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1948-05-21 第2回国会 衆議院 予算委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月二十一日(金曜日)     午前十一時三十二分開議  出席委員    委員長代理 理事 川島 金次君    理事 稻村 順三君 理事 小島 徹三君    理事 今井  耕君 理事 東井三代次君       磯崎 貞序君    植原悦二郎君       角田 幸吉君    上林山榮吉君       古賀喜太郎君    島村 一郎君       鈴木 明良君    原 健三郎君       西村 久之君    海野 三朗君       岡田 春夫君    黒田 寿男君       田中 松月君    中崎  敏君       田中源三郎君    押川 定秋君       川崎 秀二君    小坂善太郎君       大原 博夫君    世耕 弘一君       野坂 參三君  出席國務大臣         大 藏 大 臣 北村徳太郎君         文 部 大 臣 森戸 辰男君  出席政府委員         経済安定政務次         官       西村 榮一君         大藏政務次官  荒木萬壽夫君         大藏事務官   福田 赳夫君         大藏事務官   正示啓次郎君         文部事務官   日高第四郎君         農林政務次官  平野善治郎君  委員外出席者         專門調査員   芹澤 彪衞君         專門調査員   小竹 豐治君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十三年度一般会計暫定予算補正(第三  号)  昭和二十三年度特別会計暫定予算補正(特第二  号)     —————————————
  2. 川島金次

    川島委員長代理 これより会議を開きます。  質疑に入ります。西村久之君。
  3. 西村久之

    西村(久)委員 私は大藏大臣に対しまして、一昨日同僚の上林山君がお尋ねになりました軍事公債利拂いに関する問題につきまして、まだ了解せぬ点がありますので、順を追つてお尋ねしたいと思うのであります。  軍事公債利拂い停止いたします処置といたしまして、一年間停止をして、その停止せられました利息は、元本償還期に、当該國債利率と同率の利率を附して、元本と一緒に利息を拂うというような意味お話を、総理大臣も、なされておられるのであります。これを一年間繰延べまして、國がいくばくの利益になるのであるか、その点を最初にお尋ね申し上げてみたいと思います。
  4. 北村徳太郎

    北村國務大臣 西村君の御質問お答え申し上げます。この問題は軍事公債というものの範囲をどうきめるかということも一つの大きな問題であります。それでそれがきまりませんと、金額が出ぬのでありますが、今われわれの一應構想しております限りにおいては、的確な数字はちよつとここで申し上げかねますけれども、大体二十六、七億というものが、一應計算の上で出てくるわけであります。これは現在の非常に厖大な、予算の中から申しますと、必ずしもウエイトは大きくないのでありますが、しかし運用によつて、現下きわめて適切な方面にそれだけのものを運用し得るということになりますと——必要にして緊切なることについて、財政上の都合で出しかねる分もございますので、そういう方面に運用いたしますとすれば、これは相当効果的に使えるのじやないか、こういうふうに考えておる次第であります。
  5. 西村久之

    西村(久)委員 すこぶる抽象的なお言葉のようでありますが、総理大臣お話では軍事公債利拂停止をいたしまして、一年間停止いたしましたその利息は、災害復興費、あるいは引揚援護費等に使われる——大きい利息の浮上りを援護費等に使われるというお話を伺つておるのであります。今大藏大臣お話では、軍事公債範囲がまだきまらないということを仰せになつておられるようであります。ところがいわゆる軍事公債と称しておりますものは、大藏大臣の所管であります理財局発表いたしております七百八十四億九千七百万円というものが軍事公債に当るその利息の二十七億一千六百万円というのが軍事公債に現在あたつて、これを軍事公債なりと称しておるのではないかというふうに、実は私思つておるのでありますが、この解釈はまだはつきりついてないということに承知してよろしゆうございますか。
  6. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいま法案をつくつておりますので、これはおそらくあまり遠くないうちに提案をいたしまして、御審議を願うことができると思います。私どもの腹としては、大体ただいま仰せになつたのと違わぬと思うのでありますが、この範囲のきめ方をまず確定した上でなければ、何をもつて軍事公債と称するか、はつきりいたしませんので、特に附け加えて申し上げたわけでございまして、大体私西村君の仰せになつたのと違いはないようにただいまのところ考えております。
  7. 西村久之

    西村(久)委員 そういたしますと、今申し上げました二十七億一千六百余万円に該当いたしますところの利子そのものは、利拂い停止すれば、全額財源に浮くというように承知してよろしゆございますか。
  8. 北村徳太郎

    北村國務大臣 御承知通りその中には預金部に属するものもございますし、從つてその二十七億の利子額が、全額運用できるということにはならぬと思うのであります。預金部等については、これはどうも例外にしなければならぬというようなことに相なりますので、從つて例外のものが出ますからその金額よりは減る、こういうふうにお考えを願いたいと思います。
  9. 西村久之

    西村(久)委員 私の知り得ます範囲におきまして、大体この軍事公債は、市中銀行と、今大臣の述べられる預金部日銀が、八割以上もつていると承知しておるのでございます。そして市中銀行のもつておりますものが過半でありまして、五七%以上に当つておると思うのであります。そうするとこの市中銀行のものを利拂い停止いたしますと、市中銀行には利子が入らぬということになりますが、十四日の夜の閣議決定の御発表によりますと、銀行経営上、利拂未收入として記帳することを認めるというようなことを、御発表になつておるようでありますが、利拂の未收入ということを、銀行の帳面ずらでは認められますけれども、実際の現金がはいらなければ、銀行自体融資の途を考えていかなければならぬと思うのでありまするが、この不足の生じまする金は、政府が補給をするという途をとるのでありますか、あるいは日銀から貸付をさせるというお考えをもつておられるのでありまするか、この点を伺つておきたいと思います。
  10. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答えを申し上げます。これは既経過につきましては、既経過割引料、あるいは既経過利息等には一般に会計的には貸借対照表の借表に記帳するということが、慣例になつております。今回はすでに期間が切れておる、支拂期が到達しておりますから、未收入として貸借対照表の借表にすることを認めることは妥当な処置である、これはさようにいたしたいと思つております。お話のごとくに、かように経営上の処理はできますけれども、現実に金がはいらないではないか、かような、お尋ねであつたと思いますが、これはその通りであります。但し一般企業やり方と違いまして、金融機関銀行それ自体金融をすることを途としておりますから、本年度の新しい貯蓄目標三千億円を目標として、大いに努力してもらつておるわけであります。それで金融機関自体には、経理的には現実に金ははいりませんけれども、金融的には、みずからが金融機関でありますから、これがはいらぬことによつて金融的に非常に困るという場合は、あまり起こらぬだろう。しし起つたらどうするかという問題もありますので、起つた場合は、これは日本銀行において、このことに対して金融的な便宜をはかるということは、從來やつておることでございますから、日本銀行とそれぞれの金融機関との間において、これを適当に処理するということで、大体解決すると考えておる次第であります。
  11. 西村久之

    西村(久)委員 そういたしますと、日本銀行市中銀行の穴を埋める、日本銀行軍事公債利拂停止による欠損と申しまするか、それを背負わなければならぬということになるのではなかろうかと存ずるのでありまするが、そういう結果になるのでございますか。
  12. 北村徳太郎

    北村國務大臣 日本銀行が穴埋めをするかというようなお尋ねでございましたが、これは損益計算上の問題ではなくて、貸借上の問題になります。金融的にと申し上げましたのは、これは貸借の問題であります。損益的の関係は全然ございません。
  13. 西村久之

    西村(久)委員 市中銀行日本銀行から融資を受けまする際に、軍事公債担保として日本銀行はとることを政府はお認めになるのでございますか。この点をお伺いします。
  14. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答え申し上げます。大分話がこまかいところへはいつてきたのでありますが、御承知通り一般銀行の所有しておる公債は、軍事公債に限らず、全公債というものは、百パーセント登録公債になつております。登録公債というものは、日本銀行登録して証券発行してない。從いまして、日本銀行に対して普通銀行厖大担保力をもつておる。いざというときには、これを基礎としていつでも借りられるということになつておりますので、そのうちの一部の利拂金融のごときは、これを特に担保にするとかしないとかいうのでなくて、全部証券発行を省略して登録公債の形式になつておる。かような点において、常時取引をやつておるのでありますから、おそらくこれは円滑に取引が行われるであろう。しかしそうでないときに、さつき申し上げましたように、われわれも政府において一應支拂期を変更したのでありますから、そのことによつて、もしある銀行において金融に困るということがあつたならば、これは斡旋をしなければならぬということは考えておりますが、さようなことはないと考えております。
  15. 西村久之

    西村(久)委員 もし市中銀行軍事公債が、日銀に流れるということになります際には、日銀支拂停止によります利息收入を受けないことになりますので、その結果は政府に納められます納付金が納まらないということになるのではございますまいか。納付金收入が減ずるということになるのでありませんか。その点をお伺いします。
  16. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいまの普通銀行の場合は、さきに申し上げましたように、貸借上の債権債務関係でありまして、損益勘定ではないのでありますから、そういうような問題は起らないのであります。これは金を貸す日本銀行としては債権普通銀行債務であります。貸借上の問題でありまして、損益計算ではございません。
  17. 西村久之

    西村(久)委員 これは問題がこまかになるようでありますが、私の考えでは、こういう処置をやります結果は、市中銀行手持をいたしております軍事公債のごときものが日本銀行に流れ、日本銀行手持をいたしております償還期の近い復金債のようなものが市中銀行に出るということになることを、私は心配いたすのであります。なぜかと申しますと、日本銀行復金債を背負うておりましても、金に変らないのであります。現在政府の意図しております財政計画の結果ならば金に変りません。從いましてこれは市中銀行日本銀行は賣つていく、市中銀行軍事公債をもつておりましても、支拂停止して金に変りませんから、日銀肩代りをしていく、こういうことになりますと、結局その結果は政府が負わなければならぬということになるのであります。そこで復金債権償還期の近いものが日銀から市中銀行に流れてまいりますと、政府政府出資として復金債処理をいたしますあの政府出資金影響を來してまいると思うておるのでございますが、この点に対しましては、そういう心配はないと大藏大臣考えになりますか、お尋ねを申し上げます。
  18. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ちよつとお話の筋が十分私のみこめないのでありまするが、復金債との関係と申しますると、これはわれわれの一つの希望といたしましては復金債市中償還ということを、なるべくしたいというふうに考えておりますが、お話の趣旨は、こういうことをやると、復金債償還影響するのではないかということのように思います。これはあるいは幾分影響するかもしれませぬが、そう大した金額でないということは、本年度貯蓄目標が新預金目標三千億円ときまつておる。それくらいの数字で、昨年度目標額をはるかに突破するという成績をあげておりますので、おそらく今年も目標額以上に達するであろう、かような國民蓄積というものを考えまする場合に、復金債市中償還というものは、今回の支拂が先に延ばされたということによつて、さほど大きな影響をこうむるものではないと、私は考えておる次第であります。
  19. 西村久之

    西村(久)委員 私のお尋ね趣意が徹底しなかつたためでありましようか、お答えが私の質問に該当いたしませんので、重ねてお尋ねいたします。私のお尋ね申し上げた趣意は、日本銀行が背負うております復金債は大きいのであります。この日本銀行のもつております復金債肩代りをしない。政府方針政府出資をして、そうしてこれを肩代りしない方針をとつて日本銀行自体相殺勘定をされるような財政計画をとつておるように、私聞き及んておるのであります。そういたしますと、日本銀行は三百六十億に近い復金債を背負うております。その復金債は、市中銀行にまわしますれば、市中銀行のもつた復金債は、政府出資の形でこれを償還をしていく。こういうことになつて償還されるのであります。そううると償還がしやすいために日銀がもつております三百六十億の復金債市中銀行に流れまして、そうしてそれを政府出資の形で償還をし、一方その身代りとして、市中銀行のもつておりまするところの利拂停止されて、利子がはいらずに困るような軍事公債が、日本銀行の手許にはいつていくというような、銀行金融機関自衛策のような方法にでもなることになりますると、政府のお考えになつておられるところの財政計画に狂いを生じはしないか、こういうことを考えまするので、お尋ねを申し上げておるような次第でございます。
  20. 北村徳太郎

    北村國務大臣 よくわかりました。これは復金債の消化と今度の利拂を先に延ばずということの関係において、普通銀行がもつておるいわゆる軍事公債が、日本銀行の方へ流れこむということのために、これが逆に復金債市中の方へ流れ出すことになりはしないかというお尋ねだと思います。これは先に申し上げましたが、現在銀行が所有している國債は、軍事公債に限らず一切の公債というものは、一〇〇%登録されて証券はないのであります。日本銀行にいざというときには、普通銀行担保のために登録されておる。これは一には証券発行の手数を省き、單に登録されたという形で國債證券にかわつている。この便利な方法をとつておるために、税法等の特典がございまして、これは一〇〇%登録しておりますから、ゆえにこの登録を解いて、新たに証券発行を要求して、そういう手続をした上ならば、一部のものが市場に出るというおそれはございますけれども、今回の一部の軍事公債利拂を先の延ばしたということだけによつて登録を解除する手続をとつて、新たに証券発行を求めて、その求め得た発行された証券というものを市場に売り出すようなことにはならない。そういうことをしなくても、金融の途は十分できるし、おそらく金融の途を求めなくても、この程度のものは済むのじやないか、こういう観測をしておるということは、初めに申し上げた通りでございまして、さよう御了承をいただいてよろしいと思つております。
  21. 西村久之

    西村(久)委員 この利拂停止をいたしまする結果として、市中銀行貸出金利引上をなすようなことに相なる可能性があると思いまするが、金利引上に対しては、政府は嚴重にこれを抑制するというお考えをもつておられまするが、この点をお願いいたします。
  22. 北村徳太郎

    北村國務大臣 これは日本金融政策全般にかかるにとでございまして、從つて重大な問題でございますが、金融政策は、やはり物價政策といつても並行して、いかなければなりませんので。そういう線に基いて、金利引上は抑制の方針をとつております。しかしながら、何と申しても、私の企業であつて事公共性関係するところが大きいということだけをもつて大藏大臣は多少監督をし、必要なる注意を與えることはいたしておるのでありますけれども、戰時時代のような統制はもとよりできないので、これは大体は自治に委ねておるようなわけでありますけれども、物價影響しますから、金利はどんどん上げてよろしいということにはなつておりません。これは全体でただいま自発的に申合せをして、最高の限度をこうきめようというようなことで、きわめて円滑に政府方針とマツチして運営されておりますので、今回のこのことによつて金利が上がるというようなことには相ならぬ、かように観測しておる次第であります。
  23. 西村久之

    西村(久)委員 この軍事公債利拂停止のためにただちに金利引上げを來すようなことは、万私もなかろうとは存じまするが、金利引上を促進せしむる一つ導火線となるのではないかということを、私は心配するのでありますもしそうなつてまいりますると、産業資金等影響を來してまいりまするのみならず、その結果は地方の財政を圧迫するゆゆしい問題に立至ることを心配いたすものであります。しかしながら、この点については、金融界のエキスパートであられる、北村さんに対して、私はとやかくは申し上げませんがとにかくこの二十七億余の利拂を、先ほど大藏大臣のお認めになるように、六億五千万円という金高は、すでに預金部の背負うておるところの金であり、しかもこれを拂わなければ、一般会計から繰入れなければならない。こういう金を差引いてしまいますると、ほとんど使うべき財源は少くなる、こういうふうな結果になるのじやなかろうかと思うのであります。そういう財源を無理にここでこしらえるために、金融界方面の反対を受け、世間にいろいろな疑惑を生ずるような政策を無理にここにやらなければならないようなことは、しなくてもいいのじやないかかように実は考えるのであります。しかしてなされる事柄が政策はつきりするならいいのであります。社会党の言われる通りに、利拂停止せいという停止案にもなつておりません。停止するなという民主党の言われる案にもなつていないのであります。しろともするなともつかぬ、一年利拂を延期するでけで、結論は停止せぬという形になる案でなかろうかと思うのであります。こういうようなことを最後においてなされるということは、私は大藏大臣としては方針はつきりなされておらないではないか、こういうふうに大藏大臣のこの軍事利拂に対する信念を実は疑うのであります。なぜかと申しますと、当初大藏大臣は、委員会を設置して、委員会の決議によつて政府はそれによつて善処して方針をきめていく、その後は停止することを前提條件とする、こう言われて、今度は停止しない、一年延期案をきめる、閣議決定だからその通りきまつたと言われる、まつたく信念のないやり方のように思われるのであります。信念のある財政計画を立て、信念のある金融政策をお立て願いたいと私は考えておるのであります。しかしながら、ここで大藏大臣を私は攻撃するような言葉使つてお責め申し上げるのではありません。これは今日までの成行きで、私が申し上げぬでも周知の事実の現われとなつておると思うのであります。從いまして、私はこの公債利拂停止は清くおやめになりまして、前同樣な形にされて無理なことをなさらない方がいいのではないか。今日世界の人がこの結果による階梯はよく知つておるのでありますから、無理をなさらない方がいいと、私は考えておるのでございますが三党協定の結果であるから、ぜひこれをやらなければならぬというように、なおお考えになられるのか、その点をお尋ね申し上げてみたいと存じます。
  24. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいまの御質問のうち、前段につきましては、これは金利の問題についての御質問があつたのでありますが、これは物價と同樣でありまして、どうも無理な統制はできませんので、國民落積の量と、産業活動の量とをにらみ合わせまして、結局資金供給量が多ければ金利は上らないという大きな原則は、これはどうともいたし方がないのであります。從いまして、健全金融主義に基きまして、國民蓄積の増大に努めておるのであります。そうすることが、金利を上げないことになります。大藏省が権力をもつて金利を抑えてしまうことはできない。その点はなお大藏省として、金利の上に重大なる関心をもつて注意をしておりますけれども、一方において金利供給力を増大する、またインフレを防ぐ意味において協力することを十分努力しなければならない。この点について、さつきの西村君の意味金利の問題は以上のことをもつてお答えといたしたいのであります。  第二段の点につきましては、政府一つの決定した事項として、ここに近く法律案を出すことになつておりますので、できればその法律案には、きわめて具体的なことを織りこむことはもちろんでありまして、これに基いて御審議願つた方が、一層具体化するじやないか、かように思うのでありますけれども、一大藏大臣信念はどうかということではなくして、これは政府一つ方針として閣議で決定いたしまして、政府の案として法律案を提出することになつております。それはさように御了承を願いたい。なぜこういうものを出すかということにつきましては、いろいろの見解があると思いますけれども、この点について論議いたしても、おそらくこれは見解の相違であるということになると思いますので、この点については、さように御了承願つた方がいい。このように思つております。
  25. 西村久之

    西村(久)委員 軍公問題に対しては、これ以上質問は続行いたしません。私は税制問題について、簡単に質問申し上げたいと思います。  政府税制改革をされまして、所得税のうち勤労所得税軽減をはかりまた法人税軽減もはかられて、その財源の埋合せに、新税として取引高税というものを創設せられんとする意図のあることを大藏大臣から御発表になつておられるのであります。私はかくのごとき税は、努めて避くべきものである。かように考えるものであります國民大衆のために税を減ずるということは、いつの世であつても、その精神で臨まなければならない。税を減じてまいります以上は、実際において、國民負担の軽きを念願といたさなければなりません。しかるに減税したと称して、國民負担は軽くならないのでこれは減税の趣意に副わはいのであります。ここが大藏大臣税制改正趣意と、私の見解と違うところであります。税を軽くすることには私は賛成であります。税を軽くして國の歳入が減ります部分だけは、國の歳出をあらゆる部門から削つて、経費の節約をはからなければならないのが、為政者のとるべき途でなかろうかと思うのでありますが、この点に対する大藏大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  26. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいまの御質問は、私も西村君と全然同感でありまして、これは原則論としては、ぜひそうあるべきである。当然のことである。かように考えておる次第であります。
  27. 西村久之

    西村(久)委員 私の意見と同感であるといたしますならば、新税等を創設して、税收をはかられるはずはないと思うのでありますが、新税を創設して平年時に四百億程度、今年は年度半ばであるから二百五十億程度新税を徴收するために、取引高税を創設する意向であるということを、お述べになつておる趣意は、全然お考えと違うような感じが、私はするのでありますが、この点は一体どういうふうに解釈すればよろしいのでありますか。
  28. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答え申し上げます。今回の税制改革は、先に西村君が御質問になりましたところの原則論の上に立つておるのでありまして、それを具体化したと申してもよろしいのであります。從つてお話なつ原則論は、私も全然賛成でありまして、そういう基礎の上に立つておるのであります。それでごく大まかに申し上げますと、大体窮乏した財政の中では、大衆といわず、國民全体に、その力に應じて税を負担していただくということは、これは当然でありまして、そうするよりほかに途がないのであります。一面において歳出を圧縮するということも努めなければならぬ点で、これは申すまでもないのでありますが、それだけでやつていけるか。たとえば一方において勤労者の所得税を減ずる。減じたが、それを減じつ放しにして、一方ではただ單に歳出のみで、それだけのものを切ることができるかと申しますと、それはなかなか困雜であります。特に占領治下にあるために、それに基く特殊な費用——それに関連する費用、直接その目的に対する費用、それに関連する人件費等も相当ありまして、これらの財政を圧縮すると申しましても、おのずから限度がある。ただどういう面を減じたかと申しますと、原則的に申し上げますれば、働く人たちの働く意欲を阻害することを、できるだけ税の面において避けたい。從つて勤労者の最も勤労旺盛な生産年齢、またそういう人々の階級の税を軽くしたい。こういう考え方が一つ。それからひとりこれは個人に限りません。今日のような時代に、生産活動を阻害するような税があつてはならぬ。企業においてもできるだけ活発な活動をやつていただきたいというような意味において、そういう活動をする面に、税を軽減するという建前をとつたのであります。從つてそれから生じた欠陷をどうするかという問題でありますが、これつ勤労に基くものは軽くする。財産から生ずる税のごときものは、この際いくらか負担をしていただくというような考え方をすることが、やはり勤労大衆のために、勤労意欲を旺盛にするものである企業活動を旺盛にするゆえんである、こういう原則の上には立つておるのであります。それで取引高税のことが出ましたが、詳しい法案をごく近いうちに提出したしまして、具体的な御審議を願うことにいたしておりますが、取引高税というものは完全なものであるとは、私ども考えておりません。しかし國家窮乏の今の財政の中において、まずどうしても引下げねばならぬ勤労者の所得税、あるいは農業に関する一部の税、あるいは法人の活動を阻害するような税は、どうしても訂正しなければならぬ。從つてこの税制をかえることからくる財政欠陷をどうして補うかという問題につきましては、もちろん愼重に考えねばなりませんけれども、その中において取引高税のごときは、まず取上ぐべきものである。かように考えたのでござしまして、これを今までの通り勤労所得税を改正せず、あるいは法人税を改正せずして、そのかわりに取引高税もとらぬという状態と比較いたしまして、相対的の関係においては、はるかに進歩したものになる。また先ほど西村君のおつしやつた根本的な原則には、一層副うゆえんであると考えておる次第であります。
  29. 西村久之

    西村(久)委員 大藏大臣の減税をされるお心得は私も了とするのでありますが、その心持と相反する新税の創設に対しまして、大藏大臣のお心持がわからなくなりますのでお尋ねを申し上げたのであります。中央におきましては、取引高税と称する税を新設されて、大衆課税を徴收される。地方税といたしましては、事業税と称するもの営業税の肩代りと称する農業、漁業その他あらゆる仕事をする方面に対する事業税を創設せんとしている。なるほど企業の再建のために減税をはかられる御趣意は了といたしますけれども、こういう税を新設いたしますならば、企業の再建を阻害するのはあたりまえのことであります。企業が成り立つ成り立たぬにかかわりませず、仕事をしますれば、それに対して事業税というものがかかる。こういうことになりますので、矛盾してくる。從いまして、地方税制の改正にあたりましては、少くとも政府は地方の財源捻出のために、地方事業税の点については賛意を表せないというお心持をもつておられるのでありますか。また事業税は地方財源であるから、地方税税制審議会と申しますか、その機関が決定をすれば、やむを得ずして、この議会に地方税制の改正法案でも出すというお考えをもつておられるか。この点をひとつお確めいたしたいのであります。
  30. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいまお尋ねの事業税のことは、まだきまつておりませんので、地方財政委員会において、取上げて檢討中であります。それから税制改革についての懇談会を設けまして、これにもまだ取上げておりませんおそらく近く開くその会では地方税に関しても御檢討を願うことになつておりますから、このことについても、研究をしていただくことになると思います。まだこれは決定はいたしておりません。地方税としても事業税をとつてはどうかというような案が、現にあることは事実でございますけれども、まだ事業税というものを徴收するというふうには、決定はいたしておりません。
  31. 西村久之

    西村(久)委員 未決定でありまするがゆえに、政府とし、あるいは大藏大臣としての御意見を、確かめておるわけでございます。かのくごとき税を徴收するような案に対し、大藏大臣は妥当なりとお考えになられるかどうか、御意見を拜聽いたしておるのであります。他の委員会等の意見はどうあろうとも政府としてはこういうふうな税はとるべきものでないという御見解をもつておるのか、あるいは場合によつてはとつてもよいという御見解をもつておるのかを、お尋ね申し上げたいのであります。
  32. 北村徳太郎

    北村國務大臣 私は大藏大臣の責任において、大体こういうものを新税として取上げると決定すれば、これは意見は必ず申し上げなければならぬと思いますけれども、ただいまとるともとらぬともきまつておらぬのでありますから、とると仮定してどうかとお尋ねがありましても、ただいまそのことについてのお答えはしばらく差控えたいと思います。
  33. 西村久之

    西村(久)委員 私は大藏大臣の今のお言葉には、実は賛成しがたいのであります。地方財政委員会委員会であつて政府政府であるのであります。委員会のきめに從わなければならないことはないと存するのであります。政府政府独自の立場において、政府方針はつきりなされることがいいのではないかと考えます。おそらくこの問題は具体化してまいりまするならば、朝野をあげて反対が出るに相違ないと思います。政府與党間にも、相当反対の声が高まつてまいると考えるのであります。從つて政府政府としてはつきりした腹をおきめになつた方が、財政委員会等の括りをつける上において、はつきりするのであないかと実は考えておるのでありまするが、やはり委員会のきめた政府はじつと見ておるというお考えでありますか、くどいようでございまするけれども、ひとつお尋ね申し上げます。
  34. 北村徳太郎

    北村國務大臣 個人的の見解はむろんあるのでありますけれども、かりにとるとしたらどうするかというような、仮定の上に立つてお尋ねだと思いますので、この仮定に対して、私は財政の当局の責任者として、予算委員会において御答弁申し上げることは妥当でないから、しばらく差控えたいと、かように申し上げるのでありまして、事業税一般につきましては、西村君もおつしやるように、いろいろ批判もされておることは、よく存じておりますまた技術的に相当困難の面もあり、地方の税源として適当であるかどうかというような点については、相当に問題もあると思うのでありますけれども、これ点については、まだきまつたことではございません。地方財政委員会がもつぱら檢討されておるというのでございますから、いずれ決定をいたしました場合には、また決定に至るまでには、おそらくいろいろな輿論にも相当に耳を傾けるべきものがございますから、そういう点については、取入れ得るものは取入れるであらうと考えておる次第であります。同じようなことを繰返すことになりますけれども、これはまだ決定になつておりませんから、仮定を基礎としてここで申し上げることは、かえつて間違いを生じてくるのではないかと考えております。
  35. 西村久之

    西村(久)委員 大藏大臣は私の申し上げることを仮定と仰せになつておるようでありますが、私は仮定を申し上げておるのではありません。今審議されている事業税に対する政府信念を聽いておるのであります。事業税をいろいろ審議しておるが、政府はこれを是と信ずるか、非と信ずるか、政府方針いかんということを聽いておるのでありまして、仮定ではないのであります。重ねて私のお尋ねに対して、はつきりした御答弁を願いたいのであります。
  36. 北村徳太郎

    北村國務大臣 これはただいま申し上げた通りで、まだとるときまつておらないでありますから、私はここで責任をもつて、このことがよろしいとか惡いとかいうことは、申し上げることを差控えたいのです。また財政調査委員会においてせつかく檢討しておるものを、たとえば大藏大臣があれはいけないのだということを言つたということになれば、これはとんでもないことでありまして、その点は全体を総合して考えなければなりませんし、また地方財政の現状等とも併せて考えなければならぬ問題でありますから、そう簡單にはここで申し上げることま困難であると思います。
  37. 西村久之

    西村(久)委員 私は大藏大臣信念を伺うのであります。大藏大臣大藏省大臣として、自分の信念をここではつきり申し述べられたからといつて、地方財政委員会に何も遠慮会釈する必要はないと私は存じます。これは別個な問題であろうと思います。自分の考えはつきり申し述べられた方が、かえつて私は明朗化するのじやなかろうかと考えます。はつきりせぬがゆえに財政委員会はつきりせぬのではないかと思うのであります。しかしこの点は重ねて問いません。政府はかくのごとく地方の財源にあたつて財源緩和のために、いろいろお考えになるでしようが、いろいろなことを考えられないで、分與税分與金一本で賄うていくというふうなことは、考え得られないものであるか、この点をひとつお尋ねいたします。
  38. 北村徳太郎

    北村國務大臣 前の方の問題で多少行違いがあるかしらと思うのでありますが、地方財政委員会は、独立の行政官廳でございまして、これには長官として地方財政委員長がおります。これは私の所管ではない。ただ地方の財政と中央の財政との関係において関連いたしますからという意味で、御質問があつたと思いますけれども、事業税に関する問題については、野溝國務大臣が、地方財政委員会という独立の行政官廳の長官でございますから、むしろその方からお答え申し上げた方が妥当ではないかと思います。この際多少食い違いがあつたかと思いまして、申し上げた次第であります。  それから地方分與税の方針はどうかというお尋ねであつたと思うのであります。このことは、やはり地方の自治制と関連いたしますので、中央で何でもとつて、地方にそれをまわしてやればいいじやないかというような考え方は、税の統制とか、あるいは手数を省くとか、いろいろな観点から益点もあると思います。しかしながら、地方の自主性とか、地方分権というような思想とは、少し逆な傾向にいくようなきらいがないとも言えない。さような点は、地方行政の問題と併せて考えなければなりませんので、いずれがいいか西村君の御持論は、私前にも伺つたことがあるのでありますが、分與税制度一本でいつたらどうか。これはきわめて簡單でありますけれども、地方分権の思想、地方の自主性の問題などと併せて考えますと、なおそれには相当問題が残るのじやないかというふうに考えておるのでありまして、このことはなお私も研究いたしますが、前に申しました地方財政委員会にも関係があるのでありますから、その面においてもお答えを申し上げた方が妥当じやないかと考えます。
  39. 西村久之

    西村(久)委員 上林委員からもお尋ねがあつたようでありますが、所得税軽減したと称されながら、所得税の二十三年度の徴收見込みと申しますか、予定額は千四百億内外になつておるのじやなかろうかと推定されるのでありますが、昨年度所得税が七百億内外でありながら、納税義務者は悲鳴を実はあげておるのであります。これが信頼に近いところの増税になりまして、はたしてこの税收は過重でないとお考えになられるか、これに対するお見透しを伺いたいと思います。
  40. 北村徳太郎

    北村國務大臣 税制に関していろいろ詳しい御質問が相ついで出るかと思いますが、今日の主税局長を呼んでおりますので、主税局長より詳しく御説明申し上げます。
  41. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 私主税局次長であります。ただいま税制改正の問題につきまして御質問がございましたが、御承知のように、この具体案につきましては、一應事務当局の案を税制調査懇談会にかけまして、その懇談会におきまして、各方面からいろんな御意見を伺つておるのであります。私たちはその御意見を非常に重要な参考にいたしまして、いずれこれは時間の関係もありまして、すべてをこれに合わせることも困難でございまするが、できるだけそういう御意見に副うべく、目下國会に提出する案件につきまして、調査を加えておる次第でございます。ただいま西村委員の御指摘になりましたように、二十二年度の徴税につきましてはいろいろな困難があつたのでございまして、この点につきましては、私たちといたしましても、非常に生々しい思い出をもつておるわけであります。これらの点につきましては、二十三年度におきましては、税制、また税の取り方、その徴税機構、あるいは納税の施設という面につきまして、十分な改善を加えまして、かような困難をふたたび繰返すことのないように、できるだけ努力いたしたいという考えでおります。具体的の数字、また税率その他につきましては、いずれ税法自体が提案になりました際に、詳しく申し上げたいと存じまするが、大体の心構えといたしましては、ただいま申し上げたような腹案をもちまして、目下着々いろいろ研究いたしております。
  42. 西村久之

    西村(久)委員 お答えの点は、お答えを願わないでも、私はわかるのであります。昨年の税すらも、目の玉から火が出るような思いをして、國民が納税の完納に努力したような実情にあるのであるが、それに倍加する税を負担せしめて、そして徴收の可能性を見出し得るか。その可能性はいずれの点で徴收し得ると御認定になつたかという点も、お尋ね申し上げておく次第であります。その点がはつきりしないのであります。
  43. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ごもつともな御質問でございますが、昨年度のいろいろな実情等を勘案いたしまして、從つて勤労者の所得税は、大体に引下げる必要があると痛感いたしまして、これを実行しようとしておるのであります。また機能活動を阻害しておるような法人税等についても、これは考え直さなければならぬというので、大体に引下げを実行しようとしておるのであります。ただこの際税を通して國民の納税なさる方々に、非常な苦痛を與えておることは、まことにその通りでありまして、私どもはこのことを決して軽々しくは考えておりません。從つてこれがどうしたら適正公平にいくかという問題こそ、実は重大な問題でございますから、その点について、十分税制調査懇談会等、全國の権威の方々のお集まりを願つて、檢討をしていただいたのでありまして、取入れるべきものは速やかに取入れるという考え方で、今もなおこれは継続中であります。その点は御了承願いたいと思うのであります。從つて今回さらにこの税額が倍加するというようなお話でございましたけれども、さようなことにならないように、ただいま税制改革をやつておるのでありますから、結果としてはそのようなことに相なりません。このことだけは申し上げておきたいと思います。
  44. 上林山榮吉

    上林委員 ちよつと税制の問題に関連いたしまして質問をいたしたいと思いまするが、二十二年度年度末における滯納の額は、約四百五十三億円であつたと思うのでありまするが、現在における滯納の状況は、どういうふうになつておりますか。この点をまず質してみたいのであります。
  45. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 二十二年度末の收入の額は、御承知のように予算を大体上まわるこはと、確実にわかつております。ただ私たち目下計数で非常に困つております点を率直に申し上げますると、御承知のように、二十二年度の税金は、年度末に差迫りましてから、非常に強硬に徴收せざるを得なかつた実情でございます。御承知のように、この会計年度が四月になりますると、二十三年度の最初の月と、二十二年度の最後の月とが四月で重なつておるわけでございます。大体私たちは、今の目標といたしましては目標じやございません。目標といたしましては、百億見当を予算より超過した收入がはいつておるということは、はつきりしておるのでございまするが、実は二十二年度分としての報告があり、中に多少二十三年度分がはいつておりはせぬかという点を、ただいま鋭意研究調査を進めておる次第でございます。滯納の額につきましては、そういう関係をもちまして、はつきりただいま二十二年度分の滯納がどれだけかを申し上げるわけにはまいりません。また滯納というのは非常に技術的な言葉になるのでございますが、税務署が決定をいたしまして一定の期間に納入になりません場合に、これに対しまして督促状を発しまして、その督促の期限になりまして、初めて滯納に整理される次第であります。目下そういう整理の過程にあり、その報告がまいつておりませんので、はつきりとその数字を申し上げるわけにはまいりませんが、御指摘のように大体数百億くらいが二十二年度末においては收入にまりませんで、二十二年度にずれてまいると考えております。
  46. 上林山榮吉

    上林委員 私がお尋ねしたのはそういう趣旨の質問ではないのでありまして、二十二年度年度末において四百五十三億円の滯納があつたのであるが、すでに本予算を実行していなければならぬ時期において、数百億の滯納があるかのごとく答弁せられるに至つては、いかにこの税金の過重なものであつたか、西村君が言われるように國民が目から火が出るような思いでこの税金を納めた、しかも強権を濫用してこれらを納めさせた。もつと惡く言うならば、政府自身の責任をもつてなすことができずして、連合國の力を借りてこれらの納税完納の運動をやつた。ことほとさようにこの税金が過重であつたということは、政府認めるところであるはずでありますが、これらの問題に対して過重でなかつたと思うか、あるいは二十二年度の税金で國民の担税力は精一杯であつたか、こういうような認識の上に立つて税制の改正に当らんとしておるのか、この見解をまず私はお尋ねいたしたいのであります。
  47. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。私たち税の徴收に携わるものといたしましては、できるだけ法律に忠実であることを常に心がけております。二十二年度の税の取り方につきましては、全体といたしましては、税法にお定めになりましたものを、百パーセント徴收し得なかつたという点は、慚愧にたえないと考えておるのであります。むろん部分的には、いわゆるバランスの、とれない面もあろうかと存じますが、全体といたしましては、税法以上の税はとつておらぬ。こういうような考えをもちまして、すなわちその点から税法でおきめになりまして通りの税がとれないという点に、今度の税制改正の第一の必要な理由がある、かように考えておるのであります。税制が現在の経済の実情から申しまして、相当高くなつておる点は、はつきりと認めまして、私ども事務当局といたしましては、その面からどうしても税制改正が必要である。かような認識を非常に深くもつた次第であります。
  48. 川島金次

    川島委員長代理 ただいま文部大臣が出席しております。海野、上林山兩君より質問の通告がありますから、これを許したいと思います。
  49. 上林山榮吉

    上林委員 ちよつと待つてください。その問題について、もう少しですから——
  50. 川島金次

    川島委員長代理 それでは簡單にお願いいたします。
  51. 上林山榮吉

    上林委員 ただいま政府委員の答弁によると、われわれ徴税に当る者としては、法律に忠実でなければならない、こういうことを言われたのでありまするが、その後段において、事務当局としては、税金が過重であつたということも認める。こういう答弁のようでありましたが、私はそういうような官僚的な考え方をもつがゆえに、現政府の税行政あるいは徴税その他に関するところの國民の怨嗟の的というものが、さらに強くなつてくるのであつてその強くなつた所に対しては、政府の実力をもつてしては、これをとり得ない。結局は連合軍の力を借りて、これをとらなければとれなかつた、こういうことになつてくると思うのであります。言うまでもなく、法は法なきを期するところにある。いわゆる國民がいかなる実生活をしておるか、はたして担税能力があるか、税金は過重ではないのか、徴税技術にはあまりにも複雑な官僚的な欠陷があるのではないのか、こういうような國民の実態に即して、実態をまず把握して、しかる後にきめらめたる法規をいかに拡張し縮小して解釈して実情に合していくか、これがいわゆる行政官としてのあたりまえのやり方でなければならない。それを法律に忠実であつたがために、過重であるとは知りつつもこれを実行した。こういう見解に至つては、私は今日本の官僚の中に、まだそういうような封建的な考えをもつた官僚がおるかというようなことを言わざるを得ないのであります。そこで私は申し上げるのでありまするが、そういう建前から徴税事務に当るがゆえに、形式的な法律に忠実であるがゆえに、所によつて予算目標を上まわる徴税をしておる。國民はすでに目標を超過して税金を收めておる。それでもまだ滯納をした形で、税務署によつては数千万円、あるいは所によつては数億円というような額が、滯納額として残つておるのである。こういうような点に対して、政府は、殊に大藏大臣は、いかなる見解をもつておられるか。政府予算目標をおいて、しかもそれを上まわつてすでに徴税が済んでおる。しかもまだ数千万円あるいは数億円と、所によつては滯納額として残つておる。これをはたして收入し得るだけの自信があるのか。あるいは自信がないとすればこの歳入欠陷を何によつて補わんとするのであるか。すでに二十二年度予算がきて、私の言葉をもつて言わしむれば、数箇月の間、政治的、予算的空白時代が実現しておる、こういうふうに先般から申し上げておるのでありまするが、これに対するところの見解を正直に、政治的取引考えずに、大藏大臣は答弁を願いたいのであります。
  52. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいまの上林山君の御質問は、二段にわけて考えます。一つは税政策に関すること、一つは税行政に関するものであつたと思います。それで前段にお述べになりました税行政に関する面について、どうも法の執行に忠実であるというようなことが、きわめて苛酷であつたのではないかという御質問であつたと思います。これはむずかしい問題でありまして、それでは一地方の徴税に関する官吏が、自分たちの多少の主観を交えて法の解釈をゆるやかにしていいかということになると、これは重大な問題である。從つてこの点に関しましては、いやしくも最高の権威たる國会において定められた法に基いてこれを執行するということについては、その前にどこまでも忠実でなければならぬということは申すまでもないのであります。しかしながら、この課税の額をきめる法の執行においては、どこまでも嚴正忠実でなければならないということは、申すまでもないのでありまして、そのことのために、どういうことがあつても嚴正中立を守り、法を犯してはならぬということ、一面において課税の場合にはどうやるかという税政策の面から申しますと、これはどこまでも実態を把握するということでなければならぬ。お話のごとく、われわれもやはり納税者の一人として、主観的には苦痛を感じておる。從つてこれは多くの方々が、今日の窮乏した日本の現状において、税負担というものは、相当われわれに対しては重いものであるということは、申すまでもない。しかしながら、これは何によつてがまんしてもらうかということになれば、それは実態を把握するということでなければならぬ。ただいま税收入などで目標という言葉をお使いになりましたが、しばらくその言葉を使うと、目標を突破しておる所があるじやないかというお言葉がありましたが、それはしばしば問題になりますところのインフレ利得者の追求ということを相当やつたつもりでおります。また中間で賃金ベースが変つたというふうなこともございまして、それらからくる源泉課税があがつていつたというようなことが、たまたま結果として百パーセントを超えたという事実があるのでありまして、そのことをもつてただちに苛斂誅求したために税が百パーセント超えているんじやないかというような御理解であるとするならば、それはそうではない。具体的に個々の事実については、そういう事実があるという點を御了解願つておきたいと思うのであります。もちろん申すまでもなく、これは公正でなければならぬし、また的確に実態を把握しなければならぬ。それでは今は実態把握において遺憾がないかというと、残念ながら遺憾があるので、いろいろ機構に改革や増員ということについては鋭意努力しております。この点はだんだん改善をしなければならぬというので、しばしばそういうようなことに関しての会議等を開いて、われわれの考えておる点が十分末端まで滲透するよう努力を続けておるのであります。この点御了承願いたい。
  53. 上林山榮吉

    上林委員 事務当局も大藏大臣も、二十二年度の税金が過重であつたということはお認めになつておる。しからば二十三年度所得税の予想額二千五百億円だと、われわれ聞いておるのでありますが、大体その額でありますかどうか、この点をまずお尋ねいたしまして、便宜委員長の了解を得て、もう少し結論を得たいと思います。
  54. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいま二千五百億という数字をあげられたのでありますが、私たちも先ほど申し上げましたように、まだはつきりと実は最終案が決定いたしておりませんので、大体の見当としてというお話でございますが、私たちは税の收入全体が、大体そのくらいというふうな考えをもつております。
  55. 川島金次

    川島委員長代理 この際文部大臣の出席がありますので、都合上文部大臣に対する質疑をお願いしたいと存じます。最初にきわめて簡單だそうでありますから、海野君の御質疑を伺います。
  56. 海野三朗

    ○海野委員 文部大臣お尋ねいたしますが、前の予算委員におきましても科学技術の振興に対して、文部当局の所信を伺つたのでありますが、その後の状況を見ると、一向その方面に対しては、力をあまり入れておられないように考えられるのであります。たとえばこの前も申しましたように、石炭の不足に悩んでおる今日、また中小工業の築炉の方面につきまして、非常に業者が無知で困つておる。学術振興会のある委員会におきましては、これを強力にしようと努力をしておる。そのことに対しまして、政府はすでに補助金の申請をしておる学会があるのでありますが、それに対しては、文部当局はまだ実行に移しておられないのでありますが、この点はどうしたものでありますか、文部大臣にお伺いしたいのであります。
  57. 森戸辰男

    ○森戸國務大臣 海野委員のおつしやいましたように、技術科学の振興については、われわれ最善の努力をいたしておるのであります。しかしこの費用は本予算に計上されておりまして、本予算がまだ決定されておりませんので、遺憾ながら、そういう方面に必要な補助がいきわたつていないという現状にあることを、御了承願いたいと思います。
  58. 海野三朗

    ○海野委員 ただいまのお話では、本予算に計上しておるということでありますが、世に中はずんずん変つていきつつあるのであります。この際何とかそういう方面に手を打たなければ、一日遅れれば一日だけ莫大な損をする状態であると、私は考えるのであります。また去年の暮におきましては、この学会の学術の報告につきまして、文部省の方から多少の援助費が各学会に対してまことに雀の涙ほど注がれたようでありますが、これは注がれないよりはるかにいいのである。これを本年度におきまして、またやつていたたかなければ、せつかくの学会の報告が世に現われないのであります。どうか文化日本の建設に対しまして、この方面日本人のすぐれた研究を公にすることを、もつと急がなければならないと思う。今本予算に計上されないと言われたのでありますが、そういうことではいけない。何とかそこに手を打つことが為政者としてやらなければならないことと思います。一日遅れば一日、二日遅れれば二日だけ多大な損を招くのであります。この点に対して文部大臣の御所見を承りたいと思います。
  59. 森戸辰男

    ○森戸國務大臣 至極ごもつともでありまして、私ども、できるだけさように取計らいたいと思いますけれども、國費の支出につきましては、御承知のように、予算によらなければならず、その費用についても、予算と関連して考えなければなりませんので、本予算の提出も間もないことでありますから、それをまたないとただいまのところ何とも扱えないのではないかと思います。この点はなはだ遺憾に存じておりますけれども、さような事態にあることを御了承願いたいと思います。
  60. 海野三朗

    ○海野委員 この各学会に報告費の援助は、本予算に計上してありますか。
  61. 森戸辰男

    ○森戸國務大臣 本予算には計上さされております。
  62. 川島金次

    川島委員長代理 海野君ちよつとお諮りしますが、ただいま安本の政府委員が幾人か見えておりますが、この機会に安定本部に対する御質問がありますれば、簡單にお続け願いたいと思います。
  63. 海野三朗

    ○海野委員 それではこの前も申したのでありますが、東北の方は非常に寒い。殊に九州方面とは非常に氣候の差がある。それにもかかわらず、繊維品、糸の配給につきましては、九州から北海道までみな同じにやつておる。そういうことは私は間違つておることだと思います。それに対しては、安本ではやはり今もその制度を改めないで、寒い地方と暖かい地方と糸の配給が同じだ。市場を見ればやみ糸がたくさん賣られているけれども、一般大衆はこのやみ糸を買うところの金に乏しい。それであるからして、政府としては、この糸の配給を氣候とにらみ合わせてやつてくれるのがあたりまえである。こういうふうに考えるのであります。この点に対して、安本の御所見を伺いたいと思います。
  64. 西村榮一

    西村(榮)政府委員 ただいまの海野委員の御質問は、きわめてごもつともだと存ずるのでありますが、いろいろ技術的に操作が困難な点もございますので、よく事務当局と打合せをいたしまして、次の機会にお答えいたします。
  65. 海野三朗

    ○海野委員 前議会におきまして、配給課長の話を聽いたのでありますが、上の方からそういうふうな指令がないから、このももやつておるのであるという、至つてのんきな答弁であつたのであります。それはつまり上の方からこれを改めるという命令を出さないからである。つまり政府の首脳が怠慢である。それがために、一般の農民大衆が非常に苦しんでおるのであるこの点につきましては、安本として、もう少し眞劍に國民生活の上を考えてもらいたい。ほんとうに笑われるような話でありますが、腰巻の糸が切れても縫うべき糸がない。そういうふうな状態なのであります。それをもつと國民生活を直視してやつてもらわなければならない。しかるに前議会において配給課長の話を聽いたときに、上から命令がないからそのままやつておるという話でありました。地方には測候所があるはずである。よく氣温の変化もわかつておるはずである。これを参考にして、國民生活をもつと直視してもらわなければいけないと考えるのでありますが、ただいま政府委員お話では氣候がむずかしいとか、あるいは時候がどうだと言われることは、どうも納得がつかないのであります。政府委員の確たる信念を伺いたいと思います。
  66. 西村榮一

    西村(榮)政府委員 率直にお答えいたしますが、当委員会からは安本の政府委員が出て説明せいというお話でありましたので、実は金融か長期計画に対する御質問だと存じまして、その事務責任者とともに参つたのでありますが、糸の問題ということは軽視しておるわけではないのでありまして、海野さんの御質問は、まことにごもつともだと思うのでありますが、何分にも私就任早々でこまかいことを聽いておりませんので、ただいま御説を承りまして、きわめてごもつともだ、暑い國よりも寒い國の方がたくさか着物を着るから、糸の配給を殖やすのが当然だという御質問は、まことにごもつともだと存じますので、歸りまして事務当局とよく打合せいたしまして、御満足いくかいかないかわかりませんが、相なるべくならば、行政上差支えない限りにおいて、御趣旨に沿うように努力いたしたいと存じまするが、正確な答弁は後の機会にひとつ了承願いたいと思います。
  67. 川島金次

    川島委員長代理 午後は二時定刻から会議を縫行することにいたしまして、休憩いたします。     午後零時四十九分休憩      ————◇—————     午後三時十二分開議
  68. 川島金次

    川島委員長代理 これより会議を開きます。  質疑に入ります。海野君
  69. 海野三朗

    ○海野委員 初めに農林当局にお伺いいたしたいと思いますことは、去年の九月三十日に早場米を供出しました農民に対しまして、お金を半分即座に支拂つた、あとの半分は本年の二月二十日過ぎになつて政府から支拂つたのであります。その間それに対しての利息というものは、少しも政府支拂つていない。しかるに税金の取立てをみますと、三月三十日に農民が申告した税金を納めたのでありますが、四月の十日ごろになつてから、農民の申告した税金は間違いである。それはこれだけよけいなんである。その決定額が通知それました当時に、四月一日からその日にちまで日歩何銭という督促料を加算した税金を頭からぶつつけておるのであります。一方においては、政府が金を支拂うときには利子をつけないで、農民の方に対しては、予告なしにその超過額に対して督促料を同時に請求するということは、淳朴なる農民が政府を信用しないことになるのであります。この点について、この前の予算委員会のときに質問をいたしまして、よく調査をするという答弁でありましたが、その後どういうふうに措置をとられたのであるか、それを大藏及び農林当局に対してお伺いしたいのであります。
  70. 平野善治郎

    ○平野政府委員 ただいま海野委員から御質問の米の買上代金が非常に遅れまして、しかもその取立てが嚴重であり、また課税の方法において適当でなかつたというお話がございましたので、これに対しまして、農林省としてのお答えを申し上げます。買上代金の支拂の迅速については、これは供米促進上からも、あるいは再生産の確保からも、非常に大切なことでありましていろいろ苦心しておるのでありますが、昨年の産米につきましては、当初米價の決定が遅れましたので、暫定價格によつて支拂いまして、その後決定による差額を追加して支拂つたような関係もあり、また農業会等の事務員不足のために、実際生産者に支拂いが、多少遅れたような事情の生じたこともありまして、この点ははなはだ遺憾としておるところてあります。しかし今回は食糧管理法施行規則の一部改正を行いまして、集荷制度が全面的に改められまして、代金支拂方法も、食糧檢査官が主要食糧買入代金支拂証票を直接生産者あてに発行しまして、生産者はこれによつて自分の選抜する金融機関から、証票と引替えに好む方法によつて支拂を受ける建前となつておりますから、代金取得は、今度は遷延するようなことがない、こういうふうに措置を講じておる次第であります。  なお税金が実際の農民の所得以上に苛酷であるというようなことは、あり得べきことでもないのでありまして、農林当局といたしましても、種々大藏省とも折衝しておりますが、課税の実際につきましては、大藏省から御答弁があろうと思います。
  71. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいまの所得税の更正決定に対しまして、加算税がかかつたという問題でざごいますが、これは建前といたしますと、百パーセント申告納税されました方と、そうでない方とのつりあいを考えますれば、どういたしましても、加算税はかかるというようになつておるのでざごいます。ただ昭和二十二年度の課税につきましては、これは新しく根本的な税法の改正もございました関係もありまして、しかもそれが年度途中で追加予算関係で殖えたような面もございまして、年度押し詰まりましてから、いろいろと御無理なことをお願いしたのであります。さような点にも、われわれも考えるところがございまして、大体年度末押し詰まつてから更正決定が出たよよな場合の措置といたしまして、年度内にこちらが更正または決定いたしました税額を納めたいというふうな場合は、加算税はとらないというふうに、途中で方針をきめまして、各税務暑に通知いたしたようなわけでございます。なおそういうことが少し時期的に遅れましたような関係もありまして、ただいまのお話のような事例もあるかと思うのでありますが、これはその後になつて調整をいたしておるのでございます。なおまた今申し上げますような事情がございましたので、百パーセントまでは納めきらなくても、八割見当お納めになつて、あと多少五月に残るというような場合におきましても、加算税はとらないというふうに通知をいたしておる次第であります。今申し上げたようないろいろな事情で、手続関係等多少時間的に余裕がございませんために、第一線の税務暑の方でも、さような通諜を出したようなところもありますことは、事実であると思いますが、現在のところは、そういうふうに方針を一定いたしまして、第一線も十分承知いたしておりますので、さように御了承願いたいと思います。
  72. 海野三朗

    ○海野委員 ちよつと重ねてお願いたしますが、そういうような場合には、初めに決定額を通知して、それからあとて督促状をつけるようにという指令を全國にお出しになつたのでありますか。
  73. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいまのお尋ねの点は、初めは税の法律その他政令等に定められました通りに税務暑が取扱うという建前であつたのでございますが、その後各地からの御希望、御意見等もございまして、われわれとしましては、本年度の特別措置といたしまして、後刻になりまして、本年度に限り臨時に、四月中にお納めになつたものは加算税は免除するというふうにいたしたのであります。なおお言葉の中に督促ということがございましたが、これは加算税ということは、督促の意味もある程度ございまかが、大体先ほど申しましたように、正当にと申しますか、要するに所得の御申告が百パーセント正しく、その申告した期限までにお納めになつた方と、そうでなくて、税務署がその申告に対しまして、なお申告漏れのようなことがあると認めまして、更正決定をし、それからお納めになる方とのバランスを調整するための加算税でございます。で更正決定等の通知がありましても、お納めにならないような方々に対しましては、さらに期日を定めまして督促をいたします。その場合に初めて延滯金というものが起つてまいるのてありまして、今の御質問は、加算税の問題でございまして、これは当初申し上げましたように、法令通り取扱うというのが建前であつたのを、途中において諸般の情勢から、本年度に限り、特別に加算税は免除するという処置とつた次第でございます。
  74. 海野三朗

    ○海野委員 今私の申し上げた言葉に誤りがあつたかもしれませんから、もう一度申し上げて、御所見を伺いたいと思います。三月三十日に農民が申答しました。その税金を完納しておるのであります。ところがその後税務署の方から、お前の方の申告は正しくない実はこれだけ不足しておるんだ、これだけ納めろ、その差額に対しては三月三十一日を経過しておるから、日歩五銭という督促料がこれに加わつているんだ、その督促料もろとも決定額と同時に請求しておるところが多々あるのであります。これは一旦通告してから納めなかつた場合につける督促てあるべきなのに、決定と同時に税務署の方が怠慢であつたにもかかわらず、それに対する延滯金、つまり督促料をつけて農民に請求することが間違つておるのではないかということを、お伺いしたいのであります。百姓は実に淳朴なものである。その淳朴な百姓をして、ほんとうに政府を信用せしめなければならいと思いますがゆえに、農民の聲といたしまして、これを大藏当局にお伺いするわけであります。
  75. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいまお答え申し上げた通りでございますが、要するにこの申告納税に根本的に改められました関係で、從來と多少税の建前が変つておるのでございますが、今のお話のように、二十二年度におきましては、申告されました所得額あるいは税額が、そのまま正しいものとしてとつた例が、非常に少いものでございますから、一般的に申告に対しまして、更生決定というようなことが行われましたことは、まことに遺憾なことでございます。從いまして、今海野委員の御指摘になりましたように、大多数の農家の方々に対して、税務署としては、更正決定の通知をせざるを得なかつたのであります。税の建前は、あくまでも申告納税になつておりまして、現にアメリカあたりでは、申告納税によるものが大体九七%いつておる。残りの三%について、わずかに更正決定が行われておるというふうな実情になつておるようでございます。遺憾ながら、日本は申告納税の最初の年であつた関係もありまして、大多数の納税者に対して、更正決定をいたしたのであります。税の建前では申告納税でありまして、先ほど御指摘になりました三月三十一日でお納めになつた分が、百パーセント正しく、あとで更正決定の余地がないという場合でありますと、お話通りこれは加算税のかかる余地は全然ないのであります。ところが、たまたま十人のうち九人の方々は、三月三十一日までに正しく百パーセント申告してお納めなつた。しかし一人だけ申告漏れがあつたということで、更正決定が行われた場合に、この九人と一人のバランスをとるために続けられたのが、加算税でございまして、いわば金利に相当するものというふうに考えられるのであります。從いまして、この更正決定は、今のように大多数であつたという点から、いかにも加算税が督促料、延滞金のような感じを與えたのでございますが、これはどこまでも先ほど申しましたような建前で税法はできておるのでございます。その点につきまして、先ほど申しましたように二十二年度に限り、特に臨時的な措置を講じまして、四月末までにお納めになつた場合には、この加算税を免除するということにいたしたのであります。更正決正でさらに納期を指定いたしまして、その納期に残りをお納めにならないものに対しましては、これはさらに督促ということをいたします。その督促を行いまして、その督促の期限内に、お納めにならない場合には、これはまた改めて延滯利子をかけることになります。そけでもなおかつお納めにならない場合には、追徴税をかける。かような三段階になつておるはずでありますから、この点二十二年度の税のとり方が、非常に年度末に押し追つてからいたしましたために、いろいろそういうふうな感じも與えておる点は、われわれも十分承知いたしておるのであります。その点につきましては、先ほど申し上げましたような措置を講じまして、二十二年度の特殊事情に対應するようにいたしたのであります。その点は御了承願いたいと思います。
  76. 海野三朗

    ○海野委員 ただいまの加算税のことについて、私がいろいろ申した要点はそこにあるのではありません。その加算がすでに三月三十一日までに納めなかつたからというので四月に決定額をやつたときにすでにそれに督促料をつけて請求しておるということは、違法ではないかというのであります。一旦これだけ加算税を納めろ、納めろと言つておるのに納めなかつた場合には、督促料は当然つくのでありますが、決定と同時にもう督促料をつけて請求しておるというのは違法ではないか、こういうのであります。
  77. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 私の申し上げることが、要領が惡くて御理解が願えないのではないかと思いますが、申告所得額それに対應する税額と、更正決定しました税額の差額は、これはいわば追加される税額になるわけでございます。それに対しまして、税法にありまする日歩五銭の割合で加算税を納めなければならぬ、こういうふうに税法がなつておるのであります。この日歩五銭というのは、先ほど申しました金利に相当するというふうな考え方でございます。それをつけたのはどうも困るじやないかという御意見のようでございまするが、その点は先ほど申し上げましたように、年度内にお納めになつた場上は免除するという措置を講じておるのであります。一般的には、私たちはどこまでも申告納税で、百パーセントお納めになつたあとで、追加されて更正決定が行われないことになりますれば、加算税のごときものは、これは実際なくなるものだというふうな考え、またそういう事態が早くくることを望んでおる次第でございます。
  78. 海野三朗

    ○海野委員 それは督促料をつけるのが当然でありますが、そこを言うておるのではありません。加算税がこれだけであるということを通知して、それを何日まで納めろ、こう言つて納めなかつた場合に督促料はつけるべきものであつて、初めから加算税はこれだけだと決定したときに、同時に前にさかのぼつて、三月三十一日までにお前はこの加算税を納めなかつたから、それに対しての督促料だと言つて、税務署から請求しておる。そういうことは間違つておることではないかと私は言つておる。前に加算税を少くともこれだけ納めろと言うておいて納めなかつたならば、これにつけるのが当然であるが、決定通知と同時に税務署がサボつてつて、二十日も通知をするのが遅れた。その日数に対して日歩をつけて請求しておる。それが違法ではないかと、私は申すのであります。
  79. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 これは法律上は違法ということにはならぬのでございますが、今御指摘になりましたようなことは、申告などの前に十分に各納税者につきまして、大体あなたの所得は今年はいくらであるということとをよく指導が徹底いたしまして、そして先ほどお話になりました三月末日に、大体各納務者の方々が百パーセント申告した通りお納めになる、それで税務者の方も何ら異論がないということになりますれば、一番いいのでありますが、残念ながらそうでなかつたのでございまして、これは具体的に数字で申し上げるといいと思うのでございますが、納税者が自分は年所得を大体一万円と考えて、それに対する税額をはじいて申告をします。海野さんのおつしやる加算税という意味は、今年は税務署からそれに対して一万五千円という所得の決定をして、それに対する税額をはじいたといたしますと、その差額が加算税というふうに、先ほどからお考えのようでございますが、実はこれはわれわれの方としては、更正決定額と申告額との中間差額にすぎないのでありまして、その差額に対して日歩五銭という加算税が法律上当然つくというふうに現在はなつておる次第であります。これはどこまでも督促料ではなく申告額と更正額の差額に対する利子というふうな考え方でやつておるのであります。ただ先ほど申し上げたような事情で、二十二年度に関しましては、年度内に差額をお納めになつた者には免除するという処置をとつております。
  80. 海野三朗

    ○海野委員 今例をとつて申し上げますと、百姓の方では三月三十一日に一万円納めた。ところが税務署の方から一万五千円であるという通知を受けましたのは四月の二十日ごろであります。そうしてその五千円に対して、四月の初めからその通知するまでの日数に対しまして日歩いくらという督促料を加えて、これを農民に要求しておるのである。それは間違つておることではないか。一万五千円だということを通知すると同時に、税務署が遅れたその日数に対して日歩をちやんとつけてきておるのです。それが私は間違つておるのじやないか。こういうことをお伺いするのです。
  81. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 重ねて申し上げますが、税法は今税務署がやりました通りになつておるのであります。なぜなつておるかは、先ほど申し上げましたように、初めからたとえば一万五千円納めになつた方と、初め一万円しかお納めにならなくて、五千円をある日時が経過いたしました後に税務署が決定いたじました者との間の不均衡のないように、日歩五銭というものがかかつてまいる。かような建前になつておるのであります。しかしそれは海野さんも今年の二十二年度の税の取り方のことを頭においてお考えのようでありますから、いかにもごむりのようにお考えになつておられるようでございますが、その点われわれもいろいろと事情を調ベまして、その点にむらな点もあつたかと存じましたので、二十二年度に関しましては、その期日までにお納めにならなくても、四月中にお納めになつた方に対しては、一万円に対する日歩五銭の加算税も免除して、五千円だけお納めになればよろしい。こういうような処置を講じた次第であります。
  82. 海野三朗

    ○海野委員 それで今お話のようにそれでよろしいという通知を税務署にはお出しになつたのでありますか。
  83. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 出しました。
  84. 海野三朗

    ○海野委員 それから農林当局にお伺いしたいのでありますが、神社及び教会の所有している田畑であります。この田畑は一般に農地改革によつて所有することができない形になりまして、耕作者に移管されることになりましたが、寺院がもつている田畑をその当時の寺院の住職たる者が耕しておる。ところが、本山からの命令によつて、その寺院の住職が轉々するのであります。そうしますと、今度は耕す人に耕作権を認めたのでありますから、本山の命令をきかないでさようならして、これだけの田畑を私が耕しているのだからということで、傍の方に家を建ててその土地を耕しておる。そういうことになりますると、寺院、教会に寄附された田畑は、その人に寄附したのではなくて、寺院、教会が維持していけるように寄附したのでありますが、それを何ぞや、この耕す人に與えたことになる。耕す人の耕作権を認めることによつて、その寺院なり教会なりがほとんど骨拔き同樣になつて、何ものも財産が残らないことになつてしまうのでありますが、農林当局ではそれをどういうふうにお考えになつておりますか、お伺いしたいと思います。
  85. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいまの海野委員の御質問は、ごもつともであります。寺院あるいは教会等の宗教團体のもつておる土地は、一切あげて政府が買收しておる土地でございまして、ごもつともな御意見でありますけれども、もとの寄附いかんにかかわらず、現在においては、政府がこれを買收いたしまして、そうして耕作に適当であると認める者に賣渡をなすことになつておりますので、個々の宗教團体について、前からのいろいろないきさつ等を考えますると、お説のような点は、ごもつとものようにも思いますけれども、ただいまの法律では、残念ながらそれが神社や佛閣、教会等の永続的な所有権にならないという実情でございますので、御了承を願います。
  86. 海野三朗

    ○海野委員 今お話のそれは法律できまつたからとおつしやつておられるのでありますが、そうしますと、そこに留守居をしておつた者、つまり二、三年耕作をしたことのために、田畑がその耕作した者の所有になつてしまうということによつて、その教会なり寺院なりが骨拔になつてしまう。つまり地方民の信仰の殿堂であるところのそういうものが、あとはどうなつてもいいという政府当局のお考えであるか。道義地に落ち、今日のごとき國民に宗教心のないときにあたつて、なおかつそういうことを政府がおやりになつて、あとは構わないということは、私ども國民として納得ができないのでありますが、それに対して政府御当局は、ただやむを得ないという、お考えなのでありましようか。それをお伺いしたいと思います。
  87. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいまの海野さんのお説の通り、宗教的に見まして、日本の古來からの傳統という方面から見ますと、私ども個人といたしましても寄附者、あるいはその田畑が現在形成されておる歴史的なことを考えますと、できるだけその所有が、そういう宗教團体と離れない方がいいようにも願えられますけれども、農地改革の基本的な問題といたしましては、自作農として精進する見込みのある者に対して、その耕作地を與えて、わが國の食糧増産に寄與させたい。こういう念願でありますので、あるいは個々の問題につきましては、本山等の命令によりまして移譲した場合に、思うようにならない点があるかもしれませんが、ただいまのところにおいては、実際問題として、次に代つてくる人も、自作農として非常に精進するようになつていただけば、法律的には別といたしましても、実質的には継続ができるのではないか、こういうふうに考えております。また農林当局といたしましては、農地改革の基本的問題として、田畑は自作に精進する見込みのある者に賣り渡しますけれども、宗教がますます健全に発達するように念願はしておる次第であります。
  88. 海野三朗

    ○海野委員 私の質問はまだありますが、今は本会議がありますから、この次に延ばしていただきたいと思います。
  89. 川島金次

    川島委員長代理 明日は午前十時より引続き会議を開くことといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十二分散会