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1948-07-02 第2回国会 衆議院 予算委員会 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年七月二日(金曜日)     午後六時十四分開議  出席委員    委員長 鈴木茂三郎君    理事 庄司 一郎君 理事 上林榮吉君    理事 田中 松月君 理事 川島 金次君    理事 押川 定秋君 理事 小坂善太郎君    理事 今井  耕君 理事 大原 博夫君    理事 東井三代次君       青木 孝義君    淺利 三朗君       東  舜英君    植原悦二郎君       磯崎 貞序君    角田 幸吉君       綱島 正興君    古賀喜太郎君       島村 一郎君    鈴木 正文君       鈴木 明良君    西村 久之君       原 健三郎君    本多 市郎君       本間 俊一君    海野 三朗君       岡田 春夫君    猪俣 浩三君       黒田 寿男君    勝間田清一君       田中 稔男君    中崎  敏君       中原 健次君    矢尾喜三郎君       成田 知巳君    川崎 秀二君       成島 憲子君    小島 徹三君      生悦住貞太郎君    鈴木彌五郎君       田中源三郎君    圖司 安正君      長野重右ヱ門君    笹森 順造君       松本 瀧藏君    大神 善吉君       叶   凸君    中村 寅太君       世耕 弘一君    野坂 參三君  出席國務大臣         内閣総理大臣  芦田  均君         大 藏 大 臣 北村徳太郎君         國 務 大 臣 鈴木 義男君         厚 生 大 臣 竹田 儀一君         商 工 大 臣 水谷長三郎君         運 輸 大 臣 岡田 勢一君         労 働 大 臣 加藤 勘十君         國 務 大 臣 栗栖 赳夫君         國 務 大 臣 苫米地義三君         國 務 大 臣 西尾 末廣君         國 務 大 臣 野溝  勝君         國 務 大 臣 一松 定吉君  出席政府委員         経済安定政務次         官       西村 榮一君         大藏政務次官  荒木萬壽夫君         大藏事務官   福田 赳夫君  委員外出席者         專門調査員   芹澤 彪衞君         專門調査員   小竹 豊治君 七月二日  理事苫米地英俊君及び稻村順三君の補欠として  上林榮吉君及び田中松月君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十三年度一般会計予算  昭和二十三年度特別会計予算     —————————————
  2. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 会議を開きます。  お諮りいたしたいことがあります。理事稻村順三君、苫米地英俊君が委員を辞任されましたので、理事補欠をいたしたいと思いますが、これは委員長において指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 それでは御異議がなければ理事田中松月君、上林榮吉君を御指名いたします。  これより昭和二十三年度一般会計予算及び昭和二十三年度特別会計予算の両案を一括して議題といたします。まず本日政府より提出せられました修正につきまして政府説明を求めます。北村國務大臣
  4. 北村徳太郎

    北村國務大臣 このたび提出いたしました昭和二十三年度一般会計予算修正書及び特別会計予算修正書につきまして、御説明申し上げます。  昭和二十三年度一般会計予算及び特別会計予算につきましては、目下御審議煩わしておるのでありますが、今回右の予算につきまして、日本社会党民主党及び國民協同党から、おおむね次のような修正要請がございましたので、内閣といたしましては、これに基所要修正案を作成いたしまして、國会提出した次第でございます。すなわち  一、鉄道旅客運賃値上率を二・五五倍(通行税込)とし、これにより生ずる國有鉄道事業特別会計損益勘定)の赤字は一般会計において補填すること。  二、取引高税につき免税品目を拡張すること。右による減收額は五十六億円とすること。  三、鉄道運賃通信料金改訂期日の遅延による減收を補填すること。  四、交教費(六・三制経費等)を八億円増額すること。  五、災害対策費を五億円増額すること。  六、引揚者住宅建設費を三億円増額すること。  七、恩給法の改正に伴う所要経費約六億円を計上すること。  八、科学研究費を一億円増額すること。  九、給與水準改訂等に伴い、國会費を増額すること。  十、医師、産婆等に対する地方事業税の軽減に伴い、地方財政收入減一億円を補填すること。  十一、右の措置に伴う財源は、左記によること。  1 昭和二十二年度決算上の剰余金見込額使用可能額を計上すること。  2 高額所得者の税率を引上げ、これによる増收二十億円を計上すること。  3 課税充実の方途を講じ、これによる所得税増收百六十億円を計上すること。  4 價格差益金徴收を確保し、これによる増收額二十一億円を計上すること。  5 一般会計特別会計を通じ、物件費の節約を行い、歳出二十六億円を減少すること。  6 その他内閣において適切なる財源を調達すること。 以上でございます。なお内閣といたしましては、右の修正と同時に、併せて予算編成後生じた事由に基きまして、修正を加えることといたしました。その概要を簡單に説明いたしますれば、まず地方財源の彈力性を強化するため、入場税地方に移讓することといたしましたのに伴い、所要修正をいたしております。  次に、今回競馬法を制定いたしまして、公正な競馬を行うため、從來日本競馬会の経営いたしておりました競馬國営とするにつきまして、勝馬投票券の発賣に関する経理を明らかにするため、國営競馬特別会計を創設いたしましたので、これに伴いまして、所要修正を加えております。  また当せん金附証票法の制定に伴いまして、從來の宝籤の発行を、今後政府または都道府縣が、みずから実施することといたしますので、これに伴いまして、所要修正をいたしております。  次に、連合國最高司令官の覚書に基きまして、從來連合國軍の管理に属しておりました解散團体資産は、國庫に帰属せしめ、國庫はこの資産原則として換價処分の上、貿易資金へ繰入れることと相なりましたので、この関係経理を区分するため、外國貿易特別円資金特別会計を設置することとし、所要予算的措置を講するため、修正をいたしております。  最後に、國有鉄道事業特別会計工事勘定におきまして、諸般の情勢から建設改良費の増額を適当と認められますので、所要修正を加えた次第であります。  右修正の結果、一般会計におきましては、歳入修正増加額二百九十五億八千五百五十余万円、修正減少額百四十五億三百四十万余円、歳出修正増加額二百四十五億千三百三十余万円、修正減少額九十四億三千百二十余万円となりまして、修正増減引き歳入歳出いずれも百五十億八千二百十余万円の増加となり、從つて昭和二十三年度一般会計予算総額は、歳入歳出とも四千百四十四億六千二百十余万円と相なる次第でございます。  特別会計予算につきましては、地方配付税配付金特別会計ほか七特別会計予算修正額と、今回新たに設置いたすことといたしました外國貿易特別円資金及び國営競馬の二特別会計予算額を会計いたし、歳入修正増加額三百五十三億六千五百余万円、修正減少額三百四十億九千六百二十余万円、差引増加額十二億六千八百八十余万円、歳出修正増加額百五十一億六千五百余万円、修正減少額百三十九億三千二百二十余万円、差引増加額十二億三千二百八十余万円と相なりますので、この修正の結果、昭和二十三年度特別会計予算総額は、歳入一兆千百九十六億千七百九十余万円、歳出一兆二百三十九億四千九百六十余万円と相なる次第でございます。何とぞ速やかに御審議あらんことをお願い申し上げます。
  5. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 この際質疑を許します。本間俊一君。
  6. 本間俊一

    本間委員 ただいま大蔵大臣の御説明によりまして、新たに修正案が本委員会提出せられたのであります。この修正を一読いたしますと、予算の組替えにもひとしい修正でありますから、私は政府がまず今提出いたしております原案を撤回いたしまして、新たに修正せられました部分を加えて再提出なさるのが、一番適当な方法ではないかと考えるのでありますが、政府原案を撤回せられずに、修正案のみを提出せられたのでありますが、その理由をまずお伺いいたしたいと思います。
  7. 北村徳太郎

    北村國務大臣 政府原案を撤回する考えはございませんで、今回の修正をもつて修正案として御審議を願いたい。またこれは時の関係もございまして、かくすることが適当であると考えた次第であります。
  8. 本間俊一

    本間委員 現芦田内閣は、御承知のように、與党三派の基盤の上に成立しております政党内閣であると私は考えるのでありますが、よもや総理大臣も現芦田内閣超然内閣であるというようなお考えはもつておらないと思うのであリますが、この点に対しまして、芦田首相の御意見を伺いたいと思います。
  9. 芦田均

    芦田國務大臣 現内閣は三党政策協定に基いて、その基盤の上に成立しておるのでありまして、超然内閣であるとは考えておりません。
  10. 本間俊一

    本間委員 先ほどの本会議におきまして、同僚上林山榮君から、現内閣は当然に政党内閣でありますから、與党三派の政策を反映して、その政策を行つておられることと、私ども解釈をいたしておるのであります。その御質問い対しまして、芦田総理は、修正國会の自由でありますから、政府といたしましては、國会の自由な修正に從う、こういう意味の御答弁をされたと思いますが、その点はどうでありますか。
  11. 芦田均

    芦田國務大臣 國会の多数が予算案修正せられたときには、政府はこれを尊重する考えであります。
  12. 本間俊一

    本間委員 ただいま芦田総理大臣は、國会の多数が予算修正いたしました場合には、その多数の意見に從うつもりであるという御答弁を得たのでありますが、ただいま御提出に相なりました修正案を見ますと、内閣は今次國会提出中の昭和二十三年度予算に関し、與党三派の要請等により、提出原案修正することとし、左記の要領により修正案國会提出した。こういうふうに断つておられるのであります。國会はまだ政府原案修正しておらないのでありますが、この点につきまして総理大臣はいかがにお考えになりますか。
  13. 芦田均

    芦田國務大臣 この予算修正につきましては、具体的に日本社会党民主党及び國民協同党より、修正要望を受けたのであります。政府の見るところによれば、これら三党に所属せられる議員諸君の数は、國会の過半数を占めておるものと考えましたから、その要望從つて修正することは、民主主議政治原則に反しないと考えたわけであります。
  14. 本間俊一

    本間委員 ただいまの芦田総裁の御答弁のように、政府提出せられました予算案を、國会はこれを自由に修正する権能をもつておるのであります。それは芦田総理大臣のただいまの御言明通りであると、私も考えるのであります。しかしながら、現内閣芦田総裁言明をまつまでもなく、明らかに與党三派の基礎の上に立つておる政党内閣であります。そういたしますならば、当然與党三派の主議政策、あるいは三党政策協定に基いております政策というものを、具体的に現内閣は反映をせられておるはずであります。從いまして、政党内閣の建前から申しまして、芦田内閣與党三派との間に十分なる連絡をとられ、そうして現段階においては、この予算案が最も適切であるという確信をもつて、私はおそらく提出せられたものであろうと思うのであります。なるほど芦田総理大臣の言われるように、國会予算案を自由に修正する権能をもつております。しかしながら、その與党三派の要請に基いて、政府がここに修正をせられるのであリますから、少くとも政府與党三派との関係におきましては、十分な連絡がとれなかつたということを、認めなければならぬと思うのでありますが、この点に対して芦田総理大臣はいかがにお考えになりますか。
  15. 芦田均

    芦田國務大臣 從來民主主義政治運営考えて見ますと、法律案にしても、予算案にしても、提出以後に至つてこれを修正する場合は、しばしば起るのであります。これを修正することが民主主義政治運営に反しておるとは考えておりません。
  16. 本間俊一

    本間委員 なるほどただいま芦田総理大臣の御言明のように、政府提出いたしました法律案及び予算案に対しまして修正をすることは、これはあり得のであります。もちろん芦田総理の言われるように、國会は自由にこれを修正する権能をもつておるのでありますから、その点は國会の意思においてこれは自由にできるのであります。その点は私は一点の疑いを容れないのであります。しかし予算案というものは、一つ法律案のおのずからその性格を異にいたしておるのであります。芦田内閣の掲げておりまする主義政策、それを具体的に、集約的に表現いたしておりますのが予算案であります。從いましてこれは芦田内閣政治運営にあたりまして、一つ法律案を出されて、そうしてその一つ法律案に対する修正とは、またこれはおのずから私は別に解釈をしなければなりぬと思うのであります。少くとも芦田内閣の今後行いまする政策を、集中的に具体化いたしましたのが、この予算案であります。その予算案を組替にもひとしいような修正政府の手で行わなければならぬということは、いかように芦田総裁が御弁解になりましても、政府與党との間に連絡が不十分であつた点は、私は認めなければならぬと思うのでありますが、この点について伺いたいのであります。
  17. 芦田均

    芦田國務大臣 與党政府との間の連絡が不十分だという御批評であります。それはおのおの見る人によつて、見解を異にする点でありますから、私から特に強くこれを反駁する氣持はありません。
  18. 本間俊一

    本間委員 そういたしますと、芦田内閣が少くとも現段階において、向う一箇年間の日本政治を担当する内閣しとて、この予算案が最も適当である、そうしてこの予算案ならば議会においても、おそらく協賛を得て成立するであろう、こういう確信のもとに、私は提出されたものと思うのであります。ところがいよいよこれを提出してみますと、與党三派からただいま提出になりましたような修正を受けたのであります。そうしますと、芦田内閣を助けております與党三派は、芦田内閣政策の具体的な表現でありなす予算案に対しまして、相当重大なる修正を加えたのでありますから、與党三派は芦田内閣に対しまして、全面的に信任をしておらないという結果になりはしないかと思うのでありますが、この点に対して芦田総理大臣はいかなるお考えでありますか。
  19. 芦田均

    芦田國務大臣 政府の閣僚は與党三派を代表して政府を形づくつておるのでありますから、その基盤とする與党政策に沿う線をとることが、政府として当然の責任であると考えております。
  20. 本間俊一

    本間委員 芦田総裁のただいまの言明のように、與党三派の政策に沿う行動をとられるのが当然だ。ところが與党三派の線にこれは沿つておらなかつたから、國会において修正を受けたのではないかと、私は思うのであります。その点に対しては、どうでありますか。
  21. 芦田均

    芦田國務大臣 從來の各國の例を見ればわかるように、予算案提出されたとき、常にその原案通り國会において通ることを固執することは、かえつて民主主義政治に反するものと思います。議会の多数の意向に從うことが、われわれの当然の責任であると思います。
  22. 本間俊一

    本間委員 芦田総理のただいま言明せられましたところは、これは國会の自由なり権能に属する部分であります。國会政府の出しました法律案及び予算案に対して、自由にこれを修正する権能をもつておりますことは、私が先ほど申し上げた通りであります。しかしながら、内閣といたしましては——これはおそらく責任は別でありましようが、政府の出しました予算案が、與党三派から大きな修正を受けなければならなかつたということになりますれば、その與党三旗の連絡が十分であつたとか、あるいは與党三派の意見が、少くともその見透しにおいて、相違しておつたという点、これらの点につきましては、芦田内閣としては、当然私は責任を感ずべきものであると思うのでありますが、この点についてはどうでしようか。
  23. 芦田均

    芦田國務大臣 責任という言葉を、どの程度まではつきり申されたのかわかりませんが、政府行動をとる限りは、必ず責任政治原則に立つております。
  24. 本間俊一

    本間委員 私の用いました責任という言葉は、芦田内閣責任をとつてやめなければならぬかどうとかいうようなことを申し上げておるのではないのであります。少くとも與党三派の政策を反映して提出いたしました予算案が、與党三派によつて相当修正を加えられたのであります。そうすれば芦田総理がいかように弁解いたしましても、芦田内閣與党三派との間に十分な連絡がとれておつたということは、私は断定し得ないと思うのであります。その與党三派と芦田内閣との間の連絡が不十分でありました点につきましては、芦田内閣としては、私は責任を感じてしかるべきだと思うのであります。その責任というのは、何も芦田内閣がすぐやめなければならぬというようなことを意味するのではないのでありまして、その点につきまして、芦田総理大臣の御言明をお聽きしたいと思います。
  25. 芦田均

    芦田國務大臣 連絡が十分であつたか十分でなかつたかという批評は、本間君が御自由になさることができるわけであります。
  26. 本間俊一

    本間委員 大藏大臣お尋ねをいたしたいのであります。私がさきに大藏大臣質問いたしましたときに、当時の情勢から言つて鉄道運賃倍率修正は必至の状態にある。從つて運賃値上げ倍率修正は、おそらく行われるであろう。そうすれば大藏大臣としては必ず補正予算程度のものは出さなければならぬのではないかという私の質問に対しまして、大藏大臣は、追加予算を出すということは、全然私は考えておらない。しかしながら、なるほど運賃倍率修正は、あるいは起るかもしれない。しかしその際でも、歳出入総額においては変更がないのであつて、かりに多少の変更がありましても、ごく事務的な小さな問題だけに限られて行われるのでありますから、そういう必要はないという御答弁をせられたのであります。そういう御答弁をせられたという御記憶があられるかどうか、この点を大藏大臣に伺いたいのであります。
  27. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいま本間君のおつしやつたようなことをここで申し上げたと思います。但しその後先ほどからお話がございましたように、國会で多数を占める與党三派の國会議員諸君から、きわめて建設的な御意見が出、またきわめて現内閣を信頼する意味におけるところの修正案が出ましたから、それに基いてやつたのであります。(拍手、発言する者あり。)
  28. 本間俊一

    本間委員 私が大藏大臣に御質問いたしましたときには、当然運賃値上げ倍率に大きな修正が加えられるであろうということは、その当時から予想せられたことでありますから、私はその予想に基いてお尋ねいたしたのであります。ところが大藏大臣は、値上げ倍率に相当大幅な修正があつて予算の総歳出入においては変化がないということを確信をもつて答弁せられたのであります。ところがただいま提出いたされました修正案を見ますと、歳入歳出総計額を合計いたしまして、差引百五十億の増減があるのであります。そうすると、これは相当な増減であると、私どもは常識的に考えても解釈するのであります。そうすると大藏大臣が私に、運賃倍率相当修正になりましても、歳出入総額においては変更しない、こういう御言明になられたのと、その修正案を出された態度との間には、矛盾があると思うのでありますが、この点はどうでありましようか。
  29. 北村徳太郎

    北村國務大臣 これは運賃の問題が当時問題になつておりましたので、從つて運賃倍率が変れば変化はくるけれども收支の上に大した変化は來ないものと認める。当時さように申し述べたのであります。
  30. 本間俊一

    本間委員 そういたしますと、当時大藏大臣観測をしていなかつたような大きな変化が、その後修正されました予算案に現われておるかどうか。現われておるならば、どういうところに大藏大臣の予想しておらなかつた重大な変化があつたかどうか、この点を明示せられたいのであります。
  31. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいまお尋ねのきわめて具体的な点は、書類についてごらん願いたいと思います。
  32. 本間俊一

    本間委員 それほどの点でありますか、御明示願いたいのであります。
  33. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいま私が修正案提出の際に、きわめて丁寧に、概要ではございますけれども、申し述べましたので、何でいくら、何でいくらということは、ただいま申し述べた通りであります。
  34. 本間俊一

    本間委員 なるほど大藏大臣は、私が質問いたしました当時の自分の観測と、非常に違つた変化が起つておる。こういう意味のことを申されておりますが、先ほどの予算案説明をお聽きいたしましても、入場税地方委讓でありますが、この問題も、前々からわかつてつたことであります。わかつてつたのでありますから、二十三年度の予算提出いたしますときに、すでにこれはおろして計上すべきものであつたのであります。それから貿易資金関係円資金の方の特別会計の問題であります。あるいは競馬法に関する問題であります。これらはそれほど大きな変化ではないのでありまして、私が質問いたしましたときに、歳出入総額においては変更しないつもりであるという予測、観測をせられておつた当時と、そう大した変化はなかつたのではないかと思うのでありますが、この点につきまして、大藏大臣はどう考えておられますか。
  35. 北村徳太郎

    北村國務大臣 入場税のことは、当時お断り申し上げたはずであります。これは手続的に間に合いませんから、補正方法によつて地方に分讓いたしますということを当時申し上げた通りであります。それから競馬法等につきましては、法的措置について関係方面了解が遅れたために、今回の補正機会として提出した次第であります。
  36. 本間俊一

    本間委員 そういたしますと、私が質問いたしました当時は、競馬法がいずれ國会に提案になりまして、財政的な措置が要るということを予想しなかつたのでありますか、どうですか。
  37. 北村徳太郎

    北村國務大臣 それは的確に法案を提出することができるかどうか、その当時見透しがついていなかつたのであります。ようやく了解を得ましたので、この機会に急いで提出した、かような次第であります。
  38. 本間俊一

    本間委員 大藏大臣は以前の私の質問に対して、歳出入総額においては変更しないつもりであるとの言明は、その通り言明したと、卒直に認められております。ところが修正案を見ますと、百五十億の増加があるのであります。大藏大臣説明を聽きますと、この間には大藏大臣の予想しなかつたようないろいろな事態が起つたから、その事態も併せこの際修正せられた。こういう説明をせられておるのでありますが、私が質問いたしましたのは、今から考えてみましても、一箇月以内であります。つい最近の出來事であります。私は大藏大臣追加予算のことについて問うたのではないのであります。なるほど予算提出し、その予算案が成立しない、以前において、追加予算提出する考えであるということは、大藏当局立場上から言明せられないのは当然であります。そこで私は大藏大臣立場考えて、しかしながら、運賃倍率修正になれば、当然補正予算は出さなければならぬではないか、こういうように、私は大藏大臣立場を十分尊重いたしまして、大藏大臣立場に同情して質問いたしたのであります。ところが御承知通り、その際にも大藏大臣は、歳出入総額においては変更はしない。変更しないつもりであるということを、明らかに言明せられたのであります。また大藏当局も、それを言明せられた。ところがそれからいくらになるか、勘定いたしましても、ついせんだつてであります。なるほど今日の経済状態は、時時刻々に変化するのであります。しかしながら、今日のこの変化に富んでおります、またむずかしい財政を引受けられる財政当局といたしましては、少くとも向う一年間のいろいろなでこぼこを見透されて、そうして当然この程度ならばやつていける。あるいはこの程度ならどうであるというような、確たる見透しを立てられ、——その確たる見透しを立てるためには、相当なでこぼこも考慮の中に入れられて、そうして予算提出せられたものと私は思うのであります。この点につきまして、大藏大臣説明では、まだ納得がいかないのでありますが、その後情勢の変りました点を、もう少し具体的に御説明願いたいと思います。
  39. 北村徳太郎

    北村國務大臣 財政当局といたしまして、予算提出する場合に、これはいかようにでも変化するものであるというようなことは、むろん申し上げておらぬのであります。但しこれは一大藏大臣が、國会の審議権をかれこれすることはできませんので、國会に多数を占める議員諸君から建設的な御意見が出て、議会修正を求められるということになれば、私はこれに從うことをもつて、官僚政治でない証拠であり、またこれが民主主義的な行き方である、かように考えまして、今回修正案提出した次第であります。
  40. 本間俊一

    本間委員 そういたしますと、北村大藏大臣は、與党の建設的な意見が行われて、それに從うのが政党政治家としての当然の務めである。そういう意味の御答弁があつたのであります。大藏大臣は二十三年度の総予算提出するにあたりまして、與党の意のあるところ、與党の重要な政策に対しましては、十分打診をいたしまして、そして與党の声に相当耳を傾けて、そしていろいろ周囲の事情を十分勘案せられた上で、二十三年度の予算は、これが一番妥当である、これが一番適切である。こういう御信念をもつて、おそらく二十三年度の総予算提出せられたものと思うのでありますが、この点に対しましてはどうですか。
  41. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいま本間君のおつしやつたことは、財政当局としては、その通りであります。
  42. 本間俊一

    本間委員 そういたしますならば、大藏大臣提出いたしました予算案が、與党から組替えられるにひとしい大幅な修正をせられた。修正をするには、先ほど芦田総理大臣に私が申し上げた通り、これは國会の自由であります。從つてこの國会修正に対しましては、政府としてはいや應なしにこれに從わなければならぬ、これに服從していかなければならぬ。それは國会政府との関係であります。しかしながら、いやしくも與党三派の支持を受けて、そして與党三派の政策の線に沿うて、これならば今日の段階において一番適切であるという責任をもつて、自信をもつて確信をもつて北村國務大臣は、國会に向つて予算提出せられた、ところが與党三派から修正を受けたのであります。重大なる修正を受けたのであります。そうすれば大藏大臣は、與党三派との間に十分な連絡がとれていなかつたということになるのであります。あるいは相当な連絡をしたけれども、やむを得ずそういうことになつたならば、少くとも與党三派に対して大藏大臣の見透しは誤つてつた。こういう責任だけは当然考えなければならぬと思いますが、その点に対して大藏大臣はどう考えておられますか。
  43. 北村徳太郎

    北村國務大臣 與党三派との連絡があればこそ、修正案も出たのでありまして、われわれは緊密な連絡のもとに、今回提出いたしたような次第であります。
  44. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 なるべく同じ問題を往復しないように願います。またあとの質問者もありますから、簡潔にお願いいたします。
  45. 本間俊一

    本間委員 現芦田内閣與党との連絡が、常に緊密に行われることは、これは当然であります。從つて予算提出する前にも連絡があつたことでありましよう。また政府予算案提出したのちにおいても、與党三派といろいろな連絡があつた点も、これまた当然である。しかしながら、いやしくも二十三年度の予算案を、これが一番適当なりと自信をもつて出されるからには、予算案に関する限りは、大藏大臣としては、これを提出する前に、十分なる連絡をとつて、そして與党からは、なるほど大藏大臣は今日の段階において最も適当なりつぱな予算案提出した、こういうふうにいくのが、私は当然であると思うのであります。そうでなければ、政党内閣でも何でもない。その点につきまして——なるほど大藏大臣予算案提出する前にも連絡をしているのでありましよう。予算案提出いたしました今日におきましても、連絡されているのでありましよう。予算案に関する限り、自信をもつてこれを提出する限りにおいては、提出する以前において、十分與党三派との連絡がとられていなければならぬと思いますが、この点はどうでありますか。
  46. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 本間君の質問は同じところを往復しているようですが、大藏大臣答弁ございませんか。
  47. 北村徳太郎

    北村國務大臣 本間君にお答え申し上げます。先ほどから大体同じことをたびたび申し上げておるのでありますが、私どもは民主政治はフレキシブルなものであつて、一大藏大臣一つ考えに固着して、何と言つても動かぬというようなことはすべきものではない、さように考えている次第であります。
  48. 本間俊一

    本間委員 運輸大臣にお尋ねいたしたいと思います。運輸大臣も與党と十分に連絡せられた上で三・五倍の倍率の法案を、私は提出せられたと思うのでありますが、それが大幅の修正を受けたのであります。そういたしますと、これは大藏大臣と同樣、値上倍率法律案國会提出する前に、この問題について與党三派との間に十分な連絡をとつておらなかつたという責任は、当然負わなければならぬところでありますが、運輸大臣はこの点についてどう考えておりますか。
  49. 岡田勢一

    岡田國務大臣 お答えいたします。今日においても十分な連絡をとりました上、本修正案提出いたした次第であります。
  50. 本間俊一

    本間委員 きわめてふまじめな誠意のない御答弁でありますので、多少ダブるところもありますが。委員長においては御了承願います。     〔発言する者多し〕
  51. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 靜かに願います。——靜粛に願います。本間質問を続けてください。
  52. 本間俊一

    本間委員 運輸大臣も大藏大臣と同じように、責任逃れの答弁をせられた。このことを考えてみますならば、芦田総理大臣、北村大藏大臣、それから岡田運輸大臣、この三大臣に、私は修正案提出いたしましたその政治責任についてお尋ねをいたしたのでありますが、きわめて不満足な御答弁しか得られないのであります。しかしながら、なるほど政府提出いたしました予算案に対して、國会はこれを自由に修正する権能をもつておるのであります。從つてこの國会修正案に対しましては、從うとか從わぬとかいう議論はないのであります。当然これは内閣としては從わなければならぬのであります。しかしながら、ここにまいりまして、芦田総理もおそらく長い間政党政治家として御奮闘せられた方でありますから、その政治責任においては、おそらく十分に私は心の中では察知せられておることと思う。それと北村大藏大臣も同様である。また岡田運輸大臣も同様であろうと思う。しかしながら、何としてもこの予算案は成立させなければならぬ。予算案を成立させるまでは、あるいはその当然な責任に対しましても、私どもの満足するような御答弁をなし得ないのは、あるいは当然かもしれません。私はその心中を十分に御了察申し上げるにやぶさかではありません。しかしながら、この予算案が成立をいたしました後におきましては、この與党三派との間に、十分なる連絡をとらなかつたというこの政治的な責任だけは、当然この予算が成立した後において、負うべきであります。これは私が芦田内閣政治的な責任を追究するとか、責任を追究しないとかいうことは別にいたしまして、芦田内閣として、またこの予算案提出いたしました大藏大臣として、またその倍率修正せられました運輸大臣も、当然自分の政治責任感、自分の政治的な良心に照らして、それ相当の責任を負わなければならぬものと私は思う。それを私は要望いたしまして、本日私の質問は、これをもつて打切ることにいたします。
  53. 綱島正興

    ○綱島委員 大藏大臣お尋ねしますが、予算委員会において大藏大臣は、この予算案を訂正する意思があるかどうか、大幅に修正をしなければならぬような事情にあるようだが、訂正する意思があるかないかという質問に対して、訂正する意思はない、こういうことを答弁せられたことをお認めになりますか。
  54. 北村徳太郎

    北村國務大臣 先ほど本間君にお答え申し上げた通りであります。
  55. 綱島正興

    ○綱島委員 それをお認めになるかどうかということです。本間君はそういうことを問うておりません。そういう事実をお認めになるかどうか。
  56. 北村徳太郎

    北村國務大臣 予算提出の当初にあたりましては、私は財政責任者として、これを提出したのでありますから、これはいかようにでも直しますというようなことは、むろん申し上げておりません。
  57. 綱島正興

    ○綱島委員 積極的に伺うのでありますが、私はもつと基本的なことを伺わなければならぬ。それは立憲政治というものは、言論に責任を帶びるという政治であります。言論に責任を帶びないことが立憲政治になりましたならば、立憲政治というものは成り立たないのであります。それは民主政治の根本を否定するものであります。それは内閣諸公のみならず、政党においてもなおかつ言論に責任をもたねばならぬのであります。ただいまのような民主議会と申しておらない前の時代においてさえ、二枚舌事件なるものは、内閣瓦壞の原因となつておるのであります。わずかに一箇月を出ざるうちに、まつたく異なつたる発言をされた。それは立憲政治否定の行為であるが、その二枚舌に対する責任を、どうされるつもりでありますか。
  58. 北村徳太郎

    北村國務大臣 私は良心的に二枚舌を使つた覚えはありません。ただ問題は、提案の当時、これはわれわれのつくつた予算であつて、いかようにでも御自由に直してくださいということは申しておりません。そのことは事実であります。立憲政治はもちろん責任を負うものでなければなりませんが、同時にまた立憲政治は多数政治である。多数政治の原理の制約において、私どもは立憲的な責任を負うことは当然であります。
  59. 綱島正興

    ○綱島委員 はなはだどうも顧みて他を言うような御答弁で、たびたびしかたがなく同じことを聽かなければならぬことになる。わからぬ子供に何回も同じことを言わせるようなもので、ほとんど閉口いたすのでありますが、一体なるほど立憲政治というものは、多数の意見に聽從することである。その点までは正しい。しかしながら多数の意見に聽從して、責任ある発言と、その発言について責任を帶びるということが、立憲政府の制約であります。多数であるからといつて、いつまでもどうでもやつてよい。多数をかち得る方法においては、いかなる変革をしても、さらに責任はない。殊にその多数というものが、院内においてつくられたものでさえあればどうでもよいということになれば、立憲政治の院外、國民的つながりというものは消滅するのであります。そこで私どもは、特にこの立憲政治の線から申しまして、わずかに一箇月前に言われたことを、ここにおいて多数であるから変更した。こういうことだけで、一体責任が済まされるかどうか。これが二枚舌事件でなくてなんであるか。こういうことをあなたは顧みられなければならない。それについて政治上の責任を痛感せられない。自分どもは立憲的にやつたんだ。こういうようなことを言うて済まされるならば、あなたの政治上の常識というものを、疑わざるを得ない。あなたの今の答弁というものは、ほんとうにあなたの良心的なものでありましようか。良心的のものでなかろうということを、私は疑わざるを得ないのであります。あなたはどうしてもやむを得ざる事情があつてと、こう言つたならば、それにふさわしい態度をもつて、なぜ了解願いたいという態をとらないのか。どういうわけで、自分どものあえて非をおおうことに傲然とした立場をもつて、あなたは終始されるのであるか。それがはたして立憲政治家としての態度であるかどうか。私どもはこの点を疑わざるを得ない。今日の議場内における最後の混乱等も、一にこの不謙讓なる、実に傲然たる積極的の無責任さによると、私は考えるのであります。あなたはどうしても政治上の責任をとらなければならない。そこで私どもは最後にお尋ねをしておくが、あなたの考えによれば、たとえいかような二枚舌を使つても、二枚舌でないと言われるか。二枚舌に間違いない。修正せぬといつて修正されるのでありますから、これは事実は二枚舌に間違いない。それはいかように言うとも二枚舌に間違いがない。二枚舌を同一期間中に行つて、あえて責任なしという議論で、総理大臣大藏大臣も、同じくそういう見解に立つておるのであるか、それをお二人にお尋ねしたいのであります。
  60. 芦田均

    芦田國務大臣 いろいろ事情の変化によつて予算が多少変更することはやむを得ません。そういう事情をどうか御了解願いたい。
  61. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいま首相の答弁通りであります。
  62. 綱島正興

    ○綱島委員 運輸大臣にちよつとお尋ねをいたしますが、運輸大臣は予算編成の当時から、ただいまのような二・五五というような倍率修正をするような意思をもつておられたのでありますか。最初の予算案に盛られた通り意見でありましたのかどうか、伺います。
  63. 岡田勢一

    岡田國務大臣 予算の編成の過程におきましては、いろいろの議論がありましようが、それは結局提出いたしたときがその決定でありまして、その当時は、この修正は予想しておりません。
  64. 綱島正興

    ○綱島委員 予想してはいなかつたと言われるわけですか。
  65. 岡田勢一

    岡田國務大臣 そうです。
  66. 綱島正興

    ○綱島委員 わずかに一箇月を出でずして予想しないことが発生する。あなたの考えておられることは、一箇月を出でずしてすべてのものは変化すると承知してよろしゆうございますか。そうすると今後もここ一箇月を出でずして、あなた方のやつておられることは変化すると承知してよろしゆうございますか。
  67. 岡田勢一

    岡田國務大臣 請情勢変化によりまして、國会の多数の方の要望によりまして、かような修正に同意いたしました。(拍手)
  68. 綱島正興

    ○綱島委員 そういたしますと、この歳計予算というものを組んでおられる根拠が、少しもわからないのであります。歳計予算というものは、御承知通り、一箇年の予算でありますが、一箇月の見透しはつかない。與党がどうか言えばすぐその通りになつてしまう。結局政府與党と一箇月間の予想がつかなかつたという結果になるのでありますが、そういうことで内閣をやつておられるということに承知してよろしいのでありますか。
  69. 芦田均

    芦田國務大臣 大体の常識によつて將來りことを予想しておりますが、しかし人生はあしたのことを的確に言い当てることはできません。
  70. 綱島正興

    ○綱島委員 はなはだふまじめな答弁で、茶番狂言を承つておるような氣がいたします。あしたことはわからぬ。(「質問が悪い」と呼び、その他発言する者多し)歳計予算について、先の見透しを聽くのがどこが悪い。状況の変化に対する大体の予想をして予算を立てるのが、政治家の務めであります。政党も政治家も、事情の変化によつて大体の予測を立てられるのがあたりまえであります。これが半年立つて追加予算のことならなお恕すべし。わずかに三十日以内にこの予算変更されて、そのことに対して、少しの責任も感じない。はなはだ恐縮である。國民のためにはまことに恐縮である。私どもがここに質問をいたしておるのは、一綱島が質問しておるのでありません。これは國民の代表として質問をいたしておるのであります。そこでみなさんは國民に対して納得のいくような線で御答弁にならなければならないのであります。であるからあしたのことはわからぬというようなことを、國民の中に言つたならば、國民はインフレーシヨンが上昇せんとする時代に、一体総理大臣みずからさような質問に反対の神経戰術みたいなことをされて、その責任をどうされるつもりでありますか。
  71. 芦田均

    芦田國務大臣 ただいまの私の答えが、少し綱島君に誤解を與えたようであります。私の言つた趣意は、われわれの見透しは、大体常識的につけておる。しかしながら予期せざる状況の変化が起れば、それはそのときに應じて変らざるを得ないということを申し上げたのであります。
  72. 綱島正興

    ○綱島委員 予期せざる事情というのは、一体何が起つたのでありますか。予期せざる事情というのは、何にも起つていない。予期せざる事情というのは、與党政府間に起つた事情であつて、少しも社会に起つた事情でもなければ、経済上に起つた特別の事情でもない。それはあなた方の政治上の貧困を表わす以外の何ものでもない。予期せざる事情というのは、あなた方のもつておる政治上の識見の貧弱さと、政治力の劣悪さとの以外の何ものでもない。それはあなた方自身が発見された以外のものでもないのである。從つてあなた方が予期せざる事情というならば、社会に、あるいは経済上に起つた事情を御説明にならなければならぬ。それが政党間の事情であり、閣僚間の事情であるとすれば、それは決して政治上の責任を免れないと思うのであります。これに対する御見解を、大藏大臣及び総理大臣から伺いたい。
  73. 芦田均

    芦田國務大臣 私が予期せざる事情というのは、人生百般の問題を指しておるのであります。必ずしも正確に與党政府との関係に限るわけではありません。
  74. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいま芦田総理答弁と同じであります。
  75. 綱島正興

    ○綱島委員 これで私は打切ります。
  76. 植原悦二郎

    ○植原委員 この場合に私は新しい憲法、民主主義ということについて、國民に明瞭ならしむるために、一言政府に対してお答えがあるならば、お答えを願いたいし、お答えがなければ、お答えがなくてもやむを得ないものとして、私は再質問はいたさないのである。ただ國民全体に対して、きわめて明瞭にしておかなければならぬことがある。新しい憲法によつて日本は民主主義の平和國家をつくらなければならないというのが、現國民に負わされたところの責任であると、私は通感いたしておるのである。芦田首相は、かつては新しい憲法の日本國民に対する普及会の会長として、新しい憲法を運用する國会というものは、いかなる状態にならねばならぬかということを、全國民に向つて指導する立場にあつたことを、まさかお忘れではなかろうと思います。今日の本会議及びこの委員会においての質疑應答の状態を、私は靜観いたしておりまして、ここに一言言わなければならない状態に立至つたことを遺憾に存ずるのであります。もちろん政府議会における多数の意思によつて左右されなければならないことは当然である。私どもの同僚が、質問の劈頭において、芦田内閣超然内閣か、政党内閣かとお尋ねしたことも、問題はそこにあると思います。政党内閣でありまするならば、その政党は、選挙において國民に公約したことを議会において実行するという責任をもつのであります。國民に公約した責任を全うすることができない場合においては、議会政治の上でどういう責任をとるかといえば、退却するか、議会を解散して、新たに國民の意思の存するところを問うということよりほかに、議会政治責任はないのであります。(拍手)そこで芦田内閣は、三派政策協定のもとにおいて成立したものであるというならば、その内閣は、三派の政策を実現するために責任を有しておる内閣でありまするがゆえに、その内閣が編成いたしましたところの予算は、当然三派の意思を代表しておるものと考えるより、立憲政治の上に考え方はないのであります。また、國民は必ずさように考えておることは当然であると理解いたさなければならない。またもし、ほんとうに國民を代表するところの政治家でありましたならば、人事ははかりがたい変化のあることをだれも認めますが、ましてや今日のごとき戰後の日本の國状において、あらゆる方面において戰後の跡始末をしなければならない、新しい途に向つて再建いたさなければならないという行程にありまするときには、いろいろな変化があることは当然でありまするが、三派が選挙において公約したことを基礎として、初めて三派協定ができたものと見なければならないのであります。その三派の協定のできましたのは、わずか三、四箇月前、しかも予算がこの議会提出された間においては、約一箇月足らずであります。その一箇月の間に提出するときには、三派の意向も、三派が選挙において國民に公約したところの事実をも、実行するという責任感をもつて予算を編成されたものと考えなければならないのであります。それを、他の党から修正が出ましたのならば、これはあつてしかるべきでございます。與党内からできたところの修正、それもごく一局部にわたる、ささたるところの修正でありまするならば、別でありまするが、ある意味から言えば、ほとんど予算全体に影響するような修正であります。修正と申すよりは、予算全体を改変訂正しなければならないような修正であります。そういう修正を、政党内閣を標榜し、與党三派の政策協定の上に存在するという内閣がいたして、それに対して責任を感ずる感じないは別問題といたしまして、ただ通り一遍の——私は三十年の議会生活において、今日の芦田首相、北村大藏大臣のごとき無責任なる、ただ一時を逃がりさえすればよろしいというような不親切なる答弁を私は聽いたことはありません。(拍手)旧い憲法時代においても、さようなことはありません。民主主義のもとにできた新しい日本の憲法であるという憲法、しかもその憲法を國民に、民主政治の上に徹底せしめなければならないと、一時責任をとりましたところの憲法普及会の会長たる芦田君、それが道徳的、政治的の責任を感ずる場合において、私はなぜそういう修正をしなければならなかつたかという責任を追究するよりも、かくかくの事情であつたからやむを得ない、こういうことを議会のみならず、われわれは國民に対して徹底的に了解せしめるところの責任をとるべきであると考えるのが、民主主議を担当するところの政治家である。新しい憲法を、國民に代つて責任をもつてその運用を全からしめようとするところの議会政治家であるならば、さようあつてしかるべきであると思うのでございます。にもかかわらず、先刻來の御答弁、ただその場を言い逃がれて、二枚舌であろうと、一箇月前にこの議会において、議会内のみならず、國民に向つて声明したことと、まつたく違つた声明をここにいたしておるのにもかかわらず、そのかく立ち至つたことを懇切丁寧に、國民に了解のできるように説明をいたすならば、あえてこれをとがむるものではありません。まつたくその場さえ糊塗して出ればよろしい、こういう態度では、私は新しい憲法を運用しようとするところの國会議員として、内閣の閣僚として、まことに遺憾千万であります。國務大臣がかような態度をとつてまいりまするときに、私は恐る、この新しい憲法が、はたして日本にうまく運用されるかどうか。かような、一箇月前に言つたことと、一箇月後に言つたことと、責任ある者が違つた言論を弄して、それでその場をしのぎさえすればよろしいというようなことでありましたならば、これが國民道徳の上にいかなる影響を及ぼすかということを考えても、私は寒心にたえざるものであります。かようなことを私はこの場で責めようとはいたしませんが、真に新しい憲法を日本の國に植えつける立場から、その立場のまだ出立のまぎわにおいて、政治家として深甚なる御考慮を拂われ、日本國民の総理大臣である、この國家をりつぱに育てなければならないという責任を、自分に問うて自分に答え、どうか、私はこの場合に答弁を要求するものでもないが、もう少しく國民の政治、経済ばかりでなく、道義の上にも、國民を指導しなければならないのが國務大臣であるという建前から、深甚なる反省と御考慮を煩わしたいということを申し上げて、私の発言を終るのであります。
  77. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 私はこの修正予算案に関しまして、一言大藏大臣にお伺いいたしたいと思います。  予算の編成にあたつて、租税收入を計画する場合には、國民の担税力に應じて、均衡を保つように計画されておつたと、私は考えるのであります。今回の修正においては、取引高税において五十六億、通行税において十一億を軽減されておるのであります。私はこれによつて、六十七億に相当する予算の面において、國民の課税税の面において、均衡が破れておるということが言えると思うのであります。一例を上げますと、今回の税率改訂にあたりまして、地租は現在まで百分の二十五であつたものが、百分の二百という、約十倍にひとしい大幅の引上げがなされておるのであります。この税率によつて計算いたしますと、現在農村において土地を貸しておる者は、今日の小作料は一俵三十円の價格で計算されておるのであります。全國反当平均の小作料を考えてみますと、およそ一段当り二俵くらいと考えられるのでありますが、一俵三十円で計算されますと、二俵で六十円の小作料として收入があるということになつておるのであります。それに今回の改正による百分の二百という数字に相当する税金を出しますと、ほとんど收入が全部税金として課せられていくということになると思うのであります。この大きな課税に対して政府はなぜ今度の修正の場合に考えなかつたか、その点ひとつお尋ねいたしたいのであります。
  78. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいまのお尋ねの点は、ごもつともでございますが、これは地方財政に属することでございますので、地方財政委員長が参つておりますから、御答弁申し上げたいと思います。  それで取引高税等の軽減は、これはその後いろいろ考えまして、その免税の範囲を拡げるべきであるというように考えましたので、今回修正をいたした次第であります。  地租に関しては、地方財政委員長より御答弁申し上げることと思います。
  79. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 お答えいたします。中村委員の仰せの通り、地租の百分の二十四を百分の二百にしたということについては、まことに心苦しいのではありますが、一面農村におきましては、主食を生産する農民に対しましては大幅削除いたしましたから、そのウエートの点から見ると、全然問題にならぬから、その点御安心願います。
  80. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 私が大藏大臣質問いたしたのは、今回の税制改革において、取引高税を削減した理由は、取引高税だけをなぜ削減したかということを聽きたいのであります。今まで課税というものは、國民に均等にいくように計画されておつたものが、取引高税だけを削減したということにおいて、そこだけが私は軽くなつたと言えると思うのであります。われわれが農村の面で考えて、地租の面でも非常に大きな負担になることを覚悟して默つて辛抱しておつたのに、この面だけを軽減するということは、私は負担の均衡を失するということを、大藏大臣お尋ねしておるのであります。
  81. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答え申し上げます。これはただいま仰せのように、租税は全体を総合的に考えまして、そうして所得税関係、その他の関係、あるいは間接税の関係等において、國民の所得とのにらみ合わせをしなければ相なりませんので、今回の取引高税の軽減は、これは各段階ごとにかける税であることは、前にも申し上げた通りでありますが、そのうち特に生活必需品、生鮮食料品等は、これはやはり除くのが妥当である。当初考えなかつたわけではございませんけれども財政上の関係等から、それはさように考えながらも、思うようにまいらなかつたのでありますが、この際修正機会といたしまして、大幅に下げて全体の是正を考えた。これは全体の税制の均衡の上においての是正でありまして、これを下げることによつて、全体が一層均衡を保つ、かように考えておる次第でございます。
  82. 川島金次

    ○川島委員 質疑はこの程度に止めまして、本案の討論採決にはいるため、一時休憩せられんことを望みます。     〔「反対」と呼び、その他発言する者あり〕
  83. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 川島君の質疑打切りの動議に賛成の方は御起立願います。     〔賛成者起立〕
  84. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 起立多数。よつて動議は決定いたしました。  暫時休憩いたしまして八時十分より再開いたします。     午後七時二十五分休憩    ━━━━◇━━━━━     午後九時四十分開議
  85. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。
  86. 叶凸

    ○叶委員 議事進行に関して当局に対して一点質しておきたいと思うことがあります。米價改訂の問題に関しては、衆議院におきましては、全会一致をもちまして決議案ができているはずであります。われわれは衣食住と申しますが、大体これは食衣住であります。この生活の基本的な米價問題は、供出に関連する大きな問題でありまして、この問題に対しまして、大藏大臣芦田総理大臣も、何らの言明もない。この点につきまして、私ははなはだ不本意に思う。いろいろむずかしい事情もあるかのように聞きますけれども、少くともかような予算修正に関しまして、米價の改訂問題に対して一言半句の言及もないことは、どういうことになるのか。あなた方も米の飯を食つているのに、どういうことになるか。こういうことに対しまして、やはり適当な機会におきまして、芦田内閣総理大臣か、あるいは永江農林大臣から、適当な意思表示をみた上でなければ、われわれのこの修正予算に対しますところの議事進行に対しまして、非常な障害が起ると、私は考える次第であります。以上意思の表明をいたす次第であります。
  87. 芦田均

    芦田國務大臣 委員長お尋ねいたしますが、ただいまは質疑の時間でありますが、討論の時間でありますか。討論の時間ならば、政府が討論に参加することは差控えます。質疑ならば他日お答えいたします。
  88. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 叶君、総理大臣は別の機会に御答弁なさるそうであります。
  89. 叶凸

    ○叶委員 委員長において適当に処理してください。
  90. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 民主自由党西村久之君提出修正案についての説明を求めます。
  91. 西村久之

    西村(久)委員 私は民主自由党を代表いたしまして、修正案提出し、その趣旨弁明をいたしたいと思うのであります。  その前にお断わりを申しておかなければなりませんことは、政府原案が突然今日午後になり変つたのであります。これの内容を檢討するのに、残念ながら時間がないのであります。從いまして、お粗末ながら、修正案もガリ版をこしらえまして、見にくい関係等がありますことを一應おわびを申し上げておきます。しかしながら、事務的に時間がない関係と、政府のあまりにも時間をきりつめてお出しになりました予算が、非常に時間が短かいのでありまして、その責は私ども修正をいたしております者の責でないことも、はつきりここで申し上げて、御了承願いたいと存ずるのであります。從いましてわが民主自由党は予算修正をいたしますに先立ちまして、大体根本方針をきめて、民主自由党独自の立場修正をいたしているのでありますから、この点をあらかじめ御了承おき願いたいと思います。  すなわち要綱と申しますのは、大衆課税である悪税はこれを廃止する。從つて取引税、地方税たる事業税はこれを廃止する。また生産増強、あるいは文教振興のためには、これを早急に復旧いたしまして、増産の実をあげる。統制を速やかに撤廃して、自由主義経済に戻すことを根底とする。なお三千七百円ベースの堅持のために、國民負担の軽減をはかり、一方行政整理を断行いたします前提として、各省各廳の経費の節約をはかる。この根本方針に基いて修正をいたしてありますことを、御了承おき願いたいと存じます。  從いまして修正の内容につきましては、便宜歳出関係いたします方から、逐次述べてみたいと存じますが、政府所得税の負担が非常に重いというような見地に立ちまして、税を引下げられておつたのであります。ところが私どもの昨年の税は、相当重い税の負担を受けているというような観点のもとに、政府の提案を支持いたしておつたのでありますが、所得税を増税されまして、二十億余の増收をはかつた修正案になつておりますので、この修正には賛成ができないというので、二十億の歳入の減額をするというふうに方針をとつているのであります。  次に價格調整費の百八十六億減でありますが、これはわが党の建前から申しますと、五百十五億の調整費全部を撤廃するのが建前でありますけれども、石炭に関係する分と、肥料に関係いたします分だけを残しまして、あとの部分は全部これをやめて、價格調整の補給の制度をやめるという趣旨のもとに百八十六億を削減せんとするものであります。なお人件費、物件費七十三億円を節約せんとするゆえんのものは、政府が行政整理をすると稱しまして、人件費一割五分の節約をはかる方針をとつたと言われる、その一割五分は幽霊人口の整理であります。予算定員を一割五分減じましても、実人員には何ら響きせず、なおかつそれ以上のゆとりの実人員に上るのでありますので、私どもは欠員不補充の方針を立てまして、実人員をなるたけ殖やさないという見地のもとに、三割程度を整理いたしましても、今日の実人員に累を及ぼすようなきらいは、今日政府のとつております予算人員の計算の計算からみまして、及ばないという見解のもとに、九十億程度の節約をはからんといたしたのでありましたのでありましたけれども政府の今回の修正予算に対して、物件費等十七億を節約されておりますので、ここで九十億を節約せんとしました当初の方針を修正いたしまして、七十三億を節減することに改めておる次第であります。  物價補正等特別補充金の減十五億は、政府予算は六十億余万円となつておるのでありますけれども、これを各廳内部におきまして、節約をはかつていただきます。そうして各廳内のバランスをとつていただくということに、整理節約をはかつていただきたいと思いまして、十五億を減じておるようなわけでございます。  なお預金部繰入金の六億円は、問題の軍事公債利拂の停止に関係す問題でありまして、預金部繰入れの六億減じ、國債費の方へ六億を増額せんとする趣旨によつて、これを減額いたしておるのであります。歳出の減額総計は右述ベまして総計が三百億と相なるのであります。  しこうして歳出の増について増し述べてみますと、食糧増産に最も重大なるところの関係を有しまする公共事業費のようなものは、前年あるいは前々年の後始末をしていく程度の費用の支出では、災害の復旧等も早急にできないという観点より、災害復旧を速やかにして、後願の憂いを避け、なお増産の実をあげしむるがために、公共事業費の百九十三億を増額いたさんとしているのであります。その内容は治山治水費において二十億、土地改良費において二十五億、災害復旧費において二十八億、当初の計画は三十一億でありましたけれども、今回政府修正が僅少ながら三億余を追加いたして御計上になつておりますので、この金を引きました二十八億を増額せんとしておるのであります。そうして六・三制の費用を当初私どもは六十五億程度の増額をしようといたしたのでありますけれども、今回政府の方で四億近くの御計画があられるようでありますから、それを差引きました六十一億を増額いたしまして、この増額は中央の負担と地方の負担とを七と三との割敢にいたしまして、地方財政の緩和をはかろうとする意図のもとに、六十六億を増額しておることをはつきりと御了承おきをお願いしたいのであります。(拍手)  なお水産関係に対しまして、船だまり漁港の修築費に政府の熱意のないことを遺憾と存じまして、船だまり漁港の修築の急を痛感いたしますところの私どもは、四億円を増額いたさんとするのであります。また國土計画に関係いたしまする河川災害復旧費といたしまして、五十五億を増額いたさんとするものであります。その総計が百九十三億と相なつておるのであります。  次に政府は軍事公債利拂いの一年停止をされておりまするが、その利拂停止の額十五億を、先ほど申し述べました預金部に拂つていかなければならない利子の六億を加算いたしました二十一億を、ここへ國債費に増額いたさんとするものであります。なお引揚者の住宅等が不如意でありますので、住宅建築費を九億ほど、これも当初は私どもの方で十二億予定いたしておりましたけれども政府の方で今回三億の増加をはかつておられますので、その額を差引きました九億を増額いたしまして、引揚者の住宅を建築いたしまして、遺漏なきを期したいという趣意のもとに、ここで増額をいたしておるようなわけであります。從いまして、今まで申し述べました総計が二百二十三億円と相成るのであります。  次に歳入について申し上げてみますと、歳入の減の方で申し上げてみますと、先ほど申しました通りに、取引高税は大衆課税であり、應能負担の原則に反しまするところの惡税でありますので、これを私どもは今日の時局下に鑑みまして、今創設すべき時期にあらずという観点のもとに、全削しようというのであります。從いまして、政府の当初の予算は二百七十億でありましたけれども、今回五十六億を減額することに相なつておりますので、それに應じまして二百十四億を減額いたしまして、全削しようという趣意をもつておるのであります。  地方財政が非常に窮乏を訴えておりますので、地方財政の緩和をはかりますために、酒の税の消費税を一割程度地方に委せることにいたしまする方針を立てまして、五十億程度地方財源を見積つておるようなわけであります。  歳入増の方におきましては、今申しました通り、酒を四十万石増石いたしまする計画のもとに、四十万石増石いたしますれば、百六十五億の増收予定になるのでありまするけれども、年度内の收入が全部收入される予定がつきませんので、そのうち百億を年度内の收入予定額として計上しておるようなわけであります。なお價格差益金の増といたしまして、三十三億を増額いたさんとするゆえんのものは、政府が御予定になつておりまするところの、今年度内の價格差益にあたる差益を、努めて今年度内に財源の充当に充てて徴收をしていただくという趣意のもとに、三十三億を増額いたしておるようなわけであります。なお過年度の租税の收入を八十二億ほど予定いたしておるのでありまするが、御承知通り政府におきましても、今回百六十億程度の予定をなされておるようであります。しかしながら、四月まで御徴收になりまして、予算額以上になりましたところの租税收入は、百億を突破いたしておりまするし、五月以後二十二年度の税をとる予定になつておりまする税も、所得税において二百億ほど予定されてありまするし、その他の税で百億程度の御予定があるのでありまするから、この程度の今後の收入を見ましても、あくまでこの程度はとり得という私どもの見解のもとに、八十二億をここに増額せんとするものであります。その他官有財産の賣拂代、あるいはアルコールの専賣益金、電力の超過の罰金を受入金というようなものを予定いたしまして、二百二十七億を予定いたしておるのであります。  かくいたしまして、歳入歳出増減をはかつたのでありまするが、御承知通り、鉄道会計と通信会計とが、独立採算の形はとつておりまするけれども、今日独立採算を維持し得ないような実情にありまするので、わが党といたしましては、料金の値上げを二倍、旅客の運賃十割増しを基準として、鉄道会計の收支のバランスをとつたのであります。その結果先ほど本会議で尾崎君が述ベられました通りに、三百一億の赤字になるのでありますけれども、そのうちに政府が今回新たに百九十一億の一般会計からの繰入れを予算に計上されておりまするので、その残額百十億を加減いたせばよろしいのでありますけれども、その残額はつとめて整理節約をはかり、そうしてなるベく一般会計の繰入れを少くするという趣意のもとに、私どもは人件費、物件費の整理節約をはかつていただくことに努力をし、一面政府が予定いたしましたところの生産公債三十二億は、これを四十億にしていただきまして、そういたしますれば三十億の不足金を生じまするので、この三十億を一般会計から特別会計の鉄道会計に繰入れんとする趣意の方針を立つておるようなよけでございます。同樣通信会計も、はがきを倍の一円、封書を三円ということにいたします。そうして一体の通信料の値上げは二倍半を原則として算出いたしました。その結果不足額が二十億ほど生じまするのでこれも一般会計より繰入れをするというような方針を立てまして、保つておるようなわけでございます。その結果一般会計におきましては、歳入歳出ともに三十七億の増になりまして、その総予算額は四千百八十一億六千二百十三万五千円と相なるわけでございます。なお今申し上げました関係によりまして、特別会計を整理いたさなければなりませんので、特別会計の総予算額歳入におきまして、一兆九百六十二億六千七百九十八万九千円となり、歳出は一兆六十五億九千九百六十七万円と相なるわけでございます。  簡單でございますが修正の趣意を申し述ベまして、諸君の御賛成を願いたいと存じます。(拍手)
  92. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 次に社会革新党の大原博夫君提出修正案についての説明を願います。
  93. 大原博夫

    ○大原委員 私は社会革新党を代表して、修正案説明をいたさんとするものでありますが、相当大部にわたりますので、朗読を省略して速記に止めることにして、その大綱の説明をいたしたいと思います。われわれはこの予算を次の四つの観点に立つて檢討いたしました。  第一は今日日本の当面しておる第一の命題は、何といつてもインフレを食い止めることにある。もちろんインフレは物資と通貨の関係にありますが、物資の不足はしばらくおくとして、その原因は財政インフレである。この予算を実行すれば、必ずインフレが高進する。ゆえにぜひとも予算の削減を行わなければならぬ。予算総額をそのままにしておいて、そのわくの中で予算をいじくつても何の意味もない、こういうことが第一の観点であります。  第二は一般國民の負担は、すでに限界に達しておる。物價の値上、賃金の引上げによつて、國民所得は増加もするけれども、他面において物價の引上げ、あらゆる税の増徴によつて、家庭の経費は収入を上まわる。その上インフレの追打ちを食えば、國民生活は昨年より苦しくなるばかりで、さらに國民の中には収入の増加しない相当多くの人たちもおるのでありますから、少しでも國民負担の軽減をはかつて、國民生活の安定をしなければいけない。これが第二の観点であります。  第三は中央、地方を通じて官公廳その他企業面において、非常な人員の増加を來しておるのであります。これは戰時中人員が増加し、その上戰後において多数の復員官吏を吸收しておる。その後もだんだん増加しておつて、昨年十月以來で、純官吏だけでも七万五千人を増加しておる。こうした過剰な人員、放漫な官廳経費が、何ら節約されることなく、そのまま國民の負担に轉嫁されることは、國民は納得いたしません。これが第三の観点であります。  第四は削減をやつてインフレの高進を食い止めれば、事業費を二割程度つても、この予算を実行すれば、インフレはもつともつと高進するのであるから、実際の事業量はむしろ多くなる。こういう四つの観点に立つて、私たちはどうしても削減の方法のないところのもの、たとえば地方警察費國庫負担金、小学教育費國庫負担金、小学校教員給與費補助、中学教育費國庫負担金、中学教員給與費補助、公共事業費中の六・三制の災害復旧費、年金及び恩給及び國債、こういう九項目を除いての歳出を、一律に二割天引を行つて政府はその実行予算を編成して、これを実行すベしという結論に達したのであります。こうした非常時局におきましては、勇猛渇をもつて大なたを振つて断行せざる限り、財政の緊縮はとうていできるものでありません。このように二割天引をいたしますと、七百二十二億五千二百万円の経費が不要となるのであります。この不要額をもつて國民負担の軽減の軽減に充てるのであります。取引高税のごときはこれを廃止し、衡平な負担の軽減の目的をもつて所得税の軽減をはかる。これに二百億円を充てたのであります。鉄道の特別会計に百四十億円を入れて、運賃の引下げを行うつもりでありましたが、今日の決定によりまして、これは不要となりましたので、そのまま予備費に繰入れることにいたしたのであります。ほかに予備費に百四十億円を充てておりましたので、予備費は合計二百五十九億二千四百二万六千六百円になることになつたのでありますが、これは天引によるところの無理な面を是正するため、また行政整理による赤字、また失業者の救済の費用に充てるために要するものであつて、他のものに充ててはならないという考えから、本予備費を違れたのであります。これで歳出歳入とも三千五百二十三億八千万円になつた次第であります。この二割天引をいたしますと、多くする理由があるし、またそれのために結果するいくたの問題があるのであります。一、二のものを申し述ベてみますと、この二割天引が地方に影響を與えて、地方の官廳に対しても経費の節約を進めることができる。こういたしますと、この面におきましても國民の負担を軽減することができる。また賃金の三千七百円ベースにいたしましても、かようにすることによつて、これを維持することができるという考えであります。また政府企業ももちろん、民間の企業を刺激し、この合理化を行わしめることができる。またこうした節約によつて、國民心理に與えるところの影響も、はなはだ多いという考えをもつものであります。また本年もし行政整理をすれば、赤字が出るというものがあるのでありますが、整理しないでインフレが高進して、賃金を引上げたための莫大な赤字と、どちらが大きいかということは、考えるまでもなくわかることでありまして、以上の理由によつて歳出の二割天引きを強く主張するものであります。これは昔山本内閣や浜口内閣によつてつたように、予算を通過した後におきましても、やはり政府は二割天引きの実行予算を編成して、実行せられんことを強く要望をいたすものであります。この予算修正の中には、あちらに三億、こちらに五億というような、少しずつわけ合つたようなところもありまするが、もしインフレが高進をいたします場合には、こんなわずかなものはどうにもならないと思うのであります。インフレ高進を食い止めて、実際の價値を高めて、初めて効果があるのであります。これを私は攻勢防禦と呼んでおるのでありますが、以上の理由によりまして、二割天引きの大削減をすることが、日本を救うところの唯一の途であると考えて、二割天引きを主張いたしたわけであります。  以上簡單に御説明を申し上げましたが、何とぞ御賛成をお願いいたします。(拍手)
  94. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 これより各案を一括して討論に付します。討論は通告順にいたします。青木孝義君。
  95. 青木孝義

    ○青木(孝)委員 ただいま本委員会の議題になつておりまする昭和二十三年度の本予算につきまして、私は民主自由党を代表いたしまして討論をいたします。  総予算は御承知のごとくに、政府提出の当初予算としては、三千九百九十三億という厖大なものでありましたが、その後数日來の與党修正によりまして、政府はこれを容れ、さらに百五十億の増加がきまりまして、総額四千百四十四億という厖大なものであります。これに関する討論をわずかに二十分でいたしますことは、はなはだ困難でありまするけれども、今日は時間がございませんし、私といたしましては、多少抽象的に流れまするが、できるだけこれを制約いたしまして、なるべく簡單に申し述べたいと存じます。  まずこの予算をわが党は最初より独自の立場で、これに対する大幅の修正意見を、たびたび新聞にも発表いたしておりまするので、この点についても申し述べたいのでありまするが、しかしこれは西村君がすでに詳細に皆樣にお話を申し上げ、御了承を得ている点でありまするから、私がまずこの予算について第一に考えますることは、本年度予算と中間安定策との関係であります。政府日本経済の最終的安定への過渡的手段として、外資導入を中核とする中間安定政策を意図されているようである。しかしおよそ政府の対策とその無能力とは、むしろ事態をまつたく反対の方向に押しやりつつあるのである。しかも外資導入に対する基本的な條件は、資本に対して、その安全性と收益性とを確保することでなければならない。しこうしてこのための根幹的対策は、言うまでもなく財政の実質的均衡を確保するということである。この実質的均衡によるインフレの克服と、それに基く労働不安の除去でなければなりません。この点については、さきに來朝したる米國の使節團のいずれもが指摘しておりますし、強調されていることは、周知の事実であります。しかるに政府は労働不安に対しては、單に社会党をそれに対する防波堤として利用し、しかも社会党も政権にありつくための役割を、甘んじて引受けているかのごとき観があるのでありまして、(拍手)何らの積極的な対策をも講じておりません。またインフレ克服の契機とすべき本予算は、政府が健全財政原則を貫徹し得たと、厚顏にもこれを誇示しておりましたにかかわらず、実は未だかつてわれわれの見ざる不健全財政であります。(拍手)インフレ激成剤的財政であることは、政府以外にすべての財政専門家の一致しと認めるところであります。本予算における投資的支出とは、終戰処理費、賠償施設処理費、連合軍財産返還費等、巨額な不可避的出費が計上されているとは言え、一対四という大きな不均衡を示しており、また價格調整費、公共事業費、政府出資金は、実際上赤字を構成すべき性質の費目であります。殊に政府出資金の大部分を占めている復金出資は、ただ財政收支の形式的なつじつまを合わせるためだけの目的から、むりに百八十億円に止められておりますけれども、現在及び見透し得られる産業の需給状況を考慮いたしますならば、正に年度内に数倍に達することは、避けることのできない事柄であろうかと存じます。わが國民経済の順当な再生産循環の軌道への推轉という國民的期待が、ドレーパー使節團來朝以來の情勢の好轉によりまして、裏打ちされようとするその矢先にあたりまして、このせつかくの好轉の機会をすつかり破壊するような不健全財政は、他力本願主義の芦田首相の意図され、かつ國民に宣傳されてきた外資導入による中間安定政策と、まつたく矛盾するものと言わなければなりません。インフレを仰えるどころか、むしろかえつて、これを激成する火樂箱を藏しております。本予算の前提としては、インフレの進行の急歩調を仰えようとする政府の中間安定策は、一箇のカリカチユアにすぎないといつても決して過言ではないと思います。また政府当局のこの二十三年度一般会計についての説明によりますれば、本予算編成の根本方針は、收支適合せる予算を編成することが、当面の経済安定に対する総合的施策の大宗をなすものである。もう一つは、インフレの高進を阻止する最善の方法は、收支の適合せる財政計画を確立することにある。この根本方針は、それ自体としてはまことに何人も非難の余地はありません。かかる根本方針から、赤字のない均衡予算が編成されたのでありますが、しかし遺憾ながら、われわれは、これに対しまして、ただちに讚辞や祝意を表することはできません。何となれば、均衡ということは、必ずしも一義的なものではないのであります。均衡には少くとも二つの種類がある。実質的均衡と形式的均衡とである。しかしてこの両者は本質的に異るものであり、形式的均衡は実は不均衡し同穴の存在たり得るのであります。本予算は、表面上の構成では、確かに均衡がとれておる。そこには赤字はない。しかしこれを立入つて檢討するときは、この均衡は單に外観的、名目的、形式的なそれであるということを、明らかに暴露しておるのであります。形式的な予算の均衡は予算編成の技術的操作によつて容易に得られることである。しかし予算の均衡が問題とされるとき、その意味せられる均衡は、あくまでも実質的なそれでなければなりません。しかるに、かかる実質的な意味においては、本予算はむしろ未だかつてわれわれの経驗しないところの不均衡予算であるということは、よく記憶していただかなければなりません。本予算は、インフレを阻止するどころか、これを一層激発するところの爆樂であり、國民経済の生産循環の展開に対して、恐るべき破壊作用を営む破壊力であります。私は單に本年度予算が、昨年すなわち二十二年度の二度の追加予算を合わしたのの九割強の増加という厖大な数字であるからというのではない。本予算があまりにも大きな裏口をもつており、かつ消費的であり、自己膨脹の必然性をそれ自体の中に内有しているいうことを強く指摘しておきたいと存するのであります。  まず歳出の面におきまして、先般の参議院における公聽会において、大内教授が指摘しております政府出資金、價格調整費、公共事業費は、実際上赤字となるものである。しこうして價格調整費は、インフレの高進とともに、膨脹を余儀なくされるであろう。これはその通りであります。さらに、たとえ一割五分の行政整理を強行したとしましても、インフレの高進による一般物價の上昇の不可避性に伴い、三千七百円ペースを目的として全面的に闘爭を展開しており、今後の情勢の進展とともに、これを抑えることは不可能であると思います。補正による現行公定價格の引上げは、全体として現行公定價格のおおむね七割程度の引上げに止め、やみ價格は三割六分程度の上昇に止まるという予想のようでありますが、やみ價格がはたしてこの線でおちつくかどうか。たとえ購買力の減退を勘定に入れても、物價上昇の速度が、通貨のそれを追い越して進んでおる現在、はなはだ疑問と見なければなりません。なるほど今年に入りましてからのやみ價格上昇の足取りは緩慢である。しかしこの現象は、政府の強行的租税の徴收と、極端な政府支拂の抑制に基困するものであつて、抑制された政府支拂はいずれは撒布されざるを得ない性質のものであります。しかも物價上昇の先駆を承るタバコの値上げ運賃、通信料金の恐怖的大幅値上げに加うるに、本予算において実質的に赤字となる政府出資金、價格調整費、公共事業費の支出や、終戰処理費を初めとする厖大なる消費的支出が、物價上昇を不可避ならしめようとすることは、疑問の余地がございません。從つて今回の安定帶の再版が崩壊することは必然であると言わなければなりません。このことは、当然價格補正を参酌し、実質賃金を確保することを目的として設定された賃金三千七百円ベースを根底から覆すこととなるのであります。かくて物價と賃金との惡循環は、一層拡大された規模において再生産されて、それがまた政府の各支出費目の増加をさらに不可避ならしめ、結局政府をして追加予算計上のやむなき事態に追いこむことは、けだし明瞭であろうと存じます。すなわち財政インフレの拡大された高進が、ここに不可避的なものとして招來されざるを得ないのであります。  これに対して歳入はどうか。政府は本年度の國民所得を一兆九千億円と算定しておりますが、國民所得は、その算定のしかたによつて、大きくもなりあるいはまた小さくもなる。昨年度を基準とすれば、これほど大きな数字とはならないはずであります。おそらく一兆二千億円程度のものであろうと考えますが、算定のしかたでどんな結果でも出るおばけのような國民所得を算定の基礎を明らかに示さずして、しかも政治的に利用することは、國民を欺瞞するものであると言わねばなりませなん。國民の担税能力が、すでに限界に達しておるということは、各方面より指摘されておるところであります。しかも金融面は、民間資金が資金需要に及ばず、事業界の金づまりは、インフレの高進に比例し一層悪化しつつある。これはインフレに固有な特徴的現象ではありましようけれども、この点から考えても、現在の機構のもとにおきましては、税率をいかに変更し、また新税を設けましても、國民の担税力がもはや限界に達しておるこの事実を考えますならば、予算と徴税実績の大幅な時期的ずれは、再び避け得ないと見なければなりません。從つてまたこの点からも相当巨額の追加予算の計上が不可避である。政府の言を借りて申しますならば、本年度予算は、ただに財政収支の数学的均衡に止まることなく、安定せる均價と安定せる実質賃金とを通じて、経済再建に向う國民経済の合理的体制を確立する一應の構想を得て、ここにその編成を見た。こう予算説明書に書かれておりますけれども。かくて編成された予算の正体は、まさに以上述ベたごときものであります。  さらに、鉄道運賃値上げ、郵便料金の引き上げ、これらの問題でありますが、殊に鉄道運賃を一挙に三倍半あるいは二・五五倍の大幅値上げを断行せんとすることは、國民に非常な衝撃を與え、インフレの激成に拍車をかけるものである。さらでだに窮迫せる國民生活を一層重圧し、彼らの生活に対する絶望感を與えるものとしか言われない。郵便料金の四倍値上げは、かえつて相対的に著しい減收を來し、國民に與える犠牲を考慮するならば得るところはきわめて少い、こう言わなければなりません。(拍手)二倍程度運賃料金の引上げは、諸般の情勢からやむを得ないといたしましても、かかる大幅の値上げに対しましては、われわれは断固として反対せざるを得ないのであります。政府はまた、わが國鉄及び通信事業の世界的非能率性を閑却し、いたずらに運賃料金の値上げという安易な方法と、國民の重大な犧牲とによつて、独立採算制の確立を企図せんとするものにほかなりません。しかもかかる大幅な値上げにもかかわらず、鉄道はなお二百九十一億余円の一般会計よりの補給、及び通信会計におきましては、六十億余の赤字を拂拭し得ないということは、皆様の御承知通りであります。(拍手)合理化を前提とせざる独立採算制は無意味であり、また國民の経済活動並びに生活の動力たるベき両事業のごときは、むしろ将來民間にこれを委譲して、その合理化と能率化をはかるベきであると信じます。さしあたつては、鉄道、通信料金の倍率引下げによる減收は、諸経費の節約、鉄道公債の発行等によつて補填する方法をとり、國民の重大な犧牲を要求し、彼らの将來生活に対する絶望的な不安を與えるところの大幅値上げに訴えるベきでは、断じてないと考えるものであります。  次に取引高税及び地方税としての事業税の設定に対しても、わが党は絶対に反対であります。これが廃業を主張するものであります。取引高税は、結局消費大衆に轉嫁されるものであり、所得税の軽減によつて與えられたものを、地方の手によつて收奪しようとするところのものであります。これも政府の欺瞞政策一つにほかなりません。(拍手)しかも轉嫁の困難な中小企業においては、これによつて受ける打撃は、金づまりに呻吟しておるだけに甚大であり、彼らの復興をはなはだしく阻害するものであることを忘れてはなりません。また農業事業税や、漁業税の賦課は、明治政府の高率な地租が彼らの低生産性を固定化したと同樣な作用をもつものである上に、彼らの生産及び供出意欲をはなはだしく減殺するであろうし、また納税に対する協力心を喪失せしめるものであつて、強く反対をせざるを得ないのであります。取引高税及び地方税としての事業税の廃止による歳入減は、祖税過年度價格調整費、人件費、物件費の削減、酒の造石高の増加——この点については、世間でとかくうわさされておりますように、どぶろくの生産が到るところに行われておることを痛感いたしまするわれわれといたしてましては、まず酒の造石高を増加して、そうしてこれによつて増收をはかるという一つ考えであります。  次に、軍事公債利拂延期についての問題でありまするが、ここで特に私が申し上げます。わが党は純経済的な見地から絶対に反対するものであり、軍事公債の利拂問題に対する観念上の論爭については、世上すでに展開済みであります。今ここにこれを繰返す必要はない。われわれは純経済的な見地から見て、軍公利拂いの延期が、経済の再建に及ぼすマイナス的影響に鑑みて、これが撤回を主張するものであります。  最後に私は、このわが党の修正案提出いたしましたところの、いわば理論的根拠と申しますか、われわれの政策の裏づけをなしておる点を申し述べて、この討論を終ることといたします。すなわち一、行政整理を前提條件とするところの統制経済の漸次的改廃を期し、人件費、物件費の節約及び價格調整費の減額により、三百億の軽減をはかり、さしあたつて人員の新規増加を禁じ、欠員の不補充の原則を確立する。二、取引高税及び事業税の廃止、鉄道運賃、通信料金等の修正により、大衆負担を大幅に軽減する。三、六・三政、災害復旧費の國家負担を増大し、地方財政の負担を大幅に軽減する。四、地方財政確立のため、酒、消費税の地方税を徴收する。五、産業再建の基礎を培い、食糧増産の実をあぐるため、治山、治水、土地改良費その他公共事業費に二百億を増額する。六、軍公利子を計上する。七、農業及び中小工業金融確立のため、農林中央金庫及び商工中央金庫に対する出資を、それぞれ百億、五十億とするの法的措置を講ずる。  以上、わが党はこの論理的基礎に基きまして、わが党の修正案提出し、ここに各位の御反省を求めまするとともに……。     〔発言する者多し〕
  96. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 委員外の人は默つてください。
  97. 青木孝義

    ○青木(孝)委員 政府が特にこの点について了承と反省とをせられんことを切望して、討論を終る次第であります。
  98. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 次の勝間田清一君、押川定秋君、今井耕君は、議事促進のために討論の通告を取消されましたから、次は大神善吉君。
  99. 大神善吉

    ○大神委員 私は本予算委員会におきまして、各委員から、いろいろ説が出ておりまするので、深くここに述べる必要はないと思います。しかしながら、私がたつた一口申し上げたいことは、この予算委員会におきましても、本会議におきましても、國民の生命にもかかわる財産を扱うところの北村君の態度におきまして、不肖大神は許すことができないと思う。芦田総理が、きよう私の質問に対して、まじめな回答をせられた。また加藤勘十君でも、汗血みどろの回答をしておられる。また岡田さんは、岡田さんだけに一生懸命にやつておられる。しかるに北村君だけの態度は何だ。ああいう態度をもつて國民の財産を預かるということができるか。(拍手)まして不肖大神が資料を出してくれと言つておるにもかかわらず、今日まで予算に対する資料を要求したにもかかわらず、まだできない、資料を出してくれ、その資料の提供を願つておるにもかかわらず、未だに出さないで、知らぬ顔をしておる。この資料によつて大きな財源を見出すことができると思うから、それを不肖大神は願つておる。そういうものを、何がゆえに隠蔽するがごとき態度をとられるのであるか。この点において、不肖大神は、北村君に対して藏相としての資格がないということを申し上げたい。現在の予算の組み方は競馬政策である。上げれば追つかけていく、追つかけ政策である。こういう競馬政策予算を組んだところで、國民の生活の安定ができるものではない。まして五箇年計画と言つておきながら、その五箇年計画を、三日も経たぬうちに取替えるような計画ばかりをしておる。少くともわれわれの精神に対して、國民の命を預る藏相は、もう少しまじめにやつてもらいたいということを切望してやめる次第であります。
  100. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 次は東井三代次君。
  101. 東井三代次

    東井委員 時間の関係でごく簡單に質問いたします。本予算案について、第一点企業の赤字がごうも解消されていないということ、さらに第二点として、物價に織りこむ三千七百円の新しい賃金ベースが、科学的根拠が非常に薄弱である。しかもすでにそれが崩れんとしておること。第三番目、この予算は形式的バランスの点を考慮した結果、その当然の帰結として、支出面に計上すべき金額を、金融面に轉嫁しておるということ、この三点において、非常な欠陷を私は指摘いたしたいのであります。しかしながら、この予算修正されましても、基本的な点は改まつておらない。その歳出の面においては、公共事業費及び教育文化費、文教関係において、さらに災害復旧費、引揚者関係において、さらに恩給費、及び國会費等、たとえ金額は少額でありましても、相当の考慮が拂われておるということ、さらに歳入の面において、大衆課税の非難を浴びた旅客運賃の高率の倍率が低減されましたこと、インフレ激成の爆樂の導火線となるとみられておりました取引高税免税品目増加されましたこと、さらに高額利得者及びインフレ利得者に対する課税が加重されましたこと、こういうことは、きわめて常識的でありまして、またきわめて健全な方向を示したものと、私は了承するのであります。政府修正予算の実行に当つては、極力インフレ要因の除去に努めるとともに、全力を傾倒してそのインフレ要因の排除に努めてもらいたいと思うのであります。すなわち政府や延期というような姑息な手段ではなくして、さらに発注そのものの抑制、あるいは制限を行つてもらいたいということであります。その次には、収支の時間的ずれを、十分に警戒してもらいたいということであります。  最後に私はただ一点遺憾の意を表明いたしたいのは、もしも今回國会予算編成の当初から、政府と密接な連絡を保つて國会側の意見が強烈にかつ十分に政府側並びに関係方面に反映、徹底しておつたならば、今回のような結果は、断じて起らなかつたと思うのであります。これは同僚委員諸君も、十二分に認められることと存ずるのであります。こに点において、予算編成過程におきまする政府の秘密主義、官僚主義に対しまして、私は遺憾の意を表するものであります。今後この点につきましては、徹底的に改正せられんことを要望するものであります。  この予算には欠点もあろうと思いますが、しかしながら修正がれれわれの要求する方向に向つて修正されたという点を了承いたし、なお諸般の事情を勘案して、私は本予算に対して替成の意を表明するものであります。
  102. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 次に中村寅太君。
  103. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 私は日本農民党の総意に基き、政府提出のかかる予算案に反対の意見を述ベるものであります。詳細は本会議に譲るといたしまして、時間の関係があると思いまするので要点のみを申し述ベたいと思います。  第一、本予算案を見ても、この中に生産増強とインフレ克服政策の躍動が見出されないのであります。第二点三千七百円賃金水準の維持は、絶対に困難であると思うのであります。さらにこの三千七百円給水準の定め方にも、いろいろ難点があるとわれわれは考えるのであります。第三点、鉄道運賃の旅客二・五五、賃物三・五倍引上げには絶対に反対である。第四、大衆課税は軽減されておらない。第五、行政事務の整理、再編成と、機構の簡素合理化を行おうとしておるけども、その誠意と真劍さが認められておらない。第六、二十二年度産米の差額金を生産者に追加拂いするということに対しては、衆議院において満場一致の可決があるにもかかわらず、政府の誠意が予算の上に認められない。  かくのごとき理由から、今度の予算は明らかに日本経済を破綻させ國民生活をますます混乱と窮乏に追こむ性格をもつたものであるという観点から、断じて反対するものであります。簡單でありますが、反対の意見をこれをもつて終る次第であります。
  104. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 次に世耕弘一君。
  105. 世耕弘一

    世耕委員 私は簡單に日本自由党を代表して、一言申し上げます。  今回提出された本予算を通覧いたしまするに、依然として官僚統制経済を基盤に組み立てられた感が多いのであります。たとえば月額百億円、年千二百億円以上にかかる統制関係の経費を見ても明らかであります。從つて國民大衆の要望する自由経済への轉換が、見る影もなく取捨てられておるということは、遺憾千万であります。しかしこれも現在の政情がかくあらしめたものとして、わが党は内外の情勢を察知して、一應本予算に同意をする次第であります。從つて予算委員会並びに本会議におきまして指摘されました通り運賃その他が一應妥決したことは、適当であると思われます。本予算が國民生活の安定と、インフレ防止の対策、及び健全財政としては、國民の期待をはなはだしく裏切り、かえつて将來に大いなる不安を釀成せしめた点が多いように思われるのであります。よつて政府は國民の要望を十分檢討して、將來民意の暢達をはかり、もつて進んで國民経済復興発達を促がすため、たとえば農村関係における金融金庫のごとき、積極的な施策を樹立することに努力されんことを望む。殊に今後予算編成にあたり、特に國民生活に直結する実質予算を編成なすべきことを、ここに警告を発し、本予算に賛成するものであります。
  106. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 次に野坂參三君。
  107. 野坂參三

    ○野坂委員 私は日本共産党を代表して一言申述べたい。最初にこの委員会運営について申し上げたいと思います。と申しますのは、先ほどここで修正案が出て、これに対する討論の通告を正式の手続を持つて私が提出したにかかわらず、與党が強力にこれを粉碎してしまつた。こういう事件であります。しかもこの前に芦田総理はここで諄々と民主主義の運営について説かれた。それにもかかわらず、それの一分後にはきわめて非民主主義的な反人民的な行動によつて、私たちの質問を打切らした。こういう点を考えたときに、この予算自体に、こういう性格が現われてやしないか、すなわちこの予算自体が、いかに反民主的であり、反人民的であるかということは、明らかにこの事件自体からも、証明されやしないかと思う。私は共産党の立場から、この予算案に対しては全体的に反対し、ただ一つ二つの修正案によつてこれを湖塗することは、とうていできない。その意味において、この予算案を返上して、全部編成し直してもらうということを、私たちは要求したいと思う。この理由につきましては、本会議で詳しく申し上げたいと思いますので、ここでは要旨だけを申し述べたいと思う。  まず第一に申し上げたいことは、先ほども大神君からも指摘されたように、米價をここできめないでおいて、この予算案が立てられておる。言いかえれば、予算の基礎がないということ、これがこの予算案の最大の欠陷であるとわれわれ考える。  その次にはこの予算は、國民所得に比して著しく過重である。これは何人も認めておるところであります。政府與党内においても、これはすでに認めざるを得なくなつておる。第二は人民の税負担は、すでに頂点に達しておること、これももうここで詳しく申し上げる必要ないと思う。  その次には、産業の再建には、この予算というものはほとんど役立つていない。反対にむしろ産業再建を妨害し、またインフレを促進させていく、こういう性格をもつた予算である。  次にはこの厖大な歳出が大資本家とか高級官僚とか、これと結びついた保守政治家の食いものになる危險があるこのことはここで申し上げるまでもなく、不当財産取引のあの委員会においてはつきり暴露されている。  次に、この予算案の基礎として、外資導入ということが政府としての根本方針となつておりますが、それ自体が不安定であるのみならず、過去の実績を見ましても、これ自体がインフレを促進している。こういう性格をもつているこの予算案に対しては、われわれは断固として反対せざるを得ない。  今まで申し上げましたことを簡單に私がここで結論として申上げれば、当予算案を執行するときは、インフレの高進、人民の生活の破綻は必至であると同時に、経済再建は不能となり、ひとり独占資本の支配態勢のみが強化されることになり、さらにこれは自主再建を捨てて、民族を破滅させる亡國予算である。こういう理由によつて、私はこれを返上して再編成を要求するわけであります。
  108. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 以上によつて討論は終局いたしました。これより採決いたします。まず野坂參三君より発議されました本予算を返上すべしとの動議について採決いたします。賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  109. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 少数。よつてこの動議は否決されました。  次に社会革新党の大原博夫君提出修正案について採決いたします。賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  110. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 起立少数、よつてこの修正案は否決されました。  次に民主自由党西村久之君提出修正案について採決いたします。賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  111. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 起立少数。よつてこの修正案は否決されました。  次に昭和二十三年度本予算案の両案を一括して採決いたします。賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  112. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 出席人員四十九名中起立二十四名でありまして、少数であります。(拍手)よつて予算案の両案は否決されました。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後十時五十八分散会