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1948-04-01 第2回国会 衆議院 予算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年四月一日(木曜日)     午前十一時十七分開議  出席委員    委員長代理 理事 川島 金次君    理事 稻村 順三君 理事 小島 徹三君    理事 苫米地英俊君 理事 川野 芳滿君    理事 東井三代次君       海野 三朗君    加藤シヅエ君       河合 義一君    黒田 寿男君       矢尾喜三郎君    竹谷源太郎君       田中 松月君    細川 隆元君       伊瀬幸太郎君    西村 榮一君       境  一雄君    石井 繁丸君       押川 定秋君    川崎 秀二君       本間 俊一君    古賀喜太郎君       五坪 茂雄君    鈴木 強平君       鈴木 明良君    高橋 長治君       小坂善太郎君   長野重右ヱ門君       原 健三郎君    山崎 岩男君       青木 孝義君    淺利 三朗君       磯崎 貞序君    植原悦二郎君       角田 幸吉君    鈴木 正文君       世耕 弘一君    上林榮吉君       西村 久之君    本多 市郎君       今井  耕君    大島 多藏君       中村 寅太君    野坂 參三君       森  直次君    門司  亮君       馬越  晃君    松井 豊吉君  出席國務大臣         大 藏 大 臣 北村徳太郎君         國 務 大 臣 鈴木 義男君         文 部 大 臣 森戸 辰男君         農 林 大 臣 永江 一夫君         運 輸 大 臣 岡田 勢一君         逓 信 大 臣 冨吉 榮二君         労 働 大 臣 加藤 勘十君         國 務 大 臣 一松 定吉君  出席政府委員         大藏事務官   福田 赳夫君         農林事務官   清井  正君  委員外出席者         総理廳事務官  賀屋 茂一君         大 藏 次 官 野田 卯一君         專門調査員   小竹 豊治君 四月一日委員岡田春夫君、小澤佐重喜君、庄司一 郎君及び笹森順造君辞任につき、その補欠として 境一雄君、森直次君、松井豊吉君及び大島多藏君 が議長の指名で委員に選任された。 同日庄司一郎君が理事を辞任した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十三年度一般会計暫定予算  昭和二十三年度特別会計暫定予算     ―――――――――――――
  2. 川島金次

    川島委員長代理 これより会議を開きます。  質疑にいります。上林榮吉君。
  3. 上林山榮吉

    上林委員 運輸大臣に質したいことは、二十三年度の予算に直接関係するところの鉄道料金値上げについてであります。鉄道料金値上げは、前の片山内閣の時に〇・八の生活補給金の財源として、植上げをしようとしたのであつたのでありますが、あれが原因になりまして、内閣が総辞職をしたことは、御承知通りであると思いまするが、聞くところによりますと、運輸省においては、大幅の値上げをば計画している、こういうことであるが、旅客貨物等料金を、どの程度に大幅に値上げせんとする用意をもつているのであるか、この点について質してみたいのであります。
  4. 岡田勢一

    岡田國務大臣 お答えいたします。鉄道料金値上げは、上林山君のお話通り、この前問題になりまして、中絶いたした形になりましたが、國会の御意向を参酌いたしまして、これは質問外でありますが、やほり鉄道運賃値上げは、旅客貨物両方とも國会の議決を経まして実行するというふうに内定をいたしております。御承知通り鉄道はただいま相当の赤字を続けていきつつあります。また將來原則から言いまして、独立採算制確立にもつていかなければならぬと思つております。從いまして、ただいま現行の運賃を上げなければならぬ態勢におかれておると思つております。それで今安本初め関係各廳と相談中でありますが、いずれ二十三年度の通常予算の中に、これを何らかの形で組み入れることになると思います。でありますから、今お尋ねになりました額をどれくらいの程度に上げるか、それからいつから実施するかということにつきましては、ただいまのところ成案がまとまつておりませんのですが、御質問のように、何らかそういう考えをしなければならぬというので、今調査を進めつつあるのであります。以上お答えいたします。
  5. 上林山榮吉

    上林委員 いつごろからこれを実施するか、あるいはどの程度値上げするか、ただいまのところ研究中でわからないというのであるが、大藏大臣の説明するところによれば、五月以降の予算は、ただちに四月中に出す予定であると、大体の目標を示しておるのでありまするが、五月以降の二十三年度の予算にこれを組み入れるだけの準備ができておるか、なおわれわれの聞くところでは、貨物運賃等のごときは、あるいは三倍程度値上げするのではないか、こういうことも聞いておるのでありまするが、その辺の事情はまだきまつていないのか、これは新物價体系、二十三年度の予算編成、その他と密接な関係がありますので、その骨子をこの際承つておかなければ、われわれとしては納得がいかないのであるが、その点に対しては、どの程度考えをもつておるか、さらに独立採算制前提になるものは何であるかということになりますと、これは仕事の種類によつても違うのであります。程度の差はあるのでありますけれども、何といつても現内閣が声明しておる通り、あるいは片山内閣が声明してきた通り行政整理をやらなければ、とうてい独立採算ということは、鉄道に関する限り見透しがつかぬのじやないか。こういうように考えておるが、鉄道部内における行政整理については、どういう見解をもつておるのであるか。世間に氣がねをせずに、私は断固としてその方針を示されるのでなければ、いうところの独立採算制というのは空文に終るのだ、またその影響は、結局は國民生活に非常なる負担をかける結果になる。こういうふうに考えるのであるが、運輸大臣にこれに対してどういうふうに考えておるか、所信を質したいのであります。
  6. 岡田勢一

    岡田國務大臣 第一の御質問の、鉄道貨物運賃を三倍程度に上げるといううわさがあるというお話でありますが、これはただいま上林山君が申されました通りに、貨物運賃引上げが、すベての物價並びに今後改訂せられるでありましよう全般の物價体系に重大な関係をもつておりますのは、お話通りでありまして、從いましてこれはただ運輸省当局だけの採算でありますとか、または考え方でまいらぬわけになるのでありまして、関係各省と十分な打合せを願わなければならぬことになります。ただ三倍程度ということは、私の方から考えますれば、一應のうわさでありまして、まだ決定はいたしておりません。同時にまたこの問題につきましては、なるベく正鵠なる現実に即しました賃金改訂等確立せねばなりませんし、それから事前相当前披露的に予告せれるということになりますと、経済界なりいろいろに與えます影響、あるいは思惑を助長するとかいうような結果にもなると考えますので、そのアイデアは、みだりに前披露的に出してはいけないというふうな考えをもつております。從いまして、ただいま三倍程度に上げるか、それより少いか、またはそれ以上かということについても決定いたしておりませんので、この程度以上に申し上げるわけにまいらぬと思います。それから独立採算制確立原則として、行政整理をやらなければならぬというお話、ごもつともであります。國民独立採算制が立たないために大きな負担をおかけしておりまして、これはまことに私たちとしましては遺憾でありますが、この行政整理をどの程度にやるか、これはほかの非現業官廳と違いまして、機械的に天引とかをやることは、むしろ無効でありまして、現場の実際、輸送量、その他鉄道輸送に関するいろいろの要素から十分に檢討いたしまして、現場的に行政整理案を立てなければならぬと思つております。そこでそんな抽象的なことではいかぬではないかというようなお話を承るかもしれませんが、そういう考えのもとに、ただいま愼重なる研究を続けております。また今年度各関係各省ばかりでなく、民間からの輸送要求数量というものが、非常に厖大なる数量でありますので、これはできるだけ能率を上げまして、あるいは設備の改善、拡張をいたしまして、この要望に副うべく、これも考えておりまして、その面からも、科学的な採算をいたしまして、この行政整理案をきめたいと考えておりますので、今しばらくの間成案決定をお待ち願いまして、決定いたしました時分には御披露いたしたい。かように存じております。
  7. 上林山榮吉

    上林委員 鉄道料金値上げ事前に試案でも発表することは、思惑を誘発して経済界を混乱せしめる。これがいわゆる官僚的な考え方ではないかと思うのでありまするが、この関係から財政法第三條の特例を設けなければならぬというような立法理由にも、一面はなるかと思いますけれども、もうすでに鉄道料金を上げなければならないというこは、機敏な財界の人はすでにわかつておることで、政府がいかに表面つくろつていても、大体こういうふうになるということは、すでに筒拔けにわかるのである。そういう時代に、財界思惑のために、私案を発表することはいけないという考え方は、私はすでに官僚的な考え方であると思うのでありまして、それよりも合理的に、どの程度に上げたらいいかということを、國民のまじめなる輿論に訴え、しかもこれにあらゆる角度から檢討を加えて、國民負担に應せしめるというやり方が、今後の運営のあり方でなければならぬ、こういうふうに考えますので、私案がありますならば、少くともこの委員会なり、あるいは他の適当なる委員会等に示して、相協力してその成案を得る方向にもつていくべきものではないか、こういうふうに考えるのであります。だから財界思惑を防ぐために発表できないという態度は、われわれはとるべからざるものである、こう考えるが、これに対してどういう見解をもつておるか。  なお次に続いてお尋ねいたしたいことは、これは前の北村運輸大臣時代から、私どもは極力主張しておる問題でありますが、鉄道部内における上といわず、下といわず、官紀紊乱しておることは、もう運輸大臣承知通りであると思う。最近聞くところによると、これはどの程度進んでおるかわからないが、運輸省関係の高級の官僚に、相当官紀紊乱というような問題が起つておる。こういうことであるが、その眞相を許される範囲内において発表願いたいと思う。鉄道の治安、あるいは鉄道に依託した物が拔き取られるというような事件は、非常に多かつた。しかも今度起つた問題は、それと同じ雰囲氣というよりも、さらに惡質な問題であるというふうにわれわれは聞いておるのであるが、こういうような官紀紊乱に対して、鉄道大臣はどういうふうに処置していく方針であるか。もつともさいわいにして、ここに法務廳総裁も來ておるのでありますから、これに関連して、ひとつ政府所信を明らかにせられたいのであります。
  8. 岡田勢一

    岡田國務大臣 鉄道運賃引上げ事前に周知せしめないということは、官僚的な考え方であるというお話に対しましては、私も同感であります。そして第二の廣く國民大衆輿論に聽いて、運賃の上げ下げをやるベきだというお話に対しましては、私としましては、この國民輿論は十分に尊重いたさなければなりませんし、同時にまたそれよりも以上に國会考え方を尊重いたさなければなりません。國会は別といたしまして、國民輿論というのが、どこをつかめばほんとうに正鵠輿論であるかということを捕捉いたしますことが、現実の問題として相当に困難ではないか。たとえば運賃を上げては絶対に都合の惡い業種の人たちもあります。またその境遇におかれておる人たちもございます。またそれが多いと思いのであります。ところが國の財政面、あるいは先ほどお話にありました独立採算制の問題からも考え合わせなければならぬのでありまして、これは利害関係のない人の公正な意見も聽かなければならぬことにもなるのであります。この点については、はたしてどこがそれの正鵠なるポイントであるかということは、よほどむずかしいのであります。從いまして、政府当局といたしましては、眞に國の財政面あるいは國民生活面、あるいはまた輸送事業という一つの企画から考えました採算、それから生産に影響する面、物價などを十分にあらゆる角度から檢討いたしまして、まず政府の案をつくりまして、それを発表いたしまして、皆樣に御審議を願い、同時にその時分國民輿論に聽くというふうなやり方にもつていくべきではないかと、私としては考えております。  それから第二の官紀粛正の問題であります。今日中央及び地方をおしなべて官紀が非常に地緩いたしておりまして、いろいろ忌まわしい事件が起りつつあることは、私もよく聞いておりまして、これはまことに國民に御迷惑をかけていることと存じております。運輸省における疑惑の問題が新聞に発表されておりまして、上林山君の申されますような高官の人がこれに関係があるのではないかという記事であります。私もこれを重大視いたしまして、一昨日以來調べつつございます。ただいまのところでは、新橋の管理部に納入する商人が、その納入します品物の一部をやみに流した。これに発しているのでありまして、傳えられておりまか高官がこれの実際面においてどれだけ関連があるかないかということは、今のところでは、直接に関連がないと当事者は申しておりました。事件は大体檢察当局の方にまわつておりますので、私の方としましても、この眞相を今調査中でごどいますが、まだ確証を得るに至つておりません。この種の問題は、あまり行過ぎて論議をし、疑惑をかけるということは、私らといたしましては、避けなければならぬと考えております。しかしながら、これは檢察当局にもお願いをしておりますが、速やかに眞相を調べ上げまして、皆樣方並びに國民の前に発表いたしたいと考えております。同時にまたもしさような非常に惡い事実が発覚いたしました際には、私といたしましては、断固たる処置に出る考えでありますばかりでなく、一般綱紀粛正の問題につきましては、今後信念をもつて、この綱紀粛正を達成するような考えで進みたい。かのように考えております。
  9. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 ただいま御質問鉄道部内に起つておりまする事件は、運輸大臣からお答えおいたした通りでありまして、法務総裁としては、まだ正式に報告を受けておらないのであります。おそらく檢事局が指揮をいたしておるとは思いますが、主として警視廳捜査の任にあたつておりますので、檢察当局としては、いかなる人が被疑者でありましても、嚴正公平に捜査を進めて、そうして結論を得ましたならば、これを発表し、あるいは御報告をするということにいたしておりますから、その点は御了承願いたいと思うのであります。近く御報告を申し上げることができることになるだろうと思います。
  10. 上林山榮吉

    上林委員 運輸大臣に関する問題もたくさん残つておりますが、時間の関係を考慮いたしまして、北村大藏大臣に質してみたいことがあるのであります。大藏大臣は、本議場において、われわれの質問に対して、軍事公債利拂の問題は、これは三党政策協定内容は、委員会にかけて、委員会で停止するということをきめればその通りする、あるいは停止すべからずという結論を得れば、その通りするんだという答弁をしたのであります。これは二回も三回も念を押して質したのに対しての大藏大臣答弁であつたのであります。ところが社会党の稻村君の質問に対しては、これとは趣旨の違う、いわゆる停止するということをきめているんだ、こういう趣旨答弁をされて、あとの答弁が正しいのであるからこれを修正してもらいたい、こういう申入れをしたことは、これは大藏大臣として、まことに國会を侮辱せるところの言動であり、無責任言動であるばかりでなく、また芦田内閣がよつて立つ三党協定というものが、そんなにもあいまいな協定であつたのかということに驚いたわけでありますが、この際、利拂停止はするのだ、ただその方法について委員会協議による、懇談会協議によると、こういうふうに解釈していいのであるか。それをお聽きしてから、次の総題に移つていきたいと思います。念のために前提として承つておきます。
  11. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答え申し上げます。上林山君に対しましては、昨日御質疑がありまして、それで御答弁申し上げた通りであります。ただいま、こうかとおつしやつたその上林山君の御理解通りであることを、重ねて申し上げておきます。
  12. 上林山榮吉

    上林委員 そこで北村君のあいまいな言動がようやくはつきりしたような氣持がするのでありますが、それであるならば、何がゆえに二千万円程度軍事公債利拂い暫定予算の中に計上したのであるか、その計上の理由を示されたいのであります。黙つておれ。大事な問題だ。
  13. 北村徳太郎

    北村國務大臣 利拂を停止するということがかりに決定いたしましても、將來に向つてそういう法律が出まして、その法律に基いて將來効果を生ずるのであります。今回の利拂は過去六箇月分でありまして、過去に属することでありますから、暫定予算に計上するということは、これはしなければならぬ國の責任である。かように考えていたした次第であります。
  14. 上林山榮吉

    上林委員 一應承るともつともらしい答弁でありますが、その内容を解剖してみると、私は北村大藏大臣は、心に動搖を感ずるものがあるだろうと考えるのであります。なぜかといえば、それならば、法規的処置をしないから、過去のものであるかという理由によつて、これを計上したと言われておるのであるが、しからば、三党協定をまじめに守る、いわゆる停止するということが三党協定骨子であつたとしたならば、これは法規的処置を何がゆえにこの際とらなかつたか。これを私は質したいのである。
  15. 北村徳太郎

    北村國務大臣 三党政策協定というものは、これは三党の政策の輪郭をきめたものでありまして、三党間において遵守すべき一つのわくであることは、上林山君の御理解通りであります。しかしながら、昨日も申し上げたと思いますけれども公債利子を拂うということは、これを大体價値連続の原理に基いて、將來に向つて今後拂わないということになる場合はもちろんでありますけれども、過去の價値連続の原理を切断するということは、これは三党政策協定がその切断をなし得るものではないのであります。過去六箇月間拂わなければならぬ國家の債務でありますから、これを今回拂うということは当然でありまして、今後の問題として、將來に向つて法律効果を生じた場合には、もちろんそれによるべきでありますが、その点に私と上林山君と考えの違いがある。これはどうしても過去のものでありますから、過去六箇月分の公債の後利拂であるところのものでありますから、これは拂わなければならぬということは当然である。殊に、昨日も申し上げたと思うのでありますけれども、大体公債原則として無記名である。若干の登録公債もございますけれども、無記名原則とする。從つて現在は日本人以外の所有も相当ございまして、これが突如として利拂しないのだということになるためには、それに伴うあらゆる善後措置というものを講じて、そうして、どうしてその波瀾を止めるかというようなこともしなければならぬし、そのある特定の人が損害を受けるという場合に、これは何ゆえその人たち損害を受けなければならぬかというはつきりして理由も立たなければならぬ。從つて國会にお諮りをして、法的措置を完備して、しかる後にやるべきものである。かように考える次第であります。
  16. 上林山榮吉

    上林委員 見解の相違だというような意味で味われるのであるならば、私は不可思議でならないのでありますが、暫定予算の中には、四月分の利子支拂もはいつているのではないか、かうよに考えるが、四月の暫定予算の中に四月分の利子もはいつているのであるか、その点をまず承つておきたい。
  17. 北村徳太郎

    北村國務大臣 御理解通りであります。
  18. 上林山榮吉

    上林委員 そういうことになるとはれば、過去六箇月分という意味の解釈のしかたは、内容において非常に相違してくる。少くとも四月分の暫定予算の中に、これから先の、あなたの言われるところの法規的処置をやつてもいい問題も含んでいる。そこに私はあなたがジレンマに陷つている一つの根拠があるのじやないかというふうに考えているのであるが、そこでお尋ねいたしたいのは、これをこの公用の席上で責任をもつて言われる大臣のことであるから、額面通り受取つてもいいのであるが、しかし三党協定複雜なる状況を考えてみますときに、あるいはまたこの問題の及ぼす社会的影響考えてみるときに、私ども額面通り答弁を受取れない点があるのであります。この問題が國会で論議されて、民主党役員会大藏大臣は、この問題は一應はああいう答弁をしたけれども、結局やれない結果になるであろう。こういうようなことを言つたということであるが、その眞相いかん。これを私は聽いてみたいのである。
  19. 北村徳太郎

    北村國務大臣 重ねてお答え申し上げますが、政策協定將來に向つてこれこれのことをやろうじやないかという協定でありまして、ものによつてはいつからやるということがはつきりしないものもあるし、またその後いろいろな研究を経て実行に移すべきものもあることは、これはもう上林山君も御承知通りであります。それで公債利拂の問題は、影響するところが大きい。ひとり日本秀だけでなくして、日本人以外に及ぼす影響もございまするし、その他國民生活経済界あるいは金融一般等に及ぼす影響も大きいから、懇談会を設けて、それらの諸般のことを十分に檢討するということで懇談会ができたのであります。この懇談会が未だどういう方向に向うかということがきまらないうちに、これを実行しなければならぬという政策協定ではないのであります。從つて眞重を期して、さような懇談会ができたのでございまするから、これはこの点をこういうふうに処理する、善後措置はこうするのだということが、十分に檢討された後に、初めて実現すべきものであつて政策協定であるから、これをすぐに実行するという筋のものでないということを御了承願つておきます。
  20. 上林山榮吉

    上林委員 四月の利拂の問題が、暫定予算の中に含まれておるということは、実にあなたの答弁と食い違つておるのであるが、さらに私はこの際申し上げたいことは、役員会においてそういう言動があつたかどうかということは別としても、しからばあみたは五月以降の予算利拂停止をするということが決定している以上、五月以降の予算については利拂予算は計上しない。こういう方針をもつておるのであるかどうか。これは当然のことだと思うが、そういう方針をもつておるかどうか、これを承りたい。
  21. 北村徳太郎

    北村國務大臣 原則としてお話通りになると思うのでありますが、先ほど來申し上げますように、影響するところが大きい、從つて懇談会がこの影響をどう防ぐかというような、はつきりした結論が得られるであろうと思うのでありますが、それを勘案して処理をいたしたい。かように考えておる次第であります。
  22. 上林山榮吉

    上林委員 影響するところが大きいということは、言うまでもなくわかつておるのであるが、私の聽かんとするところは、この委員会はすでに停止するということがきまつておるのであつて、ただその方法をどうかるかというだけが残されておる問題であるとするならば、五月以降の予算には、この利子は計上しないということが、政治徳義の上から言つても、三党協定であなたが停止するというふうにきめていたという言明に基くならば、そういうふうにやつていくのが当然ではないか。われわれとしては、この二千万円を暫定予算の中に組むということ自体が、すでにあなたが三党協定をあいまいに解釈し、あるいは民主党的方向にこれをもつていこうとするところの意図の現われである。こういうふうにわれわれは考えておるのであります。もちろんわれわれは軍事公債利拂問題は、これをやつても経済的に金融界に混乱を起すだけであつて、結局國家がそのしり拭いをしなければならぬということが、大体のけじめになるようであるから、われわれは軍事公債利拂を停止するということは反対の立場をとるのであるが、いずれにしても、あなたはこの問題に対して二十三年度の予算に組むか、組まないか、研究した上でというような程度では、あまりにもあいまいだ。こういうふうに考えるのてあるが、その点をお尋ねいたします。
  23. 北村徳太郎

    北村國務大臣 明日からこの懇談会が開かれます。從つてその動向をもう少し見たいと考えておる次第であります。
  24. 上林山榮吉

    上林委員 明日から懇談会が開かれるから、その動向によつて懇談会予算に計上するな、こういうことがあれば予算には計上しない、こういうような考えるのであるかどうか。從つて懇談会の意向によつて予算に計上するしないをあなたは考えるのか、またその程度協定であるかということをお尋ねいたします。
  25. 北村徳太郎

    北村國務大臣 私は財政の責任者として、これが非常に全國に大混乱を來すということであれば、やはり政策協定についても、さらに三党間で相談をして、これほどの犠牲を拂うならば、これはひとつ引込めなければならぬということになるかも知れない。從つてその途のエキスパートをたくさんお願いして、懇談会を組成しておるのでありますから、從つてそれに基きたい。しかし上林山君のお話のごとく、一應停止を前提とするものでありますから、おそらく次に出すべき本予算には計上しないで一應出すことになると思いますが、今の影響するところが大きいということは、十分考慮いたしたい、かように存ずるのであります。
  26. 上林山榮吉

    上林委員 あいまい模糊としてわからないのであります。いわゆる民主党や社会党の諸君が内輪で秘密協約をやつておる立場から言えばおわかりになるかも知れないが、われわれのように第三者的な公平な立場からこれを批判するときには、國民とともにわからないのであります。さらに私は今の大藏大蔵の言葉の中に、懇談会の方で予算を見合せた方がよかろうということがあれば、引込めることになるかもしれないという言葉は、どういうふうに受取ればいいのでありますか、懇談会の意向によつては、五月以降の予算影響するところが多かつたら引込めるかもしれないということはどういうことであるか、お確かめをいたしたい。
  27. 北村徳太郎

    北村國務大臣 これはどうも財界が大混乱してもぜひやらなければならぬとは考えておりません。從つてその点については十分檢討いたしたい。但し一應利拂を打切るということを前提としておりますから、新しい年度の予算には盛らないことになるであろう、こう答弁しておるわけです。
  28. 上林山榮吉

    上林委員 この問題はあまりにあいまいであつて、わからないのであります。そこで具体的な問題をお尋ねいたしたいと思いまするが、社会党の方面で、軍事公債利拂停止に関する法律案、こういう案を近く提出されるはずだというふうに聞いておるのであるが、もしこういう問題が提出された場合には、大藏大臣はどういう見解をとるのであるか、これを伺いたいのであります。
  29. 北村徳太郎

    北村國務大臣 そういうものが出るということも聞いておりませんが、出たらこれは國会にお任かせするよう仕方がない。國会で全部御決定願うよりほかないと思います。
  30. 植原悦二郎

    ○植原委員 関連質問でひとつお尋ねいたしたいと思います。その前に議事進行でひとつ言うことをお許し願いたい。これは昨日の小坂君の質問に対してのことでありますが、実は私の永い議会生活に、関連質問を許す場合には、質疑者に対して政府答弁する前に関連質問を許すという実例は、未だかつて私はないと記憶いたします。実は事務総長についても、この問題を質しました。それは非常に惡い実例で、そういうことをしたならば、議場の整理も何もできなくなる。関連質問というものは、質疑者と答弁者があつて答弁するその間に起つた問題について関連質問を許すことが今までの慣例であります。にもかかわらず、昨日黒田君の総理大臣に対する質問に対して、総理大臣が答えないうちに、小坂君に発言をお許しになつた、これは委員長の誤りだと私は思います。これは誤りとして御決定になつて將來にそういう実例を残さないようにすることを、私特にこの場合に御注意申します。これは重大なることと思いまして、私は今朝事務総長について質しましたけれども、さようなことはない、さようなことがあつてはならないということですから、その点は特に御注意申し上げます。  そこでただいま大藏大臣への質問に対して答弁いろいろで、わかるとかわからないとかいうような意見があるようでありますから、この場合に問題をはつきりしておく必要があると思います。実は大藏大臣は、一昨日午前と午後と違う御答弁をなすつて、そうして大藏大臣は稻村君への答弁が正しいのだ、さように了解してもらいたいというお答えでありました。これは私ども了承した。但し、三派協定の問題は、一大藏大臣に関する問題でありません。芦田内閣なるものは、三派政策協定の上に成立したものであります。しかも三派政策協定は、現政府國民に対する公約であります。この点をよく御了解になりましたらば、言を左右にすることは許さないのであります。議会政治は一定の政策國民に公約するのであります。その公約を実行しないのならば、責任を果さざるものとして、その責任をとるべきが議会政治の原則であることを、御承知なさらなければならない。ここでただ言つてとか言わないとかいう言葉のあやを爭うておるのではありません。そこで昨日総理大臣にその点をお尋ねしたところが、総理大臣は、大藏大臣の言う通りだ、大藏大臣は二樣のことを言つておるがどつちだ、最後に問い質しましたらば、大藏大臣の後に言うことで、三派政策協定に対しては、軍事公債について利拂を停止する、その停止する処理方法については委員会決定にまつので、委員会はその処理の方法決定するのみだ、こういうことである。そこで、ただいま上林山君の質問に対して、影響が大きいからどうだこうだという議論の余地は、この議会では許さないのであります。三派協定のときに、影響が大きいか少ないか、そのくらいのことを考えてやらない大藏大臣や総理大臣であるならば、民主政治の議会を担当することの資格なきものであります。説明するまでもなく、おわかりでありましよう。國民に対する公約でありますから、その公約をするときには、その影響がいかなるものであるかを、責任をもつて感じてでなければ公約はできないのであります。それを今日ここで議論する、自分の責任逃れ、その影響が大きいからどうなるかわからない、それならばその影響が大きいからやらないといえば軍事公債利拂停止をやめるか、それならば三派の協定を根本から覆えすものであります。その國民に対する公約を何とするかという議論が出てくるのであります。財界に対する影響の大きいことは始まりからわかつておる。そういうことを口実にして議会の答弁を左右するということは許すべからざることであるということを、大藏大臣はよくお考えになるがよろしい。ゆえに問題は、上林山君の質問の四月の見積りをこれに入れるかどうかという問題は、これは両者の間の質疑應答で私の関するとことではありません。ただ問題は三派協定というものは利拂を停止する、その処理方法委員会に……。  從つて財界影響が大きいかどうかということは協定した時にわかつておる。そんなことをかれこれ今日議会において言う必要はない。ゆえに五月以降の利拂を本予算に入れるか入れないかということをお答えになればよろしい。入れるとお答えになつても入れないとお答えになつても、そんなことは今この場合に私の関することではありません。ただ私の関するところは、三派協定というものの上に、この内閣が立つておる。大藏大臣は最初はごまかしの答弁をし、後に訂正した。この訂正したことを総理大臣も認めておる。ゆえに総理大臣初め大藏大臣國民に対する公約を御履行なさるべきだ。その履行に対して手続上の問題は私のかれこれ言うところではないが、さようなことを口実としてこの機会において御答弁なさることは、おやめを願いたい。初めから当然きまつておることであるから、そのきまつておることをわからんで三派協定をなさるような氣ずかいはありますまい。そこで利拂は五月以降計上するかしないかということについては、私の今の質問関連しないのであります。政策協定國民に公約したところの契約であります。從つてその影響は公約する時から当然覚悟をしてのことであると、かように解すべきものだと思うが、これに対する御所見いかん。
  31. 北村徳太郎

    北村國務大臣 先ほどから申し上げました結論通りでありまして、新年度の予算には計上しないことになるであろうということを申し上げております。その通りであります。
  32. 植原悦二郎

    ○植原委員 なろうとかなるまいとかいうことは、言葉のあやになりますから、私はこれ以上言いませんが、三派協定國民に公約したものである。それを実行する責任にあるということを十分御自覚なさつて御処理なさるがよろしいということを申し上げて、私の質問を終ります。
  33. 川島金次

    川島委員長代理 苫米地君。
  34. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 大藏大臣の説明は、大分逆戻りしておるようであります。しかし私の根本的に疑問と思うのは、今朝の新聞また昨晩の夕刊を見ると、民主党利拂の停止をしないということを再確認しておるというのであります、この事実があるかないか、まずそれを承つて質問を続行したいと思います。
  35. 北村徳太郎

    北村國務大臣 私はその事実を知りません。民主党でそういうふうな声明をしたかどうか全然存じません。
  36. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 声明したとは言わない。役員会できめた……。
  37. 北村徳太郎

    北村國務大臣 それは知りませんから、何ともお答え申し上げられません。
  38. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 大藏大臣存じなければ、御存じないことを答弁していただくことは困難でありますから、これは今御答弁を求めようとはいたしませんが、三派協定である以上は、おのおのの政党の中において、政党が同じ決議をしておるのでなければならない。しかるにこの問題は、最初から民主党の方においては、大藏大臣が初めに答弁せられた通り決議されておるやに承つておる。また官房長官も大藏大臣も、繰返して最初の答弁のように言うておられる。これは民主党がほんとうに誠意をもつてなした協定ではなく、一時を糊塗するために協定したものであるというような印象を外部に與えるのであります。この過去のいきさつ、一昨日の午前までの経過からみれば、民主党役員会において再確認したということは事実であろうと、私ども考えざるを得ないのであります。で大臣は昨日の答弁においては、利拂を停止するということを前提として懇談会を開くのだと言つておりますが、きようの答弁は逆戻りをして、そして懇談会の結果によつて、またこの三派協定の公約を覆えというようなことを、きようまた新たな問題として述べられておるのであります。そうするというと、大藏大臣の答会は三轉しているのであります。第一回は委員会にかけてその結論によつてきめるのだ、その次は利拂停止決定しているのだ、そうして今度は財界に及ぼすところの影響が大きいから、委員会によつて党協定をやり直すかもしれないのだ、と三轉いたしております。きのうの総理大臣答弁によれば、第二回目の答弁が正しくあつて、それは内閣責任をもつ、総理大臣はかく答弁しておる。ところがまた大藏大臣は三轉してしまつておる。何ゆえにこういうような矛盾が起つてきた。か、この点について大藏大臣の御答弁をわずわしたいと思います。
  39. 北村徳太郎

    北村國務大臣 先ほど申し上げた通りでありまして、利拂停止前提とする処理であるということは、すでに申し上げた通りであります。それでこれ以上このことについてはお答え申し上げませんが、三轉はいたしておりません。
  40. 川島金次

    川島委員長代理 この際ちよつと苫米地委員に御注意申し上げたいのですが、公債利拂問題については、大分議論が進んで、もう盡きたのではないかと考えられるのですが、他の会派からもまた質問の通告者がございますから、できるだけ簡潔に質問を進めていただきたいと思うのであります。
  41. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 議事の進行について、私委員長に申し上げます。われわれは決して引延しを考えておるのでありません。しかし必要なる事項は、國民の前に明らかにすることが必要である。この必要な問題について時間を制限されるということは承認することができないのであります。質疑者が多いということは、これはいたし方がない、明快なる答弁があれば時間はかからないのであります。しかるに明快なるところの答弁を回避するがゆえに、時間がかかるのであります。この点について、委員長にもう一度御反省を願いたいと思います。その上で質疑をいたします。
  42. 西村榮一

    西村(榮)委員 議事進行について委員長に希望を申し述べたいのですが、実は昨夜の各派交渉会において、この暫定予算はいろいろな理由からいつて、昨夜中に委員会をあげたいということであつたのでありますが、交渉会の話の結果は、本日二時までに本会議をあげるということに、各党の代表が責任をもつて確約せられたのであります。それは自民党の代表も出席になつておられるのでありまして、出席の委員方は多分そのことは党の責任者からお聞き及びのことと考えるのであります。從つてそういうふうな時間の約束とにらみ合わせて、議事を進行せられんことを望むのでありまして、特に共産党、國協党、その他農民党の各派からの質問の通告も出ているのでありますから、これらの党派の代表に対しましても、発言の機会を與えることが、私は議員の道徳ではないかと考えるのでありまして、時間のずれ、議員道徳の見地に立つて、議事を進められんことを委員長に希望いたします。
  43. 川島金次

    川島委員長代理 ただいま西村委員からお話がありましたごとく、昨夜の各派交渉会において、本案については本日の遅くとも午後二時までには議了いたしたいという申合せがあつたはずであります。そのことをわれわれは了承いたしまして、本日の委員会に臨んだわけであります。從つてもうすでに十二時を過ぎておりますし、なお質問者も三、四残つておりますので、できるだけ簡潔に――委員の発言を私は止めるという意味ではございません。なるべく簡潔にして、議事を進行いたしたいという希望を、苫米地委員に申し上げたのでありますから、その点を御了承願いたいと思います。
  44. 原健三郎

    ○原(健)委員 今西君から発言があつて、本日の午後二時までに予算案を本会議を通すということが、昨日の各派交渉会できまつたと申されましたが、私も交渉委員の一人として出席いたしておりました。民主自由党を代表して、ほかの人からも意見も述べてもらつておりますが、民主党からそういう申出があつたことは事実であります。しかしその申出を必ず守つて実行してあげますという確約は與えておりません。向うの希望はよく聽いておりますが、そういうことを守つてやるなんていうような約束はいたしておりません。この点を明確にいたしておきます。われわれとしても、決してこれを遷延しようとは思つておりません。早く答弁していただいて、問題を明らかにして、速やかに通したいという希望は十分もつております。
  45. 川島金次

    川島委員長代理 なお質疑通告者がありますので、なるべくひとつ簡潔に議事を進行したいという希望を皆樣に申し上げたのであります。どうぞ御了承願いたいと思います。
  46. 植原悦二郎

    ○植原委員 私のさつきの委員長に対する御注意はどうなさいますか。昨日の小坂君に対しての発言を許したことは、委員長として今までの慣例にない過ちであり、さようなことを質疑者に対して應答のないうちに関連質問を許すということが、議会の例になつたならば、議場の紛淆を免れません。それは昨日のことは將來の例にならないようにいたしますと委員長は御宣言あつてしかるべきであると思います。この御宣言のないのは、どういうわけですか。
  47. 川島金次

    川島委員長代理 ただいまの植原君のお話については、委員長においてよく承知をいたして含んでおきます。
  48. 本間俊一

    ○本間委員 委員長に私はお伺いしたいのであります。ただいま植原委員から委員長の昨晩の議事の整理に関して、將來の惡例にならないようにという御注意があつたのでありますが、それをただ委員長が含んでおくということは、一体どういうことでありましようか。その点を明らかにしておきたいのであります。この植原さんの御注意は私も昨晩痛感しておつたのでありまして、今後そういう例は先例としないという意味のことをはつきりしておきたいと思いますから、ぜひひとつ委員長においてその点は善処されんことを、私は希望しておきます。
  49. 川島金次

    川島委員長代理 その点よく承つておきます。
  50. 本間俊一

    ○本間委員 承つておくじやない。今後の先例としないと、はつきりひとつ宣言していただきたい。
  51. 川島金次

    川島委員長代理 御承知のごとく、私は委員長に不慣れでございまして、議事の先例や規則をよく存じておりませんので、ただいまの植原さん並びに本間君のお言葉に対しては、承つておきまして、よく調査の上善処いたしたいと、かように思うのであります。
  52. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 大臣利拂停止ということを前提とすると、はつきり言つておられたのであります。前提とするのだから、懇談会で覆えされるという結論は、決して出てこない。前提とするならば、その範囲内でやるというならば理論は通る。停止は前提とするけれども懇談会でひつくりかえつたらこれは前提じやない。この矛盾はどこから出てくるのか。大藏大臣に聽きたい。
  53. 北村徳太郎

    北村國務大臣 前提とする点は間違いないのであります。さように御了承願います。
  54. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 前提とするということが間違いなければ、この懇談会においては、その前提を覆すという結論は、出てこないのでありますが、この点はどうお考えになりますか。
  55. 北村徳太郎

    北村國務大臣 御理解通りで結構だと思います。
  56. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 それならば委員会においては、昨日の御答弁通り、この根本問題であるところの利拂停止ということには触れないで、その他の処理に関する問題を討議する。こういうふうに理解いたしますが、それで間違いございませんか。
  57. 北村徳太郎

    北村國務大臣 御質疑通りで結構だと思います。
  58. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 問題をかえます。昨年の補正予算におきまして、運輸省において食糧増産費三千万円というものを見積つてあつた。これを大藏大臣質問いたしたのであります。また鉄道当局にも質問いたしたのでありますが、この三千万円はそれだけでなく、過去においても相変ず支出をしておつた。全國各地に二十万坪の田畑をもつて食糧を増産しておつた。それに対する資金、資材、給與、一切を國家予算でやつてつて、その收穫は、一般國民と違つて、供出もせず全部その部内において使われたのであります。これは運輸省だけでなく、農林省も逓信省もやつてきておつた。これは食糧の供出、食糧の増産ということで、農民の苦痛を顧みず強制的に供出せしめておるにかかわらず、國家の費用をもつて田畑を耕し、農産物を收穫する。しかのみならず、牛馬までも買い入れて大大的にやつておつた。これははたして政府が継続すべきことであるかどうか、私は多大の疑問をもつておるのであります。そこで私はこの予算は通すべきでないということを主張したのでありますが、結局通つた。大藏大臣はそのときに今後の予算については善処するということを答弁しておられるのであります。運輸省、農林省、逓信省皆同じことをやつておる。國家の経費をもつて食糧を増産して、供出もしないで部内でわけておる。これは今後の予算には絶対に盛るべきものでないと信じますが、この点新年度の予算について大藏大臣の明確なる答弁を願います。
  59. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいま御指摘の点は、私もきわめてごもつともだと思います。動機から申しますと、非常に食糧難で遅配欠配のときに、鉄道用地のあまつたところでやつたのが起りらしいのでありまして、だんだん行き過ぎのあることも認めなければならぬと思います。從いまして、かようなことは確かに行き過ぎでございますから、われわれとしては、その予算は落したいと考えております。
  60. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 運輸大臣に御質問いたしたいと思います。運輸省とマル通との貸借関係は、どういうふうになつておるか、明確に御答弁願いたい。
  61. 岡田勢一

    岡田國務大臣 お答うしたします。運輸省とマル通との貸借関係につきましては、今私は十分に熟知しておりませんので、調査いたしまして、次の機会にお答え申し上げたいと思います。
  62. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 その貸借関係が原因になりまして、鉄道運賃値上げしなければならない一つの大きな素因をなしておる。同時にまたマル通を存続させていかなければならない運輸省一つの原因にもなつておる。またこのマル通の取扱料金引上げなければならない原因にもなつておるのであります。こういうことを考えるときに、この問題を明確にして、今後そういう弊害が起らないようにすることが独立採算制確立する上においても、また運輸事業の民主化という点からみても、私は必要であると感ずるのでありますから、この点を明確に、いつの機会にお聽きすることができるか、御答弁を願いたいのであります。
  63. 岡田勢一

    岡田國務大臣 苫米地君のお話趣旨は、私もごもつとものことと思います。御趣意の副うように十分努力いたしたい。そうして次の機会と申しますことは、お急ぎになるようならば、この二、三日中にでも、何かの会が開かれますならば、十分お答えを申し上げたいと思います。
  64. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 先ほど問題になりました運輸省の役人の涜職事件というようなことが問題になつておりますが、こういうことの根本に何があるかというと、いわゆる鉄道内にあるところの共済会とかいうものが非常な原因になつておるのであります。それは共済会の物資を各地方において買入れをする。この買入れをするときに運輸省高官が他の鉄道局にこれこれの貨車をまわせという指令を出す。その指令に基いて、その地方から、重要物資を拔きにして、最優先をもつて貨車が配給されて、そうして地方の物資が送られてくるのであります。そうしてその積荷の中のごく一部分が共済会というようなものに公定價格で納められるけれども、残つたものはことごとくやみに流されておる。言いかえれば政府は流通秩序の確立ということを申しておりますけれども、一方においてやみ取引の援助をやつておるのであります。これに対して今後どういう処置をとられるか、責任のある御答弁を得たいと思うのであります。
  65. 岡田勢一

    岡田國務大臣 共済会関係で不正が行われておりはせぬか、それから貨車の配車の操作に同じく不正があるのではないかというお話でありますが、もしそういう事実がありましたならば、私といたしましては断固たる処置をとります。なお今後とも不正が起らないように十分注意をいたしますと同時に、お話のような事実があるかないか十分に調査をいたすつもりであります。
  66. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 私は共済会が惡いことをしておると言うのではありません。そういうものをだしに使つてやみが行われておると言うのであります。これは事実であります。  それからもう一つ伺いたいのは、先ほどから拔取りの問題がありますが、私も近ごろ二回にわける被害者の一人であります。チツキで送つた品物を、衣類だけが二回盗まれた。これは交渉してもらちがあきません。しかし包装は完全にしてある。それを切つてつておる。これは仕方がありませんが、近ごろ聞くところによると、運輸省は主食糧その他のものの輸送を取調べるために、チツキその他小荷物を開封しておる。それが認められておる。このために非常な迷惑を受けておるのであります。荷物が遅れるばかりでなく、公然と開かれて、中のものがなくなる。これは到着駅において本人を呼び出して立会の上で開くべきものである。中途で、勝手な所で、勝手に開いてとるべきものをとつてしまう、とるべからざるものまでついでにとつてしまう、こういうことはあり得べからざることと私は考えます。この着駅において荷主立会の上で調査するということについて、大臣の御答弁を煩わしたいのであります。
  67. 岡田勢一

    岡田國務大臣 鉄道の貨物のうちで、衣料食糧等の拔取りが行われておるというようなうわさも私は聞いておりまして、この点については、國民の方々に大へん御迷惑をかけている点があろうと思いますのは、まことに遺憾であります。お話通り、さような不正が行われないように、十分取締りを励行いたしますとともに、疑わしいものにつきましては、法的の正当な手続をいたしました上で、着駅で荷主立会の上で開封をする、こういうふうにもつていくことにいたします。
  68. 川島金次

    川島委員長代理 苫米地君、もし御質疑がなければ、中村君が大藏大臣質問がありますから……。鈴木君。
  69. 鈴木正文

    鈴木(正)委員 四月分の暫定予算の中に盛られた政府出資金二十億円のうちの、復興金融金庫への融資十五億円、この問題と予算との関係を、主として大藏大臣にお伺いいたします。大体復興金融金庫の問題は、財政金融委員会でもしばしば問題となつておるはずであり、世間一般にも幾多の非難もあるのでありますから、本委員会におきましては、重複を避けまして、なるべく予算との関係を主にして質問いたします。復金の昨年度における事業界への融資、債券の発行、そういつたものは、おそらく六、七百億に達しておると思いますし、そのうち本年四月に償還期の來る復金債券が、およそ十五億円前後だろうと思います。大体政府出資金として計上されたところの十五億円は、おそらく何らかの形で、この償還期の來るところの債券を回收していくという方向に使われると思うのでありまするが、問題はあえて四月一箇月だけの問題ではなくして、今後五月には二十億円前後、それからずつと逐月の数字は持ち合わせておりませんが、一箇年間に五百億ないし六百億の償還期が到來する債券があると思うのであります。これは復金が借りかえるか、あるいは復金自体の力によつて償還していくか、できるものでありまするならば問題はないと思いまするけれども、一方において相当厖大な貸付けをしていかなければ、わが國の経済を建て直すという計画は立たないということは、重々わかつておるのでありますからして、併せてこれを復金独自の力でもつて償還していくということは、きわめて困難だろう。この間の事情は、私ども十分これを諒とするわけであります。しかしながら、これが一年間を通じて今後ことごとに予算の上にこれのしりが現われて、そして國家の財政によつてそのしりがぬぐわれていくという状態が続いていく。あえて四月だけではなくして、今後も続けられていく。しかもその金額は十億、百億という程度のものではなくして、数百億、大きいと言われておるところの終戰処理費にも続くような金額になつて物價騰貴その他から見ると、今後このままに放置すれば、ますます大きくもなつていくという状態でありましたならば、これは一つ予算の上からも十分檢討しなければならないと思うのであります。もう一つは復金の貸出し自体に対しましては、これは政府が直接事業資金として貸し出す場合には、國会その他なりのかなり直接的な監督が行われるのでありますけれども、御承知のように、復金自体は理事制をもつて貸出しは行われておる。この点についてはあとから質問いたしますが、この点きわめて責任が明確でないのでありまして、そうしてこの理事制による査定を中心として、数百億の金が十分の監督を経ずして貸しつけられ、しかもそれらに振り向けられたるところの復金の債券の措置、始末にあたりましては、政府予算という方面にしりが現われてくる。こういう形になつてまいりますと、大きく言えば國会が直接的に監督権を十分発揮できないような種額の数百億の金が、この復金というもののトンネルを通して流れていくという傾向が、歴然と指摘されるのでありまして、それらの点につきまして、大藏大臣は今後この関係をどういうふうに律していかれようと考えておられるか。この点をお伺いいたしたいのであります。
  70. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいま御指摘の点は、私もきわめて同感の点であります。お話のごとくに、十五億は復金債券、償還期の來たものを償還する金であります。それから復金そのもののあり方につきましては、これはきわめて重大であると考えるのでございまするが、御承知通り他の金融機関から出すことのできない、あるいは困難なものにして、しかも日本の産業復興に必要なものを出すという建前でできた復金でございますが、ただいまのところ一般市中金融機関の資金力が非常に疲れておるという際でありますので、どうも産業資金が復金に集中するという傾向が非常に多いのでございます。それらのことと併せて、復金というものは將來どうすべきかということが、相当問題になると思います。それは御指摘の通りであります。それでこれは私見でありますけれども、ただいままでやつておる復金のやり方は、御承知通り委員会がありまして、日本銀行総裁その他がはいつておる。大口のものについては、一々そこで調べるのでありますが、その前に監事会とかその他いろいろ機関がございまして、融資と資材との関係を勘案する。事農林省に関するものであれば、その農林省のわくがあつて、その資材が調達されるのかどうか、安本、商工省等の関係において資金の融資はするけれども、たとえば設備資金というような場合には、その設備に要する資材があるかないかということを勘案いたしませんと、とんでもない間違いを起すので、それらの点は監事会等を開いてずつと檢討して、最後に委員会を経て貸し出すというような方式になつておりまして、出す場合の出し方は、かなり愼重な機関を通すことになつておるのであります。けれども承知通り、何分産業資金が復金に殺到するということと、これは大きなやつは全國からまいりまして、これを一々檢討するのでありますから、相当手間取る、時間がかかるということもあるのであります。從つて産業界の急な要求に應じかねるという点があります。この点から改善しなければならぬ点が一つあります。それから出してからあと、それが効率的に当初の目的通りに有効に使われておるかどうかという事後の監督をしなければならぬ。この監督機関等につきましても、これはまだこうやつたらよいというような確定的な案を全然もつておるわけでありませんけれども、ただいま財政金融委員会等でこのことを問題として、相当研究を進められておるようでありますけれども、監査の機関の中に、あるいは独立した一つの監督機関のようなものをつくつて國会議員の中からそういうことに特に関心の深い、御経驗のある方に出てもらつて、そうして事後の監査監督等をいわゆる民主的にやつていくというような考え方を、一つの案としてもつておるわけであります。そういうような方向にいきたい、いま一つは、事務の監督において、当初出すときはやかましく言つておるが、あとは存外ルーズではないかというような非難も相当あるのであります。これについては、一般の金融機関でございますと、御承知通り出すものを出すが、收入するもの、受入れということを全部やる。と同時に、從つてその金の出入を通じて復金の出しておる企業実態を割合に把握できるのでありますけれども、今の復金、組織というものは、出せば出すだけであつて受入れができない。この点が普通一般金融機関と違つた変態的のものであります。そういうような点も相当考慮しなければならぬのではないかというふうに考えておるわけであります。復金を通していよいよインフレーシヨンを促進するという結果になつては相なりませんので、その点は今後十分あらゆる点から檢討いたしまして、行き過ぎのないようにいたしますけれども、同時にまた産業界の必要な血液としての有効な部分は、なるべく民主的に役立ちができるようにいたしたいということについて、あれこれとただいま研究いたしております。また財政金融委員会においても、相当研究つておるわけでありまして、多分具体案があまり遠くないうちにできるのではないかというふうに考えております。ただいま御指摘の点は、われわれも同樣に考えておる点であります。今後大いに戒心注意を拂わなければならぬ。かように考えておる次第であります。
  71. 鈴木正文

    鈴木(正)委員 われわれも復金なりあるいは復金に代るべき何らかの機関によつて、特殊の金融が行われなければならないということについては、十分考えておるのでありまして、漫然と復金の機能を狹めようという意思はもちろんないのであります。また財政金融の委員会その他で檢討されておる問題は、最初申しましたように、本委員会においては一應のけて御質問するつもりでありますから、主として予算の面からの関係に問題を集中するのでありますが、ただいま大藏大臣から御答弁がありましたように、四月の暫定予算に盛られた十五億円は、現在の債券を返すためである。これはわかりましたが、五月以後一箇年にこれが五百億ないし六百億くらいになると思いますので、それらの期限の到來する債券についても、同じような手法のもとに、予算にこれを計上して支拂に充てていく、こういう方法を引続きとられる方針であるかどうか。この点をお伺いいたします。
  72. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいま申しましたように、復金のあり方そのものについて、大いに檢討しなければならぬと思つております。年間を通じて償還を要するものが五百六十億ぐらいあると思つております。これを本予算に入れるかどうかについても、復金のあり方そのものについて、根本的に檢討いたしたいと思いますので、まだはつきりきめかねておる次第であります。
  73. 鈴木正文

    鈴木(正)委員 決定求の方法論は決定されておらないにしても、いずれにせよ、何らかの形において、期限内のものを措置しなければならないことは当然でありまして、措置する方法としては、復金をして借替をさせるか、あるいは政府が肩替りするか、およそこの二つきりないと思いますが、借替という問題は、現衣の金融の情勢から、おそらくこれは不可能だろうと思うのでありますが、大藏大臣は復金債の借替ということは、可能だというふうに考えておられるか。またただいまこれから檢討してその方法決定すると言われますけれども、その前提として復金債は、端的な意味における借替ということはできない、そういう條件の上に立つて方法考える、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  74. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お説の通りでありまして、今のところ借替ということは、客観的情勢が非常に困難である。おそらくこれは予算的な措置をしなければならぬのではないか、こう考えておりますが、そればかり繰返してはなりませんので、一方においては研究を進めるけれども、この範囲も経済界がもう少し安定してまいりますと、復金から金融を明けたところが、漸次社債などを発行することができるということになりますれば、漸次償還もできることになると思いまするし、そういう際になりますと、復金債の一般の借替、あるいは市場消化等もできるようになる。こう考えるのでありますが、今の状態ではどうもやはり予算的な措置によらなければならぬのではないか、こういうふうに考えておる次第であります。
  75. 鈴木正文

    鈴木(正)委員 おそらくそうなるだろうと思います。予算的な措置、これは大藏大臣はただいままだ本当の方法は完全には決定しておらないというふうに言われますけれども、実際問題としては、おそらく情勢上そうならざるを得ないし、大藏大臣のただいまの御答弁でも、そういうふうに考えておられるだろうと思います。そうしますと、最初に言いましたように、技術上の問題としては、國会なり政府なりの直接的監督の及ばないうちに、五百億、六百億という金が、一年間に放出されておる。そうして放出されたからそれの期限が到來し、ほかに借替その他の方法もないから、予算に苦しいけれどもつて予算的措置をとつていかなければならない。やむを得ざる措置をして、あとから國会がむりやりといいますか、事後承諾を與えざるを得ないような形において、今後こういつた数百億の資金というものが繰返されるということは、予算の上から重大な問題であつて、この点については、十分再檢討をしていただきたいと思うのであります。  さらにもう一つ考えてみるべき問題は、貸し出された資金の回收の問題であります。もちろん復金の貸出資金の性質から言つて、普通の意味における貸出回收ということは、容易でないにいたしましても、おそらく昨年度一年間における回收というもとは、ほとんど微々として言うに足りない金額であつたろうと思うのであります。まず第一に昨年度において大体どれだけの金が回收されたか、これは非常に綿密な数字でなくてもよろしゆうございますから、その点をお伺いいたします。
  76. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お説の通りでありまして、ただいまも私考えておりますのま、事後の監督でも、これは監察委員会とでもいいますものをつくつて、独立した機関として、場合によれば理事長に対しても相当強い発言権をもつような機関で、これの監査を進めたい、こういうふうな考え方をもつておるのであります。それから回收の点でありますが、これは私正確な数字を覚えませんが、大体昨年度の分は三〇%余りであつたと思うのであります。但しこれは公團のものまではいつておりますので、設備資金として出たもの、あるいは御承知の石炭その他の重要産業の、ある意味においては赤字を埋めたというようなものまではいつておりますから、從つて公團関係を除くと、率はもつと低くなると思いますが、全体としては三二、三%程度の回收率ではないか、かように記憶しております。
  77. 鈴木正文

    鈴木(正)委員 私どもも大体さように了承しております。回收の問題は、ぜひ一つもう少し積極的に、私どもの思うには、物價関係でもつて一年、一年半先の復金の資金を使つて、投資したところの会社が、全然回收ができないような、ほんとうの意味の欠損赤字というものを、軒並に出しておるということはあり得ないのでありまして、現金自体を手もとにもつておるかどうかは別といたしまして、相当の利益を物價との見合いにおいてあげておる、もつておるということは事実なのでありまして、そういう会社も相当あるはずでありますから、ただいま大藏大臣が言われたような回收率というものは、それは普通の正常な意味における経済界原則から当然の回収率ではなくして、その間には政治的に、あるいはその他いわゆる世間一般に言われておるような意味におけるところのいろいろな要素が加わつて、復金の回收率というものが著しく惡くなつておるという事実が、おそらくあるだろうと思うのであります。言うまでもなく、すでに早くから復金の貸出自体についても、それから回收というふうな問題につきましても、幾多の疑惑が向けられておる。大藏大臣を前において言うのもどうかと思いますが、現政府になつてから、まだ決してその点が訂正されたというふうな傾向がないばかりでなく、うつかりすると、その点はさらに激しくなるというふうな疑惑さえもかけられておる際でありますから、回收という問題につきましては、もう少し積極的に力を入れていただきたいと思うのであります。たとえばこういう問題があると思うのであります。政府の支拂が遅れる、あるいは物價改訂が行われた場合に、後事の措置が迅速に行われなかつたがために、政府から受取勘定をもつておるところの企業体が、金繰りに詰まつて、何らかの形でもつて復金から融資を受ける。もちろしあとになつて政府から支價が行われる。政府からの支價を受取つたならば、それらの会社は当然復金にそれを返済すべきであるにかかわらず、こういつた形でもつて政府の支拂減によつて、融資を受けたところの企業体というものが、ほとんど例外なしにこれを返済しておらない。これが事実なのでありまして、政府の支拂関係をも通じまして、回收不能のことから、二重の貸出ということが行われておるというような実際もあるのでありまして、これらにつきましては、十分に監督を行う。特に一方が政府の支拂でありますから、十分に監督のできないはではないと思うのであります。こういうことを通じまして、復金の回收という問題は、現在の回收率よりはるかに高い回收率があけ得ると思うのでありまして、まずその点について回收をはかる。それからさつき申しましたように、予算の面を通じ、その他の面を通じて、政府の強力なる監督をしていくというふうに第二段に移るべきであつて、第一段にはどうしても漫然と、復金からの融資をもらつたのを当然だというような、あの考え方を訂正すると同時に、現在の政府の支拂を通じて二重の貸出が行われ、そのままになつてつてしまうというふうな、政府の監督によつて直接的に訂正できる面、こういつた面についてはただちにその監督を強化していただきたいと思いますが、これらの点につきましても、大藏大臣の御説明を伺いたい。
  78. 北村徳太郎

    北村國務大臣 きわめてごもつともな御意見でございまして、私どもまつたく同感でございます。御説のごとくに、今の貨幣價値で貸し出されて、今の状態では物が上がる。金だけ返せば済むというだけでも、これは融通するものには相当な利益があるはずであります。かような観点だけから申しましても、これは回收等については、一層盡力すべきが当然でありまするし、また國家の財政から支出をしてやつておる金庫でありますから、この点は十分嚴重に今後処理いたしたい。かように考えております。
  79. 鈴木正文

    鈴木(正)委員 次に復金の貸出しがとかく乱れていくという一つの根本的な理由として、ほんとうの責任者がおらない。理事制と言いまするか、ああいう制度によつて行われて、そのメンバーが変ればあとは知らないということになつてしまつて、この点に著しい欠陷がある。こういうように言われておるけれども、この制度を改めて、もう少し縱に明確な責任のある制度にする用意はないか。これが一つ。それからもう一つは、もつと拔本的に、復金にしろ、あるいはその他の機関にしろ、とにかくああいう形の特殊な金庫が必要であることはわかつておるのであるけれども、ここまできてしまつて、当初の目的とはまつたく逸脱してしまつて政府にとつて相当やつかいなものとなり、しかも日本経済の再建につきましても、当初の計画の幾分の効果もあげておらないというふうな金融機関に堕してしまつた復金に対しては、この際むしろ思い切つてこれに代るべき新たな機関をつくるという考え方をもつておらないか。むしろ私たち考えでは、思い切つてこういつた方向に移つていつた方がいいのではないかと思うのでありますが、大藏大臣はこの根本的の問題については、どういうふうに考えておられらかということをお伺いいたします。
  80. 北村徳太郎

    北村國務大臣 御承知通り復金は恒久的な施設ではないのでございまして、日本の経済安定までの間の一つの機関である。こういうふうに大体考え、そういう設立の目的をもつてできたものでございます。ただただいま御指摘になりましたように、これはどうもややもするといろいろな弊害が生じやすいのでございますから、この点についてまず第一に復金だけが非常に大きな負担をして、資金的にも厖大なものになるということの一面には、公團関係の金融が復金でなければならぬということに從來なつておつたのでありまして、このことが復金の活動にいろいろ影響するこどもあるし、また金嵩が非常に上りまして、そういうことのために復金自体も困る事態がありましたために、最近公團金融は市中銀行でもできるという門戸を開いたわけでございます。それから復金でなくてもできるものが復金に殺到している。これは一般市中銀行が多少疲れておるという点もございますけれども、金融機関の再建整備を非常に急いでおりますので、金融関機の再建整備が漸次整つてまいりまして、足並がよくなつてまいりますと、今復金についといるものの中で、必ずしも復金にいくべきものでないものがいつておりますから、こういうものは、漸次市中銀行に散布されることになると、復金は從來の面目に帰つてくることができるだろう。そういう面も期待しておるのでありまして、ただいまの復金をやめて、復金に代るべき機関をつくるというよりも、復金の弱体なものを是正するとか、あるいは監査機関を強化するという点において善処したい。かように考えておる次第であります。
  81. 川島金次

    川島委員長代理 農林大臣が出席されておりますから、この際中村君の御質疑を許します。中村委員
  82. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 私は時間の関係が非常につまつておるようでありますから、簡單に要点でけ質問をいたしたいと思います。まで第一番にことしの農家に対する供出は、非常に荷が重かつた関係で、保有量を割つて出しておる農家が相当にあるのである。しかも現在においては還元配給を受けておるという農家がたくさんあるのでありますが、それに対して政府は当然生産者價格で拂い下ぐべきものだと考えられるのであります。これに対しまして、農林大臣はいかに考えておるか。それからもう一つは還元米の今年度の見込数量をひとつお聽かせ願いたい。  さらに米價のスライド制の問題でございますが、御承知のように、米價は昨年きめられたのであります。今日までいろいろの政府が米價を決定しました当時の米價決定の基準にあげております七十数品目のマル公が、今日まで相当引上げられておるのであります。そういう実情から考えますときに、当然米價のスライド制を採用しなければならぬと思いますが、それに対する農林大臣の御方針を承りたい。
  83. 永江一夫

    ○永江國務大臣 お答えいたします。第一の農家に対する配給米の價格でありますが、今還元米というお言葉をお使いになつておりますで、私どもは農家に対する配給米と考えたいと思います。ただその價格は生産者價格で渡されても、その間にいろいろ費用がかかつております。農業倉庫の費用やいろいろの費用がかかつておりますので、この買上げの費用の中に、これらのすべての費用を全部加えて、今度配給するときに農家にお渡しするということについては、いろいろ御意見があります。從つて政府としては、その間に適当な價格を定めたすために、今お話を進めております。ここでどれくらいになるかということは、申し上げる時期に至つておりません。  それから第二の、農家の配給米の数量についてお尋ねがありましたけれども、これは各府縣別にそれぞれ要求せられる数を目下蒐集中でありまして、今どれだけになるということも、数字的に申し上げる段階に至つておりません。  それから第三の米價のスライド制のことでありますが、これは本会議におきましても、私からお答えをいたしておきましたように、今の米價につきましても、先行き計算によつても、結局その一つの基礎であります千八百円ペースが二千九百二十円になるとううふうに、諸般の事情が変つてきたのであります。近く行われます物價の改訂に應じまして、やはりこれは改訂されるものと考えております。ただこれをスライド制でやるかどうかという点については、今にわかにスライド制でやる方針であるということは申し上げかねますが、ただ米價をある程度上げるということについては、工場におきまする実質賃金の問題と同じうよに、米價の吊上げということでなしに、肥料その他の必需物資をさらに多量に農家に配給するという裏づけによつて解決する方法もあります。これらの点を目下考究中であります。
  84. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 農家に対する配給米と仰せられますが、われわれとしては、どこまでもこれは還元米と考えていかなければならぬものと思います。供出いたしました米を配給するのでありましたならば、保有量をとつた以上に農家が拂下げを受れるのなら、あるいはそれは配給かもしれませんが、現在は、当然その農家がもつておるベき保有米を出しておる。これは政府に貸しておるのであります。それを配給という形で、しかも消費者價格で渡していくということは、私は不合理でと思う。それでどこまでも生産者價格で渡すということが、もしも大臣責任て約束ができないならば、われわれは來年から保有量だけは必らずとるという建前をとります。それがもしも農家全体が保有量を完全にとれば、必ずそこに私は國の食糧計画の上に大きな違算を來すと思う。それを考えればこそ、農家が一應保有量を貸しておるのであります。それはどこまでも生産者の價格で渡すということを考えていただけないならば、御承知のように保有米は確保していいという規定があるのであります。その規定によつて全部農家がやりましたときには、私は食糧計画の上に、いろいろむずかしい問題が生れてくると思うのであります。その点をひとつ御考慮の上、どこまでも生産者價格で渡すということを建前としていただきたい。それからそういうことから考えますときに、今度の予算にもこれが盛られていない。この点をどう処置する考えであるか。この点をお尋ねしたいと思います。
  85. 永江一夫

    ○永江國務大臣 今の消費者價格の生産者價格のことにつきましては、先ほどにおいては、農家へ配給いたしまする米價が、生産問價格に近いものにすベきであるという考えをもつて、目下関係方面と折衝中であります。
  86. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 米價のスライド制の問題は、大体考慮中であるということのようでありますが、賃金水準が二千九百二十円に上つたときに、米價を考えるということはこれはもちろん当然であります。さらに現在までのうちに、米價をきめますときの基準になつておるいろいろの農家の必需品があるが、その必需品が、それぞれの土地において公定價格が改訂されておるわけで詳しくはもう申し上げませんが、たくさんの変動があつて、しかもこれはマル公であります。一例を申し上げますと、農家の最も大切な除草機でありますが、これは米價がきまります際には百九十八円の公定價格であつたものが、三月の十一日には二百三十八円に値上りをしております。それから砒酸塩に例をとりますと、二十五円四十銭であつたものが、二月一日に四十七五十銭の値上りをしておる。かくのごとくいろいろたくさんの品目においい、しかも十二月、さらに一月、二月、三月に、それぞれマル公が改訂されております。マル公が改訂されてからは、農家は高くなつておる價格で買つておるのであります。そこに千七百五十円という米價に、私は不合ると思うのであります。そこで現在米價を改正するという場合には、遡及して改正する御意思があるかどうかということをひとつお尋ねしたいのであります。
  87. 永江一夫

    ○永江國務大臣 米價の決定方法は、今お話のように、非常に重要なことでありまして、各方面に影響力が大きいのでありますから、昨年のようなスライド制でやるものか、あるいは鉱工業の生産費のような方法を加味していくものか。今お示しのように、確かに時間のずれがありまして、米價決定後のマル公にいたしましても、物價の変動等がありますので、これらの各般の材料を十分考究いたしまして、次の米價決定に最も適当であるという方法をとりたいと思つております。
  88. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 農林大臣に対する質問はその程度にお尋ねいたしたいと思います。大藏大臣にお尋ねしたいのは、農家の所得税の課税基準であります。これはマル公によつてつておるものか、あるいはやみ價格を基準としておられるものか。その点を一應お尋ねしたいと思います。
  89. 北村徳太郎

    北村國務大臣 大体この所得税は、所得を基礎にいたしますので、從つて現実の所得というものを基礎にして出すことを建前といたしております。さよう御了願いたいと思います。
  90. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 そうしますと、一應やみ價格というものを基礎の中に入れておるということを考えてよろしゆうございますか。
  91. 北村徳太郎

    北村國務大臣 これはまことに微妙な関係になるのでありますけれども、とにかく実際の所得を押えて、それで課税をする、こういう建前でございます。從つてその収入がやみで収入があるといたしますれば、その收し、所得額に対して課税をする、こういうことになるわけであります。実際に即してやる、実情に即してやる、こういう建前でございます。
  92. 川島金次

    川島委員長代理 傍聽者の発言を禁止します。
  93. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 そうしますと、現在農家に課せられております所得税のうち、畑に関するもの、野菜等に関しましては、相当やみ價格を見積つてあるようであります。そうしますと、やみ價格で税金をかけられるということになれば、農家はやはり生産物はやみで賣らなければならぬということになるのであります。現在政府では生鮮食料品つくり出した品物は当然ルートに載せて賣つていかなければならぬ、こういうことが大事なことだと思うのであります。そに載せてやつた農家に対して、やみで賣つたものを基準にした價格で所得税をかけるということになれば、私は農家の経済は成り立たぬの思います。そういうことが実際生れてきておるのであります。そういう場合どうするのか。やみでとにかく野菜を賣つていくということになるならば、今の統制を撤廃しなければならぬ、こういうことになると思うのでありますが、その点どういう考えをもつておられますか。
  94. 北村徳太郎

    北村國務大臣 これはどこまでも実情に即してという点に帰着するわれでございます。その実情についての把握方について、今まで若干問題も起しておりますし、これらについては、税務当局等に相当嚴重に注意をいたしまして、とにかく実情に即するということが基礎でなければならぬという観点から、十分な指令等を出している次第でございます。
  95. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 それから、これは私が各地方の税務署に行きまして当面した問題でありますが、農家に対する課税基準を示してもらいたいということを申し上げたのであります。税務署では大藏省の指図によつて、これは公表することができないというようなことを言つておるのでありますが、そういう指図をなさつているかどうかということをお尋ねしたいのであります。
  96. 北村徳太郎

    北村國務大臣 課税基準というのは、どういう意味かはつきりわかりませんが、ある目標をきめて、これだけとれというような指図をしたのじやないかというような御質問をしばしば受けましたが、そういうことはありません。一應予算を立てます場合には、その財務局管内において、今までの実績と現状等から考えまして、これがどのくらいになるかというようなことは、中央において一應勘案いたしまして、予算を立てますけれども、決して割当をして、これだけはぜひとれというようなことはやつておりません。
  97. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 そういう意味質問ではないのであります。農家に課税をいたします場合、地方々々によつてそれぞれ一定の基準を税務署で立てているのであります。その基準によつて追加をやつているようでありますが、それをひとつ見せてもらいたいと言いますと、大藏省の指図によつて見せられぬというのであります。私は税金を國民にかける場合には、当然基準というものが示されなければならぬと思う。國民の納得のいかないような基準を蔭でつくつておいて、それによつて吹きかけていくというようなことでは、私はいかぬと思う。特に農家は正直な人が多いのでありまして、税務署との折衝になりますと、なかなかうまいぐあいに折衝しきらぬのであります。そこに私は非常に無理が行われるということが考えられるのであります。当然地方地方の基準というものを税務署でもつておる以上は、それは公表すべきものだと考えますが、大藏大臣はその点どうお考えになりますか。
  98. 北村徳太郎

    北村國務大臣 先ほども申し上げますように、実績本位とするということと、それから申告を大体建前としてやつておる、申告に税務当局も納税者もまだ十分慣れていませんために、いろいろいき違いがございますけれども、申告制というものは結局実績主義というものを中心として申告していただく、こういうことになつておるのでありまして、從つて基準というものを示して、こうなつているんだということを、公然申し上げるというふうな建前にはなつておらぬということを御了承願いたいと思います。
  99. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 先ほど大藏大臣は、大体税額の割当というようなことはしておらぬというようなお話でありますが、私が税務署の直税課長から聽いたところによりますと、やはり一定の基準というものが上から示されてきている、こういうことを言つておるのでありますが、そういうこともしてないというのでありますか。
  100. 北村徳太郎

    北村國務大臣 これはやはり現在のわが國の財政の状況が、どうしても税収をはかり、それがどこまで完納に向つて進められるかということが、非常に大きな問題でございますために、一應の努力目標、この線まで努力をすべしというような目標をおいてやつておりますけれども、個々についてこれはこうあらねばならぬ、あああらねばならぬということではございませんし、またその努力目標というものも、決してこれだけとらねばならぬというものではないが、税務当局が努力すべき目標は、大体この見当であるということを内示しまして、その方向に進める。但し、それがために無理があつてはならぬのでありまして、それを十分警戒しまして、およその努力目標というものを、税務署長に申し渡しております。そういうようなことはやつております。
  101. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 大体わかりましたが、特に私今後の処置について、大藏大臣にお願いしたいことは、現在のようにただ一方的に課税を押しつけていくという態度をとらずに、納税の趣旨が申告制にもなつておるところを考えましても、納税者の一つの組合をつくらせて、組合の中に地方のまじめな正しい人を世話人というような形で置いて、そこと税務署と折衝していくというような行き方をとつていくことが、双方のためにいい結果になつていくのではないかと考えるのであります。その点大藏大臣としては、來年度からそういうことをやろうというお考えがあるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  102. 北村徳太郎

    北村國務大臣 しごくごもつともな御意見がありまして、今のように実際税が高いし、納期が一時になつたりしまして、非常に方々に御迷惑をかけておる、かような点から申しますと、もとありました納税組合というような組織を民主的に生かすということができれば、非常にいいのではないかと考えておりますけれども、これは某方面において、了承がされにくいような状態になつておる。しかしながら、今の情勢では、何とかもとあつた納税組合を一層民主化したようなものが欲しいという点においては、あなたのお考えとまつたく同じ考えをもつておるのでありまして、これが実現がどうなるかわかりませんけれども、私一個の意見としては、なるべくそういうものを実現させたい、かように考えておる次第であります。
  103. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 その次にお尋ねいたしたいのでありますが、今度の暫定予算には、土地改良費が全然みられていないようでございますが、土地改良というものに対して、政府の方で軽視をしておるのか、それとも何かほかに理由があるのか、お尋ねしたいと思います。
  104. 永江一夫

    ○永江國務大臣 私からお答えいたします。大体公共事業に六千五百万円くらいははいつております。
  105. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 土地改良費として六千五百万円はいつておるというのでありますか。
  106. 永江一夫

    ○永江國務大臣 公共事業費の中に一應私どもとして予定しておりますのは、さような金額であります。
  107. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 大体農林大臣は土地改良というものがそれくらいのはした金でできるとお考えになつておるのか、それとももつとたくさん出したいと考えながら、何かほかに理由があつて抑えられたのか、その点ひとつ聽かしていただきたい。
  108. 永江一夫

    ○永江國務大臣 土地改良費がこれで十分であるとは思つておりません。從つて予算のできます際には、農林大臣としては、極力この土地改良費の多額な予算計上に努力するつもりであります。
  109. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 六千五百万円では、私は問題にならぬと思うのでありますが、今大臣は本予算のときには相当考えたいという意向のようでありますが、大体どのくらいを予定して土地改良をやつていこうという考えであるか、その点ひとつくどいようでありますが、お伺いいたします。
  110. 永江一夫

    ○永江國務大臣 ただいまの金額は御承知のように四月の暫定予算でありまして、本予算につきましては、まだ政府部内においても最後の集計を終つておりませんので、ここで私から数字を申し上げるという段階に至つておりません。
  111. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 大体土地改良につきましては、地方ではもうぐんぐん仕事を進めておるのでありますが、その仕事に対しての予算を、政府でとらぬということになれば、勢い途中でやめなければならぬという事態が生れてくると思いますが、そういうものに対する処置としては、どういうことをお考えになつておるか。
  112. 永江一夫

    ○永江國務大臣 今お示しのような事柄が、各地方に非常に多いような陳情を私はたくさん受けております。さようなことができないように、私としては努力します。
  113. 川島金次

    川島委員長代理 この際大藏大臣に関してのみ野崎君の御質疑を許します。
  114. 野坂參三

    ○野坂委員 私の質問大藏大臣だけでなく、加藤労働大臣に対しても質問したいということを通告してありますから、加藤労働大臣が來られるまで、まず大藏大臣質問したいと思います。労働大臣は來られますか。
  115. 川島金次

    川島委員長代理 後で見えます。
  116. 野坂參三

    ○野坂委員 第一に大藏大臣にお聽きしたいことは、この予算委員会の最初の日にも問題になりました水害復旧費の問題、及び六・三制の費用の問題、これは四月分に計上されていない。これについては、個人的にはお話がありましたけれども、まだこの予算委員会の席上では、政府側から何らの公式の声明がないように思いますので、この際お聽きしたいと思う。  まず第一には、この予算がなぜ今提出されている暫定予算の中に計上されてないか。第二には、これが計上されるという話を聞きましたが、いくらどういう形でいつお出しになるか。こういう点についてお聽きしたい。
  117. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答え申し上げます。実は六・三制問題、並びに災害復旧費の問題は、非常に大事なことと考えましたので、何とかして暫定予算に織りこみたいと存じまして、いろいろ努力をしたのでありますけれども、遂にだんだん時間的に間に合わぬようになりまして、それを除いたものを御審議願いつつあるわけであります。この点につきましては、いろいろな経緯がございますけれども、ようやくこれが完了いたしまして、おそらくここ一両日の間に提案いたしまして、御審議を願うことになると思います。六・三制については六億、災害復旧費は二億を御審議願うはずで、ただいま準備をいたしております。
  118. 野坂參三

    ○野坂委員 その点はわかりました。内容についてお聽きしたい点がありますが、それは別の機会に讓りまして、第二の問題としては、この予算に全体の給與のベースが二千九百二十円となつておるように私たち考えておりますが、しかしながら、このベース自体の係爭中であつて、実際の團体交渉の結果はどうなるか、まだ決定しないと思う。それにもかかわらず、二千九百二十円をベースにして計上されておる。將來團体交渉の結果、このベースが変更されて、あるいはこれを上まわるというふうな結果になつた場合には、政府はどういう処置をおとりになりますか。言いかえれば、三月、二月、一月にさかのぼつて、差額を新しい追加予算の形において計上されるおつもりであるかどうか、この点をお聽きしたいのであります。
  119. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいまのお尋ねの後段の点についてまずお答えいたしたいのでありますが、將來團体交渉等によつて、変更がありましても、おそらくさかのぼつてこれを支給するということにはならぬと存じております。
  120. 野坂參三

    ○野坂委員 大藏大臣にお聽きしたい。どういうふうな根拠でそういうふうにお答えになつたのですか。つまりベース自体が今年の一月からというふうに大体きめられておる。しかしこのベースが変更された場合には、当然差額はさかのぼつてお支拂いすべきではないかと考えますが……。
  121. 北村徳太郎

    北村國務大臣 今のところそういうことはないと考えております。またそういう方向に向つて努力を続けております。
  122. 野坂參三

    ○野坂委員 しかしこれは團体交渉の結果によつてきまることであつて大藏大臣一個人の意見としてこれは決定されるものではないと思います。私はもう一度はつきりお聽きしたい。團体交渉の結果、もしも変更された場合にはどうなるかということをお聽きしておるのであります。
  123. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいまのところ政府は変更されるとは想定いたしておらないのであります。
  124. 野坂參三

    ○野坂委員 そうすると、この問題がこじれてきましたけれども、私は実は予算の問題だけに終始いたしたいのでありますが、大藏大臣の今の御答弁では、もつとほかの方面に発展せざるを得なくなつてくる。今の法働爭議の場合に、政府は團体交渉ということをお認めになつている。從つてその結果についても、政府はやはり責任をお感じにならなければならない。そうした場合に、われわれとしてはベースが変更されるということは想定できるし、実際あり得ると思う。こういうことを今大藏大臣が全然お認めにならないということになれば、現在の労働爭議における團体交渉の結果はすべて認めない、團体交渉自身も認めないということになりますが、この点についてはどうですか。
  125. 北村徳太郎

    北村國務大臣 政府方針はすでに確定いたしまして声明いたしております。この團体交渉によつてきめたいことは、四百二十円をどうするかということについて、團体交渉に委ねて御相談をする。あるいは職階制のものを取入れるとか、あるいは地域差をどう処理するかということについて團体交渉をいたしたい。かようなことは、政府として一應の態度を決定いたしまして、團体交渉によつて処理することは、その範囲内において処理したい、こういうことを一應声明いたしております。特別に新しい事態が起れば、これはまた別個に考えなければなりませんけれども、ただいまのところは、そういう線に沿つていきたい、かように考えております。
  126. 野坂參三

    ○野坂委員 しかし問題は二千九百二十円だけの問題ではなくして、組合側が今認めていないのは、このベース自体に不満をもつていると思うのであります。從つてこのベースが將來変更されるということは、労働組合側において、今一番要求しておる点だと思う。そうすれば、当然それが將來問題になつて、ベースが変更されるという事態があり得ると思いますが、その場合においてはどうするかということを、今私は質問しておるわけであります。
  127. 北村徳太郎

    北村國務大臣 どうも私としては、ただいまのところ同樣な答えを繰返すよりしようがないという立場にございます。
  128. 野坂參三

    ○野坂委員 それでは今大藏大臣のお言葉からわれわれとしてはこういうふうに解釈せざるを得ない。大藏大臣の方では、團体交渉の結果は、もうどんな結果があつても認めない、二千九百二十円のベースをあくまで守るというお答えだと、私は解釈します。  それではこれに関連しましてもう少しお聽きしたいことは、四月分の官公職員に対する給與の支拂いは、いつお支拂いになりますか。たとえば三月分においては、大体において各官廳においては三月の一日ころにお支拂いになつたはずです。そうしますと、四月分はいつお支拂いになりますか。この点をお聽きしたい。言いかえれば、三月と同樣に四月一日にお支拂いになるように組合側は要求しているらしいですが、この点についてお答え願いたい。
  129. 北村徳太郎

    北村國務大臣 これはまだきまつておらないのであります。大体正規の支拂の日に拂うということを、三月繰上げたときに條件としてあるはずであります。しかしながら、事情によつては、これはあるいは変更するかもしれませんが、ただいまのところきめられた日に拂うつもりでおります。
  130. 野坂參三

    ○野坂委員 ちよつとお聽きしたいのですが、きめられた日というのは、四月ではいつですか。
  131. 福田赳夫

    ○福田政府委員 四月の二十日です。
  132. 野坂參三

    ○野坂委員 そうしますと、三月一日にお支拂いになつたのはどういうわけですか。
  133. 福田赳夫

    ○福田政府委員 三月一日に繰上支給いたしましたのは、当時の政府職員の給與の状況から勘案いたしまして、これを特に繰上げて支給したのであります。
  134. 野坂參三

    ○野坂委員 その点を具体的にお聽きしたいのですが、特に繰上げたというのは、どういう條件のもとに、そうなつたのですか。
  135. 福田赳夫

    ○福田政府委員 当時の状況といたしましては、三月一日に支拂いいたしませんと、給與の支給に、日数におきまして、相当空白時代が生じたのであります。すなわち三月二十日の定規に支拂うということになりますと、二月の方も繰上げている関係上、そこに相当空白が生ずるという関係で、三月一日に繰上げたような状況であります。
  136. 野坂參三

    ○野坂委員 福田政府委員でも、大藏大臣でもよろしゆうございますが、責任ある御答弁をお願いしたいのは、今申されましたように、三月一日になぜ拂つたかといえば、定期であるならば三月の二十日であるけれども、特に空白が起つた。それは二月分を先拂いをしている。そうしますと、今日の四月においては三月よりももつと大きな空白があるはずであります。三月分はもう一箇月も前に全部もらつている。しかも國鉄労働者には特別な扱いをされて、二千九百二十円の二千五百円は、すでにお支拂いになつている。しかしほかの官公吏には、ただ政府の政治的意図のもとに、まだお支拂いになつておりません。一般官公吏には、四月一日はもつと大きな空白がある。これをなぜ今お支拂いにならないか。これを私はお聽きしたいのであります。
  137. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答え申し上げます。これは三月に拂いましたときに條件をつけておつたのであります。それは今回に限り繰上げをやる、それで三月以降は正常に帰るということを約束しておつたためであります。
  138. 野坂參三

    ○野坂委員 これは私の知つている範囲では、二月もそうだつたし、一月もそうだつたと思います。ところが、この四月一日に、今官公職員が爭議の結果一文ももらつていないこのときに、一体なぜお支拂いにならないか。このときこそ一番お支拂いにならなければならない時期だと思う。これがならないとすれば、結局この爭議をますます紛糾させ、國家予算、財政を労働爭議のために、政治的な意図のもとに左右されているとしか、われわれは考えることができない。これについてお答え願います。
  139. 北村徳太郎

    北村國務大臣 國家の財政力をもつて労働を紛糾させているというふうなお言葉ですけれども、そういうことは、断じて考えておりません。のみならず、現下内外の情勢から申しまして、できればこの機会に労働紛糾をやめてもらいたいということから、切に私どもは労働團体の諸君にお願いをして、一應これで了承して、受取るベきものを受取つていただきたいということを、盛んに懇請しているわけであります。その点については、誤解のないように御了解を得たいと思うのであります。
  140. 野坂參三

    ○野坂委員 今の問題は、二千九百二十円ベースの問題とか、あるいは四百二十円の問題、いろいろあると思います。これは政府の方では労働團体側といろいろ御交渉になつて解決していただいたらそれでいい問題である。しかし問題はそうでなくて、当然支拂わなければならない四月一日の給與を、なぜ今お支拂にならない。これが一番大事な問題です。これは明らかに政府は政治的意図をもつて予算を左右しているとしか、われわれは考えられない。
  141. 北村徳太郎

    北村國務大臣 今まで特別のことをやつてきたから、四月もやるのがあたりまえだということは、一應ごもつともの御意見でありますけれども、われわれは一應の秩序に基いて仕事をいたしておりますので、給料支拂日は幾日ときめている。今まで特にこれを繰上げたのでありますけれども、そういつまでも繰上げるわけにいきませんから、三月の場合にこれは今回限りであつて、四月から正常支拂に復しますということを了解をしてもらつているわけであります。
  142. 野坂參三

    ○野坂委員 政府が今のような態度をとられて、たとえば四月二十一日にしかお支拂いにならないということになれば、問題はますます私は紛糾すると思います。これは政府もよく御存じのところであると思います。つまり労働者側の胃の腑を空にしておいて、あくまで政府の要求を押しつけ屈状させようという意図がはつきり現われておる。その結果問題がいかに紛糾するか、あるいはこれが長引くというようなことになると、全責任政府が負うベきであると、私ははつきり言つておきたいと思います。  私は労働大臣にこの問題についてお聽きしたいのですが、労働大臣はいつ來ますか。
  143. 川島金次

    川島委員長代理 官邸を出たそうですから、間もなる参ると思います。
  144. 野坂參三

    ○野坂委員 それではこの問題について、もう一つ聽きしたいと思います。大藏大臣にお聽きしたいのは、この暫定予算で租税收入が約百七十一億円あります。これを一箇年に見積ると二千五十二億円になります。ところが昨年度の二十二年度になりますが、租税收入は約千三百二十億になります。しかし政府は收入見積額は現行税法によつて行われているはずなのです。このようにして、去年の租税收入よりは約二倍のものが計上されておりますが、これはいかなる根拠によつてやられておりますか。あるいは國民所得、これは去年の所得よりも今年度は倍額になつたというお見込みでやられておりますか。
  145. 福田赳夫

    ○福田政府委員 お答えいたします。本二十三年度の見積りにつきましては、ただいま檢討中でありますが、いずれ本予算といたしまして正確に出すわけであります。しかしながら、暫定予算といたしましては、一應の概算をいたしまして、その一箇月分を計上することにいたしたのであります。一應の見積りの基礎といたしましては、二十二年度に対しまして物價の騰貴等の状況を根拠といたしまして、現行税法のもとでは、このくらいのものではどうかという意図から來ているのであります。從いまして、これが全部とれるかとれないかは相当問題がありますが、一應これだけはとるベきものである、かかる見解であります。
  146. 野坂參三

    ○野坂委員 私のお聽きしたいのは、とれるかとれないかという問題ではなくて、こういう租税收入を去年よりも倍額に見積られておるこの根拠をお聽きしたい。どこに根拠があるか。あるいは全然何らの根拠なしに、いい加減に見積られたか。
  147. 福田赳夫

    ○福田政府委員 二十二年度二十三年度におきましては、貨幣價値の大変動によりまして、相当に所得の数字上の変動があります、それと二十二年度におきましては、年度途中におきまして、税制の改正をしております。この税制の改正の結果、これが十二箇月分に上るという関係上、相当多額の増收があるわけであります。この二つの要素から二千数十億という数字を概算いたしました。かような結果であります。
  148. 野坂參三

    ○野坂委員 税制の改革はまだされてないわけであります。いかなる税制の改革をおやりになる見積りか。
  149. 福田赳夫

    ○福田政府委員 二十二年度の、御承知の秋に成立いたしました補正予算におきまして、税制の改革をいたしたのであります。それが二十二年度におきましては半年分くらいしかない。しかしながら、二十三年度におきましては、これが十二箇月分、かようなことから相当の増收になる。こう了承しておるわけであります。
  150. 野坂參三

    ○野坂委員 そうしますと、もう一言この問題について、最後にお聽きしたいのは、政府の方では、このようにして租税收入を倍額に見積つたという点については、國民所得が大体倍になる。こういう根拠に基かれておるのかどうか。こういうことをお聽きしたい。
  151. 福田赳夫

    ○福田政府委員 國民所得につきましては、二十三年度の本予算編成関連いたしまして、目下檢討中であります。從いまして、予算等にもこれは非常に関係のある問題で、目下檢討中である。かように御了承願いたいのでありますが、もちろん二十二年度に比ベますと、二十三年度は國民所得は相当大幅に増加がある。これは大体数字上のことでありますが、この増加は二十三年度の見積りには含まれておるわけであります。しかしながら、二十二年度の中途におきまして施行いたしました税制の改正、これが二十二年度においては、半年分のものしかないけれども、二十三年度においては十二月分である。かような点に大きな原因があるのであります。
  152. 野坂參三

    ○野坂委員 もう一つ大藏大臣にお聽きしたいことがありますが、これは二十二年度の予算では、所得税の総額六百八十五億円に対して、法人税が四十三億円になつております。所得税十に対して法秀税が一の割合になつている。ところが今度の暫定予算によりますと、百二十一億円が所得税であつて、それに対して法人税がわずかに六億円となつております。この比率を見ますと、暫定予算においては二十対一、ここでは法人税が特別に安く見積られておりますが、しかし税制の方においては、この点については改革はない。どういうわけで法人税だけが特にこういうふうに見積られているか。
  153. 福田赳夫

    ○福田政府委員 お答えいたします。法人税につきましては、年度を全体といたしまして相当動きがあるのであります。すなわちただいま私どもが概算している数字としましては、二千数十億の中で法人税が七十七億円になるのであります。しかしながら、その收税の時期の関係から見ますと、四月においては申告の関係上非常に少くなつておるのであります。その関係を考慮しますと四月分の予算に計上すべき額は相当少くなる。こういうことになるのであります。
  154. 野坂參三

    ○野坂委員 今の問題でありますが、私たちの印象では、政府は前から原則として法人税を引下げるというな意見を御発表になつておる。この意味でこの中に盛られているのではないか、その点から私はお聽きしたわけであります。全体といたしまして、今度の予算においては所得税の占める割合が非常に大きい。たとえば租税收入全体の中で、所得税の割合が七一%、しかもこの点をよく見ますと、大衆課税に属するようなものが、租税收入のうちの九六%近くを占めておる。九六%近くが大体において大衆課税と見て差支えないものであります。これをわれわれが考えた場合に、法人税を特別に低く見積られているというところに、大きな問題があるのではないかと思います。言いかえれば、今度の予算全体がこうした一つの階級的な性格をもつていると言わざるを得ない。これは私の所見でありますが、さらに私は労働大臣に対していろいろお尋ねしたいと思いますので、それまで保留しておきます。
  155. 川島金次

    川島委員長代理 この際一松國務大臣が見えられておりますから、本間君の御質疑を許します。
  156. 本間俊一

    ○本間委員 私はきわめて簡単に災害関係予算についてお尋ねをいたしたいのであります。前片山内閣の当時に、二十二年度の不足分といたしまして約二十億の予算外國庫契約と、それから実際に予算に組むお約束になつておつたわけでありますが、それがいろいろ政変その他の事情によつて、今日まで未解決のままに相なつておるのでありますが、少くとも二十二年度において、地方土木関係でも、最低の計算をいたしましても二、三十億の金が必要であるというふうに、私は一應計算をしておるのでありますが、二十三年度分に最低で一体どれくらいの金を必要とするか。さらにまた二十二年度不足分が未解決でありますから、当然四月の新年度にはいつて、その必要な多額の費用に、さらにまた大きな額の予算が必要だと私は計算しておるのでありますが、一松大臣から、大体最低でどれくらいの予算を必要とするか、その点をまずお聽きいたしたいと思います。
  157. 一松定吉

    ○一松國務大臣 片山内閣当時において、水害対策の方面に二十億ほどの金を支出しなければならないということになつておつたことは、今本間委員の御主張の通りであります。ところがそれが思うようにいかずして、そのうちの十億というものは、ただいまではほとんど融資が完了しておりますが、残りの十億のうち八億はこれまた融資をしようということで、政府は努力することになつております。これも着々進行しつつありますけれども、未だ完了いたしておらないことは、はなはだ遺憾であります。残りの二億が先刻大藏大臣から申し上げましたように、ようやく昨日に至りまして、これを追加予算として暫定予算の中に入れることにきまりましたので、一両日のうちに、皆様の御協賛を得ようということになつておるのでありますが、しかしながら、二十二年度の水害が、わずか二十億くらいの金で、とうていその改修もしくは補修、修築が行われようとは考えておりません。これは早急に何らかに処置をとらなければならぬということは、政府当局においてはもちろんでありますが、毎日のように私のところに地方の諸君が陳情に参りますことを聽きまして、私もでき得る限りの努力を拂いたい、こういう考えでありまして、建設院としましては、実は二百億円くらいの要求をいたしたいと考えて、当初要求はいたしておりますが、わが國財政の現状から、それだけのことができないとしても、どうしてもこの程度ならばという程度には、これをひとつ大藏並びに安本の方にお願いをしようという考えをもつておりまして、少くとも百十億くらいの金は、これへ査定をしていただかなければ、地方の人々の要求に應ずることもできないし、この災害に対する恒久的――とはいけませんけれども、緊急処置ということでも、それだけの金はなければならぬと考えておりますが、まだ本予算の査定にはいつておりませんので、いくらに落ちつきますかは、今後の國家財政の收入とにらみ合わせました上でなければきまらないことを遺憾に思つております。いずれそのうちきまりますれば、はつきりしたお答えができようと思いますが、今日の程度では、これ以上お答えのできないことをまことに遺憾といたします。
  158. 本間俊一

    ○本間委員 農業土木の関係につきまして、農林省も建設院と同じような事情にあつたのですが、昭和二十二年度の農林省関係の災害復旧費の不足分を、二十三年度の第一・四半期に最低でどのくらいの費用を必要とするか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  159. 永江一夫

    ○永江國務大臣 今数字的にお尋ねになりましたけれども、私として今数字でお答えをする資料をもたておりませんから、適当の時期にお答えいたします。
  160. 本間俊一

    ○本間委員 農林大臣はただいま数字がお手もとにないということでありますから、これはやむを得ないと思います。そうしますと、私の知つておるところによりますと、二十二年度分といたしましても、最低に計算して二十数億の費用が要るわけであります。さらに二十三年度の第一・四半期に、やはりこれまた二十数億、最低に計算してもそれだけはどうしても要ると思うのであります。殊に農業関係の方は、食糧増産と密接な関係がありまして、どうしても正月いつぱいに何とか復旧をあらましでも完成いたしませんと、これは直接二十三年度の農作物に、きわめて緊切な影響をもつてくるのでありますから、被害を受けました各地方各縣とも、一般の土木工事と同様に、さらにまたそれにも増して、復旧を無理をして急いでやつておるのであります。ところが、ただいま一松大臣から明らかにされたのでありますが、少くとも二十二年度中に二十億円融資するということに相なつておつたのでありますが、なるほど十億円の方は、二十二年度の予算外國庫契約ということで、國会の承認を経ておりますから、これは心配ないのでありますが、あとの八億が、すでに府縣の方に支給されておるという、さつきのお話でありましたが、これはどういう根拠で支出されておるのでありますか、その点をひとつ明らかにしていただきたいのであります。
  161. 賀屋茂一

    賀屋説明員 八億の関係をお答えいたします。第二次の政府決定いたしました十億の関係は、さきに大臣から申されましたように、二億は予算として最近決定したのでありますが、あとの八億は、実は融資とする関係であつたのでありますが、年度内には措置ができませんので、來年度四月以降の予算として、何とか措置しようということで、今折衝中でございまして、未だ決定いたしてはおりません。
  162. 本間俊一

    ○本間委員 それで明らかになつたのでありますが、そうしますと、少くとも前片山内閣当時に、ぎりぎりのところで私どもと話をいたしておりました二十億のうちでも、八億の問題が二十三年度にどうしても移つてくるわけであります。それから二十三年度の第一・四半期において、これを最低で計算をいたしましても、両方を合算いたしますると、どうしても六十億以上の費用が要るのであります。殊に從來からの災害の実例を調べてみますと、災害の勃発いたしました初年度におきましては、大抵復旧費の二〇%ぐらいの補助をいたしておるのであります。ところが昨年は御承知のように、関東、東北を中心にいたしまして、非常に大きな災害があつたのでありますが、その災害復旧費の一割にも満たない政府の補助なのでありますが、それがただいま私の指摘いたしましたように、さらに二十三年度に移つてきておるわけであります。そこで大藏大臣にこの点はぜひお伺いいたしておきたいのでありますが、なるほどいろいろな関係で、ともかくも二億円だけ近く予算に出すと、こういうことでありますが、少くともこの四月いつぱいに、数十億の予算を必要とするのであります。被害を受けました各地の農民、あるいはその他の関係者は、非常な困窮をいたしておることは、当局も陳情その他でよく御承知のはずであります。そこでなるほど二億円の予算を出すということでありますが、その跡始末は、殊に農繁期を目前に控えまして、きわめて重要な問題でありますが、そのあとの処置を一体いかようにされるおつもりであるか。各地の必要な最低の費用だけは、必ず予算あるいは融資の形で、何とかめんどうを見てやりませんと、これは非常な問題になつてくるのであります。殊に食糧の関係が一割増産をしなければならぬような今日の日本の現情から見ますれば、この問題はどうしても等閑に附することができないのでありますが、その点を政府として一体どういうふうにお考えになつておるか、その点をひとつこの際明らかにせられたいと思うのであります。大藏大臣がいらつしやらなければ、主計局長からでもよろしゆうございます。
  163. 福田赳夫

    ○福田政府委員 お答えいたします。四月といたしましては、御承知通り十一億円の公共事業費でありまして、その中に四億数千万円のものが、災害関係としてはいつておるということは、申し上げておる通りであります。そのほかに二億円を二十二年度の予算の未使用額の中から差繰りまして、緊急にこの方に差向ける、これまた申し上げておる通りであります。しかしながら、御承知通り、緊急の必要は非常に多いのでありまして、これに対してどうするか、こういう問題でありますが、この問題に対しましては、早急に二十三年度の本予算を編成いたしまして、そうしてこれにできる限りの額を計上する、これが本道であろうというふうに思うのであります。しかしながら、その間におきまして、いろいろ金融問題とか何とか、処置しなければならぬ問題も多かろうかと思うのでありますが、この問題につきましても、関係各方面と協議いたしまして、これが許される範囲内において努力する、かように御了承願いたいのであります。
  164. 淺利三朗

    ○淺利委員 六・三制の追加予算が近く提出されるということでありますが、今回の予算の提出の状況を見ますると、非常に財政上難澁を來しておる。文部大臣將來この六・三制を既定方針通り実行される御意思であるかどうか。またこれを実行される上においては、毎年どれだけの費用がかさんで來るか。今日までのところを見ますれば、初年度においてすぐにかくのごとき難航を続けておる、明年度以降においては、一層その額が殖えてまいると思うのであります。從つて國の予算をもつて相当の補助をするにあらざれば、今日の地方財政の窮迫の状態において、これを賄つていけないという実情にあると思うのであります。大体今日の地方財政を見ますると、職員の待遇改善費についても、地方財政が脅かされて、政府の貸付によつてますます膨脹する、また政府の計画によつて、学制の改革その他のために、地方費がその負担を受けねばならぬ。また新聞によりますと、近く教育機関の改善によつて、教員の待遇もだんだん向上する。こういうことになりますと、政府の施策一つによつて、今日の地方の自治というものは、その財政の上で根本から破壞されるという実情になるのであります。こういう見地から言いまして、この六・三制を完全に実施するということは、今後の予算面との関係において、非常に重大な問題が起つてくると思うのであります。今年その第一歩を踏み出しておるのでありますが、これを將來完全実施するについて、文部大臣はどういう御所見をもつているか。またそれに対する財政上の点は、十分にいけるお見込みがあるか。またそれは大藏当局に対して十分に御交渉になつているか、その点御所見を承りたいと思います。
  165. 森戸辰男

    ○森戸國務大臣 お答えいたします。六・三制の残額につきましては、御承知のように、昨年内に何とかしてこれを追加予算に組みたいと思つたのでありますが、遺憾ながら諸種の事情からできませんで、政府といたしましても、あらゆる努力をいたしまして、ただいまお話のように、暫定予算の追加として組むことになつたのであります。かように今日の財政上、中央でも地方でも、新しい教育制度の実行には、多くの努力が要るのでありまして、從つて殊に六・三制度を將來どういうようなつもりで完成しようとしておるか、あるいは完遂について、どういう考えをもつているかという御質問でございますが、これにつきましては、文部大臣だけでなく、政府も六・三制度を実行する政策をとつているのであります。これは政策協定にもあり、政府においても、これを承認いたしまして、政府方針といたしまして、六・三制を完遂していくということを決心いたしておるのであります。ただ完遂と言いますのは、六・三制があらゆる部面で申し分のないように、設備その他で十分完全であるという意味ではなく、制度としてこれは完全に行うのであつて、六・三制を二年にしたり、あるいはこれを中止するという意味ではないのであります。すべてのものが申分のないように行われるということは、今日の日本の地方の財政、中央の財政上から考えまして、望み得ないことでございまして、地方も中央も、先生方も、父兄も、子供たちも、敗戰日本の実情に既しまして、あらゆる苦難を忍びながら、大事な教育を立てていこうというのが、大きな目標でございます。そういう決意に立ちまして、六・三制を実行していこうといたしておるのでございまして、それについての予算につきましては、日本の事情から、多くの困難がございますけれでも、その困難の間から、これを実行する最小限度を確保していきたいと思つております。地方におきましては、あるいは國庫で全額負担をしてもらわぬとできぬというような御要望もあるのでありますが、これについては、私ども考えておりまするし、また大藏当局とも交渉いたしておりますが、そうはいきにくいような事情もあると思うのでございます。この点は、地方と中央とが力を合わせて、困難な間にこの教育を実現しようという方針に進んでいこうといたしておりますので、地方においても中央においても、十分な協力を望む次第でございます。
  166. 淺利三朗

    ○淺利委員 まことに理想としてはごもつともな御意見でありまして、いかにも要を得た御発言でありまして感服いたしたのであります。ただあまりにも抽象論で、実際の形の上にこの新学制が実施されても、その内容が充実しなかつたならば、これは佛つくつて魂を入れないという結果になる。また財政上の問題についても、いろいろ難点があると思いますが、大体二十三年度の予算においては、どれだけを計上される見込みでありますか。このお見込みを伺いたいと思います。
  167. 森戸辰男

    ○森戸國務大臣 新しき教育制度の実行につきましては、ただ形だけでなく、実質的にも、今日の日本の事情から見ますれば、多くの困難があるけれども関係者の協力によつて、比較的によくいつておるのではないか。殊に問題の新制中学におきましても、学生の就学率というものは、多くの地方から見ますと、非常に高いのでありまして、私どもはむしろそれを驚いておるくらいであります。なお來年度の予算については、本年度よりは自然増加の生徒も多いし、物價の値上りもあるのでありまして、それに照應して一定の予算を立てまして、財務当局と交渉中でございますが、また具体的な数字を申し上げる段階に達していないのであります。
  168. 淺利三朗

    ○淺利委員 ただいまのお答えはあまり明確でないのでありますが、昭和二十三年中の中学校の最小限の予算は普通教室あるいす仮教室、または二部教授に借用の普通教室その他を加えまして、実に三百二十三億、またその他の腰かけ机というふうなものが十三億を要する。こういう厖大な予算の計画があるようでありますが、ただいま大臣のおつしやられるようなことであるといたしますと、その九牛の一毛にも足らぬということになると思うのであります。今日の場合において、明確なことはわかかりますまいけれども、本年度よりは、多少よくするというようなことでは、まことに心細いことであります、これについて何か実際に国行できるような計画ができておるのでありますか、どうでありますか。
  169. 森戸辰男

    ○森戸國務大臣 予算の問題につきましては、今年度より少しくらい大きいというようなことは申しておりませんので、自然増加の数も三分の一くらいありますし、なお物價の値上りもありますので、私ども相当に多く予算が増額されなければならぬと存じております。なお最小限度の実行につきましては、いろいろくふうもあるのでありまして、教授日数をどうするかという問題とか、あるいは場合によれば二部教授をどういうようにやるかというような問題を具体的に考えまして、いろいろ困難がありますけれども、制度は完全に行つていくように説力を盡してまいりたい。いろいろ困難があるからといつて、この制度を途中でやめるようなことは断じてやらないつもりであります。
  170. 川島金次

  171. 上林山榮吉

    上林委員 農林大臣がいないので遺憾にたえないのでありますが、農林省関係について芦田内閣が、その施政方針演説の中に一枚看板ともいうべき問題を提唱したのでありまして、それはいわゆる三百万町歩の丘陵地帶の可耕地を開墾する計画であります。われわれは実はこの発表を聽いて驚いたわけであります。そして事務所局の意見、農林大臣の意見としては、これは開墾する方針である。こういう答弁であつたけれども、わが党の本会議における代表者の質問に対しては、総理大臣は、これは開墾をするのではなしに、いわゆる牧畜をやるのだ、それをたくさん含んでおるのだ、こういう意味答弁をしたのであるが、はたしてこの三百万町歩というものは可耕地であるのか、あるいはどういう具体的な計画でこれをば開墾する方針であるのか、この点を明確に示されたいのであります。
  172. 清井正

    ○清井政府委員 お答えいたします。三百万町歩の問題につきましては、かつて農林省といたしましては、図上におきまして、傾斜十五度第程度のものであるなりば開墾ができるのではなかろうか、こういつた單なる図上の計画から考えまして、一應算定いたしましたる数量が、三百万町歩程度という数字に相なるわけであります、ただ現在実際上開墾するといたしますれば、單に図上の計画だけではまいりませんので、いろいろ氣候條件なり、その他具体的な経済條件なりを相当勘案いたさなければ、実際の開墾はできませんので、その三百万町歩の土地の中から、実際上さしあたり開墾できる面積といたしまして、百五十万町歩を計画の対象といたしました。さよう御了承願いたいと思います。
  173. 上林山榮吉

    上林委員 ただいま事務当局から承りまして、私驚いておるわけでありますが、これは單に十五度の傾斜地を計算したところが三百万町歩になるというのであつて、氣候とか土質とかいうようなものを勘案して、これを実際上開墾する可能性というものはどの程度であるかわからない。実際事務的、技術的に考えて、そういうふうにあなた方は考えておるのであるかどうか、責任をもつて答弁ができるか、できなければ民主党出身の一松大臣もおられるから、これは民主党政策であろうと思う。総理大臣が施政方針の演説の中に取上げられたその大きな問題が、そういうふうに基礎的に杜撰なものであるというならば、國民は驚くだろうと思うのだが、この点に対して、一松大臣並びに事務所局から、もつと技術的に可能である面積はいくらくらいであるか、この点をひとつお示し願いたい。
  174. 一松定吉

    ○一松國務大臣 ただいま私をお名指しでありましたからお答えいたしますが、私はそういう方面について十分の調査を盡しておりませんし、今この際誤つた言明をいたしても相済みませんから、いずれ責任の当局から、適当な時期において答弁をするようにいたしたいと考えております。
  175. 上林山榮吉

    上林委員 この三百万町歩の問題は、閣議にはかつて施政方針演説はなされたはずであるのに、一松大臣が知らないというようなことは、実に遺憾でありますので、さらに農林当局にお伺いいたしたいのは、百五十万町歩の以前の計画の進行状態であります。百五十万町歩も、われわれの聞くところによれば、まだ遅々として十分に進んでいない。これを十分に完了せず、あるいは土地改良を十分に完了せずに、そうしてこういう計画を発表するに至つては、われわれは納得がいかないのであるが、この百五十万町歩に対する開墾の状態はどういうふうになつておるのか、この点を質しておきたいのであります。
  176. 一松定吉

    ○一松國務大臣 私知らぬと答えたのじやない、私はその局に当つていないから、誤つた答弁をしてはまことに相済まぬから、正確にして誤らざる答弁をすることが議会を尊重するゆえんであるから、そういうふうにいたさせたい、こう答えたのであります。
  177. 清井正

    ○清井政府委員 ただいま御質問のございました百五十万町歩の計画の実施状態でありますが、ただいま正確な数字は記憶いたしておりませんが、約四、五十万町歩は実施済みであるというふうに記憶いたしております。
  178. 上林山榮吉

    上林委員 四松大臣に聽いても、事務当局に聽いても、責任のある答弁ができないということであるから、これ以上追究をいたしません。  さらに私は、労働大臣が見えておりますから、労働関係について一言申し上げてみたいと思うのであります。まず今度の爭議が起つた原因については、いろいろあります。いわゆる官公労組合諸君の側にも、反省されなければならぬ点もありまするが、私はこの際一番大きな問題は、加藤労働大臣、あるいは政府の方面において、能率給をいかにするか、あるいは生活給をいおにするか、この根本方針がはつきりきまつといないところに、この労働爭議が紛糾して原因があると、こう考えておるが、われわれの見るところでは、食える賃金を保障するということは、現段階においては、高能率高賃金というものを原則にして、これに生活給を加味していく、こういう方向に進まなければならぬと考えておるのであるが、加藤労働大臣は、この関係についてどういう考えをもつておるか。能率給と生活給を日本の現段階においてはどの程度に調和をはかつていくということが最も自然であるか。労組側も了解し、日本の現状からいつて國民が了解できる基準、これを私どもは解決することが、労働組合の爭議を少からしめる一つの原因だ、こういうように考えておるが、この点を確かめておきたいのであります。
  179. 加藤勘十

    加藤國務大臣 ただいまの上林山君の御質問にお答えいたします。現在起つておる爭議が、いろいろな原因から起つておるということは、御指摘の通りでありますが、何と申しましても、現在のようなインフレ高進下においては、生活が苦しいという点が、一番大きな原因であるということを御了承願いたいと思います。また賃金制度の問題につきましては、非常の議論の多い点でありまして、もしこれを理論的に研究討論しておりますれば、何日の時間を費しても、なお十分な結論には達することが困難ではないかと思われるほどに、賃金問題については、理論的には各種の意見があること御承知通りであります。しかし現在政府がとろうとしておりまする生活給と能率給とを合わせて一本の体系にしたいということは、御承知通り、臨時給與委員会において答申しましたその答申の要旨に基いて、政府としてはこれが現段階においては妥当である、そういう考えから新体系を先般御承認を願いました法律の中に織りこんだ次第でありまして、もちろん本格的なものは容易にできるものではありません。これは言うまでもなく、一月から三月に至る暫定的な給與に関して適用されるものでありまして、四月以降は、組合の代表者と政府の代表者との間に、本格的な職階制を含んだ賃金体系を確立するための委員会がもたれまして、この委員会で一個の成案を得たならば、これを議会に提案して、皆さんの御協賛を得るに至るであろう、こういうことでありまして、現在高能率高賃金ということは、言葉では言われまするけれども、これにもおのずから限度がありまして、またそうかというて生活給一本ということもまた今日の段階には、非常に困難な事情もありますから、この数字的な割合を今すぐに算定するということは困難でありますが、いずれにいたしましても、全般的についてみれば、労働基準法の中にきめられております賃金委員会が、これはいろいろな事情から急速に発足するということが困難な事情がありますが、そうした困難がありましても、できるだけこれは早い期間にこういう賃金委員会を発足しまして、ここで全体的な検究討論がなされて、成案が得られることになつておりますし、官廳関係だけにして申しますれば、今申しましたような事情でありますから、この点御了承願いたたいと存じます。
  180. 川島金次

    川島委員長代理 この際野坂君の御質疑を許します。野坂君。
  181. 野坂參三

    ○野坂委員 先般の予算委員会加藤労働大臣に、現在起つている労働爭議の問題について、いろいろお聽きしましたので、今日は二、三の問題についてお聽きしたい。  まず第一には、加藤労働大臣が現在までの爭議の経過を具体的にお話つて、これは予算に直接関係がありますから……。
  182. 加藤勘十

    加藤國務大臣 ただいまの御質問の御要旨は、爭議の経過について報告をせよという御趣旨のように承りましたが、実は御存じかとも存じますが、今日午前中から組合代表者の諸君と、政府側は西尾副総理と、苫米地官房長官と、私と三名が出席をしまして、いろいろ今交渉を続けている最中でありまして、二時半から休憩が終りまして、再び交渉を開始することになつておりますからその上で十分な成果を得た後に、詳細に御報告する機会があるかとも存じますが、現在の段階におきましては、過日本会議において私が議員の御質問に対してお答えしたところで、御了承を願いたいと存じます。
  183. 野坂參三

    ○野坂委員 私がお聽きするのは、この予算と直接関係があるからで、と申しますのは、政府はここに厖大な租税收入などを計上されておりますけれども、それがとれていない。それから郵便とか、鉄道、そのほかの收入を見積られていますが、これもとれない。從つて労働爭議が解決しない限り、この予算を計上したところで何にもならない。この意味で私今お聽きいたわけであります。過去の経過を見ますと、私たちにはこういう印象があります。たとえばこの席上でも割合にはつきりしてきたことは、加藤労働大臣のおつしやること、それからたとえば民主党出身の大藏大臣、あるいは苫米地國務大臣、こういうような方の言われることと食い過いがある。さらに交渉の内容を見ますと、加藤労働大臣と、西尾國務大臣との間にもいろいろ意見があることを看取されます。一体こういう問題は眞相はどこにあるのか、だれがこの問題についての基本的の責任をもつのであるか、われわれは常識としては加藤労働大臣にあると思うが、横町から出てきた西尾國務大臣の意見と、これがひつくりかえつて、どつちに頼つてよいのか、私たちだけの印象ではなくて、労働組合側においても、この点について非常に遺憾に思つている。加藤労働大臣に交渉する場合と、西尾國務大臣と交渉する場合と違つてきている。結局今度の問題が非常に紛糾したことは、いろいろな理由がありますが、一つ理由は、あるいはこれは根本原因かもしれないが、こういうふうな閣内における不統一があるのじやないか、こういうふうにわれわれは考えますので、この問題はできるだけ円満に早く解決したいと思うから、私は労働大臣の率直な御意見をお伺いしたい。
  184. 加藤勘十

    加藤國務大臣 御質問趣旨はよくわかりました。しばしば私の申しておりまする通り、労働省はサービス省でありますが、もちろん政府機関の一つではあるまするが、同時にサービス省という立場の限りにおいては、やはり労働者側の意見おも十分くみ取つて、できればこれをそのままの形で政府方針として決定されるように努力するということ、これはサービス省の立場において当然だと思います。しかし政府政府として、また一定の最終決定による意思を発動せしむるわけでありますから、そういう政府機関として出る場合においては、私も当然賛意を表したものについても、政府は一体でありまして、そこにいくまでの間においては、いろいろな意見が出ることは、これはどこの團体においても当然のことと思います。最後にはやはり一つになつて出してくる。その一つになつて出てくるならば、私としてはできるだけ労働者側の希望なり要求なりを実現せしむるよう努力したい、こういうように考えておることを御了承願います。
  185. 野坂參三

    ○野坂委員 私は加藤労働大臣がいろいろ努力されておるということは、大体わかると思いますけれども、しかしこの努力が常に水の泡に終つている。そうしてどこから終つておるかというと、率直に申せば、西尾國務大臣、苫米地國務大臣、あるいはそこに官僚群の今井給與局長、こういう連中がますます問題を紛糾させる。私は今後この経過において具体的に審査する必要がありはしないか、これはすなわち古い官僚群がある、爭議を自分らも、何らかの意図のもとにますます混乱させ、長引かせておるような形が明らかに出ている。この問題については私は加藤労働大臣に申し上げたいことは、この問題について社会党出身の労働大臣として、徹底的にひとつメスを入れていただきたい。こういう状態が続く限りは、單に労働問題ばかりでなしに、すべての政府の他の問題について、官僚群が横やりを入れて問題を紛糾させ、また混乱させるということを心配する。  さて第二番に私がお聽きしたいのは、これは四月一日に大体四月分の給與を拂うのか……。  委員長私語を止めさしていただきます。
  186. 川島金次

    川島委員長代理 なるべく簡單にお願いします。
  187. 野坂參三

    ○野坂委員 加藤労働大臣御存じのように、三月分の給與は三月の一日に支拂われました。二月分も非常に早く支拂われた。四月分の給與は当然今の例によれば四月一日に支拂われなければならないと思います。この点について加藤労働大臣はそういう用意があるか、そういうような手続をせられておるか。それからさらにこれに加えて、國鉄側では、大体において十日には支拂われるということが言われておるということを私は聽いております。この点についてもいかがですか。
  188. 加藤勘十

    加藤國務大臣 第一の点につきましては、御注意は御注意としてよく承つておきます。  第二の四月分の給與支拂いの点でありますが、この点は二千九百二十円の問題が片づきますと、大体十五割の分で一箇月近くになる計算になつております。それがただちに支拂われることになりまするし、さらに残りの四百二十円に支拂の問題につきましては、新しい法律を出さなければならぬ手続上の関係もありまするので、この点につきましては、今申し上げましたように、両君の交渉の過程におきまして、できれば四月五日までの間に、この四百二十円分の支拂いに関する法律案を提出するようにしたい。組合側としては四月五日までに――もしそれ以前に休会することになれば、休会前に法案が議会に提出されるようにするということが、組合側の意見であります。これに対して政府側としては、こうした組合側の意見のあるところを十分理解しまして、技術的に手続的にできるかできぬかということを、今休憩中に協議しておる最中でありまして、それが私まだ途中でこちらに参つたようなわけでありますが、大体そういうところに來ておりまするから、從つてもしこの両者の話合いがつくといたしますれば、四月一日に四月分の繰上げ支給ということはなくて、四月分は普通正規の通りに、二十日か二十一日か知りませんが、俸給支拂日に支拂われる、それでちようど調節がとれる計算になつておるようであります。  それから國鉄の問題につきましては、私は詳しいことは聞いておりません。
  189. 小島徹三

    ○小島委員 もはや質疑も全部終了したようでございますから、これをもつて質疑を終了し、二十分の休憩ののちに討論採決されんことを動議として提出いたします。
  190. 川島金次

    川島委員長代理 ただいま小島君から質疑終了の動議が提案されました。御異議ありませんか。
  191. 川島金次

    川島委員長代理 賛成多数と認めます。では質疑はこれをもつて終了いたしました。  正三時から再開しまして、本案の採決を行いたいと思います。それまで休憩いたします。     午後三時四十四分休憩      ――――◇―――――     午後三時三十六分開議
  192. 川島金次

    川島委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  これより昭和二十三年度一般会計暫定予算、及び昭和二十三年度特別会計暫定予算の両案を一括して討論に附します。原健三郎郡。
  193. 原健三郎

    ○原(健)委員 私は民主自由党を代表いたしまして、左の強力なる二、三の意見を附して賛成の意を表するものであります。  まず第一に、この暫定予算を通じまして、芦田内閣の拠つて立つべき基盤であるところの三堂協定なるものがいかにあいまいなものであり、しかも無責任なものであり、さらに未だ十分にその基礎ができていなかつたものであるということを、われわれは明瞭に知ることができたのであります。このことを第一に申し上げておきたいのであります。しこうして殊にわれわれはこの委員会を通じて、二十三年度の予算の基礎的な前提となるいろいろな問題、たとえばインフレ対策であるとか、税制の改革であるとか、物價の改訂であるとか、さらに賃金の改訂、行政整理をいかにするか等々の問題について、何ら具体的の施策を、政府当局から聽くことができなかつたことは、われわれのはなはだ遺憾千万とするところであります。殊に三堂協定の重要なる一項目であるところの軍事公債利拂停止に関する政府の態度が、きわめてあいまいであつたことは、本委員会を通じて遺憾なく暴露されたのであります。しこうしてわれわれはしばしばこれを質問し追究したが、結局のところは、利拂を停止するという結論政府の態度が決定したのであります。しこうしてこのこと自体は、きわめて國家國民に及ぼす影響の重大なるものであることは、大藏大臣も申し述べた通りであります。われわれは戰時公債利拂を停止するということは、國家國民に及ぼす影響のきわめて甚大であるということを前から十分に知つております。かかるがゆえに、この観点から考えて、わが民主自由党は、戰時公債利拂停止には反対するものであります。  さらに水害対策につきましては、この緊急性からして、わが堂は極力主張したところであります。しこうして政府も一両日中にこれに対する対加予算を提出することを確約いたしましたことは、われわれの諒とするところであります。しかしながら、その問題の重大性に鑑みまして、さらに災害復旧の全体の費用についても、責任をもつて二十三年度予算に考慮せられるべきことを、ここに警告するものであります。  さらにまた六・三制予算は、前片山内閣から引続き対加計上することを確約したのでありますが、爾來政治力の貧困のために、延期されて今日に立ち至つたのであります。それを國民輿論に押され、ここに対加計上するの運びに近く至るということは、不満足ながらわれわれの諒とするところであります、しかしながら、地方財政の困憊せる今日、かつまた文化國家建設のために、教職振興のため、今後一段の努力を要望するものであります。  しこうして重ねて最後に申し上げますが、われわれは以前から十分予算については審議することを、しばしば申し上げていたのでありますが、政府はそれに應ずることなく、このたびも政府側の事情によつて、この予算を十分審議するのいとまがなかつたことを、われわれははなはだ残念に思うものであります。しかしながら事の緊急性に鑑もまして、不満足ながらわが党はこれに賛成の意を表するものであります。
  194. 川島金次

    川島委員長代理 河合義一君。
  195. 河合義一

    ○河合委員 本暫定予算案には軍事公債利拂が計上されていること、六・三制の予算が計上されていないこと、次に水害対策費の計上がないことは遺憾に考えておりましたが、軍事公債は今後の処理とともに、三党政策協定の線に沿うことが明らかになりました。  次に六・三制予算は、補正予算に六億四千万円、水害費に二億円とともに計上せられることが明らかになりましたので、なお税收入その他の点で審議すべき点が多々あると考えますが、支出の緊急なるに鑑みまして、本員は社会党を代表いたしまして、原案に賛成するものであります。
  196. 川島金次

    川島委員長代理 小島徹三君。
  197. 小島徹三

    ○小島委員 わが民主党といたしましては、この予算の編成に至るまでの政府の態度並びにその考え方、またその裏面のいきさつにつきましては、ともかくといたしまして、本予算に盛られたるところの計数は、まことに適切にして、現在の段階においては、当然必要なりと考えますがゆえに、これに全面的に賛成するものであります。
  198. 川島金次

    川島委員長代理 川野芳滿君。
  199. 川野芳滿

    ○川野委員 私は國民協同党を代表いたしまして、簡単に希望を申し述べまして、本予算に賛成の意を表せんとするものであります。  今回の予算は四月分の暫定予算であるとはいえ、莫大なる数字に上るのでございまして、実はわが党といたしましても、十分質した上において、本予算に賛成の意を表するのが当然であります。しかし芦田内閣成立直後のことではあり、かつまた四月一日より当然支拂わなければならない予算も、相当計上されているのと、この予算を通さないために、國際的信用を落す憂いもあり、これらのことを勘案したのと、わが党が常に主張してまいりました六・三制実施に対する予算、並びに災害復旧の予算も、一両日中に提案するとの大藏大臣の言を信じまして、わが党は私がもらつた時間も野党に割いてやつたわけであります。しかし次の本予算編成にあたりましては、芦田内閣成立にあたつて、三党間で結ばれた政策協定の眞の意を十分くみとつて、本予算を編成されんことを希望いたしまして、本予算に賛成の意を表するものであります。
  200. 川島金次

    川島委員長代理 東井三代次君。
  201. 東井三代次

    東井委員 この予算は文字通り暫定予算でありまして、芦田内閣政策の全貌を檢討するには、はなはだ不満足な予算であると思うのであります。その意味におきまして、私は一切の質疑を本予算に留保し、なおこの予算は本日から実施さるべきものでありますが、しかもなお本日に至つて審議を続けておるというような状態であります。こういう点にはなはだ遺憾の点があるのであります。私は本予算に遺憾の意を表しつつ賛成をするものであります。  なおこの際に特に附加して希望をいたしておきたいのは、しばしば述べられましたが、予算の審議にあたつては十分の時間的な余裕を與えられたいということ、また予算審議についての十分の資料をわれわれに提供してもらいたいということ、かくして國会予算審議に対する十分の余地を與えてもらいたいということを強く希望いたしまして、本予算に賛成するものであります。
  202. 川島金次

    川島委員長代理 中村寅太君。
  203. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 私は農民党を代表いたしまして、本予算案を返上いたしたいと思うのであります。理由はどういうことかと申し上げますと、この予算案は、もちろん暫定予算でありますけれども暫定予算といえども、その内閣政策を盛りこんでおるというところがなければ、われわれは認められないと思うのであります。芦田内閣は出発当初からまことに不明朗、しかも三党政策協定というものが、明確な姿で國民の前に出てしまつておらないのであります。その姿がこの予算の面にもはつきり現われておるということが、私は言えると思うのであります。さらに歳入の面を見ますときに、その大部分を占めておりますところの税收入等に至りましても、大藏大臣等の説明によりましてもわかりますように、まことに杜撰な点があると私は考えられるのであります。國民の所得の面を完全に把握しておらないというような懸念が、多分に現われておると思うのであります。いろいろの歳入面ことごとくに杜撰きわまるものがあると同時に、歳出の面を見ますときに、生産の面に全理を注いでおるという姿が私は見えないと思うのであります。特に農業政策の面を見ますときに、土地改良費のごとき、わずかに六千五百万円を見ておるというような、かくのごとき消極的な態度で、今後日本の復興の大きな力になる農業の復興というようなことは、私はとうていできないと思いのであります。すべての点を見ますときに、生産の面に力の入れ方が足りないという観点から、私は本予算案はまことに残念でございますけれども、返上いたしたいと思うのであります。
  204. 川島金次

    川島委員長代理 野坂參三君。
  205. 野坂參三

    ○野坂委員 私は日本共産党を代表しまして、本予算案はきわめて不満足なものである。從つてたちはこれに反対し、返上して、再編成――もう一度組み直していただきたい。その理由を簡單に申し上げます。  一、歳出において、依然として厖大な資本家擁護の不生産的支出を計上しており、経済再建、教育、文化、厚生費の支出はきわめて僅少である。また予算單價特に人件費の單價二千九百二十円ベースは、現在なお係爭中に属し、しかも加藤労働大臣自身、このベースが労働者の生活確保に不十分なことを認めている。これが第一。  二、他方歳入においては、二十三年度の國民所得に対し、具体的な見透しをもたず、厖大な大衆課税を賦課し、しかも税法改正も未だ行われていないにもかかわらず、その所得税收入は、法人税收入の約二十倍に達し、前年度における所得税対法人税收入の比約十倍に比するとき、これは明らかに所得税を不当に加重して見積り、逆に法人税を軽減していることを意味している。あまつさえ病院收入、授業料收入の増收も見込み、人民の負担をますます加重している。  以上の二つの点から、この予算に対して、われわれは返上論を唱えるものであります。
  206. 川島金次

    川島委員長代理 討論は終局いたしました。  予算両案を一括しまして採決をいたします。  まず中村寅太君及び野坂參三君より提案されましたこの予算を返上すべしとの意見について採決いたします。これに賛成の諸君は御起立を願います。
  207. 川島金次

    川島委員長代理 起立少数。よつて返上すべしとの意見は否決せられました。  次に本案について採決いたします。各案とも原案に賛成の諸君の御起立を願います。
  208. 川島金次

    川島委員長代理 起立多数。よつて両案とも原案の通り可決いたしました。  本日はこれにて散会したします。     午後三時五十四分散会