○
田中(源)
委員 私が
お尋ねいたそうと思
つておりました点につきまして、稻村君から御
質問がありましてので、できるだけ
予算審議の
進行上重複を避けと御
質問をいたしたいと思います。私の今
質問いたしますことは、一部は安定本部長官の責任事項としてお答えを願いたいと思いますが、その安定本部長官に御
質問いたします中にも、運輸、逓信その他行政一般に関連しておる問題もございますので、左樣お含みおきを願いたいと思います。
私はこの
予算を拜見して感じましたことは、今日この三千九百九十三億という歳出面の
予算を決定されました。これを大ざつぱに見てみますと、大体租
税收入と專賣益金とで歳入は賄なわれており、歳出は人件費と終戰処理費と價格差補給金とい
つたようなものが、大
部分を占めているという
ようなわけであります。そこで私
どもは健全通貨主義の
ように、インフレを一概に現段階において排斥をするものではございません。しかし私の言うインフレということは、これは産業インフレということにお
考えを願わなければならぬのであります。そこで
政府が眞のイイフレを懸念されまして、通貨の價値を念願せられるということでありますならば、
財政インフレをむしろ産業イイフレに切替えていくというふうに
考えてもらわなければならぬと思うのであります。そこで
予算編成当初におきまして、どういうお
考えをも
つて、こういう
予算を締め括りをなさいましたか。またこの
予算を見てみますと、いわゆるプラスの面に向きます
生産費と、消費の面に使われるもの、その究極は消費になるところのもの、たとえば終戰処理費の中を見ましても、建設的な面、道路事業費の
ような面は、申すまでもなくこれはプラスの面になります。しかしその八〇%やはりマイナスの面にはい
つてくる。そこでいわゆる建設の、プラスの面にはい
つてまいります
生産予算と、消費
予算の割合をお示し願いたい。その参考資料を要求いたしてお
つたのでありますが、まだ御多用で手もとに頂戴はいたしておりません。この比較を御明示を願いたいと思うのであります。これが第一点であります。
第二点は、租
税收入を檢討してみますと、租税全体と國民
経済というものとはま
つたく不可分の
関係にありますことは、今さら申し上げるまでもないのであります。そこでいかなる名稱をも
つてするを問わず、すべて國民の負担というものは、その國民の所得から技拂われていくと思うのであります。この
予算を檢討してみますと、國民所得と租税との両者の
関係がバランスがとれておるか、いわゆる均衡を保
つておるかどうかということを私は
考えてみたのでありますが、先般來の御
説明を伺いますと、一体一兆九千六十億の國民所得と算定いたされておりますが、これに対して租
税收入を四千二百十二億ということを申されておりまするが、このパーセンテージが、二一%だというふうに御
説明があ
つたのであります。そこでなるほどアメリカの例を
考えてみますると、あるいは英國の例を
考えてみますると、英國の二七%、アメリカの二十二、三パーセントくらいの程度になると思いますが、これと比較いたしますると、この國民所得のどういうところに算定の基礎がおかれて課税されましたか存じませんが、パーセンテージの面から申しますると、なるほど一見低いパーセンテージが出てまいります。しかしながら、英國並びにアメリカにおきましては、國民の最低
生活が保障された上において、その課税を受けておるのであります。わが
日本の國民
生活の最低
生活確保は、今日されておらぬ。不安定なる國民
生活の上において、このパーセンテージは低いとは決して申されぬと私は思うのであります。こういう面からかりに今價値計算の面から
考えてみますると、ここで一兆九千億という國民所得の数字をも
つて、大戰前の面から國民所得を比較いたしてみますると、大戰前の百二十五億に比べて、百五十倍に相当いたしております。事実はその倍数はもつとはなはだしいものとなると
考えられまするが、かりに今國民
生活が昨年度より先般の御
説明によ
つて一〇%、いわゆる昨年の六割を一割上
つて七割にしたと仮定いたしてみまして、私の價値計算をいたしまするならば、大体戰前の百二十五億という國民所得は、八十七億五千万円程度に縮減をしてきておる。こういう勘定にな
つてくると思うのでありまして、これから換算いたしますると、二百十倍以上に脹れた
ような勘定にな
つてくると思うのであります。そしてこの新
予算の價格の基礎は、大体百十倍と言
つておられまするが、私はこの新
予算の額及び租
税收入の基本價値というものは、非常に低い價値換算とな
つてきておるのであると思うのであります。その價値換算の比較をただいま申しましたが、先生の價値を標準といたしまするときにおきましては、歳出は七・五、租税におきましては十五倍半という
ように、激増してきておる数字が現われてまい
つております。
生産が御
承知のごとくに非常に逆減してきておりまするときにあた
つて、
政府の
予算は厖大化してくると思うのであります。そこで大体課税というものは所得の存在するところに課税されて納税されておるのでありまするが、現今の
状態を見ますると、納税のために所得を増大する
ような
状態に見られます。現在の
状態は、いわゆる流通所得を増出しておると、私
どもは
考えられていくのでありまして、
ちようど昨日來から
大藏大臣あるいは安定本部長官の西村君なり稻村君の御
質疑に対してのお答えを拜聽いたしておりますると、この
中間安定
施策——こういう言葉を今使
つていいか悪いか存じませんが、大体現在
政府のとられておるところの
施策において、
賃金と
物價の
惡循環を断ち切ることができ得まし
ようか。今日のこのインフレは
財政の膨脹からインフレに
なつた。新
予算等も
ちようどインフレの
惡循環を断ち切ることができない立場にある暫定的な脹れた
予算である上に、國民の所得の價値計算からきたその究極をつかんで課税してい
つたところの
予算とは見受けられぬという感じがいたすのであります。そこで一体この國民所得の算定の基礎はどういうふうにして今日一兆九千億という算定をなさ
つたか。まずこの点について第二にお示しを願いたいと思うのであります。
第三点は補給金と
物價の問題でありまして、昨日栗栖長官の御
説明は一應了承いたしました。大体昨年七月の
物價改訂から、今度は七割高になる。戰前の基準の百十倍ということを
方針とされておりまするが、昨日御
説明になりました
ように、
企業は全部赤字を続けておりまして、長官の
お話になりました
ように、重要物資の價格調整金を完全補給する場合は、月額百億を要するということでございました。私が計算をいたしまするならば、その完全補給のものは、今後の
経済事情によ
つて数字は変動をいたすと思うのでありますが、
現状から
考えて見まするならば、千三百六十億というものを要しないというと、いわゆる價格調整の完全補給は成り立たぬと思うのであります。そこでこの
予算を通覽いたしてみますると、昨日長官のお示しになりました月額百億といたしますると、千二百億になります。それが
財政の
都合上、大体において五百三十億程度の價格調整補給をお出しにな
つて、その残りの八百億近いものは價格の引上げをも
つて補われておる。穴埋めをされておるというふうに見受けられるのであります。すなわちこの新
物價改訂の
方針というものは、補助金と
物價の引上げと赤字金融とで、この
予算をでつち上げておる。そういう三本建でい
つておるというふうに見るのであります。そこで私がお伺いしたいことは、この特別会計を通覽いたしますると、特別会計は逓信及び鉄道におきまして大幅の引上げが行われておる。同時にまた
物價改訂による格差益金というものをここにあげられておるのでございます。私は本年度の
予算の実体から見ましても、
物價政策からいたしましても、結局やはり
財政インフレは漸次
進行していくのではなかろうかということが
考えられるのであります。そこでこの
予算を見ますると、
物價と
賃金、おのおののものが
惡循環をする
ように仕組まれた
よう予算の
編成の
ような感が、私には浮んでくるのであります。そこで
政府は
予算編成の当初に当
つて、まずも
つて官業の整理をやる。その官業の合理的な面に向
つてなおもう一歩私は手を入れてこの
予算を
編成され、少くともこの
物價と
賃金との
惡循環をでき得るだけ断ち切る
ような
施策が施されたかということについて疑いをもたざるを得ないのであります。
政府はなるほど一割五分の行政整理を行うのだと申されておりますけれ
ども、最近の各種
法律案の面から見まするならば、
日本の役人は國民六人に対して一人であると言われておりますが、なお役人は殖えます。そうしてこれらの官業
企業に対しての合理的な
企業経営形態に対して、もう一歩
予算編成当時において手がはい
つておらぬと思うのであります。一例をと
つてみまするならば、運輸省の所管事項から
考えてみますると、現在の船舶運営会の四十億という赤字補填が出ております。しかしながら、この赤字補填は、船舶運営を
民間に還元する漸進的
処置をと
つていまするならば、これから五億か七億の金を出すこともできます。現在の
ように、戰勝國よりも、敗戰國の
日本の船舶に多くの船員を乘せてお
つて、そうして船の
能率は惡い。船が完全に運営をしておるという実態ではございません。各港に滯船をして、滯船トン数から見ますならば、船舶の剩餘を來しておるとさえ言われておる今日の実態であります。そういう
ような今の仕組でありますならば、三十年もつ船は十五年しかもたないということも言われるでありまし
よう。こういう
ようなときにあた
つて、私はただいま申しました船舶運営会の民営還元の漸進的
処置を行
つて、合理的
企業に出すならばこれは出し得ると
考えておる。鉄道におきましても、そこに商工
大臣がおいでにな
つておりましたが、石炭の完全燃燒をはかるために、鉄道に対するところの補給石炭の特別の
処置を講じますならば、今日の熱カロリーの面においても、運輸省の石炭の一割を削減することもできます。これは一例を申し上げたのであります。同時にまた專賣益金が
政府の歳入の二五%を占めておる。逆に終戰処理費が歳出の二五%を占めておる。この專賣益金の合理的処理をいたしまして、適正價格といたしますならば、歳入というものは、もつと増收することはでき得られます。そういう手がはい
つておらぬと私は思うのであります。先わど申した
ように、
物價改訂で引上げるのと、赤字補填と、補給金と、この三本建の
予算の
編成を思い切
つてこの面に手を入れていきますならば、まだまだ歳出の面において、圧縮されていくことができたと私は思う。私はそれだけ
財政の健全化がはかられ得たと思うのであります。現に私
どもが計算をいたしますならば、この熱カロリーという点において、運輸及びその他の所管において、ここに五十億や六十億の財源を出すことは可能であろうと
考えられます。タバコの價格改訂の面におきまして、タバコ
收入が、今日私の計算するところによりますならば、まず六、七十億の
予算増收をはかり得ることもできると思うのであります。われわれは実態に立
つて数字的な根拠をも
つてなし得られるという
方面を
考えて申し上げておるのでございますが、この点から
考えて、
予算編成の当初におきまするところの
政府の
所見を伺いたいと思うのであります。
そこで私は今申した
ように、
財政の膨脹程度に物の追從しないことは今申した
通りでありますが、
生産がいわゆる逆減しておるという言葉で表現しておいたのであります。今日の状況を見ますならば、私はこの
予算の厖大化に対して過小
生産の窮乏
生活にあ
つて、税金がま
つたくこれをカバーしておる。物の引上げと税金とでカバーしておるという
予算の
編成の状況であると、私は
考えるのであります。先ほど
お尋ねいたしました三つの点につきまして、まず
安本長官から御
説明を伺いたいと存じます。