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1948-06-12 第2回国会 衆議院 予算委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月十二日(土曜日)     午後零時五十八分開議  出席委員    委員長 鈴木茂三郎君    理事 庄司 一郎君 理事 苫米地英俊君    理事 稻村 順三君 理事 川島 金次君    理事 押川 定秋君 理事 小坂善太郎君    理事 今井  耕君 理事 大原 博夫君       青木 孝義君    淺利 三朗君       東  舜英君    植原悦二郎君       角田 幸吉君    古賀喜太郎君       島村 一郎君    鈴木 正文君       鈴木 明良君    西村 久之君       本間 俊一君    岡田 春夫君       加藤シヅエ君    黒田 寿男君       田中 松月君    田中 稔男君       中崎  敏君    中原 健次君       米窪 滿亮君    梅林 時雄君       小島 徹三君    鈴木 強平君       高橋 長治君    田中源三郎君       松本 瀧藏君    大神 善吉君       中村 寅太君    野坂 參三君  出席國務大臣         大 藏 大 臣 北村徳太郎君         商 工 大 臣 水谷長三郎君         運 輸 大 臣 岡田 勢一君         労 働 大 臣 加藤 勘十君         國 務 大 臣 栗栖 赳夫君  出席政府委員         経済安定本部物         價局長     谷口  孟君         経済安定本部財         政金融局長   佐多 忠隆君         大藏事務官   福田 赳夫君         商工事務官   松田 太郎君         商工事務官   鈴木 重郎君         商工事務官   玉置 敬三君         商工事務官   細井富太郎君         商工事務官   渡邊 一俊君         石炭廳次長   吉田悌二郎君         運輸事務官   芥川  治君         運輸事務官   加賀山之雄君         運輸事務官   三木  正君  委員外出席者         專門調査員   芹澤 彪衞君         專門調査員   小竹 豐治君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十三年度一般会計予算  昭和二十三年度特別会計予算     —————————————
  2. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 開会いたします。庄司君。
  3. 庄司一郎

    庄司(一)委員 議事進行に関して所見を述べておきたいと思います。本委員会は九日及び十日午前の政府関係説明の後、各委員質問は、委員長ごらん通り、きのうも、おとといも、きようの午前の開店休業状態でございます。かよう予算審議が遅延しておるその原因には、もとよりいろいろありましようけれども、一に本日までの三日間において、委員長の御計画なされたプログラムが、非常に能率が阻害されておる。その能率阻害のおもな原因は、一に政府の責任であるということを、はつきり確認しておきたいと思うのであります。委員長においても、どうか議長あるいは政府に対し、適当なるところの措置をとつていただいて、本委員会が円滑なる審議をなし能うよう善処を願いたいと思うのであります。かようなことを申し上げるゆえんのものは、十日の常任委員長会議において、委員長が、野党のことさらなる審議延引策等がなければ、二十八日には上程ができるであろうというよう意味のことを、委員長が申されたということが、新聞の報道にございます。われわれは決して議事進行を故意に遅延させるような、そういう意図はありません。今日までの審議の遅延は、あげてもつて政府態度にあつたということをここに確認いたします。委員長よりの一層の御善処を願いたい、かように思うのであります。
  4. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 ただいま庄司君から御発言がございましたが、委員長委員長会議で申し上げたのは、ただいまのお話ようなことではなくて、予算委員会理事会においては、予定ようにすべてが進めば二十八日に終る予定でありますが、しかしこの予算案は、重要ないろいろな案件をもつておりますから、審議の途中でいろいろな問題が起れば、予定ようにはまいりませんが、大体順調に運べば、二十八日には終りたいという日程で進んでおる、こういうふうに申し上げたので、別にただいま庄司君のお話の中にございました野党云々というようなことは、私は申し上げてございません。その点誤解のないように願います。  なお御承知ように、ただいままで遅れておりますのは、参議院並びに本会議におきまして、財政演説に対する質疑が続行されております関係上、政府の御出席都合が惡いのでありますが、大体きようで本会議も終了することと思いますが、しかし今後参議院において事前審査などが行われまする関係上、やはり政府側に特に勉強をしていただきませんと、予算審議に支障を來すと思いますので、きよう予算委員長よりも、衆議院議長並びに運営委員長に対して、こういう状態では予定よう審議を運びかねるから、政府側とも、参議院側とも、十分協議してもらいたいという意見を申し上げてございます。なお庄司君の御注意の点については、できるだけ委員長において努力するつもりであります。  それでは昨日に引続いて稻村順三君の質疑に移りたいと思います。稻村君。
  5. 稻村順三

    稻村委員 昨日、交付公債が、少し心をゆるめると、これがインフレを増進させる因になるのではないかという質問をしたのでありますが、なおそれに関連いたしまして、今度の予算では物價の七、八割の値上りを予想しまして、三千九百九十億という約四千億に近いところの予算案になつておるのでありますが、しかしながらこの前の現物價で組んだところの第一案によりますと、三千七百億円という予算になつておるのでございます。物價が七、八割まで上つたのに、実際上から申しますと、三千九百九十億円に止めたいということは、非常に予算技術が巧みなように見られるけれども、その実この前まではこの公債に対しては予算の中に組みこまれてあつたのが、今度はこれが予算外にはずされたというようなことの結果として、これくらいで済んだのであるというふうに、私は理解するのでありますが、第一案におけるところの交付公債交付のしかたと、それから今後の決定的なものとして約四千億の予算案交付公債交付のしかたというものは、技術的においてどういう違いがあるのか、その点を政府お尋ねしたいと思います。
  6. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答え申し上げます。これは、最初予算というのは、ちよつと、はつきり覚えておりませんが、予算編成の過程におきましては、いろいろ考え練つて、あるものは落す、あるものは加えるというようなことをやつたのはもちろんでありまして、幾段階か経て、練りに練つて時間がかかつたというわけであります。交付公債につきましては、ただいま考えているよう方針によることが妥当である。実は新たな現金支出を伴いませんので、これは別途の処理をすべきである、從つて別途法律的措置によつて、御審議を願うという態勢がいい、こう考えまして、さようにいたしましたことは、先日御答弁申し上げた通りであります。どうぞ御了承願います。
  7. 稻村順三

    稻村委員 私の質問したのは、そういうことではなくして、第一案におきましては、これは予算に組みこまれねばならないという建前から予算を組んでおつたのにかかわらず、第二案は、どうしてそういうふうになつたか、そうすれば予算編成原則として、これは組みこむか、あるいは組みこまないかということが問題になつてくると思うのでありますが、もしもこの両者の交付のしかたにおいて違つておるならば、その問題が解決するとかよう考えておりますので、第一案の場合の、組みこんだ場合の交付のしかたと、予算からはずした場合の交付のしかたと、そのしかたにおいて差異があるのかどうか、これをひとつお尋ねしたいと思います。
  8. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいまのお尋ねは、交付のしかたには変りはありません。ただどうした方がいいかということを、しばしば練りました結果、最終の案のごとくに処理するのが妥当である、こういうふうに考えましたので、交付のしかたに変りはございません。
  9. 稻村順三

    稻村委員 交付のしかたに変りがないどういうことになりますと、これは原則としてこういうものは組みこまない方がいい、組みこむべきでないという結論に到達したのかどうか、それも一つお伺いいたします。
  10. 北村徳太郎

    北村國務大臣 今回の予算にはこれは組み入れない方が妥当である、こういうふうに考えたのでありますが、この問題はしかくきゆうくつには考えておりません。ただ今回は組み入れなくて、別途法律措置として御審議を願うことにしたい、こういう考え方であります。一度そうきめたから、將來も必ずそうするというように、非常に固くは考えておりません。問題はそれほどの問題とは考えておりません。さよう御了承願います。
  11. 稻村順三

    稻村委員 これは予算編成技術としては、私は重要な問題だと考えております。今回だけは組みこまないでいこうということになれば、これは原則としてはどうしても組みこむべきであるということになつてくると思うのでありますが、その点どういうことであるか、もう一度お答え願います。
  12. 北村徳太郎

    北村國務大臣 原則として組みこまない方が妥当であると今回は考えております。
  13. 稻村順三

    稻村委員 今回だけですか。
  14. 北村徳太郎

    北村國務大臣 今回だけというわけではありませんが、入れない方が妥当であるという考え方でいろいろ練つた後、最初の案より変つた——最初の案というのは、ちよつと今記憶ありませんが、御指摘ようでありますから、そうであると思います。
  15. 稻村順三

    稻村委員 どうも大藏大臣答弁が、十分に腑に落ちないのでありますけれども、今回だけと言えば、これは一つの例外的な処置であると思います。それから原則的に組みこむべきであるということになりますと、今回だけは例外的だけれども、今後は組む。財政原則としては、こういう交付公債は組こまなければならぬということになる。そういうところの区別が、はつきりわからないのでありますが、私がかりに推定するというだけのことでありますけれども、前に組みこんでいるということにつきましては、たとえば交付をするにいたしましても、その交付の仕方が支出を伴うよう交付の仕方であつたけれども、今度の交付の仕方は支出を伴わないというふうな意味の、交付方法であつた。こういうことになれば、前に組み込んでおつたのを後から組みこまないという理由はよくわかるのであります。ところが交付の仕方については、両方ともちつとも支出を伴わない。だからこれは組みこまないと言えば、そうしてそれが原則だとすれば、今後あらゆる交付公債——どういう交付の仕方であるにもかかわらず、あらゆる交付公債は、予算の中に組まないのだ。こういう原則になると思います。これはきゆうくつ考えようだと大臣は御答弁でありましたけれども、私はこの点予算技術上非常に重大な問題だと思いますので、重ねてお尋ねしたいと思います。
  16. 北村徳太郎

    北村國務大臣 交付公債の問題は、御承知代償発行などと言われるものでありまして、現金を伴いません。從つて予算技術としては、現金交付せざるものとして、別に処理することが妥当である。從つて今後もおそらくはこの原則によつてやるだろうと思うのです。今回はこれが妥当と認めたのであります。なお研究はいたしますけれども交付公債代償発行であるから現金を伴わない。從つて現金中心とする予算外において、別途法律で御承願うという方法が、かえつて妥当ではないか、こういう考え方をいたしておりますので、これを一應の原則としてお認め願つても差支えないと考えております。
  17. 稻村順三

    稻村委員 なおこの点につきまして、たとえば交付公債をする場合にも、新たに交付公債発行しないで、発行されている公債をある程度市場から買い集めまして、それを交付するという形式も一應交付公債交付には考えられるというのが、事務当局の人の考えでありましたけれども、そうするとこういう公債の仕方は、たとえば予算に組みこむが、新しく交付公債発行する場合には予算に組まない。こういうよう一つ原則が立てられていないと、こういう問題が今後の予算編成におきまして、しばしば、たとえば交付公債発行することによつてという、その交付公債のために相当いいろいな問題が起きてくる、かよう考えているのでありますが、その点はとにかくといたしまして、次に私はインフレーションの高進を促進させるというふうなことを思われているところの問題に移つていきたいと思つております。  第二の問題は今度の予算總則第三條によりますると、大藏証券増発が予想されておるようでありますが、大藏証券増発されるというのは、それは一時税なら税というものの收入が足りない場合に、それを引当てにしてこの証券発行する場合が多いのであります。しかしながらややもするとこれが政府の一部の人間の操作によりまして、そしてその結果といたしまして大藏証劵発行して、すでにこれまでの必要経費賄つたということの結果といたしまして、予算が大きくなつたということは、政府資金を相当散布することになるのであります。しかもその結果その散布した政府資金を税の形によつて吸收するということを、非常にルーズにする危險がある。私はそういうふうに解釈をしているのでありますが、この点大藏大臣所見はどうでありますか。
  18. 北村徳太郎

    北村國務大臣 大藏省証劵につきましては、ただいまお説のように、語弊があるかもしれませんが、一時のつなぎ資金でありまして、これは年度内における收支のバランスがちよつととれないときの臨時の処置であると考えております。從つてこれはなるべく大藏省証劵発行をしなくてもいいよう方向にもつていくことが、これまた当然私どもの務めでありまして、つとめて税收と歳出との時期的なずれをなくするように、最善努力はいたしますけれども、その中間において萬やむを得ざる緊急発行、それについての大体の限度だけ御承認願うというので、今回提案をいたしました。これの発行がどんどん出れば、これはまたこのことによつて、その問題にもよりますけれどもお話のごとくインフレーションを促進するといことになると思いますが、今の程度、これは税收との時期的なずれ等の場合に善処するための一つの方策として、大体御承認を願いたいというつもりで、この時期的なずれをなくするように、最善努力はいたしますから、なるべく大藏省証劵発行は、御承認願つても少額に止めたい。この点はそういう方針を堅持いたしたいと存じておりますので、これはルーズになるというようなことは、絶対ないようにいたしたいと思つております。
  19. 稻村順三

    稻村委員 次に復金融資の問題でありますが、復金に対する日銀融資は、約五百億であるのに対しまして、第一次の政府の案では、これを全部実を言うと償還するという方針をとつてつたはずであります。これは大藏大臣も、いつか懇談のときにお話なつたと思うのでありますが、それを今回の案によりますと百八十億に止めております。これは大藏大臣説明によりましても、また事務当局の方々の説明を聽きましても、このは民間引受のものだけを返済するのだという意味合のことを述べておりました。そこでどうかというと、自然に日銀引受部分は未回收になるという危險があると思うのでありまして、この未回收になる部分が、実を言うとインフレーションを促進する一つの動機、要因にならないのかどうか。この点をお尋ねいたします。
  20. 北村徳太郎

    北村國務大臣 きわめてごもつともな御質問でありまするが、これは大体民間保有のもので期限の到來したものだけに限りまして、一應財政都合からその分は増資の方式をとつて民間保有のものを償還する。それがために、復金増資をやる。日本銀行のものもやる方が当然なすでありますけれども、これをやりますと、また別な形で復金増資を要することとなつて、結局同じようなことを繰返して、日銀による金の引出しになるという結果に相なるので、この点を考えまして、一應日本銀行のものについてはすえおくという態度をとつたのであります。それからそのことが結局回收の非常に遅滯することに原因するんじやないかというお尋ねであつたと思うのでありますが、これは御承知通り復興金融金庫本來の目的が、日本経済復興のために必要にして、しかも一般金融機関においては、投資することが困難なもの、あるいはできないものについてやるという建前から申しまして、長期性のものであり、あるいはその他一般金融機関ではとても扱えぬという性質のものをやつておる。從つて復金債期限の到來と、復金の貸出金の回收とがうまくいかないというような点は、これは復金それ自体の本來の性質から考えまして、やむを得ない時間的な距離が起つてくる。しかしそれはそれとして、いやしくも復金において回收すべきものは回收しなければならぬ。その点については、最善努力をし、特に最近においては國会財政及び金融委員会においても、復金の小委員会等ができまして、いろいろ督励あるいは監督等に御盡力をいただいておるのでありますが、これは回收努力するということと、努力はするが、しかしながら長期的な建設資金を出したということ、それが生産として動いて來るまでには時間がかかる、こういうような点は、回收が遅れることのやむを得ない点どはないか、こう思うのであります。それがただちにインフレーシヨンになるとは考えませんけれども、ただ投下されたものが、当初の目的にかなう方向に効率的に使われておるかどうかという点が大きな問題なのでありまして、この点に関しては、私ども十分氣をつけて、今後一層監督を嚴重にいたしたいということは、たびたび申しておる通りであります。また國会でもそういうふうな方向努力願つておるのでありますから、今後はそういう方向にいくんだろうと思います。それからそういうことをしないで、たとえば日本銀行のものをすつかり償還することにしたらどうかというようお話が出るかと思うのでありますが、それをやるということは、一方市場において復金債が消化するという見透しがつかなくなる。今のところ正直に申しますと、復金債人氣が惡くて、なかなか消化しない。從つて日本銀行に持ちこまなければならぬというよう性質から考えまして、この点は市場消化も困難な現実から、結局日本銀行においてもう一度これを引受けるという結果になるということが、大体見当がつきますので、從つて日銀保有の分だけはそのままにして、民間のものだけまず償還するという態度に出る。こういう結果になつたのであります。もつともただいま御指摘になりました復金から出す金を通じてのインフレーシヨンということも十分考えられますので、この点は嚴に注意をしなければならぬ。私ども関係方面の向きと、いろいろ連絡をとりまして、たとえば商工大臣等とも、復金融資について、これは事後事前のいろいろの監督等についても打合せをいたしております。日本銀行とも連絡をとつておりますし、また大藏省自体復金に対しては監督の立場にありますし、檢査等も十分にいたし、また復金そのもの投資先に対して、みずから進んで現場において監査をするというようなこともやつておりますし、ただいま御指摘よう復金融資を通じてのインフレーシヨンを起すというような点には、われわれも十分努力をしておりますが、今後もこの点は御指摘通り重大な関心をもつておるということを御了解を願いたい。
  21. 稻村順三

    稻村委員 大藏大臣そういう方面努力に対しては、私は非常に諒とするものでありますけれども、しかし大藏大臣説明を私たちが聽いておる限りにおいては、一應努力をしてみるということによりまして、こういうようなところからくるインフレーシヨンの阻止をしたい、こういうふうな御返答でありました。しかしながら、私たちから申しますと、いかに努力をいたしましても、一つ軌道というものがある限りにおきまして、その軌道乘つたインフレーシヨン進行というものは、なかなか容易でないと、かよう考えておるものであります。從いまして、さらに私は現在の物價対策——これは安本長官に聽く方がわかり易いのでありますけれども、一應大藏大臣にもお伺いをいたしますが、物價を抑えるということのために、いわゆる紙幣増発からくるところのインフレーシヨン、それがさらに物價騰貴となつて現われてまいります場合に、この物價を一体どうやつて止めるか、これは非常に重要な問題であろうと思うのであります。その物價対策といたしまして、政府では経済中間安定案というようなものを考えておいでになるようでありますが、この経済中間安定案によりますと、いわゆる物價資金との間の惡循環を断つという言葉を使つておるのであります。それならば一体どこでこの惡循環を断つということに努力をしておるのか、もしも私たち賃金との関係一つ考えてみますと、これはよほどの努力をしても、やはりその努力が及ばずして、物價が上つていけば必ず賃金の問題が起きてまいります。賃金の問題が起きれば、また物價の問題が企業家の方から問題になつてくる。そうするとこれは一体どこでそれを断とうとするのかということになる。政府で発表したといわれている案を朝日新聞によつて見ますと、賃金直接的統制を行うというようなことになつておりますが。その賃金直接的統制というのは、これは現に世間では、最高賃金をきめて、そこで賃金をくぎづけするというふうに言われているのでありますが。この点に関して大藏大臣はどうお考えになるか、それをお尋ねいたしたい。
  22. 北村徳太郎

    北村國務大臣 中間安定ということが問題になつたのでありますが、これはまだ政府は発表いたしておりません。何か事務関係の者が檢討の途中の議案を提案したのではないかと思います。もちろん中間安定については研究しております。ただいま相当研究をいたしまして、總合計画としてどうして今の日本経済現状を安定に導くかということについては、研究したり資料を集めたりいろいろやつております。これは外資導入の問題、それから日本企業の健康を回復するのにどうすればいいかというようなこと、その他いわゆる長期計画を一應立てれば、長期計画最初着手すベきは何であるかというふうなことから考えていかなければならぬという、總合的な一つ施策として研究いたしておりますけれども、いまだ政府として発表する域には至つておりません。その点は何か問違つて出たものであると私は考えております。それから物價賃金の問題でありますが、これは鶏が先か卵が先かというようなことに相なるかと思いますけれども、少くとも現状では、結局賃金の安定ということがきわめて必要なことであるが、しかしその必要であるということは、生活が安定するということでなければならぬ。生活の安定を拔きにして賃金だけを安定しようとしても、そういうことは不可能であることは申すまでもないのでありまして、從つて生活安定のためには、總合的な施策をもたねばならぬ。ひとり賃金だけとにらめつこしていたのではとてもだめでありまして、生産の状況、消費財の増加の率がどうかというようなことを併せ考えまして、たとえばこの賃金に対してはどれだけの実質的な裏付がある。実質賃金としての内容、あるいは実質賃金の向上というようなことを考えることなしに、ただいたずらに賃金をどうするというようなことをしても、これはとうていだめなことでありますから、生活の安定を中心とする経済の安定、その経済の安定も、本格的安定に至るべき一つ安定点としての中間安定というようなことは一應考えているのでありますけれども、これはまだ正式に発表するところまで、私ども勉強が進んでおりません。さよう御了承願います。
  23. 稻村順三

    稻村委員 大藏大臣説明を聽いておりますと、この予算は、政府が確固たる方針なくして組んだ予算だという結論になると思います。なぜかと言うと、政府は一應物價は七、八割のところで押える、それから今度賃金は三千七百円ベースで押えるということを前提としている。これは年間を通じて一應こういう安定をみていくということが考えられていなかつたならば、一年間の予算を組むことは意味がないと思います。そうしたならば、結局どうかと言うと、これはそういうふうなものに一應の方針をもつていなければならぬ、物價が上らないように、また賃金が上らないようにするにはどういうふうにするかということを考えて、予算がそういう方針のもとにできたればこそ、私はこういうふうな予算が組まれたものである、かよう考えております。その点について政府はまだ未確定だということになると、ここで重ねてお尋ねしたいことは、こういうふうな方針が立たないで未確定だ、確固としてそのくぎづけをするというようなことが考えられないで、この予算を組んだものとすれば、とにもかくにもインフレーション財政膨張によつて、多少でも高進しつつある現状におきましては、物價もまた改訂しなければならないということになります。また賃金ベースも改訂しなければならない。そうしますと、この予算は足りなくなるので、必然的にまた追加予算なり、補正予算という名前で、とにかくそういうものによつて、この予算の足りないところを補つていくということは、やむを得ないことになりますが、そういうことを政府は覚悟をしながら、この予算は組んだのかどうか御答弁を願いたい。
  24. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいまこの中間安定を中心としての御質問であると理解しましたので、中間安定ということに関しての政府の方策は、まだ未熟であるということを申し述べたのであります。予算に関します限りは、たとえば物價については、消費財のおもなものについて約七割程度の騰貴を見込む。それから賃金ベースは、お話のごとき水準をきめてこれを見込む。これが維持できるかどうかということは、單に名目的な三千七百円が妥当であるかどうかということではなくして、これに対する裏付け、実質的なものが保証されるかどうかということになるのでありまして、これらに関する限りにおきましては、私ども予算を処理する者として見透しをつけまして、今後これでやつていけるというふうな確信をもつて予算は組んだのであります。それで一般の中間安定方策として、長期計画の一貫たる中間安定の具体的方策は、まだここで具体的に申し述べるだけの段階に達しておりませんけれども、しかしながら、これは今後の生産というものの見透し、あるいは消費財の確保の度合い、あるいは現在の國民所得との関係また國民経済の規模等、いろいろの観点から見まして、今回組みますところの予算というものが、それとの関連において、これでやつていける。もつとも今のような動揺したときに、年間を通じての予算を組むということは、御承知通りなかなかむづかしいのでありますけれども、これはこれでやつていけるという一つの自信をもつて立てたものでありまして、從つて今後若干の異動がありましても、これは補正し得る。價格調整に充てる予備金等若干のものをこれに見込みまして、大体これでいけるという自信をもつて出したのでございます。さよう御了承を願います。
  25. 稻村順三

    稻村委員 そうしますと、ここで大体中間安定は可能なり。その政策のこまかいところはわからないけれども、大体の方策はわかつて、それを実施し得るということを前提として組んだ予算であると理解していますが、それでよろしいのですか。
  26. 北村徳太郎

    北村國務大臣 大体そういうふうに御理解願つてよろしいと思います。
  27. 稻村順三

    稻村委員 そうしますと、ここにひとつ物價の問題が問題になるのであります。この物價の問題は、安定本部の長官から説明つた方がよろしいと思うのでありますけれども予算編成と絡んでお尋ねいたします。  物價というものが、大体において多少上るということはわかつておるのでありますが、それに対して物價調整の予備金として、大体六十億の予算政府はみているようであります。しかし六十億ということになれば、これは予算に組まれている物價の総額から申しますと、きわめて少い額であると考えるのであります。この程度のもので済むということは、物價の変動の幅が非常に少いと一應見ておると思うのでありますが、私たちから申しますと、これを七、八割と物價考えてみましても、いよいよ新物價が決定になりますれば、とても七、八割どころでなく、やはり十割ないし十一、二割上るものと思うのであります。前のときにも大体六十五倍というような線でいろいろきめてみましたけれども、やはりはね返りその他を見まして、実を言うと現実の物價はそれ以上に上つたのであります。それがために、また根本的な建直しをしなければならぬということが出ました上に、さらにそれが賃金に影響いたしまして、大分追加予算を矢繼早に出して、その穴埋めをしなければならなかつたという結果になつたのでおります。そうすれば私たちといたしまして、この六十億の調整予備金を持ておるという点は、確かに二十二年度の予算よりも、一應物價騰貴に対して幅をもたすことができるということだけは言えると重うのでありますけれども、この程度のもので物價騰貴に対して処置できるかどうか。少くとも総予算の五分や一割のものが必要なのじやないかと考えられるのでありますが、その点大臣の御所感を伺いたいと思います。
  28. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 お答え申し上げます。これは今年度の予算の四分の一強を占めます終戰処理費並びに賠償撤去費等については、これで十分やれるという自信をもつて盛りこんでおります。それから公共事業費等につきましては、これは物價現状から見透し、並びに資材の現状等から勘案して、事業の量を押えて見積つておりますので、この金額において十分予定の事業を遂行できるという確信をもつておるのであります。その他のものにつきましては、これは件数から申しますと非常に多い件数になりますが、雜件が多いのでありまして、五千件について一々の調整は困難でありますから、その雜件に対する價格調整の費用として、今仰せになりました金額を充てておるのであります。政府といたしましては、これでやつていけるという自信をもつております。
  29. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 稻村君に申し上げますが、大藏大臣は実は病氣で、きようは自邸へ帰つて靜養されたいということで手続をとつておられますから……。ほかに定本長官も運輸大臣も労働大臣も見えておりますから……。
  30. 稻村順三

    稻村委員 それでは労働大臣お尋ねするのでありますが、最近中間安定策というようなことが言われますと、そこにいろいろなデマが飛ぶのでありまして、中間安定の基準を賃金に置くのだというような、いろいろな説が巷間に傳えられております。この点に関しましては、なお詳しく安本長官にも聽くつもりでありますけれども、まず労働大臣に聽きたいのは、今日政府中間安定を実現するために、まず賃金をくぎづけにする、そうしてそれから物價その他の安定の方向に動いていこうというために、最高賃金制度というか、そういうものを設けようということが言われておる、こういうふうに傳えられておるのでありますけれども、労働大臣は、今日のごとき労働者の生活状態に即しまして、こういうことを政府で実現に努力しておるかどうかということの御答弁を願いたいと思います。
  31. 加藤勘十

    加藤國務大臣 ただいまの稻村君の御質問でありますが、巷間に賃金のあるいは統制と称し、あるいは安定と称せられて、さまざまに傳わつておるのであります。なるほどいわゆる中間安定——中間安定ということができるかどうか、私は非常に疑問に思つておりますが、かりにインフレーシヨンの高進を幾分でも鈍らせるという意味においてのいわゆる中間安定であるならば、あるいは方策によつてなし得ると思いますが、そういうことのために賃金統制なり、あるいは賃金安定なりが可能であるかどうかという問題について、ある方面において何らかの形で賃金安定をはからなければならないではないか、こういう意見のあることは事実であります。しかしながら、ただいま大藏大臣が答えられましたように、現在の状態のもとにおいてひとり賃金問題だけを切り離して、賃金安定策が成り立つというようなことは、だれでも考えられない点でありまして、当然賃金の実質的な給與の裏づけとなる物資が伴わなければならぬことは言うまでもないのであります。こういうような状況において、政府としましては、そうした意見に基いて、何らかの方法考えられなければならぬというような程度にはありますけれども、しからばいかにして、またいかなる物資をもつてその裏づけにするかというような具体的な賃金安定策については、未だ何ら意見はまとまつておりません。また私労働大臣としての見解を申し上げますれば、一体賃金安定ということが、イフンレーシヨンを抑制する上において必要であるという意見に対しましては、なるほど賃金物價との惡循環を何らかの形においてこれを断つことができれば断たなければならぬことは言うまでもありません。しかしながら、賃金の安定がただちにインフレーシヨンを抑制する、あるいは物價の上昇が賃金の引上げに原因するというような見方は、私はとらないのであります。何とならば、なるほど昨年の七月以來の賃金引上げの率と物價上昇の率とを比較しますと、賃金引上げの率の方が、幾分上まわつておることは、数字の明らかに示すところであります。しかしながら、基準年度を基礎としたその上昇比率によりますれば、物價の上昇率は、はるかに賃金の上昇率よりも高いのであります。從つてこの一年間において、賃金の上昇率が物價の上昇率を若干上まわつておるからというて、それでただちに賃金の引上げがインフレーシヨンを促進しておるということにはならないので、労働者の生活の苦情から來るたゆみなき闘爭が、辛うじていくらかでも労働者の生活を改善するに役立つておるという程度のものにすぎないのでありまして、これによつてインフレーシヨンを促進するとか、あるいは物價騰貴原因が、すべて賃金の上昇にあるというような見方は、とらないところであります。そういう点から見まして、少くとも物價賃金との均衡がはかられるということは、望ましいことでありますけれども、何を申しましても、今日のよう生活物資の非常に乏しいときにおいて、もしどういう形においてか賃金の安定策と稱して、一定の賃金が保持されなければならぬというならば、それは言までもなく、名目賃金を規定して、名目賃金をくぎづけにするということになつて、それこそインフレーシヨンを高進せしめる以外の何ものでもない、あくまでも物價の裏づけがなければならない。こういう点から考えまして、今日の段階においてはそうした意味においての賃金安定策をとるということすらも非常に困難な事態にある。こういうよう考えております。なお一体いかにして賃金物價との惡循環を断つべきかということについては、綿密な檢討が加えられなければ、容易に結論は出てこないと考えております。
  32. 稻村順三

    稻村委員 そうしますと、現在の段階におきましては、労働大臣最高賃金を設定するという意味をもつていないということに解釈してよろしゆうございますか。
  33. 加藤勘十

    加藤國務大臣 お説の通りであります。
  34. 稻村順三

    稻村委員 それでは安本長官お尋ねしたいのでありますが、現在のインフレ下におけるところの非常に大衆生活の困難になつておる大きな原因は、物價賃金との惡循環ということに非常に大きな理由を政府は認めておるようでありますが、それは中間安定策というようなことが言われておるのから見ましても、ややそれがうかがわれるのでありますが、物價賃金との惡循環ということが、あまり強く叫ばれていることが、むしろ今日の事態においては一部分において生産過剰の傾向、いわゆる恐慌のような傾向が現われてきておる事実を認めているのかどうか、その点につきまして、安定本部長官から御意見を聽きたいと思います。
  35. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 稻村委員のただいまのお尋ねにお答えする前に、一つお断りしておかなければいけないのであります。中間安定策というものが、ある新聞に出たのでございますが、これは本会議でも申し上げましたように十分練りもしないし、実はわれわれ各大臣も、まだ知らないようなものでございまして、しかもその案というものが、金融的あるいは今お話物價賃金惡循環を断つという方面に、重く指向されておるような点もあるかと思うのであります。これは今関係筋その他と非常に折衝しておりまして、もう少ししましたならば案ができ、しかも実行性のある案を立てたい、こう思つておる次第でございます。そういう意味においても、物價賃金に重きをおきすぎはせぬかというようお話があつたのでありますが、われわれはそういうような点でなしに、廣く長期計画の一環として中間安定というものを考えまして、しかもこれは特に抜き出してそういうものがあるというのではありません。長期計画をいたしますには、こういう危機下においては、どうしてもそういうところへ一歩み踏み出しておかないといかぬ、こういう点から考えた次第であります。  それから今生産過剰というようお尋ねがあつたのでありますが、これはいま少し具体的に承りませんと、一般的に生産過剰というような点はないと思いますけれども部分的にどういう点において御指摘になつておるのか、もう一度承りまして、その事情をさらに申し上げたいと思う次第でございます。
  36. 稻村順三

    稻村委員 これは最近におきまして、機械工業とか、非鉄金融の関係者に会つてみると、その製品が賣れなくて弱つておる、こういうことをしばしば聞くのであります。特に農村の中心となつております農機具工場だとか、あるいはその他生活必需品、いわゆるなべ、かまとか、その他いろいろな大衆向きの品物をつくつておるところなどにおきましても、明らかに製品が賣れなくて困つておるというお話を聞くのであります。その一番大きな理由は何かといえば、農民の購買力が非常に低下しておるという事実であります。事実農民は税金とそれから今度供出が非常に強かつたという結果といたしまして、自分の肥料さえ買えないという事態になつてまいりまして、そこにいはゆる過小生産であるにもかかわらず、生産過剰の現象を來しておる、こういうことが言われておるのでありますが、その事実をお認めになるのかどうか。
  37. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 全体國家的に見れば過小生産でございまして、生産過剰ということはあり得ないと思うわけでありますが、しかし実際は私も地方をまわりましたりして、ある地方がいろいろの隘路から製品が賣れないという点は事実あるのでございます。それは運輸交通の輸送力の面から需給の調節がうまくいかないという点もあると思います。それからまた一つは、今農業生産のことについてお話がございましたので、そういう方向で例をとりますと、どうしても肥料の購入、あるいは農機具の購入、農藥の購入におきましては、必要な需要はあるわけであります。それで供給もあるわけであります。必ずしも供給が多過ぎるということではないと思うのであります。ところがその間にこれをつなぎます資金の問題が、相当大きな要素として、不円滑になつて、需給の調節ができておらない。それがために店先を見ますと、供給過多の事情が相当あると思うのであります。  なお金融の疏通ということについては、われわれも農業大臣大藏大臣と一緒になつて、今その施策も一部は移しておりますが、さらにこの施策は拡大して考えていかなければならぬと思うのであります。特に物價の補正等をいたします現在においては、やはり運轉資金その他にさらに行き詰りが起つてくると、昨年の物價改訂後の状況のようなことになりますので、十分考えたいと思うのであります。金融の疏通その他については、またあらためてお尋ねに應じてお答えをいたしたい、こう考えております。
  38. 稻村順三

    稻村委員 最近就職運動がきわめて盛んになつてきたということ。それから生活必需品のやみ物價がマル公價格に比して総体的に値幅が狹くなつている。こういうようなことを一應考えてみると、われわれからみると、今例を農民にとつたのでありますが、大臣も金融という点を認めておりますが、その金融が経局言えば、農民という國内で一番大きいところの商品市場にあるところのものが一應購賣力を拡大しなければ、どうかというと過小生産であるにもかかわらず、一應恐怖現象が生じてきている。こういう事実を安定長官は認めるかどうか、それをお伺いいたします。
  39. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 今の稻村委員お尋ねでありますが、その事実だけをもつて安定恐慌のおそれがあるというように見るかどうかということについては、なおいろいろ吟味すべき事情もあると思います。しかし私は本会議でも申し上げましたが、こういうような情勢を続けていつて、そして安定恐慌に導いてしまつたのでは、とんでもないことになる。こういうことを非常に恐れておるものでございます。それがためには、不当に金融上の圧迫とか、あるいはそのほか生産上の阻害とか、そういうものについては、努めて阻害の点を解いて、正常なる経済活動、産業活動のできるようなところへもつていく。それがためには、政府は相当に施策を施したい、こういうよう考えている次第であります。本会議においても、單に財政金融面からこの中間安定を策するというのでなしに、そういう方面にも非常に重点を置かなければならぬということを申した趣意も、そういう点にあると思う次第でございます。
  40. 稻村順三

    稻村委員 私の質問は、何もこれがただちに安定恐慌にいつておるというわけではないのでありまして、どつちかというと、インフレが変則的な形をとつてきて、一方においては財政資金が廣く撒布されていくために、先ほど大藏大臣と問答したときのように、むしろインフレーシヨンは促進されていく傾向にある。他面においては、それが大衆の購賣力の減退からくる恐慌現象が部分的に起きており、この恐慌現象からくる犠牲と、インフレーシヨンからくる物價騰貴の負担と、この両者が現在の大衆の上におおいかぶさつてきておる事実を、われわれは見逃すことができないと思うのであります。これはどういうふうな理由によつてかということになれば、政府が撒布されんとする財政資金というものが、財政に密接な関係をもつている一部の人間に、相当の力をもつていろいろな点で流用されておりますけれども、この資金がどうかというと、一般大衆のところにまわつていかない。部分的な、いわゆる偏在というものがありまして、そのためにこういうふうな現象が起きてくるのではないかと考えます。殊に政府資金の撒布によるものが物に変つた場合に、それが相当部分やみ流しに利用されていることを、われわれは恐れるのであります。こういうものに対して、政府はつきりした施策考えているかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。
  41. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 これは今度の中間安定のときにも、一つの項目に取上げたいと思うて、実は作業をしておる次第であります。さつきの資金関係は、金融の処理をやると申したのであります。これを根本的に申しますると、資金の流通といいまするか、還流というものが、正常なるルートを通り、正常なるコースをたどつて流れておらぬという点があることが、根本的だと思うのであります。それがために一時カンフル注射的、あるいはその他の方法を、金融であるとか、その他に施す必要が起つてくるわけであります。今おあげになりました財政資金を撒布いたしますが、これが正常なるところに流れて下々まで行つて、そうしてさらにこれが貯蓄とか税とかいう面からして、中央に吸上げられてくる、こういうことになりまするならば、これは一番よいことであります。それが非常に欠けておるわけであります。そこで大体もつと掘下げて申しますると、今日まで通貨の発行高その他につきましては、單に発行高をもつて物價その他インフレーシヨン高進の度のバロメーターといたしたのでありますが、ほんとうを言うならば、市場に働き得る資金というものは、その中でいくらかということを大体想定いたして、その上に立つてやみその他の好ましからざる方面資金が使われておる、流用されておる面がどうか、それから正常なる還流の中にある資金がどうか、こういうようなことをさらにわけてみまして、そうしてその上で案などを見なければならぬ時期であると思つております。そこでこれは先だつて日銀その他にも、そういう方面に非常にむずかしいことでありますけれども、政策を立てる基礎として、そこをひとつ作業し出してみたい、こういうことを申したのであります。われわれとしては、そういうような点をも考えまして、生産ルートに乘るものが、今の物價補正をいたしましたり何なりした場合の運轉資金、あるいは設備資金として十分であるかどうか、どの程度出したらよいかということを策定いたしまして、そうしてそれによつて金融をもやり、あるいは政府資金の撒布をも調節をしていきたいと思うのであります。政府資金の撒布につきましては、なかなかこと円滑を欠く点もある程度あるのでありますが、しかし暫定予算の許す範囲においては、これをいたしております。しかしそれが下々まで流れない、あるいは金融した資金が下々まで落ちない、こういう点は確かにございます。そういう点は十分施策の中において、われわれ取入れて作業しておりますから、案を立てて、そうしてこのわくといいますか、必要度に應ずる資金の撒布、殊に物價補正に伴う場合におきましては、どうしても運轉資金その他の増がありますから、それをいくらと見、いくらとするかということも、一々策定いたして実行に移したいと思つております。
  42. 稻村順三

    稻村委員 政府資金の撒布が、生産の方にまわらないで、流通の方に非常にまわるということは、私たちしばしば憂えておるところでありまして、こういうことがすなわち生産というものが起らない、しかも大衆の方にいかないのにもかかわらず、流通過程に一應関係しておるところのものに政府資金が偏重いたしていくということが、あり得ることを、私たちは警告したわけでありますが、例を申しますれば、たとえば日銀融資によつてある生産に貸付けるという場合に、たとえば市中銀行などへ行きますというと、本店の方はどうであつてもいいのでありますが、支店が大体窓口になります。そうすると、支店では大体どういうことになるかと言えば、その資金のうちの一割なり二割というものを手数料として要求する。こういうふうな話をしばしば聞いているのであります。はなはだしいのになりますというと、そのとつたところの手数料がいつの間にやら蓄積されまして、そうして銀行の裏口営業用になつてしまつている。一月一割とか一割五分という高利の短期金融がこういうようになされておるという実例も聞いておるのであります。またある産業企業家のごときは、一應の金融をしてもらうまでは、相当の手数料をその係りの人間に要求されているというようなうわさすらあるのであります。こういうふうないわゆる流通方面にのみ政府の撒布された資金——復金などというような形の資金、あるいはその他のものが流れていくというようなことも考えられるのであります。これは全体としては小さいかもしれませんけれども、こういうことをするために銀行の係りの人間を饗應する、あるいはまた官吏のある部分を饗應するとかいうようなために、実にはでな裏口営業を利用するところの宴会などというようなものが行われる。私は自分の住んでいる所の附近を考えてみましても、われわれから考えてみますと、このどろ料理屋でも裏口営業をしていない料理屋というものは一軒もないでしよう。それほど盛んた裏口営業が、全部こうした取引が中心になつてなされているということが言われているのであります。片山内閣のときには、やはり私たちは幾度か予算委員会でそれを警告したのであります。けれども、その当時は、とにかくにも流通秩序の確立というような問題が取上げられておりまして、また政令違反として全部は取締りきれなかつたけれども、相当に峻嚴な取締りも部分的にあつたために、片山内閣はある一部分から評判が惡かつたということも言われるのであります。しかるに世上では、芦田内閣になつたところが、この取締りがルーズになつたというので、実を言うと、軒並みにこういうふうなものが全部裏口営業をやり出した。芦田内閣はそういう意味ではないのだろうけれども、世上ではそう言つております。すなわちあれほどの裏口営業がなされているということを考えてみますと、こういう方向に流れているところの、いわゆる生活に最も必要なところの商品——生活に一番必要なと言うか、たとえば食べたり飲んだりする商品が、こういう方向に流れていく、そうしてそれが食糧の生産の方の資金にまわらない、こういうようなこともわれわれは考えられるのです。こういうものに関するところの取締りの方針を、政府ではお考えなつたことはあるのか、それをひとつお伺いしたい。
  43. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 お答えいたします。初めの点についてちよつとお答えしておきたいと思いますが、融資をいたしますにつきましては、融資の準則があるのでございまして、その融資の準則はさらに今回強化をいたしたのであります。いわゆる銀行の資金、金融機関の資金自体を融通する場合におきましては、この融資準則に反するよう融資は、行えないような立場にあるのでありますが、今のお話の裏口営業の融資、いわゆるやみ融資でありますが、そういうようなことが行われますと、いろいろな弊害もあると思われるのであります。このやみ融資の取締り徹底については、安本は申すに及ばず大藏省——これは主管省としても、十分手を打つということになつておるわけであります。  それから裏口営業、殊に料理飲食店の問題は、われわれといたしましても徹底を期したいと思うのであります。食糧の懇請をいたしましても、こういう問題がありますと、どうも懇請しても非常に効果を阻害される結果になり、國民の間に非常な不均衡を來するうな結果にもなりますので、十分徹底をいたしたいと思うのであります。ただいま別の委員会において経済査察廳の制度について御審議願つておりますが、これは査察でありますが、英語ではインヴエステイゲイトで、実は経済調査廳であるわけでありまして、やみのルート、やみの原因経済違反の事前予防、あるいは勧告その別について徹底的に励行する、こういう関係から制度を設けるように相なつたのでありまして、御審議が済めばこれが発足いたすのであります。この法律は一面においてやみその他のものを徹底的に防止する点に重点があるのであります。從來経済違反が経済警察の手によりまして、かえつていろいろおもしろからざる結果を來したような欠陷もありましたので、この欠陷を補う意味において、両方面からこの制度を設けることになつておるわけであります。行政整理の折柄こういうものをお願いすることはどうかとも思われますが、しかしこういう臨時の窮迫した時期においては、ぜひ必要だと思しまして、相当の査察官を派して、やみその他の取引の予防、防止、また惡質の違反者に対しては制裁をする。こういうような点においてやろうというので、今お願いしておるような次第でございます。料理屋につきましても、一般のやみを防止しませんと、流通秩序の確立、経済危機の克復というようなことはできないと思いますので、芦田内閣になつたがゆえにゆるめるんじやなしに、むしろますますやりたいというようなつもりで、制度その他においても充実し、七月の初めからは御承認を得ればただちに発足をいたしたいと考えておる次第であります。
  44. 稻村順三

    稻村委員 今度は賃金の問題についてちよつとお尋ねしますが、前の片山内閣時代に、物價は大体基準年度の六十五倍という形できめまして、そうして賃金生産が大体戰前の基準年度の三分の一に減つておるからというので、それを基準として三十倍以上に決定するという形で決定されたように思います。もつともこればかりの條件ではありませんけれども、そういうことが主要な條件として決定されたと思つておりますが、今回の物價改訂に関しても、やはり片山内閣時代にとつてつたあの基準をそのまま引継いでおるのでありますが、その点をちよつとお伺いいたします。
  45. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 その点においては詳しいことは政府委員から御説明申し上げたいと思いますが、われわれは今度物價の改訂にあたりまして、これに織りこみました賃金水準というものを策定いたしますには、現在労働者が獲得しております実質の賃金を維持して、それを下まわらぬように努めるという建前から、あれを出したものでございます。そこで物價の補正、賃金の改訂等によつて、実質上の賃金が下まわるということはしない。こういう意味においていたしたのであります。昨年の七月の千八百円水準のときと比べますというと、二割程度くらい実質的には上つておるのではないか。こういうように見ておるわけでございます。
  46. 稻村順三

    稻村委員 しかし考えてみますと、生産能率というもの、全体としての生産量と言いますか、これを基準として賃金考えておるということには間違いないでしようか。
  47. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 生産のみということではございませんけれども、單にコストの一部に織りこむという点で、三千七百円ベースをきめましたから、そういうふうにお問いであつたかとも思うのでありますけれども、これは物價に織りこむ賃金水準という点においてやつた次第でございます。一般の賃金安定その他の問題につきましては、いかにするかということを、今いろいろ研究をいたしておる次第でございます。それをまつた上で、この方策はまたお諮りをいたしたい。こう思う次第でございます。
  48. 稻村順三

    稻村委員 そうすると、ある生産部門におけるその労働賃金の基準というものが、生産額に依存していないというのか。それに依存してきめたというのか。その点はつきりわからないのでありますが、もう一度御答弁願います。
  49. 谷口孟

    ○谷口政府委員 お答えいたします。今度の補正物價に織りこみます賃金は、もちろん操業度も考えてきめたものでございます。今お説のように、操業と生産と全然無関係だというのではありません。なお昨年の七月の改訂におきましては、その当時の賃金を支拂い得る價格をきめたのであります。原價計算上当然そういうことになるのでありますが、その結果はおつしやる通りに、安定帶物價におきましては六十五倍、賃金の水準は基準年度に比べて二十七、八倍というふうな数字に落着きました。これはおつしやる通りに、生産が十分でないので、それ以上の賃金を拂うならば、その企業はまた赤字になる。こういうよう関係を示したわけであります。昨年以來実質賃金は逐次上昇いたしまして、大体最近におきましては二割見当、実質手取りは殖えておると見られるのであります。この殖えております現状を今度の價格の改訂におきまして、そのまま維持していくという建前をとつておるのであります。比率をもし昨年のようなぐあいにわけてみますならば、物價の上昇は七、八割の程度にありますが、名目賃金から申しましても、千八百円から三千七百円に上るので、そこの開きは少し狂つてまいつておるのであります。こういうように了解していただきたいのであります。
  50. 稻村順三

    稻村委員 そうすると、今度の三千七百円ベースの操業度は、大体基準年度に比してどのくらい見るのでありますか。
  51. 谷口孟

    ○谷口政府委員 今基準年度との比較における私は的確な資料を用意いたしておりませんので、お答えしかねるのであります。個々の企業によつてみな違つております。平均でわれわれは昨年に比較いたしまして、大体二割ないし三割くらいの上昇を見るものということを念願において今物價廳で個々の産業にあたつて調べておる実情でございます。
  52. 稻村順三

    稻村委員 そうするとこの操業度は生産量と非常に大きな関係がありますが、殊にこの操業度によるところの結果としてできた生産量の中には、ガリオア資金その他ではいつてくる輸入食糧は計算されているのですか。
  53. 谷口孟

    ○谷口政府委員 ガリオア資金によつてはいりますところの食糧を、操業度の中に見ているかというお尋ねでありますが、これは直接操業度の中には見ておらぬと思います。ただこの日本の食糧事情としましては、今の二合五勺の基準の配給量を確保していくということを前提において、産業確保の操業度なりそれから生産能率なりを檢討している実情であります。
  54. 稻村順三

    稻村委員 これは安本長官に伺いますが、そういう事情だとすれば、この賃金建前から申しますと、國内に生産された生産物は、大体平等にわけられるということを前提としたものですか、どうですか。
  55. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 國内生産の品物の種類にもよりますが、しかし生活に必需的なもの、もしくは相当それに近いものについては、平等にという建前考えている次第でございます。
  56. 稻村順三

    稻村委員 そうしますと、ガリオア資金その他によつて、輸入食糧なら輸入食糧が殖えてくるとするならば、これは一應やはり生産量の中にはいつてくるものだと、かように私は考えているのであります。そうすると、こういう建前から申しますと、日本の國の輸入が殖えたということは、結果的に申しますれば、これは生産が一應殖えたというのと同じことであります。そうすれば、そこから問題になつてくることは、こういう輸入が殖えることによつて、つまり一應物資が殖えたのでありますから、そういうことからいたしまして、これらの生産に從事している人間に対して、ガリオア資金その他によるところの輸入食糧が殖えていけば、もし実質賃金を維持しようとするならば、この物は生産に從事しているところの人々の中に重点的な配給をされなければならないというふうに考えておるのでありますけれども、この点に関するところの安本長官の御意見をお伺いいたします。
  57. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 お答えいたします。いわゆる傾斜配給、こういうよう考え方もあるわけであります。生活必需物資もしくはこれに近いものについて、生産その他が殖えたある部分を傾斜的にその生産に從事した者に配給する、こういう考え方があるのでございます。われわれもその点については、いろいろ研究し、相当考え等もまとめつつあるのでございます。この点につきましては、その筋等の関係等もございますので、いま少しお待ちを願いたい。まだきまつて、ここではつきり申し上げるまでに至らぬのを御容赦願いたい、こう思うのであります。
  58. 稻村順三

    稻村委員 傾斜配給の問題は、これは労働攻勢あるいは労働不安というようなものが解消するためには、やはり輸入食糧が殖えていくことによつて、傾斜配給をすることによつて実質賃金を確保するという、こういう形に行かざるを得ないと考えているものでありますが、もう一つ、そこに私たちがさらに質問したいと思つておることは、現在部分的な恐慌が見られているというのは、これは確かに大衆の購買力が一應減退しているのであるからして、これをやたらに押しつけて、價格差補給金その他の形でもつて、また今度の物價改訂によつて一應これらの企業家の赤字を埋めていくということによつては、その企業家に補給したものが、ただちにスムーズに勤労者のところにはいつていくのならばいざ知らず、そうでない限りにおいては、單にこれだけでは生産が増強するというようなことは考えられない。やはりどうかといえば、労働者の方面の家計費に生じた赤字を埋めてやらなければならない。この赤字を埋めてやらない限りにおいては、決して生産増強にならないというふうに考えるのでありますが、この点安本長官所見を伺いたいと思います。
  59. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 労働者の家計における赤字を埋めるというお話がありましたが、これはまあ國も企業も各自の家計も、すべてみな赤字でございますので、殊にそれはいろいろな観点において埋め、赤字をなくさなければならぬ点でありますが、いろいろな観点というものは、しばらく預かることにいたしまして、ただ生産増強の面において、生産を増加さすという面において、労働者の家計に生じた赤字を埋めるということが必要かどうか、こういうように問題を限定してお答えいたしたいと思うのであります。それはまさにお話通りでございます。しかしこれを埋めるについては、そのほか諸般の事情等をも考慮しなければなりませんので、そういうものを考え併せてやつていきたいと思つております。
  60. 稻村順三

    稻村委員 政府が発表した経済白書によりますと、大体五月になつても一割前後の赤字が労働者の家計に生ずることになつております。現在の実質賃金を保持するということは、すなわちそのまま赤字が保持されるということを意味するのではないかと、私には考えられるのであります。そうしますと、個々の赤字を一應そのままにしておきまして、そうしてたとえば物價改定というような問題にはいつて企業の赤字を埋めるというようなこと、あるいはこれを基準にして價格差補給金を交付するというようなことになりますと、物價改訂というものの理論的根拠がはつきりしていないように、私は考えるのでありますが、その点安本長官はどうお考えになりましようか。
  61. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 お答えいたします。現在の実質的な賃金を、少くとも維持する——ども少くともと考えたのであります。それで單に維持し得ただけで経済復興ができるものでないと思うのであります。その間にも少くとも下らぬようにすると同時に、積極面においては、これをさらに上していくということが非常に必要でございます。そのためには今度の改定予算その他政府施策を総合的にそういう点に集中いたしまして、そうして少くとも赤字は赤字でそのまま保持され、繰越されてくいというのでなしに、それをだんだん少くしていくようにいたしたいと思うのであります。それについては実質賃金の充実をさらにはかるとか、その他の点をも考慮、総合いたしまして、実現いたしたいと考える次第でございます。くれぐれも申しますが、赤字は赤字でそのまま繰越して、ずつとそのまま先までいくという考えではないのでございます。
  62. 稻村順三

    稻村委員 時間もなくなりましたので、簡單に最後の質問にはいりたいと思います。私が見たところによりますと、百十倍の新物價というようなことに対しまして、三千七百円ベースは約五十二・五倍になります。これは前の六十五倍に対するところの三十倍と一應考えてみましても、それの開きは指数にしまして三十五であります。ところが今度はこれが百十倍となつて、それが五十二・五ということになりますと、その開きが四十七・五というふうになると思うのであります。そうしまはと、約十以上の開きができて、この開きが大きくなる。このことはわれわれから考えてみますと、もしこのままに考えてみますと、いわゆる人件費というものが一應減りまして、そうして企業方面は今まで全然赤字で、につちもさつちもいかなくなつたというようなものでも、それだけ一應の黒字ができてくるというような可能性も出てまいるのであります。ところが労働者の方はどうかというば、その割合ではないというようなことを考えてみますと、この点指数にして十三近くの開きがありますが、この点はまだ労働者の賃金を一應上げ得る幅であると、そう私は解釈しておるのですが、こう解釈してよろしいかどうか、安本長官の解釈をお伺いしたいと思つております。
  63. 谷口孟

    ○谷口政府委員 お答えいたします。價格改訂は公定價格の改訂でありますので、公定價格が六十五倍の線から百十倍の線まで上つて、大体七割上ると申しましても、家計に及ぼす影響は同じような比率で、全体には影響しないのであります。結局実効價格が影響するのでありますが、これは今われわれの見るところでは、このたびの改訂におきましてはマル公物資の七割上げ、やみ物資の上昇、これを勘案いたしまして、大体実効價格において二割くらいの上昇になると思つております。この実効價格の上昇に相当する手取賃金も増すのでありまして、この意味では権衡がとれるのであります。ただ、ただいま平均賃金そのものに赤字があるではないかとのお説でありますが、これはその通りで、統計的にも各家庭に赤字が出ておりますが、これも生計の面から見れば、統計的に副收入その他によつてこれを埋めてまいるのであります。副收入はいかなる形で出るか、いろいろ事情は違うと思いますが、その副收入の増加も、これから水準が上るに從つて当然上るものというふうに考えますと、まあまあ五月における勤労收入の水準を維持していくということで、よほどその幅が縮まつてくるのではないかというふうに考えております。
  64. 稻村順三

    稻村委員 これでやめたいと思つてつたのでありますが、今の答弁の趣旨がはつきりしないものでありますから、さらにちよつと伺いますが、たとえて申しますと、物價が百十倍になりますと、千七百円ベースがその割で上つたとして、前の計算でいきますと、指数が五十二・五倍ということになるのであります。そうしますと、その間に人件費の一應の割合が、会社、企業の上においては非常に負担が減つてまいります。私のこれだけの計算によりましても、ちようど三十といたしまして、大体三十五の開きであつたものが、今度は四十七・五という開きになりまして、大体十二の開きが出てまいるのであります。これはもしもさつき言つたように二十八倍ということにいたしますと、これは大体十四、五の開きになる。この開きができてくると、いわゆる企業の面におきまして、こういうふうな開きは全部プラスニなつて現われてくる。そうしますと、片一方に家計上の赤字というものを、これは將來よくなるにしましても、これを認めていることになりますれば、片一方の企業家の方はこの十四、五に相当するところの開きをそのまま自分にふところに入れることによつて、十分に黒字が出てくる。しかし片一方は赤字が依然として存在するというようなことで、非常に労働不安が起つてくると思うのであります。從つてこの間の差である十四、五というのは、將來——將來というよりも、今日賃金を一應上げるというようなことに対するところの幅というものとして考えることができると思うが、そうは考えられないか、こういう質問であります。
  65. 谷口孟

    ○谷口政府委員 お答えいたします。お説はよくわかりました。ただ今價格の形成をいたします場合には、原價計算をいたすのでありまして、賃金はその大きな要素をなしております。その賃金を織りこみ、他の要素を織りこみまして價格が形成せられます。その價格の中には、ほとんど利潤は見ておらないのであります。從いまして、今おつしやるように、一應六十五倍から七割上げる、片一方は二十八倍から五十二・五倍かに上げる、そしてその絶対額において幅が少し廣まるので、それが今度またまるまるプラスになつて賃金上昇のゆとりになるというようなお説でありますけれども、これはそういうふうにはならぬのであります。原價計算上はじいて、そしてほとんど利潤を認めずに出す價格が今度の價格になる。ぎりぎりの價格になると思われるのであります。  それからさつき申しました点を一点補足したいのでありますが、補給金を出して、さらに赤字を消すというようなお説があつたのでありますが、補給金は原價計算をいたします場合にまるまるのはだかの價格にしますと、非常に倍率の高くなる價格が出てまいるのであります。この高くなる價格は、補給金を使いまして需要者の價格を下げるのに使うのであります。赤の解消に使うのではないのであります。この点も御了承願いたいのであります。
  66. 稻村順三

    稻村委員 そうしますと、この幅でもつてよけい出たものは結局利潤が見てないから、これは会社のまるまるの得として、賃金を上げるところの幅の中に一つ考えなくてもよい、こういう考え方なのですか。
  67. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 ちよつと誤解があると思いますが、実は百十というのは安定帶物資でありまして、これはほんとうの生産價格からいうならば、はるかに上を出るわけであります。それを百十のところに打切りまして、補給金で何とか穴を埋めさせてやつていく。その補給金も五百十五億というように切り詰めたところでやつていくのであります。そうして企業の上にその差が利潤として残るというようなことを考えてもおりませんが、実際も残らない、かよう考えております。
  68. 稻村順三

    稻村委員 私の質問はあまり長くなりますので、この辺で切り上げます。
  69. 川島金次

    ○川島委員 今の稻葉委員質問に関連して——三千七百円ベースは、労働者の生計に足りないことはわかつている。その足りない部分は副收入で補うと言われるが、生計費の赤字は三千七百円ベースにはどの程度に見込んでおりますか。そのパーセンテージをちよつと聽きたい。
  70. 谷口孟

    ○谷口政府委員 赤字のパーセンテージは今はしいてありません。過去の実績から申しますならば、各家計におきまして、大体一〇%程度のものが生じております。これは賃金が上がりましてもなお残つておるのであります。ずつと過去の生計から出てくる数字であります。これは言換えれば、昨年の実績から見ましても、賃金が上がり、実質賃金も上つておりまして、結局は水準が高まつたということを意味するように思うのであります。
  71. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 次は田中君。
  72. 田中源三郎

    田中(源)委員 私がお尋ねいたそうと思つておりました点につきまして、稻村君から御質問がありましてので、できるだけ予算審議進行上重複を避けと御質問をいたしたいと思います。私の今質問いたしますことは、一部は安定本部長官の責任事項としてお答えを願いたいと思いますが、その安定本部長官に御質問いたします中にも、運輸、逓信その他行政一般に関連しておる問題もございますので、左樣お含みおきを願いたいと思います。  私はこの予算を拜見して感じましたことは、今日この三千九百九十三億という歳出面の予算を決定されました。これを大ざつぱに見てみますと、大体租税收入と專賣益金とで歳入は賄なわれており、歳出は人件費と終戰処理費と價格差補給金といつたようなものが、大部分を占めているというようなわけであります。そこで私どもは健全通貨主義のように、インフレを一概に現段階において排斥をするものではございません。しかし私の言うインフレということは、これは産業インフレということにお考えを願わなければならぬのであります。そこで政府が眞のイイフレを懸念されまして、通貨の價値を念願せられるということでありますならば、財政インフレをむしろ産業イイフレに切替えていくというふうに考えてもらわなければならぬと思うのであります。そこで予算編成当初におきまして、どういうお考えをもつて、こういう予算を締め括りをなさいましたか。またこの予算を見てみますと、いわゆるプラスの面に向きます生産費と、消費の面に使われるもの、その究極は消費になるところのもの、たとえば終戰処理費の中を見ましても、建設的な面、道路事業費のような面は、申すまでもなくこれはプラスの面になります。しかしその八〇%やはりマイナスの面にはいつてくる。そこでいわゆる建設の、プラスの面にはいつてまいります生産予算と、消費予算の割合をお示し願いたい。その参考資料を要求いたしておつたのでありますが、まだ御多用で手もとに頂戴はいたしておりません。この比較を御明示を願いたいと思うのであります。これが第一点であります。  第二点は、租税收入を檢討してみますと、租税全体と國民経済というものとはまつたく不可分の関係にありますことは、今さら申し上げるまでもないのであります。そこでいかなる名稱をもつてするを問わず、すべて國民の負担というものは、その國民の所得から技拂われていくと思うのであります。この予算を檢討してみますと、國民所得と租税との両者の関係がバランスがとれておるか、いわゆる均衡を保つておるかどうかということを私は考えてみたのでありますが、先般來の御説明を伺いますと、一体一兆九千六十億の國民所得と算定いたされておりますが、これに対して租税收入を四千二百十二億ということを申されておりまするが、このパーセンテージが、二一%だというふうに御説明があつたのであります。そこでなるほどアメリカの例を考えてみますると、あるいは英國の例を考えてみますると、英國の二七%、アメリカの二十二、三パーセントくらいの程度になると思いますが、これと比較いたしますると、この國民所得のどういうところに算定の基礎がおかれて課税されましたか存じませんが、パーセンテージの面から申しますると、なるほど一見低いパーセンテージが出てまいります。しかしながら、英國並びにアメリカにおきましては、國民の最低生活が保障された上において、その課税を受けておるのであります。わが日本の國民生活の最低生活確保は、今日されておらぬ。不安定なる國民生活の上において、このパーセンテージは低いとは決して申されぬと私は思うのであります。こういう面からかりに今價値計算の面から考えてみますると、ここで一兆九千億という國民所得の数字をもつて、大戰前の面から國民所得を比較いたしてみますると、大戰前の百二十五億に比べて、百五十倍に相当いたしております。事実はその倍数はもつとはなはだしいものとなると考えられまするが、かりに今國民生活が昨年度より先般の御説明によつて一〇%、いわゆる昨年の六割を一割上つて七割にしたと仮定いたしてみまして、私の價値計算をいたしまするならば、大体戰前の百二十五億という國民所得は、八十七億五千万円程度に縮減をしてきておる。こういう勘定になつてくると思うのでありまして、これから換算いたしますると、二百十倍以上に脹れたような勘定になつてくると思うのであります。そしてこの新予算の價格の基礎は、大体百十倍と言つておられまするが、私はこの新予算の額及び租税收入の基本價値というものは、非常に低い價値換算となつてきておるのであると思うのであります。その價値換算の比較をただいま申しましたが、先生の價値を標準といたしまするときにおきましては、歳出は七・五、租税におきましては十五倍半というように、激増してきておる数字が現われてまいつております。生産が御承知のごとくに非常に逆減してきておりまするときにあたつて政府予算は厖大化してくると思うのであります。そこで大体課税というものは所得の存在するところに課税されて納税されておるのでありまするが、現今の状態を見ますると、納税のために所得を増大するよう状態に見られます。現在の状態は、いわゆる流通所得を増出しておると、私ども考えられていくのでありまして、ちようど昨日來から大藏大臣あるいは安定本部長官の西村君なり稻村君の御質疑に対してのお答えを拜聽いたしておりますると、この中間安定施策——こういう言葉を今使つていいか悪いか存じませんが、大体現在政府のとられておるところの施策において、賃金物價惡循環を断ち切ることができ得ましようか。今日のこのインフレは財政の膨脹からインフレになつた。新予算等もちようどインフレの惡循環を断ち切ることができない立場にある暫定的な脹れた予算である上に、國民の所得の價値計算からきたその究極をつかんで課税していつたところの予算とは見受けられぬという感じがいたすのであります。そこで一体この國民所得の算定の基礎はどういうふうにして今日一兆九千億という算定をなさつたか。まずこの点について第二にお示しを願いたいと思うのであります。  第三点は補給金と物價の問題でありまして、昨日栗栖長官の御説明は一應了承いたしました。大体昨年七月の物價改訂から、今度は七割高になる。戰前の基準の百十倍ということを方針とされておりまするが、昨日御説明になりましたように、企業は全部赤字を続けておりまして、長官のお話になりましたように、重要物資の價格調整金を完全補給する場合は、月額百億を要するということでございました。私が計算をいたしまするならば、その完全補給のものは、今後の経済事情によつて数字は変動をいたすと思うのでありますが、現状から考えて見まするならば、千三百六十億というものを要しないというと、いわゆる價格調整の完全補給は成り立たぬと思うのであります。そこでこの予算を通覽いたしてみますると、昨日長官のお示しになりました月額百億といたしますると、千二百億になります。それが財政都合上、大体において五百三十億程度の價格調整補給をお出しになつて、その残りの八百億近いものは價格の引上げをもつて補われておる。穴埋めをされておるというふうに見受けられるのであります。すなわちこの新物價改訂の方針というものは、補助金と物價の引上げと赤字金融とで、この予算をでつち上げておる。そういう三本建でいつておるというふうに見るのであります。そこで私がお伺いしたいことは、この特別会計を通覽いたしますると、特別会計は逓信及び鉄道におきまして大幅の引上げが行われておる。同時にまた物價改訂による格差益金というものをここにあげられておるのでございます。私は本年度の予算の実体から見ましても、物價政策からいたしましても、結局やはり財政インフレは漸次進行していくのではなかろうかということが考えられるのであります。そこでこの予算を見ますると、物價賃金、おのおののものが惡循環をするように仕組まれたよう予算編成ような感が、私には浮んでくるのであります。そこで政府予算編成の当初に当つて、まずもつて官業の整理をやる。その官業の合理的な面に向つてなおもう一歩私は手を入れてこの予算編成され、少くともこの物價賃金との惡循環をでき得るだけ断ち切るよう施策が施されたかということについて疑いをもたざるを得ないのであります。政府はなるほど一割五分の行政整理を行うのだと申されておりますけれども、最近の各種法律案の面から見まするならば、日本の役人は國民六人に対して一人であると言われておりますが、なお役人は殖えます。そうしてこれらの官業企業に対しての合理的な企業経営形態に対して、もう一歩予算編成当時において手がはいつておらぬと思うのであります。一例をとつてみまするならば、運輸省の所管事項から考えてみますると、現在の船舶運営会の四十億という赤字補填が出ております。しかしながら、この赤字補填は、船舶運営を民間に還元する漸進的処置をとつていまするならば、これから五億か七億の金を出すこともできます。現在のように、戰勝國よりも、敗戰國の日本の船舶に多くの船員を乘せておつて、そうして船の能率は惡い。船が完全に運営をしておるという実態ではございません。各港に滯船をして、滯船トン数から見ますならば、船舶の剩餘を來しておるとさえ言われておる今日の実態であります。そういうような今の仕組でありますならば、三十年もつ船は十五年しかもたないということも言われるでありましよう。こういうようなときにあたつて、私はただいま申しました船舶運営会の民営還元の漸進的処置を行つて、合理的企業に出すならばこれは出し得ると考えておる。鉄道におきましても、そこに商工大臣がおいでになつておりましたが、石炭の完全燃燒をはかるために、鉄道に対するところの補給石炭の特別の処置を講じますならば、今日の熱カロリーの面においても、運輸省の石炭の一割を削減することもできます。これは一例を申し上げたのであります。同時にまた專賣益金が政府の歳入の二五%を占めておる。逆に終戰処理費が歳出の二五%を占めておる。この專賣益金の合理的処理をいたしまして、適正價格といたしますならば、歳入というものは、もつと増收することはでき得られます。そういう手がはいつておらぬと私は思うのであります。先わど申したように、物價改訂で引上げるのと、赤字補填と、補給金と、この三本建の予算編成を思い切つてこの面に手を入れていきますならば、まだまだ歳出の面において、圧縮されていくことができたと私は思う。私はそれだけ財政の健全化がはかられ得たと思うのであります。現に私どもが計算をいたしますならば、この熱カロリーという点において、運輸及びその他の所管において、ここに五十億や六十億の財源を出すことは可能であろうと考えられます。タバコの價格改訂の面におきまして、タバコ收入が、今日私の計算するところによりますならば、まず六、七十億の予算増收をはかり得ることもできると思うのであります。われわれは実態に立つて数字的な根拠をもつてなし得られるという方面考えて申し上げておるのでございますが、この点から考えて、予算編成の当初におきまするところの政府所見を伺いたいと思うのであります。  そこで私は今申したように、財政の膨脹程度に物の追從しないことは今申した通りでありますが、生産がいわゆる逆減しておるという言葉で表現しておいたのであります。今日の状況を見ますならば、私はこの予算の厖大化に対して過小生産の窮乏生活にあつて、税金がまつたくこれをカバーしておる。物の引上げと税金とでカバーしておるという予算編成の状況であると、私は考えるのであります。先ほどお尋ねいたしました三つの点につきまして、まず安本長官から御説明を伺いたいと存じます。
  73. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 安本のみならず、各省にわたる廣い範囲の御質問でございます。安本に関係のものからまず申し上げたいと思います。  第一にいわきるキヤピタル、アカウント、予算の上の資本勘定と損益勘定の比率のお尋ねでありました。これは大藏当局から説明があると思います。  第二の点の國民所得算出の基礎は、私どもの佐多政府委員から御説明申し上げたいと思うのであります。  ここで予算というものが國民所得というものとマツチする、その間に適應性、調和性をもつということが、健全予算編成るす一つの大きな要素であります。これは政府としては十分考慮し、大藏大臣もすでに御説明申し上げているところでありますが、ただ現下の日本経済事情は、平常の経済事情と非常に違いまして、敗戰後の窮乏した経済事情でございますので、つまりこの理想を実現するためには、相当の時日を要するのですが、理想には一歩一歩と近づけて予算編成しているのでございます。適應性を完全に実現することは、こういう窮迫した事情でございますから、相当開きがあるということをお許し願いたいと思います。しかしながら、予算の随所において、いずれ質問があれば、またお答えもいたしたいと思いますが、この適應性を一歩でも進めていくということに努めましたことを御了承願いたいと思います。  それから國民所得自体の内容についての問題でありますが、平常の場合におきましては、充実したリジツドな國民所得というものが得られるわけであり、算定も非常にしやすいと同時に、内容が充実しているわけであります。しかし英米の経済、殊に米國の経済と違つて日本経済にはたくさんの脆弱性があります。その上この敗戰以來の窮迫した経済状態におきましては、非常な脆弱があるわけであります。國民所得といいましても、所得の源泉その他において、確実性とか、あるいは永続性という点に欠けた点もありますので、その辺において國民所得を計出いたしましたけれども、その内容自体においては自然弱体、脆弱な点があるのであります。この脆弱の上に窮迫した財政收支の均衡を得さしてやろうというのでございますから、ずいぶんの難工事であります。そういうふうな諸般の事情をも御了察の上で、政府は能う限りのそういう点においての妥当性と確実性というものを実現するように、随所で努めたような次第でございます。なおそういう点のこまかいことにつきましては、政府委員から申し上げたいと思つております。  その次は官業の点であつたと思いますが、本來官業は、やはり経営を合理化して、こういうような情勢においては、独立採算制をとるということが第一であります。経営の合理化のために節約するということが、特別会計、延いて一般会計を立てる上において、大きな要因であるわけであります。そこで政府といたしましては、経営の合理化という点について、節約その他をもまず第一にいたしたわけであります。しかしこれをいたしますには、なお厖大なる特別会計——鉄道、通信などは非常に大きなものでありまして、ただペーパープランでもつてきめたり、すぐそのときから節約ができるというものではないのでありまして、これはむしろ私よりも田中委員の方が実際に触れて御專門と思いますけれども、相当の時間がかかるのであります。そこでそういう点につきましては、運輸大臣からも説明をいたされるはずと思いますが、委員会というような機関をつくつて、その実を速やかに上げていく、こういうようなことを考えている次第であります。こういうような点において、経営の合理化をし、さらに官業というものの形態あるいは主体については、十分考えて、日本の新しい経済の上において適当なる形態と企業形式というものでやつていきたい、それについてはなお研究を続けていきたい、こう考えております。  專賣の点その他がありましたが、これは大藏省の政府委員から申し上げたいと思います。
  74. 佐多忠隆

    ○佐多政府委員 御質問の國民経済の算定の基礎いかんということについてお答え申し上げます。國民所得は昭和二十二年度の実績が、若干維持もまじるのでありますが、大体において出そろつてわかつておりますが、それによりますと、一兆一千七百二億でございます。その昭和二十二年度の國民所得を基礎にしまして、大体昭和二十三年度の國民所得を推計しているわけでございます。その推計にあたりましては、一般的に申し上げますと、六月に物價改訂をやる。それから生産その他の見込みは御承知通り石炭三千六百万トンを初めとしまして、相当高い生産目標を掲げて生産を見こんでおりますが、それらを実現可能な程度において非常に確実なものをとりまして、その生産を基礎として推計をいたしておるわけでございます。そこでそれらの推計によりまして出た一兆九千六十億の内訳を見ますと、勤労所得が六千八百十億、個人所得が一兆一千五百三十億、それをさらに内訳いたしますと、農林業で四千二百九十億、その他の事業及び職業で七千二百四十四億、配当利子、地代所得二百七十億、会社留保所得四百五十億、合計一兆九千六十億ということに相なつております。勤労所得につきましては、昭和二十二年度の勤労所得が三千七百六十三億円でございますので、これに人口が大体今年度五%増加する。賃金指数は大体七二%増加するというような推計から、それらを相乘いたしまして、二十二年度の三千七百六十三億から二十三年度には六千八百十億になるという計算でございます。個人業種所得につきましては、農林業は生産指数にいたしまして五%、それから実効價格指数は大体四八%の増加ということに考えまして、されらを相乘いたしまして五五%の増加、それで四千二百九十億という数字が出てまいつております。それから農業以外の数字につきましても同どような推計をいたしまして、七千二百四十億という数字が出てまいつております。それから配当利子、地代所得でございますが、これは二十二年度の実績が二百二十三億でございましたので、大体生産の全体の増加を一割とし、金利を一〇%増加すると見まして、それらの相乘から二百七十億という数字を出しております。それから会社留保所得は、法人税を還元いたしまして、二十二年度の実績が出てまいりますが、その実績に対比いたしまして、先と同じような推計をいたしまして、四十八十億の法人法得と推計をいたしました。その中に三十億円だけを配当、重役賞與等があるものとして、それらを差引きまして四百五十億という数字を出しております。大体簡單に算定の基礎を御説明申し上げました。
  75. 田中源三郎

    田中(源)委員 商工、運輸その他の関係は、その質問のときにお答え願つてよろしゆうございますが、ただいまのお答えを承りましたところで、まず生産見込み、いわゆる生産目標をやや確実なるものをとつた。なかんずく三千六百万トンというものは、完全に出炭するものと見て、わが國重要企業が成り立つておる。それによつていわゆる推計の國民所得算定をとられたという御報告と承つたのであります。私は今日の仮想生産と、今後アメリカの対外援助政策に基き日本に與えられるところの状況とを含んだものと仮定しましての今の目標が、はたして政府の所期の通りに遂行し得るや否やということを危ぶむものであります。現状から見るならば、少くとも予定通りにいかない。すでに第一・四半期は終らんとする現状において、依然として今日のよう生産状態を続けておる。そこで國民所得の算定は、今から推移いたしまして、実の算定いたしました基礎から云いますれば、十二、三パーセントはまだ落ちるものと見なければならぬ。最低に見積つて十二、三パーセントで、これを少し大きく見積るならば十七、八パーセントにはなつてくるだろう。そこにいわゆる收入の過大見積りがある。一方支出はいろいろな最近の情勢において、終戰処理費のごときは別問題といたしまして、大体非常な増加を來しておるのであります。その支出を圧縮せずして、一方今あなたのお答えになりましたような歳入見積りによつていくところに、今後さらに追加予算を要求するか、その歳入減を補填すべき赤字公債発行していかなければならぬ根拠があるのではないか。そこでかりに政府がこの推定をされるとしても、もつと低い程度に予算を圧縮しておいて、そうして私が先ほど申したような、いわゆる財政インフレを産業インフレに切りかえていくということの予算をお組みになつた方が、いわゆる財政の健実化をはかり、予算の確実性をそこにもつてこられると考えられるのであります。先ほどいわゆる生産予算が何パーセント、消費予算が何パーセントという分類をお願いをしたのでありますが、それに対するお答えがなかつたので、まずそれをはつきりしてもらつて、この推定から來た所得に対して現在の課税をして、その歳入によつて足らざるところを、專賣益金並びに赤字金融で補う。その補うものが、どれだけ産業方面生産予算に振り向けられていくかによつて、今後に來るべきところの財政の健実化と、産業の復興を與えてくるということになる。私はそこをお伺いしておるわけであります。そこで今のあなたのお答えの面は、少くとも十三パーセントぐらい切れこむだろうと私は考えるが、これについて政府所見を伺いたい。
  76. 佐多忠隆

    ○佐多政府委員 お答えいたします。さきの説明は若干足りなかつたかと思いますが、仰せの通りに現在生産方面生産目標とした立てておりますのは相当高いのでございまして、たとえば食糧増産については一割増産、あるいは石炭につきましては三千六百万トンというような目標を立てておるのでございますが、われわれが國民所得を推計いたします場合には、仰せの通りに非常に確実な、正確な、水増しのないものを算定しなければならないという趣旨からいたしまして、その点は非常に実現可能なもの、確実に実現し得るものという程度に止めて算定しておるわけでございます。たとえば農林業につきましては一割増産の目標を掲げておるにかかわらず、大体二十三年度は二十二年度に比較して五%の増加になるだろう。あるいは石炭については三千六百万トンの目標を掲げておりますが、國民所得の計算基礎に見るときには、非常に内輪目に、三千三百万トン程度に見こんでおこうというふうに算定しておるわけでございます。從いまして、たとえば鉱工業合わせまして、生産目標としては二割以上の増加を所期しておるのでございますが、実際の算定の基礎といたしましては、二十二年度一〇〇に対しまして一四%の増加というふうな算定をいたしておりますので、御懸念のような水増し、あるいは実績の結果が相当狂つてくるだろうというようなことは、まずないものと御承知願つていいのではないかと思つております。
  77. 田中源三郎

    田中(源)委員 大体政府の方では確信をもつてつておられるそうですが、本來の予算の現実が尨大であるというならば、相体の予算からある程度のものを保有していかなければならぬ。ここで予備金の支出というものはごくわずかなものである。また災害その他により國家に損害が生じた場合、同時に所期の目的通りにいかなかつた場合、石炭の計算でも三千三百万トンを予定しておられる。これはやや手がたいところを見ておられると思いますが、しかしながら、これもやはり三%ないし五%低いものを見て、大体の追加財源をおくのが、本來の予算の組み方なんであります。そこでその点について、私はこれ以上ここで論議しても、いろいろの議論にわたりますからやめますが、さきに申し上げましたいわゆる生産予算と消費予算とのパーセンテージをどう見ておられるか、これのお答えがないのであります。これをひとつお聽かせ願いたいと思います。
  78. 福田赳夫

    ○福田政府委員 お答えいたします。生産予算と消費予算予算の中でいかなるパーセンテージになるかということは、この区分が非常に困難なことでありまして、ただいまむしろ学問的というぐらいの意味におきまして分析しております。でき次第お手もとにお届けいたしたいと存ずるのでありますが、しかしながら、大観いたしまして、昨年度に比べますと、生産的の予算というものは、率が非常に殖えておる。かように存ずるのであります。すなわち予算の非常に多くのパーセンテージを占めますところの終戰処理費が、実質的には非常に減つております。それから生産予算の大半を占めるところの公共事業費、これは百四十七億円から四百二十五億円、すなわち昨年度は七%であつたものが本年度におきましては一一%になるというような状況であります。  それから次に大きな生産予算は、復興金融金庫関係でありますが、昨年度は三十億円、これが本年度は百八十億円というふうに、六倍に殖えておるというような状況でありまして、ただいま調べておりますが、さような計数でありますから、非常にこの予算の内容は消費的から生産的になつておる。かように申し上げておきます。
  79. 田中源三郎

    田中(源)委員 私は概算ですが算定いたしますと、終戰処理費中約二〇%は生産予算に振向けられるべきだと純計的に言い得られるのではないか。それからいろいろ換算いたしますと、純計はいろいろありますが、最大限三二%が生産予算で、残りの六八%が消費予算になつておる。今後の情勢は、今お答えの通りに、やや生産予算が私は殖えていくと思いますけれども、この際私は政府に希望として申し上げておくことは、やむない消費予算は別問題といたしまして、今後なるべく予算生産面に振向けていくというふうにお心がけ願います。  この問題はこの程度にいたしまして、專賣局長官、大藏省関係の方が一人も見えておりません。私はきよう一日で済ましてしまおうと思つたので、非常に遺憾ですが、それはこれだけで打切ります。そこで運輸大臣及び商工大臣がお見えになつておりますので、これは先ほどの安定本部の佐多政府委員からお答えになりました点と非常に関連しておりますので、歳入の面について一つ伺います。  商工大臣に先に伺いたいと思いますが、最近におけるわが國の繊維工業の状況、並びに紡績業に対する目下の製造能率、また紡錘機並びに工場の復旧状況及び今後わが國の対外貿易上最も重大な役割を占めておりますこの紡績業に関して、政府のとつておられますところの処置並びに現況及び將來の見透し、大体これについて三百万錘を目標として今やつておられますか、あるいは四百万錘を目標としてやつておられるか、この点について、ひとつ先にお答えを願いたい。
  80. 水谷長三郎

    ○水谷國務大臣 田中さんの御質問は、この日本経済の民生安定の上から申しましても、また國際的に見ましても、將來輸出産業の大宗を占める繊維に対しまして、最近商工省におきましては、これを超重点的に取扱いまして、一定の計画を立てたような次第であります。その数字等に関しましては、さいわい繊維局長が來ておりますので、詳細に御説明さすことにいたします。
  81. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 お答え申し上げます。綿紡績の復元につきまして、関係方面から許容されております目標は、ただいま大臣が御説明申しました通り、四百万錘でございます。これの完遂につきまして、資材その他の復旧状況、機械メーカの工作能力の関係からいたしまして、おおむね來年の九月までかかる予定でございます。昭和二十三年度といたしましては、三百六十万錘までもつていく予定でありまして、現在のところ三百十五万錘が整備をいたしておるという状況でございます。
  82. 田中源三郎

    田中(源)委員 四百万錘で、本年度目標は三百六十万錘、現在三百十五万錘の整備ができておる。これに対して最近綿花のいわめるクレジツトができておりますが、原綿の輸入状況及び原綿の現在の保有量、製造の能力、こういうものについての数字的な点、これはこまかいことがわからなければ概略でよろしい。さらにこれは政府委員鈴木君からでもよろしいが、最近綿糸が横流れしていないかと思う。巷間傳うるところによれば、十六万円ないし二十万円の糸が横流れして、それが二十五万円、高いときには三十五、六万円までいつたという風説がある。こういう点については、今日の綿花の輸入について重大な問題でありますから、私はないと信じておりますが、巷間傳えられておるそんな問題について、政府の知つておられることを併せて御説明おきを願いたい。
  83. 鈴木重郎

    鈴木(重)政府委員 お答え申し上げます。綿紡の大体の生産計画につきましては、本年度まだ最後的の確定を見ておりませんが、現在までの生産計画の事務的の準備といたしましては、本年度は綿糸百六万梱の生産計画をもつております。これに対して原綿の輸入に対しまする懇請も相当数量の繰越を見込みまして、約百二十万梱程度の輸入を懇請しておりますが、現在のところといたしましては、なおこの買付につきましては、まだ確たる見透しはございませんが、本年の秋の米綿の作柄その他によりまして、結局日本に供給せられる数量もおのずから決定せられると存じます。現入の手持、今までの契約、買付の見透しにつきましては、大体本年の四月末の数字でございますが、國内の手持原綿といたしましては、おおむね三、五万梱くらいの予定でありまして、その後関係方面の責任担当者が現在インドに參りまして、印綿の買付に努力してくれております。從いまして、この方面の買付の見透しも、まだ確たる最後的決定は見ておりませんが、大体三万ないし三万五千程度のものは、とりあえず買えるという情報を得ております。さらに米綿につきましては、ただいまお話のございましたような綿花クレジツトによりまして、一應これに対する供給量といたしまして、大体三十万ないし四十万梱を供給するというような見透しでございまするが、なお全体の買付見込は、現在のところとしては、本年の秋の作柄によりまして、はつきりしたことが言えると存じます。從いまして、現在のところでは、設備能力の復元は、漸次順調に進んでおりますが、原綿買付の見透もはつきりつきません。現在のところといたしましては、大体六五%くらい操業を続けております。
  84. 田中源三郎

    田中(源)委員 生糸の状況について御説明を願います。それから買付につきましてのいわゆる價格算定と申しますか、為替レートの問題であります。これは最近新聞にいろいろ報道されておりまするが、まだアメリカにおきましても、日本の為替算定は決定されておりません。とにかく原綿の買付、いわゆるポンド地域内における買付價格算定の基準、米綿の方は最近一体どうなつておるか。それからこれは商工大臣、あるいは大藏大臣から承るのが本筋だろうと思いますけれども、栗栖長官並びに商工大臣において御存じでありましたならば、いわゆる單一為替レートの問題は、まだむずかしいと思いまするが、複数為替いわゆる暫定的為替レートにつきましての所見を、この際承りたいと思います。
  85. 水谷長三郎

    ○水谷國務大臣 ただいまの為替レートに関連した御質問に関して、とりあえず私からお答えいたします。貿易の発展に伴いまして、何らかの形で外貨との関係をつけますことは望ましいことであり、また現在の煩雜な輸出手続を簡素化するために必要でもあるのでありますが、ただちに為替レートの設定を急ぐことは、長い間國際経済と距つておりましたし、またインフレ等によりまして、まだ安定を取戻しておらないわが國経済を、いたずらに混乱に陷れることも予想されますので、まずわれわれといたしましては、過渡的措置といたしまして、外貨との換算率を今までの実績等を参酌いたしまして、比較的円とドルとの類似いたしました商品群別に設定をしていきたい。そういう努力を目下進めているような次第であります。
  86. 田中源三郎

    田中(源)委員 今商工大臣は暫定措置としての円とドルとの換算率の商品別についての取極めをしていきたいというお考え、これはごもつとものことである。そういたすより現状としては途はないと考えておりますが、大体ポンド地域内においては、最近佛領インド、チヤイナ等の為替協定に関しての決済資金関係に関して、相対的にこれを決定するということはでき得ないので、日佛及びインド、チヤイナと日本、こういうことで換算の率を大体調印されるであろうといつたような報道が傳つておりますが、この点についての詳細な説明をお願いいたしたいと思います。それからなお生糸の大体現在までの数量及び今後の輸出見込み、これについても御説明を併せて願つておきたいと思います。
  87. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 今の佛印と日本との貿易の決済につきましてのポンド決済の問題であります。これは戰前、平常の場合においては、今お示しになつように、日本とフランス本國、それからフランス本國と佛印、こういう点において決済をいたすのが多かつたのであります。直接決済も本國経由の決済であつたのであります。しかし今回はどうするかということは、こういうような情勢下でございますから、今私どもがいかように相なるかということをここで申し上げるまでに、話が進んでおらぬのであります。きまりましたならば、あらためて申し上げたいと思つている次第であります。
  88. 田中源三郎

    田中(源)委員 商工大臣にお伺いいたしますが、ポンド地域における原綿の買付の決済方法を、この際お答え願いたい。
  89. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 私から御説明申し上げます。ポンド地域におきましては、いわゆる三角決済ということになるのが、順当だと思つておるのであります。ドルとポンド、ドルと円というのが原則であろうと思うのであります。直接のバよろしくないではないかと考えりおります。
  90. 田中源三郎

    田中(源)委員 それではポンド地域の決済は、ドルを通してのポンド換算率による決済をする。こういうお答えです。大体現状は只今のところそうしなければならぬと思いますが、何かこれに対して直接極東委員会並びに総司令部を通じて、ポンド地域内のバター、システムによる決済方法を、政府はお考えになつて、御提案なさつたことがありますか。また將來そういうことについてお考えをもつておられるか。この点をお伺いいたしたい。
  91. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 私からお答えいたします。今田中委員のお説のようなバーターの形式による決済、あるいは直接の決済、こういうことについては、もちろん政府としても、將來日本は貿易に依存する点が非常に多いのでありますから、考えておる次第であります。これについては、國内情勢及び國際情勢その他にもいろいろ関連をもつておりますので、この際ただちにということは、なかなかむつかしいかと考えておる次第であります。しかしその筋とは為替その他については密接なる連絡を保つておりまして、時期が至ればそういうようなことも実現いたしたい、こう考えているような次第でございます。
  92. 田中源三郎

    田中(源)委員 先ほど私は歳入面についての政府の今後の見透しについて伺つたのでありますが、それについては、重要な面は、佐多政府委員は相当確実な推定をもつて歳入の見透しをつけておられます。その裏づけいたすべき一番重要な問題は、まず石炭と電力の問題だと思います。石炭においては三千六百万トン、最低三千三百万トンと見られている。なるほど私は比較的手堅いところを見ておられると申しましたが、しかしながら、最近の情勢考えてみると、必ずしも私どもの期待しているような出炭能率を上げておらぬと思います。そこで北海道においては、まだ一万五千メーターのスペイスが残つている——つているというよりもあるのでありますが、比較的有力な炭層のある北海道の新坑開発について、政府はどういうふうに考えておられるか。  さらに石炭國管の実施に伴うその後の経過は、いかようになつておるか。それと同時に出炭能率は全國において、今日どういうふうになつていますか。先般來はやや出炭能率が低下しておつたように心得ておりますが、その後においてこれを取戻して、政府予定通りの出炭を見つつあるや。この点ひとつ商工大臣からお答え願いたい。
  93. 水谷長三郎

    ○水谷國務大臣 四月、五月は不幸にして九一%あるいは九〇%強というような状況でありました。これは四月に予定された炭價のずれ、並びにそれと表裏一体にある労働不安というものが災いしたのでありますが、炭價も近く設定されますし、また労働不安もさいわいに解消することができましたので、六月上旬からやや上向いているよう状態でありまして、六月の出炭量は四月、五月に比べて相当見るべき躍進が行われるのではないかと思つております。  それから國管の問題でございますが、これは四月から全面的にはいつておりませんでしたが、さいわいに新聞でも御案内のように、指定炭鉱の指定も全部終りましたし、また石炭局の人事の関係においてので、全面的に今後は進んでいくのではないかと思います。  また新坑開発の問題に関しては、御説きわめてもつともでありまして、大体われわれが予定しているところの新坑開発というものは、北海道に重点を置いておるような次第でありまして、北海道を中心にして、相当程度の新坑開発を三千六百万トンに見込んでいるような次第でございます。
  94. 田中源三郎

    田中(源)委員 私は時間の関係上、商工大臣にお伺いいたしたい点が多々あるのでありますが、これはまた分科会のときに譲るといたしまして、ただここでもう一点伺つておきたいことは、電力需給状況の問題であります。今石炭のお答えがありましたが、電力の需給状況と將來政府考えておられます五箇年電力増強計画、これに対する資材の需給関係が伴うてくるて思いますが、現在とられいる方針と、増加するとこちのキロワツト時がどれだけ産業に影響を及ぼしてくるか、今後のいわゆる産業復興上にどれだけの殖えたキロワツト時を供給し得ることができるか、この点についてお答え願いたい。
  95. 水谷長三郎

    ○水谷國務大臣 詳細は電力局長からお答えいたしますが、二十二年度は大体三百億キロワツトアワーを目標としておりましたが、二十三年度には三百十六億キロワツトアワーを目標としております。ただ二十三年度の特徴は、二十二年度は二百十万トン程度しか配点できませんでしたが、二十三年度におきましては、電力に対して大体三百七十万トンの良質炭をぱ配炭したいと考えております。その意味は二十三年度におきましては、豊水期と渇水期のでこぼこをできるだけ少くいたしまして、予定されておる二月の一番ひどい渇水期におきましても、大体四百三十万キロワツトを落さないということを目標に、今計画をやつておる次第であります。その他お尋ねの五箇年計画の詳細な数字につきましては、電力局長より御説明いたします。
  96. 玉置敬三

    ○玉置政府委員 五箇年計画の問題につきましてはただいま安定本部で各方面の資料を集めて研究中であります。先ほど大臣から御説明がありましたように、本年は約三百十六億ほどのキロワツト時を計算しておりますが、現在われわれの研究中の一應の案といたしますれば、五年先にな体三百八十億キロワツト・アワー程度の案をもちまして檢討中でございます。その各月別等につきましては、また詳細に檢討中でありますが、大体のところは石炭ベースにいたしまして、その五年先の石炭ベースから生業構成を描きまして、その産状況ということを勘案しておる次第であります。
  97. 田中源三郎

    田中(源)委員 石炭の問題につきまして、最近私は非常に遺憾な点は、なるほど三千六百万トン、最低量の三千三百万トンが出ても、実際の熱量というものは、戰前のように選炭されていないので、非常に落ちておる、おそらく五五%ないし一〇%以内下しておる、これについてひとつ商工省において、完全熱量をもついわゆる規格標準の炭を出すことについて、今日御努力を願わないというと、なるほど計画の三千六百万トンが出たと仮定しても、実際は三千三百万トン、——三千三百万トン出れば三千万トンしか熱量がない、こういうことになるのであります。今日鉄道のごときも、かりに所定の六千カロリーのものを配給を受けますると、石炭費において一割鉄道予算において節約ができるが、実質的に受取るべき炭というものに熱量がないのであります。この点について、私どもはこの予算面から見て、鉄道特別会計でいいますと、その購入する年間七百五十万トンの予定の炭に、所定の熱カロリーがあるならば、そこに相当大きな会計の上において特別会計の赤字を防ぐことができると考えておるのでありますが、今後商工大臣は、鉄道に配給する石炭は、所定の熱量をもつものを配給していただけますか、それとも現状通りの配炭の状況であるか、これは私がこの予算面の上におきまして、特別会計の経理面のいわゆる審議にあたつて重要な問題であると思いますが、特に商工大臣の御所見を伺つておきたい。
  98. 水谷長三郎

    ○水谷國務大臣 ただいまの田中さんの御質問は、まことにもつともなことでありまして、われわれといたしましても、單に量だけを出しまして、カロリーを度外視しておつたのではありません。現に價格の面におきましても、カロリーにおきまして、十分に配慮をしております。またさらに今度の指定炭鉱の標準の場合におきましても、たとえば北海道、九州は五千カリー以上、常磐等は四千カロリー以上ということにいたしまして、カロリーの面に関しては、格段の努力をいたしております。また亞炭の面におきましても三千カロリー以下を統制より外した、そういう考え方は石炭の点においてもある程度考えなければならぬと思うのでございまして、その点は十分に留意しておるのでございますが、ただいまの鉄道用炭のごときも、北海道、九州地方に対しては、相当程度の炭をば賄うことができますが、それが本州の常磐等になりますと、それが落ちるということになつて、非常に遺憾に存じております。しかし鉄道用炭もだんだん改善いたしまして、平均五千二百から、ただいまは五千四百というところまできております。二十三年度にはたして六千カロリーを平均してやるかどうかということは、今即座にはお答えできませんが、できるだけ少しでもいい炭をば鉄道にまわすというぐあいに、努力してまいりたいと思つております。
  99. 田中源三郎

    田中(源)委員 商工大臣に関する質疑は、まだ相当残つておりますが、分科会に譲ることにいたしまして、運輸省所管の点についてお伺いしてみたいと思います。  まず第一にお伺いいたしたいのは、船舶運営会の問題でございますが、これは大臣よく御存じのことであります。現在の運営会は、もうすでに七月いつぱいということになつております。何らかスキヤツプとの間においてお話ができて、これを民営還元にして、現在のような状況でなくして、これを民主的ないわゆるO・M・M・Oのような形において、そうしてタイム、チヤーターにいたす、それよりもさらに進んでいわゆる自営にせしめるという程度にまで、これをスキヤツプの了解を得て、即時実施していかなければならぬと思うが、これについての大臣の今日おとりになつておられますところの経過について、この際詳細に御説明を願いたいと思います。私はもう道行きは要りませんから、要点だけお答え願すれば結構でございます。  第二点はいわゆる船舶造船の問題であります。船舶公團に対しての融資の状況でありますが、今日においては、御承知通りに、三千七百円ベースといたしますならば、第二続行船にいたしましても、單價がプール計算にしても非常に上つてくると思う。これについて、融資状況がどうなつておるか。同時に、今後のわが國のいわゆる海運再建に対して、造船計画を毎年次どのくらいもつておられるか。これをやつていくところの資材をどうするか。鉄道復旧に要する資材というものは、今日非常に欠乏しておる。少くともこれは外國より資材を輸入せざるを得ない。陸上においてのまず鉄道補強政策をやるならば、いきおい海洋におけるところの船舶造船の資材というものは欠乏してくるに違いないと思います。現在の鉄鋼生産面から見て、十分な海上及び陸上の輸送力の補強資材というものは得られぬと考えていかなければならない。そこで造船の年次計画はいかん。これに対する資材をどういうふうにあてがつていくお心組でありますか。この二点をまず先にお伺いいたしておきたいと思います。
  100. 岡田勢一

    岡田國務大臣 田中さんの運営会に関する御質問でありますが、簡単に答えよと言われますので、簡単にお答え申し上げます。これは、船舶の運航事業を民営に還元いたしまして、從來優秀でありました日本の業者の経驗と、経営技術並びに創意くふう等を活用せしめまして、運航コストを下げて、すべてを合理化することによりまして、海運の再建をやらなければならぬということに相なりますので、この点、先ほど田中さんが劈頭の御質問の中に、民営還元の漸進的措置をとつたならば、運営会の事業が相当減るのではないかという御指摘もありましたので、その点については、私もその方向をとるべきであるということを考えております。ただいまのところは、まだ運航統制、配給統制を撤廃する段階になつておりませんことは、御承知通りでございまして、おつしやるように、まず統制関係関係のない船員の管理、船舶の修善の両部門から、船主に移しまして、そうして先ほど言われました定期傭船形式にこれをいたしますならば、御指摘ように、船舶運航稼働率が相当上昇できる、修繕回数も短縮できるというよう考え方でございまして、その後関係方面と折衝中でございます。時期は、今ここで決定しておりませんので、はつきり申し上げるわけにはまいらないのでありますが、まずあまり遠くはなくして、漸次に小型のものから定期傭船型式に移していくということができるのではないかと考えております。それからついでに、先ほど船舶乗組員の数が多いという御指摘がございました。これも田中さんは專門家でございますので、御承知でございましようが、法規面におきましては、昨年の春國会承認を経まして制定してもらいました新船員法の関係から、海上人員及び労働時間制の問題などは、ただいまのところでは改正はできませんので、ただ運航実施面におきまして、船員の海運再建に対しますると自覚と、勤労意欲の向上、日本船員組合の理解等にまちまして、今後実施面におきましては、若干の海上人員の節約をしたいものだと思つております。それから造船関係でございますが、今まだこれも関係方面と全部了解がついておりませんので、はつきりした数字は申し上げるわけにはまいりません。田中さんの御承知通りに、第一次及び第二次の造船計画は承認を経まして、第二次造船計画が、造船工事着手をある事情で遅延しておつたのでありますが、今回着手の了解を得ましたので、着手することに相なつております。第三次につきましては、これはよほど事情が好轉してまいりましたので、なるべく早く第三次の新造割当に着手するようにいたしたいと存じまして、関係方面とただいま折衝中でございます。なお建造トン数は、大体今のところ私たちは、関係方面が許してくださるならば、本二十三年度と明二十四年度の両年度は、外國からの註文は別といたしまして、日本船といたしましては、両年度ともいずれも約十五万総トン程度を建造いたしたい、こういうふうに考えております。資材の面につきましては、これまた第一次、第二次のものはすでに割当済みであります。あと第三次につきましては、これも田中さんは御承知でありましようが、造船所などがもつておりますストツクも若干あるのでありますが、今後は、造船実施の承認を得ます都度に資材の割当を仰いでいかなければならぬことになります。これも私たちは十五万総トン建造に足るだけの鋼材等の割当を要望しておりますわけで、関係方面との了承がつきましたならば、日本の鉄鋼資材のただいまの生産状況並びにストツク等の関係から見まして、可能なんではないかと考えております。  それからもう一つは、造船資金融資でございます。これも御指摘ように、船舶公團を通じてやつておりますのが、物價の改訂によりまして、必然的に單價が上昇してまいりまして、赤字が出ることに相なります。これにつきましては、よほど複雜な関係もあるのでございますが、結着は合理的に計算をいたしまして、造船所に対する割増しを考慮しなければならぬ段階となることと存じます。その点につきましては、合理的の計算をいたしまして、実現をするよう方向にこれまた運びたいと考えております。融資の点につきましては、相当額を融資してもらうことになつておりまして、ただいまその数字は暗記いたしておりませんが、昭和二十三年度におきまして十三、四億の融資復金から了解を得ておると存じております。これはすぐに資料を取寄せまして、御質問時間中に間に合いませぬようでございましたならば、次の委員会におきまして御説明申し上げることにいたしたいと思います。
  101. 田中源三郎

    田中(源)委員 大体わかりましたが、根本問題のいわゆる船舶運営会の赤字解消についての問題ですが、これは何としても民営官有をいたさなければならぬ。そこで今の状態では七月一ぱい済んで、まだ当分続けていかなければならぬ。ここに予算が出ているが、一應予算だけは出して、できるだけの努力をしたいというのが、大臣のお腹組みだろうと想像します。これはごもつともだ。しかしながら、現在のわが日本の國の財政を補強していきますには、何としても対日理事会並びにマツカーサー司令部の了解を得なければならぬ。この了解を得て、現在わが國にインポートされ、また今後わが國が輸出入いたしまするところの品物については、自國船舶においてこれを補つて、外貨獲得をいたして、この貧困なわが國の財政を補つていかなければならぬことは、私が申すまでもなく、大臣御同感のことであると思う。しからばこれに対してアメリカより定期傭船を懇請する、あるいはまた最近傳えられておりまするところの外資導入によつて、その一部をもつて外國船舶を買い取り、これによつて全体でなくても、可能なる限りの輸出入の原材料に対するところの積取りをいたしていかなければならぬと思う。私が本日総理の御出席を要求いたしておるのは、これはわが國全体の問題であつて、所管は運輸省でありまするけれども、運輸省のみに任すべき問題でない。総理並びに外務大臣として、終戰事務局の総裁として、今日対日理事会並びにアメリカに懇請いたすよりほかに途はない。かくいたしまして、これがもしある程度実現をいたしまするならば、今日のいわゆる余剩海員を救済することができる。現在の運営会というものは、このままおいておつては、どうしてもわが日本の國の海運の再建は成立たないのみならず、政府は赤字補填をしていかなければならない。思い切つてこの莫大なる赤字補填をいたし、運賃收入のいわゆる不足を補つていくことを解消するについては、これについて格段の努力を願わなければならぬと私は思う。なるほど今日武器なき日本の國は、一定の内國航路だけならば、現在の造船計画を少し増してやつてつても船舶過剩になるが、これを外へ振り向けるより、わが國のとるべき方法はないと、私は考えている。これについて大臣はどういうお考えをもつておられまするか。私は総理にここにおいで願つて、総理と所管大臣の運輸大臣からお話を願いたい。しかし御答弁によりましては速記を停止していただいて差支えありません。また新聞記者諸君も、事わが國の國際関係で重大でありますから、この点は詳報なきよう委員長を通じてお願いをいたしておきたいと思います。しかも即刻了解を得てやらなければならぬ。現在の運営会においても、マツカーサー司令部の了解さへ得て、政府において一定の管理をしてこれを解いてしまつて民間おけるC・M・M・Cをつるならば、こくの赤字を出さなくても、自然運賃競爭が起きてくる。配船の合理化ができてくる。これは完全に今日了解さへ得るならば、いつでも占領下にある日本の國の船は統制はとれるから、これはやり得られることである。そうなるとこの赤字の四十億も運賃補給の面で出していく、それができるならば、自然民間に競爭ができてきて、これが二十五億に減り三十億に減るということは、確実にわかつておる問題であるが、今日できない。これは私は総力をあげて、この懇請に努力いたすことが、この財政を救うゆえんであると思う。中には現在の船舶統制会に任して、これでもつて晏始としていこうというような船主もなきにしもあらずであるが、海員從業員には、さような心掛けの者はないと存じておりますけれども、この不良の戰標船をもつては、現状においては、とうてい日本の國の海運は再興できない。また民間企業の実質的ないわゆる構想に基く海運の進歩をこれが強く阻害しておる。この点について私はあなたを通じて総理からの御答え、総理の所信を今日ここに御披瀝を願うと同時に、ただいまあなたからのお考えをひとつお示しを願いたい、かよう考えております。
  102. 岡田勢一

    岡田國務大臣 これは日本経済自立の根本的な問題であるという御指摘、正に私もそう思つております。ただいまの狹い面積の國に閉じこもりまして、天然資源の少い日本といたしましては、何といたしましても、外國から必要な原料材料を輸入いたしまして、これに加工をいたしまして、再び外國に輸出をすること、並びに外航海運の活躍によりまして、貿易外の收入を得ること、貿易によりまして自國の船を活躍させまして、貿易を有利に展開させますこと等は、まことに日本経済の自立のために、最も重要なことでありますことは、御指摘通りでございます。そこで非常な全般的な御質問をいただきましたのですが、まず輸出入貿易を日本の自國船でやるべきであるという御意見、まことにごもつともでございまして、同時にまた、今の日本の海運で、日本船が約百二十万トンあまりございますが、これが戰前のごとくフルに運航能率を上げておりませんことは、御指摘通りでありまして、能率が上りましたならば、これらの船腹は過剩に相なります。この船腹をただいまからでも外航にまわしまして、今輸入されております食糧、あるいは肥料の原料、あるいは原塩、鉄鉱石等を積みとりたいと存じまして、それぞれ関係方面に交渉をいたしまして、具体的の数字は申し上げにくいのでございますが、上海、あるいは青島、あるいは朝鮮、佛印、マレー等から積みとつてまいります輸入品につきましては、一隻々々ごとに配船の承認を得つつあるのでございます。なおこれは今後も、船腹に余剩ができますごとに増加をさせまして、まず外國の船を傭船あるいは買船いたします以前におきましても、できるだけ御指摘よう方向に向けて実現をしていきたいことで、今日も実施中でございます。それから外國船の傭船または買收のことでありますが、ちよつと速記を止めてください。
  103. 川島金次

    ○川島委員長代理 速記中止。
  104. 押川定秋

    ○押川委員長代理 速記を始めてください。
  105. 田中源三郎

    田中(源)委員 ……。この点について、私どもは目下常任委員会において御審議になつております点からみまして、一日も早く陸上運賃と海上運賃とを逆にするという処置をおとりになつていかれますか。この点を私はお伺いしておきたいと思います。
  106. 押川定秋

    ○押川委員長代理 ちよつと速記を止めていただきます。
  107. 押川定秋

    ○押川委員長代理 速記を始めてください。
  108. 岡田勢一

    岡田國務大臣 ただいま御指摘の海上運賃と陸上運賃との比較でございます。仰せの通りに海上の運賃をなるべく樂にいたしまして、そして陸上に滯貨しております貨物を、海上に轉移いたすことをやらなければ、滯貨も一掃できませんし、また御指摘ような船舶の過剩も出てまいるわけでございます。  そこで、海陸の運賃を比較対照いたしますと、ただいまこれを全部経営採算原價として考えますならば、現行の約六倍近くにいたしましたならば、海陸ともに経営採算は立つのでございます。もう少し海運の方の能率が上つてまいりました場合には、汽船においては鉄道運賃よりはコストが安くなるのでございます。そこで鉄道貨物運賃をなるべく引上げて、海運の経営を樂にいたしまして、海上に貨物を轉移いたしたいのでございますが、何と申しましても、今日の物價の改訂にあたつては、鉄道貨物運賃を三・五倍以上にいたすということになりますと、今予想しておりますより、さらに高い水準に物價を上げなければならぬ問題が出てまいります。從いまして、賃金も三千七百円ではいけないということに相なつてまいりますので、いろいろの角度から檢討いたしまして、どうしても貨物運賃は三倍半以上には上げられないという結論に相なりました。これは見方によりましては、いろいろと御批判もあり、また計算のしかたによりましては、反対される根拠も出てくるかとも存ずるのでありますけれども、一應政府はこれが適定であると考えまして決定いたしました次第で、何とか御了承をお願いいたしたいと存じます。そこで海上の輸送は、陸上と比較いたしまして、すでに田中さん御承知ように、港湾の荷役作業、艀賃などのチヤージがかかつてまいりますので、これをもし同率にいたしますならば、貨物の海上轉移はできませんで、逆に海上から陸上へ貨物が轉移してまいることに相なりますので、それを考慮いたしまして、汽船運賃は、陸上鉄道の三倍半に対しまして、三倍に決定いたしました次第でございます。これが約バランスがとれまして、平衡の得られる海陸輸送ができるという見透しでございます。  なおただいままでの海上運賃は、距離当りに対しまして、画一約な運賃をやつておりましたが、今後は合理的に地域別、貨物別に一々採算をもちまして、合法的の運賃といたしまして、海上を利用される荷主の方々に御便宜を得られますよう、そしてなるべく貨物が海上に轉移されるような方策を講じつつあるのでございます。御了承を願います。
  109. 田中源三郎

    田中(源)委員 きようはこの程度で、次回にひとつ保留願いたい。
  110. 押川定秋

    ○押川委員長代理 明後十四日は午前十時より開会することといたしまして、質疑を継続いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十八分散会