤(進)政府委員 教育的なことは全然いたしておりません。ただいろいろ皇室の話をしてくれというようなことがありましたときに、夜休養の時間でも求めがありますれば、出てまいりまして話をすることはあると存じますが、教育とかいうことは、全然考えておりません。
  71. 野坂參三

    野坂委員 それからここへ来て帰つた人は、どういうことをやつていますか。
  72. 加藤進

    ○加藤(進)政府委員 それぞれ自分の工場や農村に帰る。それぞれの持場に帰ります。
  73. 稻村順三

    稻村主査 ほかに質疑はありませんか――質疑はないようですから、これにて休憩いたします。午後一時半より大蔵省所管審査にはいります。     午後零時四十一分休憩      ━━━━◇━━━━━     午後二時四十二分開議
  74. 稻村順三

    稻村主査 午前に引続き予算委員会第一分科会を開きます。  午後は大蔵省所管関係予算について御審議を願います。荒木政務次官
  75. 荒木萬壽夫

    ○荒木政府委員 ただいまから昭和二十三年度一般会計歳入予算及び大蔵省所管歳出予算並びに特別会計歳入歳出予算につきまして、御説明申し上げます。  まず説明の順序といたしまして、昭和二十三年度一般会計歳入予算について御説明申し上げます。  昭和二十三年度一般会計歳入予算額は、三千九百九十三億八千万円でありまして、これを前年度予算額二千百四十二億五千六百万四千円に比較しますと、千八百五十一億二千三百九十九万六千円の増加と相なつております。  以下各部について簡単に説明いたしますと、まず租税及び印紙収入は、総額二千六百三十二億四千七百万円でありまして、これを前年度予算額千三百五十四億二千二百八万千円に比し、千二百七十八億二千四百九十一万九千円の増加となります。  租税におきましては、最近における賃銀物価等経済諸情勢推移に即応して、国民の租税負担を調整合理化するとともに、財政需要に対応して租税収入を確保することを目標として、税制の改正を行うことといたしたのでありまして、特に所得税については、国民生活の実情等に照らし七百三十六億円余に上る大幅の軽減を行うこととしたのであります。これによる本年度の所得税予算額は、千二百八十三億六千百万円となります。  次に法人税におきましても、産業の振興、外資の導入、株式の大衆化等に資するための相当の減税を行うことといたし、百三十億円を予算に計上いたしております。他方、酒税その他の間接税につき、最近の物価事情に即応するほか、財政需要に対処するため、相当の増徴を行うことといたしたのでありまして、これによる本年度予算額は、酒税四百五十七億七千六百万円、清涼飲料税十六億四千七百万円、砂糖消費税三億六千二百万円となるのであります。  なお物品税につきましては、第二種の物品について税率の引上げを行うとともに、第一種の物品中負担過重と認められる一部のものについて、税率等の調整を行うことといたし、差引百七十五億八百万円を計上いたしております。  さらに経済情勢の変動に即応して、租税収入を確保し、財政の基礎を堅実ならしめるとともに、所得税、法人税の減収の一部を補填するため、新たに取引高税を創設することといたし、これによる本年度収入見込額二百七十億円を予算に計上致したのであります。  以上に説明いたしました以外の租税といたしましては、増加所得税五億円、特別法人税五千四百万円、相続税十二億五千万円、非戦災者特別税八億八千七百万円、織物消費税八十億六千万円、通行税三十四億八千九百万円、入場税九十四億八百万円、有価証券移転税二億四千百万円、馬券税六億六千六百万円、関税及屯税四千八百万円、印紙収入四十九億九千万円でありまして、これを先の所得税等と合わせますと、総額二千六百三十二億四千七百円となるのであります。これを直接税間接税等に区分いたしますと、直接税が千四百四十億五千二百万円で、五四・七%、間接税が七百三十四億百万円で、二七・九%、その他の税が四百五十七億九千四百万円で、一七・四%と相なります。  次に、官業及び官有財産収入は、千三億七千九百七十一万円でありまして、これを前年度予算額五百五十八億千六百五十四万五千円に比較いたしますと、四百四十五億六千三百十六万五千円の増加となります。  以下おもなる事項について申し上げますと、まず、専売庁益金におきましては、国民生活の現状と、財政需要の実情とを併せ考えまして、販売価格の引上げを行うことといたし、これによる益金見込額九百四十三億千七百六十万千円を計上いたしました。さらに印刷庁益金において一億三千万円、アルコール専売事業益金において十二億千七百八十九万七千円、刑務所収入において五億千七百八十三万に千円、病院収入において十一億六千五百三十万九千円、官有財産貸付料において一億三千百六十三万二千円、官有財産売払代において二十七億七千三百十九万二千円、政府出資金収入において六千九百四十五万円、その他において五千六百七十九万七千円を計上いたしております。  次に、雑収入は三百四十九億二千百二十一万七千円でありまして、これを前年度予算額二百二十一億千二百七十万千円に比較いたしますと、百二十八億八百五十一万六千円の増加となります。  以下主なる事項について申し上げますと、まず日本銀行納付金は、同行における本年上期の剰余金見込額によりまして八億円を計上いたしております。  次に財産税等収入金特別会計、このたび新たに発足いたしました不正保有物資等特別措置特別会計その他、特別会計からの受入金において二十八億三千八百三十八万四千円、恩給法納金及特別会計恩給負担金において九千八百八十八万七千円、公共団体工事費納付金及び分担金において十四億二千二百六万四千円、懲罰及び没収金において五億四千四百六十八万三千円、授業料及び入学検定料において一億五千七百五十五万三千円、弁償及び返納金において一億九千百九十万千円、償還金において、地方職員の一時手当支給の財源として国庫より貸し付けた貸付金の償還を含めまして八億六千五百七十四万八千円、公団納付金、競馬会納付金、運輸建設本部その他の納付金において六十億二千二百八十七万円、その他において一億六千八百七万八千円を計上いたしております。さらに、価格差益納付金におきまして、前年七月の価格改定による差益の残と、今次の価格補正による差益納付金見込額と合わせまして百八十九億二千七百十万三千円、特殊物件収入において、払下代金の残額のうち本年度に収入する見込額九億一千九百万円、宝籤等発行者納付金において十五億円、電力超過加算料金受入において四億六千四百九十四万六千円を計上いたし、合計雑収入三百四十九億二千百二十一万七千円となるのであります。  最後に、前年度剰余金におきまして、昭和二十一年度の決算上生じました純剰余金のうち、財政法第六条の規定によつて国債償還の財源に充てる額と、これを控除した残額のうち昭和二十二年度の歳入に計上使用した残額とを合わせまして八億三千二百七万三千円を計上いたした次第であります。  以上をもちまして、昭和二十三年度歳入予算概略についての説明を終ります。  次に、大蔵省所管歳出予算について、その概要を説明致します。昭和二十三年度歳出予算額は千四百五十一億二千百十八万三千円でありまして、これを前年度歳出予算額八百九十億三千三百三十三万二千円と比較いたしますと、五百六十億八千七百八十五万千円を増加いたしておるのであります。以下各部にわけて説明いたします。本歳出予算に計上いたしました金額は、行政部費六十六億四千五百三十三万八千円、産業経済費五十五億八千十七万九千円、物資物価調整事務取扱費七億二千五百八十九万円、行政共通費三十四億七千四百十八万円、政府出資金百八十九億七千三百五十六万六千円、国債費七十五億二千二百八十五万円、終戦処理費九百二十二億五千六百万三千円、連合国財産返還費十六億円、賠償施設処理費六十三億四千三百十七万七千円、予備費二十億円、合計千四百五十一億二千百十八万三千円でありまして、その主要なるものについて事項別に申し述べますと、一、納税思想の普及並びに納税運動に必要な経費五千万円、一、通信事業特別会計へ繰入に必要な経費三億三千七百八十四万六千円、一、金資金へ繰入に必要な経費六億円、一、戦時保険損失補償に必要な経費四億円、一、大蔵省預金部特別会計へ繰入に必要な経費四十五億七千九百九十七万九千円、一、取引高税徴収に必要な経費十三億三千八百八十六万円、一、税法改正等に伴う租税徴収機構の刷新充実に必要な経費一億五千万円、一、粗税払戻に必要な経費四億三千万円、一、金融機関整備再建に必要な経費二十万円、一、各種公団の運営に必要な経費六億六千百三十三万六千円、一、政府職員給与改善等に必要な経費二十四億五千七百六十六万三千円、一、価格補正等に伴い必要な経費十億千六百五十一万七千円、一、政府出資金に必要な経費百八十九億七千三百五十六万六千円、一、国債費に必要な経費七十五億二千二百八十五万円、一、終戦処理に必要な経費九百二十二億五千六百万三千円、一、連合国財産返還に必要な経費十六億円、一、賠償施設処理に必要な経費六十三億四千三百十七万七千円、一、国庫予備費に必要な経費二十億円等であります。  その概要を申し述べますと、納税思想の普及並びに納税運動に必要な経費は、納税によつて健全財政の基礎の確立をはかるため、納税思想の普及並びに積極的な納税運動を実施するに必要な経費であります。通信事業特別会計へ繰入に必要な経費は通信官署における国税金徴収事務取扱の経費に充てるため通信事業特別会計へ繰入れる経費であります。金資金へ繰入に必要な経費は産金法により新産貴金属地金買上のための資金財源として金資金へ繰入に必要な経費であります。戦時保険損失補償に必要な経費昭和二十二年法律第百九号に基く生命保険会社並びに損害保険会社の戦時保険損失補償に必要な経費であります。本費は他に三十五億七千六百七十二万四千円を公債で交付いたします。大蔵省預金部特別会計へ繰入に必要な経費は、政府事業再建のため、大蔵省預金部特別会計における収支の調整をはかるため、同特別会計へ繰入に必要な経費であります。取引高税徴収に必要な経費財政需要の現状に対応し、収支の均衡をはかるために創設された取引高税法の施行に伴い徴税事務処理に必要な経費であります。税法改正に伴う租税徴収機構の刷新充実に必要な経費は、税法改正等に伴い増加した課税事務処理するため、租税徴収機構の刷新拡充等に必要な経費であります。租税払戻に必要な経費は、内国税の過誤納金及び追徴税の免除による払戻に充てるため必要な経費であります。金融機関整備再建に必要な経費は、金融機関整備再建整備法第三十三条第一項の規定により、再建整備の結果生じた損失を金融機関に対して政府において補償するため必要な経費であります。本費は他に百七十二億円の公債で交付いたします。各種公団の運営に必要な経費は、酒類配給公団の一般事務運営費を交付すると、石油配給、配炭、肥料配給の各公団の運営に必要な施設を買収するため必要な経費であります。  政府職員給与改善等に必要な経費は、政府職員給与の現状に鑑み給与改善をはかるため家族手当、超過勤務手当及び給与特別措置費等に必要な経費であります。価格補正等に伴い必要な経費は、本年度における価格補正等に伴い生ずる予算不足処理するため必要な経費であります。政府出資金に必要な経費は、復興金融金庫、日本銀行、各種閉鎖機関及び特別経理会社等に対する出資払込金に充当するために必要な経費であります。国債費に必要な経費は、国債償還、借入金返還、国債利子及び借入金の利子支払等に充てるため必要な経費であります。終戦処理に必要な経費は、連合軍の駐屯に伴い、住宅、兵舎その他設営工事、労務の提供、爆薬処理費、損失補償費及び終戦処理に関する一般事務取扱いのため必要な経費であります。連合国財産返還に必要な経費は、連合国財産の管理保全及び返還等に必要な経費であります。賠償施設処理に必要な経費は、賠償施設の管理維持、撤去作業、梱包、運搬費及び賠償施設処理の一般事務取扱いのため必要な経費であります。国庫予備費に必要な経費は、予算超過及び予算支出に備えるために必要な経費であります。  次に昭和二十三年度大蔵省所管各特別会計歳入歳出予算について、その主要なる会計分について説明いたします。  一、造幣庁特別会計においては、歳入十七億二千七百十四万円、歳出十三億四千九百四十三万九千円、差引歳入超過額三億七千七百七十万千円でありまして、これを前年度に比較致しますと、歳入において十億三千五百七十三万三千円、歳出において七億四千八百三十万八千円をそれぞれ増加しております。増加を生じましたる主なる事由は、臨時補助の製造高増加物価改定によるものであります。  二、印刷庁特別会計においては、歳入四十二億二千二百四十万八千円、歳出四十二億五千二百四万七千円、差引歳出超過額二千九百六十三万九千円でありますが、歳入のうち借入金等による収入三億五千五百四十三万六千円を減じ、持越資産の増加五億千五百七万五千円を加へまして、益金は一億三千万円と計上いたしました。これを前年度に比較いたしますと、歳入において二十五億四百八十三万円、歳出において二十三億九千七百七十二万四千円、益金において五千六百十七万六千円をそれぞれ増加して居ります。  増加を生じました主なる事由は、日本銀行券等の製造品製造高の増加並びに物価改定によるものであります。  三、専売庁特別会計においては、歳入千三百十億七千三百三十九万六千円、歳出四百八十九億六千七百二十万九千円、差引歳入超過額八百二十一億六百十八万七千円、持越物品価格増加百二十二億千百四十一万四千円を加え、益金九百四十三億千七百六十万千円でありまして、これを前年度に比較致しますと、歳入において七百十六億九千七百九十六万六千円、歳出において三百七十億三千三百二十万三千円、益金において四百三十二億千百四十万七千円をそれぞれ増加いたしております。増加を生じました主なる事由は、歳入においてはタバコ等の売渡価格の引上等によるものであり、歳出においては葉タバコの賠償価格の引上等及び現下の経済事情に鑑み、給与改善物価改定のために要する経費増加等によるものであります。  以上を以て昭和二十三年度予算並びに同年度特別会計歳入歳出予算の概要の説明を終ります。なお詳細については御質問に応じ申し述べることにいたします。
  76. 稻村順三

    稻村主査 質問はありませんですか。
  77. 西村久之

    西村(久)委員 私は今年の改正税法によつて算出されましたる所得税九百二億という算出の方法がわかりませんので、この九百二億の出ました関係を、いま少しく詳しく御説明を願いたいと思います。
  78. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。ただいまの御質問は、所得税の算出の基礎を詳細に述べようというお話でございますが、所得税は全体で千二百八十三億余万円を算出しておるのでございます。これを大きくわけますと、源泉徴収の分が三百八十億、つまり申告納税の分が九百二億あまりになつております。御承知のように源泉徴収はほとんど大部分が給与所得でございます。それから申告納税の方は、大部分営業あるいは農業その他の諸業ということに相なつております。この算出の基礎といたしましては、昭和二十二年の国勢調査に基きまして、業種別の人口を基礎にいたし、各種の人口につきまして給与、営業、農業、諸業その他の大体の総所得というものを推算いたしたのでございます。この推算のしかたといたしましては、大体昭和二十一年あるいはまた二十二年の課税の実績を基礎にいたしまして、その上に昭和二十三年度におきまする生産増加及び物価の騰貴というようなものを考慮に入れまして、大体の総所得を推算いたしたわけでございます。さらにこの総所得に対しまして、二十三年度中における課税見込みの所得をやはり給与、営業、農業その他の業におきまして推算をいたしております。そういたしまして、これに対して御承知のように基礎控除、勤労控除等がございますので、いわゆるそういう控除を計算をいたしまして、税額を算出したのでございますが、なおこの算出税額のうちから二十三年度等の実績に顧みまして、二十三年度からさらに翌年度に繰越されるもの及び実際に課税しても収入にならぬ徴収減と申しておりますが、そういうものを差引きまして、全体で千二百八十三億というふうに推算をいたしておる次第でございます。
  79. 西村久之

    西村(久)委員 今の抽象的のお言葉はわかるのでございますが、その事業年度のいろいろ関係を基礎にされたというその基礎の案配をどういうふうな比率で案配されておるのか、その内容がわからないのでございます。今お話になりました点は、大体におきまして先般印刷物をいただいておりますので、わかつておるのであります。ところがその内訳の内容がはつきりいたさないのでありまして、それを御質問申し上げておるわけでございます。
  80. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。それではまことにごめんどうでございますが、一応数字をお書き取り願えますか、あるいは資料として印刷してお配りいたしましようか。
  81. 西村久之

    西村(久)委員 印刷で結構です。私は本会議のときから要求しておつたのでありますけれども、資料が間に合わないので、ここで御質問申し上げておるわけであります。
  82. 稻村順三

    稻村主査 それではあとから印刷で御答弁をできるだけ早くやるようにお願いします。
  83. 西村久之

    西村(久)委員 次にお尋ね申し上げてみたいのは、取引高税の収入予定が二百七十億となつておりまして、そのうち印紙税の収入と現金収入の内訳とがお示しになつておるのでございますが、この印紙の収入百三十九億でございますが、この金額の特別会計の通信事業関係におきまして、取引高税創設による事務取扱費というものが七億余万円計上になつておるようでございますが、これは一般会計から、どういう関係で繰入れるということに相なるのか、この点をお尋ね申し上げてみたいと存じます。
  84. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 これは御承知のように、取引高税の大部分が印紙納付になつております。この印紙を売りさばきます手数料でございまして、従来の収入印紙の売りさばき手数料と大体同じ率をもちまして事務費を計上いたした次第でございます。
  85. 西村久之

    西村(久)委員 そういたしますと、取引高税を廃止するということになりますれば、この費用は要らないということに承知してよろしゆうございますか。
  86. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答えします。もし取引高税が施行されないということになりますれば、これは当然不要になるものと考えます。
  87. 西村久之

    西村(久)委員 大蔵省預金部の方へ繰入れられてありまする軍事公債の利子総額は、何ほど御計上になつておるのでございましようか。
  88. 大槻義公

    ○大槻政府委員 私が代つてお答えいたします。四億七千三十九万五千円、軍事公債の利払の停止相当額、こういうことになつております。
  89. 西村久之

    西村(久)委員 私のお尋ねが悪かつたのでないかと存じまするが、利払を停止いたしまするために、預金部に繰入れをしなければならない金を、ここにどれほど予定してお組入れを願つておるかとお伺いしておるのであります。四億七千余万円では、数字が合わないものでありますから、再度お尋ねを申し上げます。
  90. 大槻義公

    ○大槻政府委員 一応利払停止の相当額四億七千三十九万五千円、これで御質問の趣旨に合うのではないかと思うのですが……。
  91. 西村久之

    西村(久)委員 それではあらためてお尋ねを申し上げますが、軍事公債利払利子の総額は一年間を通じて何ほどに相なつておりますか。
  92. 大槻義公

    ○大槻政府委員 計数を調べてすぐ後ほど御返事いたします。
  93. 西村久之

    西村(久)委員 軍事公債の総額がわかりませんと、ちよつとわかりにくいのでございます。その軍事公債の総額さえわかりますれば、四月と六月の暫定予算で、私どもが議了いたしました四億九千余万円を差引きました残りのもののうちに、預金部のものが加わつておるのでございますから、逆算してまいりますると、数字がはつきりするのでございますけれども、それがわからなければ、四億七千余万円という数字は、一向腑におちないのでありまして、お尋ねを申し上げておるのでございます。先にお尋ね申し上げました際には、六億一千余万円が含まつておるということの御答弁を願つたけれども、計数がはつきりいたさないので、ここであらためてお尋ねを申し上げておるわけでございます。
  94. 荒木萬壽夫

    ○荒木政府委員 はなはだ恐縮でありますが、軍事公債利払関係の担当政府委員が、他の委員会に出ておりまして、ちよつとただいまおりませんので、確たることを即答申し上げかねて恐縮でありますが、追つて取調べましてお答え申し上げます。
  95. 西村久之

    西村(久)委員 そういたしますれば、あとでお答えを願つて結構だと存じます。  次は酒税のことについてお尋ねを申し上げますが、政府の予定しておりまするところのこの石数を先年並みに増石いたしまして、そうして改正税によつて売りさばきをいたすといたしますならば、どれほどな増収額になる御予定でございますか。
  96. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お尋ねの御趣旨は、値段を上げない場合の御趣旨でございますか。
  97. 西村久之

    西村(久)委員 大体において昨年造石数が百七十五石と称せられ、今年の御予定は百三十五万石程度の御予定と伺つておるのであります。この百三十五万石を前年並百七十五万石造石するといたしますれば、その増収額はどれくらいになるでございましようかということをお尋ね申し上げておるのであります。
  98. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 計算をやつておりませんが、その場合には一応昨年の造石数で、今度私たちが提案いたしておりますような値段をもつて計算した場合、こういう質問と理解いたしまして、ちよつと計算をいたしてみますが、これはちよつとお待ちを願いたいと思います。
  99. 西村久之

    西村(久)委員 それでは私のお尋ねいたしました今年の予定の百三十五万石を、昨年の百七十五万石造石するものと仮定いたしまして、今年の改正税法による数字をお示し願いたいと思います。今即座でなくて結構でございます。
  100. 稻村順三

    稻村主査 午前中の田中委員の統計局統計委員事務局長に対する質疑に対しまして、美濃部事務局長より答弁させます。美濃部亮吉君。
  101. 美濃部亮吉

    ○美濃部政府委員 それでは午前中の御質問、つまり各省の統計調査がどういうふうになつておるかという御質問に対してお答えいたします。御承知のように、戦争中日本の統計制度は、ほとんど中央におきましても、殊に地方におきまして、壊滅的な状態に陥つておりましたことは、御承知の通りでございます。それが終戦後二年半でございますが、今までの間に徐々に整備してまいりまして、今日におきましては、農林省、商工省及び労働省においては、調査統計局という一つの局ができるところまでに充実してまいりますし、また大蔵省それから法務庁及び厚生省におきましては、最近多少名前はいろいろでございますが、調査統計部というように、部と称するところにまで整備拡充してまいりました。またセンサス的な調査を主としてやつておりますので、総理庁の統計局も非常に整備してまいりまして、これを中央統計庁ということに昇格してはどうかというふうな話も出ておるほど、整備してまいつたと言うことができると思うのであります。また地方――これは後になおお話いたしますが、地方の統計組織といたしましては、地方庁にございます統計課を非常に整備いたしまして、この地方庁の統計化におきまして、国の重要な指定統計の調査に従事いたします者は、全額国庫負担の給与をするということにいたしまして、給与の面におきましても、またその人員におきましても、格段の整備をいたしております。と同時に、さらに最末端にございます市町村の統計吏員という者も、従来のように五つも六つもの事務を兼務しておるというふうなことをやめまして、全額国庫負担の専任統計吏員を置くというところまで進んでおります。この都道府県市区町村に配置いたしました専任統計職員と申しますのは、国庫負担にいたしますが、全体で一万六千五百三十人に及んでおります。このように統計機構というものは、よほど整備してまいりましたと同時に、こういう機構を基礎にいたしましてやつております現実の統計調査というものも、最近はよほど進歩してきたと言つて差支えないと思います。たとえば今年度計画しております基本的な重要な統計調査を算えてみますと、まず総理庁の統計局においては、常任人口調査住宅調査を本年度は今までかつてやらなかつた初めての調査を行います。それから最近たびたび問題になつております消費者価格調査は、相かわらず続けますし、この消費者価格調査は消費にはいります消費財価の価格及び価格指数を出すことを主たる目的としておりますが、それと同時に、この各階層の家庭における、あるいは世帯における現金支出額の調査にもなつております。これは現金支出調査だけでは十分でありませんで、その現金をどういう収入源によつてつているかということがわからなければ、画龍点睛を欠く次第でございますので、今年の七月からは、この消費者価格調査の裏表の関係にございます収入調査実施する予定になつております。それから給与問題においていつでも問題になつております毎月勤労統計調査、これは今年度においては、――これもまだはつきりきまつておりませんが、労働行政と密接不可分の関係にございますので、労働省が企画その他の責任を負い、調査それ自体は、最も整備した組織をもつた統計局にやらせるという仕組で、その内容も改善いたしまして、続けて実施していくつもりでございます。それから失業あるいは有業人口数を推定する基礎になるいわゆる労働力調査は、G・H・Qの命令によつて本年度もなお続けてまいります。  それから商工省においては、今年度からは生産、特に商工省所管に属します工業生産を、従来とはまつたく違つた方法によつて商工省自分調査していくという方式で、いわゆる生産動態統計を実施することになりまして、着々準備を進めております。それから商工省といたしましては、例年の通り年末には工場調査を行いますし、今年度は工業のみならず、商業に関する調査実施する予定になつております。  それから農林省におきましては、作況報告事務所を中心といたします主要農作物の収穫調査はもちろんのこと、やはり作況報告事務所を通じまして、作付面積の調査もいたすはずになつておりますし、耕地面積及び収穫調査のみならず、農家経営の調査といたしましては、来年の二月一日に、従来とはまつたく異つた新しい方式に基く農業センサスを実施いたしますし、同時にまた農業のみならず、漁業についても、漁業権の調査と漁業経営の調査とを今年度はいたす予定になつております。  それから大蔵省所管といたしましては、法人の形態をもつております会社の統計調査の整備をはかつておりまして、この九月一日には会社に関するセンサス的調査をいたしますし、さらにその後の会社の動き方、動態をつかみますために、登記所の登記を使いまして、会社の動態統計を続けていく計画を立てまして、着々準備を進めております。さらにより以上こまかい会社の内容を調査いたしますためには、この九月一日よりの会社統計の結果をユニヴアースといたしまして、抜取り調査を行つて、来年度からより詳しい会社に統計調査をやつていこうというふう考えております。  さらに最後に、今税その他あらゆる面において最大の関心事になつております国民所得の調査でございますが、これは日本の状態は、残念ながら非常に遅れておりまして、材料の不備その他から申しまして、正確なる国民所得の計算というのは、不可能に近い状態になつておりますが、これを何とかしていろいろな政策の基礎になるために使用に耐える程度にまでよくしようという気持から、経済安定本部の中の財政金融局の中に、国民所得調査室をつくりまして、私たち統計委員会と共同いたしまして、アメリカの最新式の国民所得の計算方式に則りまして、大改革をすべく努力中でございます。もちろん今申し上げましたような統計調査は、日本の統計の体系における基本的な統計調査でございまして、第二次統計、つまり行政事務を行つていくことの附随的な結果として出てまいります。第二次的な統計に至りましては、無数にあるといつていいのであります。またこれらの調査で、日本の統計の体系が整備したとは、もちろん申せませんけれども、一応各面における基本的な調査は、やや整備の段階にはいつたとは言い得ると思うのであります。しかしながら、問題は体系ができただけでは少しも解決いたしませんので、その調査が正確であるということが、絶対的に必要であると思うのであります。この正確な調査をするという意味におきまして、日本の現状は、非常に困難な状態にございますので、その点において、私たちは一番苦心をしておるのでございます。まず第一の前提といたしましては、先に申し上げました末端における地方統計機構が整備していなければならないわけでありますが、一万に近い市町村の市町村役場に優秀な統計吏員を配置するということは、予算の面その他からいつて、ほとんど不可能に近いと言わなければならないと同時に、末端における調査に当る人が、正確に調査してくれなければ、正確な調査ができないことは、言うまでもないのでございますから、この末端の組織をどういうふうにして整備していつたらいいかというのが、私たちの頭痛の種になつておるのであります。この点アメリカの状態などは、非常にうらやましいのでございまして、アメリカの調査機構におきましては、地方統計機構というものは、ほとんどまつたくございませんで、郵便でもつて小票を調査対象に配つて、その返事をもらつて集計する。そうして各調査される人たちが正確な申告を約束通りの期日に郵便で出すというふうな仕組になつておるそうでありまして、そういう状態にまで日本がなりますればよろしいのですが、現在のところにおいては、末端の組織を整催するという点が、非常な困難な状態に立ち至つているわけなのでございます。それからさらに、もちろん日本の人民全体の統計の重要性の認識程度が、非常に水準が低いことも、不正確な虚偽な申告が非常に多いことの原因になつておりますので、私たちは、一般民衆に対する統計の重要性の宣伝ということも、講演会その他を通じて、できるだけ宣伝してまいりましたが、今のところ、まだ十分には行つていないということは、明らかであると言わなければなるまいと思うのであります。しかしそのほか現下の日本情勢におきましては、正確な統計をとることに対しまして、根本的な障害とも思われるものが二つございますので、その点非常に苦慮している次第なのでございます。その一つはこういう統制経済のもとにおきますと、そのとられました統計というものが、統制のための資料として使われるということなのでございます。これは集計されました結果である結果表が統制のための行政的資料として使われるというなら、まだ問題は少ないのでございますが、しかしほかに資料というものが非常に不整備でありますために、集計の結果表だけでなく、申告のための小票それ自体が、あるいは課税の目的のために、あるいは供出のために、あるいは余裕住宅の課税のために、あるいは配給の是正のために、というふうに、行政それ自体のために用いられますので、国民はたださえ統計の重要性を十分認識しないところにもつてまいりまして、統計の調査がくれば、これはすぐ課税に使われ、あるいは配給人口の是正に使われるということで、ますます眞実な報告をしないという傾向がはげしくなつてまいりますので、この点私たちとしては、統計のプリンシプルとして、小票は行政的目的には使わないというプリンシプルを確立したいと思つて努力している次第であります。それからもう一つの難関は予算の面でございまして、あらゆるその他の事業も同じことであると思いますが、統計調査というものは、特に一定の予算額以下に下りますと、どうしても正確な調査はできないという性格をもたざるを得ないものなのです。そうして一方予算というものは、御承知の通り、非常に窮乏化しておりますので、もつとも重要なる統計、どうしてもなければならない統計に、調査を集中するといたしましても、ややともいたしますと、その予算額が、とうてい正確なる調査をなし得る程度以下の予算しか得られませんので、この予算の面から申しまして、正確な調査をすることに対する非常な障害があるわけなのでございます。こういう根本的な障害がございますので、思うようには日本の統計の進歩発達をはかることができ得ませんことは、まことに残念至極でございますが、しかし現在の許された状態の範囲内におきましては、私たちといたしましては、各省と全面的に協力いたしまして、最善の努力をしておるものと考えます。さらにもう一言言い添えておきたいことは、来年の六月三十日、つまり一九四九年の六月三十日から五一年の七月一日の二年間にかけまして、アメリカにおいて国際的な比較ができるような大規模なセンサス的調査を行う計画がございまして、日本もこの一九五〇年センサスと呼んでおります国際的なセンサスに加入するように、メモランダムをもらつておるのでございます。これはまだ計画がすつかり熟しておりませんので、どういう調査を行うかということを、はつきり申し上げられませんが、人口調査住宅調査、事業所統計調査、工業調査、商業調査、農業センサスというようなものを基本にしていたしたいと思つております。さらに従来の日本の統計調査は、国際的な比較にはとうていたえ得ないようなふうにつくられておりますので、日本の統計とアメリカの統計を比較しようと思つても、多くの場合において比較できないのでございます。たとえば自動車の製造工業という項目をとつてみますと、従来の統計によりますと、日本の自動車工業の事業所の数の方が、アメリカよりもはるかに大きいというふうな結果が出ております。これは日本の自動車工業にはそこら辺の町に見かけます修理工場まで全部はいつておるにもかかわらず、アメリカの統計においては、近代的な装備を備えた純粋な自動車工業だけが、自動車工場として算えられておるために、こういう比較不可能な統計調査の結果が出てくるのでありまして、ただいまアメリカからいろいろなエキスパートが参りまして、日本の統計調査を近代化し、そして国際的な比較にたえ得るように直す仕事を、全力を尽してやつております。それでございますから、そういうふうな規模において、この大センサスを、いわゆる国際的統計コンクールのような舞台においてなし遂げ得るとしますならば、日本の統計も、これを機会に格段の進歩をするだろうとひそかに喜んでおる次第でございますが、ただ問題は予算の面でございまして、この大規模な調査を他の世界の各国に負けないような程度にやりますには、非常な額の予算が要るのではないかということ、それがどこまでその予算支出が許されるかという点を、非常に懸念をいたしております。それからまたここでもう一つ御報告しておかなければなりませんことは、御承知だと思いますが、国際連合の社会経済局だつたと思いますが、それの一部分に、極東及び東亜の経済関係に関する調査委員会というものができておりまして、上海にその本拠が置かれておるわけでございます。ここはおそらく東亜におけるマーシヤル・プランみたいなものをつくることが、その任務でございますと推察いたしますが、そこからは厖大な日本の経済に関する統計の資料の提出を求められまして、昨年の十二月にこの調査を私たちの方でまとめて提出しておきました。そして私たちの方と、最も密接な関係にございますレサーチ・アンド・プロブレム・セクシヨンのチーフでございますロスという方が、今度極東経済復興委員会の事務局長に就任して、八月一日に赴任されることになつておりまして、そしてその際にわれわれの方と統計資料の提出において密接なコネクシヨンをもつてもらいたいという希望を述べられておりますので、単なる統計調査の作成という面においても、私たちの働く場所が拡大されつつあるように感じておる次第でございます。簡単でございますが、御質問に対してお答えいたします。
  102. 田中源三郎

    田中(源)委員 たいへん詳しく説明をしていただいてありがとうございました。そこで日本が国際統計のコンクールに参加するというくらいまでの進歩した統計方式にをとつて、そこで統計をつくるということになると、その予算額は一体どのくらい要るか、これが第一点であります。  第二点はこれは今各省でやつておることでありまして、一つの統計局のようなものにでもしますか、総合的な統計のスタツフをつくつて、そのブランチが皆商工省にもあれば、農林省にもある。そうしていつでも一つにまとまつた総合的なものとコネクトがとれているというようにすることが必要ではないかと思う。現在は戦時中の機構がようやくそこまで建直つてきたという程度で、それまでいきませんが、そうあるべきではないかと思うのであります。  第三点は、いわゆる末端の組織整備が困難だということでありますが、これはごもつともだと思う。というのは、山間部の町村あたりになると、財政面においてかりに統計吏員のすべての人件費が国庫からもらうということになつても、半ば統計をやつているが、半ば戸籍の助手あるいは他の役場助手としてヘルプしている。ひどいところになると、その方を七〇%も八〇%もやつているというところがあるのではないか。そこでこの際政府の多くの吏員を殖やすということは、私は好まざることだけれども、統計が国家行政の基礎であるという点から見て、農村などでは一町村ごとでなくても、二町村あるいは三町村にこれの専任の職員を置いて、常時その面のみにタツチしていく、そのビジネス以外にやらないということを考えてみたらどうかと思います。  それから国民の認識がないということは、ごもつともだと思う。私どもは前からこの問題についてやかましく言つておるのです。統計が必要であるということは、政府の方が知つておるはずであります。そこで予算を節約するということは、国民のみではなく、政府みずからが認識がないという逆説も出てくるというわけになります。ここで荒木政務次官も聴いておるが、私は荒木さんを通じて一面においては大蔵省に、特に御考慮願いたいことでありますが、この金は国家が思い切つて出さなければならぬ。そうして一面においてそういうようなプロパガンダをやる費用と、ほんとうのビジネスをやつていく費用とを出してある程度の水準まで高めていく。それさえやつていけば、日本のすべての行政面における予算の根拠もそれによつてすぐ出てくるのだから、私はそういうものをつくつていかなければならぬのではないかと思う。皆こういう面に触れられないということは、私ははなはだ遺憾でありますが、これに対しては、もし日本がそのスタツフ、その資料をもつて議会の図書館において、議院みずから立法的な予算に対する案をめぐらしていかなければ、議院みずからの資料がここにないということになつてくる。そんなことでは日本はうまくやつていけないと思いますので、今申しましたような私の意見もはいつておりますが、この三つの点であなたのお考えをお聴かせ願つておきたいと思います。
  103. 美濃部亮吉

    ○美濃部政府委員 非常に統計に御同情のございます御質問をいただきまして、私非常に心強い気がいたします。第一の御質問の点、来年から始まる五十年センサスにどのくらいの予算がかかるだろうかという御質問に対しては、まだ計画が具体化いたしませんので、具体的な数字は何とも申し上げられないのでございますが、いわゆるコンクールに参加してやる統計の費用だけは、私個人の頭の中で画いているところは、二十億ないし三十億あつたら足りるのじやないかというふうに考えております。もちろん物価がこれから上ればですが、今の物価の程度においては、その程度で十分ではないかと考えております。  それから第二の御質問の点でございますが、これはちようど一年前に、アメリカの統計の一番の権威者のライス博士を部長とする統計の調査委員会が見えまして、その詳細な非常にいいレポートを出しておられる。そうしてそのレポートの趣旨に従つて、私たちもまことにごもつともだと思つてつておる次第でございますが、そこに描かれている将来の日本の統計機構の理想的な形と申しますのは、今田中さんの言われたのとほぼ同じでございまして、今の総理庁統計局に、日本の統計調査の骨格となるようなセンサス的な調査は、これをここに統合する。これはアメリカのセンサス・ビユーローというのがそれに該当いたしますが、ここには今人口調査、工業調査、商業調査、農業調査、労働力調査、これだけが全部そこに統合されているそうでございまして、大体そういう状態をライス博士は日本において実現するのが望ましい、特に人間と機械と金との足りない日本においては、合理的にやつていくために、特にそれが必要であるということを強調されております。同時に、各省における統計調査局の任務は、多少今の田中代議士のお話とは違いまして、業務統計はとつていくが、第一次統計はとらないで、中央のセンサス・ビユーローでとつた統計調査を基礎にしてその分析をして、そうして日本の経済構造なり何なりを分析究明していくというのが、各省の統計調査局のほんとうの任務ではないかと申されております。私もまことにその通りであつて、現在の日本調査統計局というのは、やたらに自分で統計をとりたがつて、その結果を十分に吐露して分析していくことをしないという点に、非常な欠陥がありますので、そういう統計自体をとる仕事は、中央統計局に任せて、その結果を分析していくようにしなければ、日本の行政は進歩しないと考えて、そういうふうにできるだけ早い機会にもつていきたいと思つております。  第三の御質問の点でございますが、私の説明が不十分であつたかと思いますが、市町村の役場までは、専任の統計吏員を置いてあるのであります。今度兼業をしない専任の統計吏員を、市町村の役場までは最低一人まで配置している。次に問題は調査員の問題でございまして、一月五十円くらいの金しかやつていない調査員では、とうてい十分な調査はできませんので、次の段階としては、専門の役場の統計吏員のもとに常任の調査員を置くという発展の傾向をとつていかなければならないと考えております。
  104. 稻村順三

    稻村主査 西村君の質問に対し、荒木政務次官から答弁をしていただくことになつているそうであります。
  105. 荒木萬壽夫

    ○荒木政府委員 先ほど西村委員からの御質問に対して御猶予願つておりました事項のうち、大蔵省預金部特別会計の繰入四十五億余のうちの軍事公債利払関係の利子相当額がいくらかというお尋ねに対してお答え申し上げます。あの中に六億一千八百九十二万四千円を引当てておりますので、さよう御了承願いたいと思います。
  106. 稻村順三

    稻村主査 野坂君。
  107. 野坂參三

    野坂委員 私二、三できるだけ簡単にお聴きしようと思います。価格差納付金は百八十九億ありますが、前年度分の残りと本年度分がある。前年度分どのくらいになつておりますか。ついでにお答え願いたいのは、その残つた事情、それから今年度分でまた来年度の部分に残るような事情があるか、こういうような関係について伺いたい。
  108. 荒木萬壽夫

    ○荒木政府委員 お答えいたします。前年度の残が百十六億九千百九十七万六千円です。年度内の収入見込額が七十二億三千五百十二万四千円、合わせまして百八十九億二千七百十万円ということに相なつております。前年度残りましたのは、価格の改訂が予定の通りまいりませず、七月が十二月に遅れたということから、残が出たような次第であります。
  109. 野坂參三

    野坂委員 この前年度と今年度の納付金の下付を見ますると、今年は不当に小さいように見えるが、この点いかがですか。
  110. 荒木萬壽夫

    ○荒木政府委員 お答えいたします。前年度につきましては、今申し上げた通りでありますが、今年度の価格改訂は、前年の経験もございまするし、相当の見透しも立てまして、前年に比べますれば、十分この金額の程度でできるというふうな見透しのもとに、さようになつておる次第であります。
  111. 野坂參三

    野坂委員 この本年度の七十二億というのは、もう少し具体的にわかればお伺いしたいのですが、もしこれが長くなるようでしたら、文書でもいいですから、御提出願いたいと思います。
  112. 荒木萬壽夫

    ○荒木政府委員 文書で答えさせていただきます。
  113. 野坂參三

    野坂委員 できるだけ早くお願いしたいと思います。  その次に、特殊物件収入というところで、九億いくらありますが、これの内容がお聴きしたいと思います。それからこの見積りの根拠をどこにおいておるのか、お聴きしたい。
  114. 荒木萬壽夫

    ○荒木政府委員 説明員から説明してよろしゆうございますか。
  115. 野坂參三

    野坂委員 よろしゆうございます。
  116. 小熊清

    ○小熊説明員 私から御説明申し上げます。特殊物件収入の九億一千九百万円は、もと陸海軍で使つておりました、いわゆる特殊物件で、連合国軍を通じまして内務省に返還になつた分を主といたしまして、それに、その後一旦放出されたものを、さらに内務省の方で引合いました分を加えまして、その総額を大体六十七億四千六百万円程度と見込みまして、昭和二十二年度までの収入済額を差引きまして、そのうち本年度内に収入する見込みを、九億一千九百万円と大体推定したわけであります。今申し上げました総額六十七億四千六百万円のうち、二十二年度までに大体三十億八千四百万円ばかり収入いたしております。これは二十二年度は、まだ決算が確定いたしておりませんので、一応推定をして、差引収入未済が三十六億六千二百万円に相なります。そのうち閉鎖機関関係のものが約二十五億ございます。この分は本年度内には約一五%程度収入するものと見込みまして、その他の、閉鎖機関関係以外の財源の方は、大部分収入するものと見込みまして、予算の数字を得たわけでございます。
  117. 野坂參三

    野坂委員 ちよつと今、私はつきりしないところがあるのですが、そうすると、来年度に残る分はどのくらいになりますか。
  118. 小熊清

    ○小熊説明員 お答えいたします。二十四年度以降に一応残る分が、二十七億四千三百九十万円と予定してございます。
  119. 野坂參三

    野坂委員 これの詳価は時価ですか。
  120. 小熊清

    ○小熊説明員 評価は引取り当時の公定価格。公定価格のないものは時価ということになつております。
  121. 野坂參三

    野坂委員 それから次にクレジツト、外資の問題について、ちよつと二、三お聴きしたいのですが、終戦以来の輸入超過が五億三千万ドルというふうに、例の経済白書に書いてありますけれども、この五億三千万ドルのうち、ガリオア・フアンドに属するものがいくらあるか、この点をちよつとお聴きしたい。
  122. 堀越禎三

    ○堀越政府委員 その点は今しつかりした数字をもつておりませんので、いずれ調べてお答えします。
  123. 野坂參三

    野坂委員 大まかなところでわかりませんか。
  124. 堀越禎三

    ○堀越政府委員 大まかなところは、大体大部分と思召していいのじやないかと思います。
  125. 野坂參三

    野坂委員 そうしますと、ちよつとお聴きしたいのですけれども、この五億三千万ドルの大部分が、ガリオア・フアンドに属するとなると、大体においてクレジツトの性格をもつておると思うのです。ところが、この政府の貿易資金特別会計を見ますと、当然こういうふうな性格をもつておるクレジツトの上では、売上金の方が買上金よりも多いはずに見えるのですが、ところが実際上は逆になつておると思いますが、こういう現象は、どういうわけでできるか、この点をひとつお聴きしたい。
  126. 堀越禎三

    ○堀越政府委員 ガリオア・フアンドの目的は、国際法に基きまして、占領軍が占領地の飢餓と疾病を防止する義務をもつておる。その費用として出されておるものであります。殊に向うの納税者が国家へ納めた税金のうちの予算でもつて買つた食糧を主として入れておりますがために、民衆に対しては、日本内地で配給いたしております米と加じくらいの価格をもつて、非常に安く配給いたしております。中には五十円以下の換算率になるものもたくさんあるのではないかと思います。一方貿易資金特別会計で買い上げますものは、外国へ輸出する品物であります。これは内地の生産費が非常に高いために、その換算率が、はなはだしいものは一ドル四百円にも及んでおるものがあります。それのために、クレジツトではあるが、実施の運用といたしまして、円の面ではむしろとんとん、あるいはマイナスになるという現象を生じておるのであります。これは占領軍の趣旨といたしまして、アメリカの納税者の金で買つた品物によつて日本の政府が利益を得るということを、固く禁じております。日本政府のみならず、いかなる資本家、企業家にも利益を与えてはならぬ。すべて民衆に公平に分配すべきものである、こういう趣旨からまいつておりますために、一見クレジツトのごとき観を呈しておりまするが、日本内地の円の部分では受取超過とならない、こういう形になつております。
  127. 野坂參三

    野坂委員 ちよつと今の質問からそれますけれども、ガリオア・フアンド自体が、今申されたようですが、これはもちろん講和会議のときにきまるのでしようが、そのフアンドは、将来日本の債務として残るものというふうにわれわれは当然考えなければならぬことと思いますが、政府の方ではどういうふうにお考えでありますか。と申しますのは、農林大臣などがときどき、今外国から輸入しておるあの食糧は、日本がもらつておるんだというふうなことを言われたことがあるのです。その意味で私もお聴きしたのであります。
  128. 堀越禎三

    ○堀越政府委員 これはまだ公表されておりませんので、政府といたしましても、責任ある向うの当局者から何らかの指示を得ておりませんから、日本といたしましては、もちろん債務と考えるべきものだと考えますが、性質上占領軍の国際条約上負わされた責任として果すものであり、相手がアメリカであるという点から、われわれといたしましては、戦前の外資あるいは民間債務、それらを先へ支払うべきものであるという考えをもつております。
  129. 野坂參三

    野坂委員 今の御説明だと、先あとは別個の問題として、やはりこれは日本の債務になる。こういうふうに解釈して差支えないものかどうですか。
  130. 堀越禎三

    ○堀越政府委員 私どもといたしましては、個々に向うの最高責任者の言を聴いておりませんので、はつきり申し上げかねますが、われわれの接しておる範囲におきましては、債務と考えなくてもよいような言辞も弄されておるようなわけであります。その代り非常に不確かだと申し上げなければならぬと思います。
  131. 野坂參三

    野坂委員 ところが昨年の二月二十日附のマツカーサーがアメリカ合衆国国会にあてられた手紙の中に、こういうふうに書いてあります。慎重に考慮すればこれらのフアンド、これは慈善ではない。アメリカの納税者は、この措置によつて一銭たりとも損をすることはない。こういうふうに、はつきりと書いてあるのです。そうすると今おつしやつたことと矛盾するように思うが、この点どうですか。
  132. 堀越禎三

    ○堀越政府委員 その意味は私ども実は深く考えておりません。その書簡をよく調べまして、その意味をよく確めてみたいと思つております。そのあとでよろしゆうございますか。
  133. 野坂參三

    野坂委員 ただ問題は、われわれ国民としてこれをただもらつたおいうふうに一体理解してよいものかどうかということです。
  134. 堀越禎三

    ○堀越政府委員 今非常にデリケートな問題でございますから、実はこの点はわれわれとしても、何とも御返答できないと申し上げるよりしかたがないと思います。講和条約で以下に解決されるかの問題だと思います。
  135. 野坂參三

    野坂委員 これは実に根本的な問題で、非常に重要な問題だと思います。こうしたものが、たとえば日本に慈善として、送られたものならば、そういう取計らいもできます。しかしまたマツカーサーが書簡ではつきりとアメリカの方で一銭も損をするのではないと言うところから見れば、われわれの方としても、やはり将来の債務として取扱わなければならぬ、こういうふうに言えると思う。この点は政府の方でも、はつきりした見解を発表していただきたいと思います。そうしますと、この問題につきまして、ガリオア・フアンドを見ますと、これは貿易一般会計に繰入れられておると思いますが、そうですか。
  136. 伊原隆

    ○伊原政府委員 便宜私からお答え申し上げます。ガリオア・フアンドによつて輸入される物資は、貿易資金特別会計の方の輸入品の払下代金という中にはいつております。
  137. 野坂參三

    野坂委員 その同じ項目の中には、ほかにどういうものがありますか。つまりガリオア・フアンドだけの特別の会計ですか。あるいはそれ以外のたとえばエロア・フアンドの輸入の会計も一緒にまとめてあるのですか。
  138. 伊原隆

    ○伊原政府委員 この貿易資金特別会計においては、アメリカの方の勘定の整理上ガリオア・フアンドにはいつておりますものを、それから日本の方から輸出いたしました結果、輸出代金によつて得られたドル資金によつてはいりましたものを、それから今年度初めてのことでございますが、いわゆるエロア・フアンド、今まではございませんでしたが、そういうふうなものによつて輸入せられるものも、そういう一切の輸入物資の払下げの代金は貿易資金の受入れ、円の受入勘定になります。逆に輸出品の代金は貿易資金特別会計の方から円の払出しの勘定になつておりまして、一切の輸出輸入に関して貿易資金特別会計の円の受払いが行われておる、こういうことであります。
  139. 野坂參三

    野坂委員 そうしますと、たとえば貿易回転基金などは同じ貿易の中にはいつておりますか。
  140. 伊原隆

    ○伊原政府委員 回転基金の問題につきましては、今後どういうふうに取扱いますか、今後の取扱いによると思いますけれども、たとえば綿花を輸入いたしまして、これに加工いたしまして、また輸出するということは、回転基金によらないで、今までC・C・CワンとかC・C・Cツーとかいうようなやり方でやつておつたのであります。その場合においては、綿花自体は原材料としては払下げませんで、加工賃だけを貿易資金からの払いの勘定として出しておつた、円資金を貿易資金から払出しておつた。こういうかつこうになつております。
  141. 野坂參三

    野坂委員 これも一つの意見になりますけれども、ガリオア・フアンドのようなもの、これは回転基金と性格は違つておると思うが、こういうものを輸入して、この勘定などは当然将来の債務として取扱わるべきであるから、特別にほかと分離して取扱うべきではないかと考えますが、この点どうですか。と申しますのは、ここでやはり特別に取扱つておいて、将来日本国民として、この負債は返さなければならぬというふうな性格をもつべきだと、私たちは考えますが、この点どうですか。と申しますのは、たとえば綿花クレジツトの問題などにいたしましても、これと一緒にやつてもいい。結局ガリオア・フアンドというようなものは、救済資金というような特別な性格をもつておる。これも商売用の綿花のクレジツトと一緒になつてやれることになれば、結局このガリオア・フアンドが救済の方面ではなくて、商売のために使われることになつてきはせぬか、こういうことを私は言つておるのです。
  142. 伊原隆

    ○伊原政府委員 お示しのように、貿易資金の特別会計の円の受払いにつきまして、いろいろ勘定をわけますことも、一つの考え方かと思うのでありますが、何分にも正直に申しまして、外貨資金の勘定というものが、ただいまのところ日本側にはよくわかつておりません。従いまして、聞くところによりますと、外貨資金の勘定はガリオア・フアンド、それから今までトラスト・フアンド、コンマーシヤル・フアンド、今度はエロア勘定というような、いろいろな区分によつて輸入せられるように聞いておるのでありますが、それに見合います円資金の方は、どの勘定ではいつてきましたものか。たとえば食糧のごときものでございますと、非常にはつきりいたしますけれども、ガリオア・フアンドではいつてきたものか、エロア・フアンドではいつてきたものか、日本の輸出品の代金によつてはいつてきたものか、その辺の区分は、なかなかむつかしいものでありますから、ただいまのところは貿易資金、円資金は、多分一本に整理せられておると考えます。
  143. 野坂參三

    野坂委員 時間がありませんので、私こまかくお聴きしたいと思いますから、別の機会に譲ります。今の点については、私は先ほど申しましたと同様に、非常に重要だと思います。ガリオア・フアンドのあの性格上から、一般の、たとえば貿易あるいは商売のためのクレジツトというものとは区別すべきだというふうに、われわれ考えておりますから、こういう取扱いを政府の方でもやるべきではないか、こういう見解をもつておるということを申し上げて、私の質問はこれで打切ります。できるだけ政府側から、こういう問題についての報告とか材料をときどき出していただきたいと思います。
  144. 稻村順三

    稻村主査 本会議は重大な案件がかかつておるそうでありますので、四時四十分まで休憩することにいたします。     午後四時二十分休憩      ━━━━◇━━━━━     午後七時一分開会
  145. 田中源三郎

    田中主査 休憩前に引続き会議を開きます。西村君。
  146. 西村久之

    西村(久)委員 ちよつと大蔵当局にお尋ねを申し上げたいのですが、物価補正特別補充費六十億という算定の基準は、どういうような算定で出ておるのですか。
  147. 福田赳夫

    ○福田政府委員 お答えいたします。特別補充費につきましては、これをなぜ組んだかということについて、先般総会において申し上げたのでありますが、予算の中で終戦処理費でありますとか、あるいは公共事業費のごとく、物資を非常に多額に要する経費につきましては、今回の価格補正に伴いまして、従来の基準単価で計算いたしました金額が、どのように増額いたすかということを、克明に計算いたしたのであります。それから終戦処理費公共事業費以外にものにつきましても、たとえば刑務所経費の食料費につきましては一・八倍、原材料費につきましては一・六倍というふうに計算しております。食料費を一・八倍としましたのは、これは大体主食及び副食品のパリテイによる計算でさようになるという推定によつていたしたわけであります。それから原材料費につきましては、主要な物資が大体そのうちで半分くらいは占めるということを考えております。これは一・七倍になる。それからその他の雑資材は一・五倍というふうにいたしております。さような改正を加えまして、現在の予算を計算いたしました。それから刑務所以外におきましても、警察留置人についても、さような計算をいたしております。それから住宅復興資材費、船舶修繕費、船舶の燃料費、灯台の燃料費、病院療養所の経費、特殊医薬品費、皇室費、専用通信料金、通信料のごときは、通信料金の改定になるときに増額する。帰還輸送費、自治体警察費、生活保護費、自治体警察通信関係物件費、この刑務所以下十四の項目につきましても、ただいま申し上げましたような趣旨に大体準じまして、単価の改訂を行つております。これに漏れる雑件でありますが、これが非常に多くの件数に上るのであります。これを一々計算することは、非常に困難で、予算の編成は各款項ごとに、かつ部局ごとに、それぞれ費目がわかれており、しかもそれぞれの費目というものが、各事項ごとに、また区分されておるので、きわめて複雑なる仕組からできておるのであります。この複雑なる仕組に対しまして、物価の倍率というものを、きわめて短期間に織りこみまして計算をしかえるということが、きわめて困難であつたのであります。ここにおいて各省ごとに、賃金、旅費消耗品費役務費、委託費、備品費、原材料費、施設費、補助費というものがいくばくはいつておるかということを、各省所管ごとに見まして、賃金につきましては大体一・五八の倍率、旅費につきましては一・六の倍率、消耗品費については一・四、役務費は一・九、委託費は一・二二、備品費は一・一二、原材料費は一・四三、施設費は一・一八、補助費は一・二二の倍率というふうに、これらの倍率の決定は先ほど申し上げましたような各種の要素からくるのでありますが、科学的な計算をいたしております。この倍率をただいま申し上げました各省所管の賃金以下の各費目に適用いたしまして、そうして各省所管ごとに特別補充費という経費を算出いたしておるのであります。この各省所管をみな合計いたしますと六十億円になる。かように御了承願います。
  148. 西村久之

    西村(久)委員 そういたしますと、算定の方法等はわかりましたが、これを各省別に区わけ順にここに一緒にまとめたということは、各省ごとに計算をするということが、手数が多いという結果になるのでありますが、なおこの価格のわくについては、大蔵大臣が責任をもつてやるということに承知してよろしいのですか。
  149. 福田赳夫

    ○福田政府委員 これは各省ごとに計上してありますが、予算書をごらんいただきますれば、これは各省ごとに全部わかれて計上されております。それからこれを現実に支出いたします場合におきましては、予算の総則に掲げてあるように、大蔵大臣の承認を得て使うというふうにいたしておるのであります。実際の運用は、予備金と大体似たような形において支出するというふうに考えております。
  150. 西村久之

    西村(久)委員 次に価格調査費の関係についてお尋ね申し上げますが、これは主要な物資、石炭、肥料というようなものに限定して、そうして他のものはなるたけ調査費を出さないというようなことに政府はお考えはなかつたのであるか。この点をひとつお尋ね申し上げてみたいと思う。
  151. 福田赳夫

    ○福田政府委員 価格調査費は、経済のいき方というものをいかにもつていくかという点に、根本的な方向を示唆する経費であります。この経費につきましては、どう扱うかということにつきまして、いろいろ意見があつたわけであります。予算が決定されるまでの段階におきまして、今回行いますところの物価の改訂を相当大規模に行いまして、そして価格補給金の金額を減らしていこうという考え方は、一部にあつたわけであります。また大体今回の予算の基本的な考え方といたしましては、この際価格の改訂を相当程度やりまして、そしてそれをずつと持続するという形をとりたいというふうに考えられたのであります。従つてその考え方を貫きますれば、価格補給金というものは要らないことになる。ところがそれをまた極端にいたしますと、たとえば価格補給金を全部なくするというような建前をとるためには、同様の建前を官業についてもとらなければならぬ。官業についてさような建前をとるためには、運賃の倍率というものを非常に高く上げなければならぬ。また通信料金の倍率も非常に高くなるということになります。それから重要なる石炭鉄鋼等の値段も三倍というような金額になつてくる。かようなことでありますと、経済に一つの断層を生ずるということが、恐れられたのであります。ここにおいて大体の方針といたしましては、価格の改訂を行いまして、今後の経済態勢を整えるということでありますが、同時にこれによつて断層を生じないというふうな考え方を加味いたしたわけであります。従つて運賃倍率、また通信料金の倍率、かようなものをある程度独立採算というような見地から見ますれば、低目に決定されておるのであります。その思想というものが、民間の生産物資にも同じく現われておるのでありまして、この際価格の改訂を完全に行わない。しかして物価はなるべく低目に抑えるというためには、物価体系の基本となり、また経済の中心をなすところの石炭、鉄鋼以下の重要品目につきましては、これは補給金を出して消費者価格はなるべく低位にすえおこうという考え方をとつたわけであります。金額全体といたしましては、五百十五億という金額を予算に計上いたしまして、大体の検討といたしまして、百十倍という基準年度に対する倍率を維持しようという考え方にきたわけであります。この間におきまして、補給金を出す品目を整理するかどうかという問題があつたわけであります。これは考え方といたしましては、極力整理いたしたいという考え方をとつておつたわけであります。しかしながら、実際のおちつきといたしましては、なかなかさようなことが、内外の情勢から困難だということで、品目といたしましては、一品目逆に殖えております。すなわち従来アルミについてはこういう制度はなかつたのでありますが、アルミを新たにこの制度に加えて、従来の二十一品目が二十二品目ということになつているのであります。しかしながら、政府といたしましては、価格を適正に調整して補給金を減らす、それはまた量的にも質的にも減らすというこの基本的な考え方は捨てません。その基本的な考え方を捨てない当然の結論といたしまして、マル公物資の品目を整理するという結論が出てくるわけでありますが、これまた同時に大いにやろう、また今回の価格改訂におきましても、相当程度のマル公の整理が実現する、かように考えております。
  152. 西村久之

    西村(久)委員 この点に関して、もう一点お尋ね申し上げます。国鉄の使う石炭は、普通のマル公価格で消費いたしますが、海運で使います石炭は、特に安い石炭を使うということになつておるように思います。これはどういうわけで海運の関係と陸運の関係とで使う石炭の値段に区別があるのでありますか。
  153. 福田赳夫

    ○福田政府委員 その点については、ただいまお答えする用意がありませんから、後ほどお答え申し上げたいと思います。
  154. 西村久之

    西村(久)委員 政府委員の方でお答えができぬとあれば、たつてお答えを要求するわけではありませんが、私の知る範囲においては、鉄道の使う石炭は、価格調整費の恩恵にあずかつておらず、船舶運営会の使つておる石炭は、価格調整費の恩恵にあずかつておるのではないか、かように考えます。従いまして、同じ輸送関係のものでありまするのに、この区別があることがわかりませんので、実はお尋ね申し上げたわけであります。いずれあとでもよろしゆうございますから、この点について御答弁願いたいと思います。  もう一つお尋ね申し上げまするが、価格差益金のことであります。蚕糸の統制法が近く撤廃されるということを聞いておりまするが、蚕糸統制法の撤廃をするという機運にはなつていないのでございましようか。
  155. 福田赳夫

    ○福田政府委員 ただいまのところは、さようなことを聞いておりません。
  156. 西村久之

    西村(久)委員 もし私の聞き及んでおりまするように蚕糸統制を近く撤廃するということになれば、相当差益に影響を来すのではなかろうかと考えるのでありますが、撤廃すれば影響するということにならないものでありましようか。
  157. 福田赳夫

    ○福田政府委員 蚕糸製品の価格が改訂になる前において統制が撤廃せられるということに相なりますれば、影響ありと考えます。しかしながら、マル公が改訂せられた後において撤廃があつたという際においては、価格差益金の徴収には影響なし、かように考えております。
  158. 西村久之

    西村(久)委員 御意見はよくわかるのでありまするが、在庫の品は差益に関係するようになるのではないかと考えます。これは私の考え違いであるかもしれませんが、そういう筋合になるのではありませんか。
  159. 福田赳夫

    ○福田政府委員 在庫品について価格差益をいかなる基準でとるかという問題でございますが、これはマル公改訂当時において在庫物資であるというものにつきましては、いかなる物資につきましても、徴収するわけであります。それが改訂後におきましてマル公が撤廃せられるということがありましても、差益は徴収するということになると御了承願います。
  160. 西村久之

    西村(久)委員 輸出貿易品に対する検査手数料をおとりになるようなことに相なつておると承知いたすのでありまするが、それは予算の上に手数料徴収を御計上になつているかどうか、お尋ね申し上げておきたいと思います。
  161. 福田赳夫

    ○福田政府委員 物資の割当事務でありますが、さようなことに関しまして、政府当局としては手数料をとりたい、税関の輸出物資の検査につきましても手数料をとりたいという考えをもつておつたのであります。しかしながら、割当事務の問題につきましては、ただいまにおいても、その方針をかえないのでありまするが、その後いろいろ検討いたした結果、輸出品につきましては、とらないでいこうというふうに考えておるのであります。予算にはどういうふうになつているかと申しますと、割当統制物資につきましても、また輸出品につきましてもとり得るという建前で予算に計上しております。しかしながら、これがその後の方針、変更に伴いまして、輸出品についてはとらぬということになりますれば、当然それだけは欠陥を生ずるようになろうかと思うのでありまするが、しかしながら、これは印紙でとります。ですから印紙収入の見積りの中にはいつております。印紙収入全体の見積りといたしましては、多少のでこぼこ等もありますので、この際あらためて修正することが必要ではなかろうかと考えております。
  162. 西村久之

    西村(久)委員 今の御説明でわかりましたが、そういたしますると、印紙収入の四十九億いくらのうちに含まつているということになるのでありまするか。
  163. 福田赳夫

    ○福田政府委員 さようであります。
  164. 西村久之

    西村(久)委員 なお御予定になりました輸出品の検査手数料は金額はどれくらい御予定になつているのでありまするか。
  165. 福田赳夫

    ○福田政府委員 先ほど各種の検査につきまして、手数料を徴収するというふうに申しましたが、その総額が四億四千二百万円になつておるのであります。そのうち輸出に関するものは、概算いたしまして、一億六千万円程度であります。これが輸出検査手数料をとらないことに終局的に決定いたしました場合には、とれなくなるというふうに御了解願います。
  166. 西村久之

    西村(久)委員 私の質問はこの程度で終つておきたいと思います。
  167. 田中源三郎

    田中主査 おはかりいたしますが、大蔵省関係については、何か御質疑がございましたならば、この際にお願いをいたしたいと思います。
  168. 田中源三郎

    田中主査 淺利君。
  169. 淺利三朗

    淺利委員 鉄道に関係するのでありまするけれども、主計局長は御承知かと思います。進駐軍の鉄道輸送については、終戦処理費から金が出ている、こういうことに承つております。そうすると今度の鉄道運賃の値上の倍率のいかんによつて終戦処理費の内容は変つてくると思います。現在においては、すでに与党においても、この倍率変更を計画されている。もしこの鉄道運賃の倍率を変更すれば、どういう影響を及ぼすか。現在の政府提案の三・五倍でやつたものとすれば、その輸送費はどれほどに現在なつているか、その点が、もしおわかりでしたらお伺いいたします。
  170. 福田赳夫

    ○福田政府委員 お答えいたします。鉄道通信料会計に対しまして、終戦処理費で支払いをいたします。金額は鉄道については約六十億円、通信については七十七億円、この二つの支払いは、進駐軍が鉄道を使う、また通信にいろいろなサービスを提供せしむるということに対する代価であります。この六十億円、七十七億円は、どういうふうに決定するかと申しますると、通信会計、鉄道会計の原価計算をいたし、このサービスにいかなる原価がかかつたかという計算をいたしまして、この金額を決定いたします。従いまして、料率には全然関係のない計算をいたしておるのであります。今回鉄道料金が修正になることがかりにありましても、この関係はさような経理をしておりますので、全然影響なしと御了承願いたい。
  171. 淺利三朗

    淺利委員 原価計算ということになりますれば、結局独立採算制の上から見れば、別に値上げしなくてもよいということになると思うのであります。もし原価計算で採算上合わぬということならば、当然上げられることと思いますが、一方においては、一般の運賃は上げる。進駐軍関係においては別個の計算になる。そこの関係がよくわからないのですが、もう少しはつきりわかるように御説明できませんか。
  172. 福田赳夫

    ○福田政府委員 たとえば旅客運賃ですが、進駐軍の将兵が汽車に乗るわけであります。これは普通ならば旅客運賃を支払つてもらうのでありますが、これを旅客列車に要した原価計算をいたします。すなわち動かすに必要なる人件費、物件費を計算して、その所要経理を何らの利益なしに終戦処理費より支払いを受ける、かようにいたすわけであります。三・五倍ということに、旅客の率をきめますると、これは実に旅客といたしましては、原価計算よりは非常に高いのです。貨物を三・五倍といたしまして、これは原価計算からみますと、非常に低い。進駐軍の方の六十億の支払いは、旅客が多いのでありますから、原価以上に払うということは、関係方面においては承知いたしません。これは原価計算によつて支払うということにいたしておるわけであります。
  173. 淺利三朗

    淺利委員 そういたしますと、たとえば進駐軍の列車が客が乗つておらなくても、その汽車を運転すればそれだけの費用はとれる。その場合はむしろ鉄道としては旅客運賃よりよけいな金がはいつてくる。しかし非常にたくさんの人が乗つた場合でも、それ以上はとれない、こういう特別計算でいく、そう承知してよろしいですか。
  174. 福田赳夫

    ○福田政府委員 さような特別計算をやつております。
  175. 田中源三郎

    田中主査 鈴木さんの安定法部長官に対する質問は、明日願うことにいたしたい。
  176. 鈴木彌五郎

    ○鈴木(彌)委員 承知しました。
  177. 田中源三郎

    田中主査 それでは明日九時半より開会いたしまして、鈴木さんの質疑を終了し、それによつて分科の質疑は終了するということにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 田中源三郎

    田中主査 それでは本日はこれをもつて散会いたします。     午後七時三十二分散会