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1948-06-15 第2回国会 衆議院 予算委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月十五日(火曜日)     午前十一時五十五分開議  出席委員    委員長 鈴木茂三郎君    理事 苫米地英俊君 理事 稻村 順三君    理事 押川 定秋君 理事 小坂善太郎君    理事 今井  耕君 理事 大原 博夫君    理事 東井三代次君       青木 孝義君    淺利 三朗君       東  舜英君    植原悦二郎君       角田 幸吉君    上林山榮吉君       古賀喜太郎君    島村 一郎君       鈴木 正文君    鈴木 明良君       西村 久之君    原 健三郎君       本間 俊一君    岡田 春夫君       加藤シヅエ君    黒田 寿男君       田中 松月君    田中 稔男君       中崎  敏君    中原 健次君       梅林 時雄君    川崎 秀二君       小島 徹三君    田中源三郎君      長野重右ヱ門君    笹森 順造君       大神 善吉君    中村 寅太君       世耕 弘一君    野坂 參三君  出席國務大臣         内閣總理大臣  芦田  均君         大 藏 大 臣 北村徳太郎君         農 林 大 臣 永江 一夫君         國 務 大 臣 野溝  勝君         國 務 大 臣 一松 定吉君  出席政府委員         経済安定本部財         政金融局長   佐多 忠隆君         総理廳事務官  中田 政美君         大藏政務次官  荒木萬壽夫君         大藏事務官   福田 赳夫君         大藏事務官   平田敬一郎君  委員外出席者         專門調査員   芹澤 彪衞君         專門調査員   小竹 豊治君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十三年度一般会計予算  昭和二十三年度特別会計予算     —————————————
  2. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 お待たせしました。これより会議を開きます。  きのう中崎君の質疑が継続中でありますが、今日は総理大臣に対する質疑の保留になつております稻村君田中君、鈴木君の質疑から先に開始したいと思います。稻村君は御不在のようですから田中君。
  3. 田中源三郎

    田中(源)委員 私の質問につきましては、委員長を通じて速記をひとつおやめを願いたいと思います。なおこれは総理からお答えを願いたいと思いますので、私の申しまする重要な点並びに総理お答えは、お答えいかんによつては、新聞公表もお差し控えを願いたいということを、委員長にお願い申し上げておきます。
  4. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 速記を止めて。
  5. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 では速記をつけます。
  6. 田中源三郎

    田中(源)委員 次に、私は予算編成総合的見地についてお伺いいたしたいと思います。それは、今の問題は別といたしまして、わが國のいわゆる官業運営の面についての考え方であります。これは現実に即した企業面の動き方と、これを動かす人の考え方によつて、非常な相違が生じてくるのではないか。つまり現実企業運営方法と、それからこれを運営する人のアイデア、この二つの問題について考えてみなければならぬと思うのであります。現在のわが國の置かれた実態においては、資材資金その他一切の不便のあることは、これはもう問題外として、現在の與えられたるわが國のすべてのもつ物の量及び信用、この程度において企業を運営していくということについては、何としてもこれを運営する人のアイデア、思想がこれをうまくやつていくという考え方に落ちついていかなければならぬと思う。そこで企業面数字から現われてきた國家経済に及ぼす影響というものの面について、全体的な國民輿論というものを考えてみまするというと、今私が申した運営する人に対するところの考え方が誤つておるという輿論が多いのであります。これは歴代内閣の悩みであつたとは思いまするけれども、ここでひとつ思い切つた手段総理に煩わして、政府の力によつてつていかなければならぬ。たとえばあらゆる運営自体の問題にしても、海運の問題は民間に任しても、私はりつぱに現在のものよりもうまくいくという自信をもつております。また不肖のごとき者でも、それをやつてのけるだけの確信ももつているのであります。また鉄道の面におきましても、実際組織の上に乘つて、その組織がはたしてうまく運営されておるかというと、運営されておらぬ。そうして非常なむだがあるということがあります。だから運輸省の予算全体を見ても、もつと切り詰めて——実際に企業というものの考え方がない。損がいつたら政府赤字公債で補填してくれる。もしこれが民間であつて、金がないということになるならば、翌日自分の社員の俸給が拂えぬという場合には、重役がみずからの資産を担保に入れて、銀行で借りて拂うほか途がない。今日のような日本実態から言うならば、役人をしておつても、一つのスタツフのマスターは、申すまでもなくこれは取締役、支店長と同じことである。まかり間違えば裸になつて自分資産を放り出してもとにかくやるというくらいな氣概でもつてかかつていくということでなかつたならば、決していかない。一方では労働基準法があつて、労働省の法的保護の上に立つた一つ経営面の苦心が生じてくる。一方においては資材なり資金の面がある。それが自分でそういうふうに見受けられる。私ども考えてみますと、ほんとうに眞劍に、官業に携わつている人が取組んでくれておるかどうかということを見ますと、遺憾ながらそうとは見得られぬのであります。殊に企業赤字が依然として数字の上に現われてくる。そうしてそれをいかに代議士諸君がここで、予算委員会なり、その他の委員会お話になつてみたところで、いやとうていやつていけませんというようなことで、なかなからちがあかぬ。毎年同じことを繰返しておる。赤字は依然として継続されておる。これはひとつ思い切つて、いわゆる官業國家企業でありますから、國家企業に携わる人の頭の切替えがなくては、私はどんなことがあつても、独立採算制をとるということはでき得られぬと思う。專賣の問題にしても、今タバコ專賣價格を、一つ法律案として提出されておりまするけれども、これなんかも、もう少し政府の方でお考えになりますならば、專賣益金というものは、もつと出てまいります。賣れないタバコをよけい上げるよりも、賣れるべきタバコをつくつて、そうしてそれを適正な價格にもつていつた方がよい。そうして一方において賠償を適正にするならば、自然的に私は増收をはかるということができ得られると思うのであります。政府歳入を見ましても、実際その二五%というものは專賣益金である。專賣益金を合理的な施策に基いて増收することができる。これをもつて、他のいわゆる國民の問題となるべきところの税源に対して、これを軽減するように振り向けていくこともできるし、そうして一般会計から特別会計へ繰入れるということは、特別会計というものは、これは企業でありますから、一般会計から繰入れていくべきものは一般会計に属する人件費以外には方法がない。企業全体から言うならば、一般会計から繰入れることの必要なしと申してもいい。企業自体独立採算制をとつていくように努力して、あとは残つたら借金でそのままおいて、その借金はいくらあつても、利息も拂つて返していくということでいくのが本体ではなかろうか。その上で國家企業であります他の官業との関係がありますから、ある一定の國民負担をして、産業の重圧を避けていく手段をそこに加味さえすれば私はいいと思う。この問題については、一般官業に対する私は概念論、いわゆる官廳に勤めている人の概念を申し上げたのでありますが、これは政府全体が思い切つてひとつやつていただかなかつたならば、決して何年経つて独立採算制はとり得られぬ、私はここに断言しておきます。こういうわけでありますから、ひとつ今後は総理に対しましても、この面につきまして、私はこれは別にお答えを必要といたしませんから、どうか断固たるお考えをもつて、この面について処していかれんことを、この際に特にお願い申し上げます。この予算の面につきましても、いま少しく私は歳出を圧縮し得る面もあるし、また歳入をもう少しとり得る面もあろうと思うのであります。ずいぶん御苦心なさつている跡は見えまするけれども、そこに私から見まするならば、まだ残されておる点がある。そこのあんばいをよくいたしまするならばいろいろな世評に立つておりまするところの問題についての緩和をはかることもできると思いますので、一段とこの面につきましても、御考慮を煩わしておきたい。私は別に答弁は求めませんが、この希望を総理にこの機会に申し上げておきたいと思います。
  7. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 それでは総理への質疑中崎君。
  8. 中崎敏

    中崎委員 きわめて困難な内外情勢下におきまして、予算が編成されまして、ようやくこのほど國会に提案されたわけであります。ところでその間におきまして、この予算が遅れまして、國家的な計画というものが非常に立後れておるということは事実でありまして、それだけ経済の再建というものに、一つの阻害を來しておるしいうことは事実であります。ここにおきまして、われわれは國家的見地から、一日も早くこの予算審議を終りまして、予算が速やかに通過して実施されんことを望んでおるわけではありますが、ここに一つ見逃がすことのできぬのは、鉄道運賃値上げでありまして、これは物價経済現状から見ますれば、なるほどやむを得ないとは申しながら、一面にまた國民生活の上に大きなる影響をもたらすものでありまして、この大幅の運賃値上げにつきましては、ある程度の修正はまことにやむを得ないのではないかというふうにも考えられるわけでありますが、その際における総理の所信をお尋ねしておきたいと思います。
  9. 芦田均

    芦田國務大臣 中崎君のお話のように、わが國の通信及び運輸特別会計においては、終戰以來莫大な赤字を出しておる。日本米英その他と違つて運輸及び通信を主として國営に一任しておる結果、その赤字がひいて一般國民に租税の過重となつて現われておる。いわばわが國特殊の現象ともいうべきものであります。これらの問題は、根本にさかのぼつて考えて、一切の赤字政府事業民間拂下げたならば、これで黒字の経営ができるのかどうかという点まで深く掘下げて研究すべき問題であると考えますが、現在の段階においては、それらの問題をとり上げて考慮しておるわけではありません。さしあたりの問題は、國営事業赤字をどういう方法で埋めるかということであります。それには特別会計赤字を出した場合に、あるいはこれを公債の借入れにまち、あるいは臨時借入金方法によつて欠損を填補していくということも一つ考え方でありますが、さしあたりわが國の現状においては、これらの莫大な赤字公債によつて賄うことに非常な困難がある。これを臨時借入金によつて賄うということも、非常な惡影響を及ぼすのでありますから、今日までのところ、常に一般会計負担として、赤字を賄つてきたのであります。しかしながら、運輸通信事業の本質に鑑みて、これを利用するものが必要なる経費負担するということが建前であります。しかしながら、國民生活実情に鑑みて、全部の経費利用者負担に課することが特に困難な事情がある場合には、やむを得ず物價の点、あるいは國民生活実情に鑑みて、一部分は一般会計でこれを負担しつつも、その大部分の赤字事業費限度に鑑みて受益者料金拂つてこれを埋めていくということがさしあたり最善の方法である。かように考えまして、今回鉄道運賃については三・五倍、通信料金については四倍という数字を基礎にして、今回の予算を編成いたしたわけであります。從つてこの運賃をある程度下げるとか上げるとかいうことは、これは主義原則の問題ではありません。三・五倍を四倍に上げ、またこれを三倍に引下げるということは、ただ便宜の方法で、原則論においては、現在の予算に現われておる方針と何ら変りはないと私は考えております。
  10. 中崎敏

    中崎委員 次に運賃は本日をもつて改訂される予定のようでありますが、國会内の情勢を判断してみましても、きようとてもこの運賃値法案通過する見透しをもてないわけであります。そうしますと、少くともこれが通過するまでには、相当の時間的のずれが生じてまいるわけであります。その間におきまして、歳入の面において、運賃歳入不足が生じてまいるわけでありますが、これに対しては、政府はいかなる処置を講ぜられんとするか、承りたい。
  11. 芦田均

    芦田國務大臣 運賃値上げが六月十五日以後に延期される場合には、その方面における歳入減は毎日相当の金額に上ります。しかし運賃外にもタバコ專賣その他においてなお歳入増加をはかる他の法案も出ておるのでありますが、それがいつ全部國会通過するかということが、今後のさしあたつての財政上における欠損を補填する一つの重要な問題にやるのでありますが、中崎君のお話通り鉄道運賃を十五日をもつて値上をするに必要な法律が通るという予想のもとに立てた予算でありますから、もしこの法案通過が一日でも遅れるとすれば、それだけ國庫收入減少を見込まなければならぬ。それについては、さしあたり方法として、足りないものを別途補正予算として國会に提出して、補充の処置を講じていくよりほかに方法がない。かように考えております。
  12. 中崎敏

    中崎委員 政府側においては、運賃郵便料金タバコ等値上期日が遅れたための、歳入欠陷は、別途補正予算として提案されるということが明らかになつたわけでありますので、これ以上この問題についての質問を打切りたいと思います。  次にお尋ねしますのは、とかく政局が不透明だというふうなことが感ぜられる結果、新聞等によりますと、総辞職が行われるのだ、あるいは政府は解散を決意したとかいうようなことが記載してあるように見受けるわけでありますが、これについて、政府はどういうふうな考えをもつておられるか、御所見をお尋ねします。
  13. 芦田均

    芦田國務大臣 ただいま政府は二十三年度予算國会通過全力をあげる決意をいたしております。ということは、すでに中崎君も御承知通り、今回の予算物價改訂を伴う予算であり、またわが國経済現状は、一日も早く物價改訂を行うにあらずんば、予算においても、また経済生活においても、きわめて憂慮すべき事態予想しなければならぬ、かような局面に直面しておるのであります。從つてこの予算の一日も早く実施せられるということが、今日のさしあたり経済危機を突破する重要な要素である、かように考えておるのでありまして、この予算通過させるためには、党利党略とか、政府立場とかいつたような小乘的な考え方にとらわれるべきものではない、ひたすら國家の大局のためということを念じてこの予算成立のために全力を盡すべきだ、かように私どもは深く決意をいたしておるのであります。しかしながら、この予算が不幸にして國会において政府不信任意味をもつて否決されるというごときことが起つた場合には、政府は当然その処置考えなければならぬというふうに、心の中には考えておりますが、しかしながら、おそらく日本國民の大多数は、一日も早く予算通過を必要としておるごとくにわれわれの眼には映つておるのでありますから、國会においてもおそらく今月一ぱいくらいの期日に、予算審議を終つてもらえるものと、かような予想のもとに、目下政府においても全力を盡しておる次第でありまして、この際にすぐ政府がその地位を去るべき理由は、一つもないと私は考えております。いわんやこの大事なときに、ただちに國会を解散するなどということは、政府において毛頭考えておりません。
  14. 中崎敏

    中崎委員 首相熱意溢るる御答弁に対して滿足をするものであります。  次に人口問題についてお尋ねしたいと思います。敗戰後における日本においても、依然として人口増加現状にありまして、年に百五十万も自然増加をしている現状にあるわけであります。それでこの人口問題の解決のためには、まず産業の振興ということが第一であるわけでございますが、何と言いましても、天然資源の少い日本の本土において、その増加する人口を收容する限度というものは、およそ限りがあるものと考えておるのであります。そこでその次に考えられますのは、産兒制限ということであり、さらに移民ということでなければならぬと思うわけであります。そうしますと、この産兒制限についていろいろな意見があるわけでありますが、政府はこの産兒制限について、いかなるお考え施策を今後とられんとするかの点をお尋ねしたいと思います。さらに移民問題についてでありますが、これは現在日本がまだ講和條約もできないという状態において移民の問題を考えるのは、いささか早計であるというふうにさえも考えられますが、しかし國家百年の計から考えますと、少くとも一体日本國家將來はどういうふうになるかということを考えてみますと、將來この移民の問題がいかに扱われるかということをこの際考えておくのも、あながちむだではないというふうに考えておるわけであります。それでまず移民というようなものの今後の見透しは一体どういうふうになるのか。さらにまた講和條約後におきまして、從前排日移民法というようなものもあつたわけでありますが、一体これは將來どういうふうになるのか。少くともわれわれの國民的感情から申しますと、われわれが眞に侵略的な意図を全然棄てまして、平和國民として立つということを決意し、これを実行しておる現実におきましては、さらにまたそれらの移民を受け入れる國との間に、きわめて友好的な感情をもつて進んでいかなければならぬということは当然のことではありますが、またこれを受け入れる相手國態度氣持いかんにかかわる点が多々ありますので、これらの点について、われわれは國民立場から排日移民法というようなものをつくらないで、むしろ自由な立場で入國を認めてもらうような方向に進んでもらいたいということを熱望するものでありますが、これらの点についても首相の御意見を承りたい。
  15. 芦田均

    芦田國務大臣 産兒制限の問題についての御質問に対しては、各國の政府施策としては、優生学的の見地から、ある種の人間に対して断種を命じて、法律的に人口の増殖を防いでおるという例は見るのでありますが、概括的な産兒制限法律をもつている國はきわめて少いのであります。現に人口増加率が欧米諸國を通じて次第に減少しつつある現象は、すでに御承知通りであります。その人口減少は、必ずしも産兒制限法というごとき立法手段によつて行われたのではなかつたのであります。経済的に、あるいは思想的に、種々の原因かと現実人口増加率が次第に減少しているというふうに私どもは見ておるのであります。しからばわが國人口増加前途はどうであるかという問題を考えるときに、やはり專門家の意見によれば、わが國の人口増加はあまり遠くない時期において停止する、場合によつて人口は次第に減少する時期にはいるであろうということが有力な意見であると考えておるのであります。もちろん政府といたしましては、この際わが國の人口が著しく増加することは、前途種々の問題を惹起するおそれがあることは了解いたしますけれども、この際法律をもつて特に産兒制限を行うごときことは考えていないのであります。また今日以後法律をもつて産兒制限行つても、その効果の現われるのは、おそらく五年、十年以後のことである。われわれの当面しておる眼前の事態をこれによつて救済することは、かなり困難ではないか、かように考えておる次第であります。  なお移民の問題につきましては、中崎君の御説の通り、今後平和條成立以後において、わが國民が平和的な、文化的な人間として、人口稀薄の土地、労働力不足をつげておる地方に出ていくということは、きわめて好ましいことでありまして、かような方向に極力盡力をいたしたいと考えております。しかし今日はまだこれを現実に取上げて、諸外國話合いをなし得る立場にはなつていないのであります。しかし大体の方向として、日本人に対する外國の信頼は、次第に回復しつつあるということは、現に北米合衆國においても、從來対日移民法と稱する日本人の入國禁止に関する法律を、主義上は一應廃止すべきであるというごとき運動も行われておるのであります。また南米諸國においては、非公式に民間の人々に対して、日本移民至急送つてもらいたいというごとき意味の書面もまいつておるのであります。平和條約が成立した曉には、日本移民を歓迎する諸國と、一日も早く話合いを始めて、われわれの目標としておる海外移住の自由を、一日も速やかに取返したい、かように考えておる次第であります。
  16. 加藤シヅエ

    加藤(シ)委員 ちよつと関連して質問いたします。ただいま芦田総理大臣から中崎委員産兒制限論の御質問に関しまして、総理大臣として、産兒制限法律として認めておるような國がほかにないから、そういうようなことは考えられないというお答えがございまして、しかもこういうような産兒制限をたとえ獎励するにしても、その結果は五年あるいはそれ以上先においてでなければ認められないものであるという答弁がございまして、私は一國の総理大臣として、こういうお言葉があることを、非常に意外といたしたものであります。もとよりこの産兒制限を実行いたしましたからといつて、その結果がすぐ今日のわれわれの食糧事情を緩和する、あるいは失業問題に対して緩和できるというふうに、今日すぐそれがどうこうということは、だれも考えておりません。しかし國家としては、いつも今年の問題あるいは來年の問題を考えておればよいのではなくて、五年、十年あるいは二十年先の計画考えるということは当然なことであろうと私は考えます。從いまして、芦田総理大臣が、産兒制限の問題がすぐどうこうと問題を左右するものでないからという御意見のもとに、この問題について無関心な態度をお示しになりましたことは、非常に意外でございます。しかも今日参議院の方におきましては、すでに優生保護法案が近く上程されることになつておりますし、衆議院の方においても、これが近く上程される運びになつておりまして、これは優生法を含めた産兒制限という意味だ多分に盛られた法律でありまして、今度はこれを各党においてそれぞれ熱心な賛成の委員の方が超党派的に、この法案を実施しようという氣運にもなつております。こういうような状態において、総理大臣がこのように無関心であられるということは、非常に残念に存じます。特にせんだつてアメリカにおいて、私はただいまちよつとその名前を記憶していないのでございますが、アジア一般において一年に約一千四、五百万人の人口自然増加があつて、これに対して食糧の問題を解決するためには、一年に約四十万トンの農産物の増加を見越していかなければ、アジア全体の人口の急速な増加に対して対処する途がない。從つてアジア全体の人口問題は、非常な重要な問題であるということが、アメリカのある重要な会議において発言されておるのでございます。從つて日本は、特にアジアのこういう問題に対しては、目立ちかつ指導的立場に立つ國として、人口問題に関連した産兒制限に対しては、積極的なしかも具体的な案が立てられることがこの際必要であるというふうに私は考えますけれども、この問題について、もう一度総理大臣の御答弁をお願い申し上げたいと存じます。
  17. 芦田均

    芦田國務大臣 産兒制限につきましては、加藤君は多年の蘊蓄をもつておられます。卒直に申し上げますれば、私などよりもはるかによく御研究になつた方でありますから、御意見のほどは十分尊重いたすべきだありますが、ただいま私が中崎君に答えましたことは、優生学的な見地から立案さたれる法律は、すでに政府においてもしばしば研究され、一部すでに実行いたされておるのであります。この方面立法はなるべく速やかに実現されることを期待いたしております。しかしながら、わが國民の程度に文化の進歩したる國においては、経済的の環境その他の事情を考慮して、國民が自発的に産兒制限の問題については相当の関心を抱いておる。しからばこの問題は國民の良識に訴えて適当にこれを行うことが、今日においてはむしろいいのであつて、ただちに政府法律をもつて産兒制限手段を講ずることが時宜に適するかどうか、いわんや人口問題を研究する專門の学者の意見によれば、おそらくは今後二十年くらいの後には、わが國の人口増加は停止状態にはいる、それ以後は現状のままに推移するならば、日本人口減少期にはいるのだ、こういう意見が出ておるのでありまして、この意見が絶対に正確であるかどうかということは、私個人として保証し得る限りではありませんが、少くとも人口総計の趨勢は、かような傾向にあるという今日でありますから、ただいますぐに法律をもつて産兒制限を行う意向はもつていない。かようにお答えをいたしたのであります。しかしながら、法律をもつてこれを実行しないということが、ただちに産兒制限が國内に行われないということでもあるまい。かように考えておる次第であります。
  18. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 それではこれで休憩いたしまして、正二時に開会いたします。     午後零時五十一分休憩      ————◇—————     午後二時三十八分開議
  19. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 それでは午前に引続いて開会いたします。  総理大臣に対する質疑鈴木正文君並びにそれに関連いたしまして上林山榮吉君の御質問が保留になつておりましたが、鈴木正文君は上林山君にお譲りになりましたから、総理大臣に対する保留された質疑を、上林山君にお願いいたします。
  20. 上林山榮吉

    ○上林山委員 私はまず総理大臣に伺いたいのは、特に本予算と切り離して考えなければならぬ重大な問題になつておりますところの、西尾國務大臣に対する政令違反の嫌疑による起訴の禀請が法務廳総裁のところに來たのでありますが、この事実を総理大臣は知つておるのであるかどうか。もし知つているとするならば、この問題に対して、いかなる処置をとらんとせられるのであるか、この点を質したいのであります。しかし聞くところによりますと、法務廳総裁のところにこの禀請書が來たにもかかわらず、法務廳総裁は調査の必要があるということで、これを法務廳から檢察廳に返したということを聞いておるのである。なるほど法務廳総裁としての権限によつて、そういう取扱いもできるのであるけれども、これはその裏に何らかの政治的動きがあつて、この問題を故意に遷延せんとするがごとき空氣があることが察知せられるのであります。この点については、総理は未だ自分の手もとに來ていないから、自分としてはいかなる見解ももち合わせていないというような御答弁になるかもしれませんけれども、これは表面の答弁としては一應理由のあることではあるかもしれないけれども、片山社会党委員長総理を訪問せられて、この問題についていろいろ協議を遂げられた。こういうようなことも報ぜられております。こういう意味からして、総理としては間接あるいは直接この問題についてのある程度の眞相、事情をキヤツチしておられるものと考えなければならぬのであります。こういう意味合いからいたしまして、私は表裏両方面からのこの問題に対する総理の確たる答弁をこの際要求いたしますことが、予算問題を單純化して、さらに審議を盡すことに、常に便利であるという見解のもとにこの問題を総理に質して、しかる後に予算問題について、一、二重要なる見解を質してみたいのであります。
  21. 芦田均

    芦田國務大臣 ただいまのお尋ねの問題について、私の知つておる限りおお答えいたします。一昨日鈴木法務総裁より、ただいま上林山君のお述べになつ通りに、檢察廳当局より西尾君の問題についての起訴に関する決裁を求めに來たという報告を受けました。そうしてその檢察廳の調査を法務総裁が一應取調べてみた結果、なおこれを決裁するために必要とする種々の事実が脱漏しておることを発見したから、さらにその点についての調査を求めた、こういう口頭の報告を受けました。書類はまだ何ま私は見ておりません。この問題について上林山君が言われたごとく、片山君との間に話をしたことは一回もありません。それだけははつきり申し上げておきます。
  22. 上林山榮吉

    ○上林山委員 この問題はきわめて重要でありますので、総理大臣は政治的謀略ないしは非難されるがごとき判断をすることなく、國家のために、大乘的見地から勇敢にこの問題を解決せられるよう、この際私は一應要望いたしまして、予算の問題について総理に特にお尋ねいたしたいのであります。  総理大臣は施政方針演説の中で、インフレ高進にもかかわらず、國民の実質的生活が向上したことは、まことに喜びにたえない、こういう演説をされたのであります。私はこの問題について、本会議において、それは一体何を意味するものであるか、具体的な見解を明らかにせられたい、こういう質問をしたのに対して、総理答弁がまことにふるつておつたのであります。まず燒跡に行つてごらんなさい。家がたくさん建つているのではないか。銀座街頭に行つてごらんなさい。商品が氾濫をしている。だから、國民の実質的生活は、インフレにもかかわらず向上したと自分は言うのである。こういうことを答弁されたのであります。言うまでもなく、家のない戸数が四百万戸ある、商品を買おうと思つても、商品の値段が高いし、收入が少いので、これを買うことができない。あまつさえ重税をもつて政府が臨んでいるがゆえに、國民はその負任にたえない。殊に勤労階級は、こういうような問題に対して、買うにも手が届かない、家をつくるにもつくれないというので、非常な困難を克服しなければならぬというのが今日の実情であります。しかるにもかかわらず、総理大臣はこういうような認識の上に立つて、本予算の編成をやられたのであるかどうか。私はこの点をまず第一にお伺いいたしたい。殊に昨日のわが党の代表者の質問に対しまして、大藏大臣は三千七百円ベースの生活給與によつて、本予算は十分にこれを執行できる、本予算の執行によつて三千七百円のベースはもちろん保つことができるし、またそういう意味において努力をしなければならないという答弁をしたのに対しまして、労働大臣は何とこれに答えたかというと、これを編成する基礎については、ある程度妥当性はあるけれども將來年間を通じてこの將來年間を通じてこの三千七百円のベースでは、この予算を執行しても勤労者の生活を保障することはとうてい見透しがつかぬ、自信がない、こういうようなことを言われたのでありますが、これは明らかに閣内における対立を示す一つ答弁であると、私どもは遺憾としたのでありまするが、総理はこの両大臣の答弁の食い違いに対していかなる見解をもたれるか。まずこの二点についてお尋ねいたしまして、さらに質問を若干続けたいのでありますか。
  23. 芦田均

    芦田國務大臣 お答えいたします。最初の点は、インフレの高進にもかかわらず、國民の実際生活は比較的よくなつているということを私が答弁したが、それは今でもそう思つておるか、自分はそうは思わない、こういう御質問であつたと思います。私どもが今日の國民生活の実体を把握する上において、一番大切なことは生産がいかに増強しつつあるか、そうして消費の分量がどの程度に殖えてきたか、こういう問題によつて、ただいまの上林山君に対する答弁をいたすべきだと思います。生産について統計で御承知通り、本年二月より三月、四月、すべて工場生産においても著しき増加を示しております。また石炭の三千六百万トン標準の出炭率についても、ときによつては多少の動きはありますけれども、大体順調に進行いたしたおり、ことに六月以降においては、北海道においても、九州においても、出炭率が著しく増加するやや確実な見透しをもつておる。肥料も御承知通り月産十万トンを超えております。これは戰時中における肥料生産の最高記録と肩を並べる数量である。また消費面においても、今日の銀行の貸出しその他の実務において、過去一年半の以前に比べれば、著してその方面の物資の流通が順調に行われておるという数字をつかむことができるのでありまして、それを基礎にして本会議における答弁をいたしたのであります。  次に北村大藏大臣と加藤君の答弁の間に食い違いがあるが、それはどう思うか、こういう御質問であります。ごく卒直に申しますと、その両者の答弁を詳細に読んでおりませんから、確実にどの言葉が違うかというふうなことを檢討いたしたことはありませんが、しかし違つておるという事実は、おそらく形において違つた印象を與えた、かように私は確信いたしております。ということは、御承知通り勤労階級の生活を改善するには、單に名目賃金のみならず、実質賃金の裏づけというものが必要である。從つて政府は名目賃金三千七百円ベースがはたして十分な給與であるかどうかということは一應計数によつてこれをつくつたのであります。しかしながら、物價騰貴の趨勢並びに物價改訂による経済界の変動にあたつて政府が主として眼目をおくべき点は、実質賃金の裏づけということである。食糧問題にしても、あるいは衣料の問題にしても、この方面において十分の努力をしなければならぬ。その裏づけを十分に行うと同時に、給與を三千七百円ベースに上げるということであれば、今日現在の段階においては、一應生活に必要なる給與としてこれを認むべきである、かような結論に到達したのでありまして、両者の間に本質的には見解の相違はない、かように考えておる次第であります。
  24. 上林山榮吉

    ○上林山委員 インフレの問題に対する総理答弁は、一部諒とする点がありますけれども、根本的には了解しかねる点が多いのでありますが、この点はまずさておきまして、続いて質したいことは、大藏大臣と労働大臣との答弁が食い違つておるという点を要約すれば、いわゆる実質賃金を保証し得る一切の施策が確立されるならば、当分はこの問題は解決できるけれども、これが解決できない材料が非常に多いのであるから、この三千七百円のベースで年間の実質賃金を保証し得るか、勤労者の生活を保障し得るかというわが党の質問に対しまして、労働大臣はその自信がない、こう言つたのに対して、大藏大臣は自信がある、こういうふうな答弁であつたのであります。でありますから、この問題に対してもつと掘り下げて総理大臣という立場において、弁解ではなしに、あなた自身の所信をこの際披瀝するということが当然であろうと私は考えます。そこでその答弁を求める前にお尋ねしたいことは、この予算を三千七百円というふうに賃金ベースをきめたが、その基礎に、この予算の全体の遂行によつてマル公が約七割の物價騰貴を求すということは、政府の見解であるようであります。なお、やみ物資は三・八倍の暴騰をするであろうというのが政府の見解のようでありまするが、この生計費のいくらをマル公が占めておるかというと、四分の一でしかない。四分の三はやみ物資とみるべきであるという見解が、きわめて常識的な一致した意見のようであるのでありますが、この実情からして三千七百円ベースをば年間押し進めていくことができるか、追加予算を組むことなくして、これをば遂行していくことができるかどうか。殊にわれわれはこの予算を遂行することによつて、インフレがさらに高進するものと見るのでありますが、このインフレの高進によつて七月ないし八月に、再び必然的な労働攻勢が起り得る可能性が強いのであります。この際内閣総理大臣として、本予算を遂行することによつて、いわゆる三千七百円のベースをば維持できるかどうか。同時にこれらの労働攻勢をいわゆる確固にる信念というだけではなしに、実際的に食い止め得るところの自信を、予算の面を通じてもつておられるかどうか。私はこの見解を掛引きなしにひとつ披瀝せられたいのであります。
  25. 芦田均

    芦田國務大臣 三千七百円ベースを決定するに至りました種々のこまかい数字の計算については、閣議の席上で一應事務当局及び所管大臣の説明を聽いて、私はそれがもつともだと思つて閣議で決定をいたしたのでありまして、詳細のことはもし御質問があれば、それぞれ政府委員から答弁いたさせます。しかし今日は私の見るところでは、今回編成したる予算は、大体三千七百円ベースのもとにつくり上げたのでありまして、それを物價改訂の面とにらみ合わせて、物價と賃金の惡循環が起らないごとく、総合的に計画を立てたのでありますから、この予算は予定通り國会審議を経る以上、七月、八月に追加予算を出すなどという方法をとらなくても、完全に実行し得るものと固く信じているのであります。労働攻勢が起るぞというお話でありましたが、政府としては極力かようなことが起らないことを期待いたしておるわけであります。
  26. 上林山榮吉

    ○上林山委員 こまかい点について事務当局から説明させるといつておりますが、これはこまかい問題ではありません。最も本予算の根本をなす一番大きな問題であります。そういう意味合いにおいて、私は三千七百円ベースの基礎になつたところの、あるいは本予算遂行の一つの基礎になつてところの物價の値上りを七割見ておる、マル公の値上りを七割と見ておる、やみ物資を三・八パーセントの値上りと見ておるようであるが、この中をさらに解剖してみると、そのうちのマル公というのは生計費のわずかに四分の一であつて、大部分の生計費がこれはやみの價格である。こういうような問題について考慮をしたかどうか、あるいはこういう大きな問題を考慮することなしに、古い材料が算定の基礎になつたところのこの本予算で、追加予算を組むことなしに、一年間を通じて三千七百円ベースを維持し得るか、單なる政治的考慮ではなしに、予算編成を通じた経済的な問題として、総理がこの問題の見解をもう少し披瀝せられんことを私は望んだのであります。なおこういうような破綻から來るところの八月ごろの労働攻勢、これを芦田内閣として、押し切つていくだけの自信があるのかどうか。單に信念の問題ではなしに、私は良心的な答弁を要求したのでありますが、この点の答弁をさらに私は要求いたしたいと思います。
  27. 芦田均

    芦田國務大臣 八月に労働攻勢が起るという御意見に対しては、起るかもしらないが、政府としては起らないことを大いに努力し、期待するということをお答えしたのであります。しかし起つたらどうする。これは起つたらそのときに最善の方法をとるつもりでおります。
  28. 鈴木茂三郎

  29. 小坂善太郎

    ○小坂委員 すでにわが党に許されました時間が相当使われておりますので、他の同僚諸君の便宜も考えまして、私は地方財政に関する問題に限つて質問をいたしたいと思うのであります。  この際中央、地方を通ずる健全財政の要求ということが、インフレーションを克服いたします上に、非常なインポータンスをもつ要請であるということは、いまさら申し上げるまでもないのでありますが、この地方財政が今回野溝地方財政委員長のもとに総額二千億に上るものについて、極力その健全化をはかられたと言われておるのであります。そこで私はまず昭和二十二年度と二十三年度における地方財政の実情を、野溝さんはどういうふうに把握しておられるのかということを伺つて質問を展開したいと思うのであります。
  30. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 小坂委員お答えいたします。地方財政につきましては、お説の通り、非常に逼迫いたしておるのでございまして、前年度昭和二十二年度におきましても、約九百億の予算でございましたが、予算の切盛りにあたりましても、公債で百二十億、政府貸付金といたしまして五十五億、この百七十五億をもつて、ようやく賄つたというような始末でございまして、この前年度の状態から檢討してみますときに、昭和二十三年度におきましては、インフレの影響によりまして、人件費の高騰、なお六・三制の問題、あるいは警察制度の改廃の問題、ベースの改訂等々によりまして、前年度の約倍額であります二千億を予算といたしまして計上した次第であります。よつてその内容におきましては、非常に困難であることを申し上げておきます。
  31. 小坂善太郎

    ○小坂委員 私はこの際地方財政を独立させるという根本方針を、一日も早く推進していただきたいのでありますが、現在の過渡期におきまして、われわれ國会が、歳入の面におきまして、地方財政に相当関與しなければならぬ。たとえば今問題になつております入場税を移讓するかどうか、あるいはまた事業税を地方で課する場合にも、一般的な問題と関連してこれを考えなければならぬということで、歳入の問題については、國会がいろいろと議論をすることができる。しかしながら、歳出の問題については、地方に一任しておるという形になつておると思うのであります。地方分與税分與金を、できるだけ大きくするということも、今の地方財政の困窮しておる現状から見ますれば、その言うところはよく了解せられるのでありますが、はたしてこれはいつごろまでに地方財政がバランスできるものかという見透しの問題も絡みまして、國会自身やはり地方財政の歳出面について相当考える必要があるのじやないか、こういうふうに考えるのであります。今急に申しては御無理かと思いますけれども、できるだけ早い機会に地方財政の歳出面における内訳資料を、この委員会に御提出願えればと思うのであります。そしてこの際承つておきたいことは、この中央地方の財政調整を今回いろいろ行われたと聞くのでありますが、その実相を、大づかみのところでよろしゆうございます、こまかいところは順次お伺いいたしますが、この際お示し願いたい。
  32. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 お答えいたします。地方財政の確立につきまして、それに関連していろいろと御意見なり御質疑があつたのでありますが、地方財政の確立の点につきましては、朝野をあげて関心を拂つておるのであります。御承知のごとく、未だ中央地方の税財政に対する根本的改革はなされておらないのでございます。政府はこの中央地方の税財政の根本的改革をするために、一方におきましては、地方財政委員会において立案をし、一方においては、地方財政税制の審議会等々がもたれておりますので、近く成案が得られると思つております。なお地方財政に関係をもつております入場税及び事業税等々が、今回入場税が地方税として組みこまれることになり、事業税も地方で課されるというお話でありましたが、これは別に御質疑がありませんが、私から簡單に申し上げておきます。確かにこれは地方税の中へ組んでおります。御質疑のうちのおもなる点で、一体地方財政は、歳入の方についてはよくわかるけれども、歳出の方面については、未だわれわれは了承しておらない、國から財源を分與する場合、あるいは税源を移讓する場合等において、かようなことではどうも困るというような意味の御質問と思つております。これはごもつともでございまして、いかに自治方が確立し、あるいはそれを運営する財政委員会ありといえども、財政税制につきましては、中央地方の調整が何と言つても絶対必要のものでございますので、かような点につきましては、特に今回地方財政委員会におきましても、この地方税法あるいは地方財政法、これらの法案を提案を提案する際に、特にこの支出の面については監督制度というものを設けていくことにいたしております。しかしこれがただ地方だけでわかつておつたのでは、よくないのでございまして、御趣旨にありますように、この支出面につきましては、政府にその内容を報告することにいたしたいと思います。なお御質疑のうち、この内容について委員会へその收支の内訳についての資料を提示せよ、こういうお話でありますが、これはごもつともでございまして、先般も大体に対する容綱につきましては、委員会へ提示したつもりでありますが、なお御希望によりまして、資料の要求がありますならば、出すことにいたしますし、御希望がなくても参考資料は出すことにいたします。
  33. 小坂善太郎

    ○小坂委員 地方財政の歳出面に対するわれわれの考えと野溝國務相の考えがまつたく同じであることを非常に喜んでおります。これに関連しまして、歳入の面で今回いかなる財源を対策として考えられたか。この際あげられたいと思うのであります。殊に一つ附け加えて伺いたいことは、入場税の問題は、予算書を拜見いたしますと、まだ地方税の方にはいつていないようにも見受れられるのでありますが、この調整はどうなつておりますか、ひとつお伺いしたいと思います。
  34. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 歳入面につきましては、これまた要綱の中に示してあると思うのですが、おもに歳入面につきましては、大体地方の予算二千億のうち、租税收入といたしまして一千百億ばかり、それからあとは、縣、國の支出、それからその他営造物の使用料というものによつて收入にしております。なお入場税の問題ですが、入場税の点は、これは移讓するか移讓しないかという問題で、そこにいろいろと意見がありましたために、遂に数字の上に示すことが遅れましたが、これは補正予算として出すことになつております。さよう御了承願いたいと思います。
  35. 小坂善太郎

    ○小坂委員 入場税を地方に移讓する、そうしてこれが補正予算として提出せられるということで、私も疑問に思つていた点が解明せられたのでありますが、しからば、その入場税というようなものは非常にとりにいくい性質のものではないかと思うのでありますが、今までそういう方面に熟達した國税関係の手を離れまして、地方で入場税をとる事務を行うということが実際うまくいくのでありましようか。この点に対します見透しと御自信のほどを伺いたいと思います。
  36. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 小坂委員の御質疑ごもつともでございまして、この点は地方税に移讓する場合におきましても、相当論議された点でございます。しかし、地方財政委員会の企画発案の一つといたしましては、地方自治体の自主性を活かすには、單に中央からの分與であるということだけでは封建的である、あくまでも依存的である。それではいけないから、税源を地方に移讓してもらおうというわけで、その中の一つとして入場税、そのまた一つとして酒、タバコの消費税という点を強く要望されておつたのでございます。種々檢討の結果入場税が移讓されることになつたのですが、この入場税につきましても、御説の通り、今日では中央の税の徴收でさえなかなか思うようにいかないのが、これを地方に移讓した場合は、これはかえつて財源をあいまいにされる危險性がありはせぬか、なお徴收技術の上におきましても、非常に隘路困難を來しはせぬかという意見があつたのでございます。しかし、御承知のように、入場税はすでに地方税として設定されておつたのでございますが、先年中央税としてこれが中央の税種になつたのでございます。そこで、特にこの徴收にあたりまして、最もその正確を期するために、特に入場税などにおきましては、興行家等がいろいろな手を用いるようなことがあつてはならぬので、これについては、徴收技術を最も有効にやるために、民主的な監視制度を設けてこれが過ちなきを期していきたい、かように思つております。
  37. 小坂善太郎

    ○小坂委員 金額はどれくらいになつておりますか。
  38. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 入場税につきましては、百分の百五十ということになつております。それで縣におきましては、本税として百分の五十、市町村におきまして百分の百ということになつております。三分の一が縣で、三分の二がその関係市町村ということになつております。金額は概算にして六十五、六億と思つております。
  39. 小坂善太郎

    ○小坂委員 さらに、地方財源としまして、事業税を新設せられるという、この事業税の構想も、われわれも了解する点が多いのでありますが、この中で問題になつておりますのは、主食の関係の事業であります。それから野溝さんやわれわれの出身縣である信州などの繭関係であります。これは主食の見返りとして輸出せられるもので、その性質上は主食と同等に考えてもいいのではないか、こう思われるのでありますが、こういうものに対しては、事業税は何かあなたの方で特別の構想をもつておられないのであるか。私はこれははずしてもらいたいと、卒直に申すと考えておるのであります。
  40. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 目下問題になつておる御質疑でございまして、この機会を通して委員の方々の御了解を得たいと思うのでございます。実は財政委員会といたしましても、また政府といたしましても、なるべく税金は少くしたいというのが念願でございますが、現下の日本経済事情から見まして、また現下の日本の財政、税制制度のもとにおきましては、なかなか財源を得るに容易でない点があるのでございます。そこで地方財政におきましても、國と同樣に財源の問題については非常に心配したのでございます。特にこの事業税につきましては、大体営業税を範囲を拡張いたしまして、——前に営業税は大体百分の十五をとつておつたのでございますが、今度は前の営業税の範囲をさらに拡張いたしまして、自由職業と言いましようか、医者、弁護士、その他原始産業、水産あるいは畜産、あるいは養蚕、農業というようなものをくるめまして事業税という税目をつくつたのでございます。そこで特に私ども考えたのは、この事業税中の農業事業税について、主食を確かに省きました。主食の点について何ゆえに省いたかと申しますと、御承知のごとく、今日われわれ國民生活の食の量的解決は、私は主食であると思うのでございます。ただ主食と申しますと二千四百カロリーがどうだこうだとか、あるいは八十グラムの蛋白がどうだこうだとかいうことになつてきますと、これはまた水産も主食ということになつてくるのでありますが、量的解決ということになりますと、私は何と言つても米麦等を中心とした主食が、國民生命の量的解決をするのではないか、かように考えております。なお外資導入にいたしましても、今後日本経済再建をするにいたしましても、何と言つても、基本となるべきものは食糧ではないかと思います。外資導入の中の大部分は食糧ということになつております。その食糧が國内におきましては未だ二百万トンの解決すらもできないという状態でございます。かくては外資導入のおもなる面が、結局主食の方面に使用されるということになりますならば、口の先で何ほど日本再建、日本経済の復興を説きましても、私は容易におぼつかない、かように考えておるのであります。なお掘り下げて申しますならば、食糧が昨年でも相当困難でありましたのが、今度は三千五十五万石のほかに一割増産ということを強いられておるのでございまして、それに裏づけとなるべきところの肥料、その他資材等に対しても円滑でありませんし、また農産物價格におきましても、農民を納得せしめるようなことになつておらない状態のもとにおいて、特に前年におきましては、所得税の問題で相当悩まされておるのでございます。かてて加えて肥料資金にも事を欠きまして、五月から六月にかけての中央農林金庫の引出しが二百十四億のうち、百十数億が引き出されてしまいまして、ほとんど中央農林金庫には金すらないという状態であります。かてて加えて何と言いましても、農民の生活力というものは、やはり農産物の收穫金をもつてこれに充てておるのでございます。大体二毛作地帶は別といたしまして、小坂議員も御承知のごとく、信州初め北陸、東北等々を通したいわゆる米産地帶におきましては、大体一毛作なのでございまして、年收と言いましても、一回の彈力性しかない、かような状態にあるのでございます。なおそれに本年の十月三十日までには、百八十万町歩のうちの二、三十万町歩の未定になつております農地改革、日本農村民主化の基盤的案件すらも解決できないという状態にありますので、かくては日本農村の民主化、日本將來につきまして私は重大ではないか、特にわれわれといたしましては、この二十三年度の米穀年度までには、少くとも二合五勺から八合八勺くらいまでにはしたい。それには何と言いましても、一割増産と供出をしてもろうという以外に方法はありません。かような大事なときにあたりまして、この主食に対しまた事業税をかけるということは、いかに言つても私は割り切れない。かようなわけで主食に対しての廃止を主張し、閣議において決定したのでございます。この際特に御了承願つておきたいと思うのでございます。  なおそれに関連いたしまして、養蚕の問題が重大ではないか、お説ごもつともでございます。養蚕は日本の貿易産業の重要な地位を占むるものでございまして、この点私もいたく感じてはおるのでございますが、これをやめるということになりますと、水産その他畜産あるいは果樹園というようなところまでいろいろ影響してきますし、かくては農業事業税全部をやめたらいいのではないかということにもなつてきまして、その間の調整がなかなか容易でないので、今回はまず主食に限つて当分の間ということにしてありますので、さよう御了承願いたいと思います。  なお事業税中、医者にとつたのは一体どういうわけかという御質疑でございますが、この点は種々問題がありまして、大体医者といたしましては從來所得税を納めておりまして、営業税は納めておりませんでしたが、今回は営業税を拡大したというわけで、範囲を拡めたというわけで、医者も自由職業といたしまして、この事業税の中に入れることにしようというわけで、財政委員会といたしましては一應決定をしたのでございます。それが閣議に持ち出して種々檢討した結果、医師が事業であるということはどうもちよつとあたらない、弁護士も同樣であるというようなことで種々意見が出、檢討の結果、医者に対しましては特別業務税ということにいたしまして、これについては第一種は医者、歯科医師、助産婦、産婆、第二種が弁護士、あるいは計理士というようなものがはいつたわけでありまして、さような点は今回は明確になつた次第でございますから、さよう御了承を願いたいと思います。
  41. 小坂善太郎

    ○小坂委員 主食をはずされたと同樣に趣旨におきまして、殊にこの主食の主たる対象が米麦であるということからいたしますれば、私は繭の関係だけは水産物とか果樹とかいうものと同列に論ずることはできないと思うので、これは明らかに特殊のものとしてはずしていいと考えるのであります。しかしながら、今の御答弁によりまして、いろいろと野溝國務大臣が御奔走願つた御樣子は窺い知ることができたのでありますが、さらにひとつ竿頭一歩を進めて、でき得る限り早い機会に繭の関係も御解決願いたいということを、この機会に強く要望しておきたいと思うのであります。  さらに医師に関しまして、これを事業と見ることが、社会通念の上から、今後の社会政策の上から言つても、はなはだ不適当であるということについていろいろと理解あるお話を伺いましたが、医師を特別業務税ということにしましてかけますと、一体税率においてどのくらいの響きがあるか、またその歳入減少はどこで負担するというお考えなのですか。
  42. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 医師の特別業務税ですが、種々檢討の結果これについては特に百分の八ということにいたしまして、本税が百分の四、附加税が百分の四というわけであります。なお総額において一億円内外と思つております。これについては地方財政の方はどうにもらちがあきませんので、閣議において檢討の結果、これも補正予算として出すことになりましたので、小坂委員の御趣旨の通り、御期待に副うことができると思うのであります。
  43. 小坂善太郎

    ○小坂委員 さらに小さい問題で恐縮ですが、今伺いました繭の関係ですが、繭をはずしますと、一体いくら食い違うことになりますか。たしか二億見当くらいにはなるのではないかと思いますが……。
  44. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 繭の問題をはずすということは、ちよつと考えておりませんので、この額も返答しようがありませんが、特に御了承願つておきたいと思います。大体こういうことになつております。事業税全部を百の指数にいたしますと、そのうち八十が農業事業税、そこで七十三が主食に関係しておりますから、あとの七つくらいのところですから、どうぞ御了解を願いたいと思います。
  45. 小坂善太郎

    ○小坂委員 この際いろいろと申し上げたのでありますが、要するに地方財政をコントロールするということが、今後必要な大きな問題だと思うのでありますが、それにつきましては、地方財政委員会の権能の意義というものは、今日以後ますます重要性を加えると思うのであります。しかしそれにつけましても、地方財政委員会委員が最近非常に辞職をされる。國会議員以外の人は大体やめてしまつたと聽くのでありますが、どういう原因に胚胎するものか、またそれに対する対策はどういうふうにお考えになつておりますか。
  46. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 これも非常に重大な社会問題を起しておりまして、特に予算委員会を通じましてこの際闡明しておきたいと思います。地方財政委員会は、地方財政委員会法に根拠をもつた一つの運営機関でございます。これは五人から構成されておりますが、知事代表が一人、市長代表が一人、町村長代表が一人、学識経驗者、衆議院議員から一人、それに所管大臣が委員長ということになつております。この地方財政委員会は、地方自治法が生まれまして、大体これは佛樣がつくつたのですが、これに魂を入れなかつたというので、その魂が徹底しない魂であつたのが、この財政委員会法であります。そこで財政の裏づけをしていくために委員会が運営をするということになつたのですが、この委員会は決定権をもつていないのであります。大体企画発案するの権限しかもつていないのであります。最後の決定は内閣になつております。かような点で、地方財政委員会といたしましては、現下の地方財政を確立し、自治の運営を円滑化するために今回立案をいたしました。その案の内容は先般來新聞紙上においても報道されました通り、分與金という制度をやめて、それから地方に彈力ある財源を移譲せよということとで、入場税、酒タバコ税これを移譲してもらいたい、それから地方出先機関に対しましては、これを廃止してもらいたい。整理してもらいたい。それから大幅の権限委譲ということが、地方財政委員会の案でございます。なおそれに附随いたしまして、特に地方におきましては彈力がない。災害が起つた、公共事業をやるという場合においても、國とは違いまして、ただちに大藏証券を発行してその場を間に合わせるということもできない状態にあるので、金融機関もつくつてもらいたい。これが地方財政委員会のおもな要望と言いましようか、発案でございまして、それがたまたま中央の財政というか、予算との関連におきまして、その目的を達することができなかつたのでございます。その目的を達したのは、入場税が移譲されたというだけでございます。あと財政委員会としての目的は達することができなかつたのでございます。ここにおいて、かくては地方の自治運営の任務を果すことができないというわけで、御承知のごとく、地方財政委員会におきましては、まず神戸市長が辞表を出し、続いて東京都の知事代表が辞表を出し、次いで町村長会長生田君が辞表を出したということでございます。そこで神戸君は私の意見が容れられなかつたら辞任する。地方財政委員会意見が容れられなかつたら辞任すると言うたのではないのです。この人だけは理由が違うのでございます。この神戸委員の辞任の理由は、今後自治体の完全なる発達は、何といつても財政の裏づけをしなければならぬ。それには地方財政を確立しなければならぬ。またその点においては、識者が理解のなかことをはなはだ遺憾とするというような意味で、辞任を申出たのでございます。これにつきましては、すでに市長会におきまして、後任の推薦がありました。これは大体すでに了解済みでございますので、この補充はできることになつております。次に他の二人の辞任でございますが、町村長会長の生田君に対しましては、留任を勧告いたしておりますが、まだその結論は得ておりません。知事代表の安井君につきましては、留任を勧告したのでございますが、これはまだ了解を得るに至りません。先般知事の幹事会を開かれましたが、その幹事会の意向といたしましては、この際地方の自治体として特に財源において悩んでおるのであるから、その財源に対して政府において考えてくれという意見をもつてきておりますので、その点は先般來財政閣僚懇談会において、その結論を得べく檢討しておるのでございます。本日檢討いたしまして、大体まとまつた意見が、明日にも出るのではないかと思つております。その際はそれをもつて知事の方に回答いたしたいと存じております。その上は留任、あるいは留任しなければ後任が決定するのではないかと思つております。
  47. 小坂善太郎

    ○小坂委員 ただいまのお話の中に、地方の出先官憲を整理する、あるいは金融機関をもちたいというお話がありまして、それはなかなかごもつともなことであると思つておりますけれども、それに関連しまして、さきに野溝國務大臣は、災害復旧に対して復興金融金庫のようなものを設けたいという意味を意明せられたことは、ただいまお話になつておるような金融機関の拘束というものと関連があるのですか。大体どういう構想ですか。建設院總栽がおられるから一緒に伺つておきたいと思います。
  48. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 これはまだ提案になつておりませんが、構想の片鱗を申し上げますると、大体自治体が出資をいたしまして、約二百億円くらいの金融機関をつくりたい、こういう構想であるのであります。それから災害の方は、これはずつと額を低めまして、一種の共済制度みたいな組立てでやつていきたいと思います。大体簡單に申せばさような構想でございます。それからこれにつきましては、まだ提案をしてないのでありまして、閣議におきましても、未だどうというような檢討も行われておりません。
  49. 一松定吉

    ○一松國務大臣 災害復旧に関しての費用の支出に関しましては、種々檢討を加えまして、できる限り支出するという方法をとつたのでありますが、なかなか思うようにまいりません。そういう点について補填の仕事のためにこういうようなことを考えておりますが、今ただちにここでその通りいたしますというように即答はできませんが、できる限り努力して、そういうような災害の復旧については、なるべく急速に民心の安定を得たい、かように考えております。
  50. 小坂善太郎

    ○小坂委員 野溝大臣の言われた構想と大体同じようなことをお考えになつておりますか。
  51. 一松定吉

    ○一松國務大臣 さようでございます。
  52. 小坂善太郎

    ○小坂委員 次に私はもう一言伺つて結論にしたいと思いますが、今野溝さんが御苦心のような状況を承りまして、この地方財政委員会が活動せられておることは結構なのでありますが、今のお話に中に、魂がはいらなかつたというお話がありました。私は魂というのは、むしろ歳出をどうするかという点において、地方財政委員会をもつと活用することが中心点ではないかと考えております。今のは大体歳出はそのままで、歳入を何とかしようということで、非常に御苦心になつておると思うのでありますが、この歳出面について見ますと、地方の給與、公吏の給與というようなものを概観して見ましても、それぞればらばらになつておる。官吏というものは給與は統一されておりますが、そういう点などについて、あなたはひとつこれを何か地方財政委員会でもつて統一するような方面にもつていくということをお考えになつておるかどうかお伺いいたします。
  53. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 ごもつともな御意見でございまして、地方自治体、地方自治体と言いまして、何でも阿呆の一つ覚えみたように、自治体々々々というわけではありませんが、まず何と言いましても、求めずして與えよということでありますが、求めずして與えよということでは、どうも解決をいたしませんので、わが身をつねつて人の痛さを知れということで、政治問題も経済問題も律していかなければならぬと、かように思つておるのであります。そこで今小坂委員の仰せの通り、何でもかんでも権利があるからよこせよこせいうだけでは、これは相ならないのでございまして、特に私の申したのは、そういうことを構想に入れまして、佛つくつて魂入れずではいかぬということを申したのであります。要するにそういうことをまずちやんと考えて、その上に立つて私はそう申したのでございます。そこで特に御指摘になりました歳入の方ばかりを強調しておるが、歳出の面についてはどうか、こういうことですが、この点ごもつともでございまして、歳出の面につきましては、十分これは指導をしなければならぬと考えます。ただこの場合一つ御了解を願つておきたいのは、財政委員会法というのが昨年通つたのでございますが、この財政委員会法というものが、どうも深く檢討されていないように思います。この点は遺憾とするのでございますが、それもたまたま臨時立法であつたから無理もない点もございますが、この財政委員会法によりますと、どうもそこまでの抱束力がないわけなんです。そこで小坂委員の申される通り、ただ地方は何をやつてもいいではないかというようなことで、野放しにされてはいかぬ。それを抑えるの途は、道府縣の條例というものがありまして、その條例によつて決定すればいい。はなはだこれは民主的でいいようでありますが、私どもといたしましては、中央地方の財政調整をするには、單に地方の條例だけでいいということもこれまたおかしいのでございまして、この点はまず條例をやる場合においてはその使途につきましては十分檢討し、それを中央におきましても了承のできるようにしたいということにしておきたいと思います。報告をすることにはなつておりますが、まあもつとはつきりした制度を打ち立てていきたいと考えております。
  54. 小坂善太郎

    ○小坂委員 これで結構です。
  55. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 角田幸吉君。
  56. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 それでは私からまず建設院総裁に承りたいのでありますが、戰災によつて羅災したものが一千万もある。全國都道府縣人口の四〇%が羅災しておる。大正十二年の関東大震災に比較いたしますと、十四倍の廣さをもつ羅災をしておるのであります。それとその後しばしば風水害によつて非常な災害を受れておるのでありますが、大正十二年の災害のときでも、復興院というものができて本格的にやつた。ところが建設院の本年度の予算を拜見いたしますと、きわめてお粗未、これで一体國土計画の立派なものができようかということを、非常に考えさせられるのであります。まことにお粗末というか、貧弱というか、この予算を手にいたしまして、私はむしろ唖然とした。そこで建設院総裁に承りたいのでありますが、建設院総裁は、どういう御構想のもとに、國土計画の建設をなされようとしておるのであるか、まずこの点を承りたいのであります。
  57. 一松定吉

    ○一松國務大臣 ただいまの御質問はごもつともな御質問でありまして、國土計画について完全なる施設をやろうといたしますれば、巨額の予算を頂戴しなければできないのであります。そこでそういう点については、私まず第一に考えておりますことは、一体この公共事業費というようなものにわくをこしらえて、そのわくの中で仕事をしなければならないというようなことが、根本においてどうかと私ども考えさせられるのであります。ところが、今の制度では、そういうようなことになつておりますので、やむを得ずそのわくの中の公共事業費で賄わなければならぬ。こういうことでありますために、思う存分の活躍ができないことを、はなはだ遺憾に思つておるわけであります。しかしながら、その必要の範囲内で、でき得べき限り完全に施設をして、われわれの國土計画の理想に近いような仕事をしたい。かように考えておりますが、悲しいかな今日の財政ではそこまでいかないことを、はなはだ遺憾に思つております。しかしでき得べき限り努力して、將來ともこれらの目的に向つて進みたい。かように考えております。
  58. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 そこで、私は道路の問題について、建設運総裁に御考慮を願い、また御意見を承りたいのであります。敗戰の結果惡くなるものは道徳であり、道路であります。支那の言葉に「道は道に通ずる」という言葉があるのでありますが、けだし道徳と道路というものは、古今相通ずるものとして考えられて、政治家の第一に考えらるべき責務であします。さてそこで申し上げるのでありますが、およそ産業が復興する場合においては、第一着に一体何をやるかというようなことが、いやしくも建設院総裁であるあなたにお考えになつていただかなければならない問題であります。ドイツにおいては第一次欧州戰爭のときに、りつぱな道路計画ができましたために、ドイツの産業は驚くべき発展をなしたのであります。ただ公共事業費の中でお茶を濁すというような消極的なことでは、われわれは建設院総裁に何らの期待ももてなければ、信頼もできない。それならこれは事務員でも、また事務官でもいい。國務大臣としての建設院総裁の今の御返事を聽いて、私は驚いた。それでは日本の國土計画というものはできないか。第一に今日道路が非常に荒廃しておるのであります。道路の荒廃は直接産業影響があるのであります。どういう影響があると申しますと、小運送の積載量が戰前の三分の一に減つてしまつた。今日の物價の騰貴は、道路の荒廃からきておると申してもよい。小運搬における輸送量が減退してしまつた。ところが、本年度の公共事業費の道路費を拜見いたしますると、わずかに十九億、もしこの十九億で日本の道路をやつていきましたならば、來年度はもつと道路が荒廃してしまう。極端に言えば、輸送量が非常に落ちてしまう。一体十九億というわずかの金額でできるかどうか。私はこれは驚くのでありますが、一体道路工事に十九億を使用する今の予算では、かえつて道路が荒廃してしまわないか。現在よりも來年度はもつとひどくならないかということについて、建設院総裁の御意見を承りたいのであります。
  59. 一松定吉

    ○一松國務大臣 お説のごとく、わが國の復興に向いまして、最も重大なることは、いろいろ仕事がありましようが、その中で重要なるものの一つとして、道路交通の便益、交通が非常に進捗するというようなことが、わが國復興の重大なる事業の一つであることは申すまでもありません。しかるに、この道路についての予算が、わずかに十九億だけとられた、これで復興についての重大なる任務を遂行することができるかどうかということになりますれば、私はそれは必ずしもこれによつてその任務を遂行することができるとは断言できません。私をして言わしむるならば、これだけの金では十分な仕事はできない。しからば、もつとたくさん金をとつたらどうかということになりますが、そこで問題は、わが國を復興するについて、いろいろ重要な仕事があるが、道路よりもつと重要なる仕事があるということであれば、それと比較して、どちらに重点をおかなければならぬかということとにらみ合わせて計画を立てなければなりません。しからば道路の復興より以上に、どういうような重要な公共事業があるかといえば、すなわち災害の復旧であります。この点は道路について重大なる仕事があると同時に、それよりもつと災害の復旧ということが必要である。それならば、この予算の範囲内において、道路に重きをおくか、災害の復旧に重きをおくかということになつてまいりますると、当局といたしましては、災害の復旧に重きをおかなけばならぬということになるのであります。そういたしまして、道路に十九億以上の金を使うよりも、災害復旧の方にもう少し多くの費用を使わなければならぬではないかということになりますと、この予算の獲得につきましては、道路ということよりも、災害の方に重点をおかなければならぬ、かように私は考えまして、この限られたるわくの範囲内において、道路も最も必要であるけれども、それよりなお必要である河川の災害、その他砂防等についての災害をまず重点的に取上げることがよろしい、こういう考えをもちまして、この十九億の道路の予算につきましては、不滿足ではありましたけれども、その点はがまんをいたしまして、災害の復旧という方面に力を用いたということの私の心のうちを御了察願いたいのであります。
  60. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 建設院総裁の御意見は、一應諒といたします。  そこで、私は続いて災害の問題にはいるのでありますが、その前に申し上げておきたいことは、昨年度あたり、たとえば日本のあらゆる事業において、建設院が常に道路ということについて忘れているところに、非常な重点があるということであります。たとえばある土地を開墾いたしましても、開墾の場所には道路がない。大きな面積、たとえば北海道のごとき、開墾いたしましても、それに対して農林省と建設院との連絡がなかつた。もつとも農業道路あるいは林道は農林省のわくにはいつておりますけれども、それ以外に建設院で予算措置をすべき道路について考慮を拂つていないということを、この際において申し上げておきたいのであります。そこで私は災害について、道路よりも災害に重きをおいて、この方面に大きな予算を要求したのであるという御意見がありましたので、私は承りたいのでありますが、直轄河川を除いた道府縣災害について、五十二億しか本年度の予算が計上されておらないことであります。これは建設院でどうお考えになつているかはわかりませんが、昨二十二年度において、すでにこの中で支拂わなければならない義務づけられている金が、少くとも二十一億九千万円はあるであろうと、私は想像するのであります。さらに昭和二十年度、二十一年度、あるいは南海の関係の災害を考えますならば、これに対しても、少くとも十七億三千万円は要するであろうと考えられるのであります。そういたしますと、本二十三年度において、ほんとうに使われる金というものは、十三億内外じやないかというような、きわめて貧弱なる計数を考えるのでありますが、この点について建設院総裁の御意見を承りたいのであります。
  61. 一松定吉

    ○一松國務大臣 道路よりも災害復旧が急務である、從つて災害復旧の方面相当予算を請求すべく、道路の方は多少犠牲にするのやむなきに至つたというお答えを申し上げましたことに牽連いたしまして、災害の問題についての御質問でありますが、治山治水ということが政治に最も重要なる仕事であることは、言うまでもないのでありますが、その意味におきまして、私の方は実は河川の災害関係に対しましては、当初百二十一億の額を要求したのでありますが、結局それではあまりに大き過ぎるということで、大いに再考を促がされました結果そろばんをはじいて、はじいた結果七十七億にまでこれを減額をして、この程度で相当に復旧の事業をやろう、こういう考えをもつておつたのでありますが、何分國家歳入制限せられまして、思うようにその予算がとれませんでした。結局のところ災害は六十九億九千万円ということで予算に計上せられまして、これを頂戴することになつたのでありました。しかしながら、これではとうてい私の考えておるところの達成する金額に届きません。それで何とかしてと非常に苦心をいたしました結果、すでに新聞等でも御承知通りに、軍事公債の利拂停止ということによつて、十五億何千万円という余裕が出る金の中から、少くとも十億の金をこちらにまわしてもらわなければならぬと奮闘しましたが、六・三制その他海外引揚同胞のための家屋の建設、あるいはその他の厚生省のいろいろな施設のために、思うようにまいりませずして、そのうちの七億という金を頂戴いたしまして、そしてそれだけのことで賄いをしなければならぬということになつたのでありましたが、しかしそれでもなかなか思うようにはいきません。そこでいろいろな計画を立てましたけれども、どうしてもこれだけの四百二十五億という金の中では思うようにまいりません。結局新財源を発見して、その方面にこの金を使うようにでもしようということで、いろいろ新財源の考究等をもいたしておるのでありますけれども、今日まで最後の段階まで到達いたしておりませんが、新財源を発見したような時分には、まず一番に災害の復旧の方に充当しようというところの閣議の了解を得まして、二十億の予算のうち十億の方は他の方面にまわされましたが、残りの公共事業費の十億のうちで、まず建設院関係の災害にこれを優先的に使うということの閣議の了解を得まして、そしてようやくにして私の思う仕事の十分ではありませんが、まあまあこの程度ならばどうかこうか今年はやや民心を安定させることができるのではなかろうかという程度に止めるのやむを得ざるに至つたので、こういう事情を御了察賜わりまして、私の方とても、できます限りそれだけの予算の範囲内において、重点的にその災害地の復旧その他に、これを使いたいと考えておるのであります。
  62. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 建設院總裁は、今度の予算で一應民心の安定ができるであろうというところまで予算が計上されたものである、こういう御見解でありますが、これはおよそ見当違いであるということを申し上げなければなりません。そのことはまず水害についての性格から申し上げたいのでありますが、これは建設院總裁にぜひ御一考願いたい。昨年の水害がありまして、今後の水害の性格を知るために、青森の営林局に参りまして、今後の水害の性格がどうかわかるであろうかということを当局に質しましたところが、こういう回答を得たのであります。すなわち昨昭和二十三年度の水害のことがありますが、今年のは水害は水が出てきてそれが堤防をあふれたという程度の水害である。從つてこれは水害から見ると、惡質なものではない。ところが昭和二十三年度以降に起つてくる水害は、そういう生ぬるい水害ではないのだ。山を伐採いたしますと木の根が腐ります。特に最近は植林をしておりません。御承知のごとく、営林当局は独立採算制になりましたので、給料を拂つて余らなければ治山をやらないのであります。そこで木を植えませんと伐つた山の木の根が腐ります。その腐つた木の根が五年、六年、七年経つてその後は一足飛びにひどくなるのでありますが、およそ昭和二十三年度ぐらいになると、出てきたところの水が、木の根が腐つているために抑えかねて、それが土砂を流すであろう。今度の水害は水が出て堤防を氾濫したという程度の災害であるが、おそらく今後にくる水害というものは、土砂を流していくのであつて、一たび堤防が欠潰すればたくさんの土砂が流れて、今度は田畑、人家まで土砂のために埋沒する、こういう意見でありましたので、私はそのことについて、関係羅災地の町村の人々の意見を聽いたのでありました。ところがすでにそういうことは承知である。もし本年度においてりつぱな災害の工事ができておらなかつたならば、おそらくは田畑が埋沒するという災害がくるであろうということを考えまして、人心は安定どころか、非常に不安定である。場所によりましては、田畑を捨てて離村するというところまで行つているのであります。建設院總裁は民心の安定を得た程度の予算を計上されておるとおつしやるのでありますが、しからば本年度において、昨年度の補助として支給するところの政府の義務づけられている。金を除いて昭和二十三年度の災害工事費に対して、この五十何億のうちいくらだけ使われるものであるか、その金額をお示し願いたいのであります。
  63. 一松定吉

    ○一松國務大臣 今あなたのお示しになりましたところの山林を伐採することによつて、その伐採された木の根が腐触して、それがために水を防ぐことができない。あるいは砂防の効果をなくならしめて、それがために非常に大洪水を招來するというがごときことは、あなたと同じように、私も考えております。それらの点に対しましては、戰爭中にいろいろなことのために、いわゆる濫伐するのやむなきに至りました結果、その木材を伐り取つたあとに樹木を植えるとかいうような補充的の仕事が行われなかつた結果、今日に至りましては、ちようどそういうような時期に遭遇して、昨年のようなああいう大水害を招來したものであろうと、私ども考えておるのであります。でございますから、これらのいわゆる川を治めんとすればまず山を治めなければならぬ。山を治めてしかして川を治める。すなわち治山治水ということが、政治の最も重要なことであることは言うまでもないことであるが、実は御承知通り、山の点は農林省の所管に属しておるのでありまして、私の方では、農林省と協力いたしまして、そういうような弊害を除去すべく、いわゆる樹木を植える、あるいは砂防という点についても、互いに協力して、そういう結果を來さないようにということにおいて、農林省方面においても、そういう費用を相当つておるようであります。ただ望むらくはいわゆる私の方のこの河川の復旧建設とかいうようなことについて、一貫作業的に山に関しましても、やはり私の方が水を治むる建前から、そういうことまでも引受けてやりたいと、かように考えてみたこともあるし、またそういうこともずいぶん意見を闘わしたこともありますが、なかなかそれが思うように建設院で、それだけの仕事を一貫してやるというようなことはできない立場にありまするために、農林省と二つにわけて、それらの弊害をなるたけ取除くように、予算をわけてお互いに協力し合とうということになつておるのであります。私の方のとつておりまする予算の範囲内において私の方で受持つておりまする範囲においての災害復旧その他予防というようなことには、十分努力いたすのでありますが、どうも農林省との関係におきまして今ここに自分の方は、しからばそういうことについて予算をどれだけ使うんだということは、農林省とよく相談をして、農林省の方からいくら、私の方からいくら、そうしてその仕事をこういうふうにして、それらの弊害を除去しようじやないかという話合いについては、まだいまそこまで打合わせができておりませんから、そういうことはこれを急速に打合わせまして、それらの弊害を除去しなければならぬ。除去することによつて、私の考えておりまするいわゆる民生の安定ができるのである。今のままではそれぞれみな心配している。それで私はこういう意味におきましても、いわゆる山林の開拓ということが今問題になつておりますが、同じ開拓することによつても、開拓した結果洪水を招來するような開拓の仕方、もしくは開拓したけれども開拓しただけの効果を達成しないような開拓の事業は、むしろ開拓ということが有害無益であるというようなことまで、私は考えておるのでありまして、これらの点については、農林当局もよほど思いを新たにいたされまして、そういう弊害のないようにということに努力いたしておるように見えますので、この点に対しましても、一層努力の上、それらの弊害を除去するように努めたいと考えております。
  64. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 ただいまの建設院総裁のお答えは、私の質問に答えられておらないのであります。私が建設院総裁にただいまお尋ねを申し上げましたことは、本年度の災害復旧費として、都道府縣の補助額として、今年計上されておりますうちに、昨年度までの工事高の支給分がいくらはいつているかということをお尋ねいたしたのであります。決してやぶから棒に農林省関係のことまで併せてお尋ねするのではありません。今年度においては、一体いくらの金を都道府縣に補助ができるのであるか、その金額をお示し願いたい。
  65. 一松定吉

    ○一松國務大臣 そういう数字のことは、事務当局から答えさせます。
  66. 中田政美

    ○中田政府委員 お答えいたします。御質問の都道府縣災害復旧補助金のうちで、すでに工事の済んでおるであろうと思われるものに対する分と、本年度施行する工事に対する補助の分との内訳でございますが、都道府縣災害復旧費補助は、政府部内においてもくろんでおります金額は、五十二億余でございます、そのうちにわれわれの方で調査いたしまして、府縣以下の公共團体において工事の済んだものと見られるものが約二十二億ございます。從いまして、これを五十二億から差引きますと、本年度分として施行する補助金は三十億と相なります。これを工事量に換算いたしまするならば、約三分の二の補助概算と見ますれば、工事量は四十五億程度の災害工事ができるという計算に相なるかと思います。
  67. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 政府委員からで結構ですが、もう少し詳しく承たりたい。その中には昭和二十年度、二十一年度の南海の災害の復旧費は含まれておりますかおりませんか、はつきりお答えを願います。  そうしてそれがあるとすればどれだけであるか、それを差引けば本年度はいくらの補助ができるのであるかということであるます。
  68. 中田政美

    ○中田政府委員 過去の災害の分は全部含んでおります。
  69. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 その金額はおよそどのくらいですか。
  70. 中田政美

    ○中田政府委員 ちよつと……。
  71. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 大体十七億三千万円程度ではありませんか。
  72. 中田政美

    ○中田政府委員 そんなにはないようです。
  73. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 どのくらいありますか。
  74. 中田政美

    ○中田政府委員 今ちよつと宙には記憶しません。
  75. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 それじやとにかくこれを含むのでありますが、およそのことでいいが、およそのこともわかりませんか。これからの質問は重大な段階にはいるので、それがお答えできなければ、この程度にして、後に続行したいと思います。大体でもいいのですが、わからなければ、きようはこの程度にします。これは最後に行つて私の方ではどうしても予算修正の動議を出すところまでいかなければならぬと考えておりますので、お粗末なことでは困るんです。
  76. 中田政美

    ○中田政府委員 正確な数字は、ただいま調べて後刻御返事をいたします。
  77. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 それじや私の質問は一應きようはこの程度にしておきます。これは重大な関係があるんです。結局あとにおいて大藏大臣に、これは大藏大臣個人としてでなく、建設院と関連をもつてお答えをお聽かせいただきたいと思います。きようはよろしゆうございます。
  78. 稻村順三

    ○稻村委員長代理 それでは角田君の建設院総裁並びに政府委員に対する質疑、それから大藏大臣に対する質疑を保留いたしまして、本日はこれにて散会することといたします。明日は十時より開会いたします。     午後四時二十一分散会