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1948-04-02 第2回国会 衆議院 予算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年四月二日(金曜日)     午後二時二十五分開議  出席委員    委員長代理 理事 稻村 順三君    理事 川島 金次君 理事 小島 徹三君    理事 苫米地英俊君 理事 川野 芳滿君    理事 東井三代次君       海野 三朗君    加藤シヅエ君       河合 義一君    黒田 寿男君       竹谷源太郎君    押川 定秋君       川崎 秀二君    本間 俊一君       古賀喜太郎君    鈴木 強平君       高橋 長治君    小坂善太郎君      長野重右ヱ門君    原 健三郎君       山崎 岩男君    青木 孝義君       淺利 三朗君    植原悦二郎君       角田 幸吉君    鈴木 正文君       世耕 弘一君    上林榮吉君       西村 久之君    島村 一郎君       本多 市郎君    今井  耕君       大島 多藏君    中村 寅太君       森  直次君    馬越  晃君       松井 豊吉君  出席國務大臣         大 藏 大 臣 北村徳太郎君         文 部 大 臣 森戸 辰男君  出席政府委員         大藏事務官   福田 赳夫君         文部事務官   日高第四郎君         文部事務官   稻田 清助君  委員外出席者         文部事務官   田中 徳治君         專門調査員   小竹 豊治君 四月二日委員細川隆元君、矢尾喜三郎君、伊瀬幸 太郎君、石井繁丸君、門司亮君及び境一雄君辞任 につき、その補欠として鈴木茂三郎君、中崎敏 君、島田晋作君、中原健次君、山花秀雄君及び岡 田春夫君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 四月二日  昭和二十三年度一般会計暫定予算補正(第一  号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十三年度一般会計暫定予算補正(第一  号)     —————————————
  2. 稻村順三

    稻村委員長代理 会議を開きます。  本日政府より提出されました昭和二十三年度一般会計暫定予算補正第一号を議題といたします。政府説明を求めます。福田政府委員
  3. 福田赳夫

    福田政府委員 御説明いたします。今回提出したしました昭和二十三年度一般会計暫定予算補正第一号について御説明申し上げます。  この暫定予算補正第一号は、昭和二十三年度四月の暫定予算に追加するものでありまして、歳入歳出追加額はおのおの六億四千七百万円であります。その歳出追加額は、新制中学校校舎建築のために必要な経費に関するものであります。  次に歳入暫定予算追加額の内訳は、所得税六千百万円、國立病院收入五千八百四十余万円、住宅復興資材拂下代二千七百三十余万円、薬品拂下代千六百余万円、公共団体工事費納付金及分担金七千百万円、各種公団納付金三億三千九百三十余万円、競馬会納付金三千四百余万円、運輸建設本部納付金二千十余万円、電力超過加算料金受入千九百五十余万円、合計六億四千七百万円と相なつておりまして、いずれも昭和二十三年度年間收見込額月割額がすでに成立いたしました四月分暫定予算に計上いたしました金額に対して増加する見込額によつたものであります。  新制中学校校舎建築費に関しましては、財政現状等愼重研究を重ねました結果、ここにその予算を提出いたすことと相成つた次第でありますが、諸般の事情により、この予算の提出が遅延いたしましたことは、はなはだ遺憾に存じておりますが、何分この予算新制中学校制度実施のため、緊急必要といたすものでありますので、早急御審議をお願い申し上げる次第であります。  なおこの機会に申し上げまするが、災害費につきましては、二億円を限りまして、昭和二十二年度予算の未使用額の中からこれを差繰りいたして、ただちに支拂う、かような措置をとることにいたしておるのであります。御了承願います。
  4. 稻村順三

    稻村委員長代理 これより質疑に入ります。
  5. 川島金次

    川島委員 文部大臣が見えておりますから、次の質疑者が見えるまでお尋ねをいたしたいと思います。本案の六億四千七百万円の予算は、すでに六・三制の教育に重大な関心をもつておる全國民関心の的となつてつた重大な予算であるが、この予算政府努力によつて、ようやく実現の運びになりましたことは、御同慶に感ずる次第であります。そこで私がお尋ねを申し上げたいのは、現在六・三制の実施がすでになされておりますけれども、全國の六・三制による、殊に新制中学校校舎の問題でございますが、この校舎は、現在どの程度に全國的には独立の校舎をもつて新制中学実施しているものがあるか、その状況について詳しい表がございましたならば、この際お示しを願いたいと思うのであります。
  6. 森戸辰男

    森戸國務大臣 お答えいたします。その点は大体文部省調ベがありますけれども、ただいまここにございませんので、後刻御示しをいたします。御了承を願います。
  7. 川島金次

    川島委員 それではその点は後刻この席で御発表を願うことにいたしまして、続いてお尋ねをいたしたいことは、新制中学校が実現されましても、教職員不足がきわめて相等な数に上つておるという実情であると、私は承知いたしておるのでありますが、その新制中学に関する教職員の数の不足というものは、どの程度になつておりますか、同時にまたその不足の数をどういうような形において埋合せていく見込みをもつておられるかということいついてお尋ねを申し上げたいと思います。
  8. 日高第四郎

    日高政府委員 大臣に代つてお答え申し上げます。新制中学教師資格は、まだ十分に檢討が済んでおりませんので、暫定的には、從來中学校教師仮免許状を附與いたしておりまして、最近の中に、教員免許制度を確立する予定になつております。現在おりますのは、小学校教員の中の比較的優秀な者、及びもとの中学校教師、並びに青年学校教師のうちの一部がこれに当つておるような次第であります。不足は昨年の当初におきまして、所要人員の約二割二分の不足いたしておるような次第でありますが、その後漸次補充されてまいりましたので、昨今は非常な不足はいたしておらないのでありますが、有資格者が非常に少いような状況であります。最近のうちにその免許資格が決定いたしましたならば、仮免許を正免許に直す処置をいたしまして、できるだけ充実した教師を割当てたいというふうに考えております。これにつきましては、小学校及び新制中学校教師には、一方にはいわゆる教員養成学校内容を充実いたしまして、これの補給源考えております。一方においては、高等専門学校及び大学の卒業生にうちから、これに充てるように計画をいたしておるのでありますが、何分にも從來の長い間の傳統でございまして、教員待遇が十分でございませんので、よい教師を集めることが、非常に困難な状況でございまして、昨年の春等においては、師範学校志望者がきわめて少いような状況で、はなはだ憂慮いたしておつた次第でありますが、今年はそれが大分回復いたしまして、大体は收容人員を約五、六割超過した程度に至つております。但し女子の方は、それが定員に満たないような状況でございます。これには一つには根本的に考えまして、教員待遇をよくするということと、も一つ教員養成学校内容を充実いたしまして、よき教師をそろえると同時に、よき学生を吸收いたしたい考えであります。それでこれにできる限りの奬励を與えまして、この教員養成学校の充実に努めたいと思つております。ただいまのところ、できますならば、來年度から教員養成学校のうちの若干のものを四年制の大学にいたしまして、それに十分合格のできないものは、年度を遂いましてできるだけ大学にいたしてまいりたいというふうに考えております。他方においては教員養成学校でもつて小学校及び中学校義務教育教員を全部満たすことは、非常に困難がございますので、先ほど申しました通りに、大学高等專門学校学生のうちで、一定の教科課程を卒えた者には免許を附與いたしまして、教員になつてろうように努めたいと思つております。教員補充対策といたしましては、今申しました二つの計画を立てているような次第であります。何分にも從來師範学校内容には、種々の欠点がございますので、これを一朝一夕に改めることは、非常にむずかしいのでありますけれども、できる限りこれを充実いたしまして、誇りをもつて、また自信をもつて教員になるような学生生徒を集めたいというふうに考えております。
  9. 川島金次

    川島委員 くどいようですが、今全体の所要人員の二割程度不足があつたと言われますその二割程度不足の実人員は、どのくらいになつておりますか、中小学校を通じて、現在不足しておりますその実人員の数を明確にしてもらいたいと思います。
  10. 日高第四郎

    日高政府委員 その材料をただいま持ち合わせませんので、正確なところを調べまして、後日御報告申し上げたいと思います。
  11. 川島金次

    川島委員 続いてお尋ねいたしますが、この小中学の教員職員の数がきわめて重大な不足を告げているという原因は、いろいろあるでありましようが結局は待遇の問題に帰するのではないかと想像されますが、先般私が聽き及びますところによりますと、政府で過日定めました二千九百二十円の賃金平均ベースについて、教職員がどういう初給を受けるかということを尋ねたところによりますと、二千九百二十円の平均ベースにはなつているが、かりに教職員丙地方面に奉職いたしておりまする者に対しては、特殊手当あるいはまた地域給というものがないために、実際の所得額平均はわずかに千九百七十九円しかならない。こういうことになつておるということを、私は聞き及んでおるのでありますが、実際はそういうことになつておるかどうかそれをひとつ当局の方にお尋ねをしておきたいと思うのであります。
  12. 日高第四郎

    日高政府委員 お話通りいい教師を集めるためには、待遇をよくすることが一番必要であるというふうに考えておりまして、現在のところでは、政府一般職員並み待遇は受けておると確信しております。具体的な例を申しますと、学校教員の方が、文部省事務職員に比べまして、大体同等の者に比べてかえつて給料はいいくらいの状況にあると思つております。今のお話丙地の特別な地方の特別な教員につきまして、どのくらい低いものであるかは、ただいま具体的な材料をもつておりませんけれども、しかしそれはほかの官吏に比べまして、特に惡いということは、断じてないと思つております。いくらかよくなつておるかと感じております。これも調べて見まして、もしそういうことがありますならば、ぜひとも急速に是正いたしたいと思います。
  13. 川島金次

    川島委員 もうほかの質問者が見えたようですから、私は遠慮いたしまして、最後に一言お尋ねいたしたいと思います。六・三制のこの六億四千七百万円の歳出によつて地方の六・三制の予定いたしました校舎建築などが相当進行するということは、まことに同慶にたえないのですが、実際のこれに対するところ物資の、政府においての確実な裏づけがあつて、初めてこの予算というものが実効を現わしてくるのではないか。その点についての見透しはどのようなことになつておるかということが一つと、それから併せてお尋ねしておきますが、この新制中学校の問題でありますが、その新制中学に対するところ教科書教材等関係について、どのような状況になつておるか、その問題についても心配のないような状況に現在なつておるかどうかということについて、一應お尋ねをしておきたいと思います。
  14. 森戸辰男

    森戸國務大臣 お答えいたします。六億四千万円については、物資裏づけもあるものと信じておりますが、これは安本との関係もありますので、その方面の方からお答えいたすのが適当だろうと思います。なお設備教科書については、物資窮乏時代でありまして、いろいろ苦心する点もあるのでありますが、漸次好轉してまいつておるようであります。少くとも教科書につきましては、本年度においては、昨年のようなことはなく、ほとんど大部分は間に合うような情勢にあるという報告を受けておる次第であります。
  15. 川野芳滿

    川野委員 ただいま福田政府委員補正第一号の御説明に、災害復旧復旧費二億円の問題については、これは公共事業予算の未使用額の中から差繰りして支拂うという御説明があつたようでありますが、この未使用額の主なるものを御説明を願いたいと思います。なお先日政府当局の御説明によりますと、昭和二十二年度災害復旧費は二億七千万円が必要である、こういうことをお述べになつておるのでありますが、今回は二億円だけ差繰り支出されるということになりますと、残り七千万円は不足するかと考えるのでありますが、この残り七千万円はどういうふうにして処置されるのであるか。この点も併せてお伺いいたしたいのであります。
  16. 福田赳夫

    福田政府委員 お答えいたします。未使用額と申しますのは、二十二年度予算において成立はいたしたのでありますが、それが実際使用するにあたりましては、毎月々々支拂予算大藏省においてつけまして、その承認があつたならば、これを使用し得るという状況に、各省は置かれるわけであります。その大藏省において、未だに承認をせざる額が、約十八億円ばかり残つている。かような状況であります。
  17. 稻村順三

    稻村委員長代理 速記を止めて。
  18. 稻村順三

    稻村委員長代理 速記を始めて。
  19. 福田赳夫

    福田政府委員 それから次にどういうものを差繰つたかと申しますと、災害以外の分として、いろいろな問題があるのでございます。公共事業費の中には、河川とか、砂防とか、農業あるいは山林関係事業費、あるいは水産、道路、港湾、刑務所の新築、増設、学校の営繕であるとか、あるいは庶民の住宅建築であるとか、都市計画であるとか、あるいは官廳営繕とか、いろいろなものがありますが、さようなもので未使用額になつているものから大体二億円を捻出するつもりでありますが、さような残つておるものから頭割りに割りつけたわけであります。  次に七千万円從來政府言つているところと足らないという点でありますが、この七千万円というのは、実は旱害復旧に該当するものであります。水害は今回計上することが、さようないきさつをもつて可能となつたのでありますか、旱害につきましては、二十三年度の本予算として、新たに檢討することになりまして、今回は計上に至らなかつたものであります。
  20. 稻村順三

    稻村委員長代理 川野君に御相談しますが、三時から森戸文部大臣司令部へ行かなければならないそうでありますので、森戸文部大臣に対する質疑上林山君が始めておられますから、そのあとからお願いいたします。それでは上林榮吉君。
  21. 上林山榮吉

    上林委員 二十二年に支出さるベき六・三制の予算が、ようやくここに提出されたということは、不満足ながら諒とするものであります。元來片山内閣時代から芦田外務大臣、あるいは栗栖大藏大臣、こういう方々考え方は、教育事業について、特に六・三制について、私は熱意が足らなかつた考えているのでありますが、ここにさらに三党の連立内閣ができて、森戸文部大臣が再び文部大臣に就任されたのでありますが、私はそういう見地から言つて、現内閣もまた六・三制に対しては熱意示していない。この点はまことに遺憾とするところでありまして、文部大臣としても、積極的に政治力を発揮せられる責任があるのではないか。前内閣の延長である現内閣、特に文部大臣として二回も留任する。こういう際でありますから、一段と文部大臣決意を促したいと考えるのであります。傳えられるところによれば、眞偽のほどは別としても、追加予算に六・三制の予算が盛られない場合は、あるいは森戸文部大臣はやめるのではないかと世間では言われておつたのであります。それほどあなたに期待しておつたのが、今日ようやくここにその目鼻がついた。これも六・三制全体の予算から言えば、ほんのわずかなものであつて、これをもつて満足すべき状態ではないと思つているのであるが、六・三制に対するあなたの決意というか、政治力をどの程度まで発揮し得ると思つておられるか。まず私はその決意伺つてから、具体的に質問を進めていきたいと思います。
  22. 森戸辰男

    森戸國務大臣 お答えいたします。六・三制、すなわち新しい教育制度は、実は吉田内閣のときから、日本政府國民に対しても、また連合國に対しても、実行をむしろ公約したと思われる基本的な政策一つであります。片山内閣もその線に沿うて努力してまいりました。片山内閣の一員でありました現芦田総理も、また栗栖大藏大臣も、この線に沿うて御努力になつたのであります。三党協定にあたりましては、六・三制の完全実施ということが取上げられ、芦田内閣におきまして、それが確認されたのであります。かような方向に、今日の窮乏日本現状を一方に考えながら、最善努力をいたしていきたいと、私のみならず現政府考えているのであります。私個人あるいは文部大臣といたしましても、もちろんこの六・三制が実現されることに、最大努力を拂いたいと存じておるのであります。ただ完全実施ということが、申し分のないように、すべての点で十分な制度実行という意味でありまするならば、これは窮乏日本現状においては、教育制度だけがそういうふうには望まれないということは、だれびとも考えられるところであります。しかしながら、私どもは新らしい教育制度基礎を壞してはならぬ。窮乏日本において、中央も地方も困つておるのであるが、その間に立つて最善を盡して、精神的日本建設基礎である教育を守つていきたい。こういう線に沿うて私ども最大努力をなす決意であり、また責任をもつておると申してはばからぬのであります。
  23. 上林山榮吉

    上林委員 文部大臣の一應の決意を承つたのでありますが、さらに私はお尋ねいたしたいのは、もちろん敗戰下における日本國政は、総合的見地から大局的に判断していかなければならぬことは、あたりまえのことでありますが、この場合に一部熱心なる國民、一部熱心なる教育家諸君の言を借りてみるならば、場合によつて教育優先というような國策を樹立する必要がある。こういう熱心なる主張をしておる向もある。これに対して森戸文部大臣は、いかなる抱負をもつておられるものであるか。いわゆる世間なみに言う総合的國策の範囲内において、教育の地位をきめる以外に、現在においてはやむを得ないのである。こういう見解をおとりになるものであるか。この中においても、武器をもたざる日本が眞に起ち上つていくためには、もちろん経済力の振興を重点に置かなければなりませんが、これと併行して、場合によつてはこれより以上、私は教育文化ということを、この平和國家基礎にしなければならないという意味で、教育優先という問題について相当の関心をもうもつていい時期ではないか。こういうようなことを考えておるのであるが、文部大臣教育に対するさらに一段の見解を伺いたい。
  24. 森戸辰男

    森戸國務大臣 ただいまの御質問でございますが、教育優先ということは、日本の國が文化國家として立つていくという方向に立ちますと、御説のごとくきわめて大事な立場であると存じております。私個人といたしましても、また文部大臣といたしましても、教育優先という大きな線が、教育行政の基本的なものにならなければならぬと感じておるのであります。前々議会でありましたか、衆議院におきましても、文教再建に関する決議でございましたか、これに同樣のことが掲げられておつたと思うのであります。ただ問題は、この理想現実事態にいかにして実現していくかという問題でありまして、これは教育優先考える原則と、現実の経済的な事情とを考えながら、この理想現実の面にいかなる程度実行していくかということが、実際の政治の問題であるのであります。私どもはかような理想をもちながら、現実の中にそれを実現していくように努力していかなければならず、またさような方向努力いたしておるのであります。
  25. 上林山榮吉

    上林委員 われわれが新憲法を議するときに考え一つの命題は、原案が兒童の教育だけを國家義務教育にするというのであつたのをば、子女の教育というふうに修正をして、議院を通過せしめたいきさつは、言うまでもなく、この六・三制を含む義務教育というものを徹底せしめて、いわゆる文化國家基礎を築くというところにあつたのでありまして、この点は森戸文部大臣も、当時委員の一人であつたかと思うので御承知と思うのであるが、そういう点から、私ども國民としても、義務教育に対する責任を、もう少し自覚をしなければならぬのではないか、この見地に立つて、單に今政府の方針としては、あるいはこれを設備費に対する寄附金、あるいは貯金の奬励の率に應じていわゆる國家費用配分する、こういうような政策をとつておるようであるが、これは半ばやむを得ないやり方でありますけれども、あまりにこれに依存することは弊害が大きくなつてくる。殊に町村單位考えてみると、経済力の豊富なる町村配分が大きくて、経済力の少い町村配分が少い結果になる。こういうことになつていくのでありますから、この点に対して文部当局としても、あるいは財政当局としても、よほどしつかりとした判断をしていただかなければならぬ。こういうふうに考えるが、これに対してどういう見解をもつか。  もう一つ、これは私ども考えで、まだ党としての結論には達していないが、この見地に立つて寄附金とか、あるいは貯蓄奬励機会に、そういうような配分を行うというような考え方ではなしに、國家責任を果すんだ、義務教育責任國民が果すんだという建前から、適当なる義務教育税、こういうような合法的な見解をもつて義務教育責任を果す方法考えたことはないか。これは財政当局がいなければ、完全な御答弁はあるいはできぬかもわからないが、文部大臣としてそういうような見解考えたことはないか。單に國家收入のパーセントを向上せしめて、教育費にこれをとるという考えだけではなしに、そういうような方法までも財政当局と打合せをするとか、研究するとかいうようなことを積極的に考えたことはないか。この点を質してみたいのであります。
  26. 森戸辰男

    森戸國務大臣 お答えいたします。義務教育は、中学小学ともに、これは國家公共的の教育でありまして、この費用國家、あるいは公共団体が基本的には負担すべきものであることは、まことにただいま御質問のあつた通りでございます。そうしてこの費用が一部寄附金により、またときには貯蓄奬励と関連して満たされておるというような事情も、方々にあるということも承つておるのであります。根本的に考えますと、こういう形で殊に多くの費用が賄われるということは、決して妥当なことではないと考えておるのでありまするが、他面國家財政も、地方財政も、御承知のような事態でありまして、そういう費用を当然賄うべきところが十分にいつていないような事態でありますので、それが父兄その他の地方の人々の寄附等の協力によるということも、あながちこれを否定するということはできないのでありますが、その形が望ましくないような形であり、強制的になり、また多くの費用が過大な負担になるということであるとか、それに関連していろいろな弊害が起るということでありまするならば、これはあくまで避けていかなければならないと存じておる次第であります。
  27. 上林山榮吉

    上林委員 そういうような立場をおとりになるのでありますならば、弊害を少くする方法において、財政当局と財源の捻出方法について、何か特別な方法をお考えなつたことがあるか。たとえばこれは私どもの試案ではございまするが、教育優先立場から、義務教育税方法というようなことについて考えたことはないか。あるいは別途に何か新たなる方法でそういうような方法考えたことはないかということは、無理な質問かもしれませんが、文部大臣もしくは財政当局事務当局も見えておるようであるが、これに対して何か考えたことがあるならば参考に承りたいのであります。先ほど申し上げたような方法だけでは、最近弊害が非常に多くなつてきた。われわれは地方財政の困窮な実情をながめてあらゆる方面からそういう苦情を今日聞いておるのであるから、この調節をある程度はとらなければならない、こういう見地からお尋ねしておるわけであります。
  28. 森戸辰男

    森戸國務大臣 お答えいたします。先ほど申したように、地方並びに中央の財政がなかなか窮乏な状態にあるので、教育に対しての財源を求めるという方法から、一つはただいまお示しなつ教育税の問題があります。もう一つ教育公債というものが考えられるのであります。この二つの方法につきましては、私どもいろいろ実は考えまして、財務当局ともいろいろお話をいたしておるのでありまするけれども、今日の日本財政、殊に租税の体系といたしましては、こういう特殊な税を認めるということにいろいろな困難もあるようでありまして、この点につきましては、あるいは財務当局からのお答えもあると思いますが、そういうような事情で特殊の公債あるいは特殊の租税ということでなく、一般的な財源から賄つていくのが、むしろ公共的な一般義務教育の本筋ではなかろうか、こういうような建前に立つことになつておる次第でございます。
  29. 福田赳夫

    福田政府委員 ただいまお話のような特殊な目的のための特別の税ということにいたしますことは、財政の非常に豊富な場合におきましては、ある一つ考え方であろうと思うのでありまするが、ただいまの状況といたしましては、なかなか余裕がない財政であることは、御承知通りであります。從いまして、その歳出の中である特殊なものを摘出いたしまして、それに振向ける財源をつくるというようなことをいたしますと、さらに現在よりも窮屈になるというようなことでありまして、政府といたしましては、ただいま特別目的税というような体系は、なるべくこれを避けたいという考えを、一般的にもつているのであります。しかしながら、歳出全体として研究いたしまして、これはどうしてもやらなければならぬという問題でありますれば、これは一般の財源をもちまして、これをどこまでもやつていくという方針であります。ただいま問題になつておりますことろの六・三制の昭和二十二年度におきまする建築費、これは三十一億円が総体の所要額であります。そのうち十七億円は地方費において負担をする、十四億円は國において補助をするということでまいつたのでありますが、その十七億円にいたしましても、地方においてはなかなか調達が困難であります。從いまして、地方ではこれを公債によつて支弁せざるを得ないというような状況でありますので、この公債消化の財源といたしましては、大藏省預金部におきまして、ほとんど全額の十五億円すでにこれを引受けるという運用計画をいたしているのでありまして、地方が実質的にそうこれによつて不便をこうむることはないのであります。それから國の方でもちますところの十四億円のうち七億円は、昨年秋の補正予算におきましてすでに成立をしている。そのとき同時に十四億円出すべかりしところであつたのでありますが、七億円なくてそれが遅れておつたという関係から、地方におきましては、仕事を進める上におきまして、いろいろ不便があつたと思います。それが寄附金や何かに変つてつたりしているという状況であります。また預金部で引受けるというふうに申し上げましたが、これも預金部資金の充実速度に應じて引受けるということに相なります関係上、二十二年度年度早々にこれを全部引受けるということができなかつた。その時間的なずれというものが、地方の非常な財政上の負担になつている。それがやはりまた寄附金にかかつてきるというような状況もあつたろうかと思うのでありますが、今回預金部におきましても、十五億円引受ける、また國においても十四億円全部これを公約通り出すということに相なるまして、この問題は國全体といたしまして——時間的の遺憾な点もありましたが、まず解決になつた、かように御了承願いたいと思います。
  30. 上林山榮吉

    上林委員 中央の机の上でいろいろな企画をし、單なる報告を得て物事を判断する当局から考えると、それですべては策んだようにお考えでありますが、財政の困憊しているところ地方においては、はたして政府の方針がどこにあるのだろうか、六・三制ははたして実施するのであろうか、財政の困難なとき、こういうことをやつてよいものであろうか、こういうふうに非常に心配をして、その心配の現われが、いろいろな寄附金とか、その他の方法による工面のやり方になつてくるのでありますから、この点をよく御了解になりまして、極力善処を私は要望するものであります。  そこで具体的にお伺いいたしたいのでありますが、先ほどの川島君の質問に対して、新制中学校がどの程度建築ができているか、数字がわからないというような話であつたのでございますが、この点も私は予算編成の建前から考えても遺憾な点であると考えているのであるが、こまかな数字はわからなくとも、大体計画の何十パーセントできておるならできておる、この程度の御報告はあつてしかるべきものであると考えるのであります。この点の御報告を願いまするが、私どもの調査したことろによりますると、仮教室あるいは二部授業に使用されておるところの部屋数は、大体七六%であると言われております。七六%が二部教授あるいは仮教室にはいつて教職を受けておる実情であります。特に戰災地になると、その点がひどくなつておると言われておるのでありまするが、これに対して文部当局ではどういう数字をもつているのであるか。さらにこれに收容されておる中学生五十一万人、小学生百五十九万人、合計二百万人がこれらの仮教室、二部教授というようなものを受けておる。所によると、倉庫の裏でこういうような教育を受けている。まことに松下村塾もこういうふうではなかつたであろうと言われるようなみじめな状態を続けておるのでありまするが、この現状をどうお考えになつておるか。殊に二十三年には中学校で百三十四万人の増加をするということになつており、二十四年度にはさらに百七万人の増加をしなけれずならぬという状況であつて、合わせますと二十三年度及び二十四年度には二百四十一万人というような増加率を示してくるのでありまして、こういう状況から考えまして、政府の方で設備の進捗状況建築状況がどの程度であるかわからない、こう言うに至つては、私は六・三制に対する認識不足というよりも、実になさけない態度ではないかというふうに考えるのでありまするが、これに対する文部当局の具体的な態度をば私は承りたいのであります。
  31. 日高第四郎

    日高政府委員 ただいまの御質疑のうち、二十三年度の当初におきまして、教室の不足数は約二万七千でございます。二十三年度の義務制を実施いたしますために必要欠くべからざるものが、約一万三千六百教室不足するわけでございます。來年度のための不足数がやはり二万七千七百ばかり不足する状況にあるのでありまして、詳しい材料をただいま持ち合わせませんので、取寄せまして御刻御報告申し上げたいと思つておるのでありますけれども、御指摘のように仮教室やあるいは二部教授、その他の便宜的の方法によりまして、非常に氣の毒ななさけない状況で教授をいたしておるような次第であります。これは一般國民に対しましても、文部省といたしましても、はなはだ遺憾に思つておるのであります。その仮教室及び二部教授の数等につきましては、ただいま連絡いたしまして、実情調査したものを取寄せ中でございますから、まいりましたならば、すぐに御報告いたしたいと思います。
  32. 上林山榮吉

    上林委員 私はこの際特に設備費の補助の配分について伺いたいのでありまするが、もちろんこの問題については、文部省の方でも相当御考慮になつておるかとは思いますけれども、一段と研究をしていただきたいのは、戰災地方面の補助費の配分の問題であります。この方面に対しては、特段の努力を拂つていただかなければならぬのであるが、どういうような態度をもつておるのであるか、どういう具体的な配分方法をやつておるか、この比率をお示し願いたい。
  33. 森戸辰男

    森戸國務大臣 詳しいことは事務当局からお答えいたします。大きな原則といたしましては、戰災をこうむつた学校の復興については、他の費目からこれを支出するように考えられております。それからなお戰災地の戰災地でない部分との配分の比率につきましては、各都道府縣で、その実情に即して配分するものと、私は承知しておるのであります。文部省から一々それを指示するというようなことにはなつておらぬと、私は承知いたしております。
  34. 田中徳治

    ○田中説明員 今の戰災地におきます配分につきましては、特に戰災復興に対する公共事業の予算がきまつておりまして、昨年度におきましては公立中等学校小学校の戰災復旧費は、戰災坪数の約六分の一というものが、予算の対象として取上げられましたのですが、その予算を戰災都市の罹災学校の坪数に按分してわけまして、さらに六・三の方の予算は、それに加味して予算配付をやつておるのであります。特に戰災地におきます学校におきましては、予算のわくが違つてまいつておるものですから、別々に計上した予算を、その実情に合わせまして、六・三と同時に配付するように現在なつております。
  35. 上林山榮吉

    上林委員 今の事務当局説明は、少しわかりにくい点がありますから、あとでその点を詳しく書いた書類をいただきたいと思うのであります。この際私は二十三年度の六・三制に対して、文部当局はどういう考え方をもつておるかを聽きたい。われわれの調査したところによりますと、二十三年度中学校の最小限度の予算は三百三十六億円必要であるというふうに考えられるのでありますが、これに対して大藏当局にどれくらい要求しておるものであるか、あるいはその要求額で、二十三年度不足ながらもはたしてやつていける程度の見透しをつけておられるのかどうか、この点をひとつ明瞭に承りたいのであります。
  36. 森戸辰男

    森戸國務大臣 二十三年度の六・三制の予算についてでありますが、ただいまお示しなつた数字は、一つの御見解であると思います。私ども実際に日本財政状況とにらみ合わせながら、六・三制を考えていくものといたしましては、それとはやや違つた数字も考えております。ただいま数字については財務当局と折衝中でありますので、具体的なことは申し上げられませんけれども、ただいまお示しなつた数字よりは、ずつと少いということは確かであります。いろいろ最小限度ということについての考え方はあるのでありますが、日本の今日の状態では、すでに上林山議員も御承知通り事態でありますので、その事態とにらみ合わせながら、しかも六・三制を実行していけるような形の予算を、現実に獲得していきたいというのが、私どもの方針でありまして、その点やや理想的な最小限度というものとは違つた形になることもやむを得ないと存じているのであります。私どもは六・三制を今日の状況において、ともかく途中で中断することなしに貫徹していきたいと最小限度を守りたいという決意をもつているのであります。
  37. 上林山榮吉

    上林委員 文部大臣決意だけを承つたところで、われわれは具体的に実情に應じたものを承らなければ、了承できぬのでありますが、全國から文部省に集つた要求額はいくらくらいであつたのでありますか、この点を承りたいと思います。
  38. 日高第四郎

    日高政府委員 お答え申し上げます。地方の報告ももちろん材料にいたしますし、文部省で調べましたことも材料にいたしまして、最小限度の必要教室数が、約二万七千七百と推定いたしております。これに要する費用は、あらゆる点から控え目に考えましても、百億を少し越えた程度になるかと思つているのでありまして、これをいかに配分いたしますかにつきましては、またいかに國庫が負担いたしますかにつきましては、ただいま大藏当局と折衝中でございます。それの結論はまだ出ておらない次第でありまして、三百何億とかいうことは、文部省といたしましては考えておらない次第であります。
  39. 上林山榮吉

    上林委員 全國から百億要求がある。その要求に対して、私どもも最小限度三百三十六億円は要るとみているのであります。そこでお尋ねいたしたいのは、文部当局考えられているやむを得ざる最小限度の必要経費は、坪当りいくらくらいに單價をみているものであるか。この点を承りたいのであります。
  40. 日高第四郎

    日高政府委員 平均八千円とみております。
  41. 上林山榮吉

    上林委員 坪当り八千円ということを聽いて、これ以上対研する勇氣もございません。だがそういう点は拔きにいたしまして、文部省財政当局に要求している額は、どれくらいでありましようか、この点を承りたいのであります。  その答弁はあとでお願いすることにいたしまして、文部大臣がお急ぎのようでありますから、重要な問題について、一言だけ文部省の方針を伺いたいのであります。先ほどの質問者の中にもあつたように、現在教員数が非常に少い原因は、待遇の問題等もあつたようでありますが、この教員数はさらに二十三年度の増加する生徒数を考えますならば、格段と不足をしてくる。女子部のごときは志望者が定員に満つるか、満ちないかという実情であるが、この教員不足の難関を、具体的にどういうふうにして補ついてく御決意であるか。時間があれば詳しく数字を示しお尋ねをいたしたいのでありますけれども、時間がありませんので、この教員の絶対不足数を、いかにして具体的に補うか。あるいは師範教育をいかにして改善するか、こういう大きな問題について、文部大臣の所見を承りたいのであります。
  42. 森戸辰男

    森戸國務大臣 上林山君の御質問についてお答えいたします。教育の大事なところは、建物や制度だけではなく、むしろ人間であり、先生であるのでありますが、その先生が数において、また質において十分ではないということは、教育にとつてはまことに重大事でありまして、私ども御指摘のように、この点には最大関心を拂つておるのであります。かように先生の数が少くなつておる原因は、先ほども政府委員が御説明いたしましたように、一つの大きな原因は、教職員待遇がよくないということにも起因しておるのであります。この点におきましては、新給與の問題または他の形では教員の勤務の特殊性に應じた取扱いということについて、私どもは考慮しておるのであります。なお師範学校の生徒應募者の数が減つたということも、これは教員待遇等とも関連しておるのでありまして、これについては師範学校の生徒の給費ということも考慮いたしまして、ある程度の——今日はほんのわずかなる月二十五円でありましたかの給費であるますが、これをもつとたとえば逓信とか、鉄道とかいう方面の特殊の仕事に対して與えられておるような補助を與えることによつて先生の待遇をよくしていきたい。こういうような考えをもつておるのであります。  なおもう一つのことは、多少教育の任務ということに対しての考えが、國民の間にも、また教育関係しておる人々の間にも、多少動搖をしてきておるという面もあるのではないか。教育の仕事がまことに大事な仕事であるということが、國民の間にも、先生方の間にも、もう少し徹底するということ、こういうことで教職員組合の方々とともに努力していきたいと思つておるのであるますが、こういう形で教職員不足と、質がある程度低下していることを補つていきたいというふうに存じておる次第であります。
  43. 上林山榮吉

    上林委員 師範学校の改革、あるいは教員絶対量の足らないものを補充する態度については、一應御意見その他を承りましたけれども、そういう程度では不徹底だと思いますから、格段の御努力を要望しまして、文部大臣に対する質疑は打切りたいと思います。さつきの要求額だけは、政府委員からでもよいですから、言つていただきたいと思います。
  44. 日高第四郎

    日高政府委員 お答え申し上げます。先ほど申し上げましたように八千円で要求しております。これは新築のみならず、古い建物の移築費その他をも含めて、平均八千円で要求してあるのであります。
  45. 上林山榮吉

    上林委員 総体でいくらになりますか。
  46. 日高第四郎

    日高政府委員 それはちよつと御勘弁いただきたいと思います。
  47. 上林山榮吉

    上林委員 大藏大臣がみえておられるので、この際大事なことと思いますので、一言質しておきたいのであります。軍事公債利拂に対する大藏大臣の答弁は、最初あいまいであつたものが、結論において利拂を停止する。ただその方法だけを委員会によつてきめるのである。こういう答弁であり、これを芦田総理も裏書をしたのであるが、昨日の民主党幹事長談によりますと、政策協定に從い利拂がはたして支障なく停止できるかどうかにつき、友党と懇談する用意はあるか、当面何の用意もなく断行するといつてもまず不可能と考える。その場合には社会党は当然諸般の情勢を判断して十分了解されることであろう、こういう幹事長談を党の正式機関によつて発表されておるのでありまするが、党出身閣僚としてこれに対してどういう御見解をもつておるか、この点を明瞭に承りたいのであります。
  48. 北村徳太郎

    ○北村國務大臣 同樣の点を昨日御答弁申し上げたのでありますが、その通りでありまして、これは私も今朝新聞で読んだのでありますけれども、民主党の幹事長談と、三党政策協定と、いずれを重しとするかということになると思うのでありますが、もちろんわれわれは三党政策協定の文書に從つて行動するものであるということを昨日申し上げまして、今もなおそういうふうに感じておるわけであります。
  49. 小島徹三

    ○小島委員 議事進行について——この軍事公債利拂の問題につきましては、前の暫定予算の際もしばしば質問を繰返されて、大体済んでおることでありますし、殊に今度の予算につきましては、軍事公債利拂の点について何らふれることがなくて、予算の審議ができると思うのであります。予算の審議が昔の予算委員会と同じような形をとつて政治問題とかいろいろなものが論ぜられるおそれが多分にあるのであります。今度の憲法にもとにおいては、予算審議はあくまで予算審議に止めるべきものであつて、そんな政治問題の、今審議しておることに関連のないことについて、一々やるべきものではないと思いますから、その点委員長にしかるべく善処をお願いしたいと思います。
  50. 稻村順三

    稻村委員長代理 なるべく今提出されておる予算に関連して御質問願います。
  51. 上林山榮吉

    上林委員 ただいま民主党の委員から、予算に関連のある質問をしてもらいたい、こういう提案であるまするが、私どももこれを了承していて、軍事公債利拂に問題について、大藏大臣お尋ねしたのであります。これは見解の相違と言えば言えるでありましようが、われわれは六・三制にしろ、水害対策費にしろ、すべて三党協定の基盤に立つて論議されてもいい要素が含んでおる、こういうふうに考えて、さる委員会の席上であいまいな答弁をしたり、それを修正したり、態度がまことに不明朗であつたのが、われわれの追究によつて、ようやく明確になつた矢先、党の正式機関がこれを発表するに至つては、われわれとしては、あまりにも符節が合わない、良心的でないとこういうことを考えるがゆえに、これを論議することが、どうして予算と根本的に離れておる問題であるということが言えるでありましようか、この際委員長は單に與党から再ておる委員長であるという観念を捨てて、いわゆる議事の進行をはかることを、私は要望するのでありまして、この問題については、これ以上は追究はいたしませんが、ただ党の問題よりも、政府機関の言うことを重しとし、あるいは三党政策協定を重しとするがゆえに、利拂停止をやる、ただその方法だけについて、懇談会でやるのであるというふうに了承いたしまして、私はこの問題に対する質問を終りたいと思います。
  52. 稻村順三

  53. 川野芳滿

    川野委員 先刻政府委員の御説明によりますると、水害地の復旧の費用は、公共事業費の未使用の財源をもつてこれに充てる。こういう御答弁であつたようであります。しかし、私の承知いたしておりますところによると、公共事業のうちでも、旱害対策並びに土地改良費のごとき、最も重要な予算が未使用に終つておりまして、これらの予算を、この水害地予算に振り向けられたというようなことも承るのでありますが、はたしてそういう点がありまするか、この点についてお答えを願いたいのであります。  なお先般政府はしばしば災害復旧費二億七千万円は、必ず予算的措置を講ずるということを御言明に相なりましたが、しかし本日の説明によりますると、二億円だけの水害復旧費予算は、昭和二十二年度の公共費の未使用費用をもつてこれに充てるが、七千万円は本予算に組むと、こういう御説明でありまするが、どういう理由で七千万円は本予算に組むということに相なつたのであるか、私をして言わせるならば、この旱害復旧費の七千万円も、当然水害費二億円同樣に、予算的措置を講ずべきものであると考えるのでありまするが、この点について御答弁を願いたいと思います。
  54. 北村徳太郎

    ○北村國務大臣 ごもつともの御質問と思うのでありますが、これは御承知通り予算の御審議を願うことが、時日切迫に至るまで、われわれが当初計画いいしました通りのものが予算として現われるように努力をいたしたのでありますが、遂に暫定予算に計上することができずに、今日補正を御審議願つておるので、その間の事情等につきましては、多少速記を止めて御説明申し上げたこともあるのであります。さような点で、私ども水害と旱害とを比較して、旱害を軽く見るというようなこともございません。從つてこれを同樣に扱つて同樣に承認を受けるよう努力したのでありますけれども、遂にこのことが思うようにまいりませんで、はなはだ残念でありますけれども、本予算の場合に入れるように十分努力いたしたい。かように考えておりますので、御了承願いたい。
  55. 川野芳滿

    川野委員 この旱害復旧費については、政府当局におかれても、これは必ず予算的措置を講ずるということを、しばしば御言明になり、かつまた地方に対しましても、旱害復旧費は必ず支出するから、適当な措置を講ぜよというような御言明もあつたようでありますので、地方におきましては、旱害復旧に対しては、すでに復旧を完了いたした縣もあるし、またすでに復旧の事業に着手しておるところもあるわけであります。しかるに予算的措置が遅れましたために、非常に地方においては財政的困難を來しておるような実情であるのであります。ゆえにこれらの事柄を深く政府考えなければならぬと私は存じます。お話によりますと、本予算に組むという御答弁でありますが、私の考えでは、おそらく本予算が出されるのは、今月ではなかろう、來月になるのではなかろうかとも考えるわけであります。しかいたしますと、五月分はまたまた暫定予算をお組みになるものと私は考える。もし五月分に間に合うように本予算をお組みになるのでございますれば結構ですが、万一五月分を暫定予算をもつてこれに充てるということになる場合において、またまた旱害復旧費等の予算を本予算まで延ばされるということになるならば、地方は非常に困窮いたすのでございます。万一暫定予算を五月分についても組むということになりますならば、五月分の暫定予算にこれらの費用をお組みになる考えはないか、この点もお尋ねしておきたいのであります。
  56. 北村徳太郎

    ○北村國務大臣 御承知通り、われわれ國会議員の中には、旱害地御出身の方も少くないのでありまして、それらの方々からずいぶん詳しい衷情も伺つておるし、陳情書も相当まいつておりますし、わざわざ陳情に見えた方もあります。その実情に対しては、私どもはきわめて同感であるし、また食糧増産の見地から見ましても、これは何とかしなければならぬというので、ただいま申しましたような方向努力いたしましたけれども、この分が一緒にならなかつたのは、前に申し上げた通りであります。できるだけ早い機会に、予算に計上するように努力を続けたいと思つておりますけれども、ここで責任をもつて、もう一度かりに暫定予算が出る場合に、それに必ず計上するというようなことは、今どうも軽率に申し上げて間違いが起つてはならぬと存じますので……。今回の六・三制並びに災害復旧がこれほど長い期間かかるとは思わなかつたのですけれども、逐にこういう長い期間を要し、また総理がわざわざ特殊な努力をしたというふうな点もございました次第でありますから、こういう点はやむを得ない点であると思います。ただお言葉の点はわれわれも同感いたしておりますし、また私どもの親しい友人の間でも相当旱害に悩んでいる人もありますので、その実情については十分知悉いたしておりますので、できるだけ御希望に副うように努力いたしたいと思つております。
  57. 川野芳滿

    川野委員 この六・三制の費用と、災害復旧費費用というものは、ともに先般の議会におきましても、総理大臣並びに大藏大臣が必ず追加予算をもつて支弁するということを御言明に相なつた問題でありますが、ひとり六・三制の費用は御提案になりましたが、災害復旧費費用が御提案にならないということは、まことに遺憾千万であります。しかしこれ以上私は追究をいたしませんが、ひとつなるだけ早き機会予算的措置を講ぜられんことを希望いたしまして質問を終ります。
  58. 松井豊吉

    ○松井委員 災害関係について大藏大臣にお伺いいたしたいと思います。昨年の九月十五日、大災害以來今日まで私たちは被害地を代表いたしまして、関係者と相協調して努力をしてまいつたのであります。川野さんからも御質問でございましたけれども、はなはだ予算関係について遺憾の点がある。そこで大藏大臣に冒頭に申し上げますが、予算関係は、およそ全國民のいわゆる担税力によつて、そしてその責任権限をもつた大藏大臣は、その運営にあたりましては、重点的に予算を編成されることを希望するのであります。そこにおいて今日まで行われました関係については、政府当局初め慣れない関係もありましたでしようが、お互いに研究いたしまして、今後は重点主義に、すべて実行主義に願いたいと思う。片山前内閣に今の総理大臣あるいは大藏大臣関係しておりますので、この関係について二、三お伺いして参考に供し、その実現を希望するものであります。  芦田総理大臣は水害被害地復旧に関して、ある程度の考慮をもたれているものと思われますが、その政治的措置においては、はなはだ冷淡であることを痛感するものであります。何となれば、昨年の十二月の中旬に、片山内閣当時、すなわちその水害復旧工事費として二十億円を内定されたということを聞いているのであります。当時の予算委員である、しかも本縣選出の代表から報告があつたのであります、その財源は剰余金十八億円に、他の二億円を合わせて、二十億であると聽かされたのであります。これを聽取したわれわれは、喜んで被害地に報告したのであります。ところが今日に至つて、何ら政府がその熱意裏づけする積極的の措置を見受けられない実情に徴して、政府は初めから誠実味をこめて、水害被害地の復旧をやる意思がなかつたと、今日はつきりわかつたのであります。というのは、芹田総理大臣は、当時副総理で、いわゆる片山民主党内閣という評判の立つた内閣の女房役であつたから、だれよりもその実情をよく知つているわけであります。これに比べて当時石炭國管法案初め公団法の通過を、政府が無理押しにやる意思があつたから、四割以上の反対があつたにもかかわらず、術策の限りを盡して通されたのであります。そこで水害被害地復旧費の性格は、全國会議員が確認されておるところであるにもかかわらず、政府は氣乗り薄の態度をとり、水害復旧費といえば單なる名目に止めておくことは、初めからやる意思のないことを実証するものと極言して過言ではないと思われるのであります。前年の二十億円の財源が、石炭國管法案及び公団法の通過に伴い、その用途に利用されたということを聽かされたのであります。從つて石炭國管と公団の方へ四十数億が繰込まれたのでありますが、石炭國管法案は四月一日から施行されることになつておるのであります。この巨額な資金が、相当長期間遊休資金として晝寝の実情にあつたことは、國家のために遺憾であるのであります。さいわいにして、先の内定された二十億円が、水害工事費として通過されておるならば、來るべき雪融け増水期に及んで、重点的工事はすでに完成されておるに至るものであります。われわれは被害地代表とともに、水害対策委員長、委員その他の関係者と協力し、復旧工事の内定額の復活について運動を続けて、先般予算外契約として十九億三千万円が取極められたということを聞及ぶのであります。しかるにたまたま片山内閣の瓦解を見て、さらに芦田内閣の実現となり、委員長以下さきの追加予算百二十一億七千三百余万円中に、少くも編成されるものと期待をしておつたのであります。しかるところ、逐にその実現を見るに至らず、今やまつたく五里霧中にさまようこととなつたのは、被害地のために、まことに悲しむべき現実にあります。かつて大藏大臣は施政方針の演説中においては、水害復旧費予算に計上し國会に提案すると言明されたので、当然暫定予算には計上するものと被害地の國民は一日千秋の思いで待ち來つたのであります。先日來國土計画委員会を開催し、建設院総裁の出席を求め、水害復旧工事の状況より予算関係について説明を煩はした席上から、委員諸士の活発なる質疑が展開されたのであります。
  59. 稻村順三

    稻村委員長代理 松井君にちよつと発言中御相談ですが、まだ長くかかりますか。
  60. 松井豊吉

    ○松井委員 いや約めます。その際建設院総裁は、その筋の云々という言葉をもつて暫定予算には絶対に計上ができぬと強く強調されたのであります。私驚いて別に建設院、農林両政府委員から、農地復旧及び土木工事の進行状況を伺いましたところ、國の直轄工事も、資金の窮乏のために逐に中絶の状態に瀕し、地方復旧工事も同様の理由に阻まれて、まつたく停頓している状態であります。私はつぶさに被害地を踏査いたしまして、結論とは符合するものであります。もしもこのまま放置されているならば、水害被害地地方全地区にわたつて、本年度の食糧増産は二百数万石の収穫減は火を見るより明らかであります。時間の関係上途中で打切りますけれども、ただいま申し上げたような関係は、前の片山総理大臣当時から、現大藏大臣もよく知つております。今日この重大なる事業に対して出せるときには出さないで、ここにおいて微々たる二億円という予算を出されるというお話を聞いておる。その中の八千万円は農林関係の復興費と承知しておりますけれども、一億二千万円程度の微々たる金で何ができましよう。これらに対し片山総理大臣当時からのただいま申し上げたる関係について、大藏大臣に詳細に御説明を願いたいと思います。
  61. 北村徳太郎

    ○北村國務大臣 被害の最も甚大でありました縣の御出身の松井君のただいまの御意見は、きわめてごもつともと思うのであります。非常に御質問が多岐にわたつておりましたが、まず第一点からお答え申し上げます。予算が重点主義でなければならぬ。これは特に今のような歳入乏しくして歳出が非常に多いというような窮乏財政の中においては、好むと好まざるとにかかわらず、重点主義でなければならぬのであります。特に健全財政を主張して健全財政主義をとつております今の段階においては、格別にその予算の重点的な配分ということに努力をしなければならぬ。そういう必然性をもつているのでありまして、この点は今日までさように努力いたしてまいりましたし、今後も松井君御指摘のように、予算は重点主義でなければならぬ。まつたく同感でありまして、さような方向をとつているのであります。  第二段の災害復旧費が少いこと、その他についての質疑でございましたが、これは先ほども申しましたように、追加予算に第一に入れたが、これがうまくいきませんでして、それがために暫定予算に入れようとしたが、そのことがかえつて御審議の期間を短かくしたので、ようやく了承を得て本日御審議を願うことになつたのでありまして、その間の事情につきましては、過日たしか速記を止めて内容を申し上げてざつくばらんに御了承を得たつもりでおりますが、重ねてここで申し上げませんけれども、ここに特に御了承を願つておかなければならないことは、やりたいことは非常にたくさんある。われわれはこれもやらなければならぬ。あれもやらなければならぬ。なかんずく災害復旧費のごときは、特に米の生産に直接影響するのでございまして、食糧輸入に仰いでわれわれは暮しているのでありますから、何とかして食糧の生産源である災害地の復旧ということは、これはいろいろの面から考えましても、國としてやらなければならぬことであるという点については、松井君とまつたく同感でありますけれども、何と申しましても、ただいまわれわれは占領下の占領政策のもとにあるという点を御了解を願いまして、万やむを得なかつたのである。努力をしたけれども、万やむを得なかつたのである。しかしながら、今後においても、いろいろの努力をいたしまして、たとえば今回は額が少さい、水害だけであつて旱害の方ははいつていないではないかというような点も、先に川野君からも御指摘がありました。これは残念に思うことでありまして、できればこれもできるだけ早い機会予算に計上することに努力したい。かように考えているのでありまして、こまかい点につきましては、主計局長らか御答弁申し上げることにいたします。
  62. 福田赳夫

    福田政府委員 ただいまの大臣の御答弁に補足することは大体ないと思いますが、災害関係は二十二年度予算といたしましては、夏の災害以外の関係の分が三十億円ばかりあつたのであります。それに対しまして、夏の関係で二十億円ばかり補充いたしまして、約五十億円という経費が、災害関係で出ているという状況であります。それでは足らぬということでありまして、さらに予算外契約を十億円いたしまして、そのうち九億三千万円をすでに使用しているという状況であります。なお九億三千万円すなわち十億円の予算外契約でも足らぬというお話が松井さんからありました。二十億円に対しましては、前内閣においてはこれを十億円にいたしたい。あとは各地方において御努力を願いたいということでありまして、その十億円のうち八億円を予算外契約により残りの二億円を予算でこれを賄うというようなことを考えたのでありまするが、その実現の過程におきまして政変となりまして、そのうちに年度が切迫いたしまして、予算外契約をいたすということも、次の予算を待つというのも、そう大した違いがないというような事態になりまして、予算外契約といたしましては、これを議会の審議にお願いするというわけに至らなかつたのであります。しかしながら、当初申し上げました十億円、すなわちそのうち九億三千万円を使つたという十億円に対しましては、約半額の金融を考慮するということを政府考えており、かつ皆樣にも申し上げておるのでありまするが、さらにそれに追加るす八億円の予算外契約に対しましては、そのうち半分の金融をするというふうに考えたのであります。すなわち十八億円合計額の予算外契約に対しまして、九億円の金融をするというふうに考えたのであります。予算外契約といたしましては、金融がつかなければ、これは大した実益はないのであります。そこで政府といたしましては、予算外契約の追加の八億円はやめるけれども、当初の九億三十万円の予算外契約に対しましては、全額金融の斡旋をいたす方針であります。從いまして、実際問題といたしましては、八億円の予算外契約はなくなつたけれども、実効は十分当初申し上げた通りある。かような状況になつておるのであります。もちろんそれでも不足であることは、十分承知しておるのでありまするが、國家財政上まことにやむ得ない、かように御了承願いたいのであります。さらに二億円の予算につきましては、本日御審議をお願いいたしておるのであります。これは先般來政府において、皆樣に申し上げておる通りの措置をとつた次第であります。
  63. 松井豊吉

    ○松井委員 大藏大臣にお伺いいたしますが、時間がないので、私も残念ですが、本問題に対しては、私一人でなく、被害地代表の多数の方は、政党政派、超越をして、この復旧工事費の予算決定に対する努力をいたしておつた。概要の予算は、どうしても二十二年度中に五十億なければできぬということは承知しておつたわけであります。そこにおいて、二十数億程度で、現大藏大臣も御承知のことと承知しておりますが、現在國の直轄工事を初め、地方府縣の工事とも中絶の状態になつておるのであります。そこでこの四月の末五月六月に雪解けの増水は私が言うまでもありません。これらの問題に対して、もし想像以外の雪解けで押流された場合には、二十数億かけたその金がほとんど無効になつてしまう、こういう状態であります。水害復旧工事費は、他の予算関係も重大でありますけれども、特に重大であります。この時期を失したならば、今の一億円と六月の末の二十億と同じになる。現在この水害被害地の状態を見て、あの惨害の姿を見て、実に遺憾であります。私は議会人として帰れない。ただいまいろいろ御説明がございまして、大体は了承はいたしましたけれども、大体予算関係に対して、われわれは主管大臣、あるいはその関係の人々に強い陳情をいたしましたが、一にも二にもその筋でという、その筋でやむを得ない。これはもつともでしよう。これはもつともでしようが、先日來國土計画委員会を開催せられて、大藏大臣及び安本長官、復興院総裁に御出席願つて、親しくこの事業予算関係について審査研究する予定であつたのでありますが、不幸にして大藏大臣及び安本長官は出席がなかつた。そこで復興院総裁は、各委員質問に対して、ただ一点その筋の云々によつて予算は計上できぬと申された。私たちがこの被害地の実情をさらに根本から御説明願い、でき得るならば現状調査まで願つて、ほんとうの実情を申し上げるならば、おそらく反対はされないと思う。現は二十二年度のこの予算から二億という金を本日ここに提案になつた。いやしくも責任のある主管大臣、大藏、安本に向つて予算を十分決定させ、その仕事に努力すべき復興院総裁が、その筋の云々によつて予算が計上できぬと言われるのは不思議にたえない。なぜここに二億の金が出たのか。この点は後に復興院総裁にお伺いする予定でありますけれども、遺憾にたえません。総理大臣を初め主管大臣、その関係の人々が努力されることはもつともであるけれども、今この水害地の惨害を見て、ただいま申し上げたごとく、今年は農林当局も一割の食糧増産を希望されて理想を発耕地の復旧に関して、今六月の田植の時期を目前に見て、この予算が決定されなかつたら、二百数十万石の食糧減少であることは、私が言うまでもありません。これらの点について、何とか二十三年度の通常予算前に方法はありませんか。さらに二十二年度におきましては、この復旧工事費はどの程度まで予算に計上する御意思の点をお伺いいたします。
  64. 北村徳太郎

    ○北村國務大臣 重ねての御質問であります。お答えを申し上げます。これはさきに申しましたように、松井君が非常に惨害の大きかつた土地からの御出身でありまして、その御心中もわかるし、実情に対しても、私は十分理解をもつておるつもりであります。ただ困るのは財政の問題でありまして、災害が起つたからこれを急いで復旧しなければならぬという面の、もう少し根本にさかのぼつて言えば、災害を復旧させるということは、病氣で言えば一種の対症療法である。もつと根源にさかのぼつて、治山治水の問題をどうするかということも、併せて考えなければならぬと思うのであります。從つてこれには植林の問題があり、あるいは治水の諸般の問題がある。さような大きな問題を何とかして処理しなければ、われわれの食糧の給源でありまするし、このことも重大であるということは十分心得ておるのでありますけれども、これは今回も暫定予算にさえも時間に間に合わずして、今日御審議を願うということになつたことは、やはりさきに申しましたようい、われわれが占領政策下にあるというこの現実を御理解を願うよりほか途はない。多くを組みたいが、乏しい財源において、さきにお話になりましたように、重点的にやることはやむを得ない、できるだけ御希望に副うように努力はいたしますが、一應われわれが占領下にあるというこの現実を御理解を願つて、御希望に対して十分報いられないことについての残念さは、私もあなたも同じように残念に思つておるのであります。この点御了承願いたいと思います。
  65. 松井豊吉

    ○松井委員 ただいま大藏大臣から、二十三年度の水害地の工事費の予算についての御答弁がありませんでした。重ねて明白なる御答弁をいただきます。
  66. 北村徳太郎

    ○北村國務大臣 お答え申します。それはただいま二十三年度の本予算については、まだ申し上げる段階に入つておりません。これは物價修正のことがあり、その他各般のことをにらみ合わせておりますが、未だ閣議にさえも全然提出いたしておりませんので、ここで言明するというまでにまだ立ち至つていないことを、はなはだ遺憾に思います。
  67. 松井豊吉

    ○松井委員 私がお伺いした点については、的がはずれた点があります。しかしながら、時間の関係上繰返しは申しませんが、大藏大臣はどうも誠意の欠けたところがある、もし根本から聽きたいというなら申し上げますけれども、私はもう少し御努力を願つて、そしてもう少し水害地の実情を見て、一段の御了承を願つておきたいと思うのであります。ただいま治水治山また植林等のいろいろの関係、食糧関係もあるという御答弁でありましたけれども、それは治山治水はもちろん必要であるけれども、堤防が壊れたあの九月十五日の増水、もし三割か四割の増水の増合は——ておるが、それを越してしまう増水であるから、河川敷が上つております関係上、治山治水を根本からやる必要はあるでしようが、今の場合に間に合わない。そこにおいて、全國で三百万石近い——二百数十万石の食糧の減收は、これは治水治山に関係があるのでしようけれども、今農耕地の開発と、この河川改修に伴う水路の改修、いわゆる水口、これができ上らなければ、どうにもならない。これはどうしてもこの六月の田植時期までにやらなければならない。治山治水も必要であるかもしれませんが、まずこれに力を入れていただいて、どうか來るべき予算編成に当つては、ほんとうに心から重点主義に、実行主義にお願いするという希望を附して、私は質問を打ち切ります。
  68. 稻村順三

    稻村委員長代理 淺利三朗君。
  69. 淺利三朗

    ○淺利委員 この問題に関連しまして、大藏大臣に希望かたがた御意見を承つておきたいと思います。われわれはこの水害復旧費予算のはなはだ僅少なることは不満にたえないのであります。しかしながら、すでに過日來政府当局のいろいろ御苦心の事情も諒としまして、今日予算の問題でこれ以上論議をいたしてもいたし方ないと思うのでありまして、希望としては、明年度予算において十分の費目を計上していただきたいということを申し上げておきます。たださしあたりの問題といたしまして、かくのごとき少額の予算をもつてしては、二十二年度の復旧工事は、ほとんど不可能であります。すでに松井君からもお話になりましたように、あるいは堤防の工事なり、あるいは橋梁の工事なり、水利の工事には、すでにとりかかつておるのでありますけれども、工事が費用がないために休止の状態にあるのであります。ゆえに、もしこの予算裏づけがないとするならば、金融の上においても非常に困難を感ずるのであります。これをいかにして金融面においてなり、あるいは何らかの方法において工事の実施ができるところの実際的の処理についていかなる方法考えてくださるか、さきにこの予算外の國庫負担について、前内閣の際にさらに八億の予算外國庫負担をなさるという方針が、政変のためにとり止めになつたと申しますが、現内閣においては、この方法を再び繰返しておやりになる御意思がないのか、またそれができないのか、またそれができないといたしましても、何か銀行方面に対して、政府の保証なり何かによつて、府縣なり市町村が、この工事を実施する上において、金融面の上において、相当の措置を講じなければならぬ。現在請負師等は、金の支拂のないために工事を中止しておる。堤防の工事が中止されておるために、その影響するところの農民は、作付にも躊躇しているというような実情からみまして、ぜひこの面において何らかの措置を講じていただきたいと思うのでありますが、これに対して政府当局はどういうふうにお考えになつており、またどういうふうになすつてくださる可能性があるか、この点について所見を承りたいと思います。
  70. 北村徳太郎

    ○北村國務大臣 きわめてごもつともな御質疑と存じますが、來るべき年度予算には、何とかしてできるだけ御希望に副うように努力いたします。それからこれは実際の効果が予算に計上すると同じになるような金融的の措置という一つの途もございますが、この点についても、十分研究いたしまして、たい、かように存ずる次第であります。
  71. 淺利三朗

    ○淺利委員 ただいまの御答弁では研究してという、非常に頼りない御答弁であります。私どもこれは現実の問題として、早急にやつていただかなければならぬと思うのであります。今日まで何かそれについて、確定はいたしておらなくても、お見透しなり、あるいは構想をお持合せありますまいか。大臣になければ、事務当局においていろいろの案があつて、これこれのことを計画して研究しておるというのであるならば、同じ研究しておるというのでもいくらか安心はできますけれども、ただいたずらに研究しておるということでは、今日早急の問題に間に合いませんので、不安に存ずるのでございます。もう少しわれわれの安心のいくような御答弁を願いたいと思うのであります。
  72. 北村徳太郎

    ○北村國務大臣 さつきの私の申し上げた治山治水等から多少の誤解もあつたと思うのですが、これは私の考えでは、今回のような災害が起るということ——すでに起つた災害をいろいろな苦労をしながら復旧をやるということは、應急の措置をやらなければならぬことがあるますけれども、これだけでは、また再びこういう災害がくるというので、一層根本的の治山治水のことまで考えなければならない、政府は併せてやらなければならぬと思うのでありますが、一應何と言いますか、対症療法的に應急の措置を講ずるという面において、できるだけのことをいたしたいと、こういうことを申し上げたわけであります。ただいまのところ予算全体にわたつて檢討を始めたばかりでありまして、具体的におよそこの見当の数字というところまで申し上げるには、しばらく御猶予を願わなければ、今のところちよつと困難でありまして、予算の閣議さえも開いておらないという状況でありますから……。
  73. 淺利三朗

    ○淺利委員 金融の措置のことです。
  74. 北村徳太郎

    ○北村國務大臣 金融の措置については、これは前例もありますから、私は何とかしたいと思つておりますが、ここではつきり——これは相手のあることであつて、実際金融の措置で、一本の指令を出せば、現実に金が拂えるかといいますと、そうはいけませんので、その辺にことを考慮いたしまして、日本銀行その他と打合せまして、実施いたしたいと思います。なるべく実現の可能性のある方法でお答え申し上げたいと思つております。
  75. 淺利三朗

    ○淺利委員 前大藏大臣栗栖さんは金融のことについては、日本銀行その他に連絡をとつて地方の支障なきように手を打つてつた、こういうお話でありましたが、いざ地方の参りますと、事務当局の方から、そういう指令が出ておらぬという関係から、地方日本銀行の支店等においては、耳をかさなかつたのであります。こういうふうに安請合いをされても、実現不可能なものはいたし方がないのでありますが、ただいま大藏大臣は、安請合いをしないという意味において、そういうお話でありましようが、これは前大臣の答弁されたような実例もありますから、現大藏大臣は、なお一層熱意をもつて予算上にできないならば、これを金融面の上において、國家の補償なり、あるいは國家予算外國庫負担の方針なり、あるいはまた政府の預金のうちからでも、この金融の面において現在の工事の支障なきように、十分の措置を講じてもらいたいと思うのであります。これはいくら申し上げましても、解決はつかぬような御答弁でありますけれども現実の問題でありますから、將來の治山治水という問題よりも、現在やつておる工事をこのまま放棄するか、あるいはこれを完成するかという目の前に迫つておる問題でありますから、これについては、至急何分の御処置を講じて、われわれの安心のいくような方面にこの問題を実現するように願いたいと思います。
  76. 稻村順三

    稻村委員長代理 先ほど川島君、上林山君からの質疑に対して、政府委員から答弁を求められておりますので、これを許します。
  77. 日高第四郎

    日高政府委員 先ほど川島委員から御質問のありましたことにつきまして、材料を取寄せましたので、御答弁申し上げます。  昨年の七月の現在に調べたところによりますと、新制中学は一万五千二百四十八校できております。生徒の数が四百三十二万七千九百六十三人あることになつております。学級数が約九万四千五百ばかりに考えられております。平均は一学級四十七人くらいになつております。六月初めの調べによりますと、教員の所要数が十二万一千七百六十九人となつておりまして、それに対して補充された者が九万五千四百二十四人、不足が二万六千三百四十五人になつております。大体所要人員の二割二分弱不足いたしておるような状況であります。その後おいおい補充されつつあるもようであります。その当時の新制中学における二部教授をいたしておりますのが、全國で三千六百六十三学級ございます。仮教室を用いておりますものが二万五千二百二十一ございます。もつともこの仮教室と申しますものは、教室施設としては、とうていたえないというようなものもございますし、あるいは一時借りておるから、いずれはのかなければならないといつたようなものもありまして、内容において、必ずしも一定いたしておりません。これらについては、よく現実的な檢討をいたしまして、双方合計いたしまして二万八千八百四学級の処置をいたさなければならないというのが、昨年の夏の状況であつたわけでございます。昨年末の現在で申しますと、中学校教員の数が十二万二千百九十三人になつております。二十三年度の当初の不足見込数が約三万二千五百八十八になつております。この三万二千五百八十八の不足見込数は、本年度卒業します師範学校の卒業生約二万と、大学高等專門学校から教員になるであろうと見込まれる者約三万を補充したものと仮定して、三万二千五百八十八というのが不足いたすわけでありまして、これがそう簡單に補充の見込はつかないのであります。先ほど申しますように、教師待遇等を特によくし保護することによつて、獲得しなければならない数に推定いたしておるのであります。  それから教員補充対策でありますが、これは採用の資格をできるだけ大幅に拡げるということを現実にやつているわけであります。第二は、教員にできるだけ研究費というようなものが與えられれば、教員を吸收することもできはしないかというので、それは目下努力中でございます。それから先ほどちよつと申しましたように、免許法を制定いたす予定になつておるのでありますが、免許法の資格條件等につきましては、なお檢討中でありまして、それがあまりきびしくなりますと、教員不足を來します。あまり寛大になりますと、教員の質が低下いたしますので、それらの点をただいま檢討中でありますが、先ほど申しましたように、從來教員は一應その免許を與えておりますし、免許法ができるまでは、その線に沿うて教員を集めることにいたしておる次第であります。師範学校の生徒を十分に吸收いたしますためには、先ほど大臣からもちよつと申し上げましたように、ただいままでの給費があまりに名目だけでありまして、実がございません。それらを充実いたしまして、できるだけ奬励いたしたいというふうに考えております。これらの点につきましては、なお大藏当局とも交渉中でありまして、まだ結論まで到達いたしておりませんけれども、できるだけ努力いたしたいと考えておる次第であります。
  78. 稻村順三

    稻村委員長代理 質疑は終了いたしました。これより昭和二十三年度一般会計暫定予算補正(第一号)を議題といたしまして討論に入ります。
  79. 河合義一

    ○河合委員 この際動議を提出いたします。すなわち本案については討論を省略してただちに採決していただきたいと思います。
  80. 稻村順三

    稻村委員長代理 河合君の動議に御異議ありませんか。
  81. 稻村順三

    稻村委員長代理 御異議がなければさよう決定いたします。  それではこれより採決いたします。原案に賛成の諸君は起立を願います。
  82. 稻村順三

    稻村委員長代理 起立総員。よつて原案通り可決いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十分散会