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1948-05-22 第2回国会 衆議院 予算委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月二十二日(土曜日)     午前十一時十二分開議  出席委員    委員長代理 理事 川島 金次君    理事 小島 徹三君 理事 今井  耕君       淺利 三朗君    植原悦二郎君       角田 幸吉君    上林山榮吉君       古賀喜太郎君    島村 一郎君       鈴木 明良君    原 健三郎君       西村 久之君    海野 三朗君       岡田 春夫君    加藤シヅエ君       黒田 寿男君    田中 松月君       田中 稔男君    田中源三郎君       押川 定秋君    川崎 秀二君       小坂善太郎君    高橋 長治君      長野重右ヱ門君    大原 博夫君       野坂 參三君  出席國務大臣         大 藏 大 臣 北村徳太郎君         國 務 大 臣 鈴木 義男君         文 部 大 臣 森戸 辰男君  出席政府委員         大藏政務次官  荒木萬壽夫君         大藏事務官   福田 赳夫君  委員外出席者         專門調査員   芹澤 彪衞君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十三年度一般会計暫定予算補正(第三  号)  昭和二十三年度特別会計暫定予算補正(特第二  号)     —————————————
  2. 川島金次

    川島委員長代理 これより会議を開きます。  質疑にはいります。鈴木明良君。
  3. 鈴木明良

    鈴木(明)委員 私は商工大臣石炭の問題についてお尋ねいたしたいと思います。わが國再建の基礎となる石炭の重要なることは、いまさら申すまでもありませんが、そのために政府は現在各地に人を派しまして、増産に苦慮せられておることも、その努力に対しては一應敬意を表するものであります。政府はあらゆる困難あらゆる反対を押切つて石炭國家管理法を強硬に國会を通過させまして、去る四月一日より実施のはずでありますが、何ら見るべきもののないことは、まことに私は遺憾と存じております。聞くところによりますると、炭鉱國管基本となる全國炭鉱管理委員会も、いまだ委員が全部できてないというような状態、その無責任ぶり、ついに今日は毎月減炭の一途をたどるのみにて、前途まことに憂慮にたえないところがあります。水谷商工大臣は、自信たつぷりで、國管実施後は増産可能と言明したこともお忘れになつてはいないと私は存じます。そこで私の伺いたいことは、國家管理実施後の詳細なる御報告と、最近の出炭状況について、まずお伺いいたしたいと存じます。
  4. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 鈴木さんの御質問にお答えいたします。炭鉱國家管理進捗状況でございますが、これは前の機会に本会議においても御答弁したと思つておりますが、大体ことしの初めから、全國炭鉱管理委員に予定される人の内定を見まして、それの予備会談によりまして、炭鉱國家管理法施行に必要なる施行令その他の点を審査をしてまいつたのであります。御案内のように、法の性質から四月一日から廣い意味の炭鉱國家管理は施行されておるのでありますが、ただよく世人は炭鉱國家管理というと、すぐに指定炭鉱ということを思い出されるので、その指定炭鉱が遅れておる関係上、あるいは何も滑り出してないというような誤解を招いておるのではないかと思います。この全國炭鉱管理委員会は、ただいままで三回ほど委員会を開きまして、來るべき月曜日から小委員会に移しまして、今月中に大体指定炭鉱基準決定が終りまして、來月初めに一應指定炭鉱を全部一括してやれるという運びになつておる次第であります。  また四月の出炭の減少に関しましては、四月の初めから予定しておりました炭價が、財政法第三條の関係によりましてずれたことと、いま一つは、これと表裏一体をなすところの働労不安の問題が、四月の出炭計画通りにいかなかつた大きな原因であります。たとえて申しますならば、六割を占めておるところの炭労側が、九州において圧倒的に多いのですが、その九州方面なんかは、四月の下旬一〇・七%程度出炭しておりますが、まだ苦情処理委員会の件につきまして未決定である全石炭が圧倒的である。北海道が四月大体七六%という惡い成績でありましたのが、全國に響きまして、四月の出炭は九一%ということになつたのでありますが、この全石炭労働問題も、間もなく解決することになりますので、出炭成績は順次上昇をたどることは、断言して差支えないと思う次第であります。
  5. 鈴木明良

    鈴木(明)委員 今の御説明によると、指定炭鉱基準も月末までにはできるというようなことでありましたが、すでに四月一日から断行しておるにかかわらず、その怠慢振りを私は追究したいと思うのであります。  まず質問の順序といたしまして、炭價の問題も考慮しなければならぬと思うのでありますが、各炭鉱とも増産すればするほど現在は赤字が生じておる。その赤字を穴埋めするのに、復金の借入金をもつて一時凌ぎをしておるという状態で、まことに不自然だと思うのであります。増産されない理由が、この辺にもあるのではないかと思います。政府は今回鉄道運賃を初め、すべての物價改訂して、マル公引上げをなす。まるでインフレの手助けをしておるように思います。一体石炭價格はどうなりますか。價格差補給金の問題はどのくらいになるのか、具体的にその方針も伺いたいと存じます。
  6. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 理論から行きますと、物價一つの大きなフアクターをなす貨物運賃決定いたしましてから、石炭價格などをきめるのが適当と思いますが、もしそれがいろいろの事情である程度延びますれば、大体のめやすで、炭價改訂しなくてはならないのではないかと思うのでありますが、われわれは少くも六月の初めには、この炭價をしかるべく改訂したいと思つております。  さらに補給金の問題でございますが、これは一應閣議わくは内定いたしましたが、そのきまつたわくの中で、石炭えどの程度行くかということは、そのわくが本ぎまりになりましてから確定すべき問題でございまして、ただいまのところ、はつきりした正確な数字を申しかねることを御了承願いたいと思います。
  7. 鈴木明良

    鈴木(明)委員 大体のめやす改訂すると申されますが、その大体のめやすとは、どういう程度か承りたいと思います。
  8. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 私の申しましたことが言葉が足りなかつたのではないかと思いますが、大体理想的に申しますならば、鉄道運賃はつきりきまつてから炭價引上げたいと思いますが、それが非常にずれた場合におきましては、大体炭價のきめ方を二段構えにせねばならぬと思います。その際は現行の運賃基準とするという考え方もありましようし、さらにまた國会に提出いたしました閣議決定運賃の値上りを、一應基準としてきめるというような行き方もあろうと思いますが、またその中間を行くというような考え方もあるかもしれませんので、そういうことを考えまして、大体のめやすというような言葉を使つたような次第であります。
  9. 鈴木明良

    鈴木(明)委員 さらにお尋ねいたしたいことは、先ごろドレーパー使節バトラー調査團長指摘しておるように、炭價改訂しなければならぬ、資材の割当を促進しなれればならぬ、労働時間の延長考えなれればならぬ、一人当り作業量の向上も考えなれればならぬということを、バトラー調査團長指摘しておると思います。こういうことが絶対必要であることは申すまでもないところでありますが、この点について、商工大臣の所信を伺いたいと思います。
  10. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 この問題の一つといたしまして、本日の閣議におきまして炭鉱労務者の数は、四月末日現在に原則として押えました。今後石炭増産ができればできるほど、経理がうまくいかないというようなことを避けるために、本日の閣議におきまして、四月未日現在で労働者の数を原則として押えまして、その数におきまして坑内坑外配置轉換を適正にもつていきまして、今後の増産に資したいと思つております。炭價の問題は、先にお答えいたしました程度でありまして、今後は石炭が出れば出るほど企業の内容が向上するという方向にもつて行きたいと考えております。
  11. 鈴木明良

    鈴木(明)委員 労働問題のこと、それから一人当り作業量の問題については、まだ触れてないのでありますが。
  12. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 作業量の問題は大体二十三年度の上期は一人当り六〇・四トン量いうところが、一應の基準に置いておる点であります。労働対策の問題は、これは言うまでもなく労働組合健全化をはかるというその基本方針によりまして、諸種の対策を講じて行きたいと考えております。
  13. 鈴木明良

    鈴木(明)委員 炭鉱労務者のことでありますが、すなわち人件費の節約と炭鉱労務者の一人当り生産量を向上するために、労務者を現在以上増加しない。それを四月末日で釘づけにする。しかも半年間釘づけとして、労働者配置轉換によつて坑内夫坑外夫の比率を六・四にするということ、労務者用物資特配とか、あるいは融資なども、すべて五月一日を基準として、これ以上増加しないということ。公共職業安定所を通ずる労務供給減つただけ補充する。そういうことを、この間の閣議決定したように私は聞いております。なお十二月以降は、今後半年間の成果を見ていろいろ考える、そういうことを決定したように私は聞いておりますが、これは事実上の労働強化であつて、しかも坑外夫坑内夫に強制的に配置をするというが、これを配置をしても、わずかに二%あるいは一・五%くらいのものしか配置轉換はできないではないかと考えるものであります。しかも坑内夫坑内夫に強制することは、労働基準法に違反をしないかということも考えられるのであります。また労働者を増加せずに三千六百万トンを生産するためには、どう考えても、私は労働時間を延長するとか、あるいは機械設備を整備せねばならぬと思うのであります。これに要する資材とか資金はどうなつておるか。この点についても私は伺つてみたいと思います。またかようにすることによつては、本年の目標達成には間に合わないということも考えられます。労働時間の延長とか機械設備をするということも、資材資金関係してくる。そのために本年の三千六百万トンの生産には間に合わないのではないかと思われます。そうするといずれかの方法によつて増産する以外にはないと思うのでありますが、その具体的な方法伺つてみたいと思います。
  14. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいま鈴木さんの内容をもつた案は、本日の閣議、ただいまより一時間ほど増の閣議決定したのであります。と申しますのは、昨日と一昨日と石炭復興会議がございまして、そこへその案をかけていただきまして、労資双方から十分の檢討をしていただいて、納得された上において閣議決定しようということになりまして、きのう代表者からただいま鈴木さんが御指摘のような政府考え方に対して了承した、これで協力をいたしましようという申出があつて、本日閣議で初めて決定したような次第でございます。從つてただいまあなたがお読み願いましたその内容に関しては、労資とも協力をするという態勢を整えましたので、それは一片の作文に終らずに十分に効果を発揮でき得ると考えております。
  15. 鈴木明良

    鈴木(明)委員 現在のような方法閣議決定したということをただいま承つたのでありますが、これに要する資材資金の問題をひとつ伺いたいと思います。
  16. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 資材資金の具体的な数字は、私いま手もとに持つておりませんので、後刻適当なときに係の者から御答弁させます。
  17. 鈴木明良

    鈴木(明)委員 労働者の数を限定するということになりますると、結局労働組合一体となつて政府の思う通りにやつてくれれば、まことに結構だと私は思います。今日の減炭理由も、一昨日かの商工大臣言明にもありました通り減炭理由はストやサボによることが多いのだ、こういうことを指摘されております。そこで私は総司令部労働課の提案せるところの紛爭処理機関のようなものを設置するということも、その中に含まれておつたようでありますが、その行程が私は問題だと思います。ただ労資双方一体となるということだけで、この問題が解決されるとは、私思われないのであります。そこでこの機構の問題が考えられるのでありますが、これに対して私は商工大臣見解をひとつ伺いたいと思うのであります。
  18. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 この苦情処理委員会の問題は、アメリカにおきましても、施行されるまでには数年間の深刻な論議を経たと承つて、おるのでありまして、ただいまこの問題に関しまして、特に労働組合側から深刻な意見が出ておることは、当然であろうと思います。私自身に関することでも、炭労の問題と全金属の問題に関しまして、この問題を取上げたのですが、その運営内容については、労資双方に任すというのが、その当時の私の建前でありました。ただいま問題はこの苦情処理委員会労資双方だけに限るか、あるいはこれに第三者を加えてその最終決定に從うかどうかという問題が、今論議の中心でございますが、私個人意見から申し上げますならば、この問題に第三者も加わつて最終的な決定がなされ、それに労資双方が服するようなことになれば結構だと思つておりますが、これはあくまで私個人考え方であり、また私の希望的な考え方であるということを、御了承願いたいとおもいます。
  19. 鈴木明良

    鈴木(明)委員 前にも私述べたと思いますが、炭坑労務者物資特配、あるいは融資をするということは、すべて五月一日現在を基準として、これ以上は増加しないと閣議決定したように伺つております。それにもかかわらず、去る十八日の午後二時から、福島の商工会議所で開かれた産業界代表者との懇談会の席上で、水谷商工大臣は、一般労務者も七月ころからは全量で百万石程度加配米配給すると言明して、席上の代表者たちを喜ばしたように、私は聞いております。このために炭坑労務者家族用を削つてまでも一般に加配するとのように承つておりますが、さきの閣議決定事項とも矛盾する点があるように思われます。これは一時のゼスチユアで述べられたものか、いずれが正しいのか、ひとつはつきりしていただきたいと思います。
  20. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 おそらくただいまのやつは、読賣の記事を指しておられるのではないかと思いますが、あれは正確を欠いておりますので、はつきり申し上げますが、私が申し上げましたのは、炭坑労務加配米は、休んだ日は割く、それで從來は本人に対してはそれが嚴格に行われておつたようでありますが、家族に対しては、本人が休んだときにも加配米が行われておつたのでありますが、北海道なんかは、現に四月一日から家族に対しても加配米本人が休んだときには何するということがきまつた、そのことを指してああいうふうな、記事になつたのではないか、このように考えております。
  21. 鈴木明良

    鈴木(明)委員 次にお伺いしたいことは、肥料の問題についてであります。政府米價改訂伴つて農民肥料配給を確約しておるにもかかわらず、その米價改訂がいまだ問題になつておりますために、約束の三分の一も実施してないように思われますが、その責任を私は迫究すると同時に、具体的にその肥料状態をひとつ説明していただきたいと思います。なお、商工大臣はその肥料事業國家管理にするのだと就任早々言明しておつたようでありますが、その点についても、ひとつ具体的にその対策をお伺いしたいと思います。
  22. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいま鈴木さんの御質問に対しまして、お答えいたします。肥料生産増強をいたしたいと思いますが、政府が本年春肥として農村に口約いたしました稻肥反当り窒素肥料硫安といたしまして五貫五百匁、燐酸肥料、過燐酸石灰二貫匁を履行するために、本年一月から七月までの期間におきまして、國内において硫安五十二万二千九百トン、石灰窒素十三万七千百トン、過燐酸石灰五十一万六千トンを製造する必要がございますので、この計画で諸般の措置を講じてまいつておるのでありますが、本計画のうち、一月から四月までの計画実績とを比較してみますと、大体実績計画を上まわる順調さを示しておるのであります。なお、硫安のごときものは、五月の計画が八万六千トンに対しまして、優に十万トンを突破する傾向を示しておるのでございまして、この十万トンは日本がたしか昭和十六年でございまするか、過去におきまして築き上げた一番大きなレコードを打ち破ることになつておるのでございます。このような事情でございますがゆえに、政府が最初春肥に対しまして農村に口約いたしましたところの肥料は、十分に生産ができるという考えでおります。
  23. 鈴木明良

    鈴木(明)委員 だいぶ生産が思う通りに運んでいると、いま数字をもつて申されましたが、この肥料農家に対して、いまだ三分の一も入つておらない状態であります。そこで私は輸送のことも問題になると思うのでありますが、大肥料会社とあるいは農民との間に、最近直接交渉によつて肥料をもらうために米を出している、物々交換も行われているように考えます。しかもそれも公然と行われているように思うのでありますが、政府はそういうことを許しておるのかどうか。また肥料会社は金さえ出せば賣つてくれる現状であります。その点についても、相当の横流れがあると思うのでありますが、この点に対して、商工大臣はいかように取締つているか、この見解をお伺いしたいと思います。
  24. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 鈴木委員も御案内通り肥料生産は一元的に商工省責任をもつておりまして、配給は全部農業省責任をもつておることになつております。從いまして、商工省といたしましては、計画通り生産を十分に生産するという責任が負わされておるのでありまして、それを遂行してまいつたのでありますが、ただいま御指摘のようなことが、配給面に行われておるということになりますと、せつかく商工省が百パーセント以上生産いたしました肥料配給に関しては、きわめて、遺憾であるとは思つておりますが、その点はいずれ所管大臣から十分にひとつお尋ねを願いたいと思つております。
  25. 鈴木明良

    鈴木(明)委員 この問題は実に重大なる問題と思いますから、商工大臣におかれましても、十分にお考え願いたいと思います。  なお商工大臣就任の当時において、肥料將來國家管理にしなければいけないということも言明されたようでありますが、この点についてはどういうお考えをもつておりますか、お伺いしたいと思います。
  26. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいまの鈴木さんの御質問は、おそらく三党政策協定にそれが盛られてあることを、私が商工大臣として言明したというようにとられておるのではないかと思います。もちろん社会党政策におきましては、肥料國家管理というものが、はつきりうたわれておることは事実でございまして、さらに三党政策協定においても、それが盛られておることは事実でございます。從つて就任以來この肥料経営形態の問題に関しましては、商工省としては、係官のものに十分檢討させまして、一應の結論をもつておるのでございますが、これをばどういうぐあいに具体化さすかということは、あるいはいろいろの適当なる調査會というようなものによつて、十分檢討してもらわなくてはならないのではないかというように考えております。
  27. 上林山榮吉

    上林委員 ただいま、商工大臣は、鈴木君の肥料に関する質問答弁の中において、商工省としては、所管大臣として肥料の百パーセントの増産に努めておるという言明でありまするが、われわれはその増産内容もさらに檢討を要する点があることを知つておるのでありますけれども、その点はさておきまして、配給その他の問題については、農林大臣所管であるから、その方面大臣から聽いてくれというような答弁であつたと思うのであります。私は釈迦説法かもわからないが少くとも商工大臣責任をもつて肥料増産について努力しておるものとするならば、所管大臣として、その結果がいかに取引され、いかに農家に行届いておるか、最終目的を果しておるかどうかということを、当然お考えにならなければならないと同時に、内閣は言うまでもなく連帶責任である、そういう建前からいつたならば、閣僚として閣議において統一あるところの政府方針公約が、はたして農家公約した通りこれが守られておるかどうか、こういうような問題について、あなたは連帶責任の立場から、閣議においてこの發言をされなければならぬ。それにもかかわらず、肥料増産はわれわれはしつかりやつておるが、そういうふうに欠陷あがる点は、ほかの所管大臣の問題であるから自分は知らぬ、こういうような答弁をされるに至つては、われわれはまことに遺憾であり、内閣の不統一を示すものであつて、現内閣寄合世帶的性格を、あなたの答弁の中に如実に露呈しておるものであると考えるが、今の答弁に対して、いかなる責任といかなる努力とをせんとしておられるか、この点を私は質しておきたいのであります。
  28. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいまの上林山君の関連質問は、まことに御自身も言われておるように、釈迦に対する説法であり、また私の言つておることを誤解するも、はなはだしいと思つております。私は鈴木君の御質問に対しまして、そういうような事実がかりにあるとすれば、商工大臣としてはきわめて遺憾であるということを、はつきり答えております。しかしそういうようなことが事実あるかないかというような具体的事実に対しては、農林大臣に聽いてくれと言つておるのであります。
  29. 上林山榮吉

    上林委員 ただいまの商工大臣答弁は、感情的な答弁であつて、これは責任大臣としての答弁としてゼロである。私が今お尋ねしたのは、鈴木君の質問に対して、あなたは所管大臣として百パーセントの増産には努めておるが、それがはたしてどういうふうに流れておるかということは自分は知らない、所管大臣にそういう点については聽いてくれ、こういう答弁であつたと、自分考えるのであります。少くとも責任をもつて生産した以上、そのものが結論において最終目的を果しておるかどうかということを、あなたは商工大臣として責任をもつて答弁し得る材料を持つていなければならない。しかるに鈴木君の答弁に対しては、完全なる答弁をしていない、この点をどういうふうにお考えになるか、これが一点。  第二点は、あなたは閣僚として連帶責任をもつておる。その人が閣僚連帶責任において答弁ができないというに至つては、政府肥料行政は、一面は成功しておるかも知れないが、一面においては不成功であり、結論において農民に対する公約を守つていないということになるのであります。この点に対しまして、私は再答弁を要求いたします。
  30. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 重ねての御質問でございますが、前の質問と同樣、ただいまの御質問に対しましても、私の答弁は前の答弁で十分であると考えております。
  31. 川島金次

    川島委員長代理 上林山君、関連質問ですから、簡單にお願いしたいと思います。鈴木さんの質問がまだあると思いますから。
  32. 上林山榮吉

    上林委員 この問題については、鈴木君の質問の終了後に、さらに私は責任のある答弁を要求したいとも思いまするが、商工大臣の現在の答弁は不滿足であり、これは閣僚としての責任のある答弁ではない、少くとも商工大臣は、社会党閣僚としても農民に約束しておるはずである。あるいはまた前内閣閣僚としても、農民に約束しておるにかかわらず、自分はただ所管の仕事を——これも不十分である。われわれの見るところでは不十分であるが、商工大臣言葉をそのまま受取るとしても、私は責任を果していない、この点はまことに遺憾であるという意見を表明して、適当の機会質問を続行いたいます。
  33. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 肥料生産増強は、一月から四月の合計、硫安は、計画二十六万四千九百トンに対して二十六万五千二十トンを生産しております。石灰窒素は、五万八千六百トンに対して六万一千六百九十八トンを生産しております。過燐酸石灰は、三十万トンに対して、三十二万一千二百十七トンを生産しておりまして、ただいま上林山さんの御指摘のように、不十分なる成績とは考えておりません。
  34. 鈴木明良

    鈴木(明)委員 私は次に中小商工業者の問題に触れたいと思いますが、祖國再建のために最も重要なる役割を果しておるところのこの中小商工業者は、実に最近みじめな状態におかれております。政府の力の入れどころは、昭和電工というような大きな会社に対しては莫大なる融資をしております。またその他の大きい会社に対しては実に莫大な復金融資をもつてやられておること、これもまことに結構なことと思うのでありますが、中小商工業者に対しては、その恩惠に浴することがないのが現在の状態であります。今度政府は中小企業廳を創設して、これに対する責任を全うするというようなことも述べられておりますが、その中小企業廳なるものの正体を、ひとつはつきり承りたいと思うのであります。
  35. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 中小企業廳の大体のねらいはこれまで中小企業が中小企業なるがゆえに、大企業に比べまして、資金資材その他の点に関しまして、きわめて不公平な立場に置かれておる関係をば是正いたしまして、能率の高い中小企業は、大企業に比べて資金資材その他の面に関しまして、何ら不公平なる取扱いを受けることのないようにするというのが、大体一番大きな眼目であるのでございます。ただこの際一言お断りしておきまするが、世間はややもいたしますると、この中小企業廳の仕事というものが、中小企業全般を救済するというような意味にとられる向きもありまして、そういうお立場の人は、よく政府基本産業の傾斜生産のやり方と、この中小企業の救済策とは矛盾するのじやないかというような御意見も多々あつたのでございますが、われわれはこの中小企業廳によりまして、そういう前申しましたアンバランスを是正すると申しましても、それは中小企業全般に対していうのではないのでございまして、輸出産業の振興に結びつくもの、あるいは基本産業の末端を受持つもの、あるいは生活必需物資というようなものに関する中小企業の振興をば、重点的にやつていこうという考えをもつておるのでございます。
  36. 鈴木明良

    鈴木(明)委員 今度創設されるところの取引高税のことが、中小商工業者に非常に影響があると私は思うのであります。れつきと店を構えた中小商工業者に対しては、この取引高税によつて非常に迷惑をこうむると思うのであります。同時にやみ商人に対してはこの問題が追究されておらないようにも考えられますが、この点に関して商工大臣はいかように中小商工業者を救つていくかというようなことも、ひとつ具体的にお伺いしたいと思います。
  37. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいまの鈴木さんの御質問は、現に傳えられているところの取引高税が、中小企業の振興に関して非常なる弊害があるのではないかという御意見でございますが、これは中小企業を代表する、たとえば商工会議所あたりから、この中小企業の振興に対して、取引高税が惡い影響を與えるというような御意見も聞いております。われわれもこの点は十分に檢討いたしまして、もし取引高税が設立されるといたしますならば、それはせつかくすべり出そうとする中小企業の振興にとつて、惡影響の及ばないように考えていきたいと思つておりますが、ただいま取引高税は檢討中の問題でありますので、その対策に対しましても、具体的なことを申し上げかねることを御了承願いたいと思います。
  38. 鈴木明良

    鈴木(明)委員 社会党はこの取引高税に対しては、党議をもつて反対の意を表明されたようにも思うのでありますが、その点についてはひとつ商工大臣からはつきりとしたお答えを願いたいと思います。
  39. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいまの鈴木さんの御質問は、新聞紙上に出ました取引高税に対する社会党の態度を根拠にされているようにとれるのですが、あの点はまだ政務調査会でも決定されておらない、一つの試案が新聞に出たのでありまして、社会党が正式の機関において、まだ取引高税に対する態度は決定はしておらぬのでございます。
  40. 鈴木明良

    鈴木(明)委員 ただいまの御答弁によりますと、まだ正式には決定しておらないということですが、すると水谷商工大臣は、この取引高税には賛成なのでありますか、ちよつと伺いたいと思います。
  41. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいまの段階では、賛成とも反対とも言えないと思います。
  42. 鈴木明良

    鈴木(明)委員 内閣におかれましては、この取引高税はとるのだと閣議決定せられたように私は存じておりまするが、この点に関する見解はいかがでございますか。
  43. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 大体勤労所得税九百億の大幅引下げに対しまする一つの財源といたしまして、取引高税をある程度とろうというような考え方は、内閣においてあることは事実であります。しかしながら、先ほどお尋ねされましたのは、社会党の例をとられて、社会党は賛成か反対かと、言われましたので、私はそういうふうに答えたのであります。
  44. 鈴木明良

    鈴木(明)委員 あたなは社会党出身の商工大臣であると私も思つておりますが、あなたもそう思つておると私は思います。そこで政府においては、とるとはつきりせられておるように思われるのでありまするが、商工大臣の言をもつてするならば、未だとるともとらぬとも決定しておらぬような状態のように思われます。來るベき本予算も未だ何をしておるのか、まことに私は心配にたえないものがあるから、その点も伺つておきたいと思うので、現在の取引高税の問題も追究したような次第であります。  次に私は外資導入の問題について、お伺いしてみたいと思います。芦田内閣の一枚看板である外資導入は、鉱山界にも導入する用意があるのだということを。ドレーパー使節團が申されたように思います。その導入は鉱山界の何々に導入するのか。どういう方面に導入するのか。その範囲をひとつ伺いたいと思います。
  45. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいまの御質問でございますが、一般的に申し上げますと、わが國の鉱山業には、外資導入の対象となりますような規模その他の條件を備えておるものは、すこぶるまれでございまして、具体的に問題となる場合には、僅少に止まるのではないかと考えられます。本件に対しまする政府方針は、民間同士におきまして契約の成立した融資は認めまするが、実際問題としては、附帶條件のいかんによりまして、生起のつど善処したいと考えておる次第でございます。たとえば現在松尾鉱山に対しまする露天掘用機材の導入問題が研究されておるのでございまするが、日米両当事者間が、建設資材とその具体的條件につきまして、目下交渉を続けておるような次第でございます。その他の鉱山に関しましては、私はただいままでまだ何らの報告を受取つておりません。
  46. 植原悦二郎

    ○植原委員 今鈴木君の石炭の問題に対する御質問中、関連質問としてお許しを得たいと思いましたが、鈴木君の御質問が終つたときの方が、すべて便利だと思いまして、それを待つてつたのでありますが、石炭の問題について、鈴木君の質問に関連して、二、三御質問することをお許し願いたいのであります。  すでに國管案は四月から効力を発生しておるわけで、それに対する指定鉱山のことをお尋ねしたら、目下研究中であるという御答弁のように承つております。そこで第一にお伺いしたいことは、本年度は石炭を三千六百万トン出炭しなければならない。それを政府はやる。そうできるつもりであるということは、この場合においても、また他の公の場合においても、商工大臣がしばしば言明されておるところであります。これを御否定なさりはしまいと思ふ。そこで三千六百万トンの出炭を確保するということは、四月の会計年度から明年の三月までを意味するのだと、私は了解しておりますが、それはいかがか。もしさようなことであるならば、四月の出炭量は、その計画月額に対してどうなるか。五月の今までの進行状態はどうなつておるか、これを先ず第一に伺いたい。
  47. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 言うまでもなく、会計の暦は四月一日から三月の末までであります。四月は大体計画に対して九一%程度でございます。五月の上旬は多少四月より上まわつております。
  48. 植原悦二郎

    ○植原委員 五月の数字は四月のよりほぼ上まわつているだろうということであるが、どうもこういう具体的の問題については、はつきりとお答えを願いたい。かなり責任をもたなければならない。商工大臣は、國管案を通過せしむるときに、國管をやれば石炭増産になる。こうしばしば議会においても御説明になつた。しかるに四月、五月を経過しております。五月もまさに終らんとしておる。四月から國管案実施というのに対して、またどれだけのものを國管にするかという指定の炭鉱さえ定められておらない。ただ國管にする役人の数が増しただけである。しかも四月において減産しておる。五月も増産するどころじやない、私は減産すると信じておる。これはもうわずかの間に、数字が現われてまいりましよう。そういたしますと、その後にさらに増産しなければならないという責任を、商工大臣がもたなければならないところが炭鉱坑内夫は増員しない、その鉱山内において坑外夫坑内夫に振り向けるということである。しかも言うまでもなく、石炭炭價未だに定まらず、炭鉱業者は、出せば出すだけ借金していかなければならぬ。このような状態で、増産できると考えておる炭鉱業者は、ほとんど一人もないと言うて間違いない。ただその場逃れの宣傳は困る。殊に石炭のごとき基本産業、この石炭増産いかんが、日本國家の全体の産業に影響するということについて、ただ一時逃れに、その場凌ぎに放言しておけばよろしいというのでは困る。御答弁を承つてつても、その場さえ言い逃れておけばよろしいというようなことで、誠意のこもつたところの御答弁は、まだ聽いておらない。そこで國管案がほんとに効力を発生して、実際に國管のすべての項目によつて実行できるのはいつでありますか。それもまた調査中で、わからないではもう四、五と二箇月を経過しておるのでありますから、困ります。会計のことを見ましても、私はこれは商工大臣にあえて言うわけじやないけれども、現在の会計年度が四月から三月までならば、内閣を三月にとつたら閣僚は晝夜兼行して予算案をつくらなければ、國民は政府政策を知ることはできないし、財政に対する方針を知ることもできない。と同時に、國管案は四月から実行すると、言うておるにかかわらず、指定の炭鉱が未だに定まらない、方針がきまらない、研究中だというのでは、何のために國管案を通過さしたか。國管案を通過すれば、必ず石炭増産するということを國民に聲明して通過せしめた。その四月に減産しておる。減産しておるのは、あるいは過渡期だからと説明するかもしれないが、過渡期であるならば、いつ何日になつたならば、國管案が眞に実行できるのか。指定炭鉱はいつ定まるのか。また炭價はどうなるのか。それらの具体的の計画を國民に示さないで増産になると言つたつて、実際なりつこない。現在内閣は四月、五月、六月を暫定予算でやつておるが、こんな無責任内閣は、議会政治始まつて以來未だかつてない。そうして各地に行つて外資を導入する、米を増配する、宣傳だけで実行できないことをから騒ぎをして言つている。
  49. 川島金次

    川島委員長代理 植原君に御注意申し上げます。御質問は簡潔にお願いします。
  50. 植原悦二郎

    ○植原委員 これだけをはつきり伺います。
  51. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 答弁しましよう。ただいま予算の問題がありましたが、私ら社会党が野党のときに、石橋大藏大臣のときにも暫定予算は六月から十月まで続いた例はあるのでありまして、予算が遅れておるのは、別にこの内閣だけではありませんので、あなた方もやはり胸に手を当ててお考えを願いたいと思います。ただいまあなたが御質問されました大体の問題は、先に鈴木君にお答えしました通り指定炭鉱はいつからということも、さつき鈴木君にお答えいたしました。
  52. 川島金次

    川島委員長代理 なるべく簡潔に願います。
  53. 植原悦二郎

    ○植原委員 鈴木さんに指定炭鉱をいつお定めになると、はつきりお答えになりましたか。
  54. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 重ねて、申し上げます。六月上旬に指定すると答えました。
  55. 植原悦二郎

    ○植原委員 六月上旬指定する……。それから四、五の減産は六月から取返せるという御確信ですか。それをお伺いしたい。
  56. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 一年を通じて三千六百万トンは必ず出して見せます。
  57. 植原悦二郎

    ○植原委員 伺つておきます。お忘れのないように。この内閣はあすにも崩れたら責任がなくていいかもしれませんが、そんな廣言は天下たれも信ずる人はありませんよ。ただそれだけを申し上げておきます。あまり滑稽です。
  58. 川島金次

    川島委員長代理 鈴木質問はありませんか。——ては商工大臣に対する質問の通告が残つておりますので、この際お許しいたします。海野君。
  59. 海野三朗

    ○海野委員 製鉄方面でありますが、鉄鉱の鉱石の値段、今海南島から來ておる鉱石の値段と、内地産の鉱石の値段についてお伺いいたしたいと思います。
  60. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 内地鉱石の現行公定價格は、山元四百六十円でございますが、輸入鉱石は内地鉱石との品質の差を考慮の上、内地公定價格基準といたしまして、貿易廳から各製鉄業者に拂下げておる次第であります。二十二年度におきまする鉄鉱石の生産数量は約九十万トンであつたのでございますが、二十三年度鉄鉱百二十万トン生産計画達成のために、二十二年度の生産実績の約四〇%増の七十万トンを生産いたしましても、なお需要を滿たし得ないために、さらに八十四万トンの輸入を必要とするのであります。從つて、鉄鉱石百二十万トン生産のためには、内地鉱石と輸入鉱石はともに必要であるのであります。しこうして、その内地鉄鉱の品位は平均四八%これは御案内通りでございますが、輸入鉱石は六四%でございますがために、鉄鉱の新公定價格には、その品質の差によります、價格の差を考慮いたしまして、内地鉱石と輸入鉱石につきましてそれぞれ別個の價格を織りこむ予定であります。なお念のため申しておきますが、輸入鉱石の外貨建價格は、トン当り、十六ドル二十五セントであります。
  61. 海野三朗

    ○海野委員 ただいまの御説明のトン当り十六ドルといたしますと、内地の鉱石に比べまして、非常にそこに開きがあるのであります。この開きはどういうふうにして補いなさるお考えでありましようか、十六ドルといたしますと、一ドル百五十円といたしましても、相当の金高になるのであります。ただいまのお話のトン当り四百いくらという値段と比べると、非常な開きがございますが、これは鉄鉱の鉱石の成分から割出しましても、どうもここに非常な開きがありますので、この開きをどういうふうに御処理なさるお考えでありましようか。
  62. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいま御質問の点でございますが、二十三年度百十二万トンのうち二十万トンは輸出に考えております。それによりまして、ただいまの点を処理いたしたいと思います。
  63. 海野三朗

    ○海野委員 それから石炭のことでありますが、商工大臣は二十三年度には三千六百万トン出そうというお考えで、まことに結構でありますが、もしその品質を考えずに、單にトン数のみをお考えになつておるのでは、三千六百万トン出しましても、実質は三千万トンしかないかもしれない。あるいはその使い方において不経済な使い方がある、つまりまずい使い方をしているというようなことでありますと、数字ばかり追つていかれたのでは、少しもその実質に触れていかれないのではないかと思いますが、この点につきまして、商工大臣の御所見を伺いたいと思います。
  64. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 大体平均五千六百カロリーで、三千六百万トンというぐあいに計算しているのであります。
  65. 海野三朗

    ○海野委員 三千六百万トンの出炭を目標にされただけでは、その使い方が拙劣であり、技術がその点に達していなければ、いくら掘つても足りないということになると、私は考えるのであります。ちようど戰前でありましたが、ドイツは石台の熱管理のことを強調いたしまして、これに國家が力を入れました結果、三〇%の石炭の節約をなし得たであります。日本でも今わが國の学者技術者を動員いたしまして、この石炭の、熱管理に力を入れましたならば、いくらうわせに見積りましても、一〇%の節約は可能であると、私は信ずるものであります。一〇%の節約といたしますと、三千六百万トンに対しまして、三百六十万トンの増産をしたと同じ結果になるのでありますが、この熱管理に対しましては、商工大臣はどういうふうな御所見をもつておられるでありましようか、またそれに対しては、どういうふうな具対的なお考えをもつておられますか、これをお伺いいたしたいと思います。
  66. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいまの御質問でございますが、正直に申しますると、過去における石炭対策はあるいは品質熱管理というものを考えずに、生産増強で量だけを殖やすという傾きがあつたことば、これは率直に認めねばならぬと思うのであります。從つて去年の物價体系が、その前のことは私知りませんが、やはりカロリーによつて價格差をつけて、そういう点にも十分氣をつけてやつております。さらにこの熱管理の問題におきましては、やはり安本と石炭廳の配炭局とがやりまして、きわめて有効適切に、いくべき所に所要の石炭がいくというぐあいにしてやつておりまして、それ以外にこれに対して委員会をもつとか、あるいは技術的の研究をしているとかいうことは、ただいまはございません。
  67. 海野三朗

    ○海野委員 一〇%といたしますと、三千万トンといたしまして、三百万トン、一トンの値段を千円と見積りましても、ここに三億という金が浮いてくるのであります。この三億のうち三分の一の一億をこの熱管理の問題に注がれたならば、非常にそこに利益があがるのではないか、そうして今日この熱管理の問題は、まつたく等閑にされているのでありまして、ここに政府が力を入れておやりになる、そういうことがほんとうにこの増産に役立つのではないか。その点に対しまして、具体的にはまだ十分お考えになつておられないようでありまするが、民間においてもぼつぼつその聲が起つておるのであります。この熱管理につきまして、政府御当局においては、これに協力して何とかこれを推し進めていこうという御所見がおありになるのではないか。またそれは放つておいて、三千六百万トンだけを目標にしておやりになろうとするお考えがありましようか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  68. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいまの熱管理の問題は、去年の夏北海道に参りましたときに、今京都におられまるすが、その当時札幌におられたゼネラル・スウイング氏からも、その点を特に強調されたような次第であるのであります。御趣旨はきわめて結構でありますが、先の御質問は、それに対して具体的にどういう手を打つておるかという御質問をされましてので、先のような答弁をした次第であります。
  69. 海野三朗

    ○海野委員 これにつきましては、やはり政府は今後この方面にお力を入れておやりになるお考えがあるのでございましようか。その御決心を伺いたいと思います。
  70. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 御趣旨は了承いたしました。
  71. 川島金次

    川島委員長代理 ではこの際法務総裁が見えられておりますので、角田君の質問を許します。角田君。
  72. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 法務総裁にお尋ね申し上げたいことがあります。予算の面から見ると、法務行政というものについて、何らの新しい手を打つていない。今日到るところに治安上國民が非常に困つておるというにもかかわらず、何らの新しい手を打つていない。これから具体的に申し上げますが、また憲法ににおいて、財産法の改正が約束されておるにかかわらず、これについてもまだ何らの、着手がない。こういう点において、きわめて法務行政が貧弱であると、私はさように考えるのであります。これからお尋ね申し上げたいと思うのであります。  先般帝銀事件がありました。未だその檢挙に至つていない。これにつきまして関連して申し上げたいと思うのでありますが、昭和二年の三月十九日に、有名な説教事件という事件があつた。これに対したどれだけの捜査の日数と人員がかかつておるかと言うと、延べで六百八十三日間かかつておる。專任の刑事が五千六百七十八人というものが費されておる。このほかに臨時の專任の刑事が五千七百三十二人、合計九千四百十人という警官を動員いたしまして、初めて檢擧したのであります。今度の帝銀事件について、どれだけの捜査をやつておるか、このことを第一にお尋ね申し上げます。
  73. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 法務行政の予算上の貧弱ということにつきましては、まつたく仰せの通りでありまして、私も遺憾に存じておるところであります。國家財政が御承知の通りの状況でありますので、いろいろやりたいことを予算に計上して要求をいたしたのでありますが、あるものは十分の一減額せられ、あるものは全部削除せられ、あるものは二十分に一に減額せられるというような次第でありまして、國家財政の現況上、まことにやむを得ない部分もあるのでありますが、できるだけ努力いたしまして、御期待に副いたいと考えております。  なお犯罪捜査に関する経費というものも、御承知のように若干見込んでありまするが、突発的な重大な事件が起りますると、これを賄うだけの十分の捜査費が計上されておらないということは残念であります。しかしその点は予備金その他から支出しても、必要なる支出はいたすつもりでおるのであります。ただいま帝銀事件について、どれくらいの人員を動かし、どれくらいの費用を使つており、また計上しておるかという御質問でありますが、これは警察の方でやつておりまするので、法務廳は檢事が捜査の指揮はいたしておりまするが、人員をどれだけあるいは費用をどれだけ使つておるというような点につきましては、國家公安委員の方にただいま照会中でありまして、追つて書面その他でお答えいたしたいと存じます。努力は十分しておるようであります。
  74. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 國家財政の窮迫のときてあつて、法務予算が少いことは、まことに遺憾だと言われたのであります。私は総裁に熱意と政治力がないために、こういう結果になつた。こういうことを一應申し上げておきたい。  さらに進めてお尋ねを申し上げたいのでありますが、憲法が國民の自由を保障いたしまして、殊に憲法三十八條によりますと、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」。もとのような警察においての自白を求める強力な方法がなくなつた。そこで今日の状態からいうと重大な犯罪が方々で行われても、まつたくこれに対して檢挙ができない。こういう状況で、國民ひとしく不安の念にかられておるのであるが、これについて法務総裁は、いずれかの方策を講ずることを考えておるかどうか。新しい捜査方法を立案してやつていくというような構想をもつておるかどうか。この点を、ひとつ承りたいのであります。
  75. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 ただいまの新憲法におきましては、自白の強要というようなことができないことは、申すまでもないことでありまして、從つて捜査の方法が、科学的にならなければならないということは、申すまでもないわけであります。そこで私といたしましては、一大科学的な研究所を設置いたしまして、拷問のような野蛮な方法に訴えずして、りつぱに証拠をあげることができるというような方法を、一日も早く完成したいという希望をもつておるのでありますが、一つは犯罪捜査は警察の仕事である。檢事はこれを指揮する権限をもつけれども、直接捜査の任に当るのは警察官であるから、その点につきましては、警察法の立案に際しまして、重要な爭点となつたところであります。結局ただいまのところ、警察がその責に任ずべきものである、從つてそういう犯罪捜査の科学的研究というようなものも、警察の方で設置すべきものであるということに相なりまして、責を譲ることに相なつたのであります。國家公安委員の方では、御承知の通り、これも予算の関係その他から私どもが理想とするような大規模なものは、ただちにはできないと思いますが、近く小規模ながら科学的犯罪捜査の研究所を設置する予定であるのであります。詳細は公安委員の方からお答えをするだろうと思います。
  76. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 科学的な研究所を設置する準備があるそうでありますが、具体的な構想はもつておらないのですか。公安委員でなければわからないかどうか、お伺いします。
  77. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 具体的な内容につきましては、公安委員責任において立案し、実施することになつておりますので、公安委員でないとお答えができないのであります。そういうものを計画しておるということは、政府としても承知いたしております。
  78. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 私はそこで法務行政が貧弱だということを言うのであります。諸外國では、犯罪捜査にあたつてすでに法医官というものを置いて、そうして裁判官と同じような待遇において、方法において捜査の仕事をやつております。そういうことについても法務廰として何らの考慮がないのであるかどうかということをお尋ねいたします。
  79. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 犯罪捜査につきましては、諸外國の実例なども考慮いたしまして、できるだけ法務廰でも、警察の方でももつて一向差支えないが、総上大学に匹敵するようなりつぱな研究所をつくりたいということを、私は熱望いたしまして、いろいろ議に上したのでありますが、先ほど來申しますように、とにかく無電一つ完成するのにも全國網を張ると二百五十億円もかかるというような次第でありまして、すべてが今の日本の財政状態においては困難であるから、少しく待てということに相なつておりまして、はなはだしく治安が乱れるような状況がありますならば、占領軍が日本におる限り力を貸す、こういうような了解のもとに、不完全ながらがまんをしておるような状態であります。その点は御了承を願いたいと思います。但し警察の方では、できるだけ予算を頂戴いたしまして、努力するようにいたしておるわけであります。
  80. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 私はなおそこで申し上げておきたいのでありますが、法務廳においても、今言つたような科学的な捜査の何かをやる。これは研究所じやなく、すでに着手していなければならぬ。これから研究所を置いて養成するなどと言わなくても、今すでに法医学をやつて間に合うだけの者がある程度採用できる。そういうことも法務廳においては考慮していない。また警察の方に全部を任せるがごとき態度では、これはとうてい目的が達せられぬむしろこれは法務廳においてやるべきものだということを、この際総裁に申し上げます。  さらに私お尋ね申し上げたいことは、これもまた予算に関係がありますので、お尋ね申し上げたいのでありますが、憲法の二十九條において、財産法の改正が約束されておるのであります。この点について今法務廳において、どんな程度においてこのことを考えられておるか。まずこのことをお尋ね申し上げます。
  81. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 憲法二十九條は、財産権の内容について、公共の福祉に適合するように規定するということを約束しておるわけでありまして、民主革命に伴いまして、財産権も根本的に再檢討しなければならぬということは考えておるわけであります。從いまして法務廳といたしましては、調査意見部におきまして、大規模な調査委員会を組織いたしまして、これから改正すべき点についての調査並びに立案に着手する予定であります。今日まで、民法の一部改正、刑法の一部改正、民事訴訟法、刑事訴訟法の改正等に忙殺されまして、ようやく最近憲法施行に伴つて緊急に実施しなければならなて法律の制定に、これ日も足りないような状態でありまして、これから財産法あるいは刑法その他の法律につきまして、根本的な改正のための研究調査準備に着手しよう、こう考えておる次第であります。
  82. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 最近汽車その他において相当法律違反の行為がある。そして、それについて、ともすると、これは関係方面からの命令であるというようなことを言われておる向きがある。私は、そういうことがあつてはいけないので、あらゆる問題について、政令をもつて整理をする、法律全体を合理的に憲法の精神に從つてやらなければならぬと思うのであるが、全体の構成についての整理をする考えがあるかどうか。このことを承りたい。
  83. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 御質問の趣旨がはつきりいたさないのでありますが、たとえば、列車内において、横流しをしていけないという食糧品などを運びます者を調査して、規定以上のものをもつております場合に、これを取上げるというようなことは、食糧管理法という法律でやつておるわけであります。大体それぞれ法的根拠があつてつておるのでありまして、それをまじめにやらないのではないかという見地から、占領軍の方面において特殊の監督はするのでありますが、決して法的根拠まで占領軍に任せておるわけではないのであります。從つて、ただいま総合的に何か立法をする意見はないかというお問いでありますが、ただいまのところ、その必要を感じておらないということを申し上げたいのであります。
  84. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 もう一点最後にお尋ね申しますが、最近統制法が非常に輻湊いたしまして、しかも何人でもほんとうに統制法を守ることができないという領域に立至つてしまつた。守らない法律になつてしまつたものが相当多い。一体守れないものでこれを取締るということになれば、これは法律でないのであります。こういう見地から、統制法全体に対して、國民が守り得る程度の改正というものについて、総合的な構想をもたれておるかどうか。この点を承りたい。
  85. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 これはまことにごもつともな御質問でありまして、あまりに統制法規が累積いたしまして、これを一から十まで励行することがむずかしいというような事実があることは、率直に認めざるを得ないのであります。それはひとり法規の面に存する欠点からだけくるとは思われないのでありますが、しかし法規があまりに重復して多いために、いろいろな欠点を露呈しておることも否定できないのでありますから、これは機会あるごとに整理をし、修正を加え、ほとんど毎回の閣議においてそういう仕事を必ずやつておると申してもよいくらいに努力いたしておるのであります。そういう意味においてならば、できるだけ守り得るような統制に直していくように、総合的な努力をいたしておる、またいたすつもりである、こういうことを申し上げるのであります。
  86. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 守り得る程度、そうして改訂を順次やつておる、こういうことをおつしやつたのでありますが、昨年東京地方裁判所に山口という判事が、ほんとうに法律違反をやらないでやつておつたところが、栄養失調になつて死んでしまつたという実例がある。それほどまで今日の統制法というものが行詰つておる。私は考えておく、あるいは今現にやつておるというだけでは、とうていこれは満足すべきものじやないので、一日も早くこれをやるという準備について、もう少し具体的に承りたいと思います。
  87. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 山口判事の場合は、たびたび例に引かれますが、統制物資だけでは生きていかれない、実例になる。むろんそういうことも申されましよう。山口判事は重い病氣ももつておられたのでありますから、なおさら普通の人よりも栄養をよけいとらなければならない状態にあつたのでありますから、そういう意味において、まことに痛ましい犠牲でありまして、政府といたしましても、深く反省させられるわけであります。しかし角田君が仰せられるように、それならばどういうような具体的な案をもつておるか。結局日本は絶対的に物量が不足なのでありますから、どういう案を出しましても、それが絶対的にすべての國民に十分なる生活を保障するということはできない。若干の栄養失調は忍びつつ生きていかなければならない日本の現状でありますから、もしそれを克服できる名案ありと仰せられるならば、ぜひ角田君からひとつ承りたいと思います。われわれは心をむなしゆうしてこれを採用し、実行することに決してやぶさかではないのであります。
  88. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 私のお尋ね申し上げたことは、結局法律が錯綜して、とてもこの程度においては守りきれない、守りきれないものを守れという場合に、これは法律とは言えない。守れないものを守れという。守り得るものであつて初めて法律として制裁ができるのであつて、ともかく、最小限度栄養失調にならない程度において構想を練られてやつていただきたい、こういう意味で、お尋ねを申し上げたのであります。それを私にその名案があつたら承りたい、こういうことをおつしやつて責任逃れをしている。これは法務総裁としては、法律を國民に遵守させる場合においては、守り得るもりを守らない場合、初めて罰し得るものである。守り得ないものを罰するということになれば、これは惡法であつて、法律の本來がなくなつてしまう。そういうことを一体法務総裁はお考えであるかどうか。この御見解を承りたい。
  89. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 守り得ないという見地から立案した法律は一つもないのでありまして、いずれも守り得ると考えて立案しておるのであります。ただ実際面において、守らない場合に看過される、あるいは守られないということについて宥恕すべき理由がある場合に、その処罰について手心を加えるということは、考え得ることでありますが、ただ初めから行われない法律をなぜ出すか、こういうお問いでありますならば、決して政府としては守られない法律を出すというような氣持はないのでありまして、守ることができるはずである。またぜひ守られなければならないという建前で出しておるのであります。しかし國家全体の見地から言うと、物量の絶対不足から、どの法律がどうという意味でなく、全体として國民が非常な窮乏に耐えなければならない状態にあるということは、否定できないのでありますから、そのことを申し上げたわけであります。守つてなお窮乏に耐えつつ再建に進むことが、國民に課せられている義務ではないかと思うのであります。
  90. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 法律を立案する場には、守り得るという見解のもとに立案をしたという、そうであつたでありましよう。しかし今日になつてしまうと、守り得ない法律というものができているのである。そういうものは、刑の処罰にあたる前に、法務廳としてはどんどん廃止していくのが相当ではないかと私は考えます。私が結局今まで問答いたしました最後の結論はそこにあるのであります。もう法律が守り得ないという状態になつておりまして、それを國民に強行するということはいかぬ。適用するということはいかぬ。そういうものを片つ端から整理をして、廃止していつてもらいたい。こういうことを、法務総裁に私は求めるために、前のような問答をいたしたのであります。どうか法務総裁におかれては、そのことについて十分御研究なさいまして、そうして私らの要望を早速実現していただきたい、こういうことを申し上げまして、私の質問を打切ることにいたします。
  91. 川島金次

    川島委員長代理 午前の会議はこの程度に止めまして、午後は二時から会議を開きたいと思います。それまで休憩いたします。     午後零時四十八分休憩      ————◇—————     午後三時開議
  92. 川島金次

    川島委員長代理 休憩前に引続いて会議を開きます。  本日の会議は、この程度に止めまして、明後日は午前十時から理事会を開いて、十一時の定刻に会議を開いて質疑を続行することといたします。これにて散会いたします。     午後三時一分散会