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1948-03-31 第2回国会 衆議院 予算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月三十一日(水曜日)     午前十一時三十分開議  出席委員    委員長代理 理事 川島 金次君    理事 稻村 順三君 理事 小島 徹三君    理事 苫米地英俊君 理事 庄司 一郎君    理事 川野 芳滿君 理事 東井三代次君       海野 三朗君    加藤シヅエ君       河合 義一君    黒田 寿男君       竹谷源太郎君    田中 松月君       西村 榮一君    押川 定秋君       川崎 秀二君    本間 俊一君       古賀喜太郎君    五坪 茂雄君       鈴木 強平君    小坂善太郎君      長野重右ヱ門君    原 健三郎君       山崎 岩男君    青木 孝義君       淺利 三朗君    磯崎 貞序君       植原悦二郎君    角田 幸吉君       鈴木 正文君    上林榮吉君       西村 久之君    島村 一郎君       今井  耕君    笹森 順造君       中村 寅太君    野坂 參三君  出席國務大臣         内閣総理大臣  芦田  均君         大 藏 大 臣 北村徳太郎君         農 林 大 臣 永江 一夫君         商 工 大 臣 水谷長三郎君         運 輸 大 臣 岡田 勢一君         労 働 大 臣 加藤 勘十君  出席政府委員         大藏事務官   福田 赳夫君  委員外出席者         專門調査員   芹澤 彪衞君         專門調査員   小竹 豊治君     ————————————— 三月三十日委員寺島隆太郎辞任につき、その補 欠として小坂善太郎君が議長の指名で委員に選任 された。 三月三十一日委員佃良一君、鈴木五郎君、中崎 敏君、島田晋作君、中原健次君、山花秀雄君及び 鈴木茂三郎辞任につき、その補欠として高橋長 治君、馬越晃君、細川隆元君、矢尾喜三郎君、伊 瀬幸太郎君、石井繁丸君及び門司亮君が議長の指 名で委員に選任された。 三月三十日鈴木茂三郎君が委員長辞任した。 三月三十一日鈴木五郎君が理事辞任した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十三年度一般会計暫定予算  昭和二十三年度特別会計暫定予算     —————————————
  2. 川島金次

    川島委員長代理 これより会議を開きます。質疑にはいります。上林榮吉君。
  3. 上林山榮吉

    上林委員 本暫定予算性格は、去る二十日芦田総理大臣施政方針演説の裏づけになるべきものであると、私は考えるのであります。かつまた、そういう観点から見て、二十三年度の予算前提となるベき性格をもつておる、こういうふうに考えておるのでありまして、政府考えておるがごとく、單に暫定予算という、一時的な緊急なものであるというふうに、私どもは考えていないのであります。そういうような立場からいたしまして、本暫定予算を、われわれは非常に重要視しておるのであります。これはまた、暫定予算というけれども、九百億円というような厖大な予算であることを考えて、これは当然の帰結であると思うのであります。そこでそういう立場から、私はまず大藏大臣に伺いたいのは、この暫定予算前提となる、あるいは二十三年度予算前提とならなければならぬ諸般基本的な問題が、何一つとして現在は解決していないのであるが、本会議で私はそういう立場から見て、この四月の暫定予算だけでは、とうてい政府はやつていくことはできずに、五月もまた暫定予算を出さなければならないか、こういう質問をしたのであるが、努めて努力すると言われただけで、何らこの問題に対して具体的、基本的な方針というものを示さなかつたのであるが、はたして五月の暫定予算を出さないで、二十三年度の予算を必ず出し得る具体的見透しをもつておるか。ただ努力する、その見透しがあるという抽象的な答弁でなしに、もつと具体的な見解を、私はこの際大藏当局に質しておきたいのであります。
  4. 北村徳太郎

    北村國務大臣 上林山君にお答えいたします。暫定予算を重大視することにおいては、上林山君とまつたく同意見であります。ただ、暫定予算暫定予算でありまして、経済財政の全視野において、これを年間予算として取上げることができませんので、ただかような変態的なものでありますが、一箇月分だけを出すということでございますから、從つて財政、金融、経済等の全視野において編成する場合とは異なつた、やむを得ざるに出たものであることは、これは暫定予算性格上やむを得ないと存じております。それで、本予算を一体いつ出すかというようなお尋ねでありますが、これは一日も早く出しまして、御審議を願うにも、今回のようなまことに押迫つたことにならないようにいたさなければならぬということで、最善の努力をいたしております。ただいまの見透しといたしましては、五月予算を出して、それからということにはならないつもりでおります。必ず暫定予算後なるべく早い機会に、御審議が願えるのであろう、こういうふうに私は存じております。
  5. 上林山榮吉

    上林委員 きわめて早い時期というのは、一体いつごろになるか、その点を質しておきたいと思います。
  6. 北村徳太郎

    北村國務大臣 それは今ちよつと申し上げることができません。急いでおりますが、何日に出すというような具体的なことは、ただいまちよつと困難であります。特に物價改訂等の問題も一部ございますし、それからいろいろ関係筋折衝等もありまして、ただいまおよそ何日に出すというようなことまで具体化することは困難でありますけれども、暫定予算をもう一度出すというようなことにならないようにいたしたい、必ずそうなるであろうと私は信じております。
  7. 上林山榮吉

    上林委員 必ず五月の暫定予算を出さないで、本予算をきわめて近いうちに出し得る自信があるという答弁でありますので、私はこの際に伺いたいのは、その二十三年度の予想される予算構想であります。本会議でも質問したごとく、各省から提出されている予算要求額は、現在の物價水準において提出されたものでも五千五百億円だと聞いているのであるが、これに対してインフレ増收を見込んでみても、歳入については三千億円というくらいしかないのではないか、こういうふうに考えているが、政府は一体どの程度歳出入予算を押える方針であるのか、この大きな数字を承つておきたいのであります。
  8. 北村徳太郎

    北村國務大臣 本予算をいつ出すかということについて、前にお答え申し上げました中には、ちよつと触れましたように、物價改訂の問題があり、その他生産の関係の問題があり、それから一部財政をどこで圧縮するかというような問題もございますので、ただいまのところ、本予算が、およそ数字がどうなつてつてどうだというようなことを、ここで申し上げることは、しばらく差控えたいと思うのであります。そこで前に申しましたように、なるべく早い機会に御審議を願うことにいたしたいということは、これは切にそう思つておりますから、そういう方向に努力を傾けているわけであります。けれども、ただいまこの場合において、その数字の概要とか、あるいは内容とかいうようことを申し上げる段階ちよつと至りかねておりますので、その点はこの程度で御了承願いたいと思うのであります。
  9. 上林山榮吉

    上林委員 私は先ほどから申し上げるように、暫定予算は二十三年度の予算基本となるベきものである。そういう性格をもつ予算であるから、二十三年度の予算をこれから推定して、政府構想を質しておくということは、当然の考え方であると思うのであるます。そこで今申し上げたように、現在の物價水準において、大藏省各省から要求されている額は、五千五百億円であるかどうか、あるいはそれをどの程度に査定するかは別として、これは政府考えによるわけであるから、干渉の限りではありませんが、その五千五百億円の要求額に対して、相当圧縮しなければならぬということは、財政收入から考えて当然のことであるとも思えるが、それをどの程度に圧縮する方針であるか。こまかい数字は言えないであろうと思うが、大体の目安はもうついていなければならない時期であると考える。それからさらに税制その他の改正をやつて相当インフレ増收を見込んでみても、われわれの見るところでは、三千億円程度歳入基本ではないか。予備を見ても、どんなに工面してみても、五百億円ぐらいの予備を見れるか見れぬかという程度が、私の健全財政建前とする予算編成方針としては、そういうふうになつてくるのではないかと思う。今日四月の暫定予算がかりに通過いたしたとしても、ただちに予算を出さなければならぬ時期において、政府においてそういう概略の構想というものはなければならぬ。もちろん私は内容についてこまかく答弁を要求しているのではないのであるが、そういう大きな目標はないのであるか。この点を質さなければ、次の質問は進まぬのでありますが、その点を明らかにしていただこたいと思います。
  10. 北村徳太郎

    北村國務大臣 何度か申し上げましたように、この暫定予算は、きわめてアブノーマルなものでありまして、万やむを得ざるに出た一つの途であります。從つて年間財政の全視野を見渡してつくるところの根本的な財政政策に基くものというよりも、これは應急の場合にやむを得ずして出たものでごいますから、これをもつて基本的な、根本的な、あるいは本年度の全予算前提となるという考え方政府としてはいたしにくいのでございます。殊に本予算については、まだ閣議にかけておりませんので、——先おいて一つ根本方針だけを申し述ベておるのでございますけれども、それは歳入限度歳出を圧縮するということでなければ、いわゆる健全財政が堅持できませんので歳入限度歳出を圧縮いたしますと、そういう方針でありますということだけは閣議に一應の態度として申し述ベておいたのでありまして、それ以上閣議にかけておりませんので、從つてここで本予算というものについて御質問が出ましても、どうもこれ以上申し上げるという段階にはいつていない。殊に安本との物價問題についての折衝も、今やつております。どの程度物價を修正するかという問題もございますし、その他かなりの案件がございます。税制改正の問題も、今かなり進んでおりますけれども、これが財政面にどういうふうに具体的な数字になつてくるかということも、なお問題として残つておる。これらの未解決の問題もございますので、先ほどから申し上げますように、大いに急いでおりますけれども、今ここで本予算について何か具体的に言わないかという御注文に対しては、残念ながらまだ申し上げ得る時期に達しておりません。この点を御了承願いたいと思います。
  11. 上林山榮吉

    上林委員 閣議決定がなければ、政府としての責任において答弁ができないということほ、一應了承できるのであるが、大藏当局立場から考えて、健全財政をとる建前から考えるというと、予算均衡をはからなければならない。これはドレーバーのいわゆる予算に対する均衡の要請はあつたにかかわらず、当然のことであると思うのであるが、そういう場合に、大藏省希望として、大藏大臣の希ての一つ構想があるはずであります。そういう意味においての大藏大臣構想というようなものはできないか。あるいは物價問題、あるいは税制の問題、そういうような問題もあるが、一應大藏当局としての構想があつてしかるベきものだ、こういうふうに考えるが、それについても答弁ができないかどうか。
  12. 北村徳太郎

    北村國務大臣 大藏大臣としての基本的な構想は、歳入限度歳出を圧縮する、この根本的な方針だけは堅持したいということを、閣議に申し述べているわけでありますが、まだ閣議できまつておるわけではございませんし、いわんや具体的な数字をもつて閣議にかけておるわけではないのであります。從つてなるベく早い機会に御察議を願うということは、先ほど申し上げたのでございますが、ただいまここで申し上げるという段階にはいつておりません。さように御了承願いたいと思います。
  13. 上林山榮吉

    上林委員 言うことができないと言えばやむを得ませんが、大藏大臣としての希望的な数字希望的な予算編成方針というものが、もつと具体的にあつてしかるベきものだ。そういう立場をとらなければ、いわゆる物價の改訂は安本の所管にありとはいえ、健全なる予算編成はできないはずであるし、あるいは税制改正の問題ももつと研究しなければならぬとはいえ、私はそこに健全財政立場から言つて、押えなければならぬ限度があると思う。そういう限度に対して、大藏大臣としての希望構想がないということは、私は政治的含みのある答弁としか受取れないのであるが、それではまことに遺憾であると考えるのであります。  そこで二十三年度の予算編成前提とならなければならぬ大きな問題がたくさんあります。まず第一に私は財政法の第三條に対する特例政府が設ける用意があるのかどうか。財政法三條の特例を設けてはいけない。これは議会の権威をば無視するものである。こういう建前から、野党、與党を問わず、相当この問題について関心をもつておるわけでありますが、この問題について、大藏当局はどういう考えをもつているか。われわれは煙草の値上げ、あるいは汽車賃値上げ通信料金値上げ、こういうように國民と密接なる関係のある問題については、議会の協賛を経るということが、当然なことと考えております。この場合にやはり官僚的な思想を背景にした予算編成の運営をやつていくために、政府みずからがいつでもこういうようなものを上げられる、あるいは國民生活にいかに密接な関係があつても、独断で議会を無視して、これがやつていけるということは、財政法第三條を骨抜きにしたものであると、私は考えますが、大藏大臣はこれに対してどういう考えをもち、あるいはまたこれに対する特例を設ける用意をしておるのであるかどうか。この点を明らかにせられたいのであります。
  14. 北村徳太郎

    北村國務大臣 財政法第三條の特例を設けるにいたしましても、これは國会議会の御意思に從うことは当然であります。現在のところ財政法第三條は、できればわれわれといたしましては、全面的にこれが適用を受けるようにいたしまして、一々國会の議を経ることにいたしたい。但しどうしても特例を設けなければならぬものがございます。それは配給品値段であります。來月から米の配給値段を一升いくらにする。それを國会の議に付するとは事案困難である。現在なお統制下にありまして、配給するところの生活必需物資がかなり多いのでありますから、これらのものいついては、例外を設けることにした方が便利ではないか。それでしばしば問題になりました通信料金あるいは汽車運賃、そういう重要なものについては、一面において思惑を刺戟して、スペキユレーシヨンを非常に盛んならしめるというような危險があるという点において、物價に重大な関係のあるものは、どうも棚ざらしにされて、長くやつておるうちに、非常にスペキユレーシヨンを刺戟するのじやないかというような考え方もありますけれども、それにしてもやはり國会の議に從つてやる方がよろしいというような考え方で、ただいまの考え方といたしましては、鉄道運賃にしても、通信料金にしても、一々國会の議を経ることにいたしたい。ただ消費物の、先申しました配給の價格まで、変るごとに一々國会の議にかけるということになつては、これはまた煩瑣にすぎて困るのじやないか、この点は政府の案はそういうものを例外として國会の御承認を経ることにいたしたい、こういう構想でおります。
  15. 上林山榮吉

    上林委員 小さなものについての例外を認めるための特例をつくるという方針のようにも聽いたのであるが、たとえば官営事業の大きなもの、ただいま大臣通信料金鉄道料金値上げ特例の中には設けない方針であるということを明らかにしたので、これは了承するのであるが、さらにタバコ値上げ、これも配給品である面が多いのであるが、こういうものについても特例を設けるつもりであるかどうか、これを質したい。
  16. 北村徳太郎

    北村國務大臣 タバコ通信料金汽車運賃等と同樣で、これはやはり國会の議にかけることにする方針でやつております。
  17. 上林山榮吉

    上林委員 この際大藏大臣関係のある予算編成前提となる大きな問題について、さらにお尋ねしたいことは、税制改正をやる方針だ、こういう話でありまするが、その構想を本会議においても、あるいは委員会においても、いくらかは承りましたけれども、まだわれわれは納得がいかぬのでありますが、その一つであるところの勤労所得税、あるいは法人税に対するところの軽減をやるというこの基本的な方針は、わが民主自由党においても、これは大賛成であります。大賛成であるが、この勤労所得税をどの程度に減免する法針であるか。あるいは法人税に対する軽減をどの程度にやる方針であるか。あるいはこの二つを合わせた税收は一年にいくらくらいの減になる予定をもつておるのであるか。この二つの問題は現内閣施政方針演説の中に演説するほどの、いわゆる構想と準備をもつておるはずでありますので、その具体的基準というものを、この際まず示されたいのであります。
  18. 北村徳太郎

    北村國務大臣 それは先ほどからたびわれ同じことを繰返しておりますように、本予算の提出の場合には、おそらくそのときに税法改正法案も同時に御審議願うことになるであろうと思つておりますが、ただいま檢討中でありまして、殊に税法改正が及ぼすとことの範囲は、非常に廣うございまして、これを予算の面で財政的に処理いたしますためにも、事務的に相当の時間を要するので、目下急いで檢討いたしておる次第でありますから、ただいまここで具体的に申し上げることは、きわめて困難であります。從つてなるべく早い機会に、法案として提案をいたしたい、かように存じております。
  19. 上林山榮吉

    上林委員 研在研究中であるから答弁できない、こういう大臣考え方は、私はあまりにも政治的含みがあり過ぎるし、あまりに答弁が形式的であるように思うのでありますが、そういう意味ではなしに、これは芦田内閣税制に対する基本方針である。しかも三党政策協定において、勤労所得税、あるいは法人税軽減ということは、これは國民にすでに知らしておる問題である。しかも私の質問する時期は、予算編成直前の時期であります。この際において、政府勤労所得税をどの程度軽減するつまりであるか。しかしこれはさらに閣議決定も得なければならぬし、諸般研究もしなければならぬから、その点は了承願いたいのであるというくらいの、一つ具体的基準を示さないということは、あまりにも誠意がないように思うのだが、われわれの聞くところでは、この法人税軽減勤労所得税軽減は、場合によれば三百億円、場合によると五百億円までのいわゆる軽減になるのではないか、こういうことも聞いておるのであるが、そういう研究構想というものは、まだ全然ないのであるのか、ただ白紙であるのか、白紙であるならば白紙であるとひとつ答弁を願いたいのであります。あまりにも政治的含みをもたずに、もう少しざつくばらんにお答えできないものかどうか、この点を質したいのであります。
  20. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ざつくばらんに申し上げ得ることは、何でもざつくばらんに申し上げるようにしたいと思つておるのであります。私はざつくばらんに言うことが好きですから、ざつくばらんに言いたい。ただ今のところざつくばらんに申し上げるだけの段階にはいつておらぬ、ということは、これは財政に及ぼす影響が相当大きいものですから、実はいろいろな案があるのであります。必ずしもまだ一つの案に固まつておらない。A案B案C案とあつてA案によればこういう欠点はあるがこういう利点があるということを、ただいま技術的に檢討中でありまして、私が今ここで具体的な数字をもつてお答え申し上げることは困難である。本予算のときには、これと併行して御審議願いたい、こういうふうに考えておるのでありまして、今何も固まつていないものが、單に事務当局の机上の一つのブランが幾つかありかけておる、これを私どもこれから檢討いたしまして、十分練つたものにして、法案にまでつくり上げて御了解を得る。しかしその域に達しますれば、ざつくばらんに申し上げていいのでありますから、およそ法案の原稿でもできそうな場合になりますれば、これは申し上げても差支えない。ただいまその域に至つておらぬという点について、御了解を願つておるわけであります。
  21. 上林山榮吉

    上林委員 責任のある最後案というものについて私は尋ねておりません。少くともわれわれは税制改正には、國民といわず、國会といわず、重大な関心をもつておるときである。だから事務当局の案でもよろしゆうございますが、大臣が知つておる程度試案があれば、われわれは参考の承つて、來るべき予算審議の場合の材料にし、適切なる税制改正にあつたつていきたい、こう考えますので、そのA案B案C案がありますならば、その試案ないしは事務当局案で結構であるから、この際参考のために伺つておきたいのであります。
  22. 北村徳太郎

    北村國務大臣 たいへんくどいようでありますけれども、今それを出すという段階に達しておりませんので、御了解を願います。
  23. 上林山榮吉

    上林委員 こういう重大な問題について、試案すらも予算委員会に説明するわけにはいかない、こういう態度は、私はいかに足並みのそろわぬところの芦田内閣であつたとしても、あまり賢明な答弁ではないと考えるのでありますが、さらに私はこの税制改正案について、また逃げるであろうけれども、質しておきたいことは、今申し上げるごとく、法人所得税勤労所得税軽減をしたために、数百億円の歳入減というものが出てくる、その穴埋めとして政府が、今あなたの言葉をかりて言えば、研究中である問題の中に、賣上税と農村所得税というものが考えられておる、こういうことであるが、この賣上税の性質は、これは言うまでもなく大衆課税である。勤労所得税をかりに軽減したとしても、その穴埋めのために賣上税をここにもつてくるということは、これは明らかに大衆課税であつて、決して当を得たものものではないとわれわれは考えておる。殊に農村所得税をこの際かけるための研究を進めておる、こういうことを聽くのであるが、はたして研究しておるかどうか。あるいは研究の域を超して、來年度の予算にはこれを出すべく努力しておるかどうか。このいわゆる過程の状態における政府答弁を、私は質しておきたいのであります。
  24. 北村徳太郎

    北村國務大臣 賣上税のことも、ただいまお話がございましたが、これは一應は考えの中にあることはあるのでありますけれども、お話のごとく、一面においては大衆課税的な性質帶びるものでありますから、いろいろ研究をしなければならぬ点が相当多うございます。特にまたこれは技術的にもきわめて困難な点がありますので税源が枯渇しておるという点から言えば、いろいろ新たな税も考えなければならぬけれども、こういう点を先ほどから申し上げますように勘案をいたして、檢討を加えておるわけでありまして、今日の場合でありますから、大衆課税万やむを得ざるものもございますし、また直接税のいわゆる税の本流だけでまいりませんので、從つて間接税的なものが、だんだん増大するという傾向もございます。この点に関しても、國民経済生活の問題と非常に密接な関係がありますので、それらの点を非常に深く堀下げて研究しなければならぬというような点がございますがゆえに、物價の問題と合せて安本折衝し、その他いろいろの点について研究中でございます。全体として研究過程にありますことでありますから、特にある希望的な数字でもいいじやないかというようなお話もございますが、数字というものは、これはもう実際を具体化したものでありますから、でたらめなことを申し上げて、間違いが起つても申しわけないことでありますから、そう長い先ではないと思いますので、なるべく早い機会に具体的なものとしてここに提出いたしたい。かように考えておる次第でございますから、併せてそれらの点についても、同樣に御了承願いたい、かように思う次第であります。
  25. 上林山榮吉

    上林委員 檢討中である、問題にはなつておるということでありますので、私はここで申し上げたいことは、大藏大臣としては、賣上税は大衆課税性質をもつておる。これをやるとやらぬにかかわらず、これを実行するとせぬにかかわらず、賣上税は大衆課税性質をもつておるものだ。結局物價を高騰せしめて、消費者の生活を苦しめる性質をもつておるものだ。こういうふうに思つておるかどうか。なお農村所得税研究中であるとすれば、この問題はかりにやるやらぬは第二の問題として、あなたとしては、この問題に対して適当な税金であるというふうに考えておるかどうか。あなたの見解を伺つてみたいと思います。数字の問題は別として……。
  26. 北村徳太郎

    北村國務大臣 大衆課税は避けねばならぬという一つの原則はあるのであります。これは税を考える場合に当然なければならぬ。ただこれは敗戰國に共通した一つの事実といたしましては、國民の所得というものが事業からくる所得と、財産からくる所得と、勤労からくる所得と、この三つの関連がきわめて平衡を得たときに、國の國民経済が健康な状態であると言い得ると思うのであります。ところが不幸にして敗戰國は、共通した問題として、事業所得がまず非常に減る。財産所得が非常に減る。從つて國の税的な支柱というものは多くは財産になくて、勤労所得において支える。これが残念ながら敗戰國に共通した一つの事実であります。おおうべからざる事実であります。從つて大衆の課税をもし非常に軽減するということに相なりますと、平時的な考えと違いまして、これは國家の財政というものばもたない。その点において、大衆課税に対して平時と同じような考えと注意をもつて、できるだけ避けたいとは考えますけれども、敗戰下においての現実の問題といたしましては、どうも財産がもつてつたところの税負担、あるいは事業がもつてつたところの税負担、そういうふうなものが、非常にはずれていきまして、そうして國民の大部分が大衆化してしまつたということが、これが敗戰下の一つの社会構造の事実であります。そういう点を無視するわけにいかぬ、その点を御考慮を願いたい。さればといつて、なお大衆課税的なものを避けたいという考えにおいては、決して人後に落ちるものではありません。  それから農村所得税云々というお話がございましたが、農村といえども、これは所得税一つの税体系の本流でございますから、所得のあるものは所得税をとる。これは一般の所得税の原則によつて所得をとるということは、今まで通りちつとも違わないというように、ひとつ御了承を願いたいと思います。
  27. 上林山榮吉

    上林委員 農村所得税の問題でありますが、所得のあるものに所得税をかけるということは、これは当然のことだと思いますが、私の考えていることは、新たに農村所得税というものを考えているというふうに聞いているが、その研究の課題になつているものは、どういう構想のものであるか、今農村においては、政府としては生産の奨励をやつている。あるいは一方においては報償金まで出して増産の奨励をやつている。この際にそういうような供出の品物にまで税金をかけるというような構想であるということを聞いているが、そういう構想において、いわゆる農村所得税をとる考えであるのかどうかということが一つ。  なお私は勤労所得税軽減するということは、わが党としても大賛成であるが、この代り財源として賣上税というようなものが研究されているとすれば、これは大衆課税ではないか、結局肩代りをしたのであつて内容は何ら変更されていないではないか、これを聽いたのであります。われわれも場合によつてはこういうふうに考えている。賣上税のごときは、生活必需品のようなものには賣上税をかけるということは考えなければならぬが、それ以外のものについては、これを目的税としてとつて、そうして一般大衆にためにこれを有効に使つていくというような、廣い意味の社会政策、徹底した意味の社会政策の意味を含んで、目的税を創設するというような意味で、ある程度大衆課税をとるということは、これはやむを得ないことである。こういうふうに考えているが。この問題について大藏大臣の再答弁を私は求めたいのであります。
  28. 北村徳太郎

    北村國務大臣 賣上税というものについても、これはまだ檢討の過程にありまして、どうとるかということは、決定いたしておらぬのでありますけれども、程度、やり方等によつては、購買力を吸收することになりますから、必ずしも簡單に大衆課税とのみは言えぬ点もあるけれども、利害の及ぶところが非常に大きいのでありますから、從つて先ほど申し上げます通り、いろいろな観点から研究をしているのであります。  それから農村所得税というお言葉がありましたが、これは事業税のことであれば、これはちよつと問題が残つているのであります。というのは、地方がだんだん地方の教育、警察等の仕事が殖えるにかかわらず、地方の財源が非常に枯渇している。中央ももちろんですけれども、特に地方がはなはだ困窮している。これをなんとかしなければならぬというような観点から、地方の財源の一つとして、たとえば事業税というようなものを創設してはどうか。事業税というものは、從來営業者には営業税があつたけれども、弁護士、醫者というようような人にはそういうものがなかつた。こういうものに共通した、ある事業を営む者には、一般的に事業に関する税を地方税としてとる。こういうことがどうかということが、一應問題に上つておるのでありまして、これまたどうも簡單にきめるわけにはまいりませんので、各方面、各見地から檢討を加えつつあるのでありまして、未だとるとらぬはきまつておりませんが、少くとも問題になつておる。地方の財源を何とかして與えなければならぬ。それでたとえば事業税というものを創設してはどうか。こうなると商業という事業、それから今までの一般自由業と言われた業務にも負担してもらう。そうなると、やはり農業にもかかる。農業にかかるとなると、農村の負担がこれまた一層重くなるではないかというような点にひつかかつてまいりますので、ただいまそれらの点について研究を進めておる。こういう程度でございまして、今のところ、これ以上御説明申し上げる段階にはいつていないということでございます。
  29. 上林山榮吉

    上林委員 さらに税制と関連して三党協定の中に國富調査税というものが含まれているようであるが、政府はこの國富調査税の問題を、どういうふうに取上げる方針であるか。私どもの見るところでは、傳えらるる國富調査税は、第二財産税的な性格をもつておる。このいわゆる國富調査税の性格であるが、さらにこれの税收額は約十億円程度であるというふうに聞いておるのであるが、現政府はこの政策協定の國富調査税を、どういうふうに扱う心組みをもつておるのであるか。これもまた委員会決定した後でなければ、ここで答弁はできないというふうに逃げるかもわからないが、そういうものではなしに、少くとも政策協定というものは、実行するもりをお互いが歩み寄つてきめたものでなければならない。そういう建前から言つて、國富調査税というものも、政策協定の中へ取入れておるから、政府はこれを実際の予算の上に取入れていくのではないかというふうゆ考えておりますので、これに対する考えを伺つておきたい。
  30. 北村徳太郎

    北村國務大臣 國富調査税というものは、三党の中のある一党からこういうものをやつたらどうだという提案がありましたので、言葉からくる内容がどうもちよつとはつきりしないのでありますけれども、そのとき私の聽いた説明では、これはいわば收益のない財産、收益を生まない財産の戸籍簿をつくるようなことをやるんだというような説明でありました。それで收益のない財産というとどういうことになるかということが、当時話題に上つたのでありますが、これは書画とか骨董とかいうようなものもその中にはいる。配所のない株券も收益のない財産だというようなことで、そういうものが一体どれくいらあるのかということを一應調査したらどうだ、そういうような意味に聞いておつたのであります。これを調査するには費用がかかるので、いわば税というよりもその國富を調査しておいて、一應の戸籍簿をつくるという程度にすぎぬのである。そうするとそういうものについての税を大体どれくらい予想しておるかという問をしたのでありますが、そのときの提案者の言葉では、まあ万分の五くらいとつたらどうだというような意見もあつたのであります。そうすると割合に軽微なものになります。そして実際は調査のために相当煩瑣な手数を要する。そういうことをやるということは惡いことじやないと思いますけれども、問題はそれらの利害をよほど考えなければならぬと思います。これは税一般の、所得税についても相当改正をしなければなりませんし、その他法人税についても改正するというので、それらの改正に伴つて税一般の問題として檢討する。こういうふうに約束をしてわかれておるのでありまして、これをいつからどう実行するというように具体化はしておらないのでありますが、ただいま研究はさせております。これは非常に大きな問題であるし、また非常に誤解を生じやすい言葉でもございますので、そういうことをやることの可否並びにやるとしてどういう方法があるか。どうすれば一番害なくして利があるかといえような点についても檢討しなければなりませんので、ただいま檢討しておるという程度であります。
  31. 上林山榮吉

    上林委員 私は今の大臣答弁を聽いて、実は驚いたところであります。なぜかというと、政策協定の樂屋裏の状態を、北村大藏大臣が説明になつたのであるが、それは國富調査税というものが、どういう性格のものであるかはつきりわからなかつたのである。しかもある一党から申し出てきたのであるが、それを具体的にやるにはまだ結論に達していないのだ、それでもまあ研究した上でこれをやろうという約束で、この國富調査税というものはできたものだ、こういうふうに承りまして、実はびつくりしたわけでありまするが、製策協定というものは、そういうあいまいな協定であるのか、私は本会議質問したように、あるいはわが党の代表者が質問をしたように、政策協定があいまいなところに、芦田内閣のよつて立つ基盤が脆弱であるということを申し上げたのであるが、今の大藏大臣答弁を聽いて、ますますその印象を深くすることは、芦田内閣の前途のために、まことに寒心にたえないのであるが、そういうふうに國富調査税に対しては、各党間において協定されておるものだと伺つていいのであるか、この点をひとつ明確にしてもらいたいのであります。
  32. 北村徳太郎

    北村國務大臣 上林山君の御注文がざつくばらんに言えということであつたので、ざつくばらんに申し上げたので、ただいま申し上げた通りであります。
  33. 上林山榮吉

    上林委員 ただいまの答弁はまことにあいまいでありますが、私の言わんとするところは、樂屋裏がそんなあいまいな協定をしたのは仕方はありません。あなた方のやることであるから仕方はないが、結論においてしからば國富調査税というようなものをやる方針であるのか、いわゆる三党政策協定の線に沿つて、これをやる決意であるのかどうか、この点を最後に伺いたいのであります。
  34. 北村徳太郎

    北村國務大臣 これは影響するところが非常に多くございますから、その点を十分檢討しなければならぬので、先ほどからお話があつたように、大衆の負担を増大するとか、その他現在の國民生活に非常に大きな影響を與えるようなことになつては相ならぬ。しかしながら、一面においては歳入をはからなければならぬ、こういうふうな矛盾した立場におかれておるのが現在のわれわれの立場でありますから、歳入を増加するという点においては、いろいろな税目について考えなければならぬし、そのことが影響するところもまた考えていかなければなりませんから、研究をしたい、こういうわけで今税一般について改正を必要とする時期でありますから、その税一般の研究の中に織りこんで檢討を加えております。こういうことを申し上げたのであつて、どの程度どうするつまりかというお話があつたものですから、これは……だからやるのは檢討した上でないとわからない。檢討してやるべきものはやり、またはやるべきざるものときまりますれば、これはまた考えなおさなければならぬ。こういうことになつておるわけであります。
  35. 上林山榮吉

    上林委員 大体大藏大臣答弁で政策協定の内容はわかつたし、國富調査税についても研究した上でやる必要があればやるんだということで、その答弁もわかつたのであるが、政策協定の内容がしかくあいまいなものであり、しかもそういうあいまいな協定の上に立つて内閣を組織した芦田内閣の政治的良心をわれわれは疑うものでありまするが、これを聞いた國民は、もちろん唖然とするのであろうと、私は思うのであります。さらに私は大藏大臣に尋ねたいことは、昨日わが党の西村君及び私から軍事公債の利拂停止の問題について、これを政治的立場から特に予算と関連をしてお尋ねをしたのでありますが、私はこれす財政的、経済的な立場から、はたしてこの軍事公債の利拂をやるということが、どの程度の影響があるか、國家財政立場からどの程度の影響があるかというその内容について、大藏大臣の意見を質したいのであります。私はこの問題について本会議大藏大臣の意見を質したのでありますけれども、何らこれには当日答えがなかつたのであります。それでこの際申し上げるのでありますが、この軍事公債の利拂を実際やるとするならば、この案もまた二つも三つもあるだろうと思いまするが、われわれが適当であるという考えの案からいきますると、満洲事変以來終戰までの軍事費として、明らかに使用された公債は、約七百九十億円でありまして、その利拂は年額二十七億三千万円見当であると押えておるのでありまするが、その点をどういうふうに考えておられるか、まずこれを伺いたい。
  36. 北村徳太郎

    北村國務大臣 いわゆる軍事公債の範聞というものも、必ずしも明らかではないのでありますが、ただいまの御説のような考え方も、一つ考え方であります。戰時中に発行された公債が、むろん全部軍事公債でないということにもなりましようから、この点どこへ線を引くかということは、各人多少狂いがあると考えます。  それから利拂問題につきましては、きのうの午後私が社会党の稻村君の御質問に御答弁申し上べた通りでありまして、午前の答弁いくらか食い違つた点があつたかと思うのでありますが、これは私の言葉の足りなかつた点でありまして、稻村君への答弁をもつて正しい理解と御理解願いたい。すなわちあの文言の通り、停止的処理をするということは、一應停止を認めてその処理をするということに理解すべきものというふうに解釈を変更いたしまして、さよう御了承を願います。
  37. 上林山榮吉

    上林委員 これは実に驚いた大藏大臣答弁だと、私は考えます。われわれの質問に対しては、利拂の停止をやるというのではなしに、利拂の停止をやるかやらないかということは、委員会決定によつて、初めてやるかやらないかということになるのであるということは、一回や二回ではなく、繰返して質問したのに対して、そういう答弁であつた。それにもかかわらず、與党側が少しやかましく言い出すというと、それに迎合するような答弁をされるに至つては、どこに責任政治の所在があるかということを私は痛感する。大臣のわずか一日の答弁のうちで、午前の答弁と午後の答弁とが根本的に違う、こういうようなことがはたしてあつていいものであるか、われわれは一回ではない、二回も三回もこの問題について質したのであります。これをどういうふうに考えられるか。あまりにもわれわれ委員会、われわれ議員をないがしろにする大臣答弁であると思う。
  38. 北村徳太郎

    北村國務大臣 これは必ずしもそういうふうではないのでありまして、言葉に少し疑義がございまして、停止的処理という言葉を停止問題の処理というふうに、私どもは理解しておつたのでありますけれども、そうではなくて、停止的処理ということであるということでありますから、言葉をさらに調べました結果、停止的処理になつてつた。それならば、一應停止ということをきまつたものとして、その善後策を講ずるのである。但し私が午前中に増し上げたことは、このことから來る影響の重大なることを考えまして、すなわち第三國人の所有もある無記名の公債であるというような点から考えまして、このことの影響と、それからこれは過去に対する問題でございますから、今回の予算に計上した怪路をるる申し上げた通りであります。ただ停止的処理という言葉の解釈を、停止問題の処理というように私が一應誤解しておつた。この点をここで訂正させていただく次第であります。
  39. 上林山榮吉

    上林委員 訂正するということは、あるいは自由であるかもしれないが、私どもはこれを承認するわけにはいかない。あなたの答弁議会を無視した答弁である。この答弁をこのままにしてこの審議を進めるわけにはいきません。実の重大なる大臣の詭弁である。この問題に解決しない以上、これ以上の質問をわれわれとしては続けるわけにいかないのであります。もう少し言葉が足りないとか、解釈が間違つてつたとか、政策協定があいまいであつたとか、そういう意味において答弁がぐるぐる変るようでは、われわれは現在の政府に信を置いてこの予算審議するわけにはいきません。あなたの答弁がもう少し正確であり、あるいは失言を取消さない以上、今申し上げるごとく、われわれは質問を続行することをやめたいと思います。休憩を要求します。
  40. 川島金次

    川島委員長代理 どうですか。大藏大臣のほかに運輸大臣、農林大臣、逓信大臣も來ておられますから、あなたの質問はそれでいいとして、ほかに質問はありませんか。
  41. 川島金次

    川島委員長代理 それでは午後一時半から会議を開きます。  ひとまず休憩いたします。     午後零時二十七分休憩      ————◇—————     午後三時五十二分開議
  42. 川島金次

    川島委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。上林山君。
  43. 上林山榮吉

    上林委員 私はまず午前に引続きまして、芦田内閣総理大臣に質疑を試みたいのであります。総理大臣は参議院において利拂問題に関してまして、こういう答弁をしたというのであるが、事実であるかどうか、確めたいのであります。それは軍事公債の利拂の問題は、委員会を設けて、その委員会が停止したらいいという結論を得たならば、これを停止するのである。こういう意味答弁をされたというのであるが、そういう事実があるかどうか、この点をまずお伺いいたしたい。
  44. 芦田均

    芦田國務大臣 ただいまの上林山君の御質問は、私あまり公債について詳しいことを知らないので、そのときどういうふうに答えましたか、一應速記録を見てお答えいたします。
  45. 上林山榮吉

    上林委員 政策協定の中の重要なる問題であると言われておる軍事公債の利拂の問題について、しかも國会における参議院の席上で、総理大臣責任において答弁せられたことが、速記録を見なければわからないということは、私はあまりにも了解できない重大な事実だと考えるのであります。私はこの問題について、総理大臣の政治的な見識、政治的な良心がどこにあるかということを疑う者であります。さらに私は総理大臣に引続いて、そういう見地からお尋ねしたいのは、昨日北村大藏大臣は、この席上において、西村君並びに私の質問に対して、軍事公債利拂の問題について、政策協定はどういうふうになつていたのであるか、聞くところによると、政策協定の中で、社会党方面においては、これは利拂を停止するというふうに了解しておるが、民主党側においては、今総理が言われたと同じように、北村君はこの席上で、委員会決定によつて停止するかしないかをきめるのであると、こういうふうに答弁をせられたのであるが、その後答弁があいまいになつたのであります。でありますから、この際私はさらにこの問題について、参議院においてどういうことを言つたか、速記録を見なければわからないと言われるならば、この際この問題について、芦田総理としてはどういうふうに了解しておるか、この点を明らかにせられたいのであります。
  46. 芦田均

    芦田國務大臣 この問題について、大藏大臣より数度にわたり答弁をされたはずであります。内閣はこの問題については、大藏大臣のここで言明せられた通り、処置をするつもりであります。
  47. 上林山榮吉

    上林委員 総理は大藏大臣答弁せられた通り内閣考えている。總理としても、そう考えているとこう言われるが、大藏大臣とはその内容については打合せ済みであるのかどうか、その問題に関しまして、具体的に總理は連絡をしての答弁であるのか、この点をお伺いしたいのであります。なお附け加えたいことは、私が今尋ねている点は、軍事公債利拂をやるという協定であり、政府はこれをやるという考えか、この具体的質問に対してお答えが願いたいのであります。
  48. 芦田均

    芦田國務大臣 お答えいたします。大藏大臣がこの席で答えていることは、内閣の意見を代表して答えているのでありまして、一々委員会の前に打合せをしたわけではありませんけれども、大藏大臣がこの席において責任をもつて答弁したことは、すなわち私をも含む内閣全体の意向であると御承知を願います。
  49. 上林山榮吉

    上林委員 内閣の組織における立場から、連帶責任をとるという立場から、御答弁になる総理の立場はわかりますが、私がここで具体的にさらにお尋ねしている点は、利拂停止をやるという政策協定であり、現政府はその利拂停止を必ずやるという、いわゆる確信をもつておられるのかということを、私は首班である総理の御意見を、ここで伺つているのであります。北村君の意見に対しては、さらにまたお尋ねもいたしまするが、総理としての立場の意見を聽いているのであります。
  50. 芦田均

    芦田國務大臣 先ほど來の問題は、私からお答えをいたしました通り、北村大藏大臣は、総理をも代表して、内閣の意見を述べているのでありますから、その意見に私の意見は全然同一であると御了解を願います。
  51. 上林山榮吉

    上林委員 私はここでお尋ねせんとするのは、北村君の意見はあいまいであるのであります。だから北村君に対しては、さらに質疑を試みたいと思いますけれども、この際軍事公債利拂に対する総理としての見解をここで聽いているのであつて、私は連帶責任であるから北村君の言うのと、自分の意見は同じだと言われる点については、了解しかねるのであります。だからこの際総理として、この問題についてどういう見解をとるか、これを聽いておるのであります。その総理としての見解をお尋ねして、さらに北村君の問題も取上げていきたい、こういうふうに考えるのであります。
  52. 芦田均

    芦田國務大臣 総理大臣としてこの問題に対する意見は、大藏大臣答弁と同一であります。
  53. 上林山榮吉

    上林委員 総理の答弁は抽象的で、まことにあいまいだと考えるのでありますが、私はしからば三党政策協定立場から、総理にお尋ねをしてみたいのであります。総理は三党政策協定の軍事公債利拂に対して、その協定は停止すべきものである、利拂は停止する、こういう協定が成立していたものと、政策協定当時のことから考えて、そういうふうに思つておられるのであるかどうか、この点をお尋ねいたします。
  54. 芦田均

    芦田國務大臣 ただいまのお尋ねは、前の御質問に関連があると思いますが、その点については、詳細に大藏大臣から答弁した通りであります。
  55. 上林山榮吉

    上林委員 大藏大臣答弁はあいまいであつたし、私ども矛盾を感ずるし、了解しかねるので、いわゆる首班の立場にあられる芦田総理に、この点を明確に伺つておるのであります。この点を單に内閣の連帶責任であるから、北村君の言われた通りだ。こういうふうに言われるのは、これは私ども一應はわかるのであるけれども、しかし今申し上げるごとく、首班者であるあなたの立場から、この問題について明確にお答え願わなければ、北村君の答弁では不明瞭であるがゆえに、この点をこういうふうに重ねてお尋ねをしておるのでありますから、この点をひとつ御了解の上で答弁をせられたいのであります。
  56. 芦田均

    芦田國務大臣 上林山君にお答えいたしますが、上林山君は、大体私の経済問題、財政問題に対する知識の程度も、よく御承知でありますが、これらの問題については、大藏大臣の方がよほど詳しいので、政策協定の問題についても、私よりはよほど詳しく承知いたしております。その大藏大臣責任をもつて答弁をいたしたのであるから、私は、内閣方針としてこれを御承知を願いたいと、かように考えております。
  57. 上林山榮吉

    上林委員 総理に対する質疑をさらに進めたいと思いまするが、その前にまずお尋ねをいたしたいのは、商工大臣についてであります。商工大臣は、三党政策協定の立役者であつたと思いますが、軍事公債利拂に対しまして、社会党の出身閣僚として、この問題について、どういうふうに了解をしておるのであるか。詳しく申し上げますならば、三党協定の内容は、利拂を停止する、こういう意味で協定をしたのであるか。それとも委員会によつて停止するかしないかをきめるのであると、こういうふうに了解をしておるのであるか。当時の政策協定の立役者であつた水谷商工大臣に、私はこの点を確かめたいのであります。
  58. 水谷長三郎

    ○水谷國務大臣 上林山君の御質問にお答えいたします。三党政策協定には、軍事公債利拂の停止的処置、その方法については、委員会を設くということになつております。そのように御了承願つて結構です。
  59. 上林山榮吉

    上林委員 今の御答弁は明瞭を欠きますので、もう一回お尋ねをいたしますが、軍事公債利拂の停止的処置というのは、社会党側としては——あなたとしては、その問題は利拂を停止する、こういうふうに協定をしたと考えておるのか。それとも停止するかしないかは委員会決定にまつ、委員会決定すれば停止をする。停止してはいけないというふうに委員会がきめれば、その通り從うつもりであつた。こういう意味であるか。商工大臣の再答弁を要求します。
  60. 水谷長三郎

    ○水谷國務大臣 この問題に関しましては、私個人の解釈は許されません。また社会党の解釈も許されぬので、これは三党政策の線に副うた解釈しか許されないと思います。
  61. 上林山榮吉

    上林委員 三党政策協定の線に副つて答弁されて結構であるが、その三党政策の協定の内容を、あなたとしてどういうふうに解釈をしておるのであるか。この答弁であります。あなたは社会党側を代表して利拂の問題について折衝を重ね、その妥結を得たのであるから、その妥結の点について、利拂は停止すべきものであるという了解のもとに妥結したのであるか。その過程を、あるいはその結論を、どう受取つて協定したのであるか。これをお尋ねしておるのであります。
  62. 水谷長三郎

    ○水谷國務大臣 三党政策協定のはつきりした表現方法は、さき申し上げましたように、軍事公債利拂いの停止的処置、その方法については委員会を設くということでありまして、その内容がいかなるものであるかは、大藏大臣がお答えになつた通りであります。
  63. 上林山榮吉

    上林委員 大藏大臣答弁はこうなつているのであります。総理大臣も水谷商工大臣も耳を澄まして聽いてもらいたい。私どもは一回に限らず、二回も三回も念を入れて質疑をした結果、大藏大臣はこう答えておるのである。軍事公債利拂の停止的処置というものは、委員会をつくつて委員会で停止せよということがあれば停止をする。停止すべきものではないという結論を得たならば停止をしない。こういうふうに自分たちは了解をしておる。政府考えておる。こういう解釈であつたのであります。それがこの問題をわれわれが提唱し、質疑を試みた結果、その際答弁はあいまいであるし、また政策協定の内容の受取り方が、各党各派が違つておる関係からいたしまして、これが與党間でも問題になつたはずであります。その結果答弁をさらに続けまして、稻村君の質問に対して、政策協定の内容は言葉が足らずに、ああいうふうに言つたけれども、停止的処置というのは、利拂を停止するものだ、こういうことになつておるのであるというような、午前の答弁と午後の答弁と、あまりにも根本的に食い違つておる。この状態をわれわれは、責任のある閣僚が、責任のあるべき國会において発言する言論としては、あまりにも不謹愼であり、無責任である。こういうふうに考えておるのであるが、今水谷君の御答弁によつて見ましても、あいまいな点は、停止的処置その方法は委員会によつてきめるのだ、こういうことであるが、それは具体的に言つて停止をするということはきまつておるが、そのきまつておる停止についての方法だけを吟味するという意味であるかどうか、この点を明瞭に伺いたい。
  64. 水谷長三郎

    ○水谷國務大臣 繰返して申し上げますが、三党政策協定の表現は、軍事公債の利拂の停止的処置、その方法については、委員会を設けて研究するということになつておりますから、この文字をば、社会通念に從つて御解釈願つたら結構であります。
  65. 上林山榮吉

    上林委員 社会通念ということは、いろいろ使われるが、水谷君の社会通念は通用しない社会通念だと思う。私がこの問題について総理に伺いたいことは、今水谷君も言われる通り、あるいは北村君が答弁を訂正した通り、利拂を停止するのだという意味において三党協定をしたものである、こういうふうに受取つていいか。総理の言葉によれば、北村君の言うた通り自分たちは考えるのだ、こういうお言葉であつたのであるから、利拂は停止するという意味に受取つていいか、この点を明瞭に伺いたい。
  66. 芦田均

    芦田國務大臣 その点については、この委員会において繰返し大藏大臣答弁いたした通りであります。
  67. 上林山榮吉

    上林委員 その点は大藏大臣が繰返して答弁した通りだということを、総理は繰返して答弁せられておるので、まことに抽象的で困るのでありますが、利拂を停止すると大藏大臣が言つたと解釈して、総理もその通り解釈する、こういうふうに考えておられるか、この点非常にあいまいに聞えますので、はつきりしておきたいと思います。利拂停止をやる、この意味で政策協定はやつたのだ、こういうふうに伺ついていいのであるか、さらに一つお尋ねをいたします。
  68. 芦田均

    芦田國務大臣 先ほど來繰返してお答えした通りであります。
  69. 上林山榮吉

    上林委員 そういうような答弁を中心にして私が質疑を試みることは、あまりにも審議の眞実性を無視するような氣持がするのでありますが、このことについて明確に御答弁になつた方が、せいせいするのじやないか。右なり、左なり、その方向をはつきりと言明されることが、私は國政を明朗にする意味から、非常にいいのじやないかと考える。北村君の答弁した通りだというような意味答弁をされずに、もつと具体的に御答弁になつた方がいいのではないか。これをはつきり御答弁にならなければ、同じことを何回でも繰返します。
  70. 芦田均

    芦田國務大臣 お答えいたします。御質問に対しては、すでに私の考えは十分にお答えいたしたつもりでおりますから、これ以上何も附け加えて申し上げることはありません。
  71. 植原悦二郎

    ○植原委員 ただいまの質疑應答の模樣をみますれば、私どもがここに質疑應答をするのは、一予算委員会の問題ではありません。事の事実をはつきりといたして、國民に示さなければならないということを、総理大臣はお忘れになつておるのではないか。ただこの予算委員会を言いのがれしていくというお言葉ならば、ただいまの通りの御答弁でよろしいと思います。しかし政策協定の問題は、福田内閣の成立する基礎工作であつたことをお忘れではございますまい。その三党の間の政策協定が成り立つたという條件のもとにおいて、三派連立の内閣をおつくりになつたということを、よもやお忘れではありますまい。その基礎工作になつた協定を、自分が財政経済のことに対して迂遠でありから自分はわからない、こういうことは、一國の総理大臣として、それでもよろしいというならば、私はあえて咎めません。さようなことでは、日本全國の國民が、私は必ず了解できないものと考えるのであります。また民主國の國家の総理大臣として、さような一時のがれの言を吐いて、一時を糊塗して、そので國民の信頼を得ようなどということは、思いも寄らざることである。総理大臣の信望いかん、その言質いかんということは、一國の國政に対して重大なる意義をもつものであるということを御了解なさらなければならぬ。殊に今日の時局はきわめて重大であります。しかも連立内閣をつくりました基礎が三派協定である。軍事公債の利拂、特にこの問題、この予算に関するものは二千万円、それは財政経済の知識がある、ないという問題で決する問題でなく、その程度のことが総理大臣として理解ができないならば、日本國の総理として、政治の責任をとることはできないものだと私どもは思うし、全國民必ずこの眞相を聽いたならば、さような結論に到達するものと思う。どうかそういう言いのがれのことでなく、政策協定の基礎を聽いておるのである。なぜさような立場に立つたかということを一應御説明申します。昨日より今朝にかけまして、われわれの同志西村君と上林山君が、この政策協定の解釈につきまして、一体軍事公債の利拂は停止するという政策協定の意義を土台として事をするのかいかがかという質問をしましたところが、さようではない、軍事公債利拂は、一に委員会決定によつて決するのだ、委員会においてこれを停止するといえば停止する、しからずとすればしからざるものと決定すると、こういう御答弁を一再ならず繰返し繰返しせられたのであります。のみならず、かような附け加えもしておる。軍事公債は法律の上で支拂わなければならないのであるから、四月の支拂いをするように予算に計上したのだ、利拂のいかんという問題は、委員会決定によつて委ねておけばよろしい、こういう御答弁であつたのであります。言葉の言い違いではありません。再三再四念を抑されて、ほんとうに心の底からさような答弁をいたしたことについては、おそらくこの議場におりました者一人として疑念を抱く者はないと信じます。しかるに社会党の稻村君の答弁に対しては、三派協定のもとで軍事公債の利拂を停止するという趣意のもとで、その処置いかんを委員会によつて決定するのだと、こういう意味の御答弁であり、しかもその答弁が眞の三派協定の答弁であるという理由を附け加えて、午前中に答弁したものは間違つてつたと言うて、お取消しになつたのであります。かような径路をたどつてまいりました以上は、三派協定を基礎として内閣を組織された総理大臣に、このことを質さなければ、私ども予算審議ができない立場にあるのであります。大藏大臣は午前中と午後において、まつたく異なつた答弁をいたしておる。しかも午前中の答弁は、繰返し繰返しそれに間違いないということを力説して言つておる。一たび社会党の稻村君から質問をすると、まつたくそれと違つた意味答弁をされて、前の答弁は違つたのである、かような答弁をされた以上は、私ども國民を代表する者、しかも芦田内閣なるものは三派の政策協定を基礎として成立したものである以上は、その問題に対して総理大臣の確たる御見解を聽かない以上は、私どもこの予算審議を進めることはできない立場にあるのだから、そのいずれであるかということを、総理大臣がもしただいまお答えができなければ、閣議を開いて大藏大臣と打合せの上に、お答えになつてしかるべきだと思うのであります。いずれにしても、総理大臣からその問題をはつきり答弁されないで、ただ責任逃れの答弁をされても、それは委員会はごまかせましよう、この場は通りましようが、全國民を欺き、全國民をごまかすことは絶体にできないのであります。芦田内閣の基礎は三派協定にある。その三派協定の基礎を、総理が自分が財政経済に通じておらないからわからないなどという無責任な言い逃れをもつて、この委員会を進めることはできないことを御了承願いたい。芦田総理は、その点についてはつきりと答弁できなければ、閣僚一同寄つてこれをどう取扱うかをおきめの上で御答弁があつてしかるべきだと思います。
  72. 芦田均

    芦田國務大臣 お答えいたします。先輩の植原君よりお叱りを受けまして、まことに恐縮に存じますが、私が答えたことは、総理大臣としての責任をもつて答えたのでありまして、決してその答弁を他人に責任に讓る意味のことは一言も申してはおりません。大藏大臣答弁したことは、すなわち内閣方針述ベたのであるから、それについては私は全面的に國民に対して責任をとる決心であります。その点はどうぞ誤解のないように願います。
  73. 植原悦二郎

    ○植原委員 責任をとるとかとらぬとかを問うておるのではない。三派協定の趣意を総理大臣、御存じないとは申されますまい。大藏大臣の答えに対して責任をとれとかとらぬとか、そういうことを私どもは言うておるのではありません。大藏大臣は二樣の異なつた発言をこの委員会においてしておる。われわれはそのいずれであるかをとるのに苦しんでおる。大藏大臣が午前中に言つたことが正しいのか、午後に言つたことが正しいのか、私ども責任の問題を今追及しておるのではありません。芦田総理は三派政策協定のもとに組閣されたのであるから、大藏大臣は二樣の答弁をしておるが、総理としては三派協定の意義をいかようにおとりになつておるか、私どもは総理大臣の御意向を聽いて、その上で大藏大臣の言を解釈するよりいたし方がないと思う。さような立場で総理大臣はいかなる見解において三派協定を御理解なすつておるか。大藏大臣の言うたことは、内閣の言葉であるかどうかを、私ども問うておるのではありません。そういう質問をしたらば、総理大臣答弁はそれでよろしいと思います。私どもの質問はそうではない。大藏大臣の言うことはどつちかわからぬのだ。從つて総理大臣の御意向によつて、私どもはこの予算を取扱う上に、私ども独自の考慮を拂わなければならない立場におるのだから、総理大臣は三派協定に対していかなる御見解をとつておるか、総理大臣の御見解を聽いておるのであります。責任を聽いておるのではないことを御了承相なりたい。それでも答えられない、そういう一本調子な、ただ責任逃れの言を吐いてこれを押し切ろうとするならば、またわれわれは國民の代表者として考慮いたさなければならぬ。そういうむつかしい問題ではない。ただ簡單に総理大臣は三派協定の問題をどう解釈しておるか、その解釈を伺いさえすれば、私ども総理大臣の解釈と大藏大臣の解釈はここに一致するから、かように行けばよろしいと、私どものこの予算に対する態度をきめ得るのです。だから責任の問題を問うておるとか、叱るとか何とかそういう問題でなく、総理大臣の虚心坦懐に三派協定の解釈、しかも軍事公債の利拂に対して、総理大臣はどういう解釈で今日まで了解して進んでこられたかを知りたい、こういうのです。
  74. 芦田均

    芦田國務大臣 植原君にお答えいたします。もし大藏大臣の前の答弁とあとの答弁の間に食い違いがあるのならば、むろんあとから答えたことが正しいものを私は思います。三派協定の解釈については、大藏大臣から水谷商工大臣からも申し述べた通りでありまして、私もこの両者の見解に全然一致いたしておることをお答えいたします。
  75. 植原悦二郎

    ○植原委員 今の御答弁でややものははつきりいたしました。それならば大藏大臣答弁の三派協定は、軍事公債の利拂を停止するという趣意に協定が成り立つておるのである。委員会はその三派協定の利拂を停止する処置方法を決定するところの委員会だ、こう解釈してよろしいと、私どもは解釈するよりもいたし方がないが、さように解釈してよろしいのでありますか。
  76. 芦田均

    芦田國務大臣 その点は大藏大臣から答えた通りであります。
  77. 黒田寿男

    ○黒田委員 ちよつと私は便宜上関連質問をしてみたいと思うのでございます。お許しを願いたいと思います。  私は総理大臣に対して一点だけ御質問申し上げたいと思うのでありますが、関連質問でありますから、自然内容が前の質問者の質問と重複する点もあるかもわかりませんが、質問内容は軍事公債の利拂停止問題に対する政府方針いかんということであります。これが今まで隨分長い間の議論となつておるのでありますが、ただ今までこの問題につきまして、今日質問されましたのは民主自由党でありますが、私は民主自由党より立場を全然異にしております社会党の立場から、この問題についての御質問をいたしたいの思うのであります。この差異があるということをまず政府において御認識願つておきたいと思うのであります。  次に私は單に一個の予算委員として御質問申し上げるのではなく、この問題に対しましては、社会党が先般開きました第三回大会におきまして、この問題に対するはつきりとした方針決定しておるのであります。從つて私はこの党大会の決定の趣旨に基いて御質問申し上げたい。この点も御理解を得ておきたいと思うのであります。一予算委員としてでなく、私は社会党全党員に対する責任を感ずるという立場から、この点を明瞭にしておかなければならぬ。そういう観点から御質問を申し上げるのでありますからして、どうかそのつもりで大胆率直に、明瞭にお答え願いたいと思います。私は政治の最も避くべき点は、あいまいなことを言つたり、ごまかそうとしたりするということが、最も私は民主政治の上の障害になると思う。殊にわれわれは長い間民主的政治運動を続けてまいりましたものの立場でありますから、これらの点につきましては、人一倍明朗さ、正直さ、率直さ、こういうものを尊ぶ。ごまかして事を過そうということは、断じてわれわれのとらないところであります。私は民主自由党立場でなく、そういう社会党の立場から、この点を御質問申し上げたいと思います。  なお大藏大臣に対する質問でよろしいという考えもあるかもしれませんが、実は私自身も御答弁を昨日より聽いておりまして、いやしくも一國の大藏大臣が、その結論のいかんは別といたしましても、午前中の述べたことと、午後に述べたこととが、その政策が正に相反する方向において相違している。單なる枝葉末節の点において相違しているのではなくして、根本的な方向において相違している。あとの答弁が正しいか、前の答弁が正しいかということは別といたしましても、これをわれわれのような長い間民主的政治運動をしたものの立場から申しますれば、こういうときに一体こういう答弁者に対し、その答弁に対して信用を抱きかねるということは、一種の本能的な感じであります。そこで私はどうしても責任のある総理大臣から、はつきりとした答弁をもう一度繰返して聽かなければ、党に対する私としての責任が果せない。社会党の予算委員としての責任が果せないのであります。私たちが大藏大蔵が午前中と午後のわずかの時間の間に、重要な問題についての意見の相違を同一人が吐かれるというようなその答弁の頼りなさから、あらためて政府のもつとしつかりした答弁を首班である総理大臣から聽きたいという氣持も、十分他意なく率直に受入れて、御答弁願いたいと思います。なお私が特に総理大臣質問いたしたいと思いますのは、現内閣の閣僚の一員になつておられる方が、この問題につきまして軍事公債の利拂停止処理の解釈については、これは利拂を停止することにきまつたのではない、停止をなすべきかどうかを含めて、委員会で調査する、利拂停止ということには、民主党も國協党も反対である、ということを申された方が、現にこの中にも閣僚となつておられるのであります。また先般の今月の二十四日に、利拂停止に関する懇談会を設けるということが発表せられましたときに、やはり現内閣與党でありますところの國協党の意見を見ますと、同党としては、三党政策協会は軍事公債利拂停止を決定したとは見ておらず、この懇談会で停止措置を講ずるか否かをあらためて協議するという態度を堅持しておる。こういうことが、國協党の意見として発表されておりますし、民主党も軍事公債利拂については、民主党としては芦田総裁を初め強い反対意向にあり、党としてはこの問題はあいまいに態度のうちに押切つてしまいたいようで、稻垣民主党政調会長の談といたしましても、軍事公債の利拂停止について、さきの三党協定の際に、民主党としては技術的に困難であるとし、社会党は技術的に可能であるとし、見解の相違から、技術的な可否の問題を檢討するために、懇談会を設けることになつたのである。だからこの懇談会の民主的決定には、お互いに服すべきであると思う。ごく最近にこのような意見が、政府側の有力なる関係者から発表せられておるのであります。また同日の苫米地長官の談にも、この点懇談会では利拂の停止を行うかどうかを檢討してもらう、停止することが可能ならするし、それがどうしても財界に摩擦を起すとの結論に達すれば避けねばならぬ、というようなこのを申されておるのであります。われわれがこういう新聞紙その他を通じまして、現閣僚の中に利拂停止に関する消極論があるということを知つておりまして、社会党はこのことを非常に憂えておつた。たとえば社会党は大会において、あくまで利拂停止をするということを決定しておりましたから、このような意見が出ることに対しまして、非常に党としても意外に考えておつたのであります。三党協定においては、このことはすでに利拂停止ということに決定されたと思つているのに、その後こういう意見が出るので、これはどうしても確かめておかなければならぬ。こういうことを考えておりました矢先、またこの委員会において、大藏大臣が昨日午前中、先ほど問題になつているような言動をされたので、どうしても私は大藏大臣の言明だけではこれは安心ならぬ。もうわれわれがそう考えるのは常識であります。その点は率直にお認めの上で、政府としてあらためてはつきりとした態度を、総理大臣より言明していただきたいと、私は思うのであります。元來この問題につきまして、私は大藏大臣がどう言つた、こう言つたというような御答弁でなくて、私がここに堤議いたします質問に対して、そのどちらであるかということを、はつきりと総理大臣よりお答えを願いたい。このくらいの親切はぜひもつていただかなければ、委員会に対する総理大臣の親切な態度として受取ることができないのであります。すなわち軍事公債の利拂の停止、三党協定の言葉で言えば、停止的処理という言葉の内容は、停止問題についてこれをいかにするか、すなわち、停止すべきか否かということをこの懇談会にかけて、これを参考として決定するという意味であるか。そうでなくて、停止するということは、すでに三党協定の内容として決定したものである、ただこの処置をどうするか、これから現われてくる影響をどうするか、どういう方法で停止するかというようなことを研究するにすぎないのであるか、停止ということはもう三党協定において決定的な確定した方針である。このいずれであるか。これは私は常識ある総理大臣といたしまして、このいずれであるかということを、総理大臣御自身の口からはつきりと聽かしていただきたいと思うのであります。これは私自身の質問というだけのものではなく、繰辺して申しますが、全社会党の堂員の、熱心に聽きたいと思う質問であります。この点をはつきりしないと、社会党の現内閣に対する態度関係してくる問題であります。御存じのように、現内閣はその成立の基礎といたしまして、またその存続の條件といたしまして、三党によつて協定せられたる政策というものをもつておるのであります。かような意味におきまして、三党政策協定内容は、協定者の間におきまして正確な一致を見ていなければならぬ。甲はかように解釈し、乙はこのように解釈するというようなものであつてはならないのであります。万一その不一致があるというように思われた場合には、その点をあえておおい隠そうとしないで、はつきりとどこに意見の相違があるかということを明らかにして、しかる後に自分らの態度決定するという率直さをもたなければならぬ。その点があいまいになつておりますので、あえて臭いものにはふたをしようというような態度でなく、率直にお答え願いたいと思います。もしこの問題について不一致があるといたしましたならば、すなわち三党の政策協定が重大なる部分において破綻することになるのでありまして、言いかえれば、内閣の基礎に影響し、内閣の重要なる一角が、この面から崩れるということも予想できないことはない。それほど重要な問題である。それわどわれわれは眞劍にこの問題を取扱つておるのであります。從つて私はもし政府方針が社会党の方針と相反する方針であるということになるますならば、ここに現内閣に対する社会党の態度も、根本的な変化を生じなくてはならぬことは必然である。それほど重要な問題であり、眞劍な問題でありますから、私は総理大臣から、はつきり御答弁を願いたいと思います。この問題は單に暫定予算審議関係しておるのみならず、わが党の政府に対する根本的態度に影響しておる問題でありますから、特に総理大臣の御答弁を求めたいと思うのであります。  最後に結論として繰返して申しますれば、軍事公債の利拂停止的処理とは、私が今申しましたどちらであるか、このことを、だれがどう言つたというような言葉でなく、総理大臣御自身の意見としてはつきりとさせていただきたいと思うのであります。これを私は総理大臣にお願いしたい。
  78. 小坂善太郎

    ○小坂委員 ただいまの質問に関連してお尋ねしたいと思います。前二者の質問がそれぞれ相当長時間にわたつて述べられたので、私はきわめて簡單に質問いたしたいと思います。私は國会は國家の最高機関であつて、立法府は政府の上に立つと率直に考えておるのであります。しかしながら、立律府はやはり行政能率を促進するよう協力して審議を行わねばならないというように考えておるのであります。そこで問題は、われわれがただいま審議しておりますのは、この四月分の暫定予算についてであります。その暫定予算の中において、たまたま二千万円の軍事公債の利拂が問題になつておるのでありますが、この問題については、政府はしばしば答弁され、総理大臣はこれに対して毎回率直に答えられておるのであります。ただいまの質問はそれぞれ三党政策協定のうちに含まれておる軍事公債の利拂の停止的処理という言葉についての内容に触れておるのでありますが、これに関しましては、商工大臣からも明瞭に答えられておるように、軍事公債利拂の停止的措置、その方法については委員会を設けてこれを処理するということであると言われておるのであります。すでに委員会もできておるのであります。ですからこれの審議は、もうそう長い期間を待たずに行われると思う。そこで今明瞭に示されておるこの内閣方針について、さらに総理大臣の意見を聽く必要はどこにあるかと思う。國会は能率的に審議をしなければならぬ。
  79. 川島金次

    川島委員長代理 靜粛に願います。
  80. 小坂善太郎

    ○小坂委員 そこで私は今の植原君並びに黒田君の質問に対して、私の総理大臣に対しての質問は、私はそういうように考えておるのだけれども、総理大臣はその上何、答えんとするかということを質問したいと思う。
  81. 芦田均

    芦田國務大臣 黒田君にお答えいたします。この問題に対する政府方針につきましては、すでに社会党より昨日來御質問になつた方々に対して大藏臣からよく答弁をいたしたはずであります。また上林山君並びに植原君の御質問に対しても、私は大藏大臣答弁を確認して、内閣が全貫任を負つて大藏大臣答弁を裏書いたしておるのであります。その成行きは黒田君が先ほど來この席上においてお聽きになつた通りであります。黒田君のごとき財政に明るい方々は、この間の質疑應答によつておそらく問題の全貌を十分に御納得になつておることと考えます。またこれ以上附け加えて私から答える新しと事実は何もありません。さよう御了承願います。
  82. 川島金次

    川島委員長代理 傍聽席の発言は禁止いたします。
  83. 黒田寿男

    ○黒田委員 私は政府態度は、社会党がこの問題について大会において決定したと同一な方針であるように理解し、そういう理解のもとに、私の質問をこれで終ります。
  84. 川島金次

    川島委員長代理 庄司君。
  85. 庄司一郎

    ○庄司委員 芦田内閣総理大臣に対してお尋ねをしたい一点がございます。それはあなたはおとといの毎日新聞をごらんになつたかどうかわかりませんが、毎日新聞が主体となられて、芦田内閣に対する世論を聽くという輿論調査が報道されております。その輿論調査の結果、あなたは芦田内閣を支持するかどうか、この問に対して、支持するものは三〇%、芦田内閣を支持しない、あなたを信頼しないというものが四九%、第一問の世論調査の結果は、かようなことに発表されておるのであります。芦田総理大臣は過般本会議におけるわが党の齋藤隆夫氏の解散の意思の有無に関する質問に対して、議会の動向に鑑み、あるいは世論に聽いて善処するという意味答弁をされておる。これはひとり一毎日新聞でれの世論調査じやありません。その前には新日新克の輿行調査、あるいは読賣新聞の輿論調査、あるいは地方新聞においては河北新報であるとか、最近における各新聞の輿論調査の結果は、最大多数の國民芦田内閣を支持しない、あなたを支持していないということが、きわめて明瞭です。あなたは國民の輿論を聽き、民主主義的な政治家として、どういう信念をもたれておるか。これらに対してあなたの信念を良心的にお尋ねして、われわれの参考に資したいと思うのであります。
  86. 芦田均

    芦田國務大臣 庄司君にお答えいたします。民主主義の政治は國民の輿論によつて決せらるべきことは、もちろん私から申し上げるまでもなく、すでに世間のすべて了承しておるところであります。議会國民の輿論とが相反したる場合に、議会を解散して新しく輿論を反映せしめることは、立憲的の方法であることもむろん言うまでもありません。だだその輿論は何を基準にしてこれを知るかということが、具体的な問題になるのでありまして、むろんわれわれは多数新聞の輿論調査というものを一つの有力なる参考にすべきことはもちろんであります。けれども庄司君も御承知の通り、一九四〇年にルーズヴエルト氏が大統領選挙をやつたときに、有名なリテラリー・ダイジエストという雜誌が輿論調査を発表して、ルーズヴエルト氏は落選するといつた、それがあれほど大多数をもつて当選したという例もむろん御承知のことと思う。從つて今日一新聞に、輿論を反映するという統計が出されたとしても、それのみで以てはまだ議会を解散するというようなことの確実な根拠になるとは私は考えないが、國論が次第に議会解散を要望するということが明らかになりますれば、むろん進んで議会の決議により、もしくは内閣の措置によつて議会を適当のときに解散することが、民主政治の運用の上に当然のことと思います。さよう御了承願います。
  87. 川島金次

    川島委員長代理 磯崎貞序君。
  88. 磯崎貞序

    ○磯崎委員 私は常に委員会に申し上げておいたのであります。すなわち予算審議にありまして、ぜひともわれわれに審議の時間を與えていただきたい、そうしてきわめて愼重に予算の檢討をいたさせてもらいたい。常の委員会に、私はそう申しておる。はからずも今回御提案になりましたる予算案は、伺いますると、きわめて急を要する問題である。この緊急なる予算案を御提案に相なりましたのが一昨日でございます。当局の説明を伺つて、そうして昨日から本日にかけて質疑にはいつておるわけであります。しかもこの予算に盛られましたる数字は、かりに四月に暫定予算とは申しましても、現内閣のもとにおける二十三年度の予算との関連性からいたしまして、きわめて重大なる立場において檢討を加えなければならぬ問題であります。にもかかわらず、ただいま申しまするように、われわれに審議の余地を與えていただけないよう不親切な状態でありますことを、まことに御承知の通り先の内閣は八箇所にして瓦解いたしましたが、これは社会党、民主党、國協党の三派連立によつてできた内閣でありましたが、世間ではこの内閣に対しまして、その施策の檢討から、片山内閣は片山民主党内閣であるという批評をしておりました。ところが今回の芦田内閣は、その素質の上から、きわめて酷似しておりまするが、しかしその閣員の形から申しますると、すこぶる前進しております。その性格相当前進していて、いわゆる芦田社会党内閣という声さえ上りました。この芦田内閣があつたかも組閣にあたつて、いわゆる政策協定をされた。この政策協定こそは、芦田内閣のきわめて重要なるところの基盤である。その重大なるところの一つである戰時公債利拂の問題こそは、全國民が聽かんとする問題である。この問題が、また目下提案されておるところの中心課題になつておりますので、先日來同上からいろいろ御質疑を申し上げ、御答弁を煩わしておるのでありますが、きわめて分明を欠いておるところの御答弁で、まことに遺憾千万である。先ほど上林山君、あるいは植原議員から質疑をいたされ、さらに社会党黒田君あたりからの御質疑等に対して、徹頭徹尾きわめて不親切な不明朗な、不明暸な御答弁があつたことを私は遺憾に思いますが、率直に考えますると、おそらくこれは内閣をつくればあとは何とかなるというようなあいまい模糊の上に、こうした不分明な、文字そのものにおきましても、まことに理解に苦しむような形において協定は成立つたように思います。從いまして、これに対して最も重大な関係のあられる社会党が、相当大きな関心をもたれるのは当然であります。私はこの意味合におきまして、先ほどの総理大臣、あるいは商工大臣等の御答弁は、まことに不満足千万でございます。  そこでお尋ねいたしますが、この問題と離れたもう一つの問題で、いわゆる農地の解放の問題についての期待もあつたように伺つておりますが、いわゆる農村においても最も重大なるところの一つである農地解放、しかもそれが協定の一つに加えられて御審議があつたように報道を受けておりまするが、この問題に対しまして、第三次の農地解放ということについても、どのような関係までお話が進んでおつたかを、この際御明説を煩わしたいと思います。
  89. 芦田均

    芦田國務大臣 磯崎君の農地問題に対する御質問の御趣意はよく了承いたしました。さいわい農林大臣が出席いたしておりますから、主管大臣より答弁することにいたします。
  90. 永江一夫

    ○永江國務大臣 お答えいたします。農地改革の点につきましては、御承知のように、本会議の席上におきまして、私からお答えをいたしました。重ねてのお尋ねでありますから申し上げておきますが、ただいま第二次農地改革が進行中でありまして、これは本年の十月ころをもつて一應の結末を見ることに相なつております。しかしながら、この第二次の農地改革の進行途上におきまして、なお農地改革上不備な点がいろいろと出てくると思いますが、いずれにいたしましても、政府としては、この第二次のただいま進行中の農地改革に主力を注ぐ、從つてそれ以後におけるところのいろいろな農地改革の徹底について必要なことについては、いろいろ意見を交換するために適当な委員会を設けまして、その委員会決定に基いて農地改革の徹底を行いたい、こういう了解を三党の間でいたしました。
  91. 磯崎貞序

    ○磯崎委員 私は先ほど総理に御質疑を申し上げたのでありまするが、農林大臣からの思答弁でございました。先ほど申し上げました通りに、きわめて重大なる政策協定そのものがあいまい模糊であつて、ただ内閣をつくる一つの摩擦除けの形において協定がされたように思われるのは、ただいまのいわゆる軍事公債に関する問題と同じようであります。そこで農地については、これも全國民がくわをなげうち、かまをなげうつて、その形をうかがわんとしておるのでありますが、御承知の通り、第二次の農地改革は、今進行途上にあります。けれどもおそらくこの第二次の農地改革が、この年末に終りますれば、すぐそこに第三次の農地改革が断行されるのであろうということを、相当各行面から危惧の念をもつて見守つておりますが、あたかもその委員会におきまして、いろいろ深刻な御審議の結果、一つの成案があられたように心得ております。これは三党におけるところのきわめて率直な意見がまとまつたことであろうと思いますが、その内容をこまかく御説明を煩わしたいと思います。
  92. 永江一夫

    ○永江國務大臣 お答えいたします。先ほど私から答弁申し上げました通りに、ただいまのところは、第二次農地改革が進行中でありまして、これに主力を注ぐことは申すまでもありませんが、さらに第三次農地改革と言われる面につきましては、なお研究をいたしまして、それぞれ適当な案を適当な委員会を通じてつくりまして、この十月の農地改革の第二次の完成を持ちまして、その次の方法にこたえたい、こういう考えであります。
  93. 磯崎貞序

    ○磯崎委員 ただいまの御答弁でございまするが、これもきわめてあいまいな御答弁でございます。私は第三次の農地改革に対しまして、これを断行するお考えがあるのか、しかしてその問題につきましては、三党の個々がいずれも協議成立して、そういうことに相なつておるのか。断行の意思があるかどうか。その問題について御答弁をわずらわします。
  94. 永江一夫

    ○永江國務大臣 お答えいたします。第三次農地改革とかりに名前をつけましても、その内容はそれぞれ違つておるのであります。從つてその内容決定いたしまするためには、適当な委員会において決定をいたしたいという趣旨でございます。
  95. 磯崎貞序

    ○磯崎委員 実は各協定なされました案件について、鈴木茂三郎氏がいろいろ御心配に相なつて、われわれが考えた以上の食い違いがあるということで、いわゆる社会党、民主党、國協党各方面を行脚なさつて、そうして各協定事項についてお調べになつた、ところがはつきりそこには相当な食い違いがあつたということを、当時紙上において私どもは知り得たのでありますが、おそらくこの問題につきましては、やはり先に利拂い問題に対して、仰せのごとく、すこぶるあいまいな協定のように思われます。特に私どもがこの問題について深くお尋ねを申し上げたいことは、去る片山内閣の当時におきまして、いわゆる〇・八箇月の俸給財源に対しまして、とうとうそれが内閣瓦解の導因になつた。そういう過去におけるところの遺憾な点を考えまする場合に、芦田内閣の政策中あたかも最も重大なこの協定事項そのものにいろいろの食い違いがあり、それが動機になつて、いろいろ政治上の波紋を画くことは、まことに國民として遺憾に思います。そういう観点から、はつきりと協定の事項を國民に明示して、その進むところを明らかにしていただきたい意味合から申し上げておるのでございまして、今申し上げるいわゆる農地改革は断行する、あるいはしない、その二つの問題をひとつはつきり御明答を願います。
  96. 永江一夫

    ○永江國務大臣 お尋ねの点については、先ほど來再三申し上げておりまするように、第二次農地改革の完成を待ちまして——三党政策協定の趣旨は、農地改革の徹底でありますから、その徹底の具体的内容決定いたしまする適当な委員会の議を経ましてから、いわゆる第三次農地改革に著手したい、かような趣旨でございます。
  97. 川島金次

    川島委員長代理 磯崎君、ちよつと御注意いたしますが、質問者がまだたくさんありますから、なるべく議案に直接関係のあることについて、御質問をお願いいたしたいと思います。
  98. 磯崎貞序

    ○磯崎委員 総理大臣にひとつ御答弁を願いたいと思います。先日総理は、ドレーバー陸軍次官と御会談になり、その当時紙上におきまして、日本における健全財政問題が話題になつて、両者のお話で意見がまつたく一致されたというような記事を承知したのでありますが、私どもは実際日本の財政を見てみますると、実は窮乏財政そのものである。この窮乏財政を打開するということが、最も重大な課題である。こういう観点からしまして、まず近く御編成に相なるべき昭和二十三年度の予算案こそは、きわめて重大に取扱いたい。そこで率直にお尋ね申したいことは、歳入におきましては、どうしても現段階では、今までの税制に一大改革を加えることはもとより当然で、これに対しましては、昨日大藏大臣からもその御用意があるように漏れ聞いておりますが、しかし日本の窮乏財政を打開して、これを根本的に健全財政に建て直すには、何と申しましても、日本におけるところの長い官僚政治において、あまりに数多くの役人が殖えておる。しかも最近におきまして統制経済の関係からますます役人が殖えた。六人の家族で一人の役人をもつという極端な官僚弊に陷つてえりますが、そこでこの根本的な問題はどうしても行政の一大整理刷新、この問題が絶対的の問題でなければならぬ。そこで二十三年度の予算編成等に対しましては、この行政の整理問題に対し、総理大臣は根本的なるお考えがあられるようと思うが、これについて御答弁をお願いいたします。
  99. 芦田均

    芦田國務大臣 ただいま行政整理の必要性をお述べになりました磯崎君の御意見は、私においても全然同感であります。すでに行政整理につきましては、行政調査部において、具体案をただいまとりまとめております。來るべき二十三年度予算編成にも、あるいは一時行政整理のために必要な経費を國会に請求いたさなければならないかと考えておりますが、この点速やかにこれを断行する所信でございます。
  100. 磯崎貞序

    ○磯崎委員 いろいろ行政整理につきましての片鱗は承りましたが、この問題は先般來から同僚よりいろいろ質問をし、当局の御答弁等もあつたのでありますが、どの程度この二十三年度の予算と絡み合わせましてこれを実現化させるかという問題につきまして、いま少しく御明確に御答弁を願います。
  101. 芦田均

    芦田國務大臣 行政整理の具体的な案は、ただいま行政調査部を中心に作成しておりますが、まだ予算の上にどの程度の影響を及ぼすかというふうな点については、十分調査が完了いたしておりません、いずれ遠からず本予算を提出いたします機会に、この点についても、詳細に説明いたしたいと考えております。
  102. 磯崎貞序

    ○磯崎委員 大藏大臣がおいでになるようですから、御質問を申し上げます。先ほど來各同僚から御質疑をいたしました通り、ただいま提案されております予算は、暫定予算ではありましても、二百四十億という厖大なものであります。あるいは特別会計におきましても、六百億以上の厖大なものである。この案件につきまして、一昨日の御提案で、しかも当局の説明も未だ足らざるところもあり、同僚の質問がまだ相当山積しております。しかもその性質上、いわゆる二十三年度の予算の一環としてこの暫定予算を見るときに、きわめて愼車にこの予算を檢討せんければならぬという観点からしまして、おそらくこれにいま数日の余裕の時が必要であると私は考えております。こうした意味合いにおきまして、いわゆる愼重審議の時を與える御意思があるかどうかを御答弁願います。
  103. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答え申し上げます。暫定予算につきましては、この委員会においてたびたび申し述べましたように、実は御審議の期間をもう少し長くやつていただき得るように出すことに努力をいたしたのでありますが、御案内のごとき問題がひつかかりまして、それを何とかして生かしたいと考えましたがゆえに、ついたいへん遅くなりまして、この点は申訳なく存じております。しかしこの暫定予算は、緊急やむを得ざるに出でた、いわば変態的な予算でございまして、一箇月分を御承認願わなければならぬということに差迫つております関係上、また四月一日より支拂いするものもございますので緊急の必要やむを得ずして暫定予算編成したような次第でありますので、これについては、はなはだ提出が遅れまして申訳ない次第でございますけれども、災害復興とか、六三制とかいうようなものをなるべく同時に出したいというようなことから、つい遅れました段は相すまぬのでありますが、さような関係でございますので、どうか早く御審議願いたい、かように存ずる次第であります。
  104. 磯崎貞序

    ○磯崎委員 先ほど來いろいろ申し上げましたが、御承知の通りただいま大藏大臣の仰せのごとき御意味があるとするならば、なおさらただいま私が申す通り、早く御提案になり、審議の時を與えてもらいたい。これは度々私が申しているのであります。しかもその短い時間の間において、当局の一番大事な中心問題の点について、当局の御答弁がきわめて不親切不分明であるという点につきまして、まことに遺憾至極にたえません。この点におきまして、今後相当な御成心を御要求しまして、私の質問を打切ります。
  105. 川島金次

    川島委員長代理 それでは暫時休憩したします。六時半に再開いたします。なお六時十分に理事会を開きたいと思いますから、各党の理事の方には、本席に御集合をお願いいたします。     午後五時二十六分休憩      ————◇—————     午後七時十一分開議
  106. 川島金次

    川島委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  本日はこの程度に止めまして、明日は午前十時より開会いたします。これにて散会いたします。     午後七時十二分散会